JP3870134B2 - インクジェット記録装置、およびインクジェット記録方法 - Google Patents

インクジェット記録装置、およびインクジェット記録方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、インクの吐出口を集積配列配置してなるマルチノズルインクジェット記録ヘッドを用いる着色材を含有するインクを用いて画像記録を行うインクジェット記録装置、およびインクジェット記録方法に関し、特に、記録画像の画像品位を低下させる要因を解析し補正することで、高品質な記録画像を記録するインクジェット記録装置、およびインクジェット記録方法に関する。
また、本発明は、紙や布、革、不織布、OHP用紙等、さらには金属などの記録媒体を用いる機器すべてに適用可能である。具体的な適用機器としては、プリンタ、複写機、ファクシミリ等の事務機器や工業用生産機器等を挙げることができる。
【0002】
【従来の技術】
複写装置や、ワードプロセッサ、コンピュータ等の情報処理機器、さらには通信機器の普及に伴い、それらの機器にて処理されたデジタル画像を出力する装置の一つとして、インクジェット記録装置が急速に普及しつつある。このような記録装置においては、記録速度の向上のため、インク吐出口および液路等からなるノズルを多数集積した記録ヘッドを用いている。また、近年では情報処理機器等におけるカラー化が進み、それに伴なって記録装置においてもカラー化が要請され、その要請に応じるべく異なる色のインクを吐出する複数個の記録ヘッドを併設したものが一般に用いられている。
【0003】
インクジェット記録方式は、記録液であるインクを飛翔的液滴として紙等の記録媒体に着弾させてドット記録を行うものであり、記録媒体と記録ヘッドとが接触しない非接触方式であるため、低騒音で記録動作を行うことが可能である。また、インク吐出ノズルの高密度化が可能であるため画像の高解像度化や記録動作の高速化を安価に実現することができる。さらに普通紙等の記録媒体に対して現象や定着などの格別な処理を必要とせず、低価格で高品位な画像を得ることが可能である。
【0004】
こうした理由からインクジェット記録装置は、現在、様々な状況において広く使用されている。特に、オンデマンド型のインクジェット記録装置はそのカラー化が容易で、しかも装置自体の小型化、簡略化が可能なことから、将来的にもその需要は一層高まるものと考えられている。また、上述のようなカラー化の普及につれて、高画質化と高速化が益々高まる傾向にある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の記録装置においては、以下のような種々の課題がある。
【0006】
すなわち、複数のインク吐出ノズルを集積配列してなるインクジェット記録ヘッドを用いた従来のインクジェット記録装置にあっては、ある一つあるいは複数の吐出ノズルのインク吐出状態が、他の正常なノズルの吐出状態と異なる状態に陥った場合、そのまま、記録動作を続けると、記録画像にインクの塗布されない部分(白すじ)が形成され、画像の品質が著しく劣化するという問題が生じた。
【0007】
そこで、画像品位を優先した記録方法として、適正な吐出状態が得られない不良ノズルが発生した場合には、クリーニング機構により回復を試みたり、あるいは相互に補完する複数のノズル群を用いて同一記録領域を複数回走査することによって画像を完成させるいわゆるマルチパス記録方式にて記録を行い、不吐出ノズルあるいは不良ノズルによる画像品位の劣化を軽減させるようにすることも提案・実施されている。しかし、このマルチパス記録方式では、一つの記録領域に対し複数回の走査を行うために、記録時間が多くかかるという課題がある。また、クリーニング等による回復動作には、多くの時間を要すると共に、記録に直接的に寄与しないインクの消費を伴うためランニングコストの増大を招き、エコロジーの観点からも好ましくないため、この回復動作は最低限に抑えることが望まれている。
【0008】
また、いわゆるヘッドシェーディングにより、記録画像の濃度むらを防いで画像品位を向上させる技術も発展してきた。このヘッドシェーディングとしては、一様な階調値のテストパターンを記録画像上に記録し、その記録濃度のむらを光学的に検出し、その検出結果に基づき出力画像の階調値に対して加算あるいは減算等の補正を加える方法が一般的に知られている。
【0009】
また、複数のインク吐出ノズルを集積配列してなる記録ヘッドを有するインクジェット記録プリンタにおいては、一様な階調値のテストパターンを出力し、記録濃度の変移量を光学的に測定し、記録濃度のむらを、各ノズルの吐出量のむらに起因する濃度むらと仮定し、各ノズルの吐出量を、インクの吐出駆動方法を補正したり、あるいは、各ノズルに対応する記録画像データに対して、濃度値のガンマ補正等を行うことにより改善を試みていた。
【0010】
しかしながら、このようなヘッドシェーディングによる画質の改善は、基本的には、ノズルから吐出されたインク滴の大小(吐出量)のむらを補正することを目的になされており、例えば上述のごとく、不良なノズルから吐出されたインク滴が、理想とする着弾位置に着弾しなかった場合に、その画像を最適な品質に改善し得るものとはなっていなかった。特に1回の記録ヘッドと記録媒体との相対的な走査で、その記録ヘッドからの画像記録を完成させるいわゆるフルライン記録方式のフルラインヘッドを使用したフルマルチ型インクジェット記録においては、画像品位の改善が望まれている。
【0011】
そこで、本発明者は、各ノズルから吐出したインク滴が記録媒体に実際に着弾した位置と、記録媒体に形成されるべき理想的な着弾位置(記録マトリックスの単位マトリックス(画素形成位置))との差(よれ量)を各ヘッド毎に測定し、各記録マトリックスからずれたインクドットを着弾する原因ノズルを特定し、そのノズルに対応する画像データを補正するよれ補正方法を用いたインクジェット記録方法も提案している。
【0012】
この方法は、吐出から飛翔、着弾に至る間にインク滴の着弾にずれを生じさせる様々な要因が存在したとしても、そうした要因の存在に拘わりなく常に良好な画像を形成することができるため、極めて有用な技術であると言える。
【0013】
しかしながら、長さが1インチを超えるような範囲にわたってノズルが配列されている長尺ヘッドと称する記録ヘッドにおいては、各ノズルが300dpi以上の高密度に配列されている場合に、画像データの処理量が大量になるという問題が生じる。例えば、A4サイズ(約8インチ)の範囲に亘って600dpiの密度でノズルが配列された記録ヘッドでは、ノズルの総数は4800本となるため、これら全てのノズルに対してよれ補正処理を行った場合には大量のデータを処理することが必要となる。このため、記録に際して多くのデータ処理時間を要し、装置全体の動作速度の低下を招くという問題が生じ、これを解消するためには高速処理の可能な高価な演算処理装置を必要とした。
【0014】
また、ノズル列の一部に何等かの問題が発生した場合、従来では、その一部の不良ノズルのために記録ヘッド全体を廃棄していた。このため、上記のように長尺な記録ヘッドの場合には、有効に機能する多数のノズルをも廃棄することとなるため、コスト的、エコロジー的な問題が特に顕著になる。
【0015】
また、上記のような長尺ノズルにあっては、ノズルの吐出特性にばらつきが生じる可能性が高い。例えば、全ノズルの中の一部にインク吐出量にばらつきのあるノズルが集中したり、また一部には着弾位置にずれが生じるノズルが集中したりすることがあり、従来は、こうした不具合の発生した記録ヘッドを全て不良品として廃棄していた。しかしながら、廃棄されていた不良品の中にはその吐出量のばらつきやよれの程度が僅かであったり、不良ノズルの数が少ないものも少なくなく、それらを活用し得るようにすることができれば装置の製造コスト低減を図ることが可能となるため、その実現が望まれていた。
【0016】
本発明は上記種々の課題に鑑みてなされたものであり、記録ヘッドに設けられたノズルの中に、インク滴がよれるような不良ノズルが存在した場合にも、画像中にすじむらなどが発生するのを抑えて適正な階調表現を可能とし、高品位な画像を得ることができるインクジェット記録装置およびインクジェット記録方法の提供を目的とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するための本発明は、次のような構成を有するものとなっている。
【0018】
すなわち、本発明は、複数のノズルを配列してなる記録ヘッドと記録媒体とを相対的に移動させると共に、形成すべき画像の記録データに応じて前記ノズルよりインク滴を吐出して記録媒体に画像を形成するインクジェット記録装置であって、前記ノズルから吐出されたインク滴の記録媒体への着弾状態に基づき、少なくとも前記複数のノズルの配列方向における着弾位置のずれ量を含む吐出特性を表すノズル情報を各ノズルに対応させて作成するノズル情報作成手段と、一定の濃度を示すパターンを記録した結果に基づき、前記複数のノズルの配列方向に沿って現れる濃度むらを示す情報を作成するむら情報作成手段と、前記むら情報作成手段によって作成した情報に基づいて、前記複数のノズルの配列方向に沿って現れる濃度むらを各ノズルに相関させ、前記記録媒体に形成されるインクドットによる濃度むらを補正する階調補正手段と、前記ノズルから吐出されるインク滴によって実際に記録媒体上に形成されるインクドットの位置と前記インクドットの理想的形成位置との前記複数のノズルの配列方向における差であるずれ量を表すずれデータに基づき、各ノズルに対応する前記インクドットのずれ量に応じた補正を行うずれ補正手段と、前記階調補正手段および前記ずれ補正手段による補正を行って画像の記録を行う制御手段と、を備え、前記ずれ補正手段は、前記複数のノズルそれぞれに対応した前記ずれ量に基づいて、所定のドット位置に対応するノズルから吐出されたインク滴によるドットが前記所定のドット位置に着弾する面積と、前記他のノズルから吐出されたインク滴によるドットが前記所定のドット位置に着弾する面積とを求めて補正を行うものであり、前記制御手段は、前記ずれ量が一定値以上であると判定されたノズルと、当該ノズルの近傍のノズルに対してのみ前記ずれ補正手段による補正を行うことを特徴とする。
【0019】
また、本発明は、複数のノズルを配列してなる記録ヘッドと記録媒体とを相対的に移動させると共に、形成すべき画像の記録データに応じて前記ノズルよりインク滴を吐出して記録媒体に画像を形成するインクジェット記録方法であって、前記ノズルから吐出されたインク滴の記録媒体への着弾状態に基づき、少なくとも前記複数のノズルの配列方向における着弾位置のずれ量を含む吐出特性を表すノズル情報を各ノズルに対応させて作成するノズル情報作成ステップと、一定の濃度を示すパターンを記録した結果に基づき、前記複数のノズルの配列方向に沿って現れる濃度むらを示す情報を作成するむら情報作成ステップと、前記むら情報作成ステップによって作成した情報に基づいて、前記複数のノズルの配列方向に沿って現れる濃度むらを各ノズルに相関させ、前記記録媒体に形成されるインクドットによる濃度むらを補正する階調補正ステップと、前記ノズルから吐出されるインク滴によって実際に記録媒体上に形成されるインクドットの位置と前記インクドットの理想的形成位置との前記複数のノズルの配列方向における差であるずれ量を表すずれデータに基づき、各ノズルに対応する前記インクドットのずれ量に応じた補正を行うずれ補正ステップと、前記階調補正ステップおよび前記ずれ補正ステップによる補正を行って画像の記録を行う制御ステップと、を備え、前記ずれ補正ステップは、前記複数のノズルそれぞれに対応した前記ずれ量に基づいて、所定のドット位置に対応するノズルから吐出されたインク滴によるドットが前記所定のドット位置に着弾する面積と、前記他のノズルから吐出されたインク滴によるドットが前記所定のドット位置に着弾する面積とを求めて補正を行うものであり、前記制御ステップは、前記ずれ量が一定値以上であると判定されたノズルと、当該ノズルの近傍のノズルに対してのみ前記ずれ補正ステップによる補正を行うことを特徴とする。
【0022】
なお、本明細書において、ノズルとは、インクを吐出する開口部だけでなく、開口部に連通しかつ吐出すべきインクが流入する筒状の空間を形成する液路、およびこの液路内のインクを吐出口から吐出させるための吐出エネルギーを発生させる吐出エネルギー発生手段(例えば電気熱変換体、圧電素子等)等を含む構成を意味する。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施形態例を詳細に説明する。
図1は本発明の各実施形態にかかるインクジェット記録装置の概略構成を示す平面図である。キャリッジ20上には複数のインクジェット記録ヘッド21(21‐1〜21‐4)が搭載されており、各インクジェット記録ヘッド21にはインクを吐出するためのインク吐出口が複数配列されている。なお、21‐1、21‐2、21‐3、21‐4は夫々、ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、およびイエロー(Y)の各インクを吐出するためのインクジェット記録ヘッド(以下、単に記録ヘッドと称す。)である。この記録ヘッド21のインク吐出口の内部(液路)にはインク吐出用の熱エネルギーを発生する発熱素子(電気熱変換体)が設けられている。また、インクカートリッジ22は、各インクジェット記録ヘッド21‐1〜21‐4およびそれらにインクと供給するインクタンク22‐1〜22‐4とから構成されている。インクジェット記録ヘッド21への制御信号などはフレキシブルケーブル23を介して送られる。
【0024】
普通紙や高品位専用紙、OHPシート、光沢紙、光沢フィルム、ハガキ等の記録媒体24は不図示の搬送ローラを経て相対向する一対の排紙ローラ25に挟持され、搬送モータ26の駆動に伴い矢印方向(副走査方向)に送られる。ガイドシャフト27、およびリニアエンコーダ28によりキャリッジ20が移動可能に支持されている。キャリッジ20は駆動ベルト29を介してキャリッジモータ30の駆動により前述ガイドシャフト27に沿って副走査方向と交差(ここでは直交)する主走査方向に往復運動するようになっている。そして、往復移動時には、リニアエンコーダ28からパルス信号が出力され、そのパルス信号をカウントすることにより、キャリッジ20の位置を検出し得るようになっている。
また、記録ヘッド21の発熱素子は、キャリッジ20の移動に伴い、記録信号に基づいて駆動され、記録媒体上にインク滴を飛翔、付着させることで画像を形成するようになっている。
【0025】
記録媒体に対する記録動作が行われる主走査方向における領域外に設定されたキャリッジ20のホームポジションにはキャップ部31を持つ回復ユニット32が設置されている。記録を行わないときには、キャリッジ20を前述のホームポジションに移動させてキャップ部31の各キャップ31‐1〜31‐4によって対応する各インクジェット記録ヘッド21のインク吐出口面を密閉し、インク溶剤の蒸発に起因するインクの増粘、固着あるいは塵埃などの異物の付着による目詰まりを防止する。
【0026】
また、上記キャップ部31のキャッピング機能は記録頻度の低いインク吐出口の吐出不良や目詰まりを解消するために、インク吐出口から離れた状態にあるキャップ部31へインクを吐出させる空吐出に利用されたり、キャップ部31でインク吐出面を密閉した状態で不図示のポンプを作動させ、インク吐出口からインクを吸引し、吐出不良を起こした吐出口の吐出機能の回復に利用される。33はインク受け部で、各インクジェット記録ヘッド21‐1〜21‐4が記録直前にインク受け部33の上部を通過する時に、このインク受け部33に向かって予備吐出を行う。またキャップ部31との隣接位置に不図示の拭き取り部材(ブレード等)を配置することにより、記録ヘッド21のインク吐出口形成面をクリーニングすることが可能になっている。
【0027】
次に、図2は、前述した記録ヘッド21の構成を拡大して示す説明図である。図2において、記録ヘッドは主走査方向と略直交する方向に多数のインク吐出ノズルnを配している。この図では、インク吐出ノズルは一つの記録ヘッドにおいて2列で構成している例を示しているが、1列でも3列以上でも良く、また直線性をもって並ぶ必要もない。また、図2に示すように隣接するノズルとの副走査方向における間隔W1を記録ヘッドの解像度、ノズルピッチ、ノズルの密度と呼ぶこととする。
【0028】
また、この記録ヘッドは、図の矢印方向(主走査方向)へ記録ヘッドを移動させながらインクを吐出させることで、ノズル列の幅Wに相当する記録が行えるように構成されており、その記録動作(インクの吐出動作)は、記録ヘッドの往動、復動のいずれか一方または双方で行うようにすることが可能である。さらに、き記録ヘッドは、記録に用いるインク色の数と同数個用意する。例えばシアン、マゼンタ、イエローの3色のインクを用いてフルカラー記録を行う場合には、3個の記録ヘッドを用意し、ブラックインクのみでモノクロ記録を行う場合には、1個の記録ヘッドを用意すれば良い。また、濃淡インクを利用した記録の場合には、濃シアン、淡シアン、濃マゼンタ、淡マゼンタ、濃ブラック、淡ブラック、濃イエロー、淡イエローなどのそれぞれに応じて記録ヘッドを用意すれば良く、さらに特色インクを吐出する記録ヘッドを用いることも可能である。
【0029】
なお、本発明に適用可能なインクジェット記録方式は、発熱素子(ヒータ)を使用したバブルジェット(登録商標)方式に限られるものではなく、例えば、インク滴を連続噴射し粒子化するコンティニュアス型の場合には荷電制御型、発散制御型等であっても良い。また、必要に応じてインク滴を吐出するオンデマンド型の場合には、ピエゾ振動素子の機械的振動によりオリフィスからインク滴を吐出する圧力制御方式等も適用可能である。
【0030】
図3は本発明の各実施形態におけるインクジェット記録装置の制御系の構成の一例を示すブロック図である。
図3において、1はスキャナやデジタルカメラ等の画像入力機器からの多値画像データやパーソナルコンピュータのハードディスク等に保存されている多値画像データを入力する画像データ入力部、2は各種パラメータの設定および記録開始を指示する各種キーを備えている操作部、3は記憶媒体中の各種プログラムに従って後述の種々の演算処理や制御動作を司る制御手段としてのCPUである。
【0031】
4は本記録装置を制御するための制御プログラムやエラー処理プログラム等の制御プログラム群4b及びノズルプロファイル情報4aを格納している記憶媒体である。本実施形態における記録動作はすべてこれらプログラムによって実行される。プログラムを格納する記憶媒体4としては、ROM、FD、CD‐ROM、HD、メモリカード、光磁気ディスクなどを用いることができる。5は記憶媒体4中の各種プログラムのワークエリア、エラー処理時の一時待避エリアおよび画像処理時のワークエリアとして用いるRAMである。また、RAM5は、記憶媒体4の中の各種テーブルをコピーした後、そのテーブルの内容を変更し、その変更したテーブルを参照しながら画像処理を進めることも可能である。
【0032】
6は画像データを処理する画像データ処理部であり、入力された多値画像データをN値の画像データに各画素毎に量子化し、その量子化された各画素が示す階調値“T”に対応する吐出パターンデータを作成する。例えば、8bit(256階調)で表現される多値画像データが画像データ入力部1に入力され場合、画像データ処理部6においては出力する画像データの階調値を25(=24+1)値に変換する必要がある。なお、ここでは入力階調画像データのT値化処理には多値誤差拡散法を用いたが、T値化処理を行う画像処理法としては、多値誤差拡散法に限らず平均濃度保存法、ディザマトリックス法等、任意の中間調処理方法を用いることも可能である。また、画像の濃度情報に基づいて前述のT値化処理を全ての画素数分繰り返すことにより、それぞれのインクノズルに対する各画素毎の吐出、不吐出の2値の駆動信号が形成される。なお、本発明におけるノズル情報作成手段、予測手段及び補正情報作成手段等は、主として、前記画像データ処理部6とCPU3とによって構成される。また、PCなどにおいて処理されるプリンタドライバーで制御することも可能である。
【0033】
7は画像データ処理部6で作成された吐出パターンに基づいてインクを吐出し、記録媒体上にドット画像を形成する記録部であり、インクカートリッジ22およびキャリッジ20等からなる。8は本装置内のアドレス信号、データ、制御信号などを伝送するバスラインである。
【0034】
次に、図4ないし図11を用いて、本実施形態の特徴の一つである記録ヘッドにおけるノズル情報の作成、およびそのノズル情報に基づいて行われる各ノズルの記録情報の作成方法、並びに実際の記録動作について説明する。
【0035】
記録情報の作成については、まず記録ヘッドの有する複数のノズルのうち、着弾位置が、所望の記録マトリックスから逸脱するノズルがあるか否かを検知し、逸脱するノズルが存在する場合には、それらのノズルの位置と、その程度、さらには、必要に応じて着弾するインク滴の大きさ、着弾したインクドットの形状といったノズル情報を知ることが本発明の第1のステップとなる。
【0036】
そのために、まず図1の装置を用いて、例えば図4にあるような階段パターンパターンPT1を記録する。階段PT2は、例えば8ノズルおきに各ノズルから、連続もしくは非連続に色材ドットを吐出させて短い直線を記録したもので良く、必要なノズル分の記録を行う。この階段パターンPT1を利用すると、ノズルから吐出され着弾したインクドットが、所望の理想の記録マトリックスMTに対して、図の上下方向に、いくらずれて着弾されているかを知ることができる。具体的には、この階段パターンPT1の記録された記録物(階段チャート)を、不図示のセンサーを用いて読取走査を行い、理想的な着弾位置から何μmずれているかを計り、その計測したずれ量をノズルプロファイル情報とする。また、センサーを用いずに目視によりずれ位置、およびずれ量を判断し、そのノズルの情報に基づきノズルプロファイル情報とし、その情報を記録装置に入力しても良い。このノズル情報は記録ヘッド毎に用意した。
【0037】
ノズルの理想着弾位置は、例えば、予め正確な理想の階段チャートを一般的な印刷あるいは銀塩写真を用いて作成し、その上に記録を行い、理想の記録マトリックスからのずれ量を測定しても良いし、記録した階段チャートを不図示のスキャナで読み取り、記録マトリックスの位置を各ノズルの位置を勘案しつつ照合させ、階段チャートとのずれ量を算出することも可能である。
【0038】
また、記録するパターンをベタ画像によって形成されるベタパターンとしても良い。このベタパターンは一定の面積範囲において記録濃度を均一にして形成し得るパターンであれば良く、例えば図4に示すような市松模様などのベタパターンPT2を用いることもできる。そして、このベタパターンPT2の形成において、実際に不良ノズルが存在する記録ヘッドを用い、1回の記録走査によって画像を完成させるようにした場合(1パス記録を行った場合)には、図4(b)に示すようにすじむらが発生したり、濃度の不均一が発生するため、その不均一をこれをセンサあるいは目視によって読み取ることにより、ノズルプロファイル情報を作成することができる。
【0039】
さらには、図5に示すような、各ノズルから記録媒体上で独立したインクドットを形成するドットチャートを記録し、上述の方法で、理想とする記録マトリックスからのX方向、Y方向のずれ、インクドット径、およびインクドット形状等を読み取ってノズルプロファイル情報を作成しても良い。
【0040】
画像の記録信号は、通常のインクジェット記録装置で用いられている方式で生成することができる。本実施形態では、まず入力画像を各色のヘッドに対応するようC,M,Y等の三原色に色分解し、次に、色分解された各色の画像を誤差拡散法にて2値化した。
【0041】
続いて、ノズルプロファイルをもとに、ヘッド補正(HC)データを作成する方法、および、HCデータを基に、記録する画像を変換処理し、記録ヘッドのノズル群の吐出、不吐出を制御する記録データを作成する方法について述べる。
【0042】
まずはじめに、階調補正制御について説明する。
1回のインク吐出動作によるインク吐出量(インク滴量)の多いノズルによる記録位置は、濃度が高い画像となり、吐出量の少ないノズルによる記録位置は、濃度が低い画像となる。まず、記録媒体上に一定濃度のパターンによって形成されたチャート(図4のベタチャートPT2)を形成する。そして、その記録濃度を読み取って、各ノズル位置と相関させ、形成された画像の中で濃度が高くなった部分は濃度を下げ、濃度が低くなる部分は濃度を上げるようにする。これは、各ノズルの駆動制御を変更し、吐出量が多いノズルの駆動パルス幅を短くしたり、吐出量の少ない駆動電圧を上昇させてインク吐出量を制御したり、記録画像の対応する位置の記録情報を増減させる等して、いわゆるヘッドシェーディングを行って画像品位の改善を図るようになっている。
【0043】
次に、インク滴のよれ補正制御について説明する。
図7は本発明の基本概念図を示している。図7は理想記録マトリックスMTと、理想記録マトリックスMTに沿って理想的にインクドットが着弾した状態を示している。ここで言う理想記録マトリックスMTとは、記録媒体上に仮想的に設定したマトリックスであり、一定形状のインクドットを記録媒体上にマトリックス状に整列配置してベタ画像を形成するとき、各ドットに一対一で対応する最小単位の記録範囲(単位マトリックス)MT1である。単位マトリックスは画素と称することもある。図7に示すこの実施形態の理想記録マトリックスMTは、説明の簡略化を図る上で、正方形の単位マトリックスMT1を碁盤目状に配置したものとなっている。但し、画像の解像度、記録密度にもよるが、単位マトリックスMT1の配列は、碁盤目状でなくとも良い。また、単位マトリックスMT1は正方形以外の形状であっても良い。たとえば長方形上の単位マトリックスを主走査方向に副走査方向の2倍のピッチで構成することなども可能である。この理想記録マトリックスMTに、インクを着弾させた場合、インクドットは通常ほぼ円形の状態で記録媒体上に着弾する。そこで理想的に着弾したインクドットの形状を真円とし、その真円の直径を単位マトリックスMT1の対角間の距離と同一に設定したものとする。
【0044】
ここで、理想的にインクドットが着弾された状態を図7(a)に示す。ここに示すドットは、縦方向に8個のノズルを配してなるノズル群を有する不図示の記録ヘッドを、主走査方向X方向に沿って移動させつつ全てのノズルからインク滴を吐出させることによってべた画像を記録した状態を模式的に示しており、図7(a)はインク滴が記録媒体上に理想的に着弾した状態を示し、図7(b)はインク滴が記録媒体上に理想的に着弾しなかった状態をそれぞれ示している。
【0045】
図7(a)に示す状態において、記録ヘッドの各ノズルから吐出されたインク滴は、理想記録マトリックスMT内の各単位マトリックスMT1上にずれなく適正に着弾しており、そのため、着弾したドットの縦方向(Y)方向における配列順序は、記録ヘッドにおけるノズルの縦方向における配列順序に一致している。例えば、図示のドットの中の上から3番目のドットd3は、記録ヘッドの各ノズルの中の上から3番目のノズルから吐出されたドットであり、図示のドットの中の上から4番目のドットd4は、記録ヘッドの各ノズルの中の上から4番目のノズルから吐出されたドットとなっている。
【0046】
これに対し、記録ヘッドから吐出したインク滴が記録媒体上に理想的に着弾しなかった状態としては、例えば、図7(b)に示す状態がある。
図において、2番目のノズルから吐出されたインク滴が着弾して形成されたドットd2は、X1方向およびY2方向(図の右上方向)にずれた状態で着弾している。また、3番目のノズルから吐出されたインク滴によって形成されたドットd3は、Y1方向へとずれてほぼ4番目のノズルから吐出されたインク滴が着弾すべきマトリックス上に着弾している。
【0047】
さらに、4番目のノズルから吐出されたインク滴によって形成されたドットd4は、Y1方向へとずれ、3番目のノズルから吐出されたインク滴が着弾すべきマトリックス上に着弾している。
また、6番目のノズルから吐出されて着弾したドットd6は、インク吐出量が他のノズルよりも大きいなどの要因により、記録媒体上で大きな径のドットを形成している。
【0048】
さらに、7番目のノズルから吐出されたインク滴によって形成されたドットd7は、吐出量が他のノズルに比べて少量であったり、あるいは吐出されたインク滴が分裂したりして、記録媒体上に小さいドットが形成された状態を示している。
【0049】
なお、図7に示すインクドットは真円で描かれているが、記録媒体の種類や、吐出から着弾までの間の状態変化などにより、インクドットは真円にならない場合があり、図6に示すように、記録媒体上では、真円以外にいろいろな形状にインクドットが形成される場合がある。例えば、吐出量のノズル毎にばらつきがあると、ドットが大小異なるものとなり、また、記録媒体に着弾したインク滴が紙面に吸収定着する過程で、紙の繊維にインクが浸透するため、図示のような複雑な形状に形成されたり、着弾時にインク滴が垂直に着弾しなかったり、風等によりモーメントがかかったりすると、楕円形になるとか、分裂するといった現象が生じることもある。
【0050】
さらに、加えて説明すると、記録ヘッドのノズルから吐出されたインク滴は、記録媒体に着弾する過程で、吐出量が不均一であったり、吐出したインク滴が正しい方向に飛翔しなかったり、飛翔中に抵抗を受けたりすることがあり、また、記録媒体への着弾後にも、記録媒体の凹凸や、記録媒体への浸透性、定着性などの影響を受けるため、記録媒体上に、完全に均一な形状のドットを適正な位置に形成することは難しい。すなわち、図7(a)に示すような理想的なドット形成を行うことは極めて困難である。
【0051】
そこで、従来はヘッドシェーディングといった補正処理を施している。従来のヘッドシェーディングでは、吐出量の大きいノズルによる記録位置は濃度が高い画像となり、吐出量の少ないノズルによる記録位置は濃度が低い画像となるので、記録媒体上に一定濃度のチャートを記録し、その記録濃度を読み取って各ノズル位置と相関させ、出力された画像に濃度の高くなる部分は低濃度とし、濃度が低くなる部分は高濃度となるように補正する。また、各ノズルの駆動制御を変更し、吐出量が大きいノズルの駆動パルスを短くしたり、吐出量の小さいノズルの駆動電圧を上げたりして、画質改善を行っている。
【0052】
しかしながら、このヘッドシェーディング補正では、補正し得ない場合があり、必ずしも十分な効果が得られないことがある。例えば、図7の(b)のように、3番目のノズルから吐出されたインク滴と、4番目のノズルから吐出されたインク滴とが交差して着弾するような場合には、補正による効果が得られないことがある。つまり、3番目のマトリックスの濃度が高かった場合、その原因は4番目のノズルの吐出量に問題があることによって生じるが、前述のように読み取ったドットの濃度をノズル位置と相関させて、3番目のノズルの吐出量を低くするヘッドシェーディング処理を行ってもそのノズルから吐出されたインクドットd3は4番目のマトリックスに着弾するわけであるから、吐出量の補正は無効になる。
【0053】
また、この例以外にも、着弾位置が理想記録マトリックスからX方向やY方向にずれて着弾している場合には、近傍のマトリックスラインの濃度を高め、本来のマトリックスラインの濃度を低めているにも拘わらず、従来のヘッドシェーディングでは、着弾位置のずれ量が考慮されていないため、このずれの生じているノズルに対して、濃度を高める補正を加えることとなっていた。このため、近傍の記録マトリックスの濃度はさらに高まってしまい、適正な補正効果を得ることができなかった。従来はこの問題を解決すべく、近傍の記録濃度値の高低を平均化して処理したりしていたが、高画質の要請が高まる現在のインクジェット記録装置では、さらに正確な補正技術が求められていた。
【0054】
そこで、本発明の第1の実施形態においては、一例として図8に示すフローチャートのような手順で処理を行う。
まず、ステップS1では、図4に示す階段パターンの形成された階段チャートPT1と、ベタパターンPT2を形成したベタチャートとを作成する。次いで、不図示の光学的なセンサーによってベタチャートの記録濃度を読み取り、ベタチャートPT2内に生じている濃度むらに基づき、各ノズルのインク吐出量のばらつきをヘッドシェーディングデータ(HCデータ)として格納する(ステップS2)。
【0055】
また、ステップS2では、記録した階段チャートを不図示の光学的なセンサーで読み取り、さらに読み取ったデータに基づき、着弾位置と理想とする記録マトリックスとのずれ量を測定する。この測定は、目視によって行っても良い。また、インク滴の吐出量の測定として、図5のドットチャートを記録し、着弾ドットの大きさ、形状等を不図示の光学的センサーを用いて計測しても良い。
【0056】
この測定の結果、インクドットが理想記録マトリックス上に形成されていない場合、理想とする径と異なる径である場合、あるいはインクドットの形状が理想とする形状になっていない場合等において、それらのドットを形成したインク滴を吐出したノズルを不良吐出ノズルと判定する。あるいは特に不良ノズルの判定を行わずに、略全てのノズルのノズルプロファイルを自動的に作成するステップへ進んでもよい。また、不良ノズルでないと判断されたノズルに対しては、補正処理は行わず画像データに従って予定通りの記録動作を行う。
【0057】
そして、不良ノズルが存在していた場合には、記録ヘッドを構成するノズル群の各ノズル毎に後述のノズルプロファイル情報を作成する。すなわち、この実施形態では、ベタチャートから得られるヘッドシェーディング情報(HS)と、階段パターンから得られる後述のノズルプロファイル情報とが生成される。
ステップS3では、ノズルプロファイル情報の作成における重要なパラメータとして、Yよれ値の測定を行う。このYよれ値とは、記録ヘッドを構成するノズル列方向(副走査方向)をY方向とし、記録媒体に対して記録ヘッドを移動させる主走査方向をX方向とした場合、ノズルから吐出されたインク滴の着弾位置(ドットの中心位置)と、理想記録マトリックスMTの中心位置(理想格子点)とのY方向におけるずれ量を意味する。従って、1回の走査(1パス)記録を行う場合に、ノズルピッチを理想着弾マトリックスのサイズと同一に設定し、かつノズルピッチを1200dpi(約20μm)とした場合、m番目のノズルから吐出されたインク滴の着弾位置が、半画素程度m−1番目あるいはm+1番目のノズル側へずれたとすると、Yよれ値は、+10μmまたは−10μmとなり、この値がノズルプロファイル情報として記憶されることになる。また、このインクドットのドット径(例えばそれは吐出量の大小に基因する)が理想とするインクドット径より大きいか小さいかも同様にノズルプロファイル情報として管理することができる。
【0058】
上記のように不良ノズルのYよれ値を測定し、ノズルプロファイル情報の作成が行われると、次に、ステップS4において、前記HSデータと、ノズルプロファイルデータ(NPデータ)とに基づき不良ノズルの検出を行う。
すなわち、NPデータにより、理想記録マトリックスに対する着弾位置の誤差が一定値(ここでは、1/2解像度)を超えるような大きな誤差を発生させるノズルを、大よれ不良ノズルと判定する。
【0059】
また、よれは少ないが、吐出量のばらつきが大きく、吐出されたインク滴により形成された画像の濃度と、適正濃度とのずれが一定範囲を超えるような大きな濃度むらを発生させる場合もある。例えば、ベタパターンの1パス記録時に、記録濃度のむらを発生させるような場合、そのノズルを単に不良ノズルと判定する。実際のノズル、特に長尺ノズルになると、大よれ不良ノズルが発生する部位が集中したり、吐出量のばらつきの大きいノズル群が集中したりすることがある。ごく稀ではあるが、ノズル径、ノズル形状がいびつになったり、応力によって変形したりすることもあり、その場合、従来では記録ヘッド全体が不良品として扱われ、廃棄されていた。しかしこの実施形態においては、不良の程度にもよるが、これまで不良品として扱われていた記録ヘッドも使用可能となり、また、長期の使用によって生じるノズルの消耗、あるいは塵埃の浸入などによって吐出不良ノズル、あるいは大よれ不良ノズルが発生した場合にも、これを補うことが可能となる。
【0060】
上記のような大よれ不良ノズルが発生した場合、そのノズルの近傍のノズル群に対しては、以下に説明するよれ補正制御方法に基づき、HCデータ(ヘッド補正テーブルデータ:Head Correction Table data)を作成し(ステップS5)、そのHCデータをHSデータと統合し、その記録ヘッド全体のHSデータとし、出力画像信号に対して、例えば階調補正を施して補正記録データを作成し(ステップS6)、その補正記録データに基づき記録動作を行う(ステップS7)。
【0061】
また、前記ステップS4において、大よれ不良ノズルの存在が認められない場合には、前記ステップS5におけるHCデータの作成を省略し、ステップS2において求めてあるHSデータ、すなわち、HCデータを勘案していない当初のHSデータを用いて画像記録データに対して階調補正などを行う。
【0062】
このように、この実施形態においては、全てのノズルに対してHCデータの作成処理を行うのではなく、不良ノズルの中でも大きなよれを発生させるノズルに対してのみHCデータの作成処理を行うようになっているため、全てのノズルに対してHCデータの作成処理を行う場合に比べ、データ処理に要する速度を大幅に削減することが可能となる。つまり、大よれ不良ノズルの数は、記録ヘッドにおけるノズルの総数に比べてごく僅かであり、本実施形態では、この僅かなノズルに対して演算処理を施すこととなるため、そのHCデータの作成所要時間は短時間で済み、記録動作全体には殆ど影響せず、良好な画像を効率的に得ることができる。
【0063】
ここで、HCデータの作成について図9ないし図11に基づき具体的に説明する。
【0064】
なお、図9の(a)には、左から記録ヘッド21、理想記録マトリックスMT、インク滴が理想記録マトリックスMTに理想的に着弾した状態、およびインク滴が理想記録マトリックスMT上へ理想的に着弾しなかった状態がそれぞれ模式的に示されている。なお、ここでは、説明を簡略化するため、記録ヘッド21として5個のノズルを配設したものを模式的に示している。また、図9(b)は同図(a)に示した着弾ドットの中の中央の3つのインクドットの形成状態を拡大して示す説明図である。
【0065】
HCデータの作成は、理想記録マトリックスMTの、各々のマトリックスラインに対し、少なくとも一部がかかるインクドットを吐出したノズルを、そのマトリックスラインに濃度的影響を与えるノズル(原因ノズル)として特定し、その記録濃度に影響する部分(以下、この部分を影響部分と言う)の割合を求めることによって行う。
【0066】
例えば、図9(b)に示すように、mマトリックスラインに対してm−1番目、m番目、およびm+1番目の各ノズルから吐出されたインク滴によって、d(m−1)、d(m)、d(m+1)のドットがそれぞれ形成された場合、次のように判断される。すなわち、m−1番目のノズルによって形成されたインクドットd(m−1)がmマトリックスラインにかかる部分、つまり同ラインに濃度的影響を与える部分(図9(b)中、左側に示すノズル列においてハッチングを付した部分)の割合は理想ドットの10%とされ、m番目のノズルから吐出されたインクドットのmマトリックスラインに対する影響部分(図9(b)中、中央に示すノズル列においてハッチングを付した部分)は理想ドットの80%とされ、m+1番目のノズルから吐出されたインクドットのmマトリックスラインに対する影響部分(図9(b)中、右側に示すノズル列においてハッチングを付した部分)は理想ドットの5%(理想とする着弾状態に対して95%の濃度を記録した状態)とされる。
なお、ここでは、記録マトリックス上のラインに着目しているが、図10に示すように各単位マトリックスMT1毎に個別に各ドットの影響部分の割合を求めても良い。
【0067】
以上の各マトリクスラインに対する影響部分の割合(影響度)は、ノズルプロファイル情報、特にその中のYよれ値を参照し、次のようにして求めることができる。
【0068】
例えば、ノズルピッチ(記録マトリックスに相当)が20μm(1200dpi相当)で配列され、いずれのノズルからも30μmのドット径のインクドットが記録媒体上に形成されるものとし、さらに、m−1番目からm番目の方向を正とし、m−1番目のノズルによるドットのYよれ値が、+5μm、m番目のノズルによるドットのYよれ値が10μm、m+1番目のノズルによるドットのYよれ値が5μmであったとすると、図11(a)のようにmマトリックスラインに記録されるドットは、m−1番目のノズルによるドットとm番目のノズル自身によるドット、およびm+1番目のノズルによるドットに基づきからそれぞれ以下の式により算出される。
【0069】
すなわち、図11(b)に示すように、ドット半径をR、ドット面積をS、Yよれ値をY、記録マトリックスラインの幅をP、とすると、ドットd(m−1)がmマトリックスラインの濃度に影響を与える割合(影響度)m 1(L)(Lはマトリックスラインの位置を表す番号)は、
m −1(L)=R×cos−1((P/2−Ym−1)/R)(P/2−Ym−1)×√(R+(P/2−Ym−1
の演算によって求めることができ、 同様にしてドットd(m+1)のmマトリックスラインへの影響度Zm +1(L)を求めることができる。
なお、前記中心角θは、ドットとmマトリックスラインとの2個の交点と、ドットの中心とを結んだ2本の線分(半径)のなす角度である。
また、d(m)のmマトリックスラインへの影響度Z(L)は下式により求めることができる。
m(L)=100−Zm(L−1)−Zm(L+1)(%)
ここで、ドットの半径Rの値が各ノズルによって異なる場合には、それぞれ個別の値を代入することで算出できる。
また、ドットの形状が真円でない場合にも演算は複雑になるが同様に求めることができる。その場合は複雑なドット形状を、演算の容易な所定の形状に近似させても良い。
【0070】
このようにしてあるマトリックスライン(L)の記録状態、特に濃度に影響を与えるノズルを解析することで、そのライン(L)の濃度を予測することができる。
【0071】
すなわち、理想とする記録ドットによる濃度をDとしラインL番目の予測する濃度をDとすると、
予測する濃度Dは近傍のノズルから吐出されて記録ラインLにかかるm−aからm+b(a、bは正の整数)番目のノズルからの影響度Z(L)を統合した下式で表される。すなわち、
=kden(Zm−a(L)…Zm−1(L)+Z(L)+Zm+1(L)…Zm+b(L))
ここで、kdenは、ドットの面積から実濃度を求める係数であり、記録物の濃度等を測定して求めることができる。
そして、ヘッド補正に用いる係数Hconfは、
conf(L)=khead×D/D
として与えられ、記録マトリックスの実際上の記録媒体上の濃度への寄与の状態を知ることができる。
【0072】
ここで、kheadは係数Kを微調整する係数であり、記録媒体や記録の環境などにより変化し、実験的に求めることができる。
このHconfを用いて記録する画像を補正したり、各ノズルの吐出にかかわる駆動信号等を制御して吐出量を変更したりすることでヘッドシェーディングを実施する。
【0073】
このように、上記実施形態においては、各ラインの記録に際して、そのマトリックスラインにかかるように着弾して形成されるドットによって、濃度的な影響を受ける場合にも、その影響を勘案して記録補正を行うようになっているため、インク滴にY方向への着弾誤差が生じるようなノズルを有する記録ヘッドにあっても、良好な補正効果を得ることができ、高品位な画像を形成することができる。
【0074】
また、上記実施形態では、各マトリックスラインL毎に対応するノズルの補正係数を算出するようにしたが、一つのマトリックスラインに関して求めた隣接するマトリックスラインからの影響度…Zm−1(L)、Z(L)、Zm+1(L)…を用いて、そのマトリックスラインに隣接するマトリックスラインL−1を記録するm−1番目のノズルに対する補正係数を求めるようにしても良い。具体的には、ヘッド補正に用いる係数Hnozzを以下のようにして算出する。 すなわち、ラインLの処理により、本来、ラインL−1に対して記録を行うべきm−1番目のノズルに対してもヘッド補正を行うこととし、ラインLの濃度に影響するノズルおよび/またはそのノズルで記録する画像に対しても補正を行う。
【0075】
ノズルmによるインクドットに対して影響するインクドットのノズルがL−1、L、L+1であった場合には、ヘッド補正に用いる計数Hnozzは以下のようにして求める。
nozz(L)=Z(L−1)×Hconf(L−1)+Z(L)×Hconf(L)+Z(L+1)×Hconf(L+1)
また上式では省略したがそれぞれの項に必要に応じて係数を設けても良い。
すなわち、Lマトリックスラインを記録するm番目のノズルに対する補正係数は、m番目のノズルから吐出されたインク滴によって形成されたインクドットが影響を及ぼしたマトリックスライン(上式ではL−1、L+1)の予測される記録濃度と理想とする記録濃度の補正についても考慮することになる。
【0076】
言い換えれば、m番目のノズルから吐出したインクドットが、L−1マトリックスラインに対する影響度と、Lマトリックスライン、L+1マトリックスラインに対する影響度とから、L−1マトリックスライン、L+1マトリックスラインの状況に応じて、ヘッド補正データを算出することになる。
上記の方法によれば、例えば着目するマトリックスラインの隣のマトリックスライン側にインクドットが大きくずれて形成されてしまっている場合にも、そのマトリックスラインに影響を与えたノズルに対する画像データの補正および/またはノズルの吐出量の補正によりマトリックスラインの補正を実現することができ、より優れた補正機能を得ることができる。
【0077】
なお、本発明は、1パス記録動作には特に有効なものとなっているが、記録ヘッドの異なるノズル群によって複数回走査することによって同一の記録領域の画像を完成させるようにしたいわゆるマルチパス方式の記録においても本発明は有効である。マルチパス方式の記録においては、不良ノズルを検知した後、異なる記録走査時にその不良ノズルによって記録された領域を他のノズル群によって記録するため、一つの不良ノズルによる画像品質の低下を軽減することができるが、本発明は実質的に同一の記録走査において、簡易な処理方法で不良ノズルによる画質劣化を防止できるため、マルチパス記録方式の優位性と相俟ってより高品位な画像を形成することが可能となる。
【0078】
また、本発明は、図2に示したように、複数のノズルを記録方向に概略垂直に配列してなるノズル群を有し、同一走査で記録することのできる隣接ノズルとの間隔が、記録する画像の各画素に対応した間隔で略配列されているインクジェット記録ヘッドを備えたインクジェット記録装置、すなわち、1回の走査で画像記録が完了するようなフルライン型のインクジェット記録装置には特に有効である。このフルライン型のインクジェット記録装置では、基本的にマルチパス方式のプリンタに比より簡略な構成で記録装置を構成することができると共に、記録速度が格段に速いという利点があり、本発明を適用することによって、画像品質においける改善が図られることにより、コスト、記録速度、画質のいずれの面においても優れたインクジェット記録装置の実現が可能となる。
【0079】
ここで、隣接するノズルの間隔が記録マトリックスの隣接するラインの間隔よりも離れている場合、すなわち、記録ヘッドの解像度が記録マトリックスの解像度より低い場合には、画像の記録はマルチパス方式にて行なったり、同色のインク滴を吐出する他の解像度の高い記録ヘッドを用いることとなる。この場合、解像度の異なる他の記録ヘッドを用いたとしても、すなわち複数のインクジェットヘッドで同色インクを形成しても、記録マトリックスに実質的に同一走査で記録することとなり、上記記録方法と同様に記録できるので、本発明は好適なものとなる。またマルチパスでの記録でも、実現することは可能である。しかしながら、近接するノズルは実質的にも近接していると、前述のように、単純な構成でインクジェットプリンタを構成することができるので、ノズルの配置間隔が近接している方が望ましく、また、高速な記録が可能であるので、より好ましい。
【0080】
画像を記録する目的にもよるが、隣接するノズルの解像度は、次のような値であることが望ましい。例えば、インクジェット記録によって、ポケット写真のように小さいサイズの画像を高画質に記録する必要がある場合には、隣接するノズルの間隔は、インク滴の吐出量が40pl±10程度であれば、300dpi(100μm)程度に設定することが好ましく、さらに、吐出量が10pl±5程度であれば600dpi(40μm)程度に近接していることが好ましく、さらに好ましくは吐出量が5pl±2程度であれば1200dpi(20μm)、吐出量2pl±1程度であれば2400dpi(10μm)とすることが望ましい。
【0081】
また、ポケット写真のように、近接した状態で画像を観る場合とは異なり、遠くから画像を視認する場合には、大きなサイズの記録物を得るならば、より吐出量の大きいノズルを、比較的大きなノズル間隔のノズル列で記録することになるが、その場合にも本発明は好適である。
【0082】
また、本発明は、電気熱変換体などから発する熱エネルギーによってインクを吐出させるようにした記録ヘッドを用いる記録装置に限らず、ピエゾなどの圧電素子を用いてインクを吐出させるようにした記録ヘッドを用いる記録装置にも適用可能であり、本発明は、インクをノズルより吐出するインクジェット記録装置であれば、いかなるものにも適用可能である。
【0083】
【実施例】
以下、本発明の実施例を説明する。
〈実施例1〉
上述した本発明の第1の実施形態に示すインクジェット記録装置および記録方法により記録を行った実施例を説明する。記録ヘッドは、1200dpiの解像度を有し、ノズルが4096ノズル配列されたものとし、1回のインク吐出量(インク滴の量)は4.5±0.5plに設定した。
【0084】
色材を含有するインクの組成は以下の通りである。
(処方Yインク)
・グリセリン 5.0重量部
・チオジグリコール 5.0重量部
・尿素 5.0重量部
・イソプロピルアルコール 4.0重量部
・染料C.I.ダイレクトイエロー142 2.0重量部
・水 79.0重量部
(処方Mインク)
・グリセリン 5.0重量部
・チオジグリコール 5.0重量部
・尿素 5.0重量部
・イソプロピルアルコール 4.0重量部
・染料C.I.アシッドレッド289 2.5重量部
・水 78.5重量部
(処方Cインク)
・グリセリン 5.0重量部
・チオジグリコール 5.0重量部
・尿素 5.0重量部
・イソプロピルアルコール 4.0重量部
・染料C.I.ダイレクトブルー199 2.5重量部
・水 78.5重量部
(処方Kインク)
・グリセリン 5.0重量部
・チオジグリコール 5.0重量部
・尿素 5.0重量部
・イソプロピルアルコール 4.0重量部
・染料フードブラック2 3.0重量部
・水 78.0重量部
記録媒体としては電子写真・インクジェット共用紙(PB・PAPER:キヤノン株式会社製)を用いた。これらの色材インク、記録媒体を用いて記録を行った。
【0085】
記録動作制御は、前述の図8に示すフローチャートに示す手順に従って行った。
すなわち、まず、図4に示す階段チャートを出力し、その階段チャートを不図示の光学的センサー(スキャナ)によって4800dpiの読み取り解像度で読み取る。そして、各階段チャートの一本の線を細線化処理し、インクドットの重心を求め、理想とする着弾位置からのインクドットのYよれ値を測定した。また、同時にベタチャートを読み取り、記録濃度のばらつきを求め、前述の方法に従ってHSデータ(濃度ムラ補正データ)を作成した。また、Yよれ値に基づき全ノズルについてNPデータ(ノズルプロファイルデータ)を作成した。
【0086】
各ノズルから吐出されるインクドットの着弾精度は、σ値で6μm、最大よれは+25μmであった。このうち、Yよれ値がノズルピッチである1200dpi、すなわち21.7μmの1/2にあたる10.8μmを超えるような大きなよれが生じるインクドットを形成するノズルは、大よれ不良ノズルとし、そのノズルの周辺に位置するノズルについて(例えば、大よれノズルの前後5ノズルについて)、そのNPデータを用いて、上述の式に基づき予測される記録濃度を算出し、HC(ヨレムラ補正データ)データを作成した。このようにして求めたHCデータ(1/2解像度を超える不良ノズルの周辺ノズル)を、上記のHSデータ(濃度ムラ補正データ)と置き換え、記録すべき画像の記録データにおける濃度階調値を、各ノズルで記録する記録ライン毎に補正を行い、上述の複数種のインクを用いて記録を行った。その結果、すじむらは低減し、白すじの発生が抑えられた高品位な画像が得られた。
【0087】
これに対し、上記実施例のヘッド補正処理を行わず、その他の条件を同一のして記録を実行したところ、得られた画像は、白スジが発生した品位の低い画像となった。
また、従来のヘッドシェーディング処理を行って記録したところ、濃度むらは低減されたが、依然としてすじむらが目につく画像が形成され、本実施例によって得られた画像に比べ、画像品位の低下は明らかであった。
【0088】
〈実施例2〉
本実施例では、大よれ不良ノズルであるか否かを判定する判定基準よれ量を解像度の25%とし、その他の条件は上記実施例1と同様に設定した。大ヨレノズルの数が50%であった。
この場合にも、良好な品位の画像を記録することができたが、よれ補正制御を要するノズル群の数が倍増し、データ処理時間が増加した。
【0089】
〈実施例3〉
本実施例では、大よれ不良ノズルであるか否かを判定する判定基準よれ量を解像度の10%とし、その他の条件は上記実施例1と同様に設定した。大ヨレノズルの数が80%であった。
この場合にもさらに、良好な品位の画像が得られたが、よれ補正制御を要するノズル群の数が上記各実施例に比して倍増したため、処理時間は上記各実施例よりも増大した。
【0090】
〈実施例4〉
本実施例では、大よれ不良ノズルであるか否かを判定する判定基準よれ量を解像度の100%とし、その他の条件は上記実施例1と同様に設定した。大ヨレノズルの数が1%であった。
この場合にも、従来に比べて良好な画像品位を得ることができたが、実施例1ほどの画像品位の向上は認められなかった。但し、データ処理時間は上記各実施例に比し、大幅に短縮された。
【0091】
(その他)
ところで、本発明は、インクジェット記録方式の中でも熱エネルギーを利用して飛翔的液滴を形成し、記録を行うインクジェット方式の記録ヘッドを用いた記録装置において特に優れた効果をもたらすものとなっている。
【0092】
その代表的な構成や原理については、例えば、米国特許第4723129号明細書、同第4740796号明細書に開示されている基本的な原理を用いて行うものが好ましい。この方式は所謂オンデマンド型、コンティニュアス型のいずれにも適用可能であるが、特に、オンデマンド型の場合には、液体(インク)が保持されているシートや液路に対応して配置されている電気熱変換体に、記録情報に対応していて核沸騰を越える急速な温度上昇を与える少なくとも一つの駆動信号を印加することによって、電気熱変換体に熱エネルギを発生せしめ、記録ヘッドの熱作用面に膜沸騰を生じさせて、結果的にこの駆動信号に一体一で対応した液体(インク)内の気泡を形成できるので有効である。この気泡の成長、収縮により吐出用開口を介して液体(インク)を吐出させて、少なくとも一つの滴を形成する。この駆動信号をパルス形状とすると、即時適切に気泡の成長収縮が行われるので、特に応答性に優れた液体(インク)の吐出が達成でき、より好ましい。このパルス形状の駆動信号としては、米国特許第4463359号明細書、同第4345262号明細書に記載されているようなものが適している。なお、上記熱作用面の温度上昇率に関する発明の米国特許第4313124号明細書に記載されている条件を採用すると、さらに優れた記録を行うことができる。
記録ヘッドの構成としては、上述の各明細書に開示されているような吐出口、液路、電気熱変換体の組合わせ構成(直線状液流路または直角液流路)の他に熱作用部が屈曲する領域に配置されている構成を開示する米国特許第4558333号明細書、米国特許第4459600号明細書を用いた構成も本発明に含まれるものである。
【0093】
加えて、複数の電気熱変換体に対して、共通するスリットを電気熱変換体の吐出部とする構成を開示する特開昭59−123670号公報や熱エネルギの圧力波を吸収する開孔を吐出部に対応させる構成を開示する特開昭59−138461号公報に基づいた構成としても本発明の効果は有効である。すなわち、記録ヘッドの形態がどのようなものであっても、本発明によれば記録を確実に効率良く行うことができるようになるからである。
【0094】
さらに、記録装置が記録できる記録媒体の最大幅に対応した長さを有するフルラインタイプの記録ヘッドに対しても本発明は有効に適用できる。そのような記録ヘッドとしては、複数記録ヘッドの組合せによってその長さを満たす構成や、一体的に形成された1個の記録ヘッドとしての構成のいずれでも良い。
【0095】
加えて、上例のようなシリアルタイプのものでも、装置本体に固定された記録ヘッド、あるいは装置本体に装着されることで装置本体との電気的な接続や装置本体からのインクの供給が可能になる交換自在のチップタイプの記録ヘッド、あるいは記録ヘッド自体に一体的にインクタンクが設けられたカートリッジタイプの記録ヘッドを用いた場合にも本発明は有効である。
【0096】
また、本発明の記録装置の構成として、記録ヘッドの吐出回復手段、予備的な補助手段等を付加することは本発明の効果を一層安定できるので、好ましいものである。これらを具体的に挙げれば、記録ヘッドに対してのキャッピング手段、クリーニング手段、加圧あるいは吸引手段、電気熱変換体あるいはこれとは別の加熱素子あるいはこれらの組み合せを用いて加熱を行う予備加熱手段、記録とは別の吐出を行う予備吐出手段を挙げることができる。
【0097】
本発明においては、上述した各インクに対して最も有効なものは、上述した膜沸騰方式を実行するものである。
【0098】
【発明の効果】
以上説明したように本発明においては、記録ヘッドのノズルから吐出されるインク滴によって実際に記録媒体上に形成されるインクドットの位置と前記インクドットの理想的形成位置との差であるよれ量を表すよれデータに基づき前記インクドットのよれ補正を行うと共に、前記よれ量に基づき前記よれ補正手段の補正動作を選択的に実行させるようにしたため、例えば、記録ヘッドの各ノズルの中に、着弾位置が大きくよれる不良ノズルが存在していたとしても、すじむらなどを発生させることなく、高品位な画像を形成することができる。従って、上記のような不良ノズルが発生したインクヘッドにあっても、これを交換することなく長期間にわたって使用することができ、ランニングコストを大幅に低減することができると共に、エコロジーの観点からも望ましい結果を得ることができる。また、記録ヘッドの製造上の歩留まりを実質的に向上させることができるため、記録ヘッドの製造コストを低減することも可能となる。
【0099】
さらに、よれ補正手段による補正動作は、よれ量に基づき補正を必要とする場合などにのみ実行させることができるため、補正動作に要する処理時間などを最低限に抑えることができ、記録動作を効率的に行うことができる。
【0100】
また、本発明における以上の効果は、複数のノズルを配列してなるノズル群の1回の記録走査によって画像を完成させる記録方式において特に顕著であるが、同一の記録領域に対し複数回の記録走査を異なるノズル群を用いて行うようにした所謂マルチパス記録に本発明を適用すれば、画像に生じるすじむらを一層低減することができるようになる。従って、本発明は、いかなるインクジェット記録方式にも有効である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態にかかるインクジェット記録装置の概略構成を示す正面図である。
【図2】図1に示すインクジェット記録ヘッドの構造を拡大して示す説明図である。
【図3】本発明の実施形態における制御系の構成の一例を示すブロック図である。
【図4】記録ヘッドにおける不良ノズルを検知するための階段チャートの一例であり、(a)は正常なノズルを有する記録ヘッドによって形成された階段チャートを、(b)は18番目と28番目と30番目に不良ノズルが存在する記録ヘッドによって形成された階段チャートをそれぞれ示している。
【図5】記録ヘッドにおける不良ノズルを検知するためのドットチャートの一例であり、(a)は正常なノズルを有する記録ヘッドによって形成されたドットチャートを、(b)は18番目と28番目と30番目に不良ノズルが存在する記録ヘッドによって形成されたドットチャートをそれぞれ示している。
【図6】記録ヘッドのノズルから吐出されたインク滴によって記録媒体上に形成される様々なインクドットの形状を説明する説明図である。
【図7】本発明の実施形態に適用する理想マトリックスとその理想マトリックスにインク滴が着弾した状態を示す説明図であり、(a)はインク滴が記録媒体上に理想的に着弾した状態を示し、(b)はインク滴が記録媒体上に理想的に着弾しなかった状態を示す図である。
【図8】本発明の一実施形態における制御動作の一例を示すフローチャートである。
【図9】本発明の一実施形態において各ノズルから吐出されたインク滴によって形成される複数のインクドットの一つの理想マトリックスラインへの影響度を説明するための説明図であり、(a)は記録ヘッド、理想マトリックス、インク滴が理想的に着弾した状態、およびインク滴が理想的に着弾していない状態をそれぞれ示し、(b)は同図(a)に示した着弾ドットの中の中央の3つのインクドットd(m−1),d(m)d(m+1)の形成状態を拡大して示している。
【図10】本発明の一実施形態において各ノズルから吐出されたインク滴によって形成されるインクドットの一つの単位マトリックスへの影響度を説明するための説明図であり、図9(a)に示した着弾ドットの中の中央の3つのインクドットd(m−1),d(m)d(m+1)の形成状態を拡大して示している。
【図11】本発明の一実施形態において各ノズルから吐出されたインク滴によって形成される複数のインクドットが一つの理想マトリックスラインに与える影響度を算出する方法を説明するための説明図である。
【符号の説明】
1 画像データ入力部
2 操作部
3 CPU
4 記憶媒体
4a 記録マトリクス情報格納部
4b 制御プログラム群格納部
5 RAM
6 画像データ処理部
7 記録部
8 バス部
20 キャリッジ
21 インクジェット記録ヘッド
22 インクカートリッジ
23 フレキシブルケーブル
24 記録媒体
25 排紙ローラ
26 搬送モータ
27 ガイドシャフト
28 リニアエンコーダ
29 駆動ベルト
30 キャリッジモータ
31 キャップ部
32 回復ユニット
33 インク受け

Claims (7)

  1. 複数のノズルを配列してなる記録ヘッドと記録媒体とを相対的に移動させると共に、形成すべき画像の記録データに応じて前記ノズルよりインク滴を吐出して記録媒体に画像を形成するインクジェット記録装置であって、
    前記ノズルから吐出されたインク滴の記録媒体への着弾状態に基づき、少なくとも前記複数のノズルの配列方向における着弾位置のずれ量を含む吐出特性を表すノズル情報を各ノズルに対応させて作成するノズル情報作成手段と、
    一定の濃度を示すパターンを記録した結果に基づき、前記複数のノズルの配列方向に沿って現れる濃度むらを示す情報を作成するむら情報作成手段と、
    前記むら情報作成手段によって作成した情報に基づいて、前記複数のノズルの配列方向に沿って現れる濃度むらを各ノズルに相関させ、前記記録媒体に形成されるインクドットによる濃度むらを補正する階調補正手段と、
    前記ノズルから吐出されるインク滴によって実際に記録媒体上に形成されるインクドットの位置と前記インクドットの理想的形成位置との前記複数のノズルの配列方向における差であるずれ量を表すずれデータに基づき、各ノズルに対応する前記インクドットのずれ量に応じた補正を行うずれ補正手段と、
    前記階調補正手段および前記ずれ補正手段による補正を行って画像の記録を行う制御手段と、を備え、
    前記ずれ補正手段は、前記複数のノズルそれぞれに対応した前記ずれ量に基づいて、所定のドット位置に対応するノズルから吐出されたインク滴によるドットが前記所定のドット位置に着弾する面積と、前記他のノズルから吐出されたインク滴によるドットが前記所定のドット位置に着弾する面積とを求めて補正を行うものであり、
    前記制御手段は、前記ずれ量が一定値以上であると判定されたノズルと、当該ノズルの近傍のノズルに対してのみ前記ずれ補正手段による補正を行うことを特徴とするインクジェット記録装置。
  2. 前記制御手段は、記録されたインクドットのずれ量がノズルピッチの10%以上であるノズルに対して、前記ずれ補正手段によるずれ補正を実行させることを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録装置。
  3. 前記制御手段は、記録されたインクドットのずれ量がノズルピッチの25%以上であるノズルに対して、前記ずれ補正手段によるずれ補正を実行させることを特徴とする請求項1または2のいずれかに記載のインクジェット記録装置。
  4. 前記制御手段は、記録されたインクドットのずれ量がノズルピッチの50%以上であるノズルに対して、前記ずれ補正手段によるずれ補正を実行させることを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録装置。
  5. 前記ずれ補正手段は、前記ずれ量の大小に応じて前記ノズルから吐出されるインク滴量を増減させることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載のインクジェット記録装置。
  6. 前記階調補正手段は、一定の濃度を示すパターンを記録したときの実際の濃度と理想的な濃度との差に応じて前記ノズルから吐出されるインク滴量を増減させることを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載のインクジェット記録装置。
  7. 複数のノズルを配列してなる記録ヘッドと記録媒体とを相対的に移動させると共に、形成すべき画像の記録データに応じて前記ノズルよりインク滴を吐出して記録媒体に画像を形成するインクジェット記録方法であって、
    前記ノズルから吐出されたインク滴の記録媒体への着弾状態に基づき、少なくとも前記複数のノズルの配列方向における着弾位置のずれ量を含む吐出特性を表すノズル情報を各ノズルに対応させて作成するノズル情報作成ステップと、
    一定の濃度を示すパターンを記録した結果に基づき、前記複数のノズルの配列方向に沿って現れる濃度むらを示す情報を作成するむら情報作成ステップと、
    前記むら情報作成ステップによって作成した情報に基づいて、前記複数のノズルの配列方向に沿って現れる濃度むらを各ノズルに相関させ、前記記録媒体に形成されるインクドットによる濃度むらを補正する階調補正ステップと、
    前記ノズルから吐出されるインク滴によって実際に記録媒体上に形成されるインクドットの位置と前記インクドットの理想的形成位置との前記複数のノズルの配列方向における差であるずれ量を表すずれデータに基づき、各ノズルに対応する前記インクドットのずれ量に応じた補正を行うずれ補正ステップと、
    前記階調補正ステップおよび前記ずれ補正ステップによる補正を行って画像の記録を行う制御ステップと、を備え、
    前記ずれ補正ステップは、前記複数のノズルそれぞれに対応した前記ずれ量に基づいて、所定のドット位置に対応するノズルから吐出されたインク滴によるドットが前記所定のドット位置に着弾する面積と、前記他のノズルから吐出されたインク滴によるドットが前記所定のドット位置に着弾する面積とを求めて補正を行うものであり、前記制御ステップは、前記ずれ量が一定値以上であると判定されたノズルと、当該ノズルの近傍のノズルに対してのみ前記ずれ補正ステップによる補正を行うことを特徴とするインクジェット記録方法。
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