JP6090352B2 - 圧縮自己着火ガソリンエンジン - Google Patents
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Description
本発明は、複数の気筒を有するエンジン本体と、エンジン本体に空気を導入するための吸気通路20と、エンジン本体から外部に排気を排出するための排気システムと、これらに含まれる各種機器を制御する制御手段とを備え、少なくとも特定の運転領域にて圧縮自己着火燃焼が実施される多気筒エンジンに関する。
従来、燃費性能を高めるべく、点火プラグの火花点火によって混合気を強制的に燃焼させる火花点火燃焼に代えて、ピストンの圧縮によりつくり出される高温・高圧の環境下で混合気を自己着火により燃焼させるいわゆる圧縮自己着火燃焼を実施することが検討されている。以下、火花点火燃焼(Spark Ignition Combustion)のことを「SI燃焼」と略称し、圧縮自己着火燃焼(Compression Self−Ignition Combustion)のことを「CI燃焼」と略称する。
CI燃焼では、筒内(気筒内)の温度を混合気の自己着火が可能な温度まで高める必要がある。しかしながら、筒内の温度が高温になりすぎると、過早着火(所望の燃焼開始時期よりも早期に燃焼が開始してしまう現象)等の異常燃焼が生じたり燃焼騒音が増大するという問題が生じる。
これに対して、例えば、特許文献1には、排気通路に排出された排気を吸気通路20に還流するためのEGR通路とこの通路を開閉可能なEGR弁とを備え、比較的低温の排気(以下、外部EGRガスという)を気筒に導入可能であるとともに、一旦排気ポートに排出された高温の排気(以下、内部EGRガスという)を筒内へ逆流させるべく排気弁が排気行程だけでなく吸気行程でも開くように構成されたエンジンであって、これら外部EGRガスと内部EGRガスの導入量の調整によって筒内の温度を運転領域に応じて変更するものが開示されている。
具体的には、特許文献1のエンジンでは、CI燃焼が実施される領域のうち筒内の温度が比較的低温になりやすい低負荷領域(エンジン負荷の低い領域)において、筒内の温度を高めるために、排気弁を排気行程と吸気行程とで開いて高温の内部EGRガスを多量に気筒に導入するとともに上記EGR弁を閉弁して外部EGRガスの導入を停止する。一方、CI燃焼領域のうち上記低負荷領域よりもエンジン負荷が高く筒内の温度が比較的高温になりやすい運転領域では、筒内の温度が過剰に高温になるのを回避するために、上記内部EGRガスの導入量を少なく抑えるとともに上記EGR弁を開弁して比較的低温の外部EGRガスを筒内に導入する。
上記特許文献1のエンジンでは、外部EGRガスの導入状態(導入量)がEGR弁の開閉によってのみ制御されているため、外部EGRガスの制御性が悪いという問題がある。具体的には、この特許文献1のエンジンでは、外部EGRガスの導入を開始する領域に入ると上記EGR弁を開弁させ、これによってのみ外部EGRガスの導入を図っている。そのため、筒内に多量の内部EGRガスが残存していること等に伴って、外部EGRガスを十分量筒内に導入することができない場合がある。そして、この場合には、筒内の温度を十分に低く抑えることができず異常燃焼の発生や燃焼騒音の悪化を招くおそれがある。
本発明は、上記のような事情に鑑みてなされたものであり、CI燃焼の実施時において、筒内の温度をより適切な温度にすることができる多気筒エンジンを提供することを目的とする。
上記課題を解決するためのものとして、本発明は、複数の気筒とこれら気筒内に空気を導入するための吸気通路とを有し、少なくとも一部の運転領域にてガソリンを含む燃料と空気との混合気が圧縮自己着火燃焼される圧縮自己着火ガソリンエンジンであって、複数の気筒の各排気ポートから延びる複数の独立排気通路と、上記各独立排気通路の下流側に設けられて、各独立排気通路と連通する共通の空間を形成する排気集合部と、上記排気集合部で発生する負圧を変更可能な負圧変更手段と、各気筒の排気弁を駆動する排気弁駆動機構と各気筒から排出された排気を外部EGRガスとして上記吸気通路を介して各気筒内に還流する外部EGR手段と、上記負圧変更手段を含むエンジンの各部を制御する制御する制御手段とを備え、上記排気弁駆動機構は、各気筒の排気ポートに一旦排出された排気が内部EGRガスとして各気筒内に逆流するように各気筒の排気弁を排気行程に加えて吸気行程でも開弁する内部EGRモードで開閉可能であり、上記制御手段は、上記圧縮自己着火燃焼が行われる運転領域のうち所定の基準負荷よりもエンジン負荷の低い第1運転領域では、上記排気弁駆動機構によって排気弁を上記内部EGRモードで開閉させるとともに上記外部EGRガスの各気筒内への還流が停止されるように上記外部EGR手段を制御し、上記圧縮自己着火燃焼が行われる運転領域のうち上記基準負荷よりもエンジン負荷の高い第2運転領域では、上記排気弁駆動機構によって排気弁を上記内部EGRモードで開閉させ、かつ、上記外部EGRガスが各気筒内に還流されるとともに上記排気集合部内の負圧が上記第1運転領域のときよりも大きくなるように上記外部EGR手段および上記負圧変更手段を制御することを特徴とする(請求項1)。
本発明では、相対的に負荷が低く筒内の温度が低くなりやすい第1運転領域において、排気弁が内部EGRモード(排気行程に加えて吸気行程でも開弁するモード)で駆動されるため、排気ポートから筒内に高温の内部EGRガスを逆流させることができ、筒内の温度を混合気の自己着火が可能な適切な温度にすることができる。すなわち、負荷が低く混合気の着火性が厳しい第1運転領域において、混合気の自己着火を促進し、適正なCI燃焼を引き起こすことができる。特に、この第1運転領域では、吸気通路20を介して各気筒に還流される相対的に温度の低い外部EGRガスの還流が停止されるため、筒内の温度を確実に高めることができる。
一方、上記第1運転領域よりもエンジン負荷が高く筒内の温度が高くなりやすい第2運転領域では、外部EGRガスの筒内への還流が実施されて、相対的に温度の低い外部EGRガスが筒内に導入される。そのため、筒内の温度を適切に低く抑えることができる。すなわち、負荷が高く筒内の温度が高くなりやすい第2運転領域において、筒内の温度が過剰に高温になるのを回避して、過早着火等の異常燃焼の発生や燃焼騒音の増大を抑制することができる。
特に、本発明では、外部EGRガスを筒内に還流する第2運転領域において、負圧変更手段によって、排気集合部内の負圧が大きくされる。そのため、この第2運転領域において、外部EGRガスを確実に筒内へ還流することができるとともに高温の内部EGRガスの筒内への逆流量を少なく抑えることができ、筒内の温度が過剰に高くなるのをより確実に回避することができる。
具体的には、排気集合部内の負圧が大きくなると、この負圧に基づくエゼクタ効果により気筒から下流側に吸い出される排気の量が増大する。そのため、上記のように排気集合部内の負圧を大きくすることで、気筒から排出された排気のうち外部EGRガスとして気筒に還流される排気の流量を増大させることができるとともに、排気ポートから気筒に逆流する高温の内部EGRガス量を減少させることができる。
本発明において、上記制御手段は、上記第2運転領域において、各気筒の吸気弁の開弁期間と排気弁の開弁期間とをオーバーラップさせるのが好ましい(請求項2)。
この構成によれば、第2運転領域において、気筒の掃気性を高めて気筒から排出される排気の量を多くすることができるため、より確実に外部EGRガス量の増大および内部EGRガス量の減少を実現することができる。
また、本発明において、上記制御手段は、上記第1運転領域と第2運転領域とを含む運転領域において、気筒内の全ガス量に対する上記内部EGRガス量の割合である内部EGR率を、エンジン負荷が高い側ほど小さくするのが好ましい(請求項3)。
このようにすれば、第1運転領域および第2運転領域において、エンジン負荷が高く筒内温度が高温になりやすい条件ほど高温の内部EGRガスの割合が小さくされて筒内の温度が高くなるのが抑制されるため、これら運転領域全体において筒内温度を適切な温度にすることができる。
上記構成において、上記制御手段は、上記第2運転領域のうちエンジン負荷が上記基準負荷から特定の負荷までの領域では、エンジン負荷が高いほど上記内部EGR率を小さくしつつ、気筒内の全ガス量に対する上記外部EGRガス量の割合である外部EGR率と上記内部EGR率とを合わせたトータルEGR率をエンジン負荷が高いほど大きくするのが好ましい(請求項4)。
このようにすれば、第2運転領域のうちエンジン負荷が上記基準負荷から特定の負荷までの領域において、内部EGR率が小さくされながらトータルのEGR率が大きくされて、高温のEGRガス量が減少されつつEGRガス量が多く確保される。そのため、第1運転領域から第2運転領域に切り替わった際に、比熱比の高いEGRガス量が減少するのを抑制しつつ高温の内部EGRガス量を減少させることができ、この切り替え時に異常燃焼が発生することおよび燃焼騒音が増大するのをより確実に回避することができる。
上記構成において、上記制御手段は、上記第2運転領域のうちエンジン負荷が上記基準負荷から特定の負荷までの領域では、エンジン負荷が高いほど上記排気集合部内の負圧が大きくなるように上記負圧変更手段を制御するのが好ましい(請求項5)。
このようにすれば、第2運転領域のうちエンジン負荷が上記基準負荷から特定の負荷までの領域、において、外部EGRガス量(率)の変更を円滑に行うことができる。
また、本発明において、上記排気弁駆動機構は、各気筒の排気弁の閉弁時期を変更可能であり、上記制御手段は、上記第1運転領域と第2運転領域とを含む運転領域において、上記排気弁駆動機構によって排気弁の閉弁時期をエンジン負荷が高い側ほど進角側にするとともに、エンジン負荷の単位増加量に対する排気閉弁時期の進角量を進角変化率としたとき、上記第2運転領域における排気弁の進角変化率を上記第1運転領域のそれよりも小さくするのが好ましい(請求項6)。
このようにすれば、第2運転領域において、内部EGRガスの割合を小さくするための排気閉弁時期の進角量が小さく抑えられているため、排気閉弁時期の変更範囲を小さくすることができ、排気閉弁時期の応答性を高めることができる。すなわち、異常燃焼等の可能性があるため第1運転領域に比べて精度の高い制御が求められる第2運転領域において、過渡時等における排気閉弁時期の変更をより適切に行うことが可能となる。
特に、本発明では、上記のように第2運転領域において上記負圧が高められ、これにより内部EGRガスの筒内への導入量が抑制されている。そのため、このように第2運転領域においてエンジン負荷の増大量に対する排気閉弁時期の進角量を小さくしても内部EGRガスを確実に低減することができる。従って、この構成によれば、内部EGR率の適切な制御と排気閉弁時期の適切な変更とを同時に実現することができる。
本発明において、好ましくは、上記第2運転領域が、ピストンが圧縮上死点にあるときの筒内の温度である圧縮端温度の目標値が上記第1運転領域よりも低い値となる領域に設定されているものに適用される(請求項7)。
エンジン負荷が高く燃料噴射量が多いと、噴射された燃料周りの混合気がリッチ(燃料と空気との割合において燃料が多い状態)になって過早着火等の異常燃焼が生じやすくなる。そのため、この場合には、圧縮端温度すなわち燃焼開始前の温度をより低く抑える必要がある。これに対して、本発明では、上記のように、第1運転領域よりも負荷の高い第2運転領域において筒内の温度をより確実に低く抑えることができるため、本発明を上記のものに適用すれば、圧縮端温度を所望の目標温度にして、異常燃焼等の発生をより確実に回避することができる。
以上説明したように、本発明の圧縮自己着火ガソリンエンジンによれば、CI燃焼の実施時において、筒内の温度をより適切な温度にすることができる。
(1)エンジンの全体構成
図1および図2は、本発明の一実施形態にかかる圧縮自己着火エンジンの構成を示す図である。当実施形態のエンジンは、4ストロークのエンジン本体1と、エンジン本体1に燃焼用の空気(吸気)を導入するための吸気通路20と、エンジン本体1から外部に排気を排出するための排気システム30とを備えている。
図1および図2は、本発明の一実施形態にかかる圧縮自己着火エンジンの構成を示す図である。当実施形態のエンジンは、4ストロークのエンジン本体1と、エンジン本体1に燃焼用の空気(吸気)を導入するための吸気通路20と、エンジン本体1から外部に排気を排出するための排気システム30とを備えている。
ここでは、エンジン本体1が、特定方向に並ぶ4つの気筒2A〜2Dを有する4気筒エンジンであって、主としてガソリンを燃料とするガソリンエンジンの場合について説明する。
エンジン本体1は、気筒2A〜2Dが内部に形成されたシリンダブロック2と、シリンダブロック2の上面に設けられたシリンダヘッド3と、気筒2A〜2Dに往復摺動可能に挿入されたピストン4とを有している。
ピストン4の上方には燃焼室5が形成されており、この燃焼室5には、燃料が、インジェクタ10からの噴射によって供給される。噴射された燃料と空気との混合気は燃焼室5で燃焼し、ピストン4はその燃焼による膨張力で押し下げられて上下に往復運動する。
ピストン4はコネクティングロッド16を介してクランク軸15と連結されており、ピストン4の往復運動に応じて、クランク軸15は中心軸回りに回転する。
シリンダブロック2には、クランク軸15の回転速度をエンジンの回転速度(回転数)として検出するエンジン回転速度センサSW1が設けられている。
シリンダヘッド3には、燃料を燃焼室5に向けて噴射するインジェクタ10と、インジェクタ10から噴射された燃料と空気との混合気に対し火花放電による点火を行う点火プラグ11とが、各気筒2A〜2Dにつきそれぞれ1組ずつ設けられている。
インジェクタ10は、燃料の噴射口となる複数の噴孔を先端部に有しており、各気筒2A〜2Dの燃焼室5をその吸気側の側方から臨むように設けられている。インジェクタ10から噴射される燃料の噴射圧力は、30MPa以上という、ガソリンエンジンとしてはかなり高い値に設定されている。
点火プラグ11は、火花を放電するための電極を先端部に有しており、各気筒2A〜2Dの燃焼室5を上方から臨むように設けられている。
当実施形態のエンジン本体1は、その幾何学的圧縮比(ピストン4が下死点にあるときの燃焼室容積とピストン4が上死点にあるときの燃焼室容積との比)が、15以上20以下という、ガソリンエンジンとしてはかなり高い値に設定されている。このように高い幾何学的圧縮比を設定しているのは、理論熱効率の向上や、後述するCI燃焼(圧縮自己着火燃焼)での着火性確保のためである。
また、当実施形態のような4ストローク4気筒のエンジンでは、各気筒2A〜2Dに設けられたピストン4がクランク角で180°(180°CA)の位相差をもって上下運動するため、これに対応して、各気筒2A〜2Dでの点火のタイミングも、180°CAずつ位相をずらしたタイミングに設定される。具体的には、気筒2A,2B,2C,2Dの気筒番号をそれぞれ1番、2番、3番、4番とすると、1番気筒2A→3番気筒2C→4番気筒2D→2番気筒2Bの順に点火が行われる。このため、例えば1番気筒2Aが膨張行程であれば、3番気筒2C、4番気筒2D、2番気筒2Bは、それぞれ、圧縮行程、吸気行程、排気行程となる。
シリンダヘッド3には、吸気通路20から供給される空気を各気筒2A〜2Dの燃焼室5に導入するための吸気ポート6と、吸気ポート6を開閉する吸気弁8と、各気筒2A〜2Dの燃焼室5で生成された排気を排気システム30に導出するための排気ポート7と、排気ポート7を開閉する排気弁9とが設けられている。なお、図例のエンジンはいわゆるダブルオーバーヘッドカムシャフト式(DOHC)エンジンであり、1つの気筒につき吸気弁8および排気弁9が2つずつ設けられている。
吸気弁8および排気弁9は、それぞれ、シリンダヘッド3に配設された一対のカムシャフト等を含む動弁機構13、14により、クランク軸15の回転に連動して開閉駆動される。
吸気弁8用の動弁機構13には、吸気弁8の開閉時期を変更可能な可変機構13aが設けられている。
排気弁9用の動弁機構14には、排気行程中にのみ排気弁9を開弁させる第1のカムと、排気行程に加えて吸気行程にも排気弁9を開弁させる第2のカムと、排気弁9に駆動力を伝達するカムをこれら第1カムと第2カムとの間で切り替える切替機構14aが組み込まれている。すなわち、この切替機構14aは、排気弁9を排気行程だけでなく吸気行程でも開弁可能にするとともに、この吸気行程中の排気弁9の開弁動作(内部EGRモード)を実行するか停止するかを切り替える機能を有している。
切替機構14aによって排気弁9に駆動力を伝達するカムとして第2のカムが選択されると、図3に示すように、排気弁9が排気行程だけでなく吸気行程中にも開弁するので、高温の排気(既燃ガス)が内部EGRガス(EGR:External Exhaust Gas Recirculation)として排気ポート7から燃焼室5に逆流する。当実施形態では、図3に示すように、内部EGRモードでは、排気弁9のリフト量は、ピーク位置から減少した後所定期間一定量で維持される。このように、当実施形態では、排気弁9が内部EGRモードで開閉されることで、高温の排気を筒内に残留させる内部EGRが実現される。なお、図3は、吸気弁8および排気弁9のバルブリフトを示したものであり、‘EX’が排気弁9のリフトを示し、‘IN’が吸気弁8のリフトを示している。
一方、切替機構14aによって第1のカムが選択された場合には、排気弁9が排気行程のみで開弁するようになるので、内部EGRが停止される(排気の逆流が停止される)。
また、排気弁9用の動弁機構14には、排気弁9の閉弁時期を変更することが可能な排気閉弁時期変更機構14bが組み込まれている。本実施形態では、排気弁9の開弁期間は一定に維持しつつ閉弁時期が変更される。このような構成の機構は既に公知であり、その詳細な構造の説明は省略する。
当実施形態では、図3に示すように、排気弁9が内部EGRモードで開閉される場合には、排気弁9の閉弁時期EVCは、吸気弁8の開弁時期IVOよりも遅角側とされ、吸気弁8の開弁期間と排気弁9の開弁期間とがオーバーラップするように設定されている。
上記吸気通路20は、単一の吸気管23の上流端部に接続された所定容積のサージタンク22と、サージタンク22と各気筒2A〜2Dの吸気ポート6とを連結する複数の(4本の)独立吸気通路21とを有している。
吸気管23の途中部には、吸気管23の通路を開閉可能なスロットル弁25と、エンジン本体1に吸入される空気(新気)の流量を検出するためのエアフローセンサSW2とが設けられている。
排気システム30は、各気筒2A〜2Dの排気ポート7にそれぞれ上流端部が接続される複数の独立排気通路31と、各独立排気通路31の下流端部(エンジン本体1から遠ざかる側の端部)が独立状態を維持したまま互いに近接するように束ねられた集約部34と、集約部34の下流側に設けられ、独立排気通路31の全てと連通する共通の空間が内部に形成されたスライド部(排気集合部)35と、スライド部35の下流側にディフューザー部36を介して接続された単一の排気管40とを有している。集約部34およびスライド部35周辺の詳細構造については後述する。
排気管40の下流側には、三元触媒等の触媒が内蔵された触媒コンバータ48が設けられており、さらにその下流側には、図外のサイレンサー等が設けられている。
排気システム30は、さらに、排気管40と吸気通路20とを連結するEGR通路51と、EGR通路51の途中部に設けられてEGR通路51を開閉可能なEGR弁52とを含む外部EGR装置(外部EGR手段)50を有している。外部EGR装置50は、さらに、EGR通路51の途中部に設けられてエンジンの冷却水等を利用した熱交換器からなるEGRクーラ53を有している。当実施形態では、EGR通路51は、排気管40とサージタンク22とを連結している。
外部EGR装置50は、外部EGRを行うため、すなわち、エンジン本体1から排出されて排気管40を流下する排気の一部を外部EGRガスとして吸気通路20を介して各気筒2A〜2Dに還流させるために用いられる。
具体的には、EGR弁52が開弁すると、排気管40を流れる排気の一部は、EGR通路51を通ってサージタンク22へと還流され、再び各気筒2A〜2Dに導入される。外部EGRガスは、EGR通路51の通過中に冷却される。従って、各気筒2A〜2Dに還流される外部EGRガスは、比較的低温である。特に、当実施形態では、EGR通路51にEGRクーラ53が設けられている。そのため、各気筒2A〜2Dに導入される外部EGRガスは、排気管40を通過する排気の温度よりも大幅に低いものとなる。一方、EGR弁52が全閉になると、排気管40からEGR通路51に排気は流れず、外部EGRは停止される。
(2)集約部およびスライド部周辺の構造
集約部34およびスライド部35周辺の具体的構造について次に説明する。
集約部34およびスライド部35周辺の具体的構造について次に説明する。
各独立排気通路31は、その各下流端部31aの位置が一致するように、気筒列方向の中央側を指向して延びている。これら独立排気通路31の各下流端部31aは、エンジン本体1の排気側の壁面中央(上面視で2番気筒2Bと3番気筒2Cの間に対応する位置)から下流側に離れた位置において1箇所に束ねられており、束ねられた各独立排気通路31の各下流端部31aと、これらを束ねた状態に保持する保持部材等により、集約部34が形成されている。
図1のIV−IV線断面図である図4に示すように、各独立排気通路31の各下流端部31aは、それぞれ円を4等分したような扇型の断面を有しており、このような断面を有する各下流端部が4つ集まることにより、全体としてほぼ円形の集約部34が形成されている。
図6に示すように、集約部34の下流端部は、集約部34の中心軸xを中心として下流に向かうに従って縮径する略円錐台形状をなす外形を有しており、各独立排気通路31の下流端部31aには、それぞれ、その下流側先端に、下流に向かうに従って中心軸x側に向かって傾斜する独立排気通路側傾斜部31bが設けられている。これに伴い、各独立排気通路31の下流端部31aの流路面積は、下流側の方が上流側よりも小さくなっている。
このように各独立排気通路31の下流端部31aの流路面積が下流に向かうに従って小さくされていることで、各独立排気通路31を通過する排気の速度はこの下流端部31aの通過中に高められる。
図4のV矢示図である図5に示すように、各独立排気通路側傾斜部31bには、それぞれ独立排気通路31の内側と外側とを連通する開口部31cが形成されている。当実施形態では、各傾斜部31bの一部が、下流端から上流に向かって略半円状に切り欠かれることで、開口部31cが形成されている。
図6に示すように、スライド部35は、単管状を有し、集約部34(各独立排気通路31の下流端部31a)の下流側部分が内側に挿入された状態で、集約部34の中心軸xと同軸で集約部34から下流側に延びている。各独立排気通路31(集約部34)を通過した排気は、このスライド部35の内側で集合する。
スライド部35は、軸xを中心軸とする円筒状を有し流路面積一定で上下流方向に延びる上流端部分35aと、この上流端部分35aから下流に延びるスライド部側傾斜部(ノズル部)35bと、軸xを中心軸とする円筒状を有し流路面積一定でスライド部側傾斜部35bから下流に延びるストレート部35cとからなる。スライド部35は、上下流方向にスライド変位可能に取り付けられており、集約部34に対して上下流方向に相対変位される。
スライド部側傾斜部35bは、独立排気通路側傾斜部31bに沿って延びる形状を有しており、軸xを中心として下流に向かうに従って縮径する略円錐台形状をなす外形を有している。これに伴い、スライド部側傾斜部35bの流路面積は下流側ほど小さくなっている。また、これに伴い、スライド部35は、スライド部側傾斜部35bと独立排気通路側傾斜部31bとが接触(当接)する位置よりも上流側へスライド変位できないようになっている。以下、これらが接触する状態にあるスライド部62の位置を、スライド部35の最上流位置と称する。
図6および図7に示されるように、スライド部35が最上流位置にある状態において、スライド部側傾斜部35bの内周面は各独立排気通路側傾斜部31bの外周面(集約部34の下流端部の外周面)全体と接触し、各開口部31cはスライド部側傾斜部35bの内周面により塞がれる。従って、スライド部35が最上流位置にある状態では、各独立排気通路31を通過した排気は、開口部31cから独立排気通路31の外周側に流出することなくスライド部35内に流入する。
ここで、スライド部35が最上流位置にある状態において、スライド部側傾斜部35bは、独立排気通路31の下流端よりも下流側に延びており、スライド部35の流路面積は独立排気通路31の下流端よりも下流側においても下流ほど小さくなっている。従って、各独立排気通路31を通過した排気は、スライド部側傾斜部35bにおいてもその速度を高められる。
上記のように各独立排気通路31からスライド部35に向けて排気が高速で噴出されると、スライド部35内において、その噴出ガスの周囲には相対的に圧力の低い負圧部が生成される。従って、ある気筒の独立排気通路31からスライド部35に排気が噴出されると、他の独立排気通路31に負圧が作用して、そこから排気が下流側へと吸い出されることになる。これは、エゼクタ効果として知られている。
一方、図8および図9に示されるように、スライド部35が最上流位置から下流側にスライド変位すると、スライド部側傾斜部35bは独立排気通路側傾斜部31bから下流側に離間する。この状態において、これら傾斜部35b、31c間には通路が区画されるとともに、各開口部31cは開放される。そのため、この状態では、各独立排気通路31を通過した排気の一部は、開口部31cを通って傾斜部35b、31c間の通路(以下、外部通路という場合がある)を通って流下する。すなわち、図9の矢印で示すように、独立排気通路31を流下した排気は、独立排気通路31内の通路に加えてこの外部通路を通過してスライド部35に流入することになり、スライド部35に流入する前に排気が通過する部分の流路面積は大きくなる。
上記のように流路面積が拡大されると、スライド部35に流入する際の排気の速度は小さく抑えられる。従って、スライド部35が最上流位置から下流側にスライド変位した状態では、スライド部35内に生成される負圧は、スライド部35が最上流位置にあるときよりも小さくなる。外部通路の流路面積はスライド部35の下流側への変位量が大きいほど大きくなる。従って、スライド部35の下流側への変位量が大きいほどスライド部35内に生成される負圧は小さくなる。
このように、当実施形態では、スライド部35が変位することで、スライド部35内に生成される負圧が変更される。
スライド部35の下流側には、単管状のディフューザー部36が設けられている。ディフューザー部36は、下流に向かうに従って流路面積が拡大するよう構成されている。具体的には、ディフューザー部36の上流端部は略円筒状の外形を有し、この上流端部よりも下流側の部分は軸xを中心とする略円錐台形状の外形を有している。ディフューザー部36の内側には上流からスライド部35の下流端部が挿入されており、スライド部35は、ディフューザー部63によりスライド可能に支持されている。
上記のように独立排気通路31の下流端部31aおよびスライド部側傾斜部35bにおいて高速とされた排気は、流路面積一定で上下流に延びるスライド部35のストレート部35cおよびディフューザー部36を通過するにつれて減速され、これに伴って排気の圧力は回復する。
上記集約部34、スライド部35およびディフューザー部36は、アウターシェル38の内側にそれぞれ収容されている。すなわち、排気システム30には、これらを収容するアウターシェル38が設けられており、このアウターシェル38から下流側に排気管40が延びている。
図8に示すように、アウターシェル38のうちスライド部側傾斜部35bの外側を囲む部分は、このスライド部側傾斜部35bと平行に延びており、下流に向かうに従って中心軸x側に傾斜するアウターシェル側傾斜部38aを構成している。図8に示すように、このアウターシェル側傾斜部38aは、スライド部側傾斜部35bが下流側にスライド変位した際にスライド部側傾斜部35bに下流側から当接するように設けられており、スライド部35は、この当接位置よりも下流側には変位することができないようになっている。すなわち、スライド部35は、この当接位置を最下流位置としてこの最下流位置と上記最上流位置との間でのみスライド変位可能となっている。
スライド部35は、スライドアクチュエータ(負圧変更手段)39によってスライド変位される。
当実施形態では、スライドアクチュエータ39は、ダイアフラム式であり、図10および図11に示すように、ダイアフラム本体39aと、ダイアフラム本体39aから所定の方向に延びてダイアフラム本体39aによってこのダイアフラム本体39aと接離する方向にスライド変位される第1シャフト39bと、第1シャフト39bの先端(反ダイアフラム本体側)に接続されるレバー部39cと、レバー部39cに固定される第2シャフト39dと、第2シャフト39dの先端(反レバー部側)に接続されるとともにスライド部35に接続されるフォーク部39e(図6)とを有している。
さらに、図6に示すように、フォーク部39eは、アウターシェル38の内側に収容されてスライド部35の外側面に取り付けられた半円状のフォーク部本体と、フォーク部本体の中央からアウターシェル38を貫通してアウターシェル38外に延びる接続部とを有し、この接続部において、第2シャフト39dの先端に固定されている。
このように構成されたスライドアクチュエータ39は、ダイアフラム本体39aによって第1シャフト39bがスライド変位されると、レバー部39cが第2シャフト39dの中心軸が通る部分を支点として搖動し、これに伴い第2シャフト39dがその中心軸を中心として回転し、この第2シャフト39dの回転に伴ってフォーク部39eがその接続部を支点として回動することで、スライド部35をスライド変位させる。例えば、図6に示す状態から第1シャフト39bがスライド変位することで、フォーク部39eが接続部を支点として回動して図8に示す状態となる。
(3)制御系
次に、図12を用いて、エンジンの制御系について説明する。当実施形態のエンジンは、自動車等の車両に搭載されており、車両に備わるECU(エンジン制御ユニット)60によって制御される。ECU60は、周知のとおり、CPU、ROM、RAM等から構成されるマイクロプロセッサであり、本発明にかかる制御手段に相当するものである。
次に、図12を用いて、エンジンの制御系について説明する。当実施形態のエンジンは、自動車等の車両に搭載されており、車両に備わるECU(エンジン制御ユニット)60によって制御される。ECU60は、周知のとおり、CPU、ROM、RAM等から構成されるマイクロプロセッサであり、本発明にかかる制御手段に相当するものである。
ECU60には、各種センサからの情報が入力される。例えば、ECU60は、エンジンに設けられたエンジン回転速度センサSW1およびエアフローセンサSW2と電気的に接続されており、これらのセンサからの入力信号(エンジン回転数および吸気流量の情報)を受け付ける。また、車両には、運転者により操作される図外のアクセルペダルの開度を検出するアクセル開度センサSW3が設けられており、このアクセル開度センサSW3による検出信号も上記ECU60に入力される。
ECU60は、各センサ(SW1〜SW3等)からの入力信号に基づいて種々の演算等を実行しつつ、エンジンの各部を制御する。すなわち、ECU60は、インジェクタ10、点火プラグ11、可変機構13a、切替機構14a、排気閉弁時期変更機構14b、スライドアクチュエータ39、スロットル弁25、およびEGR弁52等と電気的に接続されており、上記演算の結果等に基づいて、これらの機器にそれぞれ駆動用の制御信号を出力する。
図13は、エンジンの運転中にECU60によって参照される制御マップを概念的に示した図である。この制御マップでは、エンジンの運転領域が第1運転領域A1、第2運転領域A2、第3運転領域A3の3つに分割されており、このうち、第1運転領域A1はエンジンの最低負荷Tminを含む最も低負荷側の領域に設定され、第3運転領域A3はエンジンの最高負荷Tmaxを含む最も高負荷側の領域に設定されている。そして、第2運転領域A2は、第1運転領域A1と第3運転領域A3との間の領域であってエンジン負荷が第1負荷(基準負荷)T1〜第2負荷T2の間の領域に設定されている。ECU60は、エンジンの運転中、負荷(アクセル開度に基づく要求トルク)およびエンジン回転数の各値から、エンジンが図12のマップ中のどの運転領域で運転されているかを逐次判定し、各運転領域に応じてインジェクタ10等を制御する。なお、当実施形態では、ポンピングロスを小さく抑えるべくスロットル弁25はほぼ常時全開とされている。
(4)各運転領域での制御
各運転領域A1、A2、A3での燃焼制御の内容について説明する。当実施形態では、高負荷側の領域に設定された第3運転領域A3では、点火プラグ11からの火花放電による強制点火をきっかけに混合気を火炎伝播により燃焼させるSI燃焼が実行され、低負荷側の領域に設定された第1運転領域A1および第2運転領域A2では、ピストン4の圧縮作用により混合気を高温、高圧化して圧縮上死点付近で自己着火させるCI燃焼が実行される。
各運転領域A1、A2、A3での燃焼制御の内容について説明する。当実施形態では、高負荷側の領域に設定された第3運転領域A3では、点火プラグ11からの火花放電による強制点火をきっかけに混合気を火炎伝播により燃焼させるSI燃焼が実行され、低負荷側の領域に設定された第1運転領域A1および第2運転領域A2では、ピストン4の圧縮作用により混合気を高温、高圧化して圧縮上死点付近で自己着火させるCI燃焼が実行される。
図14は、横軸をエンジン負荷として、エンジン負荷の変化に応じて筒内のガス成分がどのように変化するか、また、CI燃焼が実施される第1、第2運転領域A1、A2においてエンジン負荷の変化に応じて各種制御パラメータがどのように変化するのかを示した図である。
(4−1)第1運転領域A1
第1運転領域A1では、上記のようにCI燃焼が実施される。しかし、第1運転領域A1は、エンジン負荷が低く筒内の温度が上昇しにくい領域である。そのため、この領域A1では、混合気の自己着火が適正に行われるように筒内の温度を高める必要がある。
第1運転領域A1では、上記のようにCI燃焼が実施される。しかし、第1運転領域A1は、エンジン負荷が低く筒内の温度が上昇しにくい領域である。そのため、この領域A1では、混合気の自己着火が適正に行われるように筒内の温度を高める必要がある。
そこで、第1運転領域A1では、高温の内部EGRガスを筒内に多量に導入するとともに、外部EGRを停止して比較的低温の外部EGRガスの筒内への導入を禁止する。
具体的には、第1運転領域A1では、排気弁9の開閉モードが内部EGRモードとされて、排気ポート7から筒内に排気を逆流させる内部EGRが実施される。また、図14に示すように、第1運転領域A1では、EGR弁52が閉弁されて、外部EGRが停止される。
さらに、第1運転領域A1では、多量の内部EGRガスを確保するために、スライド部35が最下流位置とされてスライド部35に生じる負圧が最も小さくされる。すなわち、スライド部35に生じる負圧が大きいと、筒内および排気ポート7内のガスを下流側へ吸い出す力が大きくなり、排気が排気ポート7から筒内へ逆流しにくくなる。そこで、第1運転領域A1では、上記のように、スライド部35を最下流位置として、スライド部35に生じる負圧および筒内への排気の逆流量すなわち内部EGRガス量を多く確保する。
このように、第1運転領域A1では外部EGRを停止する一方多量の内部EGRガスを筒内に導入する。
ただし、第1運転領域A1であってもエンジン負荷が高く燃焼によって筒内の温度がある程度高められる場合には、過剰に大量の内部EGRガスを導入すると過早着火等の異常燃焼が生じるおそれがある。すなわち、筒内の温度が高くなり過ぎて混合気が所望の着火時期(例えば、最大トルクが得られる時期)よりも早い時期に着火してしまうおそれがある。また、燃焼速度が高くなって、燃焼騒音が増大するおそれがある。
そこで、当実施形態では、第1運転領域A1のうち負荷が低くCI燃焼の実現が最も困難な領域(図12における負荷T0以下の領域)では、内部EGR率(筒内の全ガス量のうち内部EGRガスが占める割合)を最大として筒内の温度を確実に高める一方、第1運転領域A1のうち負荷が高く燃焼安定性がある程度確保される領域(負荷T0〜T1の領域)では、エンジン負荷が増大するほど内部EGR率を減少させていく。
具体的には、第1運転領域A1のうち負荷T0以下では、エンジン負荷によらず排気閉弁時期EVCを最遅角時期として、吸気行程中に排気弁9が開弁している期間を最大とする。そして、これにより、吸気行程中に排気弁9を通って排気ポート7から筒内に逆流する内部EGRガス量を最大とする。一方、エンジン負荷T0以上では、エンジン負荷が増大するほど、排気弁9の閉弁時期EVCを進角側に変更して吸気行程中における排気弁9の開弁期間を小さくしていき、吸気行程中に筒内に逆流する内部EGRガス量を少なくする。
このように、エンジン負荷T0以上では、エンジン負荷が増大するほど内部EGR率を減少させることで、筒内の温度が過剰に高くなることが回避されるとともに、エンジン負荷の増大に合わせて新気量が増大され、エンジン負荷に合った新気量が確保される。
なお、当実施形態では、熱効率を高めるべく、また、RawNOx(触媒で浄化されるまえのNOx)の生成を抑制するべく、第1運転領域A1では、均質リーンCI燃焼を実施しており、吸気行程中の所定時期に比較的少量の燃料を噴射するとともに、混合気の空気過剰率λが1以上(例えば2.4以上)とされる。当実施形態では、第1運転領域A1では、ポンピングロスを抑えるべくスロットル弁は全開としており、混合気がリーンとなる範囲で内部EGR率が上記のように制御される。
(4−2)第2運転領域A2
第2運転領域A2においても、CI燃焼が実施される。ただし、第2運転領域A2は、エンジン負荷が比較的高く燃焼によって筒内の温度が高くなりやすい領域である。そのため、この領域A2では、第1運転領域A1と異なり、過早着火等の異常燃焼や燃焼騒音の増大が生じるのを回避するために、筒内の温度を低く抑える必要がある。特に、当実施形態では、第2運転領域A2が、エンジン負荷が高く(筒内に噴射される燃料量が多く)燃料周囲の混合気がリッチ(空気過剰率が小さく)になって過早着火等が生じやすい領域であって、圧縮端温度(圧縮上死点での温度)すなわち燃焼開始前の温度(なお、燃焼開始が圧縮上死点よりも前である場合には、仮に燃焼が開始していないとしたときの圧縮上死点での温度)を第1運転領域A1よりも低く抑える必要のある領域に設定されている。そのため、第2運転領域A2では、確実に筒内の温度を低く抑える必要がある。
第2運転領域A2においても、CI燃焼が実施される。ただし、第2運転領域A2は、エンジン負荷が比較的高く燃焼によって筒内の温度が高くなりやすい領域である。そのため、この領域A2では、第1運転領域A1と異なり、過早着火等の異常燃焼や燃焼騒音の増大が生じるのを回避するために、筒内の温度を低く抑える必要がある。特に、当実施形態では、第2運転領域A2が、エンジン負荷が高く(筒内に噴射される燃料量が多く)燃料周囲の混合気がリッチ(空気過剰率が小さく)になって過早着火等が生じやすい領域であって、圧縮端温度(圧縮上死点での温度)すなわち燃焼開始前の温度(なお、燃焼開始が圧縮上死点よりも前である場合には、仮に燃焼が開始していないとしたときの圧縮上死点での温度)を第1運転領域A1よりも低く抑える必要のある領域に設定されている。そのため、第2運転領域A2では、確実に筒内の温度を低く抑える必要がある。
そこで、第2運転領域A2では、内部EGR率を小さくするとともに、外部EGRを実施する。すなわち、第2運転領域A2では、比較的高温の内部EGRガスを減少させることで圧縮開始前の筒内の温度を低下させ、これにより圧縮端温度を低下させる。また、比較的低温の外部EGRガスを導入することで、EGRガスによる筒内のガス温度の上昇を抑制しつつトータルのEGRガス(内部EGRガスと外部EGRガスとからなるガス)量すなわち比熱比が高い不活性ガス量を確保し、これにより圧縮端温度を低く抑えるとともに燃焼温度を低く抑える。ここで、燃焼温度が低下すれば排気の温度が低下して、EGRガスの温度、特に、内部EGRガスの温度が低下するため、これによって、圧縮開始前の筒内の温度ひいては圧縮端温度はさらに低下する。
具体的には、第2運転領域A2においても、排気弁9の開閉モードは内部EGRモードとされて、排気ポート7から筒内への排気の逆流が行われる。一方、第2運転領域A2では、これに加えて、EGR弁52が開弁されて、低温の外部EGRガスが筒内に導入される。
また、第2運転領域A2では、外部EGRガスを多く確保するとともに内部EGRガス量を確実に低減するために、スライド部35が最下流位置よりも上流側の位置とされてスライド部35に生じる負圧が第1運転領域A1よりも増大される。すなわち、上記のように、スライド部35に生じる負圧が大きいと、筒内および排気ポート7内のガスを下流側へ吸い出す力が大きくなり、排気流量が多くなる。従って、上記負圧を大きくすれば、EGR通路51に流入する外部EGRガスの量も多くなる。また、排気が排気ポート7から筒内へ逆流しにくくなり、内部EGRガスの量が少なくなる。
特に、当実施形態では、上記のように、内部EGRモードの開閉時において排気弁9の開弁期間と吸気弁8の開弁期間とがオーバーラップしている。そのため、気筒の掃気性を高めて筒内および排気ポート7から下流に排出される排気の量を多くすることができ、よりすみやかに外部EGRガスの還流量の増大および内部EGRガス量の減少を実現することができる。
第2運転領域A2内の詳細な制御内容について次に説明する。
図14に示すように、第2運転領域A2のうち低負荷側の領域、具体的には、第2運転領域A2のうちエンジン負荷が第1負荷T1から特定負荷T3までの間の特定領域A2_aでは、エンジン負荷の増大に伴って外部EGR率(筒内の全ガス量のうち外部EGRガスが占める割合)が0から所定量まで徐々に増大されるとともに、エンジン負荷の増大に伴って内部EGR率が徐々に低減される。さらに、この領域A2_aでは、外部EGR率と内部EGR率とを合わせたトータルのEGR率が、エンジン負荷の増大に伴って徐々に増大される。
当実施形態では、内部EGR率を、第1運転領域A1の最低内部EGR率すなわち第1運転領域A1の最大負荷T1における内部EGR率E1から徐々に低減するとともに、その低減割合(エンジン負荷の増加量に対する内部EGR率の低下量)を第1運転領域A1の高負荷側の領域(負荷T0〜T1)とほぼ同じ割合とする。すなわち、当実施形態では、負荷T0〜T3までの間において、エンジン負荷の増大に伴って連続して一定の割合で内部EGR率が低減するようにする。
そして、外部EGR率を、この内部EGR率の低下量よりも多い割合でエンジン負荷の増大に伴って増大し、これにより、トータルのEGR率をエンジン負荷の増大に伴って増大する。
具体的には、特定領域A2_aでは、EGR弁52の開度をエンジン負荷の増大に合わせて全閉から全開に徐々に増大するとともに、スライド部35の位置をエンジン負荷の増大に合わせて最下流位置から最上流位置に向けて徐々に変更し、これにより、エンジン負荷の増大に伴って外部EGR量を徐々に増大されつつ内部EGRガスの導入を抑制する。
また、排気閉弁時期EVCをエンジン負荷の増大に伴って徐々に進角側に変更し、これにより、内部EGRガス量を徐々に低減していく。
ここで、上記のように、スライド部35の位置が上流側に変更されてスライド部35に生じる負圧が多くなると内部EGRガスが筒内に導入されにくくなる。そのため、特定領域A2_aでは、上記のようにスライド部35が上流側に変更されることで内部EGRガスの筒内への導入が抑制されており、内部EGRガスを低減するための排気閉弁時期EVCの進角量は少なくてよい。従って、図14に示すように、特定領域A2_aにおける、排気閉弁時期EVCのエンジン負荷に対する進角量は、第1運転領域A1の高負荷側における排気閉弁時期EVCの進角量よりも小さくされる。
一方、第2運転領域A2のうち特定領域A2_aよりも高負荷側の領域すなわちエンジン負荷が特定負荷T3から第2負荷T2までの領域では、エンジン負荷によらず外部EGR率をほぼ一定に保ちつつ、内部EGR率をエンジン負荷の増大に伴って徐々に低減していく。これに伴い、この領域では、トータルのEGR率はエンジン負荷の増大に伴って徐々に減少していき、新気量がエンジン負荷の増大に伴って増大され、エンジン負荷に応じた新気量が確保される。
当実施形態では、内部EGR率を、特定負荷T3における内部EGR率E2から徐々に低減するとともに、その低減割合を特定領域A2_aにおける割合とほぼ同じとする。すなわち、当実施形態では、負荷T0〜T2の領域でエンジン負荷の増大に伴って連続して一定の割合で内部EGR率が低減するようにする。
具体的には、この領域では、EGR弁52の開度を全開に維持するとともに、スライド部35の位置を最上流位置に維持して、外部EGR率をほぼ一定に維持する。また、排気閉弁時期EVCをエンジン負荷の増大に伴って徐々に進角側に変更し、これにより、内部EGRガス量を徐々に低減していく。
ここで、上記特定領域A2_aと同様に、この領域でも、排気閉弁時期EVCのエンジン負荷に対する進角量は、第1運転領域A1の高負荷側における排気閉弁時期EVCの進角量よりも小さくされる。
このように、当実施形態では、CI燃焼が実施される第1運転領域A1と第2運転領域A2とを含む特定の運転領域において、内部EGR率をエンジン負荷の増大に伴って徐々に低減する。一方、トータルのEGR率は、第1運転領域A1と第2運転領域A2の全体においてエンジン負荷に応じて連続して変化させるが、第1負荷T1まではエンジン負荷が増大するほど小さくし、第1負荷T1から第2負荷T2において一旦上昇させる。そして、第2負荷以降、再びエンジン負荷の増大に伴って減少させる。
なお、当実施形態では、第2運転領域A2のうち特定領域A2_aでは、第1運転領域A1と同様に、均質リーンCI燃焼を実施する一方、これよりも高負荷側の領域では、空気過剰率λを1にするとともに、この均質リーンCI燃焼実施時よりも遅いタイミング、例えば圧縮行程中の所定時期に燃料を噴射させて圧縮自己着火燃焼を行わせる。このように、燃料噴射のタイミングを遅らせるのは、異常燃焼や過大な燃焼騒音が生じるのをより確実に回避するためである。
(4−3)第3運転領域A3
第3運転領域A3では、上記のように、SI燃焼が実施される。例えば、この領域A3では、混合気の空気過剰率λが1にされるとともに、圧縮行程の後期のような比較的遅いタイミングでインジェクタ10から燃料が噴射され、この燃料噴射の後に点火プラグ11に火花点火が行われて、これにより、圧縮上死点を少し過ぎたタイミング(膨張行程の初期)から火炎伝播により混合気が燃焼する。
第3運転領域A3では、上記のように、SI燃焼が実施される。例えば、この領域A3では、混合気の空気過剰率λが1にされるとともに、圧縮行程の後期のような比較的遅いタイミングでインジェクタ10から燃料が噴射され、この燃料噴射の後に点火プラグ11に火花点火が行われて、これにより、圧縮上死点を少し過ぎたタイミング(膨張行程の初期)から火炎伝播により混合気が燃焼する。
なお、吸気弁8は、新気量等に応じて可変機構13aによってその開閉時期が変更される。例えば、CI燃焼が実施される第1、第2運転領域A1、A2では、吸気弁8の閉弁時期は比較的進角側とされ、SI燃焼が実施される第3運転領域A3では、吸気弁8の閉弁時期は遅角側とされ開弁期間が長くされる。
(5)作用等
以上のように、当実施形態に係るエンジンでは、相対的に負荷が低く筒内の温度が低くなりやすい第1運転領域A1において、排気弁が内部EGRモードで駆動されて排気ポートから筒内に高温の内部EGRガスが逆流されるとともに外部EGRガスが停止される。そのため、筒内の温度を混合気の自己着火が可能な適切な温度にして、適正なCI燃焼を実現することができる。特に、第1運転領域A1において、スライド部35が最下流位置とされて、スライド部35に発生する負圧が小さく抑えられている。そのため、排気ポート7から筒内に逆流する内部EGRガス量を多く確保することができ、燃焼安定性を高めることができる。
以上のように、当実施形態に係るエンジンでは、相対的に負荷が低く筒内の温度が低くなりやすい第1運転領域A1において、排気弁が内部EGRモードで駆動されて排気ポートから筒内に高温の内部EGRガスが逆流されるとともに外部EGRガスが停止される。そのため、筒内の温度を混合気の自己着火が可能な適切な温度にして、適正なCI燃焼を実現することができる。特に、第1運転領域A1において、スライド部35が最下流位置とされて、スライド部35に発生する負圧が小さく抑えられている。そのため、排気ポート7から筒内に逆流する内部EGRガス量を多く確保することができ、燃焼安定性を高めることができる。
一方、第1運転領域A1よりもエンジン負荷が高く筒内の温度が高くなりやすい第2運転領域A2では、外部EGRが実施されて温度の低い外部EGRガスが筒内に導入される。そのため、筒内の温度を適切に低く抑えることができ、過早着火等の異常燃焼の発生や燃焼騒音の増大を抑制することができる。
特に、当実施形態では、第2運転領域A2において、スライド部35が最下流位置よりも上流側の位置とされて、スライド部35に生じる負圧が大きくされる。そのため、この第2運転領域A2において、排気流量を高めて外部EGRガスを確実に筒内へ還流することができるとともに高温の内部EGRガスの筒内への逆流量を少なく抑えることができ、筒内の温度が過剰に高くなるのをより確実に回避することができる。
しかも、当実施形態では、第2運転領域A2において、排気弁9の開弁期間と吸気弁8の開弁期間とがオーバーラップされて気筒の掃気性が高められているため、排気流量ひいては外部EGRガスの還流量をより確実に高めることができる。
また、当実施形態では、基本的に、エンジン負荷の増大に伴ってトータルEGR率が減少される一方、第1運転領域A1と第2運転領域A2との特定領域A2_aにおいて一旦エンジン負荷の増大に合わせてトータルEGR率が増大される。そのため、エンジン負荷の増大に合わせて新気量を増大させつつ、特定領域A2_aを含む第2運転領域A2においてトータルのEGRガス量すなわち比熱比の高い不活性ガスを比較的多くすることができ、第2運転領域A2において筒内の温度が過剰に高くなるのを回避することができる。
特に、特定領域A2_aでは、エンジン負荷の増大に伴って内部EGR率が小さくされながらトータルEGR率が大きくされることで、内部EGRガス量を減らしつつ比熱比の高いEGRガス量の減少を抑制することができる。そのため、第1運転領域A1から第2運転領域A2への切り替え時に異常燃焼が発生することおよび燃焼騒音が増大するのをより確実に回避することができる。
また、この特定領域A2_aにおいて、スライド部35がエンジン負荷の増大に合わせて徐々に上流側に変位されて、第1運転領域A1から第2運転領域A2への切替時に外部EGRガスの筒内への還流量が徐々に増大されるように構成されているため、これら領域間での外部EGRガス量(率)の変更を円滑に行うことができる。
また、当実施形態では、第1運転領域A1と第2運転領域A2の全体においてエンジン負荷が増大するほど内部EGR率が小さくなるよう構成されており、エンジン負荷に合った新気量を確保することができる。そして、上記のように、第2運転領域A2では、スライド部35が上流側の位置とされて負圧が増大され、これに伴って内部EGRガスの筒内への逆流が抑制されることに伴い、内部EGR率をエンジン負荷の増大に合わせて低下させるために必要な排気弁9の閉弁時期EVCの進角量を小さく抑えることができる。従って、当実施形態では、排気弁9の応答性を高めることも可能となる。
(6)変形例
上記実施形態では、各独立排気通路31を上記のように構成するとともにこれらに対して上下流方向に変位するスライド部35を設け、各独立排気通路31から排出された排気が集合する排気集合部(スライド部35)に負圧が生成されるように、また、このスライド部35の変位によって排気集合部(スライド部35)に生じる負圧が変更されるようにした場合について説明したが、上記負圧を生成するための具体的構成およびこの負圧を変更するための具体的構成はこれに限らない。
上記実施形態では、各独立排気通路31を上記のように構成するとともにこれらに対して上下流方向に変位するスライド部35を設け、各独立排気通路31から排出された排気が集合する排気集合部(スライド部35)に負圧が生成されるように、また、このスライド部35の変位によって排気集合部(スライド部35)に生じる負圧が変更されるようにした場合について説明したが、上記負圧を生成するための具体的構成およびこの負圧を変更するための具体的構成はこれに限らない。
例えば、各独立排気通路31の下流側に固定式の通路およびこの通路の流路面積を変更可能なバルブ等を設け、このバルブ等によって流路面積を絞ることで負圧を発生させるとともに、この流路面積の絞り量を変更することで負圧を変更させてもよい。
また、スライド部35を変位させるためのスライドアクチュエータ39の具体的構成は上記に限らない。
また、上記実施形態では、4つの気筒2A,2B,2C,2Dの各排気ポート7からそれぞれ個別に独立排気通路31が延びる場合について説明したが、排気順序が連続しない気筒については、これら気筒の排気ポート7からそれぞれ延びる独立排気通路を下流側において一本の通路にまとめてもよい。例えば、4気筒エンジンにおいて、上流側が二股に分岐した独立排気通路を用意し、この独立排気通路の2つの上流端を排気順序が連続しない2番気筒2Bの排気ポートおよび3番気筒2Cに接続させるようにしてもよい。
また、エンジン負荷に対する内部EGR率、外部EGR率、トータルEGR率の変化は上記に限らない。
1 エンジン本体
2A〜2D 気筒
7 排気ポート
9 排気弁
14 動弁機構(排気弁駆動機構)
20 吸気通路
30 排気システム
31 独立排気通路
34 集約部
35 スライド部(排気集合部)
39 スライドアクチュエータ(負圧変更手段)
50 外部EGR装置(外部EGR手段)
60 ECU(制御手段)
A1 第1運転領域
A2 第2運転領域
2A〜2D 気筒
7 排気ポート
9 排気弁
14 動弁機構(排気弁駆動機構)
20 吸気通路
30 排気システム
31 独立排気通路
34 集約部
35 スライド部(排気集合部)
39 スライドアクチュエータ(負圧変更手段)
50 外部EGR装置(外部EGR手段)
60 ECU(制御手段)
A1 第1運転領域
A2 第2運転領域
Claims (7)
- 複数の気筒とこれら気筒内に空気を導入するための吸気通路とを有し、少なくとも一部の運転領域にてガソリンを含む燃料と空気との混合気が圧縮自己着火燃焼される圧縮自己着火ガソリンエンジンであって、
複数の気筒の各排気ポートから延びる複数の独立排気通路と、
上記各独立排気通路の下流側に設けられて、各独立排気通路と連通する共通の空間を形成する排気集合部と、
上記排気集合部で発生する負圧を変更可能な負圧変更手段と、
各気筒の排気弁を駆動する排気弁駆動機構と
各気筒から排出された排気を外部EGRガスとして上記吸気通路を介して各気筒内に還流する外部EGR手段と、
上記負圧変更手段を含むエンジンの各部を制御する制御する制御手段とを備え、
上記排気弁駆動機構は、各気筒の排気ポートに一旦排出された排気が内部EGRガスとして各気筒内に逆流するように各気筒の排気弁を排気行程に加えて吸気行程でも開弁する内部EGRモードで開閉可能であり、
上記制御手段は、
上記圧縮自己着火燃焼が行われる運転領域のうち所定の基準負荷よりもエンジン負荷の低い第1運転領域では、上記排気弁駆動機構によって排気弁を上記内部EGRモードで開閉させるとともに上記外部EGRガスの各気筒内への還流が停止されるように上記外部EGR手段を制御し、
上記圧縮自己着火燃焼が行われる運転領域のうち上記基準負荷よりもエンジン負荷の高い第2運転領域では、上記排気弁駆動機構によって排気弁を上記内部EGRモードで開閉させ、かつ、上記外部EGRガスが各気筒内に還流されるとともに上記排気集合部内の負圧が上記第1運転領域のときよりも大きくなるように上記外部EGR手段および上記負圧変更手段を制御することを特徴とする圧縮自己着火ガソリンエンジン。 - 請求項1に記載の圧縮自己着火ガソリンエンジンであって、
上記制御手段は、上記第2運転領域において、各気筒の吸気弁の開弁期間と排気弁の開弁期間とをオーバーラップさせることを特徴とする圧縮自己着火ガソリンエンジン。 - 請求項1または2に記載の圧縮自己着火ガソリンエンジンであって、
上記制御手段は、上記第1運転領域と第2運転領域とを含む運転領域において、気筒内の全ガス量に対する上記内部EGRガス量の割合である内部EGR率を、エンジン負荷が高い側ほど小さくすることを特徴とする圧縮自己着火ガソリンエンジン。 - 請求項3に記載の圧縮自己着火ガソリンエンジンであって、
上記制御手段は、上記第2運転領域のうちエンジン負荷が上記基準負荷から特定の負荷までの領域では、エンジン負荷が高いほど上記内部EGR率を小さくしつつ、気筒内の全ガス量に対する上記外部EGRガス量の割合である外部EGR率と上記内部EGR率とを合わせたトータルEGR率をエンジン負荷が高いほど大きくすることを特徴とする圧縮自己着火ガソリンエンジン。 - 請求項4に記載の圧縮自己着火ガソリンエンジンであって、
上記制御手段は、上記第2運転領域のうちエンジン負荷が上記基準負荷から特定の負荷までの領域では、エンジン負荷が高いほど上記排気集合部内の負圧が大きくなるように上記負圧変更手段を制御することを特徴とする圧縮自己着火ガソリンエンジン。 - 請求項3〜5のいずれかに記載の圧縮自己着火ガソリンエンジンであって、
上記排気弁駆動機構は、各気筒の排気弁の閉弁時期を変更可能であり、
上記制御手段は、上記第1運転領域と第2運転領域とを含む運転領域において、上記排気弁駆動機構によって排気弁の閉弁時期をエンジン負荷が高い側ほど進角側にするとともに、エンジン負荷の単位増加量に対する排気閉弁時期の進角量を進角変化率としたとき、上記第2運転領域における排気弁の進角変化率を上記第1運転領域のそれよりも小さくすることを特徴とする圧縮自己着火ガソリンエンジン。 - 請求項1〜6のいずれかに記載の圧縮自己着火ガソリンエンジンであって、
上記第2運転領域は、ピストンが圧縮上死点にあるときの気筒内の温度である圧縮端温度の目標値が上記第1運転領域よりも低い値となる領域に設定されていることを特徴とする圧縮自己着火ガソリンエンジン。
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