次に、本発明を実施するための形態(実施形態)を、添付する図面を参照して説明する。
本発明の第一の実施形態は、物体と共役な第一の像を形成すると共に光軸を有する第一の光学系及び第一の像と共役な第二の像を被投射面に投射する第二の光学系を含む、投射光学系であって、第一の像は、Im×Tr≦1.70の条件を満たすと共に、Imは、第一の光学系の焦点距離によって規格化された第一の光学系の光軸の方向における第一の像の長さを表すと共に、Trは、投射光学系についてのスローレシオを表す、投射光学系である。
本発明の第一の実施形態に係る投射光学系において、第一の像は、物体と共役なものであると共に、第二の像は、第一の像と共役なものであるため、第二の像は、物体と共役なものである。第二の像は、物体に共役な像と呼ばれることがあると共に、この場合、第一の像は、物体及び像(第二の像)の間における中間像と呼ばれることがある。本発明の第一の実施形態に係る投射光学系において、第一の像及び第二の像は、それぞれ、収差を含む又は含まないものであることがある。
本発明の第一の実施形態に係る投射光学系において、被投射面は、第一の像と共役な第二の像が投射される面であるが、例えば、被投射面は、平面のスクリーンであることがある。
本発明の第一の実施形態に係る投射光学系において、投射することは、拡大投射すること、等倍投射すること、又は縮小投射することを含むが、好ましくは、拡大投射することである。本発明の第一の実施形態に係る投射光学系において、投射することが、拡大投射することである場合には、被投射面に像を拡大すると共に投射することが可能な投射光学系を提供することが可能になる。
本発明の第一の実施形態に係る投射光学系は、物体と共役な第一の像を形成すると共に光軸を有する第一の光学系及び第一の像と共役な第二の像を被投射面に投射する第二の光学系を含む。本発明の第一の実施形態に係る投射光学系の光路において、例えば、物体、第一の光学系、第一の像、第二の光学系、及び第二の像が、順に配置される。
本発明の第一の実施形態に係る投射光学系において、第一の光学系は、物体と共役な第一の像を形成すると共に光軸を有する光学系であるが、第一の光学系は、例えば、物体と共役な第一の像を形成すると共に光軸を有する屈折光学系を含む。屈折光学系は、例えば、レンズ系である。レンズ系に含まれるレンズの数は、特に限定されるものではない。レンズ系に含まれるレンズを構成する面の形状は、特に限定されるものではない。レンズを構成する面の形状は、球面又は非球面であることがある。非球面は、回転対称非球面であることがある。屈折光学系は、好ましくは、正のパワーを有する。屈折光学系が、正のパワーを有する場合には、第一の像は、実像である。
本発明の第一の実施形態に係る投射光学系において、第二の光学系は、第一の像と共役な第二の像を被投射面に投射する光学系であるが、第二の光学系は、例えば、第一の像と共役な第二の像を被投射面に投射すると共に反射する反射光学系を含む。反射光学系は、例えば、ミラー系である。ミラー系に含まれるミラーの数は、特に限定されるものではない。ミラー系に含まれるミラーを構成する面の形状は、特に限定されるものではない。ミラーを構成する面の形状は、球面又は非球面であることがある。非球面は、回転対称非球面又は自由曲面であることがある。自由曲面は、非回転対称非球面であることがある。反射光学系は、好ましくは、正のパワーを有する。反射光学系が、正のパワーを有する場合には、第二の像は、実像である。
本発明の第一の実施形態に係る投射光学系において、第一の像は、Im×Tr≦1.70の条件を満たす。
本発明の第一の実施形態に係る投射光学系において、Imは、第一の光学系の焦点距離によって規格化された第一の光学系の光軸の方向における第一の像の長さ(第一の光学系の光軸の方向における第一の像の長さ/第一の光学系の焦点距離)を表す。第一の光学系の光軸の方向における第一の像の長さは、物体の物点からのメリジオナル光線及びサジタル光線によって与えられる第一の像の像点のうち、第一の光学系の光軸の方向における第一の光学系に最も近い像点の位置及び第一の光学系の光軸の方向における第二の光学系に最も近い像点の位置の間における距離である。
本発明の第一の実施形態に係る投射光学系において、Trは、投射光学系についてのスローレシオを表す。スローレシオは、水平な方向における被投射面に投射された第二の像の大きさに対する被投射面の側における第二の光学系の主点から被投射面までの距離の比である。
本発明の第一の実施形態によれば、第一の像は、Im×Tr≦1.70の条件を満たすと共に、Imは、第一の光学系の焦点距離によって規格化された第一の光学系の光軸の方向における第一の像の長さを表すと共に、Trは、投射光学系についてのスローレシオを表すので、より短い距離における被投射面により良好な像を投射することが可能なより小型の投射光学系を提供することが可能になる。例えば、より低減された全長を備えた投射光学系を提供することが可能になる。投射光学系の全長は、投射光学系に含まれる第一の光学系の光軸に最も近い光束の主光線についての、第一の光学系の光軸の方向における物体における物点から第二の光学系の最終端までの距離である。
本発明の第一の実施形態に係る投射光学系において、好ましくは、第一の像は、Im×Tr≦1.50の条件を満たす。
本発明の第一の実施形態に係る投射光学系において、第一の像が、Im×Tr≦1.50の条件を満たす場合には、より小型の投射光学系を提供することが可能になる。
本発明の第一の実施形態に係る投射光学系において、好ましくは、第一の像は、0.50≦Im×Trの条件を満たす。
本発明の第一の実施形態に係る投射光学系において、第一の像が、0.50≦Im×Trの条件を満たす場合には、被投射面により良好な像を投射することが可能な投射光学系を提供することが可能になる。
本発明の第一の実施形態に係る投射光学系において、好ましくは、投射光学系は、Tr≦0.7の条件を満たす。
本発明の第一の実施形態に係る投射光学系において、投射光学系が、Tr≦0.7の条件を満たす場合には、より短い距離における被投射面に像を投射することが可能な投射光学系を提供することが可能になる。
本発明の第一の実施形態に係る投射光学系において、好ましくは、第一の光学系は、非球面を含む。
本発明の第一の実施形態に係る投射光学系において、第一の光学系が、非球面を含む場合には、被投射面により良好な像を投射することが可能な投射光学系を提供することが可能になる。
本発明の第一の実施形態に係る投射光学系において、好ましくは、第一の光学系についてのペッツバール和は、−0.010mm−1以下である。
本発明の第一の実施形態に係る投射光学系において、第一の光学系についてのペッツバール和が、−0.010mm−1以下である場合には、被投射面により良好な像を投射することが可能な投射光学系を提供することが可能になる。第一の光学系についてのペッツバール和は、より好ましくは、−0.012mm−1以下である。第一の光学系についてのペッツバール和が、−0.012mm−1以下である場合には、被投射面により良好な像を投射することが可能な投射光学系を提供することが可能になる。第一の光学系についてのペッツバール和は、好ましくは、−0.037mm−1以上である。第一の光学系についてのペッツバール和が、−0.037mm−1以上である場合には、被投射面により良好な像を投射することが可能な投射光学系を提供することが可能になる。
本発明の第一の実施形態に係る投射光学系において、好ましくは、第二の光学系は、自由曲面形状を備えた反射面を含む。本発明の第一の実施形態に係る投射光学系において、第二の光学系が、自由曲面形状を備えた反射面を含む場合には、被投射面により良好な像を投射することが可能な投射光学系を提供することが可能になる。
本発明の第二の実施形態は、画像を形成する画像形成部及び画像を被投射面に投射する投射光学系を含む、画像投射装置であって、投射光学系は、本発明の第一の実施形態に係る投射光学系である、画像投射装置である。
本発明の第二の実施形態に係る画像投射装置において、画像を形成する画像形成部は、特に限定されるものではないが、画像形成部は、例えば、透過型又は反射型のドットマトリクス液晶及びDMD(ディジタル・マイクロミラー・デバイス)のような表示装置(ライトバルブ)であることがある。
本発明の第二の実施形態に係る画像投射装置において、画像は、特に限定されるものではないが、画像は、例えば、上述したような表示装置に表示される画像であることがある。
本発明の第二の実施形態に係る画像投射装置において、被投射面は、特に限定されるものではないが、被投射面は、例えば、平面のスクリーンであることがある。
本発明の第二の実施形態に係る画像投射装置において、投射することは、拡大投射すること、等倍投射すること、又は縮小投射することを含むが、好ましくは、拡大投射することである。本発明の第二の実施形態に係る画像投射装置において、投射することが、拡大投射することである場合には、被投射面に像を拡大すると共に投射することが可能な画像投射装置を提供することが可能になる。
本発明の第二の実施形態によれば、投射光学系は、本発明の第一の実施形態に係る投射光学系であるので、より短い距離における被投射面により良好な画像を投射することが可能なより小型の画像投射装置を提供することが可能になる。
図1は、本発明の実施形態に係る投射光学系の例及び本発明の実施形態に係る画像投射装置の例を説明する図である。図2は、本発明の実施形態に係る投射光学系の例についての第一の光学系及び第二の光学系を説明する図である。
図1に例示された画像投射装置としてのプロジェクタは、図1及び図2に例示された投射光学系を有する。図1に例示されたプロジェクタにおいては、変調信号に応じて画像を形成する画像形成部1に光源からの照明光を照射することによって画像形成部1に画像を形成する。
図1及び図2に例示された投射光学系は、画像形成部1に形成された画像をスクリーン4に投射するための投射光学系である。図1及び図2に例示された投射光学系は、画像形成部1の側から第一の光学系2及び第二の光学系3を有する。第一の光学系2は、正のパワーを有すると共に屈折光学系を有する共軸系の光学系である。第二の光学系3は、正のパワーを有する反射面を含む光学系である。第一の光学系2及び第二の光学系3の間には、画像形成部1において形成された画像からの複数の光束を概ね収束させることによって、中間像が形成される。画像形成部1によって形成された画像は、第一の光学系2及び第二の光学系3の光路上に中間像として結像されると共に、スクリーン4に中間像を拡大することによって得られる画像が投射及び結像される。投射光学系は、全体として、画像形成部1に形成された画像(大画面の画像)をスクリーン4に拡大投射する。図1及び図2に例示された投射光学系の構成によって、投射光学系の投射距離(スクリーン4の側における第二の光学系3の主点からスクリーン4までの距離)を低減することが可能になる。その結果、比較的狭い会議室などにおいてもプロジェクタを使用することが可能になる。
なお、図1及び図2における座標系X、Y、及びZは、それぞれ、スクリーン4の長軸方向、スクリーン4の短軸方向、及びスクリーン4の法線方向又は第一の光学系2の光軸の方向である。
仮に投射光学系の投射距離が、増加する場合には、プレゼンテーションなどのためにプロジェクタ及びスクリーン4の間に立つ発表者によって、投射される画像が遮られると共に、プレゼンテーションなどのためにプロジェクタ及びスクリーン4の間に立つ発表者の影が、スクリーン4に投射されることがある。
プロジェクタにおける投射光学系の投射距離及び投射光学系の拡大倍率を表す指標としてスローレシオが用いられる。スローレシオは、投射光学系の投射距離に対する水平方向におけるスクリーンに投射された画像を大きさ(スクリーンに投射された画像の幅)の比である。図1及び図2に例示された投射光学系においては、スローレシオTrは、X方向におけるスクリーン4に投射された画像の大きさに対するスクリーン4の側における第二の光学系3の主点からスクリーン4までの距離の比である。
図3は、本発明の実施形態に係る投射光学系の例についてのスローレシオを説明する図である。
図3に例示するように、仮にプロジェクタに含まれる投射光学系の投射距離が、大きい場合には、プレゼンテーションなどのためにプロジェクタ及びスクリーンの間に立つ発表者によって、投射される光が遮られると共に、プレゼンテーションなどのためにプロジェクタ及びスクリーンの間に立つ発表者の影が、スクリーンに投射されることがある。発表者による投射される光の遮断の問題を低減するために、プロジェクタに含まれる投射光学系の投射距離を低減することが考えられる。
図3に例示されるように、プロジェクタに含まれる投射光学系の投射距離が、発表者の体の中心から発表者の指先までの距離Aよりも短いものである場合には、発表者による投射される光の遮断の問題を低減することが可能になる。例えば、発表者の体の中心から発表者の指先までの距離Aが、900mmであると共に、16:10のアスペクト比を備えた60インチの画像が投射光学系によって投射される場合には、投射光学系についてのスローレシオは、900mm/(60インチ×25.4mm/インチ×16/(162+102))〜0.7である。よって、発表者による投射される光の遮断の問題を低減するためには、プロジェクタに含まれる投射光学系についてのスローレシオは、好ましくは、0.7以下である。
図1及び図2に例示された投射光学系において、第一の光学系2の焦点距離で割られたZ方向における中間像の長さの値Imを定義する。Z方向における中間像の長さは、画像生成部1で形成された画像からの各々の光束のメリジオナル光線及びサジタル光線の中間像の像点のうち、Z方向における第一の光学系2に最も近い像点の位置及びZ方向における第二の光学系3に最も近い像点の位置の間の距離である。
プロジェクタに含まれる投射光学系についてのスローレシオTrを低減する場合には、第一の光学系2の焦点距離で割られたZ方向における中間像の長さの値Imは、増加する傾向があると考えられる。
図4は、本発明の実施形態に係る投射光学系の例についての光学系の全長及び中間像の長さを説明する図である。図4に例示された投射光学系においては、図4における破線によって表されたYZ平面における断面を備えた中間像5が形成される。図4に例示された投射光学系においては、投射光学系の全長は、投射光学系に含まれる第一の光学系2の光軸に最も近い光束の主光線についての、第一の光学系2の光軸の方向における物体における物点から第二の光学系3の最終端までの距離である。
図4に例示されるように、第一の光学系2の焦点距離で割られたZ方向における中間像の長さの値Imが、増加する場合には、第一の光学系2の最終端から第二の光学系3の最先端までの距離は、増加する傾向があるため、投射光学系の全長及びプロジェクタのサイズもまた、増加する傾向があると考えられる。
図1及び図2に例示された投射光学系においては、中間像は、Im×Tr≦1.70の条件を満たす。中間像が、Im×Tr≦1.70の条件を満たす場合には、第一の光学系2の焦点距離で割られたZ方向における中間像の長さIm及び投射光学系についてのスローレシオTrのバランスがより良好なものであるため、より短い距離におけるスクリーン4に画像を投射することが可能なより小型の光学投射系及びより短い距離におけるスクリーン4に画像を投射することが可能なより小型の画像投射装置を提供することが可能になる。また、より短い距離におけるスクリーン4に画像を投射することが可能になるため、発表者による投射される光の遮断の問題が低減されたより小型の光学投射系及び発表者による投射される光の遮断の問題が低減されたより小型の画像投射装置を提供することが可能になる。
プロジェクタに含まれる投射光学系についてのスローレシオTrを低減する場合には、スクリーン4に投射される光線の入射角は、増加する傾向がある。スクリーン4に投射される光線の入射角が増加する場合には、投射光学系についての非点収差は、増加する傾向がある。スクリーン4の短軸方向において第一の光学系2の光軸からの距離が増加する(+Y方向に増加する)ほど、スクリーン4に入射する光線の入射角は、増加する傾向がある。例えば、プロジェクタに含まれる投射光学系の投射距離が低減される場合には、スクリーン4に入射する光線の入射角は、増加すると共に、第一の光学系2の光軸からの距離が+Y方向に増加するほど、スクリーン4に入射する光線の入射角の増加は、より顕著なものであると共に、投射光学系についての非点収差が、増加する傾向にある。
そこで、図1及び図2に例示された投射光学系においては、第一の光学系2の焦点距離で割られたZ方向における中間像の長さの値Imを増加させると共にプロジェクタに含まれる投射光学系についてのスローレシオTrを低減する一方で、投射光学系についての非点収差のような収差を低減すると共にスクリーン4により良好な画像を投射することを考えた。
図1、図2、及び図4に例示されるように、スクリーン4の短軸方向において第一の光学系2の光軸からの距離が増加する(+Y方向に増加する)ほど、スクリーン4に投射される光束に対応する中間像の像点は、第一の光学系2に近づく傾向がある。第一の光学系2により近い位置で中間像を形成することによって、第二の光学系3におけるその中間像に対応する光束の断面は、増加する傾向がある。このため、第二の光学系3を構成する反射面の形状等を適宜調整することによって、その中間像に対応する光束についての収差をより良好に補正することが可能になる。
このように、図1及び図2に例示された投射光学系においては、第一の光学系2の焦点距離で割られたZ方向における中間像の長さの値Imを増加させると共にプロジェクタに含まれる投射光学系についてのスローレシオTrを低減する一方で、スクリーン4により良好な画像を投射することが可能になる。
よって、画像形成部1によって形成された画像と共役な中間像を形成すると共に光軸を有する第一の光学系2及び中間像と共役な像をスクリーン4に投射する第二の光学系3を含む、投射光学系において、中間像は、Im×Tr≦1.70の条件を満たすことによって、より短い距離におけるスクリーン4により良好な像を投射することが可能なより小型の投射光学系及びより短い距離におけるスクリーン4により良好な画像を投射することが可能なより小型の画像投射装置を提供することが可能になる。
図1及び図2に例示された投射光学系においては、中間像は、さらにIm×Tr≦1.50の条件を満たす。中間像が、Im×Tr≦1.50の条件を満たす場合には、第一の光学系2の焦点距離で割られたZ方向における中間像の長さの値Imをより低減することが可能になるため、より小型の投射光学系及びより小型の画像投射装置を提供することが可能になる。
図1及び図2に例示された投射光学系においては、中間像は、さらに0.50≦Im×Trの条件を満たす。中間像が、0.50≦Im×Trの条件を満たす場合には、第一の光学系2の焦点距離で割られたZ方向における中間像の長さの値Imをより増加させることが可能になるため、第二の光学系3を構成する反射面の形状等を調整することによって中間像に対応する光束についての収差をより良好に補正することが可能になる。その結果、スクリーン4により良好な像を投射することが可能な投射光学系及びスクリーン4により良好な画像を投射することが可能な画像投射装置を提供することが可能になる。
図1及び図2に例示された投射光学系においては、第一の光学系2は、非球面を含む屈折光学系を有する。第一の光学系2が、非球面を含む屈折光学系を有する場合には、第一の光学系2の設計の自由度を増加させることが可能になると共に、投射光学系についての収差補正をすることがより容易になる。その結果、スクリーン4により良好な像を投射することが可能な投射光学系及びスクリーン4により良好な画像を投射することが可能な画像投射装置を提供することが可能になる。
図1及び図2に例示された投射光学系においては、第二の光学系3は、自由曲面の形状を有する反射面を含む。第二の光学系3が、自由曲面の形状を有する反射面を含むため、中間像の像点に対応する光束毎に反射面の曲面の形状を調整することが可能になると共に中間像の像点に対応する光束毎に収差補正をすることが可能になる。その結果、スクリーン4により良好な像を投射することが可能な投射光学系及びスクリーン4により良好な画像を投射することが可能な画像投射装置を提供することが可能になる。
図1及び図2に例示された投射光学系においては、第一の光学系2についてのペッツバール和は、−0.010mm−1以下である。第一の光学系2についてのペッツバール和は、−0.010mm−1以下である場合には、第一の光学系2によって結像される中間像の像面を第一の光学系2の側に湾曲させると共に第一の光学系2によって結像される中間像の像面湾曲を増加させることが可能になる。その結果、第二の光学系3における中間像の像点に対応する光束の断面を増加させることが可能になる。これにより、中間像の像点に対応する光束についての収差を第二の光学系3によってより有効に補正することが可能になる。結果として、スクリーン4により良好な像を投射することが可能な投射光学系を提供することが可能になる。その結果及びスクリーン4により良好な像を投射することが可能な画像投射装置を提供することが可能になる。
(実施例)
本発明の各々の実施例において、スクリーンに投射される画像のサイズ、縦横比、及び拡大倍率は、それぞれ、0.64インチ、16:10、及び94である。ここで、拡大倍率は、画像形成部に形成された画像のサイズ及びスクリーンに投射される画像のサイズのおおよその比である。また、実施例1〜7、10、及び11は、F2.5の投射光学系の例であると共に、実施例8及び9は、F4の投射光学系の例である。
実施例1
表1に実施例1における投射光学系のデータを示す。
表1
表1において、シフトは、y方向におけるシフト偏心量を表すと共に、チルトは、x軸を回転軸としたチルト偏心量を表す。表1において、曲率半径、面間隔、及びシフト偏心量の単位は、"mm"であると共に、チルト偏心量の単位は、"度"である。また、表1において、シフト及びチルトの符号については、Y軸方向における正の方向のシフトが、+の符号を有すると共に、X軸まわりにおける左回転のチルトが、+の符号を有する。実施例2〜11におけるシフト及びチルトの定義及び単位並びに曲率半径、面間隔、及びシフト偏心量の単位は、実施例1におけるものと同様である。
実施例1における投射光学系の第3面、第4面、及び第20面から第23面までに用いられた非球面は、回転対称非球面である。回転対称非球面の代わりに、回転非対称非球面が用いられることがある。
回転対称非球面は、
Z=c・r2/[1+√{1−(1+k)c2r2}]+Ar4+Br6+Cr8+・・・
の式で表される非球面である。Zは、回転対称非球面の光軸方向におけるデプスを表す。cは、回転対称非球面の近軸曲率半径を表す。rは、光軸方向に直交する方向における光軸からの距離を表す。kは、回転対称非球面の円錐係数を表す。A、B、C、・・・等は、回転対称非球面の高次の非球面係数を表す。回転対称非球面の形状は、c、k、A、B、C・・・の値を決定することによって、特定される。実施例2〜11における回転対称非球面の定義も実施例1におけるものと同様である。第一の光学系に非球面レンズを用いる場合には、第一の光学系の設計の自由度がより高いものになるため、スクリーンに投射される画像の品質が向上する。
表2に実施例1における投射光学系の非球面の係数を示す。
表2
実施例1の反射面は、アナモルフィックな多項式自由曲面である。第二の光学系における正のパワーを有する反射面が、アナモルフィックな多項式自由曲面である場合には、中間像の像点に対応する光束ごとに反射面の形状を調整することが可能になるため、投射光学系についての収差補正の性能を向上させることが可能になる。アナモルフィックな多項式自由曲面は、
Z=X2・x
2+Y2・y
2+X2Y・x
2y+Y3・y
3+X4・x
4+X2Y2・x
2y
2+Y4・y
4+X4Y・x
4y+X2Y3・x
2y
3+Y5・y
5+X6・x
6+X4Y2・x
4y
2+X2Y4・x
2y
4+Y6・y
6+・・・(1)
の式で表される面である。スクリーンに投射される画像を基準として上下方向、左右方向、及び曲面のデプスの方向は、それぞれ、Y方向、X方向、及びZ方向であると共に、X2、Y2、X2Y、Y3、X2Y2、・・・などは、多項式自由曲面の係数である。
表3に実施例1における投射光学系の多項式自由曲面の係数を示す。実施例2〜11におけるアナモルフィックな多項式自由曲面の定義も実施例1におけるものと同様である。
表3
表4
実施例1における投射光学系についてのIm×Trの値を求める。
図5は、本発明の実施例1における画像投射装置についての画像形成部における物点の位置の例を説明する図である。図5は、XY平面にある像面のうちX≦0のエリアをX方向に3等分割すると共にY方向に3等分割することによって得られた9個の格子点(物点)f1からf9までを示す。表4に、Z方向における図5における9個の格子点の各々からのサジタル光線及びメリジオナル光線の中間像の像点の位置(それぞれxfo及びyfoで表される)を示す。ここで、xfo及びyfoの原点は、第一の光学系の光軸における第一の光学系の最終端の位置にある。実施例1において、第二の光学系に最も近い像点は、f1のxfoであると共に、第一の光学系に最も近い像点は、f9のyfoである。実施例1における投射光学系についての第一の光学系の光軸方向における中間像の長さは、|f1のxfo−f9のyfo|=127.9mm−(−5.3mm)=133.2mmである。また、実施例1における投射光学系に含まれる第一の光学系の焦点距離は、26.57mmである。よって、実施例1における投射光学系についての第一の光学系の光軸方向における規格化された中間像の長さImは、133.2mm/26.57mm=5.01である。
実施例1においては、投射光学系の投射距離は、画像生成部からの光束のうち第一の光学系の光軸に最も近い光束の主光線についての、第二の光学系の反射面における反射点からスクリーンまでのZ方向における距離である。実施例1において、投射光学系の投射距離は、226.5mmである。実施例1における投射光学系は、60インチの画像を投射するものである。よって、実施例1における投射光学系についてのスローレシオTrは、0.18である。
よって、実施例1における投射光学系についてのIm×Trの値は、5.01×0.18=0.90である。
図6は、本発明の実施例1における投射光学系及び画像投射装置を説明する図である。
図6は、実施例1における投射光学系についての光路を例示する。図7は、本発明の実施例1における投射光学系についての第一の光学系及び第二の光学系を説明する図である。図7は、第一の光学系及び第二の光学系の拡大図である。
図7に例示されたように、実施例1における投射光学系においては、図7における破線によって表されたYZ平面における断面を備えた中間像5が形成される。中間像5を形成する光束は、必ずしも一点に集束されるものではなく、収差を有することがある。中間像5に残存する収差は、第二の光学系によって補正されることがある。なお、図6及び図7に例示された画像投射装置においては、画像形成部から無数の光束が射出するが、それらの光束の全ては、図6及び図7のいずれにも示されない。図7における破線は、図7に示された光束の中間像の像点を結ぶことによって得られる曲線を示したものである。
実施例1〜7においては、投射光学系に含まれる第一の光学系は、11枚のレンズ及び絞りによって構成されるが、投射光学系に含まれる第一の光学系におけるレンズ素子数を構成するレンズの枚数は、必ずしも11枚である必要はない。また、投射光学系に含まれる第一の光学系における絞りの位置は、必ずしも図7に示された位置である必要はない。
図8は、本発明の実施例1における投射光学系についての被投射面におけるスポットを説明する図である。図8においては、実施例1における画像投射装置に含まれる画像形成部における格子点f1〜f9に対応するスポットダイアグラムを示す。実施例1においては、スクリーン(像面)は、XY面上にある。実施例1におけるスクリーン上のスポットの特性は、Y軸を基準として±X方向に対称的なスポット特性を示すため、図8においては、−X方向におけるスポットの位置のみを示す。図8に示されたように、実施例1におけるスクリーン上のスポットは、良好に集束したものである。実施例1では、WXGAクラスの解像度が得られる。WXGAの解像度の周波数についての白色の変調伝達関数(Modulation Transfer Function(MTF))の値は、スクリーンに投射される画像の全域にわたって50%以上である。
図9は、本発明の実施形態に係る投射光学系の例についてのTVディストーションを説明する図である。本発明の実施形態に係る投射光学系についてのTVディストーションは、図9に示されたように、被投射面に投射された像(第二の像)についての長辺方向の歪みを表す数値であると共に、Dh=(Δh/2h)×100によって定義される。Dhは、TVディストーションを表す。hは、像の中心から像の短辺方向における像の端までの長さを表す。Δhは、像の頂点を通って像の長辺方向に延びる直線及び像の短辺方向における像の端を通って像の長辺方向に延びる直線の間における間隔を表す。
図10は、本発明の実施例1における投射光学系についてのTVディストーション特性を説明する図である。実施例1における投射光学系についてのTVディストーションは2%以下である。実施例1における投射光学系についての歪みは、良好に補正されたものである。
実施例2
表5に実施例2における投射光学系のデータを示す。実施例2における投射光学系の投射距離及びスクリーンに投射される画像のサイズは、295mm及び60インチであるため、実施例2における投射光学系についてのスローレシオは、0.23である。
表5
表6に実施例2における投射光学系の非球面の係数を示す。
表6
表7に実施例2における投射光学系の多項式自由曲面の係数を示す。
表7
実施例2における投射光学系についてのIm×Trの値を求める。
表8に実施例2における投射光学系についてのxfo及びyfoを示す。
表8
実施例2における投射光学系についての投射距離及びスクリーンに投射される画像のサイズは、それぞれ、295mm及び60インチであるため、実施例2における投射光学系についてのスローレシオTrは、0.23である。また、表8より、実施例2における投射光学系についての第一の光学系の光軸方向における中間像の長さは、|f1のxfo−f9のyfo|=112.0mm−2.0mm=110.0mmである。実施例2における投射光学系に含まれる第一の光学系の焦点距離は、27.53mmである。実施例2における投射光学系についての第一の光学系の光軸方向における規格化された中間像の長さImは、110.0mm/27.53mm=4.00である。実施例2における投射光学系についてのIm×Trの値は、4.00×0.23=0.92である。
図11は、本発明の実施例2における投射光学系及び画像投射装置を説明する図である。
図11は、実施例2における投射光学系についての光路を例示する。図12は、本発明の実施例2における投射光学系についての第一の光学系及び第二の光学系を説明する図である。図12は、第一の光学系及び第二の光学系の拡大図である。
図13は、本発明の実施例2における投射光学系についての被投射面におけるスポットを説明する図である。図13においては、実施例2における画像投射装置に含まれる画像形成部における格子点f1〜f9に対応するスポットダイアグラムを示す。図13に示されたように、実施例2におけるスクリーン上のスポットは、良好に集束したものである。
図14は、本発明の実施例2における投射光学系についてのTVディストーション特性を説明する図である。実施例2における投射光学系についてのTVディストーションは2%以下である。実施例2における投射光学系についての歪みは、良好に補正されたものである。
実施例3
表9に実施例3における投射光学系のデータを示す。実施例3における投射光学系の投射距離及びスクリーンに投射される画像のサイズは、388mm及び60インチであるため、実施例3における投射光学系についてのスローレシオは、0.30である。
表9
表10に実施例3における投射光学系の非球面の係数を示す。
表10
表11に実施例3における投射光学系の多項式自由曲面の係数を示す。
表11
実施例3における投射光学系についてのIm×Trの値を求める。
表12に実施例3における投射光学系についてのxfo及びyfoを示す。
表12
実施例3における投射光学系についての投射距離及びスクリーンに投射される画像のサイズは、それぞれ、388mm及び60インチであるため、実施例3における投射光学系についてのスローレシオTrは、0.30である。また、表12より、実施例3における投射光学系についての第一の光学系の光軸方向における中間像の長さは、|f1のxfo−f9のyfo|=86.6mm−8.6mm=78.0mmである。実施例3における投射光学系に含まれる第一の光学系の焦点距離は、31.34mmである。実施例3における投射光学系についての第一の光学系の光軸方向における規格化された中間像の長さImは、78.0mm/31.34mm=2.49である。実施例3における投射光学系についてのIm×Trの値は、2.49×0.30=0.75である。
図15は、本発明の実施例3における投射光学系及び画像投射装置を説明する図である。
図15は、実施例3における投射光学系についての光路を例示する。図16は、本発明の実施例3における投射光学系についての第一の光学系及び第二の光学系を説明する図である。図16は、第一の光学系及び第二の光学系の拡大図である。
図17は、本発明の実施例3における投射光学系についての被投射面におけるスポットを説明する図である。図17においては、実施例3における画像投射装置に含まれる画像形成部における格子点f1〜f9に対応するスポットダイアグラムを示す。図17に示されたように、実施例3におけるスクリーン上のスポットは、良好に集束したものである。
図18は、本発明の実施例3における投射光学系についてのTVディストーション特性を説明する図である。実施例3における投射光学系についてのTVディストーションは2%以下である。実施例3における投射光学系についての歪みは、良好に補正されたものである。
実施例4
表13に実施例4における投射光学系のデータを示す。実施例4における投射光学系の投射距離及びスクリーンに投射される画像のサイズは、517mm及び60インチであるため、実施例4における投射光学系についてのスローレシオは、0.40である。
表13
表14に実施例4における投射光学系の非球面の係数を示す。
表14
表15に実施例4における投射光学系の多項式自由曲面の係数を示す。
表15
実施例4における投射光学系についてのIm×Trの値を求める。
表16に実施例4における投射光学系についてのxfo及びyfoを示す。
表16
実施例4における投射光学系についての投射距離及びスクリーンに投射される画像のサイズは、それぞれ、517mm及び60インチであるため、実施例4における投射光学系についてのスローレシオTrは、0.40である。また、表16より、実施例4における投射光学系についての第一の光学系の光軸方向における中間像の長さは、|f1のxfo−f9のyfo|=91.5mm−27.6mm=63.9mmである。実施例4における投射光学系に含まれる第一の光学系の焦点距離は、33.32mmである。実施例3における投射光学系についての第一の光学系の光軸方向における規格化された中間像の長さImは、63.9mm/33.32mm=1.92である。実施例3における投射光学系についてのIm×Trの値は、1.92×0.40=0.77である。
図19は、本発明の実施例4における投射光学系及び画像投射装置を説明する図である。図19は、実施例4における投射光学系についての光路を例示する。図20は、本発明の実施例4における投射光学系についての第一の光学系及び第二の光学系を説明する図である。図20は、第一の光学系及び第二の光学系の拡大図である。
図21は、本発明の実施例4における投射光学系についての被投射面におけるスポットを説明する図である。図21においては、実施例4における画像投射装置に含まれる画像形成部における格子点f1〜f9に対応するスポットダイアグラムを示す。図24に示されたように、実施例4におけるスクリーン上のスポットは、良好に集束したものである。
図22は、本発明の実施例4における投射光学系についてのTVディストーション特性を説明する図である。実施例4における投射光学系についてのTVディストーションは2%以下である。実施例4における投射光学系についての歪みは、良好に補正されたものである。
実施例5
表17に実施例5における投射光学系のデータを示す。実施例5における投射光学系の投射距離及びスクリーンに投射される画像のサイズは、672mm及び60インチであるため、実施例5における投射光学系についてのスローレシオは、0.52である。
表17
表18に実施例5における投射光学系の非球面の係数を示す。
表18
表19に実施例5における投射光学系の多項式自由曲面の係数を示す。
表19
実施例5における投射光学系についてのIm×Trの値を求める。
表20に実施例5における投射光学系についてのxfo及びyfoを示す。
表20
実施例5における投射光学系についての投射距離及びスクリーンに投射される画像のサイズは、それぞれ、672mm及び60インチであるため、実施例5における投射光学系についてのスローレシオTrは、0.52である。また、表20より、実施例5における投射光学系についての第一の光学系の光軸方向における中間像の長さは、|f1のxfo−f9のyfo|=75.7mm−30.8mm=44.9mmである。実施例4における投射光学系に含まれる第一の光学系の焦点距離は、33.91mmである。実施例4における投射光学系についての第一の光学系の光軸方向における規格化された中間像の長さImは、44.9mm/33.91mm=1.32である。実施例3における投射光学系についてのIm×Trの値は、1.32×0.52=0.69である。
図23は、本発明の実施例5における投射光学系及び画像投射装置を説明する図である。図23は、実施例5における投射光学系についての光路を例示する。図24は、本発明の実施例5における投射光学系についての第一の光学系及び第二の光学系を説明する図である。図24は、第一の光学系及び第二の光学系の拡大図である。
図25は、本発明の実施例5における投射光学系についての被投射面におけるスポットを説明する図である。図25においては、実施例5における画像投射装置に含まれる画像形成部における格子点f1〜f9に対応するスポットダイアグラムを示す。図25に示されたように、実施例5におけるスクリーン上のスポットは、良好に集束したものである。
図26は、本発明の実施例5における投射光学系についてのTVディストーション特性を説明する図である。実施例5における投射光学系についてのTVディストーションは2%以下である。実施例5における投射光学系についての歪みは、良好に補正されたものである。
実施例6
表21に実施例6における投射光学系のデータを示す。実施例6における投射光学系の投射距離及びスクリーンに投射される画像のサイズは、775mm及び60インチであるため、実施例6における投射光学系についてのスローレシオは、0.60である。
表21
表22に実施例6における投射光学系の非球面の係数を示す。
表22
表23に実施例6における投射光学系の多項式自由曲面の係数を示す。
表23
実施例6における投射光学系についてのIm×Trの値を求める。
表24に実施例6における投射光学系についてのxfo及びyfoを示す。
表24
実施例6における投射光学系についての投射距離及びスクリーンに投射される画像のサイズは、それぞれ、775mm及び60インチであるため、実施例6における投射光学系についてのスローレシオTrは、0.60である。また、表24より、実施例6における投射光学系についての第一の光学系の光軸方向における中間像の長さは、|f1のxfo−f9のyfo|=72.2mm−33.3mm=38.9mmである。実施例6における投射光学系に含まれる第一の光学系の焦点距離は、35.74mmである。実施例6における投射光学系についての第一の光学系の光軸方向における規格化された中間像の長さImは、38.9mm/35.74mm=1.09である。実施例6における投射光学系についてのIm×Trの値は、1.09×0.60=0.65である。
図27は、本発明の実施例6における投射光学系及び画像投射装置を説明する図である。図27は、実施例6における投射光学系についての光路を例示する。図28は、本発明の実施例6における投射光学系についての第一の光学系及び第二の光学系を説明する図である。図28は、第一の光学系及び第二の光学系の拡大図である。
図29は、本発明の実施例6における投射光学系についての被投射面におけるスポットを説明する図である。図29においては、実施例6における画像投射装置に含まれる画像形成部における格子点f1〜f9に対応するスポットダイアグラムを示す。図29に示されたように、実施例6におけるスクリーン上のスポットは、良好に集束したものである。
図30は、本発明の実施例6における投射光学系についてのTVディストーション特性を説明する図である。実施例6における投射光学系についてのTVディストーションは2%以下である。実施例6における投射光学系についての歪みは、良好に補正されたものである。
実施例7
表25に実施例7における投射光学系のデータを示す。実施例7における投射光学系の投射距離及びスクリーンに投射される画像のサイズは、795mm及び60インチであるため、実施例7における投射光学系についてのスローレシオは、0.62である。
表25
表26に実施例7における投射光学系の非球面の係数を示す。
表26
表27に実施例7における投射光学系の多項式自由曲面の係数を示す。
表27
実施例7における投射光学系についてのIm×Trの値を求める。
表28に実施例7における投射光学系についてのxfo及びyfoを示す。
表28
実施例7における投射光学系についての投射距離及びスクリーンに投射される画像のサイズは、それぞれ、795mm及び60インチであるため、実施例7における投射光学系についてのスローレシオTrは、0.62である。また、表28より、実施例7における投射光学系についての第一の光学系の光軸方向における中間像の長さは、|f1のyfo−f9のyfo|=100.2mm−32.4mm=67.8mmである。実施例7における投射光学系に含まれる第一の光学系の焦点距離は、28.56mmである。実施例7における投射光学系についての第一の光学系の光軸方向における規格化された中間像の長さImは、67.8mm/28.56mm=2.37である。実施例7における投射光学系についてのIm×Trの値は、2.37×0.62=1.47である。
図31は、本発明の実施例7における投射光学系及び画像投射装置を説明する図である。図31は、実施例7における投射光学系についての光路を例示する。図32は、本発明の実施例7における投射光学系についての第一の光学系及び第二の光学系を説明する図である。図32は、第一の光学系及び第二の光学系の拡大図である。
図33は、本発明の実施例7における投射光学系についての被投射面におけるスポットを説明する図である。図33においては、実施例7における画像投射装置に含まれる画像形成部における格子点f1〜f9に対応するスポットダイアグラムを示す。図33に示されたように、実施例7におけるスクリーン上のスポットは、良好に集束したものである。
図34は、本発明の実施例7における投射光学系についてのTVディストーション特性を説明する図である。実施例7における投射光学系についてのTVディストーションは2%以下である。実施例7における投射光学系についての歪みは、良好に補正されたものである。
実施例8
表29に実施例8における投射光学系のデータを示す。実施例8における投射光学系の投射距離及びスクリーンに投射される画像のサイズは、200mm及び60インチであるため、実施例8における投射光学系についてのスローレシオは、0.15である。
表29
表30に実施例8における投射光学系の非球面の係数を示す。
表30
表31に実施例8における投射光学系の多項式自由曲面の係数を示す。
表31
実施例8における投射光学系についてのIm×Trの値を求める。
表32に実施例8における投射光学系についてのxfo及びyfoを示す。
表32
実施例8における投射光学系についての投射距離及びスクリーンに投射される画像のサイズは、それぞれ、200mm及び60インチであるため、実施例8における投射光学系についてのスローレシオTrは、0.15である。また、表32より、実施例8における投射光学系についての第一の光学系の光軸方向における中間像の長さは、|f1のxfo−f9のyfo|=123.9mm−(−6.9mm)=130.8mmである。実施例8における投射光学系に含まれる第一の光学系の焦点距離は、25.09mmである。実施例8における投射光学系についての第一の光学系の光軸方向における規格化された中間像の長さImは、130.8mm/25.09mm=5.21である。実施例8における投射光学系についてのIm×Trの値は、5.21×0.15=0.78である。
図35は、本発明の実施例8における投射光学系及び画像投射装置を説明する図である。
図35は、実施例8における投射光学系についての光路を例示する。図36は、本発明の実施例8における投射光学系についての第一の光学系及び第二の光学系を説明する図である。図36は、第一の光学系及び第二の光学系の拡大図である。
実施例8及び9においては、投射光学系に含まれる第一の光学系は、9枚のレンズ及び絞りによって構成されるが、投射光学系に含まれる第一の光学系におけるレンズ素子数を構成するレンズの枚数は、必ずしも9枚である必要はない。また、投射光学系に含まれる第一の光学系における絞りの位置は、必ずしも図36に示された位置である必要はない。
図37は、本発明の実施例8における投射光学系についての被投射面におけるスポットを説明する図である。図37においては、実施例8における画像投射装置に含まれる画像形成部における格子点f1〜f9に対応するスポットダイアグラムを示す。図37に示されたように、実施例8におけるスクリーン上のスポットは、良好に集束したものである。
図38は、本発明の実施例8における投射光学系についてのTVディストーション特性を説明する図である。実施例8における投射光学系についてのTVディストーションは3%以下である。実施例8における投射光学系についての歪みは、良好に補正されたものである。
実施例9
表33に実施例9における投射光学系のデータを示す。実施例9における投射光学系の投射距離及びスクリーンに投射される画像のサイズは、226.5mm及び60インチであるため、実施例9における投射光学系についてのスローレシオは、0.18である。
表33
表34に実施例9における投射光学系の非球面の係数を示す。
表34
表35に実施例9における投射光学系の多項式自由曲面の係数を示す。
表35
実施例9における投射光学系についてのIm×Trの値を求める。
表36に実施例9における投射光学系についてのxfo及びyfoを示す。
表36
実施例9における投射光学系についての投射距離及びスクリーンに投射される画像のサイズは、それぞれ、226.5mm及び60インチであるため、実施例9における投射光学系についてのスローレシオTrは、0.18である。また、表36より、実施例9における投射光学系についての第一の光学系の光軸方向における中間像の長さは、|f1のxfo−f9のyfo|=113.8mm−(−2.6mm)=116.4mmである。実施例9における投射光学系に含まれる第一の光学系の焦点距離は、25.57mmである。実施例9における投射光学系についての第一の光学系の光軸方向における規格化された中間像の長さImは、116.4mm/25.57mm=4.55である。実施例9における投射光学系についてのIm×Trの値は、4.55×0.18=0.82である。
図39は、本発明の実施例9における投射光学系及び画像投射装置を説明する図である。図39は、実施例9における投射光学系についての光路を例示する。図40は、本発明の実施例9における投射光学系についての第一の光学系及び第二の光学系を説明する図である。図40は、第一の光学系及び第二の光学系の拡大図である。
図41は、本発明の実施例9における投射光学系についての被投射面におけるスポットを説明する図である。図41においては、実施例9における画像投射装置に含まれる画像形成部における格子点f1〜f9に対応するスポットダイアグラムを示す。図41に示されたように、実施例9におけるスクリーン上のスポットは、良好に集束したものである。
図42は、本発明の実施例9における投射光学系についてのTVディストーション特性を説明する図である。実施例9における投射光学系についてのTVディストーションは3%以下である。実施例9における投射光学系についての歪みは、良好に補正されたものである。
実施例10
表37に実施例10における投射光学系のデータを示す。実施例10における投射光学系の投射距離及びスクリーンに投射される画像のサイズは、795mm及び60インチであるため、実施例10における投射光学系についてのスローレシオは、0.62である。
表37
表38に実施例10における投射光学系の非球面の係数を示す。
表38
表39に実施例10における投射光学系の多項式自由曲面の係数を示す。
表39
実施例10における投射光学系についてのIm×Trの値を求める。
表40に実施例10における投射光学系についてのxfo及びyfoを示す。
表40
実施例10における投射光学系についての投射距離及びスクリーンに投射される画像のサイズは、それぞれ、795mm及び60インチであるため、実施例10における投射光学系についてのスローレシオTrは、0.62である。また、表40より、実施例10における投射光学系についての第一の光学系の光軸方向における中間像の長さは、|f1のyfo−f9のyfo|=201.3mm−101.2mm=100.1mmである。実施例10における投射光学系に含まれる第一の光学系の焦点距離は、39.30mmである。実施例10における投射光学系についての第一の光学系の光軸方向における規格化された中間像の長さImは、100.1mm/39.30mm=2.55である。実施例10における投射光学系についてのIm×Trの値は、2.55×0.62=1.58である。
図43は、本発明の実施例10における投射光学系及び画像投射装置を説明する図である。図43は、実施例10における投射光学系についての光路を例示する。図44は、本発明の実施例10における投射光学系についての第一の光学系及び第二の光学系を説明する図である。図44は、第一の光学系及び第二の光学系の拡大図である。
図45は、本発明の実施例10における投射光学系についての被投射面におけるスポットを説明する図である。図45においては、実施例10における画像投射装置に含まれる画像形成部における格子点f1〜f9に対応するスポットダイアグラムを示す。図45に示されたように、実施例10におけるスクリーン上のスポットは、良好に集束したものである。
図46は、本発明の実施例10における投射光学系についてのTVディストーション特性を説明する図である。実施例10における投射光学系についてのTVディストーションは3%以下である。実施例10における投射光学系についての歪みは、良好に補正されたものである。
実施例11
表41に実施例11における投射光学系のデータを示す。実施例11における投射光学系の投射距離及びスクリーンに投射される画像のサイズは、775mm及び60インチであるため、実施例11における投射光学系についてのスローレシオは、0.60である。
表41
表42に実施例11における投射光学系の非球面の係数を示す。
表42
表43に実施例11における投射光学系の多項式自由曲面の係数を示す。
表43
実施例11における投射光学系についてのIm×Trの値を求める。
表44に実施例11における投射光学系についてのxfo及びyfoを示す。
表44
実施例11における投射光学系についての投射距離及びスクリーンに投射される画像のサイズは、それぞれ、775mm及び60インチであるため、実施例11における投射光学系についてのスローレシオTrは、0.60である。また、表44より、実施例11における投射光学系についての第一の光学系の光軸方向における中間像の長さは、|f1のxfo−f9のyfo|=71.2mm−42.3mm=28.9mmである。実施例11における投射光学系に含まれる第一の光学系の焦点距離は、35.59mmである。実施例11における投射光学系についての第一の光学系の光軸方向における規格化された中間像の長さImは、28.9mm/35.59mm=0.81である。実施例11における投射光学系についてのIm×Trの値は、0.81×0.60=0.49である。
図47は、本発明の実施例11における投射光学系及び画像投射装置を説明する図である。図47は、実施例11における投射光学系についての光路を例示する。図48は、本発明の実施例11における投射光学系についての第一の光学系及び第二の光学系を説明する図である。図48は、第一の光学系及び第二の光学系の拡大図である。
図49は、本発明の実施例11における投射光学系についての被投射面におけるスポットを説明する図である。図49においては、実施例11における画像投射装置に含まれる画像形成部における格子点f1〜f9に対応するスポットダイアグラムを示す。図49に示されたように、実施例11におけるスクリーン上のスポットは、概ね良好に集束したものである。WXGAの解像度の周波数についての白色の変調伝達関数(Modulation Transfer Function(MTF))の値は、スクリーンに投射される画像の全域にわたって35%以上である。
なお、実施例1〜10におけるスクリーン上のスポットは、実施例11におけるスクリーン上のスポットと比べてより良好に集束したものである。また、実施例1〜10におけるWXGAの解像度の周波数についての白色のMTFの値は、実施例1〜10におけるWXGAの解像度の周波数についての白色のMTFの値と比べてより高いものである。
図50は、本発明の実施例11における投射光学系についてのTVディストーション特性を説明する図である。実施例11における投射光学系についてのTVディストーションは約5%以下である。実施例11における投射光学系についての歪みは、概ね良好に補正されたものである。
なお、実施例1〜10における投射光学系についての歪みは、実施例11における投射光学系についての歪みと比べてより小さいものである。
(比較例1)
比較例1としての特開2007−079524に記載された実施例1における投射光学系についてのIm×Trの値を求める。
表45に比較例1における投射光学系についてのxfo及びyfoを示す。
表45
比較例1における投射光学系についての投射距離及びスクリーンに投射される画像のサイズは、それぞれ、416mm及び52.7インチであるため、比較例1における投射光学系についてのスローレシオTrは、0.36である。また、表45より、比較例1における投射光学系についての第一の光学系の光軸方向における中間像の長さは、|f1のxfo−f9のyfo|=230.6mm−18.4mm=212.2mmである。比較例1における投射光学系に含まれる第一の光学系の焦点距離は、35.87mmである。比較例1における投射光学系についての第一の光学系の光軸方向における規格化された中間像の長さImは、212.2mm/35.87mm=5.92である。比較例1における投射光学系についてのIm×Trの値は、5.92×0.36=2.13である。
(比較例2)
比較例2としての特開2008−116688に記載された実施例1における投射光学系についてのIm×Trの値を求める。
表46に比較例2における投射光学系についてのxfo及びyfoを示す。
表46
比較例2における投射光学系についての投射距離及びスクリーンに投射される画像のサイズは、それぞれ、501mm及び63.4インチであるため、比較例2における投射光学系についてのスローレシオTrは、0.36である。また、表46より、比較例2における投射光学系についての第一の光学系の光軸方向における中間像の長さは、|f1のxfo−f9のyfo|=227.9mm−16.2mm=211.7mmである。比較例2における投射光学系に含まれる第一の光学系の焦点距離は、32.91mmである。比較例2における投射光学系についての第一の光学系の光軸方向における規格化された中間像の長さImは、211.7mm/32.91mm=6.43である。比較例2における投射光学系についてのIm×Trの値は、6.43×0.36=2.32である。
(比較例3)
比較例3としての特開2008−165187に記載された実施例1における投射光学系についてのIm×Trの値を求める。
表47に比較例3における投射光学系についてのxfo及びyfoを示す。
表47
比較例3における投射光学系についての投射距離及びスクリーンに投射される画像のサイズは、それぞれ、440mm及び60インチであるため、比較例3における投射光学系についてのスローレシオTrは、0.36である。また、表47より、比較例3における投射光学系についての第一の光学系の光軸方向における中間像の長さは、|f1のxfo−f9のyfo|=108.3mm−(−17.9mm)=126.2mmである。比較例3における投射光学系に含まれる第一の光学系の焦点距離は、26.4mmである。比較例3における投射光学系についての第一の光学系の光軸方向における規格化された中間像の長さImは、126.2mm/26.4mm=4.78である。比較例3における投射光学系についてのIm×Trの値は、4.78×0.36=1.72である。
(結果)
表48に、実施例1〜11における投射光学系及び比較例1〜3における投射光学系についてのスローレシオTr、全長、及びIm×Trの値を示す。
表48
表48に示すように、実施例1〜11における投射光学系及び比較例1〜3における投射光学系のいずれもスローレシオTr≦0.7を満たす。このため、実施例1〜11における投射光学系及び比較例1〜3における投射光学系のいずれも、より短い距離における被投射面に像を投射することが可能なより小型の投射光学系を提供すると考えられる。
しかしながら、表48に示すように、実施例1〜11における投射光学系についてのIm×Trの値は、比較例1〜3における投射光学系についてのIm×Trの値と比べてより小さいものである。ただし、Imは、第一の光学系の光軸方向における規格化された中間像の長さを意味する。
例えば、比較例1〜3における投射光学系についてのTrの値とおおむね同等のTrの値を有する実施例4における投射光学系を対比すると、実施例4における投射光学系についてのIm×Trの値(0.77)は、比較例1〜3における投射光学系についてのIm×Trの値(2.13、2.32、及び1.72)と比べてより小さいものである。実施例4における投射光学系についてのTrの値は、比較例1〜3における投射光学系についてのTrの値とおおむね同等であるため、実施例4における投射光学系についてのImの値は、おおむね比較例1〜3における投射光学系についてのImの値と比べてより小さいものであると考えられる。また、実施例4における投射光学系についての全長の値(207)は、比較例1〜3における投射光学系についての全長の値(575、525、及び385)と比べてより小さいものである。実施例4における投射光学系についてのImの値は、おおむね比較例1〜3における投射光学系についてのImの値よりも小さいものであるため、実施例4における投射光学系に含まれる第一の光学系の最終端から第二の光学系の最先端までの距離を、比較例1〜3における投射光学系に含まれる第一の光学系の最終端から第二の光学系の最先端までの距離と比べて、低減することが可能になると考えられる。その結果、実施例4における投射光学系についての全長の値は、比較例1〜3における投射光学系についての全長の値と比べてより小さいものであると考えられる。
また、表48に示されるように、投射光学系についてのスローレシオTrの値を低減する、例えば、投射光学系の投射距離を低減すると、投射光学系に含まれる第一の光学系の光軸方向における規格化された中間像の長さImは、増加する傾向がある。例えば、比較例1〜3における投射光学系の投射距離を低減すると、投射光学系に含まれる第一の光学系の光軸方向における規格化された中間像の長さImが増加すると共に投射光学系の全長が増加すると考えられる。結果として、比較例1〜3における投射光学系を含む画像投射装置のサイズ及び重量は、増加することになるため、ユーザーにとって、比較例1〜3における投射光学系を含む画像投射装置は、より多いスペースを占有する、及び、比較例1〜3における投射光学系を含む画像投射装置を持ち運びが容易なものではない、などの相対的に低い使用性を備えた画像投射装置を提供することになる。
図51は、本発明の実施形態に係る投射光学系の例及び従来の技術における投射光学系の例についてスローレシオ及び中間像の規格化された長さの関係を説明する図である。
図51において、菱形の記号、正方形の記号、丸形の記号、及び三角形の記号は、それぞれ、実施例1〜11における投射光学系、比較例1における投射光学系、比較例2における投射光学系、及び比較例3における投射光学系を示す。図51に示されるように、実施例1〜11における投射光学系についてのスローレシオTrを低減すると、実施例1〜11における投射光学系に含まれる第一の光学系の光軸方向における規格化された中間像の長さImは、増加する傾向がある。
図52は、本発明の実施形態に係る投射光学系の例及び従来の技術における投射光学系の例について光学系の全長及びスローレシオの関係を説明する図である。
図52において、菱形の記号、正方形の記号、丸形の記号、及び三角形の記号は、それぞれ、実施例1〜11における投射光学系、比較例1における投射光学系、比較例2における投射光学系、及び比較例3における投射光学系を示す。図4に示されるように、投射光学系の全長は、投射光学系に含まれる第一の光学系2の光軸に最も近い光束の主光線についての、第一の光学系2の光軸の方向における物体における物点から第二の光学系3の最終端までの距離である。図51及び図52に示されるように、実施例1〜11における投射光学系及び比較例1〜3における投射光学系もいずれも0.7以下のスローレシオを満たすものであるが、実施例1〜11における投射光学系に含まれる第一の光学系の光軸方向における規格化された中間像の長さは、比較例1〜11における投射光学系に含まれる第一の光学系の光軸方向における規格化された中間像の長さと比べてより小さいものであるため、実施例1〜11における投射光学系の全長(〜200mm程度)は、比較例1〜3における投射光学系の全長と比べてより小さいものである。
図53は、本発明の実施形態に係る投射光学系の例及び従来の技術における投射光学系の例についての光学系の全長及びIm×Trの値の関係を説明する図である。
図である。
図53において、菱形の記号、正方形の記号、丸形の記号、及び三角形の記号は、それぞれ、実施例1〜11における投射光学系、比較例1における投射光学系、比較例2における投射光学系、及び比較例3における投射光学系を示す。
図51及び図52に示されるように、実施例1〜11における投射光学系及び比較例1〜3における投射光学系もいずれも0.7以下のスローレシオを満たすものである一方で、図53に示されるように、実施例1〜11における投射光学系の全長は、比較例1〜3における投射光学系の全長と比べてより小さいものである。すなわち、実施例1〜11における投射光学系は、比較例1〜3における投射光学系と比べて、より短い距離における被投射面に像を投射することが可能なより小型の投射光学系であると考えられる。
図53に示されるように、実施例1〜11における投射光学系についてのIm×Trの値は、比較例1〜3における投射光学系についてのIm×Trの値と比べてより小さいものである。より具体的には、実施例1〜11における投射光学系についてのIm×Trの値は、1.70以下であると共に、比較例1〜3における投射光学系についてのIm×Trの値は、1.70を超えるものである。
このため、実施例1〜11における投射光学系のように、投射光学系についてのIm×Trの値が1.70以下であるという条件を満たすことによって、より短い距離における被投射面に像を投射することが可能なより小型の投射光学系を提供することが可能になると考えられる。
一方、実施例1〜3における投射光学系のように、投射光学系についてのIm×Trの値が1.70を超える場合には、投射光学系についてのスローレシオTr又は投射光学系に含まれる第一の光学系の光軸方向における規格化された中間像の長さImが増加するため、より短い距離における被投射面に像を投射することが可能なより小型の投射光学系を提供することが困難になる。
また、より短い距離における被投射面に像を投射することが可能なより小型の投射光学系を提供するためには、投射光学系についてのIm×Trの値は、好ましくは、1.50以下である。投射光学系についてのIm×Trの値が、1.50以下である場合には、例えば、投射光学系に含まれる第一の光学系の光軸方向における規格化された中間像の長さImをさらに低減することが可能になると共に、投射光学系の全長を低減することが可能になると考えられる。その結果、より小型の投射光学系を提供することが可能になると考えられる。
例えば、表48に示されるように、実施例7における投射光学系のスローレシオTrの値は、実施例10における投射光学系のスローレシオTrの値と概ね同等のものである。しかしながら、実施例7における投射光学系についてのIm×Trの値は、1.50以下である一方で、実施例10における投射光学系についてのIm×Trの値は、1.50を超えるものである。このため、実施例7における投射光学系についてのImの値は、実施例10における投射光学系についてのImの値と比べてより小さいものである。結果として、実施例7における投射光学系の全長は、実施例10における投射光学系の全長と比べてより小さいものである。
さらに、投射光学系についてのIm×Trの値は、好ましくは、0.50以上である。投射光学系についてのIm×Trの値が、0.50以上である場合には、投射光学系についてのスローレシオTrを増加させる、又は、投射光学系に含まれる第一の光学系の光軸方向における規格化された中間像の長さImを増加させることが可能になると考えられる。投射光学系についてのスローレシオTrを増加させることが可能であると、スクリーンに入射する光線の角度を低減することが可能になると考えられる。その結果、スクリーンに入射する光束の収差を低減することが可能になると共に、スクリーンにより良好な像を投射することが可能になると考えられる。また、投射光学系に含まれる第一の光学系の光軸方向における規格化された中間像の長さImを増加させることが可能であると、投射光学系に含まれる第二の光学系における中間像からの光束の断面を増加させることが可能になると考えられる。その結果、中間像からの光束の収差を第二の光学系によってより容易に補正することが可能になると共に、スクリーンにより良好な像を投射することが可能になると考えられる。
例えば、表48に示されるように、実施例1〜10における投射光学系についてのIm×Trの値は、0.50以上である一方で、実施例11における投射光学系についてのIm×Trの値は、0.50未満である。また、実施例1〜10における投射光学系によってスクリーンに投射される画像の品質は、実施例11における投射光学系によってスクリーンに投射される画像の品質と比べてより高いものである。実施例1〜10における投射光学系は、投射光学系についてのIm×Trの値が0.50以上であることを満たすことによって、実施例11における投射光学系と比べて、投射光学系によって投射される光束についての収差(例えば、非点収差、歪曲収差など)を低減することが可能になると考えられる。
表49に実施例1〜11及び比較例1〜3における投射光学系に含まれる第一の光学系についてのペッツバール和を示す。
表49
投射光学系に含まれる第一の光学系についてのペッツバール和PTZは、第一の光学系が、第1面から第k面までの屈折面で構成されているとき、
の式で表される。ここで、sは、屈折面の番号を表す。nsは、第s面における屈折率を表すと共に、ns−1は、第s−1面における屈折率を表す。rsは、第s面の曲率半径を表す。
本発明の実施形態に係る投射光学系においては、投射光学系の投射距離が小さいものであると共に被投射面に投射される光線の入射角が大きい場合には、被投射面に投射される光束についての非点収差及び像面湾曲などの収差は、好ましくは、第二の光学系によって補正される。この場合には、第二の光学系における被投射面に投射される光束の断面を増加させることが好ましい。そのためには、第一の光学系によって結像される中間像を第一の光学系に向かって湾曲させると共に第一の光学系によって結像される中間像の像面湾曲を増加させることが好ましい。すなわち、本発明の実施形態に係る投射光学系に含まれる第一の光学系のペッツバール和の符号は、負であると共に、本発明の実施形態に係る投射光学系に含まれる第一の光学系のペッツバール和の絶対値は、大きいものであることが好ましい。
表49より、実施例1〜11における投射光学系に含まれる第一の光学系のペッツバール和PTZは、−0.01135以下である。投射光学系に含まれる第一の光学系のペッツバール和PTZが、−0.01135以下である場合には、実施例1〜11における投射光学系のような、スクリーンにより良好な像を投射することが可能な投射光学系を提供することが可能になる。
なお、実施例1〜11においては、固定焦点距離の投射光学系を例示してきたが、投射光学系に含まれる第一の光学系又は第二の光学系の移動によって、投射光学系の焦点距離を調節する(投射光学系についてのフォーカシングの調整を行う)ことが可能である。
本発明の例示的な実施形態を、添付する図面を参照して説明してきたとはいえ、本発明は、本発明の例示的な実施形態のいずれにも限定されるものではないものであると共に、本発明の例示的な実施形態は、本発明の範囲から逸脱することなく変形される、変更される、又は組み合わせられることがある。