JP5885177B2 - 結線板の固定構造、固定方法、および、回転電機 - Google Patents

結線板の固定構造、固定方法、および、回転電機 Download PDF

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Description

この発明は結線板の固定構造、固定方法、および、回転電機に関し、特に、回転電機においてコイルに電流を配電する構造部品として用いられる結線板の固定構造、固定方法、および、それを用いた回転電機に関する。
回転電機において結線板を固定する場合、従来は、例えば、特許文献1に記載のように、結線板のホルダに溝を設け、各溝にバスバーを挿入し、バスバーを径方向に固定して、結線板を固定していた。あるいは、コイルとステータコア間の絶縁を確保する絶縁部材と結線板のホルダとを嵌合させて、結線板を固定していた。
特許第4789676号公報
しかしながら、特許文献1のように、バスバーをホルダに固定する場合、ホルダとバスバーの固定は、バスバーとコイルの溶接部に依存する。そのため、回転電機に振動などの衝撃荷重が加わった際、結線板が移動することによって、溶接部に応力が生じる。そのため、溶接部を強固にする必要があるという問題点があった。
また、インサートモールドを行うことで、ステータコアと結線板とを固定する場合には、インサートモールドを行うための大型の成形機などの設備が必要となり、量産性が低下するといった問題点があった。
この発明は、かかる問題点を解決するためになされたものであり、大型な設備を不要とし、溶接部への応力を抑え、衝撃負荷が加わった際にも結線板を保持することが可能な、結線板の固定構造、固定方法、および、それを用いた回転電機を得ることを目的とする。
この発明は、円環状に形成されたバスバーと前記バスバーを保持するホルダとから構成される結線板を固定するための結線板の固定構造であって、前記結線板を内部に収容する円筒型のフレームと、前記結線板を固定するための板金部材とを備え、前記板金部材の一端は、前記フレームの外周部に固定され、前記板金部材の他端は、前記フレーム内の前記結線板に向かって延設された可動端で、前記結線板の端面を前記フレームの軸方向に押さえ、前記結線板を固定することを特徴とする結線板の固定構造である。
この発明は、円環状に形成されたバスバーと前記バスバーを保持するホルダとから構成される結線板を固定するための結線板の固定構造であって、前記結線板を内部に収容する円筒型のフレームと、前記結線板を固定するための板金部材とを備え、前記板金部材の一端は、前記フレームの外周部に固定され、前記板金部材の他端は、前記フレーム内の前記結線板に向かって延設された可動端で、前記結線板の端面を前記フレームの軸方向に押さえ、前記結線板を固定することを特徴とする結線板の固定構造であるので、板金部材の弾力性により、結線板を固定するため、大型な設備を不要とし、溶接部への応力を抑え、衝撃負荷が加わった際にも結線板を保持することができる。
この発明の実施の形態1に係る結線板の固定構造および回転電機の構成を示す断面図および斜視図である。 この発明の実施の形態1に係る結線板の固定構造の構成を示す部分断面図、および、板金部材のバーリング部を示す斜視図である。 この発明の実施の形態2に係る結線板の固定構造の構成を示す部分断面図である。 この発明の実施の形態3に係る結線板の固定構造の構成を示す部分断面図である。 この発明の実施の形態4に係る結線板の固定構造の構成を示す部分断面図である。 この発明の実施の形態5に係る結線板の固定構造の構成を示す部分断面図である。 この発明の実施の形態6に係る回転電機の構成を示す斜視図である。 この発明の実施の形態7に係る結線板の固定構造の構成を示す部分断面図である。
以下、この発明の複数の実施の形態について説明する。なお、これらの実施の形態の組み合わせについては以下では説明しないが、各々の実施の形態の特徴部分を適宜組み合わせてもよいこととする。
実施の形態1.
図1(a),(b)は、この発明の実施の形態1に係る結線板の固定構造および回転電機の構成を示す断面図および斜視図である。なお、図1(a)の断面図は、回転電機の左半分だけを図示しており、回転電機の右半分は省略している。図1(a)の一点鎖線を対称軸とし、回転電機の左半分と右半分とは線対称の構成となっている。
図1に示すように、回転電機は、回転可能に設けられた円柱状のロータ1と、ロータ1の外側に配置された円筒状のステータ2とを備えている。ロータ1の外周面とステータ2の内周面とは、所定の間隙を介して、対向している。ロータ1はシャフト3に固定されている。シャフト3は、ロータ1の中心を貫通している。ロータ1の外周部の内部には、複数の永久磁石(図示せず)が周方向に均等間隔で埋設されている。シャフト3の両端は、ベアリング等の軸受部材(図示せず)により回転可能に支持されている。シャフト3の回転により、ロータ1は回転する。
なお、以下の説明では、ロータ1の軸方向(すなわち、シャフト3の長手方向)および円筒状のステータ2の中心軸方向を「軸方向」と呼び、「軸方向」に直交する方向を「径方向」と呼び、回転軸上にある点を中心にその直交平面上に描かれる円の円周に沿う方向を「周方向」と呼ぶ。
ステータ2は、フレーム5に嵌合されている。フレーム5は、図1(b)に示すように、円筒形をしており、一端にフランジ4(外周部)を有している。フランジ4は円環状に形成され、フレーム5の外周よりも径方向外側に突出している。フランジ4とフレーム5とは一体成型される。円筒状のフレーム5の内部は、空洞になっている。当該空洞内に、図1(a)に示すように、ロータ1、ステータ2、バスバー9、結線板ホルダ10、および、結線板カバー11が収納されている。結線板カバー11の端面は、図1(a),(b)に示すように、フレーム5のフランジ4の位置よりも外側に突き出ている。フランジ4は、アルミフレーム6(ハウジング)に、ボルト14により締結されている。フレーム5とアルミフレーム6とが回転電機の外フレームを構成している。従って、フレーム5とアルミフレーム6とを合わせて、外フレーム5,6と呼ぶ。
ステータ2は、ステータコア7と、コイル8と、バスバー9と、結線板ホルダ10と、結線板カバー11と、板金部材12とを有する。ステータコア7は、円筒状に形成されている。ステータコア7の内周側には、複数のティース(図示せず)が周方向に並んで突設されている。コイル8は、ステータコア7のティース間に形成されるスロット(図示せず)に挿入されて、1つまたは複数のティースの周囲に巻回されている。バスバー9は、コイル8の一端と電気的に接続されている。バスバー9は、円環状に形成された複数のバスバー部材を、同心円状に径方向に積層配置して、形成されている。結線板ホルダ10は、バスバー9を内部に収容する。なお、バスバー9と結線板ホルダ10とは、「結線板」を構成している。結線板カバー11は、円環状に形成されている。結線板カバー11は、図1(a)に示すように、断面形状が、略コの字になっている。結線板カバー11は、内部に結線板ホルダ10およびバスバー9を挿入させて、結線板ホルダ10を覆うように、設けられている。結線板カバー11は、PPSまたはナイロン等から構成された樹脂などの絶縁材料で構成されている。結線板カバー11は、絶縁性を有し、バスバー9と外環境との絶縁を確保する。
板金部材12は、可撓性及び/または弾力性を有する金属から構成されている。図1(b)では、8個の板金部材12が設けられている。しかしながら、板金部材12は任意の個数を設ければよい。但し、板金部材12は、結線板カバー11を押さえて固定させるために設けるものなので、少なくとも2つ以上設ける。板金部材12は、周方向に、等間隔で、配置されることが望ましい。板金部材12は、図1(b)に示すように、略矩形の細長い板状に形成されている。板金部材12の一端は、図1(a)に示すように、ボルト14により、フレーム5のフランジ4に固定されている。従って、ボルト14は、フランジ4、板金部材12、および、アルミフレーム6を、同時に、締結している。また、板金部材12の他端は、径方向に、フレーム5の内部に向かって、延設されている。板金部材12の当該他端は、固定されておらず、可動端である。板金部材12の当該他端は、結線板ホルダ10と結線板カバー11とを、ステータコア7に対して押さえつけている。また、板金部材12は、フランジ4の端面と結線板カバー11の端面との位置のずれに合わせて、折り曲げられている。板金部材12は、図1(a)に示すように、階段状になるように、略90°で谷折り、次に、略90°で山折り、というように、2箇所で折り曲げられている。但し、折り曲げの角度は、90°に限定されず、任意の角度でよい。板金部材12は、このように板金曲げされているので、板バネの機能を有する。従って、結線板ホルダ10とバスバー9とからなる「結線板」の軸端は、板金部材12のバネの弾性力により、ステータコア7の端面に対して、軸方向に押さえ付けられ、それにより、「結線板」が固定される。
この際、ステータコア7とフレーム5との間の距離、結線板ホルダ10の高さ(軸方向の長さ)、結線板カバー11の高さ(軸方向の長さ)に、公差ばらつきが生じる。そのため、結線板カバー11の端面の位置は、製品ごとに、完全に同一でないため、各々の公差を吸収する必要がある。また、電気自動車(EV)、および、ハイブリッド車(HV)などのモータは、大型で、かつ、振動などの外力が大きい。そのため、板金部材12の押さえ力が、10Gを超える場合も想定できる。その場合には、板金部材12の曲げ応力が過大となり、板金部材12が降伏する可能性がある。このような課題を解決するためには、板金部材12を長くすればよい。しかしながら、板金部材12を長くするためには、スペースが必要である。ところが、EVやHVでは、スペースは限られ、回転電機の外径の抑制もあるため、レイアウトが重要となる。
そこで、本実施の形態においては、一端が外フレーム5、6の外周部に対して保持され、他端が径方向に延長されて、結線板カバー11の軸端を押さえる力を持つ、板金部材12を用いる構成とした。このようにすることで、限られたスペースの中で、板金部材12の支点と作用点間の距離を十分に長く取ることができるため、板金部材12が降伏せず、上記の公差ばらつきを吸収し、必要な押さえ力を確保することができる。
なお、ここで、結線板ホルダ10は、結線板ホルダ10のステータコア7側の端面近傍で、コイル8が巻き回されたステータコア7のティース(図示せず)に、接触している(図1(a)、図2(a)参照)。従って、当該ティースにより、結線板ホルダ10の径方向の移動が制限され、結線板ホルダ10が、より強固に固定される。
また、板金部材12は、上述したように、金属から構成されている。板金部材12は、絶縁性を有する結線板カバー11を介して、バスバー9を押さえることで、板金部材12とバスバー9との間の絶縁を確保することができる。また、結線板カバー11は、リング状であるため、板金部材12による押さえ力を均等化でき、板金部材12の数を減らすことができる。また、板金部材12を用いて、結線板ホルダ10と、バスバー9と、結線板カバー11とを固定するため、コイル8とバスバー9との溶接部に負荷がかかることがない。
本実施の形態の構成を詳細に説明するため、図1に示すA部分を抽出して図2に示す。板金部材12には、ボルト14を挿入するための穴が形成されているが、その穴の周りに対し、図2(b)に示すように、バーリング加工を施し、バーリング部13を形成する。なお、バーリング加工とは、穴の周りに、立ち上がり加工を施し、立ち上がり部分(バーリング部13)を形成することである。加工方法としては、一般的に、パンチングで下穴を抜いて、その後に、板厚に応じた立ち上がり加工を行う。
フレーム5のフランジ4にも、ボルト14を挿入するための穴が形成されている。図2(a)に示すように、フランジ4の穴に、板金部材12のバーリング部13を圧入し、板金部材12を固定する。バーリング部13の外径のサイズは、フランジ4の穴の内径と同じか、あるいは、やや小さめになっている。そのため、フランジ4の穴に板金部材12のバーリング部13を圧入したときに、板金部材12が固定される。これにより、フレーム5とステータ2により部品が完結し、ステータ2とロータ1とを別々に出荷することが容易となる。
なお、結線板の固定方法について簡単に説明すると、まず、結線板をフレーム5の内部に収容し、次に、平板から構成された板金部材5を用意し、板金部材5の一端をフレーム5のフランジ4に固定し、板金部材5の他端をフレーム5内の結線板に向かって延設させ、当該他端により、結線板の端面をフレーム5の軸方向に押さえ、結線板を固定する。このような手順により、結線板を固定する。
以上のように、本実施の形態1によれば、円環状に形成されたバスバー9とバスバー9を保持するホルダ10とを備えた結線板において、板金部材12の一端がフレーム5の外周部のフランジ4に対して固定され、板金部材12の他端が径方向に延びて、結線板の軸端を軸方向に押さえ、結線板を機械的に固定するようにしたので、振動などの衝撃負荷がかかった際にも、結線板を保持することができる。これにより、結線板の移動による溶接部への応力の発生を阻止することができる。また、板金部材12で結線板を固定するようにしたので、限られたスペース内で十分な押さえ力を確保することができる。また、従来のようにインサートモールド等を行わないため、組み付け時に大型の設備を要することもない。
また、板金部材12の弾性力で、軸方向に結線板を押さえるようにしたので、部品の公差ばらつきを吸収し、結線板を固定することができる。また、板金部材12の弾性力を利用しているため、結線板の変位が大きくなればなるほど、より大きな力で押さえることができる。
実施の形態2.
図3は、本実施の形態2に係る結線板の固定構造および回転電機の構成を示す断面図である。本実施の形態2に係る回転電機の全体の構成は、上記の実施の形態1で示した構成と同じであるため、ここでは説明を省略する。図3と図2との違いは、図3においては、板金部材12の一端に、かしめ部15が設けられている点である。かしめ部15は、爪状に形成され、板金部材12から突設されている。かしめ部15は、図3に示すように、板金部材12を折り曲げることによって形成してもよいし、あるいは、板金部材12の一部を突出させることにより形成するようにしてもよい。他の構成については、上記の実施の形態1と同じであるため、ここでは、説明を省略する。
なお、「かしめる」とは、金属の塑性変形を利用して、部品同士を固定する方法である。すなわち、接合部分に嵌めこまれた爪や金具(リベット)を、ペンチなどの工具で打ったり締めたりして、当該爪や金具を変形させることにより、接合部分を固く留める方法である。当該変形には、つぶす、押し広げる、折り曲げてつぶす、折り曲げてひねる、などがある。
本実施の形態においては、かしめ部15を結線板カバー11に接触させた状態で、工具で、かしめ部15を結線板カバー11に打ち込む。これにより、かしめ部15の爪の形状が変形し、かしめ部15が結線板カバー11内に食い込んだ状態となる。このとき、結線板カバー11も、かしめ部15とともに変形し、それにより、かしめ部15と結線板カバー11とが強固に接合される。このようにして、かしめ部15により、板金部材12を結線板カバー11にかしめて固定する。これにより、結線板を、周方向にも強固に固定を行うことが可能となる。
なお、図3では、板金部材12が、結線板カバー11に対し、かしめ部15でのみ接触しているように示されているが、この場合に限らず、かしめ部15が結線板カバー11にかしめられていればよく、図2に示すように、板金部材12が結線板カバー11に接触していてもよい。
以上のように、本実施の形態においても、板金部材12の弾性力を用いて、結線板ホルダ10、バスバー9、および、結線板カバー11を押さえて、固定させるようにしたので、上記の実施の形態1と同様の効果が得られるとともに、さらに、本実施の形態においては、かしめ部15により、板金部材12を結線板カバー11にかしめて固定するようにしたので、結線板を、周方向にも強固に固定を行うことが可能となる。
なお、図3では、板金部材12にバーリング部13(図2参照)が設けられていないが、本実施の形態においても、バーリング部13を設けてもよく、その場合には、さらに強固な結線板の固定を行うことができる。
実施の形態3.
図4は、本実施の形態3に係る結線板の固定構造および回転電機の構成を示す断面図である。本実施の形態3に係る回転電機の全体の構成は、上記の実施の形態1で示した構成と同じであるため、ここでは説明を省略する。図4と図2との違いは、図2においては、バーリング部13がフランジ4側に向かって突設されていたが、図4においては、バーリング部13Aがアルミフレーム6側に向かって突設されている点である。他の構成については、上記の実施の形態1と同じであるため、ここでは、説明を省略する。
アルミフレーム6にも、ボルト14を挿入するための穴が形成されている。図4に示すように、アルミフレーム6の穴に、板金部材12のバーリング部13Aを圧入し、板金部材12を固定する。バーリング部13Aの外径のサイズは、アルミフレーム6の穴の内径と同じか、あるいは、やや小さめになっている。そのため、アルミフレーム6の穴に、板金部材12のバーリング部13Aを圧入したときに、板金部材12が固定される。さらに、フレーム5のフランジ4と、板金部材12と、アルミフレーム6とが、ボルト14により、締結される。これにより、アルミフレーム6とフレーム5とステータ2とにより部品が完結し、ステータ2とロータ1とを別々に出荷することが容易となる。
なお、フランジ4を有するフレーム5の板厚が薄い際に、図2のように、バーリング部13をフランジ4に圧入すると、バーリング部13の圧入部分の深さが十分に取れない場合が想定される。従って、フレーム5の板厚が薄い場合には、本実施の形態のように、バーリング部13Aを、アルミフレーム6側に設けることで、バーリング部13Aの圧入部分の深さが十分に取れ、フレーム5と板金部材12との固定が可能となる。
以上のように、本実施の形態においても、板金部材12の弾性力を用いて、結線板ホルダ10、バスバー9、および、結線板カバー11を押さえて、固定させるようにしたので、上記の実施の形態1と同様の効果が得られるとともに、さらに、本実施の形態においては、板金部材12にバーリング部13Aを設けて、バーリング部13Aをアルミフレーム6に圧入して固定するようにしたので、板金部材12とアルミフレーム6とを、より強固に固定することができる。また、本実施の形態は、フレーム5の板厚が薄い際にも、有効である。
実施の形態4.
図5は、本実施の形態4に係る結線板の固定構造および回転電機の構成を示す断面図である。本実施の形態4に係る回転電機の全体の構成は、上記の実施の形態1で示した構成と同じであるため、ここでは説明を省略する。図5と図1との違いは、図5においては、板金部材12をステータコア7に固定している点である。また、板金部材12の形状も、図1のものとは異なる。また、図1においては、フレーム5のフランジ4と、板金部材12と、アルミフレーム6とを、1つのボルト14で同時に締結していたが、図5では図示されていないが、本実施の形態においては、フレーム5のフランジ4とアルミフレーム6とが、板金部材12を介在させずに、直接、1つのボルトで締結されている(例えば、図6参照)。他の構成については、上記の実施の形態1と同じであるため、ここでは、説明を省略する。
本実施の形態においては、図5に示すように、板金部材12を略コの字に形成し、一端をステータコア7に固定する。固定方法は、溶接でもよく、あるいは、ボルトによる締結でもよい。略コの字の板金部材12の内側に、結線板ホルダ10、バスバー9、および、結線板カバー11を配置する。そうして、板金部材12の他端を、図5に示すように、結線板カバー11の端面に接触させる。こうして、板金部材12により、結線板ホルダ10とバスバー9とからなる結線板の軸端を軸方向に押さえ、結線板を固定する。
本実施の形態においては、板金部材12は、図5に示すように、略コの字状になるように、略90°で山折り、再度、略90°で山折り、というように、2箇所で折り曲げられている。折り曲げる位置は、結線板ホルダ10および結線板カバー11の大きさに合わせて適宜決定する。なお、折り曲げの角度は、90°に限定されず、任意の角度でよい。板金部材12は、このように板金曲げされているので、板バネの機能を有する。従って、結線板の軸端は、板金部材12の弾性力により、ステータコア7の端面に対して、軸方向に押さえ付けられ、それにより、「結線板」が固定される。
また、結線板ホルダ10のステータコア7側の端面近傍で、結線板ホルダ10は、コイル8が巻き回されたステータコア7のティース(図示せず)に接触している(図1(a)、図2(a)参照)。従って、当該ティースにより、結線板ホルダ10の径方向の移動が制限され、結線板ホルダ10が、より強固に固定される。これにより、ステータコア7のティース1つで固定構造が完結するため、他部品との影響が無視できる。また、上述した部品の公差のうち、フランジ4を有するフレーム5とステータコア7の端面との間の距離に関する公差を考慮しなくてよいため、その分だけ、公差ばらつきを減少させることができる。
以上のように、本実施の形態においても、板金部材12の弾性力を用いて、結線板ホルダ10、バスバー9、および、結線板カバー11を押さえて、固定させるようにしたので、上記の実施の形態1と同様の効果が得られるとともに、さらに、本実施の形態においては、板金部材12をステータコア7に固定して、ステータコア7のティース1つで固定構造が完結するため、他部品との影響が無視できる。また、部品の公差のうち、フレーム5とステータコア7の端面との間の距離に関する公差を考慮しなくてよい。
実施の形態5.
図6は、本実施の形態5に係る結線板の固定構造および回転電機の構成を示す断面図である。本実施の形態5に係る回転電機の全体の構成は、上記の実施の形態1で示した構成と同じであるため、ここでは説明を省略する。図6と図1との違いは、図6においては、板金部材12をアルミフレーム6に、ボルト16により、ネジ止めしている点が異なる。また、図1においては、フレーム5のフランジ4と、板金部材12と、アルミフレーム6とを、1つのボルト14で同時に締結していたが、図6においては、フレーム5のフランジ4とアルミフレーム6とが、ボルト14で締結されている。他の構成については、上記の実施の形態1と同じであるため、ここでは、説明を省略する。
本実施の形態においては、図6に示すように、板金部材12の一端を、アルミフレーム6に、ボルト16によりネジ止めする。板金部材12は、略矩形の細長い板状に形成されている。実施の形態1等とは異なり、本実施の形態の板金部材12は、板金曲げされておらず、平板状態である。また、板金部材12の他端は、径方向に延長され、結線板ホルダ10と結線板カバー11とを、ステータコア7に対して押さえつけている。なお、本実施の形態においても、板金部材12の一端が固定され、他端が可動端になっているため、板金部材12は板バネの機能を有する。従って、本実施の形態においても、板金部材12の弾性力を用いて、結線板ホルダ10、バスバー9、および、結線板カバー11を軸方向に押さえて、固定することができる。
以上のように、本実施の形態においても、板金部材12の弾性力を用いて、結線板ホルダ10、バスバー9、および、結線板カバー11を押さえて、固定させるようにしたので、上記の実施の形態1と同様の効果が得られるとともに、さらに、本実施の形態においては、板金部材12をアルミフレーム6に、ボルト16により、ネジ止めするようにしたので、これにより、板金部材12を板金曲げせずに使用することができるため、公差の積み重ね量が少なくなる。
実施の形態6.
図7は、本実施の形態6に係る結線板の固定構造および回転電機の構成を示す断面図である。本実施の形態6に係る回転電機の全体の構成は、上記の実施の形態1で示した構成と同じであるため、ここでは説明を省略する。図7と図1(b)との違いは、図1(b)においては、板金部材12が径方向に固定していたが、図7においては、板金部材12を、径方向より傾いた方向に固定している点が異なる。他の構成については、上記の実施の形態1と同じであるため、ここでは、説明を省略する。
本実施の形態においては、図7に示すように、板金部材12を、径方向より所定の角度だけ傾いた方向に固定する。当該所定の角度は適宜決定してよいが、径方向に対し、15°から85°の範囲で決定することが望ましい。このようにして、板金部材12を径方向に対して斜めに配置したことにより、板金部材12の長さが、実施の形態1の板金部材12の長さより、長くなっている。そのため、板金部材12の負荷点を結線板カバー11側の端部、板金部材12の始点をボルト14側の端部とすると、負荷点から支点までの距離を長くすることができるため、同じ変位を受け持つ場合でも、板金部材12に生じる応力を低減できる。
以上のように、本実施の形態においても、板金部材12の弾性力を用いて、結線板ホルダ10、バスバー9、および、結線板カバー11を押さえて、固定させるようにしたので、上記の実施の形態1と同様の効果が得られるとともに、さらに、本実施の形態においては、板金部材12を所定の角度だけ傾けて配置するようにしたため、板金部材12の負荷点から支点までの距離を長くすることができるため、同じ変位を受け持つ場合でも、板金部材12に生じる応力を低減できる。
実施の形態7.
図8は、本実施の形態7に係る結線板の固定構造および回転電機の構成を示す断面図である。本実施の形態7に係る回転電機の全体の構成は、上記の実施の形態1で示した構成と同じであるため、ここでは説明を省略する。図8と図1(a)との違いは、図1(a)においては、板金部材12をボルト14によりフレーム5のフランジ4に固定していたが、図8においては、板金部材12の固定方法および固定位置が異なる。他の構成については、上記の実施の形態1と同じであるため、ここでは、説明を省略する。
本実施の形態においては、板金部材12の一端を、フレーム5に対し、圧入して固定、あるいは、溶接して固定する。本実施の形態においては、板金部材12の当該一端は、フランジ4ではなく、フレーム5の本体部分に、固定されている。板金部材12は、略矩形の細長い板状に形成されている。実施の形態1とは異なり、本実施の形態の板金部材12は、板金曲げされておらず、平板状態である。また、板金部材12の他端は、径方向に延長され、結線板ホルダ10と結線板カバー11とを、ステータコア7に対して押さえつけている。
これにより、板金部材12を板金曲げせずに使用することができるとともに、フレーム5とステータ2により部品が完結できる。また、板金部材12と結線板カバー11とを一体成型することで部品点数を削減することができる。
以上のように、本実施の形態においても、板金部材12の弾性力を用いて、結線板ホルダ10、バスバー9、および、結線板カバー11を押さえて、固定させるようにしたので、上記の実施の形態1と同様の効果が得られるとともに、さらに、本実施の形態においては、板金部材12の一端をフレーム5本体に固定するようにしたので、板金部材12を板金曲げせずに使用することができるとともに、フレーム5とステータ2により部品が完結できる。
1 ロータ、2 ステータ、3 シャフト、4 フランジ、5 フレーム、6 アルミフレーム(ハウジング)、7 ステータコア、8 コイル、9 バスバー、10 結線板ホルダ、11 結線板カバー、12 板金部材、13,13A バーリング部、14 ボルト、15 かしめ部、16 ボルト。

Claims (9)

  1. 円環状に形成されたバスバーと前記バスバーを保持するホルダとから構成される結線板を固定するための結線板の固定構造であって、
    前記結線板を内部に収容する円筒型のフレームと、
    前記結線板を固定するための板金部材と
    を備え、
    前記板金部材の一端は、前記フレームの外周部に固定され、
    前記板金部材の他端は、前記フレーム内の前記結線板に向かって延設された可動端で、前記結線板の端面を前記フレームの軸方向に押さえ、前記結線板を固定する
    ことを特徴とする結線板の固定構造。
  2. 円環状に形成されたバスバーと前記バスバーを保持するホルダとから構成される結線板を固定するための結線板の固定構造であって、
    前記結線板を内部に収容する円筒型のフレームと、
    前記結線板を固定するための板金部材と
    を備え、
    前記結線板は、回転電機に用いられ、
    前記板金部材は略コの字形状を有し、内部に前記結線板が配置され、
    前記板金部材の一端は、前記回転電機のステータコアに固定され、
    前記板金部材の他端は、可動端で、前記結線板の端面を前記ステータコア側に向かって押さえ、前記結線板を固定する
    ことを特徴とする結線板の固定構造。
  3. 前記板金部材は弾性力を有し、前記板金部材は、前記弾性力で、軸方向に前記結線板を押さえる
    ことを特徴とする請求項1または2に記載の結線板の固定構造。
  4. 前記板金部材の前記可動端は、かしめ部を有し、
    前記板金部材が前記結線板に対して軸方向に押圧され、前記可動端の前記かしめ部が、前記結線板に対して埋め込まれることにより、前記結線板が固定される
    ことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の結線板の固定構造。
  5. 前記結線板は、絶縁性を有するカバーを有し、
    前記板金部材は、前記カバーを介して、前記結線板を押さえる
    ことを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の結線板の固定構造。
  6. 記フレームの外周部に固定される前記板金部材の前記一端は、前記フレームに圧入するためのバーリング部を有している
    ことを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載の結線板の固定構造。
  7. 前記フレームに固定されるハウジングをさらに備え、
    前記板金部材は、前記フレームと前記ハウジングとに共締めされ固定される
    ことを特徴とする請求項1、3ないし6のいずれか1項に記載の結線板の固定構造。
  8. 円環状に形成されたバスバーと前記バスバーを保持するホルダとから構成される結線板を固定するための結線板の固定方法であって、
    前記結線板をフレームの内部に収容するステップと、
    平板から構成された板金部材を用意するステップと、
    前記板金部材の一端を、前記フレームの外周部に固定するステップと、
    前記板金部材の他端を前記フレーム内の前記結線板に向かって延設させ、当該他端により、前記結線板の端面を前記フレームの軸方向に押さえ、前記結線板を固定するステップと
    を備えたことを特徴とする結線板の固定方法。
  9. 円筒状のステータと、
    前記ステータ内に回転可能に設けられたロータと、
    前記ステータが固定され、前記ステータおよび前記ロータを内部に収容する円筒型のフレームと
    を備えた回転電機であって、
    前記ステータは、
    円筒状のステータコアと、
    前記ステータコアに巻回されたコイルと、
    円環状に形成されたバスバーと前記バスバーを保持するホルダとから構成される結線板と、
    前記結線板を固定するための板金部材と
    を備え、
    前記板金部材の一端は、前記フレームの外周部に固定され、
    前記板金部材の他端は、前記フレーム内の前記結線板に向かって延設され、前記結線板の端面を前記フレームの軸方向に押さえ、前記結線板を固定している
    ことを特徴とする回転電機。
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