以下、図面を用いて本発明の実施の形態の例を説明する。ただし、以下の記載は本発明の範囲を限定するものではない。一例として、以下の説明では、液体を吐出するエネルギーを発生するエネルギー発生素子として発熱素子を使用し、熱によって圧力室内の液体に気泡を発生させて吐出口から液体を吐出させるいわゆるサーマル方式の液体吐出ヘッドを例に挙げて説明する。しかしながら、本発明が適用可能な液体吐出ヘッドはサーマル方式のものに限られるものではなく、圧電素子を使用するピエゾ方式や、その他の各種の液体吐出方式を採用する液体吐出ヘッドにも本発明を適用することができる。
また以下の説明では、記録液等の液体をタンクと液体吐出ヘッドの間で循環させる液体吐出装置において用いられる液体吐出ヘッドを説明するが、本発明に基づく液体吐出ヘッドが用いられる液体吐出装置はこれに限られるものではない。液体を循環させずに上流側と下流側とにそれぞれタンクを設け、一方のタンクから液体吐出ヘッドを介して他方のタンクへ液体を流すことで液体吐出ヘッドの圧力室内で液体を流動させる形態の液体吐出装置にも本発明を適用することができる。
さらに、以下の説明では、液体吐出ヘッドが、被記録媒体の幅に対応した長さを有するいわゆるライン型のヘッドとして構成されているものとする。しかしながら、主走査方向及び副走査方向への走査によって被記録媒体における記録を完成させるいわゆるシリアル型の液体吐出ヘッドに対しても本発明を適用することができる。シリアル型の液体吐出ヘッドとしては、例えば、黒色の記録液用及びカラーの記録液用の記録素子基板を各1つずつ搭載する構成のものがあるが、これに限られるものではない。シリアル型の液体吐出ヘッドは、数個の記録素子基板を吐出口列方向に吐出口をオーバーラップさせるよう配置した、被記録媒体の幅よりも短い短尺のラインヘッドを作成し、それを被記録媒体に対してスキャンさせる形態のものであってもよい。
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態の液体吐出ヘッドを用いて被記録媒体に記録を形成する液体吐出装置における液体の循環経路を示している。本実施形態の液体吐出ヘッド3はライン型のものであって、複数の吐出口が設けられるとともに、吐出口ごとに吐出口に連通する圧力室を備え、各圧力室には記録液などの液体に吐出のためのエネルギーを付与するエネルギー発生素子が設けられている。圧力室は液体が循環するように構成されており、吐出されなかった液体は液体吐出ヘッドから流出されて液体吐出装置内を循環し、再び液体吐出ヘッドに供給されるようになっている。
液体吐出ヘッド3は、大別すると、液体供給ユニット220、負圧制御ユニット230及び液体吐出ユニット300によって構成されている。液体吐出ユニット300には、複数の記録素子基板10と共通供給流路211と共通回収流路212とが設けられており、各記録素子基板10にはそれぞれ複数のエネルギー発生素子が設けられている。液体吐出ヘッド3において、各記録素子基板10に対して図示矢印で示すように共通供給経路211から液体が供給され、この液体は共通回収流路212を介して回収されるようになっている。また、液体吐出ヘッド3には、液体吐出ヘッド3へ電力及び吐出制御信号を伝送する電気制御部が電気的に接続される。液体吐出ヘッド3内における液体の経路及び電気信号の経路の詳細については後述する。
液体吐出ヘッド3には、液体を液体吐出ヘッド3へ供給する供給路である液体供給手段、メインタンク1006、及びバッファタンク1003が流体的に接続される。バッファダンク1003は、記録液などの液体を貯留する貯留手段である。この例では、液体吐出ヘッド3が、高圧側の第1循環ポンプ1001、低圧側の第1循環ポンプ1002、及びバッファタンク1003などに流体的に接続している。サブタンクとしてのバッファタンク1003は、タンク内部と外部とを連通する大気連通口(不図示)を有し、液体吐出装置内を循環する液体中に発生した気泡を外部に流出することが可能である。バッファタンク1003は、補充ポンプ1005とも接続されている。補充ポンプ1005は、液体を吐出しての記録や吸引回復等、液体吐出ヘッドの吐出口から吐出(流出)することによって液体吐出ヘッド3で液体が消費された際に、消費された分に相当する液体をメインタンク1006からバッファタンク1003へ移送する。
2つの第1循環ポンプ1001,1002は、バッファタンク1003から液体吐出ヘッド3の液体接続部111に液体を給送する役割を有する。第1循環ポンプ1001,1002としては、定量的な送液能力を有する容積型ポンプを用いることが好ましい。具体的にはチューブポンプ、ギアポンプ、ダイヤフラムポンプ、シリンジポンプ等が挙げられるが、例えば一般的な定流量弁やリリーフ弁をポンプ出口に配して一定流量を確保する形態のポンプであっても用いることができる。液体吐出ヘッド300の駆動時には高圧側の第1循環ポンプ1001及び低圧側の第1循環ポンプ1002によって、それぞれ、共通供給経路211及び共通回収流路212内をある一定流量で液体が流れる。この流量としては、液体吐出ヘッド3内の各記録素子基板10間の温度差が、被記録媒体2上での記録品質に影響しない程度以上に設定することが好ましい。もっとも、過度に大きな流量を設定すると、液体吐出ユニット300内の流路の圧損の影響により、各記録素子基板10で負圧差が大きくなり過ぎて記録画像での濃度ムラが生じてしまう。このため、各記録素子基板10間の温度差と負圧差を考慮しながら、流量を設定することが好ましい。液体が循環する経路のうち、高圧側の第1循環ポンプ1001を含む方の経路はこの液体吐出装置での第1の循環系を構成し、低圧側の第1循環ポンプ1002を含む方の経路はこの液体吐出装置での第2の循環系を構成する。
液体吐出ヘッド3からバッファタンク1003に向けて液体が戻る経路には第2循環ポンプ1004が設けられており、負圧制御ユニット230は、第2循環ポンプ1004と液体吐出ユニット300との間の経路に設けられている。負圧制御ユニット230は、記録を行う時にデューティの差によって循環系の流量が変動した場合でも、負圧制御ユニット230よりも上流側(すなわち液体吐出ユニット300側)の圧力を予め設定した一定圧力に維持する機能を有する。負圧制御ユニット230は、それぞれ異なる制御圧が設定されている2つの圧力調整機構を備えている。これら2つの圧力調整機構としては、それ自身よりも上流の圧力を、所望の設定圧を中心として一定の範囲以下の変動で制御できるものであれば、どのような機構を用いてもよい。一例として、いわゆる背圧レギュレーターと同様の機構のものを採用することができる。圧力調整機構として背圧レギュレーターを用いる場合には、液体供給ユニット220を介して負圧制御ユニット230の下流側を第2循環ポンプ1004によって減圧するようにすることが好ましい。このようにするとバッファタンク1003の液体吐出ヘッド3に対する水頭圧の影響を抑制できるので、液体吐出装置におけるバッファタンク1003のレイアウトの自由度を広げることができる。第2循環ポンプ1004としては、液体吐出ヘッド3の駆動時に使用する液体の循環流量の範囲内において、一定圧を有するものであればよく、ターボ型ポンプや容積型ポンプなどを使用できる。具体的には、ダイヤフラムポンプ等が使用可能である。また第2循環ポンプ1004の代わりに、例えば負圧制御ユニット230に対してある一定の水頭差をもって配置された水頭タンクを設けることもできる。
負圧制御ユニット230内の2つ圧力調整機構のうち、相対的に高圧が設定されている圧力調整機構(図1においてHで表示)は、液体供給ユニット220内を経由して液体吐出ユニット300内の共通供給経路211に接続されている。同様に相対的に低圧が設定されている圧力調整機構(図1においてLで表示)は、液体供給ユニット220内を経由して液体吐出ユニット300内の共通回収流路212に接続されている。液体吐出ユニット300には、共通供給経路211及び共通回収流路212のほかに、各記録素子基板10とそれぞれ連通する個別供給流路213及び個別回収流路214が設けられている。記録素子基板ごとに設けられる個別供給流路213及び個別回収流路214を総称して個別流路と称する。個別流路は、共通供給流路211から分岐して共通回収流路212に合流するように設けられてこれらと連通している。したがって、記録液など液体の一部が共通供給流路211から記録素子基板10の内部流路を通過して共通回収流路212へと流れる流れ(図1の白抜きの矢印)が発生する。これは、共通供給流路211には高圧側の圧力調整機構Hが、共通回収流路212には低圧側の圧力調整機構Lがそれぞれ接続されているため、共通供給流路211と共通回収流路213の間に差圧が生じるからである。
このようにして、液体吐出ユニット300では、共通供給流路211及び共通回収流路212内をそれぞれ通過するように液体を流しつつ、一部の液体が各記録素子基板10内を通過するような流れが発生する。このため、各記録素子基板10で発生する熱を共通供給流路211および共通回収流路212の流れで記録素子基板10の外部へ流出することができる。そのため、バッファタンク1003からは、不図示の温度調整器などによって例えば27℃に温度制御された液体が液体吐出ヘッド3に供給されることになる。また、液体吐出ヘッド3による記録を行っている際に、記録を行っていない吐出口や圧力室においても液体の流れを生じさせることができる。これにより、その部位において液体の溶媒成分の蒸発に起因して液体の粘度が高まることを抑制することができる。また、増粘した液体や液体中の異物を共通回収流路212へと流出することができる。このため、上述した液体吐出ヘッド3を用いることにより、高速かつ高品位での記録を行うことが可能となる。
この構成では負圧制御ユニット230が液体吐出ヘッド3の下流側に配置されているので、負圧制御ユニット230から発生するゴミや異物が液体吐出ヘッド3へ流入する懸念が少なくなる。また、負圧制御ユニット230を液体吐出ヘッド3の上流側に配置した場合に比べ、バッファタンク1003から液体吐出ヘッド3へ供給する必要流量の最大値が少なくて済む。そのため、適用可能な循環ポンプの自由度が高まり、例えば構成の簡便な低コストの循環ポンプを使用したり、本体側経路に設置される冷却器(不図示)の負荷を低減したりすることができ、液体吐出装置本体のコストを低減できる。この利点は、流量が比較的大きくなるライン型ヘッドであるほど大きくなり、ライン型ヘッドの中でも長手方向に長い液体吐出ヘッドほど有益である。
もっとも本実施形態の液体吐出装置では、液体吐出ヘッド3の上流側に負圧制御ユニット230を配置することもできる。液体吐出ヘッド3の上流側に負圧制御ユニット230を配置した場合、記録デューティの低い画像の記録を行うときに高い負圧が吐出口に印加されることがなくなり、吐出時に負圧によってサテライト滴が発生することを抑制することができる。高い負圧が吐出口に印加されるのは高デューティ画像の記録を行うときであるため、仮にサテライト滴が発生しても記録された画像では視認されにくく、記録品質への影響は小さいという利点が生ずる。負圧制御ユニット230を液体吐出ヘッド3の上流側に配置するか下流側に配置するかは、液体吐出ヘッド3及び液体吐出装置本体の仕様(吐出流量、最小循環流量、及び液体吐出ヘッド内の流路抵抗)に照らして、好ましいものを選べばよい。
次に、第1の実施形態の液体吐出ヘッド3の構成について、図2を用いて説明する。図2の(a)は、液体吐出ヘッド3において吐出口が形成された面の側から見た斜視図であり、(b)は(a)とは反対方向から見た斜視図である。液体吐出ヘッド3は、16個の記録素子基板10とフレキシブル配線基板(FPC)40と電気配線基板90と液体接続部111とを備え、吐出液体である単一の色の記録液での記録が可能なインクジェット式のライン型液体吐出ヘッドである。16個の記録素子基板10は、液体吐出ヘッド3の長手方向に直線上に配列されている。電気配線基板90には信号入力端子91及び電力供給端子92が設けられており、信号入力端子91及び電力供給端子92は、電気配線基板90及びFPC40を介して各記録素子基板10に電気的に接続されている。信号入力端子91及び電力供給端子92は、液体吐出装置の制御部と電気的に接続され、それぞれ、吐出駆動信号などの電気信号と吐出に必要な電力とを電気配線基板90及びFPC40を介して記録素子基板10に供給する。信号出力端子91及び電力供給端子92は液体吐出ヘッド3の両側に配置されているが、これは記録素子基板10に設けられる配線部で生じる電圧低下や信号伝送遅れを低減するためである。電気配線基板90内の電気回路によって配線を集約することで、信号出力端子91及び電力供給端子92の数を記録素子基板10の数に比べて少なくできる。これにより、液体吐出装置に対して液体吐出ヘッド3を組み付ける時又は液体吐出ヘッドの交換時に取り外しが必要な電気接続部数が少なくて済むようになる。本実施形態の液体吐出ヘッドでは、記録素子基板10の周囲の構成が複雑とならないようにするため、電気信号や電力を各記録素子基板10に供給するための電気配線として、フィルム状であって可撓性を有するFPC40を有している。
液体吐出ヘッド3の両端部に設けられた液体接続部111は、液体吐出装置の液体供給系(図1参照)と接続される。これにより、記録液などの液体が液体吐出装置の供給系から液体吐出ヘッド3に供給され、また液体吐出ヘッド3内を通った液体が液体吐出装置の供給系へ回収されるようになっている。このように液体は、液体吐出装置の経路と液体吐出ヘッド3の経路を介して循環可能である。
図3は液体吐出ヘッド3の斜視分解図であり、液体吐出ヘッド3を構成する各部品またはユニットがその機能ごとに分割されて表示されている。液体吐出ヘッド3では、液体吐出ユニット300に含まれる後述の第2流路部材60によって液体吐出ヘッドの剛性を担保している。第2流路部材60の両端部に液体吐出ユニット支持部81が接続されており、これにより液体吐出ユニット300は液体吐出装置のキャリッジ(不図示)と機械的に結合されて、液体吐出ヘッド3の位置決めを行う。負圧制御ユニット230を備える液体供給ユニット220と、電気配線基板90とが、液体吐出ユニット支持部81に結合されている。図3には示されていないが、液体吐出ユニット支持部81には液体接続部111が設けられている。
ここに示す液体吐出ヘッド3では、負圧制御ユニット230を構成する上述した高圧側の圧力調整機構と低圧側の圧力調整機構とが分離して設けられており、それに合わせて液体供給ユニット220も2つ設けられている。一方の液体供給ユニット220に設けられる負圧制御ユニット230は高圧側の圧力調整機構のみを有し、他方の液体供給ユニット220に設けられる負圧制御ユニット230には低圧側の圧力調整機構のみが設けられる。言い換えれば、これら2つの負圧制御ユニット230は、それぞれ異なる相対的に高低の負圧で圧力を制御するように設定されている。2つの液体供給ユニット220内にはそれぞれフィルタ221が内蔵されている。このように液体吐出ヘッド3の両端部にそ、れぞれ、高圧側と低圧側の負圧制御ユニット230を設置した場合、液体吐出ヘッド3の長手方向に延在する共通供給流路211と共通回収流路212とにおける液体の流れが互いに対向する。このようにすると、共通供給流路211と共通回収流路212との間で熱交換が促進されて、共通供給流路211及び共通回収流路212の内部における温度差が低減されることになる。そのため、共通供給流路211及び共通回収流路212に沿って複数設けられる各記録素子基板10における温度差が付きにくく、温度差による記録ムラが生じにくくなるという利点がある。
液体吐出ユニット300は、複数個の吐出モジュール200と流路構成部材210とからなり、液体吐出ユニット300の被記録媒体側の面にはカバー部材130が取り付けられる。吐出モジュール200は、記録素子基板10と、記録素子基板10を支持する支持部材30とによって構成されている(図5参照)。図3に示すようにカバー部材130は、長尺の開口131が設けられた額縁状の表面を持つ部材であり、開口131からは吐出モジュール200に含まれる記録素子基板10が露出している。開口131の周囲の枠部は、液体吐出ヘッド3の吐出口が形成されている面を記録待機時にキャップするキャップ部材の当接面としての機能を有する。このため、開口131の周囲に沿って接着剤、封止材401(図5参照)、充填材等を塗布し、液体吐出ユニット300の吐出口形成面上の凹凸や隙間を埋めることで、キャップ時に閉空間が形成されるようにすることが好ましい。カバー部材130は、吐出モジュール200において特に吐出面、すなわち吐出口が形成されている面を保護する機能を有する。液体供給ユニット220と液体吐出ユニット300の間で液漏れが生じないようにジョイントゴム100が配置されている。
次に液体吐出ユニット300の流路構成部材210の詳細について説明する。図3に示すように流路構成部材210は、第1流路部材50及び第2流路部材60を積層したものであり、液体供給ユニット220から供給された記録液などの液体を各吐出モジュール200へと分配する。また流路構成部材210は、吐出モジュール200から還流する液体を液体供給ユニット220へと戻すための部材として機能する。吐出モジュール200には、各吐出口まで液体を供給し、吐出されなかった液体を還流する流路が設けられている。このように本実施形態の液体吐出ヘッドでは、記録液などの液体が圧力室を循環する構成とすることにより、圧力室や吐出口近傍部での液体の増粘を抑制できるので、吐出のヨレや不吐を抑制でき、結果として高品質な記録を行うことができる。
流路構成部材210の第2流路部材60は、内部に共通供給流路211及び共通回収流路212が形成された部材であるとともに、液体吐出ヘッド3の剛性を主に担うという機能を有する。したがって第2流路部材60は、液体が循環する共通供給流路211と、共通供給流路211とは分離して設けられて液体が循環する共通回収流路212とが形成された共通流路部材である。剛性を担うために第2流路部材60の材質としては、記録液などの液体に対する十分な耐食性と高い機械強度を有するものが好ましく、具体的にはステンレス鋼(SUS)やチタン(Ti)、アルミナなどを好ましく用いることができる。一方、流路構成部材210の第1流路部材50には、記録素子基板10ごとに対応して設けられる個別供給流路213及び個別回収流路214が形成されている。共通供給流路211及び共通回収流路212での流量は個々の個別供給流路213及び個別回収流路214での流量よりもはるかに大きいため、共通供給流路211及び共通回収流路212の流路断面積の大きくする必要がある。このため、第1流路部材50に比べて第2流路部材60はその厚みを大きくする必要があり、このこともあって、第2流路部材60に液体吐出ヘッド3の剛性を担わせることが可能となる。第2流路部材60に設けられた連通口61と第1流路部材50に形成された個別連通口53とが流体的に連通し、これにより、共通供給流路211と個別供給流路213とが連通し、個別回収流路214と共通回収流路212とが連通する。
次に、記録素子基板10の構成について、図4を用いて説明する。記録素子基板10は、複数の吐出口13が列をなして形成された吐出口形成部材12を有する。なお、以後、複数の吐出口13が配列される吐出口列が延びる方向を「吐出口列方向」と呼称する。吐出口形成部材12は基板11上に設けられている。基板11の一方の面において、各吐出口13に対応した位置には液体を熱エネルギーにより発泡させるための発熱素子であるエネルギー発生素子15が配置されている。図4では吐出口形成部材12に隠れて見えないが、隣接する吐出口13の間を仕切るように隔壁が設けられており、この隔壁により、記録素子15を内部に備える圧力室23が区画されている。結局、圧力室23は、吐出口形成部材12に形成された凹部に画定される空間であって、吐出口13に連通するとともに、エネルギー発生素子15を備えていることになる。エネルギー発生素子15は記録素子基板10に設けられる電気配線(不図示)によって、端子16と電気的に接続されている。エネルギー発生素子15は、液体吐出装置の制御回路から電気配線基板90(図2)及びFPC40(図2)を介して入力されるパルス信号に基づいて発熱し、圧力室23の液体を沸騰させ、この沸騰による発泡の力で液体を吐出口13から吐出する。各吐出口列に沿って、一方の側には液体供給路18が、他方の側には液体回収路19が延在している。液体供給路18及び液体回収路19は、記録素子基板10に設けられた吐出口列方向に延びた流路であり、それぞれ、基板11を貫通する供給口17a及び回収口17bを介して圧力室23に連通し、それによって吐出口13と連通している。
記録素子基板10の、吐出口13が形成される面の裏面にはシート状の蓋部材20が積層されており、蓋部材20には、後述する液体供給路18及び液体回収路19に連通する開口が複数設けられている。図4では基板11に隠されて開口は見えていない。この開口は、複数の連通口51(図5)と連通している。蓋部材20は、記録素子基板10の基板11に形成される液体供給路18及び液体回収路19の壁の一部を形成する蓋としての機能を有する。蓋部材20は、記録液などの液体に対して十分な耐食性を有している材料から構成されることが好ましく、また、開口21の開口形状および開口位置には高い精度が求められる。さらに本実施形態の液体吐出ヘッド3では、液体の温度調整のためのヒーター(不図示)と温度センサ(不図示)が記録素子基板10に設けられている。このヒーターと温度センサとは、圧力室23内の液体の温度を一定の設定温度(例えば50℃)に保つためのものである。
次に、記録素子基板10内での液体の流れについて説明する。基板11の一方の面側にはエネルギー発生素子15が形成されており、その裏面側には、吐出口列に沿って延在する液体供給路18及び液体回収路19を構成する溝が形成されている。後述するように液体供給路18及び液体回収路19は、それぞれ、個別供給流路213及び個別回収流路214を介して流路構成部材210内の共通供給流路211及び共通回収流路212と接続されている。このため液体供給路18と液体回収路19との間には差圧が生じている。液体吐出ヘッド3の複数の吐出口13から液体を吐出し記録を行っている際に吐出動作を行っていない吐出口においては、この差圧によって、液体供給路18内の液体は、供給口17a→圧力室23→回収口17bを経由して液体回収路19へ流れる。この流れは図4において矢印Cで示されている。この流れによって、記録を休止している吐出口13や圧力室23において、吐出口13からの溶媒の気化によって生じた増粘した液体や、泡・異物などを液体回収路19へ回収することができる。また吐出口13や圧力室23での液体の増粘を抑制することができる。
図5は、液体吐出ユニット300の断面を示している。図示されるように、共通供給流路211は、連通口61、個別連通口53、連通口51を介して、吐出モジュール200へ接続されている。連通口51は、第1流路部材50に設けられるものであって、吐出モジュール200に形成された液体供給口31に流体的に連通している。液体供給口31は、記録素子基板10の蓋部材20に形成された開口を介して、記録素子基板10内の液体供給路18に連通している。図5では不図示であるが、別の断面においては、共通回収流路212が同様の経路で吐出モジュール200へ接続されている。これまで説明したように、各吐出モジュール200及び記録素子基板10には各吐出口に連通する流路が形成されており、供給した液体の一部または全部が、吐出動作を休止している吐出口13に対応する圧力室23を通過して環流できるようになっている。共通供給流路211は高圧側の負圧制御ユニット230と、共通回収流路212は低圧側の負圧制御ユニット230と、それぞれ液体供給ユニット220を介して接続されている。共通供給流路211と共通回収流路212の間の差圧によって、共通供給流路211から記録素子基板10の圧力室23を通過して共通回収流路212へと流れる流れが発生する。
吐出モジュール200と電気配線基板90(図2参照)とを接続するFPC40が第1流路部材50及び第2流路部材60に沿わせて固定されており、端子16(図4参照)に電気的に接続されている。この端子16との電気的接続部の露出部は、上述したように、封止材401によって保護されている。記録素子基板10の吐出面を保護するカバー部材130は、FPC40上に接合されている。このカバー部材130は、共通供給流路211が延びる方向すなわち液体吐出ヘッド3の長手方向とは直交する方向に搬送される被記録媒体と、液体吐出ヘッド3の吐出面との間に位置することになる。FPC40を保護し電気的にシールドするシールド部材403が、断熱部材402を介してFPC40に接合されている。
本実施形態の液体吐出ヘッド3では、第2流路部材60に対し、例えば27℃に温度調節された液体が共通供給流路211及び共通回収流路212に供給される。また、記録素子基板10に設けられた温度調整用のヒータにより暖めることにより、供給された27℃の液体は例えば50℃に温度制御される。このため液体吐出ヘッド3の吐出面の近傍に存在する空気は、吐出口からの溶媒成分(特に水分)の蒸発や、液体吐出装置内の温湿度により、通常の環境よりも相対湿度が高くなっている。液体吐出ユニット300の最外面に位置する部材の表面の温度が、この相対湿度から定まる露点を下回ると、その部材の表面に結露が生じることとなる。液体吐出ユニット300に含まれる部材のうち記録素子基板10及び支持部材30も最外面にあるが、記録素子基板10が高い温度に温度調節されているため、記録素子基板10及び支持部材30では結露は起こりにくい。そのため、液体吐出ユニット300の最外面に位置する部材のうち、カバー部材130と及びシールド部材403において結露が起こりやすいこととなる。ここで挙げていない部材が液体吐出ユニット300の最外面に位置することも考えられるが、その場合もそのような部材において結露が起こりやすいことになる。液体吐出ヘッド3の最外面に位置する部材であって吐出モジュール200以外の部材を最外面部材と呼ぶ。最外面部材には、液体吐出ユニット300の最外面に位置する部材以外のものも含まれることが考えられる。しかしながらそのような部材については、液体吐出ユニットの最外面に位置する部材よりも第2流路部材60に対する距離が遠く、したがってそのような部材と第2流路部材60との間の熱抵抗も大きいので、結露の問題を考慮する必要はない。
本実施形態の液体吐出ヘッド3では、第2流路部材60に比べて第1流路部材50の熱抵抗を大きくすることで、カバー部材130に対する結露を抑制することができる。このとき第1流路部材50は、最外面部材であるカバー部材と共通流路部材である第2流路部材60との間に配置される中間部材として機能する。カバー部材130への伝熱には3つの経路がある。第1には温度調節された記録素子基板10からの伝熱であり、これは支持部材30を介して伝わるが、記録素子基板10及び支持部材30はいずれも環境温度よりも高温であるので、結露をさせにくくする伝熱である。第2には、液体吐出ヘッド3の近傍の気流からの熱伝達であり、これは流速や温度により変化する。第3には、第2流路部材60及び第1流路部材50を通る伝熱であり、低い温度(27℃)に温度調節された液体が共通供給流路211及び共通回収流路212から熱を奪ってカバー部材130の温度を下げるものである。この第3の伝熱のルートに起因して、カバー部材130の表面に結露が起こる可能性がある。特に記録幅が長く、大流量を流す必要がある液体吐出ヘッド3においては、流量が大きいことにより熱伝達率も大きくなって奪い去れる熱量も大きくなるため、結露がより起こりやすくなる。剛性を担う必要上、第2流路部材60の材質の変更は難しいので、第1流路部材50の熱抵抗を第2流路部材60の熱抵抗よりも大きくする。これにより本実施形態では、第3の伝熱ルートを阻害し、カバー部材130の温度低下を防いで、結露を抑制することができる。
熱抵抗率は、熱伝導率をλ、部材の厚さをtとすると、t/λで表すことができ、熱抵抗率を伝熱面積で除算すれば熱抵抗が得られる。ここで第2流路部材60の材料として例示したステンレス鋼の熱伝導率は20W/mK、アルミナの熱伝導率は24W/mKである。そこで第2流路部材60よりも熱抵抗を大きくする部材では、その厚さを大きくして伝熱距離を長くするか、あるいは、熱伝導率が低い材料、例えば樹脂材料を選択する。流路が形成される部材には、熱抵抗により温度差が生じても液体の漏洩が生じる可能性が小さいように、隣接部材との線膨張率差を小さくする必要がある。したがって、第1流路部材50など、第2流路部材60よりも熱抵抗を大きくする部材の材料としては、樹脂材料を母材としてシリカ微粒子などの無機フィラーを添加した複合材料が好適である。そのような樹脂材料として例えばポリフェニルサルファイド(以下、PPSとする)は、熱伝導率が0.8W/mKであり、大きな熱抵抗を得ることができる。
カバー部材130に対する第2流路部材60の熱抵抗率は、共通流路(共通供給流路211及び共通回収流路212)から第1流路部材50までの距離を2mmとすると、第2流路部材60にアルミナを用いた場合、8.3×10-5m2K/Wとなる。第2流路部材60にステンレス鋼を用いた場合には、1.0×10-4m2K/Wとなる。ここで第1流路部材50の厚さが3mmでその材料にPPSを用いた時の熱抵抗率は3.8×10-3m2K/Wであって、第2流路部材60の熱抵抗率より1桁以上大きくなっており、カバー部材130の冷却を抑えて、結露を抑制することができる。また、シールド部材403に対する第2流路部材60の熱抵抗率は、共通流路から第2流路部材60の外側面までの距離を6mmとすると、第2流路部材にアルミナを用いた場合には2.5×10-4m2K/Wとなる。同様にステンレス鋼を用いた場合には、3.0×10-4m2K/Wとなる。また、第2流路部材60とシールド部材403との間に断熱部材402としてエポキシ樹脂を1mm充填することで、熱抵抗率が3.3×10-3m2K/Wと1桁以上大きくなり、シールド部材403の冷却を抑えて結露を抑制することができる。第2流路部材60とシールド部材403の関係で言えば、シールド部材403は最外面部材に相当し、断熱部材402は中間部材に相当する。
以上説明してきたように、第2流路部材60と液体吐出ヘッド3の最外面に配置される部材との間に第2流路部材60よりも熱抵抗の大きな部材を配置することにより、液体吐出ヘッド3の最外面に配置される部材の表面における結露を抑制することができる。
(第2の実施形態)
上述の第1の実施形態は、被記録媒体に対して液体吐出ヘッドから液体を直接吐出する形式の液体吐出装置における液体吐出ヘッドに関するものであるが、中間転写方式の液体吐出装置における液体吐出ヘッドにも本発明を適用することができる。液体吐出装置がインクジェット記録装置である場合、高速かつ高速かつ高品位な画像出力を達成するためには、被記録媒体の繊維に沿って記録液が広がるフェザーリング等の画像劣化現象を抑制する必要がある。中間転写体を用いる中間転写方式の液体吐出装置は、そのような画像劣化現象を解決しようとするものである。第2の実施形態では、中間転写方式の液体吐出装置において用いられる液体吐出ヘッドについて説明する。
中間転写方式の液体吐出装置は、中間転写体のほかに、反応液付与手段、記録液付与手段、補助液付与手段、温度調整手段及び転写手段を有する。反応液付与手段は、中間転写体上に反応液を付与するものであり、記録液付与手段は、中間転写体上に付与され反応液上に記録液を付与するものである。補助液付与手段は、中間転写体上に付与された反応液および記録液上に、水溶性樹脂を含有する補助液を付与し、中間転写体上に反応液、記録液及び補助液からなる中間画像を形成する。転写手段は、中間画像を被記録媒体に転写するものである。
図6は、中間転写方式の液体吐出装置の具体的な構成例を示している。この液体吐出装置は、回転可能なドラム状の支持部材501と、その外周面に配置された表層部材502とからなる中間転写体500を備えている。支持部材501は、軸503を中心として図示矢印方向に回転駆動し、その回転と同期して、その周辺に配置された各手段が作動するようになっている。また、中間転写体500の外周面に反応液を付与する反応液付与手段として、ローラ式塗布装置504が配置されている。このローラ式塗布装置504では、反応液用の容器に充填された反応液が、2つのローラの回転により、これらのローラの外周面上を移動する。そして、中間転写体500の外周面に当接したローラの回転により、このローラから中間転写体500の外周面上に反応液が付与される。
中間転写体500の回転方向に対してローラ式塗布装置504の下流側には、中間転写体500の外周面に対向するように記録液付与手段である液体吐出ヘッド3が配置されている。液体吐出ヘッド3は、例えば、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及びブラック(K)の各色の記録液を中間転写体500の外周面に吐出するものであって、各色ごとに1つずつ、合計4個設けられている。中間転写体500の回転方向に対して液体吐出ヘッド3の下流側には、中間転写体500の外周面に補助液を付与する補助液付与手段としての液体吐出ヘッド4が設けられている。液体吐出ヘッド3,4としては、例えば、エネルギー発生素子として発熱素子を使用し、オンデマンドで吐出口から液体を吐出するタイプの第1の実施形態に示すような液体吐出ヘッドが用いられる。液体吐出ヘッド3,4の各々は、中間転写体500の軸503に略平行となるように直線状に配置したラインヘッド形態となっている。ローラ式塗布装置504及び液体吐出ヘッド3,4により、中間転写体500の外周面上には反応液、記録液及び補助液が順次付与されることとなり、これらの液からなる中間画像が形成される。この中間画像は、被記録媒体上に記録すべき画像を鏡像反転した画像である。さらに、中間転写体500上の中間画像中の液体成分(特に水分あるいは溶媒)を減少させる目的で送風装置505が配置されている。送風装置505は、中間転写体500の回転方向に対して液体吐出ヘッド4の下流側の位置で、中間転写体500の外周面に対して空気を吹き付ける。送風装置505からの送風により中間画像中の液体分を減少させて、転写時の画像の乱れを抑制し被記録媒体上に良好な画像を得ることができる。
中間転写体500の支持部材501には、温度制御手段である加熱用のヒータ506が内蔵されている。このヒータ506により、後述する中間画像の転写時までに、中間転写体500を、補助液に含有される水溶性樹脂のガラス転移温度以上まで、例えば60℃に加熱できるようになっている。中間転写体500の回転方向で送風装置505やヒータ506の位置よりもさらに下流側には、中間転写体500の外周面に対向する外周面を有する加圧ローラ507が配置されている。転写手段である加圧ローラ507により、中間転写体500上の中間画像を被記録媒体508に接触させてこの中間画像を被記録媒体508に転写できるようになっている。加圧ローラ507には冷却部509が内蔵されている。この冷却部509により、転写時の被記録媒体508の温度を補助液に含まれる水溶性樹脂のガラス転移点よりも低い温度に冷却できるようになっている。このように図6に示す液体吐出装置では、中間転写体500と加圧ローラ507とによって中間転写体500上の中間画像と記録媒体508とを挟み込むように加圧することで、効率の良い画像転写を実現している。すなわち実際の転写工程では、中間転写体500上に形成された中間画像は、画像転写部510において、搬送ローラ511の回転により搬送ガイド512に沿って搬送された被記録媒体508と接触する。そして、被記録媒体508が中間転写体500から剥離することで、中間転写体500に形成されていた中間画像が被記録媒体508に転写される。
中間転写体500は例えば60℃の高温に温度制御されており、各液体吐出ヘッド3,4の共通供給流路211及び共通回収流路212に供給される記録液は、排熱を効率よく行うために例えば27℃の低温に温度制御されている。液体吐出ヘッド3,4内の記録素子基板10は、良好な吐出特性を得るために、例えば50℃に温度制御されている。液体吐出ヘッド3,4の液体吐出モジュール200と中間転写体500との間に存在する空気は、中間転写体500の温度(60℃)により温められ、さらに記録液や補助液を吐出することにより相対湿度が上昇した結露しやすい環境になっている。液体吐出ヘッド3,4としては、吐出する液体が記録液であるか補助液であるかの違いはあるものの、同じ種類の液体吐出ヘッドを用いることができるので、液体吐出ヘッド3により、第2の実施形態の液体吐出ヘッドを説明する。図7は第2の実施形態の液体吐出ヘッドにおける液体吐出ユニット300の断面を示している。
本実施形態の液体吐出ヘッド3は、断熱部材402の形状を除き、上述した第1の実施形態の液体吐出ヘッド3と同じ構成のものである。中間転写方式の液体吐出装置において用いられるものであるので、中間転写体500の断面の一部も図7に示されている。図7に示すようにカバー部材130は、50℃に温度制御されている記録素子基板10の外側に位置しており、FPC40を介して第1流路部材50と接触している。ここで第1流路部材50は、樹脂材料で形成されており熱抵抗が高いため、低い温度の第2流路部材60と高い温度の中間転写体500との間を断熱する機能を有している。このような構成にすることにより、カバー部材130は中間転写体500により温められて露点よりも高い温度を維持することができ、カバー部材130における結露を抑制することができる。また部材の熱抵抗は、その熱伝導率をλ、その厚さをt、伝熱面積をSとすると、t/λSであらわすことができる。そのため、熱抵抗を大きくするためには、部材の厚さtを大きくする、熱伝導率λを低くする、面積Sを狭くする、の3つの方法がある。そこで図7に示すように、FPC40とシールド部材403との間隔は一定に保ったまま、FPC40とシールド部材403との隙間に部分的に断熱部材402が設けられるようにする。FPC40とシールド部材403との隙間のうち断熱部材402が設けられていない部分404は空気層となる。したがって、中間部材は、断熱部材402と空気層とが交互に配置した構成を有する。エポキシ樹脂などの断熱部材402よりも空気層の方が熱伝導率が小さいから、第2流路部材40とシールド部材403との間の熱抵抗が大きくなる。このように不連続に断熱部材402を設けることにより、第2流路部材60とシールド部材403との間の熱抵抗をさらに大きくすることができ、シールド部材403の低温化を防止してシールド部材403での結露を抑制することができる。
本実施形態において示すように、中間転写体500により温められた環境においても、熱抵抗の大きな部材を配置することで、カバー部材130やシールド部材403の温度を環境温度に近づけることができ、これらの部材の表面での結露の発生を防止できる。以上説明してきたように本発明に基づく液体吐出ヘッド3を用いることにより、中間転写方式の液体吐出装置においても、液体吐出ヘッドを構成する部材、例えばカバー部材やシールド部材での結露を防止することができる。