以下、添付図面に従って本発明の好ましい実施の形態について詳説する。
〔インクジェット記録装置の構成〕
図1は、本発明の実施形態に係るインクジェット記録装置の全体構成図である。本例に示すインクジェット記録装置10は、記録媒体の表面に着弾した処理液及び各色インクに紫外線(UV光)を照射することで重合反応を発現させる2液系インクジェット記録装置である。
同図に示すように、インクジェット記録装置10は、黒(K)、シアン(C)、マゼンダ(M)、イエロー(Y)の各色インク及びこれらに反応させる処理液(S)をそれぞれ吐出する複数の吐出ヘッド12(12S、12K、12C、12M、12Y)と、各色インク及び処理液を貯蔵しておく液体貯蔵/装填部14と、記録媒体16を供給する給紙部18と、記録済みの記録媒体(プリント物)を外部に排出する排出部20と、記録媒体16の平面性を保持しながら記録媒体16を搬送する搬送部22と、記録媒体16上の各吐出ヘッド12が打滴した領域に対してUV光を照射するUV光源24と、各吐出ヘッド12による印字結果を読み取る印字検出部26とを備えている。
給紙部18には、例えば、ロール紙(連続用紙)のマガジンが設けられる。紙幅や紙質等が異なる複数のマガジンを併設してもよい。また、ロール紙のマガジンに代えて、又はこれと併用して、カット紙が積層装填されたカセットによって用紙を供給してもよい。
複数種類の記録媒体を利用可能な構成にした場合、紙の種類情報を記録したバーコードあるいは無線タグ等の情報記録体をマガジンに取り付け、その情報記録体の情報を所定の読取装置によって読み取ることで、使用される用紙の種類を自動的に判別し、用紙の種類に応じて適切なインク吐出を実現するようにインク吐出制御を行うことが好ましい。
搬送部22は、ローラー28、29間に無端状のベルト30が巻き掛けられた構造を有し、少なくとも各吐出ヘッド12、UV光源24及び印字検出部26に対向する部分が平面をなすように構成されている。
ベルト30は、記録媒体16の幅よりも広い幅寸法を有しており、ベルト面には多数の吸引孔(不図示)が形成されている。ローラー28、29間に掛け渡されたベルト30の内側において各吐出ヘッド12、UV光源24及び印字検出部26に対向する位置には吸着チャンバー32が設けられており、この吸着チャンバー32をファン(不図示)で吸引して負圧にすることによってベルト30上の記録媒体16が吸着保持される。ベルト30が巻かれているローラー28、29の少なくとも一方にモータ(不図示)の動力が伝達されることにより、ベルト30は図1の反時計回り方向に駆動され、ベルト30上に保持された記録媒体16は、図1の右から左へと搬送される。
縁無しプリント等を印字するとベルト30上にもインクが付着するので、ベルト30の外側の所定位置(印字領域以外の適当な位置)にベルト清掃部34が設けられている。ベルト清掃部34の構成について詳細は図示しないが、例えば、ブラシ・ロール、吸水ロール等をニップする方式、清浄エアーを吹き掛けるエアーブロー方式、あるいはこれらの組み合わせなどがある。清掃用ロールをニップする方式の場合、ベルト線速度とローラー線速度を変えると清掃効果が大きい。
なお、搬送部22に代えて、ローラー・ニップ搬送機構を用いる態様も考えられるが、印字領域をローラー・ニップ搬送すると、印字直後に用紙の印字面にローラーが接触するので、画像が滲み易いという問題がある。従って、本例のように、印字領域では画像面と接触させない吸着ベルト搬送が好ましい。
各吐出ヘッド12(12S、12K、12C、12M、12Y)は、いずれも当該インクジェット記録装置10が対象とする最大紙幅に対応する長さを有し、記録媒体16の紙搬送方向(副走査方向)と略直交する方向(主走査方向)に沿って延在するように固定設置されたフルライン型のヘッド(ラインヘッド)となっている。各吐出ヘッド12の記録媒体16に対向する吐出面には、最大サイズの記録媒体の少なくとも一辺を超える長さ(描画可能範囲の全幅)にわたり所定の液体(各色インク又は処理液)を吐出するノズルが複数配列されている。
図1の紙搬送方向に沿って上流側から、処理液(S)を吐出する吐出ヘッド(処理液吐出ヘッド)12Sが配置され、続いて、黒(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の各色インクを吐出する吐出ヘッド(インク吐出ヘッド)12K,12C,12M,12Yが順番に配置される。
液体貯蔵/装填部14は、各吐出ヘッド12(12S、12K、12C、12M、12Y)が吐出する処理液及び各色インクをそれぞれ貯蔵するタンクを有し、各タンクは図示を省略した管路を介して各吐出ヘッド12とそれぞれ連通されている。また、液体貯蔵/装填部14は、液体残量が少なくなるとその旨を報知する報知手段(表示手段、警告音発生手段等)を備えるとともに、液体間の誤装填を防止するための機構を有している。
UV光源24は、記録媒体16の紙搬送方向と略直交する方向(主走査方向)、即ち、記録媒体16の紙幅方向に沿って延在するように固定設置されており、少なくとも記録媒体16上の各吐出ヘッド12が打滴する領域に対してUV光を照射できるように構成されている。UV光源24には、例えば、メタルハライドランプなどが用いられる。
印字検出部26は、少なくとも各吐出ヘッド12による吐出幅(画像記録幅)よりも幅の広い受光素子列を有するラインセンサで構成される。このラインセンサは、赤(R)の色フィルタが設けられた光電変換素子(画素)がライン状に配列されたRセンサ列と、緑(G)の色フィルタが設けられたGセンサ列と、青(B)の色フィルタが設けられたBセンサ列とからなる色分解ラインCCDセンサで構成されている。なお、ラインセンサに代えて、受光素子が2次元配列されて成るエリアセンサを用いることも可能である。印字検出部26は、各吐出ヘッド12により打滴された結果をラインセンサで読み取り、吐出判定(吐出の有無、ドットサイズの測定、ドット着弾位置の測定等)を行い、着弾位置にずれが生じている異常ノズルの特定、ノズルの目詰まり、その他吐出不良をチェックする手段として機能する。
本例のインクジェット記録装置10で用いる処理液及びインクの組成については後で詳説するが、処理液は、重合開始剤、拡散防止剤(凝集剤)及びオイル(高沸点有機溶媒)を含有し、各色インクは、UVモノマー(紫外線硬化型モノマー)及び色材(着色剤)を含有して構成されている。この処理液と各色インクとの組み合わせ構成により、主として処理液に含有される拡散防止剤の機能によって着弾干渉による画像劣化を回避するとともに、UV光源24のもれ光や反射光が各吐出ヘッド12のノズルにあたってしまう場合にも、各液体は重合開始剤とUVモノマーとを一緒に含有していないので重合反応が起こらず、各吐出ヘッド12のノズル内における処理液や各色インクの固化が防止される。また、各色インクが重合開始剤を含有し、処理液がUVモノマーを含有する態様の場合も、上記と同様の効果を奏することができる。
尚、各色インクには、UVモノマーの代わりに、又は、これと併せてUVオリゴマー、UVモノマーとUVオリゴマーの混合体などの紫外線硬化型重合性化合物を含有してもよい。
このような構成により、紙搬送方向の最上流側に配置される吐出ヘッド12Sが記録媒体16に対して処理液を吐出し、記録媒体16の搬送に伴って記録媒体16上の処理液が紙搬送方向下流側の吐出ヘッド12Kの略真下に移動したところで、吐出ヘッド12Kはその処理液に重なるように黒(K)のインクを吐出する。吐出ヘッド12Kが吐出するタイミングはセンサで検知するようにしてもよいし、基準点からのパルスや時間を計測するようにしてもよい。続いて、紙搬送方向下流側の各吐出ヘッド12C、12M、12Yがそれぞれ記録媒体16上の処理液が付着した領域に対して各色(C、M、Y)のインクをそれぞれ吐出する。このようにインクに先行して処理液を打滴することで、着弾干渉による画像劣化を防止することができる。そして、各吐出ヘッド12より紙搬送方向下流側にあるUV光源24は、記録媒体16上の処理液及び各色インクの混合液に対してUV光を照射する。混合液に対してUV光が照射されると、処理液に含有される硬化開始剤からラジカルが発生し、処理液とインクとの重合反応が起こり、インクによって形成された画像(ドット)が硬化状態となって記録媒体16に定着する。尚、処理液とインクの混合前は、処理液とインクはいずれも重合開始剤とUVモノマーとを一緒に含有していないので重合反応が起こらないため、前述したとおり、各吐出ヘッド12が打滴する前からUV光源24がUV光照射を行うようにしてもノズル詰まりなどの吐出不良は発生しない。このようにして、良好な画質の画像を記録媒体16上に形成することができる。
尚、本例では、KCMYの標準色(4色)の構成を例示しているが、インク色や色数の組み合わせについては本実施形態には限定されず、必要に応じて淡インク、濃インクを追加してもよい。例えば、ライトシアン、ライトマゼンタ等のライト系インクを吐出する構成も可能である。
〔吐出ヘッドの構成〕
図2は、吐出ヘッド12(12S、12K、12C、12M、12Y)の吐出面を表した平面図である。同図に示すように、吐出ヘッド12の吐出面には、所定の液体(各色インク又は処理液)を吐出するノズル51が千鳥でマトリクス状(2次元状)に形成されている。主走査方向に沿って投影される投影ノズル列は一定のノズルピッチで等間隔に配列されており、これにより、ドットピッチが実質的に高密度化されている。
図3は、吐出ヘッド12の一部を表した側面断面図である。同図に示すように、吐出ヘッド12の内部には、ノズル51に連通する圧力室52が形成されている。圧力室52はその一端に形成される供給口53を介して共通流路55と連通している。共通流路55には、図1の液体貯蔵/装填部14に配置されるインクタンク(不図示)から供給される所定の液体(各色インク又は処理液)が貯留されており、共通流路55から供給口53を介して圧力室52にその液体が供給される。
圧力室52の上壁面は振動板56で構成される。振動板56の(圧力室52側と反対側の)表面には、圧力室52に対応する位置に圧電素子58が接合されている。圧電素子58は薄膜状の圧電体58aの上面に個別電極(駆動電極)58bが設けられた構造となっている。尚、振動板56は導電体で構成されており、複数の圧電素子58に対する共通電極を兼ねている。
かかる構成により、圧電素子58に所定の駆動電圧(駆動信号)が印加されると、圧電素子58の変位によって振動板56が圧力室52側に撓んで圧力室52内の液体が加圧される。そして、圧力室52に連通するノズル51から液滴が吐出される。その後、駆動電圧の印加が解除されると、振動板56は元の状態に戻り、共通流路55から供給口53を介して圧力室52に所定の液体が再び供給され、次の吐出動作(打滴動作)に備えられる。
〔制御系の説明〕
図4は、インクジェット記録装置10のシステム構成を示す要部ブロック図である。インクジェット記録装置10は、通信インターフェイス70、システムコントローラ72、メモリ74、モータドライバ76、ヒータドライバ78、プリント制御部80、画像バッファメモリ82、インク用ヘッドドライバ84、処理液用ヘッドドライバ85、光源ドライバ92、印字検出部26等を備えている。
通信インターフェイス70は、ホストコンピュータ86から送られてくる画像データを受信するインターフェイス部である。通信インターフェイス70にはシリアルインターフェイスやパラレルインターフェイスを適用することができる。この部分には、通信を高速化するためのバッファメモリ(不図示)を搭載してもよい。ホストコンピュータ86から送出された画像データは通信インターフェイス70を介してインクジェット記録装置10に取り込まれ、一旦メモリ74に記憶される。
メモリ74は、通信インターフェイス70を介して入力された画像を一旦格納する記憶手段であり、システムコントローラ72を通じてデータの読み書きが行われる。メモリ74は、半導体素子からなるメモリに限らず、ハードディスクなど磁気媒体を用いてもよい。
システムコントローラ72は、中央演算処理装置(CPU)及びその周辺回路等から構成され、所定のプログラムに従ってインクジェット記録装置10の全体を制御する制御装置として機能するとともに、各種演算を行う演算装置として機能する。即ち、システムコントローラ72は、通信インターフェイス70、メモリ74、モータドライバ76、ヒータドライバ78等の各部を制御し、ホストコンピュータ86との間の通信制御、メモリ74の読み書き制御等を行うとともに、搬送系のモータ等のモータ88やインクジェット記録装置10(吐出ヘッドなど)の温度調整用ヒータなどのヒータ89を制御する制御信号を生成する。
メモリ74には、システムコントローラ72のCPUが実行するプログラム及び制御に必要な各種データなどが格納されている。なお、メモリ74は、書換不能な記憶手段であってもよいし、EEPROMのような書換可能な記憶手段であってもよい。メモリ74は、画像データの一時記憶領域として利用されるとともに、プログラムの展開領域及びCPUの演算作業領域としても利用される。
モータドライバ76は、システムコントローラ72からの指示にしたがってモータ88を駆動するドライバ(駆動回路)である。ヒータドライバ78は、システムコントローラ72からの指示にしたがってインクジェット記録装置10(吐出ヘッドなど)内の温度調整用ヒータなどのヒータ89を駆動するドライバである。
プリント制御部80は、システムコントローラ72の制御に従い、メモリ74内の画像データから印字制御用の信号を生成するための各種加工、補正などの処理を行う信号処理機能を有し、生成した印字データ(ドットデータ)をインク用ヘッドドライバ84や処理液用ヘッドドライバ85に供給する制御部である。プリント制御部80において所要の信号処理が施され、該画像データに基づいてインク用ヘッドドライバ84を介してインク吐出ヘッド12K、12C、12M、12Yのインク液滴の吐出量や吐出タイミングの制御が行われる。同様に、該画像データに基づいて処理液用ヘッドドライバ85を介して処理液吐出ヘッド12Sの処理液滴の吐出量及びや吐出タイミングの制御が行われる。これにより、所望のドットサイズやドット配置が実現される。
プリント制御部80には画像バッファメモリ82が備えられており、プリント制御部80における画像データ処理時に画像データやパラメータなどのデータが画像バッファメモリ82に一時的に格納される。また、プリント制御部80とシステムコントローラ72とを統合して1つのプロセッサで構成する態様も可能である。
インク用ヘッドドライバ84はプリント制御部80から与えられる印字データに基づいて各インク吐出ヘッド12K、12C、12M、12Yの圧電素子58(図3参照)を駆動する。同様に、処理液用ヘッドドライバ85は該印字データに基いて各処理液吐出ヘッド12Sの圧電素子58(図3参照)を駆動する。各ヘッドドライバ84、85にはヘッドの駆動条件を一定に保つためのフィードバック制御系を含んでいてもよい。
光源ドライバ92は、UV光源24のオン・オフ(照射タイミング、照射時間)、照射光量などを制御する制御ブロックとして機能する。即ち、プリント制御部80から与えられる制御信号に基づいて、UV光源24のオン・オフを制御するとともに、UV光源24の照射量を設定する。
印字検出部26は、図1で説明したように、ラインセンサを含むブロックであり、記録媒体16に印字された画像を読み取り、所要の信号処理などを行って印字状況(吐出の有無、着弾位置のばらつきなど)を検出し、その検出結果をプリント制御部80に提供する。
印刷すべき画像のデータは、通信インターフェイス70を介して外部から入力され、メモリ74に蓄えられる。この段階では、RGBの画像データがメモリ74に記憶される。
メモリ74に蓄えられた画像データは、システムコントローラ72を介してプリント制御部80に送られ、該プリント制御部80において処理液のドットデータ、各色インクのドットデータに変換される。即ち、プリント制御部80は、入力されたRGB画像データを処理液及びKCMYの4色のドットデータに変換する処理を行う。プリント制御部80で生成された各ドットデータは、画像バッファメモリ82に蓄えられる。
プリント制御部80は、必要に応じて印字検出部26から得られる情報に基づいて各吐出ヘッドに対する各種補正を行う。特に、本実施形態では、インク吐出ヘッド12K、12C、12M、12Yの各ノズルの着弾位置誤差を要因とするスジムラを低減させるため、画像バッファメモリ82に蓄えられたドットデータの補正を行うドットデータ補正部80aをプリント制御部80内に備えている。この補正については後で詳説する。
各ヘッドドライバ84、85は、画像バッファメモリ82に記憶された各ドットデータに基づき、各吐出ヘッド12S、12K、12C、12M、12Yの駆動制御信号を生成する。各ヘッドドライバ84、85で生成された駆動制御信号が各吐出ヘッド12S、12K、12C、12M、12Yに加えられることによって、各吐出ヘッド12S、12K、12C、12M、12Yから各色インクや処理液がそれぞれ打滴される。記録媒体16の搬送速度に同期して各吐出ヘッド12S、12K、12C、12M、12Yの打滴を制御することにより、記録媒体16上に画像が形成される。
尚、処理液によって形成されるドットは、当該処理液のドットに対応する各色インクと接触すればよく、処理液のドットサイズは各色インクのドットサイズよりも大きくてもよいし、処理液のドットの配置密度を各色インクのドットの配置密度よりも低くしてもよい。即ち、処理液のドットデータが各色インクのドットデータと異なるように処理液のドットデータ及び各色インクのドットデータを生成してもよい。
図4のプログラム格納部90には各種制御プログラムが格納されており、システムコントローラ72の指令に応じて、制御プログラムが読み出され、実行される。プログラム格納部90はROMやEEPROMなどの半導体メモリを用いてもよいし、磁気ディスクなどを用いてもよい。外部インターフェイスを備え、メモリカードやPCカードを用いてもよい。もちろん、これらの記憶媒体のうち、複数の記憶媒体を備えてもよい。なお、プログラム格納部90は動作パラメータ等の記録手段(不図示)と兼用してもよい。
尚、本例では、機能ブロックとしてシステムコントローラ72やメモリ74、プリント制御部80などを個別のブロックとして図示したが、これらを集積化して1つのプロセッサとして構成してもよい。また、システムコントローラ72の一部の機能と、プリント制御部80の一部の機能と、を1つのプロセッサとして実現することも可能である。
〔打滴制御方法の説明〕
まず、本実施形態で用いるインクの本質的な特徴について図5を用いて説明する。図5は、任意のノズルから吐出されたインクにより形成される記録媒体上のドット列を表している。
図5(a)に示すドット列100Aのように、各ドットが互いに離れるような比較的低い周波数(低周波数)で打滴する場合には、各ドットはそれぞれ略円状に拡がる。一方、図5(b)に示すドット列100Bのように、各ドットが互いに接触するような比較的高い周波数(高周波数)で打滴する場合には、各ドットは副走査方向に隣接する他のドットと互いに押し合い、結果として、副走査方向に縮んで副走査方向に垂直な主走査方向に拡がった(長く延びた)変形楕円状となる。以下では、このようなドットを扁平ドットという。
また、本実施形態で用いるインクにより形成されるドットは、記録媒体上に他のドットが存在しない方向に拡がりやすい傾向がある。図5(c)は、副走査方向のドット列102が予め記録媒体上に形成されている場合において、ドット列102の各ドットの一部に重なるようにして高周波数でドット列100Cの各ドットを打滴したときの様子を表している。このようにして形成されるドット列100Cの各ドットは、既に形成されているドット列102側にはあまり拡がらず、その反対側(即ち、ドットが存在しない方向)に大きく拡がる。従って、このような場合には左右非対称な扁平ドットが形成される。
次に、このようなインクの特徴を利用して着弾位置誤差を要因とするスジムラを低減する方法について説明する。図6〜図8のいずれも、各ノズル51A〜51Fが打滴率50%でドットを打滴したときの様子を表した模式図である。各図の(a)は補正を行わない場合、(b)は従来の補正方法を適用した場合、(c)は本発明の補正方法を適用した場合をそれぞれ表している。また、各ノズル51A〜51Fにより形成されるドット列をそれぞれ符号110A〜110Fで表している。各図に示した各ノズル51A〜51Fは、図2で説明した投影ノズル列の一部に相当するものであり、実際には副走査方向に互いにずれて配置されている。ここでは、便宜的に各ノズル51A〜51Fを一列で表している。また、「隣接するノズル」とは、投影ノズル列内で隣接するノズルのことをいい、例えば、ノズル51Aに隣接するノズルはノズル51Bとなる。
図6は、中央側の2つのノズル51C、51Dにより打滴されるドットの着弾位置が主走査方向に互いに遠ざかる方向にずれた場合を表している。各ノズル51C、51Dにより打滴される各ドットはいずれも着弾位置が主走査方向に所定量ずれている。図6(a)に示すように補正が行われない場合には、ドット列110C、110Dの間が他と比べて広くなり、ドット列110C、110Dの間の領域Pのインク(色材)が少なくなり、副走査方向に延びる白スジ(スジムラ)が発生してしまう。
一方、従来の補正方法では、図6(b)に示すように、着弾位置にずれが生じているノズル51C、51Dが打滴するドットとしてドット120A、120Bを新たに追加することで(即ち、スジムラ近傍のドット列110C、110Dのドット数を増やして)、スジムラの視認性を低減している。更に、ノズル51C、51Dにそれぞれ隣接するノズル51B、51Eが本来打滴すべきドットの中からドット122A、122B(破線で図示)を間引くことで、ドットの追加に伴う白スジ近傍の色材量の増加を防いでいる。このような従来の補正方法では、スジムラの空間周波数を高周波化することでスジムラの視認性は巨視的に見たときには低減しているように見えるが、これを微視的に見たときには領域Pにはインクは付与されないので領域Pのインクが少ない状態は変わらず、スジムラの視認性を効果的に低減させているとは言えない。
これに対して本発明の補正方法では、図6(c)に示すように、着弾位置にずれが生じているノズル51C、51Dが高周波数でドット間同士が接触するようにドットを打滴するようにすることで、記録媒体上に主走査方向に細長い扁平ドット124を形成する。このとき、扁平ドット124が主走査方向に拡がるのを妨げないようにするため、ノズル51C、51Dが打滴するドットは主走査方向に並ばないようにする。即ち、ノズル51C、51Dが副走査方向の同じ位置にドットを打滴しないようにする。これにより、領域Pに十分な面積でインクが付与され、微視的に見た場合でもスジムラの視認性を効果的に低減することができる。
図7は、中央側の2つのノズル51C、51Dにより打滴されるドットの着弾位置が主走査方向に互いに近づく方向にずれた場合を表している。この場合も、図6と同様に、各ノズル51C、51Dにより打滴される各ドットがいずれも着弾位置が主走査方向に所定量ずれている。このような場合に補正が行われないと、図7(a)に示すように、ドット列110B、110Cの間の領域P1と、ドット列110D、110Eの間の領域P2にスジムラが視認される。また、従来の補正方法では、図7(b)に示すように、ドット120A、120Bが追加され、代わりに、ドット122A、122Bが間引かれるが、図6(b)と同様に、微視的に見たときの領域P1、P2には色材が少ない状態となっている。一方、本発明の補正方法によれば、図7(c)に示すように、主走査方向に着弾位置が所定量ずれているノズル51C、51Dが高周波数でドット間同士が接触するようにドットを打滴するようにすることで扁平ドット124を形成し、領域P1、P2には色材が十分付与される。このように隣接するノズル51C、51Dにより打滴されるドットの着弾位置が互いに近づく方向にずれる場合においてもスジムラの視認性を効果的に低減することができる。
図8は、ノズル51Cにより打滴されるドットの着弾位置のみがノズル51B側にずれている場合を表している。このような場合に補正が行われないと、図8(a)に示すように、ドット列110C、110Dの間の領域Pにスジムラが視認される。また、従来の補正方法では、図8(b)に示すように、スジムラ近傍のドット列110C、110Dにドット120A、120B、120Cを追加して、代わりに、ドット列110C、110Dに隣接するドット列110B、110Eで本来打滴されるべきドット122A、122B、122Cを間引いているが、領域Pの色材は少ない状態となっている。これに対して、本発明の補正方法では、図8(c)に示すように、主走査方向に着弾位置が所定量ずれているノズル51Cだけでなく、着弾位置がずれる方向と反対側に隣接するノズル51Dも高周波数でドット間同士が接触するようにドットを打滴するようにすることで扁平ドット124を形成し、これにより、スジムラの視認性を効果的に低減している。
図9は、本発明における打滴補正の流れを表したフローチャート図である。図9に示した各処理は、図4のプリント制御部80において実行されるものである。
プリント制御部80は、まず画像データを取得し(ステップS10)、既知の方法(例えば、ディザ法や誤差拡散法など)を用いてその画像データをドットデータに変換する(ステップS12)。そして、所定の大きさのメッシュを作成して、変換されたドットデータをメッシュ毎に区切る(ステップS14)。
また、プリント制御部80は、インク吐出ヘッドの各ノズルにより打滴されるドットの着弾位置誤差に関する情報(着弾位置誤差情報)を取得する(ステップS16)。本実施形態では、各ノズルが打滴するドットの着弾位置の主走査方向の誤差を取得する。着弾位置誤差情報を取得するタイミングとしては、例えば、製品の出荷時、装置電源の投入時、印字中などがあり、もちろん、これらを組み合わせても良い。各ノズルの着弾位置誤差情報は、図1や図4で説明した印字検出部26で読み取られ、プリント制御部80に送られる。例えば、ラインやベタ画像のテストプリントを印字検出部26で読み取った結果をプリント制御部80に送るようにしてもよい。プリント制御部80では取得した着弾位置誤差情報を必要に応じてデータ解析を行い、各ノズルの中から着弾位置誤差が所定の閾値を超える異常ノズルを抽出する(ステップS18)。
次に、ステップS14でメッシュ毎に区切った各ドットデータに対して、S18で抽出された異常ノズルがそのメッシュ内において打滴すべきドット数をカウントし、異常ノズルがそのカウント数に等しい個数のドットを連続的に高周波数で打滴するようにメッシュ内のドットデータを補正する(ステップS20)。そして、このように補正されたドットデータに基づいて、各インク吐出ヘッド12K、12C、12M、12Yがそれぞれ駆動される。
上述した打滴補正によれば、メッシュ内において異常ノズルが打滴するドット数は補正前後で変わらないため、マクロ的に見たときの画像の濃度は補正前後で同じである。メッシュの間隔は視認性を考慮し、1辺を100〜200μm程度とすることが好ましい。異常ノズルが存在する領域のみメッシュを敷くといった方法でもよい。また、図9では画像データをドットデータに変換後、抽出された異常ノズルに基いてドットデータを補正しているが、画像データをドットデータに変換する際に異常ノズルに関する情報を取り入れた状態で変換するようにしてもよい。
〔処理液及びインク(インクセット)の説明〕
本発明では、上述したように、各ノズルが打滴するドットの着弾位置の主走査方向の誤差が所定の閾値を越える場合に該ノズルが高周波数で(即ち、短い打滴間隔で)連続してドットを打滴するように補正することで扁平ドットを形成し、これにより、スジムラの視認性を低減している。しかし、短い打滴間隔でドットを打滴すると、記録媒体上に着弾する液滴同士が合一する現象(着弾干渉)が発生することがある。そこで、本発明に係るインクジェット記録装置10では、重合開始剤、拡散防止剤及びオイル(高沸点溶媒)を含有する処理液と、重合性化合物及び色材を含有する各色インクから構成されるインクセットを用いて、各色のインクに先行して処理液を記録媒体上に打滴することで、処理液の効果によって着弾干渉を防止して、画像の品質が劣化することなく、スジムラの視認性を低減させている。以下、本発明で用いられるインクセットについて詳説する。
<重合性化合物(輻射線硬化型モノマー及びオリゴマー)>
重合性化合物とは、後述する重合開始剤から発生するラジカルなどの開始種により、重合反応を生起し、硬化する機能を有する化合物を指す。
少なくとも一個のエチレン性不飽和二重結合を有する付加重合性化合物であることが好ましく、末端エチレン性不飽和結合を少なくとも1個、より好ましくは2個以上有する多官能化合物から選ばれることが好ましい。かかる化合物群は当該産業分野において広く知られるものであり、これらを特に限定無く用いることができる。これらは、例えば、モノマー、プレポリマー、すなわち2量体、3量体及びオリゴマー、又はそれらの混合物ならびにそれらの共重合体などの化学的形態を持つものを包含する。
重合性化合物は、分子内に、アクリロイル基、メタクリロイル基、アリル基、ビニル基、内部二重結合性基(マレイン酸など)などの重合性基を有することが好ましく、なかでも、アクリロイル基、メタクリロイル基を有する化合物が、低エネルギーで硬化反応を生起させることができるので好ましい。
重合性化合物は1つの液体中において、1種のみを用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
着色剤を含む第1の液体に含有させる重合性化合物の含有率としては、第1の液体中に50〜99質量%の範囲が好ましく、70〜99質量%の範囲がより好ましく、80〜99質量%の範囲がさらに好ましい。
<重合開始剤(硬化開始剤、反応開始剤)>
重合開始剤とは、光、熱、或いはその両方のエネルギーによりラジカルなどの開始種を発生し、前記重合性化合物の重合を開始、促進させる化合物を指し、公知の熱重合開始剤や結合解離エネルギーの小さな結合を有する化合物、光重合開始剤などを選択して使用することができる。
そのようなラジカル発生剤としては、有機ハロゲン化化合物、カルボニル化合物、有機過酸化化合物、アゾ系重合開始剤、アジド化合物、メタロセン化合物、ヘキサアリールビイミダゾール化合物、有機ホウ酸化合物、ジスルホン酸化合物、オニウム塩化合物等が挙げられる。
本発明のインクセットにおいては、用いる複数種の液体の内、少なくともいずれかに、重合性化合物を硬化させる重合開始剤を含有する。
重合開始剤の含有率は、経時安定性と硬化性、硬化速度との観点から、インクセットに使用した全重合性化合物に対し、0.5〜20質量%が好ましく、1〜15質量%がより好ましく、3〜10質量%が更に好ましい。
重合開始剤は、1種あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。また、本発明の効果を損なわない限りにおいて、感度向上の目的で公知の増感剤と併用することもできる。
<着色剤(色材)>
本発明に用いられる着色剤には特に制限はなく、インクの使用目的に適合する色相、色濃度を達成できるものであれば、公知の水溶性染料、油溶性染料及び顔料から適宜選択して用いることができる。なかでも、本発明のインクジェット記録用インクを構成する液体は、非水溶性の液体であって水性溶媒を含有しないことがインク打滴安定性及び速乾性の観点から好ましく、そのような観点からは、非水溶性の液体に均一に分散、溶解しやすい油溶性染料や顔料を用いることが好ましい。
本発明に使用可能な油溶性染料には特に制限はなく、任意のものを使用することができる。着色剤として油溶性染料を用いる場合の染料の含有量は、固形分換算で0.05〜20質量%の範囲であることが好ましく、0.1〜15質量%が更に好ましく、0.2〜6質量%が特に好ましい。
着色剤として顔料を用いる態様もまた、複数種の液体の混合時に凝集が生じやすいという観点から好ましい。
本発明において使用される顔料としては、有機顔料、無機顔料のいずれも使用できるが、黒色顔料としては、カーボンブラック顔料等が好ましく挙げられる。また、一般には黒色、及び、シアン、マゼンタ、イエローの3原色の顔料が用いられるが、その他の色相、例えば、赤、緑、青、茶、白等の色相を有する顔料や、金、銀色等の金属光沢顔料、無色又は淡色の体質顔料なども目的に応じて用いることができる。
また、シリカ、アルミナ、樹脂などの粒子を芯材とし、表面に染料又は顔料を固着させた粒子、染料の不溶レーキ化物、着色エマルション、着色ラテックス等も顔料として使用することができる。
さらに、樹脂被覆された顔料を使用することもできる。これは、マイクロカプセル顔料と呼ばれ、大日本インキ化学工業社製、東洋インキ社製などから市販品としても入手可能である。
本発明における液体中に含まれる顔料粒子の体積平均粒子径は、光学濃度と保存安定性とのバランスといった観点からは、30〜250nmの範囲であることが好ましく、さらに好ましくは50〜200nmである。ここで、顔料粒子の体積平均粒子径は、例えば、LB−500(HORIBA(株)製)などの測定装置により測定することができる。
着色剤として顔料を用いる場合の含有量は、光学濃度と噴射安定性の観点から、第1の液体中において、固形分換算で0.1質量%〜20質量%の範囲であることが好ましく、1質量%〜10質量%の範囲であることがより好ましい。
着色剤は1種のみならず、2種以上を混合して使用してもよい。また、液体毎に異なった着色剤を用いても、同じであってもよい。
<拡散防止剤(重合体、ポリマー)>
拡散防止剤とは、本発明において、記録媒体に付与された第2の液体上に打滴された着色剤を有する第1の液体の拡散や滲みを防止する目的で、第2の液体中に含有される物質を指す。
上記拡散防止剤としては、アミノ基を有する重合体、オニウム基を有する重合体、含窒素ヘテロ環を有する重合体、及び金属化合物からなる群より選択される少なくとも1種を含有する。
上記重合体等は、単一種を使用してもよいし、複数種を組み合わせて使用してもよい。「複数種」とは、例えば、アミノ基を有する重合体には属するが異なる構造の重合体の場合や、アミノ基を有する重合体とオニウム基を有する重合体の関係のように異なる属種である場合を含む。また、1つの分子中に、アミノ基、オニウム基、含窒素ヘテロ環、及び金属化合物を組み合わせて併存させても良い。
さらに、下に、これらの重合体等について詳細に述べる。
(アミノ基を有する重合体)
アミノ基を有する重合体は、アミノ基を有する単量体のみのホモポリマーであっても、アミノ基を有する単量体と他の単量体との共重合体であってもよい。アミノ基を有する重合体中、アミノ基を有する単量体は、10モル%以上100モル%以下であることが好ましく、20モル%以上100モル%以下であることがより好ましい。
アミノ基を有する単量体としては、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ジアリルアミン、N−メチルジアリルアミン、N−ビニルベンジル−N,N−ジメチルアミン、N−ビニルベンジル−N,N−ジエチルアミン、N−ビニルベンジル−N−エチル−N−メチルアミン、N−ビニルベンジル−N,N−ジヘキシルアミン、N−ビニルベンジル−N−オクタデシル−N−メチルアミン、N−ビニルベンジル−N’−メチル−ピペラジン、N−ビニルベンジル−N’−(2−ヒドロキシエチル)−ピペラジン、N−ベンジル−N−メチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジベンジルアミノエチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
これらの中でも、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、がより好ましく、更には、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドが特に好ましい。
これらの単量体と共重合可能な単量体としては、例えば(メタ)アクリル酸アルキルエステル[例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ステアリルなどの、アルキル部分の炭素数が1〜18である(メタ)アクリル酸アルキルエステルなど]、(メタ)アクリル酸シクロアルキルエステル[(メタ)アクリル酸シクロヘキシルなど]、(メタ)アクリル酸アリールエステル[(メタ)アクリル酸フェニルなど]、(メタ)アクリル酸アラルキルエステル[(メタ)アクリル酸ベンジルなど]、置換(メタ)アクリル酸アルキルエステル[例えば、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチルなど]、(メタ)アクリアミド類[例えば、(メタ)アクリルアミド、ジメチル(メタ)アクリルアミドなど]、芳香族ビニル類[スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレンなど]、ビニルエステル類[酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、バーサチック酸ビニルなど]、アリルエステル類[酢酸アリルなど]、ハロゲン含有単量体[塩化ビニリデン、塩化ビニルなど]、シアン化ビニル[(メタ)アクリロニトリルなど]、オレフィン類[エチレン、プロピレンなど]などが挙げられる。
これらの共重合可能な単量体の中でも、炭素数が1〜8のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(メタ)アクリル酸ベンジル、スチレンが好ましく、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸n−ヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシルが特に好ましい。
更に、その他の、アミノ基を有する重合体としては、ポリアリルアミン、ポリビニルアミン、ポリエチレンイミン、ポリジアリルアミン、ポリ(N−メチルジアリルアミン)、ポリ(N−エチルジアリルアミン)及びこれらの変性体(ポリアリルアミンのベンジルクロリド付加体、フェニルグリシジルエーテル付加体、アクリロニトリル付加体)、ジイソシアネート(例えばヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイシシアネート、トルエンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート)と3級アミノ基を有するジオール(例えば、N−メチルジエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、N,N’−3−ヒドロキシプロピルピペラジン)との重付加体等が挙げられる。
これらの中でも、ポリアリルアミン、ポリビニルアミン、ポリエチレンイミン、及びこれらの変性体がより好ましく、更には、ポリアリルアミンの変性体が特に好ましい。
本発明において、アミノ基を有する重合体としては下記一般式(1)で表される単位を有する重合体であることが特に好ましい。
一般式(1)中、R11は水素又はメチル基を表し、YはO又はNR15を表し、R15は水素又はアルキル基を表し、R12は2価の連結基を表し、R13及びR14はそれぞれ独立にアルキル基、アラルキル基又はアリール基を表す。
尚、上記R11としては水素がより好ましく、YとしてはO又はNHがより好ましく、更にはOが好ましく、R13及びR14としてはアルキル基又はアラルキル基がより好ましく、更にはアルキル基が好ましい。
上記R12で表される2価の連結基としては、アルキレン基、アリーレン基が好ましく、アルキレン基がより好ましい。
上記2価の連結基の具体例としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ヘキサメチレン基、オクタメチレン基、フェニレン基、2−ヒドロキシプロピレン基等が挙げられ、これらの中でも、エチレン基、プロピレン基、トリメチレン基が特に好ましい。
上記R13、R14及びR15で表されるアルキル基としては、炭素数18以下のアルキル基が好ましく、炭素数12以下のアルキル基がより好ましく、炭素数8以下のアルキル基が特に好ましい。上記アルキル基は、直鎖状であっても環状であってもよく、また置換基を有していてもよく、該置換基としては、ヒドロキシ基、アルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基等)、アリールオキシ基(例えば、フェノキシ基等)、アミノ基、カルバモイル基、ハロゲン原子等が挙げられる。
上記(置換)アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基、2−エチルヘキシル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ドデシル基、n−オクタデシル基、ヒドロキシエチル基、1−ヒドロキシプロピル基、N,N−ジメチルアミノエチル基、メトキシエチル基、クロロエチル基等が挙げられる。これらの中でも、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基、2−エチルヘキシル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、がより好ましく、更に、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ヘキシル基が特に好ましい。
上記R13及びR14で表されるアリール基としては、炭素数18以下のアリール基が好ましく、炭素数16以下のアリール基がより好ましく、炭素数12以下のアリール基が特に好ましい。また、上記アリール基は置換基を有していてもよい。
上記(置換)アリール基の具体例としては、フェニル基、アルキルフェニル基(例えば、メチルフェニル基、エチルフェニル基、n−プロピルフェニル基、n−ブチルフェニル基、クメニル基、メシチル基、トリル基、キシリル基等)、ナフチル基、クロロフェニル基、ジクロロフェニル基、トリクロロフェニル基、ブロモフェニル基、ヒドロキシフェニル基、メトキシフェニル基、アセトキシフェニル基、シアノフェニル基等が挙げられ、これらの中でもフェニル基、ナフチル基が特に好ましい。
上記R13及びR14で表されるアラルキル基としては、炭素数18以下のアラルキル基が好ましく、炭素数16以下のアラルキル基がより好ましく、炭素数12以下のアラルキル基が特に好ましい。上記アラルキル基のアルキル部分としては、上記のようなアルキル基を挙げることができ、また、上記アラルキル基のアリール部分としては、上記のようなアリール基を挙げることができる。また、上記アラルキル基は置換基を有していてもよい。
上記(置換)アラルキル基の具体例としては、ベンジル基、フェニルエチル基、ビニルベンジル基、ヒドロキシフェニルメチル基、ジフェニルメチル基、トリチル基、スチリル基等が挙げられ、これらの中でも、ベンジル基が特に好ましい。
一般式(1)で表される単位を有する重合体の好ましい具体例としては、次に記す重合体が挙げられる。
本発明に係るアミノ基を有する重合体であって、一般式(1)で表される単位を有する重合体以外の好ましい重合体としては、次に記す重合体が挙げられる。
一般式(1)で表される単位を有する重合体は、ラジカル(共)重合を用いて合成することができ、該ラジカル(共)重合としては、例えば、バルク重合、溶液重合、乳化重合等の公知の方法を用いることができる。尚、この方法に限定されず、その他公知の方法を採用することもできる。
本発明における、アミノ基を有する重合体の重量平均分子量としては1000〜50000であることが好ましく、特に2000〜30000であることが好ましい。
上記アミノ基を有する重合体は、着色剤を含有しない少なくとも1つの液体に含有されることが好ましく、更に本発明におけるアミノ基を有する重合体の好ましい使用量は、上記複数種の液体全体に対して1質量%〜90質量%が好ましく、10質量%〜75質量%が更に好ましく、20質量%〜50質量%が特に好ましい。上記使用量より少ないと、本発明の効果を有効に発揮できない場合があり、一方多いと高粘になるため、インク液の吐出性に問題が生じる場合がある。
(オニウム基を有する重合体)
オニウム基を有する重合体は、オニウム基を有する単量体のみのホモポリマーであっても、オニウム基を有する単量体と他の単量体との共重合体であってもよい。オニウム基を有する重合体の構成中、オニウム基を有する単量体は、10モル%以上であることが好ましく、20モル%以上であることがより好ましい。
オニウム基としてはアンモニウム基、ホスフォニウム基、スルホニウム基、があげられ、アンモニウム基であることが好ましい。アンモニウム基を有する重合体としては、第4級アンモニウム塩基を有する単量体の単独重合体や、該モノマーと他のモノマーとの共重合体又は縮重合体として得ることができる。
本発明において、アンモニウム基を有する重合体としては少なくとも下記一般式(2)又は(3)で表される単位を有する重合体であることが特に好ましい。
式中、Rは水素原子又はメチル基を表し、R21〜R23、R25〜R27は、各々独立にアルキル基、アラルキル基、アリール基を表す。R24は、アルキレン基、アラルキレン基、又はアリーレン基を表す。Yは、O又はNR’を表し、R’は水素原子又はアルキル基を表す。X−は、対アニオンを表す。
上記R21〜R23、及びR25〜R27で表されるアルキル基としては、炭素数18以下が好ましく、炭素数16以下がより好ましく、炭素数12以下が特に好ましい。上記アルキル基は、直鎖状であっても環状であってもよく、また置換基を有していてもよい。該置換基としては、アルコキシ基、アリールオキシ基、ハロゲン原子、水酸基、カルバモイル基、アミノ基等が挙げられる。
上記(置換)アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基、2−エチルヘキシル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ドデシル基、n−オクタデシル基、ヒドロキシエチル基、1−ヒドロキシプロピル基、N,N−ジメチルアミノエチル基、メトキシエチル基、クロロエチル基等が挙げられる。
これらアルキル基の中でも、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基、2−エチルヘキシル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基が好ましく、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ヘキシル基が特に好ましい。
上記R21〜R23、及びR25〜R27で表されるアリール基としては、炭素数18以下が好ましく、炭素数16以下がより好ましく、炭素数12以下が特に好ましい。上記アリール基は置換基を有していてもよく、該置換基としては、アルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ハロゲン原子、水酸基、カルバモイル基、シアノ基、アミノ基等が挙げられる。
上記(置換)アリール基の具体例としては、フェニル基、アルキルフェニル基(例えば、メチルフェニル基、エチルフェニル基、n−プロピルフェニル基、n−ブチルフェニル基、クメニル基、メシチル基、トリル基、キシリル基等)、ナフチル基、クロロフェニル基、ジクロロフェニル基、トリクロロフェニル基、ブロモフェニル基、ヒドロキシフェニル基、メトキシフェニル基、アセトキシフェニル基、シアノフェニル基等が挙げられる。
これら(置換)アリール基の中でも、フェニル基、ナフチル基が特に好ましい。
上記R21〜R23、及びR25〜R27で表されるアラルキル基としては、炭素数18以下が好ましく、炭素数16以下がより好ましく、炭素数12以下が特に好ましい。上記アラルキル基のアルキル部分としては、上記のようなアルキル基を挙げることができ、また、上記アラルキル基のアリール部分としては、上記のようなアリール基を挙げることができる。上記アラルキル基のアルキル部分、及び/又はアリール部分は置換基を有していてもよく、該置換基としては、上記アルキル基及びアリール基で例示した置換基と同様である。
上記(置換)アラルキル基の具体例としては、ベンジル基、フェニルエチル基、ビニルベンジル基、ヒドロキシフェニルメチル基、ジフェニルメチル基、トリチル基、スチリル基等が挙げられる。
これら(置換)アラルキル基の中でも、ベンジル基が特に好ましい。
R21〜R23、及びR25〜R27は、特に好ましくは、各々独立に、アルキル基又はアラルキル基であり、その中でもメチル基、エチル基、ヘキシル基、ベンジル基が好適である。
R24は2価の連結基を表し、好ましくは、アルキレン基、アラルキレン基、又はアリーレン基である。
上記R24で表されるアルキレン基としては、炭素数8以下が好ましく、炭素数6以下がより好ましく、炭素数4以下が特に好ましい。上記アルキレン基は、直鎖状であっても環状であってもよく、また置換基を有していてもよく、該置換基としては、アルコキシ基、アリールオキシ基、ハロゲン原子、水酸基、カルバモイル基、アミノ基等が挙げられる。
上記(置換)アルキレン基の具体例としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ヘキサメチレン基、オクタメチレン基、2−ヒドロキシエチレン基、2−ヒドロキシプロピレン基、2−メトキシプロピレン基等が挙げられる。
これら(置換)アルキレン基のうち、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、トリメチレン基、2−ヒドロキシピロピレン基が特に好ましい。
上記R24で表されるアリーレン基としては、炭素数12以下が好ましく、炭素数10以下がより好ましく、炭素数8以下が特に好ましい。上記アリーレン基は置換基を有していてもよく、該置換基としては、上記アリール基で例示した置換基と同様である。
上記(置換)アリーレン基の具体例としては、フェニレン基、アルキルフェニレン基(例えば、2−エチル−1,4−フェニレン基、2−プロピル−1,4−フェニレン基等)、2−クロロ−1,4−フェニレン基、アルコキシフェニレン基(例えば、2−メトキシ−1,4−フェニレン基等)が挙げられ、これらのうち、フェニレン基が特に好ましい。
上記R24で表されるアラルキレン基としては、炭素数12以下が好ましく、炭素数10以下がより好ましく、炭素数8以下が特に好ましい。上記アラルキレン基のアルキル部分としては、上記のようなアルキル基を挙げることができ、また、上記アラルキレン基のアリール部分としては、上記のようなアリール基を挙げることができる。上記アラルキレン基は置換基を有していてもよく、該置換基としては、上記アルキル基及びアリール基で例示した置換基と同様である。
上記(置換)アラルキレン基の具体例としては、キシリレン基、ベンジリデン基等が挙げられ、ベンジリデン基が特に好ましい。
R24は、特に好ましくは、アルキレン基であり、その中でもエチレン基、又はプロピレン基が好適である。
上記R’で表されるアルキル基としては、上記R21〜R23及びR25〜R27で表されるアルキル基と同様のものが好ましい。好ましい具体例も同様である。
−Y−は、特に好ましくは、−O−又は−NH−である。
X−は、対アニオンであり、ハロゲンイオン(Cl−,Br−,I−)、スルホン酸イオン、アルキルスルホン酸イオン、アリールスルホン酸イオン、アルキルカルボン酸イオン、アリールカルボン酸イオン、PF6 −、BF4 −等が挙げられる。これらのうち、Cl−,Br−,トルエンスルホン酸イオン、メタンスルホン酸イオン、PF6 −、BF4 −が特に好ましい。
一般式(2)又は(3)で表される単位を有する重合体の場合、一般式(2)又は(3)で表される単位は、重合体中10〜100モル%含有することが好ましく、20〜100モル%含有する場合がより好ましい。
一般式(2)又は(3)で表される単位を有する重合体の好ましい具体例として、次の重合体を挙げることができる。
本発明にかかるオニウム基を有する重合体であって、一般式(2)又は(3)で表される単位を有する重合体以外の重合体としては、エピクロルヒドリン−ジメチルアミン付加重合物、ジハライド化合物(例えば、キシリレンジクロリド、キシリレンジブロミド、1,6−ジブロモヘキサン)とジアミン(N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルヘキサメチレンジアミン、N,N’−ジメチルピペラジン、ジアザビシクロオクタン)の付加重合物等を挙げることができる。
さらにアミノ基を有する重合体(たとえばポリアリルアミン、ポリビニルアミン、ポリエチレンイミン、ポリジアリルアミン、ポリ(N−メチルジアリルアミン)、ポリ(N−エチルジアリルアミン)、ジイソシアネート(例えばヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイシシアネート、トルエンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート)と3級アミノ基を有するジオール(例えば、N−メチルジエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、N,N’−3−ヒドロキシプロピルピペラジン)との重付加体等)をメチルクロライド、エチルクロライド、メチルブロマイド、エチルブロマイド、メチルアイオダイド、エチルアイオダイド、ジメチル硫酸、ジエチル硫酸、p−トルエンスルホン酸メチル、p−トルエンスルホン酸エチルを付加させて得ることもできる。
これらのうち好ましい重合体としては、下記の具体例が挙げられる。
一般式(2)又は(3)で表される単位を有する重合体は、以下のアンモニウム基を有する単量体の単独重合体や、該単量体を含む共重合体として得ることができる。
上記アンモニウム基を有する単量体としては、例えば、トリメチル−p−ビニルベンジルアンモニウムクロライド、トリメチル−m−ビニルベンジルアンモニウムクロライド、トリエチル−p−ビニルベンジルアンモニウムクロライド、トリエチル−m−ビニルベンジルアンモニウムクロライド、N,N−ジメチル−N−エチル−N−p−ビニルベンジルアンモニウムクロライド、N,N−ジエチル−N−メチル−N−p−ビニルベンジルアンモニウムクロライド、N,N−ジメチル−N−n−プロピル−N−p−ビニルベンジルアンモニウムクロライド、N,N−ジメチル−N−n−オクチル−N−p−ビニルベンジルアンモニウムクロライド、N,N−ジメチル−N−ベンジル−N−p−ビニルベンジルアンモニウムクロライド、N,N−ジエチル−N−ベンジル−N−p−ビニルベンジルアンモニウムクロライド、N,N−ジメチル−N−(4−メチル)ベンジル−N−p−ビニルベンジルアンモニウムクロライド、N,N−ジメチル−N−フェニル−N−p−ビニルベンジルアンモニウムクロライド、トリメチル−p−ビニルベンジルアンモニウムブロマイド、トリメチル−m−ビニルベンジルアンモニウムブロマイド、トリメチル−p−ビニルベンジルアンモニウムスルホネート、トリメチル−m−ビニルベンジルアンモニウムスルホネート、トリメチル−p−ビニルベンジルアンモニウムアセテート、トリメチル−m−ビニルベンジルアンモニウムアセテート、N,N,N−トリエチル−N−2−(4−ビニルフェニル)エチルアンモニウムクロライド、N,N,N−トリエチル−N−2−(3−ビニルフェニル)エチルアンモニウムクロライド、N,N−ジエチル−N−メチル−N−2−(4−ビニルフェニル)エチルアンモニウムクロライド、N,N−ジエチル−N−メチル−N−2−(4−ビニルフェニル)エチルアンモニウムアセテート、トリメチル−2−(メタクリロイルオキシ)エチルアンモニウムクロライド、トリエチル−2−(メタクリロイルオキシ)エチルアンモニウムクロライド、トリメチル−2−(アクリロイルオキシ)エチルアンモニウムクロライド、トリエチル−2−(アクリロイルオキシ)エチルアンモニウムクロライド、トリメチル−3−(メタクリロイルオキシ)プロピルアンモニウムクロライド、トリエチル−3−(メタクリロイルオキシ)プロピルアンモニウムクロライド、トリメチル−2−(メタクリロイルアミノ)エチルアンモニウムクロライド、トリエチル−2−(メタクリロイルアミノ)エチルアンモニウムクロライド、トリメチル−2−(アクリロイルアミノ)エチルアンモニウムクロライド、トリエチル−2−(アクリロイルアミノ)エチルアンモニウムクロライド、トリメチル−3−(メタクリロイルアミノ)プロピルアンモニウムクロライド、トリエチル−3−(メタクリロイルアミノ)プロピルアンモニウムクロライド、トリメチル−3−(アクリロイルアミノ)プロピルアンモニウムクロライド、トリエチル−3−(アクリロイルアミノ)プロピルアンモニウムクロライド、N,N−ジメチル−N−エチル−2−(メタクリロイルオキシ)エチルアンモニウムクロライド、N,N−ジエチル−N−メチル−2−(メタクリロイルオキシ)エチルアンモニウムクロライド、N,N−ジメチル−N−エチル−3−(アクリロイルアミノ)プロピルアンモニウムクロライド、トリメチル−2−(メタクリロイルオキシ)エチルアンモニウムブロマイド、トリメチル−3−(アクリロイルアミノ)プロピルアンモニウムブロマイド、トリメチル−2−(メタクリロイルオキシ)エチルアンモニウムスルホネート、トリメチル−3−(アクリロイルアミノ)プロピルアンモニウムアセテート、モノメチルジアリルアンモニウムクロライド、ジメチルジアリルアンモニウムクロライド、アリルアミン塩酸塩等を挙げることができる。
これらの単量体と共重合可能な単量体としては、例えば(メタ)アクリル酸アルキルエステル[例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ステアリルなどの(メタ)アクリル酸C1−18アルキルエステルなど]、(メタ)アクリル酸シクロアルキルエステル[(メタ)アクリル酸シクロヘキシルなど]、(メタ)アクリル酸アリールエステル[(メタ)アクリル酸フェニルなど]、アラルキルエステル[(メタ)アクリル酸ベンジルなど]、置換(メタ)アクリル酸アルキルエステル[例えば、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチルなど]、(メタ)アクリルアミド類[例えば、(メタ)アクリルアミド、ジメチ(メタ)アクリルアミドなど]、芳香族ビニル類[スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレンなど]、ビニルエステル類[酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、バーサチック酸ビニルなど]、アリルエステル類[酢酸アリルなど]、ハロゲン含有単量体[塩化ビニリデン、塩化ビニルなど]、シアン化ビニル[(メタ)アクリロニトリルなど]、オレフィン類[エチレン、プロピレンなど]などが挙げられる。
これらの共重合体可能な単量体の中でも、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(メタ)アクリルアミド類、芳香族ビニル類が好ましく、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、スチレンが特に好ましい。
これらの重合体は該モノマーをラジカル(共)重合により合成できる。ラジカル重合としては、バルク重合、溶液重合、乳化重合等、公知の方法を使用できる。また、必要に応じて当業者には周知の重合開始触媒を用いることができる。
本発明にかかるオニウム基を有する重合体は、重量平均分子量として1000以上50000以下が好ましく、2000以上30000以下がより好ましい。
本発明におけるオニウム基を有する重合体の好ましい使用量は、上記複数種の液体全体に対して1質量%〜90質量%が好ましく、10質量%〜75質量%が更に好ましく、20質量%〜50質量%が特に好ましい。上記使用量より少ないと、本発明の効果を有効に発揮できない場合があり、一方多いと高粘になるため、インク液の吐出性に問題が生じる場合がある。
(含窒素ヘテロ環を有する重合体)
含窒素ヘテロ環を有する重合体は、含窒素ヘテロ環を有する単量体のみのホモポリマーであっても、含窒素ヘテロ環を有する単量体と他の単量体との共重合体であってもよい。含窒素ヘテロ環を有する重合体の構成中、含窒素ヘテロ環を有する単量体は、10モル%以上であることが好ましく、20モル%以上であることがより好ましい。
ここで、含窒素へテロ環としては、具体的に、飽和へテロ環(例えば、アジリジン、アゼチジン、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジン、モルホリン、チオモルホリン、カプロラクタム、バレロラクタム)、および不飽和へテロ環(例えば、イミダゾール、ピリジン、ピロール、ピラゾール、ピラジン、ピリミジン、インドール、プリン、キノリン、トリアジン等)が挙げられる。
これらの含窒素ヘテロ環はさらに置換基を有していてもよく、該置換基としては、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ハロゲン原子、水酸基、カルバモイル基、アミノ基等が挙げられる。
本発明にかかる重合体はこれらの含窒素へテロ環を有するビニル単量体から得られる重合体であることが好ましい。具体的には、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタム、アクリロイルモルホリン、アクリロイルチオモルホリン、N−ビニルイミダゾール、2−メチル−1−ビニルイミダゾール、2−ビニルピリジン、4−ビニルピリジン、N−ビニルカルバゾール、N−メチルマレイミド、N−エチルマレイミド、2−イソプロペニル−2−オキサゾリン等が挙げられる。これらのうち、N−ビニルイミダゾール、2−ビニルピリジン、4−ビニルピリジンが特に好ましい。
さらに本発明にかかる重合体は、前記単量体とこれと共重合可能な単量体との共重合体であってもよい。共重合可能な単量体としては、例えば(メタ)アクリル酸アルキルエステル[例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ステアリルなどの(メタ)アクリル酸C1−18アルキルエステルなど]、(メタ)アクリル酸シクロアルキルエステル[(メタ)アクリル酸シクロヘキシルなど]、(メタ)アクリル酸アリールエステル[(メタ)アクリル酸フェニルなど]、アラルキルエステル[(メタ)アクリル酸ベンジルなど]、置換(メタ)アクリル酸アルキルエステル[例えば、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチルなど]、(メタ)アクリルアミド類[例えば、(メタ)アクリルアミド、ジメチ(メタ)アクリルアミドなど]、芳香族ビニル類[スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレンなど]、ビニルエステル類[酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、バーサチック酸ビニルなど]、アリルエステル類[酢酸アリルなど]、ハロゲン含有単量体[塩化ビニリデン、塩化ビニルなど]、シアン化ビニル[(メタ)アクリロニトリルなど]、オレフィン類[エチレン、プロピレンなど]などが挙げられる。
これらの共重合体可能な単量体の中でも、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(メタ)アクリルアミド類、芳香族ビニル類が好ましく、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、スチレンが特に好ましい。
含窒素へテロ環を有する重合体の構造中、含窒素へテロ環を有する単量体は、10モル%以上100モル%以下であることが好ましく、20モル%以上100モル%以下であることがより好ましい。
これらの重合体は該モノマーをラジカル(共)重合により合成できる。ラジカル重合としては、バルク重合、溶液重合、乳化重合等、公知の方法を使用できる。また、必要に応じて当業者には周知の重合開始触媒を用いることができる。
さらには、本発明にかかる重合体を重縮合により得ても良い。2,4−ジクロロトリアジン(例えば2,4−ジクロロ−6−ブチルアミノ−1,3,5−トリアジン)とジアミン(例えば、N,N’−ジメチルエチレンジアミン、N,N’−ジメチルヘキサメチレンジアミン、N,N’−ジブチルヘキサメチレンジアミン、N,N’−ジオクチルヘキサメチレンジアミン等)との重縮合により得られる重合体、あるいはピペラジンとジカルボン酸(例えばアジピン酸)エステルとの重縮合により得られる重合体も挙げることができる。
好ましい含窒素ヘテロ環ポリマーとして、以下の具体例を挙げることができる。
さらに、下記の重合体も、好ましい具体例として挙げることができる。
本発明にかかる含窒素ヘテロ環を有する重合体は、重量平均分子量として1000以上50000以下が好ましく、2000以上30000以下がより好ましい。
本発明における含窒素複素環を含む重合体の好ましい使用量は、上記複数種の液体全体に対して1質量%〜90質量%が好ましく、10質量%〜75質量%が更に好ましく、20質量%〜50質量%が特に好ましい。上記使用量より少ないと、本発明の効果を有効に発揮できない場合があり、一方多いと高粘になるため、インク液の吐出性に問題が生じる場合がある。
(金属化合物)
金属化合物としては脂肪族カルボン酸(例えば酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、イソ吉草酸、ピバリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、2−エチルヘキサン酸、乳酸、ピルビン酸等)の金属塩、芳香族カルボン酸(例えば安息香酸、サリチル酸、フタル酸、桂皮酸等)の金属塩、脂肪族スルホン酸(例えばメタンスルホン酸、エタンスルホン酸、プロパンスルホン酸、ヘキサンスルホン酸、2−エチルヘキサンスルホン酸等)の金属塩、芳香族スルホン酸(ベンゼンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸等)の金属塩、または1,3−ジケトン金属化合物があげられ、これらのうち脂肪族カルボン酸の金属塩または1,3−ジケトン金属化合物が好ましい。
前記脂肪族カルボン酸としては直鎖でも分岐でも環状でもよく、炭素数2〜40が好ましく、炭素数6〜25がより好ましい。また、置換基を有していてもよく、該置換基としてはアリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ハロゲン原子、水酸基、カルバモイル基、アミノ基、カルボキシ基等が挙げられる。
置換基としてのアリール基として、好ましくは、フェニル基、アルキルフェニル基(例えば、メチルフェニル基、エチルフェニル基、n−プロピルフェニル基、n−ブチルフェニル基、クメニル基、メシチル基、トリル基、キシリル基)、ナフチル基、フロロフェニル基、ジクロロフェニル基、トリクロロフェニル基、ブロモフェニル基、ヒドロキシフェニル基、メトキシフェニル基、アセトキシフェニル基、シアノフェニル基等が挙げられ、フェニル基、ナフチル基がより好ましい。
置換基としてのアルコキシ基として、好ましくは、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、t−ブトキシ基、ヘキシルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基、オクチルオキシ基、ドデシルオキシ基であり、より好ましくは、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、t−ブトキシ基である。
置換基としてのアリールオキシ基として、好ましくは、フェノキシ基、メチルフェノキシ基、エチルフェノキシ基、クメニルオキシ基、トリルオキシ基、キシリルオキシ基、ナフチルオキシ基、クロロフェノキシ基、ヒドロキシフェノキシ基、メトキシフェノキシ基、アセトキシフェノキシ基であり、より好ましくはフェノキシ基である。
置換基としてのハロゲン原子として、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、沃素原子が挙げられる。
置換基としてのカルバモイル基として、好ましくは、カルバモイル基、アルキルカルバモイル基(例えば、メチルカルバモイル基、エチルカルバモイル基、プロピルカルバモイル基、ブチルカルバモイル基など)、アリールカルバモイル基(例えば、フェニルカルバモイル基)であり、カルバモイル基、メチルカルバモイル基、エチルカルバモイル基がより好ましい。
置換基としてのアミノ基として、好ましくは、1級アミノ基、N−置換アミノ基(例えば、N−メチルアミノ基、N−エチルアミノ基、N−プロピルアミノ基、N−ブチルアミノ基、N−ヘキシルアミノ基、N−オクチルアミノ基、N−ベンジルアミノ基)、N,N−2置換アミノ基(例えば、N,N−ジメチルアミノ基、N,N−ジエチルアミノ基、N−メチル−N−エチルアミノ基、N,N−ジブチルアミノ基、N−エチル−N−オクチルアミノ基、N−メチル−N−ベンシルアミノ基)であり、N−メチルアミノ基、N−エチルアミノ基、N,N−ジメチルアミノ基、N,N−ジエチルアミノ基、N−メチル−N−エチルアミノ基がより好ましい。
特に好ましい脂肪族カルボン酸は、n−ヘキサン酸、2−エチルヘキサン酸、n−オクタン酸、ラウリル酸、ミリスチル酸、パルミチン酸、ステアリン酸、2−エチルヘキサン酸である。さらにはエチレンジアミン4酢酸も好ましく挙げることができる。
前記1,3−ジケトンとしては、直鎖でも分岐でも環状でもよく、炭素数5〜40が好ましく、炭素数5〜25がより好ましい。例えば、2,4−ペンタジオン、3,5−ヘプタジオン、2,2,6,6−テトラメチルヘプタジオン、4,6−ノナジオン、7,9−ペンタデカジオン、2,4−ジメチル−7,9−ペンタデカジオン、2−アセチルシクロペンタノン、2−アセチルシクロヘキサノン、3−メチル−2,4−ペンタジオン、3−(2−エチルヘキシル)2,4−ペンタジオン、3−[4−(2−エチルヘキシルオキシ)ベンジル]−2,4−ペンタジオン等があげられ、2,4−ペンタジオン、7,9−ペンタデカジオン、3−[4−(2−エチルヘキシルオキシ)ベンジル]−2,4−ペンタジオンが好ましい。
これらの基は、更に置換基を有していてもよく、該置換基としてはアリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ハロゲン原子、水酸基、カルバモイル基、アミノ基、カルボキシ基等が挙げられる。置換基としてより好ましいアリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ハロゲン原子、水酸基、カルバモイル基、アミノ基については、上記脂肪族カルボン酸の場合と同様である。
前記金属化合物の金属としては、亜鉛、アルミニウム、カルシウム、マグネシウム、鉄、コバルト、ニッケル、及び銅からなる群より選択される1種を挙げることができ、中でも亜鉛、アルミニウム、ニッケルが好ましく、特に亜鉛が好ましい。
本発明における好ましい脂肪族カルボン酸の金属塩として、以下のものを挙げることができる。
さらに、本発明における好ましい1,3−ジケトン金属化合物として、以下の具体例を挙げることができる。
脂肪族カルボン酸の金属塩及び1、3−ジケトン金属化合物は、溶液中での錯形成反応により合成することが可能である。あるいは、これに限定されず、その他の公知の方法を採用することもできる。
本発明における金属化合物の好ましい使用量は、上記複数種の液体全体に対して1質量%〜90質量%が好ましく、10質量%〜75質量%が更に好ましく、20質量%〜50質量%が特に好ましい。上記使用量より少ないと、本発明の効果を有効に発揮できない場合があり、一方多いと高粘になるため、インク液の吐出性に問題が生じる場合がある。
<高沸点有機溶媒(オイル)>
本発明中での、高沸点有機溶媒とは25℃での粘度が100mPa・s以下又は60℃での粘度が30mPa・s以下であり、且つ沸点が100℃よりも高い有機溶媒を示す。
ここで、本発明における「粘度」は、東機産業(株)社製のRE80型粘度計を用いて求めた粘度をさす。RE80型粘度計は、E型に相当する円錐ロータ/平板方式粘度計であり、ロータコードNo.1番のロータを用い、10rpmの回転数にて測定を行う。但し、60mPa・sより高粘なものについては、必要により回転数を5rpm、2.5rpm、1rpm、0.5rpm等に変化させて測定を行う。
また、本発明において「水の溶解度」とは、25℃における高沸点有機溶媒中の水の飽和濃度であり、25℃での高沸点有機溶媒100gに溶解できる水の質量(g)を意味する。
上記高沸点有機溶媒の使用量としては、使用する着色剤に対し、塗設量換算で5〜2000質量%が好ましく、10〜1000質量%がより好ましい。
本発明において、前記高沸点有機溶媒としては、下記式〔S−1〕から〔S−9〕で表される化合物が好ましい。
<貯蔵安定剤>
本発明においては、複数種の液体の保存中における好ましくない重合を抑制する目的で、貯蔵安定剤を添加することができる。貯蔵安定剤は、重合性化合物と同じ液体に共存させて用いることが好ましく、また、該液体或いは共存する他の成分に可溶性のものを用いることが好ましい。
貯蔵安定剤としては、4級アンモニウム塩、ヒドロキシアミン類、環状アミド類、ニトリル類、置換尿素類、複素環化合物、有機酸、ハイドロキノン、ハイドロキノンモノエーテル類、有機ホスフィン類、銅化合物などが挙げられる。
貯蔵安定剤の添加量は、用いる重合開始剤の活性や重合性化合物の重合性、貯蔵安定剤の種類に基づいて適宜調整するのが好ましいが、保存安定性と液体混合時のインクの硬化性とのバランスといった観点からは、液体中における固形分換算で0.005〜1質量%が好ましく、0.01〜0.5質量%がより好ましく、0.01〜0.2質量%がさらに好ましい。
<液体付与手段>
本発明のインクジェット画像記録方法においては、第2の液体の記録媒体上への付与手段として、インクジェットノズルでの噴出によるもののほかに、塗布等、他の手段を用いてもよい。
上記塗布に用いる装置としては特に制限はなく、公知の塗布装置を目的に応じて適宜選択することができる。例えば、エアドクターコーター、ブレードコーター、ロットコーター、ナイフコーター、スクイズコーター、含浸コーター、リバースロールコーター、トランスファーロールコーター、グラビアコーター、キスロールコーター、キャストコーター、スプレイコーター、カーテンコーター、押出コーター等が挙げられる。
<エネルギー付与工程>
本発明において重合性化合物の重合を進行させるための露光光源としては、紫外線、可視光線などを使用することができる。また、光以外の放射線、例えば、α線、γ線、X線、電子線などでエネルギー付与を行うこともできるが、これらのうち、紫外線、可視光線を用いることがコスト及び安全性の点から好ましく、紫外線を用いることが更に好ましい。硬化反応に必要なエネルギー量は、重合開始剤の種類や含有量などによって異なるが、一般的には、1〜500mJ/cm2程度である。
〔硬化エネルギーの説明〕
本例に示すインクジェット記録装置10では、優れた定着性を得る観点から、画像形成後エネルギーを付与することによって画像を記録媒体16に固定する工程が設けられている。
即ち、記録媒体16上に打滴された処理液及び各色インクにエネルギーを付与することで、これらの液体の重合、硬化反応を促進させ、より強固な画像をより効率よく形成することができる。本例では、このようなエネルギー付与はUV光などの放射線照射により行われる。
即ち、UV光源24によるエネルギー(UV光)付与により、記録媒体16に打滴された液体中の重合開始剤の分解による活性種の発生が促進されるとともに、活性種の増加や温度の上昇により、活性種に起因する重合性化合物の重合硬化反応が促進される。
本例では、重合性化合物の重合を進行させるための露光光源の一例として紫外線光原を示したが、これ以外にも、可視光線、α線、γ線、X線、電子線などを照射してエネルギー付与を行うこともできるが、これらのうち、紫外線、可視光線を用いることがコスト及び安全性の点から好ましく、紫外線を用いることが更に好ましい。硬化反応に必要なエネルギー量は、重合開始剤の種類や含有量などによって異なるが、一般的には、1〜500mJ/cm2程度である。
本例に示すインクジェット記録装置10に適用されるUV光源24の一例を挙げると、メタルハライドランプ、キセノンランプ、高圧水銀灯、低圧水銀灯、カーボンアーク灯、殺菌灯、紫外蛍光灯、紫外LED等がある。
〔記録媒体の説明〕
本発明においては、インク浸透性の記録媒体、インク非浸透性の記録媒体共に使用することができる。インク浸透性の記録媒体としては、普通紙、インクジェット専用紙、コート紙、電子写真共用紙、布、不織布、多孔質膜、高分子吸収体等が挙げられる。これらについては、特開2001−1891549号公報などに「被記録材」として記載されている。
本発明の優れた効果は、インク非浸透性の記録媒体で顕著に発現する。インク非浸透性の記録媒体としては、アート紙、合成樹脂、ゴム、樹脂コート紙、ガラス、金属、陶器、木材等が挙げられる。加えて機能を付加するために、これら材質を複数組み合わせ複合化した基材も使用することができる。
合成樹脂としては、いかなる合成樹脂も用いることができるが、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブタジエンテレフタレート等のポリエステル、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリウレタン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、アクリル樹脂、ポリカーボネート、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体等、ジアセテート、トリアセテート、ポリイミド、セロハン、セルロイド等が挙げられ、これらの合成樹脂基材の厚みや形状は、フィルム状でもよいし、カード状、ブロック状でもよく、何ら限定されることはない。また、これら合成樹脂は透明でも不透明でもよい。
合成樹脂の使用形態としては、所謂軟包装に用いられるフィルム状で用いることも好ましく、各種非吸収性のプラスチック及びそのフィルムを用いることができ、各種プラスチックフィルムとしては、例えば、PETフィルム、OPSフィルム、OPPフィルム、PNyフィルム、PVCフィルム、PEフィルム、TACフィルム等を挙げることができる。その他のプラスチックとしては、ポリカーボネート、アクリル樹脂、ABS、ポリアセタール、PVA、ゴム類などが使用できる。
樹脂コート紙としては、例えば、透明ポリエステルフィルム、不透明ポリエステルフィルム、不透明ポリオレフィン樹脂フィルム、及び紙の両面をポリオレフィン樹脂でラミネートした紙支持体等が挙げられるが、特に好ましいのは紙の両面をポリオレフィン樹脂でラミネートした紙支持体である。
金属としては、いかなる金属も用いることが可能であるが、アルミニウム、鉄、金、銀、銅、ニッケル、チタン、クロム、モリブデン、シリコン、鉛、亜鉛等、又はステンレス等のこれらの複合材料が好ましく用いられる。
なお、本発明に適用される記録媒体としては、更に、CD−ROM、DVD−ROM等の読み出し専用光ディスク、CD−R、DVD−R等の追記型光ディスク、更には書き換え型光ディスク等を用いることもでき、レーベル面側にインク受容層および光沢付与層を付与することもできる。
以上説明したように、本実施形態によれば、着弾位置誤差が所定量以上である異常ノズルから吐出されるインクが記録媒体上で互いに接触する程度に連続的に吐出することで、記録媒体上に扁平ドットを形成し、これにより、着弾位置誤差を要因とするスジムラの視認性を効果的に低減することができる。
特に、本実施形態では、硬化開始剤、拡散防止剤及びオイルを含有する処理液と、UVモノマー及び色材を含有する各色インクを用いて、各色のインクに先行して処理液を記録媒体上に打滴することで、着弾干渉による画像劣化を防止しつつ、記録媒体上の処理液及び各色インクの混合液に対してUV光を照射することで、混合液が迅速に硬化定着して良好な画質の画像を得ることができる。
尚、本実施形態では、吐出ヘッドがフルライン型ヘッドである場合について説明したが、本発明の実施に際してはこれに限定されず、記録媒体の紙搬送方向(副走査方向)に直交する紙幅方向(副走査方向)に沿って走査しながらインク吐出を行うシャトル型ヘッドであってもよい。
以上、本発明の画像形成装置について詳細に説明したが、本発明は、以上の例には限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、各種の改良や変形を行ってもよいのはもちろんである。
10…インクジェット記録装置、12…吐出ヘッド、12S…処理液吐出ヘッド、12K、12C、12M、12Y…インク吐出ヘッド、14…液体貯蔵/装填部、16…記録媒体、22…搬送部、24…UV光源、26…印字検出部、51…ノズル、52…圧力室、53…供給口、55…共通流路、56…振動板、58…圧電素子、58a…圧電体、58b…個別電極、80…プリント制御部、80a…ドットデータ補正部、84…インク用ヘッドドライバ、85…処理液用ヘッドドライバ、92…光源ドライバ、124…扁平ドット