(第1実施形態)
以下、本発明の第1実施形態について説明する。図1に、本実施形態にかかる車両用報知システムの構成を示す。車両用報知システムは、車両に搭載される車載機1、車両のドライバ以外の乗員(後席乗員、助手席乗員等)が携帯して車室内に持ち込んだ携帯端末2、車室内に(例えば後部座席の乗員が見るために)搭載される車載ディスプレイ3を備えている。
本実施形態では、車載機1が自車両の走行データおよび位置情報を取得し、携帯端末2がWeb情報を取得し、車載機1は、携帯端末2から当該Web情報を受信すると共に、これら走行データ、位置情報、およびWeb情報に基づいて、自車両内の乗員に報知(注意報知、警告報知)を行うか否かを判定し、報知を行う場合は、携帯端末2および車載ディスプレイ3に報知を行わせるようになっている。このため、車載機1と、車室内に持ち込まれた携帯端末2とは、WiFi通信、Bluetooth通信等の方法により、互いに無線通信を行い、車載ディスプレイ3は、車載機1と有線接続されている。
また、車載用報知システムは、VICSアンテナ5、車内LAN6、カメラ7、ミリ波レーダ8、GPS受信機9等を有している。VICSアンテナ5は、路側に設置されたVICS送信機から交通情報を受信するためのアンテナである。カメラ7は、車両の周囲を撮影するカメラであり、例えば、車両から車両前方を撮影するフロントカメラ、車両から車両右側を撮影する右側カメラ、車両から車両左側を撮影する右側カメラ、車両から車両後方を撮影する後方カメラというカメラ群から構成されている。ミリ波レーダは、自車両と自車両前方の他車両との車間距離を検出する装置である。GPS受信機9は、GPS衛星からの信号を受信して自車両の位置を検出する装置である。また、車載機1には、USBメモリ等の持ち運び可能な記憶媒体である外部メモリ4が接続可能となっている。
車載機1は、地図データ記憶媒体11、作業用メモリ12、無線通信装置13、映像出力装置14、有線通信インターフェース15、制御部16を有している。制御部16は、地図データ記憶媒体11に記録されている地図データを読み出し、作業用メモリ12を使用し、車室内の携帯端末2と通信するために無線通信装置13を用い、車載ディスプレイ3に映像を表示させるために映像出力装置14を用い、外部メモリ4にデータを書き込むために有線通信インターフェース15を用いる。
携帯端末2は、スマートフォン、タブレットPC等、ユーザが持ち運び可能であると共に、車載機1と無線通信可能な装置である。なお、携帯端末2は、車外に設置されたアクセスポイント、基地局等を介して、インターネット等の広域ネットワークに接続可能となっている。また、携帯端末2は、電話通話が可能となっている。
このような携帯端末2は、車載機と無線通信するための第1無線部、広域ネットワークに接続すると共に電話通話と可能とするための第2無線部、ユーザに文字および画像を表示するディスプレイ、空気振動音を発生させるためのスピーカ、骨伝導音等の振動を発生させるための振動アクチュエータ、ユーザの操作を受け付ける操作部、および、これら各部を制御する携帯側制御部を有している。
携帯側制御部は、通常、携帯端末2にインストールされたアプリケーション(例えば、ゲームアプリケーション、Web閲覧アプリケーション、楽曲再生アプリケーション)を、ユーザの実行操作に応じてマルチタスクで実行可能となっている。
そして、本実施形態においては、携帯端末2の起動後、携帯側制御部が、ユーザの所定の起動操作に従って、他のアプリケーションと並列的に、図2に示す危険・注意報知処理を実行するようになっている。あるいは、携帯端末2が起動したことに基づいて、危険・注意報知処理の実行が始まるようになっていてもよい。
この危険・注意報知処理において、携帯側制御部は、ステップ510で、危険報知命令を車載機1から受信したか否かを判定し、受信していないと判定した場合はステップ530に進み、注意報知命令を車載機1から受信したか否かを判定し、受信していないと判定した場合はステップ510に戻るという処理を実行する。
以下、このような車両用報知システムの作動について説明する。なお、以下では、携帯側制御部が実行する処理を携帯端末2が実行する処理であるとして説明する。車載機1の制御部16は、車両のエンジンがオンとなったときに図3の処理を開始し、まずステップ105で、走行データ、位置情報、Web情報を取得する。走行データは、図示しない車速センサから取得した車両の走行速度および当該走行速度の変化に基づいて特定された走行加速度を含むと共に、図示しないステアリング角センサから取得したステアリング角を含む。位置情報は、図示しないGPS受信機からの信号に基づいて特定される車両の緯度および経度を含む。Web情報は、天候情報、渋滞情報、道路交通情報を含む。
なお、Web情報は、携帯端末2に対して要求して取得する。携帯端末2は、上述のWeb情報を広域通信ネットワーク(例えばインターネット)上の所定のWebサイトから定期的に取得し、取得した情報を、車載機1からの要求に応じて車載機1に送信する。
続いてステップ110では、直前のステップ105で取得した位置情報と地図データを用いて周知のマップマッチングを行い、マップマッチングの結果として、自車両が走行している道路および当該道路上の自車両の位置を特定する。そして、特定した自車両走行道路上の自車両位置周辺における道路情報(急カーブの有無、交差点の有無)を、地図データから読み出す。
続いてステップ115では、自車両の速度ベクトルを算出する。この速度ベクトルは、例えば、ステップ115で取得した車両の位置情報の変化量に基づいて算出してもよいし、直前のステップ115で取得した車両の走行データに含まれる車速およびステアリング角に基づいて算出してもよい。
続いてステップ120では、車間距離を、すなわち、前方の車両と自車両との間の距離を、検出する。この車間距離は、車両の前端に取り付けられたミリ波レーダーからの出力に基づいて検出する。
続いてステップ125では、自車両が蛇行運転しているか否かを判定する。具体的には、ステップ105で取得した位置情報の推移に基づいて、自車両の軌跡を算出し、その軌跡に基づいて、自車両が蛇行運転しているか否かを判定する。例えば、ステップ110のマップマッチングによって特定した自車両走行道路の形状を地図データから取得し、取得した形状に沿った方向を前後行方向とし、その前後方向に直交する方向を横方向とすると、自車両の軌跡に基づいて自車両の車速の横方向成分を算出し、算出した横方向成分の正負が切り替わる回数が、現在から遡る所定時間以内に所定回数以上であるか否かを判定し、所定時間以内に所定回数以上であれば蛇行運転していると判定し、所定時間以内に所定回数未満であれば蛇行運転していないと判定する。
蛇行運転していると判定すると、図4のステップ205に進み、フロントカメラから取得した撮影画像に基づいて、道路上のラインの自車両に対する位置を(例えば周知のハフ変換を用いて)特定し、その特定結果に基づいて、自車両がラインを跨いでいるか否かを判定する。なお、ここでいるラインとは、オレンジ線(すなわちセンターライン)および白線をいう。
ラインを跨いでいないと判定した場合、ステップ210に進み、現在も蛇行運転が続いているか否かを、ステップ125に基づいて判定する。蛇行運転が続いていないと判定した場合、注意報知も危険報知も行わずにステップ105に戻る。
ステップ210で蛇行運転が続いていると判定した場合、ステップ215に進み、注意報知(注意喚起のための報知)を行う。具体的には、車載ディスプレイ3に注意喚起表示を行わせると共に、携帯端末2に対し、注意報知命令を送信する。この注意報知命令には、報知種別情報を含める。報知種別情報は、報知する事象の種別を示す情報であり、ここでは、「蛇行」という種別を示す報知内容情報を含める。ステップ215の後は、ステップ105に戻る。
この注意報知命令を受信した携帯端末2は、図2のステップ530で、注意報命令を受信したと判定し、ステップ540に進み、携帯端末2のユーザ(例えば後部座席乗員)に注意を促すため、画像、音声、および振動のうちいずれか1つまたは複数を発生させる。また、通信によって他の装置に報知を行わせてもよい。なお、報知する内容は、受信した注意報知命令に含まれる報知種別情報を参照し、当該報知種別情報に対応した種別の注意報知を行う。ステップ540の後、ステップ510に戻る。
ステップ540では、例えば、携帯端末2が、音楽を再生中に注意報知命令を受信したとき、ゲームのプログラムを実行中に注意報知命令を受信したとき、および、ユーザによって通話に用いられている最中に注意報知命令を受信したときのそれぞれには、以下のような報知を行ってもよい。音声で報知を行う場合は、注意報知命令の1回の受信につき、1回だけ音声報知を行う。振動で報知を行う場合は、骨伝導を利用した音声の報知を行う。画像で報知を行う場合は、注意報知命令の1回の受信につき、1回だけ画像(例えば黒色のテロップ文字)による報知を行う。通信によって他の装置に報知を行わせる場合は、車内の他の携帯端末2に対しても、WiFi通信、Bluetooth通信を利用して、注意報知命令を送信する。これにより、車内の他の携帯端末2も注意報知を行うようになる。
なお、骨伝導を利用した報知を行う場合、通話中のユーザに対しても確実に報知を行うことができる。空気振動を利用する通常の音声通知の場合、通話を途絶させてしまうが、骨伝導を利用することで、通話と注意報知を両立させることができる。
なお、画像で報知を行うか、音声で報知を行うか、振動で報知を行うかについては、携帯端末2においてあらかじめ定められていてもよいし、あるいは、例えば、車載機1の制御部16が、注意報知命令に、振動で骨伝導により報知を行うよう指示する指示データを含め、携帯端末2は、受信した注意報知命令に当該指示データが含まれていることに基づいて、振動で骨伝導により音声報知を行うようになっていてもよい。
ステップ205でラインを跨いでいると判定した場合、ステップ220に進み、自車両がラインを跨いた位置は交差点内であるか否かを、地図データに含まれる交差点位置の情報と自車位置に基づいて判定する。
ラインを跨いた位置が交差点内であると判定した場合、ステップ225に進み、交差点の現在の信号表示が赤信号(すなわち、進入禁止を示す信号)であるか否かを判定する。赤信号であるか否かは、フロントカメラの撮影画像に含まれる信号機の画像に基づいて判定してもよいし、信号機から現在の信号表示内容の情報が送信されている場合は、その信号表示内容の情報に基づいて判定してもよい。
赤信号であると判定した場合、ステップ230に進み、危険報知を行う。具体的には、車載ディスプレイ3に危険報知表示を行わせると共に、携帯端末2に対し、危険報知命令を送信する。この危険報知命令には、報知する事象の種別を示す報知種別情報を含める。ここでは、「蛇行」という種別を示す報知内容情報を含める。ステップ230の後は、ステップ105に戻る。
この危険報知命令を受信した携帯端末2は、図2のステップ510で、危険報知命令を受信したと判定し、ステップ520に進み、携帯端末2のユーザ(例えば後部座席乗員)に危険報知を行うため、画像、音声、および振動のうちいずれか1つまたは複数を発生させる。また、通信によって他の装置に報知を行わせてもよい。なお、報知する内容は、受信した危険報知命令に含まれる報知種別情報を参照し、当該報知種別情報に対応した種別の危険報知を行う。ステップ520の後、ステップ510に戻る。
ステップ520では、例えば、携帯端末2が、音楽を再生中に危険報知命令を受信したとき、ゲームのプログラムを実行中に危険報知命令を受信したとき、および、ユーザによって通話に用いられている最中に危険報知命令を受信したときのそれぞれには、以下のような報知を行ってもよい。音声で報知を行う場合は、危険報知命令の1回の受信につき、車両の状態が安定するまで(例えば、蛇行運転が解消するまで)、音声報知を継続する。振動で報知を行う場合は、車両の状態が安定するまで(例えば、蛇行運転が解消するまで)、継続して骨伝導を利用した報知を行う。画像で報知を行う場合は、危険報知命令の1回の受信につき、車両の状態が安定するまで(例えば、蛇行運転が解消するまで)、継続して画像(例えば目立つ赤色の字によるコーションテロップ文字)による報知を行う。なお、車両の状態が安定した場合は、車載機1の制御部16が車両安定通知を当該携帯端末2に送信する。したがって、携帯端末2は、車両安定通知を取得したことに基づいて、車両が安定したことを検出できる。
なお、画像で報知を行うか、音声で報知を行うか、振動で報知を行うかについては、携帯端末2においてあらかじめ定められていてもよいし、あるいは、例えば、車載機1の制御部16が、危険報知命令に、振動で骨伝導により報知を行うよう指示する指示データを含め、携帯端末2は、受信した危険報知命令に当該指示データが含まれていることに基づいて、振動で骨伝導により音声報知を行うようになっていてもよい。
通信によって他の装置に報知を行わせる場合は、車内の他の携帯端末2に対しても、WiFi通信、Bluetooth通信を利用して、危険報知命令を送信する。これにより、車内の他の携帯端末2も危険報知を行うようになる。また、現在の自車位置を含めた緊急事態情報を、携帯電話通信の機能を用いて、車外のサーバへ無線送信する。その後、車両が安定した後例えば、蛇行運転が解消した後)、再度、正常である旨を示す正常情報を上記サーバへ無線送信する。ただし、自車両の状態が所定の異常状態範囲内に入っている場合(例えば、自車両の加速度が所定の異常範囲内に入っている場合)、再度、当該サーバに現在の自車位置を含めたヘルプ要請情報を無線送信する。サーバ側では、ヘルプ要請情報を受信すると、ヘルプ要請情報に含まれる自車位置に緊急車両を送るよう手配するための処理を行う。また、サーバが緊急事態情報を受信後、一定期間正常情報もヘルプ要請情報も受信できない場合は、緊急事態と判断し、緊急車両を送るよう手配するための処理を行う。
ラインを跨いた位置が交差点内でないとステップ220で判定した場合、ステップ235に進み、ラインを跨いだ先が目的地の施設(例えば、コンビニエンスストア、駐車場)の位置であるか否かを判定する。なお、目的地の施設としては、ドライバの操作によって車載機1にあらかじめ登録されているものを用いる。目的地の施設の位置情報としては、地図データに含まれているものを用いる。
目的地の施設であると判定した場合は、注意報知も危険報知も行わずにステップ105に戻る。目的地の施設でないと判定した場合は、ステップ240に進み、ステップ230と同様の危険報知を行う。ステップ240の後、ステップ105に戻る。
ステップ125で蛇行走行していないと判定した場合、ステップ130に進み、自車両と前方車両が接触する可能性が高いか否か判定する。例えば、直前のステップ120で検出した車間距離が基準距離未満である場合に、自車両と前方車両が接触する可能性が高いと判定し、直前のステップ120で検出した車間距離が上記基準距離以上である場合に、自車両と前方車両が接触する可能性が高くないと判定してもよい。この際、基準距離は、自車両の車速が高いほど小さくなるような可変値であってもよい。
接触する可能性が高いと判定した場合、ステップ250に進み、自車両が減速しているか否かを、直前のステップ105で取得した走行データ中の自車両の走行加速度に基づいて判定する。
減速していると判定した場合、ステップ255に進み、現在の減速度を維持したまま停止した場合、乗員が受ける加速度(乗員が受けている慣性力を乗員の質量で除算した量)が0.75G以上であるか否かを判定する。すなわち、現在の加速度が−0.75G以下であるか否かを判定する。
乗員が受ける加速度が0.75G以上であると判定した場合、ステップ260に進み、危険報知を行う。具体的には、車載ディスプレイ3に危険報知表示を行わせると共に、携帯端末2に対し、危険報知命令を送信する。この危険報知命令には、報知する事象の種別を示す報知種別情報を含める。ここでは、「車間距離低減」という種別を示す報知内容情報を含める。ステップ260の後は、ステップ105に戻る。この危険報知命令を受信した携帯端末2の作動は、ステップ230で説明したものと同じである。ただし、車両の状態が安定する場合の例としては、例えば、前方車両までの車間距離が基準距離以上となる場合がある。
乗員が受ける加速度が0.75G未満であると判定した場合、ステップ265に進み、現在の減速度を維持したまま停止した場合、乗員が受ける加速度(慣性加速度)が0.5G以上であるか否かを判定する。すなわち、現在の加速度が−0.5G以下であるか否かを判定する。乗員が受ける加速度が0.5G未満であると判定した場合、注意報知も危険報知も行わずにステップ105に戻る。
乗員が受ける加速度が0.5G以上であると判定した場合、ステップ270に進み、注意報知を行う。具体的には、車載ディスプレイ3に注意報知表示を行わせると共に、携帯端末2に対し、注意報知命令を送信する。この注意報知命令には、報知する事象の種別を示す報知種別情報を含める。ここでは、「車間距離低減」という種別を示す報知内容情報を含める。ステップ270の後は、ステップ105に戻る。この注意報知命令を受信した携帯端末2の作動は、ステップ215で説明したものと同じである。
ステップ250で減速していないと判定した場合、ステップ275に進み、所定の停止距離だけ走行した時点で自車両が停止するために0.75G以上の減速が必要か否かを判定する。具体的には、現在の車速をVとし、停止距離をLとすると、V2/(2×L)が0.75G以上であるか否かを判定する。ここで、停止距離Lとしては、直前のステップ120で検出した車間距離であってもよい。
0.75G以上の減速が必要であると判定した場合、ステップ280に進み、ステップ260と同じ方法で危険報知を行い、その後ステップ105に戻る。0.75G以上の減速が必要でないと判定した場合、ステップ285に進む。
ステップ285では、所定の停止距離だけ走行した時点で自車両が停止するために0.5G以上の減速が必要か否かを判定する。0.5G以上の減速が必要であると判定した場合、ステップ290に進み、ステップ270と同じ方法で注意報知を行い、その後ステップ105に戻る。
自車両と前方車両が接触する可能性が高くないとステップ130で判定した場合、ステップ135に進み、自車両が所定時間(例えば10秒)以内に急カーブに入るか否かを判定する。具体的には、直前のステップ115で算出した自車両の速度ベクトルと、自車両走行道路における所定曲率半径以下のカーブ(すなわち急カーブ)の範囲の情報に基づいて、自車両が所定時間(例えば10秒)以内に急カーブに入るか否かを判定する。なお、カーブの範囲と曲率半径の情報については、地図データに記録されているものを読み出して使用する。
所定時間以内に急カーブに入らないと判定した場合、注意報知も危険報知も行わず、ステップ105に戻る。所定時間以内に急カーブに入ると判定した場合、ステップ140に進み、自車両が減速しているか否かを、直前のステップ105で取得した走行データ中の自車両の走行加速度に基づいて判定する。
自車両が減速していると判定した場合、ステップ145に進み、現在の減速度を維持したまま上記急カーブに入ったときに車両の乗員にかかる最大の横加速度が0.75G以上であるか否かを判定する。現在の減速度を維持したまま上記急カーブに入ったときに車両の乗員にかかる最大の横加速度については、現在の減速度と、当該急カーブの範囲および曲率半径の情報と、に基づいて算出する。
当該最大の横加速度が0.75G以上であると判定した場合、ステップ150に進み、危険報知を行う。具体的には、車載ディスプレイ3に危険報知表示を行わせると共に、携帯端末2に対し、危険報知命令を送信する。この危険報知命令には、報知する事象の種別を示す報知種別情報を含める。ここでは、「急カーブ接近」という種別を示す報知内容情報を含める。ステップ150の後は、ステップ105に戻る。この危険報知命令を受信した携帯端末2の作動は、ステップ230で説明したものと同じである。ただし、車両の状態が安定する場合の例としては、例えば、車両が急カーブを通過し終えた場合がある。
当該最大の横加速度が0.75G未満であるとステップ145で判定した場合、ステップ155に進み、現在の減速度を維持したまま上記急カーブに入ったときに車両の乗員にかかる最大の横加速度が0.5G以上であるか否かを判定する。
当該最大の横加速度が0.5G以上であると判定した場合、ステップ160に進み、注意報知を行う。具体的には、車載ディスプレイ3に注意報知表示を行わせると共に、携帯端末2に対し、注意報知命令を送信する。この注意報知命令には、報知する事象の種別を示す報知種別情報を含める。ここでは、「急カーブ接近」という種別を示す報知内容情報を含める。ステップ160の後は、ステップ105に戻る。この注意報知命令を受信した携帯端末2の作動は、ステップ215で説明したものと同じである。当該最大の横加速度が0.5G未満であるとステップ155で判定した場合、注意報知も危険報知も行わずステップ105に戻る。
ステップ140で減速していないと判定した場合、ステップ165に進み、現在の車速を維持したまま上記急カーブに入ったときに車両の乗員にかかる最大の横加速度が0.75G以上であるか否かを判定する。
当該最大の横加速度が0.75G以上であると判定した場合、ステップ170に進み、ステップ150と同様に危険報知を行い、その後、ステップ105に戻る。当該最大の横加速度が0.75G未満であると判定した場合ステップ175に進み、現在の車速を維持したまま上記急カーブに入ったときに車両の乗員にかかる最大の横加速度が0.5G以上であるか否かを判定する。
当該最大の横加速度が0.5G以上であると判定した場合、ステップ180に進み、ステップ160と同様に注意報知を行い、その後、ステップ105に戻る。この場合、携帯端末2は、例えば、図6に示すように、ディスプレイ21に、「注意です。急カーブです」という注意喚起表示を行う。図6の吹き出しの中は例えば背景を黄色にする。
当該最大の横加速度が0.5G未満であるとステップ175で判定した場合、注意報知も危険報知も行わずステップ105に戻る。
ここで、上記ステップ150、170、230、240、260、280の処理に基づいて行われる危険報知と、上記ステップ160、180、215、270、290の処理に基づいて行われる注意報知とを対比する。
危険報知では、携帯端末2、車載エンターテイメント機器など、乗員に対して報知可能な機器を用い、映像(コージョン画面など)、音声(大)、バイブレーション等により、確実に同乗者へ危険を認識させるレベルの報知を行う。
これに対し、注意報知では、マートフォン、車載エンターテイメント機器など、乗員に対して報知可能な機器を用い、映像(テロップ程度)、音声(小)、バイブレーション等により、注意喚起を促すレベルの報知を行う。
なお、上記ステップ145、165、255、275において閾値(以下、第1の閾値という)として0.75Gが用いられているが、例えば、直前のステップ105で取得した天候情報(地域と現在の天候との対応情報)と位置情報に基づいて、自車両がいる場所の現在の天候を特定し、特定した天候が雨天でなければ当該第1の閾値を0.75Gとし、雨天であれば当該第1の閾値を0.75Gよりも小さい値にしてもよい。
また、上記ステップ155、175、265、285において閾値(以下、第2の閾値という)として0.5Gが用いられているが、例えば、直前のステップ105で取得した天候情報(地域と現在の天候との対応情報)と位置情報に基づいて、自車両がいる場所の現在の天候を特定し、特定した天候が雨天でなければ当該第2の閾値を0.5Gとし、雨天であれば当該第1の閾値を0.5Gよりも小さい値にしてもよい。
このように、車両の挙動のデータ(走行状況データ、位置情報等)および車両の周囲の環境のデータ(地図データ、Web情報等、フロントカメラの撮影画像等)に基づいて、車両の乗員に注意報知または危険報知が必要か否か判定し、注意報知または危険報知が必要であると判定したことに基づいて、ドライバ以外の乗員によって車室内に持ち込まれた携帯端末2(後部座席用ディスプレイよりも普及率が高い)に、車両の乗員に報知を行わせることで、従来よりも汎用性の高い方法で、ドライバ以外の乗員に報知を行うことができる。
また、車載機1は、携帯端末2から、車両の周囲の環境のデータ(Webデータ)を受信し、受信した車両の周囲の環境のデータおよび車両の挙動のデータに基づいて、車両の乗員に報知が必要か否か判定する。このように、携帯端末2からの情報に基づいて、報知の必要の有無を判定することで、より多様な報知判定を行うことができる。
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について説明する。本実施形態は、第1実施形態の図3の処理のうち、車載機1の制御部16が実行するステップ135〜180の処理を図7のステップ305〜320の処理に置き換えたものである。その他は、第1実施形態と同じである。
以下、車載機1の制御部16が実行する図7の処理について説明する。自車両と前方車両が接触する可能性が高くないとステップ130で判定した場合、ステップ305に進み、乗員が受けている加速度(乗員が受けている慣性力を乗員の質量で除算した量)が0.75G以上であるか否かを判定する。乗員が受けている加速度は、現在の車速とステアリング角に基づいて算出する。
乗員が受けている加速度が0.75G以上であると判定した場合、ステップ310に進み、危険報知を行う。具体的には、車載ディスプレイ3に危険報知表示を行わせると共に、携帯端末2に対し、危険報知命令を送信する。この危険報知命令には、報知する事象の種別を示す報知種別情報を含める。ここでは、「車両挙動悪化」という種別を示す報知内容情報を含める。ステップ310の後は、ステップ105に戻る。この危険報知命令を受信した携帯端末2の作動は、ステップ230で説明したものと同じである。ただし、車両の状態が安定する場合の例としては、例えば、乗員が受けている加速度が0.3G以下になった場合がある。この場合、携帯端末2は、例えば、図8に示すように、ディスプレイ21に「危険です。車の挙動が大きく乱れます」という注意喚起表示を行う。図8の吹き出しの中は例えば背景を赤色にする。
乗員が受けている加速度が0.75G未満であるとステップ305で判定した場合、ステップ315に進み、現在乗員が受けている加速度が0.5G以上であるか否かを判定する。
乗員が受けている加速度が0.5G以上であると判定した場合、ステップ320に進み、注意報知を行う。具体的には、車載ディスプレイ3に注意報知表示を行わせると共に、携帯端末2に対し、注意報知命令を送信する。この注意報知命令には、報知する事象の種別を示す報知種別情報を含める。ここでは、「車両挙動悪化」という種別を示す報知内容情報を含める。ステップ320の後は、ステップ105に戻る。この注意報知命令を受信した携帯端末2の作動は、ステップ215で説明したものと同じである。乗員が受けている加速度が0.5G未満であるとステップ315で判定した場合、注意報知も危険報知も行わずステップ105に戻る。
このように、車両の挙動のデータ(走行状況データ、位置情報等)に基づいて、自車両の急な挙動に応じた注意報知または危険報知が車両の乗員に対して必要か否か判定し、注意報知または危険報知が必要であると判定したことに基づいて、ドライバ以外の乗員によって車室内に持ち込まれた携帯端末2に、車両の乗員に報知を行わせることで、従来よりも汎用性の高い方法で、ドライバ以外の乗員に報知を行うことができる。
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態について説明する。本実施形態は、第1実施形態の図3の処理のうち、車載機1の制御部16が実行するステップ135〜180の処理を図9のステップ325〜380の処理に置き換えたものである。その他は、第1実施形態と同じである。
以下、車載機1の制御部16が実行する図9の処理について説明する。自車両と前方車両が接触する可能性が高くないとステップ130で判定した場合、ステップ325に進み、自車両が交差点にせまっているか否か、すなわち、自車両が所定時間(例えば10秒)以内に交差点に入るか否かを判定する。具体的には、直前のステップ115で算出した自車両の速度ベクトルと、自車両走行道路における交差点の範囲の情報に基づいて、自車両が所定時間(例えば10秒)以内に交差点に入るか否かを判定する。なお、交差点の範囲の情報については、地図データに記録されているものを読み出して使用する。
所定時間以内に交差点に入らないと判定した場合、注意報知も危険報知も行わず、ステップ105に戻る。所定時間以内に交差点に入ると判定した場合、ステップ330に進み、フロントカメラから取得した撮影画像に含まれる信号機の画像に基づいて信号機の表示色(赤、青、黄色の別)を検出する。
続いてステップ335では、ステップ330の検出結果に基づいて、交差点の現在の信号表示が赤信号または黄色信号(すなわち、進入禁止を示す信号)であるか否かを判定する。赤信号でも黄色信号でもないと判定した場合は、注意報知も危険報知も行わず、ステップ105に戻る。
赤信号でも黄色信号でもないと判定した場合は、ステップ340に進み、自車両が減速しているか否かを、直前のステップ105で取得した走行データ中の自車両の走行加速度に基づいて判定する。
自車両が減速していると判定した場合、ステップ345に進み、現在の減速度を維持したまま停止したときに車両の乗員にかかる最大の横加速度が0.75G以上であるか否かを判定する。
乗員が受ける加速度が0.75G以上であると判定した場合、ステップ350に進み、危険報知を行う。具体的には、車載ディスプレイ3に危険報知表示を行わせると共に、携帯端末2に対し、危険報知命令を送信する。この危険報知命令には、報知する事象の種別を示す報知種別情報を含める。ここでは、「進入禁止交差点接近」という種別を示す報知内容情報を含める。ステップ350の後は、ステップ105に戻る。この危険報知命令を受信した携帯端末2の作動は、ステップ230で説明したものと同じである。ただし、車両の状態が安定する場合の例としては、例えば、車両が交差点を通過し終えた場合がある。
乗員が受ける加速度が0.75G未満であるとステップ345で判定した場合、ステップ355に進み、現在の減速度を維持したまま上記交差点に入ったときに車両の乗員が受ける加速度が0.5G以上であるか否かを判定する。
乗員が受ける加速度が0.75G未満0.5G以上であると判定した場合、ステップ360に進み、注意報知を行う。具体的には、車載ディスプレイ3に注意報知表示を行わせると共に、携帯端末2に対し、注意報知命令を送信する。この注意報知命令には、報知する事象の種別を示す報知種別情報を含める。ここでは、「進入禁止交差点接近」という種別を示す報知内容情報を含める。ステップ360の後は、ステップ105に戻る。この注意報知命令を受信した携帯端末2の作動は、ステップ215で説明したものと同じである。乗員が受ける加速度が0.5G未満であるとステップ355で判定した場合、注意報知も危険報知も行わずステップ105に戻る。
ステップ340で減速していないと判定した場合、ステップ365に進み、所定の停止距離だけ走行した時点で自車両が停止するために0.75G以上の減速が必要か否かを判定する。具体的には、現在の車速をVとし、停止距離をLとすると、V2/(2×L)が0.75G以上であるか否かを判定する。ここで、停止距離Lとしては、上記交差点までの距離であってもよい。
所定の停止距離だけ走行した時点で自車両が停止するために0.75G以上の減速が必要であると判定した場合、ステップ370に進み、ステップ350と同様に危険報知を行い、その後、ステップ105に戻る。所定の停止距離だけ走行した時点で自車両が停止するために0.75G以上の減速が必要でないと判定した場合ステップ375に進み、所定の停止距離だけ走行した時点で自車両が停止するために0.5G以上の減速が必要であるか否かを判定する。
0.5G以上の減速が必要であると判定した場合、ステップ380に進み、ステップ360と同様に注意報知を行い、その後、ステップ105に戻る。0.5G以上の減速が必要でないステップ375で判定した場合、注意報知も危険報知も行わずステップ105に戻る。
このように、車両の挙動のデータ(走行状況データ、位置情報等)および車両の周囲の環境のデータ(地図データ、フロントカメラの撮影画像等)に基づいて、進入禁止の交差点の接近に応じた注意報知または危険報知が車両の乗員に対して必要か否か判定し、注意報知または危険報知が必要であると判定したことに基づいて、ドライバ以外の乗員によって車室内に持ち込まれた携帯端末2に、車両の乗員に報知を行わせることで、従来よりも汎用性の高い方法で、ドライバ以外の乗員に報知を行うことができる。
(第4実施形態)
次に、本発明の第4実施形態について説明する。本実施形態は、第1実施形態の図3、〜図5の処理を図10の処理に置き換えたものである。その他は、第1実施形態と同じである。なお、本実施形態では、第1〜第3実施形態と同様、車載機1で危険・注意の有無を判定する。
車載機1の制御部16は、車両のエンジンがオンとなったときに図10の処理を開始し、まずステップ410で、走行データを取得する。走行データは、車両の図示しない車輪速センサから取得した各車輪の車輪速、当該車輪速から算出される(例えば4輪の車輪速の平均値として算出される)車速、当該車速の変化から算出される加速度、図示しないヨーレートセンサから取得した車両の旋回角速度、GPS受信機から取得する車両位置、車両位置の変化から算出される車速ベクトル(どの方向にどの車速で進んでいるのかを示す量)、図示しないステアリング角センサから取得したステアリング角、シートベルトセンサから取得したシートベルトの着用の有無を示すシートベルトSW情報等を含む。
続いてステップ420では、報知要否判定を行う。報知要否判定の概要を、図11に示す。この図11に示すように、3つのカテゴリA、B、Cのそれぞれにいて、危険報知、注意喚起の要否を判定する。以下、カテゴリA〜Cの判定について説明する。
[カテゴリA]カテゴリAにおいては、直前のステップ410で取得した車輪速と車速の比較に基づいて、危険報知、注意喚起の要否を判定する。つまり、各車輪速について車速との差を算出し、その差の絶対値の最大値が閾値以内なら、すなわち、車速と各車輪速が同程度なら、車両状態が正常であると判定すると共に、注意喚起も危険報知も不要であると判定する。
また、上記最大値が閾値より大きい場合は、車速との差の絶対値が最も大きい車輪の車輪速を対象車輪速とし、当該対象車輪速が車速より大きいか否かを判定する。そして、対象車輪速が車速より大きい場合、直前のステップ410で取得した車両の旋回角速度が所定値よりも大きければ車両がスピンしていると判定すると共に危険報知が必要であると判定し、また、車両の旋回角速度が所定値以下であれば車輪が空転していると判定すると共に注意喚起が必要であると判定する。また、対象車輪速が車速より小さい場合、車輪がスリップしていると判定すると共に危険報知が必要であると判定する。
[カテゴリB]カテゴリBにおいては、直前のステップ410で取得したステアリング角から算出される車両の操舵輪の転動方向(輪が転がって進む方向)と車速ベクトルの方向との比較に基づいて、危険報知、注意喚起の要否を判定する。なお、転動方向と車速ベクトルの方向とを比較するためには、車両の車体の向きの情報が必要だが、この情報は、過去から現在までの車両の位置から車両の軌跡を算出し、算出した軌跡に接する方向を車体の向きとすることで、この情報を取得可能である。
操舵輪の転動方向と、車速ベクトルの示す方向との差の絶対値が所定値以内の場合、すなわち、操舵輪の転動方向と、車速ベクトルの示す方向とがほぼ同じ場合、車両の状態は正常であると判定すると共に、危険報知も注意喚起も不要であると判定する。
操舵輪の転動方向と、車速ベクトルの示す方向との差の絶対値が上記所定値を超える場合、車体の向きの方向に対する操舵輪の転動方向が、車体の向きの方向に対する車速ベクトルの示す方向よりも大きければ、車両状態はアンダーステア状態にあると判定すると共に危険報知が必要であると判定し、また、車体の向きの方向に対する操舵輪の転動方向が、車体の向きの方向に対する車速ベクトルの示す方向よりも小さければ、車両状態はオーバーステア状態またはカウンター当て操作が行われた状態にあると判定すると共に危険報知が必要であると判定する。
[カテゴリC]カテゴリCにおいては、直前のステップ410で取得したシートベルトSW情報および車速に基づいて、危険報知、注意喚起の要否を判定する。具体的には、シートベルトSW情報によればドライバがシートベルトを着用しておらず且つ車速が10km/h未満であれば、車両が停止中または駐車中であると判定すると共に、危険報知も注意喚起も不要であると判定する。また、シートベルトSW情報によればドライバがシートベルトを着用しておらず且つ車速が10km/h以上80km/h未満であれば、車両は一般道を通常走行中であると判定すると共に注意喚起が必要であると判定する。また、シートベルトSW情報によればドライバがシートベルトを着用しておらず且つ車速が80km/h以上であれば、車両は高速道を高速度で走行中であると判定すると共に危険報知が必要であると判定する。
ステップ420に続いては、ステップ430に進み、ステップ420の報知要否判定の結果に基づいて、危険報知が必要か否かを判定する。具体的には、上記のカテゴリA〜Cのうち、1つでも危険報知が必要であると判定したカテゴリがあれば、他のカテゴリにおいて注意喚起が必要であると判定された場合であっても、他のカテゴリにおいて注意喚起も危険報知も不必要であると判定した場合であっても、危険報知が必要であると判定する。
危険報知が必要であると判定した場合、ステップ440に進み、危険報知を行う。具体的には、車載ディスプレイ3に危険報知表示を行わせると共に、携帯端末2等に対し、危険報知命令を送信する。この危険報知命令には、報知する事象の種別を示す報知種別情報を含める。ここでは、危険報知が必要であると判定されたカテゴリにおいて特定した車両状態に対応する種別(カテゴリAにおいてはスピンまたはスリップ、カテゴリBにおいてはアンダーステア、オーバーステア、またはカウンター当て操作、カテゴリCにおいては高速走行でシートベルト未着用)を示す報知内容情報を含める。ステップ440の後は、ステップ105に戻る。この危険報知命令を受信した携帯端末2の作動は、ステップ230で説明したものと同じである。
危険報知が必要でないとステップ430で判定した場合、ステップ450に進み、ステップ420の報知要否判定の結果に基づいて、注意喚起が必要か否かを判定する。具体的には、上記のカテゴリA〜Cのうち、危険報知が必要であると判定したカテゴリが1つもなく、かつ、注意報知が必要であると判定したカテゴリが1つでもあれば、他のカテゴリにおいて注意喚起も危険報知も不必要であると判定した場合であっても、注意喚起が必要であると判定する。
注意喚起が必要であると判定した場合、ステップ460に進み、注意報知を行う。具体的には、車載ディスプレイ3に注意報知表示を行わせると共に、携帯端末2等に対し、注意報知命令を送信する。この注意報知命令には、報知する事象の種別を示す報知種別情報を含める。ここでは、注意喚起が必要であると判定されたカテゴリにおいて特定した車両状態に対応する種別(カテゴリAにおいては車輪空転、カテゴリCにおいては通常走行でシートベルト未着用)を示す報知内容情報を含める。ステップ460の後は、ステップ105に戻る。この注意報知命令を受信した携帯端末2の作動は、ステップ215で説明したものと同じである。注意喚起が必要でないとステップ450で判定した場合、注意報知も危険報知も行わずステップ105に戻る。
このように、車両の挙動のデータ(走行状況データ、位置情報等)および車両の周囲の環境のデータ(地図データ、フロントカメラの撮影画像等)に基づいて、各カテゴリに応じた注意報知または危険報知が車両の乗員に対して必要か否か判定し、注意報知または危険報知が必要であると判定したことに基づいて、ドライバ以外の乗員によって車室内に持ち込まれた携帯端末2に、車両の乗員に報知を行わせることで、従来よりも汎用性の高い方法で、ドライバ以外の乗員に報知を行うことができる。
なお、上記各実施形態では、車載機1の制御部16が、ステップ125〜145、155、165、175、205、210、220、225、235、250、255、265、275、285、305、315、325、335、340、345、355、365、375、420、430、450を実行することで、判定手段の一例として機能し、また、ステップ150、160、170、180、215、230、240、260、270、280、290、350、360、370、380、440、460を実行することで、携帯端末2に報知を行わせる報知制御手段の一例として機能する。
(他の実施形態)
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明の範囲は、上記実施形態のみに限定されるものではなく、本発明の各発明特定事項の機能を実現し得る種々の形態を包含するものである。例えば、以下のような形態も許容される。
(1)上記実施形態では、車載機1が、車両の走行データ、位置情報等を取得し、また、携帯端末2からWeb情報を取得し、これら取得した情報に基づいて、注意報知および危険報知の必要性の有無を判定している。しかし、かならずしもこのようになっておらずともよい。例えば、携帯端末2が、注意報知および危険報知の必要性の有無を判定し、その判定結果に応じて注意報知および危険報知を行うようになっていてもよい。
この場合、車載機1の制御部16は、図3〜図5、図7、図9、図10の処理を実行せず、その代わりに、走行データ(車速、車輪速、角速度、ステアリング角、シートベルトSW情報、前方車両との車間距離等を含む)および位置情報(緯度経度、車速ベクトルを含む)を繰り返し取得し、取得する度に、取得した走行データおよび位置情報を携帯端末2に送信する。
さらに制御部16は、取得した走行データ、位置情報、および地図データに基づいて、図3のステップ135のように、自車両が所定時間(例えば10秒)以内に急カーブに入るか否かを判定し、急カーブに入ると判定すると、自車両が所定時間以内に急カーブに入ることを示す急カーブ接近情報を携帯端末2に送信する。なお、この急カーブ接近情報には、急カーブの曲率半径および範囲の情報も含める。
さらに制御部16は、取得した走行データ、位置情報、および地図データに基づいて、図9のステップ325のように、自車両が所定時間(例えば10秒)以内に交差点に入るか否かを判定し、交差点に入ると判定すると、自車両が所定時間以内に交差点に入ることを示す交差点接近情報を携帯端末2に送信する。なお、この交差点接近情報には、当該交差点における信号機の現在の表示内容および当該交差点の範囲の情報も含める。
携帯端末2(より具体的には携帯側制御部)は、これら走行データ、位置情報、急カーブ接近情報、交差点接近情報にを用い、図3〜図5、図7、図9、図10の処理を、図2の危険・注意報知処理と共に実行することで、各種報知を実現する。ただし、図3〜図5、図7、図9、図10の処理において、注意報知命令および警告報知命令は、図2の危険・注意報知処理に渡すようになっている。
このように、乗員に報知を行うための報知装置(ディスプレイ、スピーカ、振動アクチュエータ)と、車載機1から前記車両の挙動のデータを受信する受信手段(第1無線部)と、車両の挙動のデータ等に基づいて、車両の乗員に報知が必要か否か判定し、報知が必要であると判定したことに基づいて、報知装置を用いて車両の乗員に報知を行う制御手段(携帯側制御部)と、を備えていてもよい。このように、携帯端末2が、車両の走行状況に基づいて報知が必要と判定した場合、報知装置を用いて報知を行うことで、従来よりも汎用性の高い方法で、ドライバ以外の乗員に報知を行うことができる。
(2)また、携帯端末2は、携帯端末用カメラを有するようになっていてもよい。この場合、携帯端末用カメラが車両の前方を撮影するように携帯端末2を固定しておき、携帯端末2の携帯側制御部は、携帯端末用カメラで撮影された画像に対して画像認識処理を行うことで、車両前方の標識、信号機表示、センターライン位置を検出し、検出した情報を車載機1に送信するようになっていてもよい。
この場合、車載機1は、これら検出された情報を受信すると、これら受信した情報と共に、地図データ、走行データ、および位置情報を用いて、注意報知、危険報知の有無を判定するようになっていてもよい。例えば、センターラインの位置の変化に基づいて車両の蛇行の有無を判定してもよいし、一時停止の標識が検出された場合は、その旨の報知種別情報を含む注意喚起命令を携帯端末2に送信するようになっていてもよい。
(3)また、上記各実施形態において、ドライバが運転後に自分の走行について振り返り、運転スキルを向上させるための支援機能を追加してもよい。具体的には、注意報知および危険報知を行った場合、その時点を含む期間(例えば、その時点を中心とする15分間)における走行データ、位置情報等、注意報知、危険報知の有無の判定に用いたデータをドライブレコードデータとして車載機1内の不揮発性記憶媒体(図示せず)に記録するようになっていてもよい。そして、運転後に、車載機1の操作部(図示せず)に対して所定の操作が行われたことに基づいて、当該不揮発性記憶媒体内に記録された上記ドライブレコードデータを外部メモリ4に移動するようになっていてもよい。外部メモリ4に記録されたこのドライブレコードデータは、据置型のパーソナルコンピュータ、ワークステーション等により表示され、例えば、表示された走行軌跡データ(複数の位置情報データ)および走行データをドライバが確認し、どこの交差点が危険だったかを振り返り、今後の安全運転につなげることができる。また、当該ドライブレコードデータは、外部メモリ4への送出のみならず、無線通信により、携帯端末2へ転送し、携帯端末2のディスプレイで表示するようになっていてもよく、その場合は、その場ですぐに運転を振り返ることができる。
なお、この車両用報知システムは、車両が公道を走行するときだけでなく、サーキットを走行するときに使用してもよい。サーキット走行時に使用する場合には、ドライブレコードデータをテストドライバーの教育用データとしてフィードバック可能となる。これまでは、コーナリングスピードは、個人の感覚でしかなかったが、走行軌跡、走行データ(加速度、車速など)により、どのコーナーをどのように走行したか数値化できるので、運転スキルアップに直結する。
(4)また、上記実施形態において、車載機1の制御部16は、携帯端末2を介して車々間通信、または、路車間通信を行うようになっていてもよい。この場合、携帯端末2が他の車両および路側機との通信機能を有する必要がある。そして制御部16は、車々間通信または路車間通信の結果、自車両と他車両との位置関係、相対速度等を取得し、この取得したデータに基づいて、注意報知が必要か否か、および、危険報知が必要か否かを判定し、その判定結果に応じて、上記実施形態と同様に、危険報知および注意報知を行うようになっていてもよい。
(5)また、危険報知と注意報知の違いは、第1実施形態で説明したようなものであってもよいし、以下のようなものであってもよい。例えば、報知タイミングについて、携帯端末2は、危険報知命令を受信した場合は、直ちに危険報知を行い、注意報知命令を受信した場合は、急カーブ接近、進入不可交差点接近等、あらかじめわかる注意報知の場合は、当該急カーブまたは交差点に進入する10秒前に注意報知を実行するようになっていてもよい。注意報知命令を受信した場合でも、車両挙動、蛇行、車輪空転等、車両の挙動に関する注意報知の場合は、注意報知命令を受信して直ちに注意報知を実行するようになっていてもよい。
また、解除条件について、携帯端末2が行っている警告報知は、確実にユーザに認識させるため、ユーザが携帯端末2の操作部(例えばタッチパネル)に対して所定の解除操作を行ったことに基づいて初めて解除されるようになっていてもよい。一方、携帯端末2が行っている注意報知は、所定の解除操作が当該操作部に行われなくとも、一定時間経過後に解除されるようになっていてもよいし、注意状態(注意報知命令が送信される原因となった事象)が解消されたことに基づいて解除されるようになっていてもよい。
(6)また、上記実施形態において、車載機1の制御部16は、フロントカメラから車両前方の撮影画像を取得するのではなく、その代わりに、携帯端末2から車両前方の撮影画像を取得するようになっていてもよい。この場合、携帯端末2に搭載される携帯端末用カメラが車両の前方を撮影するように携帯端末2を固定しておき、携帯端末2の携帯側制御部は、携帯端末用カメラで繰り返し撮影された撮影画像を逐次車載機1に送信するようになっていてもよい。このようになっていることで、車両に前方カメラを搭載する必要がなくなる。