JP5874510B2 - 着弾位置ズレ量取得方法、インクジェットプリンタ、及び、着弾位置ズレ量取得装置 - Google Patents

着弾位置ズレ量取得方法、インクジェットプリンタ、及び、着弾位置ズレ量取得装置 Download PDF

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Description

本発明は、インクジェットプリンタにおける着弾位置ズレ量を取得する着弾位置ズレ量取得方法、及びその実行に用いられるインクジェットプリンタ、及び、着弾位置ズレ量取得装置に関する。
ノズルからインクを吐出することによって被記録媒体に印刷を行うインクジェットプリンタとして、特許文献1には、キャリッジを往復走査させつつ、キャリッジに搭載された記録ヘッド(インクジェットヘッド)からインクを吐出させることによって記録シート(被記録媒体)に印刷を行うインクジェットプリンタが記載されている。特許文献1に記載のインクジェットプリンタでは、記録シートを、搬送ローラ対や波打ち保持拍車で凸部と凹部とが走査方向に交互に形成されたプラテンの表面に押し付けることにより、記録シートに、記録ヘッドのインク吐出面側に突出した山部分と、インク吐出面と反対側に窪んだ谷部分とが走査方向に沿って交互に並ぶ波形状を生じさせている。
特開2004−106978号公報
ここで、特許文献1に記載のインクジェットプリンタでは、上述したとおり記録シートに波形状を生じさせているため、記録ヘッドのインク吐出面と記録シートとのギャップが、記録シートの部分毎に異なる。そのため、記録シートに波形状を生じさせないとした場合と同じ吐出タイミングで記録ヘッドからインクを吐出して記録シートに印刷を行うと、インクジェットヘッドを走査方向の一方向に移動させたときと他方向に移動させたときとで、走査方向にインクの着弾位置ズレが生じる。そして、その着弾位置ズレ量は記録シートの部分毎に異なってくる。
そこで、このように波形状とした被記録媒体に印刷を行う場合に、被記録媒体の適切な着弾位置にインクを着弾させるために、インクジェットヘッドのインク吐出面と、被記録媒体の各山部分及び谷部分とのギャップに応じて、インクジェットヘッドからのインクの吐出タイミングを調整することが考えられる。そして、そのためには、被記録媒体の各位置における着弾位置ズレ量を取得する必要がある。
また、特許文献1に記載されているようなインクジェットプリンタでは、例えば、印刷モードなどに応じて、インクジェットヘッドを異なる複数の移動速度で移動させることがある。一方、インクジェットヘッドの移動速度が変わると着弾位置ズレ量も変わる。なお、被記録媒体が波形状としない場合であっても、上記着弾位置ズレや、インクジェットヘッドの速度の違いによる着弾位置ズレ量の違いは生じる。そして、この場合には、インクジェットヘッドの速度毎に、着弾位置ズレ量を取得する必要がある。
本発明の目的は、インクジェットヘッドを走査方向の一方向に移動させたときと他方向に移動させたときとの走査方向への着弾位置ズレ量を、異なる複数の移動速度について、それぞれ、効率よく取得することが可能な着弾位置ズレ量取得方法、インクジェットプリンタ、及び、着弾位置ズレ量取得装置を提供することである。
第1の発明に係る着弾位置ズレ量取得方法は、インクを選択的に吐出する複数のノズルが形成されたインク吐出面を有するインクジェットヘッドを、被記録媒体に対向して前記インク吐出面と平行な走査方向に沿って往復移動させつつ、前記複数のノズルからインクを吐出させて印刷を行うインクジェットプリンタにおいて、前記インクジェットヘッドを前記走査方向に移動させながら、前記複数のノズルからインクを吐出させた場合の、前記インクジェットヘッドを前記走査方向の一方向に移動させたときと他方向に移動させたときとの着弾位置ズレ量を、異なる複数の速度についてそれぞれ取得する着弾位置ズレ量取得方法であって、前記インクジェットヘッドを所定の第1速度で前記一方向及び前記他方向に移動させながら、前記複数のノズルからインクを吐出させることにより、前記被記録媒体の前記走査方向における所定の第1範囲にわたって、前記インクジェットヘッドを前記第1速度で移動させたときの前記着弾位置ズレ量に対応する第1パターンを印刷させる第1パターン印刷ステップと、前記インクジェットヘッドを、前記第1速度とは異なる所定の第2速度で前記一方向及び前記他方向に移動させながら、前記複数のノズルからインクを吐出させることにより、前記被記録媒体の、前記走査方向における前記第1範囲に含まれ、且つ、前記走査方向において前記第1範囲よりも短い第2範囲に、前記インクジェットヘッドを前記第2速度で移動させたときの前記着弾位置ズレ量に対応する第2パターンを印刷させる第2パターン印刷ステップと、前記第1パターンから、前記インクジェットヘッドを前記第1速度で移動させたときの、前記第1範囲における前記着弾位置ズレ量である第1ズレ量を複数の位置において取得することによって、前記第1範囲における第1ズレ量の前記走査方向に沿った変動を示す第1変動情報を取得する第1変動情報取得ステップと、前記第1変動情報から、前記第1範囲における前記第1ズレ量を代表する第1代表値を取得する第1代表値取得ステップと、前記第2パターンから、前記インクジェットヘッドを前記第2速度で移動させたときの、前記第2範囲における前記着弾位置ズレ量である第2ズレ量を取得する第2ズレ量取得ステップと、前記第1代表値と前記第2範囲における前記第1ズレ量との差と、前記第2ズレ量とから、前記第1範囲における前記第2ズレ量を代表する第2代表値を取得する第2代表値取得ステップと、を備えていることを特徴とする。
第9の発明に係るインクジェットプリンタは、インクを選択的に吐出する複数のノズルが形成されたインク吐出面を有するインクジェットヘッドと、前記インクジェットヘッドを、被記録媒体に対向して前記インク吐出面と平行な走査方向に沿って往復移動させるヘッド走査手段と、前記インクジェットヘッドと前記ヘッド走査手段を制御して、前記被記録媒体に、前記インクジェットヘッドを走査方向に移動させながら、前記複数のノズルからインクを吐出させた場合の、前記インクジェットヘッドを前記走査方向の一方向に移動させたときと他方向に移動させたときとの、前記走査方向におけるインクの着弾位置ズレ量を異なる複数の速度についてそれぞれ取得するためのパターンを印刷させる、パターン印刷制御手段と、を備え、前記パターン印刷制御手段は、前記インクジェットヘッドを所定の第1速度で前記一方向及び前記他方向移動させながら、前記複数のノズルからインクを吐出させることにより、前記被記録媒体の前記走査方向における所定の第1範囲にわたって、前記インクジェットヘッドを前記第1速度で移動させたときの前記着弾位置ズレ量に対応する第1パターンを印刷させ、前記インクジェットヘッドを前記第1速度とは異なる所定の第2速度で、前記一方向及び前記他方向に移動させながら、前記複数のノズルからインクを吐出させることにより、前記被記録媒体の、前記走査方向における前記第1範囲に含まれ、且つ、前記走査方向において前記第1範囲よりも短い第2範囲に、前記インクジェットヘッドを前記第2速度で移動させたときの前記着弾位置ズレ量に対応する第2パターンを印刷させることを特徴とする。
第10の発明に係る着弾位置ズレ量取得装置は、第9の発明に係るインクジェットプリンタにおいて印刷された前記第1パターン及び前記第2パターンを読み取る読取装置と、前記第1パターンの読み取り結果から、前記インクジェットヘッドを前記第1速度で移動させたときの、前記第1範囲における前記着弾位置ズレ量である第1ズレ量を複数の位置において取得することによって、前記第1範囲における第1ズレ量の前記走査方向に沿った変動を示す第1変動情報を取得する第1変動情報取得手段と、前記第1変動情報から、前記第1範囲における前記第1ズレ量を代表する第1代表値を取得する第1代表値取得手段と、前記第2パターンの読み取り結果から、前記インクジェットヘッドを前記第2速度で移動させたときの、前記第2範囲における前記着弾位置ズレ量である第2ズレ量を取得する第2ズレ量取得手段と、前記第1代表値と前記第2範囲における前記第1ズレ量との差と、前記第2ズレ量とから、前記第1範囲における前記第2ズレ量を代表する第2代表値を取得する第2代表値取得手段と、を備えていることを特徴とする。
走査方向における着弾位置ズレ量の代表値を取得できれば、インクジェットヘッドを一方向及び他方向に移動させるときのインクの着弾位置の少なくとも一方を補正することによって、着弾位置ズレ量を取得した代表値だけ小さくすることにより、着弾位置ズレを補正することが可能となる。一方、インク吐出面と被記録媒体とのギャップが変わらなければ、走査方向における各位置における着弾位置ズレ量の代表値に対する偏差は、インクジェットヘッドの移動速度に比例し、インク液滴の飛翔速度に反比例する。インク液滴の飛翔速度がインクジェットヘッドの移動速度によらず一定であれば、いずれかのインクジェットヘッドの移動速度における着弾位置ズレ量の代表値を取得すれば、その他のインクジェットヘッドの移動速度での着弾位置ズレ量の代表値も判明するが、実際にはインク液滴の飛翔速度はインクジェットヘッドの移動速度によってわずかに異なる。したがって、代表値は、インクジェットヘッドの移動速度毎に取得する必要がある。
ここで、移動速度毎に第1範囲にわたるパターンを印刷すれば、各移動速度における着弾位置ズレ量の代表値を取得することはできる。しかしながら、1つの被記録媒体に、第1範囲にわたるパターンを複数印刷すると、インクの膨潤などにより、パターン毎に被記録媒体とインク吐出面とのギャップの条件が変わる。
また、1つの被記録媒体に第1範囲にわたるパターンを複数印刷する場合には、複数のパターンを、走査方向と直交する方向に並べて印刷することになるが、パターンの数が増えるほど、パターンの印刷に必要な領域の走査方向と直交する方向における長さが長くなり、パターン毎にインク吐出面と被記録媒体とのギャップの条件が変わる。
そして、パターン毎にインク吐出面と被記録媒体とのギャップの条件が変わると、インクジェットヘッドの移動速度毎の上記代表値が正確なものでなくなる虞がある。
さらに、このようにインクジェットヘッドの移動速度毎に、第1範囲にわたるパターンを印刷した場合には、これらのパターンの読み取るのにも時間がかかる。
そこで、これらの発明では、第1範囲にわたる第1パターンから複数の位置における第1ズレ量を取得することで、第1範囲における第1変動情報と第1代表値とを取得する。また、第1範囲よりも狭い第2範囲にわたる第2パターンから、第2範囲における第2ズレ量を取得する。そして、第1代表値と第2範囲における第1ズレ量との差と、第2ズレ量とから、第2代表値を取得する。これにより、インクジェットヘッドを異なる複数の速度で移動させたときの第1範囲における着弾位置ズレ量の代表値を、移動速度毎に第1範囲にわたるパターンを個別に印刷することなく取得できる。
なお、本発明における第1範囲と第2範囲は、1つの被記録媒体上に存在するものだけでなく、2つの被記録媒体上のそれぞれに存在するものも含む。
第2の発明に係る着弾位置ズレ量取得方法は、第1の発明に係る着弾位置ズレ量取得方法において、前記インクジェットヘッドを前記第1速度で移動させながら前記複数のノズルからインクを吐出させて印刷を行うときに、前記インクジェットヘッドを前記一方向及び前記他方向に移動させながら前記複数のノズルからインクを吐出させるときのインクの着弾位置のうち少なくともいずれか一方を補正することによって、前記第1ズレ量を前記第1パターンを印刷したときよりも前記第1代表値だけ小さくし、前記インクジェットヘッドを前記第2速度で移動させながら前記複数のノズルからインクを吐出させて印刷を行うときに、前記インクジェットヘッドを前記一方向及び前記他方向に移動させながら前記複数のノズルからインクを吐出させるときのインクの着弾位置のうち少なくともいずれか一方を補正することによって、前記第2ズレ量を前記第2パターンを印刷したときよりも前記第2代表値だけ小さくする補正ステップ、をさらに備えていることを特徴とする。
本発明によると、インクジェットヘッドを第2速度で移動させながら複数のノズルからインクを吐出させて印刷を行うときに、第2ズレ量が第2代表値だけ小さくなるようにインクの着弾位置を補正することで、被記録媒体の各部分における第2ズレ量を小さくすることができる。
第3の発明に係る着弾位置ズレ量取得方法は、第1又は第2の発明に係る着弾位置ズレ量取得方法において、前記第1代表値が、前記第1範囲における前記第1ズレ量の平均値であることを特徴とする。
本発明によると、第1代表値を第1範囲における第1ズレ量の平均値とすれば、第2代表値として第1範囲における第2ズレ量の平均値の近似値を求めることができる。第2代表値が第2ズレ量の平均値の近似値である場合には、第2代表値と着弾位置ズレ量との差の平均値が小さくなる。これにより、第2代表値を用いて着弾位置の補正を行った場合の着弾位置ズレ平均値を小さくすることができる。
第4の発明に係る着弾位置ズレ量取得方法は、第1又は2の発明に係る着弾位置ズレ量取得方法において、前記第1代表値が、前記第1範囲における前記第1ズレ量の中央値であることを特徴とする。
本発明によると、第1代表値を第1範囲における第1ズレ量の中央値とすれば、第2代表値として第1範囲における第2ズレ量の中央値の近似値を求めることができる。第2代表値が第2ズレ量の中央値の近似値である場合には、第2代表値と着弾位置ズレ量との差の最大値が小さくなる。これにより、第2代表値を用いて吐出タイミングの補正を行った場合の着弾ズレの最大値を小さくすることができる。
第5の発明に係る着弾位置ズレ量取得方法は、第1〜第4のいずれかの発明に係る着弾位置ズレ量取得方法において、前記第1パターン印刷ステップにおいて、前記被記録媒体の前記走査方向と直交する方向における中央部分に前記第1パターンを印刷することを特徴とする。
本発明によると、被記録媒体のインク吐出面とのギャップは、走査方向と直交する方向における中央部において最も安定する。したがって、走査方向と直交する方向に関する中央部に第1パターンを印刷することにより、第1変動情報を正確に取得できる。
第6の発明に係る着弾位置ズレ量取得方法は、第1〜第5のいずれかの発明に係る着弾位置ズレ量取得方法において、前記第2パターン印刷ステップにおいて、前記第1パターンが印刷された前記被記録媒体の、前記走査方向と直交する方向において前記第1パターンからずれた部分に前記第2パターンを印刷することを特徴とする。
本発明によると、第1パターンと第2パターンとを同じ被記録媒体に印刷するため、走査方向に沿って変化するような被記録媒体の浮きや変形である場合でも、第2代表値を取得する際に、第1、第2パターンにおけるこれらの影響をキャンセルできるため、これらを別の被記録媒体に印刷した場合に比べ、第2代表値をより正確に取得できる。
第7の発明に係る着弾位置ズレ量取得方法は、第1〜第6のいずれかの発明に係る着弾位置ズレ量取得方法において、前記第1変動情報と、前記第2代表値とから、前記インクジェットヘッドを前記第2速度で移動させたときの、前記第1範囲における着弾位置ズレ量の前記走査方向に沿った変動を示す第2変動情報を取得する第2変動情報取得ステップ、をさらに備えていることを特徴とする。
本発明によると、第1範囲にわたって第2パターンを印刷しなくても、第1変動情報と第2代表値とから第2変動情報を取得できる。
第8の発明に係る着弾位置ズレ量取得方法は、第1〜第7のいずれかの発明に係る着弾位置ズレ量取得方法において、前記インクジェットプリンタは、前記被記録媒体に、前記走査方向に沿って、前記インク吐出面側に突出した山部分と前記インク吐出面と反対側に窪んだ谷部分とが交互に並んだ、所定の波形状を生じさせる波形状生成機構、をさらに備えていることを特徴とする。
被記録媒体に波形状を生じさせた場合には、インク吐出面と被記録媒体とのギャップが走査方向に沿って変動し、これに応じて、着弾位置ズレ量も走査方向に沿って変動する。一方、一般に、シート状の部材に対してある方向に平行な波形状を与えると、その方向に直交する方向については曲げ剛性が増大し、形状を安定させることができる。そのため、被記録媒体を走査方向に沿って波形状にすると、走査方向における着弾位置ズレ量が変動するかわりに、走査方向に直交する方向には着弾位置ズレ量が変動しにくくなる。
本発明では、このように着弾位置ズレ量がほぼ走査方向にのみ変動する場合に、インクジェットヘッドを異なる複数の速度で移動させたときの第1変動情報を取得するので、より高精度に第2代表値を取得できる。また、被記録媒体が走査方向に沿って波形状にされた場合には、波形状にされた部分の全域にわたる着弾位置ズレ量の変動を取得する必要があるが、波形状にされた部分の全域を第1範囲として第1パターンを印刷すれば、インクジェットヘッドを第1速度で移動させたときの着弾位置ズレ量の変動を取得することができ、第1パターンと、第1範囲よりも短い第2範囲に印刷された第2パターンとから、インクジェットヘッドを第2速度で移動させたときの着弾位置ズレ量の変動を取得できる。
本発明によれば、インクジェットヘッドを異なる複数の速度で移動させたときの、第1範囲にわたる着弾ズレ量の代表値を、移動速度毎に第1範囲にわたるパターンを個別に印刷することなく取得できる。
本発明の実施の形態に係るインクジェットプリンタの概略構成図である。 印刷部の平面図である。 (a)が図2を矢印IIIAの方向から見た図であり、(b)が図2を矢印IIIBの方向から見た図である。 (a)が図2のIVA−IVA線断面図であり、(b)が図2のIVB−IVB線断面図である。 制御装置の機能ブロック図である。 インクの吐出タイミングを決定する手順を示すフローチャートである。 (a)が記録用紙に印刷された3つのパッチ、及び、その読み取り位置を示す図、(b)が走査方向の全域にわたるパッチの部分拡大図、(c)が走査方向における一部の範囲にのみ印刷されたパッチの拡大図である。 インクジェットヘッドの速度毎の、交点ズレ量と平均値との差の関係を示す図である。 変形例1のインクの吐出タイミングを決定する手順のうち、印刷前に実行させる工程を示す図である。 (a)が記録用紙の走査方向の位置と高さの関係、(b)が走査方向の位置と走査方向に関する着弾位置ズレ量との関係、(c)が走査方向の位置とパターン交点の紙送り方向に関するズレ量との関係、(d)が走査方向の位置と吐出タイミングのディレイ量との関係をそれぞれ示す図である。 インクの吐出タイミングを決定する手順のうち、印刷時に実行させる工程を示すフローチャートである。 変形例2の図7(c)相当の図である。
以下、本発明の好適な実施の形態について説明する。
本実施の形態に係るインクジェットプリンタ1は、記録用紙Pに対する印刷のほか、画像の読み取りなども行うことが可能な、いわゆる複合機である。インクジェットプリンタ1は、印刷部2(図2参照)、給紙部3、排紙部4、読取部5、操作部6、表示部7などを備えている。また、インクジェットプリンタ1の動作は、制御装置50(図5参照)によって制御されている。
印刷部2は、インクジェットプリンタ1の内部に設けられており、記録用紙Pに対する印刷を行う。なお、印刷部2の詳細な構成については、後程説明する。給紙部3は、印刷部2により印刷が行われる記録用紙Pを供給するための部分である。排紙部4は、印刷部2により印刷が行われた記録用紙Pが排出される部分である。読取部5は、スキャナなどであって、画像の読み取りを行う部分である。操作部6は、ボタンなどを備えており、ユーザは、操作部6のボタンなどを操作することによって、インクジェットプリンタ1に対して必要な操作を行う。表示部7は液晶ディスプレイなどであって、インクジェットプリンタ1の使用時に必要な情報を表示する。
次に、印刷部2について説明する。印刷部2は、図2〜図4に示すように、キャリッジ11(ヘッド走査手段)、インクジェットヘッド12、給紙ローラ13、プラテン14、複数のコルゲートプレート15、複数のリブ16、排紙ローラ17、複数のコルゲート拍車18、19などを備えている。ただし、図2では、図面を見やすくするために、キャリッジ11を二点鎖線で図示し、キャリッジ11の下方に位置する部分を実線で図示する。
キャリッジ11は、図示しないガイドレールなどに案内されて走査方向に往復移動する。インクジェットヘッド12は、キャリッジ11に搭載されており、その下面であるインク吐出面12aに形成された複数のノズル10からインクを吐出する。給紙ローラ13は、一対のローラであって、給紙部3から供給された記録用紙Pを挟んで、走査方向と直交する紙送り方向に搬送する。プラテン14は、インク吐出面12aと対向するように配置されており、給紙ローラ13により搬送される記録用紙Pは、プラテン14の上面に沿って搬送される。
複数のコルゲートプレート15は、プラテン14の紙送り方向上流側の端部の上面と対向するように配置されており、走査方向にほぼ等間隔に配列されている。給紙ローラ13に搬送される記録用紙Pは、プラテン14とコルゲートプレート15との間を通過し、複数のコルゲートプレート15は、その下面である押さえ面15aにより記録用紙Pを上から押さえる。複数のリブ16は、プラテン14の上面の、走査方向に関するコルゲートプレート15の間の部分に配置されており、走査方向にほぼ等間隔に配列されている。リブ16は、それぞれ、プラテン14の上面からコルゲートプレート15の押さえ面15aよりも上方まで突出しているとともに、プラテン14の紙送り方向に関する上流側の端部から紙送り方向下流側に向かって延びている。これにより、プラテン14上の記録用紙Pは、複数のリブ16によって下方から支持されている。
排紙ローラ17は、一対のローラであって、記録用紙Pの走査方向に関して複数のリブ16と同じ位置にある部分を挟んで、記録用紙Pを排紙部4に向けて紙送り方向に搬送する。なお一対のローラである排紙ローラ17のうち上側の排紙ローラは、記録用紙Pに着弾したインクが付着しにくいように拍車となっている。複数のコルゲート拍車18は、排紙ローラ17の紙送り方向下流側の、走査方向に関してコルゲートプレート15とほぼ同じ位置に配置されている。複数のコルゲート拍車19は、複数のコルゲート拍車18の紙送り方向下流側の、走査方向に関してコルゲートプレート15とほぼ同じ位置に配置されている。また、複数のコルゲート拍車18、19は、上下方向に関して、排紙ローラ17が記録用紙Pを挟む位置よりも下方に位置しており、この位置で、記録用紙Pを上方から押さえている。なお、コルゲート拍車18、19は外周面が平坦なローラではなく拍車であるので、記録用紙Pに着弾したインクが付着しにくい。
そして、プラテン14上の記録用紙Pは、複数のコルゲートプレート15及び複数のコルゲート拍車18、19により上から押さえられるとともに、複数のリブ16により下方から支持されることによって曲げられ、図3に示すように、上側(インク吐出面12a側)に突出した山部分Pmと、下側(インク吐出面12aと反対側)に窪んだ谷部分Pvとが交互に並ぶ波形状となっている。また、山部分Pmは、走査方向に関して、リブ16の中央部とほぼ同じ位置にある部分が、上側に最も大きく突出した山頂部分Ptとなっている。また、谷部分Pvは、走査方向に関して、コルゲートプレート15及びコルゲート拍車18、19とほぼ同じ位置にある部分が、最も下側に窪んだ谷底部分Pbとなっている。なお、本実施の形態では、このように、記録用紙Pを波形状にするコルゲートプレート15、リブ16及びコルゲート拍車18、19を合わせたものが、本発明に係る波形状生成機構に相当する。
エンコーダセンサ20は、キャリッジ11に搭載されている。エンコーダセンサ20は、走査方向に延びた図示しないエンコーダベルトとともにリニアエンコーダを形成しており、エンコーダベルトに形成されたスリットを検出することによって、キャリッジ11によって走査方向に移動されるインクジェットヘッド12の位置を検出する。
そして、以上のような構成の印刷部2では、給紙ローラ13及び排紙ローラ17によって記録用紙Pを紙送り方向に搬送させつつ、キャリッジ11とともに走査方向に往復移動するインクジェットヘッド12からインクを吐出させることにより、記録用紙Pに印刷を行う。
次に、インクジェットプリンタ1の動作を制御するための制御装置50について説明する。制御装置50は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、制御回路等からなり、これらが、図5に示すように、モード決定部51、記録制御部52、読取制御部53、ズレ量記憶部54、第1代表値決定部55、第2代表値決定部56、ヘッド位置検出部57、吐出タイミング決定部58などとして機能する。
モード決定部51は、ユーザによる操作部6の操作結果などに応じて、印刷部2において印刷を行うときの印刷モードを決定する。印刷部2は、インクジェットヘッド12(キャリッジ11)の移動速度が異なる第1〜第3印刷モードのいずれかの印刷モードで印刷を行うことができるようになっており、第1〜第3印刷モードのときのインクジェットヘッド12の移動速度がそれぞれ、V、V、Vとなっている。ここで、第1〜第3印刷モードの組み合わせは、例えば、モノクロ印刷、低解像度カラー印刷及び高解像度カラー印刷などである。なお、本実施の形態では、速度Vが本発明に係る第1速度に相当し、速度V、Vが本発明に係る第2速度に相当する。
記録制御部52は、インクジェットプリンタ1において印刷を行うときのキャリッジ11、インクジェットヘッド12、給紙ローラ13、排紙ローラ17などの動作を制御する。読取制御部53は、画像の読み取りを行う際の読取部5の動作を制御する。ズレ量記憶部54は、後述するように、着弾ズレ検出パターンから取得される、記録用紙Pの複数の山頂部分Pt及び谷底部分Pbにおける交点の紙送り方向へのズレ量(以下、交点ズレ量とすることがある)を記憶する。
第1代表値決定部55は、インクジェットヘッド12の移動速度がVのときの、記録用紙Pの走査方向の全域にわたる交点ズレ量の平均値(第1代表値)を決定する。第2代表値決定部56は、インクジェットヘッド12の移動速度がV、Vのときの、記録用紙Pの走査方向の全域にわたる交点ズレ量の平均値(第2代表値)をそれぞれ決定する。
ヘッド位置検出部57は、エンコーダセンサ20の検出結果から、印刷時に、キャリッジ11により走査方向に往復移動されたインクジェットヘッド12の位置を検出する。吐出タイミング決定部58は、モード決定部51により決定された印刷モードと、上述の第1代表値及び第2代表値のいずれかと、ヘッド位置検出部57の位置によって決まる基準となるインクの吐出タイミングとに基づいて、ノズル10からのインクの吐出タイミングを決定する。
次に、インクジェットプリンタ1において、ノズル10からインクの吐出タイミングを決定する手順について説明する。ノズル10からのインクの吐出タイミングを決定するためには、以下に説明するように、インクジェットプリンタ1の製造段階等、ユーザがインクジェットプリンタ1を使用して印刷を行う前に、予め、図6に示すように、ステップS101〜S106(以下、単にS101などとする)の処理を実行させる。
S101では、インクジェットプリンタ1において、記録用紙Pに、図7に示すような、3つのパッチTa〜Tcを印刷する(第1パターン印刷ステップ、第2パターン印刷ステップ)。より詳細に説明すると、例えば、キャリッジ11を走査方向の一方向に移動させながら、ノズル10からインクを吐出させることにより、それぞれが紙送り方向に平行に延び、走査方向に配列された複数の直線L1を印刷させる。その後、キャリッジ11を走査方向の他方向に移動させながら、ノズル10からインクを吐出させることにより、それぞれが紙送り方向に対して傾いており、複数の直線L1とそれぞれ重なる複数の直線L2を印刷させる。これにより、図7に示すように、互いに交差する直線L1と直線L2の組によってそれぞれ形成された着弾ズレ検出パターンQが、走査方向に沿って複数配列されたパッチTa〜Tcが印刷される。なお、このときには、例えば、記録用紙Pが波形状となっておらず平坦であるとした場合の設計上の吐出タイミングでノズル10からインクを吐出させる。
ただし、パッチTaの印刷時は、直線L1、L2を印刷するときのインクジェットヘッド12の移動速度をVとし、記録用紙Pの走査方向のほぼ全域(第1範囲)にわたって着弾ズレ検出パターンQを印刷する。また、記録用紙Pの紙送り方向における略中央部分にパッチTaを印刷する。一方、パッチTb、Tcの印刷時は、直線L1、L2を印刷するときのインクジェットヘッド12の移動速度を、それぞれV、Vとし、走査方向における、1つの山部分Pm(第1範囲に含まれ且つ第1範囲よりも狭い第2範囲)にのみそれぞれ着弾ズレ検出パターンQを印刷する。また、記録用紙PのパッチTaから紙送り方向にずれた位置の異なる山部分Pmに、パッチTb、Tcを走査方向に並べて印刷する。なお、本実施の形態では、パッチTaを形成する着弾ズレ検出パターンQが、本発明に係る第1パターンに相当し、パッチTb、Tcを形成する着弾ズレ検出パターンQが、本発明に係る第2パターンに相当する。
S102では、S101で印刷したパッチTa〜Tcの複数の着弾ズレ検出パターンQを、インクジェットプリンタ1とは別に設けられた専用のスキャナ66(読取手段)に読み取らせ、スキャナ66に接続されたPC67において、読み取られた着弾ズレ検出パターンQから、交点ズレ量を取得する。なお、本実施の形態では、PC67が、本発明に係る第1変動情報取得手段及び第2ズレ量取得手段に相当する。また、このとき、着弾ズレ検出パターンQの読み取りを複合機1の読取部5で行い、読み取り結果からの交点ズレ量の取得を制御装置50で行ってもよい。この場合には、読取部5が本発明に係る読取手段に相当し、制御装置50が発明に係る第1変動情報取得手段及び第2ズレ量取得手段に相当する。
より詳細に説明すると、例えば、図7に示すような着弾ズレ検出パターンQを印刷した場合、直線L1、L2は、キャリッジ11を走査方向の右側に移動させるときと左側に移動させるときの着弾位置にズレがあると、走査方向に互いにずれて印刷される。そのため、直線L1と直線L2とは、走査方向に関する着弾位置ズレ量に応じて、直線L1と直線L2との交点(以下、パターン交点とする)が、紙送り方向にずれる。また、読取部5において着弾ズレ検出パターンQを読み取った場合、パターン交点において記録用紙Pの地の部分(白色)に対する直線L1及びL2(黒色)の占める面積の割合が小さくなるので、他の部分よりも検出される輝度が高くなる。したがって、着弾ズレ検出パターンQを読み取り、最も輝度が高くなる部分の紙送り方向の位置を取得することにより、直線L1と直線L2とが重なっている紙送り方向の位置を検出できる。
ここで、直線L1と直線L2との紙送り方向での重なる位置の変動は走査方向での重なる位置の変動と比例する。具体的には、直線L1と直線L2のなす角度がθであるとき、パターン交点の紙送り方向へのズレ量は、走査方向へのズレ量を1/tanθ倍に増幅した情報となる。すなわち、パターン交点の紙送り方向へのズレ量を検出することで、双方向印刷における主走査方向への着弾位置ズレ量の情報を取得できる。
そこで、本実施の形態では、パッチTaを形成する複数の着弾ズレ検出パターンQのうち、記録用紙Pの山頂部分Pt及び谷底部分Pb(図7(a)の一点鎖線で囲んだ部分、以下、これらをまとめて検査部分Peとすることがある)に印刷された着弾ズレ検出パターンQを読み取ることにより、インクジェットヘッド12の移動速度がVのときの各山頂部分Pt及び各谷底部分Pbにおける交点ズレ量(第1ズレ量)を取得する。なお、本実施の形態では、S102におけるパッチTaを形成する着弾ズレ検出パターンQからの交点ズレ量の取得が、本発明に係る第1変動情報取得ステップに相当する。
また、パッチTb、Tcを形成する複数の着弾ズレ検出パターンQを読み取ることにより、インクジェットヘッド12の移動速度がV、Vのときの、これらの着弾ズレ検出パターンQが印刷された位置での交点ズレ量(第2ズレ量)を取得する。なお、本実施の形態では、S102におけるパッチTb、Tcを形成する着弾ズレ検出パターンQからの交点ズレ量の取得が、本発明に係る第2ズレ量取得ステップに相当する。
S102では、上述のとおり、パッチTaについては、記録用紙Pの山頂部分Pt及び谷底部分Pbに印刷された着弾ズレ検出パターンQのみを読み取るため、パッチTaについては、少なくとも山頂部分Pt及び谷底部分Pbに着弾ズレ検出パターンQを印刷すればよい。
S103では、図5に破線で示すように、PC67とズレ量記憶部54とを通信可能に接続し、S102において取得された交点ズレ量を、ズレ量記憶部54に書き込んで記憶させる。なお、PC67とズレ量記憶部54との接続は、S103よりも前であれば、どのタイミングで行ってもよい。
S104では、インクジェットヘッド12を速度Vで移動させたときの、記録用紙Pの走査方向の全域にわたる交点ズレ量の平均値YA0(第1代表値)を算出する(第1代表値決定ステップ)。具体的には、S103でズレ量記憶部54に記憶された山頂部分Pt及び谷底部分Pbにおける交点ズレ量の平均値をYA0として算出する。なお、Yの添え字は印刷するときの速度を表す文字を先、読み取るX方向の位置を表す文字(ただし平均値は0とする)を後に表示している。
S105では、インクジェットヘッド12を速度V、Vで移動させたときの、記録用紙Pの走査方向の全域にわたる交点ズレ量の平均値YB0、C0(第2代表値)をそれぞれ算出する(第2代表値決定ステップ)。
より詳細に説明すると、S104では、図8(a)に示す、インクジェットヘッド12の移動速度がVのときの平均値YA0が取得される。また、S103でズレ量記憶部54に記憶された交点ズレ量から、パッチTbを形成する着弾ズレ検出パターンQのX座標をXとすると、インクジェットヘッド12の移動速度がVのときの、パッチTaのX=Xの位置における交点ズレ量YABが取得される。同様に、パッチTcを形成する着弾ズレ検出パターンQのX座標をXとすると、インクジェットヘッド12の移動速がVのときの、パッチTaのX=Xの位置における交点ズレ量YACが取得される。このYABやYACは、X=XやX=Xの位置に印刷したパッチTaの読み取り結果から取得するのが望ましいが、X=XやX=X以外の位置に印刷したパッチTaの読み取り結果と、後述の補間関数Ga(X)を用いて算出したものを用いても構わない。さらに、S103でズレ量記憶部54に記憶された交点ズレ量から、インクジェットヘッド12の移動速度がVのときの、パッチTbすなわちX=Xの位置における交点ズレ量YBBと、インクジェットヘッド12の移動速度がVのときの、パッチTcすなわちX=Xの位置における交点ズレ量YCCが取得される。
ここで、インクの着弾位置の走査方向への着弾ズレ量や、交点ズレ量Yの変動量は、インクジェットヘッド12の移動速度およびインクジェットヘッドと被記録媒体との距離に比例し、インク滴飛翔速度に反比例する。また、インクジェットヘッドと被記録媒体との距離は被記録媒体の走査方向に関して同じ位置ではほぼ同一とみなせる。したがって、インクジェットヘッド移動速度V、V、Vでのインク滴飛翔速度をそれぞれU、U、Uとしたとき、交点ズレ量Yを例にとれば、上述の関係から(YAB−YA0)/(YBB−YB0)=(V/V)/(U/U)、及び、同様に(YAC−YA0)/(YCC−YC0)=(V/V)/(U/U)が成立する。
これにより、インクジェットヘッド12の移動速度がVのときのX=Xの位置における交点ズレ量YBBの平均値YB0に対する偏差YBB−YB0は、インクジェットヘッド12の移動速度がVのときのX=Xの位置における交点ズレ量YABおよび平均値YA0を用いて(YAB−YA0)・(U/U)/(V/V)と記述することができる。すなわち、YBB−YB0=(YAB−YA0)・(U/U)/(V/V)の関係が成立する。同様に、YCC−YC0=(YAC−YA0)・(U/U)/(V/V)の関係が成立する。これらの関係式において、インク滴飛翔速度U、U、Uを近似的に同一とみなすと、平均値YB0、YC0(近似値)を以下のように算出できる。
Figure 0005874510
S106では、S104、S105において決定した平均値YA0、YB0、YC0に応じて、ノズル10のインクの吐出タイミング(基準となる吐出タイミングからのディレイ時間)を決定する(補正ステップ)。
具体的には、インクジェットヘッド12を速度Vで移動させて印刷を行うときのディレイ時間を、例えば、インクジェットヘッド12を一方向及び他方向に移動させるときのインクの吐出タイミングのいずれか一方に対して、記録用紙Pが平均の高さにあるとしたときのインクの着弾位置が、パッチTaを印刷したときよりも走査方向にYA0・tanθだけずれるようなディレイ時間に決定する。あるいは、インクジェットヘッド12を一方向及び他方向に移動させるときのインク吐出タイミングの両方に対して、それぞれ、記録用紙Pが平均の高さにあるとしたときのインクの着弾位置が、パッチTaを印刷したときよりも走査方向に(YA0・tanθ)・(1/2)だけずれるようなディレイ時間に決定する。
同様に、インクジェットヘッド12を速度V、Vで移動させて印刷を行うときのディレイ時間を、例えば、インクジェットヘッド12を一方向及び他方向に移動させるときのインクの吐出タイミングのいずれか一方に対して、記録用紙Pが平均の高さにあるとしたときのインクの着弾位置が、それぞれ、パッチTb、Tcを印刷したときよりも走査方向にYB0・tanθ、YC0・tanθだけずれるようなディレイ時間に決定する。あるいは、インクジェットヘッド12を一方向及び他方向に移動させるときのインクの吐出タイミングの両方に対して、記録用紙Pが平均の高さにあるとしたときのインクの着弾位置が、それぞれ、パッチTb、Tcを印刷したときよりも走査方向に(YB0・tanθ)・(1/2)、(YC0・tanθ)・(1/2)だけ、それぞれずれるようなディレイ時間に決定する。
そして、印刷時には、基準吐出タイミングからS106で決定されたディレイ時間だけ遅らせたタイミングでノズル10からインクを吐出させる。
ここで、インク吐出面12aと記録用紙Pとのギャップが変わらなければ、走査方向における各位置における着弾位置ズレ量の平均値YA0、YB0、YC0に対する偏差は、インクジェットヘッド12の移動速度に比例し、インク液滴の飛翔速度に反比例する。インク液滴の飛翔速度がインクジェットヘッド12の移動速度によらず一定であれば、いずれかのインクジェットヘッド12移動速度における着弾位置ズレ量の平均値を取得すれば、その他のインクジェットヘッド12の移動速度での着弾位置ズレ量の平均値も判明するが、実際にはインク液滴の飛翔速度はインクジェットヘッド12の移動速度によってわずかに異なる。したがって、着弾位置ズレ量の平均値は、インクジェットヘッド12の移動速度毎に取得する必要がある。
一方、本実施の形態とは異なり、インクジェットヘッド12を速度V、Vで移動させて、パッチTaと同様の、走査方向における全域にわたるパッチを印刷し、そのパッチを読み取れば、平均値YB0、YC0を取得することはできる。
しかしながら、1つの記録用紙Pに、走査方向の全域にわたるパッチを複数印刷する場合には、インクの膨潤などにより、パッチ毎にインク吐出面12aと記録用紙Pとのギャップの条件が変わる。また、1つの記録用紙Pに、走査方向の全域にわたるパッチを複数印刷する場合には、これらのパッチを紙送り方向に沿って並べて印刷することになるが、パッチの数が増えるほど、パッチの印刷に必要な領域の紙送り方向の長さが長くなり、パッチ毎にインク吐出面12aと記録用紙Pとのギャップの条件が変わる。
また、これらのパッチをインクジェットヘッド12の移動速度毎に別々の記録用紙Pに印刷する場合には、記録用紙P毎に走査方向に発生する浮きや変形などにより、パッチ毎にインク吐出面12aと記録用紙Pとのギャップの条件が変わる。
そして、上記ギャップの条件が変わると、決定される平均値YA0、YB0、YC0が正確でない値となる虞がある。さらに、走査方向の全域にわたるパッチを複数印刷した場合には、スキャナ66でこれらのパッチを読み取るのにも時間がかかる。
これに対して、本実施の形態では、上述したように、記録用紙Pの走査方向における全域にわたるパッチTaを1つだけ印刷し、パッチTaを読み取ることにより、平均値YA0を決定できる。また、記録用紙Pの走査方向における一部の範囲にのみパッチTb、Tcを印刷し、パッチTb、Tcの読み取り結果から取得される交点ズレ量YBB、YCCと、パッチTaの読み取り結果から取得される交点ズレ量YAB、YACの平均値YA0に対する偏差と、インクジェットヘッド12の速度の比(=V/V、V/V)とから、平均値YB0、YC0を取得することができる。
すなわち、速度V、Vについては、記録用紙Pの走査方向における全域にわたるパッチを個別に印刷することなく、全ての速度についての交点ズレ量の平均値YB0、YC0を取得できる。
さらに、このとき、第1代表値を、インクジェットヘッド12を速度Vで移動させるときの交点ズレ量の平均値YA0としているため、第2代表値として、インクジェットヘッド12を速度V、Vで移動させるときの交点ズレ量の平均値YB0、COを求めることができる。第2代表値が交点ズレ量の平均値である場合には、記録用紙Pの各部分における交点ズレ量と第2代表値との差の平均値が小さくなり、第2代表値に基づいてディレイ時間を決定してインクの吐出タイミング補正したときのインクの着弾ズレの平均値を小さくすることができる。
また、記録用紙Pはその端に近い部分ほど変位しやすい。すなわち、インク吐出面12aと記録用紙Pとのギャップは、記録用紙Pの中央部において最も安定する。そこで、本実施の形態では、上述したようにパッチTaを記録用紙Pの紙送り方向のおける略中央部分に印刷している。これにより、パッチTaの読み取り結果から決定される平均値YA0が正確なものとなり、これらに基づいて決定される平均値YB0、YC0の値も正確なものとなる。
また、パッチTb、TcをパッチTaが印刷された記録用紙Pの、パッチTaから紙送り方向にずれた位置に印刷しているため、記録用紙P走査方向に沿った浮きや変形がパッチTa〜Tcの印刷結果に与える影響は、パッチTaと、パッチTb、Tcとで同程度となる。したがって、上述したように平均値YB0、YC0を取得する際に、上記浮きや変形の影響がキャンセルされ、取得される平均値YB0、YC0は正確なものとなる。
また、一般に、シート状の部材に対してある方向に平行な波形状を与えると、その方向に直交する方向については曲げ剛性が増大し、形状を安定させることができる。したがって、本実施の形態では、記録用紙Pは、走査方向に沿って着弾位置ズレ量が変動するかわりに、紙送り方向には着弾位置ズレ量が変動しにくくなる。したがって、パッチTa〜Tcから取得される交点ズレ量は、確実にインクの着弾位置の走査方向への位置ズレ量に対応したものとなり、平均値YA0、YB0、YC0をより正確に取得できる。
次に、本実施の形態に種々の変更を加えた変形例について説明する。ただし、本実施の形態と同様の構成については適宜、その説明を省略する。
上述の実施の形態では、S106において、インクジェットヘッド12の移動速度毎に、一律にディレイ時間を決定したが、これには限られない。一変形例(変形例1)では、インクの着弾位置ズレをより正確に補正するために、インクジェットヘッド12の移動速度に加えて、インク吐出面12aと記録用紙Pとのギャップの走査方向に沿った変動に応じて、ディレイ時間を決定する。
具体的に説明すると、図9に示すように、制御装置50が、補間関数決定部71、ズレ量算出部72をさらに備えている。補間関数決定部71は、インクジェットヘッド12の移動速度がV、V、Vのときの、走査方向の全域にわたる交点ズレ量Yの補間関数Ga(X)、Gb(X)、Gc(X)を決定する。ズレ量算出部72は、モード決定部51により決定された印刷モードと、ヘッド位置検出部57によって決定されたインクジェットヘッド12の位置と、補間関数Ga(X)、Gb(X)、Gc(X)のうちいずれかとから、インクジェットヘッド12の位置に対応した交点ズレ量を算出する。そして、吐出タイミング決定部58は、ズレ量算出部72によって算出された交点ズレ量に基づいてインクの吐出タイミングを決定する。
そして、変形例1では、ノズル10からのインクの吐出タイミングを決定して印刷を行うために、インクジェットプリンタ1の製造段階などにおいて、図6に示すように、上述の実施の形態と同様にS101〜S106の処理を行う。その後、印刷時に図11に示すように、S201〜S206の処理を実行させる。
S201では、走査方向の各位置における交点ズレ量を算出するための補間関数を決定する。なお、変形例1では、S102におけるパッチTaを形成する着弾ズレ検出パターンQからの交点ズレ量の取得と、S201のうち、インクジェットヘッド12の移動速度がVのときの補間関数の決定とを合わせたものが、本発明に係る第1変動情報取得ステップに相当する。
より詳細に説明すると、上述したように記録用紙Pが走査方向に沿って波形状となっている場合、この波形状を横軸に走査方向の位置X、縦軸に用紙の上下方向での高さZを用いて図示すると、図10(a)に示すようになる。ここで、左からN番目の検査部分Peの走査方向に沿った位置をXとして表す。SはX=XからX=XN+1までの区間を表す。図10(a)では、記録用紙Pの走査方向全域にわたるZの値をXの関数として表したものを、Z=H(X)と表現している。ここで、Zは高さZの平均値である。
図10(b)は、同じく横軸に走査方向の位置X、縦軸に、インクジェットヘッド12の移動速度がVのときの走査方向の着弾位置ズレW=Fa(X)を用いて図示したものである。Z=Zのときの走査方向の着弾位置ズレをWとすると、(インク滴移動距離)=(インク滴速度)×(インク飛翔時間)であって、同じインク飛翔時間の間に上下方向と走査方向にそれぞれインク滴が移動するから(上下方向インク滴移動距離)/(上下方向インク滴速度)=(走査方向インク滴移動距離)/(走査方向インク滴速度)、すなわち(Z−Z)/U=(W−W)/Vとなる。Z、W、U、Vは、Xの値によって変化しない定数であるから、Z=H(X)とW=Fa(X)は本質的に相似なグラフである。
また、図10(c)は、同じく横軸に走査方向の位置X、縦軸に、インクジェットヘッド12の移動速度がVのときの、紙送り方向のパターン交点位置ズレY=Ga(X)をとって図示したものである。前述のように、Y=W/tanθであるから、Y=Ga(X)もZ=H(X)、W=Fa(X)と相似なグラフとなる。ここで、YA0は、Yの平均値である。なお、上記のことは、インクジェットヘッド12の移動速度がV、VのときのWの補間関数Fb(X)、Fc(X)、及び、Yの補間関数Gb(X)、Gc(X)についても成り立つ。
したがって、図10(b)、(c)に示すように、走査方向への着弾位置ズレ量Wの変化、及び、走査方向の位置Xに応じた交点ズレ量Yの変化も、記録用紙Pの高さZの変化と、縦軸の伸縮と平行移動のみで重ね合わせることができるようなグラフで表すことができる。すなわち、交点ズレ量Yの補間関数Ga(X)のグラフは、縦軸の伸縮と平行移動により、高さZの補間関数H(X)、及び、着弾位置ズレ量Wの補間関数Fa(X)のグラフとなる。
後述する図10(d)のグラフ(吐出タイミング補正量のグラフ)も同様であり、これら4つの情報は関連する定数が既知の場合には本質的に等価であり、ズレ量記憶部54に4つの情報のいずれを記憶していても、また4つの情報のいずれを使って補間計算を行っても適切な変換により着弾補正を行うことが可能である。ここでは交点ズレ量Yを記憶しているものとして説明している。
補間関数Ga(X)は、検査部分Peによって区切られる区間毎に、検査部分Peでの交点ズレ量(X=X、XN+1での交点ズレ量Y、YN+1など)から、例えば、3次関数などの座標Xの多項式や、座標Xの正弦関数などとして決定する。図10(c)では、補間関数Ga(X)のうち、区間Sにおける補間関数をGa(X)で示している。そして、インクジェットヘッド12の移動速度がVのときには、補間関数Ga(X)を、交点ズレ量の補間関数として決定する。
インクジェットヘッド12の移動速度がV、Vのときには、それぞれ、補間関数Ga(X)に基づいて、走査方向における全域での交点ズレ量を算出するための補間関数Gb(X)、Gc(X)を求め(第2変動情報取得ステップ)、補間関数Gb(X)、Gc(X)を交点ズレ量の補間関数として決定する。具体的には、上述の実施の形態において平均値YB0、YC0を導出したときと同様の考え方から、Gb(X)−YB0=(Ga(X)−YA0)・(U/U)/(V/V)、及び、Gc(X)−YC0=(Ga(X)−YA0)・(U/U)/(V/V)の関係式が成立する。したがって、インク滴飛翔速度U、U、Uを近似的に同一とみなすと、補間関数Gb(X)、Gc(X)は以下のように決定される。
Figure 0005874510
S202では、キャリッジ11の移動中に、ヘッド位置検出部57により、キャリッジ11とともに走査方向に往復移動するインクジェットヘッド12の走査方向の位置を検出する。S203では、記録用紙Pの各部分における交点ズレ量を算出する。具体的には、キャリッジ11によるインクジェットヘッド12の移動中に、S201で決定された補間関数(補間関数Ga(X)、Gb(X)、Gc(X)のうち印刷モード(インクジェットヘッド12の移動速度)に対応する補間関数)と、S202において検出されたインクジェットヘッド12の位置(X座標に対応する)とから、交点ズレ量を逐次算出する。
S204では、S203において算出された交点ズレ量に基づいて、ノズル10からのインクの吐出タイミングを決定する(補正ステップ)。具体的に説明すると、F(X)を、Fa(X)、Fb(X)、Fc(X)のうち、インクジェットヘッド12の移動速度に対応するもの、G(X)を、Ga(X)、Gb(X)、Gc(X)のうち、インクジェットヘッド12の移動速度に対応するもの、U、Vを、それぞれ、U、U、U、及び、V、V、Vのうちインクジェットヘッド12の移動速度に対応するものとすると、[H(X)−Z]:[F(X)−W]=U:Vとなる。また、着弾ズレ検出パターンQにおける直線L1と直線L2とが為す角をθとすると、[F(X)−W]:[G(X)−Y]=sinθ:cosθとなる。そして、における吐出タイミングの本来の吐出タイミングからのディレイ時間Dの関数をE(X)とすると、吐出タイミングの変化量と着弾位置ズレからF(X)−W=V・(E(X)−D)が成り立つ。そして、これらの関係から、E(X)は以下のようになる。図10(d)は、D=E(X)の関係を示すグラフである。そして、このグラフも、縦軸の伸縮と平行移動により、図10(a)〜(c)のグラフと重ねることができる。
Figure 0005874510
ここで、S204において決定されるディレイ時間は、記録用紙Pを波形状としているか否かとは関係なく、インクジェットヘッド12の移動速度によって変わる、走査方向へのインクの着弾位置ズレを補正するためのディレイ時間(=D−Y・(tanθ/V))と、インク吐出面12aと波形状を生じさせた記録用紙Pとのギャップの、走査方向に沿った変動によって生じた、走査方向へのインクの着弾位置ズレの平均値からの偏差を補正するためのディレイ時間(=(tanθ/V)・G(X))とを足し合わせたものとなる。
S205では、S204において決定された吐出タイミングでノズル10からインクを吐出させる。そして、印刷が完了するまで(S206:NO)、上記S202〜S205の動作を繰り返し、印刷が完了したときに(S206:YES)、動作を終了する。なお、本実施の形態では、インクジェットヘッド12が所定の位置に達したときにエンコーダセンサ20からの信号を受けてノズル10からインクを吐出するため、本来の吐出タイミングより早いタイミングでインクを吐出するのは困難である。したがって、Dの値はつねにD≧0となるような値が選択される。
また、上述の実施の形態では、記録用紙Pの走査方向の全域にわたるパッチTaを、記録用紙Pの紙送り方向における略中央部分に印刷したが、これには限られない。パッチTaは、記録用紙Pの別の位置に印刷してもよい。
また、上述の実施の形態では、記録用紙Pの走査方向の一部の範囲にのみわたるパッチTb、Tcを、記録用紙Pの走査方向の全域にわたるパッチTaを印刷した記録用紙PのパッチTaから紙送り方向にずれた位置に印刷したが、これには限られない。例えば、パッチTb、Tcを、パッチTaが印刷された記録用紙Pとは別の記録用紙Pに印刷してもよい。この場合でも、別々の記録用紙Pに印刷されたパッチTaとパッチTb、Tcとをそれぞれスキャナ66で読み取ることによって、上述の実施の形態と同様にして、平均値YA0、YB0、YC0を決定できる。
また、上述の実施の形態では、インクジェットヘッド12が印刷モードに応じて異なる3種類の速度V、V、Vで移動するのに対応して、記録用紙Pの走査方向の全域にわたる1つのパッチTaと、記録用紙Pの走査方向の一部の範囲のみにわたる2つのパッチTb、Tcを印刷したが、これには限られない。
例えば、インクジェットヘッド12が異なる2つの速度でのみ移動する場合には、記録用紙Pの走査方向の一部の範囲のみにわたるパッチを1つだけ印刷すればよい。また、インクジェットヘッド12が異なる4以上の速度で移動する場合には、記録用紙Pの走査方向の一部の範囲のみにわたるパッチを3以上印刷すればよい。
また、記録用紙Pの走査方向の全域にわたるパッチを1つだけ印刷することにも限られない。例えば、インクジェットヘッド12の移動速度の種類が多数ある場合に、上述の実施の形態と同様の、記録用紙Pの走査方向の全域(第1範囲)にわたるパッチ(第1パターン)と、走査方向の一部の範囲(第2範囲)にわたるパッチ(第2パターン)の組を、インクジェットヘッド12の移動速度を変えて複数組印刷し、これらのパッチの組をそれぞれ読み取って、補間関数や平均値を決定してもよい。
また、上述の実施の形態では、第1代表値として、インクジェットヘッド12を速度Vで移動させたときの交点ズレ量の平均値YA0を決定したが、これには限られない。例えば、第1代表値として、インクジェットヘッド12を速度Vで移動させたときの交点ズレ量の中央値を決定してもよい。ここで、中央値とは、最大値と最小値との平均値のことである。
この場合には、第2代表値として、インクジェットヘッド12を速度V、Vで移動させたときの交点ズレ量の中央値(近似値)をそれぞれ求めることができる。第2代表値を交点ズレ量の中央値である場合には、記録用紙Pの各部分における交点ズレ量と第2代表値との差の最大値が小さくなり、第2代表値に基づいてディレイ時間を決定したインクの吐出タイミング補正したときのインクの着弾ズレの最大値を小さくすることができる。
さらには、第1代表値は、上述したような平均値及び中央値以外の、インクジェットヘッド12を速度Vで移動させたときの交点ズレ量を代表する平均値及び中央値以外の値としてもよい。
また、上述の実施の形態では、パッチTa、Tb、Tcを全てスキャナ66で読み取ったがこれには限られない。例えば、別の一変形例(変形例2)では、製造段階などにおいて、パッチTaのみを印刷させ、印刷したパッチTaを読み取ることにより、上述の実施の形態と同様にして、平均値YA0を決定しておく。そして、ユーザが、実際に印刷を行う前に、パッチTb、Tcを印刷する。このとき、図12に示すように、着弾ズレ検出パターンQとともに、着弾ズレ検出パターンQを紙送り方向に複数の領域Rに区切る、走査方向に延びた複数の区切り線Kと、各領域Rを示す番号Iとを印刷する。
そして、ユーザは、パッチTb、Tcを目視で確認して、操作部6を操作して、直線L1とL2の交点が含まれる領域R(最も色が薄い領域R)の番号(図の場合には「3」)を入力する。制御装置50では、入力された番号から上述の実施の形態のYBB、YCCに対応する値を取得することができ、これにより、上述の実施の形態と同様にして、平均値YB0、YC0を決定できる。
また、上述の実施の形態では、記録用紙Pに走査方向の全域にわたるパッチTaを印刷したが、例えば、記録用紙Pが一部分において波形状になっている場合などには、波形状になっている範囲にのみわたるパッチTaを印刷してもよい。
また、上述の実施の形態では、コルゲートプレート15、リブ16及びコルゲート拍車18、19によって記録用紙Pに走査方向に沿った波形状を生じさせていたが、コルゲートプレート15、リブ16及びコルゲート拍車18、19は設けられていなくてもよい。インク吐出面12aと記録用紙Pとのギャップが、走査方向において上述の実施の形態とは異なる変動の仕方をしている場合や、走査方向の位置によらず一定である場合などでも、パッチTaを印刷するときとパッチTb、Tcを印刷するときとで記録用紙Pの姿勢が近似的に同一とみなせるならば、上述したのと同様にして、インクジェットヘッド12の移動速度毎に、交点ズレ量の代表値を取得し、代表値に応じてインクの着弾位置を補正できる。
また、上述の実施の形態では、着弾ズレ検出パターンQが、紙送り方向と平行な直線L1と、紙送り方向に対して傾斜して直線L1と交差する直線L2とからなるものであったが、着弾ズレ検出パターンは、インクジェットヘッド12を走査方向の一方向と他方向に移動させたときとの走査方向へのインクの着弾位置ズレに応じて印刷結果の変わるものであれば、どのようなものであってもよい。
また、上述の実施形態では、第1代表値や第2代表値を用いた着弾位置ズレ量の補正を
吐出タイミングを一定時間ずらすことで行ったが、印刷する画像データそのものを一定量ずらすことで結果的に吐出タイミングをずらし、着弾位置ズレ量を補正してもよい。
1 インクジェットプリンタ
11 キャリッジ
12 インクジェットヘッド
12a インク吐出面
15 コルゲートプレート
16 リブ
18、19 コルゲート拍車
55 第1代表値決定部
56 第2代表値決定部
66 スキャナ
67 PC
71 補間関数決定部

Claims (10)

  1. インクを選択的に吐出する複数のノズルが形成されたインク吐出面を有するインクジェットヘッドを、被記録媒体に対向して前記インク吐出面と平行な走査方向に沿って往復移動させつつ、前記複数のノズルからインクを吐出させて印刷を行うインクジェットプリンタにおいて、前記インクジェットヘッドを前記走査方向に移動させながら、前記複数のノズルからインクを吐出させた場合の、前記インクジェットヘッドを前記走査方向の一方向に移動させたときと他方向に移動させたときとの着弾位置ズレ量を、異なる複数の速度についてそれぞれ取得する着弾位置ズレ量取得方法であって、
    前記インクジェットヘッドを所定の第1速度で前記一方向及び前記他方向に移動させながら、前記複数のノズルからインクを吐出させることにより、前記被記録媒体の前記走査方向における所定の第1範囲にわたって、前記インクジェットヘッドを前記第1速度で移動させたときの前記着弾位置ズレ量に対応する第1パターンを印刷させる第1パターン印刷ステップと、
    前記インクジェットヘッドを、前記第1速度とは異なる所定の第2速度で前記一方向及び前記他方向に移動させながら、前記複数のノズルからインクを吐出させることにより、前記被記録媒体の、前記走査方向における前記第1範囲に含まれ、且つ、前記走査方向において前記第1範囲よりも短い第2範囲に、前記インクジェットヘッドを前記第2速度で移動させたときの前記着弾位置ズレ量に対応する第2パターンを印刷させる第2パターン印刷ステップと、
    前記第1パターンから、前記インクジェットヘッドを前記第1速度で移動させたときの、前記第1範囲における前記着弾位置ズレ量である第1ズレ量を複数の位置において取得することによって、前記第1範囲における第1ズレ量の前記走査方向に沿った変動を示す第1変動情報を取得する第1変動情報取得ステップと、
    前記第1変動情報から、前記第1範囲における前記第1ズレ量を代表する第1代表値を取得する第1代表値取得ステップと、
    前記第2パターンから、前記インクジェットヘッドを前記第2速度で移動させたときの、前記第2範囲における前記着弾位置ズレ量である第2ズレ量を取得する第2ズレ量取得ステップと、
    前記第1代表値と前記第2範囲における前記第1ズレ量との差と、前記第2ズレ量とから、前記第1範囲における前記第2ズレ量を代表する第2代表値を取得する第2代表値取得ステップと、を備えていることを特徴とする着弾位置ズレ量取得方法。
  2. 前記インクジェットヘッドを前記第2速度で移動させながら前記複数のノズルからインクを吐出させて印刷を行うときに、前記インクジェットヘッドを前記一方向及び前記他方向に移動させながら前記複数のノズルからインクを吐出させるときのインクの着弾位置のうち少なくともいずれか一方を補正することによって、前記第2ズレ量を前記第2パターンを印刷したときよりも前記第2代表値だけ小さくする補正ステップ、をさらに備えていることを特徴とする請求項1に記載の着弾位置ズレ量取得方法。
  3. 前記第1代表値が、前記第1範囲における前記第1ズレ量の平均値であることを特徴とする請求項1又は2に記載の着弾位置ズレ量取得方法。
  4. 前記第1代表値が、前記第1範囲における前記第1ズレ量の中央値であることを特徴とする請求項1又は2に記載の着弾位置ズレ量取得方法。
  5. 前記第1パターン印刷ステップにおいて、前記被記録媒体の前記走査方向と直交する方向における中央部分に前記第1パターンを印刷することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の着弾位置ズレ量取得方法。
  6. 前記第2パターン印刷ステップにおいて、前記第1パターンが印刷された前記被記録媒体の、前記走査方向と直交する方向において前記第1パターンからずれた部分に前記第2パターンを印刷することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の着弾位置ズレ量取得方法。
  7. 前記第1変動情報と、前記第2代表値とから、前記インクジェットヘッドを前記第2速度で移動させたときの、前記第1範囲における着弾位置ズレ量の前記走査方向に沿った変動を示す第2変動情報を取得する第2変動情報取得ステップ、をさらに備えていることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の着弾位置ズレ量取得方法。
  8. 前記インクジェットプリンタは、前記被記録媒体に、前記走査方向に沿って、前記インク吐出面側に突出した山部分と前記インク吐出面と反対側に窪んだ谷部分とが交互に並んだ、所定の波形状を生じさせる波形状生成機構、をさらに備えていることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の着弾位置ズレ量取得方法。
  9. インクを選択的に吐出する複数のノズルが形成されたインク吐出面を有するインクジェットヘッドと、
    前記インクジェットヘッドを、被記録媒体に対向して前記インク吐出面と平行な走査方向に沿って往復移動させるヘッド走査手段と、
    前記インクジェットヘッドと前記ヘッド走査手段を制御して、前記被記録媒体に、前記インクジェットヘッドを走査方向に移動させながら、前記複数のノズルからインクを吐出させた場合の、前記インクジェットヘッドを前記走査方向の一方向に移動させたときと他方向に移動させたときとの、前記走査方向におけるインクの着弾位置ズレ量を異なる複数の速度についてそれぞれ取得するためのパターンを印刷させる、パターン印刷制御手段と、を備え、
    前記パターン印刷制御手段は、
    前記インクジェットヘッドを所定の第1速度で前記一方向及び前記他方向移動させながら、前記複数のノズルからインクを吐出させることにより、前記被記録媒体の前記走査方向における所定の第1範囲にわたって、前記インクジェットヘッドを前記第1速度で移動させたときの前記着弾位置ズレ量に対応する第1パターンを印刷させ、
    前記インクジェットヘッドを前記第1速度とは異なる所定の第2速度で、前記一方向及び前記他方向に移動させながら、前記複数のノズルからインクを吐出させることにより、前記被記録媒体の、前記走査方向における前記第1範囲に含まれ、且つ、前記走査方向において前記第1範囲よりも短い第2範囲に、前記インクジェットヘッドを前記第2速度で移動させたときの前記着弾位置ズレ量に対応する第2パターンを印刷させることを特徴とするインクジェットプリンタ。
  10. 請求項9に記載のインクジェットプリンタにおいて印刷された前記第1パターン及び前記第2パターンを読み取る読取装置と、
    前記第1パターンの読み取り結果から、前記インクジェットヘッドを前記第1速度で移動させたときの、前記第1範囲における前記着弾位置ズレ量である第1ズレ量を複数の位置において取得することによって、前記第1範囲における第1ズレ量の前記走査方向に沿った変動を示す第1変動情報を取得する第1変動情報取得手段と、
    前記第1変動情報から、前記第1範囲における前記第1ズレ量を代表する第1代表値を取得する第1代表値取得手段と、
    前記第2パターンの読み取り結果から、前記インクジェットヘッドを前記第2速度で移動させたときの、前記第2範囲における前記着弾位置ズレ量である第2ズレ量を取得する第2ズレ量取得手段と、
    前記第1代表値と前記第2範囲における前記第1ズレ量との差と、前記第2ズレ量とから、前記第1範囲における前記第2ズレ量を代表する第2代表値を取得する第2代表値取得手段と、を備えていることを特徴とする着弾位置ズレ量取得装置。
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