JP7057676B2 - スラストワッシャの射出成形金型 - Google Patents

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Description

本発明は、中空円盤状スラストワッシャの射出成形金型に関する。
合成樹脂製の中空円盤状スラストワッシャは、金属製の転がりスラスト軸受よりも軽量で、小型化可能、耐食性、安価などのメリットがあり、例えば、ベアリーTWシリーズ(NTN精密樹脂社製)のようなスラストワッシャとして市販されている。ベアリーTWシリーズは、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)樹脂をベースとした樹脂組成物からなり、棒状またはパイプ状の圧縮成形体から全面機械加工によって製造されている。
スラストワッシャが組み込まれる部品、装置、機械においては、他の部材との設計上の兼ね合いから、スラストワッシャに形状的制限を受ける場合が多い。例えば、外周面の一部を直線状にカットして回り止め機能を付けたり、外周形状をハウジング形状に合わせたり、摺動面に潤滑溝を設けたりすることがある。このような要求に対しては射出成形によってスラストワッシャが製造されている(特許文献1~3参照)。
特開2002-139027号公報 特開2016-176539号公報 特開平06-193628号公報
特許文献1のスラストワッシャは、外周長さの1/6~1/2の周長さのフィルムゲートから樹脂組成物が充填されて形成されたものである。このフィルムゲートを用いた射出成形により、成形収縮の影響を軽減でき、スラスト方向の精度が高く、また真円度も高いスラストワッシャが得られる。しかし、この製造方法では、溶融樹脂が合流する領域であるウェルドが生じるため、成形体の強度低下が懸念される。
特許文献2のスラストワッシャは、ジカルボン酸成分とジアミン成分とからなるポリアミド樹脂をベース樹脂とし、これに繊維状補強材を配合してなる組成物を用いることでウェルドの強度が強化されている。しかし、この製造方法でもウェルドが生じるため、ウェルドにおける表面平滑性の低下が懸念される。
一方、特許文献3のスラストワッシャは、ディスクゲートを用いた射出成形によって得られる。ディスクゲート方式の射出成形ではウェルドが生じないため、ウェルドに起因する強度低下や表面平滑性低下を防止できる。しかしこの射出成形では、一般に射出成形後に成形体の内径部を切削加工する必要がある。内径部の切削加工とは、ディスクゲートの取り外し加工であり、射出成形後に別工程として旋盤加工などが必須となるため、製造時間の延長やコストアップの要因となっている。
本発明はこれらの問題に対処するためになされたものであり、ディスクゲートを採用しつつ、射出成形後の旋盤加工などのディスクゲートの取り外し工程を省くことができるスラストワッシャの射出成形金型を提供することを目的とする。
本発明のスラストワッシャの射出成形金型は、可動型板と固定型板とランナストリッパプレートとを備えてなる3プレート金型構造の中空円盤状スラストワッシャの射出成形金型であって、上記射出成形金型は、上記固定型板と上記可動型板を衝合して形成される円環状のキャビティに、該キャビティの内周部に設けられたディスクゲートを介して合成樹脂を射出成形する金型であり、上記可動型板は、上記キャビティの一部を構成する円環状の凹部と、該凹部の中心軸上に配置された、該凹部と同心円柱状のコアピンと、該コアピンの中心軸上に配置された突き出しピンとを有し、上記固定型板は、上記可動型板との衝合面と面一に配置され、上記凹部と対向して上記キャビティの一部を構成する端面を有する入れ子と、上記入れ子の中心軸上で、かつ、上記コアピンと同軸上に配置されたスプルーブッシュとを有し、上記コアピンの外周形状と、上記スプルーブッシュの上記コアピンとの対向面の外周形状とが同一形状であり、上記固定型板と上記可動型板とが衝合された衝合状態において、上記コアピンと上記スプルーブッシュの間に上記ディスクゲートが形成され、上記衝合状態で、上記スプルーブッシュが上記衝合面から後退可能であり、上記コアピンの前進により上記ディスクゲートの切断が可能であることを特徴とする。
上記衝合状態で、上記コアピンが型閉じ方向に前進し、上記スプルーブッシュが後退することを特徴とする。
上記固定型板は、上記衝合状態において上記スプルーブッシュの後退距離を制限する制限手段を有することを特徴とする。
上記制限手段は、本体部と該本体部から拡径されたフランジ部とを有する柱状部材であり、上記固定型板は、上記制限手段を収容する収容部を有し、該収容部において、上記制限手段は、上記スプルーブッシュの後退と連動して上記型閉じ方向に移動可能に収容され、該制限手段の移動に伴って上記フランジ部の上記型閉じ方向側の端面が上記収容部に当接することで上記スプルーブッシュの後退距離を制限することを特徴とする。
上記ランナストリッパプレートと上記固定型板とが開放されるのと同時に、上記コアピンを前進させることを特徴とする。
本発明のスラストワッシャの射出成形金型は、固定型板と可動型板を衝合して形成される円環状のキャビティに、該キャビティの内周部に設けられたディスクゲートを介して合成樹脂を射出成形する金型であるので、ウェルドが発生しない。そのため、ウェルドに起因する強度低下や表面平滑性低下を防止でき、強度の均一性や表面平滑性に優れる。また、サイドゲートやピンゲートなどの制限ゲートを用いた場合に発生するゲートでの表面平滑性の低下を防止でき、表面平滑性に優れる。また、3プレート金型構造であるので、成形品とランナー部を分割して取出し可能となり、製造効率を向上できる。
さらに、可動型板は、キャビティの一部を構成する円環状の凹部と、該凹部の中心軸上に配置されたコアピンを有し、固定型板は、凹部と対向してキャビティの一部を構成する端面を有する入れ子と、入れ子の中心軸上で、かつ、コアピンと同軸上に配置されたスプルーブッシュとを有し、コアピンの外周形状と、スプルーブッシュのコアピンとの対向面の外周形状が同一形状であり、衝合状態において、コアピンとスプルーブッシュの間にディスクゲートが形成され、その衝合状態において、スプルーブッシュが衝合面から後退可能であり、コアピンの前進によりディスクゲートの切断が可能である。つまり、本発明の射出成形金型は、型内ゲートカットできるので、射出成形後の旋盤加工などのディスクゲートの取り外し工程を省くことができる。この製造工程の省略化によって、製造時間の短縮や製造コストの削減が図れる。
固定型板は、衝合状態においてスプルーブッシュの後退距離を制限する制限手段を有する。スプルーブッシュの後退距離は、コアピンの前進距離に対応しており、スプルーブッシュの後退距離が長くなるとコアピンの前進距離も長くなる。この点、制限手段により上記後退距離を制限することで、コアピンの前進距離も制限され、前進の際にコアピンにかかる負荷を軽減できる。
また、制限手段は、スプルーブッシュの後退と連動して型閉じ方向に移動可能に収容され、該制限手段の移動に伴ってフランジ部の型閉じ方向側の端面が収容部に当接することでスプルーブッシュの後退距離を制限するので、簡易な金型構造としつつ、後退距離を制限できる。
また、ストリッパプレートと固定型板とが開放されるのと同時にコアピンを前進させるので、ゲートカット部にバリが発生することを防止することができる。
本発明の射出成形金型の構造を示す断面図である。 図1の金型のディスクゲート周辺の一部拡大図である。 図1の金型のストップボルト周辺の一部拡大図である。 本発明の金型を用いた充填工程を示す断面模式図である。 本発明の金型を用いたランナー部取り出しを示す断面模式図である。 本発明の金型を用いたゲートカット工程を示す断面模式図である。 本発明の金型を用いた離型工程を示す断面模式図である。 スラストワッシャの一形態を示す斜視図である。
本発明の射出成形金型で得られる中空円盤状スラストワッシャの一形態を図8に基づいて説明する。図8はスラストワッシャの斜視図である。図8に示すように、スラストワッシャ31は、中空円盤状(円環平板状)の部材であり、スラスト面31aと、その反対面であるスラスト面31bと、両スラスト面31a、31bを繋ぐ内径面32および外径面33とを有する。両スラスト面31a、31bは平面形状であり、相手部材との摺動面になる。内径面32および外径面33は、それぞれ略円筒状に形成されている。また、スラストワッシャ31は、円筒状の外径面の一部を直線状に切り欠いた切り欠き部34を有する。切り欠き部34は回り止め機能を有し、この切り欠き部34をハウジングに係合させることで、スラストワッシャ31の該ハウジングに対する相対回転を防止することができる。なお、スラストワッシャ31の外径面の形状は略円筒状に限らず、ハウジング形状に合わせた多角形状としてもよい。
図8の形態において、スラストワッシャ31は、スラスト面31aに放射状の溝35を複数(4本)有する。複数の溝35は、円盤中心角で互いに等角度間隔に設けられている。これら溝35は、スラスト面において、円盤の内周から外周に貫通する凹部として形成されている。装置などに組み込まれた際には、この溝が潤滑溝となり、平面部への潤滑油の供給性が向上する。なお、スラストワッシャ31は、図8の形態に限らず、両スラスト面31a、31bに溝を有する形態でもよく、両スラスト面31a、31bいずれにも溝を有しない形態でもよい。また、片面のスラスト面における溝の数や形状も特に限定されない。
本発明の製造方法によって製造されるスラストワッシャ31の大きさ(厚み、外径や内径、幅など)は、用途などによって適宜設定される。例えば、スラストワッシャ31は、厚さが0.2mm~8mm、内径が10mm~60mm、外径が20mm~160mmである。
本発明のスラストワッシャの射出成形金型は、上記スラストワッシャを製造するための金型である。この射出成形金型を図1に基づき説明する。図1は、本発明の射出成形金型の一例を示す断面図である。図1に示すように、射出成形金型1は、可動型板2と、固定型板3と、ランナストリッパプレート4とからなる3プレート構造の金型である。
射出成形金型1は、可動型板2と固定型板3を衝合して形成される円環状のキャビティ5に、キャビティ5の内周部に設けられた円盤状のディスクゲート6を介して合成樹脂を射出成形する金型である。キャビティ5は、成形体(スラストワッシャ)の軸方向と金型の型閉じ・型開き方向とが一致するように形成される。本発明において、「型閉じ方向」は、ランナストリッパプレートに対して固定型板および可動型板が接近する方向であり、図1における右方向である。「型開き方向」は、ランナストリッパプレートに対して固定型板および可動型板が離間する方向であり、図1における左方向である。なお、図2~図7においても、各図の右方向が型閉じ方向に相当し、各図の左方向が型開き方向に相当する。
図1は、射出成形金型1の射出成形前の状態を示しており、各金型が閉じた状態となっている。この場合、可動型板2と固定型板3はパーティングラインPLで衝合され、固定型板3とランナストリッパプレート4は衝合面Fで衝合されている。後述するように、衝合面Fは、成形工程後にランナー部を取り出すために開放され、パーティングラインPLは、成形工程後にスラストワッシャおよびディスクゲート部を取り出すために開放される。
可動型板2において、パーティングラインPLを構成する端面に円環状の凹部2aが形成されている。凹部2aは、キャビティ5の一部を構成しており、スラストワッシャの一方のスラスト面を形成する。また、可動型板2は、凹部2aの中心軸上に配置された、凹部2aと同心円柱状のコアピン7と、そのコアピン7の中心軸上(凹部2aの中心軸上)に配置されたエジェクタピン8とを有する。コアピン7はコアピンプレート20に支持されている。コアピン7およびコアピンプレート20は、コイルバネ21によって可動型側取付板(図示省略)に対して常に型閉じ方向に負荷がかかった状態となっている。
また、可動型板2には、成形されたスラストワッシャ(成形体)を取り出すための複数のエジェクタピン9が配置されている。エジェクタピン8、9は射出成形機(図示省略)のエジェクタロッドによって前進・後退可能となっている。なお、本発明において、「前進」とは、金型外へ突き出す方向に進めることをいい、「後退」とは、金型内へ収納する方向に進めることをいう。エジェクタピン9は可動型板2内に収納され、エジェクタピン9の先端面がキャビティ5に面している。
図2は、図1の状態のディスクゲート周辺の一部拡大図である。図2に示すように、固定型板3は、パーティングラインPLと面一に配置され、凹部2aと対向してキャビティ5の一部を構成する端面10aを有する略円筒状の入れ子10と、入れ子10の中心軸上で、かつ、コアピン7と同軸上に配置されたスプルーブッシュ11とを有する。円環状の端面10aの外径は、円環状の凹部2aの外径よりも大きくなっている。つまり、型閉じ状態において、端面10aの一部は可動型板2の端面に当接する。また、スプルーブッシュ11の可動型板2側の端面(コアピン7と対向する端面)11aおよび入れ子10の端面10aは、平坦面(面一)となっており、固定型板3のパーティングラインPLの一部を構成している。なお、端面10aは、スラストワッシャの他方のスラスト面を形成する。
固定型板3には、入れ子10とスプルーブッシュ11の間に弾性部材としてコイルバネ12が組み込まれており、コイルバネ12によって、スプルーブッシュ11がパーティングラインPLから離れる方向(型閉じ方向)に付勢されている。つまり、入れ子10に対してスプルーブッシュ11にはたえず反発力が負荷されている。また、固定型板3には、ランナストリッパプレート4側にランナープレート13が設けられており、スプルーブッシュ11はランナープレート13に固定されている。ランナープレート13は、入れ子10に対し、型閉じ方向に移動可能に設けられている。
図1に示すように、ランナストリッパプレート4には、合成樹脂の射出方向と同軸に設けられた第1スプルー14が、ランナストリッパプレート4と固定型板3のランナープレート13との間には、第1スプルー14と連通して、第1スプルー14の垂直方向に設けられたランナー15が、固定型板3のスプルーブッシュ11には、ランナー15と連通して溶融樹脂の射出方向と平行に設けられた第2スプルー16が、それぞれ設けられている。また、ランナストリッパプレート4は、サイドプレート22によってコアピンプレート20と繋がっている。
図2の型閉じ状態において、コアピン7の先端はパーティングラインPLよりわずかに後退した位置に配置される。このコアピン7の先端面7aと、これに対向するスプルーブッシュ11の端面11aとの間にディスクゲート6が形成される。コアピン7の外径はディスクゲート6の外径と略同一となっている。ディスクゲート6は、第2スプルー16と連通している。また、ディスクゲート6の外周部は、キャビティ5の内周部と全周に亘り連通しており、その境界がゲート口6aとなる。つまり、スラストワッシャの内径面側にディスクゲート6が設けられる。この構成では、ディスクゲート6に流入した合成樹脂は、当該ディスクゲート6の全周から放射状に広がって均一にキャビティ5に充填される。そのため、この射出成形金型を用いた成形品にはウェルドが発生しない。
図2において、コアピン7の先端の位置は、PLからキャビティ5の厚さ(軸方向長さ)に応じて後退している。コアピン7の先端の位置のPLからの後退量は、スラストワッシャの厚み分と同じか、この厚み分よりも短くできる。なお、コアピン7の先端面の位置のPLからの後退量は、ゲート口6aの軸方向長さである。
本発明の射出成形金型を用いたスラストワッシャの製造方法は、以下の(a)~(c)の3つの工程を少なくとも備える。すなわち、(a)射出成形金型に形成されるキャビティにディスクゲートを介して合成樹脂を充填し、成形体を形成する成形工程と、(b)射出成形金型内でゲートカットするゲートカット工程と、(c)型開きして成形体を取り出す離型工程とを備える。
本発明の射出成形金型は、コアピン7の外周形状とスプルーブッシュ11の端面11aの外周形状が同一形状となっており、固定型板3と可動型板2とが衝合された状態において、スプルーブッシュ11がパーティングラインPLから後退可能であり、コアピン7の前進によりディスクゲート6の切断が可能であることを特徴とする。この場合、コアピン7の外径と、ディスクゲート6の外径と、スプルーブッシュ11の端面11aの外径は、略同一となっているため、固定型板3と可動型板2とが衝合された状態でコアピン7を型閉じ方向へ前進させると、ディスクゲート6がPLよりも固定型板3側に押し込まれ、入れ子10の内周部に篏合してゲートカットされる。つまり、本発明の射出成形金型は、可動型板と固定型板を衝合した状態で、ディスクゲートをゲートカットできる金型である。
また、図1に示すように、固定型板3は、固定型板3と可動型板2の衝合状態においてスプルーブッシュ11の後退距離を制限する制限手段として、ストップボルト17を有している。ストップボルト17について、図3を用いて説明する。図3は、図1の状態のストップボルト周辺の一部拡大図である。ストップボルト17は、本体部17aと、一端が本体部17aから拡径されたフランジ部17bとを有する柱状部材である。固定型板3は、ストップボルト17を収容する収容部18を有する。この収容部18において、ストップボルト17は、フランジ部17bを可動型板2側に向けて、自身の軸方向と型閉じ方向とが平行となるように収容される。フランジ部17bと反対側の端部17cは、ランナープレート13に連結される。
図3の型閉じ状態において、ストップボルト17は、スプルーブッシュ11の後退と連動して型閉じ方向に移動可能に収容される。具体的には、ストップボルト17は、フランジ部17bの型閉じ方向側の端面が収容部18のフランジ面18aから所定距離D開けて収容される。つまり、ストップボルト17は、型閉じ方向に移動可能なように、あそびを持たせて収容部18に収容されている。これにより、スプルーブッシュ11およびランナープレート13の後退に連動して、ストップボルト17も型閉じ方向へ移動し、フランジ部17bの型閉じ方向側の端面がフランジ面18aに当接することでスプルーブッシュ11の後退が制限される。なお、所定距離D(あそび量)は、0.1~3mmに設定される。
この製造方法の各工程について、図4~図7を用いて説明する。図4は成形工程を示し、図5、6はゲートカット工程を示し、図7は離型工程を示している。
(a)成形工程
成形工程は、溶融した合成樹脂をキャビティに充填し、成形体を形成する工程である。
本発明に用いる合成樹脂は、射出成形可能な熱可塑性樹脂であれば特に限定されず、使用条件に応じて適宜採用できるが、熱可塑性樹脂の中でも、結晶性樹脂が好ましい。結晶性樹脂として、例えば、ポリアミド(PA)樹脂、ポリアセタール(POM)樹脂、ポリフェニレンスルフィド(PPS)樹脂、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)樹脂、射出成形可能なポリイミド(PI)樹脂などが挙げられる。また、必要に応じて合成樹脂に、炭素繊維、ガラス繊維などの繊維状補強材や、PTFE樹脂、グラファイトなどの固体潤滑剤を配合してもよい。
図4に示すように、射出成形機のノズル(図示省略)から射出された溶融状態の合成樹脂19は、第1スプルー14、ランナー15、第2スプルー16、ディスクゲート6を通ってキャビティ5に充填され、保圧を経た後、一定時間冷却して合成樹脂が固化される。
(b)ゲートカット工程
ゲートカット工程は、金型内でディスクゲートをゲートカットする工程である。この工程では、可動型板2と固定型板3とが衝合された状態のまま、ディスクゲートを切断する。
ゲートカット工程について、図5、6に基づき説明する。この工程では、ランナストリッパプレート4と固定型板3との衝合面Fが、第1スプルー、ランナー、第2スプルーの一体固化樹脂(これら一体固化樹脂を「ランナー部」と総称する)が取り出せる距離だけ開放される(図5参照)。これにより、ランナー部23が金型から分離し落下する。このとき、パーティングラインPLは、パーティングロック装置(図示省略)によって閉じたままである。なお、ランナー部23の金型からの分離構造は3プレート金型の一般的な構造による。
この工程では、ランナストリッパプレート4と固定型板3とが開放されるのと同時に、コアピン7を前進させる。具体的には、ランナストリッパプレート4と固定型板3との衝合面Fの開放と連動して、コアピンプレート20がコイルバネ21によってコアピン7を型閉じ方向、つまりパーティングラインPLに向かって前進される(図6参照)。このとき、コアピン7は、ディスクゲート6内に充填された樹脂をスプルーブッシュ11の端面11aで挟んだ状態で、スプルーブッシュ11およびランナープレート13とともに型閉じ方向に押す。その結果、スプルーブッシュ11はPLから後退する。また、固定型板3とランナストリッパプレート4とが開放されるため、ランナープレート13と入れ子10の間が開放され、ランナープレート13の一部が衝合面Fを構成する端面から突出する。
上記のスプルーブッシュ11およびランナープレート13の後退に連動して、ランナープレート13に連結されたストップボルト17も型閉じ方向に移動し、フランジ部17bの型閉じ方向側の端面がフランジ面18aに当接する。この当接によって、スプルーブッシュ11の後退やランナープレート13の開放、ひいてはコアピン7の前進が制限される。つまり、ストップボルト17のあそび量(図3参照の所定距離D)は、スプルーブッシュ11の後退距離、ランナープレート13の開放距離、および、コアピン7の前進距離とそれぞれ略同一である。なお、所定距離Dは、接続状態となっている成形体とディスクゲートとが切り離される距離であればよく、例えばキャビティ5の厚みに相当する距離、または、キャビティ5に溶融樹脂が充填可能な距離である。所定距離Dが厚いとゲートカット時にコアピン7の先端部に負荷がかかり、コアピンの交換時期が早くなるおそれがある。そのため、所定距離Dは2mm以下にすることが望まれる。
このゲートカット工程では、キャビティ5内の樹脂(成形体)を可動型板2と、キャビティ5の内周寸法と同じ内周寸法を有する入れ子10とによってパーティングラインPLを完全に拘束しつつ、コアピン7の前進によってディスクゲート6のみを型閉じ方向に移動させることで、成形体とディスクゲートが相対移動する。このとき、ゲート口6aにはコアピン7の外周面によるせん断力が加わり、その結果、ゲート口6aはコアピン7によりキャビティ5内の樹脂から切断される。スラストワッシャの内径面は、ディスクゲート6をコアピン7によって切断することで形成される。すなわち、スラストワッシャの内径面は、固定型板3に向かって前進するコアピン7によって形成される。ディスクゲートの一般的な取り外し工程である旋盤加工では、スラストワッシャの内径面に周方向に沿った痕が付くが、本発明の製造方法では、型内で押し切りをすることでゲートカットするため、この旋盤加工による痕は付かない。
(c)離型工程
離型工程は、固定型板と可動型板を型開きして、成形体を取り出す工程である(図7参照)。この工程では、パーティングロック装置の解除により固定型板3から可動型板2が型開き方向に開放される。つまりパーティングラインPLが開放される。また、この型開きの直後に、コアピン7の軸心内に配置されたエジェクタピン8と、可動型板2内に配置されたエジェクタピン9とが、エジェクタロッドに押し出されて前進する。この前進により、コアピン7先端に張り付いていたディスクゲート部24と、射出成形体であるスラストワッシャ31とが金型から取り出される。
射出成形金型1からスラストワッシャ31、ディスクゲート部24を取り出した後、可動型板2と固定型板3との間、固定型板3とランナストリッパプレート4との間が閉じられ、次の射出成形が行われる。
以上、(a)~(c)の工程により、図8に示すようなスラストワッシャ31が製造される。本発明の射出成形金型は、上述のとおり、型内ゲートカット可能であるので、射出成形後に旋盤加工などのディスクゲートの取り外し工程を省くことができる。これにより、製造工程の簡略化や、製造時間の短縮、コスト削減などが図れる。また、ディスクゲート方式を採用するため、成形されたスラストワッシャにウェルドが発生せず、ウェルドによる強度低下や表面平滑性の低下が防止される。
本発明の射出成形金型は、上述の型閉じした状態において、スプルーブッシュがパーティングラインPLから後退可能であり、コアピンの前進によりディスクゲートの切断が可能な構成であれば、図1~図3に示した金型に限らない。
本発明の射出成形金型によって取得されたスラストワッシャは、例えば、油圧クレーンなどの走行装置、旋回装置、油圧クレーン用ロープウィンチなどの建設機械に用いられる遊星歯車装置に用いられる。遊星装置において、スラストワッシャは、遊星歯車とキャリアとの間に介在して用いられる。この場合、スラストワッシャの両スラスト面のそれぞれが遊星歯車やキャリアとの摺動面となる。
本発明のスラストワッシャの射出成形金型では、ディスクゲートを採用しつつ、射出成形後の旋盤加工などのディスクゲートの取り外し工程を省くことができるので、製造工程の効率化や製造コストに優れ、スラストワッシャ用の射出成形金型として広く利用できる。
1 射出成形金型
2 可動型板
3 固定型板
4 ランナストリッパプレート
5 キャビティ
6 ディスクゲート
7 コアピン
8 エジェクタピン(突き出しピン)
9 エジェクタピン(突き出しピン)
10 入れ子
11 スプルーブッシュ
12 コイルバネ
13 ランナープレート
14 第1スプルー
15 ランナー
16 第2スプルー
17 ストップボルト(制限手段)
18 収容部
19 合成樹脂
20 コアピンプレート
21 コイルバネ
22 サイドプレート
23 ランナー部
24 ディスクゲート部
31 スラストワッシャ
32 内径面
33 外径面
34 切り欠き部
35 溝

Claims (5)

  1. 可動型板と固定型板とランナストリッパプレートとを備えてなる3プレート金型構造の中空円盤状スラストワッシャの射出成形金型であって、
    前記射出成形金型は、前記可動型板に設けられ、前記固定型板と前記可動型板を衝合して形成される円環状のキャビティに、該キャビティの内周部に設けられたディスクゲートを介して合成樹脂を射出成形する金型であり、
    前記可動型板は、前記キャビティの一部を構成する円環状の凹部と、該凹部の中心軸上に配置された、該凹部と同心円柱状のコアピンと、該コアピンの中心軸上に配置された突き出しピンとを有し、
    前記固定型板は、前記可動型板との衝合面と面一に配置され、前記凹部と対向して前記キャビティの一部を構成する端面を有する入れ子と、前記入れ子の中心軸上で、かつ、前記コアピンと同軸上に配置されたスプルーブッシュとを有し、前記入れ子と前記スプルーブッシュの間に弾性部材が組み込まれ、前記入れ子に対して前記スプルーブッシュが移動可能であり、
    前記コアピンの外周形状と、前記スプルーブッシュの前記コアピンとの対向面の外周形状とが同一形状であり、
    前記固定型板と前記可動型板とが衝合された衝合状態において、前記コアピンと前記スプルーブッシュの間に前記ディスクゲートが形成され、前記衝合状態で、前記スプルーブッシュが前記衝合面から後退可能であり、前記コアピンの前進により前記ディスクゲートの切断が可能であることを特徴とするスラストワッシャの射出成形金型。
  2. 前記衝合状態で、前記コアピンが型閉じ方向に前進し、前記スプルーブッシュが後退することを特徴とする請求項1記載のスラストワッシャの射出成形金型。
  3. 前記固定型板は、前記衝合状態において前記スプルーブッシュの後退距離を制限する制限手段を有することを特徴とする請求項2記載のスラストワッシャの射出成形金型。
  4. 前記制限手段は、本体部と該本体部から拡径されたフランジ部とを有する柱状部材であり、
    前記固定型板は、前記制限手段を収容する収容部を有し、該収容部において、前記制限手段は、前記スプルーブッシュの後退と連動して前記型閉じ方向に移動可能に収容され、該制限手段の移動に伴って前記フランジ部の前記型閉じ方向側の端面が前記収容部に当接することで前記スプルーブッシュの後退距離を制限することを特徴とする請求項3記載のスラストワッシャの射出成形金型。
  5. 前記ランナストリッパプレートと前記固定型板とが開放されるのと同時に、前記コアピンを前進させることを特徴とする請求項2から請求項4までのいずれか1項記載のスラストワッシャの射出成形金型。
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