JP5875612B2 - 樹脂潤滑用グリース組成物を塗布した樹脂歯車装置 - Google Patents
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Description
このため、アクチュエータ等の歯車装置の騒音低減策の一つとして、金属製の歯車から樹脂製の歯車(以下、単に「プラスチック歯車」とも言う)への変更が行われている。
プラスチック歯車や樹脂(プラスチック)製の摺動部材は、軽く、薬品に侵されにくく、錆びず、また運転騒音が小さく、自己潤滑性を有するという特徴を有する。加えて大量生産に適し、低いコストで生産できる等の優れた特徴を有している。
総て満足できるようなグリース組成物に対する要求がある。
またこうした低温環境下における起動性について、グリース組成の観点からみると、低温起動時の低電圧化を図るためには低粘度基油を用いることが重要であるが、蒸発量が多いために長寿命化を満足することはできない。一方、高粘度基油を用いると蒸発特性が良好になるため長寿命化を図れるものの、低温起動時に高電圧を必要とする。このように、グリース組成物の観点では、低温環境下における起動性の向上とグリースの長寿命化の両立は非常に困難であるという問題がある。
加えて、樹脂潤滑用グリースの基油には、歯車等を構成する樹脂材料へのケミカルアタックを避けるために、一般に合成炭化水素油(ポリαオレフィン)が使用されている。しかしながら、合成炭化水素油はリチウム石鹸からなる増ちょう剤との相性が悪く、離油現象が大きくなり、油のにじみ出しによる製品の汚染と歯車の静粛性が損なわれるという問題がある。
加えて樹脂歯車装置の長期使用に伴い、樹脂歯車表面のグリースが接触面から排除され、歯車同士が振動し、騒音悪化に繋がる虞があるという問題がある。
加えて、固体潤滑剤としてポリテトラフルオロエチレンとメラミンシアヌレートを使用し、また耐摩耗剤としてリン酸トリクレジル又は高分子エステルを使用することにより、樹脂軸受部の摩耗耐性が向上するグリース組成物が得られることを見出した。
そしてこれらの構成を有するグリース組成物をアクチュエータを構成する歯車装置の各歯車の噛み合せ部及び歯車軸受部に適用することにより、騒音の低減とともに製品の長寿命化を図れることを見出し、本発明を完成させた。
前記多段歯車装置は、少なくともいずれかの歯車の軸受部並びに歯車と歯車との噛み合せ部に、樹脂用グリース組成物を塗り備えてなり、そして該樹脂用グリース組成物が、
(a)ポリアルファオレフィン油からなる基油であって、100℃における動粘度が4〜6mm2/sである基油、
(b)リチウム石鹸である増ちょう剤、
(c)増粘剤、
(d)固体潤滑剤、並びに
(e)耐摩耗剤
を含有し、該組成物のちょう度がNLGIちょう度番号00号、0号、1号又は2号であることを特徴とする、アクチュエータに関する。
(a)ポリアルファオレフィン油からなる基油であって、100℃における動粘度が4〜6mm2/sである基油、
(b)リチウム石鹸である増ちょう剤、
(c)増粘剤、
(d)固体潤滑剤、並びに
(e)耐摩耗剤
を含有し、該組成物のちょう度がNLGIちょう度番号00号、0号、1号又は2号であることを特徴とする、アクチュエータに関する。
(a)ポリアルファオレフィン油からなる基油であって、100℃における動粘度が4〜6mm2/sである基油、
(b)リチウム石鹸である増ちょう剤、
(c)増粘剤、
(d)固体潤滑剤、並びに
(e)耐摩耗剤
を含有し、該組成物のちょう度がNLGIちょう度番号00号、0号、1号又は2号であることを特徴とする、樹脂歯車装置も対象とする。
ここで前記(c)増粘剤がスチレンイソプレン樹脂及び液状イソプレンゴムのいずれか一方を含む場合、樹脂用グリース組成物の総質量に基いて、スチレンイソプレン樹脂を0.5質量%乃至6質量%の割合で、又は液状イソプレンゴムを5質量%乃至12質量%の割合で含むことが好ましい。
或いは前記(c)増粘剤がスチレンイソプレン樹脂及び液状イソプレンゴムの双方を含む場合、スチレンイソプレン樹脂に対する液状イソプレンゴムの質量割合が2乃至5となる割合にて含むことが好ましく、このとき、樹脂用グリース組成物の総質量に基いて、スチレンイソプレン樹脂及び液状イソプレンゴムの混合増粘成分を0.9質量%乃至12質量%の割合で含むことが好ましい。
特に前記(d)固体潤滑剤が、メラミンシアヌレートとポリテトラフルオロエチレンのみからなるものが好ましい。
とりわけ本発明のアクチュエータは、低温環境下における起動性(低電圧化)に優れたものとすることができる。
本発明者らは、こうしたアクチュエータにおけるモータと歯車装置に起因する騒音の低減にあたり、特に液状イソプレンゴム成分あるいはスチレン系ブロック共重合体を増粘剤として配合したグリース組成物を採用し、これを歯車の噛み合せ部と歯車の軸受部に塗布することにより、これら部分へのグリースのつきまわり性に優れ、そして歯車の噛み合せ部及び歯車の軸受部の摩耗が低減でき、さらに騒音の低減と製品寿命を両立させたアクチュエータを得、本発明を完成させたものである。
なお、本発明に用いる「多段歯車装置」は、少なくともいずれかの歯車が樹脂製である歯車を備えた多段の歯車装置を指す。すなわち、本発明におけるアクチュエータは、多段歯車装置において、樹脂製歯車と例えば金属製歯車等の樹脂以外の材料からなる歯車とが混在していてもよく、また樹脂製歯車のみで構成されていてもよい。
そして本発明においては、後述する樹脂用グリース組成物が、前記樹脂製の歯車の軸受
部に、そして樹脂製の歯車と樹脂製又は樹脂以外の材料からなる歯車との噛み合せ部に、それぞれ塗り備えられる。
図1に示すアクチュエータ10は、HVACシステム用のアクチュエータである。このアクチュエータ10は、ステッピングモータ11と、このステッピングモータ11の出力軸11aに一体回転可能に取り付けられた第一段歯車12、及び第一段歯車12と噛合された第二段歯車13、並びに第二段歯車13と噛合された第三段歯車14等の複数段の歯車を有する多段歯車装置15を備え、ステッピングモータ11の回転を第一段歯車12、第二段歯車13、第三段歯車14等の順に減速し、図示しない外部機器側に出力するように構成されている。
そこで本実施形態では、歯車の噛み合せ部及び歯車の軸受部に後述するグリース組成物を使用し、騒音の低減と製品寿命の長期化を図っている。
軸20、第三段歯車14の軸21がそれぞれ図示され、アクチュエータ出力軸22についても図示される。
そして、本実施形態では、図2における第一段歯車12と第二段歯車13との噛み合せ部X、第二段歯車13と第三段歯車14との噛み合せ部Y、第二段歯車13の軸受部20a、および第三段歯車14の軸受部21aに、それぞれ後述するグリース組成物が塗布され、これによりこれらの部位にグリース塗布部が形成されている。
例えば、上記図1及び図2に示す二つの実施形態において、アクチュエータ10のステッピングモータ11の出力軸11aは金属製の回転する軸である。出力軸11aと第一段歯車12は固定されており、第一段歯車12は出力軸11aとともに回転するため、第一段歯車12と出力軸11aの間には相対的に回転する軸受部は存在しない。
一方、第二段歯車13の軸20と第三段歯車14の軸21は、いずれも樹脂製であって固定軸である。そして第二段歯車と第三段歯車は、それぞれの固定軸に対して摺動しながら回転する。そのため、第二段歯車13と第二段歯車の軸20(固定軸)との間の軸受部20a、並びに第三段歯車14と第三段歯車の軸21(固定軸)との間の軸受部21aには、それぞれ後述するグリース組成物が噛みあわせ部X、Yに加えて塗布される。
本発明において、該基油の粘度が上記数値範囲より大きい場合、低温下におけるトルク性能が劣ることとなり、また上記数値範囲より小さい場合には、高温での蒸発量が増加するため好適でない。
上記(a)基油は、該樹脂用グリース組成物の総質量に基いて70質量%乃至90質量%の割合で含むことが好ましい。
上記(b)増ちょう剤の配合量は、該樹脂用グリース組成物の総質量に基いて3質量%乃至15質量%の割合で含むことが好ましい
なお本発明に用いる樹脂用グリース組成物は、そのNLGIちょう度番号が00号、0号、1号又は2号となるよう、上記(a)基油及び上記(b)増ちょう剤の配合量を適宜
調整する。
スチレンイソプレン樹脂としては、数平均分子量が100,000乃至200,000のものを好適に使用し得、分子量が高いものの方が増粘剤としての作用が大きいものとなる。本発明で使用するスチレンイソプレン樹脂は前記数平均分子量を満たすものであれば特に限定されず好適に使用し得るが、具体例を挙げるとすれば、たとえばJSR(株)製JSR SIS 5200、同5405、同5505;ルーブリゾール(Lubrizol)社製Lubrizol(登録商標)7306、同7308、同7460;インフィニアムジャパン(株)製Infineum(登録商標)SV140、同SV150、同SV160;(株)クラレ製Septon(登録商標)1001、同1020などが挙げられる。
また液状イソプレンゴムとしては、イソプレン単分子のみからなるホモポリマータイプを使用することが好ましい。なおブタジエンを含むコポリマータイプの液状イソプレンゴムは、加熱により熱硬化を起こし、すなわちグリース組成物に配合した場合にグリースの固化やそれによる機動性の悪化をもたらす問題を生じ得るため、好ましくない。
上記液状イソプレンゴム(ホモポリマー)は、数平均分子量が28,000乃至54,000程度の範囲にあるものが好ましい。なお、一般に数平均分子量が100,000を超えるものを多量に含有すると固化する虞があり、基油への分散性が悪くなる。本発明で使用する液状イソプレンゴムは前記性質を有するものであれば特に限定されず好適に使用し得るが、具体例を挙げるとすれば、たとえば(株)クラレ製クラプレン(登録商標)LIR−30、同LIR−50、同LIR−200、同LIR−290;ロイヤルエラストマーズ(ROYAL ELASTOMERS)社製ISOLENE40、同400などが挙げられる。
また、上記(c)増粘剤としてスチレンイソプレン樹脂及び液状イソプレンゴムを併用する場合、スチレンイソプレン樹脂に対する液状イソプレンゴムの質量割合が2乃至5となる割合、すなわち、液状イソプレンゴム/スチレンイソプレン樹脂=2乃至5の質量割合にて併用することが好ましい。そして該樹脂用グリース組成物の総質量に基いて、スチレンイソプレン樹脂及び液状イソプレンゴムの混合増粘成分を0.9質量%乃至12質量%、より好ましくは0.9質量%乃至6質量%の割合で含むことが好ましい。
これらは、ポリテトラフルオロエチレンに対するメラミンシアヌレートの質量割合が0.6乃至9となる割合、すなわち、メラミンシアヌレート/ポリテトラフルオロエチレン
=0.6乃至9の質量割合にて併用することが好ましい。そしてメラミンシアヌレート及びポリテトラフルオロエチレンの混合潤滑成分を、該樹脂用グリース組成物の総質量に基いて2質量%乃至10質量%の割合で含むことが好ましい。
なお、本発明の効果を損なわない範囲において、(d)固体潤滑剤として、炭酸カルシウムや二硫化モリブデンなどの当該技術分野に既知の固体潤滑剤を配合してもよい。
上記高分子エステルとしては、例えば脂肪族1価カルボン酸及び2価カルボン酸と、多価アルコールとのエステルが挙げられる。上記高分子エステルの具体例としては、例えばクローダジャパン社製のPRIOLUBE(登録商標)シリーズなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
これらトリクレジルホスフェート及び高分子エステルのいずれか一方又は双方を、該樹脂用グリース組成物の総質量に基いて、0.5質量%乃至3質量%の割合で含むことが好ましい。
酸化防止剤としては、例えばオクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2,4−ビス−(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルアニリノ)−1,3,5−トリアジン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、トリエチレングリコール−ビス[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,6−ヘキサンジオール−ビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2,2−チオ−ジエチレンビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、N,N’−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナミド)等のヒンダードフェノール系酸化防止剤等が挙げられる。
これら酸化防止剤は一種を単独で使用しても二種以上を組み合わせて使用してもよく、通常、該樹脂用グリース組成物の総質量に基いて、0.01質量%乃至5質量%の割合で添加することが好ましい。
したがって上記樹脂用グリース組成物を歯車の軸受部並びに歯車同士の噛み合せ部に塗り備えてなる本発明のアクチュエータは、歯車等の汚染の発生や歯車の静粛性の損失が抑制され、低温下における起動性に優れ、騒音の低減を実現し、そして装置の長寿命化を図ることができる。
脂部材、樹脂用グリース組成物は、先に詳述した構成のアクチュエータに準じて構成され得るものである。そしてこれらアクチュエータ並びに樹脂歯車装置も、上述したように、歯車等の汚染の発生や歯車の静粛性の損失が抑制され、低温下における起動性に優れ、騒音の低減を実現し、そして装置の長寿命化を図ることができるものである。
下記各表に示す配合量にて(a)基油及び(b)増ちょう剤を加熱撹拌し、溶解させた後冷却し、ここに(c)増粘剤、(d)固体潤滑剤、(e)耐摩耗剤及び酸化防止剤を加え、ロールミルで均質化し、実施例1乃至実施例20並びに比較例1乃至比較例9に使用するグリース組成物を調製した。
(a)基油
・PAO:ポリαオレフィン(100℃における動粘度:4mm2/s)
(b)増ちょう剤
・Li石鹸:12ヒドロキシステアリン酸リチウム
(c)増粘剤
・SIP:スチレンイソプレン樹脂(Infineum(登録商標)SV150)
・LIR:液状イソプレンゴム(クラプレン(登録商標)LIR−50)
(d)固体潤滑剤
・PTFE:ポリテトラフルオロエチレン(粒径10〜25μm)
・MCA:メラミンシアヌレート(粒径15〜30μm)
(e)耐摩耗剤
・TCP:トリクレジルホスフェート
・高分子エステル:クローダジャパン製 PRIOLUBE(登録商標)3986
(その他添加剤)
・ヒンダードフェノール系酸化防止剤:ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]
グリースの外観的硬さを評価するものであり、潤滑油の粘度に相当するものといえる。
試験温度:25℃
試験方法:JIS K2220 7.に準拠し、標準円すいを用いる混和ちょう度試験の手順に従い、混和ちょう度測定を行った。
離油度は、静的な条件におけるグリースの油分離傾向を評価するものである。
離油度は、円錘型金網を用いたろ過器に試料である各グリース組成物20gを取り、重量既知のビーカー中につるし、規定温度(100℃)の恒温槽内に規定時間(24時間)保ち、放冷後ビーカー中の分離油の重量を測定し、試料に対する質量%として算出される。得られた分離油の質量%は以下の基準に従い評価した。分離油の質量%の数値が高い(グリースの油分離性が大きい)と貯蔵安定性が悪く、軸受などの長期使用に対しても不都合である。
・温度:100℃ 時間:24時間
[評価:分離油の質量%]
0質量%以上〜7質量%以下: ○ 使用可能
7質量%超 〜 : × 使用不可
上述のグリース組成物を用いて、低温時における起動電圧測定による低温起動性評価、並びに、一定荷重におけるサイル試験後の騒音測定による耐久性評価を実施した。
アクチュエータ実機として、前述の図1に示す要部構造を有するアクチュエータを使用した。
・荷重:20Ncm 環境温度:−40℃
[評価:起動電圧]
測定された起動電圧の値について以下の基準に従い評価した。
9V未満 : ◎ 低温起動性に特に優れる
9V以上〜12V未満: ○ 低温起動性に優れる
12V以上〜13V未満: △ 低温起動性にやや劣る
13V以上 : × 低温起動性に劣る
・荷重:35Ncm
・環境温度:−30℃〜85℃ サイクル条件(図3参照)の恒温槽中で試験を実施した。
・図4に示すように、アクチュエータ実機の出力軸にアームと錘(負荷荷重)を設置し、上記温度条件でアクチュエータ出力軸に取り付けたアームと錘の往復運動(CW、CCW1回の往復運動)を45,000回(1回約15秒)連続動作させた。
・上記荷重・環境温度における連続動作後にアクチュエータからの距離約100mmの位置にマイクを設置し、騒音(音圧)測定を実施した。なお耐久試験前の騒音は約28dBであった。以下の基準に従い評価した。
[騒音評価]
35dB以下 : ○ アクチュエータとして良好な騒音レベル
35dB超〜40dB未満: △ アクチュエータとして使用可能な騒音レベル
40dB以上 : × アクチュエータとして使用不可な騒音レベル
(5)摩耗試験評価
図5の摩耗試験の概念図に示すように、樹脂軸と樹脂製円柱ブロックによる負荷試験を実施し、耐摩耗性(軸受部摩耗)を評価した。
[測定条件]
・樹脂軸 軸径:直径4mm、樹脂材料:ガラスフィラ−30%配合 ポリブチレンテレフタレート(PBT)
・樹脂製円柱ブロック:径10mm、樹脂材料:ポリアセタール(POM)(ガラスフィラーなし)
・荷重:30Ncm 温度:室温(約25℃)
・軸周速20rpm 4.2mm/s
・試験時間:500時間
[手順]
図2(概念図)に示す樹脂軸の外周面に各グリース組成物を塗布した後、該樹脂軸を樹脂製円柱ブロックに挿入した。前記円柱ブロックに錘(負荷荷重)を付けて荷重をかけ、
樹脂軸を回転機(図示せず)に接続し、回転させた。上記測定条件に示す条件にて回転させた後、前記円柱ブロックと接している樹脂軸の外周面を観察した。
[評価]
耐久試験後に目視により円柱ブロックに接している樹脂軸の外周面の摩耗状況を観察し、以下の評価基準にて評価した
○;摩耗なし
×;摩耗あり(ガラス繊維のむき出し)
スチレンイソプレン樹脂(SIP)の添加量を種々変化させ調製したグリース組成物を用いて各種評価を行った。得られた結果を表1に示す。
一方、(c)スチレンイソプレン樹脂の含有量の増加による粘度上昇に伴い、ギヤや軸受部へのグリースのつきまわり性は良くなるとみられ、耐久試験後の騒音評価並びに耐摩耗性は良好な結果となり、含有量が少ない場合にはグリースのつきまわり性が低下したことにより、騒音評価の悪化につながったとみられる結果を得た。
液状イソプレンゴム(LIR)の添加量を種々変化させ調製したグリース組成物を用いて各種評価を行った。得られた結果を表2に示す。
スチレンイソプレン樹脂(SIP)と液状イソプレンゴム(LIR)を併用し、それぞれの添加量を種々変化させ調製したグリース組成物を用いて各種評価を行った。得られた結果を表3に示す。
ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)及びメラミンシアヌレート(MCA)の併用割合を種々変化させ調製したグリース組成物を用いて各種評価を行った。得られた結果を表4に示す。
トリクレジルホスフェート(TCP)又は高分子エステルの配合割合を種々変化させ調製したグリース組成物を用いて各種評価を行った。得られた結果を表5に示す。
11 ステッピングモータ
11a 出力軸
12 第一段歯車
13 第二段歯車
13a 第1歯車部
13b 第2歯車部
14 第三段歯車
15 多段歯車装置
16 ベース部材
17 孔
18 第1外装部材(ケース)
19 第2外装部材(ケース)
20 第二段歯車の軸
20a 軸受部(グリース塗布部)
21 第三段歯車の軸
21a 軸受部(グリース塗布部)
22 アクチュエータ出力軸
X 第一段歯車と第二段歯車との噛み合せ部
Y 第二段歯車と第三段歯車との噛み合せ部
Claims (12)
- モータと、
前記モータの回転を順に減速して回転トルクを増強するための、前記モータの回転軸に取り付けた第一段歯車を含め、各段の歯車がそれぞれ次段の歯車と噛み合う多段歯車装置と、
前記多段歯車装置および前記モータを設置するベース部材とを有するアクチュエータであって、
前記多段歯車装置は、少なくともいずれかの歯車の軸受部並びに歯車と歯車との噛み合せ部に、樹脂用グリース組成物を塗り備えてなり、そして該樹脂用グリース組成物が、
(a)ポリアルファオレフィン油からなる基油であって、100℃における動粘度が4〜6mm2/sである基油、
(b)リチウム石鹸である増ちょう剤、
(c)増粘剤、
(d)固体潤滑剤、並びに
(e)耐摩耗剤
を含有し、該組成物のちょう度がNLGIちょう度番号00号、0号、1号又は2号であり、
前記(c)増粘剤は、数平均分子量が100,000乃至200,000のスチレンイソプレン樹脂、及び液状イソプレンゴムのいずれか一方を含み、
前記(c)増粘剤は、樹脂用グリース組成物の総質量に基いて、スチレンイソプレン樹脂を0.5質量%乃至6質量%の割合で、又は液状イソプレンゴムを5質量%乃至12質量%の割合で含むことを特徴とする、
アクチュエータ。 - ステッピングモータと、
前記ステッピングモータの回転を順に減速して回転トルクを増強するための、前記モータの回転軸に取り付けた第一段歯車を含め、各段の歯車がそれぞれ次段の歯車と噛み合う多段歯車装置と、
前記多段歯車装置および前記ステッピングモータを設置するベース部材とを有するアクチ
ュエータであって、
前記多段歯車装置は、少なくともいずれかの歯車の軸受部並びに歯車と歯車との噛み合せ部に、樹脂用グリース組成物を塗り備えてなり、そして該樹脂用グリース組成物が、
(a)ポリアルファオレフィン油からなる基油であって、100℃における動粘度が4〜6mm2/sである基油、
(b)リチウム石鹸である増ちょう剤、
(c)増粘剤、
(d)固体潤滑剤、並びに
(e)耐摩耗剤
を含有し、該組成物のちょう度がNLGIちょう度番号00号、0号、1号又は2号であり、
前記(c)増粘剤は、数平均分子量が100,000乃至200,000のスチレンイソプレン樹脂、及び液状イソプレンゴムのいずれか一方を含み、
前記(c)増粘剤は、樹脂用グリース組成物の総質量に基いて、スチレンイソプレン樹脂を0.5質量%乃至6質量%の割合で、又は液状イソプレンゴムを5質量%乃至12質量%の割合で含むことを特徴とする、
アクチュエータ。 - 前記(d)固体潤滑剤は、メラミンシアヌレート及びポリテトラフルオロエチレンをポリテトラフルオロエチレンに対するメラミンシアヌレートの質量割合が0.6乃至9となる割合にて含むものであり、
樹脂用グリース組成物の総質量に基いて、メラミンシアヌレート及びポリテトラフルオロエチレンの混合潤滑成分を2質量%乃至10質量%の割合で含むことを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載のアクチュエータ。 - 前記(d)固体潤滑剤は、メラミンシアヌレート及びポリテトラフルオロエチレンからなる、請求項3に記載のアクチュエータ。
- 前記(e)耐摩耗剤は、トリクレジルホスフェート及び高分子エステルのいずれか一方又は双方を含むものであり、
樹脂用グリース組成物の総質量に基いて、トリクレジルホスフェート及び高分子エステルのいずれか一方又は双方を0.5質量%乃至3質量%の割合で含むことを特徴とする、請求項1乃至請求項4のうちいずれか一項に記載のアクチュエータ。 - モータと、
前記モータの回転軸に取り付けた第一段歯車を含め、各段の歯車がそれぞれ次段の歯車と噛み合う多段歯車装置と、
前記多段歯車装置および前記モータを設置するベース部材とを有するアクチュエータであって、
前記多段歯車装置は、前記歯車と歯車との噛み合せ部に、樹脂用グリース組成物を塗り備えてなり、そして該樹脂用グリース組成物が、
(a)ポリアルファオレフィン油からなる基油であって、100℃における動粘度が4〜6mm2/sである基油、
(b)リチウム石鹸である増ちょう剤、
(c)増粘剤、
(d)固体潤滑剤、並びに
(e)耐摩耗剤
を含有し、該組成物のちょう度がNLGIちょう度番号00号、0号、1号又は2号であり、
前記(c)増粘剤は、数平均分子量が100,000乃至200,000のスチレンイソ
プレン樹脂、及び液状イソプレンゴムのいずれか一方を含み、
前記(c)増粘剤は、樹脂用グリース組成物の総質量に基いて、スチレンイソプレン樹脂を0.5質量%乃至6質量%の割合で、又は液状イソプレンゴムを5質量%乃至12質量%の割合で含むことを特徴とする、
アクチュエータ。 - 前記(d)固体潤滑剤は、メラミンシアヌレート及びポリテトラフルオロエチレンをポリテトラフルオロエチレンに対するメラミンシアヌレートの質量割合が0.6乃至9となる割合にて含むものであり、
樹脂用グリース組成物の総質量に基いて、メラミンシアヌレート及びポリテトラフルオロエチレンの混合潤滑成分を2質量%乃至10質量%の割合で含むことを特徴とする、請求項6に記載のアクチュエータ。 - 前記(e)耐摩耗剤は、トリクレジルホスフェート及び高分子エステルのいずれか一方又は双方を含むものであり、
樹脂用グリース組成物の総質量に基いて、トリクレジルホスフェート及び高分子エステルのいずれか一方又は双方を0.5質量%乃至3質量%の割合で含むことを特徴とする、請求項6又は請求項7に記載のアクチュエータ。 - モータの回転軸に取り付けた第一段歯車と、第一段歯車と噛み合う第二段歯車を少なくとも有する樹脂歯車装置であって、
少なくとも前記第一段歯車と前記第二段歯車のいずれかが樹脂製であり、かつ前記第一段歯車と前記第二段歯車との噛み合わせ部に樹脂用グリース組成物が塗り備えてなり、そして該樹脂用グリース組成物が、
(a)ポリアルファオレフィン油からなる基油であって、100℃における動粘度が4〜6mm2/sである基油、
(b)リチウム石鹸である増ちょう剤、
(c)増粘剤、
(d)固体潤滑剤、並びに
(e)耐摩耗剤
を含有し、該組成物のちょう度がNLGIちょう度番号00号、0号、1号又は2号であり、
前記(c)増粘剤は、数平均分子量が100,000乃至200,000のスチレンイソプレン樹脂、及び液状イソプレンゴムのいずれか一方を含み、
前記(c)増粘剤は、樹脂用グリース組成物の総質量に基いて、スチレンイソプレン樹脂を0.5質量%乃至6質量%の割合で、又は液状イソプレンゴムを5質量%乃至12質量%の割合で含むことを特徴とする、
樹脂歯車装置。 - 前記(d)固体潤滑剤は、メラミンシアヌレート及びポリテトラフルオロエチレンをポリテトラフルオロエチレンに対するメラミンシアヌレートの質量割合が0.6乃至9となる割合にて含むものであり、
樹脂用グリース組成物の総質量に基いて、メラミンシアヌレート及びポリテトラフルオロエチレンの混合潤滑成分を2質量%乃至10質量%の割合で含むことを特徴とする、請求項9に記載の樹脂歯車装置。 - 前記(d)固体潤滑剤は、メラミンシアヌレート及びポリテトラフルオロエチレンからなる、請求項10に記載の樹脂歯車装置。
- 前記(e)耐摩耗剤は、トリクレジルホスフェート及び高分子エステルのいずれか一方又
は双方を含むものであり、
樹脂用グリース組成物の総質量に基いて、トリクレジルホスフェート及び高分子エステルのいずれか一方又は双方を0.5質量%乃至3質量%の割合で含むことを特徴とする、請求項9乃至請求項11のうちいずれか一項に記載の樹脂歯車装置。
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