JP5881845B2 - 絞り装置、および冷凍サイクル装置 - Google Patents
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Description
また、弁室に流路形状を設けて複数の流路を構成することで、冷媒噴流の運動エネルギーを低下させ圧力変動を小さくさせて、冷媒音を低減させるものがある(例えば、特許文献2参照)。
また、弁室内に隔壁部材を装着し、この隔壁部材に流体入口側空間と流体出口側空間とを連通する連通路を設けたものがある(例えば、特許文献3参照)。
図1は、本発明の実施の形態1における絞り装置の構成を示す図である。
図2は、本発明の実施の形態1における絞り装置の要部の断面図である。
図3は、図2におけるA−A矢視断面図である。
図4は、図2におけるB−B矢視断面図である。
なお、図2においては、絞り装置の開度が全閉の場合を示している。
図に示すように、絞り装置100は、第1流路2と第2流路3とが接続される本体1と、本体1内部に形成され第1流路2と連通する弁室14と、弁室14に形成され第2流路3と連通するオリフィス11を有する弁座10と、弁座10のオリフィス11に向かって進退自在に設けられ、オリフィス11の開度を調節する弁体4とを備えている。
なお、オリフィス11は、本発明における「弁座の開口」に相当する。
また、本体軸受部9は、オリフィス11と間隔を空けて配置されており、この間隔によりオリフィス11と本体軸受部9との間で複数の本体流路13が連通している。
次に、絞り装置100における冷媒の流れについて説明する。
図2に示すように、全閉時には弁体4のニードル部6と弁座10とが当接して密着状態で保持される。
ステッピングモータ20の回転により弁体4が上方に移動されると、弁体4は、上方へ移動する。これにより弁体4のニードル部6と弁座10との間の流路面積が変化し、流量が調節される(1段目絞り)。このとき、第1流路2から第2流路3へ向かう冷媒は、オリフィス11の出口側から各本体流路13に分流して第2流路3へと至る。また、第2流路3から第1流路2へ向かう冷媒は、複数の本体流路13に分流されたあと、本体軸受部9とオリフィス11との間で再び合流し、オリフィス11へと至る。
そして、さらに弁体4を上方に移動させ、弁体4のニードル部6と弁座10との間の流路面積が最大とした場合(全開開度)においては、オリフィス11によって流量が制限される(2段目絞り)。
また、ステッピングモータ20の回転により弁体4が下方に移動されると、弁体4は下方へ摺動移動する。そして、弁体4のニードル部6と弁座10とが当接して密着状態で保持することで全閉状態となる。
まず本実施の形態における冷媒音対策を説明する前に、従来事例をもとに課題を説明する。
図13は、従来の絞り装置の要部の断面図である。図13においては、絞り装置の開度が全閉の場合を示している。
図13に示すように、従来事例の絞り装置では、本発明の実施の形態1と比較して、弁体先端部7、本体軸受部9、弁体支持用孔12、複数の本体流路13が設けられていない。
この従来事例の絞り装置において、第1流路2から第2流路3へ冷媒が流れる方向を、正方向流れとし、第2流路3から第1流路2へ冷媒が流れる方向を逆方向流れとする。
そして、この従来事例の絞り装置において、正方向流れ、および逆方向流れについて、所定の開度、所定の差圧が与えられた場合の平均速度場の解析結果を図14、図15に示す。
図14に示すように、第1流路2や弁室14では冷媒の速度は低い。ニードル部6と弁座10との間の狭い領域の流路で冷媒の速度が高くなり、ニードル部6に沿って円錐状に狭まるように流れる。この狭い領域を出ると第2流路3内に入るが、慣性があるので円錐状に狭まるように流れる。その結果運動エネルギーが集約し、冷媒速度が高くなる。また、オリフィス11のある箇所で圧力変動があると、それが他の冷媒流れに与える影響は、それぞれの流れが集約する方向なので、非常に大きい。オリフィス11を中心として、第2流路3で、冷媒速度が非常に高い。
図15に示すように、ほとんどの領域で冷媒の速度が低い。第2流路3やオリフィスでは冷媒速度が小さい。ニードル部6と弁座10との間の狭い領域の流路で冷媒の速度が高くなり、ニードル部6に沿って円錐状に広がるように流れる。この狭い領域を出ると弁室14内に入るが、慣性があるので円錐状に広がるように流れる。その結果運動エネルギーが拡散するので、冷媒速度が低い。また、弁室14のある箇所で圧力変動があったとしても、それが他の冷媒流れに与える影響は、それぞれの流れが離れていく方向なので、小さい。
次に、本実施の形態1での冷媒流れについて説明する。
本実施の形態1の絞り装置100においても、第1流路2から第2流路3へ冷媒が流れる方向を、正方向流れとし、第2流路3から第1流路2へ冷媒が流れる方向を逆方向流れとする。
本実施の形態1の絞り装置100において、正方向流れ、および逆方向流れについて、所定の開度、所定の差圧が与えられた場合の平均速度場の解析結果を図5、図6に示す。
図5に示すように、ほとんどの領域で冷媒の速度が低い。第1流路2や弁室14では冷媒の速度は低い。ニードル部6と弁座10との間の狭い領域の流路で冷媒の速度が高くなり、ニードル部6に沿って円錐状に狭まるように流れる。この狭い領域を出ると、慣性があるので円錐状に狭まるように流れようとする。しかし、弁体先端部7があるため、流れが中央に集約することがない。さらには、複数の本体流路13を通過することで、流れが分割され、かつ分散する方向に冷媒が流れる。
このように、図5に示す実施の形態1における絞り装置100の正方向流れでは、図14に示した従来の絞り装置の正方向流れと比較して、冷媒速度が高くなる領域が少なく、冷媒音が抑制される。
図6に示すように、ほとんどの領域で冷媒の速度が低い。第2流路3、複数の本体流路13、オリフィス11では冷媒速度が小さい。ニードル部6と弁座10との間の狭い領域の流路で冷媒の速度が高くなり、ニードル部6に沿って円錐状に広がるように流れる。この狭い領域を出ると弁室14内に入るが、慣性があるので円錐状に広がるように流れる。その結果運動エネルギーが拡散するので、冷媒速度が低い。また弁室14のある箇所で圧力変動があったとしても、それが他の冷媒流れに与える影響は、それぞれの流れが離れていく方向なので小さい。このように、図6に示す実施の形態1における絞り装置100の逆方向流れでは、図15に示した従来の絞り装置の逆方向流れと略同様の平均速度場となる。
本実施の形態1における絞り装置100は、図4に示すように、複数の本体流路13の流路面積の総計が、オリフィス11の流路面積より大きく形成されている。
そのため、オリフィス11の開度が全閉から全開まで変化しても、複数の本体流路13が流量を決定する主要因とならない。よって、例えば、複数の本体流路13を設けた本実施の形態1の絞り装置100と、複数の本体流路13を設けていない従来の絞り装置とが、同一の冷凍サイクル装置内に共存するとしても、流量特性がほぼ共通化できるため、製造コストが低減できる。
図7は、本発明の実施の形態1における絞り装置の複数の経路での効果を説明する概略図である。
図7(a)は、従来の絞り装置を示し、複数の本体流路13の流路長さLaが、複数の本体流路13の最近接距離Daより短い場合(Da>La)を示している。
図7(b)は、本実施の形態1の絞り装置100を示し、複数の本体流路13の流路長さLbが、複数の本体流路13の最近接距離Dbより長い場合(Db<Lb)を示している。
一方、図7(b)に示すように、複数の本体流路13の流路長さが最接近距離より長いと、複数の本体流路13を出た後の冷媒流れは直進性が高く、隣り合う複数の本体流路13同士の冷媒流れが混じり合うまでに進む距離が、図7(a)と比較して長くなる。
このように、隣り合う複数の本体流路13同士の冷媒流れが混じり合うまでに進む距離の間は、分散流れのために速度が低下するため、冷媒流れが混じり合った後に圧力変動に与える影響が小さくなる。よって、より冷媒音の抑制効果を得ることができる。
図8は、本発明の実施の形態1における絞り装置の要部の断面図である。
図8に示すように、本実施の形態1における絞り装置100は、複数の本体流路13のオリフィス11側の端部から弁座10までの距離Wが、オリフィス11の開口幅Rより小さく形成されている。
距離Wが長くなると、弁体4のニードル部6に沿って円錐状に狭まるように流れた冷媒が中央に集約し、または乱れを発生し、冷媒速度の分布変動や圧力変動が生じて冷媒音を生じさせる。
本実施の形態1では、距離Wを開口幅Rより小さくしているので、複数の本体流路13のオリフィス11側の端部から弁座10までの間の冷媒流れの集約や乱れを抑制でき、より冷媒音を抑制することができる。
図9は、本発明の実施の形態1における絞り装置の他の構成例を示す図である。
図9に示すように、弁体先端部7、本体軸受部9、弁体支持用孔12を省略し、中央部17の周囲に複数の本体流路13を形成するようにしても良い。このような構成においても、上述した効果を奏することができる。
図10は、絞り装置のよどみや渦の発生を説明する図である。
図10に示すように、複数の本体流路13を通過した冷媒が第2流路3内へ流出すると、冷媒流れのよどみや渦が発生する場合がある。このような冷媒流れのよどみや渦は、冷媒音の原因となる場合がある。
図11に示すように、本発明の実施の形態2における絞り装置100は、上記実施の形態1の構成に加え、本体軸受部9(中央部)の第2流路3側に、本体軸受部9(中央部)から第2流路3に延出する静止部材15を設けている。
これにより、複数の本体流路13を通過した冷媒は、静止部材15と第2流路3の内壁との間の流路に沿って流れ、冷媒流れのよどみや渦の発生を抑制できる。よって、冷媒音を抑制することができる。
なお、図11に示すように、静止部材15の形状は、複数の本体流路13の流通方向に沿うように、本体軸受部9の端部から第2流路3側に拡径する円錐形状を有し、第2流路3の内壁側を流通した冷媒が拡散するように、第2流路3の内壁と所定間隔を隔てたあと縮径する円錐形状を有する。
(空気調和装置)
上記実施の形態1、2の絞り装置100を備えた空気調和装置について説明する。
図12は、本発明の実施の形態3における冷凍サイクル装置の構成を示す図である。
図12に示すように、冷凍サイクル装置は、圧縮機110、凝縮器120、絞り装置100、および蒸発器130を備え、順次、冷媒配管で接続されて冷媒回路を構成している。
この冷凍サイクル装置は、例えば空気調和装置等に用いることができ、凝縮器120での発熱を利用して暖房を行う。また、蒸発器130の吸熱を利用して冷房を行う。
なお、絞り装置100の第1流路2を構成する冷媒配管に蒸発器130を接続し、第2流路3を構成する冷媒配管に凝縮器120を接続するようにしても良い。また、四方弁を設けて冷媒の循環方向を変えることにより、冷房・暖房運転の切り替えを行うようにしても良い。
Claims (7)
- 第1流路と第2流路とが接続される本体と、
前記本体内部に形成され前記第1流路と連通する弁室と、
前記弁室に形成され前記第2流路と連通する開口を有する弁座と、
前記弁座の開口に向かって進退自在に設けられ、前記開口の開度を調節する弁体と
を備え、
前記本体は、
前記第2流路と前記弁座の開口とを連通する複数の本体流路が本体内に形成され、
前記複数の本体流路の流通方向が、前記弁体の軸方向と角度をなして形成され、
前記複数の本体流路は、
互いの間隔が、前記第2流路側の間隔より前記弁座の開口側の間隔が狭く形成された
ことを特徴とする絞り装置。 - 前記複数の本体流路の開口面積の和が、前記弁座の開口の開口面積より大きい
ことを特徴とする請求項1記載の絞り装置。 - 前記複数の本体流路の前記弁座側の端部から前記弁座までの距離が、前記弁座の開口の開口幅より小さい
ことを特徴とする請求項1又は2記載の絞り装置。 - 前記複数の本体流路の流路長さは、
当該複数の本体流路の互いの間隔より大きい
ことを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の絞り装置。 - 前記本体は、前記複数の本体流路が、前記弁体の中心軸上の中央部の周囲に形成され、
前記中央部の前記第2流路側に、前記中央部から前記第2流路に延出する静止部材を設けた
ことを特徴とする請求項1〜4の何れか一項に記載の絞り装置。 - 前記弁体は、円柱状に形成され、
前記弁座の開口よりも大径に形成された弁体胴体部と、
前記弁座の開口よりも小径に形成された弁体先端部と、
前記弁体胴体部と前記弁体先端部とを接続するニードル部とを有し、
前記本体は、前記弁体先端部が嵌入される弁体支持用孔とが形成され、前記弁体支持用孔が前記弁体先端部と摺接して前記弁体を支持する本体軸受部を有し、
前記複数の本体流路は、前記本体軸受部の周囲に形成された
ことを特徴とする請求項1〜5の何れか一項に記載の絞り装置。 - 冷媒を圧縮する圧縮機と、
前記圧縮機によって圧縮された冷媒を凝縮する凝縮器と、
前記凝縮器によって凝縮された冷媒を膨張する、請求項1〜6の何れか一項に記載の絞り装置と、
前記絞り装置によって膨張された冷媒を蒸発する蒸発器とを備えた
ことを特徴とする冷凍サイクル装置。
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