JP5879020B2 - 溶融亜鉛めっき鋼管 - Google Patents

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本発明は、溶融亜鉛めっき鋼材に関し、特に、めっき層の組成が、RoHS指令で規制された範囲内である、Pb濃度が0.10質量%以下、Cd濃度が0.01質量%以下の溶融亜鉛めっき鋼材に関する。
近年、欧州連合により、電機・電子機器に対し、特定有害物質の使用を制限するRoHS(Restriction of Hazardous Substances)指令が施行された。このRoHS指令は、対象製品中のPbの含有率を0.10質量%以下、Cdの含有率を0.01質量%以下に制限するものである。RoHS指令は国外の規定ではあるが、これに対応し、環境により良い製品を供給できるようにしていくことが必要になってきており、PbやCdを多量に含有する製品は、将来的に使用されなくなる傾向にある。
しかしながら、未だ多くの溶融亜鉛めっき製品が、RoHS指令で規制する基準値を超えてPbおよびCdを含有する。これら溶融亜鉛めっき製品中のPbおよびCdの量は、溶融亜鉛めっき浴中に含まれるPbおよびCdの量に依存し、この溶融亜鉛めっき浴中に多量のPbを含めば、溶融亜鉛のぬれ性が向上する等の効果がある。これにより、例えば、被めっき材である鋼材表面が清浄でなかったり、酸化物があったりしても、めっき層が形成され易くなるものである。
また、このようなPb含有量の大きい溶融亜鉛めっき浴を用いて形成した溶融亜鉛めっき製品は、その製品のめっき層中のPb濃度も大きくなるが、これは、溶融亜鉛めっき製品表面の酸化が一因と考えられる黒変現象が起き易くなることに繋がる。
一方、Pb含有量の極めて少ない溶融亜鉛浴を使用して溶融亜鉛めっきを行うと、所定時間浸漬後、溶融亜鉛浴から引き上げたときに亜鉛めっき層が形成されていない部分が発生してしまうおそれがある。これは、俗に、不めっきと言われている現象であり、溶融亜鉛浴中のPb濃度が下がると顕著に発生する好ましくない現象である。
特許文献1は、Pb成分が0.1質量%以下、Cd成分が0.01質量%以下の溶融亜鉛めっき被覆物であって、Bi成分が0.5〜5.00質量%、Al成分が0.1質量%未満の溶融亜鉛めっき被覆物を開示し、Bi成分を所定値以上含有することにより、溶融亜鉛めっき被覆物の耐食性および外観品質を向上させる技術が開示されている。
しかしながら、Biは比較的高価でコストがかかるという問題があり、より安価で、不めっきを抑制することができる元素を用いることが望まれていた。
特許第4163232号明細書
本発明の目的は、めっき層の組成が、RoHS指令で規制された範囲内であるPb濃度:0.10質量%以下、Cd濃度:0.01質量%以下であっても、不めっきが生じにくく、かつ、黒変性の低い溶融亜鉛めっき鋼材を提供することにある。
上記目的を達成するため、本発明の要旨構成は以下の通りである。
(1)めっき層の組成がPb:0.10質量%以下、Sb:0.04〜0.50質量%を含有し、目付け量が195g/m 以上であることを特徴とする溶融亜鉛めっき鋼管
(2)前記めっき層の組成のSb含有量は、0.12質量%以上である上記(1)に記載の溶融亜鉛めっき鋼管
(3)前記めっき層の組成のPb含有量は、0.03質量%以下である上記(1)または(2)に記載の溶融亜鉛めっき鋼管
)前記鋼管は、外径が10〜700mmの炭素鋼管である上記(1)〜(3)のいずれか1に記載の溶融亜鉛めっき鋼管
(5)前記めっき層のBi量が0〜0.01質量%未満である上記(1)〜(4)のいずれか1に記載の溶融亜鉛めっき鋼管。
本発明によれば、溶融亜鉛めっき鋼材のめっき層の組成が、Pb:0.10質量%以下、Sb:0.04〜0.50質量%とすることにより、Biを皮膜に添加しなくても、不めっきが生じにくく、かつ、黒変性の低い溶融亜鉛めっき鋼材を提供することができる。
濡れ性を評価する際の模式図である。 Sb添加量と濡れやすさ指標との関係を示すグラフである。
次に、本発明の実施形態について説明する。本発明は、溶融亜鉛めっき鋼材のめっき層の組成がPb:0.10質量%以下、Sb:0.04〜0.50質量%であることを特徴とする。
被めっき材は鋼材であり、例えばガス管、水用配管、空調配管などに使用される鋼管を用いることができ、例えば、JIS G3452に規定するところのSGP鋼管、および、JIS G3454に規定するところのSTPG鋼管等が挙げられ、それぞれ鍛接法により造管されたものでも、電縫法により造管されたものでもよい。また、前記鋼管は、配管時のパイプスペースや流量確保の関係上、外径が10〜700mmの炭素鋼管であるのが好ましい。
めっき層の組成は、Pb:0.10質量%以下、Sb:0.04〜0.50質量%とする。Sbを含有元素として用いることは、比較的低コストで、用いる元素の種類も少ないため製造管理の点でも好ましい。Sbの含有量が0.04質量%以上で不めっき等の不良がおきにくくなり、0.12質量%以上でより良好な外観を得ることができる。また、0.50質量%を超えても、効果にさほど変化が無く、経済的に不利になるおそれがある。また、めっき層中のPb含有量を少なくすることで、黒変現象を起こりにくくすることができる。また、さらに顕著に黒変性を低くするには、Pb含有量を0.03質量%以下とするのが好ましい。
尚、上記成分以外の残部は、Znおよび不可避的不純物からなるのが好ましい。この不可避的不純物としては、めっき浴の原料に含まれた不可避的不純物や、鋼材の母相に由来するものが上げられる。具体的には例えば、Fe、Bi、Cd、Si、Mn、Cu、Al、Ca、Ni、Cr、Sn、P等が挙げられる。特に、Biは、積極的に添加されるものではなく、不可避的に含有される場合であっても、0.01質量%未満(0を含む)とする。
本発明に係るめっき鋼材のめっき層中のSbおよびPbの濃度は、溶融亜鉛めっき層の組成を調べるために用いられる一般的な公知の方法を用いればよい。一例として、鋼材外面の溶融亜鉛めっき層を酸など適切な手段にて溶解し、得られた溶液中のSbおよびPb、その他元素の濃度を、誘導結合プラズマ発光分光分析法、原子吸光分析法などの機器分析方法から、適宜選択して測定することで得ることができる。
次に、上述した溶融亜鉛めっき鋼材の製造方法の一例を以下で説明する。
先ず、発明者らは以下の実験を行った。図1に示すように、酸洗処理した薄い鋼板1を、Pb:0.0012質量%、Cd:0.0002質量%未満含有する溶融亜鉛浴2の浴面より所定深さ押し下げた際に鋼板に作用する上向きの力3を評価した。濡れ性が悪ければこの力は大きいものとなり、濡れ性が良ければ低いものとなると考えられるので、これを濡れやすさの指標として評価を行った。この濡れやすさ指標は数値が大きいほど濡れやすい事を示し、Sbの添加量との関係を示したのが図2である。
図2に示すように、Sbの添加により浴の濡れ性は向上する事がわかる。すなわち、Pbが抑制された溶融亜鉛浴において、Sbを適量含有させれば、被めっき鋼材に対する濡れ性が改善され、Pbの含有量がRoHS指令の範囲内であっても、不めっきを改善できることに想到した。
この効果は、後述するたバッチ式のプロセスで行われる溶融亜鉛めっきにおいては重要なものである。すなわち、被めっき鋼材の脱脂、酸洗およびフラックス処理が、それぞれ脱脂液、酸洗液およびフラックス処理液の槽内に浸漬されて行われるため、鋼管や鋼構造物などのように複雑な形状や構造等を有している被めっき鋼材に対しては、処理が不十分な場合が多く、また、酸洗後フラックス処理まで、およびフラックス処理後溶融亜鉛浴に浸漬されるまでの搬送は、通常空気中で行なわれるために、鋼材表面が若干酸化される可能性も有している。
さらに、溶融亜鉛浴の表面は大気中にさらされているため、酸化亜鉛等の酸化物が表面に浮遊しており、それら酸化物が、バッチで浸漬される被めっき鋼材の表面に付着した状態で溶融亜鉛浴中に浸漬される結果、不めっきを発生しやすい状況になっていると考えられる。
本発明は、フラックス処理を施した被めっき鋼材を、加熱溶融した溶融亜鉛浴に所定時間浸漬し、引き上げ後、冷却することにより、前記被めっき鋼材の表面に溶融亜鉛めっき層を形成するのが好ましい。そして、前記溶融亜鉛浴は、Sb:0.1〜0.8質量%およびPb:0.3質量%以下を含有することができる。
めっきプロセスとしては、例えば通常の、1.酸洗、2.フラックス処理、3.乾燥、4.溶融亜鉛浴浸漬の順で行う、バッチ式の方法を用いることができる。尚、各工程において、適宜、脱脂や水洗を組み合わせることができる。この方法は、簡便で、種々の形状・大きさの被めっき鋼材を同一製造ラインで処理できる。
酸洗処理としては、鋼材の酸洗処理として用いられている既知の定法を用いることができ、たとえば、インヒビターを添加した塩酸水溶液に目視で鋼材表面のスケールが落ちるまで浸漬するなどの方法を用いることができる。
フラックス処理については、通常と同様の方法、すなわち、塩化アンモニウムおよび塩化亜鉛等を主成分とする通常のフラックス処理液に鋼材を浸漬後引き上げ、必要により乾燥させることができる。
また、上述したプロセスにおいて用いられる浴は、複数の被めっき鋼材を処理していく間に、油分や鉄溶出物等で汚れていくが、それら不純物を含んだものでもよい。
溶融亜鉛浴のSbの含有量は、0.1質量%未満だと不めっきが発生するおそれがあり、また、0.8質量%を超えても、効果にさほど変化が無く、経済的に不利になるおそれがある。さらに、Sbの含有量は、0.2質量%以上とすることが、後述する理由から不めっきを効果的に抑制する点で好ましく、0.3質量%以上とすることが、不めっきをより効果的に抑制する点で、より好ましい。
上記Sb含有量の範囲は、特に、めっき浴中のPb含有量を0.3質量%以下とすることを前提とした溶融亜鉛浴中で、ぬれ性の向上など顕著な効果を奏する。また、加えてCd含有量を0.02質量%以下としても、上記Sb含有量の範囲においては上記効果を妨げるものではない。上記Pb含有量およびCd含有量の範囲は、環境上の観点から、RoHS指令において規定された範囲内のものである。さらなる環境上の観点から、当該溶融亜鉛浴中の、Pb含有量を0.003質量%以下および/またはCd含有量を0.0002質量%以下とすれば、より好ましい浴組成となる。
不めっきは、めっき温度を高く、めっき時間を長くすることにより抑制される傾向にあるため、製造効率やめっき物の性能など他の要求項目においても許されるめっき条件において不めっきを抑制できるならば、上記成分以外のその他の元素が浴中に含有されても良い。
具体的なその他の含有元素としては、Feが浴温度での飽和濃度以下の範囲で含有されていても、上記Sb含有量の範囲においては上記効果を妨げるものではない。通常、鋼材のめっき処理をしている間に、亜鉛めっき浴中のFe濃度が飽和になるまで上がってくるものであるが、Fe含有量が検出限界以下であっても、Sbが0.2質量%以上含有されていれば不めっきは効果的に抑制できる。
尚、上記成分以外の残部は、Znおよび不可避的不純物からなるのが好ましい。
また、溶融亜鉛浴の組成は、Sb:0.2〜0.8質量%、Pb:0.3質量%以下およびCd:0.02質量%以下を含有し、残部がZnおよび不可避的不純物からなる組成を有するのが好ましい。さらに、溶融亜鉛浴の組成は、Sb:0.3〜0.8質量%、Pb:0.3質量%以下およびCd:0.02質量%以下を含有し、残部がZnおよび不可避的不純物からなる組成を有するのが、不めっきを効果的に抑制する点からより好ましい。これらの場合においても、溶融亜鉛浴中のPb含有量を0.003質量%以下および/またはCd含有量を0.0002質量%以下とすれば、環境上の観点からさらに好ましい。
この不可避的不純物としては、めっき浴の原料に含まれた不可避的不純物や、鋼材の母相に由来するものが挙げられる。具体的には例えば、Fe、Bi、Cd、Si、Mn、Cu、Al、Ca、Ni、Cr、Sn、P等が挙げられる。特に、Biは、積極的に添加されるものではなく、不可避的に含有される場合であっても、0.01質量%未満(0を含む)とする。
被めっき鋼材を浸漬する溶融亜鉛浴の表面は、特に不活性雰囲気にする必要は無く、大気中にさらしておいてかまわず、表面に亜鉛酸化物などの不純物が浮遊していてもかまわない。
溶融亜鉛浴の温度および浸漬時間は通常の溶融亜鉛めっき条件を用いることができ、例えば、浴温は435℃以上480℃以下が推奨される。浴温は低温なほど経済性も良く、加工性に悪影響を与える合金層の生成も抑制することができるが、めっき付着量や製品端面でのタレの発生および不めっきの観点からは低温なほど不利になる。本発明によれば上記の通常の溶融亜鉛めっきで用いられる浴温を使用することができるため、浴温度・浸漬時間は所望のめっき付着量・合金層生成量にあわせて調整することができる。
それらを考えると、前記溶融亜鉛浴の温度は、450〜475℃であるのが、より好ましい。
また、被めっき鋼材を浴から引き上げる際、もしくは浴から引き上げた後、被めっき鋼材の表面、特に、鋼管においてはその外面と内面に空気もしくはスチームなどを吹き付け、めっき付着量を調整しても良い。
上述したところは、この発明の実施形態の一例を示したにすぎず、請求の範囲において種々の変更を加えることができる。
以下に、本発明の溶融亜鉛めっき鋼材について、実施例に基づいて説明するが、本発明は、以下の実施例のみに限定されるものではない。
また、実施に用いた酸洗液およびフラックス液は鋼管のめっきにより汚れた状態のもので処理する事を再現するため、それぞれ、実際の鋼管めっきラインの酸洗槽、およびフラックス処理槽の、被めっき物である鋼管が浸漬される部分より採取したものを使用した。
[グループ1]
試料No.1−1〜1−8は、試験材として、表1に示す呼び径50Aの大きさで20cmの長さに切り出した鋼管Aを被めっき鋼材とし、試料No.1−9〜1−30は、試験材として、表1に示す呼び径50Aの大きさで20cmの長さに切り出した鋼管Bを被めっき鋼材とした。これら鋼管を表2に示す酸洗液ロに浸漬し、目視で表面のスケールがおちるまで放置した。その後、水洗し、表3に示すフラックス液ニに浸漬し、引き上げ後、100℃の熱風オーブン内で乾燥した。これら鋼管を、所定の浴温・浴組成の溶融亜鉛浴に、所定時間浸漬し引き上げた。引き上げ時に鋼管外面を円周状にエアーで吹き、引き上げ後30秒空気中に放置した後、水冷し評価用のサンプルを得た。
Figure 0005879020
Figure 0005879020
Figure 0005879020
試料No.1−1〜1−7および試料No.1−9〜1−14について、溶融亜鉛浴を作製するに際して用いた亜鉛は、JIS H2107に規定される最純亜鉛地金(電解亜鉛地金と称されることもある)である。Sb:10質量%を含有する亜鉛インゴットを用いて溶融亜鉛にSbを添加し、表4に示すよう溶融亜鉛浴のSb濃度を調整した。
試料No.1−8および1−15は、溶融亜鉛浴を作製するに際して用いた亜鉛地金をJIS H2107にて規定される蒸留亜鉛地金1種とし、表4に示す組成の溶融亜鉛浴により試料を作成した。
なお、上記蒸留亜鉛地金1種は、JIS G3452(配管用炭素鋼管について規定)およびJIS G3454(圧力配管用炭素鋼管について規定)にて使用が推奨されるものであり、Pbを1.3質量%以下、Cdを0.4質量%以下含有することを許容されているが、実際にはPbを1.2〜1.3質量%、Cdを0.09〜0.1質量%程度含有している。
試料No.1−16〜1−30は、溶融亜鉛浴を作製するに際して上記最純亜鉛地金と上記蒸留亜鉛地金1種と上記Sbを含有する亜鉛インゴットとを混合した浴とし、表4に示す組成の溶融亜鉛浴により試料を作成した。
Figure 0005879020
[グループ2]
試料No.2−1〜2−8は、試験材として、表1に示す呼び径50Aの大きさで20cmの長さに切り出した鋼管Aを被めっき鋼材とし、試料No.2−9〜2−30は、試験材として、表1に示す呼び径50Aの大きさで20cmの長さに切り出した鋼管Bを被めっき鋼材とした。これら鋼管を表2に示す酸洗液イに浸漬し、目視で表面のスケールがおちるまで放置した。その後、水洗し、表3に示すフラックス液ハに浸漬し、引き上げ後、100℃の熱風オーブン内で乾燥した。これら鋼管を、所定の浴温・浴組成の溶融亜鉛浴に、所定時間浸漬し引き上げた。引き上げ時に鋼管外面を円周状にエアーで吹き、引き上げ後30秒空気中に放置した後、水冷し評価用のサンプルを得た。
試料No.2−1〜2−7および試料No.2−9〜2−14について、溶融亜鉛浴を作製するに際して用いた亜鉛は、JIS H2107にて規定される最純亜鉛地金である。Sb:10質量%を含有する亜鉛インゴットを用いて溶融亜鉛にSbを添加し、表5に示すよう溶融亜鉛浴のSb濃度を調整した。
試料No.2−8および2−15は、溶融亜鉛浴を作製するに際して用いた亜鉛地金をJIS H2107に規定される蒸留亜鉛地金1種とし、表5に示す組成の溶融亜鉛浴により試料を作成した。
試料No.2−16〜2−30は、溶融亜鉛浴を作製するに際して上記最純亜鉛地金と蒸留亜鉛地金1種と上記Sbを含有する亜鉛インゴットとを混合した浴とし、表5に示す組成の溶融亜鉛浴により試料を作成した。
Figure 0005879020
得られためっき鋼管のめっき層中のSbおよびPb、その他不可避的不純物元素の濃度は、鋼管外面のめっき層を酸にて溶解し、得られた水溶液中のSbおよびPbの濃度を誘導結合プラズマ発光分光分析法で測定した値より求めた。また、表4と表5に示しためっき浴中のSbおよびPb、その他不可避的不純物元素の濃度は、めっき浴を酸にて溶解し、得られた水溶液中のSbおよびPbの濃度を誘導結合プラズマ発光分光分析法で測定した値より求めた。
また、JIS H0401に規定される方法に準拠して、めっき部分を塩酸で溶解する前後の質量差よりめっき付着量を測定し、目付け量を算出した。
[黒変性評価]
黒変性の評価は、めっき鋼管の外面について行った。得られためっき鋼管について、温度60℃、湿度80%の恒温恒湿室中において恒温恒湿試験を行い、30時間後の外観を評価した。ほとんど黒変のないものを「○」、わずかに黒変しているものを「△」、明らかな黒変が認められるものを「×」とした。
[めっき評価]
めっき評価は、鋼管の外面について行い、両端から1cmの範囲は評価対象から外した。
目視観察により不めっき、つまり、めっきされていない部分について評価した。不めっき箇所が全くないものを「◎」、肉眼でようやく認められる直径1mm以内の不めっきが3箇所以下のものを「〇」、直径1mm以内の不めっきが4箇所以上、もしくは直径1mm超えから2mm以下の不めっきが8箇所以下のものを「△」、前記△よりもひどい不めっきがある場合は「×」、とした。
また、JIS H0401に規定される方法に準拠して、めっき部分を塩酸で溶解する前後の質量差よりめっき付着量を測定し、目付け量を算出した。
表6に、グループ1の試料の外観評価、目付け量およびめっき層中の元素濃度を示し、表7に、グループ2の試料の外観評価、目付け量およびめっき層中の元素濃度を示す。
Figure 0005879020
Figure 0005879020
なお、表4と表5中のFeは、鋼材の母相に由来するものであり、不可避的に含有されたものである。また、表6と表7中のFeは、そのほとんどが、母材のFeとめっき浴のZnとが反応して形成されたものである。表6および7に示すSb含有量の範囲においては、不めっき抑制および黒変性の効果を妨げるものではない。
表6および表7から、グループ1、グループ2ともに、めっき層がPb:0.10質量%以下、Sb:0.04〜0.50質量%含有した例は、めっき性が「△」以上となり良好、かつ黒変性が「△」以上となり良好であることがわかる。
本発明は、溶融亜鉛めっき鋼材のめっき層の組成が、Pb:0.10質量%以下、Sb:0.04〜0.50質量%とすることにより、不めっきが生じにくく、かつ、黒変性の低い溶融亜鉛めっき鋼材を提供することができる。
1 酸洗処理した薄い鋼板
2 溶融亜鉛浴
3 鋼板に作用する上向きの力

Claims (4)

  1. 組成がPb:0.10質量%以下、Cd:0.01質量%以下、及びSb:0.04〜0.50質量%を含有し、目付け量が195g/m2以上であるめっき層を有することを特徴とする溶融亜鉛めっき鋼管。
  2. 前記めっき層のBi量が0質量%以上0.01質量%未満である請求項1に記載の溶融亜鉛めっき鋼管。
  3. 前記めっき層の組成のPb含有量は、0.03質量%以下である請求項1または2に記載の溶融亜鉛めっき鋼管。
  4. 前記鋼管は、外径が10〜700mmの炭素鋼管である請求項1〜3のいずれか1項に記載の溶融亜鉛めっき鋼管。



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