JP5896033B2 - 電動車両の外部充電構造 - Google Patents

Description

本発明は、車載バッテリへの充電時、充電ガンが接続される充電ポートを備えた電動車両の外部充電構造に関する。

従来、車体前部に２つの充電ポートを配設し、この２つの充電ポートを上下方向に回動して開閉可能なリッドによって覆った充電ポート用リッドの開閉構造が知られている（例えば、特許文献１参照）。

特開２０１０−２８８３６３号公報

しかしながら、特許文献１に記載された充電ポートに接続される充電ガンには、充電ポートとの電気的接続位置で連結を保持するロック部と、ガン表面から突出して設けられ、押し操作によりロック部のロック解除を行うロック解除操作部と、を有する充電ガンロック機構が設けられている。

そのため、充電ガンを充電ポートに接続しての充電中、充電ガンに向かって充電ポートリッドを閉じる操作を行ったとき、リッド裏面と充電ガンのロック解除操作部が当接し、ロック解除操作部が押されてロック部が解除されてしまい、電気的接続による充電動作が中断してしまうおそれがある、という問題があった。

本発明は、上記問題に着目してなされたもので、充電中、充電ガンに向かって充電ポートリッドを閉じても、充電ポートリッドによる充電ガンのロック解除を防止する電動車両の外部充電構造を提供することを目的とする。

上記目的を達成するため、本発明の電動車両の外部充電構造は、車載バッテリへの充電時に充電ガンが接続される充電ポートと、非充電時に閉じて前記充電ポートが配置されたポート室の開口を覆い、充電時に開いて前記充電ガンのポート接続を許容する開口空間を確保する充電ポートリッドと、前記充電ポートリッドを開閉させる開閉機構と、を備える。
この電動車両の外部充電構造において、
前記充電ポートは、前記充電ガンに設けられるロック部と電気的接続位置で連結を保持する状態で係合している係合部を有する。
前記開閉機構は、前記充電ガンに設けられるロック解除操作部のロック解除方向への操作方向と略同一方向に前記充電ポートリッドを閉じる状態に形成されている。
前記充電ポートリッドは、その裏面に、充電中の前記充電ガンに向かって前記充電ポートリッドを閉じたとき、前記ロック解除操作部に当接するよりも先に、前記ロック解除操作部以外の部位に当接する先当たり部を有する。

よって、充電中の充電ガンに向かって充電ポートリッドを閉じたとき、充電ポートリッドの裏面に設けられた先当たり部が、ロック解除操作部に当接するよりも先に、ロック解除操作部以外の部位に当接する。
したがって、充電中の充電ガンに向かって充電ポートリッドを閉じる操作を行っても、充電ポートリッドの先当たり部とロック解除操作部以外の部位の当接が維持され、充電ポートリッドの裏面によりロック解除操作部が押されることによる充電ガンのロック解除が防止される。この結果、ロック解除に伴う充電動作の意図しない中断も回避される。
このように、充電中におけるリッド閉じ操作によるロック解除対策として、ロック解除操作部より先に、ロック解除操作部以外の部位に当接する先当たり部を、予め充電ポートリッドの裏面に設けておく構成とした。このため、充電中、充電ガンに向かって充電ポートリッドを閉じても、充電ポートリッドによる充電ガンのロック解除を防止することができる。

実施例１の外部充電構造が適用された電気自動車（電動車両の一例）の主要構造を示す全体斜視図である。 実施例１の外部充電構造が適用された電気自動車の車体前部を示す斜視図である。 実施例１の外部充電構造が適用された電気自動車の車体前部を示す縦断面図である。 実施例１の外部充電構造を備えた充電ポートを中心とする周辺部構成を示す縦断面図である。 実施例１の外部充電構造を備える充電ポートリッドのアウタパネルを示す外観斜視図である。 実施例１の外部充電構造を備える充電ポートリッドのインナパネルを示す裏面斜視図である。 実施例１の外部充電構造を備える充電ポートリッドのインナパネル及びカメラカバーを示す裏面斜視図である。 実施例１の外部充電構造を備える電気自動車での充電中において充電ガンに向かって充電ポートリッドを閉じた状態を示す断面図である。 実施例２の外部充電構造を備える充電ポートリッドのインナパネルを示す裏面斜視図である。 実施例２の外部充電構造を備える電気自動車での充電中において充電ガンに向かって充電ポートリッドを閉じた状態を示す断面図である。

以下、本発明の電動車両の外部充電構造を実施するための形態を、図面に示す実施例１及び実施例２に基づいて説明する。

実施例１の電気自動車の外部充電構造の構成を、「電気自動車の全体構成」、「電気自動車の車体前部構成」、「外部充電構造の詳細構成」に分けて説明する。

［電気自動車の全体構成］
図１は、実施例１の外部充電構造が適用されたセダンタイプの電気自動車（電動車両の一例）の概略構成を示す。以下、図１に基づき、電気自動車の全体構成を説明する。

実施例１の外部充電構造が適用された電気自動車１は、図１に示すように、駆動モータ２と、駆動モータインバータ３と、DC/DCジャンクションボックス４と、バッテリパック５と、外部充電ユニット６と、車載充電器７と、エアコンユニット８と、１２ボルト車載バッテリ９と、を備えている。

前記駆動モータ２は、減速機を有する走行用駆動源であり、車両前部に設けられたモータルームＭに配置される。この駆動モータ２の図外の出力軸は、駆動輪である左右前輪（左前輪FLのみを図示）に連結される。この駆動モータ２は、駆動モータインバータ３に対して正のトルク指令が出力されている時には、バッテリパック５からの放電電力を使って駆動トルクを発生する駆動動作をし、左右前輪を駆動する（力行）。一方、駆動モータインバータ３に対し負のトルク指令が出力されている時には、左右前輪からの回転エネルギーを電気エネルギーに変換する発電動作をし、発電した電力をバッテリパック５の充電電力とする（回生）。

前記DC/DCジャンクションボックス４は、DC/DCコンバータを内蔵し、バッテリパック５からの高電圧の放電電力を分配し、１２ボルト電源系システムへの電力供給及び１２ボルト車載バッテリ９への充電を行う。また、このDC/DCジャンクションボックス４は、普通充電リレー及び急速充電リレーを有しており、充電モードに合わせて充電回路の切り替えができるようにしている。

前記バッテリパック５は、フロアパネルＦの下側である床下空間Ｙであって、ホイールベースの中央部位置に配置される。このバッテリパック５は、駆動モータ２の電力源となると共に、エアコンユニット８の電力源となる。

前記外部充電ユニット６は、充電スタンドや家庭用充電設備等の車外電源からの充電ガンを接続して外部充電を行うユニットであり、車両前部中央位置に設けられると共に、充電ポートリッド２１によって開閉可能に覆われている。なお、充電ポートとしては、普通充電ポート２２と、急速充電ポート２３と、を有している。前記普通充電ポート２２は、家庭用充電設備や普通充電スタンド等による充電時に用いる充電ポートであり、車載充電器７を介してDC/DCジャンクションボックス４にハーネス接続されている。前記急速充電ポート２３は、急速充電スタンド等による充電時に用いる充電ポートであり、DC/DCジャンクションボックス４にハーネス接続されている。

前記エアコンユニット８は、フロアパネル１０の上側、つまり車室Ｒであって、バッテリパック５よりも車両前方側に配置されている。ここでは、モータルームＭと車室Ｒを区画するダッシュパネルＤと、図外のインストルメントパネルとの間に配置される。このエアコンユニット８は、設定温度が得られるように温度調整した温調風を車室Ｒ内へ向かって送風する。

実施例１の外部充電構造は、アラウンドビューモニターシステムに用いられる複数の監視カメラ１１，１２，１３，１４のうち、車両前方を撮影する監視カメラ１１が充電ポートリッド２１に対して取り付けられた電気自動車１に適用されている。ここで、アラウンドビューモニターシステムとは、車両の前後左右に取り付けた超広角レンズによる監視カメラ１１，１２，１３，１４の映像を合成し、自車の周りの状況をリアルタイムでわかりやすくインストルメントパネル上のモニターに表示するシステムをいう。このシステムによれば、例えば、路面の駐車枠と自車両の位置関係をモニター表示することにより、パーキングスペースに簡単に駐車できるという駐車支援機能が発揮される。なお、監視カメラ１１の取り付け構造を含む外部充電構造の詳細構成については後述する。

［電気自動車の車体前部構成］
図２及び図３は、実施例１の外部充電構造が適用された電気自動車の車体前部を示す斜視図及び縦断面図である。以下、図２及び図３に基づき、電気自動車の車体前部構成を説明する。

実施例１の電気自動車１の車体前部には、図２及び図３に示すように、フロントフード４１と、フロントバンパー４２と、外部充電ユニット６と、を備えている。

前記フロントフード４１は、車体前部の上部位置に、上下方向に開閉可能（図２：フード開、図３：フード閉）に設けられる。このフロントフード４１を閉じた状態で形成されるモータルームＭには、駆動モータインバータ３、１２ボルト車載バッテリ９、熱交換器やファンを集約したフロントエンドモジュール４３、等が配置される。

前記フロントバンパー４２は、車体前部の下部位置に、両側から車両後方に向かって一体に延出され、フェンダーを兼用する車体部品として形成されている。このフロントバンパー４２には、左右一対のヘッドライトユニット４４，４４、フロントエンドモジュール４３に走行風を導入する走行風導入口４５、等が形成されている。

前記充電ポートユニット６は、フロントフード４１とフロントバンパー４２の間であって、車幅方向中央部の位置に配置される。この充電ポートユニット６は、充電ポートリッド２１と、普通充電ポート２２と、急速充電ポート２３と、を備えている。

前記充電ポートリッド２１は、車体に対し左右の開閉アーム機構２４，２４を介して上下方向に開閉可能に設けられ、図３に示すように、車両前部に設けられたフロントバンパー４２よりも車両上方位置であって、フロントバンパー４２よりも車両後方位置に配置している。この充電ポートリッド２１の裏面側には、リッド閉状態でリッドロック機構２５にロック固定されるストライカ２６が設けられている。

前記普通充電ポート２２及び急速充電ポート２３は、図３に示すように、フロントエンドモジュール３３の車幅方向中央部に縦方向に配置された狭幅のセンターサポートメンバ４６にボルト固定されたポートサポートメンバ２７に車幅方向に並べて固定される。普通充電ポート２２及び急速充電ポート２３のポート先端部は、外側から組み付けられるポートカバー２８により形成されるポート室２９に車幅方向に並べて配置され、充電時、このポート先端部に充電ガン５０（図８参照）が差し込み固定される。なお、リッドロック機構２５は、ポートサポートメンバ２７に固定されたポートブラケット３０に設けられる。

［外部充電構造の詳細構成］
図４〜図８は、外部充電構造の詳細構成を示す。以下、図４〜図８に基づき、外部充電構造の詳細構成を説明する。

実施例１の外部充電構造は、図４〜図８に示すように、リッドロック機構２５と、充電ポートリッド２１と、監視カメラ１１と、を備えている。すなわち、アラウンドビューモニターシステムにおいて、車両前部周辺を撮影する監視カメラ１１を、充電ポートリッド２１に対し取り付けた例での外部充電構造である。

前記リッドロック機構２５は、ポートブラケット３０に設けられ、充電ポートリッド２１を閉じたとき全閉位置にてストライカ２６を拘束し、閉鎖ロックする機構である。このリッドロック機構２５のロック解除は、図４に示すように、スイッチ操作や遠隔操作により電動アクチュエータ３１に対して指令を出力し、ワイヤ３２をモータにより牽引動作させることでなされる。なお、ロック解除制御系がフェイルした時にロック解除を手動操作にて担保するように、リッドロック機構２５には、ポートハウジング３３の開口から突出した手動ロック解除レバー３４が設けられている。

前記充電ポートリッド２１は、車両前部であって、且つ、車幅方向中央位置に設けられた普通充電ポート２２及び急速充電ポート２３を開閉可能に覆うリッドである。この充電ポートリッド２１は、図４に示すように、外側に配置されたアウタパネル２１ａと、アウタパネル２１ａの内側に配置されたインナパネル２１ｂと、を有する。

前記監視カメラ１１は、図４及び図６に示すように、カメラ本体部１１ａと、カメラレンズ部１１ｂと、カメラ側ハーネス１１ｃと、カメラ側コネクタ１１ｄと、を有する。カメラ側ハーネス１１ｃは、図６に示すように、カメラ本体部１１ａから延びる。カメラ側コネクタ１１ｄは、カメラ側ハーネス１１ｃの先端部に設けられ、車体側コネクタ４７と接続する。

前記監視カメラ１１の取り付け構造は、図４に示すように、充電ポートリッド２１のアウタパネル２１ａに、レンズ光軸線を斜め前方下向きとしたカメラレンズ部１１ｂを車両前部周辺に向かって露出させるレンズ開口２１ｃを設ける。そして、アウタパネル２１ａとインナパネル２１ｂにより形成されるパネル空間２１ｄの位置に、図４に示すように、カメラ本体部１１ａを配置する。さらに、インナパネル２１ｂに、充電ポートリッド２１を開いた状態でリッド裏面側からの操作で着脱可能なようにカメラ本体部１１ａを固定する構造としている。

前記監視カメラ１１のうちカメラ本体部１１ａのインナパネル２１ｂに対する固定は、図６に示すように、監視カメラ１１を固定したブラケット３５を、インナパネル２１ｂのパネル開口２１ｅから挿通し、裏面側段差部２１ｆに対しボルト３６，３６により締め付け固定することでなされる。なお、ボルト３６，３６の反対側面には、図外のスタッドナットが、予め溶接により固定されている。

前記監視カメラ１１のうちカメラ側コネクタ１１ｄの固定は、図６に示すように、充電ポートリッド２１のインナパネル２１ｂのパネル開口２１ｅの一部を折り曲げて形成した屈曲部２１ｇに対し、爪係合により差し込み固定される。

前記インナパネル２１ｂには、図７に示すように、カメラ本体部１１ａ及びカメラ本体部１１ａを固定するカメラ固定部２１ｈを覆う合成樹脂製によるカメラカバー３８を設けている。このカメラカバー３８は、充電ポートリッド２１を開いた状態でリッド裏面側からの４箇所の爪係合穴２１ｉへの差し込み爪係合と爪係合解除引き抜きにより係脱可能としている。

前記カメラ本体部１１ａを固定するカメラ固定部２１ｈは、図６に示すように、インナパネル２１ｂのうち、インナパネル２１ｂに固定されるストライカ２６の近傍位置に配置している。ここで、リッドロック機構２５に対しロック係合するストライカ２６は、図６に示すように、ストライカ本体部２６ａとストライカベース部２６ｂにより構成され、ストライカベース部２６ｂを、インナパネル２１ｂに対し一対のピン２６ｃ，２６ｃにより固定されている。

前記充電ポートリッド２１のアウタパネル２１ａに、図４及び図５に示すように、車両外方に円形状にて突出する突出部２１ｊを形成している。そして、突出部２１ｊの円形状表面にエンブレム３９を設け、突出部２１ｊの裏面側空間位置に監視カメラ１１を配置している。なお、レンズ開口２１ｃは、突出部２１ｊの高さ範囲内の円形開口径であって、且つ、外部から視認しにくい突出部２１ｊの最下部位置に形成されている。

前記電気自動車１の外部充電構造は、図８に示すように、バッテリパック５（車載バッテリ）への充電時に充電ガン５０が接続される普通充電ポート２２（充電ポート）と、充電ポートリッド２１と、を備えている。充電ポートリッド２１は、非充電時に閉じて普通充電ポート２２が配置されたポート室２９の開口を覆い（図４）、充電時に開いて充電ガン５０のポート接続を許容する開口空間を確保する（図８）。

前記充電ガン５０には、図８に示すように、普通充電ポート２２の電気的接続位置で連結を保持するロック部５１ａと、ガン表面から突出して設けられ、押し操作によりロック部５１ａのロック解除を行うロック解除操作部５１ｂと、を有する充電ガンロック機構５１が設けられる。この充電ガンロック機構５１は、支軸５１ｃを中心として回動するレバー部材による構成であり、レバー先端部にロック部５１ａが設けられ、レバー後端部にロック解除操作部５１ｂが設けられる。また、充電ガン５０には、図８に示すように、レバー付勢部材５２と、レバー解除位置スイッチ５３と、が設けられる。なお、普通充電ポート２２には、電気的接続位置で充電ガン５０が抜けないようにロック部５１ａと係合する係合突起部２２ａが設けられる。

前記充電ポートリッド２１の裏面には、図８に示すように、充電中の充電ガン５０に向かって充電ポートリッド２１を閉じたとき、ロック解除操作部５１ｂに当接するよりも先に、ロック解除操作部５１ｂ以外の部位に当接する先当たり部３８ａが設けられる。ロック解除操作部５１ｂは、充電ガン５０の先端部のポート接続部５０ａと、後端部の操作把持部５０ｂと、の間の位置に配置される。そして、先当たり部３８ａによる充電ガン５０への当接位置CPを、充電ガン５０のポート接続状態におけるロック解除操作部５１ｂの近傍位置に設定している。

前記先当たり部３８ａは、図７に示すように、内蔵した監視カメラ１１を充電ポートリッド２１の裏面から覆うカメラカバー３８に一体に突出して形成される。このカメラカバー３８には、先当たり部３８ａに隣接する位置であって、且つ、ロック解除操作部５１ｂに対応する位置に、ロック解除操作部５１ｂとの干渉を回避する凹溝３８ｂが形成される。

次に、作用を説明する。
実施例１の電気自動車１の外部充電構造における作用を、「充電ガンのロック解除防止作用」、「外部充電構造による他の作用」に分けて説明する。

［充電ガンのロック解除防止作用］
充電ガンのロック解除は、充電終了後、ロック解除操作部に対する手動による押し操作により行われる。しかし、充電中の充電ガンに向かって充電ポートリッドを閉じたとき、充電ポートリッドの裏面によってロック解除操作部が押されることにより、ロック解除の意図がないにもかかわらず行われることがある。この意図しない充電ガンロック解除対策を講じる必要がある。以下、これを反映する充電ガンのロック解除防止作用を説明する。

実施例１では、充電ポートリッド２１の裏面に、充電中の充電ガン５０に向かって充電ポートリッド２１を閉じたとき、ロック解除操作部５１ｂに当接するよりも先に、ロック解除操作部５１ｂ以外の部位に当接する先当たり部３８ａを設ける構成を採用した。

一般に、普通充電ポート２２に対し充電ガン５０を差し込んで行う充電は、図２に示すように、充電ポートリッド２１を全開状態にしたままで行われる。しかし、稀に見受けられるケースではあるものの、普通充電ポート２２に対し充電ガン５０を差し込んだ後、全開状態の充電ポートリッド２１を閉じ、充電ガン５０の上部を充電ポートリッド２１により覆った状態として行われることがある。

このように、充電ガン５０を普通充電ポート２２に接続しての充電中、充電ガン５０に向かって充電ポートリッド２１を閉じる操作を行ったとき、リッド裏面と充電ガン５０のロック解除操作部５１ｂが当接すると、ロック解除操作部５１ｂが押されてロック部５１ａが解除されてしまう。その結果、充電期待に反し、ロック解除時点から電気的接続による充電動作が中断してしまい、所望の充電がなされない。

これに対し、充電中の充電ガン５０に向かって充電ポートリッド２１を閉じたとき、充電ポートリッド２１の裏面に設けられた先当たり部３８ａが、ロック解除操作部５１ｂに当接するよりも先に、ロック解除操作部５１ｂ以外の部位に当接する。

したがって、充電中の充電ガン５０に向かって充電ポートリッド２１を閉じる操作を行っても、図８に示すように、充電ポートリッド２１の先当たり部３８ａとロック解除操作部５１ｂ以外の部位の当接が維持される。これによって、充電ポートリッド２１の裏面によってロック解除操作部５１ｂが押されることによる充電ガン５０のロック解除が防止される。この結果、ロック解除に伴う充電動作の意図しない中断も回避される。

このように、充電中におけるリッド閉じ操作によるロック解除対策として、ロック解除操作部５１ｂより先に、ロック解除操作部５１ｂ以外の部位に当接する先当たり部３８ａを、予め充電ポートリッド２１の裏面に設けておく構成とした。このため、充電中、充電ガン５０に向かって充電ポートリッド２１を閉じても、充電ポートリッド２１による充電ガン５０のロック解除が防止される。

［外部充電構造による他の作用］
実施例１では、先当たり部３８ａによる当接位置CPを、充電ガン５０のポート接続状態におけるロック解除操作部５１ｂの近傍位置に設定する構成を採用した。
まず、充電ガン５０のガン形状について述べると、ガン形状としては、先端部のポート接続部５０ａと後端部の操作把持部５０ｂとの間での角度範囲が、０度〜４５度程度である。つまり、角度ゼロの曲がりがないストレート形状から、図８に示すような角度４５度程度の最大曲がり形状まで種々の形状が存在する。
この場合、先当たり部３８ａによる突出高さに関しては、ストレート形状に比べ曲がり形状であり曲がり角度が大きいほど高くする必要がある。先当たり部３８ａによる当接位置CPに関しては、曲がり角度が同じであれば、ロック解除操作部５１ｂから離れた位置であればあるほど先当たり部３８ａの突出高さを高くする必要がある。
これに対し、先当たり部３８ａによる当接位置CPをロック解除操作部５１ｂの近傍位置に設定したことで、充電ガン５０のガン形状にかかわらず、先当たり部３８ａの突出高さが低く抑えられる。

実施例１では、充電ポートリッド２１に、車両の周囲を撮影する監視カメラ１１を内蔵し、先当たり部３８ａを、監視カメラ１１を充電ポートリッド２１の裏面から覆うカメラカバー３８に形成する構成を採用した。
例えば、監視カメラを内蔵した充電ポートリッドに、先当たり部を設ける場合、カメラカバーとは別に、先当たり部材を付加することが考えられる。しかし、この場合、先当たり部材の付加により部品点数を増大してしまう。
これに対し、先当たり部３８ａを、予め設けられているカメラカバー３８に形成したことで、カメラカバー３８と先当たり部３８ａを一つの部品で兼用することができ、部品点数の増大が抑えられる。

次に、効果を説明する。
実施例１の電気自動車１の外部充電構造にあっては、下記に列挙する効果を得ることができる。

(1) 車載バッテリ（バッテリパック５）への充電時に充電ガン５０が接続される充電ポート（普通充電ポート２２）と、非充電時に閉じて前記充電ポート（普通充電ポート２２）が配置されたポート室２９の開口を覆い、充電時に開いて前記充電ガン５０のポート接続を許容する開口空間を確保する充電ポートリッド２１と、を備えた電動車両（電気自動車１）の外部充電構造において、
前記充電ガン５０は、前記充電ポート（普通充電ポート２２）との電気的接続位置で連結を保持するロック部５１ａと、ガン表面から突出して設けられ、押し操作により前記ロック部５１ａのロック解除を行うロック解除操作部５１ｂと、を有し、
前記充電ポートリッド２１の裏面に、充電中の前記充電ガン５０に向かって前記充電ポートリッド２１を閉じたとき、前記ロック解除操作部５１ｂに当接するよりも先に、前記ロック解除操作部５１ｂ以外の部位に当接する先当たり部３８ａを設けた（図８）。
このように、ロック解除操作部５１ｂより先にロック解除操作部５１ｂ以外の部位に当接する先当たり部３８ａを、予め充電ポートリッド２１の裏面に設けておく構成とした。このため、充電中、充電ガン５０に向かって充電ポートリッド２１を閉じても、充電ポートリッド２１による充電ガン５０のロック解除を防止することができる。

(2) 前記先当たり部３８ａによる当接位置CPを、前記充電ガン５０のポート接続状態における前記ロック解除操作部５１ｂの近傍位置に設定した（図８）。
このため、(1)の効果に加え、充電ガン５０のガン形状にかかわらず、先当たり部３８ａの突出高さを低く抑えることができる。

(3) 前記充電ポートリッド２１に、車両の周囲を撮影する監視カメラ１１を内蔵し、
前記先当たり部３８ａを、前記監視カメラ１１を前記充電ポートリッド２１の裏面から覆うカメラカバー３８に形成した（図７）。
このため、(1)又は(2)の効果に加え、カメラカバー３８と先当たり部３８ａを一つの部品で兼用することにより、部品点数の増大を抑えることができる。

実施例２は、監視カメラが内蔵されていない充電ポートリッドを備えた電気自動車に外部充電構造を適用した例である。

まず、構成を説明する。
図９は、実施例２の外部充電構造を備える充電ポートリッドのインナパネルを示し、図１０は、実施例２の外部充電構造を備える電気自動車での充電中において充電ガンに向かって充電ポートリッドを閉じた状態を示す。以下、図９及び図１０に基づき、実施例２の外部充電構造の詳細構成を説明する。

充電ポートリッド２１は、実施例１のように、監視カメラ１１が内蔵されていなく、図１０に示すように、車両外側に配置されるアウタパネル２１ａと、アウタパネル２１ａの内側に配置されるインナパネル２１ｂと、を有する。そして、図９に示すように、インナパネル２１ｂを車両内側に向かって膨出することで先当たり部２１ｋを形成した。

ロック解除操作部５１ｂは、実施例１と同様の構成であり、図１０に示すように、充電ガン５０の先端部のポート接続部５０ａと、後端部の操作把持部５０ｂと、の間の位置に配置される。そして、先当たり部２１ｋによる当接位置CP'は、充電ガン５０のポート接続状態におけるロック解除操作部５１ｂから離間した位置であって、且つ、充電ポートリッド２１の回動中心Ｏ（瞬間中心）から離間した位置（操作把持部５０ｂの後端位置）に設定される。なお、他の構成は、実施例１と同様であるので、対応する構成に同一符号を付して説明を省略する。

次に、作用を説明する。
実施例２では、先当たり部２１ｋによる当接位置CP'を、充電ガン５０のポート接続状態におけるロック解除操作部５１ｂから離間した位置であって、且つ、充電ポートリッド２１の回動中心Ｏから離間した位置に設定する構成を採用した。
まず、先当たり部２１ｋによる当接位置CP'によるモーメントの釣り合い関係について述べる。充電ポートリッド２１の中央部に外力Ｆ１が加わっている場合、図１０に示すように、先当たり部２１ｋでの反力をＦ２とすると、
Ｆ１・Ｌ１＝Ｆ２・Ｌ２ …(1)
但し、Ｌ１は回動中心Ｏから外力Ｆ１までのスパン、Ｌ２は回動中心Ｏから反力Ｆ２までのスパンである。
という式が成り立つ。上記(1)式において、左辺のＦ１・Ｌ１が一定であるとすると、右辺のＦ２・Ｌ２のうち、スパンＬ２が長いほど、反力Ｆ２が小さくなる。
これに対し、先当たり部２１ｋによる当接位置CP'をロック解除操作部５１ｂ（回動中心Ｏ）から離間した位置に設定したことで、スパンＬ２が長く確保され、同じ外力Ｆ１を加えたとき、反力Ｆ２（＜Ｆ１）が小さく抑えられる。この反力Ｆ２は、言い換えると充電ガン５０に加わる荷重であり、先当たり部２１ｋによる当接位置CP'を離間設定したことにより、充電ガン５０に加わる荷重が小さく抑えられる。

実施例２では、充電ポートリッド２１のインナパネル２１ｂを車両内側に向かって膨出することで先当たり部２１ｋを形成する構成を採用した。
例えば、充電ポートリッドに、先当たり部を設ける場合、充電ポートリッドとは別に、先当たり部材を付加することが考えられる。しかし、この場合、先当たり部材の付加により部品点数を増大してしまう。
これに対し、先当たり部２１ｋを、充電ポートリッド２１の構成要素であるインナパネル２１ｂに形成したことで、インナパネル２１ｂと先当たり部２１ｋを一つの部品で兼用することができ、部品点数の増大が抑えられる。
なお、他の作用は、実施例１と同様であるので、説明を省略する。

次に、効果を説明する。
実施例２の電気自動車１の外部充電構造にあっては、下記に列挙する効果を得ることができる。

(4) 前記先当たり部２１ｋによる当接位置CP'を、前記充電ガン５０のポート接続状態における前記ロック解除操作部５１ｂから離間した位置であって、且つ、充電ポートリッド２１の回動中心Ｏから離間した位置に設定した（図１０）。
このため、上記(1)の効果に加え、充電中の充電ガン５０に向かって充電ポートリッド２１を閉じたとき、充電ガン５０に加わる荷重を小さく抑えることができる。

(5) 前記充電ポートリッド２１は、車両外側に配置されるアウタパネル２１ａと、前記アウタパネル２１ａの内側に配置されるインナパネル２１ｂと、を有し、
前記先当たり部２１ｋを、前記インナパネル２１ｂを車両内側に向かって膨出することで形成した（図９）。
このため、上記(1)及び(4)の効果に加え、インナパネル２１ｂと先当たり部２１ｋを一つの部品で兼用することにより、部品点数の増大を抑えることができる。

以上、本発明の電動車両の外部充電構造を実施例１及び実施例２に基づき説明してきたが、具体的な構成については、これらの実施例に限られるものではなく、請求の範囲の各請求項に係る発明の要旨を逸脱しない限り、設計の変更や追加等は許容される。

実施例１，２では、普通充電ポート２２に接続される充電ガン５０に対して充電ポートリッド２１の裏面に先当たり部３８ａ，２１ｋを設ける例を示した。しかしながら、急速充電ポートに接続される充電ガンに対して充電ポートリッドの裏面に先当たり部を設ける例としても良いし、更に、普通充電ポートと急速充電ポートに接続されるそれぞれの充電ガンに対して充電ポートリッドの裏面に先当たり部を設ける例としても良い。

実施例１，２では、外部充電構造を、モータを駆動源として走行する電気自動車１に適用する例を示した。しかし、外部充電構造の適用車両はこれに限られず、駆動源にモータとエンジンを有するプラグインハイブリッド車等、外部充電構造を備えた他の電動車両に適用することができる。

関連出願の相互参照

本出願は、２０１２年９月１９日に日本国特許庁に出願された特願２０１２−２０５８７３に基づいて優先権を主張し、その全ての開示は完全に本明細書で参照により組み込まれる。

Claims (5)

1. 車載バッテリへの充電時に充電ガンが接続される充電ポートと、非充電時に閉じて前記充電ポートが配置されたポート室の開口を覆い、充電時に開いて前記充電ガンのポート接続を許容する開口空間を確保する充電ポートリッドと、前記充電ポートリッドを開閉させる開閉機構と、を備えた電動車両の外部充電構造において、
   前記充電ポートは、前記充電ガンに設けられるロック部と電気的接続位置で連結を保持する状態で係合している係合部を有し、
   前記開閉機構は、前記充電ガンに設けられるロック解除操作部のロック解除方向への操作方向と略同一方向に前記充電ポートリッドを閉じる状態に形成されており、
   前記充電ポートリッドは、その裏面に、充電中の前記充電ガンに向かって前記充電ポートリッドを閉じたとき、前記ロック解除操作部に当接するよりも先に、前記ロック解除操作部以外の部位に当接する先当たり部を有する
   ことを特徴とする電動車両の外部充電構造。
2. 請求項１に記載された電動車両の外部充電構造において、
   前記先当たり部による当接位置を、前記充電ガンのポート接続状態における前記ロック解除操作部の近傍位置に設定した
   ことを特徴とする電動車両の外部充電構造。
3. 請求項１に記載された電動車両の外部充電構造において、
   前記先当たり部による当接位置を、前記充電ガンのポート接続状態における前記ロック解除操作部から離間した位置であって、且つ、充電ポートリッドの回動中心から離間した位置に設定した
   ことを特徴とする電動車両の外部充電構造。
4. 請求項１または請求項２に記載された電動車両の外部充電構造において、
   前記充電ポートリッドに、車両の周囲を撮影する監視カメラを内蔵し、
   前記先当たり部を、前記監視カメラを前記充電ポートリッドの裏面から覆うカメラカバーに形成した
   ことを特徴とする電動車両の外部充電構造。
5. 請求項１または請求項３に記載された電動車両の外部充電構造において、
   前記充電ポートリッドは、車両外側に配置されるアウタパネルと、前記アウタパネルの内側に配置されるインナパネルと、を有し、
   前記先当たり部は、前記インナパネルが車両内側に向かって膨出した状態で形成されている
   ことを特徴とする電動車両の外部充電構造。

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