JP5871884B2 - 車体後部構造 - Google Patents
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Description
荷重伝達効率が高まることにより、車体後部の剛性、強度が向上し、車両の乗り心地やNV性能(振動騒音性能)を高めることができる。また、断面形状により要求される剛性、強度値を満足することができれば、その分板厚を薄くしたり、軽い材質にしたりすることができるので、車体全体を軽量化することができる。
そして、リヤパネルアウタの小型化および軽量化と高剛性化および高強度化とを両立させることができる。すなわち、例えばリヤパネルアウタ全体に傾斜面を設けると、この分上下寸法が大きくなってしまう。そこで、リヤフレームと前後方向で重ね合わせたい箇所、つまり、第2リヤパネルアウタのみに傾斜面を形成することにより、第1リヤパネルアウタが無駄に大きくなってしまうことを防止できる。このため、必要な部位だけを大型化させ、リヤパネルアウタ全体として、小型化および軽量化と高剛性化および高強度化とを両立させることができる。
また、第1リヤパネルアウタと第2リヤパネルアウタとで板厚を変えることができる。例えば、第2リヤパネルアウタが配置される箇所は、リヤパネルのコーナ部であり、比較的剛性、強度の要求値が高くなる。その第2リヤパネルアウタの板厚を厚くし、剛性、強度を向上できると共に、剛性、強度の要求値が低い第1リヤパネルアウタの板厚を薄くすることにより、軽量化を図ることができる。
このため、荷重応力が集中する箇所を無くすことができ、リヤフレームとリヤパネルとの間の荷重伝達効率を確実に高めることができる。よって、車体後部の剛性、強度を確実に向上させることができる。
次に、この発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、車体1を左斜め後方からみた斜視図である。なお、以下の説明において、前後上下左右等の向きは、特に記載がなければ車体1の向きと同一とする。すなわち、以下の説明では、車両進行方向前方を単に前方と称し、車両進行方向後方を単に後方と称し、運転席からみて車幅方向右側を単に右側と称し、車幅方向左側を単に左側と称し、重力方向上側を単に上側と称し、重力方向下側を単に下側と称して説明する。また、左右方向は、車幅方向と称する場合もある。さらに、車体1は、左右対称に構成されており、以下の説明では、車体1の車幅方向中央から左側についてのみ説明し、右側についての説明は省略する。
図2は、図1のA矢視図である。
同図に示すように、リヤフレーム60は、前後方向に延び、上向きに開口するように断面略コの字状に形成されたリヤフレーム本体61を有している。すなわち、リヤフレーム本体61は、底面61aと、底面61aの左側縁から上方に向かって屈曲延出する左側面61bと、底面61aの右側縁から上方に向かって屈曲延出する右側面61cと、により構成されている。
図3は、図1のB矢視図、図4は、図3の状態から各アウタを取り外した状態を示す斜視図である。
図1、図3、図4に示すように、リヤピラー3は、車室内側に設けられたリヤピラーインナ7と車室外側に設けられたリヤピラーアウタ8とにより構成されており、これらリヤピラーインナ7とリヤピラーアウタ8とにより、閉断面構造になっている。
リヤピラーアウタ8の下部は、リヤピラーインナ7の下部に対応するように、車幅方向内側に向かって僅かに湾曲形成されている。この湾曲形成された部位も、コーナ部6の一部を構成している。
図5は、車体1の左側を後方からみた平面図、図6は、図5のC−C線に沿う断面図、図7は、図5のD−D線に沿う断面図である。
図5〜図7に示すように、リヤパネル4は、車室内側に設けられたリヤパネルインナ13と車室外側に設けられたリヤパネルアウタ14とにより構成されており、これらリヤパネルインナ13とリヤパネルアウタ14とにより、閉断面構造になっている。
また、リヤパネルインナ13の上部片13bには、リヤパネルインナフランジ15の延在方向(車幅方向)に沿ってビード16,17が2か所形成されている。
一方、下部片18bの前端側縁部には、下方に向かって屈曲延出する下部フランジ23が一体成形されている。
より具体的には、第2リヤパネルアウタ19は、第1リヤパネルアウタ本体18aおよびリヤピラーアウタ8に連なり、車幅方向外側に向かうに従って上方に僅かに湾曲しつつ先細りとなるように形成された第2リヤパネルアウタ本体(後面)19aを有している。第2リヤパネルアウタ本体19aの中央の大部分には、前方に向かって凹むように凹部42が形成されており、第2リヤパネルアウタ本体19aの剛性が高まるようになっている。
また、第2リヤパネルアウタ本体19aの上端側縁部よりもやや下方には、第2リヤパネルアウタフランジ24の延在方向に沿ってビード25が形成されている。
換言すれば、第2稜線部44は、車幅方向外側に向かうに従って斜め下方に延びた後、最下頂点部T1を介して斜め上方に向かって折り返すように延びる。そして、車幅方向外側に向かうに従って、第1稜線部43と第2稜線部44とが徐々に接近し、各稜線部43,44がピラー稜線部31に滑らかに連なる。これにより、下部片18bは、後方から見ると下方に向かって先細りとなるように形成される。
図5、図8に示すように、第2稜線部44の最下頂点部T1は、第2リヤパネルアウタ19の車幅方向略中央に位置している。さらに、第2稜線部44の最下頂点部T1は、リヤフレーム60の車幅方向外側の角部63、つまり、リヤフレーム本体61における底面61aと左側面61bとの接続部と、前後方向でほぼ重なる位置に配置されている。このため、リヤフレーム60と第2リヤパネルアウタ19の下部片19bとが前後方向で重なった状態になる。換言すれば、リヤパネルインナ13と第2リヤパネルアウタ19とにより閉断面に構成された箇所の大部分が、リヤフレーム60と前後方向で重なった状態になる。
また、アウタ下フランジ45の外周縁全体には、接合フランジ46がリヤパネルインナ13の面方向に沿うように延出形成されている。なお、第2リヤパネルアウタ19の板厚は、例えば、1mmに設定されている。
また、接合フランジ46には、第2稜線部44の最下頂点部T1の近傍に、スポット溶接の打点(不図示)の周囲を取り囲むように、後方から見て左側が開口するように略U字状に形成されたビード65が設けられている。これにより、接合フランジ46の剛性を高めることができる。
上述のように、本実施形態では、第2リヤパネルアウタ19は、上端に形成された第2リヤパネルアウタフランジ24がリヤパネルインナフランジ15に接合されている第2リヤパネルアウタ本体19aと、第2リヤパネルアウタ本体19aの下端から第1稜線部43を介して下斜め前方に向かって延出する下部片18b(傾斜面)と、下部片18bの下端から第2稜線部44を介して下斜め前方に向かって延出するアウタ下フランジ45と、を備えている。そして、下部片18bは、リヤフレーム60と前後方向で重なった状態になる。
また、下部片18bを介して、第2リヤパネルアウタ19が受ける衝撃荷重をリヤフレーム60にスムーズに伝達することができる。つまり、例えば第2リヤパネルアウタ19を、第1リヤパネルアウタ18のように断面略L字状に形成した場合、第1稜線部43に衝撃荷重による応力が集中し、荷重伝達効率が悪化してしまう。しかしながら、第2リヤパネルアウタ19に第2稜線部44を形成して下部片18bを斜めに形成することにより、下部片18bを第2リヤパネルアウタ19が受けた衝撃荷重をリヤフレーム60に荷重応力を分散しながら伝達することができる。このため、リヤフレーム60とリヤパネル4との間の荷重伝達効率を高めることができる。荷重伝達効率が高まることにより、車体後部の剛性、強度が向上し、車両の乗り心地やNV性能(振動騒音性能)を高めることができる。
すなわち、例えばリヤパネルアウタ14全体に、第1稜線部43と第2稜線部44との間に傾斜形成される下部片18bを設けると、この分第1リヤパネルアウタ18が下方に延びた形になり、上下寸法が大きくなってしまう。そこで、リヤフレーム60と前後方向で重ね合わせたい箇所、つまり、第2リヤパネルアウタ19のみに傾斜形成される下部片18bを設けることにより、第1リヤパネルアウタ18が無駄に大きくなってしまうことを防止できる。このため、必要な部位だけ大型化させ、リヤパネルアウタ14の小型化および軽量化と高剛性化および高強度化とを両立させることができる。
同図に示すように、リヤパネルアウタ14を分割構成しない場合、リヤパネルアウタ14をプレス加工するのに必要な母材(母材をカットした際のブランク)は、リヤパネルアウタ14を分割構成する場合と比較して大きくなる。このため、図9に示す2点鎖線で示すハッチ部分が、ブランクからリヤパネルアウタ14を打ち抜いた際の駄肉部となる。
このように、リヤパネルアウタ14を分割構成することにより、リヤパネルアウタ14を分割構成としない場合と比較して駄肉部の面積を減少させることができる。よって、プレス加工時の歩留まりのよいリヤパネルアウタを提供できる。
このように、第2リヤパネルアウタ19の板厚を厚く設定し、剛性、強度を向上できる。つまり、後突時等による衝撃の応力が集中しやすいコーナ部6の板厚を厚く設定し、剛性、強度を向上できる。これに対し、コーナ部6ほど剛性、強度を必要としない第1リヤパネルアウタ18の板厚を薄く設定し、軽量化を図ることができる。
例えば、上述の実施形態では、車体1は、いわゆるワゴンタイプのものであり、リヤピラー3の下端とリヤパネル4の車幅方向外側端とを接合することにより、ドア開口部5を形成している場合について説明した。しかしながら、これに限られるものではなく、リヤパネル4とリヤフレーム60とを有するさまざまな車種に上述の実施形態を採用することができる。
3…リヤピラー
4…リヤパネル
13…リヤパネルインナ
14…リヤパネルアウタ
18…第1リヤパネルアウタ
18a…第1リヤパネルアウタ本体(第1後面)
18b…下部片(下面)
19…第2リヤパネルアウタ
19a…第2リヤパネルアウタ本体(第2後面)
19b…下部片(傾斜面)
31…ピラー稜線部
41…稜線部
43…第1稜線部
44…第2稜線部
45…アウタ下フランジ
60…リヤフレーム
61…リヤフレーム本体
62a…下フレームフランジ
62b…左フレームフランジ
62c…右フレームフランジ
L1…距離
Claims (6)
- 車体の側部に沿って、かつ前記車体の前後方向に延びるように設けられる左右一対のリヤフレームと、
前記リヤフレームにおける前記前後方向の後端が突き当てられるリヤパネルと、を備え、
前記リヤパネルは、上下方向に延在すると共に、前記一対のリヤフレームに跨るように車幅方向に延在するように形成されている車体後部構造であって、
前記リヤパネルは、
車室内側のリヤパネルインナと、
車室外側のリヤパネルアウタと、により閉断面に構成されており、
前記リヤパネルアウタは、
車幅方向中央側の第1リヤパネルアウタと、
該第1リヤパネルアウタの車幅外側端部に連続して車幅方向外側に延びる第2リヤパネルアウタと、
により構成され、
前記第1リヤパネルアウタは、
前記リヤパネルインナに接合された上端から下方に延びる第1後面と、
該第1後面から前方に屈曲した稜線部を介して前方に延びる下面と、
を備え、
前記第2リヤパネルアウタは、
前記リヤパネルインナに接合された上端から下方に延びる第2後面と、
該第2後面から前方に屈曲し、前記稜線部と連続するように形成された第1稜線部を介して前方に延びる傾斜面と、
該傾斜面から屈曲した第2稜線部を介して下方に延びるアウタ下フランジと、
を備え、
前記傾斜面は、前記第2稜線部を前記第1稜線部に対して下方側に離間させることによって形成されており、かつ前記リヤフレームと前記前後方向で重なるよう配置されており、
前記第1稜線部と前記第2稜線部との間の距離は、車幅方向外側に向かうに従って徐々に長くなるように設定されていることを特徴とする車体後部構造。 - 前記リヤフレームは、
上向きに開口するように断面コの字状に形成されたリヤフレーム本体と、
該リヤフレーム本体の後端から断面外方向に延びるフレームフランジと、を備え、
前記アウタ下フランジは、前記フレームフランジに接合されていることを特徴とする請求項1に記載の車体後部構造。 - 前記第1リヤパネルアウタと前記第2リヤパネルアウタとが分割構成されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の車体後部構造。
- 前記第2リヤパネルアウタの板厚は、前記第1リヤパネルアウタの板厚よりも厚く設定されていることを特徴とする請求項1〜請求項3の何れか1項に記載の車体後部構造。
- 前記リヤパネルアウタの車幅方向外側端部から上方に立ち上がる左右一対のリヤピラーを備え、
前記リヤピラーは、車幅方向内側の側縁から所定距離だけ車幅方向外側に離間した位置に形成されると共に上下方向に延びるピラー稜線部を備え、
前記リヤパネルアウタの前記第1稜線部および前記第2稜線部は、上端が前記ピラー稜線部に連続することを特徴とする請求項1〜請求項4の何れか1項に記載の車体後部構造。 - 前記第1稜線部と前記第2稜線部との間の距離が、前記ピラー稜線部に向かうに従って徐々に接近するよう形成されていることを特徴とする請求項5に記載の車体後部構造。
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