JP5090852B2 - 投写レンズおよびこれを用いた投写型表示装置 - Google Patents

投写レンズおよびこれを用いた投写型表示装置 Download PDF

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Description

本発明は、液晶表示素子等のライトバルブからの表示情報等を拡大投写する投写レンズに関し、特にフロント式の投写型表示装置に好適な投写レンズおよびこれを用いた投写型表示装置に関する。
近年、液晶表示装置やDMD表示装置等のライトバルブを用いた投写型表示装置が広く普及しており、特に、このライトバルブを3枚用い、RGB3原色の照明光に各々対応させるようにすることでこれら各照明光を変調し、個々のライトバルブで変調された光をプリズム等で合成し、投写レンズを介してスクリーンに画像を表示する構成をとるものが広く利用されている。
このような、3枚のライトバルブからの各変調光を色合成光学系で合成して投写するタイプの投写型表示装置に搭載される投写レンズとしては、上述したように、色合成を行うプリズム等を配置するため、また、熱的な問題回避のため、大きなバックフォーカスが必要となる。さらに、色合成光学系では入射光の角度によって分光特性が変化するため、投写レンズは縮小側から見た入射瞳が十分遠方に位置するという特性、すなわちテレセントリック性を持つことが必要となる。また、明るいレンズであることと、ライトバルブの解像度に見合った収差補正が必要とされる。
このような要求をある程度満足するようにしたものとしては、例えば下記特許文献1、2に記載のものが知られている。また、本願出願人としても、このような投写レンズを既に特許庁に対して開示している(下記特許文献3参照)。
これらの特許文献に記載のものは、いずれも画角が100度以上の広角レンズとされている。
特開2003−015033号公報 特開2004−326079号公報 特願2007−157248号明細書
ところで、投写型表示装置としては、投写レンズがスクリーンに対して鑑賞者と同じ側に配置され、投写レンズより出射される光を反射型のスクリーンに結像させるフロント式の装置と、投写レンズおよび鑑賞者がスクリーンを挟むように配置され、投写レンズより出射される光を透過型のスクリーンに結像させるリア式の装置とが知られている。
このうちリア式の投写型表示装置では、例えばリアプロジェクションテレビのように、光源からスクリーンまでをキャビネットに納め、キャビネット前面に配設されたスクリーンに向けて、背面に配された投写レンズから映像情報を担持した光を投写する構成がよく知られている。上記特許文献1〜3のものも、このようなリア式の投写型表示装置に搭載されることを想定したものである。
しかしながら、このようなリア式に係る投写レンズでは、キャビネットの厚みを薄くする目的でレンズ系中に光軸を折り返すためのプリズムやミラーが配されており、光軸に沿ったレンズ全長が長くなるため、装置の空間的なサイズ自体がどうしても大きくなってしまう。したがって、上記公報記載の投写レンズをフロント式の投写型表示装置に用いた場合には、装置サイズのコンパクト化を図ることができないという問題がある。
また、フロント式の投写型表示システム(表示装置およびスクリーンを含む)においては、リア式のものと比較して、該システムの設置スペースの広さに制限が設けられることも多いことから、表示装置からスクリーンまでのワーキングディスタンスを短くすることが要望されており、投写レンズの広画角化が要求されている。
本発明はこのような事情に鑑みなされたもので、縮小側がテレセントリックに構成されるとともに、近年の投写レンズに好適なバックフォーカスを有する構成とされ、さらに、特に、フロント式の投写型表示装置に係る投写レンズにも適用し得るように、レンズ系全体としてコンパクト化および広画角化を達成し得る高解像度な投写レンズ、およびこのような投写レンズを用いた投写型表示装置を提供することを目的とする。
本発明の投写レンズは、
拡大側から順に、負の屈折力を有する第1レンズ群と正の屈折力を有する第2レンズ群とが配列されてなる投写レンズであって、
前記第1レンズ群の最も拡大側に非球面レンズが配置され、前記第1レンズ群の最も縮小側に負レンズと正レンズからなりレンズ全系の中で最も物体側の接合レンズが配置されるとともに、
全系の縮小側が略テレセントリックとされており、
以下の条件式(1)、(2)を満足することを特徴とするものである。
3<Bf/f ……(1)
0.4<H/L ……(2)
ここで、
f:全系の焦点距離
Bf:空気換算バックフォーカス
H:最も拡大側の光軸上レンズ面頂点を通る、光軸に直交する平面上での、最大画角の主光線の高さ
L:最も拡大側の光軸上レンズ面頂点から最も縮小側の光軸上レンズ面頂点までの距離
また、以下の条件式(2′)、(3)を満足することが好ましい。
0.5<H/L ……(2′)
110°<2ω ……(3)
ここで、
ω:半画角
また、前記第2レンズ群は、少なくとも2面の接合面を有するとともにアッベ数(d線に対する)が75以上の材料により形成される、少なくとも2枚の正レンズを有することが好ましい。
また、前記第2レンズ群は、少なくとも1面の非球面を有することが好ましい。
また、フォーカシングを行う際に、少なくとも前記接合レンズを光軸方向に移動させることが好ましい。あるいは、フォーカシングを行う際に、前記接合レンズと、前記接合レンズを除いた前記第1レンズ群の他のレンズの全部または一部とを、互いに独立して光軸方向に移動させることが好ましい。
また、上記投写レンズにおいて、以下の条件式(4)、(5)を満足することが好ましい。
−5<f/f<−1 ……(4)
/f<10 ……(5)
ここで、
:第1レンズ群の焦点距離
:第2レンズ群の焦点距離
また、前記第1レンズ群は、拡大側から順に、プラスチックよりなる非球面レンズと、拡大側に凸面を向けた少なくとも1枚の負メニスカスレンズと、縮小側に凹面を向けた負レンズと、正レンズおよび負レンズよりなる接合レンズと、からなることが好ましい。
また、前記第1レンズ群中の前記接合レンズは、以下の条件式(6)を満足することが好ましい。
|N−N|<0.1 ……(6)
ここで、
:前記接合レンズのうちの前記正レンズの屈折率
:前記接合レンズのうちの前記負レンズの屈折率
さらに、本発明の投写型表示装置は、光源と、ライトバルブと、該光源からの光束を該ライトバルブへ導く照明光学部と、上述したいずれかの投影用ズームレンズとを備え、前記光源からの光束を前記ライトバルブで光変調し、前記投影用ズームレンズによりスクリーンに投写することを特徴とするものである。
本発明の投写レンズは、上記構成を備えたことにより、縮小側がテレセントリックとされるとともに、良好な収差補正機能を有することが可能となる。
また、上記条件式(1)を満足しているので、近年の投写レンズに好適なバックフォーカスを確保することが可能であり、さらに、上記条件式(2)を満足しているので、広画角化を図りつつ、全レンズ系のコンパクト化を達成することが可能である。
また、本発明の投写型表示装置は、本発明の投写レンズを用いていることにより、諸収差が良好に補正され、コンパクト化を達成し得る高解像度な表示装置とすることができる。
以下、本発明の実施形態について図面を用いて説明する。図1は後述する実施例1のレンズ構成図を示すものであり、これを代表例として、本実施形態に係る投写レンズを、以下に説明する。なお、図中Xは光軸を表している。
本実施形態の投写レンズは、拡大側から順に、負の屈折力を有する第1レンズ群Gと、正の屈折力を有する第2レンズ群Gとが配列されてなり、縮小側が略テレセントリックとされている。また、第1レンズ群Gの最も拡大側に非球面レンズが配置されるとともに、このレンズ系の縮小側が略テレセントリックとされている。なお、図1には、近軸光線と最大画角入射光線の軌跡が示されている(図2〜6において同じ)。
上記したように、第1レンズ群Gの最も拡大側に非球面レンズを設けたことにより、諸収差を良好なものとすることができる。
また、以下の条件式(1)、(2)を満足するように構成されている。
条件式(1)は適切なバックフォーカスを確保するための条件式であり、条件式(2)はレンズ全系のコンパクト化を図るための条件式である。
3<Bf/f ……(1)
0.4<H/L ……(2)
ここで、
f:全系の焦点距離
Bf:空気換算バックフォーカス
H:最も拡大側の光軸上レンズ面頂点を通る、光軸に直交する平面上での、最大画角の主光線の高さ(図1参照)
L:最も拡大側の光軸上レンズ面頂点から最も縮小側の光軸上レンズ面頂点までの距離(図1参照)
また、第1レンズ群Gには、最も縮小側に接合レンズが配されている。また、第2レンズ群Gには、少なくとも2組の接合レンズが配されており(実施例1〜4では2枚接合レンズを少なくとも2つ有しており、実施例5、6では3枚接合レンズを少なくとも2つ有している)。これにより、倍率色収差を良好なものとすることができる。
そして、後述する実施例5、6では、第2レンズ群G中に、3枚接合レンズを少なくとも2つ有しており(2面の接合面を有している正レンズを、少なくとも2つ有しており)、また、これらの正レンズは、アッベ数が75以上の材料により形成されている。このように構成することにより、倍率色収差をさらに良好に補正することができる。なお、上記2つの接合レンズに替えて、2面の接合面を有している正レンズを、間に2枚挟んだ4枚接合レンズを配することも可能である。
また、第1レンズ群Gは、拡大側から順に、プラスチックよりなる(ガラス製とすることも可能)非球面レンズ(第1レンズL)と、拡大側に凸面を向けた少なくとも1枚の負メニスカスレンズ(実施例1〜4では第2レンズLおよび第3レンズL、実施例5、6では第2レンズL)と、縮小側に凹面を向けた負レンズ(実施例1〜4では第4レンズL、実施例5、6では第3レンズL)と、負レンズおよび正レンズよりなる接合レンズ(実施例1〜4では第5レンズLおよび第6レンズL、実施例5、6では第4レンズLおよび第5レンズL)と、からなる。
なお、図1の投写レンズでは、紙面右側より入射されライトバルブ(画像表示面)1において画像情報を与えられた光束が、ガラスブロック2を介してこの投写レンズに入射され、この投写レンズにより紙面左側方向に拡大投写されるようになっている。図1には、見易さのため1枚のライトバルブ1のみを記載しているが、投写型表示装置において、光源からの光束を色分離光学系により3原色光に分離し、各原色光用に3つのライトバルブを配設して、フルカラー画像を表示可能とするものがある。ガラスブロック2の位置にクロスダイクロイックプリズム等の色合成手段を配設することにより、この3原色光を合成することができる。
また、本実施形態の投写レンズの好ましい態様においては、第1レンズ群G中で、少なくとも上記接合レンズを光軸X方向に移動させることにより(実施例6に相当)、あるいは、第1レンズ群Gの該接合レンズと、該接合レンズを除いた第1レンズ群Gにおける他のレンズの全部または一部とを、互いに独立して光軸X方向に移動させることにより(実施例3に相当)、フォーカス調整を行うように構成することが好ましい。これにより、フォーカシング時における倍率色収差の劣化を防止することができる。
また、本実施形態の投写レンズは、以下の条件式(3)〜(6)を満足することが好ましい。
110°<2ω ……(3)
−5<f/f<−1 ……(4)
/f<10 ……(5)
|N−N|<0.1 ……(6)
ここで、
ω:半画角
f:全系の焦点距離
:第1レンズ群Gの焦点距離
:第2レンズ群Gの焦点距離
:第1レンズ群G中の接合レンズのうちの正レンズの屈折率
:第1レンズ群G中の接合レンズのうちの負レンズの屈折率
以上のように構成することにより、本実施形態の投写レンズおよびこのような投写レンズを用いた投写型表示装置は、縮小側がテレセントリックに構成されるとともに、近年の投写レンズに好適なバックフォーカスを有する構成とされ、さらに、画角が110度以上と極めて広画角で色収差が良好に補正され、レンズ系全体としてコンパクト化を達成でき、解像度を向上させることが可能となっている。
また、一般に超広角レンズではフォーカシングによる性能を維持するのが難しいとされているにも拘らず、フロント式の投写レンズでは、フォーカシング範囲に亘って良好な光学性能を満足することが要求されるが、本実施形態のものでは上記構成要素を有することにより、このような要求に十分に応えられるようになっている。
また、上記各構成要素は相互に関連を持って設定されているので、上記の条件を全て満足することにより、これらの作用効果を始めとする種々の作用効果を得られるものであるが、各作用効果に比較的大きな影響を与えている条件式(1)〜(6)について、以下に説明する。
条件式(1)は、この投写レンズのバックフォーカスを規定するもので、投写レンズの縮小側に色合成用のプリズム等を配置するスペースとして要請される、必要十分なバックフォーカスを設定するものである。また、このスペースにより熱的な問題を回避することも可能である。この下限値以下となると、色合成用のプリズム等の挿入が困難となってしまい、熱的な問題を確実に回避できない。
条件式(2)は、H(最も拡大側の光軸上レンズ面頂点を通る、光軸に直交する平面上での、最大画角の主光線の高さ)を、L(最もスクリーン側の光軸上レンズ面頂点から最も縮小側の光軸上レンズ面頂点までの距離+)で除した値の範囲を規定するものであり、広画角化を図りつつ、全レンズ系のコンパクト化を図り得る範囲を規定するものである。
すなわち、H/Lが下限値0.4以下となり、条件式(2)の範囲を逸脱すると、画面全体での像面の補正を良好に行うことが困難となり、また、歪曲収差の補正が困難となるのに対し、条件式(2)を満足することにより、超広角レンズにおける諸収差を効果的に補正することが可能となり、全レンズ系のコンパクト化を図ることが可能となる。
なお、条件式(2)に替えて、下記条件式(2′)を満足することにより、全レンズ系の広画角化およびコンパクト化を、さらに促進することができる。
0.5<H/L ……(2′)
また、条件式(3)は、フロント式の投写型表示装置に係る投写レンズにも良好に適用し得る画角の範囲を規定するものである。
すなわち、フロント式の投写型表示装置では、スクリーンを含めた表示システムの設置スペースに制限が設けられることも多いことから、表示装置からスクリーンまでのワーキングディスタンスを短くすることが要望されている。本実施形態の投写レンズにおいては、この要望に応えるべく、広画角化およびコンパクト化を図りうる構成とされている。
また、条件式(4)は、全系の焦点距離fに対する第1レンズ群Gの焦点距離fの比を規定したものであり、この下限値以下となると、第1レンズ群Gのパワーが小さくなり過ぎ、倍率色収差を補正することが困難となる。一方、この上限値以上となると、第1レンズ群Gのパワーが大きくなり過ぎ、球面収差やコマ収差等の諸収差を補正することが困難となる。
なお、条件式(4)に替えて、下記条件式(4′)を満足することにより、条件式(4)を満足することで得られる効果をさらに良好なものとすることができる。
−3<f/f<−1.5 ……(4′)
また、条件式(5)は、全系の焦点距離fに対する第2レンズ群Gの焦点距離fの比を規定したものであり、この上限値以上となると、第2レンズ群Gのパワーが小さくなり過ぎ、球面収差やコマ収差等の諸収差を良好に補正することが困難となる。また、全レンズ系の全長が大きくなり過ぎ、コンパクト化を図ることができず、フロント式の投写レンズとしては好ましくなくなる。
さらに、条件式(6)は、第1レンズ群G中の接合レンズのうちの正レンズの屈折率Nと、第1レンズ群G中の接合レンズのうちの負レンズの屈折率Nと、の差の絶対値の範囲を規定するものであり、この上限値以上となると、フォーカシング時において、像面補正を良好に行うことが困難となる。
次に、上述した投写レンズを搭載した投写型表示装置の一例を図13により説明する。図13に示す投写型表示装置は、ライトバルブとして透過型液晶パネル11a〜cを備え、投写レンズ10として上述した実施形態に係る投写レンズを用いている。また、光源20とダイクロイックミラー12の間には、フライアイ等のインテグレータ(図示を省略)が配されており、光源20からの白色光は照明光学部を介して、3つの色光光束(G光、B光、R光)にそれぞれ対応する液晶パネル11a〜cに入射されて光変調され、クロスダイクロイックプリズム14により色合成され、投写レンズ10により図示されないスクリーン上に投映される。この装置は、色分解のためのダイクロイックミラー12、13、色合成のためのクロスダイクロイックプリズム14、コンデンサレンズ16a〜c、全反射ミラー18a〜cを備えている。この投写型表示装置は、本実施形態に係る投写レンズを用いているので、広角、かつ投写画像の画質が良好であり、明るくコンパクトな投写型表示装置とすることができる。
以下、本発明に係る投写レンズの具体的な実施例について説明する。なお、実施例2以降の構成を示す図面において、実施例1と同様の作用効果をなす部材には図1で用いたものと同様の符号を付している。また、以下の実施例において示される各数値は、焦点距離を1.0で規格化した場合の数値である。
<実施例1>
図1に示すように、実施例1に係る投写レンズは、拡大側から順に、負の屈折力を有する第1レンズ群Gと正の屈折力を有する第2レンズ群Gとが配列されてなり、縮小側が略テレセントリックとされている。
第1レンズ群Gは、拡大側から順に、屈折力の小さい(収差補正を主目的とする)プラスチック非球面レンズよりなる第1レンズLと、拡大側に凸面を向けた負メニスカスレンズよりなる第2レンズLおよび第3レンズLと、両凹レンズよりなる第4レンズLと、縮小側に凹面を向けた負メニスカスレンズよりなる第5レンズLおよび両凸レンズよりなる第6レンズLにより構成される2枚接合レンズとが配列されてなる。
一方、第2レンズ群Gは、両凸レンズよりなる第7レンズLと、両凹レンズよりなる第8レンズLと、両凸レンズよりなる第9レンズLと、拡大側に凹面を向けたメニスカス形状のプラスチック非球面レンズからなる第10レンズL10と、縮小側に凹面を向けた負メニスカスレンズよりなる第11レンズL11および両凸レンズよりなる第12レンズL12により構成される2枚接合レンズと、両凹レンズよりなる第13レンズL13および両凸レンズよりなる第14レンズL14により構成される2枚接合レンズと、両凸レンズよりなる第15レンズL15とが配列されてなる。なお、開口絞り3は、第2レンズ群Gの最も拡大側に配されている。
上記各非球面の形状は、下記に示す非球面式により規定される。非球面を有する第1レンズLおよび第10レンズL10においては、いずれか一方の面が非球面とされたレンズであっても効果を得ることができるが、両面が非球面とされたレンズであることがより好ましい。
実施例1に係る投写レンズは、上記条件式(1)〜(6)を満足するように構成されているが、条件式(2)、(4)については、その限界値がより好ましい数値に設定された上記条件式(2´)、(4´)を満足するように構成されている。
実施例1に係る投写レンズの各レンズ面の曲率半径R(焦点距離を1.0として規格化している:以下の実施例において同じ)、各レンズの中心厚および各レンズ間の空気間隔(以下「軸上面間隔」と称す)D(焦点距離を1.0として規格化している:以下の実施例において同じ)、各レンズのd線における屈折率Nおよび各レンズのd線におけるアッベ数νの値を、表1の上段に示す。なお、表1および以下の表において面番号の数字は拡大側からの順番を表すものであり、面番号の左側に*印が付された面は非球面とされている。実施例1および以下の実施例2〜6において、これらの非球面の曲率半径Rは、各表において光軸X上での曲率半径Rの値として示しているが、対応するレンズ構成図においては図面を見やすくするため、引出線は必ずしも光軸Xとの交点から引き出されていないものがある。
また、表1の中段には、各非球面に対応する各定数K,A〜A12の値が示されている。
また、表1の下段には、表1の上段の数値データにおける投写距離(拡大側共役位置〜レンズ第1面の間隔)が示されている。
実施例1において各条件式(1)〜(6)に対応する値は、後述する表7に示すとおりであり、条件式(1)〜(6)を全て満足している(条件式(2´)、(4´)も全て満足する)。
<実施例2>
実施例2に係る投写レンズは、図2に示すとおりである。この投写レンズは、実施例1の投写レンズと略同様の構成とされており、共通する部分についての説明は省略する。
すなわち、実施例1に係る投写レンズに対し、開口絞り3が第2レンズ群Gの、最も拡大側のレンズである第7レンズLと、その縮小側に位置する第8レンズLとの間に配された点、および第11レンズL11が両凹レンズとされている点において異なっている。
実施例2に係る投写レンズの各レンズ面の曲率半径R、各レンズの軸上面間隔D、各レンズのd線における屈折率Nおよび各レンズのd線におけるアッベ数νの値を、表2の上段に示す。また、表2の中段には、各非球面に対応する各定数K,A〜A12の値が示されている。また、表2の下段には、表2の上段の数値データにおける投写距離(拡大側共役位置〜レンズ第1面の間隔)が示されている。
実施例2において各条件式(1)〜(6)に対応する値は、後述する表7に示すとおりであり、条件式(1)〜(6)を全て満足している(条件式(2´)、(4´)も全て満足する)。
<実施例3>
実施例3に係る投写レンズの構成は、図3に示すとおりである。この投写レンズは、実施例1の投写レンズと略同様の構成とされており、共通する部分についての説明は省略するが、実施例1の第2レンズ群Gの第8レンズLに替えて、両凹レンズよりなる第8レンズLおよび両凸レンズよりなる第9レンズLにより構成される2枚接合レンズが設けられている点において異なっている。なお、第10レンズL10以降のレンズは、実施例1の各レンズのレンズ番号を1ずつ繰り上げたものに対応することになる。
実施例3に係る投写レンズの各レンズ面の曲率半径R、各レンズの軸上面間隔D、各レンズのd線における屈折率Nおよび各レンズのd線におけるアッベ数νの値を、表3の上段に示す。また、表3の中段には、各非球面に対応する各定数K,A〜A12の値が示されている。また、本実施例のものでは、フォーカシング時において、投写距離に応じて、第3レンズLおよび第4レンズLのペアレンズと、第5レンズLおよび第6レンズLにより構成される2枚接合レンズと、が互いに独立して光軸X方向に移動するように構成されている。表3の下段には、投写距離(拡大側共役位置〜レンズ第1面の間隔)に応じて、所定のレンズ可変間隔が変化する状態が示されている。なお、表3の上段の数値データは、投写距離(拡大側共役位置〜レンズ第1面の間隔)が154.603の場合を示すものである。
実施例3において各条件式(1)〜(6)に対応する値は、後述する表7に示すとおりであり、条件式(1)〜(6)を全て満足する(条件式(2´)、(4´)も全て満足する)。
<実施例4>
実施例4に係る投写レンズの構成は、図4に示すとおりである。この投写レンズは、実施例3の投写レンズと略同様の構成とされており、共通する部分についての説明は省略するが、第2レンズ群Gの第9レンズLが、拡大側に凸面を向けた正メニスカスレンズとされている点において異なっている。
実施例4に係る投写レンズの各レンズ面の曲率半径R、各レンズの軸上面間隔D、各レンズのd線における屈折率Nおよび各レンズのd線におけるアッベ数νの値を、表4の上段に示す。また、表4の中段には、各非球面に対応する各定数K,A〜A12の値が示されている。また、表4の下段には、表4の上段の数値データにおける投写距離(拡大側共役位置〜レンズ第1面の間隔)が示されている。
実施例4において各条件式(1)〜(6)に対応する値は、後述する表7に示すとおりであり、条件式(1)〜(6)を全て満足する(条件式(2´)、(4´)も全て満足する)。
<実施例5>
実施例5に係る投写レンズは、図5に示すとおり、上述した実施例2の投写レンズと類似した構成とされている。ただし、実施例5に係る投写レンズにおいては、第1レンズ群Gが5枚構成とされるとともに、第2レンズ群G中に、2つの3枚接合レンズが設けられている。
すなわち、第1レンズ群Gは、拡大側から順に、屈折力の小さい(収差補正を主目的とする)プラスチック非球面レンズよりなる第1レンズLと、拡大側に凸面を向けた負メニスカスレンズよりなる第2レンズLと、縮小側に凹面を向けた負メニスカスレンズよりなる第3レンズLと、両凹レンズよりなる第4レンズLおよび両凸レンズよりなる第5レンズLにより構成される2枚接合レンズとが配列されてなる。
一方、第2レンズ群Gは、両凸レンズよりなる第6レンズLと、両凸レンズよりなる第7レンズL、両凹レンズよりなる第8レンズLおよび両凸レンズよりなる第9レンズLにより構成される第1の3枚接合レンズと、拡大側に凹面を向けたメニスカス形状のプラスチック非球面レンズからなる第10レンズL10と、両凸レンズよりなる第11レンズL11、両凹レンズよりなる第12レンズL12および両凸レンズよりなる第13レンズL13により構成される第2の3枚接合レンズと、両凸レンズよりなる第15レンズL15とが配列されてなる。
実施例5に係る投写レンズの各レンズ面の曲率半径R、各レンズの軸上面間隔D、各レンズのd線における屈折率Nおよび各レンズのd線におけるアッベ数νの値を、表5の上段に示す。また、表5の中段には、各非球面に対応する各定数K,A〜A12の値が示されている。また、表5の下段には、表5の上段の数値データにおける投写距離(拡大側共役位置〜レンズ第1面の間隔)が示されている。
実施例5において各条件式(1)〜(6)に対応する値は、後述する表7に示すとおりであり、条件式(1)〜(6)を全て満足する(条件式(2´)、(4´)も全て満足する)。
<実施例6>
実施例6に係る投写レンズの構成は、図6に示すとおりである。この投写レンズは、実施例5の投写レンズと略同様の構成とされており、共通する部分についての説明は省略するが、第2レンズ群Gの第11レンズL11が、拡大側に凹面を向けた正メニスカスレンズとされている点において異なっている。
実施例6に係る投写レンズの各レンズ面の曲率半径R、各レンズの軸上面間隔D、各レンズのd線における屈折率Nおよび各レンズのd線におけるアッベ数νの値を、表6の上段に示す。また、表6の中段には、各非球面に対応する各定数K,A〜A12の値が示されている。また、本実施例のものでは、フォーカシング時において、投写距離に応じて、第4レンズLおよび第5レンズLにより構成される2枚接合レンズが光軸X方向に移動するように構成されている。表6の下段には、投写距離(拡大側共役位置〜レンズ第1面の間隔)に応じて、所定のレンズ可変間隔が変化する状態が示されている。なお、表6の上段の数値データは、投写距離(拡大側共役位置〜レンズ第1面の間隔)が77.885の場合を示すものである。
実施例6において各条件式(1)〜(6)に対応する値は、後述する表7に示すとおりであり、条件式(1)〜(6)を全て満足する(条件式(2´)、(4´)も全て満足する)。
また、図7〜12は、実施例1〜6に係る投写レンズの諸収差(球面収差、非点収差、ディストーションおよび倍率色収差)を示す収差図である。これらの収差図において、ωは半画角を示し、球面収差の収差図にはd線、F線およびC線の収差曲線を示し、倍率色収差の収差図にはd線に対するF線およびC線の収差曲線を示している。図7〜12に示すように、実施例1〜6に係る投写レンズは、歪曲収差や倍率色収差をはじめ各収差が良好に補正され、画角2ωが119.0〜120.6度、Fナンバが1.80〜2.40と、超広角で明るい投写レンズとされている。
なお、本発明の投写レンズとしては、上記実施例のものに限られるものではなく種々の態様の変更が可能であり、例えば各レンズの曲率半径Rおよびレンズ間隔(もしくはレンズ厚)Dを適宜変更することが可能である。また、リア式の投写型表示装置に搭載される投写レンズに適用することを排除するものではない。
また、本発明の投写型表示装置としても、上記構成のものに限られるものではなく、本発明の投写レンズを備えた種々の装置構成が可能である。ライトバルブとしては、例えば、透過型の液晶表示素子の他、反射型の液晶表示素子や、傾きを変えることができる微小な鏡が略平面上に多数形成された微小ミラー素子(例えば、テキサス・インスツルメント社製のデジタルマイクロミラーデバイス:DMD)を用いることができる。また、照明光学系としても、ライトバルブの種類に対応した適切な構成を採用することができる。
本発明の実施例1に係る投写レンズの構成を表す図 本発明の実施例2に係る投写レンズの構成を表す図 本発明の実施例3に係る投写レンズの構成を表す図 本発明の実施例4に係る投写レンズの構成を表す図 本発明の実施例5に係る投写レンズの構成を表す図 本発明の実施例6に係る投写レンズの構成を表す図 実施例1に係る投写レンズの諸収差図 実施例2に係る投写レンズの諸収差図 実施例3に係る投写レンズの諸収差図 実施例4に係る投写レンズの諸収差図 実施例5に係る投写レンズの諸収差図 実施例6に係る投写レンズの諸収差図 本発明の投写型表示装置の主要部の概略構成を表す図
符号の説明
1 ライトバルブ
2 ガラスブロック
3 開口絞り
10 投写レンズ
11a〜11c 透過型液晶パネル
12,13 ダイクロイックミラー
14 クロスダイクロイックプリズム
16a〜16c コンデンサレンズ
18a〜18c 全反射ミラー
、G レンズ群
〜L16 レンズ
〜R31 レンズ面等の曲率半径
〜D30 レンズ面間隔(レンズ厚)
X 光軸

Claims (10)

  1. 拡大側から順に、負の屈折力を有する第1レンズ群と正の屈折力を有する第2レンズ群とが配列されてなる投写レンズであって、
    前記第1レンズ群の最も拡大側に非球面レンズが配置され、前記第1レンズ群の最も縮小側に負レンズと正レンズからなりレンズ全系の中で最も物体側の接合レンズが配置されるとともに、
    全系の縮小側が略テレセントリックとされており、
    以下の条件式(1)、(2)を満足することを特徴とする投写レンズ。
    3<Bf/f ……(1)
    0.4<H/L ……(2)
    ここで、
    f:全系の焦点距離
    Bf:空気換算バックフォーカス
    H:最も拡大側の光軸上レンズ面頂点を通る、光軸に直交する平面上での、最大画角の主光線の高さ
    L:最も拡大側の光軸上レンズ面頂点から最も縮小側の光軸上レンズ面頂点までの距離
  2. 以下の条件式(2′)、(3)を満足することを特徴とする請求項1記載の投写レンズ。
    0.5<H/L ……(2′)
    110°<2ω ……(3)
    ここで、
    ω:半画角
  3. 前記第2レンズ群は、少なくとも2面の接合面を有するとともにアッベ数(d線に対する)が75以上の材料により形成される、少なくとも2枚の正レンズを有することを特徴とする請求項1または2記載の投写レンズ。
  4. 前記第2レンズ群は、少なくとも1面の非球面を有することを特徴とする請求項1〜3のうちいずれか1項記載の投写レンズ。
  5. フォーカシングを行う際に、少なくとも前記接合レンズを光軸方向に移動させることを特徴とする請求項1〜4のうちいずれか1項記載の投写レンズ。
  6. フォーカシングを行う際に、前記接合レンズと、前記接合レンズを除いた前記第1レンズ群の他のレンズの全部または一部とを、互いに独立して光軸方向に移動させることを特徴とする請求項1〜4のうちいずれか1項記載の投写レンズ。
  7. 以下の条件式(4)、(5)を満足することを特徴とする請求項1記載の投写レンズ。
    −5<f1/f<−1 ……(4)
    f2/f<10 ……(5)
    ここで、
    f1:第1レンズ群の焦点距離
    f2:第2レンズ群の焦点距離
  8. 前記第1レンズ群は、拡大側から順に、プラスチックよりなる非球面レンズと、拡大側に凸面を向けた少なくとも1枚の負メニスカスレンズと、縮小側に凹面を向けた負レンズと、正レンズおよび負レンズよりなる接合レンズと、からなることを特徴とする請求項1〜7のうちいずれか1項記載の投写レンズ。
  9. 前記接合レンズは、以下の条件式(6)を満足することを特徴とする請求項1〜8のうちいずれか1項記載の投写レンズ。
    |Np−Nn|<0.1 ……(6)
    ここで、
    Np:前記接合レンズのうちの前記正レンズの屈折率
    Nn:前記接合レンズのうちの前記負レンズの屈折率
  10. 光源と、ライトバルブと、該光源からの光束を該ライトバルブへ導く照明光学部と、請求項1〜9のうちいずれか1項記載の投写型レンズとを備え、前記光源からの光束を前記ライトバルブで光変調し、前記投写レンズによりスクリーンに投写することを特徴とする投写型表示装置。
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