JP5346642B2 - 医療容器栓体用複合エラストマー組成物 - Google Patents
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Description
本発明は、上記耐熱性、耐液漏れ性および針保持性が優れる成形体を与える組成物を提供することを目的とする。
下記ブロック重合体Wを100重量部、
40℃における動粘度が50〜500cStである軟化剤Bを100〜300重量部、
曲げ弾性率が1000〜3000MPaであるプロピレン重合体Cを1〜50重量部、および
反応性基を有するイソブチレン重合体Qの架橋物Rを5〜80重量部含有する組成物である。
ブロック重合体Wは、
スチレン単位を主要構成単位として含有する重合体ブロックXを2個以上、および
ブタジエン単位を主要構成単位として含有する重合体ブロックYを1個以上有する
ブロック共重合体Zの水素添加物であり、
重量平均分子量が16〜40万であり、スチレン単位の含有割合が20〜70重量%であるブロック重合体である。
下記ブロック重合体Wを100重量部、
40℃における動粘度が50〜500cStである軟化剤Bを100〜300重量部、
曲げ弾性率が1000〜3000MPaであるプロピレン重合体Cを1〜50重量部、および
下記イソブチレンTPV組成物Dを10〜100重量部含有する組成物である。
ブロック重合体Wは、
スチレン単位を主要構成単位として含有する重合体ブロックXを2個以上、および
ブタジエン単位を主要構成単位として含有する重合体ブロックYを1個以上有する
ブロック共重合体Zの水素添加物であり、
重量平均分子量が16〜40万であり、スチレン単位の含有割合が20〜70重量%であるブロック重合体である。
イソブチレンTPV組成物Dは、
反応性基を有するイソブチレン重合体Q 55〜80重量%、
オレフィン重合体S 3〜20重量%、
軟化剤T 10〜40重量%、および
その他の成分U 0.01〜5重量%
からなる組成物が動的架橋された組成物である。
ブロック重合体Wは、実質的に下記ブロック重合体Aからなることを特徴とする。
ブロック重合体A:
ブタジエン単位を主要構成単位として含有し該ブタジエン単位における1,2−結合の割合が10〜50%である重合体ブロックY1を1個有し、
重合体ブロックY1の両末端に各1個合計2個のスチレン単位を主要構成単位として含有する重合体ブロックX1を有する
ブロック共重合体Z1の水素添加物であり、
重量平均分子量が16〜40万であり、スチレン単位の含有割合が20〜50重量%であるブロック重合体である。
ブロック重合体Wは、
50〜95重量%の下記ブロック重合体Aおよび5〜50重量%の下記ブロック重合体Pからなることを特徴とする。
ブロック重合体A:
ブタジエン単位を主要構成単位として含有し該ブタジエン単位における1,2−結合の割合が10〜50%である重合体ブロックY1を1個有し、
重合体ブロックY1の両末端に各1個合計2個のスチレン単位を主要構成単位として含有する重合体ブロックX1を有する
ブロック共重合体Z1の水素添加物であり、
重量平均分子量が16〜40万であり、スチレン単位の含有割合が20〜50重量%であるブロック重合体である。
ブロック重合体P:
ブタジエン−スチレン制御分布共重合体ブロックY2を1個有し、
共重合体ブロックY2の両末端に各1個合計2個のポリスチレンブロックX2を有する
ブロック共重合体Z2の水素添加物であり、
重量平均分子量が16〜40万であり、スチレン単位の含有割合が40〜70重量%であるブロック重合体であり、
ブタジエン−スチレン制御分布共重合体ブロックY2は、
ブタジエン単位を主要構成単位として含有する領域YB2を2個以上有し、
スチレン単位を主要構成単位として含有する領域YS2を1個以上有し、
両末端は領域YB2であるブタジエン−スチレン共重合体ブロックである。
請求項6に記載の発明の医療容器栓体用エラストマー組成物は、請求項1〜5のいずれかに記載の組成物において、反応性基を有するイソブチレン重合体Qは、末端にアルケニル基を有するイソブチレン重合体であることを特徴とする。
請求項7に記載の発明の医療容器栓体用エラストマー組成物は、請求項1〜6のいずれかに記載の組成物において、反応性基を有するイソブチレン重合体Qの架橋に使用される架橋剤は、ヒドロシリル基を有する化合物であることを特徴とする。
請求項8に記載の発明の医療容器栓体用エラストマー組成物は、請求項1〜7のいずれかに記載の組成物において、JIS K6253に準じて測定された測定時間1秒のA硬さが30〜50であることを特徴とする。
分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフ(以下、GPCともいう。)により測定されたポリスチレン換算のものである。重量平均分子量のことをMwともいい、数平均分子量のことをMnともいう。
まず、本発明の組成物について、主要成分であるブロック重合体W、ブロック重合体A、ブロック重合体P、軟化剤B、プロピレン重合体C、イソブチレン重合体Q、イソブチレンTPV組成物Dなどの順に説明する。次いで、組成物の製造、成形体の製造、評価などについて説明する。
ブロック重合体Wは、組成物から得られる成形体の耐熱性、耐液漏れ性および針保持性を良好とするために重要な成分である。
ブロック重合体Wは、下記のブロック共重合体Zが水素添加されたものであり、重量平均分子量が16〜40万であり、スチレン単位の含有割合が20〜70重量%であるブロック重合体である。
ブロック共重合体Zは、スチレン単位を主要構成単位として含有する重合体ブロックXを2個以上、およびブタジエン単位を主要構成単位として含有する重合体ブロックYを1個以上有するブロック共重合体である。
重合体ブロックXは、本発明の組成物が性能を損なわない範囲でスチレン単位以外のビニル単量体単位を含有してもよい。重合体ブロックXを構成する全単量体単位のうち、スチレン単位の割合は80重量%以上が好ましく、90重量%以上がより好ましく、95重量%以上がさらに好ましい。スチレン単位の割合が不足すると、得られる成形体は耐熱性が悪いものとなる。
主要構成単位がイソプレンまたはイソプレンとブタジエンの併用である場合は、得られる成形体は耐液漏れ性が悪いものとなる。また、主要構成単位がイソブチレンである場合は、得られる成形体は耐熱性が悪いものとなる。
ブロック重合体Zは、構成重合体ブロックとして重合体ブロックXを10〜80重量%有するものが好ましく、20〜70重量%有するものがより好ましい。重合体ブロックXの割合が少なすぎると得られる成形体が耐熱性の不十分なものとなる場合があり、重合体ブロックXの割合が多すぎると組成物のゴム弾性が不足し、得られる成形体は耐液漏れ性が悪いものとなる場合がある。
本明細書においては当業者の慣行に基づき、1,2−結合のブタジエン単位に由来する構成単位「−CH2−CH(C2H5)−」をブチレン単位といい、1,4−結合のブタジエン単位に由来する構成単位「−CH2−CH2−CH2−CH2−」をエチレン単位(エチレン単位2個に見立てる)という。
2個のSブロックに挟まれたブロックはEBブロックであることが、組成物を使用して得られる成形体の耐液漏れ性を優れたものとするために、極めて重要な作用をしていることが推察される。すなわち、スチレン単位を主要構成単位として含有する2個のSブロックに挟まれたブロックは、1,2−結合のブタジエン単位に由来する構成単位「−CH2−CH(C2H5)−」および1,4−結合のブタジエン単位に由来する構成単位「−CH2−CH2−CH2−CH2−」を主要構成単位として含有するものであることが重要である。
ブロック重合体WのMwは16〜40万であり、20〜35万であることが好ましい。Mwが小さすぎると得られる成形体は耐熱性が不十分なものとなる。Mwが大きすぎると得られる成形体は耐液漏れ性(後述する金属針を使用する混注想定試験)が不十分なものとなるため、使用が制限される。
ブロック重合体Wは2種類以上が併用されてもよい。
(1)ブロック重合体A
(2)ブロック重合体Aおよびブロック重合体Pの併用
が挙げられる。
以下、いずれもブロック重合体Wの下位概念であるブロック重合体Aおよびブロック重合体Pについて説明する。
ブロック重合体Aは、組成物から得られる成形体の耐熱性、耐液漏れ性および針保持性を良好とするために重要な成分である。
ブロック重合体Aは、下記のブロック共重合体Z1が水素添加されたものであり、重量平均分子量が16〜40万であり、スチレン単位の含有割合が20〜50重量%であるブロック重合体である。
ブロック共重合体Z1は、ブタジエン単位を主要構成単位として含有し該ブタジエン単位における1,2−結合の割合が10〜50%である重合体ブロックY1を1個有し、重合体ブロックY1の両末端に各1個合計2個のスチレン単位を主要構成単位として含有する重合体ブロックX1を有するブロック共重合体である。
重合体ブロックX1は、本発明の組成物が性能を損なわない範囲でスチレン単位以外のビニル単量体単位を含有してもよい。重合体ブロックX1を構成する全単量体単位のうち、スチレン単位の割合は80重量%以上が好ましく、90重量%以上がより好ましく、95重量%以上がさらに好ましい。スチレン単位の割合が不足すると、得られる成形体は耐熱性が悪いものとなる。
主要構成単位がイソプレンまたはイソプレンとブタジエンの併用である場合は、得られる成形体は耐液漏れ性が悪いものとなる。また、主要構成単位がイソブチレンである場合は、得られる成形体は耐熱性が悪いものとなる。
ブロック重合体Z1は、構成重合体ブロックとして重合体ブロックX1を10〜60重量%有するものが好ましく、20〜50重量%有するものがより好ましい。重合体ブロックX1の割合が少なすぎると得られる成形体が耐熱性の不十分なものとなる場合があり、重合体ブロックX1の割合が多すぎると組成物のゴム弾性が不足し、得られる成形体は耐液漏れ性が悪いものとなる場合がある。
2個のSブロック(重合体ブロックX1)および1個のEBブロック(重合体ブロックY1が水素添加されたもの)からなるブロック重合体Aを本明細書においてはトリブロックSEBSともいう。
ブロック重合体AのMwは16〜40万であり、20〜35万であることが好ましい。Mwが小さすぎると得られる成形体は耐熱性が不十分なものとなる。Mwが大きすぎると得られる成形体は耐液漏れ性(後述する金属針を使用する混注想定試験)が不十分なものとなるため、使用が制限される。
ブロック重合体Aは2種類以上が併用されてもよい。
ブロック重合体Pは、組成物から得られる成形体の耐液漏れ性および針保持性を良好とするために重要な成分である。特にブロック重合体Aと併用される場合は針保持性を向上させる効果を発揮しやすいために好ましい。
ブロック重合体Pは、下記のブロック共重合体Z2が水素添加されたものであり、重量平均分子量が16〜40万であり、スチレン単位の含有割合が40〜70重量%であるブロック重合体である。
ブロック共重合体Z2は、ブタジエン−スチレン制御分布共重合体ブロックY2を1個有し、共重合体ブロックY2の両末端に各1個合計2個のポリスチレンブロックX2を有するブロック共重合体である。
制御分布共重合体ブロックは、該共重合体ブロックを構成する複数の単量体単位の割合が異なる領域を有する共重合体ブロックを意味する。
ポリスチレンブロックX2は、該ブロックを構成する全単量体単位のうち、スチレン単位の割合90重量%以上が好ましく、95重量%以上がより好ましい。
ブタジエン単位を主要構成単位として含有する領域YB2を2個以上有し、
スチレン単位を主要構成単位として含有する領域YS2を1個以上有し、
両末端は領域YB2であるブタジエン−スチレン共重合体ブロックである。
主要構成単位がイソプレンまたはイソプレンとブタジエンの併用である場合は、得られる成形体は耐液漏れ性が悪いものとなる。また、主要構成単位がイソブチレンである場合は、得られる成形体は耐熱性が悪いものとなる。
領域YB2は、本発明の組成物が性能を損なわない範囲でブタジエン単位以外のビニル単量体単位を含有してもよい。領域YB2を構成する全単量体単位のうち、ブタジエン単位の割合は50重量%を超える必要があり、60重量%以上が好ましく、70重量%以上がより好ましく、80重量%以上がさらに好ましい。ブタジエン単位の割合が不足すると、組成物のゴム弾性が不足し、得られる成形体は耐液漏れ性が悪いものとなる。ブタジエン単位以外のビニル単量体単位は実質的にスチレン単位であることが好ましい。
領域YS2は、本発明の組成物が性能を損なわない範囲でスチレン単位以外のビニル単量体単位を含有してもよい。領域YS2を構成する全単量体単位のうち、スチレン単位の割合は50重量%を超える必要があり、60重量%以上が好ましく、70重量%以上がより好ましく、80重量%以上がさらに好ましい。スチレン単位の割合が不足すると、得られる成形体は耐熱性が悪いものとなる。スチレン単位以外のビニル単量体単位は実質的にブタジエン単位であることが好ましい。
ブロック重合体Aのモデル的構造「S−EB−S」に対して、ブロック重合体Pはモデル的構造の一例として「S−EB−S−EB−S」で表されるような重合体を包含する。
スチレン単位の割合が多すぎると組成物のゴム弾性が不足し、得られる成形体は耐液漏れ性が悪いものとなる。
ブロック重合体PのMwは16〜40万であり、20〜35万であることが好ましい。Mwが小さすぎると得られる成形体は耐熱性が不十分なものとなる。耐熱性が不十分であると滅菌などの加熱処理時に成形体が変形する場合がある。
Mwが大きすぎると得られる成形体は耐液漏れ性(後述する金属針を使用する混注想定試験)が不十分なものとなるため、使用が制限される。
ブロック重合体Pは2種類以上が併用されてもよい。
ブロック重合体Aの割合が少なすぎる(ブロック重合体Pの割合が多すぎる)と、得られる成形体は耐液漏れ性が不十分なものとなる。ブロック重合体Aの割合が多すぎる(ブロック重合体Pの割合が少なすぎる)と、得られる成形体の針保持性向上効果が十分に発揮されにくい。
軟化剤Bは、得られる成形体の耐液漏れ性および針保持性のバランスを良好にする成分であり、また、加熱溶融された組成物に流動性を付与して成形性を良好にする成分である。
プロピレン重合体Cは、得られる成形体の耐液漏れ性および針保持性のバランスを良好にする成分であり、また、組成物の成形性を良好にする成分である。
プロピレン重合体Cは、プロピレン単位を主要構成単位として含有する重合体であり、プロピレンの単独重合体であってもよいし、成形体の性能を損なわない範囲の割合でプロピレン以外のラジカル重合性単量体が共重合された重合体であってもよい。共重合体の場合、プロピレン単位の割合は70重量%以上が好ましく、80重量%以上がより好ましく、90重量%以上がさらに好ましい。実質的にプロピレンの単独重合体であることが最も好ましい。プロピレン単位の割合が不足すると、得られる成形体は耐液漏れ性および針保持性が悪いものとなる。プロピレン重合体Cは2種類以上が併用されてもよい。
イソブチレン重合体Qの架橋物Rは、特に得られる成形体の針保持性を良好にし、液漏れ性とのバランスも優れたものにする成分である。
イソブチレン重合体Qは、イソブチレン単位を主要構成単位として含有し、反応性基を有する重合体である。
反応性基としては、炭素−炭素二重結合を有する基すなわちアルケニル基が好ましいものであり、ビニル基、アリル基、メチルビニル基、プロペニル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、シクロブテニル基、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基などが挙げられる。イソブチレン重合体Qは、1分子あたり0.2個以上の反応性基を有するものが好ましい。反応性基の割合が少なすぎると架橋の効果が不十分となる場合がある。
末端にアルケニル基を有する重合体がイソブチレン重合体Qとして好ましいものである。
好ましい架橋方法の他の例は、イソブチレン重合体Q、オレフィン重合体S、軟化剤Tおよびその他の成分Uからなる組成物を、溶融混練時に動的に架橋する方法である。
イソブチレンTPV組成物Dは、イソブチレン重合体Q 55〜80重量%、オレフィン重合体S 3〜20重量%、軟化剤T 10〜40重量%およびその他の成分U 0.01〜5重量%からなる組成物が、溶融混練時に動的に架橋された組成物である。
本発明のエラストマー組成物(1)は、上記ブロック重合体Wを100重量部、軟化剤Bを100〜300重量部、プロピレン重合体Cを1〜50重量部、およびイソブチレン重合体Qの架橋物Rを5〜80重量部含有するものである。
本発明のエラストマー組成物(2)は、上記ブロック重合体Wを100重量部、軟化剤Bを100〜300重量部、プロピレン重合体Cを1〜50重量部、およびイソブチレンTPV組成物Dを10〜100重量部含有するものである。
エラストマー組成物(1)および組成物(2)は、それぞれ請求項1および2に対応する発明に係るものであり、いずれも独立請求項の形式で記載されているが、実質的には請求項2記載の発明は請求項1記載の発明の下位概念の発明とも言えるものである。
任意成分が配合される場合の配合割合は、組成物および成形体の性能を損なわない範囲で適宜決められる。
混合には、ヘンシェルミキサー、リボンブレンダー、V型ブレンダー等を使用することができる。
混練には、押出機、ミキシングロール、ニーダー、バンバリーミキサー、ブラベンダープラストグラフ等を使用することができる。
例えば、粉末状又はペレット状の固体主原料(成分A、P、Cなど)を混合機で攪拌、混合(ドライブレンド)し、次いで液状主原料(成分B)を添加して攪拌、混合し(成分A、P、Cなどに成分Bを含浸させ)、必要に応じてその他の原料を添加して攪拌、混合することによって配合粉を得る。得られた配合粉を押出機で混練してペレット化するという方法は好ましい組成物の調製方法である。
上記手順において、「その他の原料」も固体主原料(成分A、P、Cなど)と合わせて最初から添加する方法が採用されてもよい。
エラストマー組成物(1)の場合、イソブチレン重合体Qが上記混練工程において動的架橋されるのは、合理的な方法である。
本発明の組成物の成形は、射出成形機、押出成形機、プレス成形機等の公知の成形機を使用して行うことができる。
本発明の組成物を成形して得られる成形体は、医療容器用の栓体に要求される重要特性である耐熱性、耐液漏れ性および針保持性が優れたものであった。従って、本発明の組成物を成形して得られる成形体は、医療容器用の栓体として好適に使用することができる。
使用された原料は以下のとおりである。
1.ブロック重合体Aおよび比較用ブロック重合体A’
・ブロック重合体A1:G1651(クレイトン製水添ブロック共重合体SEBS、スチレン単位含有割合:33%、Mw:29万、Mn:26万、ブタジエン単位における1,2−結合の割合:37%)
・比較用ブロック重合体A’1:G1650(クレイトン製水添ブロック共重合体SEBS、スチレン単位含有割合:29%、Mw:11万、Mn:10万、ブタジエン単位における1,2−結合の割合:37%)
・比較用ブロック重合体A’2:G1633(クレイトン製水添ブロック共重合体SEBS、スチレン単位含有割合:30%、Mw:45万、Mn:40万、ブタジエン単位における1,2−結合の割合:37%)
・比較用ブロック重合体A’3:セプトン4055(株式会社クラレ製水添ブロック共重合体SEEPS、スチレン単位含有割合:30%、Mw:30万、Mn:28万、ブタジエン単位における1,2−結合の割合:約37%)
・比較用ブロック重合体A’4:セプトン2006(株式会社クラレ製水添ブロック共重合体SEPS、スチレン単位含有割合:35%、Mw:32万、Mn:29万、ブタジエン単位における1,2−結合の割合:約37%)
・比較用ブロック重合体A’5:G1641(クレイトン製ハイビニル水添ブロック共重合体SEBS、スチレン単位含有割合:32%、Mw:24万、Mn:22万、ブタジエン単位における1,2−結合の割合:67%)
・ブロック重合体P1:RP6935(クレイトン製水添ブロック共重合体マルチブロックSEBS、スチレン単位含有割合:58%、Mw:27万、Mn:25万)
・ポンプ:JASCO(日本分光株式会社)製PU−980
・カラムオーブン:昭和電工株式会社製AO−50
・検出器:日立製RI(示差屈折計)検出器L−3300
・カラム種類:昭和電工株式会社製「K−805L(8.0×300mm)」および「K−804L(8.0×300mm)」各1本を直列使用
・カラム温度:40℃
・ガードカラム:K−G(4.6×10mm)
・溶離液:クロロホルム
・溶離液流量:1.0ml/分
・試料濃度:約1mg/ml
・試料溶液ろ過:ポリテトラフルオロエチレン製0.45μm孔径ディスポーザブルフィルタ
・検量線用標準試料:昭和電工株式会社製ポリスチレン
・軟化剤B1:ケイドール(Sonneborn製オイル、40℃における動粘度:64〜70cSt)
・軟化剤B’1:マーコールN172(エクソンモービル製オイル、40℃における動粘度:33cSt)
・プロピレン重合体C1:PM600A(サンアロマー株式会社製ポリプロピレン、曲げ弾性率:1600MPa、MFR(メルトフローレート):7.5g/10分)
・比較用オレフィン重合体C’1:PH943B(サンアロマー株式会社製プロピレン重合体、曲げ弾性率:550MPa、MFR(メルトフローレート):21g/10分)
・比較用オレフィン重合体C’2:J5900(株式会社プライムポリマー製ポリプロピレン、曲げ弾性率:420MPa、MFR(メルトフローレート):8g/10分)
・比較用オレフィン重合体C’3:ニポロンハード1000(東ソー製HDPE(高密度ポリエチレン)、曲げ弾性率:1160MPa、MFR(メルトフローレート):20g/10分、密度:964kg/m3)
・イソブチレンTPV組成物D1:P1140B(株式会社カネカ製、動的架橋イソブチレン樹脂混合物。ポリプロピレン、ポリブテンオイル含有、イソブチレン重合体成分55〜70重量%含有)
・イソブチレンTPV組成物D2:E1140B(株式会社カネカ製、動的架橋イソブチレン樹脂混合物。ポリエチレン、ポリブテンオイル含有、イソブチレン重合体成分55〜70重量%含有)
・イソブチレンTPV組成物D3:E1140(株式会社カネカ製、動的架橋イソブチレン樹脂混合物。ポリエチレン、パラフィンオイル含有、イソブチレン重合体成分55〜70重量%含有)
上記原料を使用して、本発明の組成物および比較用組成物を製造した。配合割合(重量部)は表1(実施例)および表2〜3(比較例)のとおりである。
固体状原料(軟化剤Bおよび比較用軟化剤B’以外の成分)を混合(ドライブレンド)して固体原料混合物を調製し、該混合物に液状原料(軟化剤Bまたは比較用軟化剤B’)を添加して混合、含浸させて原料混合物を調製した。該原料混合物を下記の条件で押出機で溶融混練して、組成物のペレットを製造した。
・押出機:株式会社テクノベル製 KZW32TW−60MG−NH
・シリンダー温度:250〜300℃(この範囲で組成物毎に適切な温度を選択)
・スクリュー回転数:300rpm
組成物のペレットを下記の条件で射出成形して、長さ125mm、幅125mm、厚さ2mmのプレート状成形体および長さ125mm、幅25mm、厚さ6mmのバー状成形体を製造した。バー状成形体からの打ち抜きにより直径20mm(厚さ6mm)の円柱状成形体を製造し、栓体としての評価はこれを使用した。
・射出成形機:三菱重工業株式会社製 100MSIII−10E
・成形温度:170℃
・射出圧力:成形機の最大能力の30%(実際の圧力は約600kgf/cm2)
・射出時間:10秒
・金型温度:40℃
上記の成形体について以下の評価を行った。
評価結果を表1(実施例)および表2〜3(比較例)に示した。
厚さ2mmの成形体を3枚重ね(合計6mm)としたものについて、JIS K6253に準拠した測定時間1秒のA硬さ(試験開始から1秒後の値)を測定した。測定は温度23℃、湿度50%の室内で1日状態調節の後実施した。好ましいA硬さは30〜50である。
円柱状成形体を110℃のオーブン中に30分間静置して加熱滅菌の処理を行った。変形の有無を目視にて評価した。
○:変形は認められなかった。
×:変形が認められた。
液貯槽および液貯槽の底部に栓体取付部位を備える液漏れ試験機に栓体(円柱状成形体)をセットし、液貯槽に水500mlを注ぎ、栓体の平面に0.01MPaの水圧がかかるようにした。評価は温度23℃、湿度50%の室内で行った。
上記栓体の中心に栓体の下方から栓体平面と垂直に、医療用プラスチック針(テルモ株式会社製TC−00503K)を挿入し、2時間静置した。プラスチック針自身の貫通孔は、該貫通孔からの液漏れが起きないように封止されたものを使用した。2時間後にプラスチック針を栓体から抜き、栓体に生じた針穴からの液漏れ(水漏れ)状態を1時間後に目視にて評価した。評価は20個の栓体について行った。
○:にじみ、液漏れともに認められなかった。
△:にじみは認められたが、液漏れは認められなかった。
×:液漏れが認められた。
液貯槽および液貯槽の底部に栓体取付部位を備える液漏れ試験機に栓体(円柱状成形体)をセットし、液貯槽に水500mlを注ぎ、栓体の平面に0.01MPaの水圧がかかるようにした。評価は温度23℃、湿度50%の室内で行った。
上記栓体の中心に栓体の下方から栓体平面と垂直に、注射器に取付られた医療用金属針(テルモ株式会社製18G)を挿入し、注射器および金属針を約30度傾け、15秒後に傾けたまま金属針を栓体から抜いた。
上記と同じ金属針の栓体への挿入操作および栓体から抜く操作をもう一度繰り返し行った。2回目も1回目と同一の注射器および金属針を使用し、2回目の挿入も1回目の挿入と同じ箇所に行った。2回目の金属針を抜く操作終了後、栓体に生じた針穴からの液漏れ(水漏れ)状態を1時間後に目視にて評価した。評価は20個の栓体について行った。
○:にじみ、液漏れともに認められなかった。
△:にじみは認められたが、液漏れは認められなかった。
×:液漏れが認められた。
試験用架台に栓体(円柱状成形体)の平面が水平面と平行になるように栓体をセットした。評価は温度23℃、湿度50%の室内で行った。
上記栓体の中心に栓体の下方から栓体平面と垂直に、500gのおもりが取付られた医療用金属針(テルモ株式会社製TC−00501K)を挿入し、金属針を挿入してから抜け落ちるまでの時間(針保持時間、単位は秒)を測定した。針保持時間は100秒以上が好ましく、120秒以上がより好ましい。
比較例2は、ブロック重合体Aに替えてMwが大きい比較用ブロック重合体A’が配合された組成物に関するものであり、針保持性および耐液漏れ性が悪いものであった。
比較例3は、ブロック重合体Aに替えてハイビニルSEBSが配合された組成物に関するものであり、耐液漏れ性および針保持性が悪いものであった。
比較例4および5は、ブロック重合体Aに替えてSEPSまたはSEEPSが配合された組成物に関するものであり、耐液漏れ性が悪いものであった。
比較例6は、軟化剤Bの使用割合が少なすぎる組成物に関するものであり、耐液漏れ性が極めて悪いものであった。
比較例7は、軟化剤Bの使用割合が多すぎる組成物に関するものであり、針保持性が極めて悪く、耐液漏れ性(混注想定試験)もやや悪いものであった。
比較例8は、軟化剤Bに替えて動粘度が低い比較用軟化剤が配合された組成物に関するものであり、耐液漏れ性および針保持性が悪いものであった。
比較例9は、プロピレン重合体Cの使用割合が多すぎる組成物に関するものであり、耐液漏れ性が極めて悪いものであった。
比較例10〜12は、プロピレン重合体Cに替えて比較用オレフィン重合体が配合された組成物に関するものであり、耐液漏れ性が悪いものであった。ポリエチレンが配合された比較例12は、針保持性も悪いものであった。
比較例13は、イソブチレンTPV組成物D(イソブチレン重合体Qの架橋物R)の使用割合が多すぎる組成物に関するものであり、耐液漏れ性が悪いものであった。
比較例14は、イソブチレンTPV組成物D(イソブチレン重合体Qの架橋物R)の使用割合が少なすぎる組成物に関するものであり、針保持性が悪いものであった。
Claims (8)
- スチレン単位を主要構成単位として含有する重合体ブロックXを2個以上、およびブタジエン単位を主要構成単位として含有する重合体ブロックYを1個以上有するブロック共重合体Zの水素添加物であり、重量平均分子量が16〜40万であり、スチレン単位の含有割合が20〜70重量%であるブロック重合体Wを100重量部、
40℃における動粘度が50〜500cStである軟化剤Bを100〜300重量部、
曲げ弾性率が1000〜3000MPaであるプロピレン重合体Cを1〜50重量部、
および
反応性基を有するイソブチレン重合体Qの架橋物Rを5〜80重量部含有する
医療容器栓体用エラストマー組成物。 - スチレン単位を主要構成単位として含有する重合体ブロックXを2個以上、およびブタジエン単位を主要構成単位として含有する重合体ブロックYを1個以上有するブロック共重合体Zの水素添加物であり、重量平均分子量が16〜40万であり、スチレン単位の含有割合が20〜70重量%であるブロック重合体Wを100重量部、
40℃における動粘度が50〜500cStである軟化剤Bを100〜300重量部、
曲げ弾性率が1000〜3000MPaであるプロピレン重合体Cを1〜50重量部、
および
下記イソブチレンTPV組成物Dを10〜100重量部含有する
医療容器栓体用エラストマー組成物。
イソブチレンTPV組成物D:
反応性基を有するイソブチレン重合体Q 55〜80重量%、
オレフィン重合体S 3〜20重量%、
軟化剤T 10〜40重量%、および
その他の成分U 0.01〜5重量%
からなる組成物が動的架橋された組成物である。 - ブロック重合体Wは、
実質的に下記ブロック重合体Aからなるものである
請求項1または2に記載の医療容器栓体用エラストマー組成物。
ブロック重合体A:
ブタジエン単位を主要構成単位として含有し該ブタジエン単位における1,2−結合の割合が10〜50%である重合体ブロックY1を1個有し、
スチレン単位を主要構成単位として含有する重合体ブロックX1が、重合体ブロックY1の両末端に各1個合計2個有されている、ブロック共重合体Z1、の水素添加物であり、
重量平均分子量が16〜40万であり、スチレン単位の含有割合が20〜50重量%であるブロック重合体である。 - ブロック重合体Wは、
50〜95重量%の下記ブロック重合体Aおよび5〜50重量%の下記ブロック重合体Pからなるものである
請求項1または2に記載の医療容器栓体用エラストマー組成物。
ブロック重合体A:
ブタジエン単位を主要構成単位として含有し該ブタジエン単位における1,2−結合の割合が10〜50%である重合体ブロックY1を1個有し、
スチレン単位を主要構成単位として含有する重合体ブロックX1が、重合体ブロックY1の両末端に各1個合計2個有されている、ブロック共重合体Z1、の水素添加物であり、
重量平均分子量が16〜40万であり、スチレン単位の含有割合が20〜50重量%であるブロック重合体である。
ブロック重合体P:
ブタジエン−スチレン制御分布共重合体ブロックY2を1個有し、
共重合体ブロックY2の両末端に各1個合計2個のポリスチレンブロックX2を有する
ブロック共重合体Z2の水素添加物であり、
重量平均分子量が16〜40万であり、スチレン単位の含有割合が40〜70重量%であるブロック重合体であり、
ブタジエン−スチレン制御分布共重合体ブロックY2は、
ブタジエン単位を主要構成単位として含有する領域YB2を2個以上有し、
スチレン単位を主要構成単位として含有する領域YS2を1個以上有し、
両末端は領域YB2であるブタジエン−スチレン共重合体ブロックである。 - プロピレン重合体Cはポリプロピレンである
請求項1〜4のいずれかに記載の医療容器栓体用エラストマー組成物。 - 反応性基を有するイソブチレン重合体Qは、
末端にアルケニル基を有するイソブチレン重合体である
請求項1〜5のいずれかに記載の医療容器栓体用エラストマー組成物。 - 反応性基を有するイソブチレン重合体Qの架橋に使用される架橋剤は、
ヒドロシリル基を有する化合物である
請求項1〜6のいずれかに記載の医療容器栓体用エラストマー組成物。 - JIS K6253に準じて測定された測定時間1秒のA硬さが30〜50である
請求項1〜7のいずれかに記載の医療容器栓体用エラストマー組成物。
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