JP5877754B2 - 圧延機の板厚制御方法及び圧延機の板厚制御装置 - Google Patents
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Description
斯かる状況に対応可能な技術としては、ビスラAGC制御が知られている。ビスラAGC制御は、例えば、圧延材の板厚が所定値となった時点の圧延荷重をロックオン荷重として記憶し、このロックオン荷重と現在の圧延荷重から得られた荷重偏差を基に板厚偏差を算出し、算出された板厚偏差に基づいて、ロールギャップを変化させる板厚制御技術である。ビスラAGC制御は、ロックオンタイミング時の板厚をキープするといった制御特性を有している。
特許文献1は、ゲージメータ板厚式による絶対値制御機能と、ミル延び式によるBISRA制御機能を兼備した自動板厚制御であり、前記絶対値制御がメインループとして働き、前記BISRA制御がマイナーループとして働くようにして、板材を圧延するに際し、前記絶対値制御が働く毎に、前記BISRA制御のロックオン値を修正する自動板厚制御方法を開示する。
とはいえ、例えば、鋼材などの冷間圧延時に、確実な板厚制御を行えない状況が発生することが現場の実績から判ってきている。例えば、図2は、圧延材を圧延した際における先端部の圧延状況を示したものである。図中の破線は、オンゲージの上下限値(公差範囲)を示している。図2の実線Aに示すように、圧延材の先端部に関して、圧延開始直後に板厚偏差は許容範囲(公差範囲)内に入るものの、すぐ許容範囲以下となり、最終的に許容範囲内に収まるのは圧延距離が例えばX辺りからである。つまり、圧延先端部のXはオフゲージとなり、製品として出荷できないこととなる。
ングでのロックオン」などに代表される「不適切なロックオン荷重の設定」が考えられ、この不適正なロックオン荷重の基でビスラAGC制御を行っていることが挙げられる。
そこで、本発明は、上記問題点を鑑み、適切なロックオン荷重を設定すると共に、設定された適切なロックオン荷重を基にビスラAGC制御を行うことで、確実な板厚制御を行うことができる板厚制御方法及び板厚制御装置を提供することを目的とする。
すなわち、本発明に係る冷間圧延機の板厚制御方法は、圧延機で圧延される圧延材の板厚をビスラAGC制御により制御する方法であって、前記ビスラAGC制御における適正ロックオン荷重を、ゲージメータ式に基づいて算出し、前記ゲージメータ式に基づいて算出した適正ロックオン荷重と圧延荷重の実績値とが一致した際に、前記圧延荷重の実績値を前記ビスラAGC制御でのロックオン荷重として設定し、設定されたロックオン荷重からの圧延荷重の偏差量とミル剛性とを基に、前記圧延機のロールギャップを制御するものであって、前記適正ロックオン荷重を、次式により算出することを特徴とする。
図1は、リバース圧延機1を模式的に示したものである。
リバース圧延機1(単に圧延機1と表記することもある)は多段圧延機であり、本実施形態の場合は、上下一対のワークロール2と、一対の中間ロール3及び一対のバックアップロール4とを備えている。リバース圧延機1の入側及び出側には巻回リール5が設けられている。
リバース圧延機1には、圧延荷重を計測する荷重計測器8が設けられると共に、リバース圧延機1の入側及び出側には、圧延材Wの板厚を遠隔で計測可能な板厚計9が配備されている。
この板厚制御部10は、圧延材Wの板厚を制御するために、ビスラAGC制御(BISRA−AGC)を行う。ビスラAGC制御は、例えば、圧延材Wの板厚が所定値となった時点の圧延荷重をロックオン荷重として記憶し、このロックオン荷重と現在の圧延荷重か
ら得られた荷重偏差を基に板厚偏差を算出し、算出された板厚偏差に基づいて、ロールギャップを変化させる板厚制御技術である。
図3は、本発明に係る板厚制御方法を説明するためのフローチャートである。本フローチャートには、圧延材Wの最終圧延パスに対して、本発明の板厚制御技術が適用される場合が示されている。
S3では、圧延材Wのトラッキングを行うことで、ワークロール2直下での板厚を求める。すなわち、板厚計9はワークロール2の直下から数m下流側に配備されているため、計測された板厚はワークロール2直下の値ではない。そこで、板厚計9での計測結果をトラッキングすることでワークロール2直下での板厚を求める。具体的には、制御周期毎に板厚計9にて計測された板厚tおよび圧延材Wの板速度を用いて積算される圧延距離Lを格納しておく。既知であるワークロール2直下〜板厚計9直下の距離L0と積算圧延距離Lを比較し、L0とLが一致した際の板厚tを格納データから読み出すことにより、ワークロール2直下に存在した際の板厚tを同定する。
S4では、式(1)を用いて、適正ロックオン荷重を算出する。
ところで、圧延材Wの先端部に関しては、操業の安定性などの観点より、ビスラAGC制御が確実に行われるまでは、ロールギャップの変更を行わないことが多い。その場合、Sn−Sm=0であり、式(1)は、式(1)’となる。
なお、式(1)は、下記のように導出されたものである。
S5では、算出されたロックオン荷重Pnと圧延荷重の実績値Pmとが一致した時点で、Pnをロックオン荷重とし、以降、ビスラAGC制御を行うようにする。なお、ここでいう一致した時点とは、略一致した時点を含むものであり、「|Pn−Pm|<所定値」の意味である。
S3〜S5の処理は、板厚制御部10の中に設けられたロックオン手段12にて実行される。
このように、ビスラAGC制御にて使用するロックオン荷重Pnを、ゲージメータ式に基づいて算出し、算出したロックオン荷重Pnと圧延荷重の実績値Pmとが一致した際に、圧延荷重の実績値Pnをロックオン荷重に設定し、設定されたロックオン荷重Pnからの圧延荷重のズレ量とリバース圧延機1のミル剛性Mとを基に、ロールギャップSを制御することで、確実な板厚制御を行うことができ、圧延材Wのオフゲージを可及的に無くすることができるようになる。この時、ロックオン荷重値は、制御周期毎に逐次算出してもよいし、ある瞬時値で決定されてもよい。
圧延条件としては、圧延材W:軟鋼材、圧延荷重:1000ton、ロックオン荷重:本発明=1000ton、従来技術=950ton、圧延速度=100m/min、オンゲージの範囲:±製品厚×3%、である。
図4は、従来のビスラAGC制御(板厚計9における板厚が所定の値となった際の圧延荷重をロックオン荷重とする)と、本発明の板厚制御とによる圧延結果が示されている。
図5には、上記の結果が得られた圧延材Wのうち、ある圧延材Wに着目し、圧延距離と板厚偏差の変化、ロール周速の変化を示したものである。図中の破線は、オンゲージの上下限値(公差範囲)を示している。特記すべき点は、ロックオン荷重が決定された時間(圧延距離)である。従来手法では、圧延距離がZの辺りで、ようやくロックオン荷重が決定されており、このロックオンの位置は、板厚偏差が公差範囲をマイナス側に外れた所となっていている。そのため、不適切なロックオン荷重の設定により、マイナス外れのまま板厚を保持し、公差外れ状態の圧延材Wの長さ(オフゲージ)を長くする結果となっている。
以上のことより明らかなように、ビスラAGC制御にて使用するロックオン荷重を、ゲージメータ式に基づいて算出し、算出したロックオン荷重と圧延荷重の実績値とが一致した際に、圧延荷重の実績値をロックオン荷重に設定し、設定されたロックオン荷重からの圧延荷重の変位量(偏差量)とミル剛性とを基に、圧延スタンドのロールギャップを制御することで、確実な板厚制御を行うことができ、圧延材Wのオフゲージを可及的に無くすることができるようになる。例えば、従来法で、図2の実線Aに示すように、圧延材Wの先端部に関して、板厚偏差は許容範囲内に一旦は入るものの、すぐ許容範囲以下となり、最終的に許容範囲内に収まるような「板厚のアンダーカーブでの推移」を適正化でき、板厚カーブのアンダー部分を確実に公差範囲内に収めつつ圧延を実施可能となる。
また、本発明の実施の形態では、リバース圧延の最終パスに対して、本板厚制御技術を適用した例を説明しているが、最終圧延パスに限定されない。どの段階の圧延(どの圧延パス)であっても適用可能である。
2 ワークロール
3 中間ロール
4 バックアップロール
5 巻回リール
6 巻出リール
7 巻取リール
8 荷重計測器
9 板厚計
10 板厚制御部
11 ビスラAGC制御手段
12 ロックオン手段
W 圧延材
Claims (4)
- 圧延機で圧延される圧延材の板厚をビスラAGC制御により制御する方法であって、
前記ビスラAGC制御における適正ロックオン荷重を、ゲージメータ式に基づいて算出し、
前記ゲージメータ式に基づいて算出した適正ロックオン荷重と圧延荷重の実績値とが一致した際に、前記圧延荷重の実績値を前記ビスラAGC制御でのロックオン荷重として設定し、
設定されたロックオン荷重からの圧延荷重の偏差量とミル剛性とを基に、前記圧延機のロールギャップを制御するものであって、
前記適正ロックオン荷重を、次式により算出することを特徴とする圧延機の板厚制御方法。
- 圧延機で圧延される圧延材の板厚をビスラAGC制御により制御する方法であって、
前記ビスラAGC制御における適正ロックオン荷重を、ゲージメータ式に基づいて算出し、
前記ゲージメータ式に基づいて算出した適正ロックオン荷重と圧延荷重の実績値とが一致した際に、前記圧延荷重の実績値を前記ビスラAGC制御でのロックオン荷重として設定し、
設定されたロックオン荷重からの圧延荷重の偏差量とミル剛性とを基に、前記圧延機のロールギャップを制御するものであって、
前記圧延材の先端部の板厚制御を行うに際しては、前記適正ロックオン荷重を次式により算出することを特徴とする圧延機の板厚制御方法。
- 圧延機で圧延される圧延材の板厚をビスラAGC制御により制御する板厚制御装置であって、
当該圧延制御装置は、圧延スタンドにおける圧延荷重の偏差量とミル剛性とを基に、各圧延スタンドのロールギャップを制御するビスラAGC制御手段と、
前記圧延荷重の偏差量を算出するために、各圧延スタンドにおけるロックオン荷重を設定するロックオン手段と、を備えており、
前記ロックオン手段は、前記ビスラAGC制御における適正ロックオン荷重を、ゲージメータ式に基づいて算出し、前記ゲージメータ式に基づいて算出した適正ロックオン荷重と圧延荷重の実績値とが一致した際に、前記圧延荷重の実績値を前記ビスラAGC制御でのロックオン荷重として設定するように構成されていて、
前記ロックオン手段は、前記適正ロックオン荷重を次式により算出するように構成されていることを特徴とする圧延機の板厚制御装置。
- 圧延機で圧延される圧延材の板厚をビスラAGC制御により制御する板厚制御装置であって、
当該圧延制御装置は、圧延スタンドにおける圧延荷重の偏差量とミル剛性とを基に、各圧延スタンドのロールギャップを制御するビスラAGC制御手段と、
前記圧延荷重の偏差量を算出するために、各圧延スタンドにおけるロックオン荷重を設定するロックオン手段と、を備えており、
前記ロックオン手段は、前記ビスラAGC制御における適正ロックオン荷重を、ゲージメータ式に基づいて算出し、前記ゲージメータ式に基づいて算出した適正ロックオン荷重と圧延荷重の実績値とが一致した際に、前記圧延荷重の実績値を前記ビスラAGC制御でのロックオン荷重として設定するように構成されていて、
前記ロックオン手段は、前記圧延材の先端部の板厚制御を行うに際しては、前記適正ロックオン荷重を次式により算出するように構成されていることを特徴とする圧延機の板厚制御装置。
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JP2012099861A JP5877754B2 (ja) | 2012-04-25 | 2012-04-25 | 圧延機の板厚制御方法及び圧延機の板厚制御装置 |
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2012
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