JP5920331B2 - 形鋼用曲がり矯正設備 - Google Patents

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Description

本発明は、ウェブと該ウェブの高さ方向両側にそれぞれ設けられたフランジとを有する形鋼(例えばH形鋼)の曲がりを矯正する形鋼用曲がり矯正設備に関する。
図4に示すように、H形鋼100は、ウェブ101と、ウェブ101の高さ方向両側にそれぞれ設けられた2つのフランジ102,102と、を有している。このようなH形鋼は、被圧延材を加熱炉で加熱した後、通常、ユニバーサル圧延によって製造される。ユニバーサル圧延機は、上下一対の水平ロールと、左右一対の垂直ロールとを備えた圧延機であり、被圧延材であるH形鋼のウェブとフランジとをこれらのロールで圧下することによってH形鋼の製品形状としていく。
成型されたH形鋼は、熱間圧延時のフランジの圧下率差や冷却時の温度差などによって、曲がりや反りが生じる場合がある。すなわち、H形鋼を圧延製造する場合には、図4の(a)に示すように、H形鋼100に、ウェブ101の高さ方向での曲がり(曲がり量を符号δで示す)や、あるいは、図5の(a)に示すように、ウェブ101の厚さ方向での反り(反り量を符号Sで示す)が、長手方向の全体又は一部に生じる場合がある。そのため、成型したH形鋼を冷却床で冷却後に、曲がりや反りを所望の形状に矯正して製品とされる。
このような曲がりや反りを減少させる方法として、ユニバーサル圧延での圧延条件を調整する方法が知られている。しかしながら、H形鋼の曲がりや反りの発生には、ユニバーサル圧延での圧下のアンバランスや被圧延材の形状不良などが影響している。すなわち、H形鋼の曲がりや反りの発生には、ユニバーサル圧延機や被圧延材が有する種々の上下左右方向の非対称圧延要素が影響している。よって、これら全ての要因に対応してユニバーサル圧延機の圧延条件を微妙に調整することは非常に困難である。
そのため、圧延条件の調整でも曲がりや反りを防止できない場合は、圧延後にH形鋼を温間又は冷間で矯正することが不可欠となる。このような反りに対しては、通常、ローラー矯正機によってオンラインで矯正を行っているが、曲がりに対しては、反りと比較して矯正荷重が多大となることから、精整工程においてオフラインでプレス機による矯正を行っている。
曲がりをプレス矯正する方法としては、プレス機によりH形鋼に対して3点曲げを行って矯正する方法が知られている(例えば特許文献1を参照)。しかしながら、プレス機による3点曲げ矯正においては、曲げ加工の支点間の機械的な制約により、H形鋼の先尾端の局所的な曲がりが矯正されにくいという問題があった。また、プレス機による3点曲げ矯正は、H形鋼の搬送を停止した状態で行われることから、曲がり矯正の処理能率が低いという問題があった。
これに対して、H形鋼が有する2つのフランジのうち、曲がりの曲率半径方向内側のフランジを圧延することにより、曲がりを矯正する方法が知られている(例えば特許文献2を参照)。詳述すると、曲がりの曲率半径方向内側のフランジをローラーにより小さい圧下率で圧延し、フランジを延伸させて、曲がりを矯正する方法である。
この方法は、フランジをウェブとは反対側の面から支持する支持ロールと、ウェブの高さ方向端部からウェブの両面側にそれぞれ張り出す両フランジ部(ここでは右フランジ部及び左フランジ部と言う)を有するフランジをウェブ側の面から押圧して、右フランジ部と左フランジ部とをそれぞれ支持ロールとの間で挟圧する一対の矯正ロールと、を用い、フランジ内外の対向する両ロール間の距離を所定の間隔に設定、あるいは所定の圧延荷重を負荷して、フランジを挟圧する曲がり矯正方法である。
この圧延矯正方法は、H形鋼を搬送しながら曲がり矯正することができるので、前述のプレス矯正方法に比べると曲がり矯正の処理能率の面では有利である。すなわち、この圧延方式の曲がり矯正設備を既存のH形鋼製造設備のオンライン工程に組み入れてH形鋼の曲がりを矯正すれば、オフライン設備の場合と比べて材料の取り込みや払い出し、その他付帯の材料ハンドリングが省略できるとともに、リードタイムを短縮することができる。
特開2008−030090号公報 特公平2−50812号公報
ただし、この圧延方式の曲がり矯正設備を既存のH形鋼製造設備のオンライン工程に組み入れるためには、曲がり矯正の処理能率の面で更なる改善が必要であった。すなわち、第一に、H形鋼製造設備の能率と曲がり矯正設備の能率との整合が必要であり、そのためには、曲がり矯正設備の能率の向上が必要であった。また、第二に、既設のH形鋼製造設備の改造を考慮して、曲がり矯正設備のコンパクト化が必要であった。
圧延方式の曲がり矯正設備をオンライン設備として実機化する場合、図6の(a)及び(b)のように、一方のフランジの圧延を行う曲がり矯正機201と、他方のフランジの圧延を行う曲がり矯正機202との2台の曲がり矯正機を組み合わせた設備構成が考えられる。すなわち、搬送テーブル203で搬送されてくるH形鋼の曲がりの長手方向領域、曲がりの向き、及び曲がり量を、曲がり矯正機201の入側に設置された曲がり測定装置204で測定し、この測定結果に基づいて設定した矯正条件で2台の曲がり矯正機201,202により曲がり矯正を行い、その後に曲がり矯正機202の出側に設置された曲がり測定装置205で品質保証のための測定を行うようにすることが考えられる。
H形鋼の曲がり形状パターンとしては、曲がりの長手方向領域(長手方向の全体又は一部)、曲がりの向きなどが異なる様々なパターンがあるが、2台の曲がり矯正機を組み合わせた設備構成であれば、どのような曲がり形状パターンのH形鋼であっても、曲がりを矯正することができる。例えば、弓形状に湾曲したH形鋼であれば、その曲がりの向きがいずれであっても、2台の曲がり矯正機のいずれか一方で矯正することができるし、S字状に湾曲したH形鋼であれば、2台の曲がり矯正機の両方を用いて矯正することができる。
しかしながら、このような曲がり矯正設備を、図6の(a)に示すようにオンライン上に直列に配置した場合は、曲がり矯正設備での処理が律速となってしまうため、H形鋼製造設備全体の処理能力が低下してしまうという問題があった。
H形鋼製造における曲がりの発生割合はさほど高いものではないため、図6の(b)に示すように曲がり矯正設備を主ラインに並列に設置し、搬送テーブル203で搬送されてくるH形鋼のうち曲がり矯正が必要な物のみを曲がり矯正設備に移載して、曲がり矯正後に主ラインに戻すという構成にすれば、H形鋼製造設備全体の処理能力低下の問題は解決できる。
しかしながら、2台の曲がり矯正機201,202と2台の曲がり測定装置204,205からなる曲がり矯正設備は、広い設置スペースを必要とするという問題があった。また、初期投資(設置費用)が大きく、さらに、設備部品も多いためメンテナンス負荷も大きいという問題があった。
そこで、本発明は、上記のような圧延方式の曲がり矯正設備を実機化する場合の問題点を解決し、形鋼製造設備全体の処理能力を低下させることなく形鋼の曲がりを矯正することができるとともに、設置スペース及び設置費用が小さい形鋼用曲がり矯正設備を提供することを課題とする。
前記課題を解決するため、本発明の態様は、次のような構成からなる。すなわち、本発明の一態様に係る形鋼用曲がり矯正設備は、ウェブと該ウェブの高さ方向両側にそれぞれ設けられたフランジとを有する形鋼の前記ウェブの高さ方向での曲がりを矯正する形鋼用曲がり矯正設備であって、形鋼の曲がりを測定する曲がり測定装置と、前記曲がり測定装置の測定結果に基づいて前記形鋼のフランジを圧延し、前記形鋼の曲がりを矯正する曲がり矯正機と、前記形鋼の長手方向に沿う中心軸を回転軸として前記形鋼を180°転回させる反転機と、前記形鋼を搬送して前記曲がり測定装置、前記曲がり矯正機、前記反転機の順に送り、さらに前記反転機から再び前記曲がり矯正機に送る搬送装置と、を備え、前記反転機へ向かう往路では、前記形鋼の2つのフランジのうち一方のフランジに対して前記曲がり矯正機が圧延を施すことが可能となっており、前記反転機から戻る復路では、他方のフランジに対して前記曲がり矯正機が圧延を施すことが可能となっており、前記曲がり測定装置は、前記形鋼を停止させた状態でレーザ距離計を前記形鋼の長手方向に走行させることで、前記形鋼の長手方向にわたる曲がりを測定するものであることを特徴とする。
この形鋼用曲がり矯正設備においては、前記曲がり測定装置は、前記形鋼における曲がりが生じている長手方向領域、曲がり方向、及び曲がり量を測定するようになっていてもよい。
また、この形鋼用曲がり矯正設備は、前記形鋼を製造する形鋼製造ラインに併設され、前記形鋼を前記形鋼製造ラインから移載する機能及び曲がりが矯正された形鋼を前記形鋼製造ラインに移載する機能を有する移載装置で、前記形鋼製造ラインと前記搬送装置とが連結されていてもよい。
さらに、この形鋼用曲がり矯正設備は、前記形鋼はH形鋼であり、前記曲がり測定装置は、ウェブが水平をなしフランジが鉛直をなす姿勢であるH姿勢の前記H形鋼の曲がりを測定するものであり、前記曲がり矯正機は、前記H姿勢の前記H形鋼のフランジを圧延するものであってもよい。
本発明に係る形鋼用曲がり矯正設備は、形鋼製造設備全体の処理能力を低下させることなく形鋼の曲がりを矯正することが可能であり、且つ、設置スペース及び設置費用が小さい。
本発明に係る形鋼用曲がり矯正設備の一実施形態を説明する模式図である。 曲がり矯正機の構造を説明する図である。 H形鋼の曲がり形状パターンと圧延領域を説明する図である。 H形鋼の曲がりを説明する図である。 H形鋼の反りを説明する図である。 圧延方式の曲がり矯正設備を説明する模式図である。
本発明に係る形鋼用曲がり矯正設備の実施の形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。図1は、本発明に係る形鋼用曲がり矯正設備の一実施形態を説明する模式図である。また、図2は、図1の形鋼用曲がり矯正設備が備える曲がり矯正機の構造を説明する図である。
なお、本発明における「曲がり」とは、図4に示すように、ウェブと該ウェブの高さ方向両側にそれぞれ設けられたフランジとを有する形鋼における、ウェブの高さ方向での曲がりを意味する。
図1の形鋼用曲がり矯正設備1は、H形鋼10のウェブ11の高さ方向での曲がりを矯正する設備であり、H形鋼10を製造する形鋼製造設備に隣接して併設することができる。形鋼製造設備の図示しない圧延機(例えばユニバーサル圧延機)で成型されたH形鋼10は、図示しない冷却床で冷却された後に、形鋼製造設備の搬送ライン9から形鋼用曲がり矯正設備1に導入される。そして、曲がりが矯正されて所望の形状の製品とされた後、搬送ライン9に戻される。
図1の形鋼用曲がり矯正設備1は、H形鋼10の曲がりを測定する曲がり測定装置2と、曲がり測定装置2の測定結果に基づいてH形鋼10のフランジ12を圧延しH形鋼10の曲がりを矯正する曲がり矯正機3と、H形鋼10を180°転回させる反転機4と、H形鋼10を搬送して曲がり測定装置2、曲がり矯正機3、反転機4の順に送り、さらに反転機4から再び曲がり矯正機3に送る搬送装置5と、を備えている。
そして、この形鋼用曲がり矯正設備1の搬送装置5と形鋼製造設備の搬送ライン9とが、H形鋼10を形鋼製造設備の搬送ライン9から形鋼用曲がり矯正設備1に移載する機能、及び、曲がりが矯正されたH形鋼10を形鋼用曲がり矯正設備1から形鋼製造設備の搬送ライン9に移載する機能を有する移載装置7によって連結されている。よって、曲がりが生じているH形鋼10は、移載装置7により、形鋼製造設備の搬送ライン9から形鋼用曲がり矯正設備1の搬送装置5に移載(受け入れ)されるようになっているとともに、曲がりが矯正されたH形鋼10は、移載装置7により、形鋼用曲がり矯正設備1の搬送装置5から形鋼製造設備の搬送ライン9に移載(払い出し)されるようになっている。
なお、形鋼用曲がり矯正設備1及び形鋼製造設備におけるH形鋼10の姿勢は、特に限定されるものではなく、ウェブ11が鉛直をなしフランジ12,12が水平をなす姿勢(いわゆるI姿勢)とすることもできるが、搬送時の安定性から、ウェブ11が水平をなしフランジ12,12が鉛直をなす姿勢(以下「H姿勢」と記すこともある)とすることが好ましい。
H形鋼10の曲がりの測定は、曲がり測定装置2へのH形鋼10の搬入、搬出の点から、搬送装置5(例えば、テーブルローラが搬送方向に配列されている搬送装置)上で行うことが最も効率がよい。後述するように、搬送装置5で搬送中に曲がりを測定する場合には、H形鋼10がI姿勢であると、H形鋼10に曲がりがあることから搬送時にH形鋼10が振動し、曲がりの測定精度が低下しやすい。また、後述するように、搬送を停止した状態で曲がりを測定する場合であっても、テーブルローラが搬送方向に配列されている搬送装置5上でH形鋼10がI姿勢であると、テーブルローラ間でH形鋼10が自重により撓み、その撓みによる曲がりがウェブ11の高さ方向となるため、曲がり測定装置2による曲がり測定の精度がH姿勢である場合に比べて低下する。したがって、曲がり測定装置2におけるH形鋼10の姿勢は、H姿勢であることが好ましい。
また、曲がり測定時の姿勢のままで、曲がり測定に続く曲がり矯正を行うことが好ましく、したがって、曲がり矯正時もH姿勢で圧延することが、オンライン設備としての信頼性から好ましい。
また、曲がり測定装置2の種類や測定方法は特に限定されるものではないが、例えばH形鋼10を搬送中にH形鋼10のウェブ11とは反対側のフランジ側面(フランジ外面)あるいは、H形鋼10のウェブ11側のフランジ側面(フランジ内面)に対向するように配置したレーザ距離計にて、フランジ外面あるいはフランジ内面までの距離を測定することで実施できる。H形鋼10を搬送ライン上で停止させた状態として、レーザ距離計をH形鋼10のフランジ外面あるいはフランジ内面に対向配置しつつ、レーザ距離計をH形鋼10の長手方向に走行させることで、H形鋼10の長手方向に沿ってレーザ距離計からフランジ外面あるいはフランジ内面までの距離を計測するようにしてもよい。
搬送中にレーザ距離計を用いて曲がり測定を行う場合には、搬送時のH形鋼10の振動の影響を受けて曲がりの測定精度が低下しやすいので、曲がり測定装置2は、H形鋼10を停止させた状態でレーザ距離計をH形鋼10の長手方向に走行させることで、H形鋼10の長手方向にわたる曲がりを測定するものであることが好ましい。
H形鋼10に生じる曲がりには種々のパターンがあり、例えば、図3の(a),(b),(c)に示すように、長手方向の全体の領域に曲がりが生じている曲がり形状パターンや、長手方向の一部の領域のみ(例えば端部のみ)に曲がりが生じている曲がり形状パターンがある。また、図3の(a),(b)に示すように、一方向の曲がりのみが生じる曲がり形状パターン(皿形、逆皿形)や、図3の(c)に示すように、二方向の曲がりが生じる曲がり形状パターン(S字形)がある。さらに、いずれの曲がり形状パターンにおいても、その曲がり量は種々異なる。曲がり測定装置2においては、H形鋼10における曲がりが生じている長手方向領域、曲がり方向、及び曲がり量が測定されるようになっている。
さらに、曲がり矯正機3の種類や圧延方法は特に限定されるものではないが、例えばロールを用いてフランジをH形鋼の長手方向に圧延する方式の矯正機を用いることができる。すなわち、図2に示すように、曲がり矯正機3は、フランジ12のウェブ11とは反対側の面(フランジ外面)に対向して配され、フランジ12をフランジ外面側から支持する支持ロール21と、フランジ12のウェブ11側の面(フランジ内面)に対向して配され、ウェブ11の高さ方向端部からそれぞれウェブ11の高さ方向と垂直に張り出す右フランジ部及び左フランジ部をそれぞれ押圧する一対の矯正ロール22,22と、を備えている。曲がりの曲率半径方向内側のフランジ12を支持ロール21と矯正ロール22,22とで挟圧し、所定の圧延条件で圧延すれば、フランジ外面が延伸されるため、曲がりが矯正される。
さらに、反転機4の種類や転回方法は、H形鋼10を180°転回させることができるならば特に限定されるものではないが、例えば下記のような反転機4を用いることができる。すなわち、H姿勢のH形鋼10の両フランジ12,12を左右から挟み込んで、H形鋼10の長手方向に沿う中心軸を回転軸として180°転回させる(裏返す)反転機4を用いることができる。あるいは、ウェブ面に直交する中心軸を回転軸として180°転回させる(旋回させる)反転機4を用いることもできる。
以下に、形鋼製造設備で製造されたH形鋼10の曲がりを、形鋼用曲がり矯正設備1によってオンラインで矯正する方法について説明する。
冷却床(図示せず)で冷却されたH形鋼10は、形鋼製造設備の搬送ライン9によって精整工程に搬送される。ここで、形鋼用曲がり矯正設備1による小幅な曲がり矯正の前にプレスによる大幅な曲がり矯正が必要か否か、及び、曲がり矯正が全く不要であるか否かを、例えば目視で判断する。大幅な曲がり矯正が必要であると判断された場合には、H形鋼10を搬送ライン9によって曲がり矯正プレス機(図示せず)に搬送し、曲がり矯正が全く不要であると判断された場合には、H形鋼10を搬送ライン9によって出荷工程に搬送する。
そして、大幅な曲がり矯正は必要ないが、形鋼用曲がり矯正設備1による小幅な曲がり矯正が必要であると判断された場合には、移載装置7によって、H形鋼10を搬送ライン9から形鋼用曲がり矯正設備1の搬送装置5に移載する。このように、搬送ライン9を搬送されてくるH形鋼10のうち形鋼用曲がり矯正設備1による曲がり矯正が必要な物のみを形鋼用曲がり矯正設備1に移載して、曲がり矯正を行う。
形鋼用曲がり矯正設備1に受け入れされたH形鋼10は、搬送装置5によって曲がり測定装置2に送られ、曲がりが生じている長手方向領域、曲がり方向、及び曲がり量が測定される。そして、この測定結果は曲がり矯正機3に送られる。測定が終了したら、H形鋼10は搬送装置5によって曲がり矯正機3に送られ、2つのフランジ12のうち一方のフランジ12Aに対して圧延が施される。この圧延は、曲がり測定装置2の測定結果に基づいて行われるようになっている。
すなわち、曲がりが生じている長手方向領域、曲がり方向、及び曲がり量に応じて、圧延を施す長手方向領域、圧下率あるいは圧延荷重等の圧延条件が逐次変更されるようになっている。よって、曲がりが生じていない長手方向領域には圧延は施されないし、曲がりが生じていても、曲がりの曲率半径方向外側のフランジ12に対しては圧延は施されない。
曲がり矯正機3を通ったH形鋼10は、搬送装置5によって反転機4に送られ、180°転回される。そして、転回されたH形鋼10は、搬送装置5によって再び曲がり矯正機3に送られ、2つのフランジ12のうち他方のフランジ12Bに対して圧延が施される。この際にも、曲がり測定装置2の測定結果に基づいて圧延が行われるようになっている。すなわち、曲がりが生じている長手方向領域、曲がり方向、及び曲がり量に応じて、圧延を施す長手方向領域、圧下率あるいは圧延荷重等の圧延条件が逐次変更されるようになっている。
このようにして曲がりが矯正され所望の形状の製品とされたH形鋼10は、搬送装置5によって曲がり測定装置2を経由しつつ移載装置7に送られる。そして、移載装置7によって形鋼用曲がり矯正設備1から形鋼製造設備の搬送ライン9に払い出しされ、搬送ライン9によって出荷工程に搬送される。なお、反転機4から移載装置7へ戻る復路においては、曲がり測定装置2において曲がりを測定する必要はないが、品質確認を目的として、移載装置7から反転機4へ向かう往路と同様に曲がりを測定しても差し支えない。
このように、本実施形態の形鋼用曲がり矯正設備1は、既存のH形鋼製造設備に併設することが可能であり、H形鋼製造設備のオンライン工程に組み入れてオンラインでH形鋼10の曲がりを矯正することが可能である。また、H形鋼製造設備の搬送ライン9を搬送されてくるH形鋼10のうち曲がり矯正が必要な物のみを形鋼用曲がり矯正設備1に移載して曲がり矯正を行い、曲がり矯正後に搬送ライン9に戻すようになっている。
したがって、本実施形態の形鋼用曲がり矯正設備1によれば、H形鋼製造設備全体の処理能力を低下させることなく、H形鋼の曲がりを矯正することが可能である。また、オフラインで曲がり矯正を行う場合と比べて、材料(H形鋼)の取り込みや払い出し、その他付帯の材料ハンドリング(例えばクレーン作業)が省略できるとともに、製品出荷までのリードタイムを短縮することができる。さらに、材料ハンドリングに伴う当て疵も低減することができる。
さらに、本実施形態の形鋼用曲がり矯正設備1は、反転機4を備えていることから、曲がり測定装置2及び曲がり矯正機3をそれぞれ1台しか必要としないので、それぞれ2台必要とする従来の曲がり矯正設備と比較して設置スペース及び設置費用が小さく、さらにメンテナンス負荷も小さい。また、本実施形態の形鋼用曲がり矯正設備1を併設するために既存のH形鋼製造設備を改造する必要があるが、この改造の程度を小さい程度に抑えることができる。
なお、本実施形態は本発明の一例を示したものであって、本発明は本実施形態に限定されるものではない。
例えば、本発明を適用できるH形鋼のサイズは特に限定されるものではなく、大型や小型など、あらゆるサイズのH形鋼に対して適用可能である。
また、本実施形態においては、H形鋼を例にして形鋼用曲がり矯正設備を説明したが、ウェブと該ウェブの高さ方向両側にそれぞれ設けられたフランジとを有する形鋼であれば、本発明を適用することが可能である。
〔実施例〕
ここで、図3の(a),(b),及び(c)に示す曲がり形状パターンを有するH形鋼10の曲がりを矯正する実施例を示して、本発明をさらに具体的に説明する。
図3の(a)に示すH形鋼10は、長手方向の全体の領域に一方向の曲がりが生じている曲がり形状パターン(皿形)を有しているので、往路での曲がり矯正機3において、曲がりの曲率半径方向内側のフランジ12の長手方向全領域に対して圧延が施されて、曲がりの矯正が完了する。よって、復路での曲がり矯正機3においては、曲がりの曲率半径方向外側のフランジ12に対して圧延は施されないので、反転機4においてはH形鋼10を転回させる必要はない。もちろんH形鋼10を転回させても差し支えないが、H形鋼10の転回を省略することにより省電力及びサイクルタイム短縮を実現することができる。
図3の(b)に示すH形鋼10は、長手方向の全体の領域に図3の(a)とは逆方向の一方向の曲がりが生じている曲がり形状パターン(逆皿形)を有している。よって、往路での曲がり矯正機3においては、曲がりの曲率半径方向外側のフランジ12が支持ロール21と矯正ロール22,22との間を通るので、フランジ12に対して圧延は施されない。反転機4においてH形鋼10が転回されるため、復路での曲がり矯正機3においては、曲がりの曲率半径方向内側のフランジ12が支持ロール21と矯正ロール22,22との間を通り、フランジ12の長手方向全領域に対して圧延が施されて、曲がりの矯正が完了する。
さらに、図3の(c)に示すH形鋼10は、長手方向の全体の領域に二方向の曲がりが生じている曲がり形状パターン(S字形)を有しており、長手方向略中央位置において曲がり方向が逆方向に変化している。よって、いずれのフランジ12においても、長手方向略半分の領域は、曲がりの曲率半径方向内側のフランジに該当し、残部の領域は曲がりの曲率半径方向外側のフランジに該当することとなる。
したがって、往路での曲がり矯正機3においては、支持ロール21と矯正ロール22,22との間を通るフランジのうち、曲がりの曲率半径方向内側のフランジに該当する長手方向領域のみに対して圧延が施され、曲がりの曲率半径方向外側のフランジに該当する領域に対しては圧延は施されない。そして、反転機4においてH形鋼10が転回されるため、復路での曲がり矯正機3においては、他方のフランジ12が支持ロール21と矯正ロール22,22との間を通るが、そのフランジ12のうち、曲がりの曲率半径方向外側のフランジに該当する領域に対しては圧延は施されず、曲がりの曲率半径方向内側のフランジに該当する長手方向領域のみに対して圧延が施されることにより、曲がりの矯正が完了する。
1 形鋼用曲がり矯正設備
2 曲がり測定装置
3 曲がり矯正機
4 反転機
5 搬送装置
7 移載装置
9 搬送ライン
10 H形鋼
11 ウェブ
12 フランジ

Claims (4)

  1. ウェブと該ウェブの高さ方向両側にそれぞれ設けられたフランジとを有する形鋼の前記ウェブの高さ方向での曲がりを矯正する形鋼用曲がり矯正設備であって、
    形鋼の曲がりを測定する曲がり測定装置と、
    前記曲がり測定装置の測定結果に基づいて前記形鋼のフランジを圧延し、前記形鋼の曲がりを矯正する曲がり矯正機と、
    前記形鋼の長手方向に沿う中心軸を回転軸として前記形鋼を180°転回させる反転機と、
    前記形鋼を搬送して前記曲がり測定装置、前記曲がり矯正機、前記反転機の順に送り、さらに前記反転機から再び前記曲がり矯正機に送る搬送装置と、
    を備え、
    前記反転機へ向かう往路では、前記形鋼の2つのフランジのうち一方のフランジに対して前記曲がり矯正機が圧延を施すことが可能となっており、前記反転機から戻る復路では、他方のフランジに対して前記曲がり矯正機が圧延を施すことが可能となっており、
    前記曲がり測定装置は、前記形鋼を停止させた状態でレーザ距離計を前記形鋼の長手方向に走行させることで、前記形鋼の長手方向にわたる曲がりを測定するものであることを特徴とする形鋼用曲がり矯正設備。
  2. 前記曲がり測定装置は、前記形鋼における曲がりが生じている長手方向領域、曲がり方向、及び曲がり量を測定するようになっていることを特徴とする請求項1に記載の形鋼用曲がり矯正設備。
  3. 前記形鋼を製造する形鋼製造ラインに併設され、前記形鋼を前記形鋼製造ラインから移載する機能及び曲がりが矯正された形鋼を前記形鋼製造ラインに移載する機能を有する移載装置で、前記形鋼製造ラインと前記搬送装置とが連結されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の形鋼用曲がり矯正設備。
  4. 前記形鋼はH形鋼であり、前記曲がり測定装置は、ウェブが水平をなしフランジが鉛直をなす姿勢であるH姿勢の前記H形鋼の曲がりを測定するものであり、前記曲がり矯正機は、前記H姿勢の前記H形鋼のフランジを圧延するものであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の形鋼用曲がり矯正設備。
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