JP5024413B2 - 液体吐出装置、液体粘度の制御装置および制御方法 - Google Patents
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Description
図1は、「液体吐出装置」としてのインクジェットプリンタ10の全体構成を示す平面図であり、図2は、インクジェットプリンタ10の電気的構成を示すブロック図である。
インク供給部16は、図1に示すように、ブラック(BK)、イエロー(Y)、シアン(C)およびマゼンダ(M)の4色のインクを収容する4つのインクタンク26a〜26dと、吐出ヘッド14に供給されるインクの圧力変動を緩和するダンパ装置28と、インクタンク26a〜26dのそれぞれのインクをダンパ装置28へ供給する4つのインクチューブ30a〜30dとを有しており、ダンパ装置28が吐出ヘッド14の上方に配置されており、インクタンク26a〜26dのそれぞれが吐出ヘッド14よりも下方の所定位置に配置されている。そして、吐出ヘッド14へインクを供給する際には、インクタンク26a〜26d内のインクが、インクチューブ30a〜30dを介してダンパ装置28に与えられ、ダンパ装置28の内部に色ごとに設けられたダンパ室28a〜28d(図4)においてインクの圧力変動が緩和された後、吐出ヘッド14の対応するインク流路N1〜N4(図4)へ供給される。
走査部18は、図1に示すように、吐出ヘッド14およびダンパ装置28を保持するキャリッジ32と、キャリッジ32を案内する2つの長尺板状のガイドレール34a,34bと、2つのプーリ36a,36b間に掛け渡された無端ベルト38と、一方のプーリ36aに回転力を付与する走査モータ40とを有しており、無端ベルト38に対してキャリッジ32が固定されている。したがって、走査モータ40によってプーリ36aを回転させると、無端ベルト38が回転され、無端ベルト38に固定されたキャリッジ32がガイドレール34a,34bに沿って直線状に往復走査される。なお、以下の説明においては、キャリッジ32が走査される方向を「主走査方向X」といい、「主走査方向X」に対して直交する方向を「副走査方向Y」という。
搬送装置20は、用紙12を副走査方向Yへ搬送する用紙搬送路Bと、用紙搬送路Bにおける走査領域Aよりも上流側に配置された上流側搬送ローラ42aと、用紙搬送路Bにおける走査領域Aよりも下流側に配置された下流側搬送ローラ42bと、搬送ローラ42a,42bを所定のタイミングで回転させる搬送モータ44とを有しており、搬送モータ44で搬送ローラ42a,42bが回転されることによって、用紙12が走査領域Aへ搬送される。
フラッシングフォーム39は、図1に示すように、用紙12が搬送される搬送領域Bの左側に配置されており、キャリッジ32により吐出ヘッド14が搬送領域Bの左側に位置付けられたときには、フラッシングフォーム39と吐出ヘッド14とが対向する。フラッシングフォーム39は、印刷前に吐出ヘッド14のノズル68からインクを排出してノズル68を回復させるフラッシング動作時に、ノズル68から排出されたインクを受容するためのものである。このフラッシングフォーム39は、多孔質の吸収体を備えており、この吸収体がノズル69から吐出されたインクを保持する。
制御装置22は、インクジェットプリンタ10の動作を総合的に制御するものであり、図2に示すように、各種の演算処理を実行するCPU(Central Processing Unit)50と、各種のプログラムや理想流量に関する情報を記憶するROM(Read Only Memory)52と、各種の情報を一時的に記憶するRAM(Random Access Memory)54と、吐出ヘッド14を制御する制御回路56と、走査モータ40を駆動する走査モータ駆動回路40aと、搬送モータ44を駆動する搬送モータ駆動回路44aと、後述する複数のヒータ58を駆動する複数のヒータ駆動回路58aと、後述する複数の補助ヒータ60を駆動する複数の補助ヒータ駆動回路60aとを有している。そして、制御装置22に対して、吐出ヘッド14、走査モータ40、搬送モータ44、複数のヒータ58および複数の補助ヒータ60が接続されるとともに、後述する複数の温度センサ62、各種の指令を入力する操作パネル64および画像情報を記憶するイメージメモリ66が接続されている。なお、制御装置22の制御動作については後述する。また、上述のフラッシング動作を行うように吐出ヘッド14を制御する制御回路56は、本発明の「回復装置」の一例である。
図3は、インクジェットプリンタ10に用いられる吐出ヘッド14の構成を示す断面図である。吐出ヘッド14は、図1および図3に示すように、インクタンク26a〜26dから供給されたブラック(BK)、イエロー(Y)、シアン(C)およびマゼンダ(M)の4色のインクを、制御装置22から与えられた各種の制御信号に基づいて複数のノズル68から用紙12に向けて選択的に吐出するものであり、流路ユニット70と、アクチュエータユニット72と、フレキシブル配線基板74とを有している。
図4は、インク粘度制御装置24の構成を模式的に示すブロック図である。インク粘度制御装置24は、複数のノズル68から吐出されるインクの粘度をインクの色ごとに制御するものであり、制御装置22を除いて、インクの色ごとに構成されている。そこで、以下には、ブラックインク(BK)の粘度を制御するための構成に着目してインク粘度制御装置24の構成を説明し、他色のインク(Y,C,M)に対応する構成については、参照番号を同じにすることによって重複する説明を省略する。なお、図4では、インクの色ごとに1つのノズル68と1つの個別電極90とを示しているが、本実施形態では、上述したように、インクの色ごとに複数のノズル68と複数の個別電極90とが存在する。
インクジェットプリンタ10の動作が開始されると、図1および図2に示すように、制御装置22によって搬送モータ44が駆動され、用紙12が用紙トレイ(図示省略)から取り出されて吐出ヘッド14の走査領域Aへ所定のタイミングで搬送される。また、「吐出制御装置」としての制御装置22から吐出ヘッド14のドライバIC98に対して、イメージメモリ66に記憶された画像情報に応じた制御信号が与えられる。すると、ドライバIC98では、アクチュエータユニット72の駆動部92(図3、図4)を駆動する駆動電圧が生成され、ドライバIC98から出力配線100に出力された駆動電圧が、図3に示すように、接続端子96、バンプ104および個別電極90を通して駆動部92に印加される。駆動電圧が印加された駆動部92は、厚さ方向(すなわち分極方向)に対して直交する方向に収縮され、これにより振動板86が下側へ凸となるように変形される。このとき、振動板86の下面は圧力室84の上面84aを構成しているので、当該下面は圧力室84の内側へ出っ張るように変形され、圧力室84の容積が縮小される。したがって、圧力室84の内部に存在するインクには、駆動電圧の印加タイミングに応じて吐出圧が付与され、加圧されたインクがノズル68から用紙12の表面に吐出されて印刷が行われる。
図4に示すように、インク流路N1のノズル68からインクが吐出されると、インク流路N1の個別流路82にマニホールド80内のインクが引き込まれるため、マニホールド80には、複数のノズル68から吐出されたインクの総吐出量と同量のインクが流路110の流量測定領域Eから引き込まれ、これにより流量測定領域Eにインクの流れが発生する。本実施形態のインク粘度の制御方法は、流量測定領域Eにおけるインクの流れからインクの流量を測定し、測定された流量(以下、「測定流量」という。)が理想流量に近づくようにインクの粘度を制御するものであり、上述のインク粘度制御装置24を用いて実行される。以下には、本実施形態に係るインク粘度の制御方法について「流量測定工程」と「粘度制御工程」とに分けて説明する。
インク粘度制御装置24による制御動作を開始すると、図5に示すように、まず、ステップS1において、「ヒータ制御装置」としての制御装置22によってヒータ58が駆動される。つまり、制御装置22のヒータ駆動回路58aからヒータ58に対して一定時間間隔でパルス電圧が印加され、流路110を流れるインクが間欠的に加熱される。したがって、ヒータ58によって加熱された加熱インクにおいては、鋭敏なピークを有する温度分布パターンが一定時間間隔で間欠的に表れることになり、当該温度分布パターンのピークが加熱インクであることの目印となる。
粘度制御工程では、以下の4つの制御態様のいずれか1つが単独で実行され、或いは、これらの制御態様が任意に組み合わせて実行される。なお、「1つの制御態様」または「複数の制御態様の組み合わせ」の選択は、本実施形態では、ROM52に記憶されたプログラムによって行われるが、当該選択は、操作パネル64から入力された指令信号に基づいて行われてもよい。
第1制御態様は、粘度制御工程における基本となる制御態様である。上述の流量測定工程(ステップS1,S3)によって測定流量Rが求まると、ステップS5において、測定流量RがROM52に記憶された理想流量よりも大きいか否かが判断される。そして、「YES(大きい)」と判断されると、ステップS7においてヒータ58の出力が減少され、「NO(大きくない)」と判断されると、ステップS9においてヒータ58の出力が増大される。
第2制御態様では、ステップS1(図5)において、ヒータ58と共に補助ヒータ60が駆動され、補助ヒータ60でアクチュエータユニット72が加熱される。また、図6に示すように、ステップS7に続いてステップS13が実行され、或いは、ステップS9に続いてステップS15が実行され、ステップS5における判断に基づいて補助ヒータ60の出力が制御される。
第3制御態様では、図7に示すように、ステップS7に続いてステップS17が実行され、或いは、ステップS9に続いてステップS19が実行され、ステップS5における判断に基づいて駆動部92の動作回数が制御される。つまり、ステップS17では、「吐出制御装置」としての制御装置22によってアクチュエータユニット72における駆動部92の動作回数が減少され、ノズル68から吐出されるインクの単位時間当たりの吐出量が減少される。一方、ステップS17では、「吐出制御装置」としての制御装置22によって駆動部92の動作回数が増大され、ノズル68から吐出されるインクの単位時間当たりの吐出量が増大される。ここで、駆動部92の動作回数は、ドライバIC98において生成される駆動電圧の波形によって定まるものであり、本実施形態では、駆動電圧の波形を変更することによって駆動部92の動作回数が増減される。
第4制御態様では、図8に示すように、ステップS9に続いてステップS21が実行され、ステップS5における判断に基づいて駆動部92が「空駆動」される。ここで、「空駆動」とは、ドライバIC98にジュール熱を発生させるための動作を意味し、本実施形態では、ノズル68からインクを吐出させない程度の低い駆動電圧を駆動部92に繰り返し印加することによって「空駆動」が行われる。ドライバIC98で発生した熱は、出力配線100を伝わってアクチュエータユニット72を加熱するため、「第2制御態様」で用いた補助ヒータ60と同様に、流路ユニット70の内部に存在するインクの温度を上昇させることが可能であり、インクの粘度を低下させて、インクの流量を増大させることができる。
第5制御態様では、上述の流量測定工程(ステップS1,S3)は、吐出ヘッド14が上述のフラッシング動作を行っている際に行われる。これによれば、印刷前のフラッシング動作の際に流量測定工程が行われる為、印刷前にインクの粘度を算出することができる。この流量測定工程と同時に、粘度制御工程を行ってもよい。印刷前にインクの粘度を調整することができる為、印刷時にインクの増粘による不吐出が起こりにくくなる。また、印刷前のフラッシング動作と同時に、流量測定工程と粘度制御工程とを行う場合に限らず、印刷中のフラッシング動作中等に流量測定工程と粘度制御工程とを行ってもよい。
N1〜N4… インク流路
P… 加熱点
Q… 温度検出点
D… 距離
V… 流速
T… 時間
R… 流量
S… 流路の断面積
10… インクジェットプリンタ(液体吐出装置)
14… 吐出ヘッド
22… 制御装置(流量測定装置、ヒータ制御装置、吐出制御装置、補助ヒータ制御装置)
24… インク粘度制御装置
26a〜26d… インクタンク
58… ヒータ
60… 補助ヒータ
62… 温度センサ
64… 操作パネル
68… ノズル
70… 流路ユニット
72… アクチュエータユニット
80… マニホールド
84… 圧力室
92… 駆動部
100… 出力配線
110… 流路
110a… 細径部
Claims (10)
- ノズルから吐出される液体の粘度を制御する液体粘度の制御装置であって、
前記ノズルに液体を導く流路と、
前記流路を流れる液体を所定の加熱点において加熱するヒータと、
前記加熱点よりも前記流路の下流に位置する温度検出点に設けられ、前記ヒータで加熱された液体が前記温度検出点に到達したときに当該液体の温度を検出する温度センサと、
前記温度センサの出力を用いて前記流路を流れる液体の流量を測定する流量測定装置と、
前記流量測定装置で測定された測定流量が前記ノズルから液体を吐出するための理想流量に近づくように前記ヒータの出力を制御するヒータ制御装置とを備える、液体粘度の制御装置。 - 前記流路における少なくとも前記加熱点から前記温度検出点までの部分は、他の部分よりも細く形成されている、請求項1に記載の液体粘度の制御装置。
- 前記ノズルから吐出される液体を加熱する補助ヒータと、
前記流量測定装置で測定された測定流量に基づいて前記補助ヒータの出力を制御する補助ヒータ制御装置とをさらに備える、請求項1または2に記載の液体粘度の制御装置。 - 前記ヒータ制御装置は、前記流路内に液体が流れている間、間欠的に前記液体を加熱するように前記ヒータの出力を制御する、請求項1〜3のいずれかに記載の液体粘度の制御装置。
- 液体を吐出する複数のノズルと、前記複数のノズルのそれぞれに個別に連通された複数の圧力室と、前記複数の圧力室のそれぞれに共通に連通されたマニホールドとを有する流路ユニットと、
前記複数の圧力室内の液体に吐出圧を個別に付与する複数の駆動部を有する駆動ユニットと、
前記流路ユニットに供給される液体を収容するインクタンクと、
前記インクタンクと前記マニホールドとを連通するインクチューブと、
請求項1ないし4のいずれかに記載した液体粘度の制御装置とを備え、
少なくとも前記インクチューブと前記マニホールドと前記複数の圧力室とによって前記ノズルに液体を導く流路が構成されており、
前記マニホールドでは、前記流路の断面積が下流側に向けて拡大されており、
前記液体粘度の制御装置の前記加熱点および前記温度検出点は前記マニホールドより上流側に配置されている、液体吐出装置。 - 前記ノズルから液体を排出して前記ノズルを回復させる回復動作を行う回復装置をさらに備え、
前記液体粘度の制御装置は、前記回復装置が前記回復動作を行っているときに、前記流量測定装置が前記液体の流量を測定し、前記ヒータ制御装置により前記ヒータの出力を制御する、請求項5に記載の液体吐出装置。 - 流路の端部に設けられたノズルから吐出される液体の粘度を制御する、液体粘度の制御方法であって、
(a)前記流路を流れる液体を所定の加熱点においてヒータによって加熱する工程と、(b)前記加熱点において加熱した液体が前記加熱点よりも前記流路の下流に位置する温度検出点に到達したことを温度センサによって検出する工程と、
(c)前記温度センサの出力を用いて前記流路を流れる液体の流量を測定する工程と、
(d)測定した流量が前記ノズルから液体を吐出するための理想流量に近づくように前記ヒータによる液体の加熱の程度を調整する工程とを備える、液体粘度の制御方法。 - 前記(a)工程では、前記流路を流れる液体を間欠的に加熱し、
前記(c)工程では、前記センサの出力から時間情報を取得して液体の流速を測定するとともに、当該流速と前記流路の断面積とに基づいて液体の流量を測定する、請求項7に記載の液体粘度の制御方法。 - 前記ノズルと前記ノズルから液体を吐出させる駆動部とが吐出ヘッドに一体的に組み込まれており、 前記(d)工程では、前記(c)工程で測定した測定流量が理想流量よりも小さいときに前記駆動部の動作回数を増大させる、請求項7または8に記載の液体粘度の制御方法。
- 前記ノズルと前記ノズルから液体を吐出させる駆動部とが吐出ヘッドに一体的に組み込まれており、前記駆動部には、駆動電圧を生成するドライバICが電気的に接続されており、
前記(d)工程では、前記(c)工程で測定した測定流量が理想流量よりも小さいときに前記駆動部を空駆動させることによって、前記ドライバICに液体を加熱するための熱を発生させる、請求項7ないし9のいずれかに記載の液体粘度の制御方法。
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