JP5882379B2 - 複合機能型間接活線把持工具 - Google Patents

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本発明は、間接活線作業に用いることが可能な複合機能型の把持工具の構造に関する。
間接活線作業において、架線やクランプの持ち手部等を把持するための工具としては、例えば特許文献1に示されるような把持工具や、例えば特許文献2に示されるような把持工具がある。
特許文献1の把持工具は、直線状に延びる棒状部材と、この棒状部材の長手方向の一方端に設けられた把持部とを有し、把持部は固定把持片と可動把持片とで構成され、可動把持片が固定把持片に対し遠近することが可能な構成となっている。
そして、特許文献1に示される把持工具では、固定把持片と可動把持片とは、棒状部材側に形成された弧状部分と、この弧状部分から棒状部材とは反対側に延びる先端側部分とをそれぞれ備え、可動把持片は、可動把持片の先端側部分が固定把持片の先端側部分に当接するまでの範囲で、固定把持片に向けて可動することができる。
これにより、特許文献1の把持工具は、可動把持片の先端側部分と固定把持片の先端側部分とで相対的に大きな径寸法の被把持物を把持することが可能である。
特許文献2の把持工具は、棒状部材と、固定把持片と可動把持片とで構成され、可動把持片が固定把持片に対し遠近することが可能な構成となっている点では特許文献1の把持工具と共通する。もっとも、特許文献2の把持工具は、可動把持片は固定把持片に向けて可動しても固定把持片に当接せず、側方から見て可動把持片の弧状部分と固定把持片の弧状部分とが交差した状態になるまでの範囲で可動することができる。
これにより、特許文献2の把持工具では、可動把持片の弧状部分と固定把持片の弧状部分とで相対的に小さな径寸法の被把持物を把持することが可能である。
特開2007−49852号公報 特開2013−9546号公報
しかしながら、特許文献1の把持工具の構成では、相対的に小さな径寸法の被把持物を把持することが困難であると共に、特許文献2の把持工具では、相対的に大きな径寸法の被把持物を把持することが困難である。
このため、作業員は、多様な被把持物を把持する可能性がある場合や、被把持物の径寸法が判らない場合には、間接活線作業の現場に、特許文献1の把持工具と特許文献2の把持工具との双方を持って行く必要があるという不具合があった。
そこで、本発明は、1つの把持工具で相対的に小さな径の被把持物と相対的に大きな径の被把持物との双方を切り換えにより把持することが可能な複合機能型間接活線把持工具を提供することを目的としている。
本発明に係る複合機能型間接活線把持工具は、棒状部材と、この棒状部材の長手方向の一方端に設けられた把持機構とを有し、前記把持機構は固定把持部と可動把持部とで構成され、前記可動把持部が前記固定把持部に遠近することにより、これらの把持部の間に配された把持対象物を把持することが可能な間接活線用把持工具において、前記固定把持部は、2つの構成部材により構成され、前記2つの構成部材は、前記可動把持部の厚み幅よりも大きく離れたり、1つに集約されたりすることができ、前記可動把持部は、前記固定把持部を前記棒状部材に連結する連結部に回転可能に連結され、前記固定把持部に向かって回転する場合には、前記固定把持部の前記可動把持部との当接面を越えて回転することが可能となっており、前記固定把持部について、前記2つの構成部材が1つに集約されているときには、前記可動把持部は、前記固定把持部と当接することが可能であり、前記2つの構成部材が前記可動把持部の厚み幅よりも大きく離れているときには、前記可動把持部は、前記固定把持部と交差するまで回転することが可能であることを特徴としている。
これにより、固定把持部の2つの構成部材を離したり1つに集約したりするように動かすことで、可動把持部の先端側部分と固定把持部の先端側部分とで相対的に大きな径の被把持物を把持するのに好適な把持機構としたり、可動把持部の弧状部分と固定把持部の弧状部分とで相対的に小さな径の被把持物を把持するのに好適な把持機構としたりすることが可能である。
そして、本発明に係る複合機能型間接活線把持工具では、前記可動把持部と固定把持部とは、それぞれ前記棒状部材側の弧状部分と前記弧状部分に対し前記棒状部材とは反対側に位置する先端側部分とを有し、前記可動把持部の弧状部分の固定把持部側と前記固定把持部の弧状部分の可動把持部側とには、被把持物を把持するためのシート部が形成されていることを特徴としている(請求項2)。
これにより、本発明に係る複合機能型間接活線把持工具について、可動把持部の弧状部分と固定把持部の弧状部分とで相対的に小さな径の被把持物を把持するときに、シート部の箇所で被把持物を把持することによって、相対的に小さな径の被把持物がより確実に把持される。
本発明に係る複合機能型間接活線把持工具によれば、固定把持部の2つの構成部材を離したり1つに集約したりするように動かすことで、可動把持部と固定把持部とで相対的に大きな径の被把持物を把持するのに好適な把持機構としたり、可動把持部と固定把持部とで相対的に小さな径の被把持物を把持するのに好適な把持機構としたりすることが可能である。
このため、作業員は、相対的に大きな径の被把持物を把持するための間接活線把持工具と相対的に小さな径の被把持物を把持するための間接活線把持工具との双方を間接活線作業の作業現場に持っていく必要がなくなる。
特に請求項2に係る複合機能型間接活線把持工具によれば、可動把持部の弧状部分と固定把持部の弧状部分とで相対的に小さな径の被把持物を把持するときに、シート部の箇所で被把持物を把持することによって、相対的に小さな径の被把持物をより確実に把持することが可能となる。
図1は、本発明に係る複合機能型間接活線把持工具の全体構成の一例を示す説明図である。 図2(a)は、前記複合機能型間接活線把持工具が絶縁ヤットコとして用いられる場合の態様を示した先端側の構造の拡大図であり、図2(b)は、前記複合機能型間接活線把持工具がクイックとして用いられる場合の態様を示した先端側の構造の拡大図である。 図3は、前記複合機能型間接活線把持工具を絶縁ヤットコとして用いるべく可動把持部が固定把持部に当接する態様を示したもので、図3(a)は、先端側の構造の拡大図であり、図3(b)は、先端側の構造の正面図である。 図4は、前記複合機能型間接活線把持工具をクイックとして用いるべく可動把持部が固定把持部と交差するまで可動する態様を示したもので、図4(a)は、先端側の構造の拡大図であり、図4(b)は、先端側の構造の正面図である。
以下、本発明に係る複合機能型間接活線把持工具1について図面を参照しながら説明する。
図1において、複合機能型間接活線把持工具1の一例が示されている。この複合機能型間接活線把持工具1は、棒状部材2と、この棒状部材2の長手方向の一方端に設けられた把持機構3と、把持機構3を操作するための操作部4と、この操作部4による操作を把持機構3に伝達する伝達棒5とで基本的に構成されている。
このうち、棒状部材2は、作業者が掴む相対的に太い外径寸法の筒状のもので、絶縁性の素材から成り、その軸方向の途中には傘状のつば21、22が設けられている。このうち、把持機構3から遠い側のつば21は、間接活線作業において感電事故を防止すべく、作業者が握ってよい位置と握ってはいけない位置とを区別するための安全限界つばである。把持機構3に近い側のつば22は、雨水の流下を防止するための水切りつばである。
把持機構3は、図2から図4でも示されるように、固定把持部32と可動把持部35とを有して構成されている。固定把持部32は、棒状部材2の端部に設けられた連結部31のプレート部31a、31b間に配置されて下記する軸部34を中心とした回転をしない構成となっている。可動把持部35は、伝達棒5に軸部33を介して連結されていると共に連結部31のプレート部31a、31b間に把持され且つ軸部34を介して連結部31に回動可能に軸支された構成となっている。そして、可動把持部34は、図示しない弾性部材により固定把持部32から離れる方向に付勢されている。
伝達棒5は、絶縁性の素材により成る棒状のもので、前述のように一方端が可動把持部35と軸部33を介して連結されており、可動把持部35に対し軸部33を中心として回転することが可能である。また、伝達棒5は、他方端が操作部4の下記する回転連結部42と軸部44を介して連結されており、回転連結部42に対し軸部44を中心として回転することが可能である。伝達棒5の軸方向の途中には、傘状のつば51が設けられている。このつば51は、棒状部材2のつば22と同様に、雨水の流下を防止するための水切りつばである。
操作部4は、ハンドル41と、回転連結部42と、取り付け部43とを有して構成されている。ハンドル41と回転連結部42とは、棒状部材2に遠近する方向に回転可能となるように、取り付け部43と軸部45を介して連結されている。すなわち、ハンドル41と回転連結部42とは軸部45を回転中心として同期して回転する。
このような操作部4の構成とすることにより、ハンドル41を棒状部材2に近接する方向に動かすことで回転連結部42が軸部45を中心として把持機構3から離れる方向に揺動し、ひいては回転連結部42に軸部44を介して連結された伝達棒5が把持機構3とは反対側に引っ張られて、図2(a)、図2(b)の実線と想像線とで示すように、伝達棒5と可動把持部35とを連結する軸部33が軸部34を中心に回転する。このため、可動把持部35について、軸部34を中心として、固定把持部32側に向けて回転させることが可能となっている。
ところで、把持機構3を構成する固定把持部32は、図2から図4に示されるように、連結部31側に配置された弧状部分321と、この弧状部分321の連結部31とは反対側から延びる先端側部分322とを有して構成されている。また、把持機構3を構成する可動把持部35は、図2から図4に示されるように、連結部31側に配置された弧状部分351と、この弧状部分351の連結部31とは反対側から延びる先端側部分352とを有して構成されている。
固定把持部32の弧状部分321は、図2から図4に示されるように、可動把持部35と対峙する側が略凹面形状に反るように形成された反り側面6を有しているもので、その全体形状としては弧状に曲がった形状となっている。更に、固定把持部32の先端側部分322は、図2から図4に示されるように、可動把持部35と対峙する側に位置すると共に反り側面6に連接した側方面7を有し、この側方面7は直線状に延びたものとなっている。尚、この実施例では、先端側部分322の側方面7には、三角柱状の突部を並べることにより滑り止め71が形成されている。
可動把持部35の弧状部分351は、図2から図4に示されるように、固定把持部32と対峙する側が略凹面形状に反るように形成された反り側面8を有しているもので、その全体形状としては弧状に曲がった形状となっている。更に、可動把持部35の先端側部分352は、図2から図4に示されるように、固定把持部32と対峙する側に位置すると共に反り側面8に連接した側方面9を有し、この側方面9は直線状に延びたものとなっている。尚、この実施例では、先端側部分352の側方面9には、三角柱状の突部を並べることにより滑り止め91が形成されている。
そして、複合機能型間接活線把持工具1の把持機構3を構成する固定把持部32では、図3(b)及び図4(b)に示されるように、2つの構成部材10、11によって構成されている。これらの構成部材10、11は、連結部31のプレート部31a、31b間に位置する底壁部31cの平らな上面に載置されている。更に、これらの構成部材10、11は、下方に開口し且つプレート部31aからプレート部31bに向かって直線状に延びる溝部(図示せず。)を有している。
これにより、構成部材10と構成部材11とは、底壁部31cの上面に設けられて、プレート部31aからプレート部31bに向かって直線状に延びるガイドレール12、13に溝部が係合して、ガイドレール12、13に沿って相互に遠近する方向に動くことができる。構成部材10、11の変位は、図3(b)に示されるように、1つに集約された状態から、図4(b)に示されるように、可動把持部35の厚み幅より大きく離れた状態までとなっている。すなわち、プレート部31aのプレート部31b側面からプレート部31bのプレート部31a側面までの寸法は、固定把持部32の厚み幅及び可動把持部35の厚み幅の和よりも大きくなっている。
そして、構成部材10と構成部材11とを遠近させるための機構として、この実施例では、2つの螺子棒14、15を有している。螺子棒14は、頭部が構成部材10内に回転可能に且つ構成部材10から抜けないように収容されていると共に、連結部31のプレート部31aに形成された螺子孔16を挿通している。更に、螺子棒14のプレート部31aよりも外側には摘み部14aが形成されている。
螺子棒15は、頭部が構成部材11内に回転可能に且つ構成部材11から抜けないように収容されていると共に、連結部31のプレート部31bに形成された螺子孔17を挿通している。更に、螺子棒15のプレート部31bよりも外側には摘み部15aが形成されている。
これにより、螺子棒14と螺子棒15とについて、摘み部14a、15aを間接活線把持工具(絶縁ヤットコ等)で把持して或いは手で直接に把持して任意の方向に回転させることで、構成部材10と構成部材11とを遠近させる操作を行うことができる。
そして、操作部4は、図1に示されるように、本発明の回転連結部42(実線で図示。)が一般的な回転連結部42(想像線で図示。)よりも長くなっている。これにより、回転連結部42の軸部44に連結された本発明の伝達棒5(実線で図示。)は、一般的な伝達棒5(想像線で図示。)よりも棒状部材2から離れ、且つ棒状部材2の軸方向に延びる基準線に対する傾斜角度も大きくなっている。
これにより、可動把持部35の軸部34を回転中心とした回転範囲も相対的に大きくなっており、可動把持部35の先端側部分352の側方面9は、固定把持部32の先端側部分322の側方面7に沿った基準線を越えて回転することが可能になっている。
更に、固定把持部32の反り側面6と可動把持部35の反り側面8とには、可動把持部35が固定把持部32の先端側部分322の側方面7に沿った基準線を越えて回転して、固定把持部32或いは可動把持部35と対峙する部位に、被把持物の把持をより確実にするためのシート部18、19が形成されている。すなわち、シート部18、19は、固定把持部32、可動把持部35の厚み方向に沿って延びることで、相互に対峙した部位を有している。
以上の構成によれば、螺子棒14、15の摘み部14a、15aを持って螺子棒14、15を所要の方向に回転させるだけで、固定把持部32の構成部材10、11が遠近するところ、構成部材10、11を1つに集約させた場合には、図2(a)及び図3に示されるように、先端側部分322の側方面7と先端側部分352の側方面9とがそれぞれ当接面となって当接する。このため、複合機能型間接活線把持工具1について、相対的に大きな径寸法の被把持物を先端側部分322、352で把持する絶縁ヤットコとしての機能を持たせることができる。
これに対し、構成部材10、11を可動把持部35の厚み幅よりも離した場合には、図2(b)及び図4に示されるように、可動把持部35の先端側部分352は、その側方面9が先端側部分322の側方面7を越えて回転し、固定把持部32の弧状部分321と可動把持部35の弧状部分351とが交差し、弧状部分321の反り側面6と弧状部分351の反り側面8とが互い違いと成りつつ近接する。このため、複合機能型間接活線把持工具1について、相対的に小さな径寸法の被把持物を弧状部分321、351で把持するクイックとしての機能を持たせることができる。
よって、1つの複合機能型間接活線把持工具1について、絶縁ヤットコとクイックとの2つの機能を持たせることができ、その機能の切り換えも簡易に行うことが可能であるので、絶縁ヤットコとクイックとの2つの間接活線把持工具を用意する必要がなくなる。
1 複合機能型間接活線把持工具
2 棒状部材
3 把持機構
31 連結部
32 固定把持部
321 弧状部分
322 先端側部分
33 軸部
34 軸部
35 可動把持部
351 弧状部分
352 先端側部分
4 操作部
5 伝達棒
6 固定把持部の弧状部部分の面
7 固定把持部の先端側部分の面
8 可動把持部の弧状部部分の面
9 可動把持部の先端側部分の面
10 固定把持部の構成部材
11 固定把持部の構成部材
12 ガイドレール
13 ガイドレール
14 螺子棒
15 螺子棒
18 シート部
19 シート部

Claims (2)

  1. 棒状部材と、この棒状部材の長手方向の一方端に設けられた把持機構とを有し、前記把持機構は固定把持部と可動把持部とで構成され、前記可動把持部が前記固定把持部に遠近することにより、これらの把持部の間に配された把持対象物を把持することが可能な間接活線用把持工具において、
    前記固定把持部は、2つの構成部材により構成され、前記2つの構成部材は、前記可動把持部の厚み幅よりも大きく離れたり、1つに集約されたりすることができ、
    前記可動把持部は、前記固定把持部を前記棒状部材に連結する連結部に回転可能に連結され、前記固定把持部に向かって回転する場合には、前記固定把持部の前記可動把持部との当接面を越えて回転することが可能となっており、
    前記固定把持部について、前記2つの構成部材が1つに集約されているときには、前記可動把持部は、前記固定把持部と当接することが可能であり、前記2つの構成部材が前記可動把持部の厚み幅よりも大きく離れているときには、前記可動把持部は、前記固定把持部と交差するまで回転することが可能であることを特徴とする複合機能型間接活線把持工具。
  2. 前記可動把持部と固定把持部とは、それぞれ前記棒状部材側の弧状部分と前記弧状部分に対し前記棒状部材とは反対側に位置する先端側部分とを有し、
    前記可動把持部の弧状部分の固定把持部側と前記固定把持部の弧状部分の可動把持部側とには、被把持物を把持するためのシート部が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の複合機能型間接活線把持工具。
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