JP4809607B2 - 組付け油、並びに冷凍空調機器の構成部品の組付け方法 - Google Patents

組付け油、並びに冷凍空調機器の構成部品の組付け方法 Download PDF

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本発明は、HFC(ハイドロフルオロカーボン)等の冷媒が使用される冷凍空調機器の圧縮機や凝縮器等の構成部品を組み付ける際に使用される組付け油及び冷凍空調機器の構成部品の組付け方法に関する。
冷蔵庫やエアーコンディショナーなどの冷凍空調機器の分野では、モントリオール議定書に基づき、オゾン層破壊型フロン類からHFC等への冷媒代替化が進められている。
この冷媒代替化に伴い、冷凍空調機器の圧縮機の潤滑油である冷凍機油の分野においても、代替冷媒に適した新規な冷凍機油の開発が進められている。例えば、冷凍機油に求められる特性の一つとして冷媒との相溶性があるが、オゾン破壊型フロン冷媒(R22など)用冷凍機油として従来使用されていたナフテン系鉱油等の炭化水素系冷凍機油はHFC冷媒に対して相溶性を示さない。そこで、HFC冷媒に対して相溶性を示すポリオールエステルやエーテル系などの合成油を基油とした冷凍機油の使用が提案され、その実用化が進められている(例えば、特許文献1〜3参照)。
一方、冷凍空調機器の圧縮機や凝縮器等の構成部品を組付ける際には、構成部品同士の接触部位を潤滑するための組付け油が使用される。従来、この組付け油としては鉱油が使用されているが、一般的な冷凍空調機器の製造工程では組付け油が付着した構成部品を洗浄せずに組み立てるため、HFC等の冷媒が使用される冷凍空調機器の場合には組付け油の冷凍システム内への混入が問題となる。すなわち、上述のように、鉱油はHFC等の冷媒や冷凍機油に対して相溶性を示さないため、組付け油としての鉱油が冷凍システム内に混入すると、その鉱油が冷媒又は冷凍機油から析出して膨張機構を閉塞し、あるいは凝縮器等で停滞して熱交換率を低下させる原因となる。また、冷凍機油に含まれるエステルやエーテル等の合成油は炭化水素系基油と比較して熱・化学的安定性に劣るため、組付け油の混入により冷凍機油が劣化するおそれがある。
そこで、上記の問題点を解決すべく、様々な検討がなされている。例えば、HFC冷媒用冷凍空調機器の構成部品を組付ける際には、組付け油として、冷媒又は冷凍機油に対して相溶性を示すエステルを使用することや、分岐型アルキルベンゼン(ハードアルキルベンゼン)をその使用量を制限して使用することが提案されている(例えば、特許文献4を参照)。
特表平3−505602号公報 特開平3−128992号公報 特開平3−200895号公報 特開2001−248924号公報
しかしながら、上記のエステルや分岐型アルキルベンゼンを組付け油として用いた場合には以下の問題が生じる。
すなわち、一般的に吸湿性が高いエステルを組付け油として使用すると、エステルと共に冷凍システム内に混入した水分により、冷凍機油の劣化、更には冷凍機器の構成部品の腐食などが起こりやすくなる。
一方、分岐型アルキルベンゼンはエステルに比べて潤滑性や粘度−温度特性が低いため、分岐型アルキルベンゼンを組付け油として用いると、圧縮機等の構成部品の組付け時に構成部品の接触部位において摩耗や傷が発生することがある。また、分岐型アルキルベンゼンが冷凍機油に混入すると、冷凍機油の潤滑性や粘度−温度特性が低下して、その性能を十分に発揮することができなくなる。
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであり、冷凍空調機器の構成部品の組付け時に十分な潤滑性を発揮し、且つ冷凍システム内に混入しても冷凍空調機器を長期にわたって安定的に運転することが可能な組付け油、並びにその組付け油を用いた冷凍空調機器の構成部品の組付け方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、特定構造を有するアルキルベンゼンを含有する組付け油を用いることにより十分な潤滑性が得られること、及び、当該組付け油は冷凍システム内に混入しても冷凍機油の潤滑性、粘度−温度特性、熱・化学的安定性などの特性に悪影響を及ぼさないことを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の組付け油はエステルまたはエーテルを含有する冷凍機油を使用する冷凍空調機器の構成部品の組付けに使用される組付け油であって、基油として下記一般式(A)で表されるアルキルベンゼンのみを含有することを特徴とする。
Figure 0004809607
[式(A)中、Rは水素原子又は直鎖アルキル基を示し、Rは直鎖アルキル基を示し、nは1〜6の整数を示す。]
また、本発明の冷凍空調機器の構成部品の組付け方法は、冷凍空調機器の構成部品を組付けるに際し、相互に接触する2つの構成部品の接触部位に、上記本発明の組付け油を塗布することを特徴とする。
なお、上記一般式(A)で表されるアルキルベンゼンは、便宜的に、直鎖型アルキルベンゼン又はソフトアルキルベンゼンと呼ばれることもある。
本発明においては、組付け油がリン系極圧剤を更に含有することが好ましい。一般式(A)で表されるアルキルベンゼンとリン系極圧剤とを含有する組付け油を用いることによって、組付け時の潤滑性を更に向上させることができる。
また、その場合、リン系添加剤として、ホスフォロチオネートと、該ホスフォロチオネート以外のリン系添加剤と、を含有することがより好ましい。ホスフォロチオネートとそれ以外のリン系添加剤とを組み合わせることにより、組付け時の潤滑性を一層向上させることができる。
本発明によれば、HFC等の冷媒が使用される冷凍空調機器の構成部品の組付け時に十分な潤滑性を発揮し、且つ冷凍システム内に混入しても冷凍空調機器を長期にわたって安定的に運転することが可能な組付け油、並びにその組付け油を用いた冷凍空調機器の構成部品の組付け方法を提供することが可能となる。
以下、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。
本発明の組付け油は、下記一般式(A)で表されるアルキルベンゼンを含有する。
Figure 0004809607
[式(A)中、Rは水素原子又は直鎖アルキル基を示し、Rは直鎖アルキル基を示し、nは1〜6の整数を示す。]
上記一般式(A)で表されるアルキルベンゼンが有する直鎖アルキル基の炭素数は特に制限されないが、油戻り性に優れる点から、当該炭素数は、1〜40であることが好ましく、1〜30であることがより好ましい。炭素数1〜40の直鎖アルキル基としては、具体的には例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ウンデシル基、n−ドデシル基、n−トリデシル基、n−テトラデシル基、n−ペンタデシル基、n−ヘキサデシル基、n−ヘプタデシル基、n−オクタデシル基、n−ノナデシル基、n−イコシル基、n−ヘンイコシル基、n−ドコシル基、n−トリコシル基、n−テトラコシル基、n−ペンタコシル基、n−ヘキサコシル基、n−ヘプタコシル基、n−オクタコシル基、n−ノナコシル基、n−トリアコンチル基、n−ヘントリアコンチル基、n−ドトリアコンチル基、n−トリトリアコンチル基、n−テトラトリアコンチル基、n−ペンタトリアコンチル基、n−ヘキサトリアコンチル基、n−ヘプタトリアコンチル基、n−オクタトリアコンチル基、n−ノナトリアコンチル基、n−テトラコンチル基などが挙げられる。
また、上記一般式(A)中、nは1〜6の整数を示す。油戻り性の点からは、nが1〜4であることが好ましく、1〜3であることがより好ましい。
上記一般式(A)で表されるアルキルベンゼンは、下記一般式(B)で表されるアルキル基をn個有する。一般式(A)におけるnが2以上の場合、すなわち上記一般式(A)で表されるアルキルベンゼンが下記一般式(B)で表されるアルキル基を複数有する場合には、下記一般式(B)で表されるアルキル基のそれぞれにおいて、RとRとは同一でも異なっていてもよい。
Figure 0004809607
[式(B)中、Rは水素原子又は直鎖アルキル基を示し、Rは直鎖アルキル基を示し、nは1〜6の整数を示す。]
また、上記一般式(B)で表されるアルキル基のn個の合計炭素数は特に制限されないが、油戻り性に優れる点から、当該合計炭素数は1〜40であることが好ましく、3〜30であることがより好ましい。
なお、一般式(A)で表されるアルキルベンゼンとしては、単一の構造の化合物だけでなく、2種以上の混合物であっても良い。
一般式(A)で表されるアルキルベンゼンの製造方法は任意であり、何ら限定されるものでないが、一般に以下に示す合成法によって製造できる。
原料となる芳香族化合物としては、具体的には例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、メチルエチルベンゼン、ジエチルベンゼン、およびこれらの混合物などが用いられる。またアルキル化剤としては直鎖状オレフィンを用いることができる。直鎖状オレフィンとしては、具体的には例えば、エチレンの重合によって得られる炭素数6〜40の直鎖状オレフィン;ワックス、重質油、石油留分、ポリエチレン、ポリプロピレンなどの熱分解によって得られる炭素数6〜40の直鎖状オレフィン;灯油、軽油などの石油留分からn−パラフィンを分離し、これを触媒によりオレフィン化することによって得られる炭素数9〜40の直鎖状オレフィン;およびこれらの混合物などが使用できる。
またアルキル化の際に使用するアルキル化触媒としては、塩化アルミニウム、塩化亜鉛などのフリーデルクラフツ型触媒;硫酸、リン酸、ケイタングステン酸、フッ化水素酸、活性白土などの酸性触媒;など、公知の触媒が用いられる。
一般式(A)で表されるアルキルベンゼンの動粘度は特に制限されないが、潤滑性の点から、40℃における動粘度は、2mm/s以上であることが好ましく、5mm/s以上であることがより好ましい。また、冷凍システム内への混入時に冷凍機油の粘度−温度特性の低下を防止する点から、40℃における動粘度は、50mm/s以下であることが好ましく、30mm/s以下であることがより好ましい。
また、一般式(A)で表されるアルキルベンゼンの粘度指数は特に制限されないが、冷凍システム内への混入時に冷凍機油の粘度−温度特性の低下を防止する点から、粘度指数は、20以上であることが好ましく、40以上であることがより好ましい。
本発明の組付け油において、一般式(A)で表されるアルキルベンゼンは基油として使用される。ここで、本発明の組付け油は、一般式(A)で表されるアルキルベンゼンのみからなるものであってもよく、また、本発明による上述の効果を損なわない限りにおいて後述する他の基油又は添加剤を更に含有してもよい。
本発明の組付け油が一般式(A)で表されるアルキルベンゼン以外の基油を含有する場合、当該基油としては、パラフィン系又はナフテン系鉱油、オレフィン重合体、ナフタレン化合物、分岐型アルキルベンゼン等の炭化水素系基油、ポリオールエステル、ポリアルキレングリコール、ポリビニルエーテルなどの含酸素系合成油などが挙げられる。
なお、本発明による上述の効果を高水準で得るためには、一般式(A)で表されるアルキルベンゼン以外の基油の含有量が出来るだけ少なくすることが好ましい。具体的には、一般式(A)で表されるアルキルベンゼン以外の基油の含有量は、組付け油全量を基準として、50質量%以下が好ましく、30質量%以下がより好ましく、10質量%以下が更に好ましく、一般式(A)で表されるアルキルベンゼン以外の基油を含有しないことが特に好ましい。
また、本発明の組付け油は、リン系極圧剤を更に含有することが好ましい。一般式(A)で表されるアルキルベンゼンとリン系極圧剤とを含有する組付け油を用いることによって、組付け時の潤滑性を更に向上させることができ、特に耐摩耗性の向上に有効である。
リン系極圧剤としては、リン酸エステル、酸性リン酸エステル、酸性リン酸エステルのアミン塩、塩素化リン酸エステル、亜リン酸エステル、ホスフォロチオネートなどが挙げられる。
上記リン系極圧剤のうち、リン酸エステル、酸性リン酸エステル、酸性リン酸エステルのアミン塩、塩素化リン酸エステル及び亜リン酸エステルは、リン酸又は亜リン酸とアルカノール、ポリエーテル型アルコールとのエステルあるいはその誘導体である。
リン酸エステルとしては、トリブチルホスフェート、トリペンチルホスフェート、トリヘキシルホスフェート、トリヘプチルホスフェート、トリオクチルホスフェート、トリノニルホスフェート、トリデシルホスフェート、トリウンデシルホスフェート、トリドデシルホスフェート、トリトリデシルホスフェート、トリテトラデシルホスフェート、トリペンタデシルホスフェート、トリヘキサデシルホスフェート、トリヘプタデシルホスフェート、トリオクタデシルホスフェート、トリオレイルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、キシレニルジフェニルホスフェート等が挙げられる。
酸性リン酸エステルとしては、モノブチルアシッドホスフェート、モノペンチルアシッドホスフェート、モノヘキシルアシッドホスフェート、モノヘプチルアシッドホスフェート、モノオクチルアシッドホスフェート、モノノニルアシッドホスフェート、モノデシルアシッドホスフェート、モノウンデシルアシッドホスフェート、モノドデシルアシッドホスフェート、モノトリデシルアシッドホスフェート、モノテトラデシルアシッドホスフェート、モノペンタデシルアシッドホスフェート、モノヘキサデシルアシッドホスフェート、モノヘプタデシルアシッドホスフェート、モノオクタデシルアシッドホスフェート、モノオレイルアシッドホスフェート、ジブチルアシッドホスフェート、ジペンチルアシッドホスフェート、ジヘキシルアシッドホスフェート、ジヘプチルアシッドホスフェート、ジオクチルアシッドホスフェート、ジノニルアシッドホスフェート、ジデシルアシッドホスフェート、ジウンデシルアシッドホスフェート、ジドデシルアシッドホスフェート、ジトリデシルアシッドホスフェート、ジテトラデシルアシッドホスフェート、ジペンタデシルアシッドホスフェート、ジヘキサデシルアシッドホスフェート、ジヘプタデシルアシッドホスフェート、ジオクタデシルアシッドホスフェート、ジオレイルアシッドホスフェート等が挙げられる。
酸性リン酸エステルのアミン塩としては、前記酸性リン酸エステルのメチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、ペンチルアミン、ヘキシルアミン、ヘプチルアミン、オクチルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジブチルアミン、ジペンチルアミン、ジヘキシルアミン、ジヘプチルアミン、ジオクチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、トリペンチルアミン、トリヘキシルアミン、トリヘプチルアミン、トリオクチルアミン等のアミンとの塩等が挙げられる。
塩素化リン酸エステルとしては、トリス・ジクロロプロピルホスフェート、トリス・クロロエチルホスフェート、トリス・クロロフェニルホスフェート、ポリオキシアルキレン・ビス[ジ(クロロアルキル)]ホスフェート等が挙げられる。
亜リン酸エステルとしては、ジブチルホスファイト、ジペンチルホスファイト、ジヘキシルホスファイト、ジヘプチルホスファイト、ジオクチルホスファイト、ジノニルホスファイト、ジデシルホスファイト、ジウンデシルホスファイト、ジドデシルホスファイト、ジオレイルホスファイト、ジフェニルホスファイト、ジクレジルホスファイト、トリブチルホスファイト、トリペンチルホスファイト、トリヘキシルホスファイト、トリヘプチルホスファイト、トリオクチルホスファイト、トリノニルホスファイト、トリデシルホスファイト、トリウンデシルホスファイト、トリドデシルホスファイト、トリオレイルホスファイト、トリフェニルホスファイト、トリクレジルホスファイト等、が挙げられる。
ホスフォロチオネートとしては、下記一般式(1)で表される化合物が好ましい。
Figure 0004809607
[式中、R、R及びRは同一でも異なっていてもよく、それぞれ炭素数1〜24の炭化水素基を示す。]
〜Rで示される炭素数1〜24の炭化水素基としては、具体的には、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルキルシクロアルキル基、アリール基、アルキルアリール基、アリールアルキル基等が挙げられる。
アルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基等のアルキル基(これらアルキル基は直鎖状でも分枝状でもよい)が挙げられる。
シクロアルキル基としては、例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基等の炭素数5〜7のシクロアルキル基を挙げることができる。また上記アルキルシクロアルキル基としては、例えば、メチルシクロペンチル基、ジメチルシクロペンチル基、メチルエチルシクロペンチル基、ジエチルシクロペンチル基、メチルシクロヘキシル基、ジメチルシクロヘキシル基、メチルエチルシクロヘキシル基、ジエチルシクロヘキシル基、メチルシクロヘプチル基、ジメチルシクロヘプチル基、メチルエチルシクロヘプチル基、ジエチルシクロヘプチル基等の炭素数6〜11のアルキルシクロアルキル基(アルキル基のシクロアルキル基への置換位置も任意である)が挙げられる。
アルケニル基としては、例えば、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、ヘプテニル基、オクテニル基、ノネニル基、デセニル基、ウンデセニル基、ドデセニル基、トリデセニル基、テトラデセニル基、ペンタデセニル基、ヘキサデセニル基、ヘプタデセニル基、オクタデセニル基等のアルケニル基(これらアルケニル基は直鎖状でも分枝状でもよく、また二重結合の位置も任意である)が挙げられる。
アリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基等のアリール基を挙げることができる。また上記アルキルアリール基としては、例えば、トリル基、キシリル基、エチルフェニル基、プロピルフェニル基、ブチルフェニル基、ペンチルフェニル基、ヘキシルフェニル基、ヘプチルフェニル基、オクチルフェニル基、ノニルフェニル基、デシルフェニル基、ウンデシルフェニル基、ドデシルフェニル基等の炭素数7〜18のアルキルアリール基(アルキル基は直鎖状でも分枝状でもよく、またアリール基への置換位置も任意である)が挙げられる。
アリールアルキル基としては、例えばベンジル基、フェニルエチル基、フェニルプロピル基、フェニルブチル基、フェニルペンチル基、フェニルヘキシル基等の炭素数7〜12のアリールアルキル基(これらアルキル基は直鎖状でも分枝状でもよい)が挙げられる。
上記R〜Rで示される炭素数1〜24の炭化水素基は、アルキル基、アリール基、アルキルアリール基であることが好ましく、炭素数4〜18のアルキル基、炭素数7〜24のアルキルアリール基、フェニル基がより好ましい。
一般式(1)で表されるホスフォロチオネートとしては、具体的には、トリブチルホスフォロチオネート、トリペンチルホスフォロチオネート、トリヘキシルホスフォロチオネート、トリヘプチルホスフォロチオネート、トリオクチルホスフォロチオネート、トリノニルホスフォロチオネート、トリデシルホスフォロチオネート、トリウンデシルホスフォロチオネート、トリドデシルホスフォロチオネート、トリトリデシルホスフォロチオネート、トリテトラデシルホスフォロチオネート、トリペンタデシルホスフォロチオネート、トリヘキサデシルホスフォロチオネート、トリヘプタデシルホスフォロチオネート、トリオクタデシルホスフォロチオネート、トリオレイルホスフォロチオネート、トリフェニルホスフォロチオネート、トリクレジルホスフォロチオネート、トリキシレニルホスフォロチオネート、クレジルジフェニルホスフォロチオネート、キシレニルジフェニルホスフォロチオネート、トリス(n−プロピルフェニル)ホスフォロチオネート、トリス(イソプロピルフェニル)ホスフォロチオネート、トリス(n−ブチルフェニル)ホスフォロチオネート、トリス(イソブチルフェニル)ホスフォロチオネート、トリス(s−ブチルフェニル)ホスフォロチオネート、トリス(t−ブチルフェニル)ホスフォロチオネート等、が挙げられる。また、これらの混合物も使用できる。
上記のリン系極圧剤は、1種を単独で用いてもよく、あるいは2種以上を組み合わせて用いてもよいが、ホスフォロチオネートと該ホスフォロチオネート以外のリン系極圧剤とを組み合わせて用いると、本発明の組付け油の潤滑性を一層向上させることができる。
本発明の組付け油におけるリン系極圧剤の含有量は特に制限されないが、組付け油全量を基準として、0.01質量%以上が好ましく、0.1質量%以上がより好ましい。リン系極圧剤の含有量が0.01質量%未満の場合、リン系極圧剤の使用による潤滑性向上効果が不十分となる傾向にある。また、リン系極圧剤の含有量は、組付け油全量を基準として、5質量%以下が好ましく、3質量%以下がより好ましく、1質量%以下が更に好ましい。リン系極圧剤の含有量が5質量%を超えても、含有量に見合う潤滑性向上効果が得られない傾向にあり、また、組付け油が冷凍システム内に混入したときに冷凍機油の安定性を損なうおそれがある。

また、本発明の組付け油は、エポキシ化合物を更に含有してもよい。エポキシ化合物を組付け油に含有せしめることにより、組付け油自体の安定性、及び組付け油が冷凍システム内に混入したときの冷凍機油の安定性を向上することができる。
エポキシ化合物としては、フェニルグリシジルエーテル型エポキシ化合物、アルキルグリシジルエーテル型エポキシ化合物、グリシジルエステル型エポキシ化合物、アリルオキシラン化合物、アルキルオキシラン化合物、脂環式エポキシ化合物、エポキシ化脂肪酸モノエステル及びエポキシ化植物油から選ばれる少なくとも1種のエポキシ化合物を用いることが好ましい。
フェニルグリシジルエーテル型エポキシ化合物としては、具体的には、フェニルグリシジルエーテル又はアルキルフェニルグリシジルエーテルが例示できる。ここでいうアルキルフェニルグリシジルエーテルとは、炭素数1〜13のアルキル基を1〜3個有するものが挙げられ、中でも炭素数4〜10のアルキル基を1個有するもの、例えばn−ブチルフェニルグリシジルエーテル、i−ブチルフェニルグリシジルエーテル、sec−ブチルフェニルグリシジルエーテル、tert−ブチルフェニルグリシジルエーテル、ペンチルフェニルグリシジルエーテル、ヘキシルフェニルグリシジルエーテル、ヘプチルフェニルグリシジルエーテル、オクチルフェニルグリシジルエーテル、ノニルフェニルグリシジルエーテル、デシルフェニルグリシジルエーテル等が好ましいものとして例示できる。
アルキルグリシジルエーテル型エポキシ化合物としては、具体的には、デシルグリシジルエーテル、ウンデシルグリシジルエーテル、ドデシルグリシジルエーテル、トリデシルグリシジルエーテル、テトラデシルグリシジルエーテル、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールテトラグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテル、ポリアルキレングリコールモノグリシジルエーテル、ポリアルキレングリコールジグリシジルエーテル等が例示できる。
グリシジルエステル型エポキシ化合物としては、具体的には下記一般式(2)で表される化合物が挙げられる。
Figure 0004809607
[式中、Rは炭素数1〜18の炭化水素基を示す。]
上記式(2)中、Rで示される炭素数1〜18の炭化水素基としては、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、炭素数5〜7のシクロアルキル基、炭素数6〜18のアルキルシクロアルキル基、炭素数6〜10のアリール基、炭素数7〜18のアルキルアリール基、炭素数7〜18のアリールアルキル基等が挙げられる。この中でも、炭素数5〜15のアルキル基、炭素数2〜15のアルケニル基、フェニル基及び炭素数1〜4のアルキル基を有するアルキルフェニル基が好ましい。
グリシジルエステル型エポキシ化合物の中でも、好ましいものとしては、具体的には例えば、グリシジル−2,2−ジメチルオクタノエート、グリシジルベンゾエート、グリシジル−tert−ブチルベンゾエート、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート等が例示できる。
アリルオキシラン化合物としては、具体的には、1,2−エポキシスチレン、アルキル−1,2−エポキシスチレン等が例示できる。
アルキルオキシラン化合物としては、具体的には、1,2−エポキシブタン、1,2−エポキシペンタン、1,2−エポキシヘキサン、1,2−エポキシヘプタン、1,2−エポキシオクタン、1,2−エポキシノナン、1,2−エポキシデカン、1,2−エポキシウンデカン、1,2−エポキシドデカン、1,2−エポキシトリデカン、1,2−エポキシテトラデカン、1,2−エポキシペンタデカン、1,2−エポキシヘキサデカン、1,2−エポキシヘプタデカン、1,1,2−エポキシオクタデカン、2−エポキシノナデカン、1,2−エポキシイコサン等が例示できる。
脂環式エポキシ化合物としては、下記一般式(3)で表される化合物のように、エポキシ基を構成する炭素原子が直接脂環式環を構成している化合物が挙げられる。
Figure 0004809607
脂環式エポキシ化合物としては、具体的には、1,2−エポキシシクロヘキサン、1,2−エポキシシクロペンタン、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート、エキソ−2,3−エポキシノルボルナン、ビス(3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル)アジペート、2−(7−オキサビシクロ[4.1.0]ヘプト−3−イル)−スピロ(1,3−ジオキサン−5,3’−[7]オキサビシクロ[4.1.0]ヘプタン、4−(1’−メチルエポキシエチル)−1,2−エポキシ−2−メチルシクロヘキサン、4−エポキシエチル−1,2−エポキシシクロヘキサン等が例示できる。
(7)エポキシ化脂肪酸モノエステルとしては、具体的には、エポキシ化された炭素数12〜20の脂肪酸と炭素数1〜8のアルコール又はフェノール、アルキルフェノールとのエステル等が例示できる。特にエポキシステアリン酸のブチル、ヘキシル、ベンジル、シクロヘキシル、メトキシエチル、オクチル、フェニル及びブチルフェニルエステルが好ましく用いられる。
(8)エポキシ化植物油としては、具体的には、大豆油、アマニ油、綿実油等の植物油のエポキシ化合物等が例示できる。
これらのエポキシ化合物の中でも、より熱・加水分解安定性を向上させることができることから、フェニルグリシジルエーテル型エポキシ化合物、グリシジルエステル型エポキシ化合物、脂環式エポキシ化合物、エポキシ化脂肪酸モノエステルが好ましく、グリシジルエステル型エポキシ化合物、脂環式エポキシ化合物がより好ましい。
本発明においては、上記のエポキシ化合物のうちの1種を単独で用いてもよく、あるいは2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記のエポキシ化合物を本発明の組付け油に含有させる場合、その含有量は特に制限されないが、組付け油全量を基準として、0.01質量%以上が好ましく、0.1質量%以上がより好ましい。エポキシ化合物の含有量が0.01質量%未満の場合、組付け油の冷凍システム内への混入時にエポキシ化合物の混入量が少量となり、冷凍機油の安定性向上効果が不十分となる傾向にある。また、エポキシ化合物の含有量は、組付け油全量を基準として、5質量%以下が好ましく、3質量%以下がより好ましく、1質量%以下が更に好ましい。エポキシ化合物の含有量が5質量%を超えると、組付け油の吸湿性が高められて冷凍システム内に水分が混入しやすくなり、エポキシ化合物の使用による安定性向上効果が有効に発揮されない傾向にある。
さらに、本発明の組付け油において、その性能をさらに高めるため、必要に応じて、ジ−tert−ブチル−p−クレゾール、ビスフェノールA等のフェノール系の酸化防止剤、フェニル−α−ナフチルアミン、N,N−ジ(2−ナフチル)−p−フェニレンジアミン等のアミン系の酸化防止剤、ジチオリン酸亜鉛等の摩耗防止剤、塩素化パラフィン、硫黄化合物等の極圧剤、脂肪酸等の油性剤、シリコーン系等の消泡剤、粘度指数向上剤、流動点降下剤、清浄分散剤等の添加剤を単独で、又は数種類組み合わせて含有させることも可能である。これらの添加剤の含有量は特に制限されないが、それらの含有量の合計は、組付け油全量基準で、10質量%以下が好ましく、5質量%以下がより好ましい。
本発明の組付け油の動粘度は特に制限されないが、潤滑性の点から、40℃における動粘度は、2mm/s以上であることが好ましく、5mm/s以上であることがより好ましい。また、冷凍システム内への混入時に冷凍機油の粘度−温度特性の低下を防止する点から、40℃における動粘度は、50mm/s以下であることが好ましく、30mm/s以下であることがより好ましい。
また、本発明の組付け油の粘度指数は特に制限されないが、冷凍システム内への混入時に冷凍機油の粘度−温度特性の低下を防止する点から、粘度指数は、20以上であることが好ましく、40以上であることがより好ましい。
本発明の組付け油の体積抵抗率は、特に限定されないが、特に密閉型冷凍空調機器の組付け油として用いる場合には高い電気絶縁性を有していることが好ましく、具体的には、1.0×109Ω・cm以上であることが好ましい。なお、ここでいう体積抵抗率とは、JIS C 2101「電気絶縁油試験方法」に準拠して測定した25℃での値[Ω・cm]を意味する。
また、本発明の組付け油の水分含有量は特に限定されないが、特に密閉型冷凍空調機器の組付け油として用いる場合には、冷凍システム内への混入時に水分による冷凍機油の熱・加水分解安定性や電気絶縁性への影響を低減する観点から、水分含有量が少ないことが好ましく、具体的には、組付け油全量基準で、200ppm以下が好ましく、100ppm以下がより好ましく、50ppm以下がより好ましい。
また、本発明の組付け油の酸価は特に限定されないが、冷凍空調機器の構成部品(配管を含む)に用いられている金属への腐食を防止するため、好ましくは0.1mgKOH/g以下、より好ましくは0.05mgKOH/g以下とすることができる。なお、ここでいう酸価とは、JIS K 2501「石油製品及び潤滑油−中和価試験方法」に準拠して測定した値[mgKOH/g]を意味する。
さらにまた、本発明の組付け油の灰分は特に限定されないが、冷凍システム内への混入時の熱・加水分解安定性を高めスラッジ等の発生を抑制するため、好ましくは100ppm以下、より好ましくは50ppm以下とすることができる。なお、本発明において、灰分とは、JIS K 2272「原油及び石油製品の灰分並びに硫酸灰分試験方法」に準拠して測定した値[ppm]を意味する。
上記構成を有する本発明の組付け油は、十分な潤滑性を有するものであり、また、冷凍システム内に混入しても冷凍機油の潤滑性、粘度−温度特性、熱・化学的安定性などの特性に悪影響を及ぼさないものである。したがって、HFC等の冷媒が使用される冷凍空調機器の構成部品の組付け油として好適に使用することができる。
かかる冷凍空調機器としては、より具体的には、自動車用エアコンディショナー、除湿器、冷蔵庫、冷凍冷蔵倉庫、自動販売機、ショーケース、化学プラントなどの冷却装置、ルームエアコンディショナー、パッケージエアコンディショナー、給湯用ヒートポンプ等が挙げられる。
本発明の組付け油を好適に用いることのできる冷媒循環システムの構成としては、代表的には、冷媒圧縮機、凝縮器、膨張機構、蒸発器がこの順でそれぞれ流路を介して接続されており、必要に応じて該流路中に乾燥器を具備するものが例示される。
冷媒圧縮機は、密閉型、開放型、半密閉型(スプリット型)のいずれであってもよく、また、往復動式、回転式、遠心式等のいずれの形式の圧縮機であってもよい。例えば、密閉型回転式圧縮機としては、冷凍機油を貯留する密閉容器内に回転子と固定子からなるモータ部と、回転子に嵌着された回転軸と、この回転軸を介して、モータ部に連結された圧縮機部とを収納し、圧縮機部より吐出された高圧冷媒ガスが密閉容器内に滞留する高圧容器方式の圧縮機;冷凍機油を貯留する密閉容器内に回転子と固定子からなるモータ部と、回転子に嵌着された回転軸と、この回転軸を介して、モータ部に連結された圧縮機部とを収納し、圧縮機部より吐出された高圧冷媒ガスが密閉容器外へ直接排出される低圧容器方式の圧縮機、等が例示される。
モータ部の電機絶縁システム材料である絶縁フィルムとしては、ガラス転移点50℃以上の結晶性プラスチックフィルム、具体的には例えばポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエチレンナフタレート、ポリアミドイミド、ポリイミド群から選ばれる少なくとも一種の絶縁フィルム、あるいはガラス転移温度の低いフィルム上にガラス転移温度の高い樹脂層を被覆した複合フィルムが、引っ張り強度特性、電気絶縁特性の劣化現象が生じにくく、好ましく用いられる。また、モータ部に使用されるマグネットワイヤとしては、ガラス転移温度120℃以上のエナメル被覆、例えば、ポリエステル、ポリエステルイミド、ポリアミド及びポリアミドイミド等の単一層、あるいはガラス転移温度の低い層を下層に、高い層を上層に複合被覆したエナメル被覆を有するものが好ましく用いられる。複合被覆したエナメル線としては、ポリエステルイミドを下層に、ポリアミドイミドを上層に被覆したもの(AI/EI)、ポリエステルを下層に、ポリアミドイミドを上層に被覆したもの(AI/PE)等が挙げられる。
乾燥器に充填する乾燥剤としては、細孔径3.3オングストローム以下、25℃の炭酸ガス分圧250mmHgにおける炭酸ガス吸収容量が、1.0%以下であるケイ酸、アルミン酸アルカリ金属複合塩よりなる合成ゼオライトが好ましく用いられる。具体的には例えば、ユニオン昭和(株)製の商品名XH−9,XH−10,XH−11,XH−600等が挙げられる。
上記の冷凍空調機器の構成部品を組み付ける際には、相互に接触する2つの構成部品の接触部位に、本発明の組付け油を塗布することにより、構成部品の接触部位における傷や摩耗の発生の防止、並びに冷凍空調機器の長寿命化を有効に実現することができる。なお、本発明でいう「組付け」とは、冷凍空調機器の構成部品の組立て工程のうち、嵌め合い、かしめ等の工程を意味し、例えば、「嵌め合い」の具体例としては、回転式圧縮機の組立て工程において、モータ部の回転子と回転軸とを嵌着させる工程が挙げられる。この回転子と回転軸との嵌着工程は回転軸(芯材)でモータ部内の中空部分を打ち抜くことにより行われるため、回転軸又は回転軸と接触する構成部品の表面に傷又は摩耗が生じやすいが、本発明の組付け油を接触部位に塗布することにより、かかる傷や摩耗の発生を十分に防止することができる。
組付け油の接触部位への塗布量は、構成部品の機械的強度や組付け条件に応じて適宜選定されるが、本発明の組付け油による潤滑性をより得る点から、接触部位の単位面積当たりの塗布量は、好ましくは0.1〜10g/m、より好ましくは0.3〜5g/m、更に好ましくは0.5〜2g/mである。また、組付け油の塗布方法は特に制限されず、浸漬塗布法、スプレー塗布法等の常法が適用可能である。
また、本発明の組付け油を用いて組み立てられた冷凍空調機器において、使用される冷媒としては特に制限されず、例えば、HFC冷媒、パーフルオロエーテル類等の含フッ素エーテル系冷媒、ジメチルエーテル等の非フッ素含有エーテル系冷媒及び二酸化炭素やアンモニア,炭化水素等の自然系冷媒が挙げられる。これらの冷媒は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上の混合物として用いてもよい。
HFC冷媒としては、炭素数1〜3、好ましくは1〜2のハイドロフルオロカーボンが挙げられる。具体的には例えば、ジフルオロメタン(HFC−32)、トリフルオロメタン(HFC−23)、ペンタフルオロエタン(HFC−125)、1,1,2,2−テトラフルオロエタン(HFC−134)、1,1,1,2−テトラフルオロエタン(HFC−134a)、1,1,1−トリフルオロエタン(HFC−143a)、1,1−ジフルオロエタン(HFC−152a)等のHFC、又はこれらの2種以上の混合物等が挙げられる。これらの冷媒は用途や要求性能に応じて適宜選択されるが、例えばHFC−32単独;HFC−23単独;HFC−134a単独;HFC−125単独;HFC−134a/HFC−32=60〜80質量%/40〜20質量%の混合物;HFC−32/HFC−125=40〜70質量%/60〜30質量%の混合物;HFC−125/HFC−143a=40〜60質量%/60〜40質量%の混合物;HFC−134a/HFC−32/HFC−125=60質量%/30質量%/10質量%の混合物;HFC−134a/HFC−32/HFC−125=40〜70質量%/15〜35質量%/5〜40質量%の混合物;HFC−125/HFC−134a/HFC−143a=35〜55質量%/1〜15質量%/40〜60質量%の混合物等が好ましい例として挙げられる。さらに具体的には、HFC−134a/HFC−32=70/30質量%の混合物;HFC−32/HFC−125=60/40質量%の混合物;HFC−32/HFC−125=50/50質量%の混合物(R410A);HFC−32/HFC−125=45/55質量%の混合物(R410B);HFC−125/HFC−143a=50/50質量%の混合物(R507C);HFC−32/HFC−125/HFC−134a=30/10/60質量%の混合物;HFC−32/HFC−125/HFC−134a=23/25/52質量%の混合物(R407C);HFC−32/HFC−125/HFC−134a=25/15/60質量%の混合物(R407E);HFC−125/HFC−134a/HFC−143a=44/4/52質量%の混合物(R404A)等が挙げられる。
また、自然系冷媒としては二酸化炭素やアンモニア、炭化水素等が挙げられる。ここで、炭化水素冷媒としては、25℃、1気圧で気体のものが好ましく用いられる。具体的には炭素数1〜5、好ましくは1〜4のアルカン、シクロアルカン、アルケン又はこれらの混合物である。具体的には例えば、メタン、エチレン、エタン、プロピレン、プロパン、シクロプロパン、ブタン、イソブタン、シクロブタン、メチルシクロプロパン又はこれらの2種以上の混合物等があげられる。これらの中でも、プロパン、ブタン、イソブタン又はこれらの混合物が好ましい。
また、冷凍空調機器において、上記の冷媒と共に使用される冷凍機油としては特に制限されないが、本発明の組付け油及び組付け方法は、冷凍機油がポリオールエステル、脂環式カルボン酸エステル等のエステル、ポリアルキレングリコール、ポリビニルエーテル等のエーテルを含有するものである場合に好適であり、特に冷凍機油がエステルを含有するものである場合に非常に優れた効果を得ることができる。
なお、上記の冷凍機油は、通常、冷凍サイクル内においては上記冷媒と混合された冷凍機用流体組成物の形で存在している。この流体組成物における冷凍機油と冷媒との配合割合は特に制限されないが、冷媒100重量部に対して冷凍機油が好ましくは1〜500重量部、より好ましくは2〜400重量部である。
本発明の組付け油は、上記の冷媒及び冷凍機油に対して十分に高い適合性を有するものであるため、当該組付け油の冷凍システム内への混入量は特に制限されないが、冷凍機油の安定性をより高水準に維持する点からは、当該組付け油の混入量が、冷凍機油に対して、好ましくは5質量%以下、より好ましくは3質量%以下、更に好ましくは1質量%以下となるように組付けを行うことが好ましい。
以下、実施例及び比較例に基づき本発明を更に具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に何ら限定されるものではない。
[実施例1〜6、比較例1〜2]
実施例1〜6及び比較例1〜2では、それぞれ以下に示す基油及び添加剤を用いて表1又に示す組成を有する組付け油を調製し、後述する潤滑性試験に供した。
(基油)
基油1:一般式(A)で表されるアルキルベンゼン(40℃における動粘度:21.8mm/s、100℃における動粘度:4.0mm/s、粘度指数:58)
基油2:分岐型アルキルベンゼン(40℃における動粘度:21.8mm/s、100℃における動粘度:3.5mm/s、粘度指数:−30)
(添加剤)
添加剤A:トリクレジルホスフェート
添加剤B:トリフェニルホスフォロチオネート
添加剤C:ステアリン酸ブチル
添加剤D:グリシジル−2,2’−ジメチルオクタノエート。
(組付け油の潤滑性試験)
実施例1〜6及び比較例1〜2の組付け油を用いて下記条件でFALEX試験(ASTM D2670)を実施した。試験前後のピン及びVブロックの重量を測定し、これらの減少量を摩耗量として各組付け油の潤滑性を評価した。得られた結果を表1に示す。
試験開始温度:25℃
試験時間:30分
荷重:1334N。
Figure 0004809607
[実施例7〜10、比較例3〜6]
実施例7〜10及び比較例3〜6では、先ず、冷凍機油として、ペンタエリスリトールと2−エチルヘキサン酸及び3,5,5−トリメチルヘキサン酸の等モル混合物とのテトラエステル(40℃における動粘度:68.0mm/s、100℃における動粘度:8.3mm/s、粘度指数:90、以下、「基油3」という)を用意した。次いで、基油3と、上記の基油1又は基油2(それぞれ実施例1又は比較例1の組付け油に相当する)とを表2に示す割合で混合し、各混合油の粘度特性を評価した。得られた結果を表2に示す。
Figure 0004809607
[実施例11〜17、比較例7〜13]
実施例11〜13及び比較例7〜9では、基油1又は基油2(それぞれ実施例1又は比較例1の組付け油に相当する)と、基油3とをそれぞれ表3又は表4に示す割合で混合した。各混合油を後述する潤滑性試験に供した。また、実施例14〜16及び比較例10〜13では、基油1又は基油2と、基油3とをそれぞれ表3又は表4に示す割合で混合し、更に、各混合油に添加剤A0.5質量%を添加した試料油を調製し、潤滑性試験に供した。(混合油の潤滑性試験)
FALEX試験機(ASTM D2714)の摺動部を耐圧容器内に設置し、容器内に冷媒(HFC−134a)を導入して下記条件でFALEX試験を実施した。各混合油の摩擦特性は平均摩擦係数及び摩耗量により評価した。平均摩擦係数は試験時間中、1秒毎に摩擦力を測定し、得られた摩擦力を荷重で除し算出した。また、試験前後のリング及びブロックの重量を測定し、これらの減少量を摩耗量として評価した。得られた結果を表3又は表4に示す。なお、表3及び表4には、参考例1として、基油3のみからなる試料油を用いた場合の結果を併せて示す。
試験材:鋼リング、鋼ブロック
試験開始温度:80℃
試験時間:1時間
すべり速度:0.5m/s
荷重:750N
冷媒雰囲気の圧力:500kPa。
Figure 0004809607
Figure 0004809607

Claims (4)

  1. エステルまたはエーテルを含有する冷凍機油を使用する冷凍空調機器の構成部品の組付けに使用される組付け油であって、基油として下記一般式(A)で表されるアルキルベンゼンのみを含有することを特徴とする組付け油。
    Figure 0004809607

    [式(A)中、Rは水素原子又は直鎖アルキル基を示し、Rは直鎖アルキル基を示し、nは1〜6の整数を示す。]
  2. リン系極圧剤を更に含有することを特徴とする、請求項1に記載の組付け油。
  3. 前記リン系極圧剤として、ホスフォロチオネートと、該ホスフォロチオネート以外のリン系極圧剤と、を含有することを特徴とする、請求項2に記載の組付け油。
  4. エステルまたはエーテルを含有する冷凍機油を使用する冷凍空調機器の構成部品を組付けるに際し、相互に接触する2つの構成部品の接触部位に、請求項1〜3のうちのいずれか一項に記載の組付け油を塗布することを特徴とするHFC冷媒用冷凍空調機器の構成部品の組付け方法。
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