JP5577272B2 - 溶融亜鉛めっき鋼管 - Google Patents

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Description

本発明は、溶融亜鉛めっき鋼材に関し、特に、めっき層の組成が、RoHS指令で規制された範囲内である、Pb濃度が0.10質量%以下、Cd濃度が0.01質量%以下の溶融亜鉛めっき鋼材に関する。
近年、欧州連合により、電機・電子機器に対し、特定有害物質の使用を制限するRoHS(Restriction of Hazardous Substances)指令が施行された。このRoHS指令は、対象製品中のPbの含有率を0.10質量%以下、Cdの含有率を0.01質量%以下に制限するものである。RoHS指令は国外の規定ではあるが、これに対応し、環境により良い製品を供給できるようにしていくことが必要になってきており、PbやCdを多量に含有する製品は、将来的に使用されなくなる傾向にある。
しかしながら、未だ多くの溶融亜鉛めっき製品が、RoHS指令で規制する基準値を超えてPbおよびCdを含有する。これら溶融亜鉛めっき製品中のPbおよびCdの量は、溶融亜鉛めっき浴中に含まれるPbおよびCdの量に依存し、この溶融亜鉛めっき浴中に多量のPbを含めば、溶融亜鉛のぬれ性が向上する等の効果がある。これにより、例えば、被めっき材である鋼材表面が清浄でなかったり、酸化物があったりしても、めっき皮膜が形成され易くなるものである。
また、このようなPb濃度の高い溶融亜鉛めっき浴を用いて形成した溶融亜鉛めっき製品は、その製品のめっき層中のPb含有量も多くなるが、これは、溶融亜鉛めっき製品表面の酸化が一因と考えられる黒変現象が起き易くなることに繋がる。
一方、Pb濃度の極めて低い溶融亜鉛浴を使用して溶融亜鉛めっきを行うと、所定時間浸漬後、溶融亜鉛浴から引き上げたときに亜鉛めっき皮膜が形成されていない部分が発生してしまうおそれがある。これは、俗に、不めっきと言われている現象であり、溶融亜鉛浴中のPb濃度が低下すると顕著に発生する好ましくない現象である。
特許文献1は、Pb成分が0.1質量%以下、Cd成分が0.01質量%以下の溶融亜鉛めっき被膜物であって、Bi成分が0.5〜5.00質量%、Al成分が0.1質量%未満の溶融亜鉛めっき被膜物を開示し、Bi成分を所定値以上含有することにより、溶融亜鉛めっき被膜物の耐食性と、メッキのタレ防止とを改善させる技術が開示されている。
しかしながら、鋼管などの溶融めっきに関しては、通常、めっき浴から引き上げられる際、もしくは引き上げられた後、まだ亜鉛が溶融状態にあるときに空気、窒素、スチームなどを表面に吹き付けて溶融亜鉛をワイプする方法が定法であり、このため、タレ切れなどの問題は通常発生しにくい。但し、本発明者らが検討した結果、鋼管などの溶融亜鉛めっきであっても、亜鉛浴中のPb含有量が多くなると、溶融亜鉛がはじかれてめっきされない部分が発生する不めっきという現象が顕著に起こる事がわかった。特に、通常、鋼管の溶融めっき方法として用いられているバッチ式の脱脂、酸洗、フラックス処理を経て溶融めっき浴に浸漬される方法では、同一の脱脂槽、酸洗槽、フラックス槽に順次多数の被めっき材が浸漬されるため、被めっき材の表面全体が安定して清浄にならないまま溶融めっき浴に浸漬される場合もあり、不めっき発生が起こりやすい傾向にあった。
特許第4163232号公報
本発明の目的は、めっき層の組成が、RoHS指令で規制された範囲内であるPb濃度:0.1質量%以下、Cd濃度:0.01質量%以下であっても、不めっきが生じにくく、かつ、黒変性の低い溶融亜鉛めっき鋼材を提供することにある。
上記目的を達成するため、本発明の要旨構成は以下の通りである。
(1) バッチ式溶融亜鉛めっき法により製造された溶融亜鉛めっき鋼管であって、 溶融亜鉛めっき皮膜がPb:0.10質量%以下およびBi:0.10〜0.30質量%を含有し、前記溶融亜鉛めっき皮膜の目付量が270〜460g/m 2 であることを特徴とする溶融亜鉛めっき鋼管
(2)前記溶融亜鉛めっき皮膜中のBi含有量は0.17〜0.30質量%である上記(1)に記載の溶融亜鉛めっき鋼管
(3)前記溶融亜鉛めっき皮膜中のPb含有量は0.03質量%以下である上記(1)または(2)に記載の溶融亜鉛めっき鋼管
(4)前記溶融亜鉛めっき皮膜は、Pb:0.10質量%以下、Bi:0.20〜0.44質量%、亜鉛:98質量%以上を含有し、残部が鉄および不可避的不純物からなる組成の溶融亜鉛浴に浸漬して形成される上記(1)、(2)または(3)に記載の溶融亜鉛めっき鋼管
(5)前記溶融亜鉛浴中のBi含有量が0.30〜0.44質量%である上記(4)に記載の溶融亜鉛めっき鋼管
本発明によれば、溶融亜鉛めっき鋼材のめっき皮膜の組成を、Pb:0.10質量%以下、Bi:0.10〜0.30質量%とすることにより、不めっきが生じにくく、かつ、黒変性の低い溶融亜鉛めっき鋼材を提供することができる。
濡れ性を評価する際の模式図である。 Bi添加量と濡れやすさ指標との関係を示すグラフである。
次に、本発明の実施形態について説明する。本発明は、溶融亜鉛めっき鋼材のめっき皮膜の組成がPb:0.10質量%以下、Bi:0.10〜0.30質量%であることを特徴とする。
被めっき材は鋼材であり、例えばガス管、水用配管、空調配管などに使用される鋼管を用いることができ、例えば、JIS G3452に規定するところのSGP鋼管、および、JIS G3454に規定するところのSTPG鋼管等が挙げられ、それぞれ鍛接法により造管されたものでも、電縫法により造管されたものでもよい。また、前記鋼管は、配管時のパイプスペースや流量確保の関係上、外径が10〜700mmの炭素鋼管であるのが好ましい。
めっき皮膜の組成は、Pb:0.10質量%以下、Bi:0.10〜0.30質量%、より好ましくはBi:0.17〜0.30質量%とする。Biを含有元素として用いることは、融点も低く比較的作業性が良く、用いる元素の種類も少ないため製造管理の点でも好ましい。Biの含有量が0.1質量%以上で不めっき等の不良が起きにくくなり、0.17質量%以上でより良好な外観を得ることができる。また、0.30質量%を超えると経済的に不利になるおそれがある。また、めっき層中のPb含有量を少なくすることで、黒変現象を起こりにくくすることができる。また、黒変現象をより一層抑制する必要がある場合には、Pb含有量を0.03質量%以下とするのが好ましい。
尚、上記成分以外の残部は、Zn、Feおよび不可避的不純物からなるのが好ましい。この不可避的不純物としては、めっき浴の原料に含まれた不可避的不純物や、鋼材の母相に由来するものが挙げられる。具体的には例えば、Cd、Si、Mn、Cu、Al、Ca、Ni、Cr、Sn、P等が挙げられる。本発明に係るめっき鋼管のめっき層中のBiおよびPbの濃度は、溶融めっき皮膜の組成を調べるために用いられる一般的な公知の方法を用いればよい。一例として、鋼管外面の溶融めっき層を酸など適切な手段にて溶解し、得られた溶液中のBiおよびPb、その他元素の濃度を、誘導結合プラズマ発光分光分析法、原子吸光分析法などの機器分析方法から、適宜選択して測定することで得ることができる。
次に、上述した溶融亜鉛めっき鋼材の製造方法の一例を以下で説明する。
先ず、発明者らは以下の実験を行った。図1に示すように、酸洗処理した薄い鋼板1を、Pb:0.0012質量%、Cd:0.0002質量%未満含有する溶融亜鉛浴2の浴面より所定深さ押し下げた際に鋼板に作用する上向きの力3を評価した。濡れ性が悪ければこの力は大きいものとなり、濡れ性が良ければ低いものとなると考えられるので、これを濡れやすさの指標として評価を行った。図2は、溶融亜鉛めっき浴中のBi含有量と濡れやすさの指標との関係を示したものである。なお、この濡れやすさ指標は鋼板に作用する上向きの力3の量を相対的に表したものであり、数値が大きいほど濡れやすく、不めっきが生じにくいことを示す。
図2に示すように、Biの含有(添加)により浴の濡れ性は向上する事がわかる。すなわち、Pbが低濃度の溶融亜鉛浴において、Biを適量含有させれば、被めっき鋼材に対する濡れ性が改善され、Pbの含有量がRoHS指令の範囲内であっても、不めっきを改善できることに想到した。
この効果は、前述したバッチ式のプロセスで行われる溶融亜鉛めっきにおいては重要なものである。すなわち、被めっき鋼材の脱脂、酸洗およびフラックス処理が、それぞれ脱脂液、酸洗液およびフラックス処理液の槽内に浸漬されて行われるため、鋼管や鋼構造物などのように複雑な形状や構造等を有している被めっき鋼材に対しては、処理が不十分な場合が多く、また、酸洗後フラックス処理まで、およびフラックス処理後溶融亜鉛浴に浸漬されるまでの搬送は、通常空気中で行なわれるために、鋼材表面が若干酸化される可能性も有している。
さらに、溶融亜鉛浴の表面は大気中にさらされているため、酸化亜鉛等の酸化物が表面に浮遊しており、それら酸化物が、バッチで浸漬される被めっき鋼材の表面の一部に付着した状態で溶融亜鉛浴中に浸漬される場合がある結果、不めっきを発生しやすい状況になっているものと考えられる。さらに、実製造ラインにおいて、同一のフラックス処理液槽中に被めっき材である鋼管や鋼構造物が次々と浸漬されるため、被めっき材に付着した油などがフラックス処理液に混入し、特に、被めっき材が鋼管の場合には、その造管油などがフラックス処理液槽中に含まれることになり、これが不めっき発生の大きな要因の一つとなっていた。
本発明は、フラックス処理を施した被めっき鋼材を、加熱溶融した溶融亜鉛浴に所定時間浸漬し、引き上げ後、冷却することにより、前記被めっき鋼材の表面に溶融亜鉛めっき皮膜を形成するのが好ましい。そして、前記溶融亜鉛浴は、Bi:0.20〜0.44質量%より好ましくはBi:0.30〜0.44質量%、およびPb:0.1質量%以下を含有することができる。
めっきプロセスとしては、例えば通常の、1.酸洗、2.フラックス処理、3.乾燥、4.溶融亜鉛浴浸漬、5.ワイピング、6.冷却の順で行う、バッチ式の方法を用いることができる。尚、各工程において、適宜、脱脂や水洗を組み合わせることができる。この方法は、簡便で、単純な形状・種々の大きさの被めっき鋼材を同一製造ラインで処理できる。
酸洗処理としては、鋼材の酸洗処理として用いられている既知の定法を用いることができ、たとえば、インヒビターを添加した塩酸水溶液に目視で鋼材表面のスケールが落ちるまで浸漬するなどの方法を用いることができる。
フラックス処理については、通常と同様の方法、すなわち、塩化アンモニウムおよび塩化亜鉛等を主成分とする通常のフラックス処理液に鋼材を浸漬後引き上げ、必要により乾燥させることができる。フラックス処理液は油などが混入しても問題ないが、本発明者らの分析によるとフラックス処理液に含まれる油分が0.15質量%以下ならば、不めっきを抑制できることが分かった。ここで、油分とは、有機溶剤であるn−ヘキサンにより抽出されるn−ヘキサン抽出分(n−ヘキサン抽出物)である。
また、上述したプロセスにおいて用いられる処理液は、複数の被めっき鋼材を処理していく間に、油分や鉄溶出物等で汚れていくが、それら不純物を含んだものでもよい。
また、溶融亜鉛浴の組成は、Bi:0.20〜0.44質量%、より好ましくはBi:0.30〜0.44質量%、Pb:0.1質量%以下を含有し、残部がZn、Feおよび不可避的不純物からなる組成を有するのが好ましい。
溶融亜鉛浴中のBiの含有量は、多くなるほど不めっき抑制には効果的であり、操業時の濃度のばらつき、および実製造での安定性を考えると、溶融亜鉛浴中のBiの含有量を0.20質量%以上とすることが不めっき抑制に必要である。一方、Bi含有量を0.44質量%よりも多くしても、不めっき抑制の効果の向上は顕著には認められなくなり、加えて、めっきの色味の若干の変化が生じる他、溶融亜鉛浴中での均一分散性が困難になってくる上、経済的にも不利になる。このため、Bi含有量は0.20〜0.44質量%とした。なお、不めっきをより効果的に抑制する必要がある場合には、Biの含有量の下限を0.3質量%とすることがより好ましい。
また、加えてCd含有量を0.02質量%以下としても、上記Bi含有量の範囲においては上記効果を妨げるものではない。上記Pb含有量およびCd含有量の範囲は、環境上の観点から、RoHS指令において規定された範囲内のものである。さらなる環境上の観点から、当該溶融亜鉛浴中の、Pb含有量を0.003質量%以下および/またはCd含有量を0.0002質量%以下とすれば、より好ましい浴組成となる。
その他の含有元素としては、Feが含有されていても、上記Bi含有量の範囲においては上記効果を妨げるものではない。通常、鋼材のめっき処理をしている間に、亜鉛めっき浴中にはFeが溶解したり、亜鉛と化合物を作りドロスの形で存在したりするようになるが、そのような状態でも、Fe含有量が検出限界以下であっても、Biが0.2質量%以上含有されていれば不めっきは効果的に抑制できる。
尚、上記成分以外の残部は、Zn、および不可避的不純物からなるのが好ましい。
この不可避的不純物としては、めっき浴の原料に含まれた不可避的不純物や、鋼材の母相に由来するものが挙げられる。具体的には例えば、Zn、Fe以外の、Cd、Si、Mn、Cu、Al、Ca、Ni、Cr、Sn、P等が挙げられる。これら不可避的不純物は当然含まれていなくてもよく、例えばCuは0.005質量%未満でも、Alは0.001質量%未満でもよい。不可避的不純物の含有量は、全体で0.2質量%以下とする。
被めっき鋼材を浸漬する溶融亜鉛浴の表面は、特に不活性雰囲気にする必要は無く、大気雰囲気であってもよく、また、表面に亜鉛酸化物などの不純物が浮遊していてもかまわない。
溶融亜鉛浴の温度および浸漬時間は通常の溶融亜鉛めっき条件を用いることができる。浴温は低温なほど経済性も良く、加工性に悪影響を与える合金層の生成も抑制することができるが、めっき鋼管においては規格(JIS G 3442)により厚いめっき付着量が規定されているものもあり、それらを製造するためには高い浴温が必要とされる事もある。さらに、温度が高いほど不めっきは発生しにくくなるため、浴温・浸漬時間は所望のめっき付着量・合金層生成量にあわせて調整することができる。
それらを考えると、前記溶融亜鉛浴の温度は、450〜475℃であるのが、より好ましい。
また、被めっき鋼材を浴から引き上げる際、もしくは浴から引き上げた後、被めっき鋼材の表面、特に、鋼管においてはその外面と内面に空気、窒素もしくはスチームなどを吹き付け、めっき付着量を調整しても良い。
上述したところは、この発明の実施形態の一例を示したにすぎず、請求の範囲において種々の変更を加えることができる。
以下に、本発明の溶融亜鉛めっき鋼材について、実施例に基づいて説明するが、本発明は、以下の実施例のみに限定されるものではない。
また、実施に用いた酸洗液およびフラックス液は、鋼管のめっきにより汚れた状態のもので処理する事を再現するため、それぞれ、実際の鋼管めっきラインの酸洗槽、およびフラックス処理槽から採取した液を模して実験室にて作製したものを使用した。
試料No.1−1〜1−5は、試験材として、表1に示す呼び径50Aの大きさで20cmの長さに切り出した鋼管Aを被めっき鋼材とし、試料No.1−6〜1−15は、試験材として、表1に示す呼び径50Aの大きさで20cmの長さに切り出した鋼管Bを被めっき鋼材とした。これら鋼管を表2に示す酸洗液Cに浸漬し、目視で表面のスケールが除去されるまで放置した。その後、水洗し、表3に示すフラックス液Dに浸漬し、引き上げ後、100℃の熱風オーブン内で乾燥した。これら鋼管を、所定の浴温・浴組成の溶融亜鉛浴に、所定時間浸漬し引き上げた。引き上げ時に鋼管外面を円周状にエアーで吹き、引き上げ後30秒空気中に放置した後、水冷し評価用のサンプルを得た。
試料No.1−1〜1−4、1−6〜1−9および1−15は、溶融亜鉛浴を作製するのに用いた亜鉛は、JIS H2107に規定される最純亜鉛地金(電解亜鉛地金と称されることもある)である。また、これらの試料のうち、試料No.1−1〜1−3、1−6〜1−8および1−15は、適正量のBiを溶融亜鉛に添加し、表4に示すように溶融亜鉛浴のBi濃度を調整した。
Figure 0005577272
Figure 0005577272
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試料No.1−5および1−10は、溶融亜鉛浴を作製するに際して用いた亜鉛地金をJIS H2107にて規定される蒸留亜鉛地金1種とし、Biを含有しないこと以外は、試料No.1−1および1−6と同様の処理を行った。
なお、上記蒸留亜鉛地金1種は、JIS G3452(配管用炭素鋼管について規定)およびJIS G3454(圧力配管用炭素鋼管について規定)にて使用が推奨されるものであり、Pbを1.3質量%以下、Cdを0.4質量%以下含有することを許容されているが、実際にはPbを1.2〜1.3質量%、Cdを0.09〜0.1質量%程度含有している。
試料No.1−11〜1−14は、溶融亜鉛浴を作製するに際して上記最純亜鉛地金と上記蒸留亜鉛地金1種を混合した浴とし、必要によりBiを添加し、試料No1−1および1−6と同様の処理を行った。
得られためっき鋼管のめっき層中のBiおよびPb、その他不可避的不純物元素の濃度は、鋼管外面のめっき層を酸にて溶解し、得られた水溶液中のBiおよびPbの濃度を誘導結合プラズマ発光分光分析法で測定した値より求めた。また、表4に示しためっき浴中のBiおよびPb、その他不可避的不純物元素の濃度は、めっき浴を酸にて溶解し、得られた水溶液中のBiおよびPbの濃度を誘導結合プラズマ発光分光分析法で測定した値より求めた。
また、JIS H0401に規定される方法に準拠して、めっき部分を塩酸で溶解する前後の質量差よりめっき付着量を測定し、目付け量を算出した。
[黒変性評価]
黒変性の評価は、めっき鋼管の外面について行った。得られためっき鋼管について、温度60℃、湿度80%の恒温恒湿室中において恒温恒湿試験を行い、30時間後の外観を評価した。ほとんど黒変のないものを「○」、わずかに黒変しているものを「△」、明らかな黒変が認められるものを「×」とした。
[めっき評価]
めっき評価は、鋼管の外面について行い、両端から1cmの範囲は評価対象から外した。
目視観察により不めっき、つまり、めっきされていない部分について評価した。不めっき箇所が全くないものを「◎」、肉眼でようやく認められる直径1mm以内の不めっきが3箇所以下のものを「〇」、直径1mm以内の不めっきが4箇所以上8箇所以下、もしくは直径1mm超えの不めっきが3箇所以下のものを「△」、直径1mm以内の不めっきが9箇所以上、もしくは直径1mm超えの不めっきが4箇所以上のものを「×」とした。
また、JIS H0401に規定される方法に準拠して、めっき部分を塩酸で溶解する前後の質量差よりめっき付着量を測定し、目付け量を算出した。
表5に試料の外観評価、目付け量およびめっき層中の元素濃度を示す。
Figure 0005577272
Figure 0005577272
なお、表4中のFeは、鋼材の母相に由来するものであり、不可避的に含有されたものである。また、表5のFeは、そのほとんどが、母材のFeとめっき浴のZnとが反応して形成されたものである。表5に示すBi含有量の範囲においては、不めっき抑制および黒変性の効果を妨げるものではない。
表5から、めっき皮膜がPb:0.10質量%以下、Bi:0.10〜0.30質量%含有した例は、めっき性が非常に良好で、かつ黒変性が良好であることがわかる。
本発明は、溶融亜鉛めっき鋼材のめっき皮膜の組成を、Pb:0.10質量%以下、Bi:0.10〜0.30質量%とすることにより、不めっきが生じにくく、かつ、黒変性の低い溶融亜鉛めっき鋼材を提供することができる。
1 酸洗処理した薄い鋼板
2 溶融亜鉛浴
3 鋼板に作用する上向きの力

Claims (5)

  1. バッチ式溶融亜鉛めっき法により製造された溶融亜鉛めっき鋼管であって、
    溶融亜鉛めっき皮膜がPb:0.10質量%以下およびBi:0.10〜0.30質量%を含有し、
    前記溶融亜鉛めっき皮膜の目付量が270〜460g/m 2 であることを特徴とする溶融亜鉛めっき鋼管
  2. 前記溶融亜鉛めっき皮膜中のBi含有量は0.17〜0.30質量%である請求項1に記載の溶融亜鉛めっき鋼管
  3. 前記溶融亜鉛めっき皮膜中のPb含有量は0.03質量%以下である請求項1または2に記載の溶融亜鉛めっき鋼管
  4. 前記溶融亜鉛めっき皮膜は、Pb:0.10質量%以下、Bi:0.20〜0.44質量%、亜鉛:98質量%以上を含有し、残部が鉄および不可避的不純物からなる組成の溶融亜鉛浴に浸漬して形成される請求項1、2または3に記載の溶融亜鉛めっき鋼管
  5. 前記溶融亜鉛浴中のBi含有量が0.30〜0.44質量%である請求項4に記載の溶融亜鉛めっき鋼管
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