JP2005179531A - 冷凍機油組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】 金属加工油などの混入物に対する溶解性及び安定性、潤滑性、空気や水に対する安定性並びに電気絶縁性に優れると共に、高水準の油戻り性を達成することが可能な冷凍機油組成物を提供すること。
【解決手段】 炭化水素系油と、組成物全量基準で0.1質量%以上5質量%未満の脂環式多価カルボン酸エステル化合物と、を含有することを特徴とする冷凍機油組成物。
【選択図】 なし

Description

本発明は冷凍機油組成物に関する。
冷凍機器としては、圧縮機、凝縮器、膨張機構、凝縮器などを有する循環式の冷凍システムを備えるものがある。このような冷凍機器においては、冷媒が冷凍システムを循環することにより熱交換が行われる。
近年、冷凍機器の分野では、オゾン層破壊及び地球温暖化の防止の観点から、塩素含有フロンから塩素を含まないハイドロフルオロカーボン(HFC)への冷媒代替化が進められている。
また、HFC冷媒用冷凍機として、アルキルベンゼン等の炭化水素系油を冷凍機油として用いたシステムが提案されている(例えば、特許文献1、2参照)。
特開平5−157379号公報 特開平8−27479号公報
アルキルベンゼン等の炭化水素系油を冷凍機油として使用するメリットとしては、先ず、冷凍機の加工時に使用される金属加工油が冷凍機油に混入したときにスラッジが生成しにくい点が挙げられる。また、混入した金属加工油が溶解しやすいこと、エステルやエーテルなどに比べて安価であること、潤滑性に優れること、空気や水分が混入しても劣化しにくいこと、電気絶縁性に優れることなどの点でも有用である。
一方、アルキルベンゼン等の炭化水素系油は、通常、HFC冷媒と相溶しない又は相溶し難いという性質を有するが、このような冷凍機油を用いる非相溶系冷凍システムの場合であっても、冷凍機油が冷媒と共に圧縮機から吐出される。そのため、炭化水素系油には冷凍システム内を循環して再び圧縮機に戻る特性(以下、「油戻り性」という)が求められる。
非相溶系冷凍システムのサイクルが短い場合には、冷媒の一部が溶解することによる冷凍機油の低粘度化、あるいは冷凍機油自体の有する流動性により油戻り性を確保することができる。しかしながら、近年、エアーコンディショナー等の配管は長くなる傾向にあり、このような冷凍機器に非相溶系冷凍機油を適用すると十分な油戻り性が得られないことがある。
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであり、金属加工油などの混入物に対する溶解性及び安定性、潤滑性、空気や水に対する安定性並びに電気絶縁性に優れると共に、高水準の油戻り性を達成することが可能な冷凍機油組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、炭化水素系油を含有する冷凍機油組成物において、特定量の脂環式多価カルボン酸エステル化合物を含有せしめることによって上記課題が解決されることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の冷凍機油組成物は、炭化水素系油と、組成物全量基準で0.1質量%以上5質量%未満の脂環式多価カルボン酸エステル化合物と、を含有することを特徴とする。
本発明の冷凍機油組成物において、炭化水素系油は基油として好適に使用される。かかる炭化水素系油の含有量は、組成物全量基準で60質量%以上であることが好ましい。これにより、金属加工油などの混入物に対する溶解性及び安定性、潤滑性、空気や水に対する安定性並びに電気絶縁性を更に向上させることができる。
本発明によれば、金属加工油などの混入物に対する溶解性及び安定性、潤滑性、空気や水に対する安定性並びに電気絶縁性に優れると共に、高水準の油戻り性を達成することが可能な冷凍機油組成物が提供される。
以下、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。
本発明で用いられる炭化水素系油としては、鉱油、オレフィン重合体、ナフタレン化合物、アルキルベンゼンあるいはこれらの2種以上の混合物などが挙げられる。
鉱油としては、パラフィン基系原油、中間基系原油あるいはナフテン基系原油を常圧蒸留および減圧蒸留して得られた潤滑油留分に対して、溶剤脱れき、溶剤抽出、水素化分解、溶剤脱ロウ、接触脱ロウ、水素化精製、硫酸洗浄、白土処理の1種もしくは2種以上の精製手段を適宜組み合わせて適用して得られるパラフィン系又はナフテン系の鉱油を挙げることができる。
これらの鉱油の中でも、熱安定性により優れる点から、高度に精製された鉱油を用いることが好ましい。本発明で用いられる高度精製鉱油としては、非芳香族不飽和分(不飽和度)が10%以下であることが好ましい。この不飽和度が10%より多い場合はスラッジ発生の原因、キャピラリーの詰まりの原因となる可能性がある。このような点から本発明においては、上記不飽和度をより好ましくは5%以下、更により好ましくは1%以下、最も好ましくは0.1%以下とする。このような高度精製鉱油の具体例としては、例えば、パラフィン基系原油、中間基系原油あるいはナフテン基系原油を常圧蒸留するかあるいは常圧蒸留の残渣油を減圧蒸留して得られる留出油を常法に従って精製することによって得られる精製油、あるいは精製後更に深脱ロウ処理することによって得られる深脱ロウ油、更には水素化処理によって得られる水添処理油などを挙げることができる。この際の精製法は特に制限はなく様々な方法が使用される。
通常は(a)水素化処理、(b)脱ロウ処理(溶剤脱ロウ又は水添脱ロウ)、(c)溶剤抽出処理、(d)アルカリ洗浄又は硫酸洗浄処理、(e)白土処理を単独で、あるいは適宜の順序で組み合わせて行う。また、同一処理を複数段に分けて繰り返し行うことも有効である。例えば、(i)留出油を水素化処理する方法、又は水素化処理した後、アルカリ洗浄又は硫酸洗浄処理を行う方法、(ii)留出油を水素化処理した後、脱ロウ処理する方法、(iii)留出油を溶剤抽出処理した後、水素化処理する方法、(iv)留出油に二段あるいは三段の水素化処理を行う、又はその後にアルカリ洗浄又は硫酸洗浄処理する方法、更には、(v)上述した(i)〜(iv)などの処理の後、再度脱ロウ処理して深脱ロウ油とする方法などがある。
本発明において用いられる高度精製鉱油としては、ナフテン系鉱油および深脱ロウ処理によって得られる鉱油が、低温流動性、低温時でのワックス析出がない等の点から好適である。この深脱ロウ処理は、苛酷な条件下での溶剤脱ロウ処理法やゼオライト触媒を用いた接触脱ロウ処理法などによって行われる。
オレフィン重合体としては、炭素数2〜12のオレフィンを重合させて得られるもの、およびこれを水素化処理したものが挙げられ、具体的には例えば、ポリブテン、ポリイソブテン、炭素数5〜12のα−オレフィンのオリゴマー(ポリαオレフィン)、エチレン−プロピレン共重合体、およびこれらの水素化処理したものなどが好ましく用いられる。
オレフィン重合体の製造方法は特に制限されず、種々の公知の方法で製造できる。この例としては例えば、ポリαオレフィンは、エチレンから製造されたαオレフィンを原料とし、これをチーグラー触媒法、ラジカル重合法、塩化アルミニウム法、フッ化ホウ素法等の公知の重合方法によって処理することにより製造される。
ナフタレン化合物としては、ナフタレン骨格を有するものであれば特に限定はないが、油戻り性に優れる点から、炭素数1〜10のアルキル基を1〜4個有し、かつアルキル基の合計炭素数が1〜10であるものが好ましく、炭素数1〜8のアルキル基を1〜3個有し、かつアルキル基の合計炭素数が3〜8であるものがより好ましい。
炭素数1〜10のアルキル基としては、具体的には例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、直鎖状又は分枝状のブチル基、直鎖状又は分枝状のペンチル基、直鎖状又は分枝状のヘキシル基、直鎖状又は分枝状のヘプチル基、直鎖状又は分枝状のオクチル基、直鎖状又は分枝状のノニル基、直鎖状又は分枝状のデシル基等が挙げられる。
なお、ナフタレン化合物としては、単一の構造の化合物だけでなく、2種以上の混合物であっても良い。
また、上記ナフタレン化合物の製造方法は特に制限されず、種々の公知の方法で製造できる。この例としては例えば、炭素数1〜10の炭化水素のハロゲン化物や、炭素数2〜10のオレフィン類又は炭素数8〜10のスチレン類を硫酸、リン酸、ケイタングステン酸、フッ化水素酸等の鉱酸、酸性白土、活性白土等の固体酸性物質および塩化アルミニウム、塩化亜鉛等のハロゲン化金属であるフリーデルクラフツ触媒等の酸触媒の存在下、ナフタレンへ付加する方法等が挙げられる。
アルキルベンゼンとしては、特に限定はないが、油戻り性に優れる点から、炭素数1〜40のアルキル基を1〜4個有し、かつアルキル基の合計炭素数が1〜40であるものが好ましく、炭素数1〜30のアルキル基を1〜4個有し、かつアルキル基の合計炭素数が3〜30であるものがより好ましい。
炭素数1〜40のアルキル基としては、具体的には例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、直鎖状又は分枝状のブチル基、直鎖状又は分枝状のペンチル基、直鎖状又は分枝状のヘキシル基、直鎖状又は分枝状のヘプチル基、直鎖状又は分枝状のオクチル基、直鎖状又は分枝状のノニル基、直鎖状又は分枝状のデシル基、直鎖状又は分枝状のウンデシル基、直鎖状又は分枝状のドデシル基、直鎖状又は分枝状のトリデシル基、直鎖状又は分枝状のテトラデシル基、直鎖状又は分枝状のペンタデシル基、直鎖状又は分枝状のヘキサデシル基、直鎖状又は分枝状のヘプタデシル基、直鎖状又は分枝状のオクタデシル基、直鎖状又は分枝状のノナデシル基、直鎖状又は分枝状のイコシル基、直鎖状又は分枝状のヘンイコシル基、直鎖状又は分枝状のドコシル基、直鎖状又は分枝状のトリコシル基、直鎖状又は分枝状のテトラコシル基、直鎖状又は分枝状のペンタコシル基、直鎖状又は分枝状のヘキサコシル基、直鎖状又は分枝状のヘプタコシル基、直鎖状又は分枝状のオクタコシル基、直鎖状又は分枝状のノナコシル基、直鎖状又は分枝状のトリアコンチル基、直鎖状又は分枝状のヘントリアコンチル基、直鎖状又は分枝状のドトリアコンチル基、直鎖状又は分枝状のトリトリアコンチル基、直鎖状又は分枝状のテトラトリアコンチル基、直鎖状又は分枝状のペンタトリアコンチル基、直鎖状又は分枝状のヘキサトリアコンチル基、直鎖状又は分枝状のヘプタトリアコンチル基、直鎖状又は分枝状のオクタトリアコンチル基、直鎖状又は分枝状のノナトリアコンチル基、直鎖状又は分枝状のテトラコンチル基(すべての異性体を含む)などが挙げられる。
これらのアルキル基は直鎖状又は分枝状のいずれであっても良いが、冷凍システムに使用される有機材料との適合性、潤滑性、電気絶縁性、並びに後述する脂環式多価カルボン酸エステルの添加による油戻り性の向上効果の点では直鎖状アルキルベンゼンが好ましい。一方、油戻り性、熱安定性、粘度特性などの点から分枝状アルキル基が好ましく、特に入手可能性の点から、プロピレン、ブテン、イソブチレンなどのオレフィンのオリゴマーから誘導される分枝状アルキル基がより好ましい。
なお、アルキルベンゼンとしては、単一の構造の化合物だけでなく、2種以上の混合物であっても良い。
上記アルキルベンゼンの製造方法は任意であり、何ら限定されるものでないが、一般に以下に示す合成法によって製造できる。
原料となる芳香族化合物としては、具体的には例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、メチルエチルベンゼン、ジエチルベンゼン、およびこれらの混合物などが用いられる。またアルキル化剤としては、具体的には例えば、エチレン、プロピレン、ブテン、イソブチレンなどの低級モノオレフィン(好ましくはプロピレン)の重合によって得られる炭素数6〜40の直鎖状又は分枝状のオレフィン;ワックス、重質油、石油留分、ポリエチレン、ポリプロピレンなどの熱分解によって得られる炭素数6〜40の直鎖状又は分枝状のオレフィン;灯油、軽油などの石油留分からn−パラフィンを分離し、これを触媒によりオレフィン化することによって得られる炭素数9〜40の直鎖状オレフィン;およびこれらの混合物などが使用できる。
またアルキル化の際に使用するアルキル化触媒としては、塩化アルミニウム、塩化亜鉛などのフリーデルクラフツ型触媒;硫酸、リン酸、ケイタングステン酸、フッ化水素酸、活性白土などの酸性触媒;など、公知の触媒が用いられる。
本発明の冷凍機油組成物に使用される炭化水素系油としては、上記したものの何れもが使用可能であり、それらは1種を単独で使用してもよく、あるいは2種以上併用してもよい。これらの炭化水素系油の中で、油戻り性の点からは、アルキルベンゼンが好ましい。更に、アルキルベンゼンの中でも、耐摩耗性及び低温時の摩擦特性に優れる点、有機材料との適合性に優れる点、並びに後述する脂環式多価カルボン酸エステル化合物の添加による油戻り性の向上効果が大きい点から、直鎖状アルキルベンゼンがより好ましい。
本発明の冷凍機油組成物における炭化水素系油の含有量は特に制限されないが、金属加工油などの混入物に対する溶解性及び安定性、潤滑性、空気や水に対する安定性並びに電気絶縁性の点から、組成物全量基準で、60質量%以上が好ましく、80質量%以上がより好ましく、90質量%以上が更に好ましい。また、後述するように、本発明の冷凍機油組成物は、脂環式多価カルボン酸エステル化合物を含有する限りにおいて炭化水素系油以外の基油を含有してもよいが、当該冷凍機油組成物の基油は炭化水素系油のみで構成されることが特に好ましい。
本発明においては、上記の炭化水素系油を含有する冷凍機油組成物に、組成物全量基準で0.1質量%以上5質量%未満の脂環式多価カルボン酸エステル化合物を含有せしめることによって、金属加工油などの混入物に対する溶解性及び安定性、潤滑性、空気や水に対する安定性並びに電気絶縁性を高水準に維持しつつ、油戻り性を向上させることができる。本発明で用いられる脂環式多価カルボン酸エステル化合物とは、脂環式環および下記一般式(1)で表されるエステル基を少なくとも2個有するものである。
−COOR1 (1)
[式(1)中、R1は炭素数1〜30の炭化水素基を表し、各エステル基のR1は同一でも異なっていてもよい。]
なお、炭化水素系油を含む冷凍機油組成物の油戻り性を改善する方法としては、冷媒と相溶するポリアルキレングリコール、ポリオールエステル、ポリビニルエーテルなどを混合する方法が考えられるが、本発明者らの検討によれば、このような方法では炭化水素系油の使用によるメリットが阻害され、本発明において目的とする効果を十分に得ることができない。具体的には、例えば相溶系のポリアルキレングリコールを併用すると、電気絶縁性の低下、空気が混入した場合の酸化安定性の低下、及び潤滑性の低下が起こりやすくなる。また、ポリオールエステルの場合、金属加工油などの混入による安定性の低下、潤滑性の低下が起こりやすくなる。また、ポリビニルエーテルの場合、空気の混入による酸化安定性の低下、及び潤滑性の低下が起こりやすくなる。
本発明に係る脂環式多価カルボン酸エステル化合物が有する脂環式環としては、シクロペンタン環、シクロペンテン環、シクロヘキサン環、シクロヘキセン環、シクロヘプタン環、シクロヘプテン環等が挙げられるが、シクロヘキサン環およびシクロヘキセン環が好ましい。更に、これらの中でも、長期又は過酷な条件下での使用時に粘度上昇が小さいこと、及び有機材料に対する悪影響が小さいことなどの点からは、二重結合を有さない脂環式環が好ましく、シクロヘキサン環がより好ましい。また、長期又は過酷な条件かでの使用時に全酸価の上昇が小さい点からは、二重結合を有する脂環式環が好ましく、シクロヘキセン環がより好ましい。
脂環式多価カルボン酸エステル化合物は、上述の通り、少なくとも2個のエステル基を有する。エステル基が1個である場合には油戻り性や熱・加水分解安定性が不十分であるため好ましくない。また、エステル基の個数には上限値は特に無いが、低温流動性の点から、4個以下であることが好ましく、3個以下であることがより好ましく、2個であることが更により好ましい。
また、上記式(1)で表されるエステル基のうち少なくとも2個は、脂環式環上の互いに隣接する炭素原子に結合していることが好ましい。脂環式環上の互いに隣接する炭素原子に結合していない場合には、熱・加水分解安定性が不十分であるため好ましくない。
さらに、式(1)で表されるエステル基の立体配置については特に制限されず、脂環式環上の隣接する炭素原子に結合した2個のカルボキシル基についてcis体、trans体のいずれであってもよい。また、脂肪族環式多価カルボン酸のうちcis体、trans体のうちのいずれか1種を単独で用いてもよく、cis体とtrans体との混合物を用いてもよい。しかしながら、熱・加水分解安定性の観点からはcis体が好ましく、熱・加水分解安定性と潤滑性との両立という観点からはtrans体が好ましい。さらに、cis体とtrans体とを混合して用いる場合、そのモル比は好ましくは20/80〜80/20、より好ましくは25/75〜75/25、さらに好ましくは30/70〜70/30である。cis体とtrans体とのモル比が前記の範囲内であると、二酸化炭素冷媒雰囲気下での潤滑性と熱・加水分解安定性との双方がより高水準で両立される傾向にある。
上記式(1)におけるR1は炭素数1〜30、好ましくは2〜24、より好ましくは3〜18の炭化水素基を表すが、ここでいう炭化水素基としては、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アルキルシクロアルキル基、アリール基、アルキルアリール基、アリールアルキル基等が挙げられる。この中でも、熱・加水分解安定性の点からアルキル基、シクロアルキル基またはアルキルシクロアルキル基であることが好ましい。
アルキル基としては、直鎖状のものであっても分枝状のものであっても良い。炭素数3〜18のアルキル基としては、具体的には例えば、直鎖状または分枝状のプロピル基、直鎖状または分枝状のブチル基、直鎖状または分枝状のペンチル基、直鎖状または分枝状のヘキシル基、直鎖状または分枝状のヘプチル基、直鎖状または分枝状のオクチル基、直鎖状または分枝状のノニル基、直鎖状または分枝状のデシル基、直鎖状または分枝状のウンデシル基、直鎖状または分枝状のドデシル基、直鎖状または分枝状のトリデシル基、直鎖状または分枝状のテトラデシル基、直鎖状または分枝状のペンタデシル基、直鎖状または分枝状のヘキサデシル基、直鎖状または分枝状のヘプタデシル基、直鎖状または分枝状のオクタデシル基などが挙げられる。
これらの中でも、直鎖状のアルキル基としては、熱・加水分解安定性の点から炭素数5以上のものが好ましく、油戻り性の点から炭素数18以下のものが好ましい。また、分枝状のアルキル基としては、熱・加水分解安定性の点から炭素数3以上のものが好ましく、油戻り性の点から炭素数18以下のものが好ましい。
シクロアルキル基としては、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基等が挙げられるが、熱・加水分解安定性の点からシクロヘキシル基が好ましい。また、アルキルシクロアルキル基とは、シクロアルキル基にアルキル基が結合したものであるが、熱・加水分解安定性の点からシクロヘキシル基にアルキル基が結合したものが好ましい。更に、アルキルシクロアルキル基としては、熱・加水分解安定性の点から総炭素数が6以上のものが好ましく、油戻り性、低温流動性の点から総炭素数が10以下のものが好ましい。
また、脂環式多価カルボン酸エステル化合物としては、脂環式環上の炭素原子に炭化水素基が1個または複数個結合していても良いことは勿論である。このような炭化水素基としてはアルキル基が好ましく、特にメチル基が好ましい。
本発明でいう脂環式多価カルボン酸エステル化合物は、上述した構造を有するものであるが、このようなエステル化合物は所定の酸成分とアルコール成分とを常法にしたがって、好ましくは窒素等の不活性ガス雰囲気下、エステル化触媒の雰囲気下または無触媒下で加熱しながらエステル化することにより調製される。ここで、熱・加水分解安定性、電気絶縁性の観点からは、無触媒下でのエステル化反応により調製することが好ましい。
脂環式多価カルボン酸エステル化合物の酸成分としては、シクロアルカンポリカルボン酸、シクロアルケンポリカルボン酸またはこれらの酸無水物が挙げられ、中でも、エステル基の少なくとも2個が脂環式環上の互いに隣接した炭素原子に結合したものが好ましく使用される。これらは1種または2種以上の混合物として用いることが可能である。具体的には、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸、1−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸、3−メチル−1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、4−メチル−1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、3−メチル−4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸、4−メチル−4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸、1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸、1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸およびそれらの酸無水物が挙げられる。このうち、調製したエステル化合物の長期又は過酷な条件下での使用時における粘度の上昇を抑えるという観点からは、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、3−メチル−1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、4−メチル−1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸、1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸およびそれらの酸無水物が好ましく、一方長期又は過酷な条件下での使用時における全酸価の上昇を抑えるという観点からは、4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸、1−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸、4−メチル−1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、3−メチル−4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸、4−メチル−4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸およびそれらの酸無水物が好ましい。
これら、脂環式多価カルボン酸およびその無水物の製造方法には特に制限はなく、任意の方法で得られたものが使用可能である。具体的には例えば、cis−4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸は、ブタジエンとマレイン酸無水物とを、ベンゼン溶媒中、100℃で反応せしめて得ることができる。
脂環式多価カルボン酸エステル化合物のアルコール成分(ROH;Rは上記式(1)中のRと同一の定義内容を表す。)としては、炭素数3〜18の直鎖状のアルコール、炭素数3〜18の分枝状のアルコールまたは炭素数5〜10のシクロアルコールが挙げられる。具体的には、直鎖状または分枝状のプロパノール(n−プロパノール、1−メチルエタノール等を含む)、直鎖状または分枝状のブタノール(n−ブタノール、1−メチルプロパノール、2−メチルプロパノール等を含む)、直鎖状または分枝状のペンタノール(n−ペンタノール、1−メチルブタノール、2−メチルブタノール、3−メチルブタノール等を含む)、直鎖状または分枝状のヘキサノール(n−ヘキサノール、1−メチルペンタノール、2−メチルペンタノール、3−メチルペンタノール等を含む)、直鎖状または分枝状のヘプタノール(n−ヘプタノール、1−メチルヘキサノール、2−メチルヘキサノール、3−メチルヘキサノール、4−メチルヘキサノール、5−メチルヘキサノール、2,4−ジメチルペンタノール等を含む)、直鎖状または分枝状のオクタノール(n−オクタノール、2−エチルヘキサノール、1−メチルヘプタノール、2−メチルヘプタノール等を含む)、直鎖状または分枝状のノナノール(n−ノナノール、1−メチルオクタノール、3,5,5−トリメチルヘキサノール、1−(2’−メチルプロピル)−3−メチルブタノール等を含む)、直鎖状または分枝状のデカノール(n−デカノール、iso−デカノール等を含む)、直鎖状または分枝状のウンデカノール(n−ウンデカノール等を含む)、直鎖状または分枝状のドデカノール(n−ドデカノール、iso−ドデカノール等を含む)、直鎖状または分枝状のトリデカノール、直鎖状または分枝状のテトラデカノール(n−テトラデカノール、iso−テトラデカノール等を含む)、直鎖状または分枝状のペンタデカノール、直鎖状または分枝状のヘキサデカノール(n−ヘキサデカノール、iso−ヘキサデカノール等を含む)、直鎖状または分枝状のヘプタデカノール、直鎖状または分枝状のオクタデカノール(n−オクタデカノール、iso−オクタデカノール等を含む)、シクロヘキサノール、メチルシクロヘキサノール、ジメチルシクロヘキサノールなどが挙げられる。
これらの中でも、下記アルコール(i)、(ii):
(i)炭素数1〜5の脂肪族1価アルコールからなる群より選ばれる少なくとも1種のアルコール、及び
(ii)炭素数6〜18の脂肪族1価アルコールからなる群より選ばれる少なくとも1種のアルコール
の混合物を用いて得られるものであることがより好ましい。このような混合アルコールを用いた場合には、得られる脂環式多価カルボン酸エステル化合物の冷媒雰囲気下での潤滑性と熱・加水分解安定性との双方がより高水準で両立されるとともに、油戻り性がより高められる傾向にある。なお、アルコール成分として上記アルコール(i)のみを単独で用いた場合には、得られる脂環式多価カルボン酸エステル化合物の冷媒雰囲気下での潤滑性や熱・加水分解安定性が低下する傾向にある。また、アルコール成分として上記アルコール(ii)のみを単独で用いた場合には、得られる脂環式多価カルボン酸エステル化合物の油戻り性が低下する傾向にある。
上記アルコール(i)に由来するR1としては、具体的には、直鎖状又は分岐鎖状のプロピル基、直鎖状又は分岐鎖状のブチル基、直鎖状又は分岐鎖状のペンチル基等が挙げられ、これらの中でも潤滑性と熱・加水分解安定性の両立という観点からはn−ブチル基、n−ペンチル基等の直鎖状アルキル基が、冷媒相溶性及び熱・加水分解安定性の両立という観点からはiso−ブチル基、iso−ペンチル基等の分岐鎖状アルキル基がそれぞれ好ましい。
他方、上記アルコール(ii)に由来するR1としては、具体的には、直鎖状又は分岐鎖状のヘキシル基、直鎖状又は分岐鎖状のヘプチル基、直鎖状又は分岐鎖状のオクチル基、直鎖状又は分岐鎖状のノニル基、直鎖状又は分岐鎖状のデシル基、直鎖状又は分岐鎖状のウンデシル基、直鎖状又は分岐鎖状のドデシル基、直鎖状又は分岐鎖状のトリデシル基、直鎖状又は分岐鎖状のテトラデシル基、直鎖状又は分岐鎖状のペンタデシル基、直鎖状又は分岐鎖状のヘキサデシル基、直鎖状又は分岐鎖状のヘプタデシル基、直鎖状又は分岐鎖状のオクタデシル基等が挙げられ、これらの中でも油戻り性の観点から炭素数6〜12のアルキル基が好ましく、炭素数7〜9のアルキル基がより好ましい。特に、潤滑性と油戻り性との両立という観点からはn−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基等の直鎖状アルキル基が好ましく、冷媒相溶性と熱・加水分解安定性との両立という観点からはiso−ヘプチル基、2−エチルヘキシル基、3,5,5−トリメチルヘキシル基等の分岐鎖状アルキル基が好ましい。
なお、上記アルコール(i)、(ii)の混合物を用いて得られる脂環式カルボン酸エステルとは、下記化合物[I−a]〜[I−c]:
[I−a]同一分子中に存在するR1で表される炭化水素基の少なくとも1個が上記アルコール(i)に由来するものであり、少なくとも1個が上記アルコール(ii)に由来するものである脂環式多価カルボン酸エステル化合物、
[I−b]同一分子中に存在するR1で表される炭化水素基の全てが上記アルコール(i)に由来するものである脂環式多価カルボン酸エステル化合物と、同一分子中に存在するR1で表される炭化水素基の全てが上記アルコール(ii)に由来するものである脂環式多価カルボン酸エステル化合物との混合物、及び
[I−c] [I−a]と[I−b]との混合物
を包含するものである。本発明においては、上記[I−a]〜[I−c]のうちのいずれも使用可能であるが、熱・加水分解安定性の観点から、[I−a]又は[I−c]であることが好ましい。
上記化合物[I−c]の場合、化合物[I−a]と[I−b]との含有割合については特に制限されないが、熱・加水分解安定性の観点から、化合物[I−c]の全量を基準として、[I−a]が5質量%以上であることが好ましく、10質量%以上であることがより好ましく、15質量%以上であることがさらに好ましく、20質量%以上であることが特に好ましい。
また、上記化合物[I−a]〜[I−c]において、アルコール(i)に由来するR1とアルコール(ii)に由来するR1とのモル比は特に制限されるものではないが、1/99〜99/1の範囲にあると潤滑性、熱・加水分解安定性、油戻り性の全てがより高水準で満たされるので好ましく、特に、前記モル比が、60/40〜99/1(より好ましくは70/30〜99/1、さらに好ましくは80/20〜99/1)の範囲にあると油戻り性がさらに高められる傾向にあり、また、前記モル比が1/99〜60/40(より好ましくは1/99〜50/50、さらに好ましくは1/99〜40/60)の範囲にあると冷媒雰囲気下での潤滑性と熱・加水分解安定性との双方がさらに高められる傾向にあるので好ましい。



エステル化反応を行うに際し、アルコール成分は、例えば酸1当量に対して1.0〜1.5当量、好ましくは1.05〜1.2当量用いられる。
更に、上記酸成分およびアルコール成分の代わりに、当該酸成分の低級アルコールエステル及び/又は当該アルコールの酢酸エステル、プロピオン酸エステル等を用いて、エステル交換反応により脂環式多価カルボン酸エステル化合物を得ることも可能である。
エステル化触媒としては、ルイス酸類、アルカリ金属塩、スルホン酸類等が例示され、具体的に、ルイス酸としては、アルミニウム誘導体、スズ誘導体、チタン誘導体等が例示され、アルカリ金属塩としては、ナトリウムアルコキシド、カリウムアルコキシド等が例示され、更にスルホン酸類としては、パラトルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、硫酸等が例示される。その使用量は、例えば、原料である酸成分及びアルコール成分の総量に対して、0.1〜1質量%程度用いられる。
エステル化する際の温度としては150℃〜230℃が例示され、通常3〜30時間で反応は完結する。
エステル化反応終了後、過剰の原料を減圧下又は蒸圧下において留去し、引き続いて慣用の精製方法、例えば液液抽出、減圧蒸留、活性炭処理などの吸着精製処理等により、エステル化合物を精製することができる。
また、本発明における脂環式多価カルボン酸エステル化合物は、相当する芳香族多価カルボン酸エステル化合物を核水添することによっても得ることができる。
本発明の冷凍機油組成物における脂環式多価カルボン酸エステル化合物の含有量は、上述の通り、組成物全量基準で0.1質量%以上5質量%未満である。すなわち、油戻り性を十分に向上させる点及び潤滑性の点から、脂環式多価カルボン酸エステル化合物の含有量は、組成物全量基準で、0.1質量%以上であることが必要であり、好ましくは0.5質量%以上、より好ましくは1質量%以上である。また、金属加工油などの混入物に対する安定性及び溶解性、潤滑性、空気や水分に対する安定性、並びに電気絶縁性の点から、脂環式多価カルボン酸エステル化合物の含有量は、組成物全量基準で、5質量%未満であることが必要であり、好ましくは4.5質量%以下、より好ましくは4質量%以下である。
本発明の冷凍機油組成物は、炭化水素系油及び脂環式多価カルボン酸エステル化合物を含有する限りにおいて、脂環式多価カルボン酸エステル化合物以外のエステル、ポリグリコール、ポリビニルエーテル、ケトン、ポリフェニルエーテル、シリコーン、ポリシロキサン、パーフルオロエーテルなどの酸素を含有する合成油を更に含有してもよい。酸素を含有する合成油としては、上記の中でも、脂環式多価カルボン酸エステル化合物以外のエステル、ポリグリコール、ポリビニルエーテル、ケトンが好ましく用いられる。
本発明の冷凍機油組成物が上記した酸素を含有する合成油を含有する場合、当該合成油の含有量は特に制限されないが、金属加工油などの混入物に対する安定性及び溶解性、潤滑性、空気や水分に対する安定性、電気絶縁性、並びに油戻り性の全てをバランスよく達成する点からは、炭化水素系油と脂環式多価カルボン酸エステル化合物との合計量100重量部に対して、酸素を含有する合成油が40重量部以下であることが好ましく、30重量部以下であることがより好ましく、20重量部以下であることが更に好ましく、10重量部以下であることが特に好ましい。
本発明の冷凍機油組成物は、炭化水素系油及び脂環式多価カルボン酸エステル化合物のみからなる組成物であっても好適に用いることができるが、必要に応じて各種添加剤を更に含有させてもよい。
具体的には例えば、本発明の冷凍機油組成物の耐摩耗性を更に向上させるために、リン系添加剤を更に含有させることができる。また、リン系添加剤の使用は、上述の油性剤を使用することによる耐摩耗性及び摩擦特性の向上効果を一層高めることができる点で非常に有効である。
本発明の冷凍機油組成物に含まれるリン系添加剤としては、リン酸エステル、酸性リン酸エステル、酸性リン酸エステルのアミン塩、塩素化リン酸エステル、亜リン酸エステル及びフォスフォロチオネートから選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
上記リン系添加剤のうち、リン酸エステル、酸性リン酸エステル、酸性リン酸エステルのアミン塩、塩素化リン酸エステル、亜リン酸エステルは、リン酸又は亜リン酸とアルカノール、ポリエーテル型アルコールとのエステルあるいはその誘導体である。
リン酸エステルとしては、トリブチルホスフェート、トリペンチルホスフェート、トリヘキシルホスフェート、トリヘプチルホスフェート、トリオクチルホスフェート、トリノニルホスフェート、トリデシルホスフェート、トリウンデシルホスフェート、トリドデシルホスフェート、トリトリデシルホスフェート、トリテトラデシルホスフェート、トリペンタデシルホスフェート、トリヘキサデシルホスフェート、トリヘプタデシルホスフェート、トリオクタデシルホスフェート、トリオレイルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、キシレニルジフェニルホスフェート等;
酸性リン酸エステルとしては、モノブチルアシッドホスフェート、モノペンチルアシッドホスフェート、モノヘキシルアシッドホスフェート、モノヘプチルアシッドホスフェート、モノオクチルアシッドホスフェート、モノノニルアシッドホスフェート、モノデシルアシッドホスフェート、モノウンデシルアシッドホスフェート、モノドデシルアシッドホスフェート、モノトリデシルアシッドホスフェート、モノテトラデシルアシッドホスフェート、モノペンタデシルアシッドホスフェート、モノヘキサデシルアシッドホスフェート、モノヘプタデシルアシッドホスフェート、モノオクタデシルアシッドホスフェート、モノオレイルアシッドホスフェート、ジブチルアシッドホスフェート、ジペンチルアシッドホスフェート、ジヘキシルアシッドホスフェート、ジヘプチルアシッドホスフェート、ジオクチルアシッドホスフェート、ジノニルアシッドホスフェート、ジデシルアシッドホスフェート、ジウンデシルアシッドホスフェート、ジドデシルアシッドホスフェート、ジトリデシルアシッドホスフェート、ジテトラデシルアシッドホスフェート、ジペンタデシルアシッドホスフェート、ジヘキサデシルアシッドホスフェート、ジヘプタデシルアシッドホスフェート、ジオクタデシルアシッドホスフェート、ジオレイルアシッドホスフェート等;
酸性リン酸エステルのアミン塩としては、前記酸性リン酸エステルのメチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、ペンチルアミン、ヘキシルアミン、ヘプチルアミン、オクチルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジブチルアミン、ジペンチルアミン、ジヘキシルアミン、ジヘプチルアミン、ジオクチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、トリペンチルアミン、トリヘキシルアミン、トリヘプチルアミン、トリオクチルアミン等のアミンとの塩等;
塩素化リン酸エステルとしては、トリス・ジクロロプロピルホスフェート、トリス・クロロエチルホスフェート、トリス・クロロフェニルホスフェート、ポリオキシアルキレン・ビス[ジ(クロロアルキル)]ホスフェート等;
亜リン酸エステルとしては、ジブチルホスファイト、ジペンチルホスファイト、ジヘキシルホスファイト、ジヘプチルホスファイト、ジオクチルホスファイト、ジノニルホスファイト、ジデシルホスファイト、ジウンデシルホスファイト、ジドデシルホスファイト、ジオレイルホスファイト、ジフェニルホスファイト、ジクレジルホスファイト、トリブチルホスファイト、トリペンチルホスファイト、トリヘキシルホスファイト、トリヘプチルホスファイト、トリオクチルホスファイト、トリノニルホスファイト、トリデシルホスファイト、トリウンデシルホスファイト、トリドデシルホスファイト、トリオレイルホスファイト、トリフェニルホスファイト、トリクレジルホスファイト等、が挙げられる。また、これらの混合物も使用できる。
フォスフォロチオネートは、下記一般式(2):
Figure 2005179531
[式中、R〜Rは同一でも異なっていてもよく、それぞれ炭素数1〜24の炭化水素基を示す]
で表される化合物である。
〜Rで示される炭素数1〜24の炭化水素基としては、具体的には、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルキルシクロアルキル基、アリール基、アルキルアリール基、アリールアルキル基等が挙げられる。
アルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基等のアルキル基(これらアルキル基は直鎖状でも分枝状でもよい)が挙げられる。
シクロアルキル基としては、例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基等の炭素数5〜7のシクロアルキル基を挙げることができる。また上記アルキルシクロアルキル基としては、例えば、メチルシクロペンチル基、ジメチルシクロペンチル基、メチルエチルシクロペンチル基、ジエチルシクロペンチル基、メチルシクロヘキシル基、ジメチルシクロヘキシル基、メチルエチルシクロヘキシル基、ジエチルシクロヘキシル基、メチルシクロヘプチル基、ジメチルシクロヘプチル基、メチルエチルシクロヘプチル基、ジエチルシクロヘプチル基等の炭素数6〜11のアルキルシクロアルキル基(アルキル基のシクロアルキル基への置換位置も任意である)が挙げられる。
アルケニル基としては、例えば、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、ヘプテニル基、オクテニル基、ノネニル基、デセニル基、ウンデセニル基、ドデセニル基、トリデセニル基、テトラデセニル基、ペンタデセニル基、ヘキサデセニル基、ヘプタデセニル基、オクタデセニル基等のアルケニル基(これらアルケニル基は直鎖状でも分枝状でもよく、また二重結合の位置も任意である)が挙げられる。
アリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基等のアリール基を挙げることができる。また上記アルキルアリール基としては、例えば、トリル基、キシリル基、エチルフェニル基、プロピルフェニル基、ブチルフェニル基、ペンチルフェニル基、ヘキシルフェニル基、ヘプチルフェニル基、オクチルフェニル基、ノニルフェニル基、デシルフェニル基、ウンデシルフェニル基、ドデシルフェニル基等の炭素数7〜18のアルキルアリール基(アルキル基は直鎖状でも分枝状でもよく、またアリール基への置換位置も任意である)が挙げられる。
アリールアルキル基としては、例えばベンジル基、フェニルエチル基、フェニルプロピル基、フェニルブチル基、フェニルペンチル基、フェニルヘキシル基等の炭素数7〜12のアリールアルキル基(これらアルキル基は直鎖状でも分枝状でもよい)が挙げられる。
上記R72〜R74で示される炭素数1〜24の炭化水素基は、アルキル基、アリール基、アルキルアリール基であることが好ましく、炭素数4〜18のアルキル基、炭素数7〜24のアルキルアリール基、フェニル基がより好ましい。
一般式(37)で表されるフォスフォロチオネートとしては、具体的には、トリブチルフォスフォロチオネート、トリペンチルフォスフォロチオネート、トリヘキシルフォスフォロチオネート、トリヘプチルフォスフォロチオネート、トリオクチルフォスフォロチオネート、トリノニルフォスフォロチオネート、トリデシルフォスフォロチオネート、トリウンデシルフォスフォロチオネート、トリドデシルフォスフォロチオネート、トリトリデシルフォスフォロチオネート、トリテトラデシルフォスフォロチオネート、トリペンタデシルフォスフォロチオネート、トリヘキサデシルフォスフォロチオネート、トリヘプタデシルフォスフォロチオネート、トリオクタデシルフォスフォロチオネート、トリオレイルフォスフォロチオネート、トリフェニルフォスフォロチオネート、トリクレジルフォスフォロチオネート、トリキシレニルフォスフォロチオネート、クレジルジフェニルフォスフォロチオネート、キシレニルジフェニルフォスフォロチオネート、トリス(n−プロピルフェニル)フォスフォロチオネート、トリス(イソプロピルフェニル)フォスフォロチオネート、トリス(n−ブチルフェニル)フォスフォロチオネート、トリス(イソブチルフェニル)フォスフォロチオネート、トリス(s−ブチルフェニル)フォスフォロチオネート、トリス(t−ブチルフェニル)フォスフォロチオネート等、が挙げられる。また、これらの混合物も使用できる。
これらのリン系添加剤を本発明の冷凍機油組成物に配合する場合、その配合量は特に制限されないが、通常、冷凍機油組成物全量基準(基油と全配合添加剤の合計量基準)で、好ましくは0.01〜10質量%、より好ましくは0.01〜5質量%、更に好ましくは0.01〜3質量%となるような量のリン化合物を配合することが望ましい。
また、本発明の冷凍機油組成物は、ベンゾトリアゾール及び/又はその誘導体を更に含有することが好ましい。ベンゾトリアゾール及び/又はその誘導体を含有せしめることで、耐摩耗性及び摩擦特性の向上効果をより高めることができる。
ベンゾトリアゾールとは、下記式(3)で表される化合物である。
Figure 2005179531
また、ベンゾトリアゾール誘導体としては、例えば、下記一般式(4)で表されるアルキルベンゾトリアゾールや、一般式(5)で表される(アルキル)アミノアルキルベンゾトリアゾール等が挙げられる。
Figure 2005179531
Figure 2005179531
上記式(4)中、Rは炭素数1〜4の直鎖状又は分枝状のアルキル基を、好ましくはメチル基又はエチル基を示し、またxは1〜3、好ましくは1又は2の数を示す。Rとしては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基等が挙げられる。式(4)で表されるアルキルベンゾトリアゾールとしては、特に酸化防止性に優れるという点から、Rがメチル基又はエチル基であり、xが1又は2である化合物が好ましく、例えば、メチルベンゾトリアゾール(トリルトリアゾール)、ジメチルベンゾトリアゾール、エチルベンゾトリアゾール、エチルメチルベンゾトリアゾール、ジエチルベンゾトリアゾール又はこれらの混合物等が挙げられる。
上記式(5)中、Rは炭素数1〜4の直鎖状又は分枝状のアルキル基、好ましくはメチル基又はエチル基を示し、Rはメチレン基又はエチレン基を示し、R及びRは同一でも異なっていてもよく、水素原子又は炭素数1〜18の直鎖状若しくは分枝状のアルキル基、好ましくは炭素数1〜12の直鎖状又は分枝状のアルキル基を示し、またyは0〜3、好ましくは0又は1の数を示す。Rとしては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基等が挙げられる。R及びRとしては、例えば、別個に、水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、直鎖又は分枝のペンチル基、直鎖又は分枝のヘキシル基、直鎖又は分枝のヘプチル基、直鎖又は分枝のオクチル基、直鎖又は分枝のノニル基、直鎖又は分枝のデシル基、直鎖又は分枝のウンデシル基、直鎖又は分枝のドデシル基、直鎖又は分枝のトリデシル基、直鎖又は分枝のテトラデシル基、直鎖又は分枝のペンタデシル基、直鎖又は分枝のヘキサデシル基、直鎖又は分枝のヘプタデシル基、直鎖又は分枝のオクタデシル基等のアルキル基が挙げられる。
上記式(5)で表される(アルキル)アミノベンゾトリアゾールとしては、特に酸化防止性に優れるという点から、Rがメチル基であり、yが0又は1であり、Rがメチレン基又はエチレン基であり、R及びRが炭素数1〜12の直鎖状又は分枝状のアルキル基であるジアルキルアミノアルキルベンゾトリアゾールやジアルキルアミノアルキルトリルトリアゾール又はこれらの混合物等が好ましく用いられる。これらのジアルキルアミノアルキルベンゾトリアゾールとしては、例えば、ジメチルアミノメチルベンゾトリアゾール、ジエチルアミノメチルベンゾトリアゾール、ジ(直鎖又は分枝)プロピルアミノメチルベンゾトリアゾール、ジ(直鎖又は分枝)ブチルアミノメチルベンゾトリアゾール、ジ(直鎖又は分枝)ペンチルアミノメチルベンゾトリアゾール、ジ(直鎖又は分枝)ヘキシルアミノメチルベンゾトリアゾール、ジ(直鎖又は分枝)ヘプチルアミノメチルベンゾトリアゾール、ジ(直鎖又は分枝)オクチルアミノメチルベンゾトリアゾール、ジ(直鎖又は分枝)ノニルアミノメチルベンゾトリアゾール、ジ(直鎖又は分枝)デシルアミノメチルベンゾトリアゾール、ジ(直鎖又は分枝)ウンデシルアミノメチルベンゾトリアゾール、ジ(直鎖又は分枝)ドデシルアミノメチルベンゾトリアゾール;ジメチルアミノエチルベンゾトリアゾール、ジエチルアミノエチルベンゾトリアゾール、ジ(直鎖又は分枝)プロピルアミノエチルベンゾトリアゾール、ジ(直鎖又は分枝)ブチルアミノエチルベンゾトリアゾール、ジ(直鎖又は分枝)ペンチルアミノエチルベンゾトリアゾール、ジ(直鎖又は分枝)ヘキシルアミノエチルベンゾトリアゾール、ジ(直鎖又は分枝)ヘプチルアミノエチルベンゾトリアゾール、ジ(直鎖又は分枝)オクチルアミノエチルベンゾトリアゾール、ジ(直鎖又は分枝)ノニルアミノエチルベンゾトリアゾール、ジ(直鎖又は分枝)デシルアミノエチルベンゾトリアゾール、ジ(直鎖又は分枝)ウンデシルアミノエチルベンゾトリアゾール、ジ(直鎖又は分枝)ドデシルアミノエチルベンゾトリアゾール;ジメチルアミノメチルトリルトリアゾール、ジエチルアミノメチルトリルトリアゾール、ジ(直鎖又は分枝)プロピルアミノメチルトリルトリアゾール、ジ(直鎖又は分枝)ブチルアミノメチルトリルトリアゾール、ジ(直鎖又は分枝)ペンチルアミノメチルトリルトリアゾール、ジ(直鎖又は分枝)ヘキシルアミノメチルトリルトリアゾール、ジ(直鎖又は分枝)ヘプチルアミノメチルトリルトリアゾール、ジ(直鎖又は分枝)オクチルアミノメチルトリルトリアゾール、ジ(直鎖又は分枝)ノニルアミノメチルトリルトリアゾール、ジ(直鎖又は分枝)デシルアミノメチルトリルトリアゾール、ジ(直鎖又は分枝)ウンデシルアミノメチルトリルトリアゾール、ジ(直鎖又は分枝)ドデシルアミノメチルトリルトリアゾール;ジメチルアミノエチルトリルトリアゾール、ジエチルアミノエチルトリルトリアゾール、ジ(直鎖又は分枝)プロピルアミノエチルトリルトリアゾール、ジ(直鎖又は分枝)ブチルアミノエチルトリルトリアゾール、ジ(直鎖又は分枝)ペンチルアミノエチルトリルトリアゾール、ジ(直鎖又は分枝)ヘキシルアミノエチルトリルトリアゾール、ジ(直鎖又は分枝)ヘプチルアミノエチルトリルトリアゾール、ジ(直鎖又は分枝)オクチルアミノエチルトリルトリアゾール、ジ(直鎖又は分枝)ノニルアミノエチルトリルトリアゾール、ジ(直鎖又は分枝)デシルアミノエチルトリルトリアゾール、ジ(直鎖又は分枝)ウンデシルアミノエチルトリルトリアゾール、ジ(直鎖又は分枝)ドデシルアミノエチルトリルトリアゾール;又はこれらの混合物等が挙げられる。
本発明の冷凍機油組成物におけるベンゾトリアゾール及び/又はその誘導体の含有量は任意であるが、組成物全量基準で、好ましくは0.001質量%以上、より好ましくは0.005質量%以上である。0.001質量%未満の場合には、ベンゾトリアゾール及び/又はその誘導体の含有による耐摩耗性及び摩擦特性の向上効果が不十分となるおそれがある。また、ベンゾトリアゾール及び/又はその誘導体の含有量は、組成物全量基準で、好ましくは1.0質量%以下、より好ましくは0.5質量%以下である。1.0質量%を超える場合は、含有量に見合うだけの耐摩耗性及び摩擦特性の向上効果が得られず経済的に不利となるおそれがある。
また、本発明の冷凍機油組成物は、その熱・加水分解安定性を更に改良するために、
(1)フェニルグリシジルエーテル型エポキシ化合物
(2)アルキルグリシジルエーテル型エポキシ化合物
(3)グリシジルエステル型エポキシ化合物
(4)アリルオキシラン化合物
(5)アルキルオキシラン化合物
(6)脂環式エポキシ化合物
(7)エポキシ化脂肪酸モノエステル
(8)エポキシ化植物油
からなる群より選ばれる少なくとも1種のエポキシ化合物を更に含有することが好ましい。
(1)フェニルグリシジルエーテル型エポキシ化合物としては、具体的には、フェニルグリシジルエーテル又はアルキルフェニルグリシジルエーテルが例示できる。ここでいうアルキルフェニルグリシジルエーテルとは、炭素数1〜13のアルキル基を1〜3個有するものが挙げられ、中でも炭素数4〜10のアルキル基を1個有するもの、例えばn−ブチルフェニルグリシジルエーテル、i−ブチルフェニルグリシジルエーテル、sec−ブチルフェニルグリシジルエーテル、tert−ブチルフェニルグリシジルエーテル、ペンチルフェニルグリシジルエーテル、ヘキシルフェニルグリシジルエーテル、ヘプチルフェニルグリシジルエーテル、オクチルフェニルグリシジルエーテル、ノニルフェニルグリシジルエーテル、デシルフェニルグリシジルエーテル等が好ましいものとして例示できる。
(2)アルキルグリシジルエーテル型エポキシ化合物としては、具体的には、デシルグリシジルエーテル、ウンデシルグリシジルエーテル、ドデシルグリシジルエーテル、トリデシルグリシジルエーテル、テトラデシルグリシジルエーテル、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールテトラグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテル、ポリアルキレングリコールモノグリシジルエーテル、ポリアルキレングリコールジグリシジルエーテル等が例示できる。
(3)グリシジルエステル型エポキシ化合物としては、具体的には下記一般式(6):
Figure 2005179531
[式中、R10は炭素数1〜18の炭化水素基を表す]
で表される化合物が挙げられる。
上記式(6)中、R10で表される炭素数1〜18の炭化水素基としては、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、炭素数5〜7のシクロアルキル基、炭素数6〜18のアルキルシクロアルキル基、炭素数6〜10のアリール基、炭素数7〜18のアルキルアリール基、炭素数7〜18のアリールアルキル基等が挙げられる。これらの中でも、炭素数5〜15のアルキル基、炭素数2〜15のアルケニル基、フェニル基及び炭素数1〜4のアルキル基を有するアルキルフェニル基が好ましい。
グリシジルエステル型エポキシ化合物の中でも、好ましいものとしては、具体的には例えば、グリシジル−2,2−ジメチルオクタノエート、グリシジルベンゾエート、グリシジル−tert−ブチルベンゾエート、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート等が例示できる。
(4)アリルオキシラン化合物としては、具体的には、1,2−エポキシスチレン、アルキル−1,2−エポキシスチレン等が例示できる。
(5)アルキルオキシラン化合物としては、具体的には、1,2−エポキシブタン、1,2−エポキシペンタン、1,2−エポキシヘキサン、1,2−エポキシヘプタン、1,2−エポキシオクタン、1,2−エポキシノナン、1,2−エポキシデカン、1,2−エポキシウンデカン、1,2−エポキシドデカン、1,2−エポキシトリデカン、1,2−エポキシテトラデカン、1,2−エポキシペンタデカン、1,2−エポキシヘキサデカン、1,2−エポキシヘプタデカン、1,1,2−エポキシオクタデカン、2−エポキシノナデカン、1,2−エポキシイコサン等が例示できる。
(6)脂環式エポキシ化合物としては、下記一般式(7):
Figure 2005179531
で表される化合物のように、エポキシ基を構成する炭素原子が直接脂環式環を構成している化合物が挙げられる。
脂環式エポキシ化合物としては、具体的には、1,2−エポキシシクロヘキサン、1,2−エポキシシクロペンタン、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート、エキソ−2,3−エポキシノルボルナン、ビス(3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル)アジペート、2−(7−オキサビシクロ[4.1.0]ヘプト−3−イル)−スピロ(1,3−ジオキサン−5,3’−[7]オキサビシクロ[4.1.0]ヘプタン、4−(1’−メチルエポキシエチル)−1,2−エポキシ−2−メチルシクロヘキサン、4−エポキシエチル−1,2−エポキシシクロヘキサン等が例示できる。
(7)エポキシ化脂肪酸モノエステルとしては、具体的には、エポキシ化された炭素数12〜20の脂肪酸と炭素数1〜8のアルコール又はフェノール、アルキルフェノールとのエステル等が例示できる。特にエポキシステアリン酸のブチル、ヘキシル、ベンジル、シクロヘキシル、メトキシエチル、オクチル、フェニル及びブチルフェニルエステルが好ましく用いられる。
(8)エポキシ化植物油としては、具体的には、大豆油、アマニ油、綿実油等の植物油のエポキシ化合物等が例示できる。
これらのエポキシ化合物の中でも、より熱・加水分解安定性を向上させることができることから、フェニルグリシジルエーテル型エポキシ化合物、グリシジルエステル型エポキシ化合物、脂環式エポキシ化合物、エポキシ化脂肪酸モノエステルが好ましく、グリシジルエステル型エポキシ化合物、脂環式エポキシ化合物がより好ましい。
これらのエポキシ化合物を本発明の冷凍機油組成物に配合する場合、その配合量は特に制限されないが、通常、冷凍機油組成物全量基準(基油と全配合添加剤の合計量基準)でその含有量が0.1〜5.0質量%、より好ましくは0.2〜2.0質量%となるような量のエポキシ化合物を配合することが望ましい。
本発明において、上記のリン化合物、ベンゾトリアゾール及び/又はその誘導体、並びにエポキシ化合物は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
更に、本発明における冷凍機油組成物に対して、その性能を更に高めるため、必要に応じて従来より公知の冷凍機油添加剤、例えばジ−tert−ブチル−p−クレゾール、ビスフェノールA等のフェノール系の酸化防止剤、フェニル−α−ナフチルアミン、N,N−ジ(2−ナフチル)−p−フェニレンジアミン等のアミン系の酸化防止剤、ジチオリン酸亜鉛等の摩耗防止剤、塩素化パラフィン、硫黄化合物等の極圧剤、脂肪酸等の油性剤、シリコーン系等の消泡剤、粘度指数向上剤、流動点降下剤、清浄分散剤等の添加剤を単独で、又は数種類組み合わせて配合することも可能である。これらの添加剤の合計配合量は特に制限されないが、冷凍機油組成物全量基準(基油と全配合添加剤の合計量基準)で好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下である。
本発明の冷凍機油組成物の体積抵抗率は特に限定されないが、1.0×10Ω・cm以上であることが好ましい。特に、密閉型冷凍機に用いる場合には高い電気絶縁性が必要となる傾向にある。なお、ここでいう体積抵抗率とは、JIS C 2101「電気絶縁油試験方法」に準拠して測定した25℃での値[Ω・cm]を意味する。
更に、本発明の冷凍機油組成物の水分含有量は特に限定されないが、冷凍機油組成物全量基準で好ましくは200ppm以下、より好ましくは100ppm以下、最も好ましくは50ppm以下とすることができる。特に密閉型の冷凍機用に用いる場合には、油の熱・加水分解安定性や電気絶縁性への影響の観点から、水分含有量が少ないことが求められる。
更にまた、本発明の冷凍機油組成物の全酸価は特に限定されないが、冷凍機又は配管に用いられている金属への腐食を防止するため、好ましくは0.1mgKOH/g以下、より好ましくは0.05mgKOH/g以下とすることができる。なお、ここでいう全酸価とは、JIS K 2501「石油製品及び潤滑油−中和価試験方法」に準拠して測定した値[mgKOH/g]を意味する。
更にまた、本発明の冷凍機油組成物の灰分は特に限定されないが、本発明の冷凍機油組成物の熱・加水分解安定性を高めスラッジ等の発生を抑制するため、好ましくは100ppm以下、より好ましくは50ppm以下とすることができる。なお、本発明において、灰分とは、JIS K 2272「原油及び石油製品の灰分並びに硫酸灰分試験方法」に準拠して測定した値[ppm]を意味する。
本発明の冷凍機油組成物を用いる冷凍機に用いられる冷媒は、HFC冷媒、パーフルオロエーテル類等の含フッ素エーテル系冷媒、ジメチルエーテル等の非フッ素含有エーテル系冷媒及び二酸化炭素やアンモニア,炭化水素等の自然系冷媒であるが、これらは各々単独で用いてもよいし、2種以上の混合物として用いてもよい。
HFC冷媒としては、炭素数1〜3、好ましくは1〜2のハイドロフルオロカーボンが挙げられる。具体的には例えば、ジフルオロメタン(HFC−32)、トリフルオロメタン(HFC−23)、ペンタフルオロエタン(HFC−125)、1,1,2,2−テトラフルオロエタン(HFC−134)、1,1,1,2−テトラフルオロエタン(HFC−134a)、1,1,1−トリフルオロエタン(HFC−143a)、1,1−ジフルオロエタン(HFC−152a)等のHFC、又はこれらの2種以上の混合物等が挙げられる。これらの冷媒は用途や要求性能に応じて適宜選択されるが、例えばHFC−32単独;HFC−23単独;HFC−134a単独;HFC−125単独;HFC−134a/HFC−32=60〜80質量%/40〜20質量%の混合物;HFC−32/HFC−125=40〜70質量%/60〜30質量%の混合物;HFC−125/HFC−143a=40〜60質量%/60〜40質量%の混合物;HFC−134a/HFC−32/HFC−125=60質量%/30質量%/10質量%の混合物;HFC−134a/HFC−32/HFC−125=40〜70質量%/15〜35質量%/5〜40質量%の混合物;HFC−125/HFC−134a/HFC−143a=35〜55質量%/1〜15質量%/40〜60質量%の混合物等が好ましい例として挙げられる。更に具体的には、HFC−134a/HFC−32=70/30質量%の混合物;HFC−32/HFC−125=60/40質量%の混合物;HFC−32/HFC−125=50/50質量%の混合物(R410A);HFC−32/HFC−125=45/55質量%の混合物(R410B);HFC−125/HFC−143a=50/50質量%の混合物(R507C);HFC−32/HFC−125/HFC−134a=30/10/60質量%の混合物;HFC−32/HFC−125/HFC−134a=23/25/52質量%の混合物(R407C);HFC−32/HFC−125/HFC−134a=25/15/60質量%の混合物(R407E);HFC−125/HFC−134a/HFC−143a=44/4/52質量%の混合物(R404A)等が挙げられる
また、自然系冷媒としては二酸化炭素やアンモニア、炭化水素等が挙げられる。ここで、炭化水素冷媒としては、25℃、1気圧で気体のものが好ましく用いられる。具体的には炭素数1〜5、好ましくは1〜4のアルカン、シクロアルカン、アルケン又はこれらの混合物である。具体的には例えば、メタン、エチレン、エタン、プロピレン、プロパン、シクロプロパン、ブタン、イソブタン、シクロブタン、メチルシクロプロパン又はこれらの2種以上の混合物等があげられる。これらの中でも、プロパン、ブタン、イソブタン又はこれらの混合物が好ましい。
本発明の冷凍機油組成物は、通常、冷凍機中においては上述したような冷媒と混合された冷凍機用流体組成物の形で存在している。この流体組成物における冷凍機油と冷媒との配合割合は特に制限されないが、冷媒100重量部に対して冷凍機油が好ましくは1〜500重量部、より好ましくは2〜400重量部である。
本発明の冷凍機油組成物は、金属加工油などの混入物に対する安定性及び溶解性、潤滑性、空気や水分に対する安定性、電気絶縁性、並びに油戻り性の全てをバランスよく十分に満足させるものであり、往復動式あるいは回転式の開放型や半密閉型又は密閉型圧縮機を有する冷凍機器あるいはヒートポンプなどに好適に使用することができる。特に、アルミニウム系部材を用いた冷凍機器に用いた場合には、アルミニウム系部材の摩耗防止性と熱・化学的安定性との双方を高水準で両立することが可能となる。かかる冷凍機器として、より具体的には、自動車用エアコン、除湿器、冷蔵庫、冷凍冷蔵倉庫、自動販売機、ショーケース、化学プラントなどの冷却装置、住宅用エアコン、給湯用ヒートポンプ等が挙げられる。更に、本発明の冷凍機油組成物は、往復動式、回転式、遠心式等のいずれの形式の圧縮機にも使用可能である。
本発明の冷凍機油組成物を好適に用いることのできる冷媒循環システムの構成としては、代表的には、冷媒圧縮機、凝縮器、膨張機構、蒸発器がこの順でそれぞれ流路を介して接続されており、必要に応じて該流路中に乾燥器を具備するものが例示される。
冷媒圧縮機としては、冷凍機油を貯留する密閉容器内に回転子と固定子からなるモーターと、回転子に嵌着された回転軸と、この回転軸を介して、モータに連結された圧縮機部とを収納し、圧縮機部より吐出された高圧冷媒ガスが密閉容器内に滞留する高圧容器方式の圧縮機、冷凍機油を貯留する密閉容器内に回転子と固定子からなるモーターと、回転子に嵌着された回転軸と、この回転軸を介して、モータに連結された圧縮機部とを収納し、圧縮機部より吐出された高圧冷媒ガスが密閉容器外へ直接排出される低圧容器方式の圧縮機、等が例示される。
モータ部の電機絶縁システム材料である絶縁フィルムとしては、ガラス転移点50℃以上の結晶性プラスチックフィルム、具体的には例えばポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエチレンナフタレート、ポリアミドイミド、ポリイミド群から選ばれる少なくとも一種の絶縁フィルム、あるいはガラス転移温度の低いフィルム上にガラス転移温度の高い樹脂層を被覆した複合フィルムが、引っ張り強度特性、電気絶縁特性の劣化現象が生じにくく、好ましく用いられる。また、モータ部に使用されるマグネットワイヤとしては、ガラス転移温度120℃以上のエナメル被覆、例えば、ポリエステル、ポリエステルイミド、ポリアミド及びポリアミドイミド等の単一層、あるいはガラス転移温度の低い層を下層に、高い層を上層に複合被覆したエナメル被覆を有するものが好ましく用いられる。複合被覆したエナメル線としては、ポリエステルイミドを下層に、ポリアミドイミドを上層に被覆したもの(AI/EI)、ポリエステルを下層に、ポリアミドイミドを上層に被覆したもの(AI/PE)等が挙げられる。
乾燥器に充填する乾燥剤としては、細孔径3.3オングストローム以下、25℃の炭酸ガス分圧250mmHgにおける炭酸ガス吸収容量が、1.0%以下であるケイ酸、アルミン酸アルカリ金属複合塩よりなる合成ゼオライトが好ましく用いられる。具体的には例えば、ユニオン昭和(株)製の商品名XH−9,XH−10,XH−11,XH−600等が挙げられる。
本発明の冷凍機油組成物が使用される冷凍機器の冷凍システムは、相溶系システム又は非相溶系システムのいずれであってもよいが、特に非相溶系システムに使用した場合に本発明による効果が顕著に奏される。ここで、本発明でいう「非相溶系」とは、JIS K 2211「冷凍機油」の附属書3「冷媒との相溶性試験方法」に準拠し、油分率20%の条件で冷凍機油と冷媒とを混合したとき、その混合溶液が−50〜80℃の温度範囲で均一な透明溶液とならないものをいう。なお、「非相溶系」には、冷凍機油と冷媒とは完全に相溶しないが部分的には溶解し得るもの(部分相溶系)も含まれる。
以下、実施例及び比較例に基づき本発明を更に具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に何ら限定されるものではない。
[実施例1〜23、比較例1〜14]
実施例1〜23及び比較例1〜14においては、それぞれ以下に示す炭化水素系油、並びに脂環式多価カルボン酸エステル化合物及びその他の基材を用いて、表1〜7に示す組成を有する冷凍機油組成物を調製した。表1〜7には、得られた組成物の40℃における動粘度及び体積抵抗率を併せて示す。
(炭化水素系油)
A1:分岐鎖型アルキルベンゼン(40℃における動粘度:22mm/s)
A2:直鎖型アルキルベンゼン(40℃における動粘度:22mm/s)
(脂環式多価カルボン酸エステル化合物)
B1:1,2−シクロヘキサンジカルボン酸2−エチルヘキシル(40℃における動粘度:19mm/s)
B2:4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸2−エチルヘキシル(40℃における動粘度:19mm/s)
B3:4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸と、イソブチルアルコール及び2−エチルヘキシルアルコールとの混合物とのエステル(40℃における動粘度:16mm/s)
(その他の基材)
C1:トリメチロールプロパントリノナノエート(40℃における動粘度:20mm/s)
C2:ポリアルキレングリコール(40℃における動粘度:19mm/s)。
次に、実施例1〜23及び比較例1〜14の各冷凍機油組成物について以下の評価試験を実施した。
[油戻り性]
室内用エアーコンディショナー(三菱電機製、型番:MSZ−Z22L)の圧縮機に除き窓を設けた試験装置を用いて各組成物の油戻り性を評価した。具体的には、先ず、静止状態での油面高さを測定した。その後、装置の運転を開始し、油面が元の高さに回復するまでの時間(回復時間)を測定した。得られた結果を表1〜7に示す。表中、回復時間が短いほど、油戻り性に優れていることを意味する。
(金属加工油に対する安定性)
各組成物に硫黄系切削油(新日本石油(株)製、ユニカットテラミAH15)を1質量%添加し、混合物について、JIS K 2211に準拠してシールドグラスチューブ試験を実施した。試験温度は200℃、試験時間は336時間とした。試験後、触媒として使用している銅の変色及びスラッジの生成の有無を観察し、各組成物の安定性を評価した。得られた結果を表1〜7に示す。本試験における評価基準は以下の通りである。
(触媒の変色)
A:変化なし
B:光沢が消失した
C:やや変色した
D:黒色化した
(スラッジの生成)
A:スラッジなし
B:ごく微量のスラッジが生成した
C:少量のスラッジが生成した
D:多量のスラッジが生成した。
[酸化安定性]
JIS K 2540に準拠して、各組成物について酸化安定性試験を実施した。評価は試験後の析出物の有無で実施した。試験条件は、試験温度170℃、試験時間24時間とした。得られた結果を表1〜7に示す。
[耐摩耗性]
冷凍機油組成物に冷媒(R410A)を吹き込みながら、下記条件でFALEX試験(ASTM D2670)を実施した。FALEX試験前後のピン及びブロックの重量を測定し、摩耗量を重量の減少量として求めた。得られた結果を表1〜7に示す。
試験開始温度:80℃
試験時間:30分
加重:1112N
冷媒吹き込み量:10L/h。
Figure 2005179531
Figure 2005179531
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Claims (2)

  1. 炭化水素系油と、組成物全量基準で0.1質量%以上5質量%未満の脂環式多価カルボン酸エステル化合物と、を含有することを特徴とする冷凍機油組成物。
  2. 前記炭化水素系油の含有量が、組成物全量基準で60質量%以上であることを特徴とする、請求項1に記載の冷凍機油組成物。







































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