JP5913988B2 - Aureobasidiumpullulans菌体抽出物を含む多機能化粧品原料 - Google Patents

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Description

本発明は、Aureobasidium pullulansの菌体からの抽出物を含む化粧品原料に関する。
本発明はまた、Aureobasidium pullulansの菌体を用いることを特徴とする、化粧品原料
の製造方法に関する。
紫外線は、皮膚細胞にダメージを与え、シミやシワなどの老化現象を引き起こす。また、皮膚細胞は、老化によって、増殖能力やコラーゲンなどの産生能力が衰える。抗老化(アンチエイジング)機能を持つ化粧品は望まれているものであるが、既存の紫外線吸収剤を利用すると、細胞毒性を持つため皮膚へのダメージも避けられない。従って、紫外線吸収作用があり、細胞へのダメージを与えないだけでなく、細胞増殖促進作用やコラーゲン産生促進作用等の機能を併せ持つ化粧品原料があれば、抗老化化粧品として期待できる。
従来の化粧品原料・紫外線吸収剤は、化学合成品、または植物由来の成分があるが、皮膚細胞へ毒性が認められるため、ポジティブリストによる使用量の制限などで管理されている。消費者、特に肌が敏感な人は、細胞毒性がより低い安全な化粧品を望んでいる。
一方、藻類や貝類の水生生物、酵母やカビ類などの微生物は、紫外線吸収物質であるマイコスポリン及びマイコスポリン様アミノ酸を産生することが知られ、数十種もの物質が知られている。特許文献1では、貝類から抽出されたマイコスポリン様アミノ酸3種についての線維芽細胞増殖作用を確認しているが、化合物によって効果の程度が異なっている。
Aureobasidium pullulansは、一般的に黒酵母という名称で知られ、酵母型(形)と菌
糸型(形)の形態を持つ二形性真菌である。特許文献2に記載されるように、β−グルカン(特に、β−1,3−1,6−グルカン)を培養液中(菌体外)に多く産生し、それらの生産に利用されている。β−グルカンやβ−グルカン含有培養液は、健康食品や化粧品にも利用され、特許文献2にも保湿作用があると記載されているが、保湿以外の化粧品原料に適用すること、およびその作用についての記載はない。
特許文献3には、β−グルカンやβ−グルカン含有培養液の様々な有用性が記載され、紫外線照射に対する細胞死抑制効果についても記載されてはいるが、MGG(Mycosporine-glutaminol-glucoside)のような紫外線吸収作用はなく、皮膚表面の物理的な保護が作用機作である。更に、特許文献3には、化粧品原料として、細胞増殖促進作用やコラーゲン産生促進等の作用は、報告されていない。
非特許文献1では、Aureobasidium pullulansが、マイコスポリン類の一種であるMG
Gを産生し、且つ、他菌種と比較して産生量が多いことが示唆されているが、Aureobasidium pullulansは1菌株についての実施例があるのみであり、また、Aureobasidium pullulansの培養において、培地への10%NaCl添加によるMGG産生量の増加効果があったとされるものの、この培養条件は、光照射を行い、1ヶ月もの培養期間を要し、培地成分も充分に検討されていない。Aureobasidium pullulansの通常の商業的な液体培養では
、β−グルカンなどの多糖を菌体外に産生するため、培地の粘性が非常に高くなる。また、化粧品原料として好ましくないメラニン色素(褐色〜黒)やそれを産生する厚膜胞子等、更には、菌糸や菌糸塊(ペレット)を形成する事例がほとんど全てであり、Aureobasidium pullulansの酵母型菌体のみを培養、分取する事例はなく、酵母型菌体の抽出物を取
り扱う事例もなかった。
特開2007−16004号公報 特開2006−75076号公報 特開2002−204687号公報
T.Kogej et al., Environ.Chem 2006,3,105-110.
本発明は、肌にやさしい微生物由来成分による紫外線吸収作用、細胞増殖促進作用、およびコラーゲン産生促進作用等の機能を有する化粧品原料を提供することを課題とする。
本発明は、上記課題を解決するため、Aureobasidium pullulans IDF−23(FERM P-22141)株またはその変異株の菌体抽出物を含む化粧品原料を提供する。
すなわち、本発明の要旨は、以下の通りである。
(1)Aureobasidium pullulans IDF−23(FERM P-22141)株またはそ
の変異株の菌体抽出物であって、MGGを含有する菌体抽出物を含む化粧品原料。
(2)Aureobasidium pullulans IDF−23(FERM P-22141)株またはそ
の変異株が酵母型菌体である、(1)に記載の化粧品原料。
(3)菌体抽出物が、さらに水溶性糖類を含む、(1)または(2)に記載の化粧品原料。
(4)菌体抽出物が、1〜50%のエタノール水溶液又はブチレングリコール水溶液による抽出物である、(1)〜(3)のいずれかに記載の化粧品原料。
(5)(1)〜(4)のいずれかに記載の化粧品原料を含む化粧品。
(6)Aureobasidium pullulans IDF−23(FERM P-22141)株またはそ
の変異株を培養すること、および該株の培養菌体からMGG画分を抽出することを含む、化粧品原料の製造方法。
(7)Aureobasidium pullulans IDF−23(FERM P-22141)株またはそ
の変異株が酵母型菌体である、(6)に記載の方法。
(8)前記画分が、水溶性糖類を含む、(6)または(7)に記載の方法。
(9)抽出を、1〜50%のエタノール水溶液又はブチレングリコール水溶液を用いて行う、(6)〜(8)のいずれかに記載の方法。
(10)(6)〜(9)のいずれかに記載の方法によって化粧品原料を製造し、得られた化粧品原料を化粧品に配合することを含む、化粧品の製造方法。
本発明により、紫外線吸収作用、細胞増殖促進作用、コラーゲン産生促進作用などの機能を併せ持つ化粧品原料が効率よく得られる。すなわち、本発明により、皮膚細胞毒性が非常に低いが、紫外線から肌を守り細胞を活性化するという、安全性の高い抗老化化粧品を提供することができる。
本発明のAureobasidium pullulans IDF−23株(FERM AP-22141)、
特にその酵母型菌体はMGGの産生量が高い。これにより、化粧品原料を安定かつ大量に供給することが可能である。
UV−B照射による細胞死回避試験の結果を示す。 線維芽細胞増殖促進試験の結果を示す。 I型コラーゲン産生促進試験の結果を示す。 UV−B照射によるプロスタグランジンE2抑制効果を示す。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の化粧品原料は、Aureobasidium pullulans IDF−23株(FERM AP-
22141)またはその変異株の菌体抽出物であって、該菌体抽出物はMGGを含有することを特徴とする。当該抽出物は、フコース、ガラクトース、オリゴ糖などの水溶性糖類およびMGG(Mycosporine-glutaminol-glucoside)を含むことが好ましい。
Aureobasidium pullulans IDF−23株は、独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センター(茨城県つくば市東1丁目1番地1中央第6)に寄託され、FERM P-22141の受託番号が付与されている。
MGGを大量に生産できる限り、IDF−23株(FERM P-22141)の変異
株でもよい。変異株は、MGGの生産量が、好ましくは、元株の80%以上である。また変異株は、元株の塩基配列が1塩基以上、全配列の15%以下(好ましくは5%以下、より好ましくは1%以下、さらに好ましくは0.1%以下)置き換わっているものを含む。また変異株とは、自然発生的な変異でもよいが、紫外線照射又は放射線照射によって変異するものも含む。
Aureobasidium pullulansIDF−23株は菌糸型でもよいが、酵母型菌体を用いるこ
とが好ましい。ここで、酵母型菌体とは、出芽して胞子を形成できる形態によって特徴づけられる。
Aureobasidium pullulansIDF−23株を培養するための培地は、該株が良く生育し
うるものであればよく、炭素源、窒素源、無機塩類および必要により微生物の生育に好適なアミノ酸等の成分を含むものが用いられる。炭素源としてはグルコース、デンプン、廃糖蜜等の糖類や有機酸や酢酸ソーダなどが使用でき、特にグルコース等の糖類が好適である。また、窒素源としてはアンモニウム塩、酵母エキス、コーンスティープリカー、ペプトンなどがあり、無機塩類としてはマグネシウム塩、カルシウム塩、リン酸塩、鉄塩、銅塩などがある。
Aureobasidium pullulansIDF−23株の酵母型菌体を培養するためには、ペプトン
、大豆ペプトン、硫酸アンモニウム、尿素、酢酸、アスコルビン酸、クエン酸等を培地に含有させることが好ましい。
その他の培養条件、たとえば温度、培養時間は、培地組成や目的とする菌体の生産性を考えて好ましい条件を設定すればよい。通常は20〜35℃、好ましくは22〜30℃、pHは3〜7、好ましくは3.5〜6.5にて72時間〜240時間、好ましくは96時間〜168時間行えばよい。
菌体の回収は、遠心分離法、濾過法などによって行うことができる。菌体の回収後、好ましくは菌体の乾燥処理を行う。菌体の乾燥は、例えば、凍結乾燥機、真空乾燥機、気流乾燥機等(特開平5−17796公報を参照)によって行うことができる。
菌体からの抽出は、MGGが抽出される条件であれば特に制限はないが、極性溶媒を用いて行うことが好ましい。使用される極性溶媒としては、水、またはアルコール(メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブチレングリコールなど)もしくはアセトンなどの極性有機溶媒の水溶液が挙げられる。極性有機溶媒の水溶液の濃度としては、1〜50%が好ましい。さらに好ましくは1〜20%である。特に化粧品への応用の点からエタノール又はブチレングリコールの水溶液が望ましく、1〜50%のエタノール又はブチレングリコールがより好ましい。さらに好ましくは1〜20%である。溶媒を用いての抽出は、通常の条件下で行うことができる。例えば、1〜50%エタノールを用いた場合の抽出条件は、通常5〜80℃、好ましくは20〜50℃において、菌体に溶媒を加えて0.5〜12時間、好ましくは1〜6時間インキュベートする条件である。
抽出操作の後、活性炭充填カラムなどのカラムを用いて夾雑物の除去を行ってもよい。
抽出物にMGGが含まれることは、例えば、分光光度計でMGGの紫外線吸収(310nm)を測定することにより確認することができる。
本発明において、抽出物は、紫外線吸収作用、細胞増殖促進作用、およびコラーゲン産生促進作用を有することが好ましい。MGGは紫外線吸収最大波長310nmであるため、日焼け、しみ、そばかすの原因となるUV−B(波長:290〜320nm)照射を吸収する。例えば、MGGによる表皮細胞の細胞死の回避効果および刺激誘発物質(プロスタグランジンE2)の抑制効果に基づいて紫外線吸収作用を検討することができる。
表皮細胞の細胞生存率(Cell Viability)は、細胞が死滅する照射量でUV−B照射を行った後、生細胞数測定試薬により調べることができる。
また、プロスタグランジンE2は、皮膚が紫外線を浴びることにより誘導されて皮膚細
胞に炎症を起こすため、プロスタグランジンE2の産生の抑制についても、紫外線吸収作
用の判断基準として試験することができる。プロスタグランジンE2の産生は通常の測定
試薬を用いて測定することができる。
また、コラーゲン産生促進作用は、ELISAなどによりI型コラーゲン等の量を定量することにより調べることができる。紫外線の影響でコラーゲンが分解され、線維芽細胞でのコラーゲンの合成が低下するのを防ぐことができる。
本発明の化粧品原料は、Aureobasidium pullulansIDF−23株の菌体抽出物中に含
まれるMGG濃度が、化粧品原料全量に対して好ましくは0.01〜90重量%、より好ましくは0.1〜70重量%、さらに好ましくは1〜50質量%である。
本発明の化粧品原料を、通常の化粧品材料と配合して、化粧品を製造することができる。化粧品としては、乳液、石鹸、洗顔料、入浴剤、クリーム、乳液、化粧水、オーデコロン、ひげ剃り用クリーム、ひげ剃り用ローション、化粧油、日焼け・日焼け止めローション、おしろいパウダー、ファンデーション、香水、パック、爪クリーム、エナメル、エナメル除去液、眉墨、ほお紅、アイクリーム、アイシャドー、マスカラ、アイライナー、口紅、リップクリーム、シャンプー、リンス、染毛料、分散液、洗浄料等が挙げられる。
化粧品中のMGGの好ましい含有量は、化粧品全量に対して0.001〜10重量%であり、好ましくは0.005〜5重量%であり、より好ましくは0.01〜1重量%である。
また、本発明の化粧品には、本発明の効果を損なわない範囲で化粧品に配合される成分、油分、高級アルコール、脂肪酸、紫外線吸収剤、粉体、顔料、界面活性剤、多価アルコール・糖、高分子、生理活性物質、溶媒、酸化防止剤、香料、防腐剤等を配合することができる。
以下に、実施例を挙げて、本発明について更に詳細に説明を加えるが、本発明が、これら実施例にのみ、限定を受けないことは言うまでもない。培地の成分ならびに試料及びMGGの濃度は特記しない限り重量%である。
実施例1:MGG産生量比較試験
MGGの生産性が高いと考えられる酵母やカビ類11菌株(Rhodotorula属、Diozegia
属、Cryptcoccus属、Aureobasidium属)について、液体培養を行い、菌体を回収し、MGG産生量を比較した。培養及びMGG測定法は以下の通りとした。
培養及びMGG測定法
グルコース3%、大豆ペプトン0.5%、アスコルビン酸ナトリウム0.1%、リン酸
1カリウム0.1%、硫酸マグネシウム・7水和物0.05%、酵母エキス0.3%、金属塩類溶液0.1%(硫酸第一鉄・7水和物0.5%、塩化カルシウム・2水和物0.05%、硫酸銅・5水和物0.01%、硫酸亜鉛・7水和物0.05%、塩化マンガン・4水和物0.05%)の液体培地で、25℃、120rpm、6日間振とう培養を行い、遠心分離(8000rpm,5min.)で上清と菌体を分離、回収した。上清は、そのまま、もしくは、水で希釈し、測定用試料とした。菌体は、凍結乾燥した後、秤量、水を加え攪拌し、室温で2時間静置、遠心分離(12000rpm,10min.)した上清を希釈し、測定用試料とした。それぞれの測定用試料を分光光度計(日立製作所製)で紫外線吸収スペクトルを測定し、MGG産生量(g/L)を算出した(吸収極大310nm、吸光係数25000、分子量464)。LC−MS解析により、この物質がMGGであることが確認された。(FEMS Microbiol Lett 255(2006)286-295)
その結果、Aureobasidium pullulansは、培養液あたりのMGG産生量が相対的に高い
ことがわかった。更に、独自に形態的にAureobasidium属とみられる49菌株を環境中よ
り分離し、これらについても同様の比較を行った結果、IDF−23株のMGG生産能が特に高いことが確認された。又、IDF−23株以外のAureobasidium pullulansは、プ
ルラン、β−グルカン等によると考えられる培養液中の粘性が高く、菌糸や菌糸塊(ペレット)を生じるため、遠心分離による培養液と菌体の分離操作が困難であった。更に、これらの菌糸や厚膜胞子を形成した株は、培養上清や菌体が着色(黒色・緑灰色)し、菌体外(上清)へのMGGの流失が確認された。代表的な菌株について、MGG産生量(g/L)と観察結果を表1に示す。なお、IDF−23株は、形態および遺伝的解析において、Aureobasidium pullulansと同定された。
実施例2:IDF−23株による培地検討
培地(1)として、グルコース3%、酵母エキス0.3%、大豆ペプトン0.5%、アス
コルビン酸0.1%、リン酸1カリウム0.1%、硫酸マグネシウム・7水和物0.05%、金属塩類溶液0.1%(硫酸第一鉄・7水和物0.5%、塩化カルシウム・2水和物0.05%、硫酸銅・5水和物0.01%、硫酸亜鉛・7水和物0.05%、塩化マンガン・4水和物0、05%)、培地(2)として、グルコース3%、酵母エキス0.3%、ペ
プトン0.5%、酢酸ナトリウム・三水和物0.3%、硫酸アンモニウム0.15%、リン酸1カリウム0.1%、硫酸マグネシウム・7水和物0.05%、金属塩類溶液0.1%(硫酸第一鉄・7水和物0.5%、塩化カルシウム・2水和物0.05%、硫酸銅・5
水和物0.01%、硫酸亜鉛・7水和物0.05%、塩化マンガン・4水和物0、05%)の液体培地(1)、(2)各100ml中、25℃、120rpmの条件で、IDF−23株を6日間振とう培養した。その後、遠心分離(8000rpm,5min.)で上清と菌体とに分離した。上清はそのまま、もしくは、水希釈したものを測定試料とし、菌体は、凍結乾燥した後、秤量、水を加え攪拌し、室温で2時間静置、遠心分離(12000rpm,10min.)した上清を希釈し測定試料とした。上清、菌体のそれぞれの試料について分光光度計で紫外線吸収スペクトルを測定し、MGG産生量を比較した。MGG量は、培地(1)では、上清で検出限界以下、菌体からは、0.03g、培地(2)では、上清にMGGが0.004g、菌体に0.006gであり、MGGの産生量が少ない上、上清への流出が確認された。培地(1)は、酵母型菌体が産生され、培地全体がピンク色であるのに
対し、培地(2)では、菌糸と厚膜胞子様が観察され、培地全体が緑灰色であった。MGG
を安定的に得るには、酵母型菌体を優先的に産生する条件が望ましいことがわかった。
製造例1:試料(組成物)の調製法
前出の条件(培養及びMGG測定法)で培養、回収、凍結乾燥まで行った菌体を10.0g秤量し、10%エタノール含有水200mlを加え、マグネチックスターラーで、2時間攪拌後、遠心分離(10000rpm.5min.)し、上清を凍結乾燥し、抽出物とした。抽出物を水に溶解し、活性炭充填カラム(活性炭30.0g、ガラスカラム径3.8cm)に添加し、水500mlで夾雑物を洗浄し、15%エタノール含有水500mlで溶出液を得て、これを凍結乾燥し、試料とした。試料のMGG含有濃度は、20%であった。
実施例3:紫外線防御効果(UV−B照射による細胞死回避試験)
正常ヒト表皮細胞をK−SFM培地で24時間培養(5%CO2、37℃)し、試料水
溶液(濃度1%、フィルター滅菌)を試料濃度0.1%(MGG濃度0.02%)になるように添加した。UV−B照射は、半数以上の細胞が死滅する500mJ/cm2で実施
した。試料水溶液の添加は、照射の6時間前、照射直前、に添加し、照射から、更に24時間培養後、細胞生存率として、生細胞数測定試薬SF(WST−8)で吸光度を測定した。
結果は、無添加区は、未照射区(100%)と比較し、Cell Viabilityが約32%と低いが、照射の6時間前添加区、直前添加区では、Cell Viabilityがいずれも100%以上でUV−Bによるダメージを完全に回避した。特に6時間前添加区では、未照射区よりCell Viabilityが約37%も増加し、細胞死回避効果だけでなく、細胞増殖促進効果が確認された。直前添加区においても、大きくはないが、細胞増殖促進が確認された。結果を図1に示す。
実施例4:線維芽細胞増殖試験
ヒト正常線維芽細胞を10%FBS添加DMEM培地を使用し、培養(5%CO2、3
7℃)、分注し、翌日、試料濃度が0.1%(MGG濃度0.02%)、0.01%(MGG濃度0.002%)、0.001%(MGG濃度0.0002%)になるように添加調整後、3日間培養し、生細胞数測定試薬SF(WST−8)で、吸光度を測定した。
その結果、無添加区と比較して、0.1%添加区、0.01%添加区、0.001%添加区のいずれも細胞増殖傾向が確認されたが、特に0.1%添加区では、26%の増加が確認された。これは、細胞毒性がない、ということも同時に示すものである。結果を図2に示す。
実施例5:I型コラーゲン産生促進試験
前述の線維芽細胞試験の試料添加3日後の培養上清をヒトコラーゲンタイプ1ELISAキット(エーシーバイオテクノロジー社製)により、添付プロトコールに従い測定した。
その結果、無添加区と比較して、I型コラーゲン産生促進効果が確認され、特に、0.1%添加区では、産生量が40%促進された。結果を図3に示す。
実施例6:UV−B照射による刺激誘発物質(プロスタグランジンE2)抑制効果
正常ヒト表皮細胞をHuMedia−KG2培地で24時間培養(5%CO2、37℃)した後、試料添加区は、試料水溶液を0.1%(MGG濃度0.02%)含有したHuMedia−K
B2培地に交換後、24時間培養した。更に、試料水溶液を0.1%(MGG濃度0.02%)含有したハンクス緩衝液と交換し、UV−Bランプを照射(25mJ/cm2)した後
、再度、同様のKB2培地に交換し、24時間培養した。培養後の上清中に含まれるプロスタグランジンE2のウェルあたりの量を、Prostaglandin E2 Express EIA Kit-Monoclonal(Cayman Chemical Company)を用い、添付のプルトコールに従い測定した。
その結果、試料無添加・UV−B未照射区で、プロスタグランジンE2量は463.4
pg、試料無添加・UV−B未照射区で642.6pg、とUV−Bを照射することにより増加するが、試料添加・UV−B照射区では、514.6pgと抑制された。結果を図4に示す。
本発明の化粧品原料は、化粧品の分野で有用である。

Claims (9)

  1. Aureobasidium pullulansIDF−23(FERM P-22141)株またはその変異株の菌体抽出物であって、MGGを含有する菌体抽出物を含む化粧品原料。
  2. Aureobasidium pullulansIDF−23(FERM P-22141)株またはその変異株が酵母型菌体である、請求項1に記載の化粧品原料。
  3. 菌体抽出物が、さらに水溶性糖類を含む、請求項1または2に記載の化粧品原料。
  4. 請求項1〜のいずれか1項に記載の化粧品原料を含む化粧品。
  5. Aureobasidium pullulansIDF−23(FERM P-22141)株またはその変異株を培養すること、および該株の培養菌体からMGG画分を抽出することを含む、化粧品原料の製造方法。
  6. Aureobasidium pullulansIDF−23(FERM P-22141)株またはその変異株が酵母型菌体である、請求項に記載の方法。
  7. 前記画分が、水溶性糖類を含む、請求項またはに記載の方法。
  8. 抽出を、1〜50%のエタノール水溶液又はブチレングリコール水溶液を用いて行う、請求項のいずれか1項に記載の方法。
  9. 請求項のいずれか1項に記載の方法によって化粧品原料を製造し、得られた化粧品原料を化粧品に配合することを含む、化粧品の製造方法。
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