JP4419243B2 - 斜め投影光学系 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は斜め投影光学系に関するものであり、例えば1次像面から2次像面への斜め方向の拡大投影を行う、画像投影装置に好適な斜め投影光学系に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
液晶ディスプレイ(LCD:liquid crystal display)等に表示された画像をスクリーンに拡大投影する画像投影装置において、スクリーンの大型化を達成しつつも投影装置全体をコンパクトにする目的で、画像を斜め方向からスクリーンに拡大投影する装置が種々提案されている。その具体的な例としては、投影光学系のすべての光学要素を反射ミラーで構成した装置(特開平10−111474号公報)、投影光学系のすべての光学要素を屈折レンズで構成した装置(特開平10−282451号公報)、反射ミラーと屈折レンズとが組み合わされた投影光学系を有する装置(特開平9−179064号公報)が挙げられる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
特開平10−111474号公報で提案されているように、すべての光学要素を反射ミラーで構成すると、構成要素を少なくすることができる。しかし、反射ミラーには色収差補正の自由度がないため、多板式によるカラー化の構成では色合成用光学素子の配置に制約が生じてしまう。また、大径の曲面ミラーを低コストで得るためにはミラーをプラスチックで成型する必要があるが、プラスチック面上に高効率な反射コートを形成することは困難である。このため、プラスチック製のミラーを高輝度のプロジェクターに使用すると、ミラーの温度が上昇して反射面形状が変形し、収差の悪化や耐久性の低下を招くことになる。
【0004】
特開平10−282451号公報で提案されているように、すべての光学要素を屈折レンズで構成すると、比較的小さい面積の光学要素で斜め投影を達成することができる。しかし、偏心したレンズ群が多数必要であり、そのうちのいくつかは大きく偏心させる必要があるため、光学要素の保持が困難である。特開平9−179064号公報で提案されているように、反射ミラーと屈折レンズとを組み合わせれば、偏心したレンズ群は少なくて済み、投影光学系の構成も簡単になる。しかし、パワーを有するとともに面積の非常に大きい製造困難なミラーが必要になる。
【0005】
本発明はこのような状況に鑑みてなされたものであって、斜め投影角度を十分にとりながらコンパクト化を達成した、製造容易で高性能な斜め投影光学系を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、第1の発明の斜め投影光学系は、縮小側の1次像面から拡大側の2次像面への斜め方向の拡大投影を行う斜め投影光学系であって、縮小側から順に、互いに偏心した2つ以上の屈折レンズ群と、正パワーを有する反射面と、負パワーを有する反射面と、を備え、前記正パワーを有する反射面と負パワーを有する反射面が、絞りよりも2次像面側に配置されており、前記1次像面から前記2次像面までに中間実像を結像することなく、前記1次像面の画面中心から絞りの中心を通り前記2次像面の画面中心に到達する光線を画面中心光線とするとき、画面中心光線は前記2次像面に斜めに入射し、以下の条件式を満たすことを特徴とする。
0.40<S1/S<0.9
ただし、
S :1次像面から2次像面までの画面中心光線の光路長、
S1:2次像面から最初のパワーを有する光学面までの画面中心光線の光路長、
である。
【0007】
第2の発明の斜め投影光学系は、上記第1の発明の構成において、前記1次像面と前記絞りとの間に屈折面のみが配置されていることを特徴とする。
【0008】
第3の発明の斜め投影光学系は、上記第1の発明の構成において、前記反射面の1面以上が自由曲面形状を有することを特徴とする。
【0010】
の発明の斜め投影光学系は、上記第1の発明の構成において、前記屈折レンズ群を構成している屈折レンズのうち最も1次像面側に配置されている屈折レンズが正のパワーを有し、以下の条件式を満たすことを特徴とする。
-1.7<fs×βy/S<-0.8
ただし、
fs :最も1次像面側の正の屈折レンズの焦点距離、
βy:斜め投影方向の拡大倍率、
である。
【0011】
の発明の斜め投影光学系は、上記第1の発明の構成において、一部の光学要素を動かすことでフォーカスを行うことを特徴とする。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を実施した斜め投影光学系を、図面を参照しつつ説明する。図1に第1の実施の形態の1次像面(I1)から2次像面(I2)までの投影光路全体を示し、図2に第1の実施の形態の光学構成及び投影光路要部を示す。図5に第2の実施の形態の1次像面(I1)から2次像面(I2)までの投影光路全体を示し、図6に第2の実施の形態の光学構成及び投影光路要部を示す。また、図9及び図10に第3の実施の形態の1次像面(I1)から2次像面(I2)までの投影光路全体を各フォーカスポジション(i),(ii)について示し、図11及び図12に第3の実施の形態の光学構成及び投影光路要部を各フォーカスポジション(i),(ii)について示す。なお、これらの光路図は後述の直交座標系(X,Y,Z)におけるY-Z断面構成を示しており、図2,図6,図11及び図12中、*印が付された面は非球面、$印が付された面は自由曲面であることを示している。
【0013】
各実施の形態は、縮小側の1次像面(I1)から拡大側の2次像面(I2)への斜め方向の拡大投影を行う、画像投影装置用の斜め投影光学系である。したがって、1次像面(I1)は2次元画像を表示する表示素子(例えばLCD)の表示面に相当し、2次像面(I2)は投影像面(つまりスクリーン面)に相当する。なお、2次像面(I2)から1次像面(I1)への斜め方向の縮小投影を行う斜め投影光学系として、各実施の形態を画像読み取り装置に用いることも可能である。その場合、1次像面(I1)は画像読み取りを行う受光素子[例えばCCD(Charge Coupled Device)]の受光面に相当し、2次像面(I2)は読み取り画像面(つまりフィルム等の原稿面)に相当する。
【0014】
第1の実施の形態(図1,図2)は、1次像面(I1)側(縮小側)から順に、プリズムブロック(Pr)と、偏心した1枚の屈折レンズから成る第1屈折レンズ群(G1)と、共軸系を成す4枚の屈折レンズから成る第2屈折レンズ群(G2)と、絞り(ST)と、正パワーを有する第1反射ミラー(M1)と、負パワーを有する第2反射ミラー(M2)と、で構成されている。第1屈折レンズ群(G1)を構成している屈折レンズの縮小側面は非球面から成っており、第1,第2反射ミラー(M1,M2)の反射面は自由曲面から成っている。
【0015】
第2の実施の形態(図5,図6)は、1次像面(I1)側(縮小側)から順に、プリズムブロック(Pr)と、偏心した1枚の屈折レンズから成る第1屈折レンズ群(G1)と、共軸系を成す4枚の屈折レンズから成る第2屈折レンズ群(G2)と、絞り(ST)と、偏心した1枚の屈折レンズから成る第3屈折レンズ群(G3)と、偏心した1枚の屈折レンズから成る第4屈折レンズ群(G4)と、負パワーを有する第1反射ミラー(M1)と、で構成されている。第1屈折レンズ群(G1)を構成している屈折レンズの縮小側面は非球面から成っており、第4屈折レンズ群(G4)を構成している屈折レンズの拡大側面は自由曲面から成っており、第1反射ミラー(M1)の反射面は自由曲面から成っている。なお、第2の実施の形態には正パワーを有する反射面が無いため、この点で第2の実施の形態は本発明の参考のための一形態にすぎず、本発明には属さないものである。
【0016】
第3の実施の形態(図9〜図12)は、1次像面(I1)側(縮小側)から順に、プリズムブロック(Pr)と、偏心した1枚の屈折レンズから成る第1屈折レンズ群(G1)と、共軸系を成す4枚の屈折レンズから成る第2屈折レンズ群(G2)と、絞り(ST)と、正パワーを有する第1反射ミラー(M1)と、負パワーを有する第2反射ミラー(M2)と、で構成されている。第1屈折レンズ群(G1)を構成している屈折レンズの縮小側面は非球面、拡大側面は自由曲面から成っており、第1,第2反射ミラー(M1,M2)の反射面は自由曲面から成っている。第3の実施の形態のフォーカスは、第2屈折レンズ群(G2)が平行移動することにより行われる。例えば、図9,図11に示すフォーカスポジション(i)において、第2屈折レンズ群(G2)を矢印mF方向(図11)に移動させると、図10,図12に示すフォーカスポジション(ii)となる。なお、フォーカス時には絞り(ST)が第2屈折レンズ群(G2)と共に移動する。
【0017】
各実施の形態のように、互いに偏心した2つ以上の屈折レンズ群(G1,G2,…)を備えるとともに、パワーを有する反射面(M1,…)を1面以上備え、また1次像面(I1)から2次像面(I2)までに中間実像を結像することのない構成とするのが望ましい。これにより、高い光学性能を保持しながら、斜め投影光学系を薄型のコンパクトにすることが可能となる。プロジェクターに用いられるカラー化のための多板構成では、クロスダイクロイックプリズム等のガラスブロックが一般に必要とされるが、ガラスブロックの入射面や射出面に対して斜めに投影光が通過すると色収差が発生してしまう。上記のように屈折レンズ群(G1,G2,…)を備えていれば、色収差の補正が可能である。また、反射型表示素子(例えば反射型LCD)を斜め方向から照明することが可能になるため、偏光ビームスプリッター(PBS)等を用いる必要がなくなり低コスト化を達成することができる。
【0018】
1次像面(I1)の画面中心から絞り(ST)の中心を通り2次像面(I2)の画面中心に到達する光線を「画面中心光線」とするとき、1次像面(I1)と2次像面(I2)との間での中間実像の結像なしに、以下の条件式(1)及び(2)を満たすことが望ましい。
10°<θo<70° …(1)
0.40<S1/S<0.9 …(2)
ただし、
θo:画面中心光線が2次像面(I2)の法線となす角度、
S :1次像面(I1)から2次像面(I2)までの画面中心光線の光路長、
S1:2次像面(I2)から最初のパワーを有する光学面までの画面中心光線の光路長、
である。
【0019】
条件式(1)の上限を超えると、斜め投影による台形歪みを補正することが困難になる。条件式(1)の下限を超えると、斜め投影による薄型化の効果が小さくなってしまう。条件式(2)の上限を超えると、投影距離が長くなりすぎて薄型化の効果が小さくなる。条件式(2)の下限を超えると、拡大側の2次像面(I2)に近い光学素子の径が過大となり、コストアップとともにその製造が困難になる。
【0020】
さらに以下の条件式(3)を満たすことが望ましい。
40°<θo<60° …(3)
【0021】
条件式(3)は、角度θoの更に好ましい条件範囲を規定している。条件式(3)の上限を超えると、台形歪み及び像面湾曲を補正するために自由曲面が多く必要になり、その分コストが高くなる。さらに、投影スクリーンに対する入射角度が大きくなるため、スクリーンにおいて観察者の方向に大きく光を曲げる必要が生じる。したがって、スクリーンの構造が複雑になりコストが高くなる。条件式(3)の下限を超えると、斜め投影による効果的な薄型化が難しくなる。
【0022】
各実施の形態のように、反射面の1面以上が自由曲面形状を有することが望ましい。自由曲面形状とは、大きく偏心した非球面を含むとともに回転対称軸を有効領域内に持たないような回転非対称な面形状である(各実施の形態に用いられている反射面は、Y-Z平面に対して対称な自由曲面形状を有する。)。斜め投影では非軸対称な収差補正が必要となるが、自由曲面形状を有する反射面を1面以上用いることにより、少ない光学要素で斜め投影による非軸対称な収差補正が可能となる。また、2面以上の自由曲面を用いることが更に望ましい。自由曲面形状を有する反射面を2面以上用いることにより、斜め投影の台形歪みを主に補正する自由曲面[2次像面(I2)に近接した自由曲面]と、斜め投影による非対称な像面湾曲及び非点隔差を補正する自由曲面[絞り(ST)に近接した自由曲面]と、に収差補正が分担可能になるため、より高性能な投影光学系を達成することができる。
【0023】
ところで、投影光学系を反射ミラーのみで構成する場合には、できるだけ多くのミラー面を自由曲面形状にする必要がある。自由曲面や非球面は、一般にプラスチックで形成することがコスト的に有利であるが、プラスチック面上に多層の誘電体多層膜を形成することは困難である。このため、プラスチックで構成された自由曲面ミラーでは、その反射率が可視域での平均で95%以下となる。残りの数%の光はプラスチック面に吸収されて熱になるため、反射ミラーの温度は上昇してしまう。プラスチック製の反射ミラーは耐熱性が低いため、温度上昇によって反射面形状が変形し、それが収差の悪化や耐久性の低下を招くことになる。
【0024】
特に1次像面(I1)近傍から絞り(ST)近傍にかけての領域では、光が集中することになるため、上記熱の問題は重大であり、その領域にプラスチック製の自由曲面ミラーを配置することは不可能である。この問題を解決するには、1次像面(I1)近傍から絞り(ST)近傍にかけての領域に、非球面又は自由曲面を有するプラスチックレンズ,ガラスレンズ等の屈折系の光学素子を配置することが望ましい。屈折系の光学素子であれば、その透過率が1面で99%程度に抑えられるため、自由曲面をプラスチックで構成しても上記熱の問題を回避することができる。また1次像面(I1)近傍から絞り(ST)近傍にかけての領域に、ガラス成型により得られる自由曲面ミラーを配置してもよい。ガラスはプラスチックよりも耐熱性が高いため、上記熱の問題を回避することが可能である。
【0025】
各実施の形態のように、1次像面(I1)と絞り(ST)との間に屈折面のみが配置された構成では、上述した観点から上記熱の問題を回避することができる。屈折面は反射面よりも耐熱性に優れるため、1次像面(I1)と絞り(ST)との間に屈折面を構成する屈折系の光学素子(非球面又は自由曲面を有するプラスチックレンズやガラスレンズ)を用いれば、上記熱の問題を回避しつつより明るい照明を行うことが可能となる。また、1次像面(I1)と絞り(ST)との間は空間的に余裕のない領域であるが、この領域で反射ミラーによる光線の折り返しをしないことにより、1次像面(I1)を照明する照明光学系の配置が容易になるという効果もある。
【0026】
第1,第3の実施の形態のように、絞り(ST)より2次像面(I2)側に反射ミラー(M1,M2)が2面配置された構成において、絞り(ST)側の第1反射ミラー(M1)が正パワーを有し、2次像面(I2)側の第2反射ミラー(M2)が負パワーを有することが望ましい。絞り(ST)に近い第1反射ミラー(M1)のパワーを正にすることで、第1反射ミラー(M1)から第2反射ミラー(M2)への光束を収束ぎみにすることができる。したがって、第2反射ミラー(M2)を小さくすることができるため、コスト面や製造しやすさの面で有利になる。さらに、第2反射ミラー(M2)のパワーを負にすることで、短い投影距離でも大きな画面の投影が可能になるため、投影光学系全体をコンパクトにすることができる。
【0027】
各実施の形態のように、屈折レンズ群(G1,…)を構成している屈折レンズのうち最も1次像面(I1)側に配置されている屈折レンズ(G1)が正のパワーを有し、以下の条件式(4)を満たすことが望ましい。
-1.7<fs×βy/S<-0.8 …(4)
ただし、
fs:最も1次像面(I1)側の正の屈折レンズ(G1)の焦点距離、
βy:斜め投影方向の拡大倍率、
である。
【0028】
条件式(4)の下限を超えると、表示素子からの光がテレセントリックから大きく外れるため、色合成プリズムで発生する色ムラが許容できなくなるとともに、投影光学系の全長が大きくなりすぎてしまう。条件式(4)の上限を超えると、このレンズのパワーが強くなりすぎるために発生する像面湾曲と歪曲が過大となり、補正が困難になる。
【0029】
フォーカスに関しては、第3の実施の形態のように一部の光学要素を動かすことで行うのが望ましい。表示素子移動によるフォーカスは、多板方式においてフォーカスに伴う画素ズレを生じさせやすい。したがって、フォーカスと画素ズレ調整を同時に行う必要が生じるため、作業時間が長くなるという問題がある。また、光学系全体を動かすフォーカスは、移動部材が大きいためフォーカス機構自体も大きくなり、コストが高くなる。したがって、一部の光学要素(屈折系の光学素子,反射系の光学素子)を動かすことでフォーカスを行う構成が望ましい。この構成によると、多板構成における画素ズレ調整のための表示素子移動とフォーカスとが独立するため、フォーカス及び画素ズレ調整作業が簡単になり、フォーカス機構自体もコンパクト化が達成される。第3の実施の形態のように一部の光学要素を平行に動かすこと(すなわち平行移動)でフォーカスを行うことが更に望ましい。これにより、フォーカスの移動機構がより簡単になり、コストを安くすることができる。
【0030】
【実施例】
以下、本発明を実施した斜め投影光学系の構成を、コンストラクションデータ,スポットダイアグラム等を挙げて、更に具体的に説明する。ここで例として挙げる実施例1〜3は、前述した第1〜第3の実施の形態にそれぞれ対応しており、各実施の形態を表す図(図1,図2;図5,図6;図9〜図12)は、対応する各実施例の光路等をそれぞれ示している。したがって、第2の実施の形態に対応する実施例2は本発明の単なる参考例であり、本発明に属さないものである。
【0031】
各実施例のコンストラクションデータにおいて、si(i=1,2,3,...)は、縮小側の1次像面(I1;拡大投影における物面に相当する。)及び拡大側の2次像面(I2;拡大投影における像面に相当する。)を含めた系において、縮小側から数えてi番目の面であり、ri(i=1,2,3,...)は面siの曲率半径(mm)である。また、di(i=1,2,3,...)は、縮小側から数えてi番目の軸上面間隔(mm,偏心面間隔は偏心データとして記載。)を示しており、Ni(i=1,2,3,...),νi(i=1,2,3,...)は縮小側から数えてi番目の光学素子のd線に対する屈折率(Nd),アッベ数(νd)をそれぞれ示している。なお、各フィールドポジションに対応する1次像面(I1)側の物高(mm)を併せて示し、また、表1に各実施例の条件式対応値及び関連データを示す。
【0032】
*印が付された面siは軸対称な非球面であり、その面形状は面頂点を原点とする直交座標系(x,y,z)を用いた以下の式(AS1)で定義される。また、$印が付された面siは自由曲面であり、その面形状は面頂点を原点とする直交座標系(x,y,z)を用いた以下の式(AS2)で定義される。非球面データ及び自由曲面データを他のデータと併せて示す。
【0033】
z=(c・h2)/[1+√[1-c2・h2]]+(A・h4+B・h6+C・h8+D・h10) …(AS1)
【数1】
Figure 0004419243
【0034】
ただし、
z:高さhの位置での光軸方向の基準面からの変位量、
h:光軸に対して垂直な方向の高さ(h2=x2+y2)、
c:近軸曲率(=1/曲率半径)、
A,B,C,D:非球面係数、
K:コーニック定数、
C(m,n):自由曲面係数、
である。
【0035】
縮小側直前に位置する面に対して偏心した面については、偏心データを直交座標系(X,Y,Z)に基づいて示す。直交座標系(X,Y,Z)においては、1次像面(s1)の中心位置を原点(0,0,0)とする面頂点座標(XDE,YDE,ZDE)=[X軸方向の平行偏心位置(mm),Y軸方向の平行偏心位置(mm),Z軸方向の平行偏心位置(mm)]で、平行偏心した面の位置を表すとともに、その面の面頂点を中心とするX軸回りの回転角ADE(°)で、回転偏心位置(光路図中、紙面に向かって反時計回りを正とする。)を表す。光路図中、X軸方向は紙面に対して垂直方向であり(紙面の裏面方向を正とする。)、Y軸方向は1次像面(s1)と紙面とが交わる直線方向であり(光路図の上方向を正とする。)、Z軸方向は1次像面(s1)の法線方向である[2次像面(I2)側を正とする。]。なお、実施例3についてはフォーカスにより変化する面頂点座標(YDE,ZDE)を併せて示す。
【0036】
各実施例の光学性能をスポットダイアグラム(図3;図7;図13,図14)と歪曲図(図4;図8;図15,図16)でそれぞれ示す。スポットダイアグラムは2次像面(I2)での結像特性(mm)をd線,g線及びc線の3波長について示しており、歪曲図は1次像面(I1)での長方形状網目に対応する2次像面(I2)での光線位置(mm)を示している。歪曲図中、D1(実線)が実施例の歪曲格子であり、D0(点線)がアナモ比を考慮した理想像点の格子(歪曲無し)である。なお、X軸と同方向にx軸をとり、x軸に対して垂直で、かつ、1次像面(I1)に対して平行な方向にy軸をとった場合、物高は1次像面(I1)の画面中心を原点とする座標(x,y)で表される。また、X軸と同方向にx'軸をとり、x'軸に対して垂直で、かつ、2次像面(I2)に対して平行な方向にy'軸をとった場合、像高は2次像面(I2)の画面中心を原点とする座標(x',y')で表される。したがって、各歪曲図はx'-y'平面に対して垂直方向から見た2次像面(I2)上での実際の像の歪曲状態(ただしx'の負側のみ)を示していることになる。
【0037】
《実施例1》
Figure 0004419243
Figure 0004419243
Figure 0004419243
【0038】
Figure 0004419243
【0039】
《実施例2》
Figure 0004419243
Figure 0004419243
Figure 0004419243
【0040】
Figure 0004419243
【0041】
《実施例3》
Figure 0004419243
Figure 0004419243
Figure 0004419243
【0042】
Figure 0004419243
【0043】
Figure 0004419243
【0044】
【表1】
Figure 0004419243
【0045】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、斜め投影角度を十分にとりながらコンパクト化を達成した、製造容易で高性能な斜め投影光学系を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施の形態(実施例1)の光路図。
【図2】第1の実施の形態(実施例1)の光学構成及び投影光路要部を示す図。
【図3】実施例1のスポットダイアグラム。
【図4】実施例1の歪曲図。
【図5】第2の実施の形態(実施例2)の光路図。
【図6】第2の実施の形態(実施例2)の光学構成及び投影光路要部を示す図。
【図7】実施例2のスポットダイアグラム。
【図8】実施例2の歪曲図。
【図9】第3の実施の形態(実施例3)のフォーカスポジション(i)での光路図。
【図10】第3の実施の形態(実施例3)のフォーカスポジション(ii)での光路図。
【図11】第3の実施の形態(実施例3)のフォーカスポジション(i)での光学構成及び投影光路要部を示す図。
【図12】第3の実施の形態(実施例3)のフォーカスポジション(ii)での光学構成及び投影光路要部を示す図。
【図13】実施例3のフォーカスポジション(i)でのスポットダイアグラム。
【図14】実施例3のフォーカスポジション(ii)でのスポットダイアグラム。
【図15】実施例3のフォーカスポジション(i)での歪曲図。
【図16】実施例3のフォーカスポジション(ii)での歪曲図。
【符号の説明】
I1 …1次像面
I2 …2次像面
Pr …プリズムブロック
G1 …第1屈折レンズ群
G2 …第2屈折レンズ群
G3 …第3屈折レンズ群
G4 …第4屈折レンズ群
ST …絞り
M1 …第1反射ミラー
M2 …第2反射ミラー

Claims (5)

  1. 縮小側の1次像面から拡大側の2次像面への斜め方向の拡大投影を行う斜め投影光学系であって、
    縮小側から順に、互いに偏心した2つ以上の屈折レンズ群と、正パワーを有する反射面と、負パワーを有する反射面と、を備え
    前記正パワーを有する反射面と負パワーを有する反射面が、絞りよりも2次像面側に配置されており、
    前記1次像面から前記2次像面までに中間実像を結像することなく、前記1次像面の画面中心から絞りの中心を通り前記2次像面の画面中心に到達する光線を画面中心光線とするとき、画面中心光線は前記2次像面に斜めに入射し、以下の条件式を満たすことを特徴とする斜め投影光学系;
    0.40<S1/S<0.9
    ただし、
    S :1次像面から2次像面までの画面中心光線の光路長、
    S1:2次像面から最初のパワーを有する光学面までの画面中心光線の光路長、
    である。
  2. 前記1次像面と前記絞りとの間に屈折面のみが配置されていることを特徴とする請求項1記載の斜め投影光学系。
  3. 前記反射面の1面以上が自由曲面形状を有することを特徴とする請求項1記載の斜め投影光学系。
  4. 前記屈折レンズ群を構成している屈折レンズのうち最も1次像面側に配置されている屈折レンズが正のパワーを有し、以下の条件式を満たすことを特徴とする請求項1記載の斜め投影光学系;
    -1.7<fs×βy/S<-0.8
    ただし、
    fs :最も1次像面側の正の屈折レンズの焦点距離、
    βy:斜め投影方向の拡大倍率、
    である。
  5. 一部の光学要素を動かすことでフォーカスを行うことを特徴とする請求項1記載の斜め投影光学系。
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