JP5916799B2 - チョウザメの卵からの抽出液 - Google Patents

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Description

本発明は、チョウザメの卵からの抽出液に関し、更に詳しくは、特定の抽出方法を用いて得られたチョウザメの卵抽出液に関する。
皮膚、頭髪等に優れた効果をもたらして若々しい状態を実現する化粧料、特に美白効果、保湿効果、老化防止効果等に優れた化粧料が強く望まれている。そして、このような化粧料には、種々の抽出物が含有される場合が多いが、卵からの抽出物を含有する化粧料に関する検討は数少ない。例えば、鶏受精卵の抽出物を用いた、特に荒れ性の解消による美肌作用の有効性を高め、安全性に対する不安感の少ない化粧料が開示されている(特許文献1、特許文献2)。
しかしながら、鶏等の鳥類の卵からの抽出物を利用した例に比して、チョウザメ等の魚類の卵からの抽出物を用いた化粧料に関してはほとんど知られていない。例えば、特許文献3、4には、表面部のみが皮膜となった易擦壊性のキャビア状カプセル中に有効成分を内包させた化粧料が開示されているが、形状がキャビア状であるということであって、化粧料成分は全く異なるものであった。
チョウザメの卵からの抽出物を用いた化粧料がほとんど知られていないのは、チョウザメ自体が貴重な動物であることに加えて、主にチョウザメの卵は常に塩漬け処理されてキャビアとして食用になっていたからである。更には、卵からの抽出物に関しては、卵には油溶性成分と水溶性成分が混在し、各成分を効率よく抽出できないという問題点もあった。また、抽出物を不純物や濁りのない状態で得ることができないという問題点もあった。特に、チョウザメ等の魚類の卵からの抽出物は独特の生臭さがあり、そのような臭気のない抽出物が得難いという問題点もあった。
一方、一般に、化粧料に適した色調や抽出物の含有量を調節する為に、抽出溶媒や洗浄工程についての検討も開示されている(特許文献2)。また、抽出効率を高める為に、抽出工程を繰り返す等の抽出方法も知られている(特許文献5)。しかしながら、油溶性成分と水溶性成分が混在している卵から、各成分を効率よく、不純物や濁りのない状態で得る方法は知られていなかった。また、特にチョウザメの卵のように独特の生臭さがあるものから、例えば化粧料用として通用する程度に臭気のない抽出物を得る方法は知られていなかった。
美肌状態を実現する化粧料の要求は、ますます高くなってきており、かかる公知技術では、化粧料として優れた効果を有するチョウザメの卵の成分を商品として、需要者の要求に答えるには不十分であり、更なる開発が望まれていた。
特開2006−249045号公報 特開2005−272380号公報 特開平5−092909号公報 特開平8−175932号公報 特開2005−168352号公報
本発明は上記背景技術に鑑みてなされたものであり、その課題は、油溶性成分と水溶性成分が混在しているチョウザメの卵から、各成分を効率よく、不純物や濁りのない状態で抽出物を得る方法を提供することにあり、更には、皮膚又は頭髪に極めて優れた保湿効果、老化防止効果、美白効果等をもたらし、若々しい肌や髪の状態を実現する化粧料用の原料を提供することにあり、また、それを用いた化粧料を提供することにある。
本発明者らは、上記の課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、特定の抽出方法を用いることによって上記課題が達成されることを見出して本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、チョウザメの卵から、溶媒を用いてその溶媒に可溶な成分を実質的に除いた後、その溶媒とは水に対する相溶性の異なる溶媒で抽出してなることを特徴とするチョウザメの卵抽出液を提供するものである。
また本発明は、チョウザメの卵から、「30℃で水に任意の割合では相溶しない有機溶媒」(A1)を用いてその有機溶媒に可溶な成分を実質的に除いた後、「水又は30℃で水に任意の割合で相溶する有機溶媒」(B1)で抽出してなる請求項1記載のチョウザメの卵抽出液を提供するものである(以下、「態様1」と略記する)。
また本発明は、チョウザメの卵から、「水又は30℃で水に任意の割合で相溶する有機溶媒」(B2)を用いてその溶媒に可溶な成分を実質的に除いた後、「30℃で水に任意の割合では相溶しない有機溶媒」(A2)で抽出してなる請求項1記載のチョウザメの卵抽出液を提供するものである(以下、「態様2」と略記する)。
また本発明は、上記チョウザメの卵抽出液を含有することを特徴とする化粧料を提供するものである。
本発明によれば、精製された「水又は30℃で水に任意の割合で相溶する有機溶媒」に溶解されたチョウザメの卵抽出液、又は、精製された「30℃で水に任意の割合では相溶しない有機溶媒」に溶解されたチョウザメの卵抽出液の各々2種類の溶媒に溶解されたチョウザメの卵抽出液が効率よく得られる。
その結果、水溶性及び油溶性の各化粧料に適したチョウザメの卵抽出液が得られるため、これらを適宜用いて一連の本発明のチョウザメの卵抽出液を含有する化粧料を揃えることができる。更に、予め一方の溶媒によってその溶媒に可溶成分を除去した後に、他方の溶媒で抽出液を得る為、他方の溶媒での抽出液として、一方の溶媒への可溶成分(他方の溶媒への不溶成分)等による濁りや不純物混入のないものが得られる。更に、化粧料としての機能を発揮し得ない成分や魚由来の臭いも、予め一方の溶媒での抽出によって、同時に取り除くことができ、不純物の少ない各溶媒に溶解したチョウザメの卵抽出液が得られる。
また、予め一方の溶媒で可溶成分を除くが、その抽出液も有効に使用することにより、チョウザメの卵の無駄を最小限に抑え、高価なチョウザメの卵を最大限に活用することができる。
また、本発明によれば、皮膚又は頭髪に、優れた保湿効果、老化防止効果、美白効果等をもたらし、若々しい肌や髪を実現するのに効果的な化粧料を与えることができる。
以下、本発明について説明するが、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではなく、任意に変形して実施することができる。
本発明は、チョウザメの卵抽出液を含有することを特徴とする化粧料である。本発明において「チョウザメ」とは、チョウザメ目、チョウザメ科に属する魚をいう。現在確認されているものだけで、天然又は養殖のチョウザメは約30種あり、その何れをも使用できる。その具体例としては、例えば、Acipenser baeri、Acipenser brevirostrum、Acipenser dabryanus、Acipenser fulvescens、Acipenser gueldenstaedti、Acipenser mediradoi、Acipenser naccarii、Acipenser nudiventris、Acipenser oxyrinchus、Acipenser persicus、Acipenser ruthenus、Acipenser schrencki、Acipenser sinensis、Acipenser stellatus、Acipenser sturio、Acipenser transmontanus、Huso dauricus、Huso huso、Pseudoscaphirhynchus fedtschenkoi、Pseudoscaphirhynchus hermannii、Pseudoscaphirhynchus kaufmanni、Scaphirhynchus albus、Scaphirhynchus platorynchus、Scaphirhynchus suttkusi等が挙げられる。
本発明において使用される卵は、その何れのチョウザメの卵でもよいが、アムールチョウザメ、シロチョウザメ、シベリアチョウザメ、コチョウザメ又はベステルチョウザメの卵であることが好ましい。ベステルチョウザメとは、雌のベルーガチョウザメと雄のコチョウザメから人工的に創られたチョウザメの一種であり、また、かかるF1ベステルチョウザメと、F1ベステルチョウザメ、ベルーガチョウザメ若しくはコチョウザメとの交配で作られるF2ベステルチョウザメも「ベステルチョウザメ」と呼ばれる。本発明においては、その何れの卵も好ましい。また、コチョウザメとは和名であり、学名ではアスペンサールサウス、露名でスルルヤージとも呼ばれるものである。
上記チョウザメは、養殖技術が確立されており、自然環境保護等の点で好ましい。また、天然のチョウザメ目の全種の卵からの抽出物を0.05mg以上含有する化粧料の輸出入は、ワシントン条約で禁止されているため、その点でも、養殖可能な上記チョウザメが好ましい。
チョウザメからその卵を取り出す操作方法については特に限定はないが、(1)生きているチョウザメを殺して解体し、そこから卵を取り出す方法、(2)チョウザメを生きたまま切開して卵を取り出し、生きたまま元に戻す方法、(3)卵をチョウザメからしぼり出し、生きたまま元に戻す方法等が好ましい。このうち、チョウザメを複数回使用できる点で、(2)又は(3)の方法が特に好ましい。また、後述するように、本発明においては、孕卵し排卵前の濾胞組織に包まれた卵巣卵ではなく、排卵後まだ体内にある状態の排卵卵を使用することが好ましいが、かかる排卵卵では(1)の方法に限らず、(2)又は(3)の方法が可能である。その点でも、チョウザメを複数回使用可能な(2)又は(3)の方法が、本発明においては特に好ましい。
チョウザメの卵から抽出物を抽出する時期や方法は特に限定はないが、抽出に用いられるチョウザメの卵は、チョウザメから取り出された直後のものであるか、又は、チョウザメから取り出された直後に冷凍されたものであることが好ましい。そうでないと抽出物に生臭さがあり、それを含有した化粧料にも生臭さがあり、化粧料として好ましくない場合がある。また、経時的に抽出物が変色したり、不溶物が析出したりする場合がある。卵を取り出した後、直ちに冷凍し、更に、抽出操作まで常に冷凍状態で維持した卵から抽出することが特に好ましい。
チョウザメから卵を取り出した直後に、約0.9質量%程度の生理食塩水で洗浄処理を行ってから直ちに冷凍した場合も、上記「直ちに冷凍」のうちに含まれる。約0.9質量%程度の生理食塩水で洗浄処理を行うことによって、血液等の体腔液が除かれるため、本発明には特に好ましい。生理食塩水ではなく水で処理をすると、卵内に水が浸透してしまう場合がある。
チョウザメから取り出された卵は、塩漬け処理されていないものであることが、抽出物又はそれを含有する化粧料に食塩が含まれず肌に悪影響を与えない点で、また、食塩で卵中のタンパク質、ペプチド等の有効成分が変質又は分解されない点で、また、化粧料製造に際して障害となり得ない点で好ましい。更に、塩漬け処理をした卵は、長期間保存されて生臭さ(魚臭)が強くなっている場合があり、その点からも塩漬け処理されていないものであることが好ましい。
チョウザメの卵は主に食用に供されていたため、チョウザメの卵は取り出すと常に直ぐ塩漬け処理(「塩蔵」とも言われる)がなされキャビアとなっていた。なお、ここで「塩漬け処理」とは、通常3〜10質量%の食塩水による処理のことをいい、前記「生理食塩水での処理」とは異なる処理である。「キャビア」とは、チョウザメから取り出した後、必要な場合は生理食塩水で洗浄後、塩漬け処理された卵をいう。このように従来は、チョウザメから卵を取り出した後に、直ちに冷凍されることは行われておらず、常に、食塩又は食塩水等を付与する「塩漬け処理」が行われていた。塩漬け処理をせずに冷凍したものは、解凍したときに卵の形状が崩れ(ドリップし)やすくなって、食用のキャビアとしては商品価値のないものなってしまうため、チョウザメの卵に対し塩漬け処理を施さずに冷凍することは到底考えられなかった。
チョウザメから卵を取り出し、塩漬け処理をせずに直ちに抽出するか、又は、塩漬け処理をせずに直ちに冷凍し保存後に抽出するという操作は、当分野では極めて特異である。更に、この極めて特異な操作を行うことにより、生臭さのない抽出物が得られるという顕著な効果を奏するようになり、より優れた化粧料への利用が可能になる。また、解凍後に卵の形状が崩れた場合、食用としては商品価値がなくなるが、抽出物を得るためには全く支障はないので、その点でも塩漬け処理を施さずに冷凍することの欠点である「卵の形の崩れ(ドリップ)」が、本発明においては全く問題点とはならない。
従来は、塩漬け処理された卵(キャビア)しか知られていなかったため、化粧料への利用は控えられていた。あるいは、塩抜きをしてから化粧料に使用しようとしても十分に食塩が取り切れず問題が生じる場合がある。キャビアからの抽出物を化粧料に含有させても、それが本来有する機能を十分に化粧料に対して反映できない場合がある。
「チョウザメから取り出してから直ちに冷凍」の「直ちに」とは、「短時間のうちに」の意味であり、その間に任意の処理が挿入されることを排除するものではない。具体的には、通常2時間以内をいい、1時間以内が好ましく、30分間以内が特に好ましい。なお、上記した「生理食塩水での処理」はこの間に行うことが好ましい。また、冷凍温度は特に限定はないが、−80℃〜−20℃が好ましい。また、解凍後、直ちに抽出操作を行うことが好ましい。
本発明の化粧料に含有されるチョウザメの卵から抽出した抽出物は、食塩以外の如何なる物質によっても処理されていないものが好ましい。「食塩以外の物質」とは、防腐剤、食塩以外の塩、酸化防止剤、安定剤等が挙げられる。
本発明の化粧料に含有される抽出物は、チョウザメの卵から抽出されたものであるならば、使用される卵の段階は限定されず、孕卵し排卵前の卵巣卵であっても、排卵後まだ体内に存在する状態の排卵卵であっても、産卵された産卵卵であってもよいが、排卵卵であることが好ましい。本発明においては、「排卵卵」とは排卵され、チョウザメの体外に産み落とされる前の卵をいう。また、使用される卵は無精卵でも有精卵でもよい。
従来、チョウザメの卵は、キャビアとしてのみ一般に知られているが、「キャビア」とはチョウザメを殺して解体して排卵前の卵巣卵を取り出し、それを塩漬け処理したものである。排卵後まだ体内に存在している排卵卵(当然受精前)は、浸透圧の影響を受けやすく、塩漬け処理をすると、卵の形状が維持できなくなり、キャビアとして、すなわち食用としては無価値であるため、殆ど使用されていなかった。すなわち、排卵卵は稚魚を得るためにごく少量しか使用されていなかった。
本発明においては、上記卵巣卵より排卵卵を用いることが好ましい。卵巣卵の場合は、たとえその一部であっても、チョウザメの体内から取り出そうとすれば、チョウザメを殺さなくてはならないが、排卵卵であるならば、前記した通り、チョウザメを生きたまま切開して卵を取り出し生きたまま元に戻す方法や、卵をチョウザメからしぼり出し生きたまま元に戻す方法が採れ、チョウザメの保護が図れるため好ましい。すなわち、チョウザメが生きていれば、まだ排卵されておらずチョウザメの体内に残された卵細胞がチョウザメの体内で成長し何年か後に排卵した際に、その排卵卵も使用できるため好ましい。
前記した通り、排卵卵は塩漬け処理したとき卵が割れ液体がでる(ドリップする)場合があり、また、排卵卵をチョウザメから取り出してから、塩漬け処理をせずに直ちに冷凍しても、卵の形状は維持できるものの、解凍したときに卵が割れ液体がでる(ドリップする)場合があり、何れにしても食用の場合はそれによって無価値になる。しかしながら、本発明においては、卵が割れてもそこから抽出物を得ることに何ら問題はない。その点からも排卵卵の欠点が問題にならないため排卵卵が好ましい。
本発明は、チョウザメの卵から溶媒(P)を用いてその溶媒に可溶な成分を実質的に除いた後、その溶媒とは水に対する相溶性の異なる溶媒(Q)で抽出してなることを特徴とするチョウザメの卵抽出液である。この発明によって、前記効果、例えば、不純物が少ない、濁りや臭いが少ない等の効果を奏する、溶媒を溶媒(Q)としたチョウザメの卵抽出液が得られる。また、溶媒(P)を用いて溶媒(P)に可溶な成分を実質的に除いたときに、溶媒(P)のチョウザメの卵抽出液も同時に調製できるという効果もある。ここで、「水に対する相溶性が異なる溶媒」とは、親水性の程度が異なる溶媒をいう。本願発明は、溶媒(P)によって油溶性成分を実質的に除き、溶媒(Q)で水溶性成分を抽出する場合、溶媒(P)によって水溶性成分を実質的に除き、溶媒(Q)で油溶性成分を抽出する場合に分けられる。
(態様1)
本発明の態様1は、チョウザメの卵から、「30℃で水に任意の割合では相溶しない有機溶媒」(A1)を用いてその有機溶媒に可溶な成分を実質的に除いた後、「水又は30℃で水に任意の割合で相溶する有機溶媒」(B1)で抽出してなるチョウザメの卵抽出液である。
「30℃で水に任意の割合では相溶しない有機溶媒」(A1)としては、かかる条件を満たすものであれば特に限定はないが、炭素数4〜8の1価アルコール類、炭素数4〜10のエステル類、脂肪族炭化水素類、芳香族炭化水素類、炭素数3〜8のケトン類、鎖状エーテル類、環状エーテル類及びハロゲン化炭化水素類からなる群より選ばれた少なくとも1種の溶媒が好ましい。また、2種以上混合して、「30℃で水に任意の割合では相溶しない有機溶媒」となる場合も含まれる。具体的には、例えば、1−ブタノール、2−ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、酪酸メチル、吉草酸メチル、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、メチルブチルケトン、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、アセトニトリル、クロロホルム、1,1,1−トリクロロエタン等が挙げられる。これらは、1種又は2種以上混合して用いられる。
有機溶媒に可溶な成分を実質的に除く操作とは、用いる有機溶媒(A1)で、チョウザメの卵を洗浄、浸漬等により可溶な成分を実質的に除く操作をいうが、その操作により有機溶媒(A1)に可溶な成分を実質的に全て除くことが好ましい。それによって、溶媒(B1)に対する不溶分が除かれる。具体的には、浸漬抽出、ソックスレー抽出等の公知の抽出方法が使用できる。また、回分操作、半連続操作、連続操作の何れの方式も使用可能である。なお、上記操作は1回のみの操作に限定されるものではない。操作後の残渣に再度新鮮な溶媒(A1)を添加し、再度同様の操作を施すこともできる。
用いる有機溶媒(A1)の量としては特に限定はないが、原料となるチョウザメの卵1質量部に対して、0.5質量部〜100質量部が好ましく、1質量部〜30質量部がより好ましく、2質量部〜10質量部が特に好ましい。有機溶媒(A1)の使用量がこの範囲未満であれば、原料全体に溶媒が行き渡らなかったり、飽和してしまったりして、可溶成分の除去が不十分になる場合があり、この範囲を超える使用量の溶媒を添加しても、もはや溶媒に可溶な成分量が増えることはなく、この有機溶媒(A1)による抽出液も使用する場合には、後の濃縮工程での溶媒除去作業の負担が増える場合がある。
上記「30℃で水に任意の割合では相溶しない有機溶媒」(A1)を用いて可溶な成分を実質的に除く際の温度は、使用する溶媒の沸点にもよるが、好ましくは10℃〜その溶媒の常圧における沸点、より好ましくは20℃〜80℃、特に好ましくは25℃〜60℃である。室温が更に好ましい。温度が低すぎると、可溶成分の除去が不十分になる場合があり、温度が高すぎても、除去できる可溶成分量に大きな影響はなく、チョウザメの卵の成分の分解が生じる場合もある。
上記有機溶媒(A1)を用いて可溶な成分を実質的に除く際のチョウザメの卵との接触時間は特に限定はないが、好ましくは1時間〜60日間、より好ましくは1日〜20日間、特に好ましくは2日〜10日間である。時間が短すぎると、可溶な成分の除去が十分に行われない場合があり、長すぎても、もはや溶媒に可溶な成分量の増大は見込めず、チョウザメの卵の成分の分解が生じる場合もある。
上記した有機溶媒(A1)に可溶な成分を実質的に除去する操作により得られた溶液は、チョウザメの卵抽出液として使用することもできる。これを「チョウザメの卵抽出液(a1)」とする。また、必要に応じて濃縮してチョウザメの卵抽出液としてもよい。濃縮方法は特に限定されず、常套の手段を用いればよく、例えば、エバポレーターを用いた減圧濃縮や、加熱による溶媒除去による濃縮を挙げることができる。
上記のように有機溶媒(A1)に可溶な成分を実質的に除去した後、残渣は後続の抽出操作に用いられる。残渣を分離除去するための方法は特に限定されず、例えば、吸引ろ過、フィルタープレス、シリンダープレス、デカンター、遠心分離器、ろ過遠心機等の公知の方法を用いることができる。更に、残渣に付着している不要な有機溶媒(A1)は、加熱及び/又は減圧により留去することも好ましい。
上記有機溶媒(A1)に可溶な成分を実質的に除去する工程により、チョウザメの卵に含まれる油溶性の成分(例えば、リン脂質、飽和脂肪酸、不飽和脂肪酸、コレステロール等)を予め取り除いておけるため、後続の「水又は30℃で水に任意の割合で相溶する有機溶媒」(B1)で抽出する際に、抽出速度や抽出効率を上げたり、溶媒(B1)による抽出物中に不溶物を少なくしたりすることができる。不純物が少ないために操作がし易い、抽出操作の精度が高いという効果もある。
具体的には、例えば、リン脂質等の油溶性成分を除去しておくことにより、リン脂質等の油膜が形成されることよる溶媒(B1)の浸透妨害を抑えることができる。チョウザメの卵にはリン脂質が多量に含まれるので、上記のように2段で抽出することはチョウザメの卵において特に顕著な抽出効率向上の効果を奏する。また、リン脂質等の油溶性成分を除去しておくことにより、溶媒(B1)抽出液中の不溶分(リン脂質等の油溶性成分)を確実に排除することができ、濁りのない溶媒(B1)の抽出液を得ることができる。
次に、上記で分離除去した残渣を「水又は30℃で水に任意の割合で相溶する有機溶媒」(B1)で抽出する。「水又は30℃で水に任意の割合で相溶する有機溶媒」(B1)としては特に限定はないが、水、炭素数1〜3の1価アルコール、多価アルコール等が挙げられる。具体的には、水、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、1,2−ヘキサンジオール、ペンタンジオール、グリセリン等が挙げられる。これらは1種又は2種以上の混合で用いられる。また、2種以上混合して、「30℃で水に任意の割合では相溶する有機溶媒」となる場合も含まれる。特に好ましくは、水、エタノール、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、1,2−ヘキサンジオール、ペンタンジオール、グリセリン等であり、また、通常化粧料に用いられる水性溶媒が特に好ましい。
用いる溶媒(B1)の量としては、抽出残渣1質量部(乾燥物換算)に対して、0.5質量部〜100質量部が好ましく、1質量部〜50質量部がより好ましく、2質量部〜20質量部が特に好ましい。溶媒(B1)の使用量がこの範囲未満であれば、溶媒が行き渡らなかったり、飽和に達してしまったりして抽出が不十分になる場合があり、この範囲を超える量の溶媒(B1)を使用しても、もはや溶媒に可溶な成分量が増えることはなく、希薄な抽出液しかできない場合や、濃縮を行うときは溶媒除去の負担が増える場合がある。
上記「水又は30℃で水に任意の割合で相溶する有機溶媒」(B1)を用いて抽出する際の抽出温度は、使用する溶媒の沸点にもよるが、好ましくは10℃〜その溶媒の常圧における沸点、より好ましくは20℃〜80℃、特に好ましくは25℃〜60℃である。室温が更に好ましい。抽出温度が低すぎると、抽出効率が低下する場合があり、抽出温度が高すぎても、抽出効率に大きな影響はなく、エネルギー使用量が増えるのみであり、チョウザメの卵の成分の分解が生じる場合もある。
上記「水又は30℃で水に任意の割合で相溶する有機溶媒」(B1)を用いて抽出する際の抽出時間は特に限定はないが、好ましくは1時間〜30日間、より好ましくは3時間〜20日間であり、特に好ましくは12時間〜10日間である。抽出時間が短すぎると、十分に抽出が行われない場合があり、長すぎても、もはや溶媒に可溶な成分量の増大は見込めず、チョウザメの卵の成分の分解が生じる場合もある。
抽出操作は、回分操作、半連続操作、連続操作等の何れの方式も使用可能であり、抽出方法としては、浸漬抽出、ソックスレー抽出等の公知の抽出方法が使用できる。また、抽出操作は1回のみの操作に限定されるものではなく、抽出後の残渣に再度新鮮な溶媒(B1)を添加し、抽出操作を施すこともできるし、抽出溶媒を複数回抽出原料に接触させることも可能である。
このような溶媒(B1)による抽出操作を行った後、抽出残渣を分離除去し目的のチョウザメの卵抽出液が得られる。これを「チョウザメの卵抽出液(b1)」とする。残渣を分離除去するための方法は特に限定されず、例えば、吸引ろ過、フィルタープレス、シリンダープレス、デカンター、遠心分離器、ろ過遠心機等の公知の方法を用いることができる。
続いて、得られた抽出液を必要に応じて濃縮してもよい。濃縮方法は特に限定されず、例えば、エバポレーターを用いた減圧濃縮や、加熱による溶媒除去による濃縮を挙げることができる。
(態様2)
一方で、「水又は30℃で水に任意の割合で相溶する有機溶媒」(B2)を用いてその溶媒に可溶な成分を実質的に除いた後、「30℃で水に任意の割合では相溶しない有機溶媒」(A2)で抽出することも好ましい。「実質的に除く」操作とは、用いる溶媒(B2)で、チョウザメの卵を洗浄、浸漬等により可溶な成分を実質的に除く操作をいうが、その操作により溶媒(B2)に可溶な成分を実質的に全て除くことが好ましい。それによって、後述する有機溶媒(A2)に対する不溶分が除かれる。操作としては、前記した態様1における有機溶媒(A1)による可溶分除去操作と同様の操作が挙げられる。
「水又は30℃で水に任意の割合で相溶する有機溶媒」(B2)としては、前記した溶媒(B1)と同様のものが挙げられる。これらは1種又は2種以上混合して用いられる。特に好ましいものとしては、後述する有機溶媒(A2)に対する不溶成分だけを効率よく除去できる点で、純水、生理食塩水等が挙げられる。
用いる溶媒(B2)の量としては特に限定はないが、原料となるチョウザメの卵1質量部に対して、0.5質量部〜100質量部が好ましく、1質量部〜50質量部がより好ましく、2質量部〜20質量部が特に好ましい。溶媒(A1)の使用量がこの範囲未満であれば、原料全体に溶媒が行き渡らなかったり、飽和に達してしまったりして可溶成分の除去が不十分になる場合があり、この範囲を超える使用量の溶媒を添加しても、もはや溶媒に可溶な成分量が増えることはなく、この有機溶媒(A1)による抽出液も使用する場合には、後の濃縮工程での溶媒除去作業の負担が増える場合がある。
上記「水又は30℃で水に任意の割合で相溶する有機溶媒」(B2)を用いて可溶な成分を実質的に除く際の温度は、使用する溶媒の沸点にもよるが、前記した態様1の場合の温度が挙げられる。溶媒(B2)として水を用いる場合には、好ましくは0℃〜60℃、より好ましくは1℃〜50℃、特に好ましくは2℃〜30℃である。3℃〜室温が更に好ましい。温度が低すぎると、可溶成分の除去が不十分になる場合があり、温度が高すぎても、除去できる可溶成分量に大きな影響はなく、チョウザメの卵の成分の分解が生じる場合もある。特に溶媒(B2)として水を用いる場合、チョウザメの卵の成分の分解が生じ易いため、上記温度範囲に保つことが好ましい。
上記溶媒(B2)を用いて可溶な成分を実質的に除く際のチョウザメの卵との接触時間は特に限定はないが、好ましくは1時間〜60日間、より好ましくは5時間〜30日間、特に好ましくは24時間〜5日間である。時間が短すぎると、可溶な成分の除去が十分に行われない場合があり、長すぎても、もはや溶媒に可溶な成分量の増大は見込めず、チョウザメの卵の成分の分解が生じる場合がある。
上記した溶媒(B2)に可溶な成分を実質的に除去する操作に供された溶液は、チョウザメの卵抽出液として用いてもよい。これを「チョウザメの卵抽出液(b2)」とする。また、必要に応じて濃縮してチョウザメの卵抽出液としてもよい。濃縮方法は特に限定されず、常套の手段を用いればよく、例えば、エバポレーターを用いた減圧濃縮や、加熱による溶媒除去による濃縮を挙げることができる。
上記のように溶媒(B2)に可溶な成分を実質的に除去した後、残渣は後続の抽出操作に用いられる。残渣を分離除去するための方法は特に限定されず、例えば、態様1で記載したものが挙げられる。更に、残渣に付着している不要な溶媒(B2)は、加熱及び/又は減圧により留去することも好ましい。
上記溶媒(B2)に可溶な成分を実質的に除去する工程により、チョウザメの卵に含まれる水溶性の成分(例えば、アミノ酸、ミネラル、糖、低分子量タンパク質等)を予め取り除いておけるため、後続の「30℃で水に任意の割合では相溶しない有機溶媒」(A2)で抽出する際に、抽出効率を上げ、有機溶媒(A2)抽出物中に不溶物を少なくすることができる。不純物が少ないために操作がし易い、抽出操作の精度が高いという効果もある。
具体的には、例えば、アミノ酸、ミネラル、糖、低分子量タンパク質等の水溶性の成分を除去しておくことにより、有機溶媒(A2)の浸透妨害を抑えることができる。チョウザメの卵には上記のような水溶性成分が多量に含まれるので、上記のように2段で抽出することはチョウザメの卵において特に顕著な抽出効率向上の効果を奏する。また、水溶性成分を除去しておくことにより、有機溶媒(A2)抽出液中の不溶分(アミノ酸、ミネラル、糖、低分子量タンパク質等の水溶性成分)を確実に排除することができ、濁りのない有機溶媒(A2)抽出液を得ることができる。
次に、上記で分離除去した残渣を「30℃で水に任意の割合では相溶しない有機溶媒」(A2)で抽出する。有機溶媒(A2)としては特に限定はないが、具体的には、
オリブ油、アボカド油、サフラワー油、パーシック油、アルモンド油、ゴマ油、コメヌカ油、サフラワー油、トウモロコシ油、ナタネ油等の植物油;
牛脂、馬油等の動物油;
ホホバ油、ラノリン等のロウ類;
スクワラン、流動パラフィン等の炭化水素類;
ブタノール、ベンジルアルコール、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セタノール、ステアリルアルコール、オレイルアルコール、ベヘニルアルコール、イソステアリルアルコール、オクチルドデカノール等のアルコール類;
バチルアルコール、キミルアルコール、セラキルアルコール、イソステアリルグリセルエーテル等のアスキルグリセリルエーテル類;
ミリスチン酸イソプロピル、トリ(カプリル・カプリン酸)グリセリル、トリカプリル酸グリセリル、オレイン酸エチル、パルミチン酸イソプロピル、イソステアリン酸イソプロピル等のエステル類
等が挙げられる。このうち、好ましくは植物油であり、特に好ましくは、オリブ油、サフラワー油、サフラワー油又はトウモロコシ油である。
用いる有機溶媒(A2)の量としては、抽出残渣1質量部(乾燥物換算)に対して、0.5質量部〜100質量部が好ましく、1質量部〜50質量部がより好ましく、3質量部〜30質量部が特に好ましい。有機溶媒(A2)の使用量がこの範囲未満であれば、抽出が不十分になる場合があり、この範囲を超える量の有機溶媒(A2)を使用しても、溶媒に可溶な成分量が増えることがなく、希薄な抽出液しかできない場合がある。
上記有機溶媒(A2)を用いて抽出する際の抽出温度は、使用する溶媒の沸点にもよるが、好ましくは10℃〜その溶媒の常圧における沸点、より好ましくは20℃〜80℃、特に好ましくは25℃〜60℃である。室温が更に好ましい。抽出温度が低すぎると、抽出効率が低下する場合があり、抽出温度が高すぎても、抽出効率に大きな影響はなく、エネルギー使用量が増えるのみであり、チョウザメの卵の成分の分解が生じる場合もある。
上記有機溶媒(A2)を用いて抽出する際の抽出時間は特に限定はないが、好ましくは1時間〜60日間、より好ましくは1日〜30日間であり、特に好ましくは4日〜20日間である。抽出時間が短すぎると、十分に抽出が行われない場合があり、長すぎてもそれ以上の溶媒に可溶な成分量の増大は見込めず、チョウザメの卵の成分の分解が生じる場合もある。
抽出操作は、回分操作、半連続操作、連続操作等の何れの方式も使用可能であり、抽出方法としては、浸漬抽出、ソックスレー抽出等の公知の抽出方法が使用できる。また、1回のみの操作に限定されるものではない。抽出後の残渣に再度新鮮な溶媒を添加し、抽出操作を施すこともできるし、抽出溶媒を複数回抽出原料に接触させることも可能である。
このような有機溶媒(A2)による抽出操作を行った後、抽出残渣を分離除去し目的のチョウザメの卵抽出液が得られる。これを「チョウザメの卵抽出液(a2)」とする。残渣を分離除去するための方法は特に限定されず、例えば、吸引ろ過、フィルタープレス、シリンダープレス、デカンター、遠心分離器、ろ過遠心機等の公知の方法を用いることができる。
続いて、得られた抽出液を必要に応じて濃縮してもよい。濃縮方法は特に限定されず、例えば、エバポレーターを用いた減圧濃縮や、加熱による溶媒除去による濃縮を挙げることができる。
以上のようにして、態様1では、チョウザメの卵抽出液(a1)及び本発明のチョウザメの卵抽出液(b1)、並びに、態様2では、チョウザメの卵抽出液(b2)及び本発明のチョウザメの卵抽出液(a2)を得ることができる。本発明のチョウザメの卵抽出液(b1)にはリン脂質等の油溶性成分が含まれないため、濁りがなく有効成分の純度が向上する。また、濁りを除去するため界面活性剤等を配合する必要がなくなる。一方、本発明のチョウザメの卵抽出液(a2)には、例えば上記したような水溶性成分が含まれないため、濁りがなく有効成分の純度が向上する。更に、態様1と態様2の何れの場合にも、本発明のチョウザメの卵抽出液は臭いや不純物が少なくなる。また、チョウザメの卵抽出液(a1)やチョウザメの卵抽出液(b2)も用いれば、高価なチョウザメの卵を無駄にすることがない。
本発明のチョウザメの卵抽出液は化粧料に用いることが好ましい。本発明のチョウザメの卵抽出液を含有する化粧料は、皮膚又は頭髪に極めて優れた保湿効果、老化防止効果、美白効果等をもたらす。
本発明のチョウザメの卵抽出液の化粧料中における含有量は特に限定はないが、固形分換算で(乾物換算で)、化粧料全体に対して、通常0.0001質量%〜15質量%、好ましくは0.001質量%〜10質量%である。特に好ましくは0.01質量%〜5質量%である。含有量が少なすぎては効果が見られず、また多すぎた場合には、配合量に見合った効果の上昇は期待できない。下記する剤型別では、基礎化粧品類の場合には、通常0.0005質量%〜15質量%、好ましくは0.05質量%〜10質量%、特に好ましくは0.1質量%〜5質量%である。また、メイクアップ化粧品の場合には、通常0.0001質量%〜5質量%、好ましくは0.001質量%〜2.5質量%、特に好ましくは0.01質量%〜1質量%である。また、トイレタリー化粧品の場合には、通常0.0005質量%〜5質量%、好ましくは0.005質量%〜1質量%、特に好ましくは0.05質量%〜0.5質量%である。また、ヘアケア化粧品の場合には、通常0.0005質量%〜1質量%、好ましくは0.005質量%〜0.1質量%、特に好ましくは0.05質量%〜0.1質量%である。
本発明の化粧料の種類としては、石鹸、洗顔料、化粧水、美容液、乳液、クリーム、パック等の基礎化粧品類;下地クリーム、ファンデーション、口紅、アイシャドウ、ほほ紅等のメイクアップ化粧品;シャンプー、リンス、トリートメント、ヘアパック、石鹸、ボディーソープ、入浴剤等のトイレタリー化粧品;ヘアトニック、ヘアリキッド、ヘアクリーム、整髪料等のヘアケア化粧品等が挙げられる。
本発明の化粧料の剤型としては、ジェル、パック、リポソーム、液状、粘土状、ソリッド粉末状、エアゾール、ハップ剤等が挙げられる。また、使用方法としては、エアゾール式、ポンプ式、押出し式、又はこれらに類する機構で噴射する方式、更に、浴剤等様々な方法が挙げられる。
本発明のチョウザメの卵抽出液を化粧料として用いる際に、特に制限はないが、本発明のチョウザメの卵抽出液(b1)は、例えば、化粧水、美容液等の水系化粧料に好適に用いられ、本発明のチョウザメの卵抽出液(a2)は、例えば、化粧油、クリーム、乳液、液状ファンデーション、洗顔クリーム等の油系化粧料に好適に用いられる。また、チョウザメの卵抽出液(b1)、(a2)は、乳化系化粧料に好適に用いられる。
本発明のチョウザメの卵抽出液(b1)は水溶性成分が溶媒(B1)に溶解しているので水系化粧料に配合され、本発明のチョウザメの卵抽出液(a2)は油溶性成分が有機溶媒(A2)に溶解しているので油系化粧料に配合され、クリーム等には本発明のチョウザメの卵抽出液(b1)、(a2)が配合される。このように、本発明のチョウザメの卵抽出液の何れかを適宜用いることで、例えば、基礎化粧品一式及び/又はメイクアップ化粧品一式を揃えることができ、本発明のチョウザメの卵抽出液の効果を相乗的に高めることもできる。すなわち、水系から油系まで一連の化粧料を全てチョウザメの卵の成分で統一することもでき、チョウザメの卵の成分の有する上記優れた肌・髪効果を増長することができる。
本発明のチョウザメの卵抽出液(b1)及び(a2)は、2段で抽出操作を行っているため、より精製されており、化粧料としての機能を発揮し得ない成分も除去されている。例えば、魚由来の臭い(魚臭さ、生臭さ等)も気にならない「チョウザメの卵抽出液」が得られ、化粧料用として優れたチョウザメの卵抽出液を得ることができる。
化粧料には、本発明のチョウザメの卵抽出液以外に、その剤型にあわせて「他の成分」を含有できる。「他の成分」としては、具体的には例えば、水、アルコール類、界面活性剤(カチオン、アニオン、ノニオン、両性界面活性剤等)、保湿剤(グリセリン、1,3‐ブチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、アミノ酸、尿素、ピロリドンカルボン酸塩、核酸類、単糖類、少糖類およびそれらの誘導体ほか)、増粘剤(多糖類、ポリアクリル酸塩、カルボキシビニルポリマー、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、キチン、キトサン、アルギン酸、カラギーナン、キサンタンガム、メチルセルロース等およびそれらの誘導体他)、ワックス、ワセリン、炭化水素飽和脂肪酸、不飽和脂肪酸、シリコン油等およびそれらの誘導体、トリ(カプリル・カプリン酸)グリセリル、トリオクタン酸グリセリル等のトリグリセライド類、ステアリン酸イソプロピル等のエステル油類、天然油脂類(オリブ油、椿油、アボカド油、アーモンド油、カカオ脂、月見草油、ブドウ種子油、マカデミアンナッツ油、ユーカリ油、ローズヒップ油、スクワラン、オレンジラフィー油、ラノリン、セラミド等)、防腐剤(オキシ安息香酸誘導体、デヒドロ酢酸塩、感光素、ソルビン酸、フェノキシエタノール等およびそれらの誘導体ほか)、殺菌剤(イオウ、トリクロカルバアニリド、サリチル酸、ジンクピリチオン、ヒノキチオール等、又はそれらの誘導体)、紫外線吸収剤(パラアミノ安息香酸、メトキシケイ皮酸等、又はそれらの誘導体)、抗炎症剤(アラントイン、クリチルリチン酸等、又はそれらの誘導体)、抗酸化剤(トコフェロール、BHA、BHT等、又はそれらの誘導体)、キレート剤(エデド酸、ヒドロキシエタンジホスホン酸等、又はそれらの誘導体)、動植物エキス(アシタバ、アロエ、エイジツ、オウゴン、オウバク、海藻、カリン、カミツレ、甘草、キウイ、キュウリ、クワ、シラカバ、トウキ、ニンニク、ボタン、ホップ、マロニエ、ラベンダー、ローズマリー、ユーカリ、ミルク、各種ペプタイド、プラセンタ、ローヤルゼリー等およびこれらの含有成分精製物又は発酵物)、pH調整剤(無機酸、無機酸塩、有機酸、有機酸塩等、又はそれらの誘導体)、ビタミン類(ビタミンA類、ビタミンB類、ビタミンC類、ビタミンD類等、又はそれらの誘導体)、酸化チタン、タルク、マイカ、シリカ、酸化亜鉛、酸化鉄、シリコン及びこれらを加工処理した粉体類等を本発明の目的を達成する範囲で0.01〜99質量%の範囲で配合することができる。なお、本発明における化粧料を構成する成分は決して上述に限られるものではなく、化粧料に用いる成分であれば自由に選択が可能である。
ハップ剤においては上記の成分に加えて、基剤(カオリン、ベントナイト等)、ゲル化剤(ポリアクリル酸塩、ポリビニルアルコール等)を本発明の目的を達成する範囲内で0.001〜99.9重量%の範囲で配合することができる。また、浴剤においては、硫酸塩、炭酸水素塩、ホウ酸塩、色素、保湿剤を本発明の目的を達成する範囲内で、好ましくは0.01〜99質量%の範囲内で適宜配合し、パウダータイプ、液剤タイプに調整が可能である。
以下に、実施例及び比較例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限りこれらに限定されるものではない。
製造例1
(態様1)
ベステル種のチョウザメから取り出したばかりの排卵卵1kgを0.9質量%の生理食塩水で洗浄処理をした後、n−ヘキサン5kgに20℃で1週間浸漬した後、濾別し油溶性成分を除いた。次いで、濾過残渣に残留したn−ヘキサンを留去した後、濾過残渣を、「30質量%の1,3−ブチレングリコールと70質量%の水からなる混合溶媒」10kgに、20℃で2週間浸漬させて抽出後、濾過を行い、チョウザメの卵抽出液9kgを得た。これを「チョウザメの卵抽出液(1b)」とする。
製造例2
(態様2)
ベステル種のチョウザメから取り出したばかりの排卵卵1kgを0.9質量%の生理食塩水で洗浄処理をした後、水10kgに4℃で1日間浸漬した後、濾別し水溶性成分を除いた。次いで、濾過残渣に残留した水分を除去した後、オリブ油10kgに浸漬し、20℃で1週間抽出した後、濾過を行い、チョウザメの卵抽出液9kgを得た。これを「チョウザメの卵抽出液(2a)」とする。
比較製造例1
(態様1の比較例)
ベステル種のチョウザメから取り出したばかりの排卵卵1kgを0.9質量%の生理食塩水で洗浄処理をした後、「30質量%の1,3−ブチレングリコールと70質量%の水からなる混合溶媒」10kgに、20℃で2週間浸漬させて抽出後、濾過を行い、チョウザメの卵抽出液9kgを得た。これを「チョウザメの卵抽出液(1b’)」とする。
比較製造例2
(態様2の比較例)
ベステル種のチョウザメから取り出したばかりの排卵卵1kgを0.9質量%の生理食塩水で洗浄処理をした後、オリブ油10kgに浸漬し、20℃で1週間抽出した後、濾過を行い、チョウザメの卵抽出液9kgを得た。これを「チョウザメの卵抽出液(2a’)」とする。
製造例3
(取出してから塩漬け処理をした場合)
ベステル種のチョウザメから、取り出したばかりの排卵卵1kgを0.9質量%の生理食塩水で洗浄処理をした後、取出しから30分後に塩漬け処理をし、そのまま14日間、−20℃で保存した卵を用いた以外は、製造例1と同様に、チョウザメの卵抽出液を得た。これを「チョウザメの卵抽出液(1b”)」とする。
評価例1
製造例1〜3で製造したチョウザメの卵抽出液(1b)、(2a)及び(1b”)について、その臭いを、5人により官能評価したところ、チョウザメの卵抽出液(1b)及び(2a)は何れも生臭さが全くなく、化粧料に極めて好適に配合できるものであった。また、チョウザメの卵抽出液(1b”)は、やや生臭さはあったが化粧料に配合できるものであった。
評価例2
比較製造例1及び比較製造例2で得たチョウザメの卵抽出液(1b’)、(2a’)について、その「臭い」を、評価例1と同様に評価したところ生臭さが感じられた。
評価例3
製造例1〜3で製造したチョウザメの卵抽出液(1b)、(2a)及び(1b”)について、その「透明度」を、目視により評価したところ、何れも濁りがなく化粧料に極めて好適に配合できるものであった。
評価例4
比較製造例1及び比較製造例2で得たチョウザメの卵抽出液(1b’)、(2a’)について、その「透明度」を、評価例3と同様に目視で評価したところ、チョウザメの卵抽出液(1b’)では、経時的に沈殿が認められ、チョウザメの卵抽出液(2a’)では、白濁が顕著であった。
評価例5
上記で得られたチョウザメの卵抽出液が得られる工程における抽出効率等を比較検討した。製造例1及び比較製造例1において、何れも「30質量%の1,3−ブチレングリコールと70質量%の水からなる混合溶媒」に2週間浸漬したが、製造例1の方が、可溶性成分量が多く抽出効率が良かった。製造例1では、予めn−ヘキサンによって油溶性成分を除いたためと考えられる。また、製造例2及び比較製造例2においては、何れもオリブ油に1週間浸漬したが、製造例2の方が、可溶性成分量が多く抽出効率が良かった。製造例2では、予め水によって水溶性成分を除いたためと考えられる。
以上より、製造例1及び製造例2で得られたチョウザメの卵抽出液(1b)及び(2a)は、チョウザメの卵抽出液(1b’)及びチョウザメの卵抽出液(2a’)と比較して、抽出にかかる時間が短く、魚卵臭や濁り等の不純物が少ないことが分かった。また、原料であるチョウザメの卵を最大限に活用して抽出効率が良好であった。また、製造例1及び製造例2において、1段目の可溶成分を除去する工程で得られた抽出液も使用することによって、高価なチョウザメを最大限に利用できた。
実施例1
(化粧水)
下記の配合成分を常法に従って配合して調製した。
[配合成分] [質量%]
チョウザメの卵抽出液(1b) 1.00
濃グリセリン 2.00
1,3−ブチレングリコール 10.00
キサンタンガム 0.05
ヒアルロン酸ナトリウム 0.01
防腐剤 適量
精製水 全量が100.00となる量
実施例2
(乳液)
下記の配合成分を常法に従って配合して調製した。
[配合成分] [質量%]
トリオクタン酸グリセリル 3.00
ホホバ油 1.00
オリブ油 1.00
メチルポリシロキサン 0.10
天然ビタミンE 0.10
POE(20)ソルビタンモノオレエート 1.50
ソルビタンモノオレエート 0.50
チョウザメの卵抽出液(1b) 3.00
L−アルギニン 2.00
L−セリン 0.50
ピロリドンカルボン酸ナトリウム 0.10
ポリビニルピロリドン 0.05
防腐剤 適量
精製水 全量が100.00となる量
実施例3
(クリーム)
下記の配合成分を常法に従って配合して調製した。
[配合成分] [質量%]
ベヘニルアルコール 2.00
トリオクタン酸グリセリル 3.00
ホホバ油 1.00
オリブ油 1.00
メチルポリシロキサン 0.10
天然ビタミンE 0.10
POE(20)ソルビタンモノステアレート 2.50
POE(80)硬化ヒマシ油 0.50
チョウザメの卵抽出液(2a) 0.50
L−アルギニン 2.00
L−セリン 0.50
ピロリドンカルボン酸ナトリウム 0.10
カルボキシビニルポリマー 0.05
水酸化カリウム 0.01
防腐剤 適量
精製水 全量が100.00となる量
実施例4
(美容液)
下記の配合成分を常法に従って配合して調製した。
[配合成分] [質量%]
カルボキシビニルポリマー(2%水溶液) 10.00
カルボキシエチルセルロース 3.00
グリセリン 10.00
植物抽出液 0.50
トリエタノールアミン 0.15
メチルパラベン 0.10
クインシード液(1%水溶液) 10.00
ヒアルロン酸ナトリウム液(1%水溶液) 4.00
チョウザメの卵抽出液(1b) 5.00
L−アルギニン 2.00
精製水 全量が100.00となる量
実施例5
(パック)
下記の配合成分を常法に従って配合して調製した。
[配合成分] [質量%]
ヒドロキシエトキシセルロース 3.00
カルボキシビニルポリマー(2%水溶液) 10.00
ポリオキシエチレンオレイルエーテル(15EO) 1.00
チョウザメの卵抽出液(1b) 1.50
L−アルギニン 2.00
エタノール 5.00
防腐剤 適量
精製水 全量が100.00となる量
実施例6
(洗顔クリーム)
下記の配合成分を常法に従って配合して調製した。
[配合成分] [質量%]
ステアリン酸 4.00
ヤシ油脂肪酸 8.00
水酸化カリウム 0.20
1,3−ブチレングリコール 3.00
濃グリセリン 5.00
チョウザメの卵抽出液(1b) 2.50
ジステアリン酸ジエチレングリコール 1.00
L−アルギニン 2.00
エデト酸二ナトリウム 0.05
安息香酸ナトリウム 0.10
精製水 全量が100.00となる量
実施例7
(液状ファンデーション)
下記の配合成分を常法に従って配合して調製した。
[配合成分] [質量%]
ステアリン酸 4.50
スクワラン 8.00
ミリスチン酸イソプロピル 6.00
プロピルパラベン 0.10
トリエタノールアミン 1.00
グリセリン 2.50
メチルパラベン 0.10
酸化チタン 10.00
タルク 4.00
シリカ 1.00
チョウザメの卵抽出液(2a) 0.50
L−アルギニン 2.00
顔料 適量
精製水 全量が100.00となる量
実施例8
(粉白粉)
下記の配合成分を常法に従って配合して調製した。
[配合成分] [質量%]
酸化チタン 15.00
酸化亜鉛 20.00
セリサイト 4.00
シリカ 4.00
ステアリン酸亜鉛 8.00
チョウザメの卵抽出液(1b) 0.50
着色剤 適量
タルク 全量が100.00となる量
実施例9
(浴剤)
下記の配合成分を常法に従って配合して調製した。
[配合成分] [質量%]
無水硫酸ナトリウム 45.00
炭酸水素ナトリウム 50.00
ホウ酸ナトリウム 3.00
チョウザメの卵抽出液(1b) 0.10
L−アルギニン 2.00
比較例1
(比較化粧水)
実施例1において、チョウザメの卵抽出液(1b)の代わりにチョウザメの卵抽出液(1b’)を使用した以外は実施例1と同様にして比較化粧水を調製した。
比較例2
(比較クリーム)
実施例3において、チョウザメの卵抽出液(2a)の代わりにチョウザメの卵抽出液(2a’)を使用した以外は実施例3と同様にして比較クリームを調製した。
比較例3
(比較浴剤)
実施例9において、チョウザメの卵抽出液(1b)の代わりにチョウザメの卵抽出液(b’)を使用した以外は実施例9と同様にして比較浴剤を調製した。
評価例6
実施例1〜9の化粧料について、その「臭い」を、女性被験者5名により官能評価したところ、何れも生臭さが全くなく、化粧料として問題がなかった。
評価例7
比較例1〜3の化粧料について、その「臭い」を、評価例6と同様に評価したところ、生臭さが強く感じられ、化粧料として使用不可能であった。
評価例8
(保湿作用の評価)
実施例(1)と比較例(1)を女性被験者15名の左右前腕内側に0.5mLずつ毎日朝夕30日間塗擦し、30日経過後の角質水分量を水分計で計測して比較した。結果を表1に示す。ここで角質水分量は、インテグラル社(Integral Co.)製のコルネオメーター(商品名)を用いて、常法に従って測定したときの値である。
Figure 0005916799
表1から、実施例1の化粧水の保湿作用に関しては、比較例1の比較化粧水に比べて顕著に角質水分量が高く、優れていることが分かった。
評価例9
(肌状態改善作用の評価)
肌に衰えを訴えた40〜50歳台の10名の女性被験者に対して、顔全体に、実施例1の化粧水、実施例3のクリーム、比較例1の比較化粧水、及び比較例2の比較クリームについて、朝晩2回塗布してもらい、以下の判定基準に基づいて、(a)肌のうるおい感、(b)肌のつや、(c)肌のハリ、(d)肌のキメについて使用前後の肌状態について、使用開始1ヵ月後に官能評価を行った。なお、本試験期間を通して皮膚に異常を訴えた者はいなかった。
[肌状態改善度判定基準]
A 極めて改善した
B 顕著に改善した
C わずかに改善した
D 変化を認めなかった
E 増悪を感じた
「(a)肌のうるおい感」に関し、判定A〜Eとしたそれぞれの人数を表2に示す。
Figure 0005916799
「(b)肌のつや」に関し、判定A〜Eとしたそれぞれの人数を表3に示す。
Figure 0005916799
「(c)肌のハリ」に関し、判定A〜Eとしたそれぞれの人数を表4に示す。
Figure 0005916799
「(d)肌のキメ」に関し、判定A〜Eとしたそれぞれの人数を表5に示す。
Figure 0005916799
表2〜表5の結果から、肌状態改善作用について、(a)肌のうるおい感、(b)肌のつや、(c)肌のハリ及び(d)肌のキメ、の全てにおいて、実施例の方が比較例に比べ格段に優れていた。
評価例10
(肌状態改善作用の評価)
40〜50歳台の10名の女性被験者に対して、実施例9の浴剤、比較例3の比較浴剤について、200Lの湯に対して浴剤50グラムを溶解し、1日1回入浴使用してもらい、(a)肌のうるおい感、(b)肌のつや、(c)肌のハリ、(d)肌のキメについて使用前後の肌状態について、使用開始1ヵ月後に官能評価を行った。なお、本試験期間を通して皮膚に異常を訴えた者はいなかった。
肌状態改善作用について、(a)肌のうるおい感、(b)肌のつや、(c)肌のハリ及び(d)肌のキメ、の全てにおいて、実施例9の浴剤方が比較例3の比較浴剤に比べ格段に優れていた。
実施例1〜9の化粧料によって、水系から油系まで、乳化系も含め、化粧料一式を全て本発明の前記効果を奏するチョウザメの卵抽出液を含有する化粧料で統一し揃えることができた。それによって、肌に対する効果を更に奏するとともに、顧客吸引力にも優れたものが得られた。
本発明のチョウザメの卵抽出液は、皮膚又は頭髪に、優れた保湿効果、老化防止効果、美白効果をもたらすので、石鹸、洗顔料、化粧水、美容液、乳液、クリーム、パック等の基礎化粧品類;下地クリーム、ファンデーション、口紅、アイシャドウ、ほほ紅等のメイクアップ化粧品;シャンプー、リンス、トリートメント、ヘアパック、石鹸、ボディーソープ、入浴剤等のトイレタリー化粧品;ヘアトニック、ヘアリキッド、ヘアクリーム、整髪料等のヘアケア化粧品等の分野に広く利用されるものである。

Claims (11)

  1. チョウザメの卵抽出液からなる化粧料用原料の製造方法であって、
    チョウザメの卵から、「水又は30℃で水に任意の割合で相溶する有機溶媒」(B2)である、水、炭素数1〜3の1価アルコール及び多価アルコールからなる群より選ばれた1種又は2種以上の溶媒を用いてその溶媒に可溶な成分である、アミノ酸、ミネラル、糖又は低分子量タンパク質、溶解させて抽出して実質的に除いた後、
    その残渣から、「30℃で水に任意の割合では相溶しない有機溶媒」(A2)である植物油で抽出することを特徴とする化粧料用原料の製造方法
  2. 上記「水又は30℃で水に任意の割合で相溶する有機溶媒」(B2)が、水、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、1,2−ヘキサンジオール、ペンタンジオール及びグリセリンからなる群より選ばれた1種又は2種以上の溶媒である請求項1に記載の化粧料用原料の製造方法
  3. 上記「水又は30℃で水に任意の割合で相溶する有機溶媒」(B2)が、水、エタノール、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、1,2−ヘキサンジオール、ペンタンジオール及びグリセリンからなる群より選ばれた1種又は2種以上の溶媒である請求項1に記載の化粧料用原料の製造方法
  4. 上記「水又は30℃で水に任意の割合で相溶する有機溶媒」(B2)が、水又は生理食塩水である請求項1に記載の化粧料用原料の製造方法
  5. 上記植物油が、オリブ油、アボカド油、サフラワー油、パーシック油、アルモンド油、ゴマ油、コメヌカ油、トウモロコシ油及びナタネ油からなる群より選ばれた1種又は2種以上の植物油である請求項1ないし請求項4の何れかの請求項に記載の化粧料用原料の製造方法
  6. 上記植物油が、オリブ油、サフラワー油及びトウモロコシ油からなる群より選ばれた1種又は2種以上の植物油である請求項1ないし請求項4の何れかの請求項に記載の化粧料用原料の製造方法
  7. 該チョウザメの卵が塩漬け処理されていないものである請求項1ないし請求項の何れかの請求項に記載の化粧料用原料の製造方法
  8. 該チョウザメの卵が排卵卵である請求項1ないし請求項の何れかの請求項に記載の化粧料用原料の製造方法
  9. 該チョウザメの卵が、アムールチョウザメ、シロチョウザメ、シベリアチョウザメ、コチョウザメ又はベステルチョウザメの卵である請求項1ないし請求項の何れかの請求項に記載の化粧料用原料の製造方法
  10. 請求項1ないし請求項の何れかの請求項に記載の化粧料用原料の製造方法使用することを特徴とする化粧料の製造方法
  11. 上記化粧料が皮膚又は頭髪の老化防止用である請求項10に記載の化粧料の製造方法
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