JP5880258B2 - 多気筒ガソリンエンジン - Google Patents

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    • Y02T10/12Improving ICE efficiencies

Description

本発明は、複数の気筒を有するエンジン本体と、エンジン本体の各気筒から排出された排気ガスが通過する排気マニホールドと、エンジン本体および排気マニホールドに含まれる各種機器を制御する制御手段とを備えた多気筒ガソリンエンジンに関する。
従来、ガソリンエンジンの分野では、点火プラグの火花点火によって混合気を強制的に燃焼させる火花点火燃焼を採用することが一般的であったが、近年、このような火花点火燃焼に代えて、いわゆる圧縮自己着火燃焼をガソリンエンジンに適用する研究が進められている。圧縮自己着火燃焼とは、ピストンの圧縮によりつくり出される高温・高圧の環境下で混合気を自着火により燃焼させることである。圧縮自己着火燃焼は、混合気が同時多発的に自着火する燃焼であり、火炎伝播により徐々に燃焼が拡がる火花点火燃焼に比べて燃焼期間が短く、より高い熱効率が得られるといわれている。なお、以下では、火花点火燃焼(Spark Ignition Combustion)のことを「SI燃焼」と略称し、圧縮自己着火燃焼(Compression Self-Ignition Combustion)のことを「CI燃焼」と略称する。
上記CI燃焼が適用されたガソリンエンジンに関する文献として、例えば下記の特許文献1および特許文献2が知られている。
特許文献1には、エンジンの低負荷域でCI燃焼を行い、エンジンの高負荷域でSI燃焼を行うというように、エンジンの負荷に応じて燃焼形式を切り替えることが開示されている。
特許文献2には、CI燃焼での運転時に、排気弁を排気行程だけでなく吸気行程でも開き、一旦排出された高温の排気ガス(既燃ガス)を排気ポートから筒内に逆流させることにより、筒内温度を上昇させ、混合気の自着火を促進することが開示されている。なお、以下では、この特許文献2に記載されているような排気ガスの逆流操作のことを、「内部EGR」(Internal Exhaust Gas Recirculation)と称する。
特開2009−91994号公報 特開2007−132319号公報
ここで、上記特許文献2のように、混合気の自着火を促進するために内部EGRを行う場合、特に燃料の噴射量が少ない(よって着火性が悪化し易い)エンジンの極低負荷域においては、内部EGRによって高温の排気ガスを大量に筒内に導入する必要がある。しかしながら、上記特許文献2のように単に排気弁を吸気行程中に開いただけでは、充分な量の排気ガスを筒内に導入できす、筒内の高温化を充分に達成できないおそれがある。
また、エンジンの低負荷域で確実にCI燃焼を実現するには、エンジンの圧縮比を高くすることが有効であるが、エンジンの圧縮比が高くなると、燃料の噴射量が増大される高負荷域において、ノッキング等の異常燃焼が起き易くなるという問題がある。
本発明は、上記のような事情に鑑みてなされたものであり、低負荷域でCI燃焼を行う際の着火性の確保と、高負荷域でSI燃焼を行う際の異常燃焼の防止とを両立することが可能な多気筒ガソリンエンジンを提供することを目的とする。
上記課題を解決するためのものとして、本発明は、複数の気筒を有するエンジン本体と、エンジン本体の各気筒から排出された排気ガスが通過する排気マニホールドと、エンジン本体および排気マニホールドに含まれる各種機器を制御する制御手段とを備えた多気筒ガソリンエンジンであって、上記エンジン本体は、ガソリンを含有する燃料を噴射するインジェクタと火花放電により混合気への点火を行う点火プラグとを気筒ごとに有するとともに、各気筒の排気ポートを開閉する排気弁を排気行程のみで開弁させる通常モードで駆動するか排気行程に加えて吸気行程でも開弁させる2度開きモードで駆動するかを切り替え可能な切替機構を有し、上記排気マニホールドは、1つの気筒もしくは排気順序が連続しない複数の気筒の各排気ポートに上流端部が接続された複数の独立排気通路と、各独立排気通路の下流端部どうしが独立状態を維持したまま互いに近接するように束ねられた集約部と、集約部の下流側に設けられ、各独立排気通路の下流端部から排気ガスが噴出されるのに伴い負圧が発生するように先細り状に形成されたノズル部を含む負圧発生装置と、上記各独立排気通路の途中部から分岐して延びるとともに下流側で合流し、かつ上記負圧発生装置より下流側の排気通路と連通するバイパス通路と、上記各バイパス通路に設けられた開閉可能な流通切替弁とを有し、上記制御手段は、所定の第1運転領域で混合気の自着火による燃焼であるCI燃焼が行われ、かつ上記第1運転領域よりも高負荷側に設定された第2運転領域で火花点火による強制燃焼であるSI燃焼が行われるように、上記インジェクタ、点火プラグ、切替機構、および流通切替弁を制御するものであり、上記第1運転領域では、排気弁が上記2度開きモードで駆動されるように上記切替機構が制御されるとともに、排気ガスが上記バイパス通路を通って負圧発生装置を迂回するように上記流通切替弁が開弁され、上記第2運転領域では、少なくともその高負荷側の一部で、排気弁が上記通常モードで駆動されるように上記切替機構が制御されるとともに、排気ガスが上記負圧発生装置を通るように上記流通切替弁が閉弁されることを特徴とするものである(請求項1)。
なお、「ガソリンを含有する燃料」とは、ガソリン100%の燃料だけでなく、ガソリンとそれ以外の燃料成分とが混合したものをも含む概念である。例えば、CI燃焼は、エタノール(アルコール)とガソリンとが混合された燃料でも実現可能であるので、このような燃料により駆動されるエンジンにも本発明は適用可能である。
本発明では、相対的に負荷の低い第1運転領域において、排気弁が2度開きモード(排気行程に加えて吸気行程でも開弁させるモード)で駆動されることにより、各気筒の排気ポートから筒内に高温の排気ガスが逆流する内部EGRが実現され、筒内温度の上昇が図られる。これにより、負荷が低く混合気の着火性が厳しい第1運転領域において、混合気の自着火を促進し、適正なCI燃焼を引き起こすことができる。しかも、上記第1運転領域では、各気筒からの排気ガスがバイパス通路を通る(負圧発生装置を迂回する)ように排気ガスの流通が切り替えられるため、負圧発生装置で生じる負圧に伴うエゼクタ効果(排気ガスの下流側への吸引効果)が無効化される結果、ある気筒からブローダウンガス(排気弁の開弁直後に勢いよく排出される排気ガス)が排出されたときには、このブローダウンガスによる大きな正圧が、排気順序が1つ前の先行気筒の排気ポートに作用して排気ガスの排出を阻害するようになる(排気干渉)。上記実施形態では、あえてこのような排気干渉をつくり出した上で、排気弁を2度開きモードで駆動することにより、排気ポートから筒内に多量の排気ガスを逆流させて、内部EGRガスの量を増大させることができる。このことは、筒内温度の上昇に有利となり、混合気の自着火促進につながるので、低負荷域でのCI燃焼をより確実に引き起こすことができる。
一方、上記第1運転領域よりも負荷の高い第2運転領域(少なくともその高負荷側の一部)では、排気弁の開閉モードが通常モードに切り換えられて内部EGRが禁止されるとともに、流通切替弁が閉弁されて排気ガスが負圧発生装置に流入させられるため、負圧発生装置で生じる負圧が各気筒の排気ポートに到達して排気ガスの下流側への吸い出し(エゼクタ効果)が促進されることにより、筒内に高温の排気ガスが残留することが効果的に防止される。そして、上記第2運転領域では、このように筒内の掃気性が確保された状態で、火花点火によるSI燃焼が実行されるため、例えば火花点火のタイミングを極端に遅くするなどの措置を採らなくても、異常燃焼を伴わない適正な燃焼を実現することができ、異常燃焼を防止しつつ高い熱効率を得ることができる。
本発明において、好ましくは、上記第1運転領域と第2運転領域との間に、CI燃焼が行われる中間運転領域が設定され、中間運転領域では、排気弁が上記2度開きモードで駆動されるように上記切替機構が制御されるとともに、負荷が高いほど上記流通切替弁の開度が低減される(請求項2)。
この構成によれば、低負荷側の第1運転領域よりも負荷が高く混合気が比較的自着火し易い中間運転領域において、流通切替弁の開度制御により負圧発生装置に流入する排気ガスの量が調節されることにより、負圧発生装置で生じる負圧に基づく排気ガスの吸い出し作用(エゼクタ効果)を、負荷が高くなるほど増強し、それに伴い内部EGR量を減少させることができる。これにより、負荷が中間的な値となる上記中間運転領域において、着火性に応じた適当量の内部EGRガスを導入することができ、適正なCI燃焼を行わせることができる。
上記構成において、より好ましくは、上記第1運転領域では、筒内の全ガス質量を燃料の質量で割った値であるガス空燃比が、上記第2運転領域および中間運転領域でのガス空燃比よりも大きい値である30以上に設定される(請求項3)。
この構成によれば、相対的に負荷が低い第1運転領域でEGRガスや新気を含む多量のガスを筒内に導入することにより、低負荷運転時のポンピングロスを効果的に低減できるとともに、中間運転領域や第2運転領域のように相対的に負荷の高い領域での運転時には、相対的に燃料リッチな条件とすることにより、負荷に応じた高いトルクを確保することができる。
本発明において、好ましくは、上記第1運転領域では、上記インジェクタから吸気行程中に燃料が噴射されることによりCI燃焼が行われ、上記第2運転領域では、上記インジェクタからの燃料噴射と上記点火プラグによる火花点火とが圧縮行程後期から膨張行程初期にかけて順に実行され、それに基づいてSI燃焼が行われる(請求項4)。
この構成によれば、相対的に負荷の低い第1運転領域で、吸気行程中の燃料噴射に基づく均質な混合気をCI燃焼させて高い熱効率を得ることができる。一方、高負荷側の第2運転領域では、圧縮行程の後期以降という遅めのタイミングで燃料噴射と火花点火とが実行されるため、圧縮上死点を過ぎて筒内温度・圧力がある程度低下してから混合気が火炎伝播により燃焼(SI燃焼)する。このため、低負荷域でのCI燃焼実現のために仮にエンジンの幾何学的圧縮比がかなり高く設定されたとしても、高負荷域で起き易い異常燃焼を確実に回避することができる。
以上説明したように、本発明の多気筒ガソリンエンジンによれば、低負荷域でCI燃焼を行う際の着火性の確保と、高負荷域でSI燃焼を行う際の異常燃焼の防止とを両立することができる。
本発明の一実施形態にかかる多気筒ガソリンエンジンの全体構成を示す平面図である。 上記エンジンのエンジン本体の構成を示す断面図である。 上記エンジンの排気マニホールドの構成を示す側面図である。 上記排気マニホールドに備わる独立排気通路の構成を特に示す平面図である。 上記排気マニホールドに備わるバイパス通路の構成を特に示す平面図である。 図5のVI−VI線に沿った断面図である。 上記エンジンの制御系を示すブロック図である。 エンジンの運転中に使用される制御マップを概念的に示す図である。 第1運転領域で実行される燃料噴射や吸排気弁の開閉動作をクランク角との関係で示す図である。 中間運転領域で実行される燃料噴射や吸排気弁の開閉動作をクランク角との関係で示す図である。 第2運転領域で実行される燃料噴射や吸排気弁の開閉動作をクランク角との関係で示す図である。 エンジン負荷の変化に応じて筒内への充填ガスの成分割合や各種制御パラメータがどのように変化するかを示す図である。 上記第2運転領域で行われるSI燃焼の特徴を、従来のSI燃焼と比較して説明するための図である。 排気ポートの圧力が排気ガスの流通切替によってどの程度変わるかを説明するための図である。
(1)エンジンの全体構成
図1および図2は、本発明の一実施形態にかかる多気筒ガソリンエンジンの構成を示す図である。当実施形態のエンジンは、特定方向に並ぶ4つの気筒2A〜2Dを有する4サイクル4気筒型のエンジン本体1と、エンジン本体1に燃焼用の空気を導入するための吸気マニホールド20と、エンジン本体1の各気筒2A〜2Dで生成される排気ガスを排出するための排気マニホールド30とを備えている。
上記エンジン本体1は、上記気筒2A〜2Dが内部に形成されたシリンダブロック2と、シリンダブロック2の上面に設けられたシリンダヘッド3と、上記気筒2A〜2Dに往復摺動可能に挿入されたピストン4とを有している。
上記ピストン4の上方には燃焼室5が形成されており、この燃焼室5には、ガソリンを含有する燃料が、後述するインジェクタ10からの噴射によって供給される。そして、噴射された燃料が燃焼室5で燃焼し、その燃焼による膨張力で押し下げられたピストン4が上下方向に往復運動するようになっている。
上記ピストン4はコネクティングロッド16を介してクランク軸15と連結されており、上記ピストン4の往復運動に応じて上記クランク軸15が中心軸回りに回転するようになっている。
上記シリンダブロック2には、上記クランク軸15の回転速度をエンジンの回転速度として検出するエンジン回転速度センサSW1が設けられている。
上記シリンダヘッド3には、燃料(ガソリンを含有する燃料)を燃焼室5に向けて噴射するインジェクタ10と、インジェクタ10から噴射された燃料と空気との混合気に対し火花放電による点火を行う点火プラグ11とが、各気筒2A〜2Dにつきそれぞれ1組ずつ設けられている。
上記インジェクタ10は、燃料の噴射口となる複数の噴孔を先端部に有しており、各気筒2A〜2Dの燃焼室5をその吸気側の側方から臨むように設けられている。また、インジェクタ10から噴射される燃料の噴射圧力は、30MPa以上という、ガソリンエンジンとしてはかなり高い値に設定されている。
上記点火プラグ11は、火花を放電するための電極を先端部に有しており、各気筒2A〜2Dの燃焼室5を上方から臨むように設けられている。
ここで、当実施形態のエンジン本体1は、その幾何学的圧縮比(ピストン4が下死点にあるときの燃焼室容積とピストン4が上死点にあるときの燃焼室容積との比)が、16以上20以下という、ガソリンエンジンとしてはかなり高い値に設定されている。このように高い幾何学的圧縮比を設定しているのは、理論熱効率の向上や、後述するCI燃焼(圧縮自己着火燃焼)での着火性確保のためである。
また、当実施形態のような4サイクル4気筒のガソリンエンジンでは、各気筒2A〜2Dに設けられたピストン4がクランク角で180°(180°CA)の位相差をもって上下運動するため、これに対応して、各気筒2A〜2Dでの点火のタイミングも、180°CAずつ位相をずらしたタイミングに設定される。具体的には、気筒2A,2B,2C,2Dの気筒番号をそれぞれ1番、2番、3番、4番とすると、1番気筒2A→3番気筒2C→4番気筒2D→2番気筒2Bの順に点火が行われる。このため、例えば1番気筒2Aが膨張行程であれば、3番気筒2C、4番気筒2D、2番気筒2Bは、それぞれ、圧縮行程、吸気行程、排気行程となる。
上記シリンダヘッド3には、上記吸気マニホールド20から供給される空気を各気筒2A〜2Dの燃焼室5に導入するための吸気ポート6と、吸気ポート6を開閉する吸気弁8と、各気筒2A〜2Dの燃焼室5で生成された排気ガスを上記排気マニホールド30に導出するための排気ポート7と、排気ポート7を開閉する排気弁9とが設けられている。なお、図例のエンジンはいわゆるダブルオーバーヘッドカムシャフト式(DOHC)エンジンであり、1つの気筒につき吸気弁8および排気弁9が2つずつ設けられている。
上記吸気弁8および排気弁9は、それぞれ、シリンダヘッド3に配設された一対のカムシャフト等を含む動弁機構13,14(図2)により、クランク軸15の回転に連動して開閉駆動される。
上記吸気弁8用の動弁機構13には、吸気弁8のリフト量を連続的に(無段階で)変更することが可能な可変機構13aが組み込まれている。このような構成の可変機構13aは、連続可変バルブリフト機構(CVVL)などとして既に公知であり、具体的な構成例として、吸気弁8駆動用のカムをカムシャフトの回転と連動して往復揺動運動させるリンク機構と、リンク機構の配置(レバー比)を可変的に設定するコントロールアームと、コントロールアームを電気的に駆動することによって上記カムの揺動量(吸気弁8を押し下げる量と期間)を変更するステッピングモータとを備えたものを挙げることができる。
上記排気弁9用の動弁機構14には、吸気行程中に排気弁9を押し下げる機能を有効または無効にする切替機構14aが組み込まれている。すなわち、この切替機構14aは、排気弁9を排気行程だけでなく吸気行程でも開弁可能にするとともに、この吸気行程中の排気弁9の開弁動作(いわゆる排気弁9の2度開き)を実行するか停止するかを切り替える機能を有している。
このような構成の切替機構14aは既に公知であり、その具体例として、排気弁9駆動用の通常のカム(排気行程中に排気弁9を押し下げるカム)とは別に吸気行程中に排気弁9を押し下げるサブカムと、このサブカムの駆動力が排気弁9に伝達されるのを有効または無効にするいわゆるロストモーション機構とを備えたものを挙げることができる。
上記切替機構14aのサブカムによる排気弁9の押し下げが有効にされると、排気弁9が排気行程だけでなく吸気行程中にも開弁させられる(排気弁9のリフト量が吸気行程中に再び増大させられる)ので、高温の排気ガスが排気ポート7から燃焼室5に逆流する内部EGRが実現され、燃焼室5の高温化が図られるとともに、燃焼室5に導入される空気(新気)の量が低減される。
一方、上記切替機構14aのサブカムによる排気弁9の押し下げが無効にされた場合には、排気弁9が排気行程のみで開弁するようになるので、上記内部EGRが停止される。
なお、当明細書において、「○○弁が××行程で開弁」などというときは、○○弁の開弁期間(開き始めてから閉じるまでの期間)が主に××行程と重複するように設定されるということであり、必ずしも開弁期間の全てが××行程中にあることを意味しない。したがって、例えば、排気弁9の2回目の開弁(上記切替機構14aのサブカムによる開弁)が禁止された状態を指して、「排気弁9が排気行程のみで開弁される」(または排気弁9が排気行程のみで開く)などと表現したとしても、排気弁9の開弁期間の全てが排気行程に含まれるとは限らず、排気弁9の開弁期間の一部が吸気行程にかかることもあり得る。
図1に示すように、上記吸気マニホールド20は、単一の吸気管23の上流端部に接続された所定容積のサージタンク22と、サージタンク22と各気筒2A〜2Dの吸気ポート6とを連結する複数の(4本の)独立吸気通路21とを有している。
上記吸気管23の途中部には、開閉可能なスロットル弁25と、エンジン本体1に吸入される空気(新気)の流量を検出するためのエアフローセンサSW2とが設けられている。
図3〜図5は、上記排気マニホールド30の構造を詳細に示すための図である。これら図3〜図5、および先の図1に示すように、排気マニホールド30は、各気筒2A〜2Dの排気ポート7に上流端部が接続される複数の独立排気通路31,32,33と、各独立排気通路31,32,33の下流端部(エンジン本体1から遠ざかる側の端部)が独立状態を維持したまま互いに近接するように束ねられた集約部34と、集約部34の下流側に設けられ、上記独立排気通路31,32,33の全てと連通する共通の空間が内部に形成された負圧発生装置35と、負圧発生装置35の下流側に接続された単一の排気管40とを有している。排気管40の下流側には、三元触媒等の触媒が内蔵された触媒コンバータ48が設けられており、さらにその下流側には、排気管49や、図外のサイレンサー等が設けられる。なお、図示の都合上、図5では、上記各独立排気通路31,32,33等を想像線で示しており、図4では、後述するバイパス通路41,42,43およびバイパス下流部44を省略している。
図1および図4に示すように、当実施形態では、4つの気筒2A,2B,2C,2Dに対し3つの独立排気通路31,32,33が用意されている。これは、中央側の独立排気通路32が、2番気筒2Bおよび3番気筒2Cに対し共通に使用可能なようにY字状に分岐した形状とされているからである。すなわち、独立排気通路32は、2番気筒2Bおよび3番気筒2Cの各排気ポート7から延びて下流側で合流する2つの分岐通路部32a,32bと、各分岐通路部32a,32bが合流した部分からさらに下流側に延びる単一の共通通路部32cとを有している。一方、1番気筒2Aおよび4番気筒2Dの各排気ポート7に接続される独立排気通路31,33については、分岐のない単管状に形成されている。なお、以下では、単管状の独立排気通路31,33を、それぞれ「第1独立排気通路31」および「第3独立排気通路33」といい、二股状に分岐した独立排気通路32を「第2独立排気通路32」ということがある。
上述したように、当実施形態のような4サイクル4気筒エンジンでは、1番気筒2A→3番気筒2C→4番気筒2D→2番気筒2Bの順に点火が行われるので、二股状に形成された上記第2独立排気通路32の上流端部が接続される2番気筒2Bおよび3番気筒2Cは、排気順序(排気行程が実施される順序)が連続しない関係にある。このため、当実施形態のように2番気筒2Bおよび3番気筒2Cに共通の独立排気通路32を接続した場合でも、これら両気筒2B,2Cからの排気ガスが同時に上記独立排気通路32に流れることはない。
単管状に形成された上記第1、第3独立排気通路31,33は、その各下流端部の位置が上記第2独立排気通路32の下流端部と一致するように、気筒列方向の中央側を指向して延びている。すなわち、特に図4に示すように、第1独立排気通路31の下流端部と、第2独立排気通路32の共通通路部32cの下流端部と、第3独立排気通路33の下流端部とが、それぞれ、エンジン本体1の排気側の壁面中央(上面視で2番気筒2Bと3番気筒2Cの間に対応する位置)から下流側に離れた位置において1箇所に束ねられている。そして、束ねられた上記3つの独立排気通路31,32,33の各下流端部と、これらを束ねた状態に保持する保持部材等により、上記集約部34が形成されている。
図6に示すように、上記各独立排気通路31,32,33の各下流端部、つまり、第1独立排気通路31の下流端部と、第2独立排気通路32の共通通路部32cの下流端部と、第3独立排気通路33の下流端部とは、それぞれ、円を3等分したような扇型の断面を有しており、このような断面を有する各下流端部が3つ集まることにより、全体としてほぼ円形の集約部34が形成されている。
上記集約部34において近接配置された各独立排気通路31,32,33の下流端部は、下流側に至るほど通路断面積が小さくなるノズル状に形成されている(例えば図3、図4参照)。このため、上記各独立排気通路31,32,33の下流端部を通過した排気ガスは、そこで加速した後に(流速を高めた後に)、上記負圧発生装置35へと噴出される。
また、上記各独立排気通路31,32,33の下流端部は、集約部34において、比較的平行に近い角度で束ねられている。具体的に、各独立排気通路31,32,33の下流端部は、それぞれの軸心どうしがなす角度が例えば10度前後の浅い角度となるように配置されている。
図3および図4に示すように、上記負圧発生装置35は、下流側ほど通路断面積が小さくなるように形成されたノズル部36と、ほぼ一様の通路断面積を有するように形成されたストレート部37と、下流側ほど通路断面積が大きくなるように形成されたディフューザ部38とを、上流側から順に有している。このため、上記各独立排気通路31,32,33のいずれかの下流端部から噴出された排気ガスは、まずノズル部36へと流入し、そこでさらに加速する(このとき排気ガスの圧力は低下する)。また、上記ノズル部36で加速された排気ガスは、ストレート部37およびディフューザ部38を通過するにつれて減速され、これに伴って排気ガスの圧力が回復させられる。
上記のように各独立排気通路31,32,33のいずれかの下流端部から負圧発生装置35のノズル部36に向けて高速で排気ガスが噴出されると、その噴出ガスの周囲に、相対的に圧力の低い負圧部が生成される。したがって、ある気筒の独立排気通路(31,32,33のいずれか)から負圧発生装置35に排気ガスが噴出されたときには、他の気筒の独立排気通路等に負圧が作用して、そこから排気ガスが下流側へと吸い出されることになる。これは、エゼクタ効果として知られている。
なお、エゼクタ効果は、上記ノズル部36の下流端部の面積(ストレート部37の面積に同じ)の等価円直径をD、上記独立排気通路31,32,33の各下流端部の等価円直径をaとしたときに、a/D≧0.5であれば充分なエゼクタ効果が得られることが分かっている。このため、当実施形態でも、a/Dは0.5以上(例えば0.65)に設定される。ここで、等価円直径とは、ある形状をもった断面を面積が同じ真円に置き換えたときの直径のことである。
図1、図3、および図5に示すように、当実施形態の排気マニホールド30は、上記独立排気通路31,32,33や負圧発生装置35等に加えて、各独立排気通路31,32,33の途中部から分岐して延びかつ下流側で合流する3つのバイパス通路41,42,43と、各バイパス通路41,42,43が合流した部分から下流側に延びるバイパス下流部44とをさらに有している。バイパス下流部44は、その下流端部が、上記負圧発生装置35より下流側の排気通路である排気管40に接続されている。すなわち、バイパス通路41,42,43は、バイパス下流部44を介して、上記各独立排気通路31,32,33の途中部(負圧発生装置35よりも上流側の部分)と排気管40とを連結している。なお、上記バイパス通路41,42,43が合流する角度は、比較的広い角度に設定されており、例えば、バイパス通路41と42の各軸心どうしの交差角度、およびバイパス通路42と43の各軸心どうしの交差角度が、それぞれ30度以上に設定されている。
上記各バイパス通路41,42,43およびバイパス下流部44は、その上流端から下流端に亘ってほぼ一定の断面積を有するように形成されており、その断面積は、上記各独立排気通路31,32,33の下流側部分の各断面積よりも大きく設定されている。当実施形態において、上記バイパス通路41,42,43およびバイパス下流部44の各断面積は、上記独立排気通路31,32,33の下流端部が集まった集約部34の円形の断面積(各通路31,32,33の下流端部の合計の面積)とほぼ同一に設定されている。
上記各バイパス通路41,42,43の内部には、それぞれ、開閉可能な流通切替弁45が設けられている。各流通切替弁45は、共通のロッド46を中心に回動するように設けられ、ロッド46の一端はアクチュエータ47に連結されている。そして、アクチュエータ47の作動によってロッド46が回転すると、これに伴い上記各流通切替弁45が同時に駆動されてバイパス通路41,42,43が開閉されるようになっている。
上記のように動作する流通切替弁45は、各気筒2A〜2Dから排出された排気ガスを負圧発生装置35に通すか否かを切り替えるために使用される。例えば、流通切替弁45が全閉にされると、各気筒2A〜2Dから排出された排気ガスは、全て独立排気通路31,32,33を通って負圧発生装置35に流入する。これにより、負圧発生装置35の内部に強い負圧(充分に圧力が低下した負圧)が発生し、充分な排気ガスの吸い出し作用(エゼクタ効果)が得られる。一方、流通切替弁45が全開にされた場合は、各気筒2A〜2Dから排出された排気ガスの大部分が、バイパス通路41,42,43を通って下流側に流れ、負圧発生装置35を通過することなくその下流側の排気管40に流入する。これにより、負圧発生装置35での負圧が生成されなくなるので、エゼクタ効果が大幅に低下する。なお、流通切替弁45を全開にしたときに排気ガスの大部分が(独立排気通路31,32,33ではなく)バイパス通路41,42,43を通過するのは、独立排気通路31,32,33の各下流端部の断面積に比べてバイパス通路41,42,43の断面積が大きく、流通抵抗が少ないからである。
図1に示すように、上記排気マニホールド30の排気管40と上記吸気マニホールド20のサージタンク22とは、EGR通路50を介して互いに連結されている。EGR通路50の途中部には、開閉可能なEGR弁51と、エンジンの冷却水等を利用した熱交換器からなるEGRクーラ52とが設けられている。
上記EGR通路50は、排気マニホールド30を通過する排気ガスの一部を吸気マニホールド20に還流させる操作を行うために用いられる。すなわち、上記EGR弁51が開弁されると、排気管40を流れる排気ガスの一部がEGR通路50を通過してサージタンク22へと戻される。このとき、EGRクーラ52によって排気ガスが冷却されるので、サージタンク22に流入するときの排気ガスの温度は、排気マニホールド30を通過する排気ガスの温度よりも大幅に低いものとなる。そして、上記サージタンク22に戻された低温の排気ガスは、独立吸気通路21を通って再び各気筒2A〜2Dに導入される。なお、以下では、上記EGR通路50を通じた排気ガスの還流操作のことを、上述した排気弁9の2度開きによる排気ガスの逆流操作(内部EGR)と区別して、「外部EGR」(External Exhaust Gas Recirculation)と称する。
一方、上記EGR弁51が全閉にされた場合には、排気管40からEGR通路50に排気ガスが流れなくなり、外部EGRが禁止される。
(2)制御系
次に、図7を用いて、エンジンの制御系について説明する。当実施形態のエンジンは、自動車等の車両に搭載されており、車両に備わるECU(エンジン制御ユニット)60によって制御される。ECU60は、周知のとおり、CPU、ROM、RAM等から構成されるマイクロプロセッサであり、本発明にかかる制御手段に相当するものである。
上記ECU60には、各種センサからの情報が入力される。例えば、ECU60は、エンジンに設けられた上記エンジン回転速度センサSW1およびエアフローセンサSW2と電気的に接続されており、これらのセンサからの入力信号(エンジン回転速度および吸気流量の情報)を受け付ける。また、車両には、運転者により操作される図外のアクセルペダルの開度を検出するアクセル開度センサSW3が設けられており、このアクセル開度センサSW3による検出信号も上記ECU60に入力される。
上記ECU60は、上記各センサ(SW1〜SW3等)からの入力信号に基づいて種々の演算等を実行しつつ、エンジンの各部を制御する。すなわち、ECU60は、上記インジェクタ10、点火プラグ11、可変機構13a、切替機構14a、流通切替弁45(正確には弁駆動用のアクチュエータ47)、スロットル弁25、およびEGR弁51等と電気的に接続されており、上記演算の結果等に基づいて、これらの機器にそれぞれ駆動用の制御信号を出力する。
図8は、エンジンの運転中に上記ECU60によって参照される制御マップを概念的に示す図である。この制御マップでは、エンジンの運転領域が第1運転領域A1、第2運転領域A2、中間運転領域A3の3つに分割されており、このうち、第1運転領域A1はエンジンの最低負荷Tminを含む最も低負荷側の領域に設定され、第2運転領域A2はエンジンの最高負荷Tmaxを含む最も高負荷側の領域に設定されている。また、中間運転領域A3は、第1運転領域A1と第2運転領域A2との間の負荷域に設定されている。ECU60は、エンジンの運転中、負荷(アクセル開度に基づく要求トルク)および回転速度の各値から、エンジンが図8のマップ中のどの運転領域で運転されているかを逐次判定し、各運転領域に応じた適切な燃焼が行われるように、上記インジェクタ10、点火プラグ11、可変機構13a、切替機構14a、流通切替弁45、スロットル弁25、およびEGR弁51を制御する。
(3)各運転領域での制御
次に、図8に示した各運転領域A1,A2,A3での燃焼制御の内容について説明する。詳しくは後述するように、当実施形態では、最も高負荷側の領域に位置する第2運転領域A2で、点火プラグ11からの火花放電による強制点火をきっかけに混合気を火炎伝播により燃焼させるSI燃焼が実行され、上記第2運転領域A2よりも低負荷側に位置する第1運転領域A1および中間運転領域A3で、ピストン4の圧縮作用により混合気を自着火させるCI燃焼が実行される。
(i)第1運転領域A1
まず、エンジンの最低負荷Tminを含む低負荷側の領域に設定された第1運転領域A1でどのような燃焼制御が実行されるかを、図9および図12を用いて説明する。図9は、上記第1運転領域A1で実行される燃料噴射や吸排気弁の開閉動作をクランク角CAとの関係で示す図である。図12は、エンジン負荷の変化に応じて筒内への充填ガスの成分割合や各種制御パラメータがどのように変化するかを示す図である。なお、図11において、「EX」は排気行程中に開く排気弁9のリフトカーブ、「EX’」は吸気行程中に開く排気弁9のリフトカーブ、「IN」は吸気弁8のリフトカーブをそれぞれ表している。また、図12では、第1運転領域A1と中間運転領域A3との境界に対応する負荷を「T1」、中間運転領域A3と第2運転領域A2との境界に対応する負荷を「T2」として表記するとともに、これらT1,T2以外で、ある制御を開始または終了するための閾値となる負荷を「Tx」、「Ty」として表記している。
図9に示すように、第1運転領域A1では、インジェクタ10からの燃料噴射F1に基づき燃焼室5に形成される混合気をピストン4の圧縮作用により自着火させるCI燃焼が実行される。具体的に、上記第1運転領域A1では、吸気行程中の所定時期にインジェクタ10から比較的少量の燃料が噴射される(燃料噴射F1)。すると、この燃料噴射F1に基づき、燃料と空気(新気)とが混じった均質でリーンな混合気が燃焼室5内に形成される。この混合気は、圧縮行程においてピストン4の圧縮作用により高温、高圧化し、圧縮上死点(圧縮行程と排気行程の間のTDC)付近で自着火する。そして、このような自着火に基づき、波形Q1に示すような熱発生を伴うCI燃焼が生じる。
上記のような混合気の自着火によるCI燃焼を促進するため、第1運転領域A1では、図9および図12に示すように、排気弁9の開閉モードが2度開きモードとされ、排気弁9が排気行程だけでなく吸気行程でも開くように切替機構14aが制御される。すなわち、排気弁9を吸気行程でも開くことにより、排気ポート7から筒内に排気ガスを逆流させる内部EGRを実行し、筒内温度を上昇させる。
また、第1運転領域A1では、図12に示すように、流通切替弁45の開度が全開(100%)に設定される。これにより、各気筒2A〜2Dから排出された排気ガスのほとんどがバイパス通路41,42,43を通過し、負圧発生装置35を迂回してその下流側の排気管40に流入する。
第1運転領域A1での吸気弁8のリフト量ついては、それを変化させるための可変機構13aの駆動に基づいて、次のようなパターンで制御される。すなわち、第1運転領域A1の中でも負荷がTx以下になる領域(極低負荷域)では、吸気弁8のリフト量が最低のリフト量に設定される一方、これよりも高負荷側の領域では、負荷が高いほど吸気弁8のリフト量が増大される。これにより、第1運転領域A1において吸気ポート6から筒内に導入される新気の量は、所定負荷Tx以下のときに最も少なくされ、所定負荷Txよりも負荷が高くなるほど増大される。一方、内部EGRにより筒内に導入される排気ガス(内部EGRガス)の量は、上記新気量の変化とは逆に、所定負荷Tx以下のときに最も多くされ、所定負荷Txよりも負荷が高くなるほど低減される。
第1運転領域A1でのEGR弁51の開度については、所定負荷Tx以下の領域で全閉(0%)に設定される一方、これよりも高負荷側の領域では、負荷が高いほど開度が増大される。すなわち、所定負荷Tx以下の領域でEGR弁51が全閉にされることにより、外部EGR、つまり排気マニホールド30に一旦排出された排気ガスをEGR通路50を通じて筒内に還流する操作が禁止される。一方、所定負荷Txよりも高負荷側の領域では、EGR弁51が徐々に開かれることにより、外部EGRによって還流される排気ガス(外部EGRガス)の量が徐々に増大される。
スロットル弁25の開度(スロットル開度)については、第1運転領域A1を含む全ての運転領域(領域A1、A3、A2)において、一律に全開(100%)に設定される。しかしながら、第1運転領域A1においては、上述した吸気弁8のリフト量の制御や内部EGRおよび外部EGRが実行されることにより、新気の量がかなり少なくされ、筒内ガスの大半がEGRガス(内部EGRガスおよび外部EGRガス)によって占められる状態がつくり出される。このように、新気以外に大量のEGRガスが筒内に導入されることから、第1運転領域A1では、筒内に充填される全ガス(新気およびEGRガス)の質量を燃料の質量で割った値であるガス空燃比G/Fが、30以上に設定される。
(ii)中間運転領域A3
上記第1運転領域A1よりも負荷が高い中間運転領域A3では、図10に示すように、インジェクタ10からの燃料噴射F3に基づき燃焼室5に形成される混合気をピストン4の圧縮作用により自着火させるCI燃焼が実行される(波形Q3)。ただし、中間運転領域A3では、相対的に負荷の低い第1運転領域A1のときよりも遅いタイミング、例えば圧縮行程中の所定時期に上記燃料噴射F3が実行される。このように、第1運転領域A1よりも負荷が高い(よって燃料の噴射量が多い)中間運転領域A3において、燃料噴射のタイミングを遅らせるのは、仮に第1運転領域A1と同様のタイミングで燃料を噴射したとすると、混合気が自着火するタイミングが早くなり過ぎて、異常燃焼や過大な燃焼騒音が生じるおそれがあるためである。
上記中間運転領域A3での排気弁9の開閉モードは、図10および図12に示すように、上記第1運転領域A1と同じく2度開きモードとされ、排気弁9が排気行程だけでなく吸気行程でも開かれる。これにより、排気ポート7から筒内に排気ガスを逆流させる内部EGRが実現される。ただし、中間運転領域A3での内部EGRガスの量(図12)は、流通切替弁45の開度制御により、負荷が高くなるほど低減される。
具体的に、上記中間運転領域A3において、流通切替弁45の開度は、負荷が高くなるほど低減される。これにより、バイパス通路41,42,43に流れる排気ガスの量が減り、独立排気通路31,32,33を通じて負圧発生装置35に流入する排気ガスの量が増える。このことは、負圧発生装置35内で生成される負圧を強くし、内部EGRガスの量を減少させることにつながる。つまり、負圧発生装置35内の負圧が強くなる(圧力が下がる)と、この負圧が独立排気通路31,32,33を通じて排気ポート7まで及び、排気ガスが下流側に吸引される結果、排気ポート7から筒内へ排気ガスが逆流する現象が起き難くなる。上記中間運転領域A3では、負荷が高くなるほど流通切替弁45の開度が低減されるので、上記負圧発生装置35で発生する負圧による排気ガスの吸引作用(エゼクタ効果)が徐々に強められ、その結果として、図12に示すように、内部EGRガスの量が徐々に低減される。
上記中間運転領域A3では、EGR弁51の開度が所定の高開度に設定され、EGR通路50を通じて比較的多くの排気ガスが外部EGRガスとして筒内に還流される。また、吸気弁8のリフト量が最大となるように可変機構13aが制御される。
(iii)第2運転領域A2
上記中間運転領域A3よりも負荷が高くかつエンジンの最高負荷Tmaxを含む領域に設定された第2運転領域A2では、図11に示すような制御が実行される。すなわち、圧縮行程の後期のような比較的遅いタイミングでインジェクタ10から燃料を噴射させ(F2)、この燃料噴射F2の後に点火プラグ11に火花点火SPを行わせることにより、圧縮上死点を少し過ぎたタイミング(膨張行程の初期)から火炎伝播により混合気を燃焼させる制御が実行される。
上記第2運転領域A2で燃料噴射F2を開始するタイミングは、圧縮行程の後期以降の適宜のタイミングに設定される。また、同領域A2で火花点火SPを実行するタイミングは、上記燃料噴射F2から所定のクランク角を過ぎた適宜のタイミングに設定される。具体例として、燃料噴射F2のタイミングはBTDC(上死点前)20〜0°CAのいずれかに設定することができ、火花点火SPのタイミングはATDC(上死点後)0〜20°CAのいずれかに設定することができる。もちろん、エンジン回転速度が特に高いかまたは低い場合は、ここで例示したクランク角範囲を外れて上記燃料噴射F2および火花点火SPが行われることもあり得る。ただし、これら噴射および点火の各タイミングは、少なくとも、圧縮行程後期から膨張行程初期にかけた範囲(BTDC60°CA〜ATDC60°CA)のいずれかには含まれるということができる。
図12に示すように、上記第2運転領域A2では、少なくとも最高負荷Tmaxを除き、EGR通路50を通じて排気ガスを筒内に還流させる外部EGRが実行される。この外部EGRによって還流される排気ガス(外部EGRガス)の量は、第2運転領域A2の中でも負荷が高いほど少なく設定される。このため、第2運転領域A2でのEGR弁51の開度は、基本的に、負荷が高いほど低減され、最高負荷では全閉(0%)に設定される。
また、第2運転領域A2では、基本的に内部EGRは実行されない。このため、排気弁9の開閉モードは基本的に通常モードとされ、排気弁9が排気行程のみで開弁するように切替機構14aが制御される。また、吸気弁8のリフト量が最大となるように可変機構13aが制御され、排気行程の終期から吸気行程の初期にかけて吸気弁8と排気弁9とがともに開く期間であるオーバーラップ期間OL(図11)が所定量確保される。
ただし、当実施形態では、図12に示すように、第2運転領域A2における低負荷側の一部(負荷T2〜Tyの区間)に限り、少量の内部EGRガスが導入されるように排気弁9の開閉モードが2度開きモードとされる。このとき、流通切替弁45の開度は、上記中間運転領域A3と第2運転領域A2との境界(負荷T2)での値よりもさらに小さくされ、負荷T2から少し高負荷側に移行した負荷Tyで全閉(0%)に設定される。これにより、各気筒2A〜2Dから排出される排気ガスの全てが負圧発生装置35へと流入させられるので、この負圧発生装置35の内部で強い負圧が生成される状態がつくり出され、内部EGRガスの量が実質的にゼロまで低減される。そして、このような状態(内部EGRを停止した状態)が、エンジンの最高負荷Tmaxまで継続される。
上記のような外部EGRおよび内部EGRの制御が行われる結果、第2運転領域A2での新気の量は、負荷が高いほど増やされて、最高負荷Tmaxでの運転時には、筒内に導入される実質的に全てのガスが新気とされる。
また、上記燃料噴射F2による噴射量は、筒内の空気過剰率λが1となるような量、つまり、筒内の新気の質量を燃料の質量で割った値が14.7(理論空燃比)になるような量に設定される。ただし、第2運転領域A2では、上述したように、エンジンの最高負荷を除いて外部EGRガスが導入される(低負荷側の一部ではさらに内部EGRガスが導入される)ので、筒内の全ガス質量を燃料の質量で割った値であるガス空燃比G/Fは、14.7以上になる(図12)。
図11に示すように、上記燃料噴射F2に基づき形成される理論空燃比(λ=1)の混合気は、上記燃料噴射F2の完了から比較的短い期間を空けたタイミングで実行される火花点火SPをきっかけに、通常よりも急速な火炎伝播によって燃焼し始め、波形Q2に示すように、膨張行程のそう遅くない時期までに燃焼を完了させる。以下では、第2運転領域A2で行われるこのようなSI燃焼のことを、「急速リタードSI燃焼」と称する。第2運転領域A2で急速リタードSI燃焼が実現されるしくみは、次のとおりである。
図13は、急速リタードSI燃焼(実線)の場合と、吸気行程中に燃料噴射を実行する従来のSI燃焼(破線)の場合とで、熱発生率(上段)および未燃混合気の反応進行度(下段)がそれぞれどのように異なるかを概念的に示す説明図である。なお、この比較の前提として、エンジンの幾何学的圧縮比はともに18とする。また、エンジンの負荷および回転速度は同一であり、したがって燃料の噴射量も同一であるものとする。ただし、燃料噴射の圧力は、急速リタードSI燃焼の方が、従来のSI燃焼よりも大幅に高いものとする(例えば前者の噴射圧力が40MPaで後者の噴射圧力が7MPa)。
まず、従来のSI燃焼では、吸気行程中に燃料噴射F’が実行される。燃焼室5では、その燃料噴射F’の後、ピストン4が圧縮上死点に至るまでの間に、充分に均質化した混合気が形成される。そして、この例では、圧縮上死点を過ぎた遅めのタイミングで火花点火が実行され、それをきっかけに(所定の着火遅れ時間の後に)、時点θig’で火炎伝播による燃焼が開始される。その後は、図13の上段に破線の波形で示すように、燃焼開始時期θig’から所定期間が経過した時点で熱発生率のピークを迎え、そこからさらに時間が経過した時点θend’で燃焼が完了する。
ここで、燃料噴射の開始から燃焼の終了までの間は、未燃混合気が存在し得る期間(未燃混合気の存在期間)ということができる。図13の下段に破線で示すように、未燃混合気の反応は、上記未燃混合気の存在期間中に徐々に進行する。従来のSI燃焼は、未燃混合気の存在期間が非常に長く、その間、未燃混合気の反応が進行し続けることから、火花点火後の火炎伝播の途中で未燃混合気が自着火する異常燃焼、つまりノッキングが起きてしまうという問題があった。特に、同一のクランク角変化量に対応する実時間が相対的に長くなるエンジンの低回転側では、ピストン4が混合気を圧縮している間に未燃混合気の反応がどんどん進行するため、火花点火に基づく燃焼開始時期θig’よりも早いタイミングで未燃混合気の反応度が着火しきい値を超えてしまい(つまり火花点火とは関係なく未燃混合気が自着火してしまい)、プリイグニッション(過早着火)を招く結果となってしまう。
これに対し、急速リタードSI燃焼では、上述したように、30MPa以上という非常に高い噴射圧力で、しかも圧縮行程の後期以降(例えばBTDC20〜0°CA)という大幅に遅角した期間に燃料が噴射される(燃料噴射F2)。このような高圧でかつ遅いタイミングの噴射(以下、高圧リタード噴射という)を行うことは、未燃混合気の存在期間を短縮し、異常燃焼を回避することにつながる。
すなわち、未燃混合気の存在期間は、図13に示すように、インジェクタ10からの燃料噴射に要する期間((A)噴射期間)と、噴射終了後、点火プラグ11の周りに可燃混合気が形成されるまでの期間((B)混合気形成期間)と、点火によって開始された燃焼が終了するまでの期間((C)燃焼期間)とを足し合わせた時間、つまり、(A)+(B)+(C)である。高圧リタード噴射は、単位時間あたりの噴射量を増大させ、燃料の気化に要する時間を短縮し、さらには燃料噴射に基づく乱流エネルギーを増大させるので、(A)噴射期間、(B)混合気形成期間、および(C)燃焼期間をそれぞれ短縮する。これにより、未燃混合気の存在期間が大幅に短縮されるので、圧縮比が高くしかも負荷の高い条件下であっても、未燃混合気の反応進行度が燃焼終了時期までに着火しきい値を越えることがないよう反応の進行が抑制され、異常燃焼が回避される。しかも、急速リタードSI燃焼では、燃焼期間(C)が大幅に短縮されることから、たとえ火花点火に基づく燃焼開始時期θigが、図13の例のように圧縮上死点からある程度遅れたタイミング(膨張行程初期)に設定されていたとしても、その後に生じる燃焼が緩慢化することがなく、熱効率および出力トルクが良好に維持される。
(4)作用等
以上説明したとおり、当実施形態では、ガソリンを含有する燃料により駆動される多気筒ガソリンエンジンにおいて、次のような特徴的な構成を採用した。
上記エンジンの排気マニホールド30は、1つの気筒(2Aまたは2D)もしくは排気順序が連続しない複数の気筒(2Bおよび2C)の各排気ポート7に上流端部が接続された複数の独立排気通路31,32,33と、各独立排気通路31,32,33の下流端部どうしが独立状態を維持したまま互いに近接するように束ねられた集約部34と、集約部34の下流側に設けられ、各独立排気通路31,32,33の下流端部から排気ガスが噴出されるのに伴い負圧が発生するように先細り状に形成されたノズル部36を含む負圧発生装置35と、上記各独立排気通路31,32,33の途中部から分岐して延びるとともに下流側で合流し、かつ上記負圧発生装置35より下流側の排気通路(排気管40)とバイパス下流部44を介して連通するバイパス通路41,42,43と、上記各バイパス通路41,42,43に設けられた開閉可能な流通切替弁45とを有する。
上記エンジンの負荷が相対的に低い第1運転領域A1では、混合気の自着火による燃焼であるCI燃焼が行われる。また、この第1運転領域A1では、排気弁9が排気行程だけでなく吸気行程でも開くように切替機構14aが制御されるとともに(2度開きモード)、各気筒2A〜2Dからの排気ガスがバイパス通路41,42,43を通って負圧発生装置35を迂回するように上記流通切替弁45が開弁される。
一方、上記第1運転領域A1よりも負荷の高い第2運転領域A2では、火花点火による強制燃焼であるSI燃焼が行われる。特に、第2運転領域A2の中でも高負荷側の一部の運転領域(図12に示す負荷Ty以上の領域)では、排気弁9が排気行程のみで開くように切替機構14aが制御されるとともに(通常モード)、各気筒2A〜2Dからの排気ガスが負圧発生装置35を通るように上記流通切替弁45が閉弁される。
以上のような構成を具備する当実施形態の多気筒ガソリンエンジンによれば、低負荷域でCI燃焼を行う際の着火性の確保と、高負荷域でSI燃焼を行う際の異常燃焼の防止とを両立することができる。
すなわち、上記実施形態では、相対的に負荷の低い第1運転領域A1において、排気弁9が2度開きモード(排気行程に加えて吸気行程でも開弁させるモード)で駆動されることにより、各気筒2A〜2Dの排気ポート7から筒内(燃焼室5)に高温の排気ガスが逆流する内部EGRが実現され、筒内温度の上昇が図られる。これにより、負荷が低く混合気の着火性が厳しい第1運転領域A1において、混合気の自着火を促進し、適正なCI燃焼を引き起こすことができる。しかも、上記第1運転領域A1では、各気筒2A〜2Dからの排気ガスがバイパス通路41,42,43を通る(負圧発生装置35を迂回する)ように排気ガスの流通が切り替えられるため、負圧発生装置35で生じる負圧に伴うエゼクタ効果(排気ガスの下流側への吸引効果)が無効化される結果、ある気筒からブローダウンガス(排気弁9の開弁直後に勢いよく排出される排気ガス)が排出されたときには、このブローダウンガスによる大きな正圧が、排気順序が1つ前の先行気筒の排気ポート7に作用して排気ガスの排出を阻害するようになる(排気干渉)。上記実施形態では、あえてこのような排気干渉をつくり出した上で、排気弁9を2度開きモードで駆動することにより、排気ポート7から筒内に多量の排気ガスを逆流させて、内部EGRガスの量を増大させることができる。このことは、筒内温度の上昇に有利となり、混合気の自着火促進につながるので、低負荷域でのCI燃焼をより確実に引き起こすことができる。
上記排気干渉等について図14を用いてより具体的に説明する。図14はある特定の気筒の排気ポート7の圧力が負圧発生装置35の迂回の有無によってどの程度変わるかを説明するための図であり、実線の波形P1が負圧発生装置35を迂回した場合(流通切替弁45を全開にした場合)の圧力を、一点鎖線の波形P2が負圧発生装置35を迂回しなかった場合(流通切替弁45を全閉にした場合)の圧力を示している。本図に示すように、排気ガスが負圧発生装置35を迂回するように流通切替弁45を全開にした場合には(波形P1)、上記特定の気筒の排気行程が終了する付近(TDCの近傍)で、排気順序が1つ後の後続気筒からのブローダウンガスによる正圧が排気ポート7に到達することにより、排気ポート7の圧力が再び増大している。例えば、図14のグラフが1番気筒2Aの排気ポート7の圧力を示しているとすると、この1番気筒2Aの排気行程の終了間際に、1番気筒2Aよりも排気順序が1つ後の3番気筒2Cからのブローダウンガスによる正圧が、独立排気通路32→バイパス通路42→バイパス通路41→独立排気通路31の順に通って音速で第1気筒2Aの排気ポート7に到達することにより、排気ポート7の圧力が再び増大する(排気干渉)。
これに対し、波形P2のように、排気ガスが負圧発生装置35に流入するように流通切替弁45を全閉にした場合には、上記特定の気筒の排気行程が終了する付近(TDCの近傍)で、排気順序が1つ後の後続気筒からのブローダウンガスに基づき負圧発生装置35で発生した負圧が排気ポート7に到達することにより、排気ポート7の圧力が低下して負圧に転じている。例えば、1番気筒2Aよりも排気順序が1つ後の3番気筒2Cからのブローダウンガスが独立排気通路32を通じて負圧発生装置35に流入したとすると、これによって同装置35内で強い負圧が発生するので、この負圧が独立排気通路31を遡って1番気筒2Aの排気ポート7に到達することにより、同気筒2Aの排気ポート7の圧力が、排気行程の終了時付近から負圧に転じる。
このように、排気ガスを負圧発生装置35に流入させるか迂回させるかによって、排気行程の終了時付近の排気ポート7の圧力を大きく(図14の高さHの分だけ)変化させられるということが分かる。このことを利用して、上記実施形態では、比較的負荷の低い第1運転領域A1において、排気ガスが負圧発生装置35を迂回するように流通切替弁45を開弁し、それに伴い排気干渉をあえて起こす(つまり排気ポート7の圧力を故意に高くする)ことにより、大量の内部EGRガスが確保されるようにした。
なお、単に内部EGRガスの量を増やすだけであれば、吸気行程中に開弁する排気弁9のリフト量を極端に大きくすることによっても実現は可能である。しかしながら、排気弁9のリフト量を大きくし過ぎると、切替機構14aが大型化し、機械抵抗が増大するなどの問題がある。これに対し、排気干渉を利用して内部EGRガスの量を増やすようにした上記の構成は、このような問題をもクリアすることができる。
一方、上記第1運転領域A1よりも負荷の高い第2運転領域A2(特にその高負荷側の一部)では、排気弁9の開閉モードが通常モードに切り換えられて内部EGRが禁止されるとともに、流通切替弁45が閉弁されて排気ガスが負圧発生装置35に流入させられるため、負圧発生装置35で生じる負圧が各気筒2A〜2Dの排気ポート7に到達して排気ガスの下流側への吸い出し(エゼクタ効果)が促進されることにより、筒内に高温の排気ガスが残留することが効果的に防止される。そして、上記第2運転領域A2では、このように筒内の掃気性が確保された状態で、火花点火によるSI燃焼が実行されるため、例えば火花点火のタイミングを極端に遅くするなどの措置を採らなくても、異常燃焼を伴わない適正な燃焼を実現することができ、異常燃焼を防止しつつ高い熱効率を得ることができる。
特に、上記実施形態では、第2運転領域A2において、排気行程の終期から吸気行程の初期にかけて吸気弁8と排気弁9とがともに開く期間であるオーバーラップ期間OL(図11)が確保されるようになっているので、上記のように負圧発生装置35で生じた負圧が上記オーバーラップ期間OL中に排気ポート7に到達することで、吸気ポート6から排気ポート7へと吹き抜ける流れが生じ、掃気がより一層促進される。
また、上記実施形態では、第1運転領域A1と第2運転領域A2との間に、CI燃焼(混合気の自着火による燃焼)が行われる中間運転領域A3が設定され、この中間運転領域A3では、排気弁9の開閉モードが2度開きモードに設定されるとともに、負荷が高いほど流通切替弁45の開度が低減される。このような構成によれば、低負荷側の第1運転領域A1よりも負荷が高く混合気が比較的自着火し易い中間運転領域A3において、流通切替弁45の開度制御により負圧発生装置35に流入する排気ガスの量が調節されることにより、負圧発生装置35で生じる負圧に基づく排気ガスの吸い出し作用(エゼクタ効果)を、負荷が高くなるほど増強し、それに伴い内部EGR量を減少させることができる。これにより、負荷が中間的な値となる上記中間運転領域A3において、着火性に応じた適当量の内部EGRガスを導入することができ、適正なCI燃焼を行わせることができる。
また、上記実施形態では、第1運転領域A1でのガス空燃比G/F(筒内の全ガス質量を燃料の質量で割った値)が、上記第2運転領域A2および中間運転領域A3でのG/Fよりも大きい値である30以上に設定される。このような構成によれば、相対的に負荷が低い第1運転領域A1でEGRガスや新気を含む多量のガスを筒内に導入することにより、低負荷運転時のポンピングロスを効果的に低減できるとともに、中間運転領域A3や第2運転領域A2のように相対的に負荷の高い領域での運転時には、相対的に燃料リッチな条件とすることにより、負荷に応じた高いトルクを確保することができる。
また、上記実施形態では、第1運転領域A1において、吸気行程中の燃料噴射F1に基づくCI燃焼が行われる一方、第2運転領域A2では、燃料噴射F2と火花点火SPとが圧縮行程後期から膨張行程初期にかけて実行され、それに基づいてSI燃焼が行われる。このような構成によれば、相対的に負荷の低い第1運転領域A1で、吸気行程中の燃料噴射F1に基づく均質な混合気をCI燃焼させて高い熱効率を得ることができる。一方、高負荷側の第2運転領域A2では、圧縮行程の後期以降という遅めのタイミングで燃料噴射F2と火花点火SPとが実行されるため、圧縮上死点を過ぎて筒内温度・圧力がある程度低下してから混合気が火炎伝播により燃焼(SI燃焼)する。このため、低負荷域でのCI燃焼実現のために仮にエンジンの幾何学的圧縮比がかなり高く(例えば当実施形態のように16以上に)設定されたとしても、高負荷域で起き易い異常燃焼を確実に回避することができる。
特に、上記実施形態では、30MPa以上という高い噴射圧力によって燃料を噴射することが可能なインジェクタ10を用いているため、上記第2運転領域A2で行われるSI燃焼の燃焼速度を早めることができる(急速リタードSI燃焼)。したがって、プリイグニッションやノッキングといった異常燃焼の発生を確実に回避しながら、燃焼期間の短い熱効率に優れた燃焼を実現することができる。
なお、上記実施形態では、各独立排気通路31,32,33の下流端部を、円を3等分したような扇型の断面を有するように形成し、このような断面形状の各下流端部を束ねて全体としてほぼ円形の集約部34を形成したが、上記各独立排気通路31,32,33の下流端部を並列に近接配置して束ねるようにしてもよい。
また、上記実施形態では、排気順序が連続しない2つの気筒(2番気筒2Bおよび3番気筒2C)の排気ポート7に、上流側が二股状に分岐した独立排気通路32を接続し、他の気筒(1番気筒2Aまたは4番気筒2D)の排気ポート7に単管状の独立排気通路31,33を接続したが、4つの気筒2A〜2Dの排気ポート7の全てに、独立排気通路31,33と同様の単管状の通路を接続し、これらの独立排気通路の各下流端部を束ねて集約部を形成してもよい。
1 エンジン本体
2A〜2D 気筒
7 排気ポート
9 排気弁
10 インジェクタ
11 点火プラグ
14a 切替機構
30 排気マニホールド
31,32,33 独立排気通路
34 集約部
35 負圧発生装置
36 ノズル部
41,42,43 バイパス通路
45 流通切替弁
60 ECU(制御手段)
A1 第1運転領域
A2 第2運転領域
A3 中間運転領域

Claims (4)

  1. 複数の気筒を有するエンジン本体と、エンジン本体の各気筒から排出された排気ガスが通過する排気マニホールドと、エンジン本体および排気マニホールドに含まれる各種機器を制御する制御手段とを備えた多気筒ガソリンエンジンであって、
    上記エンジン本体は、ガソリンを含有する燃料を噴射するインジェクタと火花放電により混合気への点火を行う点火プラグとを気筒ごとに有するとともに、各気筒の排気ポートを開閉する排気弁を排気行程のみで開弁させる通常モードで駆動するか排気行程に加えて吸気行程でも開弁させる2度開きモードで駆動するかを切り替え可能な切替機構を有し、
    上記排気マニホールドは、1つの気筒もしくは排気順序が連続しない複数の気筒の各排気ポートに上流端部が接続された複数の独立排気通路と、各独立排気通路の下流端部どうしが独立状態を維持したまま互いに近接するように束ねられた集約部と、集約部の下流側に設けられ、各独立排気通路の下流端部から排気ガスが噴出されるのに伴い負圧が発生するように先細り状に形成されたノズル部を含む負圧発生装置と、上記各独立排気通路の途中部から分岐して延びるとともに下流側で合流し、かつ上記負圧発生装置より下流側の排気通路と連通するバイパス通路と、上記各バイパス通路に設けられた開閉可能な流通切替弁とを有し、
    上記制御手段は、所定の第1運転領域で混合気の自着火による燃焼であるCI燃焼が行われ、かつ上記第1運転領域よりも高負荷側に設定された第2運転領域で火花点火による強制燃焼であるSI燃焼が行われるように、上記インジェクタ、点火プラグ、切替機構、および流通切替弁を制御するものであり、
    上記第1運転領域では、排気弁が上記2度開きモードで駆動されるように上記切替機構が制御されるとともに、排気ガスが上記バイパス通路を通って負圧発生装置を迂回するように上記流通切替弁が開弁され、
    上記第2運転領域では、少なくともその高負荷側の一部で、排気弁が上記通常モードで駆動されるように上記切替機構が制御されるとともに、排気ガスが上記負圧発生装置を通るように上記流通切替弁が閉弁されることを特徴とする多気筒ガソリンエンジン。
  2. 請求項1記載の多気筒ガソリンエンジンにおいて、
    上記第1運転領域と第2運転領域との間に、CI燃焼が行われる中間運転領域が設定され、
    上記中間運転領域では、排気弁が上記2度開きモードで駆動されるように上記切替機構が制御されるとともに、負荷が高いほど上記流通切替弁の開度が低減されることを特徴とする多気筒ガソリンエンジン。
  3. 請求項2記載の多気筒ガソリンエンジンにおいて、
    上記第1運転領域では、筒内の全ガス質量を燃料の質量で割った値であるガス空燃比が、上記第2運転領域および中間運転領域でのガス空燃比よりも大きい値である30以上に設定されることを特徴とする多気筒ガソリンエンジン。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の多気筒ガソリンエンジンにおいて、
    上記第1運転領域では、上記インジェクタから吸気行程中に燃料が噴射されることによりCI燃焼が行われ、
    上記第2運転領域では、上記インジェクタからの燃料噴射と上記点火プラグによる火花点火とが圧縮行程後期から膨張行程初期にかけて順に実行され、それに基づいてSI燃焼が行われることを特徴とする多気筒ガソリンエンジン。
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