JP5891242B2 - 塩素化塩化ビニル系樹脂の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、塩素化塩化ビニル系樹脂の製造方法に関し、詳しくは透明性に優れた塩素化塩化ビニル系樹脂の製造方法に関する。
塩素化塩化ビニル系樹脂は、塩化ビニル系樹脂を後塩素化して製造されており、塩化ビニル系樹脂の長所である優れた耐候性、難燃性、耐薬品性等の性能を有し、塩化ビニル系樹脂より熱変形温度が20〜40℃も高いので、耐熱パイプ、耐熱継手、耐熱バルブ、耐熱プレート等の耐熱性が100℃を要求される用途に好適に使用されている。
しかしながら、塩素化塩化ビニル系樹脂は熱変形温度が高いので、耐熱パイプ、耐熱継手、耐熱バルブ、耐熱プレート等に成型加工するには高温で加熱溶融しなければならず、熱安定性(初期着色性、耐熱安定性)等が悪いと透明な成形品が得られないという欠点があった。
従来、塩化ビニル系樹脂を後塩素化するには、密閉可能な反応容器内において、塩化ビニル系樹脂の水懸濁液を作成し、塩素を圧入すると共に紫外線を照射する方法が採用されてきたが、最近は熱安定性の優れた塩素化塩化ビニル系樹脂を得るために紫外線を照射せず、加熱のみで塩素化する方法(熱塩素化)が提案され、更に、反応時間を短縮するために、熱塩素化において過酸化水素を添加する塩素化方法が提案されている。
例えば、「密閉可能な容器内でポリ塩化ビニルを水性媒体中に懸濁させ、上記容器内を減圧した後、塩素を容器内に導入して90〜140℃の温度でポリ塩化ビニルを塩素化する方法であって、塩素化の過程で、反応中のポリ塩化ビニルの塩素含有率が60重量%以上に到った時点で、ポリ塩化ビニルに対し5〜50ppm/hrの速度で過酸化水素の添加を開始することを特徴とする塩素化塩化ビニル系樹脂の製造方法。」(例えば、特許文献1参照。)が提案されており、実施例1には「内容積300リットルのグラスライニング製反応器に、脱イオン水200kgと平均重合度600のPVC56kgを投入し、攪拌してPVCを水中に分散させた後、反応器内を加熱して70℃に昇温した。次いで、反応器中を減圧して酸素を除去(酸素量100ppm)した後、塩素分圧が0.4MPaになるように塩素(酸素含有量50ppm)を導入し反応を開始すると同時に、さらに100℃まで昇温した。塩素含有率が61重量%に到達した後、200ppmの過酸化水素水を、PVCに対して過酸化水素として15ppm/hrとなるように添加を開始し、100℃、塩素分圧0.4MPa一定の条件下で、塩素含有率が65重量%に達した時点で塩素ガスの供給を停止し、塩素化を終了した。次いで、窒素ガスを通気して、未反応塩素を除去し、得られたCPVCスラリーを水酸化ナトリウムで中和し、水で洗浄し、脱水した後、乾燥して粉末状のCPVCを得た。」と低温で塩素化を開始し、昇温して所定の温度で更に塩素化する方法が提案されている。
しかしながら、上記塩素化方法においては、反応器内に塩素を導入して塩素化を開始してから反応温度まで昇温する間の温度を制御せず、単に反応温度までできるだけ早く昇温していたので、得られた塩素化塩化ビニル系樹脂の熱安定性(初期着色性、耐熱安定性)等が悪く透明な成形品が得られないという欠点があった。
特開2001−151815号公報
本発明の目的は、上記問題点に鑑み、熱安定性(初期着色性、耐熱安定性)が優れており透明な成形品が得られる塩素化塩化ビニル系樹脂の製造方法を提供することにある。
即ち、本発明は、
[1]密閉可能な反応容器内において、塩化ビニル系樹脂を水懸濁状態で熱塩素化反応を行うにあたり、塩化ビニル系樹脂粉末の水懸濁液を85℃以上、95℃未満の温度範囲内の所定温度まで昇温しながら第1の熱塩素化反応を行ない、その後、該所定温度で第2の熱塩素化反応を行なう塩素化塩化ビニル系樹脂の製造方法であって、水懸濁液温度55〜70℃で塩素ガスを反応容器内に導入して熱塩素化反応を開始し、反応容器内の温度を反応容器内の塩素化塩化ビニル系樹脂のガラス転移温度以下の温度に保ちながら該所定温度まで昇温して、反応容器内の塩素化塩化ビニル系樹脂の塩素含有率が58重量%以上、60重量%未満になるように第1の熱塩素化反応を行ない、その後、該所定温度で第2の熱塩素化反応を行なうことを特徴とする塩素化塩化ビニル系樹脂の製造方法、
[2]密閉可能な反応容器内において、塩化ビニル系樹脂を水懸濁状態で熱塩素化反応を行うにあたり、塩化ビニル系樹脂粉末の水懸濁液を95℃以上、105℃未満の温度範囲内の所定温度まで昇温しながら第1の熱塩素化反応を行ない、その後、該所定温度で第2の熱塩素化反応を行なう塩素化塩化ビニル系樹脂の製造方法であって、水懸濁液温度55〜70℃で塩素ガスを反応容器内に導入して熱塩素化反応を開始し、反応容器内の温度を反応容器内の塩素化塩化ビニル系樹脂のガラス転移温度以下の温度に保ちながら該所定温度まで昇温して、反応容器内の塩素化塩化ビニル系樹脂の塩素含有率が60重量%以上、62重量%未満になるように第1の熱塩素化反応を行ない、その後、該所定温度で第2の熱塩素化反応を行なうことを特徴とする塩素化塩化ビニル系樹脂の製造方法、
[3]密閉可能な反応容器内において、塩化ビニル系樹脂を水懸濁状態で熱塩素化反応を行うにあたり、塩化ビニル系樹脂粉末の水懸濁液を105℃〜115℃の温度範囲内の所定温度まで昇温しながら第1の熱塩素化反応を行ない、その後、該所定温度で第2の熱塩素化反応を行なう塩素化塩化ビニル系樹脂の製造方法であって、水懸濁液温度55〜70℃で塩素ガスを反応容器内に導入して熱塩素化反応を開始し、反応容器内の温度を反応容器内の塩素化塩化ビニル系樹脂のガラス転移温度以下の温度に保ちながら該所定温度まで昇温して、反応容器内の塩素化塩化ビニル系樹脂の塩素含有率が62〜63重量%になるように第1の熱塩素化反応を行ない、その後、該所定温度で第2の熱塩素化反応を行なうことを特徴とする塩素化塩化ビニル系樹脂の製造方法、
[4]第2の熱塩素化反応の際に過酸化水素を塩化ビニル系樹脂に対して5〜30ppm/Hr添加することを特徴とする上記[1]、[2]又は[3]記載の塩素化塩化ビニル系樹脂の製造方法、及び、
[5]過酸化水素の全添加量が塩化ビニル系樹脂に対し10〜300ppmであることを特徴とする上記[4]記載の塩素化塩化ビニル系樹脂の製造方法
に関する。
本発明の塩素化塩化ビニル系樹脂の製造方法の構成は上述の通りであり、容易に塩素化塩化ビニル系樹脂を得ることができ、得られた塩素化塩化ビニル系樹脂は熱安定性、耐候性、難燃性、耐薬品性等が優れ、得られた塩素化塩化ビニル系樹脂から成型された成型体は透明性が優れている。
請求項1記載の塩素化塩化ビニル系樹脂の製造方法は、密閉可能な反応容器内において、塩化ビニル系樹脂を水懸濁状態で熱塩素化反応を行うにあたり、塩化ビニル系樹脂粉末の水懸濁液を85℃以上、95℃未満の温度範囲内の所定温度まで昇温しながら第1の熱塩素化反応を行ない、その後、該所定温度で第2の熱塩素化反応を行なう塩素化塩化ビニル系樹脂の製造方法であって、水懸濁液温度55〜70℃で塩素ガスを反応容器内に導入して熱塩素化反応を開始し、反応容器内の温度を反応容器内の塩素化塩化ビニル系樹脂のガラス転移温度以下の温度に保ちながら該所定温度まで昇温して、反応容器内の塩素化塩化ビニル系樹脂の塩素含有率が58重量%以上、60重量%未満になるように第1の熱塩素化反応を行ない、その後、該所定温度で第2の熱塩素化反応を行なうことを特徴とする。
上記塩化ビニル系樹脂の平均重合度は一般に600〜2000である。塩化ビニル系樹脂は、塩化ビニル単独重合体及び塩化ビニル単量体を50重量%以上含み、塩化ビニル単量体と共重合可能な他の単量体との共重合体であり、塩化ビニルと共重合可能な他の単量体としては、例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル等の(メタ)アクリル酸エステル;エチレン、プロピレン等のオレフィン;無水マレイン酸;アクリロニトリル;スチレン;塩化ビニリデン等が挙げられる。
上記塩化ビニル系樹脂粉末は、粒子径は小さくなると取り扱いが難しくなり、大きくなると塩素化に長時間かかるので、平均粒子径は100〜200μmが好ましい。
上記塩素化塩化ビニル系樹脂の製造方法は、密閉可能な反応容器内において、塩化ビニル系樹脂を水懸濁状態で熱塩素化反応を行う。上記密閉可能な反応容器としては、ガラスライニングを施した耐圧容器で、攪拌装置と加熱冷却用ジャケットが設置されている反応容器が好ましい。
尚、本発明において、熱塩素化反応とは、紫外線照射することなく加熱して熱塩素化する反応である。
塩化ビニル系樹脂粉末の水懸濁液を得るには、水中に塩化ビニル系樹脂粉末を添加し攪拌して分散させ懸濁すればよい。又、塩化ビニル系樹脂粉末が水懸濁重合により製造された場合は、塩化ビニル系樹脂粉末が水懸濁状態になっているのでそのまま使用できる。
第1の熱塩素化反応は、塩化ビニル系樹脂粉末の水懸濁液を85℃以上、95℃未満の温度範囲内の所定温度まで昇温しながら行なう熱塩素化反応であり、水懸濁液温度55〜70℃で塩素ガスを反応容器内に導入して熱塩素化反応を開始し、反応容器内の温度を反応容器内の塩素化塩化ビニル系樹脂のガラス転移温度以下の温度に保ちながら該所定温度まで昇温して、反応容器内の塩素化塩化ビニル系樹脂の塩素含有率が58重量%以上、60重量%未満になるように行う。
第1の熱塩素化反応を行うには、塩化ビニル系樹脂粉末の水懸濁液が供給されている密閉可能な反応容器内を減圧して酸素を除去すると共に加熱し、水懸濁液温度が熱塩素化反応の開始可能な温度になったときに塩素ガスを反応容器内に導入して熱塩素化反応を開始するのが好ましい。
上記減圧は真空ポンプにより吸引して脱気するのが好ましい。吸引は、例えば、反応容器内の気圧が、その時の水の蒸気圧に水銀柱20mmの圧力を加えた程度の圧力に達するまで行い、その圧力に数分間維持することによって最初の脱気を行い、その後、反応容器内に窒素を圧入して暫く放置した後、再度真空ポンプによって吸引脱気を行って酸素を除去するという操作を繰り返して、反応容器内の酸素量を100ppm以下にするのが好ましい。又、加熱は、反応容器に設置されているジャケットに蒸気又は熱水を供給して行なうのが好ましい。
熱塩素化反応は、水懸濁液の温度が熱塩素化反応の開始可能な温度になったとき、即ち、55〜70℃になったときに塩素ガスを反応容器内に導入して開始する。上記塩素ガスは純粋なものが好ましいが、1000ppm以上の酸素を含んでいる市販の塩素ガスそのまま使用してもよい。
水懸濁液温度が低すぎると熱塩素化反応は殆ど進まず、非効率なので第1の熱塩素化反応の開始温度は55℃以上である。又、本発明は、初期の熱塩素化反応を反応容器内の塩素化塩化ビニル系樹脂(即ち、塩素化される(塩素化)塩化ビニル系樹脂)のガラス転移温度以下の温度で行なうことを主旨とするものであり、ガラス転移温度より高くなると得られた塩素化塩化ビニル系樹脂の熱安定性が低下し、成形体の透明性が低下するので第1の熱塩素化反応の開始温度は70℃以下である。
第1の熱塩素化反応は、反応の開始後、反応容器内の温度を反応容器内の塩素化塩化ビニル系樹脂のガラス転移温度以下の温度に保ちながら85℃以上、95℃未満の温度範囲内の所定温度まで昇温して行なうのであって、該所定温度に到達した際の、反応容器内の塩素化塩化ビニル系樹脂の塩素含有率が58重量%以上、60重量%未満になるように行う。
即ち、反応容器内の塩化ビニル系樹脂は塩素化されて塩素化塩化ビニル系樹脂になり、次第に塩素含有率が多くなり、それに従って塩素化塩化ビニル系樹脂のガラス転移温度も上昇するので、反応容器内の温度を反応容器内の塩素化塩化ビニル系樹脂のガラス転移温度以下の温度に保ちながら上昇し、上記所定温度に達したときに、反応容器内の塩素化塩化ビニル系樹脂の塩素含有率が58重量%以上、60重量%未満になるように設定して塩素化反応を行う。
第2の熱塩素化反応は85℃以上、95℃未満の温度範囲内の上記所定温度で行なうが、塩素化される塩素化塩化ビニル系樹脂のガラス転移温度以上の温度で熱塩素化されると得られた塩素化塩化ビニル系樹脂の熱安定性が低下し、成形体の透明性が低下する傾向があるので、第2の熱塩素化反応も、塩素化される塩素化塩化ビニル系樹脂のガラス転移温度以下の温度で行なうのが好ましい。
又、熱塩素化の速度をあげ、反応時間を短縮するために、過酸化水素を添加してもよいが、昇温中(第1の熱塩素化反応中)に添加すると反応速度が速くなって温度が上昇し、反応温度を制御しにくくなり、塩素化塩化ビニル系樹脂中の塩素含有率が多くなると塩素化速度が低下するので、第2の熱塩素化反応の際に添加するのが好ましい。
過酸化水素の添加速度は、小さくなると反応速度の促進効果が発揮されず、大きくなると得られた塩素化塩化ビニル系樹脂の熱安定性が損なわれる傾向があるので、塩化ビニル系樹脂に対して5〜30ppm/Hrが好ましい。又、過酸化水素の全添加量は、少なくなると反応速度の促進効果が発揮されず、多くなると熱安定性が損なわれる傾向があるので、塩化ビニル系樹脂に対して10〜300ppmが好ましく、より好ましくは、15〜200ppmである。過酸化水素の添加は連続的であってもよいし、断続的であってもよい。
第2の熱塩素化反応は、塩素化塩化ビニル系樹脂中の塩素含有率が所定の量に到達した時に、未反応塩素ガスを排気し、冷却することにより、容易に停止することができる。得られた塩素化塩化ビニル系樹脂スラリーを水洗して塩酸を除去し、必要に応じて中和剤等を加え、脱水、乾燥することにより所定の塩素含有率の塩素化塩化ビニル系樹脂粉末を得ることができる。請求項1記載の製造方法で得られる塩素化塩化ビニル系樹脂の塩素含有率は特に限定されないが、60〜72重量%が好ましい。
請求項2記載の塩素化塩化ビニル系樹脂の製造方法は、密閉可能な反応容器内において、塩化ビニル系樹脂を水懸濁状態で熱塩素化反応を行うにあたり、塩化ビニル系樹脂粉末の水懸濁液を95℃以上、105℃未満の温度範囲内の所定温度まで昇温しながら第1の熱塩素化反応を行ない、その後、該所定温度で第2の熱塩素化反応を行なう塩素化塩化ビニル系樹脂の製造方法であって、水懸濁液温度55〜70℃で塩素ガスを反応容器内に導入して熱塩素化反応を開始し、反応容器内の温度を反応容器内の塩素化塩化ビニル系樹脂のガラス転移温度以下の温度に保ちながら該所定温度まで昇温して、反応容器内の塩素化塩化ビニル系樹脂の塩素含有率が60重量%以上、62重量%未満になるように第1の熱塩素化反応を行ない、その後、該所定温度で第2の熱塩素化反応を行なうことを特徴とする。
以下、請求項1記載の塩素化塩化ビニル系樹脂の製造方法と異なる点のみ説明する。
請求項2記載の塩素化塩化ビニル系樹脂の製造方法において、第1の熱塩素化反応は、反応の開始後、反応容器内の温度を反応容器内の塩素化塩化ビニル系樹脂のガラス転移温度以下の温度に保ちながら95℃以上、105℃未満の温度範囲内の所定温度まで昇温して行なうのであって、該所定温度に到達した際の、反応容器内の塩素化塩化ビニル系樹脂の塩素含有率が60重量%以上、62重量%未満になるように行う。
第2の熱塩素化反応の所定温度を95℃以上、105℃未満と高くすることにより、昇温時間は長くなるが、第2の熱塩素化反応の熱塩素化反応温度が高くなるので第2の熱塩素化反応における熱塩素化反応速度は速くなり、全体の熱塩素化反応時間は短縮される。又、第2の熱塩素化反応の熱塩素化温度を高くしても得られた塩素化塩化ビニル系樹脂の熱安定性(初期着色製及び耐熱安定性)が低下することはない。
請求項2記載の製造方法で得られる塩素化塩化ビニル系樹脂の塩素含有率は特に限定されないが、62〜72重量%が好ましい。
請求項3記載の塩素化塩化ビニル系樹脂の製造方法は、密閉可能な反応容器内において、塩化ビニル系樹脂を水懸濁状態で熱塩素化反応を行うにあたり、塩化ビニル系樹脂粉末の水懸濁液を105〜115℃の温度範囲内の所定温度まで昇温しながら第1の熱塩素化反応を行ない、その後、該所定温度で第2の熱塩素化反応を行なう塩素化塩化ビニル系樹脂の製造方法であって、水懸濁液温度55〜70℃で塩素ガスを反応容器内に導入して熱塩素化反応を開始し、反応容器内の温度を反応容器内の塩素化塩化ビニル系樹脂のガラス転移温度以下の温度に保ちながら該所定温度まで昇温して、反応容器内の塩素化塩化ビニル系樹脂の塩素含有率が62〜63重量%になるように第1の熱塩素化反応を行ない、その後、該所定温度で第2の熱塩素化反応を行なうことを特徴とする。
以下、請求項1記載の塩素化塩化ビニル系樹脂の製造方法と異なる点のみ説明する。
請求項3記載の塩素化塩化ビニル系樹脂の製造方法において、第1の熱塩素化反応は、反応の開始後、反応容器内の温度を反応容器内の塩素化塩化ビニル系樹脂のガラス転移温度以下の温度に保ちながら105〜115℃の温度範囲内の所定温度まで昇温して行なうのであって、該所定温度に到達した際の、反応容器内の塩素化塩化ビニル系樹脂の塩素含有率が62〜63重量%になるように行う。
第2の熱塩素化反応の所定温度を105〜115℃と高くすることにより、昇温時間は長くなるが、第2の熱塩素化反応の熱塩素化反応温度が高くなるので第2の熱塩素化反応における熱塩素化反応速度は速くなり、全体の熱塩素化反応時間は短縮される。又、第2の熱塩素化反応の熱塩素化反応温度を高くしても得られた塩素化塩化ビニル系樹脂の熱安定性(初期着色製及び耐熱安定性)が低下することはない。
請求項3記載の製造方法で得られる塩素化塩化ビニル系樹脂の塩素含有率は特に限定されないが、63〜72重量%が好ましい。
次に、本発明の実施例を説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
内容積300リットルのグラスライニング製反応容器に、脱イオン水200kgと平均重合度600の塩化ビニル樹脂粉末(平均粒子径120μm、ガラス転移温度82℃)56kgを投入し、攪拌して塩化ビニル樹脂粉末を水中に分散させ水懸濁状態にした後、反応容器内を加熱して水懸濁液を70℃に昇温した。次いで、反応容器中を減圧して酸素を除去(酸素量100ppm)した後、塩素分圧が0.4MPaになるように塩素ガス(酸素含有量50ppm)を導入して熱塩素化反応を開始すると共に、更に1.1時間かけて90℃まで昇温して第1の熱塩素化反応を行なった。
第1の熱塩素化反応の開始後0.55時間に、反応容器内の塩素化塩化ビニル系樹脂粉末をサンプリングし、ガラス転移温度を測定したところ86.6℃であった。尚、サンプリングしたときの水懸濁液の温度は80℃であった。
又、第1の熱塩素化反応の開始後1.1時間後に、反応容器内の塩素化塩化ビニル系樹脂粉末をサンプリングし、塩素含有率を測定したところ58.2重量%であり、ガラス転移温度を測定したところ91.1℃であった。尚、サンプリングしたときの水懸濁液の温度は90℃であった。即ち、第1の熱塩素化反応(昇温)中、反応容器内の水懸濁液の温度は反応容器内の塩素化塩化ビニル樹脂のガラス転移温度以下の温度に保たれていた。
その後、熱塩素化反応温度を90℃、塩素分圧を0.4MPaに保って、第2の塩素化反応を8.7時間継続し、塩素導入から9.8時間熱塩素化反応(第1の熱塩素化反応と第2の熱塩素化反応の合計)を行った後、塩素ガスの供給を停止し、熱塩素化反応を終了した。尚、塩素含有率が61重量%に到達した後、200ppmの過酸化水素水を、塩化ビニル樹脂に対して過酸化水素として15ppm/Hrとなるように熱塩素化反応終了まで添加した。過酸化水素の塩化ビニル樹脂に対する全添加量は114ppmであった。
次いで、窒素ガスを通気して、未反応塩素ガスを除去し、得られた塩素化塩化ビニル樹脂スラリーを水酸化ナトリウムで中和し、水で洗浄し、脱水した後、乾燥して粉末状の塩素化塩化ビニル樹脂を得た。得られた塩素化塩化ビニル樹脂の塩素含有率は64.9重量%であり、ガラス転移温度は134.3℃であった。
(実施例2)
内容積300リットルのグラスライニング製反応容器に、脱イオン水200kgと平均重合度600の塩化ビニル樹脂粉末(平均粒子径120μm、ガラス転移温度82℃)56kgを投入し、攪拌して塩化ビニル樹脂粉末を水中に分散させ水懸濁状態にした後、反応容器内を加熱して水懸濁液を70℃に昇温した。次いで、反応容器中を減圧して酸素を除去(酸素量100ppm)した後、塩素分圧が0.4MPaになるように塩素ガス(酸素含有量50ppm)を導入して熱塩素化反応を開始すると共に、更に1.4時間かけて95℃まで昇温し第1の熱塩素化反応を行なった。
第1の熱塩素化反応の開始後0.7時間に、反応容器内の塩素化塩化ビニル系樹脂粉末をサンプリングし、ガラス転移温度を測定したところ93.7℃であった。尚、サンプリングしたときの水懸濁液の温度は83℃であった。
又、第1の熱塩素化反応の開始後1.4時間後に、反応容器内の塩素化塩化ビニル系樹脂粉末をサンプリングし、塩素含有率を測定したところ60.7重量%であり、ガラス転移温度を測定したところ105.8℃であった。尚、サンプリングしたときの水懸濁液の温度は95℃であった。即ち、第1の熱塩素化反応(昇温)中、反応容器内の水懸濁液の温度は反応容器内の塩素化塩化ビニル樹脂のガラス転移温度以下の温度に保たれていた。
その後、熱塩素化反応温度を95℃、塩素分圧を0.4MPaに保って、第2の熱塩素化反応を6.8時間継続し、塩素導入から8.2時間熱塩素化反応(第1の熱塩素化反応と第2の熱塩素化反応の合計)を行った後、塩素ガスの供給を停止し、熱塩素化反応を終了した。尚、塩素含有率が61重量%に到達した後、200ppmの過酸化水素水を、塩化ビニル樹脂に対して過酸化水素として15ppm/Hrとなるように熱塩素化反応終了まで添加した。過酸化水素の塩化ビニル樹脂に対する全添加量は102ppmであった。
次いで、窒素ガスを通気して、未反応塩素ガスを除去し、得られた塩素化塩化ビニル樹脂スラリーを水酸化ナトリウムで中和し、水で洗浄し、脱水した後、乾燥して粉末状の塩素化塩化ビニル樹脂を得た。得られた塩素化塩化ビニル樹脂の塩素含有率は65.0重量%であり、ガラス転移温度は135.0℃であった。
(実施例3)
内容積300リットルのグラスライニング製反応容器に、脱イオン水200kgと平均重合度600の塩化ビニル樹脂粉末(平均粒子径120μm、ガラス転移温度82℃)56kgを投入し、攪拌して塩化ビニル樹脂粉末を水中に分散させ水懸濁状態にした後、反応容器内を加熱して水懸濁液を70℃に昇温した。次いで、反応容器中を減圧して酸素を除去(酸素量100ppm)した後、塩素分圧が0.4MPaになるように塩素ガス(酸素含有量50ppm)を導入して熱塩素化反応を開始すると共に、更に2.0時間かけて100℃まで昇温し第1の熱塩素化反応を行なった。
第1の熱塩素化反応の開始後1.0時間に、反応容器内の塩素化塩化ビニル系樹脂粉末をサンプリングし、ガラス転移温度を測定したところ94.5℃であった。尚、サンプリングしたときの水懸濁液の温度は85℃であった。
又、第1の熱塩素化反応の開始後2.0時間後に、反応容器内の塩素化塩化ビニル系樹脂粉末をサンプリングし、塩素含有率を測定したところ61.0重量%であり、ガラス転移温度を測定したところ108.0℃であった。尚、サンプリングしたときの水懸濁液の温度は100℃であった。即ち、第1の熱塩素化反応(昇温)中、反応容器内の水懸濁液の温度は反応容器内の塩素化塩化ビニル樹脂のガラス転移温度以下の温度に保たれていた。
その後、熱塩素化反応温度を100℃、塩素分圧を0.4MPaに保って、第2の熱塩素化反応を4.5時間継続し、塩素導入から6.5時間熱塩素化反応(第1の熱塩素化反応と第2の熱塩素化反応の合計)を行った後、塩素ガスの供給を停止し、熱塩素化反応を終了した。尚、第2の熱塩素化反応開始直後から200ppmの過酸化水素水を、塩化ビニル樹脂に対して過酸化水素として15ppm/Hrとなるように塩素化反応終了まで添加した。過酸化水素の塩化ビニル樹脂に対する全添加量は67.5ppmであった。
次いで、窒素ガスを通気して、未反応塩素ガスを除去し、得られた塩素化塩化ビニル樹脂スラリーを水酸化ナトリウムで中和し、水で洗浄し、脱水した後、乾燥して粉末状の塩素化塩化ビニル樹脂を得た。得られた塩素化塩化ビニル樹脂の塩素含有率は64.8重量%であり、ガラス転移温度は133.5℃であった。
(実施例4)
内容積300リットルのグラスライニング製反応容器に、脱イオン水200kgと平均重合度600の塩化ビニル樹脂粉末(平均粒子径120μm、ガラス転移温度82℃)56kgを投入し、攪拌して塩化ビニル樹脂粉末を水中に分散させ水懸濁状態にした後、反応容器内を加熱して水懸濁液を70℃に昇温した。次いで、反応容器中を減圧して酸素を除去(酸素量100ppm)した後、塩素分圧が0.4MPaになるように塩素ガス(酸素含有量50ppm)を導入して熱塩素化反応を開始すると共に、更に2.6時間かけて110℃まで昇温して第1の熱塩素化反応を行なった。
第1の熱塩素化反応の開始後1.3時間後に、反応容器内の塩素化塩化ビニル系樹脂粉末をサンプリングし、ガラス転移温度を測定したところ99.3℃であった。尚、サンプリングしたときの水懸濁液の温度は90℃であった。
又、第1の熱塩素化反応の開始後2.6時間後に、反応容器内の塩素化塩化ビニル系樹脂粉末をサンプリングし、塩素含有率を測定したところ62.5重量%であり、ガラス転移温度を測定したところ118.6℃であった。尚、サンプリングしたときの水懸濁の温度は110℃であった。即ち、第1の熱塩素化反応(昇温)中、反応容器内の水懸濁液の温度は反応容器内の塩素化塩化ビニル樹脂のガラス転移温度以下の温度に保たれていた。
その後、熱塩素化反応温度を110℃、塩素分圧を0.4MPaに保って、第2の熱塩素化反応を1.6時間継続し、塩素導入から4.2時間熱塩素化反応(第1の熱塩素化反応と第2の熱塩素化反応の合計)を行った後、塩素ガスの供給を停止し、熱塩素化反応を終了した。尚、第2の塩素化反応開始直後から200ppmの過酸化水素水を、塩化ビニル樹脂に対して過酸化水素として15ppm/Hrとなるように塩素化反応終了まで添加した。過酸化水素の塩化ビニル樹脂に対する全添加量は24ppmであった。
次いで、窒素ガスを通気して、未反応塩素ガスを除去し、得られた塩素化塩化ビニル樹脂スラリーを水酸化ナトリウムで中和し、水で洗浄し、脱水した後、乾燥して粉末状の塩素化塩化ビニル樹脂を得た。得られた塩素化塩化ビニル樹脂の塩素含有率は64.0重量%であり、ガラス転移温度は135.0℃であった。
(比較例1)
内容積300リットルのグラスライニング製反応容器に、脱イオン水200kgと平均重合度600の塩化ビニル樹脂粉末(平均粒子径120μm、ガラス転移温度82℃)56kgを投入し、攪拌して塩化ビニル樹脂粉末を水中に分散させ水懸濁状態にした後、反応容器内を加熱して水懸濁液を70℃に昇温した。次いで、反応容器中を減圧して酸素を除去(酸素量100ppm)した後、塩素分圧が0.4MPaになるように塩素ガス(酸素含有量50ppm)を導入して熱塩素化反応を開始すると共に、更に0.5時間かけて95℃まで昇温して第1の熱塩素化反応を行なった。
水懸濁液が95℃に達したときに塩素化塩化ビニル系樹脂粉末をサンプリングし、塩素含有率を測定したところ58.0重量%であり、ガラス転移温度を測定したところ86.6℃であった。即ち、昇温中、反応容器内の水懸濁液の温度は反応容器内の塩素化塩化ビニル樹脂のガラス転移温度より高い温度になっていた。
その後、熱塩素化反応温度を95℃、塩素分圧を0.4MPaに保って、第2の熱塩素化反応を7.4時間継続し、塩素ガス導入から7.9時間熱塩素化反応(第1の熱塩素化反応と第2の熱塩素化反応の合計)を行った後、塩素ガスの供給を停止し、熱塩素化反応を終了した。尚、塩素含有率が61重量%に到達した後、200ppmの過酸化水素水を、塩化ビニル樹脂に対して過酸化水素として15ppm/Hrとなるように塩素化反応終了まで添加した。過酸化水素の塩化ビニル樹脂に対する全添加量は111ppmであった。
次いで、窒素ガスを通気して、未反応塩素ガスを除去し、得られた塩素化塩化ビニル樹脂スラリーを水酸化ナトリウムで中和し、水で洗浄し、脱水した後、乾燥して粉末状の塩素化塩化ビニル樹脂を得た。得られた塩素化塩化ビニル樹脂の塩素含有率は64.8重量%であり、ガラス転移温度は133.5℃であった。
(比較例2)
内容積300リットルのグラスライニング製反応容器に、脱イオン水200kgと平均重合度600の塩化ビニル樹脂粉末(平均粒子径120μm、ガラス転移温度82℃)56kgを投入し、攪拌して塩化ビニル樹脂粉末を水中に分散させ水懸濁状態にした後、反応容器内を加熱して水懸濁液を70℃に昇温した。次いで、反応容器中を減圧して酸素を除去(酸素量100ppm)した後、塩素分圧が0.4MPaになるように塩素ガス(酸素含有量50ppm)を導入して熱塩素化反応を開始すると共に、更に0.7時間かけて100℃まで昇温して第1の熱塩素化反応を行なった。
水懸濁液が100℃に達したときに塩素化塩化ビニル系樹脂粉末をサンプリングし、塩素含有率を測定したところ58.9重量%であり、ガラス転移温度を測定したところ93.0℃であった。即ち、昇温中、反応容器内の水懸濁液の温度は反応容器内の塩素化塩化ビニル樹脂のガラス転移温度より高い温度になっていた。
その後、熱塩素化反応温度を100℃、塩素分圧を0.4MPaに保って、第2の熱塩素化反応を5.4時間継続し、塩素導入から6.1時間熱塩素化反応(第1の熱塩素化反応と第2の熱塩素化反応の合計)を行った後、塩素ガスの供給を停止し、熱塩素化反応を終了した。尚、塩素含有率が61重量%に到達した後、200ppmの過酸化水素水を、塩化ビニル樹脂に対して過酸化水素として15ppm/Hrとなるように塩素化反応終了まで添加した。過酸化水素の塩化ビニル樹脂に対する全添加量は81ppmであった。
次いで、窒素ガスを通気して、未反応塩素ガスを除去し、得られた塩素化塩化ビニル樹脂スラリーを水酸化ナトリウムで中和し、水で洗浄し、脱水した後、乾燥して粉末状の塩素化塩化ビニル樹脂を得た。得られた塩素化塩化ビニル樹脂の塩素含有率は64.9重量%であり、ガラス転移温度は134.3℃であった。
(比較例3)
内容積300リットルのグラスライニング製反応容器に、脱イオン水200kgと平均重合度600の塩化ビニル樹脂粉末(平均粒子径120μm、ガラス転移温度82℃)56kgを投入し、攪拌して塩化ビニル樹脂粉末を水中に分散させ水懸濁状態にした後、反応容器内を加熱して水懸濁液を70℃に昇温した。次いで、反応容器中を減圧して酸素を除去(酸素量100ppm)した後、塩素分圧が0.4MPaになるように塩素ガス(酸素含有量50ppm)を導入して熱塩素化反応を開始すると共に、更に1.0時間かけて110℃まで昇温して第1の熱塩素化反応を行なった。
水懸濁液が110℃に達したときに塩素化塩化ビニル系樹脂粉末をサンプリングし、塩素含有率を測定したところ59.4重量%であり、ガラス転移温度を測定したところ96.5℃であった。即ち、昇温中、反応容器内の水懸濁液の温度は反応容器内の塩素化塩化ビニル樹脂のガラス転移温度より高い温度になっていた。
その後、熱塩素化反応温度を110℃、塩素分圧を0.4MPaに保って、第2の熱塩素化反応を2.8時間継続し、塩素ガス導入から3.8時間熱塩素化反応(第1の熱塩素化反応と第2の熱塩素化反応の合計)を行った後、塩素ガスの供給を停止し、熱塩素化反応を終了した。尚、塩素含有率が61重量%に到達した後、200ppmの過酸化水素水を、塩化ビニル樹脂に対して過酸化水素として15ppm/Hrとなるように塩素化反応終了まで添加した。過酸化水素の塩化ビニル樹脂に対する全添加量は42ppmであった。
次いで、窒素ガスを通気して、未反応塩素ガスを除去し、得られた塩素化塩化ビニル樹脂スラリーを水酸化ナトリウムで中和し、水で洗浄し、脱水した後、乾燥して粉末状の塩素化塩化ビニル樹脂を得た。得られた塩素化塩化ビニル樹脂の塩素含有率は64.8重量%であり、ガラス転移温度は133.5℃であった。
上記実施例及び比較例で得られた塩素化塩化ビニル樹脂の黄変度、熱安定性及び透明度を測定し、その結果を表1に示した。尚、各物性の測定方法は以下の通りである。
(1)黄変度
塩素化塩化ビニル樹脂100重量部、ブチル錫マレート系安定剤2重量部、ブチルステアレート0.5重量部、MBS樹脂5重量部、加工助剤0.5重量部よりなる塩素化塩化ビニル樹脂組成物を190℃のロールに供給して混合し、樹脂組成物がロールに巻き付いた後、更に1分間混練した。次いで、混練した樹脂組成物を185℃のプレスに供給して3分間予熱した後、4分間加圧(圧力20MPa)して、厚さ2mmの試験片を得た。得られた試験片を用い、日本電色工業社製色差計で黄変度を測定した。
(2)熱安定性
上記塩素化塩化ビニル樹脂組成物を190℃のロールに供給して混合し、樹脂組成物がロールに巻き付いた後、更に1分間混練して厚さ約0.5mmのシートを得た。得られたシートを200℃のギヤオーブン中で加熱し、黒化するまでの時間(分)を測定した。
(3)透明度
上記塩素化塩化ビニル樹脂組成物を165℃のロールに供給して混合し、樹脂組成物がロールに巻き付いた後、更に1分間混練した。次いで、混練した樹脂組成物を165℃のプレスに供給して3分間予熱した後、4分間加圧(圧力20MPa)して、厚さ5mmの試験片を得た。得られた試験片を用い、日本電色工業社製HAZE METERで透明度を測定した。
Figure 0005891242
本発明の塩素化塩化ビニル系樹脂の製造方法で得られた塩素化塩化ビニル系樹脂は熱安定性、耐候性、難燃性、耐薬品性等が優れ、得られた塩素化塩化ビニル系樹脂から成型された成型体は透明性が優れているので、建築材料や工業用材料として好適に使用できる。

Claims (5)

  1. 密閉可能な反応容器内において、塩化ビニル系樹脂を水懸濁状態で熱塩素化反応を行うにあたり、塩化ビニル系樹脂粉末を水に分散して得られた塩化ビニル系樹脂粉末の水懸濁液を85℃以上、95℃未満の温度範囲内の所定温度まで昇温しながら第1の熱塩素化反応を行ない、その後、該所定温度で第2の熱塩素化反応を行なう塩素化塩化ビニル系樹脂の製造方法であって、
    水懸濁液温度55〜70℃で塩素ガスを反応容器内に導入して熱塩素化反応を開始し、反応容器内の温度を反応容器内の塩素化塩化ビニル系樹脂のガラス転移温度以下の温度に保ちながら該所定温度まで昇温して、反応容器内の塩素化塩化ビニル系樹脂の塩素含有率が58重量%以上、60重量%未満になるように第1の熱塩素化反応を行ない、その後、該所定温度で第2の熱塩素化反応を行なうことを特徴とする塩素化塩化ビニル系樹脂の製造方法。
  2. 密閉可能な反応容器内において、塩化ビニル系樹脂を水懸濁状態で熱塩素化反応を行うにあたり、塩化ビニル系樹脂粉末を水に分散して得られた塩化ビニル系樹脂粉末の水懸濁液を95℃以上、105℃未満の温度範囲内の所定温度まで昇温しながら第1の熱塩素化反応を行ない、その後、該所定温度で第2の熱塩素化反応を行なう塩素化塩化ビニル系樹脂の製造方法であって、
    水懸濁液温度55〜70℃で塩素ガスを反応容器内に導入して熱塩素化反応を開始し、反応容器内の温度を反応容器内の塩素化塩化ビニル系樹脂のガラス転移温度以下の温度に保ちながら該所定温度まで昇温して、反応容器内の塩素化塩化ビニル系樹脂の塩素含有率が60重量%以上、62重量%未満になるように第1の熱塩素化反応を行ない、その後、該所定温度で第2の熱塩素化反応を行なうことを特徴とする塩素化塩化ビニル系樹脂の製造方法。
  3. 密閉可能な反応容器内において、塩化ビニル系樹脂を水懸濁状態で熱塩素化反応を行うにあたり、塩化ビニル系樹脂粉末を水に分散して得られた塩化ビニル系樹脂粉末の水懸濁液を105〜115℃の温度範囲内の所定温度まで昇温しながら第1の熱塩素化反応を行ない、その後、該所定温度で第2の熱塩素化反応を行なう塩素化塩化ビニル系樹脂の製造方法であって、
    水懸濁液温度55〜70℃で塩素ガスを反応容器内に導入して熱塩素化反応を開始し、反応容器内の温度を反応容器内の塩素化塩化ビニル系樹脂のガラス転移温度以下の温度に保ちながら該所定温度まで昇温して、反応容器内の塩素化塩化ビニル系樹脂の塩素含有率が62〜63重量%になるように第1の熱塩素化反応を行ない、その後、該所定温度で第2の熱塩素化反応を行なうことを特徴とする塩素化塩化ビニル系樹脂の製造方法。
  4. 第2の熱塩素化反応の際に過酸化水素を塩化ビニル系樹脂に対して5〜30ppm/Hr添加することを特徴とする請求項1、2又は3記載の塩素化塩化ビニル系樹脂の製造方法。
  5. 過酸化水素の全添加量が塩化ビニル系樹脂に対し10〜300ppmであることを特徴とする請求項4記載の塩素化塩化ビニル系樹脂の製造方法。
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