JP5897807B2 - 角度測定装置用構造ユニット - Google Patents

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Description

本発明は、特許請求項1に記載の角度測定装置用構造ユニットに関するものである。
しばしばロータリーエンコーダとも呼ばれる角度測定装置は、回転自在で支承された機械部品、殊にシャフトの回転動作を一つまたは複数の回転に亘って測定するために使用される。そのとき回転動作は、インクリメンタルまたはアブソリュートで検出される。ラックとピニオン或いはネジスピンドルと接続すると、角度測定装置を使って直線動作も測定することができる。このような角度測定装置は、しばしば切替信号を発生するために電動モータと接続して使用される。
この種の角度測定装置は一般的に、基準尺の付いたシャフトおよび軸受を含む構造ユニットを有している。角度測定装置は測定精度に関して比較的高度の仕様を満たさねばならず、多くの場合、光学的な測定原理により作動し、そこでは基準尺がしばしば、例えば上面に角度スケールを設けたガラスリングとして構成されている。このケースでは角度スケールが、上部照明または透過照明方法により検知される。高い測定精度を保証するためには、基準尺を汚れから保護することが重要である。不具合となる場合があるのは特に、潤滑剤またはその成分が転がり軸受から流出して、基準尺上に、殊に角度スケールの部分にかかる時である。当該種類の汚れは多くの場合、小さい滴となっており、レンズに似た光学的作用を展開する。そのような状況では対応して光線が屈曲され、それが測定エラーに至ることがある。
特開2001−289668号公報では、特別の取付体を組み込んだシャフトを有する角度測定装置用構造ユニットが開示されている。取付体には基準尺が固定されている。潤滑剤を排出するために、取付体とシャフトの間に導路が設けられている。
この形式の構造ユニットが有する欠点は、比較的大きな測定誤差が一般的につきものであるということである。というのは、一つには基準尺が回転軸に対して充分に正確に芯出しされておらず、加えてふらつき誤差が発生するという危険性があるからである。従来技術による配設では更に、再び潤滑剤が導路から流出する、あるいは液体が中空シャフト内側から導路を経て基準尺に到達することがある。
本発明の根拠となる課題は、高い測定精度を確実且つ永続的に達成できる角度測定装置用構造ユニットを得ることである。
この課題は本発明により、特許請求項1の特徴を有する角度測定装置用構造ユニット(アセンブリ)を得ることで解決する。
それによれば構造ユニットには、軸を中心とした回転動作を測定する基準尺が付いたシャフト、および転がり軸受が含まれる。そこでシャフトは一体の構成部分として、軸線方向で当接した状態で転がり軸受を組み付けている段差部を有している。つまり、段差部とシャフトが一個体で形成されている。段差部と転がり軸受の間には、ラジアル方向要素により方向が決まる少なくとも一つの溝が配設されており、それが潤滑剤を受け入れるために適している中空空間と接続されている。そこで中空空間は、ラジアル方向で転がり軸受のリングおよびシャフトが境界になっている、即ち、中空空間のラジアル方向範囲は、リングとシャフトの表面が境界になっている。ラジアル方向要素により方向が決まる少なくとも一つの溝には、例えばラジアル方向が厳密に決まるもの、または螺旋に相当して延びるものを含んでいる。
回転動作の測定には例えば、現れている回転位置または回転速度を特定することを含んでいる。特に内輪を、転がり軸受のリングと言う場合がある。以下においては更に、角度測定装置運転時に利用する潤滑剤、特に軸受の潤滑剤またはその成分にのみ、例えばオイルを潤滑剤と言う場合がある。
当該構造ユニットは、リングが段差部の当接面に接触し、そこで少なくとも一つの溝が当接面と境を接するように構成されていると利点がある。当接面は、間に溝を配設した複数のリング状線分で構成されていることがある。単数または複数の当接面が平坦に形成されていると好ましく、更に軸と直角に交叉する一つの平面に配設されていることがある。
代替として少なくとも一つの溝が、別個の中間部材、例えば段差部と転がり軸受のリング間に配設されている中間リングに加工されていることがある。その場合に転がり軸受と基準尺が中間部材なしで直接、一体のシャフトに固定されていると、達成可能な測定精度に関して利点がある。
当接面がリングと接触する部分に、特に潤滑剤に対して密封作用があるように、当接面とリングが加工されていると利点がある。そのようにすることにより、余分な接合隙間またはシールを廃止できる可能性があり、それにより構造ユニットの構成が精密となり、結果として当該角度測定装置の測定誤差が最小になる。
中空空間が、シャフト内の切り取り部として製造されていると好ましい。それにより転がり軸受のリングは、切り取り部に隣り合うシャフト嵌合面としっくりと接合できる平坦な表面を有するものにできる。この対応によっても、構造的に偏心誤差およびふらつき誤差が最小になるので、高い測定精度が得られる。
中空空間がシャフトの全周に沿って、または周囲の一部に沿って延伸していると利点がある。更に、中空空間に螺旋形状空間を含んでいることがあり、それが360°以上の円周角度に亘って延伸していることもある。
本発明の別の構成では、転がり軸受にシールを含んでいることがあり、その場合には、同時に中空空間用の境界となる壁面を有する転がり軸受のリングが、シールに対して相対的に回転自在である。
軸線方向に関して段差部を基準尺と軸受の間に配設するように、構造ユニットが構成されていると利点がある。一体のシャフトは対応して、転がり軸受の内輪と接触している部分で、当接面部分と較べて小さい直径を有している。更に、基準尺が固定されている部分におけるシャフトの直径が、当接面部分の直径より大きい。
本発明の別の構成によれば、構造ユニットが特に円周方向で溝に潤滑剤を送出する隙間を有していることがある。その場合に隙間は、直角または鋭角で、即ち90°より小さい又は同じ角度を示す壁面が境界となっている。加えて構造ユニットは、溝から潤滑剤を排出する別の隙間を有していることがあり、この別の隙間は、互いで直角または鋭角を示す壁面が境界となっている。溝からの潤滑剤排出は、特に円周方向で行うことができ、更に潤滑剤が続く時には、アキシャル方向で内方に向く潤滑剤の動きが現れる。潤滑剤を送出することを最適化するために、特に第一隙間の角度を別の隙間の角度と較べて大きいか同じくしている、特に別の隙間の角度より大きくしていることがある。
その他に、少なくとも一つの溝が段差部の当接面で境を接しており、そして溝の内面が当接面とで90°に等しいか小さい角度を形成していると好ましい。
溝がラジアル方向で外方にリング内周の上方で延伸するように、構造ユニットが構成されていることがある。例えば、このような配設では溝に潤滑剤を送出するための隙間は、鋭角を示さない壁面が境界となっていることがある。
本発明による別の利点ある形態は、従属請求項から分かる。
本発明の別の特徴および利点は、図を使って実施例を以下で説明する時に明らかになるであろう。
角度測定装置の長手断面図。 シャフトおよび軸受を備えた構造ユニットの長手断面詳細外観図。 潤滑剤を送出する溝の断面図。 潤滑剤を送出する溝の側面外観図。 構造ユニットの側面外観図。 構造ユニットのシャフトの上部外観図。
図1において中央部長手断面図で図示している角度測定装置には、ステータおよびロータを含んでいる。ロータは、段差部1.1が付いた一体のシャフト1を有しており、その段差部は、一個の半製品から旋削加工により削り出されたものである。その段差部1.1は、軸Zに対して直角に向いた接合面1.12(図2も参照)を有している。これに基準尺2が接着により固定されており、そして極く僅かな許容差で軸Zに関して同心で接続されている。上に角度スケール2.1が装着されている基準尺2は、ガラス製であると共にリング状に形成されており、そのとき基準尺2は、その寸法精度と平坦度に関して高精密で製作されている。図2では角度スケール2.1を明示しており、それが例えばラジアル方向に向いた目盛線を有するインクリメンタル目盛として、あるいはアブソリュートのコードとして構成されていることがある。シャフト1は、ステータに関連配置されている本体5の内部で、軸受、ここでは二つの転がり軸受3により回転自在で支承されている。図示している例では基準尺2ないしその角度スケール2.1が、本体5に固定されている検知装置5.1により光電的に検知される。対応する光感性ディテクタは、プリント基板として形成されている検知装置5.1上にある。更に基板上にないし検知装置5.1には特に、ディテクタから送られた検知信号を信号形成−例えば増幅およびデジタル化−するための構成要素が配置されている。図では示されていない接続ケーブルを介して、角度測定装置と後続の電子機器間の接続が行われるので、電気信号および電気エネルギを後続の電子機器と角度測定装置間で伝達することができる。
角度測定装置は、機械6に取り付けるようになっている。角度測定装置を収容するために、中にロータ側のモータシャフト6.2が真ん中で突出している段付き円筒状切り取り部6.11が、ステータ側の機械部分6.1に設けられている。その他にシャフト1は、測定する構成要素、例えばモータシャフト6.2に回転固定して接続するように構成されている。角度測定装置のシャフト1とモータシャフト6.2間の接続は、例えば固定ネジの形態をしてシャフト1をとおって突出する接続手段を使って実現され、その目的のためにシャフト1の端部が円錐状に形成されている。結果としてモータシャフト6.2が、目的に合致して角度測定装置のシャフト1と固定接続される。
つまり角度測定装置により、ステータとロータ間の相対的な角度位置を特定することができる。この種の角度測定装置は、しばしばロータリーエンコーダとも呼ばれる。
図2では、シャフト1、基準尺2、転がり軸受3の一つを含む角度測定装置の構造ユニットが詳細に図示されている。転がり軸受3は、内輪3.1、外輪3.2、および転動体3.3を有している。問題なく運転するためには、転がり軸受3が潤滑されていることが必要であり、そのために内輪3.1と外輪3.2の間に潤滑剤ないし潤滑グリースが入れられている。リング形状のシール3.4は基本的に、潤滑剤ないし潤滑グリースが転がり軸受3の中に留まり、光学的に検知可能な基準尺2の方向に流れないようにする役割をしている。シール3.4が外輪3.2と固定接続しているので、角度測定装置の運転時にシール3.4と外輪3.2の間で相対動作は発生しない。それに対してシール3.4のシールリップは、転がり軸受3の回転運動が起きる時に内輪3.1に当たって擦る。
図2,3a,3b,5によれば、シャフト1、特に段差部1.1は、内輪3.1と接触状態にある当接面1.11を有している。図5によれば当接面1.11が、円周に沿って120°ずれて配設されている三つの溝4.2により中断されているので、それぞれの溝4.2は、つまり当接面1.11と境を接している。当接面1.11は、軸Zに対して直角に向いている。提示している実施例では結果として、当接面1.11および段差部1.1の接合面1.12が互いに平行に向いている。この平行度は、当接面1.11も接合面1.12も一体シャフトを製造する削り加工中に一つの加工ステップでつくるので、充分な精度で製造することができる。この構造により最終的に、角度測定装置の測定精度が向上することになるが、基準尺2のふらつき不良動作が最小に削減されるからである。
例えば角度測定装置運転中の発熱により、潤滑剤または潤滑剤ないし潤滑グリースの成分が転がり軸受3から、特にシールリップの部分で流出することの起きることがある。測定誤差を防ぐためには、流出する潤滑剤が基準尺2に到達して、角度スケール2.1の光学特性を損なうことがないようにせねばならない。この目的のために一体のシャフト1には、毛細管導路を形成する切り取り部が加工されている。それに対して提示の実施例では転がり軸受3の内輪3.1が、潤滑剤を受けるための導路を有するようには加工されていない。
流出した潤滑剤は、内輪3.1と段差部1.1の壁面が境界となっていると共にシールリング3.4のシールリップの直ぐ近くに配設されている隙間4.1に、まず毛細管現象により捉えられる。当接面1.11との境界部分で段差部1.1が円錐形状をしていることにより、当該壁面は互いで鋭角α、ここでは45°を示している。普通は溝4.2間の潤滑剤は、隙間4.1に達するであろう。毛細管現象に起因して潤滑剤は、最終的に潤滑剤が溝4.2に入り込むまで周囲に沿って隙間4.1を流れるので、即ち、特別に形成された隙間4.1の助けにより、潤滑剤が溝4.2に向かって導かれる。潤滑剤を受ける能力を向上するために溝4.2それぞれは、その内面が当接面1.11と繋がる縁部において、内面が当接面1.11とで提示実施例では45°の角度γを示すように形成されている。これが鋭角であることにより毛細管現象が高まり、それにより潤滑剤が溝4.2の中に引き込まれる。当接面1.11は、当接面1.11に接触する内輪3.1の側面側部分と同じく研削プロセスにより、当該部分が密封作用するように精密加工されているので、潤滑剤がラジアル方向で当接面1.11を通過することがない。
溝4.2でラジアル方向内方にある端部では溢れた潤滑剤が、別の鋭角βで包括し逃げ加工の形態をしており内輪3.1の面とシャフト1の面が境界となっている別の隙間4.3の中に到達する。図示している実施例では、この角度βが30°である。ついでに言えば、角度α、β、γは、該当壁面間の隙間内角に関するものである、即ち、毛細管現象の観点で重要である角度に関するものであることを述べておく。角度βと較べて角度αが同じか大きいと、潤滑剤の排出に関して利点のあることが分かった。特に構造ユニットが、関係α≧β、α≧γまたはα≧γ≧βの少なくとも一つ、特に90°≧α≧γ≧βが当て嵌まるように構成されていると利点がある。
その後に潤滑剤はラジアル方向に、隙間4.3の中で内輪3.1の側面側に沿って中空空間4.4に入り込むが、その中空空間はシャフト1の外周に沿って延伸すると共に、加えて収容容積を増大するために螺旋形状空間4.41も含んでいる。それにより中空空間4.4は即ち、ラジアル方向で転がり軸受3の内輪3.1とシャフト1が境界となっている。中空空間4.4は、測定が阻害されることがなく流出潤滑剤が最終的に滞留する容積を示している。つまり、流出した潤滑剤は、毛細管現象により動かされて、第一隙間4.1、溝4.2、別の隙間4.3、そして中空空間4.4を含む導路をとおって流れる。そこで重要なことは、潤滑剤が再び基準尺2の方向に逆流しないことである。これを、構造ユニットの特別な構造により防ぐ。というのは、一つには螺旋形状空間4.41を含む中空空間4.4は、ラジアル方向外方で内輪3.1ないし内輪3.1の凹状面が境界となっているので、シャフト1が回転する時に遠心力が発生しても潤滑剤の逆流が起きない。更に、角度αとβ(α≧β)を規定することにより、毛細管現象がラジアル方向内方に作用することが保証されている。その他に、溝4.2の方から見て中空空間4.4が、周囲にもシャフト1の円筒状内側空間の中にも繋がっていないので、液体ないし潤滑剤が別の経路で中空空間4.4に達し、基準尺2の重要部分からの潤滑剤の排出ないし収容を不能にする危険性がない。結論として、毛細管現象が導路の全長に亘って作用し、特に第一隙間4.1から出て溝4.2、別の隙間4.3と中空空間4.4に亘って有効隙間幅が増加しないことにより毛細管現象が作用するように、上述の導路が形成されている。
よって、本発明による構造ユニットを使用することにより、一方で少ない偏心誤差および/またはふらつき誤差を、同時に基準尺の汚れを防ぎながら達成できるので、高い測定精度を達成できる角度測定装置を得ることができる。
1 シャフト
1.1 段差部
1.11 当接面
1.12 接合面
2 基準尺
2.1 角度スケール
3 転がり軸受
3.1 内輪
3.2 外輪
3.3 転動体
3.4 シール
4.1 隙間
4.2 溝
4.3 隙間
4.4 中空空間
4.41 螺旋形状空間
5 本体
5.1 検知装置
6 機械
6.1 機械部分
6.11 円筒状切り取り部
6.2 モータシャフト

Claims (4)

  1. 軸(Z)を中心とした回転動作を測定する基準尺(2)が取り付けられたシャフト(1)を含む角度測定ユニットアセンブリであって、
    前記シャフト(1)が一体の構成部分として、軸方向で当接した状態で転がり軸受(3)を組み付けている段差部(1.1)を有しており、前記シャフト(1)の前記段差部(1.1)と前記転がり軸受(3)の間には、ラジアル方向の少なくとも一つの溝(4.2)が配設されており、その溝(4.2)が潤滑剤を受け入れるための中空空間(4.4)と接続されており、前記中空空間(4.4)は、ラジアル方向で転がり軸受(3)のリング(3.1)およびシャフト(1)が境界になっており、前記角度測定ユニットアセンブリは、前記少なくとも一つの溝(4.2)に前記潤滑剤を送出する隙間(4.1)を有しており、前記隙間(4.1)は、直角または鋭角の角度を示す壁面が境界となっている、
    ことを特徴とする角度測定ユニットアセンブリ。
  2. 請求項1に記載の角度測定ユニットアセンブリであって、
    前記リング(3.1)が段差部(1.1)の当接面(1.11)に接触し、少なくとも一つの溝(4.2)が当接面(1.11)に隣接している、ことを特徴とする角度測定ユニットアセンブリ。
  3. 請求項2に記載の角度測定ユニットアセンブリであって、
    前記当接面(1.11)がリング(3.1)と接触する部分に密封作用があるように、当接面(1.11)とリング(3.1)が加工されている、ことを特徴とする角度測定ユニットアセンブリ。
  4. 請求項1から3のいずれかに記載の角度測定ユニットアセンブリであって、
    前記中空空間(4.4)が、シャフト(1)内の切り取り部である、ことを特徴とする角度測定ユニットアセンブリ。
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