JP5903366B2 - ヘッドモジュール間の位置ずれ解析方法、プログラム、および、インクジェットヘッドの調整方法 - Google Patents

ヘッドモジュール間の位置ずれ解析方法、プログラム、および、インクジェットヘッドの調整方法 Download PDF

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Description

本発明はヘッドモジュール間の位置ずれ解析方法、プログラム、および、インクジェットヘッドの調整方法に関する。
インクジェット描画の分野では、高い描画解像度と高生産性を実現するために、多数のノズルを二次元状に配列したヘッドモジュールを形成し、これを記録媒体幅方向に複数個並べて記録媒体全幅の描画領域をカバーする長尺のヘッド(フルライン型ヘッド)を構成している。この長尺ヘッドの幅方向と直交する方向に記録媒体を1回だけ相対走査を行なうことにより、記録媒体上に画像を形成するインクジェット描画方式(シングルパス方式)が知られている。
このように、ヘッドモジュールを複数個並べてインクジェットヘッドを形成した場合、精度良くヘッドモジュールの繋ぎ合わせを行わないと、ヘッドモジュール全体が隣り合うモジュールのいずれかの方向に移動(シフト)するため、ヘッドモジュールの繋ぎ合わせ部において、ノズル間隔が異なり、形成される画像品質が低下するという課題があった。
このような課題を解決するため、例えば下記の特許文献1には、隣り合う短尺ヘッドのそれぞれの記録を行い、記録パターンを形成し、位置を検出することが記載されている。また、下記の特許文献2には、所定濃度の小パターンを印刷し、印刷された画像部分の濃度の差に基づいて、ノズル列の位置を決定することが記載されている。
特開2002−79657号公報 特開2011−73185号公報
しかしながら、特許文献1に記載されている方法では、精度が十分でなく、更なる精度向上が必要であった。また、特許文献2に記載されている方法では、濃度測定により適切な位置を決定させているため、吐出滴体積のばらつきの影響を受ける、チャート濃度により結果が変わるという課題があった。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、精度良くモジュール間の着弾位置ずれシフト量を測定できるヘッドモジュール間の位置ずれ解析方法、プログラム、および、インクジェットヘッドの調整方法を提供することを目的とする。
本発明は前記目的を達成するために、液体を吐出する複数のノズルが配置されたヘッドモジュールを複数接続して繋ぎ合わせ、隣り合うヘッドモジュール同士には重ね合わせ領域を有するインクジェットヘッドのヘッドモジュール間の位置ずれ解析方法であって、ヘッドモジュールによる印字パターン作成時に、各ノズルにより形成されるノズルラインについて、所定の分割数で分割された各分割パターンの中では、該分割数に対応するノズル数を隔てたノズルから吐出されたノズルラインが隣接して並ぶよう、分割パターンを作成する分割パターン作成工程と、分割パターン作成工程で作成した分割パターンを用いて、各ノズルラインの位置を測定する測定工程と、重ね合わせ領域の各ノズルラインについて、他のノズルラインの測定位置から近似曲線を作成して各ノズルラインがあるべき位置を求め、当該あるべき位置と各ノズルラインの測定位置との差である着弾位置ずれ量を求め、ヘッドモジュール同士が位置ずれしたことによる各ノズルラインの位置ずれシフト量の相対値である変換係数を求める変換係数計算工程と、着弾位置ずれ量の測定誤差を計算するために用いる総ノズル数を選択し、当該総ノズル数分のノズルラインの変換係数を用いて、モジュール間の着弾位置ずれ量の測定誤差である標準誤差を計算し、前記総ノズル数を変更して前記標準誤差の最小値を求める標準誤差計算工程と、所定の分割数を変更し、変更後の分割パターンで、測定工程、変換係数計算工程および標準誤差計算工程を行う繰り返し工程と、標準誤差の値が最小となる分割数、および総ノズル数を決定する決定工程と、決定工程により決定した分割数の分割パターンにおける、決定した総ノズル数のノズルラインの位置ずれシフト量の平均からヘッドモジュール間の位置ずれシフト量を計算するシフト量計算工程と、を有するヘッドモジュール間の位置ずれ解析方法を提供する。
本発明によれば、印字パターンの分割数、および、各分割数の分割パターンにおける標準誤差の計算に使用するノズル数を変更することで、ヘッドモジュール間の位置ずれシフト量標準誤差の最小値を求めている。したがって、標準誤差の最小値となる分割数、ノズル数によりヘッドモジュール間の位置ずれシフト量を計算することで、ヘッドモジュール間の位置ずれシフト量の精度を向上させることができる。
また、分割パターン作成工程の分割をノズルラインの間隔が等しい等分割としているので、パターンの作成を容易に行うことができる。また、目視で確認した場合においても、吐出状態の良し悪しを判断することができる。
本発明の他の態様に係るヘッドモジュール間の位置ずれ解析方法は、決定工程後に、決定工程により決定した分割数で、少なくとも1つ以上のノズルを他方のモジュールのノズルに変更し、分割パターンを作成する分割パターン変更工程を有し、分割パターン変更工程後の分割パターンで、変換係数計算工程と、標準誤差計算工程と、を行うことが好ましい。
本発明の他の態様に係るヘッドモジュール間の位置ずれ解析方法によれば、ノズルの間隔を等しい分割パターンを作成し、分割数、ノズル数を決定した後、決定した分割パターンで、さらに、少なくとも1つ以上のノズルを他のモジュールでノズルに変更し、同様の方法で標準誤差を計算している。形成される分割パターンが、ノズルを隣り合うモジュール同士で入れ替わるパターンを増やしているため、標準誤差をより小さくすることができるので、Δxの精度をさらに向上させることができる。
本発明の他の態様に係るヘッドモジュール間の位置ずれ解析方法は、標準誤差を、変換係数×ランダム着弾ずれ/√(計算に使う総ノズル数)で計算することが好ましい。
本発明の他の態様に係るヘッドモジュール間の位置ずれ解析方法によれば、標準誤差は上記式で計算することができる。
本発明の他の態様に係るヘッドモジュール間の位置ずれ解析方法は、標準誤差計算工程において、変換係数の小さいノズルから使用し、標準誤差偏差を計算することが好ましい。
本発明の他の態様に係るヘッドモジュール間の位置ずれ解析方法によれば、変換係数の小さいノズルを用いて標準誤差を計算することで、標準誤差を小さくすることができ、Δxの精度を向上させることができる。
本発明の他の態様に係るヘッドモジュール間の位置ずれ解析方法は、近似曲線に用いられるノズルの数が、該当するノズルの両側のそれぞれ15本を用いることが好ましい。
本発明の他の態様に係るヘッドモジュール間の位置ずれ解析方法によれば、近似曲線の作成に用いる周囲のノズルとして、ずれ量を測定するノズルの両側15本とすることで、所望の精度でずれ量を求めることができる。
本発明は前記目的を達成するために、上記記載のヘッドモジュール間の位置ずれ解析方法をコンピュータに起動させるためのプログラムを提供する。
本発明によれば、上記記載のヘッドモジュール間の位置ずれ解析方法をプログラムとして用いることができる。
本発明は前記目的を達成するために、上記記載のヘッドモジュール間の位置ずれ解析方法により測定したヘッドモジュール間の位置ずれシフト量Δxを用いて、ヘッドモジュール間の位置を調整するインクジェットヘッドの調整方法を提供する。
本発明によれば、ヘッドモジュール間の位置ずれシフト量Δxを精度良く求めることができるので、このΔxに基づいてインクジェットヘッドを調整することで、位置ずれシフト量Δxを小さくすることができる。
本発明のヘッドモジュール間の位置ずれ解析方法、プログラムおよび、インクジェットヘッドの調整方法によれば、標準誤差が小さくなる印字パターンの分割数、ノズル数を事前に求めて、ヘッドモジュール間の位置ずれシフト量を求めているので、位置ずれシフト量の精度を向上させることができる。また、この位置ずれシフト量に基づいてヘッドモジュールの調整を行なうことで、さらに、位置ずれシフト量を小さくすることができる。
インクジェット記録装置の全体構成図である。 図1に示すインクジェットヘッドの構成例を示す平面図である。 図2の一部拡大図である。 図2に示すヘッドモジュールの平面透視図である。 ヘッドモジュール間の着弾位置ずれシフト量の計算方法を示すフローチャート図である。 12分割で分割パターンを作成した解析チャート図である。 モジュールつなぎ付近のノズル配置(a)、(b)、および、打滴位置とノズルとの関係(c)を示す図である。 12分割の分割パターンでのノズルラインとモジュールの関係を示す図である。 12分割の分割パターンでのノズルラインA1(a)、A2(b)の近似曲線作成のための、ノズルと座標の関係を示す表図である。 12分割の分割パターンでのノズルラインと変換係数の関係を示す表図である。 12分割の分割パターンでの総ノズル数と標準誤差の関係を示す表図である。 11分割の分割パターンでのノズルラインとモジュールの関係を示す図である。 11分割の分割パターン3のノズルラインA1の近似曲線作成のための、ノズルと座標の関係を示す表図である。 10分割の分割パターンでのノズルラインとモジュールの関係を示す図である。 10分割の分割パターンでの総ノズル数と標準誤差の関係を示す表図である。 分割数、総ノズル数と標準誤差の関係を示す表図である。 11分割の等分割パターンを非等分割パターンにする一例を示す図である。 図17の非等分割パターン3のノズルラインA1の近似曲線作成のための、ノズルと座標の関係を示す表図である。 図17の非等分割パターンでの総ノズル数と標準誤差の関係を示す表図である。 ヘッドモジュールの形状の他の例を示す図である。
以下、添付図面に従って本発明の好ましい実施の形態について説明する。
まず、本発明が適用されるヘッドモジュール、複数のヘッドモジュールからなるインクジェットヘッド、インクジェットヘッドを有するインクジェット記録装置について説明する。
≪インクジェット記録装置の全体構成≫
まず、インクジェット記録装置の全体構成について説明する。図1は、インクジェット記録装置の全体構成を示した構成図である。
このインクジェット記録装置10は、描画部16の圧胴(描画ドラム70)に保持された記録媒体24(便宜上「用紙」と呼ぶ場合がある。)にインクジェットヘッド72M、72K、72C、72Yから複数色のインクを打滴して所望のカラー画像を形成する圧胴直描方式のインクジェット記録装置であり、インクの打滴前に記録媒体24上に処理液(ここでは凝集処理液)を付与し、処理液とインク液を反応させて記録媒体24上に画像形成を行なう2液反応(凝集)方式が適用されたオンデマンドタイプの画像形成装置である。
図示のように、インクジェット記録装置10は、主として、給紙部12、処理液付与部14、描画部16、乾燥部18、定着部20、および排出部22を備えて構成される。
(給紙部)
給紙部12は、記録媒体24を処理液付与部14に供給する機構であり、当該給紙部12には、枚葉紙である記録媒体24が積層されている。給紙部12には、給紙トレイ50が設けられ、この給紙トレイ50から記録媒体24が一枚ずつ処理液付与部14に給紙される。
本例のインクジェット記録装置10では、記録媒体24として、紙種や大きさ(用紙サイズ)の異なる複数種類の記録媒体24を使用することができる。給紙部12において各種の記録媒体をそれぞれ区別して集積する複数の用紙トレイ(不図示)を備え、これら複数の用紙トレイの中から給紙トレイ50に送る用紙を自動で切り換える態様も可能であるし、必要に応じてオペレータが用紙トレイを選択し、若しくは交換する態様も可能である。なお、本例では、記録媒体24として、枚葉紙(カット紙)を用いるが、連続用紙(ロール紙)から必要なサイズに切断して給紙する構成も可能である。
(処理液付与部)
処理液付与部14は、記録媒体24の記録面に処理液を付与する機構である。処理液は、描画部16で付与されるインク中の色材(本例では顔料)を凝集させる色材凝集剤を含んでおり、この処理液とインクとが接触することによって、インクは色材と溶媒との分離が促進される。
図1に示すように、処理液付与部14は、給紙胴52、処理液ドラム54、および処理液塗布装置56を備えている。処理液ドラム54は、記録媒体24を保持し、回転搬送させるドラムである。処理液ドラム54は、その外周面に爪形状の保持手段(グリッパー)55を備え、この保持手段55の爪と処理液ドラム54の周面の間に記録媒体24を挟み込むことによって記録媒体24の先端を保持できるようになっている。処理液ドラム54は、その外周面に吸着穴を設けるとともに、吸着穴から吸引を行なう吸引手段を接続してもよい。これにより記録媒体24を処理液ドラム54の周面に密着保持することができる。
処理液ドラム54の外側には、その周面に対向して処理液塗布装置56が設けられる。処理液塗布装置56は、処理液が貯留された処理液容器と、この処理液容器の処理液に一部が浸漬されたアニックスローラと、アニックスローラと処理液ドラム54上の記録媒体24に圧接されて計量後の処理液を記録媒体24に転移するゴムローラとで構成される。この処理液塗布装置56によれば、処理液を計量しながら記録媒体24に塗布することができる。
処理液付与部14で処理液が付与された記録媒体24は、処理液ドラム54から中間搬送部26を介して描画部16の描画ドラム70へ受け渡される。
(描画部)
描画部16は、描画ドラム(第2の搬送体)70、用紙抑えローラ74、およびインクジェットヘッド72M,72K,72C,72Yを備えている。描画ドラム70は、処理液ドラム54と同様に、その外周面に爪形状の保持手段(グリッパー)71を備える。描画ドラム70に固定された記録媒体24は、記録面が外側を向くようにして搬送され、この記録面にインクジェットヘッド72M,72K,72C,72Yからインクが付与される。
インクジェットヘッド72M,72K,72C,72Yはそれぞれ、記録媒体24における画像形成領域の最大幅に対応する長さを有するフルライン型のインクジェット方式の記録ヘッド(インクジェットヘッド)とすることが好ましい。インク吐出面には、画像形成領域の全幅にわたってインク吐出用のノズルが複数配列されたノズル列が形成されている。各インクジェットヘッド72M,72K,72C,72Yは、記録媒体24の搬送方向(描画ドラム70の回転方向)と直交する方向に延在するように設置される。
描画ドラム70上に密着保持された記録媒体24の記録面に向かって各インクジェットヘッド72M,72K,72C,72Yから、対応する色インクの液滴が吐出されることにより、処理液付与部14で予め記録面に付与された処理液にインクが接触し、インク中に分散する色材(顔料)が凝集され、色材凝集体が形成される。これにより、記録媒体24上での色材流れなどが防止され、記録媒体24の記録面に画像が形成される。
なお、本例では、CMYKの標準色(4色)の構成を例示したが、インク色や色数の組合せについては本実施形態に限定されず、必要に応じて淡インク、濃インク、特別色インクを追加してもよい。例えば、ライトシアン、ライトマゼンタなどのライト系インクを吐出するインクジェットヘッドを追加する構成も可能であり、各色ヘッドの配置順序も特に限定はない。
描画部16で画像が形成された記録媒体24は、描画ドラム70から中間搬送部28を介して乾燥部18の乾燥ドラム76へ受け渡される。
(乾燥部)
乾燥部18は、色材凝集作用により分離された溶媒に含まれる水分を乾燥させる機構であり、図1に示すように、乾燥ドラム76、および溶媒乾燥装置78を備えている。
乾燥ドラム76は、処理液ドラム54と同様に、その外周面に爪形状の保持手段(グリッパー)77を備え、この保持手段77によって記録媒体24の先端を保持できるようになっている。
溶媒乾燥装置78は、乾燥ドラム76の外周面に対向する位置に配置され、複数のIRヒータ82と、各IRヒータ82の間にそれぞれ配置された温風噴出しノズル80とで構成される。
各温風噴出しノズル80から記録媒体24に向けて吹き付けられる温風の温度と風量、各IRヒータ82の温度を適宜調節することにより、様々な乾燥条件を実現することができる。
また、乾燥ドラム76の表面温度は50℃以上に設定されている。記録媒体24の裏面から加熱を行なうことによって乾燥が促進され、定着時における画像破壊を防止することができる。なお、乾燥ドラム76の表面温度の上限については、特に限定されるものではないが、乾燥ドラム76の表面に付着したインクをクリーニングするなどのメンテナンス作業の安全性(高温による火傷防止)の観点から75℃以下(より好ましくは60℃以下)に設定されることが好ましい。
乾燥ドラム76の外周面に、記録媒体24の記録面が外側を向くように(即ち、記録媒体24の記録面が凸側となるように湾曲させた状態で)保持し、回転搬送しながら乾燥することで、記録媒体24のシワや浮きの発生を防止でき、これらに起因する乾燥ムラを確実に防止することができる。
乾燥部18で乾燥処理が行なわれた記録媒体24は、乾燥ドラム76から中間搬送部30を介して定着部20の定着ドラム84へ受け渡される。
(定着部)
定着部20は、定着ドラム84、ハロゲンヒータ86、定着ローラ88、およびインラインセンサ90で構成される。定着ドラム84は、処理液ドラム54と同様に、その外周面に爪形状の保持手段(グリッパー)85を備え、この保持手段85によって記録媒体24の先端を保持できるようになっている。
定着ドラム84の回転により、記録媒体24は記録面が外側を向くようにして搬送され、この記録面に対して、ハロゲンヒータ86による予備加熱と、定着ローラ88による定着処理と、インラインセンサ90による検査が行なわれる。
ハロゲンヒータ86は、所定の温度(例えば、180℃)に制御される。これにより、記録媒体24の予備加熱が行なわれる。
定着ローラ88は、乾燥させたインクを加熱加圧することによってインク中の自己分散性熱可塑性樹脂微粒子を溶着し、インクを皮膜化させるためのローラ部材であり、記録媒体24を加熱加圧するように構成される。具体的には、定着ローラ88は、定着ドラム84に対して圧接するように配置されており、定着ドラム84との間でニップローラを構成するようになっている。これにより、記録媒体24は、定着ローラ88と定着ドラム84との間に挟まれ、所定のニップ圧(例えば、0.15MPa)でニップされ、定着処理が行なわれる。
また、定着ローラ88は、熱伝導性の良いアルミなどの金属パイプ内にハロゲンランプを組み込んだ加熱ローラによって構成され、所定の温度(たとえば60〜80℃)に制御される。この加熱ローラで記録媒体24を加熱することによって、インクに含まれる熱可塑性樹脂微粒子のTg温度(ガラス転移点温度)以上の熱エネルギーが付与され、熱可塑性樹脂微粒子が溶融される。これにより、記録媒体24の凹凸に押し込み定着が行なわれるとともに、画像表面の凹凸がレベリングされ、光沢性が得られる。
なお、図1の実施形態では、定着ローラ88を1つだけ設けた構成となっているが、画像層厚みや熱可塑性樹脂微粒子のTg特性に応じて、複数段設けた構成でもよい。
一方、インラインセンサ90は、記録媒体24に定着された画像について、チェックパターンや水分量、表面温度、光沢度などを計測するための計測手段であり、CCDラインセンサなどが適用される。
上記の如く構成された定着部20によれば、乾燥部18で形成された薄層の画像層内の熱可塑性樹脂微粒子が定着ローラ88によって加熱加圧されて溶融されるので、記録媒体24に固定定着させることができる。また、定着ドラム84の表面温度を50℃以上に設定することで、定着ドラム84の外周面に保持された記録媒体24を裏面から加熱することによって乾燥が促進され、定着時における画像破壊を防止することができるとともに、画像温度の昇温効果によって画像強度を高めることができる。
また、インク中にUV硬化性モノマーを含有させた場合は、乾燥部で水分を充分に揮発
させた後に、UV照射ランプを備えた定着部で、画像にUVを照射することで、UV硬化性モノマーを硬化重合させ、画像強度を向上させることができる。
(排出部)
図1に示すように、定着部20に続いて排出部22が設けられている。排出部22は、排出トレイ92を備えており、この排出トレイ92と定着部20の定着ドラム84との間に、これらに対接するように渡し胴94、搬送ベルト96、張架ローラ98が設けられている。記録媒体24は、渡し胴94により搬送ベルト96に送られ、排出トレイ92に排出される。
また、図には示されていないが、本例のインクジェット記録装置10には、上記構成の他、各インクジェットヘッド72M,72K,72C,72Yにインクを供給するインク貯蔵/装填部、処理液付与部14に対して処理液を供給する手段を備えるとともに、各インクジェットヘッド72M,72K,72C,72Yのクリーニング(ノズル面のワイピング、パージ、ノズル吸引等)を行なうヘッドメンテナンス部や、用紙搬送路上における記録媒体24の位置を検出する位置検出センサ、装置各部の温度を検出する温度センサなどを備えている。
図2は、ヘッド72の構造例を示す平面図であり、ヘッド72をノズル面72A側から見た図である。また、図3は図2の一部拡大図である。
図2に示すように、ヘッド72はn個のヘッドモジュール72−i(i=1,2,3,…,n)を長手方向(記録媒体24(図1参照)の搬送方向と直交する方向)に沿ってつなぎ合わせた構造を有し、記録媒体の全幅に対応する長さにわたって複数のノズル(図2中不図示)が設けられている。
各ヘッドモジュール72−iは、ヘッド72における短手方向の両側からヘッドモジュール支持部材72Bによって支持されている。また、ヘッド72の長手方向における両端部はヘッド支持部材72Dによって支持されている。
図3に示すように、各ヘッドモジュール72−i(n番目のヘッドモジュール72−n)は、複数のノズルがマトリクス状に配列された構造を有している。図3において符号151Aを付して図示した斜めの実線は、複数のノズルが一列に並べられたノズル列を表している。
図4(a)は、ヘッドモジュール72−iの平面透視図であり、図4(b)はその一部の拡大図である。
記録媒体24上に形成されるドットピッチを高密度化するためには、ヘッド72におけるノズルピッチを高密度化する必要がある。本例のヘッドモジュール72−iは、図4(a)、(b)に示すように、インク吐出口であるノズル151と、各ノズル151に対応する圧力室152等からなる複数のインク室ユニット(記録素子単位としての液滴吐出素子)153を千鳥でマトリクス状に(2次元的に)配置させた構造を有し、これにより、ヘッド長手方向(記録媒体24の搬送方向と直交する方向;主走査方向)に沿って並ぶように投影される実質的なノズル間隔(投影ノズルピッチ)の高密度化を達成している。
各ノズル151に対応して設けられている圧力室152は、その平面形状が概略正方形となっており、対角線上の両隅部の一方にノズル151が設けられ、他方に供給口154が設けられている。なお、圧力室152の形状は、本例に限定されず、平面形状が四角形(菱形、長方形など)、五角形、六角形その他の多角形、円形、楕円形など、多様な形態
があり得る。
かかる構造を有するインク室ユニット153を図4(b)に示す如く、主走査方向に沿う行方向および主走査方向に対して直交しない一定の角度θを有する斜めの列方向に沿って一定の配列パターンで格子状に多数配列させることにより、本例の高密度ノズルヘッドが実現されている。
即ち、主走査方向に対してある角度θの方向に沿ってインク室ユニット153を一定のピッチdで複数配列する構造により、主走査方向に並ぶように投影されたノズルのピッチPはd×cosθとなり、主走査方向については、各ノズル151が一定のピッチPで直線状に配列されたものと等価的に取り扱うことができる。このような構成により、主走査方向に並ぶように投影されるノズル列が1インチ当たり2400個(2400ノズル/インチ)におよぶ高密度のノズル構成を実現することが可能になる。
なお、本発明の実施に際してノズルの配置構造は図示の例に限定されず、副走査方向に一列のノズル列を有する配置構造など、様々なノズル配置構造を適用できる。
≪モジュール間の着弾位置ずれシフト量の計算≫
着弾位置ずれシフト量の精度をより向上させて計算を行う計算方法について説明する。図5は着弾位置ずれシフト量の計算方法を示すフローチャート図である。
図5に示すように、まず、印字に使用するインクジェットヘッドのヘッドバーを決定する(ステップS11)。次に、インクの着弾位置を検査するための解析チャートの分割数(n)を決定するためのループを開始する。まず、任意の分割数を決定し、その分割数で、印字パターンを形成する(ステップS12)。そして、その分割数に応じて各ノズルに対する変換係数の計算を行う(ステップS13)。次に、計算に使用するノズル数(母集団)を決定するためのループを開始する。ステップS13で計算した変換係数の小さい順に計算に用いる総ノズル数(母集団)決定し、標準誤差を計算する(ステップS14)。
ステップS14で標準誤差の計算を行った後、総ノズル数(母集団)を変更して、ステップS14に戻り、標準誤差の計算を行う。総ノズル数が隣り合うモジュールのノズルが入り組む領域のノズル数まで計算を行う(ステップS15)。ステップS14、ステップS15で計算した標準誤差の中から最小となる総ノズル数を決定する(ステップS16)。分割数内で最小の標準誤差を決定したら、分割数の数を[分割数(n)+1]に変更し、ステップS12に戻り、ステップS12〜ステップS16を行い、分割数+1の分割数内で、最小の標準誤差となる総ノズル数を決定する。分割数=20までの最小の標準誤差となるノズル数を求めたら(ステップS17)、標準誤差が最小となる分割数とその時の総ノズル数を求め、その時の分割数を印字サンプル(解析チャート)として決定し、母集団ノズル数を着弾位置ずれシフト量(Δx)を計算するためのノズル数とする(ステップS18)。
また、ステップS12〜ステップS18については、ノズルの分割を均等に分割する方法で行っているが、さらに、ノズルの分割を非等分割で行うことで、標準誤差を小さくし、より精度を高くすることもできる(ステップS19)。ステップS18で求めた分割数で、ノズルの分割を非等分割とし、等分割の場合と同様に、図5に示すステップS13〜ステップS16で、標準誤差の最小値を求めることで、総ノズル数の決定を行う(ステップS20)。ステップS20で求めた総ノズル数で着弾位置ずれシフト量を計算することで、ステップS18で求めた総ノズル数で計算するよりも精度良く着弾位置ずれシフト量の計算を行うことができる。
また、図5に示す各工程をコンピュータに起動させるためのプログラムとして用いることができる。
次に各工程について説明する。
(ステップS11)インクジェットヘッドの決定
画像形成に用いるインクジェットヘッドの決定を行う。
(ステップS12)分割数(n)の決定(分割パターン作成工程)
本実施例では、記録媒体搬送方向垂直に1200dpiでノズルが並ぶとする。図6は分割数12の等分割で解析チャートを作成した図である。例えば12分割パターンの場合は、1バンド(帯)は1/100インチ間隔でラインが並ぶことになる。なお、本実施形態において、分割数12で等分割するとは、11本のノズルラインの間隔を開けて分割パターンを形成する場合のことをいう。分割数3では、2本のノズルラインの間隔を開けて、分割数4では、3本のノズルラインの間隔を開けて、分割数kでは、(k−1)本のノズルラインの間隔を開けて分割パターンを形成する場合のことをいう。
分割数は、少なすぎると、各ヘッドモジュールにより書かれる線が重なるため、着弾位置ずれが測定できず好ましくない。また、分割数を増やしすぎても、印刷したときの印刷範囲が長くなるので好ましくない。また、分割数を増やしても、測定精度は上がらない。1200dpiのヘッドでは、等分割で行う場合は、8分割から12分割に等分して検討すれば十分であり、描画される線の太さ、許容される印刷範囲に応じて適宜変更することができる。
(ステップS13)変換係数計算(変換係数計算工程)
変換係数算出のための前提として、(1)一方のヘッドモジュールの着弾位置ずれが、他方のモジュールBの着弾位置ずれに対して、+Δxシフトしている、(2)ランダムな着弾位置ずれ量ゼロと計算上仮定する。
図7(a)は、本実施形態で使用したインクジェットヘッドバーのモジュールつなぎ付近の図であり、図7(b)はつなぎ付近のノズルの配置、図7(c)は打滴した際のライン並びである。図7に示すように、ヘッドモジュール間のつなぎ付近の隙間を埋めるために、モジュールAのノズルとモジュールBのノズルがつなぎ付近では入り組んで配置されている。本実施形態においては、図7(c)の左からモジュールBのノズルが配置されてからBAAAの周期で8周期、BBAAの周期で8周期、BBBAの周期で8周期の合計96個のノズルが入り組んでモジュール間の隙間を埋めるように画像を形成している。
図8(a)は、12分割パターンとした時のバンドのモジュールつなぎ付近のライン並びである。12分割で行った場合は、これと同じ並びのバンドがあと11バンド存在する。図7(c)に示すように、本実施形態の場合は、モジュールAとモジュールBのノズルが4本周期で重なるため、12分割の場合、図8(a)に示す1種類のノズルの組み合わせとなる。図8(b)は、分割パターンのバンドのノズルラインの幅を説明する図である。同じモジュールにおいては、各ノズルラインの幅は均一でpとなるが、モジュールAとモジュールBとでモジュール間着弾位置ずれシフト量Δxがあると、ノズルラインA1とノズルラインB1との幅がp+Δxとなる。したがって、この状態で画像を形成すると、モジュールAのノズルで打滴した部分に、モジュールBで打滴した液滴がΔxの量だけずれて打滴されるため、液滴が重なり、画像品質が低下する場合がある。
以下、変換係数の計算方法として、図8(b)を例に具体例を挙げて説明する。
あるノズル(本実施形態においては「A1」)の変換係数を求める場合、ノズルA1の両側の複数のノズルを用いて、近似曲線を書き、ノズルA1のあるべき位置を調べる。ここでは、変換係数を求めるノズルの両側15本を用いて近似曲線を書きノズルA1のあるべき位置(着弾位置ずれ量)を調べる。ノズルA1の着弾位置ずれ量を計算するときは、A1の両側15本ずつのノズルを使用するので、A16、A15、A14、・・・・・・、A4、A3、A2、B1、B2、B3、・・・・・・、B13、B14、B15の30本のラインを使用する。また、ノズルA2の着弾位置ずれ量を計算するときは、A2の両側15本ずつのノズルを使用するので、A17、A16、A15、・・・・・・、A5、A4、A3、A1、B1、B2、・・・・・・B12、B13、B14の30本のラインを使用する。
図9(a)がラインA1の近似曲線を作成するために使用するノズル番号と座標、図9(b)がラインA2の近似曲線を作成するために使用するノズル番号と座標である。なお、図9においては、近似曲線を作成するためのラインの最も左側をノズル#1として記載している。したがって、図9(a)と図9(b)のノズル#とノズルの位置は異なっている。また、表中pはラインピッチであり、本実施形態においては、1200dpiの12分割パターンであるので、p=254μmで計算を行う。また、モジュールつなぎ部着弾位置ずれ量Δxを仮に1μmとして計算する。なお、Δxは、変換係数を求める際に、Δxを着弾ずれ量で割る計算を行うため、Δxの数値はどの数値を用いても結果は同じとなる。
このように30本のライン(ヘッド)で近似曲線を作成し、A1ライン、A2ラインがあるべき位置を調べる。なお、近似曲線を作成する際は、A1ラインのあるべき位置を求める場合はA1ラインを、A2ラインがあるべき位置を求める場合はA2ラインの座標を計算に用いずに求める。計算を行うとA1ラインのあるべき位置は、−0.5μmとなり、A1ラインは、本当は座標0の位置にあるので、Δx=1μmの影響により、着弾ずれ量が−0.5μmとなる。
モジュールつなぎ部着弾ずれシフト量Δxは、Δx=変換係数×着弾位置ずれ量により求めることができるので、A1ラインの変換係数=Δx÷(−0.5)=1÷(−0.5)が求まり「−2」となる。
同様に、A2ラインについては、A2ラインのあるべき位置は、−0.43μmとなり、着弾ずれ量が−0.43μmとなるので、A2ラインの変換係数は、Δx÷(-0.43)=1÷(−0.43)=−2.48となる。
以下同様にして、A3ライン、A4ライン、B1ライン、B2ライン、B3ライン、B4ラインについても求めるノズルの両側15本ずつ計30本のノズルラインを用いて変換係数を求める。
図10に、求めた変換係数の結果を示す。12分割パターンの場合は、図8に示すライン並びのみであるため、ノズルA1とノズルB1とで、変換係数が符号を逆にし、対称になっている。
変換係数は、次の(ステップS14)標準誤差の計算に用いるノズルについて調べる。
(ステップS14)標準誤差の計算(標準誤差計算工程)
次に、ステップS13で用いた変換係数を用いて、標準誤差の計算を行う。なお、標準誤差は、次の式により求めることができる。
(標準誤差)=(変換係数の平均値)×(ランダム着弾位置ずれσ)÷(√計算に使う総ノズル数)
総ノズル数の最小値は変換係数が最小のノズルラインの数により決定する。また、ランダム着弾位置ずれσは、バー全体のノズル数の着弾位置ずれ量の標準偏差σである。なお、本実施形態においては、一つのモジュールに2048個のノズルを有する平行四辺形のモジュールを17個並べたバーを用いているので、バー全体のノズル数は34720個となる。
上記着弾位置ずれ量は、実際に測定した値を用いて計算する。具体的には、下記ステップS21で着弾位置ずれ量を計算する場合と同様の方法で行うことができ、印字サンプルの各ラインのX方向(記録媒体の搬送方向と直交方向)の座標から近似曲線を作成し、近似曲線から着弾位置ずれ量を計算する。近似曲線は、求めるラインの両側N本(例えば15)本のライン(求めるラインの座標データは計算に使用しない)の座標データから近似曲線を作成する。この近似曲線から求めるラインのノズルがあるべき座標を求める。そして、あるべき座標と実際の座標との差が、求めるライン(該当ノズル)の着弾位置ずれ量となる。
上記の方法でバー全体のノズル数について着弾位置ずれ量を計算し、その標準誤差がランダム着弾位置ずれσとなる。なお、ランダム着弾位置ずれσは、実際に求めた値であるが、使用するインクジェットヘッドによりほぼ定数となり、本実施形態においては、定数として3を用いて計算する。
(ステップS15)ノズル数の変更(標準誤差計算工程)
次に標準誤差の計算に用いる総ノズル数を変更し、(ステップS14)標準誤差の計算と同様に、標準誤差の計算を行う。計算に用いるノズルは、変換係数の小さいノズルから使用することが好ましい。標準誤差は、上記式により求められるため、変換係数の小さい数値の方が、標準誤差が小さくなる可能性があるからである。総ノズル数の変更方法は、そこまでの計算に含めた変換係数の,次に大きい変換係数のノズルラインの数だけ増やすことにより行うことができる。また、総ノズル数の最大値は、モジュールAとモジュールBのノズルが入り組んだ領域までで十分である。それ以上のノズル数を計算に用いても他方のモジュールの影響があまり無いからである。
(ステップS16)標準誤差の最小値決定(標準誤差計算工程)
ステップS15、S16で総ノズル数を変更しながら、標準誤差を計算することで、モジュール間の着弾位置ずれシフト量Δxの測定誤差が最小化されるノズル数を調べる。
計算に使う総ノズル数を増やすことにより、上記標準誤差の計算式の分母を減らすことができる。一方、他方のモジュールから離れたノズルは変換係数が大きいので,上記計算式の分子が大きくなる。結果として,計算に使う総ノズルを増やしていくとあるところで誤差が最小になる。この誤差を最小にすることができるノズル数を12分割パターンにおける母集団ノズル数として決定する。
図11に総ノズル数と標準誤差の結果を示す。図11に示すように、12分割パターンの場合は、総ノズル数72個の場合に、標準誤差が小さくなるので、Δxの測定誤差が最小化されることが確認できる。
図11においては、総ノズル数24個においては、ラインA1、B1を用い、これが12分割あるので、総ノズル数が24個となる。変換係数平均は、ラインA1、B1の変換係数の平均値となる。同様に、総ノズル数48個においては、ラインA2、A1、B1、B2を用い、これが12分割であるので、総ノズル数が48個となり、変換係数もラインA2、A1、B1、B2の平均値となる。
(ステップS17)分割数変更(繰り返し工程)
次に分割数を変更して、ステップS13〜S16の12分割と同様の方法により、変換係数を求め、総ノズル数を変更しながら、モジュール間の着弾位置ずれ量Δxの測定誤差が最小化されるノズル数、すなわち、標準誤差が最小となるノズル数を計算する。
分割数を変更した例として、11分割の場合について説明する。
分割パターンを11とした場合は、モジュールつなぎ付近の並びは図12に示すように3パターン存在する。上述したように、本実施形態で使用したノズルは、4本周期で構成されているため、11分割とした場合は、モジュールAのノズルとモジュールBのノズルが、入り組んだ状態となる。
11分割の場合は、図12の(a)パターン1が5個、(b)パターン2が3個、(c)パターン3が3個存在する。
ここでは、図12(c)パターン3のA1ラインの変換係数を求める方法について説明する。ラインA1の近似曲線を作成するために使用するノズル番号と座標の関係を図13に示す。p=254μm、Δx=1μmを代入して近似曲線を作成する。そしてA1ラインのある位置(ノズル#=166)を求めると、A1ラインのある位置は、−0.75μmとなる。A1ラインは、本来、座標ゼロの位置にあるので、Δx=1μmの影響により着弾ずれ量が−0.75μmになる。逆算することにより、変換係数を求めることができ、変換係数=Δx÷(−0.75)=1÷(−0.75)=−1.34となる。
他のラインについても同様の方法により変換係数を求める。
また、変換係数の求め方は示さないが、10分割のパターンを図14に示す。図14に示すように、10分割の場合は、モジュールAとモジュールBとで、ノズルの入れ替わりが図14(a)〜(c)の4パターン存在する。このような場合においても、11分割、12分割と同様の方法により変換係数を求めることができる。
図15は、分割パターンが10分割の場合における変換係数が小さい順に計算に用いるノズル数(母集団)を増やした場合の標準誤差の関係を示す表図である。図15に示すように、10分割の場合は、母集団ノズル数54個の場合に、モジュール間の着弾位置ずれシフト量Δxが最小値となることが確認される。
このようにして、分割数を変更し、それぞれの分割数における分割パターンで、標準誤差が最小となる総ノズル数を計算する。分割数は、使用するインクジェットヘッドにより、適宜設定することができるが、最大で20分割まで行えば十分である。
(ステップS18)分割数、総ノズル数の決定(決定工程)
ステップS12〜S17を行い、Δxに用いる分割パターンの分割数と総ノズル数を決定する。
図16に、8分割から12分割における各分割パターンにおける標準誤差の最小値を表わす結果を示す。
図16に示すように、本実施形態で使用したインクジェットヘッドについては、印字パターンを9分割パターンにして、Δxの計算に使用する総ノズル数(母集団)を58本とすることでΔxの誤差を最小にすることができる。または、印字パターンを11分割とし、Δxの計算に使用する総ノズル数(母集団)を60本としてもよい。
また、印字パターンを10分割とし、Δxの計算に使用するノズル数(母集団)を66本にしても、上述した2パターンと標準誤差は、2%以下しか異ならないため、Δxの計算に十分使用することができる。
(ステップS19)非等分割パターンで実施(分割パターン変更工程)
(ステップS18)分割数、総ノズル数の決定、を行った後、分割パターンを非等分割とすることで、さらに、標準誤差を低くすることができる。上述した分割パターンにおいては、ノズルを等分割で分割し、印字パターンを作成したが、非等分割パターンにおいては、バンドのノズル間を一定にせずに実施する。
非等分割パターンは、分割の仕方は特に限定されず、さまざまな分割パターンを取ることができるが、(ステップS18)分割数、総ノズル数の決定で決定した分割数の任意のノズル間を変更して行うことが好ましい。等分割パターンで決定した標準誤差が最小の条件から、さらに、誤差を小さくする条件とすることができるからである。
なお、ここでは、11分割の等分割パターンを非等分割とした場合について説明する。
11分割の等分割パターンとした場合は、図12に示すように、3種類のパターンが存在する。図12(b)パターン2および図12(c)パターン3を非等分割パターンにする。図17は、11分割の場合の(a)パターン1は等分割のままとし、(b)パターン2と(c)パターン3を非等分割とした場合の一例である。
本実施形態においては、パターン2のA4ラインをB’、A5ラインをB”とする。1200dpiでみたとき、A4ラインは、3画素分(63.5μm)右のラインにすることで、別のモジュール側(モジュールB)のノズルを使ったパターンとなる。A5ラインは、1画素分(21.2μm)右のラインにすることで、モジュールBのノズルを使ったパターンとなる。同様に、B3ラインをA’、B4ラインをA”とする。B3ラインは3画素分(63.5μm)左のラインにすることで、B4ラインは1画素分(21.2μm)左のラインにすることで、モジュールAのノズルを使ったパターンとなる。
同様に、パターン3については、A4のラインを1200dpiでみたときに1画素分(21.2μm)右のラインにすると、モジュールBのノズルを使ったパターンとすることができ、B5のラインを2画素分(42.3μm)左のラインにすると、モジュールAのノズルを使ったパターンとなる。
次に、図17(c)に示すパターン3の非等分割パターンに変換係数の計算方法ついて説明する。図18は、A1ラインの近似曲線を作成するために使用するノズル番号と座標の関係を示す表図である。
等分割パターンの時と同様に、p=254μm、Δx=1μmを代入して、近似曲線を作成する。30本の線で近似曲線を作成し、A1ラインのある位置(ノズル#=166)を求めると、A1ラインのある位置は、−0.72μmとなる。A1ラインは、本来、座標ゼロの位置にあるので、Δx=1μmの影響によって着弾位置ずれが−0.72μmになる。逆算することにより、変換係数を求めることができ、変換係数=Δx÷(-0.72)=1÷(−0.72)=−1.38となる。
(ステップS20)総ノズル数決定
このようにしてパターン変更した場合の各分割パターンの各ノズルラインの変換係数を計算し、総ノズル数を増やしながらΔxの標準誤差が最小となる総ノズル数を決定する。
結果を図19に示す。図19に示すように、図17に示すような非等分割パターンで標準誤差を測定した場合、74本のラインを使ってΔxの平均値を求めることで、等分割のパターンより精度を高くすることができる。
なお、非等分割パターンについては、上記では、等分割パターンでΔxの標準誤差の低い分割パターンを用いて、いくつかのノズルを別のモジュールとすることで、非等分割パターンを形成しているが、非等分割パターンの作成方法はこれに限定されず、様々なパターンを作成することができる。
また、等分割パターンを行わず、直接非等分割パターンにより標準誤差を測定することも可能である。この場合、適宜、パターンを設定することができる。
(ステップS21)モジュール間着弾位置ずれシフト量Δxの計算(シフト量計算工程)
(ステップS18)分割数、総ノズル数の決定、または、非等分割パターンで計算を行った場合は、(ステップS20)総ノズル数決定、で求めた分割数、総ノズル数のノズルでモジュール間着弾ずれシフト量Δxを計算する。
Δx=着弾位置ずれ量×変換係数、により求めることができる。
着弾位置ずれ量は、求めた分割数で形成した印字サンプル(解析チャート)の各ラインのX方向(記録媒体の搬送方向と直交方向)の座標から近似曲線を作成し、近似曲線から着弾位置ずれ量を計算する。各ラインのX方向座標を求める方法としては特に限定されないが、たとえば、印刷サンプルを市販のスキャナにより画像ファイルに変換し、画像ファイル解析から各ラインのX方向座標を求めることができる。また、他の方法としては、CCDカメラを用いた画像化や、印刷機内に存在するインラインセンサによる画像化も可能である。ステージ付きの顕微鏡を用いて、求めることも可能である。
次に、このデータを用いて、近似曲線を作成し、着弾ずれ量を計算する。近似曲線は、求めるラインの両側N本(例えば15本)のライン(求めるラインの座標データは計算に使用しない)の座標データから、近似曲線を作成する。近似曲線は例えば、2次の近似曲線とすることができる。この近似曲線から求めるラインのノズルがあるべき座標を求める。そして、あるべき座標と実際の座標との差が、求めるライン(該当ノズル)の着弾位置ずれ量となる。
この着弾位置ずれ量を各ノズルに対して求め、それぞれのノズルの変換係数をかけることで、各ノズルのモジュール間着弾位置ずれシフト量Δxを計算することができる。(ステップS18)分割数、総ノズル数の決定、または、非等分割パターンで計算を行った場合は、(ステップS20)総ノズル数決定、で総ノズル数を求めるために使用したノズルについて、Δxを計算し、このΔxの平均値を求めることで、モジュール間着弾ずれシフト量Δxを求めることができる。この求めたモジュール間着弾ずれシフト量Δxは、標準誤差が小さい母集団ノズル数を用いて求めているので、求めたモジュール間着弾ずれシフト量Δxも精度良く求めることができる。
また、上記の方法で求めたモジュール間着弾ずれシフト量Δxに基づいて、ヘッドモジュールの位置を調整することで、モジュール間着弾ずれシフト量Δxをより小さくすることができる。
<インクジェットヘッドの他の実施形態>
上記実施形態においては、図4(a)、図20(a)に示すような平行四辺形のヘッドモジュールを並べた場合について説明したが、これに限定されず、図20(b)に示す四角形のヘッドモジュール172−iを一部が重なるように配置したインクジェットヘッドに用いることもできる。また、図20(c)に示すような、台形のヘッドモジュール272−iを並べた場合においても、適用することができる。
10…インクジェット記録装置、12…給紙部、14…処理液付与部、16…描画部、18…乾燥部、20…定着部、22…排出部、24…記録媒体、70…描画ドラム、72…インクジェットヘッド、72−i、172−i、272−i…ヘッドモジュール、72A…ノズル面、72B…ヘッドモジュール支持部材

Claims (6)

  1. 液体を吐出する複数のノズルが配置されたヘッドモジュールを複数接続して繋ぎ合わせ、隣り合う前記ヘッドモジュール同士には重ね合わせ領域を有するインクジェットヘッドの前記ヘッドモジュール間の位置ずれ解析方法であって、
    前記ヘッドモジュールによる印字パターン作成時に、前記各ノズルにより形成されるノズルラインについて、所定の分割数で分割された各分割パターンの中では、該分割数に対応するノズル数を隔てたノズルから吐出されたノズルラインが隣接して並ぶよう、分割パターンを作成する分割パターン作成工程と、
    前記分割パターン作成工程で作成した分割パターンを用いて、各ノズルラインの位置を測定する測定工程と、
    前記重ね合わせ領域の各ノズルラインについて、他のノズルラインの測定位置から近似曲線を作成して各ノズルラインがあるべき位置を求め、当該あるべき位置と各ノズルラインの測定位置との差である着弾位置ずれ量を求め、前記ヘッドモジュール同士が位置ずれしたことによる各ノズルラインの位置ずれシフト量の相対値である変換係数を求める変換係数計算工程と、
    着弾位置ずれ量の測定誤差を計算するために用いる総ノズル数を選択し、当該総ノズル数分のノズルラインの変換係数を用いて、モジュール間の着弾位置ずれ量の測定誤差である標準誤差を計算し、前記総ノズル数を変更して前記標準誤差の最小値を求める標準誤差計算工程と、
    前記所定の分割数を変更し、変更後の分割パターンで、前記測定工程、前記変換係数計算工程および前記標準誤差計算工程を行う繰り返し工程と、
    前記標準誤差の値が最小となる前記分割数、および前記ノズル数を決定する決定工程と、
    前記決定工程により決定した前記分割数の分割パターンにおける、前記決定した総ノズル数のノズルラインの位置ずれシフト量の平均から前記ヘッドモジュール間の位置ずれシフト量を計算するシフト量計算工程と、を有するヘッドモジュール間の位置ずれ解析方法。
  2. 前記決定工程後に、前記決定工程により決定した前記分割数で、少なくとも1つ以上のノズルを他方のモジュールのノズルに変更し、前記分割パターンを作成する分割パターン変更工程を有し、
    前記分割パターン変更工程後の分割パターンで、前記変換係数計算工程と、前記標準誤差計算工程と、を行う請求項に記載のヘッドモジュール間の位置ずれ解析方法。
  3. 前記標準誤差計算工程において、前記変換係数の小さいノズルから使用し、前記標準誤差を計算する請求項1または2に記載のヘッドモジュール間の位置ずれ解析方法。
  4. 前記近似曲線に用いられる前記ノズルの数が、該当するノズルの両側のそれぞれ15本を用いる請求項1から3のいずれか1項に記載のヘッドモジュール間の位置ずれ解析方法。
  5. 請求項1からのいずれか1項に記載のヘッドモジュール間の位置ずれ解析方法をコンピュータに起動させるためのプログラム。
  6. 請求項1からのいずれか1項に記載のヘッドモジュール間の位置ずれ解析方法により測定したヘッドモジュール間の位置ずれシフト量Δxを用いて、前記ヘッドモジュール間の位置を調整するインクジェットヘッドの調整方法。
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