JP5902648B2 - 医療容器栓体用熱可塑性エラストマー組成物 - Google Patents

医療容器栓体用熱可塑性エラストマー組成物 Download PDF

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Description

本発明は、輸液バッグ等の医療容器が備える栓体の製造に使用される医療容器栓体用熱可塑性エラストマー組成物及び該組成物からなる成形体に関する。
輸液バッグ等の医療容器が備える栓体には、耐熱性(加熱滅菌による変形がないこと)、耐液漏れ性(種々の針着脱条件において着脱部位から液の漏れ、にじみがないこと)及び針保持性(荷重のかかった針が抜け落ちにくいこと)等の特性が要求される。従来は加硫ゴムによって栓体が製造されていたが、その製造工程が複雑でコスト高であったのに対し、射出成型で成形が可能な熱可塑性エラストマー組成物からなる封止体が考案されている。
特許文献1には、スチレン系エラストマーとオイルを含む組成物からなる封止体を用いた栓体が開示されているが、封止体に針を刺した後の開口に圧縮永久歪が残り、充分な弾性復元力がないために開口部から液が漏れること、そして、該封止体の外周を締め付けるように加圧して栓体本体を射出成型すると、変形した封止体の弾性変形力によって液漏れを防ぐことができることが開示されている。
特許文献1には、栓体に圧縮圧力をかけた状態で加熱滅菌処理をする場合に関する記載がないが、栓体を有する医療容器の使用方法として、容器の組み立て終了後に全体を加熱滅菌してから用いることは技術常識である。
一方、熱可塑性エラストマーは、熱可塑性であるゆえに加硫ゴムに比べて耐永久歪特性が劣ることは良く知られているから、熱可塑性エラストマーを用いて、弾性体に圧縮圧力がかかるような栓体を構成した場合、加熱滅菌処理、即ち加熱圧縮状態によって永久歪が固定され、圧縮変形されたまま内部応力が減少して液漏れを防ぐ効果がなくなってしまうという問題が起きることは予想するに難くない。
特許文献2に記載の熱可塑性エラストマー組成物は、柔軟性があり、医療容器栓体の用途に使用したとき、耐熱性(加熱滅菌による変形がないこと)、耐液漏れ性(種々の針着脱条件において着脱部位から液の漏れ、にじみがないこと)及び針保持性(荷重のかかった針が抜け落ちにくいこと)の全てをバランス良く満足するものである。特許文献2に記載の熱可塑性エラストマー組成物は、特許文献1に開示されているような圧縮力を用いなくても針刺し後の液漏れが起きないものであるが、動的架橋されたイソブチレン系重合体が多すぎるものは耐液漏れ性の不十分なものとなることが記載されている。また、特許文献2での耐熱試験は歪の無い状態で試験されており、加熱下の耐永久歪特性については未知である。
特許文献3には、高温の条件下でも変形を生じず、十分な耐永久歪性に優れ、高温滅菌にも耐える医薬・医療用ゴム配合物が開示されている。特許文献3に開示された配合物は、末端にアルケニル基を有するイソブチレン系重合体を主成分として、ヒドロシリル基含有化合物により動的架橋を行う他、軟化剤としてポリブテンを用いることが必須であり、耐永久歪性に優れる他、ポリブテンの特性としてガスバリア性にも優れるものであることが開示されている。
特開2001−258991号公報 特開2010−227285号公報 国際公開第2009/013945号パンフレット
特許文献3では、イソブチレン系重合体は、組成物(A成分)中で少なくとも1/3質量部以上を占めることが規定されているのに対して、動的架橋されたイソブチレン系重合体が多すぎるものは耐液漏れ性の不十分なものとなることが記載されている特許文献2に開示されたエラストマー組成物では、動的架橋されたイソブチレン系重合体が、最高でも1/3質量部を下回る量で配合されている。
従って、組み立て後に加熱滅菌処理される医療用容器の栓体に用いられるエラストマー組成物には、針を刺しても液漏れしないという基本性能に加えて、加熱されても永久歪を起こしにくいという性能も求められるが、従来、耐液漏れ性が良好であるとして知られた特許文献2に記載のエラストマー組成物の耐永久歪は分かっておらず、一方で耐永久歪性に優れるとして知られた特許文献3に記載の組成物は液漏れ防止性能が不十分であるものと推測される。
本発明の課題は、液漏れ防止性に優れ、かつ加熱滅菌処理に対応する加熱圧縮をしても十分な耐永久歪性(耐圧縮永久歪性)を有する医療容器栓体用熱可塑性エラストマー組成物を提供することである。
本発明は、
〔1〕 ブロック重合体W 100質量部に対して、パラフィンオイルBを150〜250質量部、プロピレン重合体Cを1〜40質量部及び反応性基を有するイソブチレン重合体Qの架橋物Rを5〜80質量部、含有してなる医療容器栓体用熱可塑性エラストマー組成物であって、
前記ブロック重合体Wが、
構成単位としてブタジエン単位を含み、該ブタジエン単位における1,2-結合の割合が10〜50%である重合体ブロックY1を1個有し、重合体ブロックY1の両末端に各1個合計2個の、構成単位としてスチレン単位を含む重合体ブロックX1を有するブロック共重合体Z1の水素添加物であり、スチレン単位の含有割合が全構成単量体単位を基準として20〜50質量%であり、重量平均分子量が15万〜35万のブロック重合体Aと、
ブタジエン−スチレン制御分布共重合体ブロックY2を1個有し、該共重合体ブロックY2の両末端に各1個合計2個のポリスチレンブロックX2を有するブロック共重合体Z2の水素添加物であり、スチレン単位の含有割合が全構成単量体単位を基準として40〜70質量%であり、重量平均分子量が15万〜35万のブロック重合体P
とからなり、
前記パラフィンオイルBの40℃における動粘度が100〜500mm2/sで、かつ重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)で表される分子量分布が1.0〜2.5であり、
前記プロピレン重合体Cの曲げ弾性率が1000〜3000MPaである、
医療容器栓体用熱可塑性エラストマー組成物、
〔2〕 ブロック重合体W 100質量部に対して、パラフィンオイルBを150〜250質量部、プロピレン重合体Cを1〜40質量部及び反応性基を有するイソブチレン重合体Qの架橋物Rを5〜80質量部、含有してなる医療容器栓体用熱可塑性エラストマー組成物であって、
前記ブロック重合体Wが、
構成単位としてブタジエン単位を含み、該ブタジエン単位における1,2-結合の割合が10〜50%である重合体ブロックY1を1個有し、重合体ブロックY1の両末端に各1個合計2個の、構成単位としてスチレン単位を含む重合体ブロックX1を有するブロック共重合体Z1の水素添加物であり、スチレン単位の含有割合が全構成単量体単位を基準として20〜50質量%であり、重量平均分子量が15万〜35万のブロック重合体Aであり、
前記パラフィンオイルBの40℃における動粘度が100〜500mm 2 /sで、かつ重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)で表される分子量分布が1.0〜2.5であり、
前記プロピレン重合体Cの曲げ弾性率が1000〜3000MPaである、
医療容器栓体用熱可塑性エラストマー組成物、並びに
〕 前記〔1〕又は〔2〕記載の医療容器栓体用熱可塑性エラストマー組成物からなる成形体
に関する。
本発明の医療容器栓体用熱可塑性エラストマー組成物(以下、「本発明のエラストマー組成物」と略する場合がある)は、液漏れ防止性に優れ、かつ加熱滅菌処理に対応する加熱圧縮をしても十分な耐永久歪性を有するという優れた効果を奏するものである。
本発明のエラストマー組成物は、後述のブロック重合体W、パラフィンオイルB、プロピレン重合体C及び反応性基を有するイソブチレン重合体Qの架橋物Rを、それぞれ特定量含有するものである。
ブロック重合体Wは、組成物から得られる成形体の耐熱性、液漏れ防止性及び針保持性を良好とするために重要な成分である。
ブロック重合体Wは、構成単位としてスチレン単位を含む重合体ブロックXと構成単位としてブタジエン単位を含む重合体ブロックYを有するブロック共重合体Zの水素添加物である。
重合体ブロックXは、構成単位としてスチレン単位を含む重合体ブロックである。重合体ブロックXは、スチレン単位以外のビニル単量体単位を含有してもよいが、重合体ブロックXの構成単位中のスチレン単位の割合は、耐熱性の観点から、80質量%以上が好ましく、90質量%以上がより好ましく、95質量%以上がさらに好ましく、100質量%がさらに好ましい。
重合体ブロックYは、構成単位としてブタジエン単位を含む重合体ブロックである。重合体ブロックYは、ブタジエン単位以外のビニル単量体単位を含有してもよいが、重合体ブロックYの構成単位中のブタジエン単位の割合は、組成物のゴム弾性を高め、得られる成形体の液漏れ防止性を向上させる観点から、70質量%以上が好ましく、80質量%以上がより好ましく、90質量%以上がさらに好ましく、100質量%がさらに好ましい。
重合体ブロックYのブタジエン単位における1,2-結合の割合は、組成物のゴム弾性を高め、得られる成形体の液漏れ防止性を向上させる観点から、10%以上が好ましく、25%以上がより好ましい。また、ブロック重合体Wとプロピレン重合体Cとの相溶性を高め、液漏れ防止性を向上させる観点から、50%以下が好ましく、40%以下がより好ましい。これらの観点から、重合体ブロックYのブタジエン単位における1,2-結合の割合は、10〜50%が好ましく、25〜40%がより好ましい。
ブロック共重合体Zは、重合体ブロックXを2個以上、好ましくは2〜5個、重合体ブロックYを1個以上、好ましくは1〜4個有する。重合体ブロックXを1個だけ有するブロック重合体は、得られる成形体の耐熱性が不十分である。複数存在する重合体ブロックXは同一であっても異なっていてもよい。また、重合体ブロックYが複数個存在する場合も同様に、それらは同一であっても異なっていてもよい。
ブロック共重合体Zにおける重合体ブロックXの割合は、耐熱性の観点から、10質量%以上が好ましく、20質量%以上がより好ましい。また、組成物のゴム弾性を高め、得られる成形体の液漏れ防止性を向上させる観点から、80質量%以下が好ましく、70質量%以下がより好ましい。これらの観点から、ブロック共重合体Zにおける重合体ブロックXの割合は、10〜80質量%が好ましく、20〜70質量%がより好ましい。
ブロック重合体Wは、ブロック共重合体Zの水素添加物である。ブロック共重合体Zへの水素添加により、重合体ブロックYの有する(ブタジエンに由来する)不飽和結合が飽和結合に転化される。ブロック共重合体Zへの水素添加は、公知の方法によって行われるが、スチレン単位への水素添加が実質的に起こらない条件で行われることが好ましい。
水素添加の割合は、組成物の耐熱性の観点から、80%以上が好ましく、90%以上がより好ましい。
ブロック重合体Wは、一般にSEBSという略称で呼ばれることも多い。SEBSという略称において、Sはスチレン単位を主要構成単位として含有する重合体ブロックXを意味し、EBはブタジエン単位を主要構成単位として含有する重合体ブロックYが水素添加されて生成するエチレン単位(E)及びブチレン単位(B)を主要構成単位として含有する重合体ブロックを意味する。即ち、SEBSという略称は、EBブロック(エチレン単位及びブチレン単位を主要構成単位とするブロック)の両端にSブロック(スチレン単位を主要構成単位とするブロック)を有するというブロック重合体のモデル的構造「S−EB−S」に由来している。Sブロック3個及びEBブロック2個を有するSEBSのモデル的構造は「S−EB−S−EB−S」と表される。
また、本明細書においては当業者の慣行に基づき、1,2-結合のブタジエン単位に由来する構成単位「−CH2−CH(C25)−」をブチレン単位といい、1,4-結合のブタジエン単位に由来する構成単位「−CH2−CH2−CH2−CH2−」をエチレン単位(エチレン単位2個に見立てる)という。
ブロック重合体Wと類似のブロック重合体としてSEPS及びSEEPS等の略称で呼ばれるものがあるが、これらのブロック重合体は本発明におけるブロック重合体Wとしては不適切なものである。ブロック重合体Wにおける重合体ブロックYの主要構成単位はブタジエンであるのに対して、SEPSにおける対応するブロックの主要構成単位はイソプレンであり、SEEPSにおける対応するブロックの主要構成単位はイソプレン及びブタジエンである。前述の通り、ブロック重合体Wに替えてSEPS又はSEEPSを使用すると得られる成形体は液漏れ防止性が悪いものとなるが、その理由について以下に考察する。
ブロック重合体W(SEBS)は、例えば、2個のSブロックに挟まれたブロックがEBブロックであるのに対して、SEPSは、2個のSブロックに挟まれたブロックがEPブロックであり、SEEPSは、2個のSブロックに挟まれたブロックがEEPブロックである(SEEPSにおけるブタジエンは1,4-結合が主体であるため、実質的にエチレン単位のみを構成し、ブチレン単位を構成しない。EEPの1文字目のEはブタジエンに由来するエチレン単位を意味し、EPはイソプレンに由来するエチレン単位及びプロピレン単位を意味する。)。
2個のSブロックに挟まれたブロックがEBブロックであることが、組成物を使用して得られる成形体の液漏れ防止性を優れたものとするために、極めて重要な作用をしていることが推察される。即ち、スチレン単位を主要構成単位として含有する2個のSブロックに挟まれたブロックは、1,2-結合のブタジエン単位に由来する構成単位「−CH2−CH(C25)−」及び1,4-結合のブタジエン単位に由来する構成単位「−CH2−CH2−CH2−CH2−」を主要構成単位として含有するものであることが重要である。
ブロック重合体Wにおけるスチレン単位の割合は、全構成単量体単位を基準として、得られる成形体の耐熱性の観点から、20質量%以上であり、25質量%以上が好ましい。また、組成物のゴム弾性を高め、得られる成形体の液漏れ防止性を向上させる観点から、70質量%以下であり、60質量%以下が好ましい。これらの観点から、ブロック重合体Wにおけるスチレン単位の割合は、全構成単量体単位を基準として、20〜70質量%であり、25〜60質量%が好ましい。
ブロック重合体Wの重量平均分子量は、得られる成形体の耐熱性の観点から、15万以上であり、18万以上が好ましい。また、得られる成形体の液漏れ防止性、特に金属針を使用した混注時の液漏れ防止性の観点から、35万以下であり、30万以下が好ましい。これらの観点から、ブロック重合体Wの重量平均分子量は、15万〜35万であり、18万〜30万が好ましい。数平均分子量では、10万〜35万が好ましく、より好ましくは15万〜30万である。分子量分布Mw/Mnの値は1.0〜2.5が好ましく、1.05〜2.0がより好ましい。耐熱性の劣る低分子量成分や、全体の溶融粘度を押し上げる高分子量成分を制御するために、比較的分子量分布の揃ったものが好ましい。
ブロック重合体Wとして、2種類以上のブロック重合体が併用されてもよい。その場合、ブロック重合体W全体としての物性値は、それぞれのブロック重合体の加重平均値とする。
ブロック重合体Wの好適な例として、
(1)ブロック重合体A
(2)ブロック重合体A及びブロック重合体Pの併用
が挙げられる。
以下、いずれもブロック重合体Wの下位概念であるブロック重合体A及びブロック重合体Pについて説明する。
ブロック重合体Aは、組成物から得られる成形体の耐熱性、耐液漏れ性及び針保持性を良好とするために重要な成分である。
ブロック重合体Aは、下記のブロック共重合体Z1が水素添加されたものであり、スチレン単位の含有割合が全構成単量体単位を基準として20〜50質量%であり、重量平均分子量が15万〜35万の重合体である。
ブロック共重合体Z1は、構成単位としてブタジエン単位を含み、該ブタジエン単位における1,2-結合の割合が10〜50%である重合体ブロックY1を1個有し、重合体ブロックY1の両末端に各1個合計2個の、構成単位としてスチレン単位を含む重合体ブロックX1を有するブロック共重合体である。2個の重合体ブロックX1は同一のものでも異なるものでもよい。重合体ブロックX1を1個だけ有するブロック重合体は、得られる成形体の耐熱性が不十分である。
重合体ブロックX1は、スチレン単位を主要構成単位として含有する重合体ブロックである。重合体ブロックX1は、本発明の組成物が性能を損なわない範囲でスチレン単位以外のビニル単量体単位を含有してもよい。重合体ブロックX1を構成する全単量体単位のうち、スチレン単位の割合は、得られる成形体の耐熱性の観点から、80質量%以上が好ましく、90質量%以上がより好ましく、95質量%以上がさらに好ましい。
重合体ブロックY1は、構成単位としてブタジエン単位を含む重合体ブロックである。主要構成単位がイソプレン又はイソプレンとブタジエンの併用である場合は、得られる成形体は耐液漏れ性が悪いものとなる。また、主要構成単位がイソブチレンである場合は、得られる成形体は耐熱性が悪いものとなる。
重合体ブロックY1は、本発明の組成物が性能を損なわない範囲で共役ブタジエン単位以外のビニル単量体単位を含有してもよい。重合体ブロックY1を構成する全単量体単位のうち、ブタジエン単位の割合は、組成物のゴム弾性を高め、得られる成形体の液漏れ防止性を向上させる観点から、70質量%以上が好ましく、80質量%以上がより好ましく、90質量%以上がさらに好ましい。ブタジエン単位の割合が不足すると、組成物のゴム弾性が不足し、得られる成形体は耐液漏れ性が悪いものとなる。
重合体ブロックY1は、ブタジエン単位における1,2-結合の割合が10〜50質量%であり、15〜45質量%のものが好ましく、20〜40質量%のものがより好ましい。ブタジエン単位における1,2-結合の割合は、組成物のゴム弾性を高め、得られる成形体の液漏れ防止性を向上させる観点から、10%以上が好ましく、ブロック重合体Aとプロピレン重合体Cとの相溶性を高め、液漏れ防止性を向上させる観点から、50%以下が好ましい。
ブロック重合体Z1は、構成重合体ブロックとして重合体ブロックX1を10〜60質量%有するものが好ましく、20〜50質量%有するものがより好ましい。ブロック共重合体Z1における重合体ブロックX1の割合は、耐熱性の観点から、10質量%以上が好ましく、組成物のゴム弾性を高め、得られる成形体の液漏れ防止性を向上させる観点から、80質量%以下が好ましい。
ブロック重合体Aは、上記ブロック重合体Z1が公知の方法により水素添加され、重合体ブロックY1の有する、ブタジエンに由来する不飽和結合が飽和結合に転化されたものである。水素添加された割合は80%以上が好ましく、90%以上がより好ましい。水素添加がされていないか不十分であると得られる組成物が耐熱性の不十分なものとなる場合がある。ブロック重合体Z1への水素添加は、スチレン単位への水素添加が実質的に起こらない条件でなされる。
ブロック重合体Aはブロック重合体Wの下位概念であり、前記SEBSに相当する。2個のSブロック(重合体ブロックX1)及び1個のEBブロック(重合体ブロックY1が水素添加されたもの)からなるブロック重合体Aを本明細書においてはトリブロックSEBSともいう。
ブロック重合体Aにおけるスチレン単位の割合は、全構成単量体単位を基準として、得られる成形体の耐熱性の観点から、20質量%以上である。また、組成物のゴム弾性を高め、得られる成形体の液漏れ防止性を向上させる観点から、50質量%以下である。これらの観点から、ブロック重合体Aにおけるスチレン単位の割合は、全構成単量体単位を基準として、20〜50質量%である。
ブロック重合体Aの重量平均分子量は、得られる成形体の耐熱性の観点から、15万以上であり、18万以上が好ましい。また、得られる成形体の液漏れ防止性、特に金属針を使用した混注時の液漏れ防止性の観点から、35万以下であり、30万以下が好ましい。これらの観点から、ブロック重合体Aの重量平均分子量は、15万〜35万であり、18万〜30万が好ましい。
ブロック重合体Aとして、2種類以上のブロック重合体が併用されてもよい。その場合、ブロック重合体A全体としての物性値は、それぞれのブロック重合体の加重平均値とする。
実質的にブロック重合体Aからなるブロック重合体Wは、耐熱性、耐液漏れ性及び針保持性が特に優れる成形体を与えるために好ましいものである。実質的にブロック重合体Aからなるとは、ブロック重合体Wのうちブロック重合体Aの割合が95質量%を超えることを意味する。
ブロック重合体Wの、ブロック重合体Aと異なる下位概念としてのブロック重合体Pは、組成物から得られる成形体の耐液漏れ性及び針保持性を良好とするために重要な成分である。特にブロック重合体Aと併用される場合は針保持性を向上させる効果を発揮しやすい。
ブロック重合体Pは、下記のブロック共重合体Z2が水素添加されたものであり、スチレン単位の含有割合が全構成単量体単位を基準として40〜70質量%であり、重量平均分子量が15万〜35万の重合体である。
ブロック共重合体Z2は、ブタジエン−スチレン制御分布共重合体ブロックY2を1個有し、共重合体ブロックY2の両末端に各1個合計2個のポリスチレンブロックX2を有するブロック共重合体である。
ポリスチレンブロックX2は、実質的にスチレン単位からなる重合体ブロックである。ポリスチレンブロックX2は、該ブロックを構成する全単量体単位のうち、スチレン単位の割合は90質量%以上が好ましく、95質量%以上がより好ましい。
ブロック共重合体Z2の構成成分であるブタジエン−スチレン制御分布共重合体ブロックY2は、ブタジエン単位を主要構成単位として含有する領域を2個以上有し、スチレン単位を主要構成単位として含有する領域を1個以上有し、両末端はポリスチレンブロックX2であるブタジエン−スチレン制御分布共重合体ブロックである。
ブタジエン−スチレン制御分布共重合体ブロックY2に含まれる、ブタジエン単位を主要構成単位として含有する領域はブタジエン単独のブロックでもよく、ブタジエン−スチレン制御分布共重合体ブロックY2に含まれるスチレン単位を主要構成単位として含有する領域はスチレン単独のブロックでもよく、その場合はS−EB−S−EB−S型のマルチブロック共重合体にあたるが、ブタジエン−スチレン制御分布共重合体ブロックY2を構成するブタジエンブロックやスチレンブロックには、他のビニル単量体が含まれていても効果を保つことができるので、ブタジエン−スチレン制御分布ブロック共重合体と呼び、略号としてはS−EB/S−Sと記載する。
本発明におけるブタジエン−スチレン制御分布共重合体ブロックY2において、ブタジエン単位を主要構成単位として含有する領域には、ブタジエン単位の割合は50質量%を超えて含まれる必要があり、60質量%以上が好ましく、70質量%以上がより好ましく、80質量%以上がさらに好ましい。ブタジエン単位の割合が不足すると、組成物のゴム弾性が不足し、得られる成形体は耐液漏れ性が悪いものとなる。ブタジエン単位以外のビニル単量体単位は実質的にスチレン単位であることが好ましい。
本発明におけるブタジエン−スチレン制御分布共重合体ブロックY2において、スチレン単位を主要構成単位として含有する領域には、スチレン単位の割合は50質量%を超えて含まれる必要があり、60質量%以上が好ましく、70質量%以上がより好ましく、80質量%以上がさらに好ましい。スチレン単位の割合が不足すると、得られる成形体は耐熱性が悪いものとなる。スチレン単位以外のビニル単量体単位は実質的にブタジエン単位であることが好ましい。
ブロック重合体Pは、上記ブロック重合体Z2が公知の方法により水素添加され、共重合体ブロックY2の有するブタジエンに由来する不飽和結合が飽和結合に転化されたものである。水素添加された割合は、80%以上が好ましく、90%以上がより好ましい。水素添加がされていないか不十分であると得られる組成物が耐熱性の不十分なものとなる場合がある。ブロック重合体Z2への水素添加は、スチレン単位への水素添加が実質的に起こらない条件でなされる。
ブロック重合体Pにおけるスチレン単位の割合は、全構成単量体単位を基準として、得られる成形体の針保持性及び耐熱性の観点から、40質量%以上である。また、組成物のゴム弾性を高め、得られる成形体の液漏れ防止性を向上させる観点から、70質量%以下である。これらの観点から、ブロック重合体Pにおけるスチレン単位の割合は、全構成単量体単位を基準として、40〜70質量%である。
ブロック重合体Pの重量平均分子量は、得られる成形体の耐熱性の観点から、15万以上であり、18万以上が好ましい。また、得られる成形体の液漏れ防止性、特に金属針を使用した混注時の液漏れ防止性の観点から、35万以下であり、30万以下が好ましい。これらの観点から、ブロック重合体Pの重量平均分子量は、15万〜35万であり、18万〜30万が好ましい。
ブロック重合体Pとして、2種類以上のブロック重合体が併用されてもよい。その場合、ブロック重合体P全体としての物性値は、それぞれのブロック重合体の加重平均値とする。
ブロック重合体Aとブロック重合体Pの質量比(ブロック重合体A/ブロック重合体P)は、ブロック重合体Aによる耐液漏れ性の向上及びブロック重合体Pによる針保持性の向上を両立させる観点から、50/50〜95/5が好ましく、60/40〜93/7がより好ましい。
パラフィンオイルBは、得られる成形体の液漏れ防止性及び針保持性のバランスを良好にする成分であり、また、加熱溶融された組成物に流動性を付与して成形性を良好にする成分である。特に、本発明では、後述の動粘度及び分子量分布を有するパラフィンオイルは低分子量成分が少なく、長期の耐圧縮永久歪性が向上する。
一般に、パラフィンオイルは、熱可塑性エラストマー組成物の軟化剤として用いられている。パラフィンオイル以外に軟化剤として用いられるオイルには、ナフテンオイル、芳香族オイル等のパラフィンオイル以外の鉱物油や、常温(20℃)で液体である低重合度のビニル重合体(オレフィン重合体、ジエン化合物重合体、アクリル重合体等)等がある。これらのオイルも耐熱性は良好であるものの、パラフィンオイルに比べて液漏れ防止性が不十分である。パラフィンオイルBは2種類以上が併用されてもよい。その場合、パラフィンオイルB全体としての物性値は、それぞれのパラフィンオイルの加重平均値とする。
パラフィンオイルBの40℃における動粘度は、耐圧縮永久歪性の観点から、100mm2/s以上であり、200mm2/s以上が好ましい。また、組成物の成形性及び得られる成形体の液漏れ防止性の観点から、500mm2/s以下であり、400mm2/s以下が好ましい。これらの観点から、パラフィンオイルBの40℃における動粘度は、100〜500mm2/sであり、200〜400mm2/sが好ましい。
パラフィンオイルBの分子量分布は、重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)で表される。この分子量分布は、理論上は1.0が好ましいが、厳密に1.0に近いものを製造しようとすると精製の手間がかかるため、工業的に安価に入手しやすい点で1.1以上が好ましい。また、分子量分布が広すぎるものは、流動性や成形性を悪くする高分子量成分と、圧縮耐久歪性を悪くする低分子量成分とが共存することを意味するので、分子量分布の数字で2.5以下が必須であり、2.4以下が好ましい。これらの観点から、パラフィンオイルBの分子量分布は、1.0〜2.5であり、1.05〜2.5が好ましく、1.1〜2.0がより好ましい。
パラフィンオイルBの含有量は、ブロック重合体W 100質量部に対して、150〜250質量部であり、160〜200質量部が好ましい。
プロピレン重合体Cは、得られる成形体の液漏れ防止性及び針保持性のバランスを良好にする成分であり、また、組成物の成形性を良好にする成分である。
プロピレン重合体Cは、プロピレン単位を主要構成単位として含有する重合体であり、プロピレンの単独重合体であってもよいし、本発明の効果を損なわない範囲の割合でプロピレン以外のラジカル重合性単量体が共重合された重合体であってもよい。共重合体の場合、構成単位としてプロピレン単位の割合は、得られる成形体の液漏れ防止性及び針保持性の観点から、70質量%以上が好ましく、80質量%以上がより好ましく、90質量%以上がさらに好ましい。実質的にプロピレンの単独重合体であることが最も好ましい。プロピレン重合体Cは2種類以上が併用されてもよい。その場合、プロピレン重合体C全体としての物性値は、それぞれのプロピレン重合体の加重平均値とする。
プロピレン重合体Cの曲げ弾性率は、得られる成形体の液漏れ防止性及び針保持性の観点から、1000MPa以上であり、1100MPa以上が好ましく、1200MPa以上がより好ましい。また、得られる成形体の液漏れ防止性の観点から、3000MPa以下であり、2500MPa以下が好ましく、2000MPa以下がより好ましい。これらの観点から、プロピレン重合体Cの曲げ弾性率は、1000〜3000MPaであり、1100〜2500MPaが好ましく、1200〜2000MPaがより好ましい。
プロピレン重合体Cの含有量は、ブロック重合体W 100質量部に対して、1〜40質量部であり、10〜30質量部が好ましい。
イソブチレン重合体Qの架橋物Rは、エラストマー組成物の耐熱性、高温時の耐圧縮永久歪性を大幅に向上させる成分であり、針刺し後の栓体の再シール性を向上させることができ、液漏れ防止性の向上にも寄与する。
イソブチレン重合体Qは、イソブチレン単位を主要構成単位として含有し、反応性基を有する重合体である。
イソブチレン重合体Qは、イソブチレン単位以外のカチオン重合性単量体単位を含むものであってよいが、構成単位として、イソブチレン単位の割合は、50質量%以上が好ましく、70質量%以上がより好ましく、90質量%以上がさらに好ましい。共重合成分となりうるカチオン重合性単量体としては、芳香族ビニル化合物、脂肪族オレフィン化合物、イソプレン、ブタジエン等が挙げられる。
イソブチレン重合体Qが有する反応性基としては、アルケニル基、単環式不飽和炭化水素基等の炭素−炭素二重結合を有する基が好ましい。アルケニル基としては、ビニル基、1-プロペニル基(2-メチルビニル基)、2-プロペニル基(アリル基)、イソプロペニル基(1-メチルビニル基)、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基等が挙げられる。単環式不飽和炭化水素基としては、シクロブテニル基、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基等が挙げられる。
イソブチレン重合体Q 1分子あたりの反応性基の個数は、架橋の効果を高める観点から、0.2個以上が好ましい。また、反応性基は、イソブチレン重合体Qの末端に有していることが好ましい。
イソブチレン重合体Qの反応性基が反応することにより、架橋物Rが生成する。
イソブチレン重合体Qの架橋物Rは、イソブチレン重合体Qが単独で架橋された架橋物であっても、イソブチレン重合体Qと他の成分からなる組成物の状態で架橋された架橋物であってもよい。最終的に得られる組成物の分散性を高める観点からは、後者の態様が好ましい。
前者の態様において、イソブチレン重合体Qの架橋には、架橋剤や架橋反応触媒が使用されていてもよい。反応性基がアルケニル基である場合、ヒドロシリル基含有化合物を架橋剤として使用することが好ましい。アルケニル基を基準とするヒドロシリル基のモル比は、0.2〜5が好ましく、0.25〜4がより好ましい。アルケニル基とヒドロシリル基の反応は、加熱により進行するが、速やかに反応させるために公知のヒドロシリル化反応触媒が使用されていてもよい。
後者の態様としては、例えば、本発明の組成物の製造において、ブロック重合体W、パラフィンオイルB、及びプロピレン重合体Cの1種以上と反応性基を有するイソブチレン重合体Qとを溶融混練する工程を設け、かかる溶融混練工程においてイソブチレン重合体Qが動的に架橋された状態で、組成物中に架橋物Rとして存在していていもよい。溶融混練の際に、前者の態様に記載した架橋剤や架橋反応触媒を使用してもよい。
また、後者のより好適な態様として、反応性基を有するイソブチレン重合体Q、オレフィン重合体S及び軟化剤Tを含む組成物が動的架橋された組成物を、反応性基を有するイソブチレン重合体Qの架橋物R(イソブチレンTPV組成物)として用いる方法がある。
オレフィン重合体Sとしては、炭素数2〜20のα−オレフィン化合物の単独重合体又は共重合体が好ましく、エチレン単位及び/又はプロピレン単位を主要構成単位として含有する重合体がより好ましい。エチレン単位及び/又はプロピレン単位を主要構成単位として含有する重合体としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体等が挙げられる。
軟化剤Tとしては、パラフィンオイル、ナフテンオイル、芳香族オイル等の鉱物油、ポリブテン等の合成軟化剤等が挙げられる。
組成物は、反応性基を有するイソブチレン重合体Qを55〜80質量%、オレフィン重合体Sを3〜20質量%、軟化剤Tを10〜40質量%含有していることが好ましい。
組成物には、通常エラストマーに添加される他の成分が適宜含まれていてもよい。他の成分としては、充填剤、滑剤、ブロッキング防止剤、難燃剤等、及び酸化防止剤、熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤等に代表される主成分の変質、分解等を抑制するための添加剤等が挙げられる。
組成物の動的架橋は、必要に応じて前者の態様に記載した架橋剤や架橋反応触媒を組成物に添加し、組成物を溶融混練することにより行うことができる。溶融混練の温度は、140〜230℃が好ましい。
反応性基を有するイソブチレン重合体Qの架橋物Rの含有量は、ブロック重合体W 100質量部に対して、5〜80質量部であり、10〜70質量部が好ましい。
ブロック重合体W、パラフィンオイルB、プロピレン重合体C及びイソブチレン重合体Qの架橋物Rの総量は、エラストマー組成物中、70質量%以上が好ましく、80質量%以上がより好ましい。
本発明のエラストマー組成物には、針保持性の観点から、無機フィラーを含有していることが好ましい。
本発明において用いることのできる無機フィラーとしては、タルク、クレイ、マイカ、セリサイト、炭酸カルシウム、シリカ等が挙げられ、これらの中ではタルクが好ましい。板状又は鱗片状の形状のものが好ましく用いられ、得られる成形体の針保持性を著しく向上させることができる。板状又は鱗片状の無機フィラーとしては、板状タルク、板状クレイ、マイカ、セリサイト等が挙げられ、これらのなかでも板状タルクが好ましい。板状タルクは、化学的には含水珪酸マグネシウムや滑石とも呼ばれる無機フィラーの一種であり、板状又は鱗片状の形状をした粉末である。板状又は鱗片状でない無機フィラーであっても用いることはでき、板状又は鱗片上のものには劣るが、針保持性向上の効果を示す。具体的には炭酸カルシウムやシリカ等が挙げられる。エラストマー組成物への無機フィラーの配合量は、エラストマー組成物及び成形体の性能を損なわない範囲で適宜決めることができる。
タルクの含有量は、ブロック重合体W 100質量部に対して、1〜50質量部が好ましく、3〜20質量部がより好ましい。
さらに、本発明のエラストマー組成物は、本発明の効果を損なわない範囲でその他の任意成分が配合されたものであってもよい。任意成分としては、ブロック重合体W及びプロピレン重合体C以外の熱可塑性樹脂(以下、その他の熱可塑性樹脂という。)、充填剤、滑剤、ブロッキング防止剤、難燃剤等、及び酸化防止剤、熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤等に代表される主成分の変質、分解等を抑制するための添加剤等が挙げられる。任意成分が配合される場合の配合割合は、組成物及び成形体の性能を損なわない範囲で適宜決められる。
その他の熱可塑性樹脂としては、前記ブロック重合体W以外のブロック重合体、前記プロピレン重合体C以外のプロピレン重合体、ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−αオレフィン共重合体、アクリル重合体、ポリウレタン、ポリエステル、ポリエーテル等が挙げられる。その他の熱可塑性樹脂が配合される場合の配合割合は、ブロック重合体W 100質量部に対して、100質量部以下が好ましく、70質量部以下がより好ましく、40質量部以下がさらに好ましく、20質量部以下がさらに好ましく、10質量部以下がさらに好ましい。その他の熱可塑性樹脂の割合が多すぎると、得られる成形体は、耐熱性、液漏れ防止性及び針保持性のいずれかが不十分なものとなる場合がある。
本発明の組成物は、ブロック重合体W、パラフィンオイルB、プロピレン重合体C及びイソブチレン重合体Qの架橋物Rを含む原料を、公知の手段により混合及び/又は混練させて得られる。原料の混合には、ヘンシェルミキサー、リボンブレンダー、V型ブレンダー等を使用することができる。混練には、押出機、ミキシングロール、ニーダー、バンバリーミキサー、ブラベンダープラストグラフ等を使用することができる。
原料を混合する順序は、特に限定されず、一括であっても、分割であってもよいが、例えば、粉末状又はペレット状の固体主原料(ブロック重合体W、プロピレン重合体C、イソブチレン重合体Qの架橋物R等)を混合機で攪拌、混合(ドライブレンド)し、次いで液状主原料(パラフィンオイルB)を添加して攪拌、混合し、必要に応じてその他の原料を添加して攪拌、混合することによって配合粉を得ることができる。その他の原料は、最初に固体主原料と混合しても、途中で液状主原料を添加した後に混合してもよい。得られた配合粉は用途に応じて所望の形状に成形することができ、例えば、押出機で混練してペレット化してもよい。
また、前記の如く、イソブチレン重合体Qの架橋物Rの代わりにイソブチレン重合体を原料として配合し、混練工程において動的架橋して架橋物Rを生成させるのも合理的な方法である。
本発明のエラストマー組成物は、射出成形機、押出成形機、プレス成形機等の公知の成形機を使用して成形体とすることができる。
本発明のエラストマー組成物からなる成形体は、医療容器用の栓体に要求される重要特性である耐熱性に優れ、かつ液漏れ防止性及び加熱圧縮をしても十分な耐圧縮永久歪性を有するものである。
本発明のエラストマー組成物からなる成形体は、針保持性及び液漏れ防止性の観点から、JIS K6253に準じて測定された測定時間1秒のA硬さが20〜50であるものが好ましく、25〜45であるものがより好ましく、30〜40であるものがさらに好ましい。
実施例及び比較例で使用した原料の各種物性は、以下の方法により測定した。
1.SEBS・SEB/S-S
〔スチレン単位含有割合〕
核磁気共鳴装置(ドイツ国BRUKER社製、DPX-400)を用いて測定する。
〔平均分子量〕
以下の測定条件で、ゲルパーミエーションクロマトグラフにより、ポリスチレン換算で分子量を測定し、重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)を求める。
・ポンプ:JASCO(日本分光株式会社)製、PU-980
・カラムオーブン:昭和電工株式会社製、AO-50
・検出器:日立製RI(示差屈折計)検出器、L-3300
・カラム種類:昭和電工株式会社製「K-805L(8.0×300mm)」及び「K-804L(8.0×300mm)」各1本を直列使用
・カラム温度:40℃
・ガードカラム:K-G(4.6×10mm)
・溶離液:クロロホルム
・溶離液流量:1.0ml/分
・試料濃度:約1mg/ml
・試料溶液ろ過:ポリテトラフルオロエチレン製0.45μm孔径ディスポーザブルフィルタ
・検量線用標準試料:昭和電工株式会社製ポリスチレン
〔ブタジエン単位における1,2-結合の割合〕
1H-NMR分析により測定する(測定機器:VARIAN社製のINOVA AS600)。
2.パラフィンオイル・ポリブテンオイル・エチレン/αオレフィンコポリマー
〔動粘度〕
JIS-Z-8803に従って、40℃の温度で測定する。
〔平均分子量〕
ゲルパーミエーションクロマトグラフにより、ポリスチレン換算で分子量を測定し、重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)、z平均分子量(Mz)を求める。
・GPC装置:オートサンプラAS-8010(東ソー)
・ポンプ:PU-980(JASCO)
・カラムオーブン:AO-50(昭和電工)
・RI:L-3300(日立)
・カラム:K-801+K-802(8.0×300mm)(昭和電工)
・カラム温度:40℃
・溶離液:クロロホルム
・溶離液流量:1.0mL/min
・試料濃度:3mg/L
・注入量:100μL
・標準試料:Shodex STANDARD S-3.3,S-2.5,S-1.7,S-1.2,S-1(昭和電工)
ポリスチレン2012-2 (GLサイエンス)
3.プロピレン重合体(PP)・高密度ポリエチレン(HDPE)
〔曲げ弾性率〕
JIS-K 6921-2に準拠して測定する(試験片:80mm×10mm×4mm、試験速度:2mm/min)。
〔メルトマスフローレイト(MFR)〕
JIS K6922-2に準拠し、190℃、2.16kg荷重の試験条件で測定する。
実施例1〜14及び比較例1〜16
(1) エラストマー組成物の製造
表1〜6に示す原料において、オイル以外の固体状原料を乾式混合した。得られた混合物に液状原料であるオイルを添加して混合し、含浸させた。得られた原料混合物を得た。該原料混合物を下記の条件で溶融混練し、ストランドに押出し、冷水中で冷却しつつカッターによって、直径3mm程度、厚さ3mm程度に切断し、エラストマー組成物のペレットを製造した。
〔溶融混練条件〕
・押出機:株式会社テクノベル製 KZW32TW-60MG-NH
・シリンダー温度:180〜250℃(この範囲で組成物毎に適切な温度を選択)
・スクリュー回転数:350r/min
実施例及び比較例で使用した原料は以下の通り。
〔SEBS〕
G1650(クレイトン社製):スチレン単位含有割合 29質量%、Mw 10.9万、Mn 10.3万、Mw/Mn 1.06、ブタジエン単位における1,2-結合の割合 37%
G1651(クレイトン社製):トリブロックSEBS、スチレン単位含有割合 33質量%、Mw 29万、Mn 26万、Mw/Mn 1.12、ブタジエン単位における1,2-結合の割合 37%
G1633(クレイトン社製):トリブロックSEBS、スチレン単位含有割合 30質量%、Mw 45万、Mn 40万、Mw/Mn 1.13、ブタジエン単位における1,2-結合の割合 37%
G1641(クレイトン社製):トリブロックSEBS、スチレン単位含有割合 32質量%、Mw 24万、Mn 22万、Mw/Mn 1.09、ブタジエン単位における1,2-結合の割合 67%
〔S-EB/S-S(制御分布ブロックSEBS)〕
A1535(クレイトン社製):スチレン単位含有割合 58質量%、Mw 27万、Mn 25万、ブタジエン単位における1,2-結合の割合 30%
〔イソブチレンTPV組成物〕
P1140B(カネカ社製):動的架橋イソブチレン樹脂混合物、ポリプロピレン・ポリブテンオイル含有、イソブチレン重合体成分66質量%含有
組成[(a)/(b)/(c)/(d)=100/11/40/1.2(質量比)]
・(a):末端にアルケニル基を有するイソブチレン系重合体(WO2006/098142号公報の製造例1に従って製造したもの、Mn 50,000)
・(b):ランダムポリプロピレン(商品名:プライムポリプロJ215W、株式会社プライムポリマー製、MFR 9)
・(c):ポリブテン系オイル(商品名:出光ポリブテン100R、出光興産株式会社製、Mn 960)
・(d):架橋剤、(CH3)3SiO-[Si(H)(CH3)O]48-Si(CH3)3で表されるヒドロシリル基含有ポリシロキサン
E1140B(カネカ社製):動的架橋イソブチレン樹脂混合物。高密度ポリエチレン・ポリブテンオイル含有、イソブチレン重合体成分66質量%含有、上記P1140Bの(b)成分がランダムポリプロピレンの代わりに高密度ポリエチレン(HDPE)(商品名:ハイゼックス2200J、株式会社プライムポリマー製、MFR5.2)である以外は同一組成。
E1140(カネカ社製):動的架橋イソブチレン樹脂混合物。高密度ポリエチレン・ポリブテンオイル含有、イソブチレン重合体成分66質量%含有
組成[(a)/(b)/(c)=100/11/40(質量比)]
・(a):P1140Bと同じ
・(b):高密度ポリエチレン(HDPE)(商品名:ハイゼックス2200J、株式会社プライムポリマー製、MFR 5.2)
・(c):パラフィン系オイル(商品名:JOMOプロセスP500、株式会社ジャパンエナジー)
〔パラフィンオイル:非芳香族系軟化剤〕
ハイドロブライト550(ソネボン社製):動粘度(40℃) 110mm2/s、Mw550、Mn360、Mz670、Mw/Mn1.53
ハイドロブライト1000(ソネボン社製):動粘度(40℃) 210mm2/s、Mw900、Mn410、Mz1200、Mw/Mn2.20
ハイドロブライトHV(ソネボン社製):動粘度(40℃) 260mm2/s、Mw980、Mn420、Mz1300、Mw/Mn2.33
PW380(出光):動粘度(40℃) 380mm2/s、Mw1100、Mn970、Mz1300、Mw/Mn1.13
ハイコールK290(カネダ社製):動粘度(40℃) 35mm2/s
ケイドール(ソネボン社製):動粘度(40℃) 67mm2/s、Mw310、Mn45、Mz500、Mw/Mn6.89
PW90(出光社製):動粘度(40℃) 90mm2/s、Mw600、Mn350、Mz760、Mw/Mn1.71
比較例16で使用した、ケイドールとハイドロブライトHVの混合ワックス:動粘度 130mm2/s、Mw645、Mn233、Mw/Mn2.8(動粘度はブレンドチャートを使用し求めた)
〔ポリブテンオイル:合成樹脂系軟化剤〕
LV-100[日石ポリブテンLV-100](日石社製):動粘度(40℃) 110mm2/s
〔エチレン/αオレフィンコポリマー:合成樹脂系軟化剤〕
HC-40[ルーカントHC-40](三井化学社製):動粘度(40℃) 380mm2/s
HC-100[ルーカントHC-100](三井化学社製):動粘度(40℃) 1300mm2/s
〔PP(プロピレン重合体)〕
PM600A(サンアロマー社製):ホモPP、曲げ弾性率 1600MPa、MFR 7.5g/10min
PH943B(サンアロマー社製):ランダムPP、曲げ弾性率 550MPa、MFR 21g/10min
J5900(プライムポリマー社製):リアクターTPO(半硬質ホモ系)、曲げ弾性率 420MPa、MFR 8g/10min
〔HDPE(高密度ポリエチレン)〕
ニポロンハード1000(東ソー社製):比重 0.964、MI 20g/10min、曲げ弾性率 1160MPa、D硬さ71
〔タルク〕
タルカンハヤシ(林化成社製):平板状タルク、メジアン径11μm
(2) 成形体の製造
ペレットを、下記の条件で射出成形して、
(1) 直径29.0、厚さ12.5mmの円盤状成形体、
(2) 長さ125mm、幅125mm、厚さ2mmのプレート状成形体、
(3) 一旦長さ125mm、幅25mm、厚さ6mmのバー状成形体を作製し、バー状成形体からの打ち抜きにより直径20mm、厚さ6mmの円柱状成形体
を、それぞれ製造した。
〔射出成形条件〕
射出成形機:三菱重工業株式会社製 100MSIII-10E
射出成形温度:170℃
射出圧力:成形機の最大能力の30%(実際の圧力は約600kgf/cm2)
射出時間:10秒
金型温度:40℃
〔評価〕
成形体について、以下の評価を行った。結果を表1〜6に示す。
(1) A硬さ
厚さ2mmのプレート状成形体を3枚重ねたもの(合計厚み6mm)について、JIS K6253に準拠した測定時間1秒のA硬さ(試験開始から1秒後の値)を測定した。測定は温度23℃、湿度50%の室内で1日放置の後実施した。
(2) 圧縮永久歪(CS)
圧縮永久歪(CS)の値は、円盤状成形体を試験片として用い、JIS K6262に規定される圧縮永久ひずみ試験によって決定した。標準温度(23.2±2℃)において、試験片の直径及び厚さがそれぞれ、29.0±0.5mm(直径)、12.5mm±0.5mm(厚さ)であることを確認し、厚さ9.3〜9.4mmのスペーサをかませた圧縮板に試験片を挟んで、25%圧縮の条件で、高温試験としては100℃で24時間又は120℃で24時間、長期試験としては60℃で1000時間、それぞれ保持した後、標準温度で圧縮板を外して30分放置した後の試験片中央部の厚さを測定した。
測定結果を下記の圧縮永久歪算出式にあてはめて、圧縮永久歪CS(%)の数値を算出した。
Figure 0005902648
(式中、t0は試験片の元の厚さ(mm)、t1はスペーサの厚さ(mm)、t2は圧縮装置から取り外し、30分後の試験片の厚さ(mm)を示す)
圧縮解放後、完全に圧縮前の寸法形状に戻ったときのCSの値は0%であり、圧縮から開放しても圧縮されたままの形状で寸法形状が元に戻らない場合のCSの値は100%であるから、CSの値は0から100%の間で小さいほど回復が優れていることを意味する。また、加熱滅菌処理は、高温に耐性のある菌を死滅させるために、オートクレーブと呼ばれる装置を用いて、飽和水蒸気中で121℃、2気圧で15分以上加熱する方法が一般的であることから、実用を考慮して、以下の評価基準に従って、耐圧縮永久歪性を評価した。
〔評価基準〕
○:CSが60%未満
△:CSが60%以上、70%未満
×:CSが70%以上であるか、試験片側面に割れが生じる。
(3) 液漏れ防止性〔プラスチック針挿入試験〕
試験には、円柱状成形体を栓体として使用した。
液貯槽及び液貯槽の底部に栓体取付部位を備える液漏れ試験機に栓体をセットし、液貯槽に水500mlを注ぎ、栓体の平面に0.01MPaの水圧がかかるようにした。試験は温度23℃、湿度50%の室内で行った。
上記栓体の中心に栓体の下方から栓体平面と垂直に、医療用プラスチック針(テルモ株式会社製TC-00503K)を挿入し、4時間静置した。プラスチック針自身の貫通孔は、該貫通孔からの液漏れが起きないように封止されたものを使用した。4時間静置後にプラスチック針を栓体から抜き、栓体に生じた針穴からの液漏れ(水漏れ)状態を1時間後に目視にて評価し、以下の評価基準に従って評価した。評価は20個の栓体について行った。
〔評価基準〕
○:液漏れ率が20%未満
×:液漏れ率が20%以上
(4) 液漏れ防止性〔混注想定試験〕
試験には、円柱状成形体を栓体として使用した。
液貯槽及び液貯槽の底部に栓体取付部位を備える液漏れ試験機に栓体をセットし、液貯槽に水500mlを注ぎ、栓体の平面に0.02MPaの水圧がかかるようにした。試験は温度23℃、湿度50%の室内で行った。
上記栓体の中心に栓体の下方から栓体平面と垂直に、注射器に取付られた医療用金属針(テルモ株式会社製18G)を挿入し、注射器及び金属針を約30°傾け、15秒後に傾けたまま金属針を栓体から抜いた。
上記と同じ金属針の栓体への挿入操作及び栓体から抜く操作をもう一度繰り返し行った。2回目も1回目と同一の注射器及び金属針を使用し、2回目の挿入も1回目の挿入と同じ箇所に行った。2回目の金属針を抜く操作終了後、栓体に生じた針穴からの液漏れ(水漏れ)状態を1時間後に目視にて評価し、以下の評価基準に従って評価した。液漏れ量を2回の合計量である。評価は20個の栓体について行った。
〔評価基準〕
○:液漏れ率が30%未満、かつ液漏れ量が10g未満
×:液漏れ率が30%以上、又は液漏れ量が10g以上
(5) 針保持性(荷重吊り下げ試験)
試験には、円柱状成形体を栓体として使用した。
試験用架台に栓体の平面が水平面と平行になるように栓体をセットした。試験は温度23℃、湿度50%の室内で行った。
上記栓体の中心に栓体の下方から栓体平面と垂直に、500gのおもりが取付られた医療用金属針(テルモ株式会社製TC-00501K)を挿入し、金属針を挿入してから抜け落ちるまでの時間(針保持時間、単位は秒)を測定し、以下の評価基準に従って評価した。
〔評価基準〕
○:針保持時間が100秒以上
×:針保持時間が100秒未満
Figure 0005902648
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以上の結果より、実施例のエラストマー組成物は、耐液漏れ性と耐圧縮永久歪性のいずれも良好であることが分かる。
これに対し、パラフィンオイルを使用していても、物性が所定の範囲外である比較例1〜3では、耐圧縮永久歪性と液漏れ防止性に欠けている。
パラフィンオイル以外の軟化剤を用いた比較例4、6、7では、液漏れ防止性と針保持性の低下が顕著である
SEBSの重量平均分子量が小さすぎる比較例8は、耐圧縮永久歪性の低下が顕著であり、EBSの重量平均分子量が大きすぎる比較例9は、金属針での混注試験での液漏れ防止性に欠けている。
パラフィンオイルの量が少なすぎる比較例10は、液漏れ防止性の低下が顕著であり、パラフィンオイルの量が多すぎる比較例11は、さらに、針保持性にも欠けている。
プロピレン重合体の量が多すぎる比較例12は、液漏れ防止性が欠けている
プロピレン重合体の曲げ弾性率が低すぎる比較例13は、金属針での混注試験での液漏れ防止性に欠けており、その他所定のプロピレン重合体を用いていない比較例14、15は、耐圧縮永久歪性が欠けている。
パラフィンオイルの分子量分布が所定の範囲外である比較例16は、耐圧縮永久歪性が欠けている。
本発明の医療容器栓体用エラストマー組成物は、射出成形、押出成形、プレス成形など公知の方法で成形可能である。本発明の組成物を使用して得られた成形体は、医療容器栓体に要求される重要特性である耐熱性、耐液漏れ性及び針保持性が優れたものであり、輸液バッグ等の医療容器の栓体として好適に利用できる。

Claims (5)

  1. ブロック重合体W 100質量部に対して、パラフィンオイルBを150〜250質量部、プロピレン重合体Cを1〜40質量部及び反応性基を有するイソブチレン重合体Qの架橋物Rを5〜80質量部、含有してなる医療容器栓体用熱可塑性エラストマー組成物であって、
    前記ブロック重合体Wが、
    構成単位としてブタジエン単位を含み、該ブタジエン単位における1,2-結合の割合が10〜50%である重合体ブロックY1を1個有し、重合体ブロックY1の両末端に各1個合計2個の、構成単位としてスチレン単位を含む重合体ブロックX1を有するブロック共重合体Z1の水素添加物であり、スチレン単位の含有割合が全構成単量体単位を基準として20〜50質量%であり、重量平均分子量が15万〜35万のブロック重合体Aと、
    ブタジエン−スチレン制御分布共重合体ブロックY2を1個有し、該共重合体ブロックY2の両末端に各1個合計2個のポリスチレンブロックX2を有するブロック共重合体Z2の水素添加物であり、スチレン単位の含有割合が全構成単量体単位を基準として40〜70質量%であり、重量平均分子量が15万〜35万のブロック重合体P
    とからなり、
    前記パラフィンオイルBの40℃における動粘度が100〜500mm2/sで、かつ重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)で表される分子量分布が1.0〜2.5であり、
    前記プロピレン重合体Cの曲げ弾性率が1000〜3000MPaである、
    医療容器栓体用熱可塑性エラストマー組成物。
  2. ブロック重合体W 100質量部に対して、パラフィンオイルBを150〜250質量部、プロピレン重合体Cを1〜40質量部及び反応性基を有するイソブチレン重合体Qの架橋物Rを5〜80質量部、含有してなる医療容器栓体用熱可塑性エラストマー組成物であって、
    前記ブロック重合体Wが、
    構成単位としてブタジエン単位を含み、該ブタジエン単位における1,2-結合の割合が10〜50%である重合体ブロックY1を1個有し、重合体ブロックY1の両末端に各1個合計2個の、構成単位としてスチレン単位を含む重合体ブロックX1を有するブロック共重合体Z1の水素添加物であり、スチレン単位の含有割合が全構成単量体単位を基準として20〜50質量%であり、重量平均分子量が15万〜35万のブロック重合体Aであり、
    前記パラフィンオイルBの40℃における動粘度が100〜500mm 2 /sで、かつ重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)で表される分子量分布が1.0〜2.5であり、
    前記プロピレン重合体Cの曲げ弾性率が1000〜3000MPaである、
    医療容器栓体用熱可塑性エラストマー組成物。
  3. 反応性基を有するイソブチレン重合体Qの架橋物Rが、反応性基を有するイソブチレン重合体Q 55〜80質量%、オレフィン重合体S 3〜20質量%及び軟化剤T 10〜40質量%を含む組成物が動的架橋された組成物である、請求項1又は2記載の医療容器栓体用熱可塑性エラストマー組成物。
  4. さらに、タルクを含有してなる、請求項1〜いずれか記載の医療容器栓体用熱可塑性エラストマー組成物。
  5. 請求項1〜いずれか記載の医療容器栓体用熱可塑性エラストマー組成物からなる成形体。
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