JP5793756B2 - 自動車用潤滑油 - Google Patents

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本発明は、自動車用潤滑油に関するものである。
近年、自動車、家電、電子情報機器、工業用機械等の様々な産業分野で使用されている装置や機械では、潤滑油の性能向上が強く求められている。即ち、高速化、高効率化、装置の小型化等に伴い、例えばエンジン油、変速機油、金属加工油、油圧作動油、グリース等の用途における使用条件は益々苛酷になっており、従来の潤滑油に比べてより高い性能を有する潤滑油が必要とされている。
従来から安価で入手容易な鉱油が潤滑油或いは潤滑油基油として使用されている。鉱油は種々の化学構造を有する炭化水素油の混合物であり、主成分の炭化水素の化学構造によりパラフィン系とナフテン系(シクロパラフィン系)に大別される(「トライボロジーハンドブック(養賢堂)」)。パラフィン系鉱油とナフテン系鉱油は、粘度特性、潤滑特性及び低温流動特性に違いがあり、更に精製度により耐熱特性や潤滑油添加剤との適合特性にも違いが生じる。潤滑油基油として使用する際には、使用用途に応じて各々の特性を生かして使い分けをしている。
しかしながら近年では、高負荷条件での使用やメンテナンスフリーなどの要求特性が厳しくなるに従い、汎用の鉱油を潤滑油或いは基油とした使用方法ではその要求特性を満足させることが著しく困難となっている。例えば、自動車用エンジン油における高い省燃費性能の要望に対しては、低温での粘性抵抗が少なくかつ高温での油膜保持に優れる基油(即ち、高粘度指数基油)が必須となる(月刊「潤滑経済」,潤滑通信社編,2010年2月号)。
前記高粘度指数基油としては、ワックス異性化基油(ワックス分の異性化により得られる鉱油)、GTL(Gas To Liquid)系基油、合成系基油であるPAO(Poly−α−olefin)などが知られている。これらの高粘度指数基油はそれ自身が単独で使用されることは少なく、通常所望の特性を発揮させるために種々の基油や潤滑油添加剤を配合してはじめて潤滑油として使用される。
しかし、これらの基油は汎用の鉱油と比べて種々の基油や潤滑油添加剤との相溶性が比較的悪いために、例えばエーテル化合物やエステル化合物等の比較的極性を示す化合物を相溶化剤として配合する必要がある(特許文献1〜2)。その一方で比較的極性を示す化合物は、その極性を示すが故に有機材料への攻撃性を示すという問題点(例えば自動車エンジン油の場合にはシーリング部材に使用されるゴム材が大幅に膨潤させるという問題点)が生じ(特許文献3)、また汎用の鉱油に比して高価であるという経済的な弱みもある。
特開2007−39480号公報 特開2010−59374号公報 国際公開WO2004/058928号パンフレット
本発明は、耐熱酸化安定性、高温清浄性、耐水性及び材料適合性のバランスに優れた自動車用潤滑油、及び耐熱酸化安定性、高温清浄性、耐水性、材料適合性を向上ないし改善させる自動車用潤滑油添加剤を提供することを目的とする。
本発明者らは、要求性能のハードルが高い自動車用潤滑油について検討し、下記(1)の知見を得た。なお、当該要求性能として重要なものとしては、粘度特性、潤滑特性、引火点、低温特性、耐熱酸化安定性、高温清浄性、耐水性、材料適合性などが挙げられる。
(1)従来から自動車用潤滑油添加剤として知られているエーテル化合物やエステル化合物を配合した潤滑油の性能を確認したところ、粘度特性や潤滑特性は満足できるレベルにあると認められたものの、必ずしも耐熱酸化安定性、高温清浄性、耐水性及び材料適合性のバランスが十分に満足できるレベルに達しているとは言えないことがわかった。
そこで、本発明者らは、耐熱酸化安定性、高温清浄性、耐水性及び材料適合性のバランスに着目して更に検討を進めて、下記(2)〜(4)の知見を得た。
(2)炭化水素系基油をベースオイルとする自動車用潤滑油において、特定構造の脂環式ジカルボン酸ジエステルを改質剤(潤滑油添加剤)として配合することによって、目的である耐熱酸化安定性、高温清浄性、耐水性及び材料適合性のバランスを満足できるレベルに達する自動車用潤滑油組成物が得られること。
(3)特定構造の脂環式ジカルボン酸ジエステルは、従来から用いられてきた脂肪族二塩基酸ジエステルやヒンダード型ポリオールエステルのような自動車用潤滑油添加剤に比べて、比較的少量の配合で本明細書に記載の課題の要求性能を達成させることが可能であること。換言すると、その特定構造の脂環式ジカルボン酸ジエステルは高性能の自動車用潤滑油添加剤であることを意味する。
(4)自動車用潤滑油添加剤としてその特定構造の脂環式ジカルボン酸ジエステルを炭化水素系基油に対して特定の含有量の範囲において配合した自動車用潤滑油組成物は、当該要求性能をより効果的に発揮することが可能であること。即ち、下記項1(ないし項3)に記載の構成の脂環式ジカルボン酸ジエステルを採用することにより、高性能の自動車用潤滑油組成物となることを意味する。
本発明は、かかる知見に基づいて完成するに至った。
即ち本発明は、以下の項目の自動車用潤滑油組成物及び自動車用潤滑油添加剤を提供するものである。
(項1) 炭化水素系基油と一般式(1)
[式中、R及びRは、同一又は異なって、炭素数4〜10の分岐鎖状のアルキル基を表す。またAは、シクロヘキサン環又はシクロヘキセン環を表し、Xは水素原子又はメチル基を表す。]
で表される脂環式ジカルボン酸ジエステル1種又は2種以上とを含有し、該脂環式ジカルボン酸ジエステルの含有量が炭化水素系基油100重量部に対して0.5〜20重量部の範囲である、自動車用潤滑油組成物。
(項2) さらに一般式(1)におけるR及びRの少なくとも一方が2−メチルプロピル基である、上記項1に記載の自動車用潤滑油組成物。
(項3) 一般式(1)におけるXに対するR及びRの置換位置が1,2−位である、上記項1又は項2に記載の自動車用潤滑油組成物。
(項4) 前記炭化水素系基油が80〜160の粘度指数を有するものである、上記項1〜3の何れかに記載の自動車用潤滑油組成物。
(項5) 自動車用潤滑油組成物の引火点が200℃以上であり、かつ100℃における動粘度が1.5〜40mm/sである、上記項1〜4の何れかに記載の自動車用潤滑油組成物。
(項6) 自動車用潤滑油組成物が、エンジン用、変速機用又はショックアブソーバー用潤滑油組成物である、上記項1〜5の何れかに記載の自動車用潤滑油組成物。
(項7) 一般式(1)
[式中、R及びRは、同一又は異なって、炭素数4〜10の分岐鎖状のアルキル基を表す。またAは、シクロヘキサン環又はシクロヘキセン環を表し、Xは水素原子又はメチル基を表す。]
で表される脂環式ジカルボン酸ジエステルからなる(炭化水素系基油のための)自動車用潤滑油添加剤。
(項8) さらに一般式(1)におけるR及びRの少なくとも一方が2−メチルプロピル基である、上記項7に記載の自動車用潤滑油添加剤。
(項9) 一般式(1)におけるXに対するR及びRの置換位置が1,2−位である、上記項7又は項8に記載の自動車用潤滑油添加剤。
本発明によれば、自動車用潤滑油に求められる要求性能である、耐熱酸化安定性、高温清浄性、耐水性及び材料適合性のバランスに優れた自動車用潤滑油組成物を得ることができる。また、耐熱酸化安定性、高温清浄性、耐水性、材料適合性を向上ないし改善させる自動車用潤滑油添加剤を得ることができる。
本発明の自動車用潤滑油組成物は、炭化水素系基油と上記一般式(1)で表わされる脂環式ジカルボン酸ジエステル1種又は2種以上とを含有し、該脂環式ジカルボン酸エステルの含有量が炭化水素系基油100重量部に対して0.5〜20重量部の範囲であることを特徴とするものである。
本発明に係る炭化水素系基油としては、自動車用潤滑油分野で一般的に基油として用いられるものが使用でき、例えば鉱油、GTL系基油、合成炭化水素系基油などが例示される。
鉱油としては、パラフィン系原油、中間基系原油又はナフテン系原油の常圧蒸留装置残渣油の減圧蒸留による留出油として得られる潤滑油留分を、溶剤精製、溶剤抽出、水素化分解、水素化異性化、溶剤脱ろう、水素化精製、白土処理等の精製工程を任意に1ないし2以上選択し処理して得られる溶剤精製油または水素化処理油等からなる鉱油、減圧蒸留残渣油の溶剤脱れき処理により得られる脱れき油を前記精製工程により処理して得られる鉱油、ワックス分の異性化により得られる鉱油、これらの鉱油を混合した混合油、などが例示される。また、高度に精製された鉱油は高度精製基油と言われ、粘度指数が140以上の極めて高い高粘度指数を示す鉱油もある。
市販されている鉱油の具体例としては、スーパーオイルM10、スーパーオイルM12、スーパーオイルM22、スーパーオイルN22、スーパーオイルM32、スーパーオイルN32、スーパーオイルM46、スーパーオイルN46、スーパーオイルT46(新日本石油株式会社製)や、ダイアナフレシアS10、ダイアナフレシアS32、ダイアナフレシアP32、ダイアナフレシアN28、ダイアナフレシアU46(出光興産株式会社製)や、プロセス123(昭和シェル石油株式会社製)や、セレオ10,セレオSP10、セレオNH46、ニュートラル150(株式会社ジャパンエナジー製)や、ソルベントニュートラル60、ソルベントニュートラル60LP、ソルベントニュートラル100、ソルベントニュートラル130、ソルベントニュートラル100LP、フレクソン848、テルラ611、テルラ624、プラストール65、プラストール155、プラストールJ150、フレクソン642(エクソンモービル社製)や、クリセフオイルH22、クリセフオイルF22、クリセフオイルH46、クリセフオイルF46(新日本石油株式会社製)や、コスモピュアセイフティー10、コスモピュアセイフティー10W、コスモピュアスピンRC、コスモピュアスピンC、コスモピュアスピンW、コスモピュアスピンTK、コスモニュートラル100、コスモニュートラル150、コスモピュアスピンG、コスモピュアスピン46N、コスモピュアセイフティー22、コスモピュアセイフティー32、コスモピュアセイフティー46(コスモ石油株式会社製)などが例示される。これらは単独で又は2種以上を適宜組み合わせて使用することができる。
GTL系基油としては、GTLプロセスにより天然ガス等を原料として得られる液体生成物から分離される潤滑油留分、生成ワックスの水素化分解により得られる潤滑油留分などが例示される。
合成炭化水素系基油としては、ポリ−α−オレフィン、ポリブテン、アルキルベンゼン、アルキルナフタレンなどの合成炭化水素油、フィッシャートロプッシュ法によって得られる合成炭化水素の異性化油などが例示される。
ポリ−α−オレフィンとしては、炭素数2〜16のα−オレフィン(例えばエチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセンなど)の重合体又は共重合体が例示される。
市販されているポリ−α−オレフィン(以下「PAO」という)の具体例としては、ルーカントエチレン・α―オレフィンオリゴマーHC−10(三井化学株式会社製)や、Fortum NEXBASE2002、Fortum NEXBASE2004、Fortum NEXBASE2006,Fortum NEXBASE2008(松和産業株式会社製)や、デュラシン162、デュラシン164、デュラシン166、デュラシン168(BPジャパン株式会社製)や、シンフルード201、シンフルード401、シンフルード601、シンフルード801(新日鐵化学株式会社製)や、SpectraSyn2、SpectraSyn4、SpectraSyn6、SpectraSyn8,SpectraSyn10、PureSyn2、PureSyn4、PureSyn6,PureSyn8(エクソンモービル社製)や、リポルーブ40、リポルーブ60,リポルーブ80、リポルーブ100(ライオン株式会社製)などが例示される。
ポリブテンとしては、イソブチレンの重合物やイソブチレンと1−ブチレンとの共重合物が例示され、一般に100℃の動粘度が2〜6000mm/sの範囲のものが好ましい。
市販されているポリブテンの具体例としては、インドポール L−2、インドポール L―3、インドポール L―6、インドポール L−8、インドポール L−14(BPジャパン株式会社製)などが例示される。
アルキルベンゼンとしては、炭素数1〜40の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基で置換された、分子量が200〜450であるモノアルキルベンゼン、ジアルキルベンゼン、トリアルキルベンゼン、テトラアルキルベンゼンなどが例示される。
アルキルナフタレンとしては、炭素数1〜30の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基で置換された、分子量が200〜450であるモノアルキルナフタレン、ジアルキルナフタレンなどが例示される。
上記炭化水素系基油の中でも、合成炭化水素系基油が品質的に安定し、本発明の効果を安定的に発揮し易い点で好ましい。その合成炭化水素系基油の中でも、耐熱性に優れ、高い粘度指数を有する点で、ポリ−α−オレフィンが特に好ましい。
炭化水素系基油は、上記例示を含めて1種で又は2種以上を適宜組み合わせて使用でき、好ましく合成炭化水素系基油を主成分とすることが推奨される。前記の主成分とは、炭化水素系基油100重量部中に、合成炭化水素系基油が50重量部以上、好ましくは70重量部以上の割合で含有していることを意味する。
本発明に係る炭化水素系基油の指標として、本発明の自動車用潤滑油組成物の粘度特性への影響の観点から、該基油自身の粘度指数が重要な要素の一つとなり、次いで100℃における動粘度が重要となる。なお、自動車用途のさらなる細部に至る用途においては必要に応じて適宜選択することが推奨される。
本発明に係る炭化水素系基油の粘度指数は、好ましくは80〜160、より好ましくは100〜160が推奨される。これらの範囲の炭化水素系基油を採用することにより、自動車用潤滑油組成物の粘度特性の優位性が認められる。
また本発明に係る炭化水素系基油の100℃における動粘度は、好ましくは1.5〜40mm/s、より好ましくは2.5〜30mm/sの範囲が推奨される。これらの範囲の炭化水素系基油を採用することにより、自動車用潤滑油組成物の粘度特性の優位性が認められる。
本発明に係る炭化水素系基油の100℃における動粘度と粘度指数との関係では、100℃における動粘度が1.5〜40mm/sかつ粘度指数が80〜160の炭化水素系基油がより好ましく、100℃における動粘度が2.5〜30mm/sかつ粘度指数が100〜160の炭化水素系基油が特に好ましい。
本発明に係る脂環式ジカルボン酸ジエステル(以下「本エステル」という)は、上記一般式(1)で表される脂環式ジカルボン酸ジエステルである。
本エステルを構成する一般式(1)における「X−A=」の部位は、具体的にはシクロヘキサンジカルボン酸、シクロヘキセンジカルボン酸、メチルシクロヘキサンジカルボン酸又はメチルシクロヘキセンジカルボン酸から全てのカルボキシル基を全て除いて得られる残基である。
またそれらのカルボキシル基の置換位置は、1,2−位、1,3−位及び1,4−位があり、好ましくは1,2−位が推奨される。前記の置換位置として1,2−位を採用することにより、本エステル自身の耐加水分解性がより向上する傾向が認められ、さらには本発明の自動車用潤滑油組成物の耐水性の向上にも好影響を与える。
前記のシクロヘキサンジカルボン酸、シクロヘキセンジカルボン酸、メチルシクロヘキサンジカルボン酸及びメチルシクロヘキセンジカルボン酸としては、具体的には、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸のシクロヘキサンジカルボン酸;4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸、1−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸等のシクロヘキセンジカルボン酸;3−メチルシクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸、4−メチルシクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸等のメチルシクロヘキサンジカルボン酸;3−メチル−4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸、4−メチル−4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸等のメチルシクロヘキセンジカルボン酸が例示される。
これらの中でも、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、3−メチル−1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、4−メチル−1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸、3−メチル−4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸、4−メチル−4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸が好ましく、特に1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、3−メチル−1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、4−メチル−1,2−シクロヘキサンジカルボン酸が好ましい。
本エステルを構成する一般式(1)のR及びRは、炭素数4〜10の分岐鎖状の飽和脂肪族モノアルコールから水酸基を除いて得られる残基である。さらにR及びRの少なくとも一方が2−メチルプロピル基である構成の本エステルが好ましい。
前記分岐鎖状の飽和脂肪族モノアルコールとして、具体的には、2−メチル−1−プロパノール、2−ブタノール、2−メチル−2−プロパノールの炭素数4の分岐鎖状の飽和脂肪族モノアルコール;3−メチル−1−ブタノール、2−ペンタノール、3−ペンタノール、2−メチル−1−ブタノール、2−メチル−2−ブタノール、3−メチル−2−ブタノール、2,2−ジメチル−1−プロパノールの炭素数5の分岐鎖状の飽和脂肪族モノアルコール;4−メチル−1−ペンタノール、2−ヘキサノール、3−ヘキサノール、2−メチル−1−ペンタノール、2−エチル−1−ブタノール等の炭素数6の分岐鎖状の飽和脂肪族モノアルコール;5−メチル−1−ヘキサノール、2−ヘプタノール、3−ヘプタノール、4−ヘプタノール、2−メチル−1−ヘキサノール、2−メチル−3−ヘキサノール、2−エチル−1−ペンタノール等の炭素数7の分岐鎖状の飽和脂肪族モノアルコール;6−メチル−1−ヘプタノール、2−オクタノール、3−オクタノール、2−メチル−1−ヘプタノール、2−エチル−1−ヘキサノール等の炭素数8の分岐鎖状の飽和脂肪族モノアルコール;7−メチル−1−オクタノール、2−ノナノール、3−ノナノール、2−メチル−1−オクタノール、3−メチル−1−オクタノール、4−メチル−1−オクタノール、5−メチル−1−オクタノール、6−メチル−1−オクタノール、2−エチル−1−ヘプタノール、2,4−ジメチル−1−ヘプタノール、2,5−ジメチル−1−ヘプタノール、4,6−ジメチル−1−ヘプタノール、2,6−ジメチル−4−ヘプタノール、3,5,5−トリメチル−1−ヘキサノール、2,5,5−トリメチル−1−ヘキサノール等の炭素数9の分岐鎖状の飽和脂肪族モノアルコール;8−メチル−1−ノナノール、2−デカノール、3−デカノール、2−メチル−1−ノナノール、2−エチル−1−オクタノール、2−プロピル−1−ヘプタノール、2,7−ジメチル−1−オクタノール、2,6−ジメチル−2−オクタノール、2,4−ジメチル−1−オクタノール、3,7−ジメチル−1−オクタノール、3,6−ジメチル−3−オクタノール、4−メチル−2−プロピル−1−ヘキサノール、5−メチル−2−プロピル−1−ヘキサノール、2−(1−メチルエチル)−4−メチル−1−ヘキサノール、2−(1−メチルエチル)−5−メチル−1−ヘキサノール等の炭素数10の分岐鎖状の飽和脂肪族モノアルコールが例示される。
上記分岐鎖状の飽和脂肪族モノアルコールは、市販品、試薬や公知の合成方法で調製したもの等が使用できる。前記公知の合成方法としては、例えば、プロピレンをヒドロホルミル化してブチルアルデヒドとし、それをアルドール縮合反応後に水素化して2−エチルヘキサノールを調製する方法や、イソブチレンを2量体化(2量化反応)して得られるジイソブチレンをヒドロホルミル化した後に水素化して3,5,5−トリメチル−1−ヘキサノールを調製する方法や、プロピレンを3量化反応して得られたものをヒドロホルミル化(オキソ法)した後に水素化して分岐鎖状のデカノールを調製する方法(なお該デカノールは、8−メチル−1−ノナノールを含む、メチル分枝を有する複数の異性体からなる混合物であり、このような混合物の場合には「イソデカノール」と称して分岐鎖状の飽和脂肪族モノアルコールを表現する。)、など挙げられる。
換言すると、プロピレン、n−ブチレン、イソブチレンなどの低級オレフィンを出発原料として、2量化反応や3量化反応、ヒドロホルミル化反応(オキソ法)、アルドール縮合反応、水素化反応(オレフィンやアルデヒド基などの還元)等を適宜組み合わせて、比較的総炭素数の多い(例えば炭素数8以上)分岐鎖状の飽和脂肪族モノアルコールを調製する方法である。出発物質や反応方法の組み合わせによっては、単一化合物ではなく、前記「イソデカノール」のように、同じ炭素数の分岐状態が異なる分岐鎖状の飽和脂肪族モノアルコールの異性体の混合物となる場合もある。得られたモノアルコールが異性体の混合物の場合には、精留などの分離方法により当該異性体を分離して得ることも可能である。
主な市販品としては、例えば、3−メチル−1−ヘキサノール、5−メチル−1−ヘキサノール、3−メチル−1−ヘプタノール、5−メチル−1−ヘプタノール、2−エチル−1−ヘキサノール、「オクタノール」(製品名,協和醗酵ケミカル社製)、3,5,5−トリメチル−1−ヘキサノール、「ノナノール」(製品名,協和醗酵ケミカル社製)、7−メチル−1−オクタノール、「オキソコール900」(製品名,協和醗酵ケミカル社製)、「Diadol 9」(製品名,三菱化学社製)、「イソノナノール」(製品名,三菱化学社製)、「Exaal 9」(製品名,エクソン社製)、2−エチル−1−オクタノール、8−メチル−1−ノナノール、「デカノール」(製品名,協和醗酵ケミカル社製)、などが挙げられる。
なお工業的に入手される市販品の中にも、メチル分枝を有する複数の異性体の混合物がある。その場合には、本明細書および特許請求の範囲において、「イソ」を付して当該アルコールを表現する。そして、その対応するアルコールの一般式(1)におけるR及びRは「イソアルキル基」と称して当該脂環式ジカルボン酸ジエステルを表現する。例えば、「イソノナノール」の場合、総炭素数9で分岐状態が異なる異性体の混合物(メチル分枝がある位置が異なる等の複数の異性体を含む混合物)を意味し、その対応するアルコールの一般式(1)のR及びRは「イソノニル基」と表す。
好ましい分岐鎖状の飽和脂肪族モノアルコールとしては、具体的には、2−メチル−1−プロパノール、3−メチル−1−ブタノール、4−メチル−1−ペンタノール、5−メチル−1−ヘキサノール、6−メチル−1−ヘプタノール、2−エチル−1−ヘキサノール、7−メチル−1−オクタノール、3,5,5−トリメチル−1−ヘキサノール、8−メチル−1−ノナノール、イソオクタノール、イソノナノール、イソデカノールが挙げられ、より好ましくは2−メチル−1−プロパノールを単独で又は他の分岐鎖状の飽和脂肪族モノアルコールと併用して使用することが推奨される。
本エステルの製造方法は、目的物が得られれば特にその製法に限定されない。例えば、(i)所定の酸成分(シクロヘキサンジカルボン酸、シクロヘキセンジカルボン酸、メチルシクロヘキサンジカルボン酸、メチルシクロヘキセンジカルボン酸)と所定のモノアルコール成分とを常法に従って、好ましくは窒素等の不活性化ガス雰囲気下において、エステル化触媒の存在下または無触媒下で加熱撹拌しながらエステル化反応することにより調製する方法、(ii)特定の芳香族ジカルボン酸成分(フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、メチル置換フタル酸等)と所定のモノアルコール成分とを常法に従って、好ましくは窒素等の不活性化ガス雰囲気下において、エステル化触媒の存在下または無触媒下で加熱撹拌しながらエステル化反応した後、そのエステル化物を核水素化することにより調製する方法、などが例示される。
前記酸成分としては、脂環式ジカルボン酸の他に、エステル形成誘導体として、脂環式ジカルボン酸の無水物や塩化物、脂環式ジカルボン酸と低級アルコールとのエステルやアリールエステル等の活性エステルなどの態様のものが例示される。エステル化反応若しくはエステル交換反応には、前記脂環式ジカルボン酸やエステル形成誘導体を1種で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
前記モノアルコール成分としては、上記分岐鎖状の飽和脂肪族モノアルコールの他に、エステル形成誘導体として、低級脂肪酸と当該飽和脂肪族モノアルコールとのエステルの態様のもの(例えば、酢酸エステル、プロピオン酸エステル等)を用いて、エステル交換反応により本エステルを得ることも可能である。エステル化反応若しくはエステル交換反応には、前記飽和脂肪族モノアルコールやエステル形成誘導体を単独で又は2種以上を適宜組み合わせて反応に供することが可能である。モノアルコール成分の使用量は、例えば、酸成分1当量に対して1〜1.5当量、好ましくは1.01当量〜1.2当量程度用いられる。
エステル化触媒若しくはエステル交換触媒としては、ルイス酸類、アルカリ金属類、スルホン酸類等が例示される。より具体的には、ルイス酸類としてアルミニウム誘導体、錫誘導体、チタン誘導体等、アルカリ金属類としてナトリウムアルコキシド、カリウムアルコキシド等、スルホン酸類としてはパラトルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、硫酸等、などが例示される。それらの中でも、錫誘導体、チタン誘導体が好ましい。その使用量は、例えば原料である酸成分及びアルコール成分の総重量に対して、0.05〜1重量%程度用いられる。
反応温度としては、通常100〜240℃、好ましくは150〜230℃が推奨される。反応時間としては、通常2時間〜30時間である。
エステル化反応には、必要に応じて、副生してくる水をベンゼン、トルエン、キシレン、シクロヘキサン、アルキルシクロヘキサン等の水同伴剤(共沸作用、同伴作用等)を用いて、反応系外に除去させてもよい。
反応後に得られる「エステル化粗物」を後処理する工程としては次の工程が例示される。例えば、減圧下又は常圧下にて蒸留可能な過剰の原料等を留去する工程、原料由来のカルボン酸成分が残存する場合にはアルカリ水溶液による洗浄(中和)及び水洗を行う工程、液液抽出等の抽出操作により精製する工程、活性炭、活性白土、活性アルミナ等の吸着剤により吸着処理する工程などが例示される。これらの工程を適宜組み合わせて、エステル化粗物を後処理をして精製することが好ましい。
前記アルカリ水溶液による洗浄(中和)を行う場合、その洗浄液としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、炭酸ナトリウム等のアルカリ水溶液が例示される。そのアルカリ濃度は特に限定されないが、0.5〜20重量%程度が好ましい。アルカリ水溶液の使用量は反応終了後のエステル化粗物の全酸価に対して等当量又は適宜過剰となる量が推奨される。そして、アルカリ洗浄(中和)後の洗浄物に対して、さらに水による洗浄操作を水洗水の水層が中性となるまで繰り返すことが好ましい。
かくして得られる本エステルは、2つのエステル基の立体配置によりトランス体とシス体の異性体が存在する場合があるが、本発明の効果を発揮させる上ではトランス体、シス体及びそれらの混合物の何れも使用が可能である。
本エステルの酸価としては、好ましくは0.1mgKOH/g以下、より好ましくは0.05mgKOH/g以下が推奨される。酸価が0.1mgKOH/g以下のときには本エステル自身の耐熱性がより向上する傾向が認められ、このような好ましい範囲では本発明の自動車用潤滑油組成物の耐熱酸化安定性の向上にも好影響を与える。酸価を低減する方法としては、反応を十分に進行させる方法や、後処理工程でのアルカリ成分で中和・水洗する方法(上記のアルカリ水溶液による洗浄(中和)及び水による洗浄を行う工程)などが例示される。
本エステルの水酸基価としては、好ましくは2mgKOH/g以下、より好ましくは1mgKOH/g以下が推奨される。水酸基価が2mgKOH/g以下のときには本エステル自身の吸湿性がより低くなり、耐熱性もより向上する傾向が認められ、このような好ましい範囲では本発明の自動車用潤滑油組成物の耐水性及び耐熱酸化安定性の向上にも好影響を与える。水酸基価を低減する方法としては、反応を十分に進行させる方法や、後処理工程でのモノアルコール成分を減圧留去する方法(上記の蒸留可能な過剰の原料等を減圧下または常圧下にて留去する工程)などが例示される。
本エステルの硫酸灰分としては、好ましくは50ppm以下、より好ましくは30ppm以下が推奨される。硫酸灰分が50ppm以下のときには本エステル自身の耐熱性がより向上する傾向が認められ、このような好ましい範囲では本発明の自動車用潤滑油組成物の耐熱酸化安定性の向上にも好影響を与える。硫酸灰分を低減する方法としては、本エステルの原料となる酸成分やモノアルコール成分の硫酸灰分が低いもの(例えば50ppm以下のもの)を用いる方法や、エステル化触媒若しくはエステル交換触媒中に金属を含有する場合には、後処理工程において触媒自身や触媒由来の有機金属化合物を中和、水洗、吸着処理等により除去する方法などが例示される。
本エステルの流動点は、好ましくは−15℃以下、より好ましくは−30℃以下、特に好ましくは−40℃以下が推奨される。このような好ましい範囲では本発明の自動車用潤滑油組成物の低温流動性にも好影響を与える。
本エステルの具体例としては、例えば、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸ジ(2−メチルプロピル)、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸ジ(3−メチルブチル)、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸ジ(4−メチルペンチル)、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸ジ(5−メチルヘキシル)、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸ジ(2−エチルヘキシル)、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸ジ(6−メチルヘプチル)、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸ジ(イソノニル)、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸ジ(イソデシル)、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸ジ(3,5,5−トリメチルヘキシル)、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸と2−メチル−1−プロパノール及び3−メチル−1−ブタノールから得られる混基エステル、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸と2−メチル−1−プロパノール及び4−メチル−1−ペンタノールとから得られる混基エステル、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸と2−メチル−1−プロパノール及び5−メチル−1−ヘキサノールとから得られる混基エステル、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸と2−メチル−1−プロパノール及び2−エチル−1−ヘキシルとから得られる混基エステル、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸と2−メチル−1−プロパノール及びイソノナノールとから得られる混基エステル、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸と2−メチル−1−プロパノール及びイソデカノールとから得られる混基エステル、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸と3−メチル−1−ブタノール及び4−メチル−1−ペンタノールとから得られる混基エステル、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸と3−メチル−1−ブタノール及び5−メチル−1−ヘキサノールとから得られる混基エステル、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸と3−メチル−1−ブタノール及び2−エチル−1−ヘキシルとから得られる混基エステル、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸と3−メチル−1−ブタノール及びイソノナノールとから得られる混基エステル、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸と4−メチル−1−ペンタノール及び5−メチル−1−ヘキサノールとから得られる混基エステル、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸と4−メチル−1−ペンタノール及び2−エチル−1−ヘキシルとから得られる混基エステル、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸と2−メチル−1−プロパノール及び3,5,5−トリメチルヘキサノールとから得られる混基エステル、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸と2−エチルヘキサノール及びイソノナノールとから得られる混基エステル、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸と2−エチルヘキサノール及び3,5,5−トリメチルヘキサノールとから得られる混基エステル、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸と2−エチルヘキサノール及びイソデカノールとから得られる混基エステル、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸とイソノナノール及び3,5,5−トリメチルヘキサノールとから得られる混基エステル、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸とイソノナノール及びイソデカノールとから得られる混基エステル、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸と3,5,5−トリメチルヘキサノール及びイソデカノールとから得られる混基エステル、4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸ジ(2−メチルプロピル)、4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸ジ(3−メチルブチル)、4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸ジ(4−メチルペンチル)、4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸ジ(5−メチルヘキシル)、4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸ジ(6−メチルヘプチル)、4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸ジ(2−エチルヘキシル)、4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸ジ(イソノニル)、4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸ジ(イソデシル)、4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸ジ(3,5,5−トリメチルヘキシル)、4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸と2−メチル−1−プロパノール及び3−メチル−1−ブタノールから得られる混基エステル、4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸と2−メチル−1−プロパノール及び4−メチル−1−ペンタノールとから得られる混基エステル、4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸と2−メチル−1−プロパノール及び5−メチル−1−ヘキサノールとから得られる混基エステル、4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸と2−メチル−1−プロパノール及び2−エチル−1−ヘキシルとから得られる混基エステル、4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸と2−メチル−1−プロパノール及びイソノナノールとから得られる混基エステル、4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸と2−メチル−1−プロパノール及びイソデカノールとから得られる混基エステル、4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸と3−メチル−1−ブタノール及び4−メチル−1−ペンタノールとから得られる混基エステル、4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸と3−メチル−1−ブタノール及び5−メチル−1−ヘキサノールとから得られる混基エステル、4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸と3−メチル−1−ブタノール及び2−エチル−1−ヘキシルとから得られる混基エステル、4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸と3−メチル−1−ブタノール及びイソノナノールとから得られる混基エステル、4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸と4−メチル−1−ペンタノール及び5−メチル−1−ヘキサノールとから得られる混基エステル、4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸と4−メチル−1−ペンタノール及び2−エチル−1−ヘキシルとから得られる混基エステル、4−メチルシクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸ジ(2−メチルプロピル)、4−メチルシクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸ジ(3−メチルブチル)、4−メチルシクロヘキサンジカルボン酸−1,2−ジ(4−メチルペンチル)、4−メチルシクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸ジ(5−メチルヘキシル)、4−メチルシクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸ジ(6−メチルヘプチル)、4−メチルシクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸ジ(2−エチルヘキシル)、4−メチルシクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸ジ(イソノニル)、4−メチルシクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸ジ(イソデシル)、4−メチルシクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸ジ(3,5,5−トリメチルヘキシル)、4−メチルシクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸と2−メチル−1−プロパノール及び3−メチル−1−ブタノールから得られる混基エステル、4−メチルシクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸と2−メチル−1−プロパノール及び4−メチル−1−ペンタノールとから得られる混基エステル、4−メチルシクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸と2−メチル−1−プロパノール及び5−メチル−1−ヘキサノールとから得られる混基エステル、4−メチルシクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸と2−メチル−1−プロパノール及び2−エチル−1−ヘキシルとから得られる混基エステル、4−メチルシクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸と2−メチル−1−プロパノール及びイソノナノールとから得られる混基エステル、4−メチルシクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸と2−メチル−1−プロパノール及びイソデカノールとから得られる混基エステル、4−メチルシクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸と3−メチル−1−ブタノール及び4−メチル−1−ペンタノールとから得られる混基エステル、4−メチルシクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸と3−メチル−1−ブタノール及び5−メチル−1−ヘキサノールとから得られる混基エステル、4−メチルシクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸と3−メチル−1−ブタノール及び2−エチル−1−ヘキシルとから得られる混基エステル、4−メチルシクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸と3−メチル−1−ブタノール及びイソノナノールとから得られる混基エステル、4−メチルシクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸と4−メチル−1−ペンタノール及び5−メチル−1−ヘキサノールとから得られる混基エステル、4−メチルシクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸と4−メチル−1−ペンタノール及び2−エチル−1−ヘキシルとから得られる混基エステル、4−メチルシクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸と2−メチル−1−プロパノール及び3,5,5−トリメチルヘキサノールとから得られる混基エステル、4−メチルシクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸と2−エチルヘキサノール及びイソノナノールとから得られる混基エステル、4−メチルシクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸と2−エチルヘキサノール及び3,5,5−トリメチルヘキサノールとから得られる混基エステル、4−メチル−1,2−シクロヘキサンジカルボン酸と2−エチルヘキサノール及びイソデカノールとから得られる混基エステル、4−メチルシクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸とイソノナノール及び3,5,5−トリメチルヘキサノールとから得られる混基エステル、4−メチルシクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸とイソノナノール及びイソデカノールとから得られる混基エステル、4−メチルシクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸と3,5,5−トリメチルヘキサノール及びイソデカノールとから得られる混基エステル、などが挙げられる。
これらの中でも、好ましくは1,2−シクロヘキサンジカルボン酸ジ(2−メチルプロピル)、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸と2−メチル−1−プロパノール及び3−メチル−1−ブタノールから得られる混基エステル、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸と2−メチル−1−プロパノール及び4−メチル−1−ペンタノールとから得られる混基エステル、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸と2−メチル−1−プロパノール及び5−メチル−1−ヘキサノールとから得られる混基エステル、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸と2−メチル−1−プロパノール及び2−エチル−1−ヘキシルとから得られる混基エステル、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸と2−メチル−1−プロパノール及びイソノナノールとから得られる混基エステル、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸と2−メチル−1−プロパノール及びイソデカノールとから得られる混基エステル、4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸ジ(2−メチルプロピル)、4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸と2−メチル−1−プロパノール及び3−メチル−1−ブタノールから得られる混基エステル、4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸と2−メチル−1−プロパノール及び4−メチル−1−ペンタノールとから得られる混基エステル、4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸と2−メチル−1−プロパノール及び5−メチル−1−ヘキサノールとから得られる混基エステル、4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸と2−メチル−1−プロパノール及び2−エチル−1−ヘキシルとから得られる混基エステル、4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸と2−メチル−1−プロパノール及びイソノナノールとから得られる混基エステル、4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸と2−メチル−1−プロパノール及びイソデカノールとから得られる混基エステル、4−メチルシクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸ジ(2−メチルプロピル)、4−メチルシクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸と2−メチル−1−プロパノール及び3−メチル−1−ブタノールから得られる混基エステル、4−メチルシクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸と2−メチル−1−プロパノール及び4−メチル−1−ペンタノールとから得られる混基エステル、4−メチルシクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸と2−メチル−1−プロパノール及び5−メチル−1−ヘキサノールとから得られる混基エステル、4−メチルシクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸と2−メチル−1−プロパノール及び2−エチル−1−ヘキシルとから得られる混基エステル、4−メチルシクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸と2−メチル−1−プロパノール及びイソノナノールとから得られる混基エステル、4−メチルシクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸と2−メチル−1−プロパノール及びイソデカノールとから得られる混基エステル等が推奨される。
なお、本明細書及び特許請求の範囲において、上記「混基エステル」とは、一般式(1)のRとRが互いに異なるアルキル基で構成されるジエステルを意味する。
上記本エステル(具体的な例示を含む)は、1種で又は2種以上を適宜組み合わせて使用することができる。
[自動車用潤滑油組成物]
本発明の自動車用潤滑油組成物は、本発明に係る炭化水素系基油と上記一般式(1)で表わされる脂環式ジカルボン酸ジエステル1種又は2種以上とを、脂環式ジカルボン酸ジエステルが炭化水素系基油100重量部に対して、0.5〜20重量部であり、好ましくは1〜10重量部、より好ましくは1〜8量部の範囲で含有してなるものである。
本発明の自動車用潤滑油組成物の100℃における動粘度は、好ましくは1.5〜40mm/s、より好ましくは2.5〜30mm/sが推奨される。
本発明の自動車用潤滑油組成物の粘度指数は、好ましくは80〜160、より好ましくは100〜160が推奨される。
本発明の自動車用潤滑油組成物の流動点は、好ましくは−15℃以下、より好ましくは−30℃以下、特に−40℃以下が推奨される。
本発明の自動車用潤滑油組成物の引火点は、好ましくは200℃以上、より好ましくは250℃以上が推奨される。
本発明の自動車用潤滑油組成物は、従来公知の自動車用潤滑油と比べて、耐熱酸化安定性、高温清浄性、耐水性、材料適合性という性能のバランスに優れる。これらの性能は、自動車用途において特有な要求特性である。
耐熱酸化安定性は、比較的高温領域で使用される自動車用途全般において、重要な要求性能の一つである。後述の耐熱酸化安定性の評価値が低いほど、潤滑油の酸化劣化が起こりにくいことを示し、運転時間或いは使用時間の長期化が可能となる。
高温清浄性は、特にエンジン用途において重要な要求性能の一つである。後述の高温洗浄性の評価値評点が高いほど又コーク量が少ないほど、潤滑油の使用時に発生する酸化劣化物の可溶化効果が高いことを意味し、清浄性に優れていることを示している。
また耐水性は、自動車用途全般において重要な要求性能の一つである。これは、潤滑油を長期間使用する場合には、水分が混入若しくは水分を吸水する可能性があり、それにより加水分解等が生じる。そのために加水分解物により長時間の運転・使用が妨げられることがある。後述の耐水性の評価値が低いほど、本エステルの加水分解が抑制されていることを意味し、潤滑組成物としての耐水性に好影響を与えることを示している。
また材料適合性は、自動車用途全般において重要な要求性能の一つである。自動車用途では、潤滑油が使用される箇所にはシーリング部材としてゴム材が多用されている。シーリング部材は、潤滑油により適度に膨潤して、潤滑油漏れを防ぐ役割をも担っている。後述の材料適合性の評価方法は、この「適度な膨潤」を評価するための方法である。
本発明の自動車用潤滑油組成物は、上記炭化水素系基油と一般式(1)で表わされる脂環式ジカルボン酸ジエステルの他に、従来公知の他の基油(以下「併用基油」という)や潤滑用添加剤を本発明の効果を奏する範囲内で併用ないし添加することができる。
前記併用基油の使用は、本発明に係る炭化水素系基油の一部を置換して使用するものである。併用基油を使用する場合、その使用量は、本発明に係る炭化水素系基油と併用基油との総重量に対して、好ましくは30重量%以下、より好ましくは20重量%以下、更に好ましくは10重量%以下の範囲が推奨される。
上記併用基油としては、動植物油、本エステル以外の有機酸エステル、ポリアルキレングリコール、ポリビニルエーテル、ポリフェニルエーテル、アルキルフェニルエーテル、シリコーン油などが例示される。係る併用基油は1種でまたは2種以上を適宜組み合わせて使用することができる。
動植物油としては、牛脂、豚脂、パーム油、ヤシ油、ナタネ油、ヒマシ油、ヒマワリ油等が例示される。
本エステル以外の有機酸エステルとしては、脂肪酸モノエステル、脂肪族二塩基酸ジエステル、ポリオールエステルなどが例示される。
脂肪酸モノエステルとしては、炭素数5〜22の脂肪族直鎖状又は分岐鎖状モノカルボン酸と炭素数3〜22の直鎖状又は分岐鎖状の飽和若しくは不飽和の脂肪族アルコールとから得られるモノエステルなどが挙げられる。また、脂肪族二塩基酸ジエステルとしては、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸,ノナン二酸、デカン二酸等脂肪族二塩基酸と炭素数3〜22の直鎖状又は分岐鎖状の飽和若しくは不飽和の脂肪族アルコールとから得られるジエステルなどが挙げられる。また、ポリオールエステルとしては、ネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジトリメチロールプロパン、ジペンタエリスリトール等のネオペンチル型のポリオールと炭素数3〜22の直鎖状及び/又は分岐鎖状の飽和又は不飽和の脂肪酸とから得られるポリオールエステルなどが挙げられる。
前記以外のエステルとしては、ダイマー酸、水添ダイマー酸などの重合脂肪酸、或いは縮合ヒマシ油脂肪酸、水添縮合ヒマシ油脂肪酸などのヒドロキシ脂肪酸と炭素数3〜22の直鎖状若しくは分岐鎖状の飽和又は不飽和の脂肪族アルコールとのエステル化合物などが挙げられる。
ポリアルキレングリコールとしては、アルコールと炭素数2〜4の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキレンオキサイドの開環重合体が例示される。アルキレンオキサイドとしてはエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイドが挙げられ、これらの1種を用いた重合体、又は2種以上の混合物を用いた共重合体が使用可能である。又、片端又は両端の水酸基部分がエーテル化若しくはエステル化した化合物も使用可能である。重合体の動粘度(40℃)としては、通常5〜1000mm/s、好ましくは5〜500mm/sである。
ポリビニルエーテルとしては、ビニルエーテルモノマーの重合によって得られる化合物であり、モノマーとしてはメチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、2−プロピルビニルエーテル、1−ブチルビニルエーテル、2−メチル−1−プロピルビニルエーテル、2−ブチルビニルエーテル、2−メチル−2−プロピルビニルエーテル、1−ペンチルビニルエーテル、1−ヘキシルビニルエーテル、2−メトキシエチルビニルエーテル、2−エトキシエチルビニルエーテル等が挙げられる。重合体の動粘度(40℃)としては、通常5〜1000mm/s、好ましくは5〜500mm/sである。
ポリフェニルエーテルとしては、2個以上の芳香環のメタ位をエーテル結合又はチオエーテル結合でつないだ構造を有する化合物が挙げられ、具体的には、ビス(m−フェノキシフェニル)エーテル、m−ビス(m−フェノキシフェノキシ)ベンゼン、及びそれらの酸素の1個若しくは2個以上を硫黄に置換したチオエーテル類(通称C−エーテル)等が例示される。
アルキルフェニルエーテルとしては、ポリフェニルエーテルを炭素数6〜18の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基で置換した化合物が挙げられ、特に1個以上のアルキル基で置換したアルキルジフェニルエーテルが好ましい。
シリコーン油としては、ジメチルシリコーン、メチルフェニルシリコーンのほか、長鎖アルキルシリコーン、フルオロシリコーン等の変性シリコーンが挙げられる。
これらの併用基油の中で、前記有機酸エステルを併用した場合には耐熱性や潤滑性が向上する場合がある。
本発明の自動車用潤滑油組成物には、その性能をより向上させるために、公知の酸化防止剤、金属清浄剤、無灰分散剤、油性剤、摩耗防止剤、極圧剤、金属不活性剤、防錆剤、粘度指数向上剤、流動点降下剤、消泡剤等の潤滑用添加剤を、1種で又は2種以上を適宜組み合わせて、本発明の効果を奏する範囲内で配合することが可能である。
酸化防止剤としては、2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール、2−tert−ブチル−4−ヒドロキシアニソール、2,5−ジ−tert−ブチルハイドロキノン、4−ヒドロキシメチル−2,6−ジ−tert−ブチルフェノール、4,4’−メチレンビス−2,6−ジ−tert−ブチルフェノール、2,2’−メチレンビス−4−メチル−6−tert−ブチルフェノール等のフェノール系、N−フェニル−α−ナフチルアミン、p,p’−ジオクチルジフェニルアミン等のアミン系、p,p’−ジノニルジフェニルアミン、混合ジアルキルジフェニルアミン、フェノチアジン等の硫黄系化合物等が例示される。これらの酸化防止剤は、単独で又は2種以上を適宜組合せて用いることができる。これらの酸化防止剤を使用する場合、その使用量は、通常本発明に係る炭化水素系基油(併用基油を使用する場合にはその併用基油を含む総量。)100重量部に対して0.01〜5重量部、好ましくは0.05〜3重量部添加することが推奨される。
金属清浄剤としては、Ca−石油スルフォネート、過塩基性Ca−石油スルフォネート、Ca−アルキルベンゼンスルフォネート、過塩基性Ca−アルキルベンゼンスルフォネート、Ba−アルキルベンゼンスルフォネート、過塩基性Ba−アルキルベンゼンスルフォネート、Mg−アルキルベンゼンスルフォネート、過塩基性Mg−アルキルベンゼンスルフォネート、Na−アルキルベンゼンスルフォネート、過塩基性Na−アルキルベンゼンスルフォネート、Ca−アルキルナフタレンスルフォネート、過塩基性Ca−アルキルナフタレンスルフォネートなどの金属スルフォネート、Ca−フェネート、過塩基性Ca−フェネート、Ba−フェネート、過塩基性Ba−フェネートなどの金属フェネート、Ca−サリシレート、過塩基性Ca−サリシレートなどの金属サリシレート、Ca−フォスフォネート、過塩基性Ca−フォスフォネート、Ba−フォスフォネート、過塩基性Ba−フォスフォネートなどの金属フォスフォネート、過塩基性Ca−カルボキシレート等が例示される。これらの金属清浄剤は、単独で又は2種以上を適宜組合せて用いることができる。これらの金属清浄剤を使用する場合、その使用量は、通常本発明に係る炭化水素系基油(併用基油を使用する場合にはその併用基油を含む総量。)100重量部に対して1〜10重量部、好ましくは2〜7重量部添加することが推奨される。
無灰分散剤としては、ポリアルケニルコハク酸イミド、ポリアルケニルコハク酸アミド、ポリアルケニルベンジルアミン、ポリアルケニルコハク酸エステル等が例示される。これらの無灰分散剤は、単独で又は2種以上を適宜組合せて用いることができる。これらの無灰分散剤を使用する場合、その使用量は、通常本発明に係る炭化水素系基油(併用基油を使用する場合にはその併用基油を含む総量。)100重量部に対して1〜10重量部、好ましくは2〜7重量部添加することが望ましい。
油性剤としては、ステアリン酸、オレイン酸などの脂肪族飽和及び不飽和モノカルボン酸、ダイマー酸、水添ダイマー酸などの重合脂肪酸、リシノレイン酸、12−ヒドロキシステアリン酸などのヒドロキシ脂肪酸、ラウリルアルコール、オレイルアルコールなどの脂肪族飽和及び不飽和モノアルコール、ステアリルアミン、オレイルアミンなどの脂肪族飽和及び不飽和モノアミン、ラウリン酸アミド、オレイン酸アミドなどの脂肪族飽和及び不飽和モノカルボン酸アミド、バチルアルコール、キミルアルコール、セラキルアルコールなどのグリセリンエーテル、ラウリルポリグリセリンエーテル、オレイルポリグリセリルエーテルなどのアルキル若しくはアルケニルポリグリセリルエーテル、ジ(2−エチルヘキシル)モノエタノールアミン、ジイソトリデシルモノエタノールアミンなどのアルキル若しくはアルケニルアミンのポリ(アルキレンオキサイド)付加物等が例示される。これらの油性剤は、単独で又は2種以上を適宜組合せて用いてもよい。これらの油性剤を使用する場合、その使用量は、通常本発明に係る炭化水素系基油(併用基油を使用する場合にはその併用基油を含む総量。)100重量部に対して0.01〜5重量部、好ましくは0.1〜3重量部添加することが推奨される。
摩耗防止剤・極圧剤としては、トリクレジルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、アルキルフェニルホスフェート類、トリブチルホスフェート、ジブチルホスフェート等のリン酸エステル類、トリブチルホスファイト、ジブチルホスファイト、トリイソプロピルホスファイト等の亜りん酸エステル類及びこれらのアミン塩等のリン系、硫化油脂、硫化オレイン酸などの硫化脂肪酸、ジベンジルジスルフィド、硫化オレフィン、ジアルキルジスルフィドなどの硫黄系、Zn−ジアルキルジチオフォスフェート、Zn−ジアルキルジチオフォスフェート、Mo−ジアルキルジチオフォスフェート、Mo−ジアルキルジチオカルバメートなどの有機金属系化合物等が例示される。これらの摩耗防止剤は、単独で又は2種以上を適宜組合せて用いることができる。これらの摩耗防止剤・極圧剤を使用する場合、その使用量は、通常本発明に係る炭化水素系基油(併用基油を使用する場合にはその併用基油を含む総量。)100重量部に対して0.01〜10重量部、好ましくは0.1〜5重量部添加することが望ましい。
金属不活性剤としては、ベンゾトリアゾール系、チアジアゾール系、没食子酸エステル系の化合物等が例示される。これらの金属不活性剤は、単独で又は2種以上を適宜組合せて用いることができる。これらの金属不活性剤を使用する場合、その使用量は、通常潤滑油基油(併用基油を使用する場合にはその併用基油を含む総量。)100重量部に対して0.01〜0.4重量部、好ましくは0.01〜0.2重量部添加することが推奨される。
防錆剤としては、ドデセニルコハク酸ハーフエステル、オクタデセニルコハク酸無水物、ドデセニルコハク酸アミドなどのアルキル又はアルケニルコハク酸誘導体、ソルビタンモノオレエート、グリセリンモノオレエート、ペンタエリスリトールモノオレエートなどの多価アルコール部分エステル、Ca−石油スルフォネート、Ca−アルキルベンゼンスルフォネート、Ba−アルキルベンゼンスルフォネート、Mg−アルキルベンゼンスルフォネート、Na−アルキルベンゼンスルフォネート、Zn−アルキルベンゼンスルフォネート、Ca−アルキルナフタレンスルフォネートなどの金属スルフォネート、ロジンアミン、N−オレイルザルコシンなどのアミン類、ジアルキルホスファイトアミン塩等が例示される。これらの防錆剤は、単独で又は2種以上を適宜組合せて用いることができる。これらの防錆剤を使用する場合、その使用量は、通常本発明に係る炭化水素系基油(併用基油を使用する場合にはその併用基油を含む総量。)100重量部に対して0.01〜5重量部、好ましくは0.05〜2重量部添加することが推奨される。
粘度指数向上剤としては、ポリアルキルメタクリレート、ポリアルキルスチレン、ポリブテン、エチレン−プロピレン共重合体、スチレン−ジエン共重合体、スチレン−無水マレイン酸エステル共重合体などのオレフィン共重合体が例示される。これらの粘度指数向上剤は、単独で又は2種以上を適宜組合せて用いることができる。これらの粘度指数向上剤を使用する場合、その使用量は、通常本発明に係る炭化水素系基油(併用基油を使用する場合にはその併用基油を含む総量。)100重量部に対して0.1〜15重量部、好ましくは0.5〜7重量部添加することが推奨される。
流動点降下剤としては、塩素化パラフィンとアルキルナフタレンの縮合物、塩素化パラフィンとフェノールの縮合物、粘度指数向上剤であるポリアルキルメタクリレート、ポリアルキルスチレン、ポリブテン等が例示される。これらの流動点降下剤は、単独でまたは2種以上を組合せて用いることができる。これらの流動点向上剤を使用する場合、その使用量は、通常本発明に係る炭化水素系基油(併用基油を使用する場合にはその併用基油を含む総量。)100重量部に対して0.01〜5重量部、好ましくは0.1〜3重量部添加することが望ましい。
消泡剤としては、液状シリコーンが適しており、消泡剤を使用する場合、その添加量は、通常潤滑油基油(併用基油を使用する場合にはその併用基油を含む。)100重量部に対して0.0005〜0.01重量部添加することが推奨される。
かくして得られる本発明の自動車用潤滑油組成物は、上述の通り、耐熱酸化安定性、高温清浄性、耐水性及び材料適合性のバランスに優れることから、自動車用途に最適に使用できる。またその中でも、エンジン用、変速機用またはショックアブソーバー用潤滑油用途がより有効性が高く、特にエンジン用潤滑油用途が最も有用である。
以下に実施例を掲げて本発明を詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、本実施例及び比較例において、エステルの諸性状、潤滑油の物理特性、化学特性は以下の方法により測定した。特に言及していない化合物は試薬を使用した。
(a)エステル組成の分析
下記条件を用いてガスクロマトグラフィーを測定し、得られたガスクロマトグラムの面積比をもって組成比とした。
測定条件
機器:島津製作所製 GC−2010
使用カラム:J&W製TC−5 30m×0.25mm
カラム温度:100〜300℃(昇温速度20℃/min)
インジェクション温度/検出温度:300℃/300℃
検出器:FID
キャリアガス:ヘリウム
ガス流量:0.97mL/min
(b)全酸価
JIS K2501(2003年)に準拠して測定した。
(c)動粘度
JIS K2283(2000年)に準拠して、40℃、100℃における動粘度を測定した。
(d)粘度指数
JIS K2283(2000年)に準拠して算出した。
(e)低温流動性試験
JIS K2269(1987年)に準拠して流動点を測定した。
(f)引火点
JIS K2265.4(クリーブランド解放式)(2007年)に準拠して測定した。
(g)耐熱酸化安定性試験
表1又は表2に記載の組成比の炭化水素系基油とエステルとからなる混合油100重量部に、酸化防止剤として2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール及びp,p’−ジオクチルジフェニルアミン各1.0重量部を添加してなる潤滑油を調製した。当該試験は、通常酸化防止剤などの添加剤を加えて行われる為、実施例及び比較例において同一の添加剤を配合して比較試験を行った。内径33mm、高さ85mmのガラス製試験管にその潤滑油0.2gと鋼、アルミ、銅の針金をそれぞれ2mmの長さに切ったものを入れて共栓の蓋をし、蓋が開かないように止め金を付けた。その試験管をオーブンに入れ、190℃で20時間加熱した。試験後の潤滑油の酸価を測定して、酸化試験前の酸価との差を求め、その差を酸価上昇値とした。酸価上昇値(mgKOH/g)が小さいものほど熱酸化安定性が良好であると判定される。
酸価上昇値(mgKOH/g)=試験後の酸価−試験前の酸価
(h)高温清浄性試験
ホットチューブテスタ(コマツエンジニアリング社製)を用いて評価した。表1又は表2に記載の組成比の炭化水素系基油とエステルとからなる混合油100重量部に、酸化防止剤として4,4’−メチレンビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール)及びp,p’−ジオクチルジフェニルアミン各0.5重量部を添加してなる潤滑油を調製した。当該試験は、通常酸化防止剤などの添加剤を加えて行われる為、実施例及び比較例において同一の添加剤を配合して比較試験を行った。ガラスチューブ内を290℃に保ち、その潤滑油0.31mL/時間、空気10mL/分の割合で16時間注入する。試験後にガラスチューブをn−ヘキサンで洗浄し、十分に乾燥させた後、汚れを評点見本と比較しカラー評点(0〜10点満点)として判定した。又、ガラスチューブの重量増加をコーク量(mg)とした。この際、評点の高い程、或いはコーク量の少ない程、高温清浄性が良好であることを示す。
(i)材料適合性試験
表1又は表2に記載の組成比の炭化水素系基油とエステルとからなる混合油100重量部に、酸化防止剤として2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール1.0重量部を添加してなる潤滑油を調製した。当該試験は、通常酸化防止剤などの添加剤を加えて行われる為、実施例及び比較例において同一の添加剤を配合して試験評価を行った。内径33mm、高さ85mmのガラス製試験管にその潤滑油50gとシート状のニトリルゴム(20mm×20mm、厚さ1mm)を入れて共栓の蓋をし、蓋が開かないように止め金を付けた。その試験管をオーブンに入れ、120℃で72時間加熱した。試験後にゴムを取り出し、n−ヘキサンで洗浄した後、冷風にてn−ヘキサンを揮発させ、さらに1時間デシケーターにて室温・常圧で保管した後、ゴムの重量増加を測定した。試験前後の重量変化率(重量%)が大きいものほど(即ち、試験前よりも試験後の重量が増加したものほど)、ゴムへの膨潤性が大きいと判定される。なお、重量変化率が負の値となった場合は実用性がないと判断される。重量変化率(重量%)は下記の式に従って算出した。
重量変化率(重量%)=(試験前後で変化したゴムの重量/試験前のゴムの重量)×100
(j)耐水性の評価
内径6.6mm、高さ30cmのガラス試験管に長さ4cmの鉄、銅およびアルミニウムの針金を入れ、各実施例又は比較例に記載のエステルを2.0g、蒸留水を0.2g秤取る。アスピレーターで脱気しながらその試験管を封じ、オーブンに入れて175℃で40時間加熱する。試験後のエステルの酸価を測定して、試験前の酸価との差を求めた。酸価の上昇値(mgKOH/g)が小さいものほど、エステル自身の耐加水分解性が良好であることを示す。そして、この値は本発明の自動車用潤滑油組成物の耐水性に直接的に反映する指標として相対的な評価ができる値である。
酸価上昇値(mgKOH/g)=試験後の酸価−試験前の酸価
[製造例1]
撹拌機、温度計、Dean−Stark水分離器を備えた4ツ口フラスコに、仕込み原料である酸成分として1,2−シクロヘキサンジカルボン酸無水物231g(1.5モル)及びモノアルコール成分として2−メチル−1−プロパノール244.2g(3.3モル)、並びに水同伴剤としてキシレンを仕込み原料に対し5重量%に相当する量(23.8g)及びエステル化触媒として酸化スズ触媒を仕込み原料に対し0.2重量%に相当する量(0.95g)を仕込み、窒素置換した後、窒素雰囲気下、徐々に220℃まで昇温した。エステル化反応中に副生した水を水分分離器で除去しながら、常圧で15時間エステル化反応を行い、引き続き220℃を保持したまま減圧下(0.02MPa)で5時間反応し続けて、反応混合物の酸価は5mgKOH/g以下となり、エステル化粗物を得た。
次に、そのエステル化粗物の後処理を行った。まずエステル化粗物からキシレン及び過剰の2−メチル−1−プロパノールを180℃、1330Paの減圧条件下で留去し、得られた液状残査に5%苛性ソーダ水溶液30gを加えて80℃で2時間撹拌を行なうことにより中和を行った。その中和処理をしたものを水洗水の水層が中性になるまで繰り返し水洗して液状物を得た。次いで活性アルミナを加えて攪拌して吸着処理した後、吸引濾過をして1,2−シクロヘキサンジカルボン酸ジ(2−メチルプロピル)(以下「エステルA」という)394gを得た。
エステルAの酸価は0.01mgKOH/g、水酸基価は1mgKOH/g未満、硫酸灰分は30ppm未満であった。
前記1,2−シクロヘキサンジカルボン酸無水物は、新日本理化社製「リカシッドHH」を使用した。該無水物は、無水マレイン酸と1,3−ブタジエンとをディールス・アルダー反応をすることにより調製した4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物の二重結合を水素化することにより調製された無水物である。
[製造例2]
仕込み原料のモノアルコール成分を2−メチル−1−プロパノール122.1g(1.65モル)、2−エチル−1−ヘキサノール214.5g(1.65モル)に代え、常圧でのエステル化反応時間を5時間とした他は、製造例1と同様の方法により、エステル混合物(以下「エステルB」という)515gを得た。エステル化反応終了時の反応混合物の酸価は1mgKOH/g以下であった。
エステルBの酸価は0.01mgKOH/g、水酸基価は1mgKOH/g未満、硫酸灰分は30ppm未満であった。エステルBの組成は、ガスクロマトグラムから以下の通りであった。
エステルB;
(a)1,2−シクロヘキサンジカルボン酸ジ(2−メチルプロピル)
(b)1,2−シクロヘキサンジカルボン酸(2−メチルプロピル)(2−エチルヘキシル)
(c)1,2−シクロヘキサンジカルボン酸ジ(2−エチルヘキシル)
(a)/(b)/(c)=20.5/47.3/32.2(面積%)
なお、前記(b)は、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸と2−メチル−1−プロパノール及び2−エチル−1−ヘキサノールとから得られる混基エステルと同義である。
[製造例3]
仕込み原料のモノアルコール成分を2−メチル−1−プロパノール122.1g(1.65モル)、3,5,5−トリメチル−1−ヘキサノール(協和発酵ケミカル社製「ノナノール」)237.6g(1.65モル)に代え、常圧でのエステル化反応時間を5時間とした他は、製造例1と同様の方法により、エステル混合物(以下「エステルC」という)547gを得た。エステル化反応終了時の反応混合物の酸価は1mgKOH/g以下であった。
エステルCの酸価は0.01mgKOH/g、水酸基価は1mgKOH/g未満、硫酸灰分は30ppm未満であった。エステルCの組成は、ガスクロマトグラムから以下の通りであった。
エステルC;
(a)1,2−シクロヘキサンジカルボン酸ジ(2−メチルプロピル)
(b)1,2−シクロヘキサンジカルボン酸(2−メチルプロピル)(3,5,5−トリメチルヘキシル)
(c)1,2−シクロヘキサンジカルボン酸ジ(3,5,5−トリメチルヘキシル)
(a)/(b)/(c)=17.3/55.1/27.6(面積%)
なお、前記(b)は、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸と2−メチル−1−プロパノール及び3,5,5−トリメチルヘキサノールとから得られる混基エステルと同義である。
[製造例4]
仕込み原料のモノアルコール成分を2−メチル−1−プロパノール73.3g(0.99モル)、イソノナノール(協和発酵ケミカル社製、製品名「オキソコール900」)332.6g(2.31モル)に代え、常圧でのエステル化反応時間を5時間とした他は、製造例1と同様の方法により、エステル混合物(以下「エステルD」という)587gを得た。エステル化反応終了時の反応混合物の酸価は1mgKOH/g以下であった。
エステルDの酸価は0.01mgKOH/g、水酸基価は1mgKOH/g未満、硫酸灰分は30ppm未満であった。エステルDの組成は、ガスクロマトグラムから以下の通りであった。
エステルD;
(a)1,2−シクロヘキサンジカルボン酸ジ(2−メチルプロピル)
(b)1,2−シクロヘキサンジカルボン酸(2−メチルプロピル)(イソノニル)
(c)1,2−シクロヘキサンジカルボン酸ジ(イソノニル)
(a)/(b)/(c)=7.5/45.6/46.9(面積%)
なお、前記(b)は、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸と2−メチル−1−プロパノール及びイソノナノールとから得られる混基エステルと同義である。また当該「イソノナノール」は、炭素数9の分岐鎖状の飽和脂肪族モノアルコールの異性体を含む混合物である。
[製造例5]
仕込み原料のモノアルコール成分を2−メチル−1−プロパノール122.1g(1.65モル)、イソデカノール(協和発酵ケミカル社製,製品名「デカノール」)260.7g(1.65モル)に代え、常圧でのエステル化反応時間を5時間とした他は、製造例1と同様の方法により、エステル混合物(以下「エステルE」という)565gを得た。エステル化反応終了時の反応混合物の酸価は1mgKOH/g以下であった。
エステルEの酸価は0.01mgKOH/g、水酸基価は1mgKOH/g未満、硫酸灰分は30ppm未満であった。エステルEの組成は、ガスクロマトグラムから以下の通りであった。
エステルE;
(a)1,2−シクロヘキサンジカルボン酸ジ(2−メチルプロピル)
(b)1,2−シクロヘキサンジカルボン酸(2−メチルプロピル)(イソデシル)
(c)1,2−シクロヘキサンジカルボン酸ジ(イソデシル)
(a)/(b)/(c)=19.0/48.7/32.3(面積%)
なお、前記(b)は、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸と2−メチル−1−プロパノール及びイソデカノールとから得られる混基エステルと同義である。また当該「イソデカノール」は、炭素数10の分岐鎖状の飽和脂肪族モノアルコールの異性体を含む混合物である。
[実施例1〜7、比較例1〜3]
自動車用潤滑油添加剤として製造例1〜5で得られたエステルA〜Eを用い、炭化水素系基油にそのエステルA〜Eを混合して、本発明の自動車用潤滑油組成物を調製した。また比較例として、ポリオールエステルと炭化水素系基油とを混合した本発明外の潤滑油を調製した。
当該自動車用潤滑油組成物の組成(比)、動粘度、粘度指数、引火点及び流動点の測定結果、並びに耐熱酸化安定性、高温清浄性、材料適合性及び耐水性の評価結果を表1又は表2に示した。なお、炭化水素系基油及び比較例で用いたポリオールエステル(以下「エステルa」という)は下記の通りである。
PAO;「SpectraSyn4」(製品名,エクソンモービルケミカル社製)
鉱油;「コスモニュートラル100」(製品名,コスモ石油ルブリカンツ社製)
エステルa;トリメチロールプロパンと1−オクタン酸及び1−デカン酸とから得られるトリエステル混合物(1−オクタン酸:1−デカン酸=6:4(モル比))
[比較例4〜5]
炭化水系基油の動粘度、粘度指数、引火点及び流動点の測定結果、並びに耐熱酸化安定性、高温清浄性、材料適合性及び耐水性の評価結果を表2に示した。
表1及び表2より、本発明に係る脂環式ジカルボン酸ジエステルを自動車用潤滑油添加剤として配合することにより、炭化水素系基油に対して、高い潤滑性能を維持しつつ、耐熱酸化安定性、高温清浄性、耐水性、材料適合性をバランスよく付与している(或いは向上している)ことがわかる。そしてその使用量(配合量)が比較的少量の範囲でそれらの効果を奏する点が特徴と言える。また、自動車用潤滑油組成物としての観点からも、従来から使用されてきた炭化水素系基油とポリオールエステルとからなる潤滑油と比較しても、高い潤滑性能を有し、耐熱酸化安定性、高温清浄性、耐水性及び材料適合性(適度なゴムへの膨潤性)のバランスに優れていることが判る。
本発明の自動車用潤滑油添加剤は、少ない添加量の範囲で炭化水素系基油に対して、高い潤滑性能を維持しつつ、耐熱酸化安定性、高温清浄性、耐水性、材料適合性をバランスよく付与している(或いは向上している)ことが可能であり、加えて経済的な寄与も可能であり、自動車用途に最良である。また、本発明の自動車用潤滑油組成物は、高い潤滑性能を有し、耐熱酸化安定性、高温清浄性、耐水性及び材料適合性のバランスに優れることから、自動車用途に最適である。その中でも、エンジン用、変速機用又はショックアブソーバー用用途に有効である。

Claims (6)

  1. 炭化水素系基油と一般式(1)
    [式中、R及びRは、同一又は異なって、炭素数4〜10の分岐鎖状のアルキル基を表す。またAは、シクロヘキサン環又はシクロヘキセン環を表し、Xは水素原子又はメチル基を表す。]
    で表される脂環式ジカルボン酸ジエステル1種又は2種以上とを含有し、該脂環式ジカルボン酸ジエステルの含有量が炭化水素系基油100重量部に対して0.5〜20重量部の範囲である、自動車のエンジン用、変速機用又はショックアブソーバー用潤滑油組成物
  2. さらに一般式(1)におけるR及びRの少なくとも一方が2−メチルプロピル基である、請求項1に記載の潤滑油組成物。
  3. 炭化水素系基油が80〜160の粘度指数を有するものである、請求項1又は請求項2に記載の潤滑油組成物。
  4. 滑油組成物の引火点が200℃以上であり、かつ100℃における動粘度が1.5〜40mm/sである、請求項1〜3の何れかに記載の潤滑油組成物。
  5. 一般式(1)
    [式中、R及びRは、同一又は異なって、炭素数4〜10の分岐鎖状のアルキル基を表す。またAは、シクロヘキサン環又はシクロヘキセン環を表し、Xは水素原子又はメチル基を表す。]
    で表される脂環式ジカルボン酸ジエステルからなる自動車のエンジン用、変速機用又はショックアブソーバー用潤滑油添加剤。
  6. さらに一般式(1)におけるR及びRの少なくとも一方が2−メチルプロピル基である、請求項5に記載の潤滑油添加剤。
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