JP5917884B2 - 昇降装置およびフォークリフト - Google Patents

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Description

本発明は、昇降装置およびフォークリフトに関する。
一般にリーチ式およびカウンタ式のフォークリフトの車体前端には、荷物を支持するフォーク、および、フォークを上下方向に昇降させるための一対の柱状のマスト材などから構成された荷役装置が設けられている(例えば、特許文献1参照。)。
一対のマスト材は、車体の左右方向に間隔をあけて平行に並んで配置されているとともに、フォークリフトの運転者の前方視界の一部を遮るように配置されている。前方視界の一部が遮られると、フォークリフトが前進走行する際や、荷役作業を行う際などに、運転者が前方状況を把握しにくくなるという問題があった。
このような前方視界の一部が遮られる問題を解決するために、種々の解決案が提案されている(例えば、特許文献2および3参照。)。特許文献2には、フォークを昇降させるフォーク昇降シリンダの配置位置を従来よりも前方の下方へ移動させることにより、前方視界、特に前方視界における中央下方の視界を広げる発明が記載されている。
また、特許文献3には、リフトブラケット昇降用のリフトチェーンとフォーク動作用の油圧配管のいずれか一方を内側に、他方を外側になるように重複配置することにより、運転者の前方視界を広げる発明が記載されている。
特開2009−078898号公報 特開2002−003192号公報 特開2003−171097号公報
上述の特許文献2および3の発明では、一対のマスト材の間に配置されるフォーク昇降シリンダや、リフトチェーンなどの配置を変更することにより運転者の前方視界を改善する方法が提案されている。しかしながら、これらの発明では、一対のマスト材によって遮られる前方視界までは改善することができないという問題があった。
例えば、リーチ式フォークリフトでは、図6(a),(b)に示すように、一対のマスト材23Pの下端がロワクロス30Pによって支えられている。ロワクロス30Pは、マスト材23Pの下端側面に取り付けられる一対の支持板31Pと、一対の支持板31Pをつなぐ梁部36Pと、から主に構成されている。一対の支持板31Pは、一対のマスト材23Pを挟むように配置されている。
このような構成により一対のマスト材23Pがロワクロス30Pによって支えられている場合、一対のマスト材23Pの配置間隔が狭くなり、運転者の前方視界が、一対のマスト材23Pによって遮られやすいという問題があった。言い換えると、一対のマスト材23Pが車体の中央に近づいて配置されるため、運転者の前方視界にマスト材23Pが入りやすく、前方視界が狭くなりやすいという問題があった。具体的には、車幅には制限があるリーチ式フォークリフトでは、一対のマスト材23Pの外側にロワクロス30Pの支持板31Pを配置すると、支持板31Pの板厚だけマスト材23Pが車体の中央側に寄って配置され、一対のマスト材23Pの配置間隔が狭くなっていた。
このようなマスト材23Pによって遮られる前方視界を少なくするためには、一対のマスト材23Pの配置間隔を広くする方法が考えられる。具体的には図7(a),(b)に示すように、マスト材23Pの車両側の面である背面(図7(a)の右側の面)にロワクロス130Pの支持板131Pを配置する方法が考えられる。このようにすることで、図6に示す構成と比較して、支持板31Pの厚さだけ、一対のマスト材23Pの配置間隔を広くすることができる。
しかしながら、図7に示す構成の場合には、マスト材23Pと支持板131Pとの接触面積を広くすることが難しく、応力集中などによってマスト材23Pや支持板131Pが破損しやすくなる問題があった。
特に、リーチ式フォークリフトの場合、図6や図7に示すように下端に配置されたロワクロス30P,130Pによってマスト材23Pを支持するため、マスト材23Pとロワクロス30P,130Pの支持板31P,131Pとの接触面に働く力が大きくなり、接触面の近傍で破損が発生しやすくなる。これに対してカウンタ式フォークリフトの場合には、下端のチルトピボット、および、中央よりに取り付けられるチルトシリンダによってマスト材を支持するため、力が分散されて破損が発生しにくい。
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであって、前方視界を確保しやすくすると共に、破損の発生を抑制することができる昇降装置およびフォークリフトを提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明は、以下の手段を提供する。
本発明の昇降装置は、フォークリフトの車体前方において上下方向に延びて配置されると共に、左右方向に並んで配置された一対の柱状に形成されたマスト材と、前記一対のマスト材を前記車体に取り付け可能とするロワクロスと、が設けられた昇降装置であって、前記ロワクロスには、前記一対のマスト材における前記車体側の面である背面の下部をそれぞれ支持する一対の支持板が少なくとも設けられ、板状に形成された前記支持板は、前記マスト材の背面に溶接により固定され、前記マスト材の長手方向に沿って延びるように配置され、前記支持板の上側の辺であり、溶接が施されていない辺である上辺には、前記マスト材が前記ロワクロスにより支持された際に応力が集中する応力集中部が形成され、前記支持板には、下側に配置された前記車体の前後方向の幅が相対的に広い下部支持部と、該下部支持部の前記マスト材側において上方に延びる前記前後方向の幅が相対的に狭い上部支持部と、が形成され、前記上辺は、前記下部支持部の上側の辺である下部上辺と、前記上部支持部における前記下部上辺と隣接する上部上辺とからなり、前記上部上辺には、前記マスト材から前記車体に向かって順に、前記マスト材の前記背面に沿って上下方向に直線状に延びるストレート部、前記マスト材から前記車体に向かって前記下部支持部に近づく直線状に延びる傾斜部および前記上部上辺が曲線状に延びる曲率部の一方が形成され、前記応力集中部は、前記ストレート部に形成されている
本発明の昇降装置によれば、ロワクロスの支持板は、マスト材の背面の下部を支持するため、マスト材側面の下部を支持する場合と比較して、一対のマスト材における左右方向の配置間隔を広げることができる。
さらに、支持板の上辺に応力集中部を設けることにより、ロワクロスがマスト材を支持した際に発生する支持板とマスト材との接触部における応力の集中を軽減することができる。言い換えると、上述の接触部に集中する応力の一部を、応力集中部に集中させることにより、接触部における応力の集中を軽減することができる。
下部支持部および上部支持部から支持板を形成し、上部支持部における下部上辺と隣接する上部上辺に応力集中部を形成することにより、上述の接触部における応力の集中を軽減することが容易となる。
上部支持部は、支持板におけるマスト材側に位置するため、上部支持部の上部上辺に応力集中部を形成することにより、応力集中部は支持板におけるマスト材に近い位置に形成される。このようにすることで、応力集中部を支持板におけるマスト材から離れた位置に形成する場合と比較して、応力集中部に応力を集中させやすくなり、上述の接触部における応力の集中を軽減することが容易となる。
マスト材から車体に向かって順にストレート部、傾斜部および曲率部の一方が形成され、ストレート部に応力集中部を形成することにより、上述の接触部における応力の集中を軽減することが容易となる。
応力集中部は、上部上辺における最もマスト材側に設けられたストレート部に形成されるため、応力集中部をマスト材から離れた傾斜部または曲率部に形成する場合と比較して、応力集中部に応力を集中させやすくなり、上述の接触部における応力の集中を軽減することが容易となる。
上記発明において前記応力集中部は、前記支持板の前記上辺に形成された凹部であることが好ましい。
このように応力集中部を凹部とすることにより、ロワクロスがマスト材を支持した際に、応力集中部に応力を集中させやすくなり、上述の接触部における応力の集中を軽減することが容易となる。
上述の接触部における応力が集中する箇所は接触部の上端であり、凹部が形成されていない場合には、特に、上述の接触部の上端に応力が集中しやすかった。上述のように凹部が形成された部分の支持板は、凹部が形成されていない場合と比較して、剛性が低下して弾性変形しやすくなる。このように、支持板の凹部が形成された部分が弾性変形すると、接触部の上端における応力の集中が軽減される一方で、凹部には、上述の弾性変形に関する応力が集中することになる。
上記発明において前記上部上辺には、前記マスト材から前記車体に向かって前記下部支持部に近づく直線状に延びる傾斜部および前記上部上辺が曲線状に延びる曲率部の一方が2つ以上形成され、または、前記傾斜部および前記曲率部がそれぞれ1つ以上形成されており、前記応力集中部は、前記上部上辺に沿う前記マスト材から前記車体に向かう方向における、最初の前記傾斜部または前記曲率部に形成されていることが好ましい。
このように、上部上辺に沿うマスト材から車体に向かう方向における最初の傾斜部または曲率部に応力集中部を形成することにより、上述の接触部における応力の集中を軽減することが容易となる。
応力集中部は、上部上辺における最もマスト材側の傾斜部または曲率部に形成されるため、応力集中部をマスト材から離れた傾斜部または曲率部に形成する場合と比較して、応力集中部に応力を集中させやすくなり、上述の接触部における応力の集中を軽減することが容易となる。
上記発明において前記支持板の上端から前記応力集中部までの距離は、前記応力集中部から前記支持板の下端までの距離よりも短いことが好ましい。
このように、支持板の上端から応力集中部までの距離を、応力集中部から支持板の下端までの距離よりも短くすることにより、上述の接触部における応力の集中を軽減することが容易となる。
応力集中部は、支持板の下端までの距離よりも、支持板の上端までの距離が短い位置に形成されるため、応力集中部が支持板の下端に近い位置に形成された場合と比較して、応力集中部に応力を集中させやすくなり、上述の接触部の上端における応力の集中を軽減することが容易となる。
本発明のフォークリフトは、上記本発明の昇降装置と、該昇降装置が取り付けられる車体と、が設けられている。
本発明のフォークリフトによれば、上記本発明の昇降装置が設けられているため、前方視界を確保しやすくすると共に、破損の発生を抑制することができる。
本発明の昇降装置およびフォークリフトによれば、ロワクロスの支持板によってマスト材の背面の下部を支持するため、前方視界を確保しやすくなると共に、支持板の上辺に応力集中部を設けることにより、ロワクロスがマスト材を支持した際に発生する支持板とマスト材との接触部における応力の集中を軽減することができ、破損の発生を抑制することができるという効果を奏する。
本発明の一実施形態に係るフォークリフトの全体構成を説明する模式図である。 図1の荷役部の構成を説明する側面視図である。 図1の荷役部の構成を説明する背面視図である。 対比対象の荷役部の構成を説明する側面視図である。 本実施形態の荷役部に係る他の実施例を説明する側面視図である。 従来のフォークリフトにおける荷役部の構成を説明する図である。 従来のフォークリフトにおける荷役部の他の構成を説明する図である。
この発明の一実施形態に係るリーチ式フォークリフト(以下、「フォークリフト」と表記する。)について、図1から図5を参照しながら説明する。図1は本実施形態に係るフォークリフト1の全体構成を説明する模式図であり、図1(a)は平面視図であり、図1(b)は側面視図である。
本実施形態のフォークリフト1は、荷物の運搬に用いられるものであり、特に工場や、倉庫や、貨物駅や港湾等の構内における荷役作業に用いられるものである。フォークリフト1には、図1に示すように、運転者が乗り込む車体10と、荷物を取り扱う荷役部(昇降装置)20と、が主に設けられている。
車体10には、フォークリフト1の走行に用いられる前輪11および後輪12、前輪11が配置されているアウトリガー13、運転者が乗り込む運転席14と、が主に設けられている。
前輪11は、図1(a)および図1(b)に示すように、アウトリガー13の前方端部にそれぞれ配置された一対の車輪である。本実施形態では、前輪11が、車体10に対して回転軸の向きが固定された遊動輪である例に適用して説明する。後輪12は車体10の左後端に配置された一つの車輪である。後輪12は、モータ等の駆動部(図示せず)から回転駆動力が伝達される駆動輪であると共に、車体10に対する回転軸の向きが変更可能とされた、フォークリフト1の進行方向を定める操舵輪でもある。
アウトリガー13は、車体10における下方前端に設けられた一対のアーム状の部材であり、車体10における下方前端の左右端から、前方に向かって平行に並んで延びて配置されたものである。一対のアウトリガー13,13の間には荷役部20が配置され、荷役部20は一対のアウトリガー13,13の間を前後方向に移動可能とされている。
運転席14は、運転者がフォークリフト1に乗り込み、起立した姿勢でフォークリフト1を運転操作する車体10の右後端に設けられた場所である。運転席14には、上述の後輪12を操舵するためのハンドル15や、荷役部20を操作するレバー等の操作部16などが設けられている。
図2は、図1の荷役部20の構成を説明する側面視図であり、図2(a)は荷役部20の下部の構成を説明する部分拡大図であり、図2(b)は支持板31の凹部35近傍の構成を説明する部分拡大図である。図3は、図1の荷役部20の構成を説明する背面視図である。
荷役部20には、図1(a)および図1(b)に示すように、荷物を積むために用いられるフォーク21と、フォーク21が取り付けられる昇降体22と、フォーク21および昇降体22を上下方向に移動可能に支持する一対のマスト材23,23と、が設けられている。さらに、荷役部20には、図2および図3に示すように、一対のマスト材23,23を車体10に取り付け可能とするロワクロス30と、荷役部20をアウトリガー13,13に沿って前後方向に移動可能に導く誘導部24と、が設けられている。
フォーク21は、図1(a)および(b)に示すように、昇降体22の前面に設けられた一対のアーム状の部材であり、昇降体22における前面下端の左右端から、前方に向かって平行に並んで延びて配置されたものである。フォーク21は、荷物が載せられる約直方体状に形成されたパレットの挿入孔に差し込まれるものであり、パレットのみ、または、荷物が載せられたパレットを持ち上げたり、降ろしたりするものである。
昇降体22は、フォーク21を支持するものであり、かつ、マスト材23との間に配置された昇降シリンダ(図示せず)により、マスト材23に沿って上下方向に移動可能とされたものである。
マスト材23は、車体10の前端に上下方向へ延びて配置されると共に、左右方向へ間隔をあけて平行に並んで配置される断面がコの字型に形成された四角柱状の部材である。さらに、一対のマスト材23,23は、間に配置されたフォーク21および昇降体22が上下方向に昇降可能に支持するものである。
ロワクロス30は、図2および図3に示すように、車体10側の面である背面23Aからマスト材23を支持するものである。ロワクロス30には、マスト材23に固定される一対の支持板31と、一対の支持板31をつなぐ梁部36と、が主に設けられている。
支持板31は、マスト材23の背面23Aに溶接などの方法により固定される板状に形成された部材である。支持板31は、マスト材23の長手方向である上下方向に延びると共に、前後方向に延びるように配置されている。支持板31は、マスト材23側の端部がマスト材23に溶接される下部支持部32および上部支持部33から主に構成されている。
下部支持部32は、支持板31の下側部分を構成するものであり、上部支持部33と比較して、前後方向の幅が広い部分である。下部支持部32の上方の辺である下部上辺32Aは、前後方向に延びる辺であり、支持板31の上辺31Aを構成するものである。
これに対して、上部支持部33は、下部支持部32におけるマスト材23側から上方へ突出した部分を構成するものであり、下部支持部32と比較して、前後方向の幅が狭い部分である。言い換えると、下部支持部32から上方へリブ状に突出した部分である。上部支持部33の上方の辺である上部上辺33Aは、前方から後方に向かって、下方に近づく傾斜または曲率を有する辺であり、下部上辺32Aと共に支持板31の上辺31Aを構成するものである。
本実施形態において上部上辺33Aには、前方から後方に向かって順に、ストレート部34A、第1曲率部34B、傾斜部34C、および、第2曲率部34Dが形成されている。ストレート部34Aは、マスト材23の背面23Aに沿って延びる直線状の部分であり、傾斜部34Cは前方から後方に向かって下方に近づく直線状の部分である。第1曲率部34Bは、ストレート部34Aおよび傾斜部34Cを滑らかにつなぐ曲線状の部分であり、第2曲率部34Dは、傾斜部34Cおよび下部上辺32Aを滑らかにつなぐ曲線状の部分である。
ストレート部34Aには、上部上辺33Aを円弧状に切欠いた凹部(応力集中部)35が形成されている。言い換えると、凹部35は、支持板31の上端から凹部35までの距離が、凹部35から支持板31までの距離よりも短くなる位置に形成されている。
梁部36は、一対の支持板31,31の間を左右方向に延びて配置され、一対の支持板31,31を支持する部材である。言い換えると、一対の支持板31,31によって支持される一対のマスト材23,23の間隔を所定の広さに保ちつつ保持する部材である。
誘導部24は、マスト材23の下端およびロワクロス30の支持板31に配置された誘導輪である。誘導部24は、アウトリガー13の内側に形成された誘導面(図示せず)の上を、前後方向に転動することにより、荷役部20を前後方向に移動可能とするものである。
次に、上記の構成からなるフォークリフト1における働きについて図1を参照しながら説明する。
フォークリフト1は、図1に示すように、荷役部20を車体10に近づけた状態(リーチインした状態)で荷物の近傍にまで走行し、フォーク21がパレットの挿入孔と対向する位置で停止する。その後、荷役部20をフォークリフト1の前方に押し出す(リーチアウトされる)ことにより、フォーク21がパレットの挿入孔に差し込まれる。その後、荷役部20によってパレットが持ち上げられるとともに、荷役部20がリーチインされる。
このとき、荷役部20のマスト材23には、持ち上げたパレットを含む荷物の重さにより、マスト材23の上端を前方に倒す方向の力が加わる。図2(a)および図2(b)に示すように、マスト材23はロワクロス30の支持板31によって支えられているため、マスト材23と支持板31との溶接個所(接触部)、特に溶接個所の上端側に、上述の力による応力が集中しやすくなる。
上述の力がマスト材23に加わると、支持板31の上部支持部33では、凹部35が設けられた部分において、他の部分よりも大きな弾性変形が発生し、凹部35に応力が集中する。言い換えると、上部支持部33における上端から凹部35までの部分は、その他の部分よりもマスト材23を支える力が弱くなり、上述の溶接個所の上端への応力の集中が緩和される。
上記構成の荷役部20を備えたフォークリフト1によれば、ロワクロス30の支持板31は、マスト材23の背面23Aの下部を支持するため、マスト材23の側面下部を支持する場合と比較して、一対のマスト材23,23の左右方向の配置間隔を広げることができる。その結果、フォークリフト1の運転者の前方視界を確保しやすくなる。
さらに、支持板31の上辺31Aに凹部35を設けることにより、ロワクロス30がマスト材23を支持した際に発生する支持板31とマスト材23との溶接個所における応力の集中が軽減される。言い換えると、上述の溶接個所に集中する応力の一部を、凹部35に集中させることにより、溶接個所における応力の集中を軽減することができ、その結果として、溶接個所の応力が集中する箇所の破損の発生を抑制することができる。
なお、支持板31に凹部35を設けることなく、図4に示すように、上部支持部33を上方へ延長することにより、上述の溶接個所の上端における応力の集中を緩和させることもできる。しかしながら、図4に示すように上部支持部33を上方へ延長すると、支持板31を材料となる板材から切り出す際に、残りの切れ端を有効利用しにくくなる。言い換えると、支持板31を製造する際のコストが上昇するという問題がある。
それに対して、本実施形態では、凹部35を設けることにより、上部支持部33の上方への延長を抑制しつつ、言い換えると、支持板31の製造コスト上昇を抑制しつつ、溶接個所における応力の集中を軽減することができる。
上述の溶接個所における応力が集中する位置は溶接個所の上端であり、凹部35が形成されていない場合には、特に、上述の溶接個所の上端に応力が集中しやすかった。上述のように凹部35が形成された部分の支持板31の上部支持部33は、凹部35が形成されていない場合と比較して、剛性が低下して弾性変形しやすくなる。このように、上部支持部33の凹部35が形成された部分が弾性変形すると、溶接個所の上端における応力の集中が軽減される一方で、凹部35には、上述の弾性変形に関する応力が集中することになる。
下部支持部32および上部支持部33から支持板31を形成し、上部支持部33の上部上辺33Aに凹部35を形成することにより、凹部35は支持板31におけるマスト材23に近い位置に形成される。このようにすることで、凹部35を支持板31におけるマスト材23から離れた位置に形成する場合と比較して、凹部35に応力を集中させやすくなり、上述の溶接個所における応力の集中を軽減することが容易となる。
また、凹部35は、上部上辺33Aにおける最もマスト材23側に設けられたストレート部34Aに形成されるため、凹部35をマスト材23から離れた傾斜部34C、第1曲率部34Bまたは第2曲率部34Dに形成する場合と比較して、凹部35に応力を集中させやすくなり、上述の溶接個所における応力の集中を軽減することが容易となる。
さらに、凹部35は、支持板31の下端までの距離よりも、支持板31の上端までの距離が短い位置に形成されるため、凹部35が支持板31の下端に近い位置に形成された場合と比較して、凹部35に応力を集中させやすくなり、上述の溶接個所の上端における応力の集中を軽減することが容易となる。
なお、上述の実施形態のように上部上辺33Aは、ストレート部34A、第1曲率部34B、傾斜部34C、および、第2曲率部34Dが形成されたものであってもよいし、図5(a)に示すように、第1傾斜部134A、第2傾斜部134Bが形成されたものでもよい。このように、マスト材23から車体10に向かう方向における最初の第1傾斜部134Aに凹部35を形成することにより、マスト材23と支持板31との溶接個所における応力の集中を軽減することが容易となる。
さらに、図5(b)に示すように上部上辺33Aは、傾斜部234A、曲率部234Bが形成されたものであってもよく、傾斜部および曲率部の数や配置順序などの組合せを限定するものではない。
1…フォークリフト、10…車体、20…荷役部(昇降装置)、23…マスト材、30…ロワクロス、31…支持板、32…下部支持部、33…上部支持部、31A…上辺、32A…下部上辺、33A…上部上辺、34A…ストレート部、34B…第1曲率部、34C…傾斜部、34D…第2曲率部、35…凹部(応力集中部)、134A…第1傾斜部、134B…第2傾斜部、234A…傾斜部、234B…曲率部

Claims (5)

  1. フォークリフトの車体前方において上下方向に延びて配置されると共に、左右方向に並んで配置された一対の柱状に形成されたマスト材と、
    前記一対のマスト材を前記車体に取り付け可能とするロワクロスと、
    が設けられた昇降装置であって、
    前記ロワクロスには、前記一対のマスト材における前記車体側の面である背面の下部をそれぞれ支持する一対の支持板が少なくとも設けられ、
    板状に形成された前記支持板は、前記マスト材の背面に溶接により固定され、前記マスト材の長手方向に沿って延びるように配置され、
    前記支持板の上側の辺であり、溶接が施されていない辺である上辺には、前記マスト材が前記ロワクロスにより支持された際に応力が集中する応力集中部が形成され
    前記支持板には、下側に配置された前記車体の前後方向の幅が相対的に広い下部支持部と、該下部支持部の前記マスト材側において上方に延びる前記前後方向の幅が相対的に狭い上部支持部と、が形成され、
    前記上辺は、前記下部支持部の上側の辺である下部上辺と、前記上部支持部における前記下部上辺と隣接する上部上辺とからなり、
    前記上部上辺には、前記マスト材から前記車体に向かって順に、前記マスト材の前記背面に沿って上下方向に直線状に延びるストレート部、前記マスト材から前記車体に向かって前記下部支持部に近づく直線状に延びる傾斜部および前記上部上辺が曲線状に延びる曲率部の一方が形成され、
    前記応力集中部は、前記ストレート部に形成されている昇降装置。
  2. 前記応力集中部は、前記支持板の前記上辺に形成された凹部である請求項1記載の昇降装置。
  3. 前記上部上辺には、前記マスト材から前記車体に向かって前記下部支持部に近づく直線状に延びる傾斜部および前記上部上辺が曲線状に延びる曲率部の一方が2つ以上形成され、または、前記傾斜部および前記曲率部がそれぞれ1つ以上形成されており、
    前記応力集中部は、前記上部上辺に沿う前記マスト材から前記車体に向かう方向における、最初の前記傾斜部または前記曲率部に形成されている請求項1または2に記載の昇降装置。
  4. 前記支持板の上端から前記応力集中部までの距離は、前記応力集中部から前記支持板の下端までの距離よりも短い請求項1からのいずれか1項に記載の昇降装置。
  5. 請求項1から請求項のいずれかに記載の昇降装置と、
    該昇降装置が取り付けられる車体と、
    が設けられているフォークリフト。
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