JP2004204181A - 熱可塑性エラストマー組成物 - Google Patents

熱可塑性エラストマー組成物 Download PDF

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Abstract

【課題】柔軟性に富み、成形加工性、ゴム的特性、制振性に優れ、特に圧縮永久歪み特性に優れた新規な熱可塑性エラストマー組成物を提供する。
【解決手段】末端にアルケニル基を有するイソブチレン系重合体(A)、オレフィン系樹脂(B)を含有する組成物であって、末端にアルケニル基を有するイソブチレン系重合体(A)が、ヒドロシリル基含有ポリシロキサン(C)により架橋されてなるものであり、かつ、ヒドロシリル基含有ポリシロキサン(C)が、ヒドロシリル基を3個以上有し、シロキサンユニットを3個以上500個以下有するヒドロシリル基含有ポリシロキサンである熱可塑性エラストマー組成物。
【選択図】なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、柔軟性に富み、成形加工性、ゴム的特性、制振性に優れ、特に圧縮永久歪み特性に優れた新規な熱可塑性エラストマー組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、弾性を有する高分子材料としては、天然ゴムまたは合成ゴム等のゴム類に架橋剤や補強剤等を配合して高温高圧下で架橋したものが汎用されている。しかしながらこの様なゴム類では、高温高圧下で長時間にわたって架橋及び成形を行う行程が必要であり、加工性に劣る。また架橋したゴムは熱可塑性を示さないため、熱可塑性樹脂のようにリサイクル成形が一般的に不可能である。そのため、通常の熱可塑性樹脂と同じように熱プレス成形、射出成形、及び押出し成形等の汎用の溶融成形技術を利用して成型品を簡単に製造することのできる熱可塑性エラストマーが近年種々開発されている。このような熱可塑性エラストマーには、現在、オレフィン系、ウレタン系、エステル系、スチレン系、塩化ビニル系等の種々の形式のポリマーが開発され、市販されている。
【0003】
これらのうちで、オレフィン系熱可塑性エラストマーは、耐熱性、耐寒性、耐候性等に優れている。オレフィン系熱可塑性エラストマーは、架橋型と非架橋型に分けることができる。非架橋型熱可塑性エラストマーは、架橋反応を伴わないため品質のバラツキが少なく、また製造コストも安価である反面、性能面から両者を比較すると、引張強度や破断伸度、あるいはゴム的性質(例えば永久伸び、圧縮永久歪)や耐熱性の点では、非架橋型のオレフィン系熱可塑性エラストマーに比べて架橋型のオレフィン系熱可塑性エラストマーの方が優れていることは、広く知られている(例えば、非特許文献1参照)。
また、非架橋型あるいは部分架橋型のオレフィン系熱可塑性エラストマーについては、いくつかの文献に記載されている(例えば、特許文献1〜9参照)。
【0004】
このように、オレフィン系熱可塑性エラストマーには、非架橋型熱可塑性エラストマーと架橋型熱可塑性エラストマーとがあるが、非架橋型熱可塑性エラストマーの場合には、従来公知の非架橋型熱可塑性エラストマーと比較して、引張強度、破断伸度、ゴム的性質(永久伸び、圧縮永久歪み等)、耐熱性、低温特性等に優れた成形体を提供することができるオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物の出現が望まれており、また架橋型熱可塑性エラストマーの場合には、仮に架橋度を高めて圧縮永久歪みを改良したとしても、そのために柔軟性、耐熱性の低下や引張試験における破断強度や破断伸びの低下あるいは組成物表面への軟化剤のブリード等が起こり、物性バランスの優れたオレフィン系TPE組成物を得ることは困難であった。
【0005】
そして、架橋時に用いる架橋剤には硫黄系架橋剤、過酸化物系架橋剤、樹脂系架橋剤、オキシム系架橋剤、金属酸化物系架橋剤、アミン系架橋剤、イオン系架橋剤等が挙げられるが、この中で一般的な物は硫黄系架橋剤、過酸化物系架橋剤である。硫黄系架橋剤は低コストで高弾性、低クリープのものが知られているが、硫黄系加硫ゴムの場合、耐熱安定性が十分とはいえず、また非結合の化合物がブルームしてしまい成型品の外観、耐老化性を悪化させるという問題点がある。また生体適合性が要求される食品用途、医療用途には用いることはできない。
【0006】
一方、過酸化物系架橋剤は特に硫黄架橋できない飽和ゴムの架橋方法として用いられており、機械特性、耐熱性、電気的性質の向上が図られている。しかしながら部分架橋であるために耐油性及び高温下での形状回復等が不十分であるために広範囲にわたっての各種用途に用いることができない。また、有機過酸化物を用いているために、架橋と同時に有機過酸化物に起因するラジカルによりポリマー鎖の切断が起こり機械強度の低下も見られるという欠点も有している。
さらに樹脂系架橋剤として熱反応性アルキルフェノール樹脂を用いることもできる。この架橋方法で得られるエラストマーは完全架橋であるために耐油性及び高温での形状回復性は十分であるが、アルキルフェノール樹脂を用いているため耐候性が著しく悪く、調食の自由度が求められる自動車部品、家電用部品、電線被服等の用途に用いることができない。
【0007】
そこで、従来公知の加硫ゴムよりも、低温特性、引張強度、破断伸度および広い温度範囲に渡ってゴム的性質に優れた成形体を提供することができるオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物の出現が望まれている。
【0008】
【非特許文献1】
A.Y.Coranら、Rubber Chemistry and Technology、53巻(1980年)、141ページ
【特許文献1】
特公昭53−21021号公報
【特許文献2】
特公昭55−18448号公報
【特許文献3】
特公昭56−15741号公報
【特許文献4】
特公昭56−15742号公報
【特許文献5】
特公昭58−46138号公報
【特許文献6】
特公昭58−56575号公報
【特許文献7】
特公昭59−30376号公報
【特許文献8】
特公昭62−938号公報
【特許文献9】
特公昭62−59139号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上述の従来技術の課題に鑑み、柔軟性に富み、成形加工性、ゴム的特性、制振性に優れ、特に圧縮永久歪み特性に優れた熱可塑性エラストマー組成物を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、鋭意検討した結果、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、末端にアルケニル基を有するイソブチレン系重合体(A)、オレフィン系樹脂(B)を含有する組成物であって、末端にアルケニル基を有するイソブチレン系重合体(A)が、ヒドロシリル基含有ポリシロキサン(C)により架橋されてなるものであり、かつ、ヒドロシリル基含有ポリシロキサン(C)が、ヒドロシリル基を3個以上有し、シロキサンユニットを3個以上500個以下有するヒドロシリル基含有ポリシロキサンである熱可塑性エラストマー組成物に関する。
また、本発明は、ヒドロシリル基含有ポリシロキサン(C)が、ヒドロシリル基を3個以上有し、シロキサンユニットを10個以上200個以下有するヒドロシリル基含有ポリシロキサンである上記熱可塑性エラストマー組成物に関する。
【0011】
さらに、本発明は、末端にアルケニル基を有するイソブチレン系重合体(A)100重量部に対し、10〜200重量部のオレフィン系樹脂(B)を含有する上記熱可塑性エラストマー組成物;
末端にアルケニル基を有するイソブチレン系重合体(A)が、アリルトリメチルシランとイソブチレン系重合体末端の塩素との置換反応により、末端にアリル基が導入されたものである上記熱可塑性エラストマー組成物;
末端にアルケニル基を有するイソブチレン系重合体(A)とオレフィン系樹脂(B)の溶融混練時に、ヒドロシリル基含有ポリシロキサン(C)を添加して、(A)を動的に架橋したものである上記熱可塑性エラストマー組成物;
さらに可塑剤(D)を含有する上記熱可塑性エラストマー組成物;
可塑剤(D)がパラフィン系オイルである上記熱可塑性エラストマー組成物に関する。
【0012】
また、本発明は、末端にアルケニル基を有するイソブチレン系重合体(A)は、その数平均分子量が1,000〜500,000であり、1分子あたり少なくとも0.2個のアルケニル基を末端に有する重合体である上記熱可塑性エラストマー組成物;
末端にアルケニル基を有するイソブチレン系重合体(A)が、イソブチレンを50重量%以上含む重合体である上記熱可塑性エラストマー組成物;
オレフィン系樹脂(B)がポリプロピレンである上記熱可塑性エラストマー組成物に関する。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、末端にアルケニル基を有するイソブチレン系重合体(A)、オレフィン系樹脂(B)を含有する組成物であって、末端にアルケニル基を有するイソブチレン系重合体(A)が、ヒドロシリル基含有ポリシロキサン(C)により架橋されてなるものであり、かつ、ヒドロシリル基含有ポリシロキサン(C)が、ヒドロシリル基を3個以上有し、シロキサンユニットを3個以上500個以下有するヒドロシリル基含有ポリシロキサンである組成物である。
【0014】
本発明のイソブチレン系重合体(A)とは、イソブチレン系重合体(A)全量に対して、イソブチレンが50重量%以上、好ましくは70重量%以上、より好ましくは90重量%以上を占める重合体のことをいう。イソブチレン系重合体(A)中の、イソブチレン以外の単量体は、カチオン重合可能な単量体成分であれば特に限定されないが、芳香族ビニル類、脂肪族オレフィン類、ジエン類、ビニルエーテル類、β−ピネン等の単量体が例示できる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上組み合わせて用いてもよい。
【0015】
芳香族ビニル類としては、スチレン、o−、m−又はp−メチルスチレン、α−メチルスチレン、β−メチルスチレン、2,6−ジメチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、α−メチル−o−メチルスチレン、α−メチル−m−メチルスチレン、α−メチル−p−メチルスチレン、β−メチル−o−メチルスチレン、β−メチル−m−メチルスチレン、β−メチル−p−メチルスチレン、2,4,6−トリメチルスチレン、α−メチル−2,6−ジメチルスチレン、α−メチル−2,4−ジメチルスチレン、β−メチル−2,6−ジメチルスチレン、β−メチル−2,4−ジメチルスチレン、o−、m−又はp−クロロスチレン、2,6−ジクロロスチレン、2,4−ジクロロスチレン、α−クロロ−o−クロロスチレン、α−クロロ−m−クロロスチレン、α−クロロ−p−クロロスチレン、β−クロロ−o−クロロスチレン、β−クロロ−m−クロロスチレン、β−クロロ−p−クロロスチレン、2,4,6−トリクロロスチレン、α−クロロ−2,6−ジクロロスチレン、α−クロロ−2,4−ジクロロスチレン、β−クロロ−2,6−ジクロロスチレン、β−クロロ−2,4−ジクロロスチレン、o−、m−又はp−t−ブチルスチレン、o−、m−又はp−メトキシスチレン、o−、m−又はp−クロロメチルスチレン、o−、m−又はp−ブロモメチルスチレン、シリル基で置換されたスチレン誘導体、インデン、ビニルナフタレン等が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上組み合わせて用いてもよい。
【0016】
脂肪族オレフィン類としては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、2−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ブテン、ペンテン、ヘキセン、シクロヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、ビニルシクロヘキサン、オクテン、ノルボルネン等が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上組み合わせて用いてもよい。
【0017】
ジエン類としては、ブタジエン、イソプレン、ヘキサジエン、シクロペンタジエン、シクロヘキサジエン、ジシクロペンタジエン、ジビニルベンゼン、エチリデンノルボルネン等が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上組み合わせて用いてもよい。
【0018】
ビニルエーテル類としては、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、(n−、イソ)プロピルビニルエーテル、(n−、sec−、tert−、イソ)ブチルビニルエーテル、メチルプロペニルエーテル、エチルプロペニルエーテル等が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上組み合わせて用いてもよい。
【0019】
イソブチレン系重合体(A)の数平均分子量に特に制限はないが、1,000から500,000が好ましく、5,000から200,000が特に好ましい。数平均分子量が1,000未満の場合、機械的な特性等が十分には発現されにくくなる傾向があり、また、500,000を超える場合、成形性等が低下する傾向がある。
【0020】
イソブチレン系重合体(A)は、イソブチレン単独、又は、イソブチレンと他の単量体とのカチオン重合により製造することができる。
【0021】
本発明におけるアルケニル基とは、本発明の目的を達成するための(A)成分の架橋反応に対して活性のある炭素−炭素二重結合を含む基であれば、特に制限されるものではない。具体例としては、ビニル基、アリル基、メチルビニル基、プロペニル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基等の脂肪族不飽和炭化水素基、シクロプロペニル基、シクロブテニル基、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基等の環式不飽和炭化水素基を挙げることができる。
【0022】
本発明のイソブチレン系重合体(A)の末端へのアルケニル基の導入方法としては、特開平3−152164号公報や特開平7−304909号公報に開示されているような、水酸基等の官能基を有する重合体に不飽和基を有する化合物を反応させて重合体に不飽和基を導入する方法が挙げられる。またハロゲン原子を有する重合体に不飽和基を導入するためには、アルケニルフェニルエーテルとのフリーデルクラフツ反応を行う方法、ルイス酸存在下にアリルトリメチルシラン等との置換反応を行う方法、種々のフェノール類とのフリーデルクラフツ反応を行い水酸基を導入した上でさらに前記のアルケニル基導入反応を行う方法等が挙げられる。さらに米国特許第4316973号、特開昭63−105005号公報、特開平4−288309号公報に開示されているように、単量体の重合時に不飽和基を導入することも可能である。
この中でも、アリルトリメチルシランとイソブチレン系重合体末端の塩素との置換反応により、末端にアリル基を導入したものが、確実性の点から好ましい。
【0023】
本発明のイソブチレン系重合体(A)の末端のアルケニル基の量は、必要とする特性によって任意に選ぶことができるが、架橋後の特性の観点から、1分子あたり少なくとも0.2個のアルケニル基を末端に有する重合体であることが好ましく、少なくとも0.5個のアルケニル基を末端に有する重合体であることがより好ましい。0.2個未満であると、架橋による改善効果が十分に得られない場合がある。
【0024】
オレフィン系樹脂(B)としては、特に限定されないが、エチレン及び炭素数3〜20のα−オレフィンの合計含有量が50〜100モル%であるオレフィンの単独重合体又は共重合体等が挙げられ、例えば、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレンプロピレン共重合体等が挙げられる。物性的に、好ましくはポリプロピレンが例示される。
【0025】
オレフィン系樹脂(B)の配合量は、末端にアルケニル基を有するイソブチレン系重合体(A)100重量部に対し、10〜200重量部であることが好ましく、20〜100重量部であるのがより好ましい。オレフィン系樹脂(B)の配合量が200重量部を超えると、圧縮永久歪み特性の改善が乏しくなる傾向にある。また10重量部未満であると成形性に問題が生じ易い傾向にある。
【0026】
末端にアルケニル基を有するイソブチレン系重合体(A)の架橋は、いずれの段階で実施しても良いが、分散性等の観点から、他の樹脂との溶融混練時に動的に架橋することが好ましい。例えば、オレフィン系樹脂(B)との溶融混練時に架橋する、いわゆる動的架橋が好ましい。
【0027】
末端にアルケニル基を有するイソブチレン系重合体(A)を架橋する手段は、副生成物の発生がなく、また不要な副反応を起こさない等の利点から、ヒドロシリル基含有ポリシロキサン(C)を架橋剤として用いた架橋を使用することができる。
【0028】
本発明においては、末端にアルケニル基を有するイソブチレン系重合体(A)の架橋物を得るために用いられるヒドロシリル基含有ポリシロキサン(C)としては、具体的には、ヒドロシリル基を3個以上有し、シロキサンユニットを3個以上500個以下有するヒドロシリル基含有ポリシロキサンを用いる。
ヒドロシリル基が3個未満では、架橋によるネットワークの十分な成長が達成されず、最適なゴム弾性が得られない。また、シロキサンユニットが500個を超えると、ポリシロキサンの粘度が高く、末端にアルケニル基を有するイソブチレン系重合体(A)へうまく分散が行われず、架橋反応にムラが発生し、好ましくない。
【0029】
好ましくは、ヒドロシリル基を3個以上有し、シロキサンユニットを10個以上200個以下有するヒドロシリル基含有ポリシロキサンを用いることができる。より好ましくは、ヒドロシリル基を3個以上有し、シロキサンユニットを20個以上100個以下有するヒドロシリル基含有ポリシロキサンを用いることができる。ポリシロキサンユニットが100個以下であると、ヒドロシリル化に必要なヒドロシリル基含有ポリシロキサン(C)を減少させることができるためより好ましい。
【0030】
本発明におけるシロキサンユニットとしては、以下の一般式(I)〜(III)が挙げられる。このうち、一般式(II)は、ヒドロシリル基を有するものである。
[Si(RO] (I)
[Si(H)(R)O] (II)
[Si(R)(R)O] (III)
【0031】
すなわち、ヒドロシリル基を3個以上有し、シロキサンユニットを3個以上500個以下有するヒドロシリル基含有ポリシロキサン(C)としては、下記一般式(IV)または(V)で表される鎖状ポリシロキサン;
SiO−[Si(RO]−[Si(H)(R)O]−[Si(R)(R)O]−SiR (IV)
HR SiO−[Si(RO]−[Si(H)(R)O]−[Si(R)(R)O]−SiR H (V)
(式中、RおよびRはそれぞれ独立して、炭素数1〜6のアルキル基またはフェニル基を、Rは炭素数1〜10のアルキル基または炭素数7〜10のアラルキル基を示す。a,b,cは、a≧0、b≧3、c≧0、3≦a+b+c≦500を満たす整数を表す。)、
一般式(VI)で表される環状シロキサン;
【0032】
【化1】
Figure 2004204181
【0033】
(式中、RおよびRはそれぞれ独立して、炭素数1〜6のアルキル基またはフェニル基、Rは炭素数1〜10のアルキル基または炭素数7〜10のアラルキル基を示す。d,e,fは、d≧0、e≧3、f≧0、3≦d+e+f≦500を満たす整数を表す。)等の化合物を用いることができる。
【0034】
、R6の炭素数1〜10のアルキル基としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル等が挙げられる。R、R、R4、R5の炭素数1〜6のアルキル基としては、上記のうちメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル等が挙げられる。また、R、R6の炭素数7〜10のアラルキル基としては、例えば、ベンジル、フェニルエチル、フェニルプロピル、1−フェニル−1−メチルエチル、4−メチルフェニルエチル等が挙げられる。
【0035】
末端にアルケニル基を有するイソブチレン系重合体(A)と、ヒドロシリル基を3個以上有し、シロキサンユニットを3個以上500個以下有するヒドロシリル基含有ポリシロキサン(C)は、任意の割合で混合することができるが、硬化性の面から、アルケニル基とヒドロシリル基のモル比(アルケニル基/ヒドロシリル基)が0.1〜5の範囲にあることが好ましく、0.2〜2.5であることがより好ましい。モル比が5を超えると、架橋が不十分となり、組成物の強度が低下し易い傾向があり、また、0.1未満であると、硬化後も硬化物中に活性なヒドロシリル基が多く残り、クラック、ボイドが発生し易く、均一で強度のある硬化物が得られにくくなる傾向がある。
【0036】
重合体(A)とヒドロシリル基含有ポリシロキサン(C)との架橋反応は、2成分を混合して加熱することにより進行するが、反応をより迅速に進めるために、さらに架橋触媒としてのヒドロシリル化触媒を添加することができる。このようなヒドロシリル化触媒としては、特に限定されず、例えば、有機過酸化物やアゾ化合物等のラジカル開始剤、遷移金属触媒等が挙げられる。
【0037】
有機過酸化物としては特に限定されず、例えば、ジ−t−ブチルペルオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)−3−ヘキシン、ジクミルペルオキシド、t−ブチルクミルペルオキシド、α,α’−ビス(t−ブチルペルオキシ)イソプロピルベンゼンのようなジアルキルペルオキシド、ベンゾイルペルオキシド、p−クロロベンゾイルペルオキシド、m−クロロベンゾイルペルオキシド、2,4−ジクロロベンゾイルペルオキシド、ラウロイルペルオキシドのようなアシルペルオキシド、過安息香酸−t−ブチルのような過酸エステル、過ジ炭酸ジイソプロピル、過ジ炭酸ジ−2−エチルヘキシルのようなペルオキシジカーボネート、1,1−ジ(t−ブチルペルオキシ)シクロヘキサン、1,1−ジ(t−ブチルペルオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサンのようなペルオキシケタール等を挙げることができる。
【0038】
アゾ化合物としては特に限定されず、例えば、2,2′−アゾビスイソブチロニトリル、2,2′−アゾビス−2−メチルブチロニトリル、1,1′−アゾビス−1−シクロヘキサンカルボニトリル、2,2′−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2′−アゾイソブチロバレロニトリル等が挙げられる。
【0039】
また、遷移金属触媒としても特に限定されず、例えば、白金単体、アルミナ、シリカ、カーボンブラック等の担体に白金固体を分散させたもの、塩化白金酸、塩化白金酸とアルコール、アルデヒド、ケトン等との錯体、白金−オレフィン錯体、白金(0)−ジアリルテトラメチルジシロキサン錯体等の白金アリルシロキサン等が挙げられる。白金化合物以外の触媒の例としては、RhCl(PPh,RhCl,RuCl,IrCl,FeCl,AlCl,PdCl・HO,NiCl,TiCl等が挙げられる。これらの触媒は単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもかまわない。
これらのうち、相溶性、架橋効率、スコーチ安定性の点で、白金アリルシロキサンが最も好ましい。
【0040】
上記ヒドロシリル化触媒の使用量としては、特に制限はないが、(A)成分のアルケニル基1molに対し、10−1〜10−8molの範囲で用いるのが良く、好ましくは10−3〜10−6molの範囲で用いるのがよい。10-8molより少ないと、硬化が十分に進行しにくくなる傾向がある。また、ヒドロシリル化触媒は高価であるので、10-1molを超えて用いないのが好ましい。
【0041】
本発明の組成物には、末端にアルケニル基を有するイソブチレン系重合体(A)とオレフィン系樹脂(B)に加えて、成形性や柔軟性をさらに向上させるため、さらに可塑剤(D)を添加するのが好ましい。
可塑剤としては、ゴムの加工の際に用いられる鉱物油、液状もしくは低分子量の合成軟化剤を用いることができる。
【0042】
鉱物油としては、パラフィン系オイル、ナフテン系オイル、及び芳香族系の高沸点石油成分が挙げられる。このなかでも架橋反応を阻害しないパラフィン系オイルが好ましい。
液状もしくは低分子量の合成軟化剤としては、特に制限はないが、ポリブテン、水添ポリブテン、液状ポリブタジエン、水添液状ポリブタジエン、ポリαオレフィン類等が挙げられる。
これらの可塑剤は1種以上を用いることができる。
【0043】
可塑剤(D)の配合量は、末端にアルケニル基を有するイソブチレン系重合体(A)100重量部に対し、好ましくは0〜300重量部、より好ましくは10〜300重量部である。配合量が300重量部を越えると、機械的強度や成形性が低下する傾向がある。
【0044】
本発明の組成物には、さらには、各用途に合わせた要求特性に応じて、物性を損なわない範囲で、例えばエチレン−プロピレン共重合ゴム(EPM)、エチレン−プロピレン−ジエン三元共重合ゴム(EPDM)、エチレン−ブテン共重合ゴム(EBM)、アモルファスポリαオレフィン(APAO)、エチレン−オクテン共重合体等の柔軟なオレフィン系ポリマー、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(SBS)やスチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体(SIS)、またそれらを水素添加したスチレン−エチレンブチレン−スチレンブロック共重合体(SEBS)やスチレン−エチレンプロピレン−スチレンブロック共重合体(SEPS)、スチレン−イソブチレン−スチレンブロック共重合体(SIBS)等の熱可塑性エラストマー、そのほかにも、ヒンダードフェノール系やヒンダードアミン系の酸化防止剤や紫外線吸収剤、光安定剤、顔料、界面活性剤、難燃剤、充填剤、補強剤等を適宜配合することができる。
【0045】
また、公知のカップリング剤、有機フィラー、無機フィラー、ブロッキング防止剤、帯電防止剤、難燃剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、可塑剤、着色剤、無機ないし有機抗菌剤、滑剤、シリコンオイル等を適宜配合できる。
無機フィラーとしては、軽質炭酸カルシウム、重質ないし炭酸カルシウム、その他のカルシウム系充填材、ハードクレー、ソフトクレー、カオリンクレー、タルク、湿式シリカ、乾式シリカ、無定形シリカ、ウォラスナイト、合成ないし天然ゼオライト、ケイソウ土、ケイ砂、軽石粉、スレート粉、アルミナ、硫酸アルミニウム、硫酸バリウム、リトポン、硫酸カルシウム、二硫化モリブデン、水酸化マグネシウムやこれら充填材をシラン処理したもの等、本発明の熱可塑性エラストマー組成物に配合可能なものであれば何でも良く、2種類以上を組み合わせて使用することも可能である。
例えば、透明性の要求されない用途においては、無機フィラーを含有させることによりブロッキング性が改良され、またコスト面で有利となる場合があり、また隠蔽性を付与することも可能である。また、無機フィラーとして水酸化マグネシウム等の金属水酸化物を使用した場合には、難燃剤を併用することで優れた難燃性を付与できる場合がある。
【0046】
前記ブロッキング防止剤としては、例えばシリカ、ゼオライト等が好適であり、これらは天然、合成の何れでもよく、また架橋アクリル真球粒子等の真球架橋粒子も好適である。
前記帯電防止剤としては、炭素数12〜18のアルキル基を有するN,N−ビス−(2−ヒドロキシエチル)−アルキルアミン類やグリセリン脂肪酸エステル等が好ましい。
前記滑剤としては、脂肪酸アミドが好ましく、具体的にはエルカ酸アミド、ベヘニン酸アミド、ステアリン酸アミド、オレイン酸アミド等が挙げられる。
【0047】
本発明の熱可塑性エラストマー組成物の最も好ましい組成物としては、末端にアルケニル基を有するイソブチレン系重合体(A)100重量部に対し、オレフィン系樹脂(B)20〜100重量部、可塑剤(D)としてのパラフィン系オイル10〜300重量部を含有し、末端にアルケニル基を有するイソブチレン系重合体(A)を、ヒドロシリル基を3個以上有し、シロキサンユニットを3個以上500個以下有するヒドロシリル基含有ポリシロキサンで動的に架橋したものである。
また、末端にアルケニル基を有するイソブチレン系重合体(A)100重量部に対し、ヒドロシリル基含有ポリシロキサン(C)を0.01〜30重量部含有することが好ましい。
【0048】
末端にアルケニル基を有するイソブチレン系重合体(A)とオレフィン系樹脂(B)の溶融混合時に、末端にアルケニル基を有するイソブチレン系重合体(A)を、ヒドロシリル基含有ポリシロキサン(C)で動的に架橋し、本発明の熱可塑性エラストマー組成物を製造する場合は、以下に例示する方法によって好ましく行うことができる。
【0049】
例えば、ラボプラストミル、ブラベンダー、バンバリーミキサー、ニーダー、ロール等のような密閉式混練装置またはバッチ式混練装置を用いて製造する場合は、ヒドロシリル基含有ポリシロキサン(C)以外の全ての成分を予め混合し、均一になるまで溶融混練し、次いでそれにヒドロシリル基含有ポリシロキサン(C)を添加して架橋反応が十分に進行したのち、溶融混練を停止する方法を採用することができる。
【0050】
また、単軸押出機、二軸押出機等のように連続式の溶融混練装置を用いて製造する場合は、(1)ヒドロシリル基含有ポリシロキサン(C)以外の全ての成分を、予め押出機等の溶融混練装置によって均一になるまで溶融混練した後、ペレット化し、そのペレットにヒドロシリル基含有ポリシロキサン(C)をドライブレンドした後、さらに押出機等の溶融混練装置で溶融混練して、末端にアルケニル基を有するイソブチレン系ブロック共重合体(A)を動的に架橋することによって、あるいは、(2)ヒドロシリル基含有ポリシロキサン(C)以外のすべての成分を押出機等の溶融混練装置によって溶融混練し、そこに押出機のシリンダーの途中からヒドロシリル基含有ポリシロキサン(C)を添加してさらに溶融混練し、末端にアルケニル基を有するイソブチレン系ブロック共重合体(A)を動的に架橋することによって、本発明の末端にアルケニル基を有するイソブチレン系ブロック共重合体(A)の架橋物と、オレフィン系樹脂(B)からなる熱可塑性エラストマー組成物を製造する方法等を採用することができる。
【0051】
溶融混練と同時に動的架橋を行う上記の方法を行うに当たっては、温度は140〜210℃が好ましい。
【0052】
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、熱可塑性樹脂組成物に対して一般に採用される成型方法及び成形装置を用いて成形でき、例えば、押出成形、射出成形、プレス成形、ブロー成形等によって溶融成形できる。
また、本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、成形性、圧縮永久歪み特性に優れているため、パッキング材、シール材、ガスケット、栓体等の密封用材、CDダンパー、建築用ダンパー、自動車、車両、家電製品向け制振材等の制振材、防振材、自動車内装材、クッション材、日用品、電気部品、電子部品、スポーツ部材、グリップまたは緩衝材、電線被覆材、包装材、各種容器、文具部品等として有効に使用することができる。
【0053】
【実施例】
以下に、実施例に基づき本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらにより何ら制限を受けるものではない。
【0054】
尚、実施例に先立ち各種測定法、評価法について説明する。
(硬度)
JIS K 6352に準拠し、試験片は12.0mm厚プレスシートを用いた。
(圧縮永久歪み)
JIS K 6262に準拠し、試験片は12.0mm厚プレスシートを使用した。100℃×22時間、25%変形の条件にて測定した。
【0055】
(色)
目視にて確認した。
(動的粘弾性)
JIS K−6394(加硫ゴムおよび熱可塑性ゴムの動的性質試験方法)に準拠し、縦6mm×横5mm×厚さ2mmの試験片を切り出し、動的粘弾性測定装置DVA−200(アイティー計測制御社製)を用い、損失正接tanδを測定した。測定周波数は0.05Hzとした。
【0056】
また、以下の実施例及び比較例で用いた材料の略号とその具体的な内容は、次のとおりである。
成分(A):
ARPIB:末端にアリル基が導入されたポリイソブチレン(製造例1)
成分(B):
PP:ポリプロピレン、グランドポリマー社製(商品名「グランドポリプロJ215W」)
成分(C):ヒドロシリル基含有ポリシロキサン
架橋剤1:下記の化学式で表されるポリシロキサン
(CHSiO−[Si(H)(CH)O]−[Si(CH)(CHCHCH)O]−Si(CH
架橋剤2:下記の化学式で表されるポリシロキサン
(CHSiO−[Si(H)(CH)O]48−Si(CH
架橋剤3:下記の化学式で表されるポリシロキサン
(CHSiO−[Si(H)(CH)O]400−Si(CH
架橋剤4:下記の化学式で表されるポリシロキサン
(CHSiO−[Si(H)(CH)O]−Si(CH
架橋剤5:下記の化学式で表されるポリシロキサン
(CHSiO−[Si(H)(CH)O]800−Si(CH
成分(D):
可塑剤:パラフィン系プロセスオイル、出光興産社製(商品名「PW380」)
架橋触媒:
0価白金の1,1,3,3−テトラメチル−1,3−ジアルケニルジシロキサン錯体、3重量%キシレン溶液
【0057】
(製造例1)[末端にアルケニル基を有するイソブチレン系共重合体(ARPIB)の製造]
2Lセパラブルフラスコに、三方コック、熱電対、攪拌シールをつけ、窒素置換を行った。窒素置換後、三方コックを用いて窒素をフローした。これにシリンジを用いてトルエン785ml、エチルシクロヘキサン265mlを加えた。溶剤添加後、カールフィッシャー水分計にて水分量を測定した。測定後、−70℃程度まで冷却した。イソブチレンモノマー277ml(2933mmol)を加えた。再度−70℃程度まで冷却後、p−ジクミルクロライド0.85g(3.7mmol)およびピコリン0.68g(7.4mmol)をトルエン10mlに溶解して加えた。反応系の内温が−74℃となり安定した時点で、四塩化チタン19.3ml(175.6mmol)を加えて重合を開始した。重合反応が終了した時点(90分)で、75%アリルトリメチルシラン/トルエン溶液1.68g(11.0mmol)を添加し、さらに2時間反応させた。その後、50℃程度に加熱した純水で失活させ、さらに有機層を純水(70℃〜80℃)で3回洗浄し、有機溶剤を減圧下80℃にて除去し、ARPIBを得た。Mnが45500、Mw/Mnは1.10、1分子あたり2.0個の末端アリル基を含有した重合体が得られた。
【0058】
(実施例1)
成分(A)ARPIB、成分(B)PP、成分(D)を表1に示した割合で合計40gになるように配合し、170℃に設定したラボプラストミル(東洋精機社製)を用いて3分間溶融混練し、次いで架橋剤1を表1に示した割合で添加し、架橋触媒を12μl添加後、トルクの値が最高値を示すまで170℃でさらに溶融混練し動的架橋を行った。トルクの最高値を示してから5分間混練後、取り出した。得られた熱可塑性エラストマー組成物は、190℃で、加圧プレス(神藤金属工業社製)にて容易にシート状に成形することができた。
【0059】
(実施例2)
成分(C)架橋剤1を架橋剤2に変更し、配合量を1.2部に変更した以外は実施例1と同様にして、組成物をシート状に成形した。
【0060】
(実施例3)
成分(C)架橋剤1を架橋剤3に変更し、配合量を1部に変更した以外は実施例1と同様にして、組成物をシート状に成形した。
【0061】
(実施例4)
成分(B)PPの配合量を35部に変更した以外は実施例2と同様にして、組成物をシート状に成形した。
【0062】
(実施例5)
成分(B)PPの配合量を50部、成分(D)の配合量を0部に変更した以外は実施例2と同様にして、組成物をシート状に成形した。
【0063】
(比較例1)
成分(A)ARPIB、成分(B)PP、成分(D)を表1に示した割合で合計40gになるように配合し、170℃に設定したラボプラストミル(東洋精機社製)を用いて3分間溶融混練し、次いで架橋剤4を表1に示した割合で添加し、架橋触媒を12μl添加後、トルクの値が最高値を示すまで170℃でさらに溶融混練し動的架橋を行った。トルクの最高値を示してから5分間混練後取り出した。得られた熱可塑性エラストマー組成物は190℃で加圧プレス(神藤金属工業社製)にてシート状に成形することができた。
【0064】
(比較例2)
成分(C)架橋剤1を架橋剤5に変更し、配合量を1部に変更した以外は実施例1と同様にして、組成物をシート状に成形した。
【0065】
(比較例3)
成分(C)の配合量を0部に変更し、架橋触媒を加えなかった以外は、比較例2と同様にして、組成物をシート状に成形した。
【0066】
(比較例4)
オレフィン系熱可塑性エラストマーであるエーイーエスジャパン社のサントプレーン211−45を用いて、シート状の成形体を作成した。
【0067】
上記各実施例及び比較例で得られたシートの各物性を、上記方法に従って測定した。その結果を表1、表2に示す。
【0068】
【表1】
Figure 2004204181
【0069】
【表2】
Figure 2004204181
【0070】
本発明の熱可塑性エラストマー組成物、すなわち実施例1〜5は圧縮永久歪みが40%以下と良好な値を示した。ヒドロシリル基を2個しか含有しないポリシロキサン架橋剤4を使用した比較例1、シロキサンユニットを800個有するポリシロキサン架橋剤5を使用した比較例2は、圧縮永久歪みが48%以上と実施例1〜5に比べて劣っている。これは、架橋反応が適切に起こっていないためと考えられる。比較例4は良好な圧縮永久歪みを示すが、色が黄色不透明であり、着色の自由度に劣り、また動的粘弾性特性は実施例1の方が高い値を示し、制振性は実施例1が広い温度範囲で優れている。
【0071】
【発明の効果】
このように、本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、柔軟性に富み、成形加工性、ゴム的特性、制振性に優れ、特に圧縮永久歪み特性に優れた新規な熱可塑性エラストマー組成物である。

Claims (10)

  1. 末端にアルケニル基を有するイソブチレン系重合体(A)、オレフィン系樹脂(B)を含有する組成物であって、末端にアルケニル基を有するイソブチレン系重合体(A)が、ヒドロシリル基含有ポリシロキサン(C)により架橋されてなるものであり、かつ、ヒドロシリル基含有ポリシロキサン(C)が、ヒドロシリル基を3個以上有し、シロキサンユニットを3個以上500個以下有するヒドロシリル基含有ポリシロキサンである熱可塑性エラストマー組成物。
  2. ヒドロシリル基含有ポリシロキサン(C)が、ヒドロシリル基を3個以上有し、シロキサンユニットを10個以上200個以下有するヒドロシリル基含有ポリシロキサンである請求項1記載の熱可塑性エラストマー組成物。
  3. 末端にアルケニル基を有するイソブチレン系重合体(A)100重量部に対し、10〜200重量部のオレフィン系樹脂(B)を含有することを特徴とする請求項1又は2記載の熱可塑性エラストマー組成物。
  4. 末端にアルケニル基を有するイソブチレン系重合体(A)が、アリルトリメチルシランとイソブチレン系重合体末端の塩素との置換反応により、末端にアリル基が導入されたものである請求項1〜3のいずれかに記載の熱可塑性エラストマー組成物。
  5. 末端にアルケニル基を有するイソブチレン系重合体(A)とオレフィン系樹脂(B)の溶融混練時に、ヒドロシリル基含有ポリシロキサン(C)を添加して、(A)を動的に架橋したものである請求項1〜4のいずれかに記載の熱可塑性エラストマー組成物。
  6. さらに可塑剤(D)を含有する請求項1〜5のいずれかに記載の熱可塑性エラストマー組成物。
  7. 可塑剤(D)がパラフィン系オイルである請求項1〜6のいずれかに記載の熱可塑性エラストマー組成物。
  8. 末端にアルケニル基を有するイソブチレン系重合体(A)は、その数平均分子量が1,000〜500,000であり、1分子あたり少なくとも0.2個のアルケニル基を末端に有する重合体である請求項1〜7のいずれかに記載の熱可塑性エラストマー組成物。
  9. 末端にアルケニル基を有するイソブチレン系重合体(A)が、イソブチレンを50重量%以上含む重合体である請求項1〜8のいずれかに記載の熱可塑性エラストマー組成物。
  10. オレフィン系樹脂(B)がポリプロピレンである請求項1〜9のいずれかに記載の熱可塑性エラストマー組成物。
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