JP6847645B2 - 樹脂潤滑用グリース組成物、樹脂歯車装置及び車載用空調処理システムのアクチュエータ - Google Patents
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Description
こうした樹脂製の部材表面に潤滑性を付与することを目的として、種々のグリース組成物の提案がある。例えば基油、増ちょう剤、フッ素系界面活性剤及びスチレン系ブロック共重合体を含有するグリース組成物(特許文献1)、特定のポリマー材料を用いることで油分の分離の防止を図った非油分離性潤滑剤組成物(特許文献2)、高温条件下における油の分離を抑制したグリース組成物(特許文献3)、さらには、低温における起動性及び耐久性を考慮し、液状イソプレンゴム及び/又はスチレンイソプレン樹脂を配合したグリース組成物(特許文献4)等の提案がある。
しかしこれまで、増粘剤として幅広く使用されているスチレンイソプレン樹脂を配合したグリース組成物は、高温下(例えば100℃近辺)・長時間の使用により、離油現象が生じて油のにじみ出しによる製品の汚染と歯車の静粛性が損なわれるという問題や、またスチレンイソプレン樹脂が硬化して付着力が低下し、その結果樹脂歯車表面のグリースが接触面から排除され、歯車同士が振動し、騒音悪化に繋がる虞があるという問題がある。
供することを目的とする。
(a)ポリアルファオレフィン油からなる100℃における動粘度4〜6mm2/sである基油、
(b)リチウム石鹸からなる増ちょう剤、
(c)スチレン・ブタジエン・スチレンブロック共重合体及びスチレン・ブタジエン・ブチレン・スチレンブロック共重合体からなる群から選択される少なくとも一種の重合体、並びに、ヒュームドシリカを含む、増粘剤、
(d)固体潤滑剤、並びに
(e)耐摩耗剤
を含有する、樹脂潤滑用グリース組成物であって、
前記(c)増粘剤は、樹脂潤滑用グリース組成物の総質量に基いて、
スチレン・ブタジエン・スチレンブロック共重合体及びスチレン・ブタジエン・ブチレン・スチレンブロック共重合体からなる群から選択される少なくとも一種の重合体を0.5質量%乃至6質量%の割合で、並びに、
ヒュームドシリカを1質量%乃至4質量%の割合で含む、樹脂潤滑用グリース組成物に関する。
特に前記(d)固体潤滑剤が、メラミンシアヌレートとポリテトラフルオロエチレンのみからなるものが好ましい。
このため本発明の樹脂潤滑用グリース組成物は、自動車のアクチュエータや、OA機器やAV機器の軸受等の摺動部に好適に使用可能である。
本発明によれば、上述の構成を有する樹脂潤滑用グリース組成物を樹脂歯車装置に用いることにより、高温・長時間の使用後においても部品への油のにじみ(離油)が改善されることから製品の汚染が防止され且つ歯車の静粛性が保たれ、また適用箇所へのグリース組成物の付着力の向上による騒音の低減を実現する歯車装置、そして該歯車装置を具えたアクチュエータ、特にHVACシステムに適するアクチュエータを提供できる。
本発明において、該基油の動粘度が上記数値範囲より大きい場合、低温下におけるトルク性能が劣ることとなり、また上記数値範囲より小さい場合には、高温での蒸発量が増加するため好適でない。
なお本発明の樹脂潤滑用グリース組成物は、高温下・長期間の使用を想定した場合に適切なちょう度(混和ちょう度)となるように、上記(a)基油及び上記(b)増ちょう剤の配合量を適宜調整する。
従来使用されてきたスチレンイソプレン樹脂は、耐熱性が十分とは言えず、そのため、高温下(例えば100℃程度)で長期間の運転時にスチレンイソプレン樹脂を配合したグ
リース組成物を使用すると、離油の発生やスチレンイソプレン樹脂の硬化による歯車への付着力の低下が生じる懸念があった。
本発明者らはこうした問題に対して、スチレンイソプレン樹脂よりも耐熱性の高い重合体の採用を検討し、スチレン・ブタジエン・スチレンブロック共重合体等の採用を検討した。さらに、高温・長時間の使用における離油の発生を抑制する、すなわち、油の保持力を向上させるべく、ヒュームドシリカの配合に至った。そして本発明は、これらを配合したことによる相乗効果により、増粘剤としてスチレンイソプレン樹脂を配合したグリース組成物に高温条件下でみられた離油の発生と適用箇所への付着力の低下(それによる音響特性の悪化)という問題を解決し、長期に渡る静音性の確保の実現を図ったものである。
中でも、前記(c)増粘剤は、重合体としてスチレン・ブタジエン・スチレンブロック共重合体及びスチレン・ブタジエン・ブチレン・スチレンブロック共重合体の少なくとも一方と、ヒュームドシリカとからなることが好ましい。
例えば、スチレン・ブタジエン・スチレンブロック共重合体としては、旭化成(株)製のタフプレン(登録商標)シリーズ、アサプレン(登録商標)Tシリーズ、アサフレックス(登録商標)シリーズ;JSR(株)のスチレン系熱可塑性エラストマーJSR TRシリーズなどが、、並びに、スチレン・ブタジエン・ブチレン・スチレンブロック共重合体としては、旭化成(株)製のタフテック(登録商標)Pシリーズなどが、それぞれ挙げられる。
また前記スチレン・ブタジエン・スチレンブロック共重合体、及びスチレン・ブタジエン・ブチレン・スチレンブロック共重合体は、200℃、5kgf条件下で測定されるメルトフローレートが0.5〜20g/10分、好ましくは同5〜20g/10分、あるいは、190℃、2.16kgf条件下で測定されるメルトフローレートが0.1〜5.0g/10分、好ましくは同3.0〜5.0g/10分であるものを使用できる。上記数値範囲内のメルトフローレート値を有する重合体を使用することで、適用箇所へのグリース組成物の付着性が良好となり、優れた音響特性を得ることができる。
具体例を挙げるとすれば、たとえばキャボット(Cabot)社製のCAB−O−SIL(登録商標)TS−720、同TS−622、同TS−610、同TS−382など;日本アエロジル(株)のAEROSIL(登録商標)Rシリーズ、同RXシリーズ、同RYシリーズ、同REAシリーズ、同RAシリーズ、同NXシリーズ、同NYシリーズ、同NAXシリーズなどが挙げられる。例えば、約80〜380m2/gの範囲のBET表面積を有するヒュームドシリカを使用できる。
スチレン・ブタジエン・スチレンブロック共重合体及びスチレン・ブタジエン・ブチレ
ン・スチレンブロック共重合体からなる群から選択される少なくとも一種の重合体の配合量が上記数値範囲より過少である場合には、適用箇所へのグリース組成物の付着性が低く、また併用するヒュームドシリカによる樹脂材料の摩耗を促進し、ひいては振動や騒音が発生するという問題が生じ得るため好ましくない。他方、スチレン・ブタジエン・スチレンブロック共重合体及びスチレン・ブタジエン・ブチレン・スチレンブロック共重合体からなる群から選択される少なくとも一種の重合体の配合量が上記数値範囲を超えて過多である場合にはグリース組成物が硬質化して、音響特性に悪影響を与える虞がある。
また、ヒュームドシリカの配合量が上記数値範囲より過少である場合、グリース組成物における油の保持力が弱く離油の発生が生じ得る。他方、ヒュームドシリカの配合量が上記数値範囲を超えて過多である場合にはヒュームドシリカによる樹脂材料の摩耗を促進するため、音響特性に悪影響を与える虞がある。
これらは、メラミンシアヌレート及びポリテトラフルオロエチレンを合計して、本発明の樹脂潤滑用グリース組成物の総質量に基いて2質量%乃至10質量%の割合で含むことが好ましい。
なお、本発明の効果を損なわない範囲において、(d)固体潤滑剤として、炭酸カルシウムや二硫化モリブデンなどの当該技術分野に既知の固体潤滑剤を配合してもよい。
(e)耐摩耗剤であるトリクレジルホスフェートは、本発明の樹脂潤滑用グリース組成物の総質量に基いて、0.5質量%乃至3質量%にて含むことが好ましい。0.5質量%よりも少ないと摩耗の抑制効果は見られず、3質量%よりも多いと樹脂の劣化促進(ケミカルアタック)を発生させる。
なお、本発明の効果を損なわない範囲において、(e)耐摩耗剤として、トリフェニルホスフェート(Triphenyl phosphate)、トリブチルホスフェート(Tributyl phosphate)、トリオクチルホスフェート(Triocyl phosphate)、トリオレイルホスフェート(Trioleyl phosphate)等のリン酸エステル;脂肪族1価カルボン酸及び2価カルボン酸と、多価アルコールとのエステルなどの高分子エステル(例えばクローダジャパン社製のPRIOLUBE(登録商標)シリーズ);またジベンジルスルフィド(Dibenzyl Sulfide)、ジベンジルジスルフィド(Dibenzyl disulfide)等の硫黄系添加剤などの当該技術分野に既知の耐摩耗剤を配合してもよい
て、酸化防止剤、防錆剤、極圧剤、油性向上剤、腐食防止剤等の当該技術分野に既知の各種添加剤を適宜選択して配合してもよい。
例えば酸化防止剤としては、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2,4−ビス−(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルアニリノ)−1,3,5−トリアジン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、トリエチレングリコール−ビス[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,6−ヘキサンジオール−ビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2,2−チオ−ジエチレンビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、N,N’−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナミド)等のヒンダードフェノール系酸化防止剤等が挙げられる。
これら酸化防止剤は一種を単独で使用しても二種以上を組み合わせて使用してもよく、通常、樹脂潤滑用グリース組成物の総質量に基いて、0.1質量%乃至5質量%の割合で添加することが好ましい。
アクチュエータは、一例としてステッピングモータと、前記ステッピングモータの回転を順に減速して回転トルクを増強する少なくとも複数段の歯車で構成される歯車装置と、これらを内部に設置するベース部材から構成される。
本発明の樹脂潤滑用グリース組成物は、歯車の噛み合せ部及び歯車の軸受部等に使用することにより、高温化での長期間に使用において離油の低減と騒音の低減を図ることがで
きる。
(a)基油
・PAO:ポリαオレフィン(100℃における動粘度:6mm2/s)
(b)増ちょう剤
・Li石鹸:12ヒドロキシステアリン酸リチウム
(c)増粘剤
・SIP:スチレンイソプレン樹脂(Infineum(登録商標)SV150、インフィニアムジャパン(株))
・SBBS:スチレン・ブタジエン・ブチレン・スチレンブロック共重合体(特定二重結合部分を選択的に水素添加した水添スチレン系熱可塑性エラストマー、タフテック(登録商標)P1500、旭化成(株))
・SBS:スチレン・ブタジエン・スチレンブロック共重合体(TR2787 JSR(株))
・ヒュームドシリカ(AEROSIL[登録商標]R805、日本アエロジル(株))
(d)固体潤滑剤
・PTFE:ポリテトラフルオロエチレン(粒径10〜25μm)
・MCA:メラミンシアヌレート(粒径15〜30μm)
(e)耐摩耗剤
・TCP:トリクレジルホスフェート
(その他添加剤)
・ヒンダードフェノール系酸化防止剤:ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]
下記各表に示す配合量にて(a)基油及び(b)増ちょう剤を加熱撹拌し、溶解させた後冷却し、ここに(c)増粘剤、(d)固体潤滑剤、さらに(e)耐摩耗剤及び酸化防止剤を加え、ロールミルで均質化し、実施例1乃至実施例9及び比較例1乃至比較例8のグリース組成物を調製した。
得られたグリース組成物に関する混和ちょう度、離油度並びにアクチュエータ実機による耐久性評価について、それぞれ以下の手順を用いて評価した。
グリースの外観的硬さを評価するものであり、潤滑油の粘度に相当するものといえる。
試験温度:25℃
試験方法:JIS K2220 7.に準拠し、標準円すいを用いる混和ちょう度試験の手順に従い、60往復混和した直後に混和ちょう度測定を行った。
離油度は、静的な条件におけるグリースの油分離傾向を評価するものである。
離油度は恒温槽内に保持する規定時間以外はJIS K2220 11.に沿った手順で測定を行った。すなわち、円錘型金網を用いたろ過器に試料である各グリース組成物20gを取り、重量既知のビーカー中につるし、規定温度(100℃)の恒温槽内に250時間保ち、放冷後ビーカー中の分離油の重量を測定し、試料に対する質量%として算出し
た。得られた分離油の質量%は以下の基準に従い評価した。分離油の質量%の数値が高い(グリースの油分離性が大きい)と貯蔵安定性が悪く、軸受などの長期使用に対しても不都合である。
・温度:100℃ 時間:250時間
[評価:分離油の質量%]
0質量%以上〜3質量%以下: ○ 使用可能
3質量%超 〜 : × 使用不可
上述のグリース組成物を用いて、一定荷重におけるサイクル試験後の騒音測定による耐久性評価を実施した。
HVAC用のアクチュエータは、多数の歯車(ギヤ)で構成され、多段減速することでトルクを増加させる機構を有してなる。すなわちモータに取り付けられた第一段歯車(1stギヤ)は高速で回転し、出力軸に取り付けられた歯車(出力軸を動作させるアウトプットギヤ)低速で回転し、強いトルクを出す。昨今の製品の軽薄短小に伴い、歯車を設定できるスペースには限りがあることから、歯車の点数を減らす傾向があり、それに伴い、モータには更なる高速回転が求められ、そして歯車と歯車の間には高荷重の負荷がかかることとなる。そのため、適用されるグリースにも応力がかかり、こうした環境下におけるグリースの潤滑特性が重要となる。
図1は、実施例で使用したアクチュエータの要部構造を説明する模式図である。
図1に示すアクチュエータ10は、HVACシステム用のアクチュエータである。このアクチュエータ10は、ステッピングモータ11と、このステッピングモータ11の出力軸11aに一体回転可能に取り付けられた第一段歯車12、及び第一段歯車12と噛合された第二段歯車13、並びに第二段歯車13と噛合された第三段歯車14等の複数段の歯車を有する多段歯車装置15を備え、ステッピングモータ11の回転を第一段歯車12、第二段歯車13、第三段歯車14等の順に減速し、図示しない外部機器側に出力するように構成されている。
前記ステッピングモータ11は、ロータ11Aと、このロータ11Aの外周に配設されたステータ11Bを有してなり、ベース部材16の一面側に縦置き型にして設置されている。
前記多段歯車装置15は、ベース部材16の他面側に、ステッピングモータ11に対応するように設置されている。そして、ベース部材16の一面側から孔17を貫通して他面側、すなわち多段歯車装置15側に突出されたステッピングモータ11の出力軸11aに前記第一段歯車12を取り付けてなる。
また、ステッピングモータ11の外側には、このステッピングモータ11を外側から保持する第1外装部材18がベース部材16と対向して設けられており、多段歯車装置15の外側には、この多段歯車装置15を外側から保持する第2外装部材19がベース部材16と対向して設けられている。すなわち、ステッピングモータ11の出力軸11a及び多段歯車装置15の各軸は、それらベース部材16及び第1外装部材18及び第2外装部材19にそれぞれ支持されている。また、第1外装部材18と第2外装部材19は互いに結合されて、アクチュエータ10用のケースを構成してなる。
前記第二段歯車13は、互いに軸方向に直結された第1歯車部13aと第2歯車部13bとからなり、第1歯車部13aが第一段歯車12と噛み合っており、第2歯車部13bが第三段歯車14と噛み合っている。
図1に示すアクチュエータ10では、ステッピングモータ11が回転すると、ステッピングモータ11で発生した振動は第一段歯車12及び第二段歯車13に対して、図1中に一点鎖線で示すように伝播される。そして、最終的に第一段歯車12と第二段歯車13の噛み合せ部(噛合箇所)Xに集まり、噛み合せ部Xに大きな周期音を発生させる。また、
第一段歯車12と第二段歯車13との回転方向の違いによっても振動と音圧に差異が生じ、振動音圧が大きい回転方向の振動音が騒音として耳につくことになる。
軸20、第三段歯車14の軸21がそれぞれ図示され、アクチュエータ出力軸22についても図示される。
本実施例では、図2における第一段歯車12と第二段歯車13との噛み合せ部X、第二段歯車13と第三段歯車14との噛み合せ部Y、第二段歯車13の軸受部20a、および第三段歯車14の軸受部21aに、表1に示す実施例及び比較例の各グリース組成物を塗布し(これらの部位にグリース塗布部を形成し)、以下の耐久性評価を実施した。
・荷重:35Ncm
・環境温度:−40℃〜100℃ サイクル条件(図4参照)の恒温槽中で試験を実施した。
・図3に示すように、アクチュエータ実機の出力軸にアームと錘(負荷荷重)を設置し、上記温度条件でアクチュエータ出力軸に取り付けたアームと錘の往復運動(CW、CCW1回の往復運動)を45,000回(1回約15秒)連続動作させた。
・上記荷重・環境温度における連続動作後にアクチュエータからの距離約100mmの位置にマイクを設置し、騒音(音圧)測定を実施した。なお耐久試験前の騒音は約28dBであった。以下の基準に従い評価した。
[騒音評価]
35dB以下 : ○ アクチュエータとして良好な騒音レベル
35dB超〜40dB未満: △ アクチュエータとして使用可能な騒音レベル
40dB以上 : × アクチュエータとして使用不可な騒音レベル
表1に示す配合量にて調製した実施例及び比較例のグリース組成物について行った各種評価の結果を表1に示す。
詳細には、ヒュームドシリカの配合量を一定(2質量%)としたとき、SBBSおよびSBSのいずれか一方の配合量が0.5質量%乃至6質量%の範囲内において、離油度並
びに騒音評価において良好な結果が得られ、特にSBBSおよびSBSのいずれか一方の配合量を2質量%〜6質量%としたときに、使用可能な離油度とアクチュエータとして良好な騒音レベルが得られた(実施例1〜実施例3、実施例4〜実施例6)。
また、SBBSおよびSBSの配合量を一定(各々1質量%)としたとき、ヒュームドシリカの配合量が1質量%乃至4質量%の範囲内の全てにおいて、使用可能な離油度とアクチュエータとして良好な騒音レベルが得られた。
また増粘剤としてSBBS又はSBSのみを使用した比較例2及び比較例3は、グリース組成物における油の保持力が弱く、離油現象が大きくなり、油のにじみ出しにより歯車の静粛性が損なわれ、騒音評価の悪化につながったとみられる結果を得た。
さらに増粘剤として、ヒュームドシリカのみを使用した比較例4は、離油現象は抑制されたものの、適用箇所へのグリース組成物の付着性が低いことに加え、ヒュームドシリカによるシャフトの摩耗が促進され、これらが騒音評価の悪化につながったとみられる結果を得た。
11 ステッピングモータ
11a 出力軸
12 第一段歯車
13 第二段歯車
13a 第1歯車部
13b 第2歯車部
14 第三段歯車
15 多段歯車装置
16 ベース部材
17 孔
18 第1外装部材(ケース)
19 第2外装部材(ケース)
20 第二段歯車の軸
20a 軸受部(グリース塗布部)
21 第三段歯車の軸
21a 軸受部(グリース塗布部)
22 アクチュエータ出力軸
X 第一段歯車と第二段歯車との噛み合せ部
Y 第二段歯車と第三段歯車との噛み合せ部
Claims (7)
- (a)ポリアルファオレフィン油からなる100℃における動粘度4〜6mm2/sである基油、
(b)リチウム石鹸からなる増ちょう剤、
(c)スチレン・ブタジエン・スチレンブロック共重合体及びスチレン・ブタジエン・ブチレン・スチレンブロック共重合体からなる群から選択される少なくとも一種の重合体、並びに、疎水性のヒュームドシリカを含む、増粘剤、
(d)固体潤滑剤、並びに
(e)耐摩耗剤
を含有する、樹脂潤滑用グリース組成物であって、
前記(c)増粘剤は、樹脂潤滑用グリース組成物の総質量に基いて、
スチレン・ブタジエン・スチレンブロック共重合体及びスチレン・ブタジエン・ブチレン・スチレンブロック共重合体からなる群から選択される少なくとも一種の重合体を0.5質量%乃至6質量%の割合で、並びに、
疎水性のヒュームドシリカを1質量%乃至4質量%の割合で含むことを特徴とする、
樹脂潤滑用グリース組成物。 - 前記(c)増粘剤は、スチレン・ブタジエン・スチレンブロック共重合体及びスチレン・ブタジエン・ブチレン・スチレンブロック共重合体の少なくとも一方と、疎水性のヒュームドシリカからなる、
請求項1に記載の樹脂潤滑用グリース組成物。 - 前記(d)固体潤滑剤が、メラミンシアヌレート及びポリテトラフルオロエチレンを含むものであり、
樹脂潤滑用グリース組成物の総質量に基いて、メラミンシアヌレート及びポリテトラフルオロエチレンを合計して2質量%乃至10質量%の割合で含むことを特徴とする、請求項1に記載の樹脂潤滑用グリース組成物。 - 前記(d)固体潤滑剤は、メラミンシアヌレート及びポリテトラフルオロエチレンからなる、請求項3に記載の樹脂潤滑用グリース組成物。
- 前記(e)耐摩耗剤は、トリクレジルホスフェートを含むものであり、
樹脂潤滑用グリース組成物の総質量に基いて、トリクレジルホスフェートを0.5質量%乃至3質量%の割合で含むことを特徴とする、請求項1に記載の樹脂潤滑用グリース組成物。 - 請求項1乃至請求項5のうちいずれか一項に記載の樹脂潤滑用グリース組成物が塗布された樹脂歯車装置。
- 請求項6に記載の樹脂歯車装置を有するアクチュエータ。
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