JP2015117830A - 真空断熱パネルの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】断熱性を有する芯材とその周囲を覆う外包金属板からなり、前記芯材を内包する前記外包金属板の内部が真空状態とされて前記外包金属板周縁部がシーム溶接法で封止された耐久性に優れた真空断熱パネルを製造する際、最終封止するシーム溶接線長を短くし、ラップ部での重ねミスを回避して溶接接合する。【解決手段】重ね合わされた二枚の外包金属板の四辺の周縁部の内の三辺をラインA,B,Cで溶接した後に、残った第四の辺の板端部から内方の膨出部に向かいその側端部の手前まで達する溶接ラインDで溶接を行うとともに、前記第四の辺の両隣の辺のうちどちらか一方の板端部から前記溶接ラインDに到達するまで溶接ラインEで溶接して短縮した開口部を形成し、その後、真空チャンバー内で前記短縮した開口部を経由してパネル内部を高真空にした後に、溶接ラインEと重ならない溶接ラインでシーム溶接して前記短縮した開口部を最終封止する。【選択図】図3
Description
本発明は、例えば冷蔵庫や保冷庫、或いは保温庫や住宅等の断熱壁等に好適に用いられる真空断熱パネルの製造方法に関するものである。
昨今、電力不足などの影響によりあらゆる産業で省エネ製品や省エネ技術の開発が進められている。真空断熱パネルも省エネ対策の1つとして開発された商品であり、現在では冷蔵庫や自動販売機などの断熱材として、断熱性能を高めて消費電力を抑えるために広く採用されている。
また、住宅用の断熱材としての適用検討も進められているが、現行の真空断熱パネルは、例えば図1の左図に示すように、グラスウール等の芯材をアルミラミネートフィルムでヒートシールした構造のものが一般的である。
また、住宅用の断熱材としての適用検討も進められているが、現行の真空断熱パネルは、例えば図1の左図に示すように、グラスウール等の芯材をアルミラミネートフィルムでヒートシールした構造のものが一般的である。
アルミラミネートフィルムでヒートシールした構造の真空断熱パネルでは、ヒートシール部から水分が透過して真空度が低下するため、活性炭やゼオライト等の吸着剤を封入しているが、それでも7〜8年で断熱性能が半減するといった問題がある。
このため、長期に亘って断熱性を維持できる真空断熱パネルの開発が望まれている。
そこで、例えば図1の右図に示すように、グラスウール等の芯材をステンレス鋼などの薄金属板で包み、真空引きした後、端部を溶接接合して真空断熱パネルを製造することが各種試みられている。そして、真空引き方法として各種方法が提案されている。
このため、長期に亘って断熱性を維持できる真空断熱パネルの開発が望まれている。
そこで、例えば図1の右図に示すように、グラスウール等の芯材をステンレス鋼などの薄金属板で包み、真空引きした後、端部を溶接接合して真空断熱パネルを製造することが各種試みられている。そして、真空引き方法として各種方法が提案されている。
特許文献1では、芯材を包む金属外包材の一方に空気を案内して排出するための溝と溝に接続された排気口を設けて真空引き行う方法が提案されている。この方法では、予め真空引きを行う前にシーム溶接やプラズマ溶接などで溝および排気口周辺の予備封止を行い、予備封止後に溝部を通して排気口より真空引きを行い、真空引き完了後、溝部周辺をプレスなどにより平らにした後に先と同じ溶接方法により平らになった溝部上を溶接し完全封止して、封止完了後、余分な材料をカットして真空断熱パネルを製造している。
また特許文献2では、外周部が溶接接合された上下包材によって形成される略平板状の空間内に厚肉領域と薄肉領域を兼ね備えたスペーサー(断熱材)を挿入し、真空引き時は厚肉領域と薄肉領域で発生する段差を利用して上下包材の内面が接触することを防止するとともに、排気通路を確保しながら排気口より真空引きを行った後、排気口を封止し、排気口手前を溶接接合し、その後に溶接箇所の外側をカットして真空断熱パネルを製造している。
先述した特許文献はいずれも真空チャンバーを必要とせず、大気中で直接真空ポンプにより真空引きを行いシーム溶接などで真空断熱パネルを製造する方法であるが、これらの方法では10Pa以下の高真空の真空断熱パネルを製造することは難しい。真空断熱パネルは内部真空度が高いほど断熱性能が向上することは一般的に知られており、断熱性能の優れた真空断熱パネルを製造するためには内部真空度が重要となってくる。しかしながら、先述した方法では封止の際にパネル内部に大気が侵入し内部真空度が悪化する可能性がある。
また、溶接封止部に欠陥がありリークした場合、ポンプが大気を直接吸引する可能性があるため、ターボポンプのような高真空領域から使用する高性能な真空ポンプは破損の危険性があり使えない。このため、直接大気圧から吸引可能で到達真空度もそれほど高くない真空ポンプが採用されるケースが多く、真空度の高い真空断熱パネルを製造することは難しい。
また、溶接封止部に欠陥がありリークした場合、ポンプが大気を直接吸引する可能性があるため、ターボポンプのような高真空領域から使用する高性能な真空ポンプは破損の危険性があり使えない。このため、直接大気圧から吸引可能で到達真空度もそれほど高くない真空ポンプが採用されるケースが多く、真空度の高い真空断熱パネルを製造することは難しい。
こうした理由などもあり、大気中で真空断熱パネル製造するのではなく真空チャンバー内で真空断熱パネルを製造する方法も検討されている。
真空中での封止により、大気侵入による内部真空度悪化の心配がなく、例えリークした場合でも周囲が高真空領域のために大気を直接吸引する可能性がなく、高性能な真空ポンプを使用できる利点が挙げられる。このため、高性能な真空ポンプを使ってパネル内部を高真空にした上で封止することにより、大気中で製造した真空断熱パネルよりも高真空・高性能な真空断熱パネルが得られることになる。
真空中での封止により、大気侵入による内部真空度悪化の心配がなく、例えリークした場合でも周囲が高真空領域のために大気を直接吸引する可能性がなく、高性能な真空ポンプを使用できる利点が挙げられる。このため、高性能な真空ポンプを使ってパネル内部を高真空にした上で封止することにより、大気中で製造した真空断熱パネルよりも高真空・高性能な真空断熱パネルが得られることになる。
しかしながら、問題点もある。気密性が必要とされる燃料タンクや容器などの溶接にはシーム溶接が広く採用されているが、このシーム溶接を使って真空チャンバー内で矩形の真空断熱パネルを製造する場合、所定の真空度まで真空引きをした後にパネルの周縁部全てをシーム溶接により封止することになる。しかし、真空中でシーム溶接を行うと、溶接により発生した熱が電極に蓄積され、電極が損耗し溶接不良が発生しやすくなるといった欠点がある。この現象は溶接する長さ・時間が長いほど発生しやすく、真空中でシーム溶接によりパネルの周縁部全てを溶接不良なく安定して溶接することは難しい。また、真空チャンバー内でシーム溶接により真空断熱パネルを製造する場合、真空チャンバー内にシーム溶接機だけでなく、パネルを固定するための治具やテーブル、更にはパネル形状に沿ってシーム溶接ヘッド若しくは固定テーブルが移動するための移動装置も別途必要となる。
このため、設備構成が複雑となり真空チャンバーが大型になりやすくコスト高となる。
このため、設備構成が複雑となり真空チャンバーが大型になりやすくコスト高となる。
本発明は、このような問題点を解消するために案出されたものであり、ガラス繊維やロックウール等の無機繊維や、合成繊維や天然繊維等の有機繊維等からなる断熱性に優れた芯材と、その周囲を覆うガス不透過性に優れた外包金属板からなり、前記芯材を内包する前記外包金属板の内部が真空状態とされて前記外包金属板周縁部で溶接封止された高性能で耐久性に優れた真空断熱パネルを真空チャンバー内でシーム溶接により最終封止を行って製造する際、最終封止する箇所の溶接線長を短くし、交差部での重ねミスを回避して溶接接合する方法を提供することを目的とする。
本発明の真空断熱パネルの製造方法は、その目的を達成するため、断熱性を有する芯材と、その周囲を覆う二枚の矩形外包金属板からなり、前記芯材を内包する前記二枚の外包金属板の内部が真空状態とされて前記外包金属板周縁部が溶接法で最終封止された真空断熱パネルを製造する方法であって、二枚の外包金属板の内の少なくとも片方の外包金属板中央に膨出部が設けられた外包金属板に、他方の外包金属板を重ね合わせ、重ね合わされた二枚の外包金属板の四辺の周縁部の内の三辺の外包金属板周縁部を大気中で溶接した後に、残った第四の辺の板端部から内方の膨出部に向かいその側端部の手前まで達する溶接ラインを大気中で溶接を行うとともに、前記第四の辺の両隣の辺のうちどちらか一方の板端部から前記内方の膨出部に向かう溶接ラインに到達する溶接ラインを大気中で溶接して短縮した開口部を形成し、その後、真空チャンバー内で前記短縮した開口部を経由してパネル内部を高真空にした後に、先に大気中で封止した第四の辺の周縁部に平行な溶接ラインと重ならない状態でシーム溶接により前記短縮した開口部を最終封止することを特徴とする。
内方の膨出部に向かいその側端部の手前まで達する溶接ラインの溶接と、第四の辺の両隣の辺のうちどちらか一方の板端部から前記内方の膨出部に向かう溶接ラインに到達するまでの溶接は、どちらを先に行ってもよい。
ただし、実操業時には、板端部から膨出部に向かう溶接ラインを先に走らせた方が、位置決めがしやすく作業性がよい。
ただし、実操業時には、板端部から膨出部に向かう溶接ラインを先に走らせた方が、位置決めがしやすく作業性がよい。
中央に膨出部を設けた外包金属板の前記第四の辺側の膨出部の側端部に、底部が当該外包金属板周縁部と面一に繋がる凹みを設け、第四の辺の板端部から前記凹みに到達する溶接ラインを大気中で溶接を行うとともに、前記第四の辺の両隣の辺のうちどちらか一方の板端部から前記凹みに到達する溶接ラインに到達するまで大気中で溶接して短縮した開口部を形成してもよい。
また、前記第四の辺の板端部から内方の膨出部に向かいその側端部の手前まで達する溶接ラインで行う大気中溶接を、円盤状電極と作用面が平坦なブロック状電極からなる一対の電極を用いてシーム溶接を行ってもよい。
また、前記第四の辺の板端部から内方の膨出部に向かいその側端部の手前まで達する溶接ラインで行う大気中溶接を、円盤状電極と作用面が平坦なブロック状電極からなる一対の電極を用いてシーム溶接を行ってもよい。
外包金属板としては、ステンレス鋼板を用いることが好ましい。
本発明では、重ね合わされた二枚の外包金属板の四辺の周縁部の内の三辺の外包金属板周縁部を大気中で溶接した後に、残った第四の辺の板端部から内方の膨出部に向かいその側端部の手前まで達する溶接ラインを大気中で溶接を行うとともに、前記第四の辺の両隣の辺のうちどちらか一方の板端部から前記内方の膨出部に向かう溶接ラインに到達する溶接ラインを大気中で溶接して短縮した開口部を形成し、その後、真空チャンバー内で前記短縮した開口部を経由してパネル内部を高真空にした後に、先に大気中で封止した第四の辺の周縁部に平行な溶接ラインと重ならない状態でシーム溶接により前記開口部を封止している。
このため、真空チャンバー内で溶接する箇所は最終封止する短縮した開口部のみの1箇所となり、その開口部の長さは内方の膨出部に向かう溶接ラインの位置を調整することによって変更可能なため、あらかじめ開口部の長さを電極の温度が上昇しにくい条件に設定しておくことにより、先述したような電極の温度上昇に伴い発生する溶接不良などを回避することが可能になる。
また、真空断熱パネルのサイズが大きくなっても同様に内方の膨出部に向かう溶接ラインの位置を調整することによって開口部の長さを常に一定することが可能となるため、サイズ拡大による溶接不良発生の心配もない。
さらに、図2(a)に示したように単純に重ね合わせて最終封止する方法では溶接ラインの重ねミスが発生する可能性があるが、本発明方法では図2(b)に示したように全ての溶接ラインが交差する状態で溶接されているため交差部での重ねミスもないことから高性能で耐久性に優れた真空断熱パネルを安定して提供することが可能となる。
また、真空断熱パネルのサイズが大きくなっても同様に内方の膨出部に向かう溶接ラインの位置を調整することによって開口部の長さを常に一定することが可能となるため、サイズ拡大による溶接不良発生の心配もない。
さらに、図2(a)に示したように単純に重ね合わせて最終封止する方法では溶接ラインの重ねミスが発生する可能性があるが、本発明方法では図2(b)に示したように全ての溶接ラインが交差する状態で溶接されているため交差部での重ねミスもないことから高性能で耐久性に優れた真空断熱パネルを安定して提供することが可能となる。
前記した通り、真空チャンバー内で金属板周縁部全てをシーム溶接により封止して真空断熱パネルを製造する場合、シーム溶接機だけでなくパネルを固定するためのテーブルや移動装置などの周辺設備も同時に真空チャンバー内に設置し機能させる必要がある。このため、真空チャンバーは大型になりやすくシステムも複雑となり設備投資が大きくなる。
また、真空中でシーム溶接を行うと溶接により発生した熱が電極に蓄積され、電極が損耗し溶接不良が発生しやすくなるといった欠点もある。この現象は溶接する長さが長いほど発生しやすいことから製品サイズが拡大すれば増長される。このため、真空チャンバー内でシーム溶接を使って真空断熱パネルを製造する場合は、その溶接箇所をできるだけ少なくし、溶接長さも短く抑える必要がある。
また、真空中でシーム溶接を行うと溶接により発生した熱が電極に蓄積され、電極が損耗し溶接不良が発生しやすくなるといった欠点もある。この現象は溶接する長さが長いほど発生しやすいことから製品サイズが拡大すれば増長される。このため、真空チャンバー内でシーム溶接を使って真空断熱パネルを製造する場合は、その溶接箇所をできるだけ少なくし、溶接長さも短く抑える必要がある。
そこで、本発明者らは、真空チャンバー内で溶接する箇所と溶接線長を極力減らし、かつ溶接ライン交差部での重ねミスを回避できる方法について検討を重ね、本発明に到達した。
以下にその詳細を説明する。
なお、少なくとも片方に芯材を収納する膨出部を有する上下2枚の外包金属板と、この外包金属板の前記膨出部に収納する、ガラス繊維やロックウール等の無機繊維や、合成繊維や天然繊維等の有機繊維等からなる芯材を準備する。用いる金属板としては、アルミニウム合金板等でも良いが、耐変形性や長期に亘っての外観維持の観点から、強度及び耐食性に優れたステンレス鋼板を用いることが好ましい。
以下にその詳細を説明する。
なお、少なくとも片方に芯材を収納する膨出部を有する上下2枚の外包金属板と、この外包金属板の前記膨出部に収納する、ガラス繊維やロックウール等の無機繊維や、合成繊維や天然繊維等の有機繊維等からなる芯材を準備する。用いる金属板としては、アルミニウム合金板等でも良いが、耐変形性や長期に亘っての外観維持の観点から、強度及び耐食性に優れたステンレス鋼板を用いることが好ましい。
本発明に係る真空断熱パネルの製造方法は、大気中で、外包金属板の周縁部に溶接を行って開口部を設ける第一工程と、真空チャンバー内で開口部を経由して真空断熱パネル内部を真空に排気するとともに、シーム溶接により最終封止する第二工程とからなる。開口部は、真空断熱パネルを真空チャンバー内に設置することにより真空断熱パネルの内部を排気するためのものである。そして、本発明の特徴は、真空チャンバー内での排気に使用する開口部を極力短縮しようとするものである。
このために、図3(a)に示すように、溶接ラインA,B,Cの溶接を大気中で行った後、溶接ラインD,Eの溶接を大気中で行う。この溶接ラインD,Eの溶接はどちらを先に行ってもよい。
この溶接ラインA,B,C,D,Eの溶接を行うことにより、その後の溶接距離を短縮した開口部を得ることができる。
このために、図3(a)に示すように、溶接ラインA,B,Cの溶接を大気中で行った後、溶接ラインD,Eの溶接を大気中で行う。この溶接ラインD,Eの溶接はどちらを先に行ってもよい。
この溶接ラインA,B,C,D,Eの溶接を行うことにより、その後の溶接距離を短縮した開口部を得ることができる。
続いて第二工程では、まず真空断熱パネルを真空チャンバー内に移し、前記開口部を経由して真空断熱パネルの内部の真空引きを行う。引き続き真空チャンバー内で、図2(b)に示した溶接ラインFにより、短縮した開口部をシーム溶接により最終封止する。この工程により外包金属板周縁部の全周が封止される。この最終封止の溶接ラインFは、先に大気中で封止した第四の辺の周縁部の溶接ラインDと重ならないように配置する。
本発明によれば、溶接ラインEの位置が調整可能であり、隣の辺の溶接ラインに近い位置に設けることができるから、真空断熱パネルのサイズが比較的大きい場合であっても最終の溶接封止の長さを短くすることが可能であるし、種々のサイズの真空断熱パネルを製造する場合でも、最終溶接封止の位置を同じ位置に揃えることが可能になる。
本発明によれば、溶接ラインEの位置が調整可能であり、隣の辺の溶接ラインに近い位置に設けることができるから、真空断熱パネルのサイズが比較的大きい場合であっても最終の溶接封止の長さを短くすることが可能であるし、種々のサイズの真空断熱パネルを製造する場合でも、最終溶接封止の位置を同じ位置に揃えることが可能になる。
ところで、芯材と、少なくとも片方にその芯材を収納する膨出部を有する上下2枚の外包金属板A,Bとからなる真空断熱パネルでは、例えば図4に見られるように、外包金属板Bとして、芯材のサイズに応じた成形高さを有し、収容効率を高めるためにコーナーRを小さくするとともに側端部を極力鉛直にしたものが要求されるようになる。
このような上下2枚の外包金属板A,Bを溶接しようとしたとき、特に図3の(b)に示す溶接ラインEの溶接を、溶接欠陥なく、安定して溶接するには、細心の注意を払う必要がある。
このような上下2枚の外包金属板A,Bを溶接しようとしたとき、特に図3の(b)に示す溶接ラインEの溶接を、溶接欠陥なく、安定して溶接するには、細心の注意を払う必要がある。
そこで、本発明の好ましい一つの態様では、第四の辺の適宜箇所に予め凹部を形成しておくことにした。
その態様を以下に紹介する。
その態様を以下に紹介する。
図5(a)に示すように、膨出部のある外包金属板の最終溶接辺側膨出部の側端部の適宜箇所に、底部が当該外包金属板周縁部と面一に繋がる凹みを設ける。
この凹部を設けた外包金属板を用いた真空断熱パネルを製造する際は、先述した態様と同様に、図5(b)に示すように、まず溶接ラインA,B,Cの溶接を行う。
次いで、第四の溶接は、図5(c)中の溶接ラインDで示すように、第四の辺の板端部から前記凹みに到達する溶接ラインの溶接を先に行い、その後、第四の辺の両隣の辺のうちどちらか一方の板端部から前記凹みに到達する溶接ラインに到達するまでの溶接ラインEの溶接を行って、短縮した開口部を形成する。これらの溶接は、先述した態様と同様、大気中で行う。
その後の真空チャンバー内での工程も先述の態様と同様である。真空引きを行った後、真空チャンバー内で溶接ラインFの溶接を行う(図5(d)参照)。
この凹部を設けた外包金属板を用いた真空断熱パネルを製造する際は、先述した態様と同様に、図5(b)に示すように、まず溶接ラインA,B,Cの溶接を行う。
次いで、第四の溶接は、図5(c)中の溶接ラインDで示すように、第四の辺の板端部から前記凹みに到達する溶接ラインの溶接を先に行い、その後、第四の辺の両隣の辺のうちどちらか一方の板端部から前記凹みに到達する溶接ラインに到達するまでの溶接ラインEの溶接を行って、短縮した開口部を形成する。これらの溶接は、先述した態様と同様、大気中で行う。
その後の真空チャンバー内での工程も先述の態様と同様である。真空引きを行った後、真空チャンバー内で溶接ラインFの溶接を行う(図5(d)参照)。
溶接手段としては、円盤状電極と作用面が平坦なブロック状電極とからなる一対の電極を有する溶接装置を用いることができる。図6(a)に示すように、外包金属板の膨出部側に円盤状電極を配置して溶接が行われるが、溶接ラインDの溶接を行う際には、円盤状電極が側端部の凹みに入り込むことによって、溶接ラインEとの交差部を超える位置まで溶接が可能となり、溶接不良を防止できる。
ところで、前記態様は、外包金属板の膨出部の側端部に別工程で凹みを設ける工程が必要となる。そこで、凹みを設けることなく、真空中での溶接長さを短くし、しかも図3の(a)に示すような溶接ラインDの溶接を、溶接欠陥なく、安定して溶接する方法として、他の好ましい態様を説明する。
溶接手段として、円盤状電極と作用面が平坦なブロック状電極とからなる一対の電極を用いて行うことができる。この態様では、外包金属板の膨出部側には、ブロック状電極が配置される。ブロック状電極の断面形状は、溶接進行方向の断面形状が膨出部の側端部の形状に沿うものが好ましい。このような一対の電極を用いてシーム溶接することにより、外包金属板の膨出部が電極と接触することも無く、安定して溶接ラインEの溶接を行うことができる。
具体的には、図6(b)に示すように、図4で外包金属板Bの膨出部のコーナーRに沿った曲率の肩部を有し、作用面が平坦なブロック状の電極を外包金属板B側に当て、他方の外包金属板A側に円盤状の電極を当てて円盤状電極を板側端から膨出部方向に進行させるようにシーム溶接すればよい。
具体的には、図6(b)に示すように、図4で外包金属板Bの膨出部のコーナーRに沿った曲率の肩部を有し、作用面が平坦なブロック状の電極を外包金属板B側に当て、他方の外包金属板A側に円盤状の電極を当てて円盤状電極を板側端から膨出部方向に進行させるようにシーム溶接すればよい。
上記のいずれの態様であっても、全ての溶接ラインは交差する状態で接合されているため、ライン交差部での重ねミスは確実に回避でき、重ねミスに起因する封止ミスのない気密性の高い真空断熱パネルを製造することが可能になる。
また、第二工程での最終的な溶接封止の線長を短くすることができるので、溶接により発生した熱が電極に蓄積され電極が損耗して溶接不良が発生しやすくなる課題も解決され、生産性を高めることができる。
また、第二工程での最終的な溶接封止の線長を短くすることができるので、溶接により発生した熱が電極に蓄積され電極が損耗して溶接不良が発生しやすくなる課題も解決され、生産性を高めることができる。
真空断熱パネルは芯材と芯材を覆う上下外包金属板から構成されている。芯材を覆う上下外包金属板には寸法が220mm×220mm×0.1tmmのSUS304の鋼板を用いた。図4で示す一方の外包金属板Bに190mm×190mm×5.0mmの芯材収容用の膨出部を張り出し成形により作製した。そして、外包金属板Bの膨出部形状に合わせて作製した一部凹みのあるグラスウール製芯材(寸法:180mm×180mm×5.0tmm)を収容して上下外包金属板A,Bを重ね合わせた。
上下外包金属板を加圧保持した状態で、先ず、第一工程として、大気中で、三辺の外包金属板周縁部を、図3(a)に溶接ラインA,B,Cで示す溶接をシーム溶接で行った。さらに、開口部が残った第四の辺は板端部から100mm程度の位置までの溶接ラインDで示すシーム溶接と、この溶接ラインDと交差するような溶接ラインEで示すシ−ム溶接を行って、100mm程度の開口部を残した。
続く第二工程では、図8に示した真空チャンバー内にシーム溶接機を内蔵した装置を用いて最終封止を行った。先ず、真空チャンバー内で前記開口部を経由してパネル内部を1Pa以下の高真空にした後、先に大気中で封止した第四の辺の周縁部の溶接ラインと重ならない状態で前記開口部を最終封止した。最後に、図7(b)に示すように、周縁部の余分な部分を切除し、ステンレス鋼板を外包金属板とした真空断熱パネルを作製した。
芯材を覆う上下外包金属板には寸法が500mm×500mm×0.15tmmのSUS304の鋼板を用いた。一方の外包金属板に470mm×470mm×20.0mmの芯材収容用の膨出部を絞り成形により作製した。その膨出部の一辺の側端に隣の辺端から370mm離れた位置を中心に、幅6.0mm×奥行き10mm×高さ5.0mmの凹みを形成した。そして、外包金属板の膨出部形状に合わせて作製した一部凹みのあるグラスウール製芯材(寸法:460mm×460mm×20.0tmm)を収容して上下外包金属板を重ね合わせた。
上下外包金属板を加圧保持した状態で、先ず、第一工程として、大気中で、凹みが設けられた辺を除く三辺の外包金属板周縁部をレーザー溶接した。さらに、前記凹みがある辺は板端部から前記凹みに到達するレーザー溶接と、隣の辺のうち凹みまでの距離が遠い方の辺の板端部から、凹みに向かって走る溶接ラインと交差するように且つ100mm程度の開口部が残るようにレーザー溶接を行った。
続く第二工程は、実施例1と同様に、チャンバー内で真空引きとシーム溶接を行って最終封止し、真空断熱パネルを製造した。そして、余分な部分を切除し、ステンレス鋼板を外包金属板とした真空断熱パネルを作製した。
上下外包金属板を加圧保持した状態で、先ず、第一工程として、大気中で、凹みが設けられた辺を除く三辺の外包金属板周縁部をレーザー溶接した。さらに、前記凹みがある辺は板端部から前記凹みに到達するレーザー溶接と、隣の辺のうち凹みまでの距離が遠い方の辺の板端部から、凹みに向かって走る溶接ラインと交差するように且つ100mm程度の開口部が残るようにレーザー溶接を行った。
続く第二工程は、実施例1と同様に、チャンバー内で真空引きとシーム溶接を行って最終封止し、真空断熱パネルを製造した。そして、余分な部分を切除し、ステンレス鋼板を外包金属板とした真空断熱パネルを作製した。
次に、一辺が略200mm角サイズの真空断熱パネルを、特殊形状の電極を用いて製造した事例を紹介する。
芯材を包む外包金属板には、寸法が220mm×220mm×厚さ0.1mmのステンレス鋼箔を用いた。一方の外包金属板Bには、プレス成形の絞り加工により、190mm×190mm×高さ5.0mmの膨出部を設けた。膨出部の側端の上側コーナーRは3mm、下側コーナーRを2mmとした。
芯材は無機繊維であるグラスウール(寸法:180mm×180mm×5.0tmm)を使用し、外包金属板Bの膨出部にグラスウールを収納し、もう一方の外包金属板Aを重ね合わせた。
上下外包金属板を加圧保持した状態で、先ず、第一工程として、大気中で、三辺の外包金属板周縁部を、図3(a)にA,B,Cで示す溶接ラインでシーム溶接した。次に、溶接ラインAからの直線距離が100mmの位置で、図3(a)中、溶接ラインDで示すシーム溶接を、上側電極に直径がφ100mm×厚さ4mm、電極先端部がフラットの円盤状の電極を、下側電極に厚さ4mm×高さ50mm×長さ250mmで電極先端部の曲率が20R、肩部に2Rの曲率が付いたブロック状の電極を用いて行った。その後、開口部を有する一辺の外包金属板周縁部に、溶接ラインCと交差し、且つ溶接ラインDに達するまでのラインEの溶接をシーム溶接で行った。
以上の第一工程で、100mm程度の開口部を残した真空引き前のパネルを作製した。
続く第二工程は実施例1と同様に、チャンバー内で真空引きとシーム溶接を行って最終封止し、真空断熱パネルを製造した。そして、余分な部分を切除し、ステンレス鋼板を外包金属板とした真空断熱パネルを作製した。
芯材を包む外包金属板には、寸法が220mm×220mm×厚さ0.1mmのステンレス鋼箔を用いた。一方の外包金属板Bには、プレス成形の絞り加工により、190mm×190mm×高さ5.0mmの膨出部を設けた。膨出部の側端の上側コーナーRは3mm、下側コーナーRを2mmとした。
芯材は無機繊維であるグラスウール(寸法:180mm×180mm×5.0tmm)を使用し、外包金属板Bの膨出部にグラスウールを収納し、もう一方の外包金属板Aを重ね合わせた。
上下外包金属板を加圧保持した状態で、先ず、第一工程として、大気中で、三辺の外包金属板周縁部を、図3(a)にA,B,Cで示す溶接ラインでシーム溶接した。次に、溶接ラインAからの直線距離が100mmの位置で、図3(a)中、溶接ラインDで示すシーム溶接を、上側電極に直径がφ100mm×厚さ4mm、電極先端部がフラットの円盤状の電極を、下側電極に厚さ4mm×高さ50mm×長さ250mmで電極先端部の曲率が20R、肩部に2Rの曲率が付いたブロック状の電極を用いて行った。その後、開口部を有する一辺の外包金属板周縁部に、溶接ラインCと交差し、且つ溶接ラインDに達するまでのラインEの溶接をシーム溶接で行った。
以上の第一工程で、100mm程度の開口部を残した真空引き前のパネルを作製した。
続く第二工程は実施例1と同様に、チャンバー内で真空引きとシーム溶接を行って最終封止し、真空断熱パネルを製造した。そして、余分な部分を切除し、ステンレス鋼板を外包金属板とした真空断熱パネルを作製した。
Claims (4)
- 断熱性を有する芯材と、その周囲を覆う二枚の矩形外包金属板からなり、前記芯材を内包する前記二枚の外包金属板の内部が真空状態とされて前記外包金属板周縁部が溶接法で最終封止された真空断熱パネルを製造する方法であって、二枚の外包金属板の内の少なくとも片方の外包金属板中央に膨出部が設けられた外包金属板に、他方の外包金属板を重ね合わせ、重ね合わされた二枚の外包金属板の四辺の周縁部の内の三辺の外包金属板周縁部を大気中で溶接した後に、残った第四の辺の板端部から内方の膨出部に向かいその側端部の手前まで達する溶接ラインを大気中で溶接を行うとともに、前記第四の辺の両隣の辺のうちどちらか一方の板端部から前記内方の膨出部に向かう溶接ラインに到達する溶接ラインを大気中で溶接して短縮した開口部を形成し、その後、真空チャンバー内で前記短縮した開口部を経由してパネル内部を高真空にした後に、先に大気中で封止した第四の辺の周縁部に平行な溶接ラインと重ならない状態でシーム溶接により前記短縮した開口部を最終封止することを特徴とする真空断熱パネルの製造方法。
- 中央に膨出部を設けた外包金属板の前記第四の辺側の膨出部の側端部に、底部が当該外包金属板周縁部と面一に繋がる凹みを設け、第四の辺の板端部から前記凹みに到達する溶接ラインを大気中で溶接を行うとともに、前記第四の辺の両隣の辺のうちどちらか一方の板端部から前記凹みに到達する溶接ラインに到達するまで大気中で溶接して短縮した開口部を形成することを特徴とする請求項1に記載の真空断熱パネルの製造方法。
- 前記第四の辺の板端部から内方の膨出部に向かいその側端部の手前まで達する溶接ラインで行う大気中溶接を、円盤状電極と作用面が平坦なブロック状電極からなる一対の電極を用いてシーム溶接を行うことを特徴とする請求項1に記載の真空断熱パネルの製造方法。
- 前記外包金属板がステンレス鋼板である請求項1〜3のいずれか1項に記載の真空断熱パネルの製造方法。
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JP2017053415A (ja) * | 2015-09-08 | 2017-03-16 | 日新製鋼株式会社 | 真空断熱パネルの製造方法及び真空断熱パネル製造装置 |
CN113944687A (zh) * | 2020-07-16 | 2022-01-18 | 桃源县平安机械设备制造有限公司 | 一种复合槽钢组件 |
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