JP2008037994A - 潤滑油 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は、潤滑油に関し、より詳しくは、低粘度であり、高い引火点を有し、潤滑性、低温流動性、耐熱性のバランスに優れたエステル系潤滑油に関する。
近年、自動車、家電、電子情報機器、工業用機械等の様々な産業分野で使用されている装置や機械では、潤滑油の性能向上が強く求められている。即ち、高速化、高効率化、及び装置の小型化に伴い、エンジン油、変速機油、金属加工油、油圧作動油、グリース等の使用条件は益々過酷になっており、従来の潤滑油に比べてより高い性能を有する潤滑油が必要とされている。又、最近では粘性摩擦によるエネルギー損失を低減するために、潤滑油の低粘度化が求められると共に、消防法上の安全性の観点から、高い引火点を有する潤滑油の要望が強くなっている。
従来、潤滑油としては安価で入手容易な鉱物油が主に使用されてきた。鉱物油は種々の化学構造を有する炭化水素油の混合物であり、主成分の炭化水素によりパラフィン系とナフテン系(シクロパラフィン系)に大別される(「トライボロジーハンドブック(養賢堂)」など)。パラフィン系鉱物油とナフテン系鉱物油は、粘度特性(例えば、粘度指数)、潤滑特性、低温流動性、更には精製度により耐熱性、添加剤との適合性にも違いがみられ、潤滑油の基材に使用する際には、各々の特性を生かした使い分けがなされている。
しかしながら、最近の高負荷条件での使用、メンテナンスフリーなど要求特性が厳しくなるに従い、鉱物油では要求性能を満足することが困難となり、耐熱性に優れる合成炭化水素油や有機酸エステル等の合成潤滑油が用いられるようになっている。特に有機酸エステルは、耐熱性が良好であると共に、潤滑油の熱・酸化劣化により生成するスラッジやタールの溶解性に優れる。そのため、有機酸エステルを単独で、若しくは鉱物油、合成炭化水素油との混合で用いることにより潤滑油の性能を向上させることが可能である。
上記有機酸エステルはその化学構造により、脂肪族エステル、脂環族エステル、及び芳香族エステルに大別され、各々の特性を生かした用途に用いられている。
脂環族エステルは、シクロアルキル骨格を有するエステルであり、脂環族多価カルボン酸と一価アルコールの反応から得られるエステル(以下、「脂環族カルボン酸エステル」という。)、脂環族多価アルコールと一価カルボン酸との反応から得られるエステル(以下、「脂環族アルコールエステル」という。)等が開示されている(特許文献1〜4)。
なかでも、脂環族多価カルボン酸を利用したエステルとしては、国際公開第WO97/21792号パンフレット(特許文献5)が例示される。この文献では、シクロヘキセンジカルボン酸及びシクロヘキサンジカルボン酸と各種アルコールとのエステルを、金属加工油及び冷凍機油に適用する発明が開示されている。しかしながら、本発明者等の検討では、該明細書に開示されたエステルを用いても、(1)潤滑油の低粘度化、(2)高い引火点、(3)低温における流動性、を同時に満足することが困難であることが分かった。
本発明は、各種潤滑油用途に適した潤滑性を有すると共に、低粘度、高引火点、低温流動性のバランスに優れた脂環族ジカルボン酸エステルを含有してなる潤滑油を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を達成すべく脂環族ジカルボン酸エステルについて鋭意検討の結果、下記の知見を得た。
(1)脂環族ジカルボン酸エステルのアルコール成分の鎖長を長くするにつれて、引火点が高くなる傾向にあること。
(2)一方で、アルコール成分の鎖長を長くするにつれて、低温流動性が低下する傾向があること。
(3)上記(1)、(2)のように、従来公知の脂環族ジカルボン酸エステルでは、高引火点、低温流動性、低粘度の全てを満足することが難しいこと。
(4)アルコール成分を、直鎖状アルコールから分岐鎖状のアルコールに変更することにより、低温流動性は低下する傾向にあるが、粘度が上昇する傾向にあること。
(5)脂環族カルボン酸エステルの2つのエステル基の立体配置を特定の範囲に規定することに低温流動性が大きく改善されること
(6)さらに、この場合、引火点は殆ど変化しないのに対して、粘度指数及び潤滑特性が大きく改善されること。
(7)さらに、アルコール成分の炭素数を選択することにより、所望の高引火点、低温流動性を兼ね備えたエステルが得られること。
(8)上記エステルは、特定の製造方法により得られること。
本発明は、係る知見に基づいて完成されたものである。
(1)脂環族ジカルボン酸エステルのアルコール成分の鎖長を長くするにつれて、引火点が高くなる傾向にあること。
(2)一方で、アルコール成分の鎖長を長くするにつれて、低温流動性が低下する傾向があること。
(3)上記(1)、(2)のように、従来公知の脂環族ジカルボン酸エステルでは、高引火点、低温流動性、低粘度の全てを満足することが難しいこと。
(4)アルコール成分を、直鎖状アルコールから分岐鎖状のアルコールに変更することにより、低温流動性は低下する傾向にあるが、粘度が上昇する傾向にあること。
(5)脂環族カルボン酸エステルの2つのエステル基の立体配置を特定の範囲に規定することに低温流動性が大きく改善されること
(6)さらに、この場合、引火点は殆ど変化しないのに対して、粘度指数及び潤滑特性が大きく改善されること。
(7)さらに、アルコール成分の炭素数を選択することにより、所望の高引火点、低温流動性を兼ね備えたエステルが得られること。
(8)上記エステルは、特定の製造方法により得られること。
本発明は、係る知見に基づいて完成されたものである。
即ち、本発明は、以下の潤滑油を提供するものである。
[項1] 一般式(1)
[式中、R1及びR2は、同一又は相異なって、それぞれ炭素数10〜18の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基を表す。Aは、シクロヘキサン環又はシクロヘキセン環を表し、Xは水素原子又はメチル基を表す。]
で表される脂環族ジカルボン酸エステルであり、そのトランス体/シス体の比が30〜100/70〜0(液体クロマトグラフィーによる面積%)である脂環族ジカルボン酸エステルの少なくとも1種を含有する潤滑油。
で表される脂環族ジカルボン酸エステルであり、そのトランス体/シス体の比が30〜100/70〜0(液体クロマトグラフィーによる面積%)である脂環族ジカルボン酸エステルの少なくとも1種を含有する潤滑油。
[項2] R1及びR2が、同一又は相異なって、それぞれ炭素数11〜14の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基である上記項1に記載の潤滑油。
[項3] 脂環族ジカルボン酸エステルのトランス体/シス体の比が、40〜80/60〜20(液体クロマトグラフィーによる面積比)である上記項1又は2に記載の潤滑油。
[項4] 脂環族ジカルボン酸エステルが、2つのエステル基、−COOR1と−COOR2とがシクロヘキサン環又はシクロヘキセン環の隣接する炭素に結合している脂環族隣接ジカルボン酸エステルである上記項1〜3のいずれかに記載の潤滑油。
[項5] 一般式(1)におけるR1及びR2中の直鎖状アルキル基/分岐鎖状アルキル基のモル比が、40〜80/60〜20の脂環族ジカルボン酸エステルである上記項1〜4のいずれかに記載の潤滑油。
[項6] 脂環族ジカルボン酸エステルの40℃における動粘度が18〜30mm2/sであり、流動点が−10℃以下であり、かつ引火点が250℃以上のである上記項1〜5のいずれかに記載の潤滑油。
[項7] 脂環族ジカルボン酸エステルが、
(i)脂環族ジカルボン酸成分1当量に対して、炭素数10〜18の直鎖状若しくは分岐鎖状の脂肪族一価アルコールを0.4〜0.7当量用いて部分エステルを得る工程
(ii)得られた部分エステルに対して、炭素数10〜18の直鎖状若しくは分岐鎖状の脂肪族一価アルコールを0.7〜0.4当量を追加してエステル化反応する工程
を経て得られたものである上記項1〜6のいずれかに記載の潤滑油。
(i)脂環族ジカルボン酸成分1当量に対して、炭素数10〜18の直鎖状若しくは分岐鎖状の脂肪族一価アルコールを0.4〜0.7当量用いて部分エステルを得る工程
(ii)得られた部分エステルに対して、炭素数10〜18の直鎖状若しくは分岐鎖状の脂肪族一価アルコールを0.7〜0.4当量を追加してエステル化反応する工程
を経て得られたものである上記項1〜6のいずれかに記載の潤滑油。
[項8]
潤滑油が、金属加工油又は油圧作動油である上記項1〜7のいずれかに記載の潤滑油。
潤滑油が、金属加工油又は油圧作動油である上記項1〜7のいずれかに記載の潤滑油。
本発明によれば、低粘度であり、高い引火点を有し、潤滑性、低温流動性、耐熱性の基本要求特性のバランスに優れた潤滑油を得ることができる。そのためエンジン油、ギヤ油、自動変速機油、無段変速機油、ガスタービン油、コンプレッサー油、油圧作動油、軸受用潤滑油、金属加工油、グリース基油等に使用することができる。
[脂環族ジカルボン酸エステル]
本発明に係る脂環族ジカルボン酸エステル(以下、「本エステル」という。)は、一般式(1)
[式中、R1及びR2は、同一又は相異なって、それぞれ炭素数10〜18の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基を表す。Aは、シクロヘキサン環又はシクロヘキセン環を表し、Xは水素原子又はメチル基を表す。]
で表される脂環族ジカルボン酸エステルであり、例えば、脂環族ジカルボン酸成分と脂肪族一価アルコール成分とから構成される脂環族ジカルボン酸エステルである。また、本エステルには、一般式(1)中、Aで表されるシクロヘキサン環又はシクロヘキセン環に結合している2つのエステル基(−COOR1及び−COOR2)の立体配置によって、トランス体とシス体とが存在するが、本エステルは、トランス体/シス体の比が、30〜100/70〜0(液体クロマトグラフィーによる面積%)である。なお、トランス体/シス体の比は、後述の実施例に記載の方法で測定される値である。
本発明に係る脂環族ジカルボン酸エステル(以下、「本エステル」という。)は、一般式(1)
で表される脂環族ジカルボン酸エステルであり、例えば、脂環族ジカルボン酸成分と脂肪族一価アルコール成分とから構成される脂環族ジカルボン酸エステルである。また、本エステルには、一般式(1)中、Aで表されるシクロヘキサン環又はシクロヘキセン環に結合している2つのエステル基(−COOR1及び−COOR2)の立体配置によって、トランス体とシス体とが存在するが、本エステルは、トランス体/シス体の比が、30〜100/70〜0(液体クロマトグラフィーによる面積%)である。なお、トランス体/シス体の比は、後述の実施例に記載の方法で測定される値である。
本エステルの製造方法としては、本発明で規定するトランス体含量が得られる限り特に限定はない。例えば、脂環族ジカルボン酸成分と脂肪族一価アルコールとをエステル化反応に供したり、或いは、相当する芳香族ジカルボン酸エステルを核水素化反応させることにより得られた脂環族ジカルボン酸エステルを異性化することによって得ることができる。それらの反応条件としては従来公知の方法が広く使用できる。トランス体/シス体の比を制御しやすい点から、(i)脂環族ジカルボン酸成分1当量に対して、炭素数10〜18の直鎖状若しくは分岐鎖状の一価アルコール成分を0.4〜0.7当量用いて部分エステルを得る工程、及び
(ii)得られた部分エステルに対して、炭素数10〜18の直鎖状若しくは分岐鎖状の脂肪族一価アルコール成分の0.7〜0.4当量を追加してエステル化反応する工程、
の2段階のエステル化反応工程で製造する方法が好ましい。
(ii)得られた部分エステルに対して、炭素数10〜18の直鎖状若しくは分岐鎖状の脂肪族一価アルコール成分の0.7〜0.4当量を追加してエステル化反応する工程、
の2段階のエステル化反応工程で製造する方法が好ましい。
[脂環族ジカルボン酸成分]
本エステルを構成する脂環族ジカルボン酸としては、シクロヘキサンジカルボン酸、シクロヘキセンジカルボン酸、メチルシクロヘキサンジカルボン酸、メチルシクロヘキセンジカルボン酸およびそれらのエステル形成性誘導体が挙げられる。エステル化反応にはその1種または2種以上の化合物を混合して用いることができる。各々のカルボキシル基の置換位置は、シクロヘキサン環またはシクロヘキセン環のいずれでもよく、特に限定されるものではない。又、メチル基の置換位置も特に限定されるものではない。尚、エステル形成性誘導体としては脂環族ジカルボン酸の、無水物、塩化物、炭素数1〜4の低級アルコールとのエステル、又はアリールエステル等の活性エステルが例示される。このなかでも本エステルのトランス体/シス体の比の制御を容易にする点から、脂環族ジカルボン酸無水物をエステル化反応に供することが好ましい。
本エステルを構成する脂環族ジカルボン酸としては、シクロヘキサンジカルボン酸、シクロヘキセンジカルボン酸、メチルシクロヘキサンジカルボン酸、メチルシクロヘキセンジカルボン酸およびそれらのエステル形成性誘導体が挙げられる。エステル化反応にはその1種または2種以上の化合物を混合して用いることができる。各々のカルボキシル基の置換位置は、シクロヘキサン環またはシクロヘキセン環のいずれでもよく、特に限定されるものではない。又、メチル基の置換位置も特に限定されるものではない。尚、エステル形成性誘導体としては脂環族ジカルボン酸の、無水物、塩化物、炭素数1〜4の低級アルコールとのエステル、又はアリールエステル等の活性エステルが例示される。このなかでも本エステルのトランス体/シス体の比の制御を容易にする点から、脂環族ジカルボン酸無水物をエステル化反応に供することが好ましい。
脂環族ジカルボン酸の具体例としては、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸、1−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、3−メチル−1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、4−メチル−1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、3−メチル−4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸、4−メチル−4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸が挙げられる。
尚、これらの脂環族ジカルボン酸又はその無水物は、対応する芳香族ジカルボン酸又はその無水物を公知の方法で部分核水素化或いは完全核水素化すること、無水マレイン酸と炭素数4又は5のジエン類とをディールスアルダー反応すること、又は該ディールスアルダー反応生成物を水素化することにより得られる化合物である。尚、ディールスアルダー反応によって得られる脂環族隣接ジカルボン酸は、その立体配置は通常シス体である。
[脂肪族一価アルコール成分]
本エステルを構成するアルコール成分としては、炭素数10〜18の直鎖状若しくは分岐鎖状の脂肪族一価アルコールが挙げられる。
本エステルを構成するアルコール成分としては、炭素数10〜18の直鎖状若しくは分岐鎖状の脂肪族一価アルコールが挙げられる。
直鎖状の脂肪族一価アルコールの具体例としては、n−デカノール、n−ウンデカノール、n−ドデカノール、n−トリデカノール、n−テトラデカノール、n−ペンタデカノール、n−ヘキサデカノール、n−オクタデカノール等が挙げられる。分岐鎖状の脂肪族一価アルコールの具体例としては、イソデカノール、イソウンデカノール、イソドデカノール、イソトリデカノール、イソテトラデカノール、イソペンタデカノール、イソヘキサデカノール、イソオクタデカノール等が挙げられる。係る脂肪族一価アルコールは、単独で又は2種以上を混合してエステル化反応に供することができる。
[エステル化反応]
エステル化反応は、下記(i)、(ii)の2段階の反応工程で行うことが望ましい。(i)上記脂環族ジカルボン酸成分1当量に対して、上記脂肪族一価アルコール成分を0.4〜0.7当量用いて部分エステルを得る工程。
(ii)当該部分エステルに対して、上記脂肪族一価アルコール成分の0.7〜0.4当量を追加してエステル化反応する工程。
エステル化反応は、下記(i)、(ii)の2段階の反応工程で行うことが望ましい。(i)上記脂環族ジカルボン酸成分1当量に対して、上記脂肪族一価アルコール成分を0.4〜0.7当量用いて部分エステルを得る工程。
(ii)当該部分エステルに対して、上記脂肪族一価アルコール成分の0.7〜0.4当量を追加してエステル化反応する工程。
より詳細には、(i)の部分エステルを得る工程の反応温度としては、通常120〜250℃、好ましくは210〜230℃の反応温度が例示される。また、反応時間としては、通常0.5〜8時間、好ましくは、2〜5時間が例示される。反応は無触媒でも、後述するエステル化触媒の存在下で行ってもよい。この工程において、(a)脂環族ジカルボン酸成分1当量に対して、脂肪族一価アルコール成分を0.4〜0.7当量の状態で用いて行う。この際、(a)脂環族ジカルボン酸成分に対する脂肪族一価アルコールの当量比を、0.5に近づける、(b)反応温度を高くする、(c)反応時間を長くする、ことの各条件をそれぞれ選択することにより、本エステルのトランス体含有量が増加する傾向にある。
(ii)工程における反応温度としては、通常120〜250℃、好ましくは200〜230℃の反応温度が例示される。反応時間としては、通常3〜30時間、好ましくは、4〜6時間が例示される。この際、追加アルコールは一度に加えても良いし、又は徐々に加えても良い。
尚、上記(i)工程終了後に部分エステルを単離してもよいが、経済的な観点からは、(i)工程終了後そのまま、(ii)工程のエステル化反応に供することが好ましい。
エステル化触媒としては、ルイス酸類、アルカリ金属類、スルホン酸類等が例示され、具体的にルイス酸類としては、アルミニウム誘導体、錫誘導体、チタン誘導体が例示され、アルカリ金属類としては、ナトリウムアルコキシド、カリウムアルコキシド等が例示され、更にスルホン酸類としてはパラトルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、硫酸等が例示される。なかでも、錫誘導体、チタン誘導体が好ましい。その使用量は、例えば原料である酸成分及びアルコール成分の総重量に対して、0.05〜1.0重量%程度用いられる。
エステル化反応には、必要に応じて、生成してくる水をベンゼン、トルエン、キシレン、シクロヘキサン等の水同伴剤を用いて系外に共沸留去させてもよい。
エステル化反応終了後、過剰の原料を減圧下または常圧下にて留去する。引き続き、慣用の精製方法、例えば、中和、水洗、液液抽出、減圧蒸留、活性炭等の吸着剤精製を用いて、本エステルを精製することができる。
特に、エステル化反応により得られたエステル化反応生成物を、そのまま或いは未反応のアルコール成分(水同伴剤を使用した場合は、水同伴剤)を留去した後、アルカリ洗浄に供するのが好ましい。これにより、残存する未反応の酸、末端にカルボキシル基を有する不純物、触媒等が除去され、より性能に優れた本エステルを得ることができる。
アルカリ洗浄に使用する洗浄液としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム等のアルカリ金属水酸化物、炭酸ナトリウム等のアルカリ金属炭酸塩等のアルカリの水溶液が例示でき、その濃度は特に限定されないが、0.5〜20重量%程度が好ましい。アルカリ水溶液の使用量は反応終了後の反応生成物の全酸価に対して当量又は過剰となる量とするのが好ましい。アルカリ洗浄後のエステル化粗物は、中性となるまで水洗するのが好ましい。
かくして得られる本エステルは、通常、トランス体/シス体の比(後述の実施例の項に記載の方法での測定値)が、30〜100/70〜0であり、低温流動性に優れる点から、より好ましくは30〜95/70〜5、さらに好ましくは、40〜80/60〜20である。尚、本願明細書及び特許請求の範囲において、シス体とは、シクロヘキサン環又はシクロヘキセン環に対して2つのエステル基の立体配置がシス配置であるものを指し、トランス体とは、シクロヘキサン環又はシクロヘキセン環に対して、2つのエステル基がトランス配置にあるものをいう。これらトランス体/シス体の比は、後述の実施例の項に記載した方法により測定される値である。
本エステルの全酸価としては、0.1mgKOH/g以下、好ましくは0.05mgKOH/g以下が例示される。全酸価が0.1mgKOH/g以下のときには耐熱性が向上する傾向にある。全酸価は、中和によっても調整可能である。
本エステルの水酸基価としては、2mgKOH/g以下、好ましくは1mgKOH/g以下が例示される。水酸基価が2mgKOH/g以下のときには吸湿性が低くなり、耐熱性が向上する傾向にある。水酸基価は、残存するアルコール成分をエステル化反応後に減圧留去することで調整可能である。
本エステルの硫酸灰分としては、50ppm以下、好ましくは30ppm以下であることが推奨される。硫酸灰分が50ppm以下のときには耐熱性が向上する傾向にある。硫酸灰分は、本エステルの原料となる(A)成分及び/又は(B)成分として硫酸灰分が低いもの(例えば、50ppm以下のもの)を用いるか、或いは触媒として金属触媒を使用した場合、触媒自身及び触媒由来の有機金属化合物を中和、水洗、吸着精製により十分に除去することで調整可能である。
本エステルの中でも、流動点(JIS K2269)が−10℃以下であるものが好ましく、より低温での使用に適する点で−25℃以下、更には−30℃以下であるものが好ましい。
本エステルの中でも、引火点(JIS K2265.7)が250℃以上であるものが好ましく、更には260℃以上であるものが好ましい。
[好ましい本エステル]
本エステルの中でも、脂環族ジカルボン酸成分が、脂環族隣接ジカルボン酸である本エステルが好ましく、具体的には、脂環族ジカルボン酸成分が、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、又は4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸である本エステルが好ましい。
本エステルの中でも、脂環族ジカルボン酸成分が、脂環族隣接ジカルボン酸である本エステルが好ましく、具体的には、脂環族ジカルボン酸成分が、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、又は4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸である本エステルが好ましい。
その中でも、引火点と低粘度特性のバランスに優れる点で、脂肪族一価アルコール成分が、炭素数11〜14の脂肪族直鎖状アルコールである本エステルが推奨される。具体的には、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸ジ(n−ウンデシル)、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸ジ(n−ドデシル)、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸ジ(n−トリデシル)、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸ジ(n−テトラデシル)、4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸ジ(n−ウンデシル)、4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸ジ(n−ドデシル)、4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸ジ(n−トリデシル)、4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸ジ(n−テトラデシル)、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸とn−ウンデカノール及びn−ドデカノールから得られる混基エステル、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸と、n−ウンデカノール及びn−トリデカノールとから得られる混基エステル、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸と、n−ウンデカノール及びn−テトラデカノールとから得られる混基エステル、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸と、n−ドデカノール及びn−トリデカノールとから得られる混基エステル、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸と、n−ドデカノール及びn−テトラデカノールとから得られる混基エステル、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸と、n−トリデカノール及びn−テトラデカノールとから得られる混基エステル、4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸と、n−ウンデカノール及びn−ドデカノールとから得られる混基エステル、4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸と、n−ウンデカノール及びn−トリデカノールとから得られる混基エステル、4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸と、n−ウンデカノール及びn−テトラデカノールとから得られる混基エステル、4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸と、n−ドデカノール及びn−トリデカノールとから得られる混基エステル、4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸と、n−ドデカノール及びn−テトラデカノールとから得られる混基エステル、4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸と、n−トリデカノール及びn−テトラデカノールとから得られる混基エステルが例示される。
本エステルの中でも、低温流動性と低粘度特性のバランスに優れる点で、アルコール成分として、炭素数11〜14の脂肪族分岐鎖状アルコールを原料とする本エステルが推奨される。具体的には、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸ジイソウンデシル、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸ジイソドデシル、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸ジイソトリデシル、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸ジイソテトラデシル、4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸ジイソウンデシル、4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸ジイソドデシル、4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸ジイソトリデシル、4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸ジイソテトラデシル、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸とイソウンデカノール及びイソドデカノールから得られる混基エステル、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸と、イソウンデカノール及びイソトリデカノールとから得られる混基エステル、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸と、イソウンデカノール及びイソテトラデカノールとから得られる混基エステル、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸と、イソドデカノール及びイソトリデカノールとから得られる混基エステル、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸と、イソドデカノール及びイソテトラデカノールとから得られる混基エステル、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸と、イソトリデカノール及びイソテトラデカノールとから得られる混基エステル、4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸と、イソウンデカノール及びイソドデカノールとから得られる混基エステル、4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸と、イソウンデカノール及びイソトリデカノールとから得られる混基エステル、4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸と、イソウンデカノール及びイソテトラデカノールとから得られる混基エステル、4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸と、イソドデカノール及びイソトリデカノールとから得られる混基エステル、4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸と、イソドデカノール及びイソテトラデカノールとから得られる混基エステル、4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸と、イソトリデカノール及びイソテトラデカノールとから得られる混基エステルが例示される。
更には、低粘度特性、引火点、及び低温流動性のバランスに優れる点で、アルコール成分として、(A)炭素数11〜14の脂肪族直鎖状一価アルコールから選ばれる少なくとも1種、及び、(B)炭素数11〜14、(特に炭素数11)の脂肪族分岐鎖状一価アルコールから選ばれる少なくとも1種、を組み合わせてエステル化反応に供した混基エステルが推奨される。具体的には、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸と、n−ウンデカノール及びイソウンデカノールとから得られる混基エステル、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸と、n−ウンデカノール及びイソドデカノールから得られる混基エステル、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸と、n−ウンデカノール及びイソトリデカノールから得られる混基エステル、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸と、n−ウンデカノール及びイソテトラデカノールから得られる混基エステル、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸と、n−ドデカノール及びイソウンデカノールから得られる混基エステル、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸と、n−ドデカノール及びイソドデカノールから得られる混基エステル、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸と、n−ドデカノール及びイソトリデカノールから得られる混基エステル、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸と、n−ドデカノール及びイソテトラデカノールから得られる混基エステル、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸と、n−トリデカノール及びイソウンデカノールから得られる混基エステル、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸と、n−トリデカノール及びイソドデカノールから得られる混基エステル、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸と、n−トリデカノール及びイソトリデカノールから得られる混基エステル、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸と、n−トリデカノール及びイソテトラデカノールから得られる混基エステル、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸と、n−テトラデカノール及びイソウンデカノールから得られる混基エステル、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸と、n−テトラデカノール及びイソドデカノールから得られる混基エステル、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸と、n−テトラデカノール及びイソトリデカノールから得られる混基エステル、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸と、n−テトラデカノール及びイソテトラデカノールから得られる混基エステル、4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸と、n−ウンデカノール及びイソウンデカノールとから得られる混基エステル、4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸と、n−ウンデカノール及びイソドデカノールから得られる混基エステル、4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸と、n−ウンデカノール及びイソトリデカノールから得られる混基エステル、4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸と、n−ウンデカノール及びイソテトラデカノールから得られる混基エステル、4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸と、n−ドデカノール及びイソウンデカノールから得られる混基エステル、4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸と、n−ドデカノール及びイソドデカノールから得られる混基エステル、4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸と、n−ドデカノール及びイソトリデカノールから得られる混基エステル、4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸と、n−ドデカノール及びイソテトラデカノールから得られる混基エステル、4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸と、n−トリデカノール及びイソウンデカノールから得られる混基エステル、4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸と、n−トリデカノール及びイソドデカノールから得られる混基エステル、4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸と、n−トリデカノール及びイソトリデカノールから得られる混基エステル、4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸と、n−トリデカノール及びイソテトラデカノールから得られる混基エステル、4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸と、n−テトラデカノール及びイソウンデカノールから得られる混基エステル、
4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸と、n−テトラデカノール及びイソドデカノールから得られる混基エステル、4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸と、n−テトラデカノール及びイソトリデカノールから得られる混基エステル、4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸と、n−テトラデカノール及びイソテトラデカノールから得られる混基エステルが例示される。
4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸と、n−テトラデカノール及びイソドデカノールから得られる混基エステル、4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸と、n−テトラデカノール及びイソトリデカノールから得られる混基エステル、4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸と、n−テトラデカノール及びイソテトラデカノールから得られる混基エステルが例示される。
また、脂肪族一価アルコール成分として3種以上のアルコール成分を用いた混基エステル、例えば2種類の脂肪族直鎖状アルコール及び1種類の脂肪族分岐鎖状アルコールを用いた混基エステルの好ましい具体例として、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸と、n−ウンデカノール、n−ドデカノール及びイソウンデカノールとから得られる混基エステル、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸と、n−ウンデカノール、n−テトラデカノール及びイソウンデカノールとから得られる混基エステル、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸と、n−ドデカノール、n−テトラデカノール及びイソウンデカノールとから得られる混基エステル、4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸と、n−ウンデカノール、n−ドデカノール及びイソウンデカノールとから得られる混基エステル、4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸と、n−ウンデカノール、n−テトラデカノール及びイソウンデカノールとから得られる混基エステル、4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸と、n−ドデカノール、n−テトラデカノール及びイソウンデカノールとから得られる混基エステルが挙げられ、さらに、3種類の脂肪族直鎖状一価アルコールと、1種類の脂肪族分岐鎖状一価アルコールとから得られる混基エステルの好ましい例として、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸と、n−ウンデカノール、n−ドデカノール、n−テトラデカノール及びイソウンデカノールとから得られる混基エステル、及び4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸と、n−ドデカノール、n−テトラデカノール及びイソウンデカノールとから得られる混基エステルが挙げられる。
上記混基エステルにおいて、(A)炭素数11〜14の脂肪族直鎖状一価アルコール、及び(B)炭素数11〜14の脂肪族分岐鎖状一価アルコールのモル比としては、(A)/(B)=40〜80/60〜20が好ましい。換言すると、一般式(1)のR1及びR2で表されるアルキル基中の、直鎖状アルキル基/分岐鎖状アルキル基のモル比が、40〜80/60〜20が好ましい。この範囲内において、良好な低温流動性と高い引火点とが得られやすい傾向がある。
また、(A)成分に占める炭素数11の脂肪族直鎖状一価アルコール(n−ウンデカノール)の比が20モル%以上であり、炭素数14の脂肪族直鎖状一価アルコール(n−テトラデカノール)の比が30モル%未満であることが好ましい。n−ウンデカノールの比が30モル%以上、且つ、n−テトラデカノールの比が20モル%以下の場合に、良好な低温流動性が得られやすい傾向にある。
[潤滑油]
本発明の潤滑油は、本エステルを潤滑油基油として含む潤滑油であるか、又は、本エステルと他の基油(以下「併用基油」という)との混合物を潤滑油基油として含む潤滑油であり、該潤滑油基油に対して、本エステルの少なくとも1種を、20〜100重量%、好ましくは40〜100重量%、より好ましくは80〜100重量%含有する。換言すると、併用基油は、該潤滑油基油に対して、80重量%以下、好ましくは60重量%以下、更に好ましくは20重量%以下の量で含まれている。
本発明の潤滑油は、本エステルを潤滑油基油として含む潤滑油であるか、又は、本エステルと他の基油(以下「併用基油」という)との混合物を潤滑油基油として含む潤滑油であり、該潤滑油基油に対して、本エステルの少なくとも1種を、20〜100重量%、好ましくは40〜100重量%、より好ましくは80〜100重量%含有する。換言すると、併用基油は、該潤滑油基油に対して、80重量%以下、好ましくは60重量%以下、更に好ましくは20重量%以下の量で含まれている。
上記併用基油としては、鉱物油(石油の精製によって得られる炭化水素油)、ポリ−α−オレフィン、ポリブテン、アルキルベンゼン、アルキルナフタレン、シクロアルカン誘導体、フィッシャートロプシュ法(Fischer-Tropsch process)によって得られる合成炭化水素の異性化油などの合成炭化水素油、動植物油、本エステル以外の有機酸エステル、ポリアルキレングリコール、ポリビニルエーテル、ポリフェニルエーテル、アルキルフェニルエーテル、シリコーン油が例示され、係る併用基油の少なくとも1種を適宜併用することができる。
鉱物油としては、溶剤精製鉱油、水素化精製鉱油、ワックス異性化油が挙げられるが、通常、100℃における動粘度が1.0〜25mm2/s、好ましくは2.0〜20mm2/sの範囲にあるものが用いられる。
ポリ−α−オレフィンとしては、炭素数2〜16のα−オレフィン(例えばエチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1ーヘキサデセン等)の重合体又は共重合体であって、100℃における動粘度が1.0〜25mm2/s、粘度指数が100以上のものが例示され、特に100℃における動粘度が1.5〜20mm2/sで、粘度指数が120以上のものが好ましい。
ポリブテンとしては、イソブチレンを重合したもの、イソブチレンをノルマルブチレンと共重合したものがあり、一般に100℃の動粘度が2.0〜40mm2/sの広範囲のものが挙げられる。
アルキルベンゼンとしては、炭素数1〜40の直鎖又は分岐のアルキル基で置換された分子量が200〜450であるモノアルキルベンゼン、ジアルキルベンゼン、トリアルキルベンゼン、テトラアルキルベンゼン等が例示される。
アルキルナフタレンとしては、炭素数1〜30の直鎖又は分岐のアルキル基で置換されたモノアルキルナフタレン、ジアルキルナフタレン等が例示される。
シクロアルカン誘導体としては、シクロヘキサン環、シクロヘプタン環、ビシクロヘプタン環、ビシクロオクタン環を含有する合成系ナフテン基油が例示される。
動植物油としては、牛脂、豚脂、パーム油、ヤシ油、ナタネ油、ヒマシ油、ヒマワリ油等が例示される。
本エステル以外の有機酸エステルとしては、脂肪酸モノエステル、脂肪族二塩基酸ジエステル、ポリオールエステル及びその他のエステルが例示される。
脂肪酸モノエステルとしては、炭素数5〜22の脂肪族直鎖状又は分岐鎖状モノカルボン酸と炭素数3〜22の直鎖状又は分岐鎖状の飽和若しくは不飽和の脂肪族アルコールとのエステルが挙げられる。
脂肪族二塩基酸ジエステルとしては、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸,ノナン二酸、デカン二酸等脂肪族二塩基酸と若しくはその無水物と炭素数3〜22の直鎖状又は分岐鎖状の飽和若しくは不飽和の脂肪族アルコールとのフルエステルが挙げられる。
ポリオールエステルとしては、ネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジトリメチロールプロパン、ジペンタエリスリトール等のネオペンチルポリオールと炭素数3〜22の直鎖状及び/又は分岐鎖状の飽和又は不飽和の脂肪酸とのフルエステルが挙げられる。
その他のエステルとしては、ダイマー酸、水添ダイマー酸などの重合脂肪酸、或いは、縮合ヒマシ油脂肪酸、水添縮合ヒマシ油脂肪酸などのヒドロキシ脂肪酸と炭素数3〜22の直鎖状若しくは分岐鎖状の飽和又は不飽和の脂肪族アルコールとのエステルが挙げられる。
ポリアルキレングリコールとしては、アルコールと炭素数2〜4の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキレンオキサイドの開環重合体が例示される。アルキレンオキサイドとしてはエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイドが挙げられ、これらの1種を用いた重合体、若しくは2種以上の混合物を用いた共重合体が使用可能である。又、片端又は両端の水酸基部分がエーテル化若しくはエステル化した化合物も使用可能である。重合体の動粘度としては、通常5.0〜1000mm2/s(40℃)、好ましくは5.0〜500mm2/s(40℃)である。
ポリビニルエーテルとしては、ビニルエーテルモノマーの重合によって得られる化合物であり、モノマーとしてはメチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、sec−ブチルビニルエーテル、tert−ブチルビニルエーテル、n−ペンチルビニルエーテル、n−ヘキシルビニルエーテル、2−メトキシエチルビニルエーテル、2−エトキシエチルビニルエーテル等が挙げられる。重合体の動粘度としては、通常5.0〜1000mm2/s(40℃)、好ましくは5.0〜500mm2/s(40℃)である。
ポリフェニルエーテルとしては、2個以上の芳香環のメタ位をエーテル結合又はチオエーテル結合でつないだ構造を有する化合物が挙げられ、具体的には、ビス(m−フェノキシフェニル)エーテル、m−ビス(m−フェノキシフェノキシ)ベンゼン、及びそれらの酸素の1個若しくは2個以上を硫黄に置換したチオエーテル類(通称C−エーテル)等が例示される。
アルキルフェニルエーテルとしては、ポリフェニルエーテルを炭素数6〜18の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基で置換した化合物が挙げられ、特に1個以上のアルキル基で置換したアルキルジフェニルエーテルが好ましい。
シリコーン油としては、ジメチルシリコーン、メチルフェニルシリコーンのほか、長鎖アルキルシリコーン、フルオロシリコーン等の変性シリコーンが挙げられる。
これらの併用基油の中でも、耐熱性及び潤滑性に優れる点で合成炭化水素油及び有機酸エステルが好ましく、特に、ポリ−α−オレフィン、脂肪族二塩基酸ジエステル及びポリオールエステルが好ましい。又、生分解性が要求される場合には、動植物油が好ましく、特に、菜種油が好ましい。
本発明の潤滑油には、その性能を向上させるために、公知の酸化防止剤、金属清浄剤、無灰分散剤、油性剤、摩耗防止剤、極圧剤、金属不活性剤、防錆剤、粘度指数向上剤、流動点降下剤、消泡剤等の添加剤の1種又は2種以上を適宜配合することも可能である。これらの配合量は、所定の効果を奏する限り特に限定されるものではないが、その具体的な例を以下に示す。
酸化防止剤としては、2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール、2−tert−ブチル−4−ヒドロキシアニソール、2,5−ジ−tert−ブチルハイドロキノン、4−ヒドロキシメチル−2,6−ジ−tert−ブチルフェノール、4,4’−メチレンビス−2,6−ジ−tert−ブチルフェノール、2,2’−メチレンビス−4−メチル−6−tert−ブチルフェノール等のフェノール系、N−フェニル−α−ナフチルアミン、p,p’−ジオクチルジフェニルアミン等のアミン系、p,p’−ジノニルジフェニルアミン、混合ジアルキルジフェニルアミン、フェノチアジン等の硫黄系化合物等が例示される。これらの酸化防止剤は、単独で又は組合わせて用いることができる。これらの酸化防止剤は、使用する場合、通常、潤滑油基油100重量部に対して0.01〜5重量部、好ましくは0.05〜3重量部添加することが望ましい。
金属清浄剤としては、Ca−石油スルフォネート、過塩基性Ca−石油スルフォネート、Ca−アルキルベンゼンスルフォネート、過塩基性Ca−アルキルベンゼンスルフォネート、Ba−アルキルベンゼンスルフォネート、過塩基性Ba−アルキルベンゼンスルフォネート、Mg−アルキルベンゼンスルフォネート、過塩基性Mg−アルキルベンゼンスルフォネート、Na−アルキルベンゼンスルフォネート、過塩基性Na−アルキルベンゼンスルフォネート、Ca−アルキルナフタレンスルフォネート、過塩基性Ca−アルキルナフタレンスルフォネートなどの金属スルフォネート、Ca−フェネート、過塩基性Ca−フェネート、Ba−フェネート、過塩基性Ba−フェネートなどの金属フェネート、Ca−サリシレート、過塩基性Ca−サリシレートなどの金属サリシレート、Ca−フォスフォネート、過塩基性Ca−フォスフォネート、Ba−フォスフォネート、過塩基性Ba−フォスフォネートなどの金属フォスフォネート、過塩基性Ca−カルボキシレート等が例示される。これらの金属清浄剤は、単独で又は組合わせて用いることができる。これらの金属清浄剤は、使用する場合、通常、潤滑油基油100重量部に対して1〜10重量部、好ましくは2〜7重量部添加することが望ましい。
無灰分散剤としては、ポリアルケニルコハク酸イミド、ポリアルケニルコハク酸アミド、ポリアルケニルベンジルアミン、ポリアルケニルコハク酸エステル等が例示される。これらの無灰分散剤は、単独で又は組合わせて用いることができる。これらの無灰分散剤は、使用する場合、通常、潤滑油基油100重量部に対して1〜10重量部、好ましくは2〜7重量部添加することが望ましい。
油性剤としては、ステアリン酸、オレイン酸などの脂肪族飽和及び不飽和モノカルボン酸、ダイマー酸、水添ダイマー酸などの重合脂肪酸、リシノレイン酸、12−ヒドロキシステアリン酸などのヒドロキシ脂肪酸、ラウリルアルコール、オレイルアルコールなどの脂肪族飽和及び不飽和モノアルコール、ステアリルアミン、オレイルアミンなどの脂肪族飽和及び不飽和モノアミン、ラウリン酸アミド、オレイン酸アミドなどの脂肪族飽和及び不飽和モノカルボン酸アミド、バチルアルコール、キミルアルコール、セラキルアルコールなどのグリセリンエーテル、ラウリルポリグリセリンエーテル、オレイルポリグリセリルエーテルなどのアルキル若しくはアルケニルポリグリセリルエーテル、ジ(2−エチルヘキシル)モノエタノールアミン、ジイソトリデシルモノエタノールアミンなどのアルキル若しくはアルケニルアミンのポリ(アルキレンオキサイド)付加物等が例示される。これらの油性剤は、単独で又は組合わせて用いてもよい。これらの油性剤は、使用する場合、通常、潤滑油基油100重量部に対して、0.01〜5重量部、好ましくは0.1〜3重量部添加することが望ましい。
摩耗防止剤・極圧剤としては、トリクレジルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、アルキルフェニルホスフェート類、トリブチルホスフェート、ジブチルホスフェート等のリン酸エステル類、トリブチルホスファイト、ジブチルホスファイト、トリイソプロピルホスファイト等の亜りん酸エステル類及びこれらのアミン塩等のリン系、硫化油脂、硫化オレイン酸などの硫化脂肪酸、ジベンジルジスルフィド、硫化オレフィン、ジアルキルジスルフィドなどの硫黄系、Zn−ジアルキルジチオフォスフェート、Zn−ジアルキルジチオフォスフェート、Mo−ジアルキルジチオフォスフェート、Mo−ジアルキルジチオカルバメートなどの有機金属系化合物等が例示される。これらの摩耗防止剤は、単独で又は組合わせて用いることができる。これらの摩耗防止剤・極圧剤は、使用する場合、通常、潤滑油基油100重量部に対して0.01〜10重量部、好ましくは0.1〜5重量部添加することが望ましい。
金属不活性剤としては、ベンゾトリアゾール系、チアジアゾール系、没食子酸エステル系の化合物等が例示される。これらの金属不活性剤は、単独で又は組合わせて用いることができる。これらの金属不活性剤は、使用する場合、通常、潤滑油基油100重量部に対して0.01〜0.4重量部、好ましくは0.01〜0.2重量部添加することが望ましい。
防錆剤としては、ドデセニルコハク酸ハーフエステル、オクタデセニルコハク酸無水物、ドデセニルコハク酸アミドなどのアルキル又はアルケニルコハク酸誘導体、ソルビタンモノオレエート、グリセリンモノオレエート、ペンタエリスリトールモノオレエートなどの多価アルコール部分エステル、Ca−石油スルフォネート、Ca−アルキルベンゼンスルフォネート、Ba−アルキルベンゼンスルフォネート、Mg−アルキルベンゼンスルフォネート、Na−アルキルベンゼンスルフォネート、Zn−アルキルベンゼンスルフォネート、Ca−アルキルナフタレンスルフォネートなどの金属スルフォネート、ロジンアミン、N−オレイルザルコシンなどのアミン類、ジアルキルホスファイトアミン塩等が例示される。これらの防錆剤は、単独で又は組合わせて用いることができる。これらの防錆剤は、使用する場合、通常、潤滑油基油100重量部に対して0.01〜5重量部、好ましくは0.05〜2重量部添加することが望ましい。
粘度指数向上剤としては、ポリアルキルメタクリレート、ポリアルキルスチレン、ポリブテン、エチレン−プロピレン共重合体、スチレン−ジエン共重合体、スチレン−無水マレイン酸エステル共重合体などのオレフィン共重合体が例示される。これらの粘度指数向上剤は、単独で又は組合わせて用いることができる。これらの粘度指数向上剤は、使用する場合、通常、潤滑油基油100重量部に対して0.1〜15重量部、好ましくは0.5〜7重量部添加することが望ましい。
流動点降下剤としては、塩素化パラフィンとアルキルナフタレンの縮合物、塩素化パラフィンとフェノールの縮合物、既述の粘度指数向上剤であるポリアルキルメタクリレート、ポリアルキルスチレン、ポリブテン等が例示される。これらの流動点降下剤は、単独で又は組合わせて用いることができる。これらの流動点向上剤は、使用する場合、通常、潤滑油基油100重量部に対してに対して0.01〜5重量部、好ましくは0.1〜3重量部添加することが望ましい。
消泡剤としては、液状シリコーンが適しており、消泡剤を使用する場合、その添加量は、通常、潤滑油基油100重量部に対して0.0005〜0.01重量部である。
本発明に係る潤滑油は、従来公知の脂環族ジカルボン酸ジエステルを含有する潤滑油と比べて、引火点が高く、低粘度特性に優れ、低温流動性、潤滑性のバランスに優れる。
以下に実施例を掲げて本発明を詳しく説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。尚、本実施例及び比較例において、エステルの諸性状、潤滑油の物理特性、化学特性は以下の方法により測定した。
(a)トランス体/シス体比の測定
トランス体/シス体の比は、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を用いて測定した。尚、混基エステルの場合には、トランス体の本エステルの面積%の総和と、シス体
の本エステルの面積%の総和との比とした。
カラム:新和化工株式会社 STR ODS−II 長さ150mm×内径4.6mm
移動相:100%メタノール 流量:0.5ml/分
検出器:UV−220nm
温度:40℃
トランス体/シス体の比は、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を用いて測定した。尚、混基エステルの場合には、トランス体の本エステルの面積%の総和と、シス体
の本エステルの面積%の総和との比とした。
カラム:新和化工株式会社 STR ODS−II 長さ150mm×内径4.6mm
移動相:100%メタノール 流量:0.5ml/分
検出器:UV−220nm
温度:40℃
(b)全酸価
JIS K2501に準拠して測定した。
JIS K2501に準拠して測定した。
(c)動粘度
JIS K2283に準拠して、40℃、100℃における動粘度を測定した。
JIS K2283に準拠して、40℃、100℃における動粘度を測定した。
(d)粘度指数
JIS K2283に準拠して算出した。
JIS K2283に準拠して算出した。
(e)低温流動性試験
JIS K2269に準拠して流動点を測定した。
JIS K2269に準拠して流動点を測定した。
(f)引火点
JIS K2265.7(クリーブランド解放式)に準拠して測定した。
JIS K2265.7(クリーブランド解放式)に準拠して測定した。
(g)潤滑性試験
JPI−5S−32−90(社団法人石油学会の規格)に準拠して、高速四球型摩耗試験機(神鋼造機製)を用いて、回転数1200rpm、荷重10kg、時間60分の条件で試験し、摩耗痕径を測定した。形成された摩耗痕が小さいものほど潤滑性が良好と判断した。
JPI−5S−32−90(社団法人石油学会の規格)に準拠して、高速四球型摩耗試験機(神鋼造機製)を用いて、回転数1200rpm、荷重10kg、時間60分の条件で試験し、摩耗痕径を測定した。形成された摩耗痕が小さいものほど潤滑性が良好と判断した。
[製造例1]
(i)工程(部分エステル化)
撹拌機、温度計及び冷却管付き水分分留受器を備えた1リットルの四ツ口フラスコに、4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物(本品は無水マレイン酸と1,3−ブタジエンとを通常のディールス−アルダー反応をすることにより調製した)182.4g(1.2モル)、ウンデカノール(三菱化学製「ダイヤドール11」、イソウンデカノール/n−ウンデカノール=50/50(モル比)の混合アルコール)206.8g(1.2モル)、触媒としてテトラ−n−ブチルチタネート原料の総重量に対し0.05重量%)、及びキシレン(原料の総重量に対し10重量%)を仕込み、窒素雰囲気下、徐々に230℃まで昇温し、そのまま230℃で3時間加熱を行って、部分エステル化をおこなった。
(ii)工程(エステル化)
引き続いて230℃においてウンデカノール(三菱化学社製「ダイヤドール11」)248g(1.44モル)を2時間かけて滴下した。ウンデカノールの滴下後、減圧下で反応を継続し、理論生成水量(21.6g)を目安にして留出してくる生成水を水分分留受器で除去しながら、エステル化反応をさらに約2時間行った。反応終了後、過剰のアルコール及びキシレンを蒸留で除去した。次いで、反応終了後の全酸価に対して過剰の苛性ソーダ水溶液で中和後、中性になるまで水洗してエステル化反応粗物を得た。さらに得られたエステル化反応粗物を活性炭で処理後、濾過をしてエステルA(4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸と、イソウンデカノール/n−ウンデカノール=50/50(モル比)とから得られる混基エステル)551gを得た。エステルAの全酸価は0.01mgKOH/gであり、異性体比はトランス体/シス体=47/53(面積%)であった。
(i)工程(部分エステル化)
撹拌機、温度計及び冷却管付き水分分留受器を備えた1リットルの四ツ口フラスコに、4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物(本品は無水マレイン酸と1,3−ブタジエンとを通常のディールス−アルダー反応をすることにより調製した)182.4g(1.2モル)、ウンデカノール(三菱化学製「ダイヤドール11」、イソウンデカノール/n−ウンデカノール=50/50(モル比)の混合アルコール)206.8g(1.2モル)、触媒としてテトラ−n−ブチルチタネート原料の総重量に対し0.05重量%)、及びキシレン(原料の総重量に対し10重量%)を仕込み、窒素雰囲気下、徐々に230℃まで昇温し、そのまま230℃で3時間加熱を行って、部分エステル化をおこなった。
(ii)工程(エステル化)
引き続いて230℃においてウンデカノール(三菱化学社製「ダイヤドール11」)248g(1.44モル)を2時間かけて滴下した。ウンデカノールの滴下後、減圧下で反応を継続し、理論生成水量(21.6g)を目安にして留出してくる生成水を水分分留受器で除去しながら、エステル化反応をさらに約2時間行った。反応終了後、過剰のアルコール及びキシレンを蒸留で除去した。次いで、反応終了後の全酸価に対して過剰の苛性ソーダ水溶液で中和後、中性になるまで水洗してエステル化反応粗物を得た。さらに得られたエステル化反応粗物を活性炭で処理後、濾過をしてエステルA(4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸と、イソウンデカノール/n−ウンデカノール=50/50(モル比)とから得られる混基エステル)551gを得た。エステルAの全酸価は0.01mgKOH/gであり、異性体比はトランス体/シス体=47/53(面積%)であった。
[製造例2]
(i)工程のウンデカノールに代えて、n−ドデカノール(新日本理化製「コノール20P」)223.6g(1.2モル)を、(ii)工程のウンデカノールに代えて、n−ドデカノール 268.2g(1.44モル)を用いた以外は、製造例1と同様の方法により、エステル化反応を行い、エステルB(4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸ジ(n−ドデシル))555gを得た。エステルBの全酸価は0.01mgKOH/gであり、異性体比はトランス体/シス体=53/47(面積%)であった。
(i)工程のウンデカノールに代えて、n−ドデカノール(新日本理化製「コノール20P」)223.6g(1.2モル)を、(ii)工程のウンデカノールに代えて、n−ドデカノール 268.2g(1.44モル)を用いた以外は、製造例1と同様の方法により、エステル化反応を行い、エステルB(4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸ジ(n−ドデシル))555gを得た。エステルBの全酸価は0.01mgKOH/gであり、異性体比はトランス体/シス体=53/47(面積%)であった。
[製造例3]
(i)工程のウンデカノールに代えて、ウンデカノール(三菱化学社製「ダイヤドール11」)103.4g(0.6モル)とn−ドデカノール 111.8g(0.6モル%)を、(ii)工程のウンデカノールに代えて、ウンデカノール(三菱化学社製「ダイヤトール11」)125.5g(0.72モル)とn−ドデカノール 124.0g(0.72モル)の混合物を用いた以外は、製造例1と同様の方法により、エステル化反応を行い、エステルC(4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸と、イソウンデカノール/n−ウンデカノール/n−ドデカオール=25/25/50(モル比)とから得られる混基エステル)540gを得た。エステルCの全酸価は0.01mgKOH/gであり、異性体比はトランス体/シス体=49/51(面積%)であった。
(i)工程のウンデカノールに代えて、ウンデカノール(三菱化学社製「ダイヤドール11」)103.4g(0.6モル)とn−ドデカノール 111.8g(0.6モル%)を、(ii)工程のウンデカノールに代えて、ウンデカノール(三菱化学社製「ダイヤトール11」)125.5g(0.72モル)とn−ドデカノール 124.0g(0.72モル)の混合物を用いた以外は、製造例1と同様の方法により、エステル化反応を行い、エステルC(4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸と、イソウンデカノール/n−ウンデカノール/n−ドデカオール=25/25/50(モル比)とから得られる混基エステル)540gを得た。エステルCの全酸価は0.01mgKOH/gであり、異性体比はトランス体/シス体=49/51(面積%)であった。
[製造例4]
(i)工程のウンデカノールに代えて、ウンデカノール(三菱化学社製「ダイヤドール11」)155.1g(0.9モル)とn−ドデカノール 55.9g(0.3モル)を、(ii)工程のウンデカノールに代えて、ウンデカノール(三菱化学社製「ダイヤドール11」)186.1g(1.08モル)とn−ドデカノール 67.1g(0.36モル)の混合物を用いた以外は、製造例1と同様の方法により、エステル化反応を行い、エステルD542gを得た。本エステルD(4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸と、イソウンデカノール/n−ウンデカノール/n−ドデカオール=37.5/37.5/25(モル比)とから得られる混基エステル)の全酸価は0.01mgKOH/gであり、異性体比はトランス体/シス体=50/50(面積%)であった。
(i)工程のウンデカノールに代えて、ウンデカノール(三菱化学社製「ダイヤドール11」)155.1g(0.9モル)とn−ドデカノール 55.9g(0.3モル)を、(ii)工程のウンデカノールに代えて、ウンデカノール(三菱化学社製「ダイヤドール11」)186.1g(1.08モル)とn−ドデカノール 67.1g(0.36モル)の混合物を用いた以外は、製造例1と同様の方法により、エステル化反応を行い、エステルD542gを得た。本エステルD(4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸と、イソウンデカノール/n−ウンデカノール/n−ドデカオール=37.5/37.5/25(モル比)とから得られる混基エステル)の全酸価は0.01mgKOH/gであり、異性体比はトランス体/シス体=50/50(面積%)であった。
[製造例5]
(i)工程のウンデカノールに代えて、ウンデカノール(三菱化学社製「ダイヤドール11」)103.4g(0.6モル)とn−ドデカノール 83.9g(0.45モル)とn−テトラデカノール(新日本理化「コノール1495」)32.2(0.15モル)を、(ii)工程のウンデカノール(三菱化学社製「ダイヤドール11」)に代えて、ウンデカノール(三菱化学社製「ダイヤドール11」)124.1g(0.72モル)とn−ドデカノール 100.6g(0.54モル)とn−テトラデカノール 38.6g(0.18モル)の混合物を用いた以外は、製造例1と同様の方法により、エステル化反応を行い、エステルE(4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸と、イソウンデカノール/n−ウンデカノール/n−ドデカノール/n−テトラデカノール=25/25/37.5/12.5(モル比)とから得られる混基エステル)542gを得た。エステルEの全酸価は0.01mgKOH/gであり、異性体比はトランス体/シス体=63/37(面積%)であった。
(i)工程のウンデカノールに代えて、ウンデカノール(三菱化学社製「ダイヤドール11」)103.4g(0.6モル)とn−ドデカノール 83.9g(0.45モル)とn−テトラデカノール(新日本理化「コノール1495」)32.2(0.15モル)を、(ii)工程のウンデカノール(三菱化学社製「ダイヤドール11」)に代えて、ウンデカノール(三菱化学社製「ダイヤドール11」)124.1g(0.72モル)とn−ドデカノール 100.6g(0.54モル)とn−テトラデカノール 38.6g(0.18モル)の混合物を用いた以外は、製造例1と同様の方法により、エステル化反応を行い、エステルE(4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸と、イソウンデカノール/n−ウンデカノール/n−ドデカノール/n−テトラデカノール=25/25/37.5/12.5(モル比)とから得られる混基エステル)542gを得た。エステルEの全酸価は0.01mgKOH/gであり、異性体比はトランス体/シス体=63/37(面積%)であった。
[製造例6]
(i)工程のウンデカノールに代えて、ウンデカノール(三菱化学社製「ダイヤドール11」)155.1g(0.9モル)とn−ドデカノール 42.9g(0.23モル)とn−テトラデカノール15.0g(0.07モル)を、(ii)工程のウンデカノールに代えて、ウンデカノール(三菱化学社製「ダイヤドール11」)186.1g(1.08モル)とn−ドデカノール 50.3g(0.27モル)とn−テトラデカノール 19.3g(0.09モル)の混合物を用いた以外は、製造例1と同様の方法により、エステル化反応を行い、エステルF(4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸と、イソウンデカノール/n−ウンデカノール/n−ドデカノール/n−テトラデカノール=37.5/37.5/18.8/6.2(モル比)とから得られる混基エステル)の539gを得た。Fの全酸価は0.01mgKOH/gであり、異性体比はトランス体/シス体=45/55(面積%)であった。
(i)工程のウンデカノールに代えて、ウンデカノール(三菱化学社製「ダイヤドール11」)155.1g(0.9モル)とn−ドデカノール 42.9g(0.23モル)とn−テトラデカノール15.0g(0.07モル)を、(ii)工程のウンデカノールに代えて、ウンデカノール(三菱化学社製「ダイヤドール11」)186.1g(1.08モル)とn−ドデカノール 50.3g(0.27モル)とn−テトラデカノール 19.3g(0.09モル)の混合物を用いた以外は、製造例1と同様の方法により、エステル化反応を行い、エステルF(4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸と、イソウンデカノール/n−ウンデカノール/n−ドデカノール/n−テトラデカノール=37.5/37.5/18.8/6.2(モル比)とから得られる混基エステル)の539gを得た。Fの全酸価は0.01mgKOH/gであり、異性体比はトランス体/シス体=45/55(面積%)であった。
[製造例7]
(i)工程(部分エステル化)
製造例1で用いたのと同一の装置に、4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物(本品は無水マレイン酸と1,3−ブタジエンとを通常のディールス−アルダー反応をすることにより調製した)182.4g(1.2モル)、n−ドデカノール(新日本理化社製「コノール20P」)223.6g(1.2モル)、触媒としてテトラ−n−ブチルチタネート原料の総重量に対し0.05重量%)、及びキシレン(原料の総重量に対し10重量%)を仕込み、窒素雰囲気下、徐々に230℃まで昇温して、部分エステル化をおこなった。
(ii)工程(エステル化)
引き続いて、n−ドデカノール 268.2g(1.44モル)を2時間かけて滴下し、その後の減圧反応を4時間継続して行った。エステル化反応終了後は、製造例1と同様に処理を行い、エステルG(4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸ジ(n−ドデシル))550gを得た。エステルGの全酸価は0.01mgKOH/gであり、異性体比はトランス体/シス体=41/59(面積%)であった。
(i)工程(部分エステル化)
製造例1で用いたのと同一の装置に、4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物(本品は無水マレイン酸と1,3−ブタジエンとを通常のディールス−アルダー反応をすることにより調製した)182.4g(1.2モル)、n−ドデカノール(新日本理化社製「コノール20P」)223.6g(1.2モル)、触媒としてテトラ−n−ブチルチタネート原料の総重量に対し0.05重量%)、及びキシレン(原料の総重量に対し10重量%)を仕込み、窒素雰囲気下、徐々に230℃まで昇温して、部分エステル化をおこなった。
(ii)工程(エステル化)
引き続いて、n−ドデカノール 268.2g(1.44モル)を2時間かけて滴下し、その後の減圧反応を4時間継続して行った。エステル化反応終了後は、製造例1と同様に処理を行い、エステルG(4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸ジ(n−ドデシル))550gを得た。エステルGの全酸価は0.01mgKOH/gであり、異性体比はトランス体/シス体=41/59(面積%)であった。
[製造例8]
230℃での加熱を5時間行う以外は、製造例2と同様にエステル化反応を行い、エステルH(4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸ジ(n−ドデシル )550gを得た。エステルHの全酸価は0.01mgKOH/gであり、異性体比はトランス体/シス体=68/32(面積%)であった。
230℃での加熱を5時間行う以外は、製造例2と同様にエステル化反応を行い、エステルH(4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸ジ(n−ドデシル )550gを得た。エステルHの全酸価は0.01mgKOH/gであり、異性体比はトランス体/シス体=68/32(面積%)であった。
[製造例9]
4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物に代えて、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸無水物(本品は無水マレイン酸と1,3−ブタジエンとを通常のディールスアルダー反応をすることにより得られた4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物の二重結合を水素化することにより調整した)184.8g(1.2モル)を用いた以外は、製造例1と同様の方法により、エステル化反応を行い、エステルI(1,2−シクロヘキサンジカルボン酸と、n−ドデカノール/イソウンデカノール=50/50(モル比)との混基エステル)550gを得た。エステルIの全酸価は0.01mgKOH/gであり、異性体比はトランス体/シス体=55/45(面積%)であった。
4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物に代えて、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸無水物(本品は無水マレイン酸と1,3−ブタジエンとを通常のディールスアルダー反応をすることにより得られた4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物の二重結合を水素化することにより調整した)184.8g(1.2モル)を用いた以外は、製造例1と同様の方法により、エステル化反応を行い、エステルI(1,2−シクロヘキサンジカルボン酸と、n−ドデカノール/イソウンデカノール=50/50(モル比)との混基エステル)550gを得た。エステルIの全酸価は0.01mgKOH/gであり、異性体比はトランス体/シス体=55/45(面積%)であった。
[製造例10]
国際公開パンフレットWO97/21792に記載の方法に従って、脂環族ジカルボン酸エステルを合成した。即ち、撹拌器、温度計及び冷却管付き水分分留受器を備えた1リットルの四ツ口フラスコに、4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸(本品は無水マレイン酸と1,3−ブタジエンとを通常のディールス−アルダー反応をすることにより調製した)182.4g(1.2モル)、n−ドデカノール 491.9g(2.64モル)、及びキシレン(原料の総重量に対し10重量%)を仕込み、触媒としてテトラ−n−ブチルチタネート[原料の総重量に対し0.1重量%]を添加し、窒素雰囲気下、徐々に210℃まで昇温した。水の留出が開始した後、減圧下で反応を継続し、理論生成水量(21.6g)を目安にして留出してくる生成水を水分分留受器で除去しながら、エステル化反応を約8時間行った。反応終了後、過剰のアルコール及びキシレンを蒸留で除去した。次いで、反応終了後の全酸価に対して過剰の苛性ソーダ水溶液で中和後、中性になるまで水洗してエステル化反応粗物を得た。さらに得られたエステル化反応粗物を活性炭で処理後、濾過をしてエステルJ(4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸ジ(n−ドデシル ))560gを得た。エステルJの全酸価は0.01mgKOH/gであり、異性体比はトランス体/シス体=8/92(面積%)であった。尚、エステル化反応5時間目の反応粗物の異性体比はトランス体/シス体=6/94(面積%)であり、エステル化反応中の異性化は極僅かであった。
国際公開パンフレットWO97/21792に記載の方法に従って、脂環族ジカルボン酸エステルを合成した。即ち、撹拌器、温度計及び冷却管付き水分分留受器を備えた1リットルの四ツ口フラスコに、4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸(本品は無水マレイン酸と1,3−ブタジエンとを通常のディールス−アルダー反応をすることにより調製した)182.4g(1.2モル)、n−ドデカノール 491.9g(2.64モル)、及びキシレン(原料の総重量に対し10重量%)を仕込み、触媒としてテトラ−n−ブチルチタネート[原料の総重量に対し0.1重量%]を添加し、窒素雰囲気下、徐々に210℃まで昇温した。水の留出が開始した後、減圧下で反応を継続し、理論生成水量(21.6g)を目安にして留出してくる生成水を水分分留受器で除去しながら、エステル化反応を約8時間行った。反応終了後、過剰のアルコール及びキシレンを蒸留で除去した。次いで、反応終了後の全酸価に対して過剰の苛性ソーダ水溶液で中和後、中性になるまで水洗してエステル化反応粗物を得た。さらに得られたエステル化反応粗物を活性炭で処理後、濾過をしてエステルJ(4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸ジ(n−ドデシル ))560gを得た。エステルJの全酸価は0.01mgKOH/gであり、異性体比はトランス体/シス体=8/92(面積%)であった。尚、エステル化反応5時間目の反応粗物の異性体比はトランス体/シス体=6/94(面積%)であり、エステル化反応中の異性化は極僅かであった。
[製造例11]
反応温度を210℃から230℃に変更した以外は、製造例10と同様の方法により、エステル化反応を行い、エステルK(4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸ジ(n−ドデシル))555gを得た。エステルKの全酸価は0.01mgKOH/gであり、異性体比トランス体/シス体=11/89(面積%)であった。尚、反応5時間後の反応粗物の異性体比はトランス体/シス体=10/90(面積%)であり、反応温度を高くしてもトランス体含有量の低いものしか得られなかった。
反応温度を210℃から230℃に変更した以外は、製造例10と同様の方法により、エステル化反応を行い、エステルK(4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸ジ(n−ドデシル))555gを得た。エステルKの全酸価は0.01mgKOH/gであり、異性体比トランス体/シス体=11/89(面積%)であった。尚、反応5時間後の反応粗物の異性体比はトランス体/シス体=10/90(面積%)であり、反応温度を高くしてもトランス体含有量の低いものしか得られなかった。
[製造例12]
n−ドデカノールに代えて、ウンデカノール(三菱化学社製「ダイヤトール11」)341.2g(1.98モル)とn−ドデカノール123g(0.66モル)を用いた以外は、製造例10と同様の方法により、エステル化反応を行い、エステルL542gを得た。エステルL(4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸と、イソウンデカノール/n−ウンデカノール/n−ドデカノール=37.5/37.5/25(モル比)とから得られる混基エステル)の全酸価は0.01mgKOH/gであり、異性体比はトランス体/シス体=1/99(面積%)であった。
n−ドデカノールに代えて、ウンデカノール(三菱化学社製「ダイヤトール11」)341.2g(1.98モル)とn−ドデカノール123g(0.66モル)を用いた以外は、製造例10と同様の方法により、エステル化反応を行い、エステルL542gを得た。エステルL(4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸と、イソウンデカノール/n−ウンデカノール/n−ドデカノール=37.5/37.5/25(モル比)とから得られる混基エステル)の全酸価は0.01mgKOH/gであり、異性体比はトランス体/シス体=1/99(面積%)であった。
[製造例13]
n−ドデカノールに代えて、ウンデカノール(三菱化学社製「ダイヤドール11」)341.2g(1.98モル)、n−ドデカノール 93.2g(0.5モル)及びn−テトラデカノール 34.3g(0.16モル)の混合物を用いた以外は、製造例10と同様の方法によりエステル化反応を行い、エステルM(4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸と、イソウンデカノール/n−ウンデカノール/n−ドデカノール/n−テトラデカノール=37.5/37.5/18.8/6.2(モル比)とから得られる混基エステル。)540gを得た。エステルMの全酸価は0.01mgKOH/gであり、異性体比はトランス体/シス体=6/94(面積%)であった。
n−ドデカノールに代えて、ウンデカノール(三菱化学社製「ダイヤドール11」)341.2g(1.98モル)、n−ドデカノール 93.2g(0.5モル)及びn−テトラデカノール 34.3g(0.16モル)の混合物を用いた以外は、製造例10と同様の方法によりエステル化反応を行い、エステルM(4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸と、イソウンデカノール/n−ウンデカノール/n−ドデカノール/n−テトラデカノール=37.5/37.5/18.8/6.2(モル比)とから得られる混基エステル。)540gを得た。エステルMの全酸価は0.01mgKOH/gであり、異性体比はトランス体/シス体=6/94(面積%)であった。
[製造例14]
4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸に代えて、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸無水物(本品は無水マレイン酸と1,3−ブタジエンとを通常のディールス−アルダー反応をすることにより得られた4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物の二重結合を水素化することにより調整した)184.8g(1.2モル)を用いた以外は、製造例10と同様の方法により、エステル化反応を行い、エステルN(1,2−シクロヘキサンジカルボン酸と、n−ウンデカノール/イソウンデカノール=50/50(モル比))545gを得た。エステルNの全酸価は0.01mgKOH/gであり、異性体比はトランス体/シス体=4/96(面積%)であった。
4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸に代えて、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸無水物(本品は無水マレイン酸と1,3−ブタジエンとを通常のディールス−アルダー反応をすることにより得られた4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物の二重結合を水素化することにより調整した)184.8g(1.2モル)を用いた以外は、製造例10と同様の方法により、エステル化反応を行い、エステルN(1,2−シクロヘキサンジカルボン酸と、n−ウンデカノール/イソウンデカノール=50/50(モル比))545gを得た。エステルNの全酸価は0.01mgKOH/gであり、異性体比はトランス体/シス体=4/96(面積%)であった。
[実施例1−9、比較例1−5]
表1に示した製造例1−14で得られた各エステルからなる潤滑油の動粘度、引火点、流動点及び摩耗痕径を測定した。その結果を表2に示す。
表1に示した製造例1−14で得られた各エステルからなる潤滑油の動粘度、引火点、流動点及び摩耗痕径を測定した。その結果を表2に示す。
[実施例8]
製造例3で得られたエステルC及びネオペンチルグリコールジオレエートの混合油[70/30(重量比)]の動粘度、引火点、流動点、潤滑性(摩耗痕径)及び耐熱性を表3に示す。
製造例3で得られたエステルC及びネオペンチルグリコールジオレエートの混合油[70/30(重量比)]の動粘度、引火点、流動点、潤滑性(摩耗痕径)及び耐熱性を表3に示す。
[実施例9]
製造例3で得られたエステルC及び引火点236℃のポリ−αーオレフィンの混合油[30/70(重量比)]の動粘度、引火点、流動点、潤滑性(摩耗痕径)及び耐熱性を表3に示す。
製造例3で得られたエステルC及び引火点236℃のポリ−αーオレフィンの混合油[30/70(重量比)]の動粘度、引火点、流動点、潤滑性(摩耗痕径)及び耐熱性を表3に示す。
[実施例10]
製造例3で得られたエステルC及びアジピン酸ジイソトリデシルの混合油[80/20(重量比)]の動粘度、引火点、流動点、潤滑性(摩耗痕径)及び耐熱性を表3に示す。
製造例3で得られたエステルC及びアジピン酸ジイソトリデシルの混合油[80/20(重量比)]の動粘度、引火点、流動点、潤滑性(摩耗痕径)及び耐熱性を表3に示す。
表2の各実施例から明らかなように、立体異性体としてトランス体を30%(面積%)以上含有する本発明に係る脂環族ジカルボン酸エステルからなる潤滑油は、低温流動性が良好であり、低粘度特性と高引火点とのバランスに優れる。
一方、比較例のように、トランス体含量の低い脂環族ジカルボン酸エステルからなる潤滑油は、流動点が高く低温流動性に劣り(比較例1、2)、引火点が低く(比較例3、4、5)、又は、潤滑特性に劣る(比較例1、3、4、5)等、低粘度と高引火点を備えた潤滑油とはいえない。
さらに詳しく例示する。トランス体含量のみが異なる実施例1(トランス体/シス対=47/53)と、比較例5(トランス体/シス体=4/96)との比較において、流動点はそれぞれ、−55.0℃、−30.0と顕著に異なっている。さらにこの場合、引火点はそれぞれ254℃と248℃であり、摩耗痕径はそれぞれ0.37mm、0.47mmと本発明の潤滑油が格段に優れていることがわかる。
又、表3から明らかなように、本発明の該脂環族エステルと他の潤滑油基油することにより、動粘度の低減や引火点を向上させ、かつ他性能のバランスに優れた潤滑油が得られている。
一方、比較例のように、トランス体含量の低い脂環族ジカルボン酸エステルからなる潤滑油は、流動点が高く低温流動性に劣り(比較例1、2)、引火点が低く(比較例3、4、5)、又は、潤滑特性に劣る(比較例1、3、4、5)等、低粘度と高引火点を備えた潤滑油とはいえない。
さらに詳しく例示する。トランス体含量のみが異なる実施例1(トランス体/シス対=47/53)と、比較例5(トランス体/シス体=4/96)との比較において、流動点はそれぞれ、−55.0℃、−30.0と顕著に異なっている。さらにこの場合、引火点はそれぞれ254℃と248℃であり、摩耗痕径はそれぞれ0.37mm、0.47mmと本発明の潤滑油が格段に優れていることがわかる。
又、表3から明らかなように、本発明の該脂環族エステルと他の潤滑油基油することにより、動粘度の低減や引火点を向上させ、かつ他性能のバランスに優れた潤滑油が得られている。
本発明の潤滑油は、潤滑油の基本要求特性のバランスに優れており、引火点が高いことから低粘度化が求められている幅広い潤滑油用途に適用することが可能である。例えば、エンジン油、ギヤ油、自動変速機油、無段変速機油、ガスタービン油、コンプレッサー油、油圧作動油、軸受用潤滑油、金属加工油、グリース基油などに好適に使用することができる。
特許出願人 新日本理化株式会社
特許出願人 新日本理化株式会社
Claims (8)
- R1及びR2が、同一又は相異なって、それぞれ炭素数11〜14の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基である請求項1に記載の潤滑油。
- 脂環族ジカルボン酸エステルのトランス体/シス体の比が、40〜80/60〜20(液体クロマトグラフィーによる面積比)である請求項1又は2に記載の潤滑油。
- 脂環族ジカルボン酸エステルが、2つのエステル基、−COOR1と−COOR2とがシクロヘキサン環又はシクロヘキセン環の隣接する炭素に結合している脂環族隣接ジカルボン酸エステルである請求項1〜3のいずれかに記載の潤滑油。
- 一般式(1)におけるR1及びR2中の直鎖状アルキル基/分岐鎖状アルキル基のモル比が、40〜80/60〜20の脂環族ジカルボン酸エステルである請求項1〜4のいずれかに記載の潤滑油。
- 脂環族ジカルボン酸エステルの40℃における動粘度が18〜30mm2/sであり、流動点が−10℃以下であり、かつ引火点が250℃以上のである請求項1〜5のいずれかに記載の潤滑油。
- 脂環族ジカルボン酸エステルが、
(i)脂環族ジカルボン酸成分1当量に対して、炭素数10〜18の直鎖状若しくは分岐鎖状の脂肪族一価アルコールを0.4〜0.7当量用いて部分エステルを得る工程
(ii)得られた部分エステルに対して、炭素数10〜18の直鎖状若しくは分岐鎖状の脂肪族一価アルコールを0.7〜0.4当量を追加してエステル化反応する工程
を経て得られたものである請求項1〜6のいずれかに記載の潤滑油。 - 潤滑油が、金属加工油又は油圧作動油である請求項1〜7のいずれかに記載の潤滑油。
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