JP5896971B2 - 成型品の製造方法、および金型 - Google Patents

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Description

本発明は、成型品を製造するための方法に関する。
通常のダイカスト鋳造法は、溶融金属を高速および高圧で金型内に射出し、金型の2つの中子を互いに分離して内部の成型品を押出して、成型品を金型から取り出す。しかし、通常のダイカスト鋳造法は、複雑な構造の金属製の成型品の製造には適していない。
既知の鋳造方法では、内部に製品形状が形成された金属材料から成る金型と、砂を所定形状に成形して得られるとともに金型内に配設される砂中子とから成る鋳型を有する鋳造装置において、半溶融金属を低速および低圧で金型内に注入可能な注入手段を具備する。その注入手段は、半溶融金属を0.15〜0.4(m/s)の速度、且つ、15〜30(MPa)の圧力で金型内に注入可能である。その鋳造方法は、内部に製品形状が形成された金属材料から成る金型と、砂を所定形状に成形して得られるとともに金型内に配設される砂中子とから成る鋳型を有する鋳造装置において、半溶融金属を低速および低圧で金型内に注入する。それによって、高強度が要求され薄肉で複雑形状の製品を精度よく成形することができ、製造コストを低減することができる。
既知のトルク・コンバータのブレード構造の製造方法では、環状のタービン・シェルの内周壁に当接し、ブレードを連結する第1連結部と、第1連結部よりもタービン・シェルの径方向中心側でタービン・シェルと当接し、ブレードを連結する第2連結部と、を備え、第1連結部と第2連結部とによってブレードを一体としたブレード構造を、タービン・シェルに取り付ける。それによって、隣接するブレード間を容易に変更可能とするトルク・コンバータのブレード構造が提供される。
特開2013− 52421号公報 特開2004−245412号公報
通常のダイカスト鋳造法では、例えば、軸方向に重なり部分を有する複数のブレードを含む金属製のブレード構造体を製造することはできない。一方、金型と砂中子から成る鋳型を用いる鋳造方法では、そのような金属製のブレード構造体を製造することはできるが、砂中子は、1つの金属製のブレード構造体を製造するたびに新しく形成して破壊され、製造速度および生産効率が低く、製造コストも高い。従って、低価格かつ大量生産が要求されるブレード構造体の製造には向かない。
発明者は、固定型と可動型を含む金型を用いて、可動型中の回転可能な中子を軸方向に概して螺旋状に移動させれば、軸方向およびその周りの円周方向に重なり部分を有する複数のブレードを含む成型された金属製のブレード構造体を容易に取り出すことができる、と認識した。
本発明の目的は、軸方向に重なり部分を有する成型品を製造できるようにすることである。
本発明の別の目的は、軸方向に重なり部分を有する成型品を大量生産できるようにすることである。
発明の概要
実施形態の一観点によれば、成型品の製造方法は、固定入子を含む固定型に対して、可動中子を含む可動型を接触させてブレード構造体成形用の空洞を形成し、前記空洞が形成されたとき、前記可動中子のブレード成型部の前記可動中子の軸を中心とする円周方向に分散配置された複数の接触面が、それぞれ前記固定入子の複数の接触面と接触し、さらに、前記空洞に溶融材料を充填して冷却させて、成型品を形成し、前記固定型から、前記成型品および前記可動型を分離し、前記可動中子の軸の周りにまたは該軸に沿って前記可動中子を螺旋状に後退させて、前記成型品から前記可動中子を分離することを含んでいる。
実施形態において、前記可動中子は、前記可動中子の軸を中心とする円周方向に分散配置された複数のブレード成型面を含み、前記複数のブレード成型面における隣接する2つのブレード成型面は円周方向の一方のブレード成型面の端部が他方のブレード成型面と前記軸方向に重なっていてもよい。
実施形態において、前記可動中子の前記複数の接触面はそれぞれ少なくとも前記可動中子の軸方向の寸法を有してもよい。
実施形態において、その製造方法は、前記可動型がさらに固定中子を含むものであり、 さらに、前記成型品を前記固定中子から押出して分離することによって、前記成型品を前記可動型から分離するものであってもよい。
実施形態の別の観点によれば、金型は、固定型との組合せでブレード構造体成型用の空洞を形成する可動型を含み、前記可動型は可動中子を含み、前記可動中子は、前記可動中子の軸を中心とする円周方向に分散配置された複数のブレード成型面を含み、前記空洞が形成されたとき、前記可動中子のブレード成型部の前記可動中子の軸を中心とする円周方向に分散配置された複数の接触面が、それぞれ前記固定型の固定入子の複数の接触面と接触し、前記可動中子は、前記複数のブレード成型面の端部螺旋方向に伸びる面に沿って前記軸の周りにまたは前記軸に沿って螺旋状に後退可能であるよう構成されている。
実施形態において、その金型において、前記複数のブレード成型面は、前記可動中子の前記軸および前記円周方向に対して傾斜していてもよい。
実施形態によれば、砂中子を用いずに、軸方向に重なり部分を有する成型品を製造でき、また軸方向に重なり部分を有する成型品を大量生産することができる。
図1は、実施形態による、ダイカスト鋳造法に用いられる分離形態での固定型および可動型を含む母型としての金型の斜視図の例を示している。 図2は、図1の固定型および可動型を含む母型としての金型の別の斜視図の例を示している。 図3Aは、図1の矢印III方向に見た可動型の合わせ面における可動入子を示している。 図3Bは、図2の矢印IV方向に見た固定型の合わせ面における固定入子を示している。 図4Aは、金型によって製造される成型品としての金属製のブレード構造体の斜視図である。 図4Bは、成型時の可動型側から見た、成型品としての金属製のブレード構造体の正面図である。 図4Cは、成型時の固定型側から見た、成型品としての金属製のブレード構造体の背面図である。 図5は、ブレード構造体を、図4Cの円弧状の二点鎖線VII−VIIに沿って切断して中心軸に向かう半径方向に見た断面図である。 図6は、概して固定型側から可動型を見た場合の、可動中子の斜視図を示している。 図7Aおよび7Bは、ブレード部を形成するための空洞を形成するブレード形成部と可動中子の図3Aの円弧の二点鎖線IX−IXに沿って切断して中心軸に向かう半径方向に見た断面図の例である。 図8Aは、成型時における、嵌合状態にある固定入子と可動中子で形成された空洞内にブレード構造体を含む、固定入子および可動中子の図3Aの円弧の二点鎖線IX−IXに沿って切断して中心軸に向かう半径方向に見た断面図の例である。 図8Bは、図8Aにおいて、ブレード構造体の成型後、固定入子から、可動中子およびブレード構造体を分離したときの、固定入子および可動中子の断面図の例である。 図8Cは、図8Bにおいて、成型後、ブレード構造体から可動中子を分離したときの、可動中子の断面図の例である。 図9Aは、成型時における、嵌合状態にある固定入子および可動中子の空洞内にブレード構造体を含む、固定入子および可動中子の図3Aの円弧の二点鎖線IX−IXに沿って切断して中心軸に向かう半径方向に見た断面図の別の例である。 図9Bは、図9Aにおいて、成型後、固定入子から、可動中子およびブレード構造体を分離したときの、固定入子および可動中子の断面図の例である。 図10は、図1の矢印III方向に見た可動型における各構成部分の概略的な内部配置の例を示している。 図11Aは、成型前における、図1および2における固定型および可動型の二点鎖線IX−IXに沿って切断した断面図の例を示している。 図11B〜11Eは、成型の開始から成型品としてのブレード構造体を取り出すまでの間の可動型の動作の例を示している。 (図11Bで説明) (図11Bで説明) (図11Bで説明)
本発明の非限定的な実施形態を、図面を参照して説明する。図面において、同様の構成要素には同じ参照番号が付されている。
発明者は、通常のダイカスト鋳造法では、軸方向に重なり部分を有する金属製の成型品を製造することはできない、と認識した。また、発明者は、通常の砂中子を用いる鋳造法では、成型品を大量生産することはできない、と認識した。また、発明者は、可動中子の軸の周りにまたは軸に沿って可動中子を螺旋状に後退させることによって、成型品に実質的に干渉することなく成型品から可動中子を容易に分離することができる、と認識した。
実施形態の目的は、砂中子を用いずに、ダイカスト鋳造法で、軸方向に重なり部分を有する金属製の成型品を大量生産できるようにすることである。
図1は、実施形態による、ダイカスト鋳造法に用いられる分離形態での固定型10および可動型30を含む母型2としての金型の斜視図の例を示している。図2は、図1の固定型10および可動型30を含む母型2としての金型の別の斜視図の例を示している。
図1において、可動型30には可動入子33が嵌入されている。図2において、固定型10には固定入子12が嵌入されている。可動型30と固定型10とが双方の合わせ面Pで互いに接触して嵌合または係合されて、それぞれの可動入子33と固定入子12とが、結合して、製造される成型品の形状に対応する形状の空洞を形成する。
図3Aは、図1の矢印III方向に見た可動型30の合わせ面Pにおける可動入子33を示している。図3Bは、図2の矢印IV方向に見た固定型10の合わせ面Pにおける固定入子12を示している。可動入子33および固定入子12は、例えば、SKD61のような熱間ダイカスト金型用鋼で形成されてもよい。
図3Aにおいて、可動入子33は、その内側の概して中心部に概して円柱状の固定中子36と、その周囲に概して円筒状の可動中子37とを含んでいる。固定中子36は、可動入子33内において固定的に配置されている。可動中子37は、可動入子33内において、図3Aの図の平面の後方に螺旋状に回転しながら後退するように移動可能である。
図3Bにおいて、固定入子12には、その内側の概して中心部に成型部16が固定的に配置されている。成型部16は、可動入子33の固定中子36および可動中子37の対向位置にある。成型部16中のブレード成型部14は、可動中子37の対向位置にあって、可動中子37と共にブレード部57(図4A〜4C)用の空洞を形成する。可動中子37は、ブレード成型部14と組をなす反対側のブレード成型部でもある。
図4Aは、金型2によって製造される成型品としての金属製のブレード構造体50の斜視図である。図4Bは、成型時の可動型30側から見た、成型品としての金属製のブレード構造体50の正面図である。図4Cは、成型時の固定型10側から見た、成型品としての金属製のブレード構造体50の背面図である。
図5は、ブレード構造体50を、図4Cの円弧状の二点鎖線VII−VIIに沿って切断して中心軸Cに向かう半径方向に見た断面図である。
ブレード構造体50は、例えば回転軸のような中心軸Cについて円周方向に回転対称に分散配置された複数のブレード572を含んでいる。ブレード構造体50は、例えば、車両のトルク・コンバータのステータまたはインペラに使用される羽根車であってもよい。ブレード構造体50は、例えば、アルミニウムまたはアルミニウム合金で形成されてもよい。複数のブレード572は、内側の環状部56と外側の環状部58の間に、中心軸Cと円周方向とに対して傾斜して一体的に配置される。各ブレード572は、円周の角度360度をブレードの総数N個(例えば、16、19、20、21、22個)で除算した角度φ=360/Nより大きい円周方向の角度幅φを有する。
図5において、円周方向に隣接する2つのブレード572の端縁部は、中心軸Cの周りの円周方向に角度φ(=φ−φ)の重なり部分を有する。各ブレード572は、円周方向の両端縁部間に角度幅φを有する。
図4Bおよび4Cにおいて、各ブレード572は、実線で示された円周における正方向にある端縁と、破線で示された円周における負の方向にある反対側の端縁とを有する。各ブレード572は、半径方向の中心軸C側の端縁が内側の環状部56の外周面に一体的に接続し、半径方向の外側の端縁が外側の環状部58の内周面に一体的に接続する。このようなブレードの重なりを有するブレード構造体50を、例えばトルク・コンバータのステータとして用いることによって、トルク・コンバータの動作効率が高くなる。実施形態のブレード構造体の製造方法は、ステータに限定されることなく、例えば、トルク・コンバータまたは流体継手における、ブレードの重なりを有するタービンまたはインペラのようなブレード構造体の製造に適用することもできる。
図5において、隣接の2つのブレード572は、成型時における可動中子37の螺旋状の後退方向Sに沿って、その垂直方向に、成型時の可動型30側の間隔または距離Dが、成型時の固定型10側の間隔または距離Dと等しいかまたは距離Dより大きいように設定されることが好ましい。それによって、成型時において、可動入子33に部分的に嵌合状態にある成型品のブレード構造体50から、可動入子33を螺旋状の後退方向Sに容易に抜くことができる。
図6は、概して固定型10側から可動型30を見た場合の、可動中子37の斜視図を示している。
図6において、可動中子37は、ブレード構造体50の成型後において、ブレード構造体50から分離するために、中心軸Cの周りに矢印方向Sに螺旋状に回転しながら中心軸Cに沿って後退するように動作させる。
図7Aおよび7Bは、ブレード部57の外形に概して対応する内部形状を有する空洞25を形成するブレード成型部14および可動中子37の、図3Aの円弧の二点鎖線IX−IXに沿って切断して中心軸Cに向かう半径方向に見た断面図の例である。換言すれば、図7Aおよび7Bは、成型時において互いに結合されたブレード成型部14および可動中子37を、中心軸Cを中心とする円筒状の面で切断した場合の部分断面図を、平面状に開いた図である。
図7Aの断面図において、固定入子12のブレード成型部14は、空洞部分25を直接的に形成しない複数の接触面116を含み、可動中子37のブレード成型部16は、空洞部分25を直接的に形成しない複数の接触面376を含んでいる。複数の接触面376は、可動中子37の中心軸Cを中心とする円周方向に分散配置され、かつ固定入子12の複数の接触面116とそれぞれ接触する。複数の接触面116も、固定入子12において同様の形態で配置されている。隣接の各2つのブレード572の空洞部分25の間における固定入子12のブレード成型部14と可動中子37のそれぞれの接触面116および376は、中心軸Cに概して平行である。
図7Bの断面図において、隣接の各2つのブレード572の空洞部分25の間における固定入子12のブレード成型部14と可動中子37のそれぞれの接触面116および376は、中心軸Cに対して傾斜している。
図8Aは、成型時において結合された固定入子12と可動中子37で形成された空洞25内にブレード構造体50を含む、固定入子12および可動中子37の、図3Aの円弧の二点鎖線IX−IXに沿って切断して中心軸Cに向かう半径方向に見た断面図の例である。
図8Bは、図8Aにおいて、ブレード構造体50の成型後、固定入子12から、可動中子37およびブレード構造体50を分離したときの、固定入子12および可動中子37の断面図の例である。図8Cは、図8Bにおいて、ブレード構造体50から可動中子37を分離したときの、可動中子37の断面図の例である。
図9Aは、成型時において結合された固定入子12と可動中子37で形成された空洞25内にブレード構造体50を含む、固定入子12および可動中子37の、図3Aの円弧の二点鎖線IX−IXに沿って切断して中心軸Cに向かう半径方向に見た断面図の別の例である。
図9Bは、図9Aにおいて、ブレード構造体50の成型後、固定入子12から、可動中子37およびブレード構造体50を分離したときの、固定入子12および可動中子37の断面図の例である。図9Cは、図9Bにおいて、成型後、ブレード構造体50から可動中子37を分離したときの、可動中子37の断面図の例である。
図8Bおよび9Bにおいて、固定入子12からの可動中子37およびブレード構造体50の分離は、中心軸Cの方向に直線的に行えばよい。図8Cおよび9Cにおいて、ブレード構造体50から可動中子37を中心軸Cの周りに螺旋状の方向Sに回転させながら後退させて分離することによって、ブレード構造体50を変形させることなく、可動中子37を円滑に分離することができる。螺旋状の方向Sは、例えば、概して、中心軸Cに垂直な平面上にあって中心軸Cを中心とする円上で回転する点が中心軸Cに沿って移動することによって形成される点の軌跡であればよい。
図8A〜8Cおよび図9A〜9Cにおいて、可動中子37は、可動中子37の中心軸Cを中心とする円周方向Aに分散配置された複数のブレード成型面374を含んでいる。各ブレード成型面374は、ブレード成型部14の各ブレード成型面144と共に、1つのブレード572を成型するよう構成されている。複数のブレード成型面374における隣接する2つのブレード成型面374は、(隣接の2つのブレード572の各部分を成型するものであり、)円周方向の両端部3742、3744が中心軸C方向に重なっている。可動中子37は、概して両端部3742、3744の一方の端部3742の互いに対向する面3742aまたは3742bに沿って、中心軸Cの周りに螺旋状の方向Sに中心軸Cに沿って後退可能である。螺旋状の方向Sは、面3742aまたは3742bと中心軸Cを有する円筒面との間の交線の螺旋方向であっても、または、面3742aとその円筒面の間の交線の螺旋方向の傾斜角と、面3742bとその円筒面の間の交線の螺旋方向の傾斜角との間の中間の傾斜角度の螺旋方向であってもよい。面3742aまたは3742bは、概して螺旋状の方向Sに伸びる面である。
図10は、図1の矢印III方向に見た可動型30における各構成要素の概略的な内部配置の例を示している。
図11Aは、成型前における、図1および2における固定型10および可動型30の二点鎖線IX−IXに沿って切断した断面図の例を示している。図11B〜11Eは、成型の開始から成型品としてのブレード構造体50を取り出すまでの間の可動型30の動作の例を示している。
図10および11Aにおいて、可動型30は、前述のように、可動入子33と、その内側に、概して中心部に概して円柱状の固定中子36と、固定中子36の周囲に概して円筒状の可動中子37とを含んでいる。可動型30は、さらに、図10の位置関係で、可動中子37を一時的に固定するための左右で1対の中子34、可動中子37を後退させるための左右で1対のブロック35、および可動中子37を螺旋状に回転させながら後退させるための上下左右に4つのガイド用溝部362を含んでいる。可動型30は、さらに、可動中子37の外周に分散配置された4つのローラ・ベアリング部38と、可動中子37の4つの嵌合凹所372内に、固定中子36の半径方向の回転軸の周りに回転可能に設けられた4つの嵌合回転体39とを含んでいる。可動型30は、さらに、中心軸C方向にブロック35を移動させるための左右で1対の円柱状のガイド40と、ブロック35を後退させるための油圧シリンダ42とを含んでいる。図11A〜11Eにおいて、固定中子36および油圧シリンダ42は、断面ではなく、その概略的な外形が示されている。
油圧シリンダ42は、ブロック35に係合するシリンダ・ロッド422を有する。可動中子37の嵌合凹所372内に回転可能な形態で設けられた嵌合回転体39は、嵌合凹所372から可動中子37の半径方向の内側または外側に突出したその底部(破線)または頂部がガイド用溝部362に嵌入される。図11Aでは、ガイド用溝部362は、固定中子36の外周面上に固定的に配置されているものとして示されている。また、嵌合凹所372は、可動中子37に固定的に配置されているものとして示されている。
嵌合回転体39は、中心軸C方向のブロック35の後退とともに、ガイド用溝部362の内面溝形状に沿って移動し、それに伴ってその移動方向に可動中子37が螺旋状に回転しながら後退するように構成されている。
次に、金型2において、成型品としてのブレード構造体50を成型して、金型2から取り出すための手順の例を説明する。
図11Bにおいて、制御装置(図示せず)は、操作者の操作に従って、図11Aにおける固定型10に対して可動型30を左方向に前進移動させて、固定型10に可動型30を接触させて、ブレード構造体50の外形を表す空洞25が形成される。次いで、制御装置によって、可動中子37の外周の合わせ面P側に概して放射状に分散配置された可動入子33中の複数の流路33pを通して溶融金属が空洞25内に供給される。空洞25内で、時間経過とともに溶融金属が冷え固まって、成型品としてのブレード構造体50が形成される。図11B〜11Dにおいて、可動入子33は、断面図ではあるが、流路33pの存在を明確にするために斜線の陰影が省略して示されている。
図11Cにおいて、制御装置は、固定型10に対して可動型30を右方向に後退移動させて、固定型10から、成型品としてのブレード構造体50が嵌合した可動型30を分離する。
図11Dにおいて、制御装置は、可動中子37の外向きの半径方向に1対の中子34を移動させて、可動中子37から中子34を分離して外す。次いで、制御装置は、油圧シリンダ42を駆動して、シリンダ・ロッド422を右方向に後退させる。それによって1対のブロック35が右方向に後退する。ブロック35が後退するに従って、ガイド用溝部362内で嵌合回転体39が移動し、その移動に従って、可動中子37が、中心軸Cの周りに、即ち、固定中子36の外周に沿って、およびブロック35の内面に沿って、螺旋状に回転しながら後退する。それによって、図8Cおよび9Cに示されているような形態で、成型品としてのブレード構造体50から可動中子37が分離される。この段階では、ブレード構造体50は固定中子36と嵌合している。
図11Eにおいて、その後、成型品のブレード構造体50は、制御装置によって、固定中子36内に配置された押出しピン368で左方向に固定中子36から押出されて、固定中子36から分離して取り出される。ブレード構造体50は、一般的には、その周辺に概して半径方向または放射状にバリ56を有する。その後、ブレード構造体50からバリ56が取り除かれて、完成品としてのブレード構造体50が得られる。
このように、実施形態によれば、中心軸C方向に見て、ブレード構造体50のブレード部57の隣接の2つのブレード572の間に重なりがある場合であっても、可動中子37を螺旋状に回転させながら後退させることによって、ブレード構造体50を可動型30から容易に分離することができる。螺旋状に移動可能な可動中子37は、単一の構造体として形成された場合、その構造が簡単である点で有利である。但し、可動中子37は、構造が複雑になるが、中心軸Cの半径方向の面に沿って複数の部分(例えば、3つまたは4つの部分)に分割された複数の分割部分で構成されてもよい。
実施形態は、中心軸C方向に見て、ブレード構造体50のブレード部57の隣接の2つのブレード572の間に円周方向の重なりはないが隣接の2つのブレード572の間の円周方向の間隔が非常に接近している場合(φ≒0or−Δ)にも、同様に適用することができる。それによって、ブレード構造体50から固定中子36および可動中子37が分離される際に、可動中子37が成型品のブレード構造体50のブレード部57またはその上のバリ等と接触または干渉してブレード部57を破損または変形させるような事態を、防止することができる。一方、仮に、そのようなブレード構造体50から固定中子36および可動中子37が分離される際に、可動中子37を共に直線的に後退させた場合、可動中子37が成型品のブレード構造体50のブレード部57またはその上のバリ等と接触または干渉してブレード部57を破損または変形させる可能性がある。
実施形態によれば、砂中子を用いずに、ダイカスト鋳造法で、軸方向に重なり部分を有する金属製のブレード構造体を大量生産することができる。
以上説明した実施形態は典型例として挙げたに過ぎず、その各実施形態の構成要素を組み合わせること、その変形及びバリエーションは当業者にとって明らかであり、当業者であれば本発明の原理及び請求の範囲に記載した発明の範囲を逸脱することなく上述の実施形態の種々の変形を行えることは明らかである。
2 金型
10 固定型
12 固定入子
14 ブレード成型部
16 成型部
116 接触面
25 空洞
30 可動型
33 可動入子
33p 流路
34 中子
35 ブロック
36 固定中子
362 ガイド用溝部
37 可動中子
372 嵌合凹所
376 接触面
38 ローラ・ベアリング部
39 嵌合回転体
40 ガイド
42 油圧シリンダ
422 シリンダ・ロッド
50 ブレード構造体
56 バリ

Claims (6)

  1. 固定入子を含む固定型に対して、可動中子を含む可動型を接触させてブレード構造体成形用の空洞を形成し、
    前記空洞が形成されたとき、前記可動中子のブレード成型部の前記可動中子の軸を中心とする円周方向に分散配置された複数の接触面が、それぞれ前記固定入子の複数の接触面と接触し、
    さらに、前記空洞に溶融材料を充填して冷却させて、成型品を形成し、
    前記固定型から、前記成型品および前記可動型を分離し、
    前記可動中子の軸の周りに前記可動中子を螺旋状に後退させて、前記成型品から前記可動中子を分離する
    ことを特徴とする、成型品の製造方法。
  2. 前記可動中子は、前記可動中子の軸を中心とする円周方向に分散配置された複数のブレード成型面を含み、前記複数のブレード成型面における隣接する2つのブレード成型面は円周方向の一方のブレード成型面の端部が他方のブレード成型面と前記軸方向に重なっているものであることを特徴とする、請求項1に記載の成型品の製造方法。
  3. 前記可動中子の前記複数の接触面はそれぞれ少なくとも前記可動中子の軸方向の寸法を有するものであることを特徴とする、請求項1または2に記載の成型品の製造方法。
  4. 前記可動型はさらに固定中子を含むものであり、
    さらに、前記成型品を前記固定中子から押出して分離することによって、前記成型品を前記可動型から分離することを特徴とする、請求項1乃至3のいずれかに記載の成型品の製造方法。
  5. 固定型との組合せでブレード構造体成型用の空洞を形成する可動型を含む金型であって、
    前記可動型は可動中子を含み、
    前記可動中子は、前記可動中子の軸を中心とする円周方向に分散配置された複数のブレード成型面を含み、
    前記空洞が形成されたとき、前記可動中子のブレード成型部の前記可動中子の軸を中心とする円周方向に分散配置された複数の接触面が、それぞれ前記固定型の固定入子の複数の接触面と接触し、
    前記可動中子は、前記複数のブレード成型面の端部螺旋方向に伸びる面に沿って前記軸の周りに螺旋状に後退可能であるよう構成されている
    ことを特徴とする、金型。
  6. 前記複数のブレード成型面は、前記可動中子の前記軸および前記円周方向に対して傾斜していることを特徴とする、請求項5に記載の金型。
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