JP5884495B2 - 液滴吐出装置 - Google Patents

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本発明は、液滴を吐出する液滴吐出装置に関する。
インクジェットプリンタなどの液滴吐出装置の分野において、一般的には、複数のノズル間での吐出特性(吐出される液滴量や液滴速度)が均一に揃っていることが好ましいのであるが、実際には、複数のノズル間の吐出特性がばらついてしまうことが多い。ここで、吐出特性のばらつきとは、液滴の吐出に影響を及ぼす様々な因子について、ノズル毎にわずかな違いが存在することによって、複数のノズル間で、ノズル固有の吐出特性(吐出量や吐出速度)に差が生じるということである。液滴の吐出に影響を及ぼす代表的な因子としては、ノズルやそれに連なる流路の寸法及び形状、あるいは、各ノズル内の液体に吐出エネルギーを与えるアクチュエータの特性などが挙げられる。そして、インクジェットプリンタの分野であれば、複数のノズル間で吐出量や吐出速度が異なると、被記録媒体上に形成されるドットの大きさや、ドットの位置(液滴の着弾位置)がずれ、印字品質に悪影響を及ぼす。
これに関し、ノズル毎に液体の温度を制御することで液体の粘度を個別に変化させ、これによって複数のノズル間の吐出特性のばらつきを解消することが考えられる。例えば、特許文献1のインクジェットヘッドでは、複数のノズルにそれぞれ連通した複数の流路に対して、ヒータが1つずつ設けられている。各ヒータには、共に定電圧パルスである、プレヒートパルスとメインヒートパルスが印加される。プレヒートパルスは、吐出前に流路内のインクを予め加熱するためのパルスである。また、メインヒートパルスは、流路内のインクを加熱して膜沸騰を生じさせることによって、インクに吐出エネルギーを与えるためのものである。その上で、特許文献1には、プレヒートパルスの波形を調整することにより、ノズルの吐出量のばらつきを低減させるとの記載がある。
ところで、上記の吐出特性のばらつきとはまた別に、装置を使用するうちにノズルを含む流路内に塵や気泡等が混入し、それによって吐出量が少ない状態や全く吐出できない状態といった、吐出異常が生じることが知られている。この吐出異常の検出に関して、例えば、特許文献2には、レーザーセンサによってノズルの吐出異常を検出するものが開示されている。また、特許文献3には、振動板に向けてノズルから液滴を吐出させたときの、前記振動板の変形の有無(即ち、振動板への液滴着弾の有無)から、ノズルの吐出異常を検出するものが開示されている。上記の特許文献2,3において、あるノズルに吐出異常が検出された場合には、フラッシングやパージ等の回復動作を行うことによって吐出異常を解消する。
特開平9−281324号公報 特開2008−080724号公報 特開2010−76361号公報
特許文献1には、流路毎に液体の温度を制御して吐出量のばらつきを低減することは開示されているものの、吐出異常の検出を行うための構成については開示がない。しかし、吐出異常の検出のために、特許文献2,3に開示のような専用の検出装置を設けることは、部品数が増えるとともに、構造が複雑化する要因ともなる。また、検出装置の設置スペースが別に必要になるために、液滴吐出装置の全体サイズが大型化するという問題もあった。
本発明の目的は、吐出特性を調整するための構成を利用してノズルの吐出異常の検出を行うことにより、専用の検出装置を設けることなく吐出異常の検出が可能な液滴吐出装置を提供することである。
第1の発明の液滴吐出装置は、液滴を吐出するノズルをそれぞれ含む複数の液体流路を有する液滴吐出ヘッドと、前記複数の液体流路内の液体をそれぞれ個別に加熱する複数の加熱手段と、前記複数の液体流路内の液体の温度をそれぞれ検出する複数の温度検出手段と、前記加熱手段と前記温度検出手段を用いて、複数の前記ノズルの吐出特性を調整する吐出特性調整手段と、前記加熱手段と前記温度検出手段を用いて、前記複数のノズルの吐出異常を検出する吐出異常検出手段と、を備え、
前記吐出特性調整手段は、前記複数のノズルの間の吐出特性のばらつきが小さくなるように、前記加熱手段と前記温度検出手段を用いて、前記複数の液体流路内の液体温度をそれぞれ制御し、
前記吐出異常検出手段は、1つの前記液体流路内の液体を前記加熱手段により所定の初期温度まで加熱前記加熱手段による加熱終了後に、前記液滴吐出ヘッドが、その液体流路に含まれる前記ノズルから液滴を吐出させたときの、前記温度検出手段により検出される前記液体流路内の前記初期温度からの温度低下が所定の閾値未満である場合にその液体流路の前記ノズル吐出異常が生じていると判定するものであり、前記初期温度を所定の第1温度に設定する第1検出モードと、前記初期温度を前記第1温度よりも低い所定の第2温度に設定する第2検出モードのうちの、何れか一方の検出モードを選択して実行することを特徴とするものである。
本発明では、複数のノズル(複数の液体流路)に対して、複数の加熱手段と複数の温度検出手段がそれぞれ設けられている。そして、吐出特性調整手段は、液滴吐出ヘッドの吐出動作の際に、加熱手段と温度検出手段を用いて、複数のノズルの間の吐出特性のばらつきが小さくなるように、複数の液体流路内の液体温度をそれぞれ制御する。
また、吐出異常検出手段は、加熱手段と温度検出手段を用いて、ノズルの吐出異常の検出を行う。まず、液体流路内の液体の加熱後に、ノズルから液滴を吐出させる。そのノズルから正常に液滴が吐出されていると、新しい液体が上流側から供給されてくるが、ノズルに吐出異常が生じていると上流側から液体がほとんど供給されない。そのため、ノズルが正常か異常かによって、液体流路内のインクの温度変化が異なることになる。従って、液滴を吐出したときの液体流路内の温度変化からノズルの吐出異常を検出できる。
このように、本発明では、ノズルの吐出特性の調整に使用する加熱手段と温度検出手段を用いて、複数のノズルの吐出異常の検出を行う。つまり、専用の装置を設けることなく吐出異常の検出を行うことができる。
また、本発明では、液体流路内の液体を所定の初期温度まで加熱することで、ノズルから液滴を吐出させた後の、液体流路内の温度変化を把握しやすくなり、吐出異常の判定が容易になる。
吐出異常の検査時に、液体流路内の液体を、供給される液体との温度と比べてかなり高くすると、ノズルから正常に液滴が吐出されたときの液体流路内の温度変化が大きくなるため、吐出異常の検出精度が高まる。しかし、あまりにも液体温度を高くし過ぎると、その後の吐出動作における、吐出特性調整のための温度制御の妨げとなる。また、吐出異常が生じている可能性が低い場合など、それほど精度の高い検出を行う必要がない場合に、初期温度を高くし過ぎるのは、エネルギー消費の面で好ましくない。本発明では、2種類の初期温度(検出モード)から、状況に応じた適切なものを選択して吐出異常の検出を行うことができる。
の発明の液滴吐出装置は、前記第の発明において、前記吐出異常検出手段による前記吐出異常の検出が終わってから前記液滴吐出ヘッドが吐出動作を行うか否か、を判断する第1判断手段を有し、前記第1判断手段により、前記液滴吐出ヘッドが前記吐出異常の検出後に吐出動作を行う予定のない、待機状態であると判断されたときには、前記吐出異常検出手段は、前記第1検出モードを実行し、前記第1判断手段により、前記液滴吐出ヘッドが前記吐出異常の検出後に吐出動作を行う、吐出直前の状態であると判断されたときには、前記吐出異常検出手段は、前記第2検出モードを実行することを特徴とするものである。
まず、第1判断手段により、液滴吐出ヘッドが、待機状態なのか、それとも、吐出直前の状態なのかが判断される。待機状態のときには、吐出異常の検出が終了した後に吐出動作を行わないことから、初期温度の高い第1検出モードを選択して精度の高い検出を行う。一方、吐出直前の状態のときには、吐出異常の検出が終了した後すぐに温度制御を伴う吐出動作が予定されていることから、初期温度の低い第2検出モードを選択する。
の発明の液滴吐出装置は、前記第1又は第2の発明において、前記吐出異常検出手段により、前記複数のノズルのうちの少なくとも一部に吐出異常が生じていることが検出されたときに、前記複数のノズルから液体を排出させることによってノズルの吐出性能を回復させるパージ手段と、前記パージ手段による回復動作が行われてから現時点までの経過時間が所定時間以上であるか否かを判断する、第2判断手段と、を有し、前記第2判断手段により前記経過時間が前記所定時間以上であると判断されたときには、前記吐出異常検出手段は前記第1検出モードを選択し、前記第2判断手段により前記経過時間が前記所定時間未満であると判断されたときには、前記吐出異常検出手段は前記第2検出モードを選択することを特徴とするものである。
パージ手段による回復動作を行ってから長時間経過している場合は、ノズルに吐出異常が生じている可能性が高いことから、初期温度の高い第1検出モードを選択して精度の高い検出を行う。一方、回復動作を行ってからそれほど時間が経過していない場合は、ノズルに吐出異常が生じている可能性が低いことから、粗い精度で吐出異常の検出を行ってもさほど問題がない。そこで、このような場合には、初期温度の低い第2検出モードを選択する。
の発明の液滴吐出装置は、前記第〜第の何れかの発明において、前記液滴吐出ヘッドに接続され、この液滴吐出ヘッドに供給する液体を貯留する液体貯留部と、前記液体貯留部から前記液滴吐出ヘッドに供給される液体の温度を検出する供給温度検出手段を備え、前記吐出異常検出手段は、前記供給温度検出手段により検出された液体の温度に応じて、前記初期温度を設定することを特徴とするものである。
液体貯留部から供給されてくる液体の温度が高いと、供給される液体温度と、吐出検査開始時の初期温度との差があまりなくなり、吐出異常を検出しにくくなる。そこで、供給される液体の温度に応じて、初期温度を変更することが好ましい。
の発明の液滴吐出装置は、前記第〜第の何れかの発明において、前記吐出異常検出手段は、ある液体流路内の前記初期温度からの温度低下が第1閾値以上である場合には、その液体流路の前記ノズルが正常であると判定し、前記温度低下が前記第1閾値未満で、且つ、前記第1閾値よりも低い第2閾値以上である場合は、前記ノズルは、液滴が吐出されているものの、正常状態と比べて吐出量が少ない吐出不良の状態であると判定し、前記温度低下が前記第2閾値未満である場合は、前記ノズルは、液滴が吐出されない不吐出状態であると判定することを特徴とするものである。
本発明によれば、吐出異常の状態を、さらに、吐出量が少ない吐出不良の状態と、全く液滴が吐出されない不吐出の状態とで、区別して判別することができる。
本発明では、複数のノズルの吐出特性の調整に使用する加熱手段と温度検出手段を用いて、ノズルの吐出異常の検出を行うことから、専用の装置を設けることなく吐出異常の検出が行える。
本実施形態に係るインクジェットプリンタの概略平面図である。 インクジェットヘッドの平面図である。 (a)は図3のA部拡大図、(b)は(a)のB−B線断面図である。 プリンタの電気的構成を概略的に示すブロック図である。 吐出異常検出のフローチャートである。
次に、本発明の実施の形態について説明する。図1は、本実施形態のインクジェットプリンタ1の概略平面図である。まず、図1を参照してインクジェットプリンタ1の概略構成について説明する。尚、以下では、図1の紙面手前側を上方、紙面向こう側を下方と定義して、適宜、「上」「下」の方向語を使用して説明する。図1に示すように、インクジェットプリンタ1は、プラテン2と、キャリッジ3と、インクジェットヘッド4と、搬送機構5と、パージ機構6と、制御装置8等を備えている。
プラテン2の上面には、被記録媒体である記録用紙100が載置される。また、プラテン2の上方には、図1の左右方向(走査方向)に平行に延びる2本のガイドレール10,11が設けられる。キャリッジ3は、プラテン2と対向する領域において2本のガイドレール10,11に沿って走査方向に往復移動可能に構成されている。また、キャリッジ3には、2つのプーリ12,13間に巻き掛けられた無端ベルト14が連結されており、キャリッジ駆動モータ15によって無端ベルト14が走行駆動されたときに、キャリッジ3は、無端ベルト14の走行に伴って走査方向に移動する。
インクジェットヘッド4は、キャリッジ3に取り付けられており、キャリッジ3とともに走査方向に移動する。インクジェットヘッド4の下面(図1の紙面向こう側の面)は、複数のノズル16が形成された液滴噴射面である。また、図1に示すように、プリンタ1のプリンタ本体1aにはホルダ9が設けられている。ホルダ9には4色のインク(ブラック、イエロー、シアン、マゼンタ)がそれぞれ貯留された4つのインクカートリッジ17(液体貯留部)が装着される。また、図示は省略するが、キャリッジ3に搭載されたインクジェットヘッド4とホルダ9とが4本のチューブ(図示省略)で接続されている。4つのインクカートリッジ17の4色のインクが、4本のチューブを介してインクジェットヘッド4にそれぞれ供給される。インクジェットヘッド4は、4色のインクを複数のノズル16から、プラテン2に載置された記録用紙100に対して吐出する。
搬送機構5は、搬送方向にプラテン2を挟むように配置された2つの搬送ローラ18,19を有し、これら2つの搬送ローラ18,19によって、プラテン2に載置された記録用紙100を搬送方向に搬送する。また、搬送機構5は、搬送ローラ18,19を回転させるためのモータを備える。
インクジェットプリンタ1は、プラテン2上に載置された記録用紙100に対して、キャリッジ3とともに走査方向(図1の左右方向)に往復移動するインクジェットヘッド4からインクを吐出させる。これとともに、2つの搬送ローラ18,19によって記録用紙100を搬送方向(図1の下方)に搬送する。以上の動作によって記録用紙100に画像や文字等が記録される。
パージ機構6は、インクジェットヘッド4のノズル16に吐出異常が生じている場合に、複数のノズル16からインクを排出させることによってノズル16の吐出性能を回復させるものである。このパージ機構6は、走査方向に関するキャリッジ3の移動範囲のうちの、記録用紙100と対向する領域よりも外側(図1における右側)の位置に配置されている。このパージ機構6は、キャップ40と、このキャップ40に接続された吸引ポンプ41と、キャップ40を上下方向に移動させるためのキャップ駆動モータ42(図4参照)とを備える。キャップ40は、キャップ駆動モータ42により上下方向(図1の紙面垂直方向)に駆動される。キャリッジ3がキャップ40と対向している状態で、キャップ40が上方に移動することにより、インクジェットヘッド4の下面の複数のノズル16がキャップ40に覆われる。尚、以下の説明では、複数のノズル16がキャップ40で覆われた状態をキャッピング状態と称す。
上記のキャッピング状態で、吸引ポンプ41を作動させてキャップ40内を減圧することで、複数のノズル16からインクが吸引される吸引パージが行われる。この吸引パージにより、インクジェットヘッド4内の塵や気泡、あるいは、乾燥により増粘したインクが、複数のノズル16から排出されることで、吐出異常が生じているノズル16の吐出性能が回復する。
次に、インクジェットヘッド4について説明する。図2は、インクジェットヘッド4の平面図である。また、図3(a)は図2のA部拡大図、(b)は(a)のB−B線断面図である。図2、図3に示すように、インクジェットヘッド4は、複数のノズル16及び複数の圧力室24が形成された流路ユニット20と、流路ユニット20の上面に配置された圧電アクチュエータ21とを備えている。
図3(b)に示すように、流路ユニット20は4枚のプレートが積層された構造を有する。それぞれ搬送方向に延在する4本のマニホールド25が形成されている。尚、4本のマニホールド25は、流路ユニット20の上面に形成された4つのインク供給孔26に接続されている。4つのインク供給孔26には、4つのインクカートリッジ17から4色(ブラック、イエロー、シアン、マゼンタ)のインクがそれぞれ供給される。
また、流路ユニット20には、その下面に開口した複数のノズル16と、これら複数のノズル16にそれぞれ連通する複数の圧力室24が形成されている。図2に示すように、平面視で、複数のノズル16及び複数の圧力室24は、4色のマニホールド25にそれぞれ対応して4列に配列されている。また、各圧力室24は対応するマニホールド25に連通している。これにより、流路ユニット20には、マニホールド25から分岐し、且つ、それぞれ圧力室24とノズル16を含む、複数の個別インク流路27(本発明の液体流路)が形成されている。
図3に示すように、圧電アクチュエータ21は、複数の圧力室24を覆う振動板30と、この振動板30の上面に配置された圧電層31と、複数の圧力室24に対応した複数の個別電極32とを備えている。複数の個別電極32は、圧電アクチュエータ21を駆動するドライバIC34(図4参照)とそれぞれ接続されている。また、振動板30は金属材料で形成され、圧電層31を挟んで複数の個別電極32と対向する共通電極の役割を果たす。尚、振動板30はドライバIC34のグランド配線に接続されて常にグランド電位に保持される。また、振動板30と個別電極32に挟まれた圧電層31の部分は、その厚み方向に分極されている。
ノズル16からインクを吐出させる際の圧電アクチュエータ21の動作は以下の通りである。複数の個別電極32に対してドライバIC34から選択的に駆動信号が印加されると、圧電層31上側の個別電極32とグランド電位に保持されている圧電層31下側の共通電極としての振動板30の間に電位差が生じ、個別電極32と振動板30の間に挟まれた部分に厚み方向の電界が生じる。このとき、圧電層31の分極方向と電界の方向とが一致するために、圧電層31はその分極方向である厚み方向に伸びて面方向に収縮する。さらに、この圧電層31の収縮変形に伴って、振動板30の圧力室24と対向する部分が圧力室24側に凸となるように撓む(ユニモルフ変形)。このとき、圧力室24の容積が減少することによってその内部のインクに圧力が付与され、圧力室24に連通するノズル16からインクの液滴が吐出される。
また、図3(b)に示すように、振動板30の下面の、複数の圧力室24に接する部分には、複数のヒータ50と複数の温度センサ51がそれぞれ設けられている。各ヒータ50には、ヒータ50に電流を流して熱を発生させるヒータ50の駆動回路52が接続されている(図4参照)。複数のヒータ50は、複数の圧力室24内のインクを個別に加熱する。また、複数の温度センサ51は、複数の圧力室24内の温度をそれぞれ検出する。後で詳細に説明するが、上記のヒータ50と温度センサ51は、画像等の記録中においては、複数のノズル16の吐出特性を揃える目的で、各々の個別インク流路27内のインクの温度制御を行う際に使用される。また、画像等を記録していないときには、ヒータ50と温度センサ51は、各ノズル16の吐出異常を検出するためにも使用される。
次に、制御装置8を中心とするプリンタ1の電気的な構成について説明する。図4は、プリンタ1の電気的構成を概略的に示すブロック図である。図4に示されるプリンタ1の制御装置8は、例えば、中央処理装置であるCPU(Central Processing Unit)と、プリンタ1の全体動作を制御する為の各種プログラムやデータ等が格納されたROM(Read Only Memory)と、CPUで処理されるデータ等を一時的に記憶するRAM(Random Access Memory)等を含むマイクロコンピュータ、プリンタ1の各構成を制御するための各種の演算回路、及び、各種のデータを記憶したフラッシュメモリなどの記憶媒体で構成される記憶部63等を備える。
ROMに格納された各種プログラムをCPUが実行することにより、マイクロコンピュータ及び各種の演算回路は、記録制御部60、吐出異常検出部61、パージ制御部62として動作する。記憶部63には、制御装置8により実行される様々な制御で使用する設定値等が記憶されている。この制御装置8には、外部装置であるPC70、及び、ディスプレイや操作ボタン等を備えた操作パネル71が接続されている。また、制御装置8には、インクジェットヘッド4の複数の個別インク流路27にそれぞれ設けられた複数の温度センサ51の信号や、インクジェットヘッド4の周囲の環境温度を検出する環境温度検出センサ53の信号も入力される。
上述したが、制御装置8は、記録制御部60と、吐出異常検出部61と、パージ制御部62として動作するマイクロコンピュータ及び各種の演算回路を備える。記録制御部60は、PC70から入力された、画像等に関するデータに基づき、インクジェットヘッド4のドライバIC34、キャリッジ駆動モータ15、及び、搬送機構5をそれぞれ制御する。
また、記録制御部60は、各ノズル16の吐出特性を調整する吐出特性調整部64を有する。後で詳述するが、この吐出特性調整部64は、温度センサ51で検出される個別インク流路27内の温度に基づいてヒータ50を制御して、その個別インク流路27内のインクの温度を所定の温度設定値に制御する。
吐出異常検出部61は、複数のノズル16のそれぞれについて吐出異常が生じているか否かを検出する。後で詳細に説明するが、吐出異常検出部61は、前述のノズル16の吐出特性調整に使用されるヒータ50と温度センサ51を用いて、各ノズル16の吐出異常の検出を行う。パージ制御部62は、パージ機構6のキャップ駆動モータ42や吸引ポンプ41を制御してインクジェットヘッド4の吸引パージを実行させる。
(ノズルの吐出特性の調整)
次に、吐出特性調整部64による、ノズル16の吐出特性の調整について説明する。複数の個別電極32に対して、電圧や波形が同一の駆動信号を印加すれば、理想的には、複数のノズル16で、吐出特性(液滴量や液滴速度)は揃うはずである。しかしながら、実際には、下記のような様々な因子により、複数のノズル16の間で吐出特性がばらついてしまう。
個別インク流路27の流路抵抗や圧電アクチュエータ21の剛性は、ノズル16の吐出特性に大きな影響を及ぼす。この点、流路ユニット20内の、ノズル16や圧力室24を含む個別インク流路27の形状や寸法が僅かでも異なっていると、個別インク流路27の間で流路抵抗に差が生じる。また、圧電アクチュエータの厚み(特に、圧電層31の厚み)が均一でないと、複数の圧力室24間で圧電アクチュエータ21の剛性に差が生じる。
そこで、インクジェットヘッド4の製造が一通り完了した段階で、複数のノズル16の各々について実際に液滴を吐出させ、吐出された液滴の量や液滴速度を測定する。そして、この液滴量や液滴速度の測定値から、複数のノズル16がそれぞれ具備する基礎的な吐出特性を評価する。この吐出特性の評価は、各ノズル16から吐出される液滴量や液滴速度を高い精度で測定する必要があることから、ユーザの使用に供される前、即ち、出荷前にメーカー側の設備によって行われることが好ましい。その上で、ユーザにより実際に使用される際(画像等を記録する際)に、吐出特性調整部64は、全てのノズル16の吐出特性のばらつきができるだけ小さくなるように、前記の基礎的な吐出特性を調整する。
吐出特性の調整は、具体的にはインクの温度制御によって行う。一般的にインクの温度を上げると粘度が下がるため、インクが流れやすくなる。そのため、基礎的な吐出特性が低い(吐出量が少ない、あるいは、吐出速度が低い)ノズル16に対応する個別インク流路27については、インクの温度を高くすることによって吐出特性を上げることができる。そして、全てのノズル16について、前記の基礎的な吐出特性の評価に応じて、それらのノズル16間の吐出特性のばらつきが小さくなるように温度設定値が予め定められている。これらの温度設定値は記憶部63に記憶されている。
PC70から制御装置8に記録データが入力されて、記録用紙100への画像等の記録を行う度に、吐出特性調整部64は、記憶部に記憶された温度設定値を読み出す。そして、吐出特性調整部64は、ノズル16毎に、温度センサ51により検出された現在のインク温度情報を参照しつつ、個別インク流路27内のインクの温度が前記温度設定値となるように、ヒータ50の駆動回路52を制御する。これにより、複数のノズル16の間の吐出特性のばらつきが小さく抑えられる。
(ノズルの吐出異常の検出)
次に、吐出異常検出部61による、ノズル16の吐出異常の検出について説明する。インクジェットヘッド4内に、上流側のインクカートリッジ17から塵や気泡が流入する、あるいは、ノズル16の開口においてインクの乾燥が進行する等の原因で、ノズル16の吐出が正常に行われなくなることがある。具体的には、ノズル16から吐出されるインクの量が減少し吐出不良が発生する。また、さらにひどい場合には、ノズル16から全くインクが吐出されなくなって不吐出が発生する。そこで、吐出異常検出部61は、ノズル16毎に、前記の吐出不良や不吐出といった吐出異常が生じているか否かを検出する。
吐出異常の検出のタイミングは特に限定されるものではなく、任意のタイミングで行うことができる。但し、吐出異常が生じている可能性が高いと考えられるときに行うと効果的である。例えば、インクジェットヘッド4からインクが吐出されるプリンタ1の記録動作がしばらく行われていない場合には、上記の気泡の混入やインクの乾燥が生じている可能性が高い。そこで、プリンタ1への電源投入時や、前回の記録動作から一定時間経過している場合に、吐出異常の検出を行ってもよい。あるいは、PC70や操作パネル71から、ユーザによって吐出異常の検出を行う指令が入力されたときに、検出を行ってもよい。
ノズル16の吐出異常を検出する際には、全ての個別インク流路27内のインクを、ヒータ50で所定の初期温度までそれぞれ加熱する。その後、全てのノズル16から液滴を吐出させる。ここで、ノズル16の吐出が正常である個別インク流路27については、そのインクの吐出に応じて、上流側のマニホールド25から個別インク流路27内に、温度の低いインクが供給される。従って、温度センサ51で検出される温度変化(温度低下の程度)が大きくなる。一方、ノズルに吐出異常が生じている個別インク流路については、インクの吐出量が少ないために上流側からのインク供給量も少なくなる。従って、温度センサ51で検出される温度変化も小さくなる。このように、個別インク流路27内のインクの温度変化から、ノズル16の吐出異常を検出することができる。
また、図4に示すように、吐出異常検出部61は、初期温度が異なる2つの検出モードから1つを選択する検出モード選択部65を有する。吐出異常検出部61は、検出モード選択部65で選択された検出モードを実行する。
検出モード選択部65(第1判断手段)は、インクジェットヘッド4が、これから行う吐出異常の検出後に吐出動作を行う予定のない待機状態であるか、それとも、吐出異常の検出後に吐出動作を行う吐出直前の状態であるかによって、検出モードを選択する。尚、インクジェットヘッド4が待機状態であるか、吐出直前の状態であるかについては、例えば、吐出異常の検出を行う時点における、PC70からの記録データの入力の有無によって判断することができる。
吐出異常の検出を行う際に、ヒータ50により、個別インク流路27のインクの温度(初期温度)を高くするほど、上流側のインクの温度(環境温度にほぼ等しい)との温度差が大きくなる。そのため、ノズル16から正常にインクが吐出されたときの、個別インク流路27内の温度変化が大きくなり、吐出異常の検出精度が高まる。しかし、インクジェットヘッド4が、吐出異常の検出が終了した後に、上述した吐出特性調整のための温度制御を伴う記録動作を予定している場合は、吐出異常の検出においてインクの温度を高くし過ぎることは、その後の温度制御の妨げとなる。そこで、検出モード選択部65は、インクジェットヘッド4が待機状態であるときには、初期温度が高い第1検出モードを選択する。一方、インクジェットヘッド4が吐出直前の状態であるときには、第1検出モードよりも初期温度が低い第2検出モードを選択する。
吐出異常の検出を行う制御装置8の一連の動作について、図5のフローチャートを参照して詳細に説明する。図5において、Si(i=10,11,12・・・)は各ステップを表している。
まず、インクジェットヘッド4が待機状態か吐出直前の状態であるかが、検出モード選択部65に判断される(S10)。待機状態と判断した場合には(S10:Yes)、検出モード選択部65は第1検出モードを選択する(S11)。一方、吐出直前の状態と判断した場合は(S10:No)、検出モード選択部65は第2検出モードを選択する(S31)。
(第1検出モード)
第1検出モードが選択された場合は、吐出異常検出部61は、個別インク流路27の初期温度をT1に設定し(S11)、ノズル16の吐出異常の検出を開始する。まず、全ての個別インク流路27について、温度センサ51からの温度情報を参照しつつ、ヒータ50の駆動回路52(図5参照)を制御してヒータ50で初期温度T1まで加熱する(S12)。全ての個別インク流路27内のインクの温度が初期温度T1となったら、ヒータ50による加熱を停止させる。次に、ドライバIC34(図3(b)、図4参照)を制御して、全てのノズル16からそれぞれインクの液滴を吐出させる(S13)。そして、複数の温度センサ51により、複数の個別インク流路27内のインクの温度変化ΔTを測定する(S14)。
その際、インクの吐出に応じてマニホールド25から圧力室24内に温度の低いインクが供給されるように、各ノズル16から一定量以上のインクを吐出させる必要がある。そのために、各ノズル16から多数回連続してインクを吐出させる。また、いわゆる階調印字のために、ドライバIC34から圧電アクチュエータ21への駆動信号を異ならせることによって、1つのノズル16から液滴体積の異なる複数種類の液滴(大玉、中玉、小玉等)を選択的に吐出させることが可能な場合には、体積が最も大きな液滴(大玉)を吐出させる。
次に、全てのノズル16について、吐出異常が生じているか否かを個別に判定する(S15)。即ち、あるノズル16について、個別インク流路27内の温度変化ΔTが、閾値A以上である場合には(S16:Yes)、このノズル16が正常であると判定する(S17)。一方、温度変化が閾値A未満である場合には(S16:No)、吐出異常検出部61は、このノズル16に吐出異常が生じていると判定する(S18)。
さらに、吐出異常と判定された場合には(S18)、その吐出異常が、ノズル16から液滴が吐出されているものの、正常状態と比べて吐出量が少ない吐出不良の状態であるのか、あるいは、液滴が全く吐出されない不吐出状態であるのかを区別して判定する。吐出不良の場合には、少しはインクが吐出されていることから、個別インク流路27の温度は、正常時と比べると小さいものの多少変化する。しかし、不吐出状態の場合は、個別インク流路27の温度はほとんど変化しない。
そこで、個別インク流路27の温度変化ΔTが、正常か否かの判定に用いた閾値A(第1閾値)よりも小さい、閾値B(第2閾値)以上である場合は(S19:Yes)、吐出異常検出部61は、そのノズル16が、吐出量の少ない吐出不良の状態であると判定する(S20)。一方、温度変化ΔTが、閾値Bよりもさらに小さい場合は(S19:No)、吐出異常検出部61は、そのノズル16が、不吐出状態であると判定する(S21)。
尚、第1検出モードは、後で説明する第2検出モードと比べると初期温度T1が高いことからから、ノズル16の吐出が正常な場合における温度変化ΔTが大きくなる。従って、吐出が正常か否かの判定の閾値A(第1閾値)の値を比較的大きな値とすることができる。このため、上記閾値Aよりも小さい閾値B(第2閾値)を別に設定したときに、閾値Aと閾値Bの差を大きくとることが可能となる。それ故、正常、吐出不良、及び、不吐出の、3つの状態を、精度よく検出することができる。
1つのノズル16について吐出異常の判定が終了したら、別のノズル16についてS16〜S21の判定ステップを実行する。そして、全てのノズル16について判定が終了したら(S22:Yes)、吐出異常の検出を終了する。
上述したように、第1検出モードの選択時には、ノズル16の吐出異常が、吐出量の少ない吐出不良の状態と、全く吐出されない不吐出状態とで区別して検出される。従って、あるノズル16に吐出異常が検出されたときに、その吐出異常の種類(程度)によって吐出性能の回復方法を異ならせることができる。例えば、吐出不良の状態の場合は、不吐出状態と比べて、吐出異常の原因となる気泡の混入やインクの増粘の程度が軽いと考えられる。そこで、吐出不良の状態と判定されたときには、そのノズル16についてフラッシングを実行する一方、不吐出状態と判定されたときには、パージ機構6による、回復力の強い吸引パージを実行してもよい。あるいは、吐出異常とされたノズル16が、全て吐出不良の状態である場合には、不吐出状態のノズル16が存在する場合と比べて、吸引力の低い吸引パージを行うようにしてもよい。これにより、回復動作によって消費されるインク(廃液)の量を極力少なく抑えることができる。
(第2検出モード)
第2検出モードが選択された場合は、吐出異常検出部61は、個別インク流路27の初期温度を、第1検出モードの初期温度T1よりも低い温度T2に設定する(S31)。そして、第1検出モードの場合と同様にして全てのノズル16の吐出異常の検出を開始する。即ち、ヒータ50で全ての個別インク流路27の温度を初期温度T2に加熱する(S32)。次に、加熱を停止した後に、全てのノズル16から液滴を吐出させる(S33)。さらに、温度センサ51により全ての個別インク流路27の温度変化ΔTをそれぞれ測定する(S34)。そして、全てのノズル16について個別に吐出異常の有無を判定する(S35)。即ち、個別インク流路27内のインクの温度変化ΔTが所定の閾値C以上であれば(S36:Yes)、吐出異常検出部61は、このノズル16は正常であると判定する(S37)。一方、温度変化ΔTが閾値C未満である場合は(S36:No)、吐出異常検出部61は、このノズル16に吐出異常が生じていると判定する(S38)。
尚、第2検出モードは、先に説明した第1検出モードと比べると初期温度が低く、それ故、吐出異常の検出精度も低くなる。そのため、第2検出モードの選択時には、吐出が正常か異常かの簡易的な判断にとどめ、吐出異常が、吐出不良の状態か、不吐出状態かの判別までは行わない。
この第2検出モードの選択時においても、1つのノズル16についての吐出異常の判定が終了したら、別のノズル16についてS36〜S38の判定ステップを実行する。そして、全てのノズル16について判定が終了したら(S39:Yes)、吐出異常の検出を終了する。
本実施形態のプリンタでは、複数のノズル16(複数の個別インク流路27)に対して、複数のヒータ50と複数の温度センサ51がそれぞれ設けられている。そして、吐出特性調整部64は、インクジェットヘッド4の吐出動作の際に、ヒータ50と温度センサ51を用いて、複数のノズル16の間の吐出特性のばらつきが小さくなるように、複数の個別インク流路27内のインク温度をそれぞれ制御する。また、吐出異常検出部61は、上記の吐出特性の調整に使用するヒータ50と温度センサ51を用いて、ノズル16の吐出異常の検出を行う。従って、専用の装置を設けることなく、各ノズル16についての吐出異常の検出を行える。
また、吐出異常を検出する際には、個別インク流路27内のインクを所定の初期温度に加熱し、加熱終了後にノズル16から液滴を吐出させる。これによれば、個別インク流路27内の温度変化を把握しやすくなるため、ノズル16の吐出異常の判定が容易になる。
以上説明した本実施形態におけるインクジェットプリンタ1が、特許請求の範囲の「液滴吐出装置」に相当する。本実施形態におけるインクジェットヘッド4が、特許請求の範囲の「液滴吐出ヘッド」に相当する。本実施形態におけるパージ機構6が、特許請求の範囲の「パージ手段」に相当する。尚、パージ機構6は、ノズル16よりも上流側のインク流路においてインクを加圧してノズル16から強制的に排出させる、いわゆる、「加圧パージ」を行う構成であってもよい。また、本実施形態におけるヒータ50が、特許請求の範囲の「加熱手段」に相当する。本実施形態における温度センサ51が、特許請求の範囲の「温度検出手段」に相当する。
本実施形態において、ヒータ50及び温度センサ51を用いてノズル16の吐出特性を調整する制御装置8が、特許請求の範囲の「吐出特性調整手段」に相当する。本実施形態において、ヒータ50及び温度センサ51を用いて図5のS10〜S39の吐出異常検出を行う制御装置8が、特許請求の範囲の「吐出異常検出手段」に相当する。
次に、前記実施形態に種々の変更を加えた変更形態について説明する。但し、前記実施形態と同様の構成を有するものについては、同じ符号を付して適宜その説明を省略する。
1]検出モード選択部65による、初期温度の異なる2つの検出モードの選択条件としては、前記実施形態で挙げたようなものには限られない。例えば、パージ機構6による前回の吸引パージ(回復動作)の終了後からの経過時間が長い場合は、ノズル16に吐出異常が生じている可能性が高い。一方、前回の吸引パージからの経過時間が短い場合には、ノズル16に吐出異常が生じている可能性は低く、多少粗い精度で吐出異常の検出を行ってもさほど問題がない。また、このようなときに、初期温度を高くし過ぎるのは、エネルギー消費の面で好ましくない。そこで、検出モード選択部65(第2判断手段)は、前回の吸引パージからの経過時間に応じて、検出モードを選択してもよい。
前回の吸引パージからの経過時間は、例えば、制御装置8内のタイマーによって計測できる。そして、検出モード選択部65(第2判断手段)は、吸引パージが行われてから現時点までの経過時間が所定時間以上であるか否かを判断する。前記経過時間が所定時間以上である場合には、初期温度の高い第1検出モードを選択して精度の高い検出を行う。一方、経過時間が所定時間未満である場合には、初期温度の低い第2検出モードを選択する。
その他、ユーザによって、2つの検出モードのうちの、何れの検出モードを実行するのかを選択する信号が直接入力されてもよい。
2]前記実施形態では、吐出異常検出部は、初期温度の異なる2つの検出モードを選択的に実行するものであったが、参考例では検出モードが1種類であってもよい。あるいは、3以上の複数の検出モードを選択的に実行するものであってもよい。
3]インクカートリッジ17(液体貯留部)からインクジェットヘッド4に供給されるインクの温度が高い場合、吐出異常の検出時における個別インク流路27内の初期温度と、上流側から供給されるインクの温度との差が小さくなり、ノズル16の吐出異常を検出しにくくなる。そこで、供給されるインクの温度に応じて、初期温度を変更してもよい。
ここで、インクカートリッジ17からインクジェットヘッド4に供給されるインクの温度は、環境温度にほぼ等しいことから、インクの温度を検出する手段(供給温度検出手段)としては、環境温度検出センサ53(図4参照)を用いることができる。あるいは、インクカートリッジ17からインクジェットヘッド4に至るインクの供給経路にインクの温度を検出する温度センサが取り付けられていてもよい。そして、吐出異常検出部61は、上記の環境温度検出センサ53や、インク供給経路に設置された温度センサ等で検出されたインクの温度が高いほど、初期温度(図5のT1,T2)を高い値に設定する。
4]前記実施形態では、ノズル16の吐出異常の検出の際に、全ての個別インク流路27内のインクを初期温度まで同時に加熱し(S12,S32)、全てのノズル16からインクを吐出し(S13,S33)、全ての個別インク流路27について温度変化ΔTを測定していた(S14,S34)。しかし、個別インク流路27内の加熱、ノズル16からの吐出、及び、温度変化ΔTの測定を、1つのノズル16(個別インク流路27)毎に個別に行ってもよい。
5]前記実施形態では、先に、個別インク流路27内のインクを所定温度まで加熱し、加熱終了後にノズル16から液滴を吐出させていたが、参考例では、個別インク流路27内のインクの加熱中にノズル16から液滴を吐出させてもよい。このように、インクを加熱しながらノズル16から吐出させた場合、ノズル16の吐出が正常であるときには上流側からインクが供給されるため、個別インク流路27内のインクが加熱され続けても、その温度上昇はそれほど大きくならない。しかし、ノズル16に吐出異常が生じていると、上流側からのインクの供給が少ないため、個別インク流路27内のインクの温度上昇は大きくなる。従って、ヒータ50でインクを加熱しながらノズル16から吐出させた場合でも、インクの温度変化からノズル16の吐出異常を検出することが可能である。
6]前記実施形態では、吐出特性調整用の温度設定値は、プリンタ1の出荷前に設定された後は、変更されない固定値となっていたが、プリンタ1がユーザの使用に供された後に、この温度設定値が変更可能であってもよい。
例えば、ノズル16の吐出特性は、圧電アクチュエータ21の圧電特性の影響を受ける。この圧電特性(具体的には、圧電定数d33)は、プリンタ1を使用するにつれて、圧電層31の分極劣化、クラック発生、マイグレーション等の要因によって次第に低下する。そこで、例えば、プリンタ1が、定期的に全てのノズル16の吐出特性を検査する装置を備え、検査結果に応じて前記の温度設定値が補正される構成であってもよい。
以上説明した実施形態及びその変更形態は、液滴吐出装置の一種であるインクジェットプリンタに本発明を適用した例であるが、本発明の適用対象はインクジェットプリンタには限られない。例えば、基板に、液状の導電性材料を吐出して様々な導電パターンを形成する装置など、他の分野で使用される液滴吐出装置にも適用できる。
1 インクジェットプリンタ
4 インクジェットヘッド
6 パージ機構
8 制御装置
16 ノズル
17 インクカートリッジ
27 個別インク流路
50 ヒータ
51 温度センサ
53 環境温度検出センサ
61 吐出異常検出部
64 吐出特性調整部
65 検出モード選択部

Claims (5)

  1. 液滴を吐出するノズルをそれぞれ含む複数の液体流路を有する液滴吐出ヘッドと、
    前記複数の液体流路内の液体をそれぞれ個別に加熱する複数の加熱手段と、
    前記複数の液体流路内の液体の温度をそれぞれ検出する複数の温度検出手段と、
    前記加熱手段と前記温度検出手段を用いて、複数の前記ノズルの吐出特性を調整する吐出特性調整手段と、
    前記加熱手段と前記温度検出手段を用いて、前記複数のノズルの吐出異常を検出する吐出異常検出手段と、を備え、
    前記吐出特性調整手段は、
    前記複数のノズルの間の吐出特性のばらつきが小さくなるように、前記加熱手段と前記温度検出手段を用いて、前記複数の液体流路内の液体温度をそれぞれ制御し、
    前記吐出異常検出手段は、
    つの前記液体流路内の液体を前記加熱手段により所定の初期温度まで加熱
    前記加熱手段による加熱終了後に、前記液滴吐出ヘッドが、その液体流路に含まれる前記ノズルから液滴を吐出させたときの、前記温度検出手段により検出される前記液体流路内の前記初期温度からの温度低下が所定の閾値未満である場合にその液体流路の前記ノズル吐出異常が生じていると判定するものであり、
    前記初期温度を所定の第1温度に設定する第1検出モードと、前記初期温度を前記第1温度よりも低い所定の第2温度に設定する第2検出モードのうちの、何れか一方の検出モードを選択して実行することを特徴とする液滴吐出装置。
  2. 前記吐出異常検出手段による前記吐出異常の検出が終わってから前記液滴吐出ヘッドが吐出動作を行うか否か、を判断する第1判断手段を有し、
    前記第1判断手段により、前記液滴吐出ヘッドが前記吐出異常の検出後に吐出動作を行う予定のない、待機状態であると判断されたときには、前記吐出異常検出手段は、前記第1検出モードを実行し、
    前記第1判断手段により、前記液滴吐出ヘッドが前記吐出異常の検出後に吐出動作を行う、吐出直前の状態であると判断されたときには、前記吐出異常検出手段は、前記第2検出モードを実行することを特徴とする請求項に記載の液滴吐出装置。
  3. 前記吐出異常検出手段により、前記複数のノズルのうちの少なくとも一部に吐出異常が生じていることが検出されたときに、前記複数のノズルから液体を排出させることによってノズルの吐出性能を回復させるパージ手段と、
    前記パージ手段による回復動作が行われてから現時点までの経過時間が所定時間以上であるか否かを判断する、第2判断手段と、を有し、
    前記第2判断手段により前記経過時間が前記所定時間以上であると判断されたときには、前記吐出異常検出手段は前記第1検出モードを選択し、前記第2判断手段により前記経過時間が前記所定時間未満であると判断されたときには、前記吐出異常検出手段は前記第2検出モードを選択することを特徴とする請求項1又は2に記載の液滴吐出装置。
  4. 前記液滴吐出ヘッドに接続され、この液滴吐出ヘッドに供給する液体を貯留する液体貯留部と、前記液体貯留部から前記液滴吐出ヘッドに供給される液体の温度を検出する供給温度検出手段を備え、
    前記吐出異常検出手段は、前記供給温度検出手段により検出された液体の温度に応じて、前記初期温度を設定することを特徴とする請求項の何れかに記載の液滴吐出装置。
  5. 前記吐出異常検出手段は、
    ある液体流路内の前記初期温度からの温度低下が第1閾値以上である場合には、その液体流路の前記ノズルが正常であると判定し、
    前記温度低下が前記第1閾値未満で、且つ、前記第1閾値よりも低い第2閾値以上である場合は、前記ノズルは、液滴が吐出されているものの、正常状態と比べて吐出量が少ない吐出不良の状態であると判定し、
    前記温度低下が前記第2閾値未満である場合は、前記ノズルは、液滴が吐出されない不吐出状態であると判定することを特徴とする請求項の何れかに記載の液滴吐出装置。
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