JP5868549B2 - 狂犬病感染の予防および治療に関する組成物および方法 - Google Patents

狂犬病感染の予防および治療に関する組成物および方法 Download PDF

Info

Publication number
JP5868549B2
JP5868549B2 JP2015512986A JP2015512986A JP5868549B2 JP 5868549 B2 JP5868549 B2 JP 5868549B2 JP 2015512986 A JP2015512986 A JP 2015512986A JP 2015512986 A JP2015512986 A JP 2015512986A JP 5868549 B2 JP5868549 B2 JP 5868549B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
antibody
rabies
seq
antibodies
amino acid
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2015512986A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2015525206A (ja
Inventor
エンユン シェン
エンユン シェン
シンキ レン
シンキ レン
Original Assignee
マウントゲイト グループ リミテッド
マウントゲイト グループ リミテッド
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by マウントゲイト グループ リミテッド, マウントゲイト グループ リミテッド filed Critical マウントゲイト グループ リミテッド
Publication of JP2015525206A publication Critical patent/JP2015525206A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5868549B2 publication Critical patent/JP5868549B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07KPEPTIDES
    • C07K16/00Immunoglobulins [IGs], e.g. monoclonal or polyclonal antibodies
    • C07K16/08Immunoglobulins [IGs], e.g. monoclonal or polyclonal antibodies against material from viruses
    • C07K16/10Immunoglobulins [IGs], e.g. monoclonal or polyclonal antibodies against material from viruses from RNA viruses
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K39/00Medicinal preparations containing antigens or antibodies
    • A61K39/395Antibodies; Immunoglobulins; Immune serum, e.g. antilymphocytic serum
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P31/00Antiinfectives, i.e. antibiotics, antiseptics, chemotherapeutics
    • A61P31/12Antivirals
    • A61P31/14Antivirals for RNA viruses
    • GPHYSICS
    • G01MEASURING; TESTING
    • G01NINVESTIGATING OR ANALYSING MATERIALS BY DETERMINING THEIR CHEMICAL OR PHYSICAL PROPERTIES
    • G01N33/00Investigating or analysing materials by specific methods not covered by groups G01N1/00 - G01N31/00
    • G01N33/48Biological material, e.g. blood, urine; Haemocytometers
    • G01N33/50Chemical analysis of biological material, e.g. blood, urine; Testing involving biospecific ligand binding methods; Immunological testing
    • G01N33/53Immunoassay; Biospecific binding assay; Materials therefor
    • G01N33/569Immunoassay; Biospecific binding assay; Materials therefor for microorganisms, e.g. protozoa, bacteria, viruses
    • G01N33/56983Viruses
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K39/00Medicinal preparations containing antigens or antibodies
    • A61K2039/505Medicinal preparations containing antigens or antibodies comprising antibodies
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07KPEPTIDES
    • C07K2317/00Immunoglobulins specific features
    • C07K2317/20Immunoglobulins specific features characterized by taxonomic origin
    • C07K2317/21Immunoglobulins specific features characterized by taxonomic origin from primates, e.g. man
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07KPEPTIDES
    • C07K2317/00Immunoglobulins specific features
    • C07K2317/20Immunoglobulins specific features characterized by taxonomic origin
    • C07K2317/24Immunoglobulins specific features characterized by taxonomic origin containing regions, domains or residues from different species, e.g. chimeric, humanized or veneered
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07KPEPTIDES
    • C07K2317/00Immunoglobulins specific features
    • C07K2317/70Immunoglobulins specific features characterized by effect upon binding to a cell or to an antigen
    • C07K2317/76Antagonist effect on antigen, e.g. neutralization or inhibition of binding
    • GPHYSICS
    • G01MEASURING; TESTING
    • G01NINVESTIGATING OR ANALYSING MATERIALS BY DETERMINING THEIR CHEMICAL OR PHYSICAL PROPERTIES
    • G01N2333/00Assays involving biological materials from specific organisms or of a specific nature
    • G01N2333/005Assays involving biological materials from specific organisms or of a specific nature from viruses
    • G01N2333/08RNA viruses
    • G01N2333/145Rhabdoviridae, e.g. rabies virus, Duvenhage virus, Mokola virus or vesicular stomatitis virus
    • GPHYSICS
    • G01MEASURING; TESTING
    • G01NINVESTIGATING OR ANALYSING MATERIALS BY DETERMINING THEIR CHEMICAL OR PHYSICAL PROPERTIES
    • G01N2469/00Immunoassays for the detection of microorganisms
    • G01N2469/10Detection of antigens from microorganism in sample from host

Description

この技術は、基本的には、抗狂犬病抗体の調製とその使用に関する。具体的には、本技術は、狂犬病ウイルス中和抗体の調製と、狂犬病感染の予防および治療におけるそれらの使用に関する。
以下の記載は読み手の理解を促すために提供するものである。提供される情報または引用する参考文献はいずれも、その方法を先行技術として認めるものではない。
狂犬病は、ほぼ世界中に分布しているウイルス感染であり、主に野生および家で飼っている動物に影響を及ぼすものであるが、ヒトにも影響を与えるものである。感染は壊滅的な状況を引き起こし、治療を施さなければ、必ず致死的な脳炎を生じる。毎年、70,000人を上回るヒトが狂犬病感染で死亡し、さらに何百万人もの人々が曝露後の治療を必要としている。
狂犬病ウイルスは、ラブドウイルス科リッサウイルス属の、外被で覆われた一本鎖RNAウイルスである。狂犬病ウイルスのゲノムは、5つのタンパク質、すなわち、RNA依存性RNAポリメラーゼ(L);核タンパク質(N);リン酸化タンパク質(P);ウイルスタンパク質エンベロープの内側に局在しているマトリックスタンパク質(M);および外面糖タンパク質(G)をコードしている。Gタンパク質(62〜67kDa)は、505のアミノ酸からなるI型糖タンパク質である。Gタンパク質は2〜4つの潜在的N−グリコシル化部位を有し、ウイルスの系統に応じて、このうちの1つまたは2つだけがグリコシル化されている。Gタンパク質は、ビリオンエンベロープの外面を覆っている突起を形成し、また、ウイルス中和抗体の産生を誘導することが知られている(Gaudin et al .,1999を参照のこと)。
狂犬病感染は、受動的および能動的いずれの免疫化によっても治療または予防することができる。狂犬病の曝露後予防(PEP)には、局所的な創傷を迅速に治療することと、受動免疫(抗狂犬病免疫グロブリン)および能動免疫(ワクチン)両方の投与が含まれる。現在、抗狂犬病免疫グロブリン(RIG)は、ヒト対象(HRIG)またはウマ対象(ERIG)いずれかの血清から調製されている。しかしながら、これらの供給源に由来する免疫グロブリンの使用は、疾患の伝播、費用、およびウマ免疫グロブリンの場合には、アナフィラキシーショックのような副作用などのいくつかの問題をはらんでいる。これらの欠点を克服するために、曝露後の予防のために、狂犬病ウイルスを中和することが可能なモノクローナル抗体の使用が提唱されている。
当該分野においては、狂犬病ウイルス中和マウスモノクローナル抗体が知られている(Schumacher et al.,1989を参照のこと)。しかしながら、インビボでのマウス抗体の使用は、マウス抗体をヒトに投与することに関係する問題、例えば血清半減期が短いこと、特定のヒトエフェクター機能を誘導することができないこと、およびヒトにおいて、マウス抗体に対する望ましくない劇的な免疫応答が誘発されること(「ヒト抗マウス抗体」(HAMA)反応)によって制限されている。そこで現在、高い曝露後予防ポテンシャルを有する、新しいヒト狂犬病ウイルス中和モノクローナル抗体が必要とされている。狂犬病ワクチンと同時に投与される抗体が、ワクチンの抗原性を干渉してワクチンの効力を低下させないと都合が良い。
本技術は基本的に、狂犬病ウイルスの糖タンパク質に結合する狂犬病ウイルス中和抗体に関する。これらの抗体の利点の一つは、これらが、狂犬病ウイルスの感染力を低下させることが可能であるが、狂犬病ワクチンの効力は干渉しないということである。現在使用可能な狂犬病に対する中和抗体は、ウイルスを中和する時に、同時にワクチンの効力も阻害してしまう。その結果、通常の抗体の投与が制限され、そして、感染の最初の一週間の間、最低限の保護しかもたらさない。対照的に、本明細書に記載の抗体はこの問題を、ワクチン化の効力を干渉しない、優れた中和活性を示すことによって克服するものである。従って本抗体は、狂犬病ワクチンと併用して、急性感染の治療において使用することができ、ならびに長期間持続する免疫をもたらす。
一側面において本技術は、狂犬病ウイルスの糖タンパク質に結合する単離抗体を提供し、ここでこの抗体は、DYIML(配列番号56)、DIYPYYGSTSYNLKFKG(配列番号57)、QGGDGNYVLFDY(配列番号58)、GFAMS(配列番号59)、TISSGGTYTYSPDSVMG(配列番号60)、およびRLRRNYYSMDY(配列番号61)からなる群より選択される重鎖CDRアミノ酸配列、または、1つ以上の同類アミノ酸置換を有するその変異体を1つ以上含み;およびこの抗体は、KASQNVGTTVA(配列番号62)、SASYRYS(配列番号63)、QQYNSYPFT(配列番号64)、KSTKSLLNSDGFTYLD(配列番号65)、LVSNRFS(配列番号66)、およびFQSNYLPFT(配列番号67)からなる群より選択される軽鎖CDRアミノ酸配列、または1つ以上の同類アミノ酸置換を有するその変異体を1つ以上含む。
一態様においてこの抗体は、DYIML(配列番号56)、DIYPYYGSTSYNLKFKG(配列番号57)、およびQGGDGNYVLFDY(配列番号58)の重鎖CDR配列を含み、かつ、KASQNVGTTVA(配列番号62)、SASYRYS(配列番号63)、およびQQYNSYPFT(配列番号64)の軽鎖CDR配列を含む。一態様においてこの抗体は、GFAMS(配列番号59)、TISSGGTYTYSPDSVMG(配列番号60)、およびRLRRNYYSMDY(配列番号61)の重鎖CDR配列を含み、かつ、KSTKSLLNSDGFTYLD(配列番号65)、LVSNRFS(配列番号66)、およびFQSNYLPFT(配列番号67)の軽鎖CDR配列を含む。
一側面において本技術は、狂犬病ウイルスの糖タンパク質に結合する単離抗体を提供し、ここでこの抗体は、CGMCC受入番号4805および4806からなる群より選択されるハイブリドーマ細胞株によって生産される抗体と同じ抗原結合特異性を有する。
一態様においてこの抗体は、狂犬病ウイルスの感染力を下げることが可能で有り、かつ、狂犬病ワクチンの免疫原性を干渉しない。一態様においてこの抗体は、モノクローナル抗体、マウス抗体、キメラ抗体、およびヒト化抗体からなる群から選択される。
一態様において本技術は、RVNA抗体または1つ以上のRVNA抗体の混合物と薬学上許容可能な担体とを含む医薬組成物を提供する。一態様において医薬組成物は抗体の混合物を含み、ここで第1の抗体はDYIML(配列番号56)、DIYPYYGSTSYNLKFKG(配列番号57)、およびQGGDGNYVLFDY(配列番号58)の重鎖CDR配列を含み:およびKASQNVGTTVA(配列番号62)、SASYRYS(配列番号63)、およびQQYNSYPFT(配列番号64)の軽鎖CDR配列を含み;ならびに第2の抗体はGFAMS(配列番号59)、TISSGGTYTYSPDSVMG(配列番号60)、およびRLRRNYYSMDY(配列番号61)の重鎖CDR配列を含み:およびKSTKSLLNSDGFTYLD(配列番号65)、LVSNRFS(配列番号66)、およびFQSNYLPFT(配列番号67)の軽鎖CDR配列を含む。
一態様において本技術は、それを必要とする対象の狂犬病感染の治療に用いる薬物の製造における本明細書に記載のRVNA抗体の使用を提供する。一態様において抗体は、狂犬病ウイルスの感染力を低下するが、狂犬病ワクチンの免疫原性を干渉しない。
一態様において本技術は、有効量の本明細書に記載の1種類以上のRVNA抗体を、それを必要とする対象に投与することを含む、狂犬病感染の治療法を提供する。一態様では、抗体は、狂犬病ワクチンよりも前に、後に、または狂犬病ワクチンと同時に投与される。一態様において抗体は、抗狂犬病免疫グロブリンよりも前に、後に、または抗狂犬病免疫グロブリンと同時に、対象に投与される。
一側面において本技術は、それを必要とする対象の狂犬病感染を治療するためのキットを提供し、このキットは、狂犬病ウイルスの糖タンパク質に結合する1種類以上の抗体と、この抗体の使用説明書を含み、ここでこの抗体は、DYIML(配列番号56)、DIYPYYGSTSYNLKFKG(配列番号57)、QGGDGNYVLFDY(配列番号58)、GFAMS(配列番号59)、TISSGGTYTYSPDSVMG(配列番号60)、およびRLRRNYYSMDY(配列番号61)からなる群より選択される重鎖CDRアミノ酸配列または1つ以上同類アミノ酸置換を有するその変異体、の1つ以上を含み;およびこの抗体は、KASQNVGTTVA(配列番号62)、SASYRYS(配列番号63)、QQYNSYPFT(配列番号64)、KSTKSLLNSDGFTYLD(配列番号65)、LVSNRFS(配列番号66)、およびFQSNYLPFT(配列番号67)からなる群より選択される軽鎖CDRアミノ酸配列または1つ以上同類アミノ酸置換を有するその変異体、の1つ以上を含む。
一側面において本技術は、狂犬病ウイルスの糖タンパク質に結合する抗体とこの抗体の使用説明書を含む、試料に含まれる狂犬病ウイルスを検出するためのキットを提供し、ここでこの抗体は、DYIML(配列番号56)、DIYPYYGSTSYNLKFKG(配列番号57)、QGGDGNYVLFDY(配列番号58)、GFAMS(配列番号59)、TISSGGTYTYSPDSVMG(配列番号60)、およびRLRRNYYSMDY(配列番号61)からなる群より選択される重鎖CDRアミノ酸配列、または1つ以上同類アミノ酸置換を有するその変異体、の1つ以上を含み;かつ、この抗体は、KASQNVGTTVA(配列番号62)、SASYRYS(配列番号63)、QQYNSYPFT(配列番号64)、KSTKSLLNSDGFTYLD(配列番号65)、LVSNRFS(配列番号66)、およびFQSNYLPFT(配列番号67)からなる群より選択される軽鎖CDRアミノ酸配列、または1つ以上の同類アミノ酸置換を有するその変異体、の1つ以上を含む。一態様では、抗体は、1つ以上検出可能な標識と結合している。一態様においてこのキットは、狂犬病ウイルスの糖タンパク質抗体に特異的に結合する第2の抗体をさらに含む。一態様において第2の抗体は、1つ以上の検出可能な標識に結合している。
別の側面において本技術は、本明細書に記載のRVNA抗体をコードしている核酸を提供する。一層さらに別の側面において本技術は、本明細書に記載のRVNA抗体をコードしている単離核酸を含む宿主細胞を提供する。
5種類の例示的な狂犬病ウイルス中和抗体(RVNA)の、RV糖タンパク質への結合曲線の例を示す図である。 5種類のRVNAが、狂犬病ウイルス糖タンパク質(RVGP)の線状エピトープまたは立体的エピトープを認識することを示しているウェスタンブロットである。レーンは以下の通りである:レーン1:還元RVGP(50μL)と7G11A3;レーン2:還元RVGP(5μL)と7G11A3;レーン3:非還元RVGP(5μL)と7G11A3;レーン4:還元RVGP(50μL)と5A1C10;レーン5:還元RVGP(5μL)と5A1C10;レーン6:非還元RVGP(5μL)と5A1C10;レーン7:還元RVGP(50μL)と6F11C1;レーン8:還元RVGP(5μL)と6F11C1;レーン9:非還元RVGP(5μL)と6F11C1;レーン10:還元RVGP(50μL)と3H10D3;レーン11:還元RVGP(5μL)と3H10D3;レーン12:非還元RVGP(5μL)と3H10D3;レーン13:還元RVGP(50μL)と3D11E3;レーン14:還元RVGP(5μL)と3D11E3;レーン15:非還元RVGP(5μL)と3D11E3。 図3の一連の図は間接的CLEIAの結果例であり、5種類の例示的なRVNAが、それぞれ別の界面活性剤で処理した狂犬病ウイルスの糖タンパク質に結合していることを示している。図3A:3D11E3のRV糖タンパク質に対する結合能。 3H10D3のRV糖タンパク質に対する結合能。 5A1C10のRV糖タンパク質に対する結合能。 6F11C1のRV糖タンパク質に対する結合能。 7G11A3のRV糖タンパク質に対する結合能。 図4の一連の図では、マウス中和試験(MNT)において、様々な狂犬病ウイルスを接種したマウスの生存率(%)を示している。図4A:YNI(ヒト)。 DRV(シカ)。 HN35(ヒト)。 SC−CD09(イヌ)。 GN07(イヌ)。 ZJ−HZ09(イヌ)。 BD06(イヌ)。 JX08−45(アナグマ)。 JX09−27(アナグマ)。 ZJ−LA(アナグマ)。 図5の一連の図では、CLEIAフォーマットを用いて行った競合実験の結果の組の例を示している。RVNAである3D11E3、3H10D3、5A1C10、6F11C1および7G11A3を互いに、狂犬病ウイルスの糖タンパク質(RVGP)への結合に関して競合させた。5種類の例示的なRVNAを、3D11E3−HRPと競合させた状態で糖タンパク質に結合させた。 5種類の例示的なRVNAを、3D11E3−HRPと競合させた状態で糖タンパク質に結合させた。 5種類の例示的なRVNAを、3D11E3−HRPと競合させた状態で糖タンパク質に結合させた。 5種類の例示的なRVNAを、3H10D3−HRPと競合させた状態で糖タンパク質に結合させた。 5種類の例示的なRVNAを、3H10D3−HRPと競合させた状態で糖タンパク質に結合させた。 5種類の例示的なRVNAを、3H10D3−HRPと競合させた状態で糖タンパク質に結合させた。 5種類の例示的なRVNAを、5A1C10−HRPと競合させた状態で糖タンパク質に結合させた。 5種類の例示的なRVNAを、5A1C10−HRPと競合させた状態で糖タンパク質に結合させた。 5種類の例示的なRVNAを、5A1C10−HRPと競合させた状態で糖タンパク質に結合させた。 5種類の例示的なRVNAを、6F11C1−HRPと競合させた状態で糖タンパク質に結合させた。 5種類の例示的なRVNAを、6F11C1−HRPと競合させた状態で糖タンパク質に結合させた。 5種類の例示的なRVNAを、6F11C1−HRPと競合させた状態で糖タンパク質に結合させた。 5種類の例示的なRVNAを、7G11A3−HRPと競合させた状態で糖タンパク質に結合させた。 5種類の例示的なRVNAを、7G11A3−HRPと競合させた状態で糖タンパク質に結合させた。 5種類の例示的なRVNAを、7G11A3−HRPと競合させた状態で糖タンパク質に結合させた。 図6の一連の図では、ワクチンを接種していないBALB/cマウスでの血清RVNAの力価を示している。各処理群のマウス(一群あたりn=6)に狂犬病ワクチンを接種し、0日目に以下のウイルスを接種した。1、3、7、14および28日目に、マウス眼窩から血液を採取し、6匹のマウスの血清を、各群につき3つの血清として混合した。各血清試料のRVNA力価を迅速蛍光フォーカス阻害試験(rapid fluorescent focus ingibition test)で決定し、力価の幾何平均を算出して時間に対してプロットした。長い線は平均を、短い線は最大値と最小値をそれぞれ表している。図6Aでは50μg用量の7G11A3を投与した結果を示す。 50μg用量の3D11E3を投与した結果。 50μg用量の3H10D3を投与した結果。 20IU/kgのヒト狂犬病免疫グロブリン(HRIG)を投与した結果。 対照群のマウスにRabipur(登録商標)ワクチンのみを接種した結果。 狂犬病ウイルス(BD06)を接種したシリアンハムスター(各群あたりn=10)のカプラン・マイヤー生存曲線を示す図である。 発現ベクターpCH1A9の模式図である。 CTのSDS−PAGE解析である。RV 3D11E3 1A9(レーン1)、Ch1A9(レーン2)、Hu1A9−1(レーン3)およびHu1A9−2(レーン4)抗体。Invitrogen SeeBlue(登録商標)Plus2 Prestained Standard(Invitrogen、グランドアイランド、NY、米国;Cat#LC5925)を分子量マーカーとして使用した(レーン5)。 Ch1A9、Hu1A9−1およびHu1A9−2抗体の、不活性化狂犬病ウイルスワクチン(Rabipur(登録商標)、Chiron Behring GmbH&Co.、リーダーバッハ、ドイツ)に対する結合を示しているELISA解析の図である。 発現ベクターpCh2G11の模式図である。 CTのSDS−PAGE解析である。RV 7G11A3 1H5(レーン2)、Ch2G11(レーン3)、Hu2G11−1(レーン4)およびHu2G11−2(レーン5)抗体。試料(各5μg)を還元条件で、4−20%のSDS−PAGEゲルで泳動した。Invitrogen SeeBlue(登録商標)Plus2 Prestained Standard(Invitrogen、グランドアイランド、NY、米国;Cat#LC5925)を分子量マーカーとして使用した(レーン1)。HおよびLはそれぞれ、重鎖と軽鎖を表している。 Ch2G11、Hu2G11−1およびHu2G11−2抗体の、不活性化狂犬病ウイルスワクチン(Rabipur(登録商標)、Chiron Behring GmbH&Co.、リーダーバッハ、ドイツ)に対する結合を示している競合ELISAの図である。ELISAプレートをRabipur(登録商標)でコーティングした。マウス7G11A3 1H5のRabipur(登録商標)に対する結合を、各種濃度のCh2G11、Hu2G11−1またはHu2G11−2存在下で試験した。結合したマウス7G11A3 1H5を、HRP結合型ヤギ抗マウスIgG、Fcγ鎖特異的、ヒトIgG吸収型、ポリクローナル抗体で検出した。 Ch2G11、Hu2G11−1およびHu2G11−2抗体の、不活性化狂犬病ウイルスワクチン(Rabipur(登録商標)、Chiron Behring GmbH&Co.、リーダーバッハ、ドイツ)に対する結合に関して行ったELISA解析の図である。ELISAプレートを2.5μg/mlのCh2G11、Hu2G11−1またはHu2G11−2でコーティングした。コーティングした抗体によって補足されたRabipur(登録商標)をHRP結合型3D10で検出した。 ELISAプレートを1.0μg/mlのCh2G11、Hu2G11−1またはHu2G11−2でコーティングした。コーティングした抗体によって補足されたRabipur(登録商標)をHRP結合型3D10で検出した。 図15の一連の図では、CLEIAで決定した、ヒト化およびキメラRVNAである2G11のRV糖タンパク質に対する結合曲線を示している。キメラおよびヒト化2G11をそれぞれ、補足抗体および検出抗体として使用した。糖タンパク質を1:50、1:100、1:200、1:400、1:800および1:1600に希釈し、その後、マイクロプレートに加えた。マウスRV 3D10−HRPおよびマウス抗ヒトIgG−HRPを酵素結合型として使用した。化学発光のシグナルを相対発光強度(RLU)で示している。図15Aでは7G11A32G11の捕捉活性を示している。 7G11A32G11の捕捉活性。 7G11A32G11の捕捉活性。 7G11A32G11の検出活性。 7G11A32G11の検出活性。 7G11A32G11の検出活性。 図16では、CLEIAで決定した、ヒト化、キメラ、およびマウス1A9 RVNAの、RV糖タンパク質に対する一連の結合曲線である。キメラおよびヒト化1A9はそれぞれ、補足抗体および検出抗体として使用した。糖タンパク質を1:50、1:100、1:200、1:400、1:800および1:1600に希釈し、その後、マイクロプレートに加えた。マウスRV 3D10−HRPおよびマウス抗ヒトIgG−HRPを酵素コンジュゲートとして使用した。化学発光のシグナルを相対発光強度(RLU)で示している。図16Aでは3D11E31A9の捕捉活性を示している。 3D11E31A9の捕捉活性。 3D11E31A9の捕捉活性。 3D11E31A9の捕捉活性。 3D11E31A9の捕捉活性。 3D11E31A9の検出活性。 3D11E31A9の検出活性。 3D11E31A9の検出活性。 3D11E31A9の検出活性。 3D11E31A9の検出活性。 図17の一連の図では、MNT実験におけるBALB/Cマウスの生存率(%)を示している。0〜21日目のカプラン・マイヤー生存曲線を示す。図17Aでは7G11A32G11を投与した場合の生存率を示す。 7G11A32G11を投与した場合の生存率。 7G11A32G11を投与した場合の生存率。 3D11E31A9を投与した場合の生存率。 3D11E31A9を投与した場合の生存率。 3D11E31A9を投与した場合の生存率。 図18の一連の図では、1日目に狂犬病RV(BD06)を接種したシリアンハムスター(各群あたりn=5)の生存率を示している。0〜28日目のカプラン・マイヤー生存曲線を示す。図18Aではキメラおよびヒト化7G11A32G11を投与した場合の結果を示す。 キメラおよびヒト化3D11E31A9を投与した場合の結果。 図19の一連の図では、ウイルスを接種していないBALB/cマウスの血清RVNAの力価を示している。各処理群のマウス(各群あたりn=8)に狂犬病ワクチンを接種し、(1)では0日目に、5000IU/kgのHu2G11−1/Hu1A9−2混合物を接種した。 (2)では0日目に、1000IU/kgのHu2G11−1/Hu1A9−2混合物を接種した。 (3)では0日目に、200IU/kgのHu2G11−1/Hu1A9−2混合物を接種した。 (4)では0日目に、20IU/kgのヒト狂犬病免疫グロブリン(HRIG)を接種した。 (5)はワクチンのみを接種した対照のマウスの結果である。 (6)はPBSのみを与えた陰性対照のマウスの結果である。 シリアンハムスターにおける、RVNA混合物と、HRIGおよびワクチンの比較を示す図である。
本技術の1つ以上の態様を、以下に記載の説明の中で詳述する。本方法の実践には、分子生物学、タンパク質生化学、細胞生物学、免疫学、微生物学および組換えDNAの、多くの標準的な技術が用いられる。これらの技術はよく知られており、かつ、例えば、Current Protocols in Molecular Biology,Vols.I−III,Ausubel編(1997);Sambrook et al.,Molecular Cloning: A Laboratory Manual,第二版(Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,NY,1989);DNA Cloning: A Practical Approach,Vols.IおよびII,Glover編(1985);Oligonucleotide Synthesis,Gait編(1984);Nucleic Acid Hybridization,Hames & Higgins編(1985);Transcription and Translation,Hames & Higgins編(1984);Animal Cell Culture,Freshney編(1986);Immobilized Cells and Enzymes (IRL Press,1986);Perbal,A Practical Guide to Molecular Cloning;Meth.Enzymol.シリーズ(Academic Press,Inc.,1984);Gene Transfer Vectors for Mammalian Cells,Miller & Calos編(Cold Spring Harbor Laboratory,NY,1987);ならびにMeth.Enzymol.,Vols.154 and 155,Wu & Grossman,and Wu編のそれぞれで説明されている。遺伝子発現産物ポリペプチドのレベル(すなわち遺伝子の転写レベル)を検出・測定するための方法は当該分野においてよく知られており、かつ、抗体の検出・定量法などのポリペプチド検出方法の使用を含む(Strachan & Read,Human Molecular Genetics,第二版(John Wiley and Sons,Inc.,NY,1999)もまた参照のこと)。
別段の定義のない限り、本明細書で用いられる全ての技術的および科学的な用語は基本的に、この技術が属する分野の当業者が一般的に理解するものと同じ意味を有する。本明細書および添付の特許請求の範囲で用いられる場合、単数の「ある」、「ひとつ」および「その」は、文脈からそうでないことが明かでない限り、複数の指示物も含む。例えば、「ある細胞」に関する言及は、2つ以上の細胞の組み合わせなども含む。通常、本明細書で用いられる命名法および以下に説明する細胞培養、分子遺伝学、有機化学、分析化学および核酸化学およびハイブリダイゼーションの実験手順は当該分野ではよく知られており、一般的に用いられているものである。本明細書で使用される特定の用語の定義を以下に示す。他の用語の定義は、Illustrated Dictionary of Immunology,第二版(Cruse,J.M. and Lewis,R.E.,Eds.,Boca Raton,FL:CRC Press,1995)に見ることができるだろう。
本明細書で使用する場合、薬剤または薬物の対象への「投与」には、対象に化合物を導入または送達し、目的の機能を果たすためのいかなる経路も含まれる。投与は、経口、経鼻、非経口(静脈内、筋内、腹膜内、または皮下)、直腸内、頭蓋内、髄腔内、または局所を含む、任意の好適な経路で行うことができる。投与には、自己投与および他者による投与が含まれる。
本明細書で使用する場合、用語「アミノ酸」には、天然に存在するアミノ酸および合成アミノ酸、ならびに天然に存在するアミノ酸と同様の様式で機能するアミノ酸類似体およびアミノ酸模倣物が含まれる。天然に存在するアミノ酸は遺伝安藤によってコードされているアミノ酸であり、ならびにその後、修飾されるアミノ酸である(例えば、ヒドロキシプロリン、γ−カルボキシグルタミン酸、およびO−ホスホセリン)。アミノ酸類似体は、天然に存在するアミノ酸と同じ基本化学構造(つまり水素、カルボキシル基、アミノ基、およびR基に結合しているα炭素)を有する化合物、例えば、ホモセリン、ノルロイシン、メチオニン−スルホキシド、メチオニン−メチル−スルホニウムを指す。このような類似体は変化したR基(例えば、ノルロイシン)または変化したペプチド骨格を有するが、天然に存在するアミノ酸と同じ基本化学構造を維持している。アミノ酸模倣物とは、アミノ酸に一般的な化学構造とは異なる構造を有する化合物であるが、天然に存在するアミノ酸と同様の様式で機能する化合物を指す。本明細書においてアミノ酸は、一般的に知られている3文字の符号またはIUPAC−IUBの生化学的命名法に関する委員会によって推奨されている1文字の符号のいずれによっても示され得る。同様にヌクレオチドも一般的に受け入れられている1文字コードで示され得る。
本明細書で使用する場合、用語「抗体」は、抗原、例えば、狂犬病糖タンパク質に特異的に結合し、かつ、認識する、免疫グロブリン遺伝子由来のフレームワーク領域またはその断片を含むポリペプチドを意味する。抗体という用語の使用は、一本鎖完全長抗体を含む完全長抗体、およびその抗原−結合断片を含むことを意図している。「抗体」という用語には、それらが所望の生物学的活性または機能を示す限り、二重特異性抗体および多重特異性抗体も含まれる。抗体という用語はまた、一本鎖抗体を含む抗原結合抗体断片も指し、抗原結合断片は、可変領域のみ、またはポリペプチドの構成要素である抗体分子のヒンジ領域、CH1、CH2、およびCH3ドメインと可変領域の組み合わせを含む場合がある。本技術には、可変領域と、ヒンジ領域、CH1、CH2、およびCH3ドメインとのいかなる組み合わせも含まれる。本方法で有用な抗体関連分子には、これらには限定されないが、例えばFab、Fab’およびF(ab’)2、Fd、一本鎖Fvs(scFv)、一本鎖抗体、ジスルフィド結合したFvs(sdFv)およびVLまたはVHドメインのいずれかを含む断片がある。例としては、(i)Fab断片、VL、VH、CLおよびCH1ドメインからなる一価の断片;(ii)F(ab’)2断片、ヒンジ領域のジスルフィド結合で架橋された2つのFab断片を含む二価の断片;(iii)VHおよびCH1ドメインからなるFd断片;(iv)抗体の単一のアームのVLおよびVHドメインからなるFv断片、(v)VHドメインからなるdAb断片(Ward et al.,Nature 341:544−546、1989);および(vi)単離した相補性決定領域(CDR)が挙げられる。そのような「抗体断片」は、完全長抗体の一部分、基本的には抗原結合領域またはその可変領域、を含む場合がある。抗体断片の例としては、Fab、Fab’、F(ab’)2、およびFv断片;ディアボディ;線状抗体;一本鎖抗体分子;および抗体断片から形成される多重特異性抗体が挙げられる。一本鎖抗体分子は、個々の分子をいくつか含む重合体、例えば、二量体、三量体または他の重合体を含む場合がある。
本明細書で使用する場合、用語「キメラ抗体」は、1種に由来するモノクローナル抗体のFc定常領域(例えば、マウスFc定常領域)が、組換えDNA技術によって、別の種の抗体に由来するFc定常領域(例えば、ヒトFc定常領域)と置き換えられている抗体を意味する。
本明細書で使用する場合、用語「エピトープ」は、抗体に対して特異的に結合することが可能なタンパク質決定因子を意味する。エピトープは一般に、分子、例えばアミノ酸または糖側鎖の表面にある化学的に活性な基からなり、かつ、一般的に、特異的な三次元構造の特徴を、ならびに特異的電荷特徴を有している。立体的エピトープと非立体的エピトープは、変性溶媒の存在下では前者への結合が失われるが後者への結合は失われないと言う点で区別される。一態様では、狂犬病ウイルス糖タンパク質の「エピトープ」とは、そこに本技術の抗狂犬病抗体が特異的に結合するタンパク質のある領域のことである。
本明細書で使用する場合、用語、組成物の「有効量」または「薬学的有効量」または「治療上有効量」とは、所望の治療効果および/または予防効果を達成するのに、例えば、治療中の疾患に関連がある症状を、例えば狂犬病感染を、予防または軽減するのに十分な量である。対象に投与される本技術の組成物の量は、疾患の種類および重篤度、対象の特徴、例えば総体的な健康、年齢、性別、体重および薬物への耐用度によって多様になる。これらの要因や他の要因に応じて、当業者であれば適切な用量を決定することができる。本技術の組成物はまた、1つ以上の別の治療用化合物と組み合わせて投与することもできる。例えば、本技術の組成物を、狂犬病ウイルスに曝された対象の曝露後予防に組み込んでもよく、また、当該分野において知られている抗治療薬、例えば抗狂犬病ワクチンと組み合わせて投与してもよい。本技術の抗体は、精製初代鶏胎児細胞ワクチン(PCECV;RabAvert(登録商標)、Novartis、バーゼル、スイス;Rabipur(登録商標)、Chiron Behring GmbH&Co.、リーダーバッハ、ドイツ)、ヒト二倍体細胞由来ワクチン(HDCV;Imovax(登録商標)、Sanofi Pasteur、スウィフトウォーター、ペンシルバニア、米国)、吸着型狂犬病ワクチン(RVA)、およびヒト狂犬病免疫グロブリン(HRIG)を含むがこれらには限定されない狂犬病ワクチンと組み合わせて投与するのに適している。いくつかの態様では、「有効量」は、狂犬病ウイルスを部分的にまたは完全に中和するのに有効な、本技術の抗狂犬病抗体の量を指す。
本明細書で使用する場合、用語「狂犬病」とは、モノネガウイルス目、ラブドウイルス科、リッサウイルス属のウイルスを指す。リッサウイルスはらせん対称であり、長さが約180nm、横断面の直径が約75nmである。これらのウイルスは外皮に覆われており、かつ、アンチセンスの一本鎖RNAゲノムを有している。遺伝情報はリボ核タンパク質複合体としてパッケージングされており、この中でRNAはウイルスの核タンパクに密に結合している。ウイルスのRNAゲノムは5つの遺伝子をコードしており、その順序、核タンパク質(N)、リン酸化タンパク質(P)、マトリックスタンパク質(M)、糖タンパク質(G)およびウイルスRNAポリメラーゼ(L)と高度に保存されている。
本明細書で使用する場合、用語、非ヒト(例えば、マウス)抗体の「ヒト化」形態とは、非ヒト免疫グロブリン由来の最少配列を含むキメラ抗体である。たいていの場合、ヒト化抗体は、レシピエントの超可変領域残基が、ヒト以外の種(ドナー抗体)、例えばマウス、ラット、ウサギまたは所望の特異性、親和性、および結合能を有する非ヒト霊長類由来の超可変領域残基で置き換えられているヒト免疫グロブリンである。いくつかの例では、ヒト免疫グロブリンのFvフレームワーク領域(FR)残基が、相当する非ヒト残基で置き換えられている。さらに、ヒト化抗体は、レシピエント抗体においてもドナー抗体においても見出されない残基を含む場合がある。これらの修飾は、抗体の性能、例えば結合親和性をより高めるために施される。通常ヒト化抗体は、実質的に全ての可変ドメインのうちの少なくとも1つ、典型的には2つを含み、この可変ドメインの全てまたは実質的に全ての超可変ループが非ヒト免疫グロブリンのそれに対応し、全てまたは実質的に全てのFR領域がヒト免疫グロブリン配列であるが、FR領域は、結合親和性を向上させるアミノ酸置換を1つ以上含み得る。FRにおけるこれらアミノ酸置換の数は、典型的には、H鎖中に6つ以下、L鎖中に3以下である。ヒト化抗体は場合により、少なくとも免疫グロブリン定常領域(Fc)、典型的にはヒト免疫グロブリンの免疫グロブリン定常領域の、一部を含み得る。より詳しくは、Jones et al.,Nature3 21:522−525(1986);Reichmann et al.,Nature 332:323−329(1988);およびPresta、Curr。Op。Struct。Biol。2:593−596(1992)を参照のこと。
本明細書で使用する場合、用語「超可変領域」とは、抗体の、抗原結合を担うアミノ酸残基を指す。超可変領域は通常、「相補性決定領域」または「CDR」由来のアミノ酸残基(例えば、VLの約残基24−34(L1)、50−56(L2)および89−97(L3)あたり、およびVHの約31−35B(H1)、50−65(H2)および95−102(H3)あたり(Kabat et al., Sequences of Proteins of Immunological Interest,第五版、Public Health Service, National Institutes of Health, Bethesda, MD. (1991))および/または「超可変ループ」由来のアミノ酸残基(例えば、VLの26−32(L1)、50−52(L2)および91−96(L3)番目の残基、およびVHの26−32(H1)、52A−55(H2)および96−101(H3)(Chothia and Lesk J. Mol. Biol. 196:901−917 (1987)))を含む。
本明細書で使用する場合、2つ以上の核酸またはポリペプチド配列に関して使用される用語「同一」またはパーセント「同一性」は、比較ウインドウまたは所定の領域の最大一致に関して比較および整列させた時に(BLASTまたはBLAST 2.0配列比較アルゴリズムで、以下に記載する規定値を使って測定する、または手動で配列させて可視化させた場合に、例えば、NCBIのウェブサイトを参照のこと)した場合に、2つ以上の配列もしくはサブ配列が同じであること、または特定のパーセンテージの同じアミノ酸残基もしくはヌクレオチド(つまり、特定の領域(例えば、本明細書に記載の抗体をコードしているヌクレオチド配列または本明細書に記載の抗体のアミノ酸配列)に関して約60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、またはより高い同一性)を有していることを指す。ひいてはそのような配列は、「実質的に同一である」と賞される。この用語はまた、試験配列の相補鎖を指すか、または相補鎖に適用することもできる。この用語はさらに、欠損および/または付加、ならびに置換を有する配列をも含む。以下に記載するように、アルゴリズムはギャップなどを考慮することができる。いくつかの態様では、アミノ酸またはヌクレオチドの長さにして少なくとも約25、またはアミノ酸またはヌクレオチドの長さにして50〜100の領域にかけて同一性が存在する。
「単離した」または「精製した」ポリペプチドまたはその生物学的に活性な一部分は、そのポリペプチドの供給源となった細胞または組織に由来する細胞成分または他の混入ポリペプチドを実質的に含まず、または、化学的に合成した場合には、化学的前駆体または他の化学物質を実質的に含まない。例えば、単離した抗狂犬病抗体は、その薬剤の診断的なまたは治療上の使用を干渉し得る成分を含まない。そのような干渉性の成分には、酵素、ホルモンおよび他のタンパク質性のおよび非タンパク質性の溶質が含まれる。あるいは、本技術の抗狂犬病抗体と免疫反応する単離した狂犬病糖タンパク質は、このポリペプチドの診断的なまたは治療上の使用を干渉し得る成分を実質的に含まない。
本明細書で使用する場合、用語「免疫学的に交差反応する」と「免疫学的に反応性」は同じ意味で用いられ、同じ(「免疫学的に反応性」)または異なる(「免疫学的に交差反応する」)抗原から生成された抗体に特異的に反応する抗原を意味する。通常この抗原は、狂犬病糖タンパク質、変異体またはそのサブ配列である。
本明細書で使用する場合、用語「免疫学的に反応性の条件」とは、抗体、抗原の特定のエピトープに対して生成された抗体がそのエピトープに、その抗体が実質的に他の全てのエピトープに結合するよりも検出可能な程度に高い度合いで結合する、一般的には、バックグラウンドの結合よりも少なくとも2倍、またはバックグラウンドよりも少なくとも5倍高い度合いで結合する条件を指す。免疫学的に反応性の条件は抗体結合反応のフォーマットに依存し、また典型的には、免疫アッセイの手順で用いられるプロトコールである。免疫アッセイのフォーマットおよび条件については、Harlow & Lane, Antibodies,A Laboratory Manual(Cold Spring Harbor Publications,New York,1988)を参照のこと。
本明細書で使用する場合、用語「医学的状態」には、これらには限定されないが、例えば、1つ以上の身体的な症状および/または心理的な症状として顕在化し、治療および/または予防が望まれる全ての状態または疾患を含み、また、既に同定されているおよび新たに同定した疾患および他の障害が含まれる。例えば、医学的状態は狂犬病感染であってよい。
本明細書で使用する場合、用語「モノクローナル抗体」は、実質的に均一な抗体集団から得られた抗体、つまり、天然に発生しうる突然変異が少量含まれ得る点を除けば、集団を構成している個々の抗体が同一であることを指す。例えば、モノクローナル抗体は、任意の原核、真核、またはファージクローンなどの単一のクローンに由来する抗体であり、それらが生産された方法ではない場合もある。モノクローナル抗体の組成物は、単一の結合特異性と、特定のエピトープに対する親和性を示す。モノクローナル抗体は高度に特異的で、抗原の単一の部位を標的とする。さらに、通常、異なる決定基(エピトープ)に対する異なる抗体を含む標準的な(ポリクローナル)抗体調整物とは対照的に、モノクローナル抗体はそれぞれ、ある抗原の単一の決定基を標的としている。「モノクローナル」という修飾語は、実質的に均一な抗体集団から得られたことによる抗体の性質を示しており、抗体が、任意の特定の方法によって産生される必要があるとは解釈されない。モノクローナル抗体は、例えば、これらには限定されないが、ハイブリドーマ、組換え、およびファージディスプレイ技術を含む、当該分野で知られている多様な技術によって調製することができる。例えば、本方法に従って使用されるモノクローナル抗体を、Kohler et al.,Nature 256:495(1975)によって最初に記載されたハイブリドーマ法によって生成してもよく、または組換えDNA法によって生成してもよい(例えば、米国特許第4,816,567号を参照のこと)。また、「モノクローナル抗体」を例えば、Clackson et al.,Nature 352:624−628(1991)およびMarks et al.,J.Mol.Biol.222:581−597(1991)によって記載された技術を用いて、ファージ抗体ライブラリーから単離することもできる。
本明細書で使用する場合、用語「ポリクローナル抗体」は、少なくとも2種類の異なる抗体産生細胞株に由来する抗体の調製物を意味する。この用語を使用には、抗原の異なるエピトープまたは領域に特異的に結合する抗体を含む、少なくとも2種類の抗体の調整物が含まれる。
本明細書で使用する場合、用語「ポリペプチド」、「ペプチド」および「タンパク質」は、本明細書では同じ意味で用いられ、ペプチド結合または修飾されたペプチド結合で互いが結合した、2つ以上のアミノ酸を含む重合体、つまりペプチド同配体を意味している。ポリペプチドは、一般的に、ペプチド、糖ペプチドまたはオリゴマーと呼ばれている単鎖ポリペプチドと、通常タンパク質と呼ばれている長鎖ポリペプチドの両方を指す。ポリペプチドには、20種類の、遺伝子によってコードされているアミノ酸以外のアミノ酸が含まれ得る。ポリペプチドには、天然に起こる過程(例えば翻訳後過程)または、当該分野において周知である化学修飾過程によって修飾されたアミノ酸配列も含まれる。そのような修飾は、標準的な教科書、より専門的な研究書、および多くの論文で詳しく説明されている。特定の態様では、ポリペプチドは、狂犬病抗体タンパク質由来のポリペプチド配列を含む。
本明細書で使用する場合、「曝露後予防」または「PEP」は、狂犬病にかかっている動物に曝露した可能性のある人物に適応される治療計画を指す。曝露の可能性としては、動物のかみつきなどを含む咬傷による曝露(つまり歯による皮膚の貫通のいずれも)、および非咬傷性曝露が含まれる。PEPには典型的に、抗狂犬病抗体を、狂犬病ワクチン(例えば精製ニワトリ胚細胞由来(PCEC)ワクチン(RabAvert(登録商標)、Novartis、バーゼル、スイス;Rabipur(登録商標)、Chiron Behring GmbH&Co.、リーダーバッハ、ドイツ)、ヒト二倍体細胞由来ワクチン(HDCV;Imovax(登録商標)、Sanofi Pasteur、スウィフトウォーター、ペンシルバニア、米国)、吸着型狂犬病ワクチン(RVA))と合わせて投与することが含まれる。PEPには、ヒト狂犬病免疫グロブリン(HRIG)、過免疫ヒトドナーの血漿に由来する濃縮抗狂犬病γグロブリンの投与が含まれることが多い。HRIGは、狂犬病ウイルスに曝露した後に、対象に投与される、一般的な免疫剤である。
本明細書で使用する場合、指示内容、例えば、細胞、核酸、タンパク質、またはベクターと共に用いられるときの用語「組換え」とは、その細胞核酸、タンパク質またはベクターが、異種核酸もしくはタンパク質の導入または天然の核酸またはタンパク質を変化させることによって修飾されていること、またはその材料がそのように修飾された細胞に由来するものであることを表している。従って、例えば組換えは、細胞天然の状態(非組換え)の細胞では見られない遺伝子を発現している、または、そうでなければ発現が異常となる天然の遺伝子を発現しているか、あるいは全く発現していない。
本明細書で使用する場合、用語「特異的結合」は、結合親和性が少なくとも10-6Mの、抗狂犬病抗体と抗原の接触を意味する。いくつかの態様において抗体は、少なくとも約10-7M、10-8M、10-9M、10-10M、10-11M、または10-12Mの親和性で特異的に結合する。
本明細書で使用する場合、用語「対象」は、ヒトまたは非ヒト動物、例えば、ペット(例えば、イヌ、ネコなど)、家畜(例えば、ウシ、ヒツジ、ブタ、ウマなど)、野生動物(コウモリ、アライグマ、キツネ、スカンク、リス、シマリス、マウス、ウサギ、など)、および実験動物(例えば、サル、ラット、マウス、ウサギ、モルモットなど)を指す。
本明細書で使用する場合、用語「置換」とは、当該分野で一般的に用いられている突然変異のうちの1つである。これらの置換変異体では、抗狂犬病抗体分子の少なくとも1つのアミノ酸残基が別の残基に置き換えられている。置換突然変異生成を生じさせるのに最も興味の持たれる部位としては超可変領域が挙げられるが、FRを変化させることも想定される。置換は保存的置換、つまり、1つのアミノ酸が、似た形および似た電荷のアミノ酸との置換であってもよい。保存的置換は当該分野において周知であり、例えば、アラニン〜セリン;アルギニン〜リシン;アスパラギン〜グルタミンまたはヒスチジン;アスパラギン酸〜グルタミン酸塩;システイン〜セリン;グルタミン〜アスパラギン;グルタミン酸塩〜アスパラギン酸;グリシン〜プロリン;ヒスチジン〜アスパラギンまたはグルタミン;イソロイシン〜ロイシンまたはバリン;ロイシン〜バリンまたはイソロイシン;リシン〜アルギニン;メチオニン〜ロイシンまたはイソロイシン;フェニルアラニン〜チロシン、ロイシンまたはメチオニン;セリン〜トレオニン;トレオニン〜セリン;トリプトファン〜チロシン;チロシン〜トリプトファンまたはフェニルアラニン;およびバリン〜イソロイシンまたはロイシンへの変更が挙げられる。あるいは、置換は、そのポリペプチドの機能または活性が影響を受ける非保存的置換であってもよい。非保存的な変更は通常、ある残基を、化学的に異なる残基と置き換えること、例えば極性または帯電したアミノ酸を非極性または帯電していないアミノ酸と置き換えること(逆もまた同様である)を伴う。
本明細書で使用する場合、用語「治療する」もしくは「治療」または「軽減」とは、標的とした病状または障害を予防するまたは遅らせる(弱める)ことを目的とした、治療的な処置および予防または阻止手段のいずれをも指す。本技術の方法に従って治療用量の狂犬病ウイルス中和抗体を対象に投与した後、この対象が観察可能および/または測定可能な狂犬病感染/状態の1つ以上の徴候および症状の低減または欠如を示せば、対象の狂犬病または狂犬病関連障害の「治療」は成功したと言える。当然のことながら、記載した医学的状態の治療または予防の様々な様式は、総体的な治療ではあるが完全な治療には至らない、生物学的または医学的に関連のある結果が達成される、「実質的な」治療を意味することを意図している。
I.本技術の組成物
本開示は基本的に、狂犬病糖タンパク質に結合し、狂犬病ウイルスの感染力を中和することができる抗狂犬病抗体を提供する。この抗体は、狂犬病ウイルスに曝され、狂犬病に感染したヒトおよび非ヒト対象の治療または予防に有用である。従って、本方法の様々な側面は、抗狂犬病抗体の調製、特徴解析、および操作に関する。本技術の抗体は単独でも、あるいは当該分野において知られている狂犬病治療と組み合わせても、狂犬病感染の治療または予防に有用である。本開示はさらに、本技術の抗狂犬病抗体を、それを必要とする対象に投与する方法にも関する。
本開示は、狂犬病ウイルスの糖タンパク質に結合する抗狂犬病抗体を包含する。選択した態様においてこの抗体は、表1にまとめた抗体を含む。
本技術の生体材料は、下記表2に詳しく示すように、中国微生物菌等保管委員会(China Committee for Culture Collection of Microorganisms)の中国微生物培養コレクションセンター(China General Microbiological Culture Collection Center(CGMCC)、私書箱2714、北京100080、中華人民共和国)に寄託された。
本技術は、立体的エピトープならびに非立体的すなわち線状エピトープであるエピトープに特異的に結合する抗体を含む。上述したように、立体的エピトープまたは非立体的エピトープは、前者への結合が変性溶媒存在下では失われるが、後者への結合は失われないことによって区別される。
本技術の範囲に含まれる抗狂犬病抗体としては例えば、これらには限定されないが、狂犬病糖タンパク質、そのホモログ、誘導体または断片に特異的に結合する、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、キメラ抗体、ヒト化抗体、二重特異性抗体抗体、ならびにヒトモノクローナル抗体およびヒトポリクローナル抗体が挙げられる。本明細書で開示の方法にとって有用な抗体としては例えば、これらには限定されないが、IgG(IgG1、IgG2、IgG3、およびIgG4など)、IgA(IgA1およびIgA2など)、IgD、IgE、またはIgM、およびIgYが挙げられる。
一態様では、本技術の抗狂犬病抗体は、狂犬病糖タンパク質に特異的に結合する。一態様においてこの抗体は、狂犬病ウイルスの感染力を低下させることが可能であり、かつ、狂犬病ワクチンの免疫原性を低下させない。選択した態様においてこの抗体は、モノクローナル抗体、マウス抗体、キメラ抗体、またはヒト化抗体である。
いくつかの態様では、本技術の抗体は、DYIML(配列番号57)、DIYPYYGSTSYNLKFKG(配列番号58)、QGGDGNYVLFDY(配列番号59)、GFAMS(配列番号60)、TISSGGTYTYSPDSVMG(配列番号61)、RLRRNYYSMDY(配列番号62)からなる群より選択される重鎖CDRアミノ酸配列、または1つ以上同類アミノ酸置換を有するその変異体を1つ以上含む。いくつかの態様では、本技術の抗体は、KASQNVGTTVA(配列番号63)、SASYRYS(配列番号64)、QQYNSYPFT(配列番号65)、KSTKSLLNSDGFTYLD(配列番号66)、LVSNRFS(配列番号67)、FQSNYLPFT(配列番号68)からなる群より選択される軽鎖CDRアミノ酸配列、または1つ以上同類アミノ酸置換を有するその変異体を1つ以上含む。
いくつかの態様において本技術は、狂犬病ウイルス中和抗体またはその断片をコードしている核酸を含む。いくつかの態様において本技術は、この抗体をコードしている単離核酸を包含する宿主細胞または核酸を包含する。
本技術は、本技術の抗体にとって抗イディオタイプである抗体をさらに含む。本技術の抗体は、単一特異性、二重特異性、三重特異性またはより多特異性の抗体である可能性がある。多重特異性抗体は、狂犬病糖タンパク質の異なるエピトープに特異的の場合も、または狂犬病糖タンパク質と異種組成物、例えば異種ポリペプチドまたは固相支持材料の両方に特異的である場合もある。例えば、国際公開第93/17715号;国際公開第92/08802号;国際公開第91/00360号;国際公開第92/05793号;Tutt et al.,J.Immunol.147:60−69(1991);米国特許第5,573,920号、同第4,474,893号、同第5,601,819号、同第4,714,681号、同第4,925,648号;同第6,106,835号;Kostelny et al.,J.Immunol.148:1547−1553(1992)を参照のこと。抗体は、鳥類および哺乳類を含むいかなる動物由来のものであってもよい。いくつかの態様において抗体は、ヒト、マウス、ウサギ、ヤギ、モルモット、ラクダ、ウマ、またはニワトリ抗体である。いくつかの態様において抗体は、キメラ抗体である。いくつかの態様において抗体は、ヒト化抗体である。
本技術の抗体は、単独または他の組成物との組み合わせのいずれにおいても使用することができる。例えば、狂犬病ウイルス中和抗体を、当該分野において知られている1種類以上の抗狂犬病治療、例えば上で議論したものなどと組み合わせて使用することができる。本技術の抗体を、1つ以上の別の狂犬病治療、例えば狂犬病ワクチンが含まれる、の投与に先だって、その後に、またはそれらと同時に、それを必要とする対象に投与してもよい。
本技術の抗体はさらに、組換え技術によって、C末端またはN末端で異種ポリペプチドに融合させること、またはポリペプチドもしくは他の組成物に化学的に結合(共有結合や非共有結合などで)させることができる。例えば、抗体を組換え技術によって、検出アッセイでの標識として有用な分子やエフェクター分子に、例えば異種ポリペプチド、薬物、または毒物に、融合または結合させることができる。例えば、国際公開第92/08495号;国際公開第91/14438号;国際公開第89/12624号;米国特許第5,314,995号;および欧州特許第0 396 387号を参照のこと。
A.本技術の抗狂犬病抗体の調製方法
狂犬病ウイルス糖タンパク質に特異的な抗狂犬病抗体の調製を以下の実施例1で説明する。当然のことながら、本開示の使用には、天然に存在する抗体だけが適しているのではなく、組換え技術によって改変した抗体や抗体断片、例えば、狂犬病糖タンパク質およびその断片を指向する抗体関連ポリペプチドもまた好適である。本明細書に示す技術に使用することができる抗狂犬病抗体としては、モノクローナル抗体およびポリクローナル抗体、ならびに抗体断片、例えばFab、Fab’、F(ab’)2、Fd、scFv、ディアボディ、抗体軽鎖、抗体重鎖および/または抗体断片が挙げられる。抗体Fv含有ポリペプチド、例えば、Fab’およびF(ab’)2抗体断片を高収率で産生するのに有用な方法については既に記載がある。米国特許第5,648,237号を参照のこと。
モノクローナル抗体。本技術の一態様では、抗体は抗狂犬病モノクローナル抗体である。例えばいくつかの態様では、抗狂犬病モノクローナル抗体はヒトまたはマウスの抗狂犬病モノクローナル抗体であってよい。特定の狂犬病糖タンパク質、またはその誘導体、断片、類似体またはホモログを標的とするモノクローナル抗体の調製には、連続して細胞株を培養することによって抗体分子を産生する全ての技術を用いることができる。そのような技術としては、これらには限定されないが、ハイブリドーマ技術(例えば、Kohler&Milstein、1975.Nature 256:495−497を参照のこと);トリオーマ(trioma)技術;ヒトB細胞ハイブリドーマ技術(例えば、Kozbor et al.,1983.Immunol.Today 4:72を参照のこと)およびヒトモノクローナル抗体を産生するためのEBVハイブリドーマ技術(例えば、Cole et al.,1985.MONOCLONAL ANTIBODIES AND CANCER THERAPY,Alan R. Liss,Inc.,pp.77−96を参照のこと)が挙げられる。ヒトモノクローナル抗体は本技術の実践に用いることができ、かつ、ヒトハイブリドーマ(例えば、Cote et al.,1983.Proc.Natl.Acad.Sci.USA 80:2026−2030を参照のこと)またはヒトB細胞にインビトロでエプスタイン−バーウイルスを導入すること(を参照のこと、例えば、Cole et al.,1985,MONOCLONAL ANTIBODIES AND CANCER THERAPY, Alan R. Liss, Inc., pp. 77−96)によって産生することができる。例えば、抗体の領域をコードしている核酸集団を単離することができる。抗体の保存領域をコードしている配列に由来するPCR用プライマーを用いて、その集団から、抗体の一部分をコードしている配列を増幅し、その後、増幅した配列から、抗体またはその断片をコードしているDNA、例えば可変ドメインを再構築する。融合ポリペプチドをファージまたは細菌上で発現および提示させるために、そのような増幅された配列を他のタンパク質−例えば、バクテリオファージの外套タンパク質、または細菌細胞の表面タンパク質−をコードしているDNAに融合させることもできる。増幅した配列を次に発現させ、その後、例えば、発現した抗体またはその断片の狂犬病糖タンパクに存在する抗原またはエピトープへの親和性に基づいて質選別または単離してもよい。あるいは、対象を免疫し、その後、慣習的な方法によって対象の脾臓からハイブリドーマを単離することで、抗狂犬病モノクローナル抗体を発現しているハイブリドーマを調製することができる。例えば、Milstein et al.,((Galfre and Milstein, Methods Enzymol (1981) 73: 3−46)を参照のこと。標準的な方法でハイブリドーマをスクリーニングことで、様々な特異性(つまり様々なエピトープに対しての特異性)および親和性をもったモノクローナル抗体を産生する。選抜した、所望の特性、例えば、狂犬病結合をもつモノクローナル抗体を、ハイブリドーマとして使用することも、それらの特性を変化させるためのポリエチレングリコール(PEG)などの分子に結合させることも、またはそれらをコードしているcDNAを単離し、配列を決定し、そして様々な方法によって操作することもできる。合成デンドロメリックツリー(dendromeric tree)を反応性のアミノ酸側鎖、例えば、リシンに加えて、狂犬病糖タンパク質の免疫原性特性を向上させることもできる。また、CPGジヌクレオチド技術を用いて、狂犬病糖タンパク質の免疫原性特性を向上させてもよい。他の操作には、保管の間、または対象に投与した後の抗体の不安定さに寄与する特定のアミノアシル残基の置換または欠損、および狂犬病糖タンパク質の抗体の親和性を高めるための親和性の操作が含まれる。
一態様において本技術の抗体は、不死化細胞に融合させたヒト重鎖導入遺伝子と軽鎖導入遺伝子を含むゲノムの有するトランスジェニック非ヒト動物、例えば、トランスジェニックマウス由来のB細胞を含有するハイブリドーマによって産生された、抗狂犬病モノクローナル抗体である。ハイブリドーマ技術には、当該分野において知られている技術や、Harlow et al.,Antibodies: A Laboratory Manual Cold Spring Harbor Laboratory,Cold Spring Harbor,NY,349(1988);Hammerling et al.,Monoclonal Antibodies And T−Cell Hybridomas,563−681(1981)で教示されている技術が含まれる。ハイブリドーマおよびモノクローナル抗体を産生するための他の方法も当業者には良く知られている。
ファージディスプレイ技術。組換えDNAおよびファージディスプレイ技術を使って、本技術の抗体を産生することができる。例えば、抗狂犬病抗体は、当該分野で知られている様々なファージディスプレイ法を使って調製することができる。ファージディスプレイ法では、機能性の抗体ドメインが、それらをコードしているポリヌクレオチド配列を保有しているファージ粒子の表面に提示される。所望の結合特性をもつファージを、抗原を使って直接選抜することによって、典型的には、固相表面またはビーズに結合しているまたはそれらに捕捉されている抗原によって、レパートリーまたはコンビナトリアル抗体ライブラリー(例えば、ヒトまたはマウス)から選抜する。これらの方法で用いられるファージは通常、FabをもつfdおよびM13などの線状ファージであり、Fvまたはジスルフィドによって安定化したFv抗体ドメインは、ファージ遺伝子IIIまたは遺伝子VIIIタンパク質のいずれかに組換え技術によって融合されている。加えて、方法を、Fab発現ライブラリーの構築に適用し、狂犬病ウイルスポリペプチドに関して所望の特異性を有するモノクローナルFab断片を、例えば、ポリペプチドまたはその誘導体、断片、類似体もしくはホモログを、迅速かつ効率的に同定することができる(例えば、Huse et al.,Science 246:1275−1281、1989を参照のこと)。本技術の抗体を生成するのに用いることができる他のファージディスプレイ法の例は、当該分野において知られている。ポリペプチド同士をジスルフィド結合で結合させることによって、ポリペプチドをバクテリオファージ粒子表面に提示させるのに有用な方法は、Lohningに付与された米国特許第6,753,136号に記載されている。ファージを選抜した後、そのファージから、抗体のコード領域を単離し、ヒト抗体を含む完全長抗体、または他の任意の望ましい抗原結合断片を生成するのに使用し、哺乳類細胞、昆虫細胞、植物細胞、酵母、および細菌などの任意の所望の宿主中で発現させることができる。例えば、当該分野で知られている方法、例えば国際公開第92/22324号;Mullinax et al.,BioTechniques 12:864−869、1992;Sawai et al.,AJRI 34:26−34、1995;およびBetter et al.,Science 240:1041−1043、1988で開示されている方法を用いることで、Fab、Fab’およびF(ab’)2断片を組換え技術によって産生する技術も使うことができる。
一般的に、ディスプレイベクター中にクローニングされたハイブリッド抗体またはハイブリッド抗体断片は、この抗体または抗体断片がファージまたはファージミド粒子の表面上に提示されるため、高い結合活性を維持している変異体を同定するための適切な抗原を使って選抜することができる。例えば、Barbas III et al.,Phage Display,A Laboratory Manual(Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,N.Y.,2001)を参照のこと。しかしながら、他の型のベクターもこの過程には使用することができる。例えば、選抜および/またはスクリーニング用に、抗体断片ライブラリーを溶菌性のファージベクター(改変型T7またはラムダZapシステム)中にクローニングする。
組換え抗狂犬病抗体の発現。上述したように、本技術の抗体は、組換えDNA技術を用いることで産生することができる。本技術の抗狂犬病抗体をコードしている組換えポリヌクレオチド構築物は通常、天然の状態で関連のあるプロモーター領域または異種プロモーター領域など、抗狂犬病抗体のコード配列鎖に操作可能に連結された発現制御配列を含む。そのため、本技術の別の側面には、本技術の抗狂犬病抗体をコードしている1つ以上の核酸配列を含有しているベクターが含まれる。本技術の1つ以上のポリペプチドを組換え発現させるには、抗狂犬病抗体をコードしているヌクレオチド配列の全てまたは一部を含有している核酸を、当該分野において周知であり、かつ、以下に詳述する組換えDNA技術によって、適切なクローニングベクター、または発現ベクター(つまり、挿入されたポリペプチドコード配列の転写および翻訳に必須のエレメントを含んでいるベクター)に挿入する。多様なベクター集団を産生するための方法は、Lerner et al.に付与された米国特許第6,291,160号;同第6,680,192号に記載されている。
一般的に、組換えDNA技術において有用な発現ベクターは、プラスミドの形態であることが多い。本明細書では、「プラスミド」および「ベクター」は、プラスミドがベクターの最も一般的な形態であることから、同じ意味で用いられる。しかしながら、本技術は、同等の機能に役立つ、技術的にはプラスミドではないそのような他の形態の発現ベクター、例えばウイルスベクター(例えば、複製欠損レトロウイルス、アデノウイルスおよびアデノ関連ウイルス)を含むことも意図している。そのようなウイルスベクターを用いることで、対象に感染させ、その対象中で化合物を発現させることができる。いくつかの態様では、発現制御配列は、真核宿主細胞を形質転換または形質移入することが可能なベクターに含まれている、真核プロモーターシステムである。ベクターが一旦適切な宿主中に組み入れられれば、宿主は、抗狂犬病抗体をコードしているヌクレオチド配列を高レベルで発現させるのに好適な条件、ならびに、例えば、交差反応性抗狂犬病抗体の回収および生成に好適な条件で維持される。基本的に、米国特許出願第20020199213号を参照のこと。これらの発現ベクターは典型的には、宿主生物中で、エピソームとして、または宿主の染色体DNAに組み込まれた一部分のいずれかとして複製可能である。通常発現ベクターは、所望のDNA配列が導入された細胞を検出可能にする選択マーカー、例えば、アンピシリン耐性またはハイグロマイシン耐性マーカーを含む。ベクターはまた、細胞外抗体断片の分泌を誘導するのに有用なシグナルペプチド、例えばペクチン酸リアーゼをコードしている場合もある。
本技術の組換え発現ベクターは、宿主細胞でその核酸が発現するのに適した形態で、狂犬病結合特性を有する化合物をコードしている核酸を含んでいる。このことは、この組換え発現ベクターが、発現用に用いられる宿主細胞の原則に基づいて選択され、発現させる核酸配列に操作可能に連結された1つ以上の制御配列を含むことを意味している。組換え発現ベクターに関し「制御可能に連結された」とは、目的のヌクレオチド配列が、ヌクレオチド配列の発現を可能にする様式で(例えば、そのベクターが宿主細胞に導入された時に、インビトロ転写/翻訳系でまたは宿主細胞内で)制御配列に連結されていることを意味することを意図している。用語「制御配列」は、プロモーター、エンハンサーおよび他の発現制御配列(例えば、ポリアデニル化シグナル)を含むことを意図している。そのような制御配列については例えば、Goeddel,GENE EXPRESSION TECHNOLOGY:METHODS IN ENZYMOLOGY 185,Academic Press,サンディエゴ、カリフォルニア(1990)に記載されている。制御配列には、含む多くの種類の宿主細胞中で、ヌクレオチド配列を恒常的に発現される制御配列や、特定の宿主細胞のみでヌクレオチド配列の発現を誘導する制御配列(例えば、組織特異的な制御配列)が含まれる。当業者であれば、発現ベクターの設計が、形質転換に利用する宿主細胞の選択、所望のポリペプチドの発現レベルなどの要因に依存することを理解するだろう。組換えポリペプチド(例えば、抗狂犬病抗体)発現のプロモーターとして有用な、典型的な制御配列としては例えば、これらには限定されないが、3−ホスホグリセリン酸キナーゼおよび他の解糖酵素が挙げられる。誘導性の酵母プロモーターとしては、特に、アルコール脱水素酵素、イソシトクロムC、および麦芽糖およびガラクトース利用に関与する酵素由来のプロモーターが挙げられる。一態様では、本技術の抗狂犬病抗体をコードしているポリヌクレオチドは、ara Bプロモーターに制御可能に連結されており、宿主細胞内で発現可能である。米国特許第5,028,530号を参照のこと。本技術の発現ベクターは宿主細胞に導入することができ、その結果、本明細書に記載した核酸によってコードされている融合ポリペプチド(例えば、抗狂犬病抗体など)を含むポリペプチドまたはペプチドを産生することができる。
本技術の別の側面は、1つ以上の抗狂犬病抗体をコードしている核酸を含有する、抗狂犬病抗体発現宿主細胞に関する。本技術の組換え発現ベクターは、原核細胞または真核細胞中で抗狂犬病抗体を発現させるように設計することができる。例えば、抗狂犬病抗体を、大腸菌などの細菌細胞、昆虫細胞(バキュロウイルス発現ベクターを使用して)、酵母細胞などの真菌細胞、または哺乳類の細胞で発現させることができる。好適な宿主細胞については、Goeddel,GENE EXPRESSION TECHNOLOGY:METHODS IN ENZYMOLOGY 185, Academic Press,サンディエゴ、カリフォルニア(1990)でより詳細に議論されている。あるいは、組換え発現ベクターを、例えば、T7プロモーター制御配列およびT7ポリメラーゼを使って、インビトロで転写・翻訳させることができる。所与の特性を有するポリペプチド、例えば抗狂犬病抗体、の予備的なスクリーニングに有用な、化学量論的に生成したポリヌクレオチド配列の発現を介した方法については既に記載がある。米国特許第5,763,192号;同第5,723,323号;同第5,814,476号;同第5,817,483号;同第5,824,514号;同第5,976,862号;同第6,492,107号;同第6,569,641号を参照のこと。
原核細胞内でのポリペプチドの発現は、融合ポリペプチドまたは非融合ポリペプチドの発現を誘導する、構成的プロモーターまたは誘導性プロモーターを含有するベクターを用いて、大腸菌内で行われることが多い。融合ベクターは、そこでコードされているポリペプチドに、基本的には組換えポリペプチドのアミノ末端に、いくつかのアミノ酸を付加する。このような融合ベクターは、典型的には、3つの目的で利用される:(i)組換えポリペプチドの発現を高める;(ii)組換えポリペプチドの溶解度を高める;および(iii)アフィニティ精製の過程でリガンドとして作用することで、組換えポリペプチドの精製を補助する。融合発現ベクターでは、融合ポリペプチドを精製した後に、組換えポリペプチドを融合部分から分離できるように、融合部分と組換えポリペプチドとの接合部に、タンパク分解による切断部位を導入することが多い。そのような酵素、およびそれらの同族認識配列としては、Xa因子、トロンビンおよびエンテロキナーゼが挙げられる。典型的な融合発現ベクターとしては、pGEX(Pharmacia Biotech Inc;Smith and Johnson,1988.Gene 67:31−40)、pMAL(New England Biolabs、ビバリー、マサチューセッツ)およびpRIT5(Pharmacia、ピスカタウェイ、ニュージャージー)があり、これらはそれぞれ、標的の組換えポリペプチドを、グルタチオンS−トランスフェラーゼ(GST)、麦芽糖E結合ポリペプチド、またはポリペプチドAに融合させる。
好適な誘導性非融合大腸菌発現ベクターの例としては、pTrc(Amrann et al.,(1988)Gene 69:301−315)およびpET 11d(Studier et al.,GENE EXPRESSION TECHNOLOGY:METHODS IN ENZYMOLOGY 185,Academic Press,サンディエゴ、カリフォルニア(1990)60−89)が挙げられる。ポリペプチド融合を介して個々の活性ペプチドまたはタンパク質ドメインを目的の配置に並べ、多機能ポリペプチドを得るための方法は、Packらに付与されている米国特許第6,294,353号;同第6,692,935号に記載されている。組換えポリペプチド、例えば抗狂犬病抗体の大腸菌での発現を最大にする方法の1つには、組換えポリペプチドをタンパク質分解する能力を欠損した細菌宿主中で、このポリペプチドを発現させることが挙げられる。例えば、Gottesman,GENE EXPRESSION TECHNOLOGY: METHODS IN ENZYMOLOGY 185,Academic Press,サンディエゴ、カリフォルニア(1990)119−128を参照のこと。別の方法としては、発現ベクターに挿入する核酸の核酸配列を、各アミノ酸に対する個々のコドンが発現宿主、例えば大腸菌、内で優先的に利用されるコドンになるように変化させることが挙げられる(例えば、Wada et al.,1992,Nucl.Acids Res.20:2111−2118を参照のこと)。そのような本技術の核酸配列の変更は、標準的なDNA合成技術によって行うことができる。
別の態様では、抗狂犬病抗体発現ベクターは酵母発現ベクターである。酵母(Saccharomyces cerevisiae)で発現させるためのベクターの例としては、pYepSec1(Baldari et al.,1987,EMBOJ.6:229−234)、pMFa(Kurjan and Herskowitz、Cell 30:933−943、1982)、pJRY88(Schultz et al.,Gene 54:113−123、1987)、pYES2(Invitrogen Corporation、サンディエゴ、カリフォルニア)、およびpicZ(Invitrogen Corp、サンディエゴ、カリフォルニア)が挙げられる。あるいは、バキュロウイルス発現ベクターを使用して、抗狂犬病抗体を昆虫細胞中で発現させることができる。培養した昆虫細胞(例えばSF9細胞)中でポリペプチド、例えば抗狂犬病抗体、を発現させることができるバキュロウイルスベクターとしては、pAcシリーズ(Smith et al.,Mol.Cell.Biol.3:2156−2165、1983)およびpVLシリーズ(Lucklow and Summers,1989.Virology 170:31−39)が挙げられる。
一層さらに別の態様では、本技術の抗狂犬病抗体をコードしている核酸を。哺乳類の発現ベクターを使用して哺乳類細胞中で発現させる。哺乳類の発現ベクターの例としては、例えば、これらには限定されないが、pCDM8(Nature 329:840、1987、を参照のこと)およびpMT2PC(Kaufman et al.,EMBO J.6:187−195、1987)が挙げられる。哺乳類細胞中で使用する場合、発現ベクターの制御機能は、ウイルスの制御エレメントによってもたらされることが多い。例えば、一般的に使用されているプロモーターは、ポリオーマ、アデノウイルス2、サイトメガロウイルス、およびシミアンウイルス40由来である。本技術の抗狂犬病抗体を発現させるのに有用な原核細胞および真核細胞両方の、好適な発現系については、例えば、Sambrook et al.,MOLECULAR CLONING:A LABORATORY MANUAL.第二版、16章および17章、Cold Spring Harbor Laboratory、Cold Spring Harbor Laboratory Press、Cold Spring Harbor、N.Y.、1989を参照のこと。
別の態様では、組換え哺乳類発現ベクターは、特定の細胞型において核酸の発現を誘導することができる(例えば、核酸を発現させるのに、組織特異的は制御エレメントが使用される)。組織特異的な制御エレメントは当該分野において公知である。好適な組織特異的プロモーターの非限定的な例としては、アルブミンプロモーター(肝臓特異的;Pinkert et al.,Genes Dev.1:268−277、1987)、リンパ特異的プロモーター(Calame and Eaton,Adv. Immunol.43:235−275,1988)、特にT細胞受容体プロモーター(Winoto and Baltimore,EMBO J. 8:729−733,1989)、ならびに免疫グロブリン(Banerji, et al.,1983. Cell 33:729−740;Queen and Baltimore,Cell 33:741−748,1983)、ニューロン特異的プロモーター(例えば、神経フィラメントプロモーター;Byrne and Ruddle,Proc. Natl. Acad. Sci. USA 86:5473−5477,1989)、膵臓特異的プロモーター(Edlund, et al.,1985.Science 230:912−916)、および乳腺特異的プロモーター(例えば、乳清プロモーター;米国特許第4,873,316号および欧州特許出願第264,166号)が挙げられる。発達段階特異的な制御プロモーター、例えば、マウスホックスプロモーター(Kessel and Gruss,Science 249: 374−379,1990)およびα−フェトプロテインプロモーター(Campes and Tilghman,Genes Dev. 3:537−546,1989)も包含される。
本方法の別の側面は、本技術の組換え発現ベクターが導入された宿主細胞に関する。用語「宿主細胞」および「組換え宿主細胞」は本明細書では同じ意味で用いられる。そのような用語は特定の対象となる細胞だけでなく、それら細胞の後代または後代の可能性のある細胞をも指すと理解される。突然変異または環境要因のいずれかによって、その後の世代には特定の修飾が生じる可能背があることから、そのような後代は親細胞と実際には同一でない可能性があるが、そのような場合においても、本明細書で使用する用語の範囲に含まれる。
宿主細胞は任意の原核細胞または真核細胞であってよい。例えば、抗狂犬病抗体を、大腸菌などの細菌細胞、昆虫細胞、酵母または哺乳類細胞内で発現させることができる。哺乳類細胞は、免疫グロブリンまたはその断片をコードしているヌクレオチドセグメントを発現させるのに好適な宿主である。Winnacker,From Genes To Clones,(VCH Publishers,NY,1987)を参照のこと。完全な異種タンパク質を分泌することができる好適な宿主細胞株がいくつか当該分野で開発されており、それらにはチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞株、種々のCOS細胞株、ヒーラ細胞、L細胞および骨髄腫細胞株が含まれる。いくつかの態様では、細胞は非ヒト細胞である。これら細胞用の発現ベクターは、発現制御配列、例えば複製起点、プロモーター、エンハンサー、および必須のプロセッシング情報部位、例えばリボソーム結合部位、RNAスプライシング部位、ポリアデニル化部位、および転写終止配列、を含む場合がある。Queen et al.,Immunol.Rev.89:49、1986。発現制御配列の例には、内生の遺伝子、サイトメガロウイルス、SV40、アデノウイルス、ウシパピローマウイルスなどに由来するプロモーターがある。Co et al.,J Immunol.148:1149、1992。他の好適な宿主細胞も当業者に知れられている。
標準的な形質転換または遺伝子導入技術を用いて、ベクターDNAを原核細胞または真核細胞中に導入することができる。本明細書で使用する場合、用語「形質転換」および「遺伝子導入」は、異種核酸(例えば、DNA)を宿主細胞に導入するための、当該分野で知られている様々な技術を指すことを意図している。このような技術には、リン酸カルシウムまたは塩化カルシウムとの共沈、DEAE−デキストラン介在性遺伝子導入、リポフェクション、またはエレクトロポレーションがあり、他の細胞性宿主に関しては、微粒子銃またはウイルスを使った遺伝子導入も利用可能である。哺乳類細胞の形質転換に使用する他の方法としては、ポリブレン、プロトプラスト融合、リポソーム、エレクトロポレーション、およびマイクロインジェクション(基本的には、Sambrook et al.,Molecular Cloningを参照のこと)が挙げられる。宿主細胞を形質転換または形質導入するのに好適な方法は、Sambrook et al.(MOLECULAR CLONING:A LABORATORY MANUAL第二版、Cold Spring Harbor Laboratory、Cold Spring Harbor Laboratory Press、Cold Spring Harbor、N.Y.、1989)、および他の実験の手引きに見ることができる。目的のDNAセグメントを含有しているベクターは、細胞性宿主の種類に応じたよく知られている方法によって、宿主細胞に移入することができる。
哺乳類細胞に遺伝子を安定に導入することについては、用いられる発現ベクターおよび遺伝子導入技術によるが、僅かな数の細胞しか、外来DNAをゲノム中に組み込まないことが知られている。これらの組み込み体を同定し、選抜するために、選択マーカー(例えば、抗生物質への耐性)をコードしている遺伝子を目的の遺伝子と共に宿主細胞に導入するのが一般的である。様々な選択マーカーには、G418、ハイグロマイシンおよびメトトレキサートなどの薬剤耐性を付与するマーカーが含まれる。選択マーカーをコードしている核酸を、抗狂犬病抗体をコードしているベクターと同じベクターを使って、または別々のベクターを使って宿主細胞に導入することができる。導入した核酸で安定して形質転換された細胞を、薬剤選抜(例えば、選択マーカー遺伝子を組み込んだ細胞は生存可能であるが、その他の細胞は死滅する)によって同定することができる。
本技術の抗狂犬病抗体を含む宿主細胞、例えば、培養中の原核宿主細胞または真核宿主細胞を使って、組換え抗狂犬病抗体を産生する(つまり発現させる)ことができる。一態様においてこの方法は、好適な培地中で、宿主細胞(抗狂犬病抗体をコードしている組換え発現ベクターを導入した宿主細胞)を培養し、抗狂犬病抗体を産生することを含む。別の態様では、この方法は、抗狂犬病抗体を培地または宿主細胞から単離する工程をさらに含む。発現したら、抗狂犬病抗体の収集物、例えば、抗狂犬病抗体または抗狂犬病抗体関連ポリペプチドを、培地および宿主細胞から精製する。抗狂犬病抗体は、HPLC精製、カラムクロマトグラフィー、ゲル電気泳動などの当該分野の標準的な手法に従って精製することができる。一態様において抗狂犬病抗体は、Boss et alに付与された米国特許第4,816,397号の方法により、宿主器官内で産生される。一般に、抗狂犬病抗体の鎖はシグナル配列と共に発現されるため、培地に放出される。しかしながら、抗狂犬病抗体の鎖が宿主細胞によって自然に分泌されない場合には、弱い界面活性剤で処理することで、抗狂犬病抗体の鎖を放出させることができる。組換えポリペプチドの精製は当該分野において周知であり、また、硫酸アンモニウム沈殿、アフィニティクロマトグラフィー精製技術、カラムクロマトグラフィー、イオン交換精製技術、ゲル電気泳動などが含まれる(基本的には、Scopes,Protein Purification(Springer−Verlag,N.Y.,1982)を参照のこと)。
抗狂犬病抗体をコードしているポリヌクレオチド、例えば抗狂犬病抗体のコード配列を、トランスジェニック動物のゲノムに導入してトランスジェニック動物の乳中に発現させるために、トランスジーンに組み込むことができる。例えば、米国特許第5,741,957号、同第5,304,489号、および同第5,849,992号を参照のこと。好適なトランスジーンとしては、乳腺特異的遺伝子、例えばカゼインまたはβ-ラクトグロブリン由来のプロモーターおよびエンハンサーに操作可能に連結した軽鎖および/または重鎖のコード配列が挙げられる。トランスジェニック動物の生成は、トランスジーンを、受精した卵母細胞にマイクロインジェクションで導入するかまたは胚性幹細胞のゲノムに組み込むかし、その後、それらの細胞の核を除核した卵母細胞に移植することで達成できる。
核酸コード配列の縮重により、天然に存在するタンパク質のアミノ酸配列と実質的に同じアミノ酸配列をコードしている他の配列を、本技術の実践において使用することができる。これらには、上述のポリペプチドをコードしている核酸配列の全体または一部を含む核酸配列であるが、配列に含まれるアミノ酸と機能的に等価なアミノ酸残基をコードする別のコドンに置き換えることによって変化した、従ってサイレントな変化を含む核酸配列が含まれるがこれらには限定されない。本技術による免疫グロブリンのヌクレオチド配列は、そのような変異体が狂犬病または狂犬病様糖タンパク質を認識する人為抗体を形成する限り、標準的な方法(「Current Methods in Sequence Comparison and Analysis」Macromolecule Sequencing and Synthesis, Selected Methods and Applications,127−149頁,1998,Alan R. Liss, Inc.)で計算した場合に25%までとなる配列相同性の変動を許容すると理解される。例えば、ポリペプチド配列中の1つ以上のアミノ酸残基を、機能的に等価な作用をする、極性の似た別のアミノ酸で置換することができ、その結果はサイレントな変化となる。配列中のアミノ酸を置き換えるアミノ酸は、そのアミノ酸が属するクラスの他のメンバーから選択することができる。例えば、非極性(疎水性)アミノ酸には、アラニン、ロイシン、イソロイシン、バリン、プロリン、フェニルアラニン、トリプトファンおよびメチオニンが含まれる。極性をもつ中性のアミノ酸としては、グリシン、セリン、トレオニン、システイン、チロシン、アスパラギン、およびグルタミンが挙げられる。正に帯電している(塩基性の)アミノ酸としては、アルギニン、リシンおよびヒスチジンがあり、負に帯電している(酸性の)アミノ酸としては、アスパラギン酸およびグルタミン酸がある。本技術の範囲には、翻訳過程においてまたは翻訳後に、それぞれ修飾を受けた、例えばグリコシル化、タンパク分解による切断、抗体分子または他の細胞性リガンドへの結合などによる修飾を受けた、タンパク質またはその断片もしくは誘導体も含まれる。当該分野において知られている突然変異生成の技術をどれでも用いることができ、そのような技術としては、Tabリンカー(Pharmacia)を使用した、における部位特異的突然変異生成(J.Biol.Chem.253:6551)があげられるがこれらには限定されない。
一本鎖抗体。一態様では、本技術の抗狂犬病抗体は、一本鎖の抗狂犬病抗体である。本技術に従って、様々な技術を、狂犬病糖タンパク質に特異的な一本鎖抗体の酸性に適用することができる(例えば、米国特許第4,946,778号を参照のこと)。本技術の一本鎖Fvsおよび抗体の産生に利用可能な技術の例としては、米国特許第4,946,778号および同第5,258,498号;Huston et al., Methods in Enzymology,203:46−88,1991;Shu, L. et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA,90:7995−7999,1993;およびSkerra et al.,Science 240:1038−1040,1988に記載されている方法などが挙げられる。
キメラ抗体およびヒト化抗体。一態様では、本技術の抗狂犬病抗体はキメラ抗狂犬病抗体である。一態様では、本技術の抗狂犬病抗体はヒト化抗狂犬病抗体である。本技術の一態様では、ドナー抗体およびアクセプター抗体は、別々の種に由来するモノクローナル抗体である。例えば、アクセプター抗体がヒト抗体(ヒトにおける抗原性を最低限に抑えるため)であり、そのような例では、得られるCDR接木抗体が「ヒト化」抗体と呼ばれる。
組換え抗狂犬病抗体、例えば、ヒト部分と非ヒト部分の両方を含むキメラモノクローナル抗体およびヒト化モノクローナル抗体は、標準的な組換えDNA技術を用いることで作成することができ、かつ、本技術の範囲に含まれる。本技術の抗狂犬病抗体をヒトのインビボで使用すること、ならびにこれらの薬剤をインビトロでの検出アッセイに使用することなどのいくつかの使用用途では、キメラ、ヒト化、またはヒト抗狂犬病抗体を使用することが可能である。そのようなキメラモノクローナル抗体およびヒト化モノクローナル抗体は当該分野において知られている組換えDNA技術によって産生することができる。
一態様において本技術は、ヒト抗マウス抗体(これ以降、「HAMA」と呼ぶ)の反応を引き起こす可能性が低いが、それでも有効な抗体エフェクター機能を有するヒト化抗狂犬病抗体の構築を可能にする。本明細書で使用する場合、抗体に関する用語「ヒト」および「ヒト化」は、ヒト対象において、治療上許容可能な弱い免疫原性反応を引き起こすと予想される全ての抗体に関するものである。一態様において本技術は、ヒト化抗狂犬病抗体、重鎖免疫グロブリンおよび軽鎖免疫グロブリンを提供する。
CDR抗体。一態様において本技術の抗狂犬病抗体は、抗狂犬病CDR抗体である。通常、抗狂犬病CDR抗体を生成するのに用いられるドナー抗体およびアクセプター抗体は、別の種由来のモノクローナル抗体である。典型的には、アクセプター抗体はヒト抗体であり(ヒトでの抗原性を最低限に抑えるため)、この場合、生じるCDR接木抗体は「ヒト化」抗体と呼ばれる。接木部分は、アクセプター抗体の単一のVHまたはVLに含まれる単一のCDR(または単一のCDRの一部分)であっても、またはVHおよびVLのいずれかまたは両方に含まれる複数のCDR(またはその一部)であってもよい。アクセプター抗体の全可変ドメインに含まれる3つ全てのCDRは、対応するドナーCDRと頻繁に置き換わるが、生じるCDR接木抗体とMetAp3との結合が十分なものになるように、出来る限り多くを置換する必要がある。CDR接木抗体およびヒト化抗体の生成方法は、Queen et alらに付与されている米国特許第5,585,089号、同第5,693,761号;同第5,693,762号;およびWinterの米国特許第5,225,539号;および欧州特許第0682040号で教示されている。VHポリペプチドおよびVLポリペプチドの調製に有用な方法は、Winter et al.に付与されている米国特許第4,816,397号;同第6,291,158号;同第6,291,159号;同第6,291,161号;同第6,545,142号;欧州特許第0368684号;同第0451216号;同第0120694号に教示されている。
同じファミリーおよび/または同じファミリーメンバーから好適なフレームワーク領域の候補を選択した後、重鎖可変領域と軽鎖可変領域のいずれか一方または両方を、もともとの種に由来するCDRをハイブリッドフレームワーク領域に接合することで生成する。ハイブリッド可変領域を有するハイブリッド抗体またはハイブリッド抗体断片は、当業者に公知の標準的な方法を使用することで、上述した側面のいずれかに関連した配置に並べることができる。例えば、本明細書に記載のハイブリッド可変ドメインをコードしているDNA配列(つまり標的の種に基づくフレームワークともともとの種由来のCDR)は、オリゴヌクレオチド合成および/またはPCRによって生成することができる。CDR領域をコードしている核酸は、好適な制限酵素を使ってもとの種の抗体から単離することができ、また、好適なライゲースを使って連結することで標的の種のフレームワークと連結させることができる。あるいは、もとの種の抗体の可変領域のフレームワーク領域を、部位特異的突然変異生成によって変化させることもできる。
ハイブリッドは、各フレームワーク領域に対応する複数の候補の中から選択・構築されるため、本明細書に記載の原則に従う構築物には、配列の組み合わせが多数存在する。従って、個々のフレームワーク領域を様々に組み合わせたメンバーを有するハイブリッドのライブラリーを構築することができる。そのようなライブラリーは、配列の収集物の電子的データベースであっても、またはハイブリッドの物理的な収集物であってもよい。
この過程は通常、接合したCDRの近傍にある、アクセプター抗体のFRには影響を及ぼさない。しかしながら当業者は、所与のFRの特定の残基を置換してドナー抗体の対応するFRにより似たFRにすることで、生じる抗狂犬病CDR接木抗体の抗原結合親和性を高めることができる場合がある。置換に適した位置には、CDRに隣接しているアミノ酸残基、またはCDRと相互作用が可能な位置が挙げられる(例えば、米国特許第5,585,089号、特に12〜16段落を参照のこと)。または当業者は、ドナーFRから始めて、それをアクセプターFRまたはヒトコンセンサスFRにより似たものになるように修飾することができる。このような修飾を施す技術は当該分野において知られている。特に、生じるFRがその位置でヒトのコンセンサスFRに適合する場合、またはそのようなコンセンサスFRと少なくとも90%以上同一である場合、修飾を施しても、生じる修飾型抗狂犬病CDR抗体の抗原性は、完全長ヒトFRを有する同じ抗体を比べて、有意には高まらないだろう。
融合タンパク質。一態様において本技術の抗狂犬病抗体は、融合タンパク質である。第2のタンパク質と融合させた場合、本技術の抗狂犬病抗体は、抗原性タグとして使用することができる。ポリペプチドと融合させることができるドメインの例には、異種シグナル配列だけでなく、他の異種機能性領域も含まれる。直接融合する必要はなく、融合はリンカー配列を介して起こってもよい。さらに、本技術の融合タンパク質を改変して、抗狂犬病抗体の特徴を向上させることもできる。例えば、アミノ酸を付加する領域、特に帯電したアミノ酸を付加する領域を抗狂犬病抗体のN末端に付加し、宿主細胞からの精製過程またはその後の取扱いおよび保存における安定性および持続性を改善することができる。さらに、精製を促進するために、抗狂犬病抗体にペプチド部分を付加することもできる。そのような領域は、抗狂犬病抗体の最終的な調製の前に除去することができる。ポリペプチドの取扱いを容易にするためのペプチド部分の付加は、当該分野で良く知られた、慣習的な技術である。本技術の抗狂犬病抗体を、マーカー配列、例えば融合ポリペプチドの精製を促進するためのペプチドに融合させることができる。選択した態様では、マーカーアミノ酸配列は、ヘキサ−ヒスチジンペプチド、例えば、市販されている多くの中でも、特にpQEベクター(QIAGEN、Inc.、9259 Eton Avenue、チャッツワース、カリフォルニア、91311)に入っているタグなどである。例えばGentz et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 86:821−824、1989で説明されているように、ヘキサ−ヒスチジンは、融合タンパク質の精製を簡便にする。精製に有用な別のペプチドタグである「HA」タグは、インフルエンザのヘマグルチニンタンパク質由来のエピトープに対応している。Wilson et al.,Cell 37:767、1984。従って、上述したこれら融合体のいずれも、本技術のポリヌクレオチドまたはポリペプチドを使って、改変することができる。また、融合タンパク質はインビボで長い半減期を示す場合がある。
ジスルフィド結合した二量体の構造をもつ融合タンパク質(IgGに起因する)は、一量体の分泌タンパク質またはタンパク質断片のみよりも、結合および他の分子を中和するという点で、より効果の高い場合がある。Fountoulakis et al.,J.Biochem.270:3958−3964、1995。
同様に、EP−A−O 464 533(カナダにおける対応出願2045869)は、免疫グロブリン分子の定常領域の様々な部分と、別のヒトタンパク質またはその一部を共にを含む融合タンパク質を開示している。多くの場合、融合タンパク質中に含まれるFc部分が治療および診断に有益であり、例えば、改善された薬物動態特性をもたらす場合がある。EP−A 0232262を参照のこと。あるいは、融合タンパク質を発現・検出・精製した後にFc部分を除去することが望まれる場合もある。例えば、融合タンパク質を免疫化の抗原として使用する場合には、Fc部分は治療および診断を邪魔する可能性がある。創薬の分野では、例えば、hIL-5のアンタゴニストを同定するための高処理スクリーニングアッセイに使用する目的で、hIL-5などのヒトタンパク質をFc部分と融合させてきた。Bennett et al.,J. Molecular Recognition 8:52−58,1995;Johanson et al.,J.Biol. Chem.,270:9459−9471,1995。
標識抗狂犬病抗体。一態様では、本技術の抗狂犬病抗体は抄紙機部分、つまり検出可能な基と結合している。抗狂犬病抗体と結合している特定の標識または検出可能な基は、それらが本技術の抗狂犬病抗体の狂犬病糖タンパク質または狂犬病様糖タンパク質への特異的な結合を有意に干渉しない限りは本技術の重要な側面ではない。検出可能な基は、検出可能な物理的または化学的特性を有するいかなる物質であってもよい。そのような検出可能な標識は、免疫アッセイおよび造影の分野において十分に発展しており、基本的には、そのような方法に有用な全ての標識の多くが本技術に適用可能である。従って標識は、分光法的、光化学的、生化学的、免疫化学的、電気的、光学的または化学的な手段で検出可能などのような組成であってもよい。本技術の実践に有用な標識としては、磁気ビーズ(例えば、Dynabeads(登録商標))、蛍光色素(例えば、フルオレセインイソチオシアネート、テキサスレッド、ローダミンなど)、放射性標識(例えば、3H、14C、35S、125I、121I、131I、112In、99mTc)、他の造影剤(例えば、微小気泡(超音波画像用)、18F、11C、15O、(陽電子放出断層撮影用)、99mTC、111In(単一光子放出型コンピューター断層撮影用)、酵素(例えば、ウマ西洋ワサビペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼおよびその他のELISAで一般的に使用されている酵素))、ならびに熱量測定用の標識(例えばコロイド金または色ガラスもしくはプラスチック(例えば、ポリスチレン、ポリプロピレン、ラテックスなど)製ビーズが挙げられる。そのような標識の使用について説明している特許としては、米国特許第3,817,837号;同第3,850,752号;同第3,939,350号;同第3,996,345号;同第4,277,437号;同第4,275,149号;同第および4,366,241号があり、これらはそれぞれ、その全体が全ての目的のために参照することにより本明細書に組み入れられる。Handbook of Fluorescent Probes and Research Chemicals(第六版 Molecular Probes, Inc.,ユージーン、オレゴン)もまた参照のこと。
標識は、当該分野において周知の方法に従って、アッセイで所望される構成要素に直接または間接的に結合させることができる。上述したとおり、多種多様な標識を使用することができ、標識の選択は、必要とされる感受性、化合物との結合し易さ、要求される安定性、使用可能な機器、および廃棄設備などに依存する。
非放射性標識は間接的な様式で結合させることが多い。通常、リガンド分子(例えば、ビオチン)は分子と共有的に結合し、その後、リガンドは、本来検出可能であるかまたはシグナル系(例えば検出可能な酵素、蛍光物質、または化学発光物質)に共有結合しているかの抗リガンド(例えば、ストレプトアビジン)分子に結合する。いくつかのリガンドおよび抗リガンドが使用可能である。リガンドに天然の抗リガンドが存在する場合、例えば、ビオチン、チロキシン、およびコルチゾールの場合、標識した天然に存在する抗リガンドと合わせて使用することができる。あるいは、抗体、例えば抗狂犬病抗体と組み合わせることで、任意のハプテン性または抗原性化合物を使用することができる。
分子を、例えば酵素またはフルオロフォアと組み合わせて、シグナル生成物質に直接結合させることもできる。標識となる目的の酵素は第一に加水分解酵素、特にホスファターゼ、エステラーゼおよびグリコシダーゼであるか、または酸化還元酵素、特にペルオキシダーゼである。標識部分として有用な蛍光物質としては、これらには限定されないが、例えば、フルオレセインおよびその誘導体、ローダミンおよびその誘導体、ダンシル、ウンベリフェロンなどが挙げられる。標識部分として有用な化学発光物質としては、これらには限定されないが、例えば、ルシフェリン、および2,3−ジヒドロフタラジンジオン類、例えば、ルミノールが挙げられる。使用可能な種々の標識またはシグナル生成系の概要については、米国特許第4,391,904号を参照のこと。
標識を検出する手段は当業者によく知られている。従って、例えば、標識が放射性標識の場合には、検出手段にはオートラジオグラフィーで使われるようなシンチレーションカウンターまたは撮影用フィルムが含まれる。標識が蛍光標識の場合には、適切な波長の光で蛍光色素を励起し、生じる蛍光を検出することで、検出することができる。蛍光は、撮影用フィルムを使うことにより、電荷結合素子(CCD)または光電子増倍管などの電子検出器を使うことなどにより、可視的に検出することができる。同様に、酵素標識は、その酵素に適した基質を加え、生じる反応産物を検出することで検出することができる。最後に、単純な呈色標識は、その標識に関連する色を観察することで簡単に検出することができる。従って、様々な試験紙を使ったアッセイでは、結合した金はピンク色に見えることが多いが、種々の結合したビーズは、そのビーズ自体の色に見える。
いくつかのアッセイフォーマットでは標識物質の使用は必須ではない。例えば、標的抗体、例えば抗狂犬病抗体の有無を検出するのに、凝集アッセイを用いることができる。この場合、抗原でコーティングした粒子を、標的抗体を含む試料によって凝集させる。このフォーマットでは、どの構成要素も標識する必要がなく、標的抗体の有無は単純に目視によって検出される。
B.本技術の抗狂犬病抗体の同定と特徴解析
狂犬病糖タンパク質に対する所望の特異性を有する抗狂犬病ポリペプチドおよび抗狂犬病関連ポリペプチドの同定およびスクリーニングには、当該分野において知られている、全ての免疫学介在性技術が有用である。免疫応答の構成要素は、当業者に良く知られている様々な方法によって、インビトロで検出することができる。例えば、(1)細胞障害性のTリンパ球を、放射性標識した標的細胞と共にインキュベートし、これら標的細胞の溶解物を、放射活性の放出によって検出することができる;(2)ヘルパーTリンパ球を抗原および抗原提示細胞と共にインキュベートし、標準的な手段によってサイトカインの合成・分泌を測定することができる(Windhagen A; et al.,Immunity,2:373−80、1995);(3)抗原提示細胞を全タンパク質抗原と共にインキュベートし、MHCに提示されるその抗原を、Tリンパ球活性化アッセイまたは生物物理的な方法のいずれかによって検出することができる(Harding et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.、86:4230−4、1989);(4)肥満細胞をFc−イプシロン受容体と架橋する薬剤と共にインキュベートし、酵素免疫アッセイによってヒスタミンの放出を測定することができる(Siraganian et al.,TIPS、4:432−437、1983);および(5)酵素結合免疫吸着検定(ELISA)。
同様に、モデル動物(例えば、マウス)またはヒト対象のいずれかにおける免疫応答産物を、当業者によく知られている様々な方法によって検出することもできる。例えば、(1)ワクチン接種に応答した抗体産生を、現在臨床検査で使用されている標準的な方法によって、例えばELISAによって、容易に検出することができる;(2)免疫細胞の炎症部位への移動を、皮膚表面をひっかいて無菌的な容器に置き、ひっかいた場所への細胞の移動を補足することで検出することができる(Peters et al.,血液、72:1310−5、1988);(3)マイトジェンまたは混合リンパ球反応に応答した末梢血単核球(PBMC)の増殖を、3H−チミジンを利用して測定することができる;(4)顆粒球、マクロファージ、およびPBMCに含まれる他の食細胞の食作用能を、PBMCと標識した粒子を一緒にウェル内に置くことで測定することができる(Peters et al.,血液、72:1310−5、1988);および(5)免疫系細胞の分化を、PBMCをCD4やCD8などのCD分子に対する抗体で標識し、これらのマーカーを発現しているPBMCの画分を測定することで、測定することができる。
一態様では、複製可能な遺伝的製品(genetic package)の表面に狂犬病ペプチドを提示させることで、本技術の抗狂犬病抗体を選択する。例えば、米国特許第5,514,548号;同第5,837,500号;同第5,871,907号;同第5,885,793号;同第5,969,108号;同第6,225,447号;同第6,291,650号;同第6,492,160号;欧州特許第585 287号;同第605522号;同第616640号;同第1024191号;同第589 877号;同第774 511号;同第844 306号を参照のこと。所望の特異性を有する結合分子をコードしているファージミドゲノムを含有している糸状バクテリオファージ粒子の生成/選抜に有用な方法についても既に記載がある。例えば、欧州特許第774 511号;米国特許第5871907号;同第5969108号;同第6225447号;同第6291650号;同第6492160号を参照のこと。
一態様では、酵母宿主細胞の表面に狂犬病ペプチドを提示させることで、本技術の抗狂犬病抗体を選択する。酵母表面ディスプレイによってscFvポリペプチドを単離するのに有用な方法については既に、Kieke et al.,Protein Eng.1997 Nov;10(11):1303−10によって記載されている。
一態様では、リボソームディスプレイによって本技術の抗狂犬病抗体を選択する。リボソームディスプレイによってペプチドライブラリーからリガンドを同定するのに有用な方法は、Mattheakis et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 91:9022−26、1994;およびHanes et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 94:4937−42、1997に記載されている。
一態様では、狂犬病ペプチドのtRNAディスプレイによって本技術の抗狂犬病抗体を選択する。tRNAディスプレイを用いたインビトロでのリガンド選択に有用な方法は、Merryman et al.,Chem.Biol.、9:741−46、2002に記載されている。
一態様では、RNAディスプレイで本技術の抗狂犬病抗体を選択する。RNAディスプレイライブラリーを用いてペプチドおよびタンパク質を選択するのに有用な方法は、Roberts et al.Proc.Natl.Acad.Sci.USA 、94:12297−302、1997;およびNemoto et al.,FEBS Lett.、414:405−8、1997に記載されている。非天然のRNAディスプレイライブラリーを用いてペプチドおよびタンパク質を選択するのに有用な方法は、Frankel et al.,Curr.Opin.Struct.Biol.、13:506−12、2003に記載されている。
一態様では、本技術の抗狂犬病抗体をグラム陰性細菌の周辺質で発現させ、標識した狂犬病糖タンパク質と混合する。国際公開第02/34886号を参照のこと。狂犬病糖タンパク質への親和性を有する組換えポリペプチドを発現しているクローンでは抗狂犬病抗体に結合した標識狂犬病糖タンパク質の濃度が上昇するので、Harvey et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.22:9193−98 2004および米国特許出願第2004/0058403号に記載されているように、目的の細胞を、ライブラリーのその他の部分から単離することが可能になる。
所望の抗狂犬病抗体を選択した後には、それらを当業者に公知の技術により、例えば原核細胞または真核細胞での発現などにより、大規模に生産できることが想定される。抗狂犬病抗体、例えば抗狂犬病ハイブリッド抗体または断片であるがこれらには限定されない抗体は、CDRと、必要応じて、元の種の抗体結合特異性を維持するのに必要な(本明細書に記載の技術に従って改変した)可変領域フレームワークの最少部分がもとの種の抗体に由来し、抗体の残りの部分が標的とする種の免疫グロブリンに由来しする抗体重鎖であって、本明細書に記載したように操作することができるため、ハイブリッド抗体重鎖を発現するベクターを生産する、抗体重鎖をコードしている発現ベクターを構築するための標準的な技術によって生産することができる。
狂犬病ウイルス結合の測定。一態様では、狂犬病結合アッセイとは、狂犬病糖タンパク質と抗狂犬病抗体とを、狂犬病または狂犬病様糖タンパク質と抗狂犬病抗体とが結合するのに好適な条件で混合し、狂犬病または狂犬病様糖タンパク質と抗狂犬病抗体の結合の量を評価するアッセイフォーマットを指す。結合の量を好適な対照(狂犬病糖タンパク質非存在下での結合の量、非特異的免疫グロブリン組成物存在下での結合の量、またはその両方である可能性のある)と比較する。結合の量は、いかなる好適な方法で評価してもよい。結合アッセイの方法としては、例えば、ELISA、放射免疫アッセイ、シンチレーション近接アッセイ、蛍光エネルギー移動アッセイ、液体クロマトグラフィー、膜濾過アッセイなどが挙げられる。狂犬病糖タンパク質の抗狂犬病抗体への結合を直接測定する生物物理学的アッセイには例えば、核磁気共鳴、蛍光、蛍光偏光法、表面プラズモン共鳴(BIACORチップ)などがある。特異的な結合は、当該分野において知られている標準的なアッセイ、例えば、放射性リガンド結合アッセイ、ELISA、FRET、免疫沈降、SPR、NMR(2D−NMR)、質量分析などによって決定される。候補抗狂犬病抗体の特異的結合が、候補抗狂犬病抗体の非存在下で観察される結合よりも少なくとも1パーセント高ければ、その候補抗狂犬病抗体は本技術の抗狂犬病抗体として有用である。
狂犬病糖タンパク質と抗狂犬病抗体の共結晶も、分子間相互作用の決定方法として、本技術によって提供される。抗狂犬病抗体と狂犬病糖タンパク質との結合に好適な条件は化合物およびそのリガンドに依存し、かつ、当業者は容易に決定することができる。
狂犬病ウイルスの中和の測定。本明細書で使用する場合、「狂犬病ウイルスの中和」とは、抗狂犬病抗体との結合を介した、狂犬病ウイルスの感染力の低下を指す。本技術の抗狂犬病抗体の狂犬病ウイルス中和能は、当該分野で知られている方法を用いることで、インビトロまたはインビボで評価することができる。インビトロ法の例としては、Smith et al.によって記載されている、迅速蛍光フォーカス抑制試験(RFFIT)が挙げられる(Meslin F−X, Kaplan MM, Koprowski H,編、Laboratory techniques in rabies.第四版中の「A rapid fluorescent focus inhibition test(RFFIT)for determining rabies virus−neutralizing antibody」世界保健機構:ジュネーブ、スイス1996;181−192)。インビボ法の例としては、これらには限定されないが、例えばHasse et al.が記載しているマウス中和試験(MNT)がある(13(2)J.Biol.Stand.123−28(1985))。RFFITおよびMNTの結果の例を、以下の実施例で示している。いくつかの態様では、狂犬病ウイルスの感染力は、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも25%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも75%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%、少なくとも99.5%、少なくとも99.9%、または少なくとも100%中和される。
狂犬病ワクチン干渉の測定。本技術の抗狂犬病抗体は、狂犬病ワクチンの効力を干渉することなく、それを必要とする対称において、狂犬病ウイルスを中和する能力を有する。本技術のこの側面は、典型的な狂犬病治療には、狂犬病ワクチンと抗体の同時投与が含まれるため、特に価値がある。ある抗狂犬病抗体が狂犬病ワクチンの効力を干渉する度合は、当該分野で知られている方法、例えば以下の実施例で示した方法によって評価することができる。簡単に説明すると、狂犬病ワクチンを抗狂犬病抗体と一緒に、または抗狂犬病抗体は加えずに、動物対照に投与することができる。ワクチンが対象において免疫応答を誘導するのに十分な期間おいたのち、ワクチンだけを投与した対象のワクチン特異的力価を、ワクチンと抗体を共に投与した対象の力価と比較する。抗狂犬病抗体がワクチンの効力を干渉する度合が、ワクチン特異的抗体の力価の低下に反映される。このような実験の結果の例を、以下の実施例で示している。いくつかの態様では、抗体は、狂犬病ワクチンによって引き起こされる免疫応答を、ワクチンの投与は受けたが抗体は投与されていない対照対象と比較して、0.1%未満、0.5%未満、1%未満、2%未満、5%未満、10%未満、20%未満、25%未満、50%未満、または75%未満干渉する。
曝露後予防の測定。狂犬病ウイルスに曝された対象における曝露後予防のために、当該分野で知られている方法によって、例えば以下の実施例で示した方法によって、抗狂犬病抗体を評価してもよい。簡単に説明すると、狂犬病ウイルスに曝露した動物対象に、曝露後治療の構成要素として、1つ以上の候補抗狂犬病抗体を投与することができる。抗体は、単独で、または既知の狂犬病治療、例えばワクチンと共に投与することができる。狂犬病感染が生じるのに十分な期間をおいた後、抗体を投与した対象の生存率を、候補抗体を投与していない適切な対象と比較する。狂犬病ウイルスの感染力の低下は、対照と比較して、候補抗体の投与を受けた対象の生存率が増加することまたは生存期間が向上することに反映される。このような実験の結果の例を、以下の実施例で示す。
II.本技術の抗狂犬病抗体の使用
A.抗狂犬病抗体の診断的使用
本技術の抗狂犬病抗体は、診断的な方法において有用である。つまり、本技術は、対象の狂犬病感染の診断における抗体の使用方法を提供する。本技術の抗狂犬病抗体を、それらが任意のレベルのエピトープ結合特異性および狂犬病糖タンパク質への非常に高い結合親和性をもつように、選択することができる。基本的には、抗体の結合親和性が高ければ高い程、免疫アッセイでは、標的ポリペプチドを除去しないで、非特異的に結合した物質を除去するために、よりストリンジェントなじょうけんで洗浄できる。従って、本技術の抗狂犬病抗体は、通常少なくとも108、109、1010、1011または1012Mの結合親和性を有する診断的アッセイにおいて有用である。さらに、診断的な試薬として用いられる抗狂犬病抗体が、標準的な条件で、少なくとも12時間、少なくとも5時間、または少なくとも1時間以内に平衡に達するのに十分な動的結合定数を有していることが望ましい。
抗狂犬病抗体は、様々な標準的なアッセイフォーマットにおいて、免疫反応性の狂犬病または免疫反応性の狂犬病様糖タンパク質を検出するのに利用することができる。そのようなフォーマットには、免疫沈降、ウェスタンブロット、ELISA、放射免疫アッセイ、および免疫測定法が含まれる。Harlow & Lane,Antibodies,A Laboratory Manual(Cold Spring Harbor Publications,New York,1988);米国特許第3,791,932号;同第3,839,153号;同第3,850,752号;同第3,879,262号;同第4、034、074、3,791,932号;同第3,817,837号;同第3,839,153号;同第3,850,752号;同第3,850,578号;同第3,853,987号;同第3,867,517号;同第3,879,262号;同第3,901,654号;同第3,935,074号;同第3,984,533号;同第3,996,345号;同第4,034,074号;および同第4,098,876号を参照のこと。生体試料は、対象のどの組織または体液から採取してもよい。
B.抗狂犬病抗体の予防的および治療的使用
本技術の抗狂犬病抗体は、狂犬病ウイルスに曝された対象に関する曝露後予防(PEP)治療に有用である。曝露の可能性としては、咬傷性曝露(つまり歯による皮膚貫通の全て)、例えば動物による咬傷、および非咬傷性曝露がある。非咬傷性曝露としては、感染した動物または動物に由来するもの、例えばこれらには限定されないが、毛、例えば、血液、組織、尿、糞尿、および唾液との接触が挙げられる。PEP治療は通常、それを必要とする対象に、狂犬病ワクチンと併せて抗狂犬病抗体を投与することを含む。
本技術の組成物を、狂犬病への曝露または感染の予防および/または治療に有用な他の分子と組み合わせて使用することもできる。例えばこれらを、狂犬病ウイルスに対する1種類以上のワクチンと同時に投与してもよい。あるいは、本技術の抗体を、1種類以上のワクチンの前にまたは後に投与してもよい。抗体を、例えば、精製したニワトリ胚細胞ワクチン(PCECV;RabAvert(登録商標)、Novartis、バーゼル、スイス;Rabipur(登録商標)、Chiron Behring GmbH&Co.、リーダーバッハ、ドイツ)、ヒト二倍体細胞由来ワクチン(HDCV;Imovax(登録商標)、Sanofi Pasteur、スウィフトウォーター、ペンシルバニア、米国)、および吸着型狂犬病ワクチン(RVA)を含むがこれらには限定されない狂犬病ワクチンと組み合わせて投与してもよい。それに加えてまたはそれとは別に、本技術の組成物を、ヒト狂犬病免疫グロブリン(HRIG)またはウマ狂犬病免疫グロブリン(ERIG)と組み合わせてさらに投与することもできる。
本技術の組成物は必要に応じて、単一の丸薬としてそれを必要とする対象に投与することができる。あるいは、投与計画には、曝露後の様々な時点で、複数回投与を実施することが含まれる場合もある。例えば、投与計画は、曝露後の0、3、7、14および28日目に、狂犬病ワクチンを5回、筋内および/または腹膜内投与することを含む場合がある。投与部位は、狂犬病に曝露した部位に応じて変わり得る。例えば、本技術の組成物を、曝露後の0日目そうでなければ曝露後のできる限り早い時点で、創傷またはその周辺に投与し、残りの用量を、その部位から離れた場所に筋内投与してもよい。あるいは、組成物全てを、曝露した部位から離れた場所に投与してもよい。本技術の組成物は、狂犬病ワクチンを投与した位置と同じ位置にまたは異なる位置に投与することができる。
投与は、経口的、経鼻的、非経口的(静脈内、筋内、腹膜内、または皮下)、直腸内、頭蓋内、髄腔内、または局所的などの、いかなる好適な経路によっても実施することができる。投与には自己投与と他者による投与が含まれる。当然のことながら、記載した医学的状態の治療または予防の様々な様式は、総体的な治療ではあるが完全な治療には至らない、生物学的または医学的に関連のある結果が達成される「実質的な」治療を意味することを意図している。
いくつかの態様では、本技術の抗体は、それを必要とする対象に1つ以上の用量で投与され得る医薬製剤を含む。投与計画は、所望の反応(例えば、治療上の反応または予防的な反応)がもたらされるように調整することができる。
通常、治療または予防効果を達成するのに十分な本技術の組成物の有効量は、1日に体重1キログラム当たり約0.000001mg〜約10,000mgである。投与量は典型的に、1日に体重1キログラム当たり約0.0001mg〜1日に体重1キログラム当たり約100mgの範囲である。抗狂犬病抗体の投与に関して言えば、用量範囲は約0.0001〜100mg/kgであり、より一般には1、2、3週間毎に、宿主の体重1キログラム当たり0.01〜5mgである。例えば、投与量は、1、2、もしくは3週間毎に、体重1キログラム当たり1mgもしくは10mg、または1、2、もしくは3週間毎に、体重1キログラム当たり1〜10mgの範囲内である。一態様では、抗体の単回投与量は、体重1キログラム当たり0.1〜10,000マイクログラムの範囲である。一態様では、担体中の抗体濃度は、送達される1ミリリットルにつき、0.2〜2000マイクログラムの範囲である。治療計画の例は、2週間に1回、もしくは1ヶ月に1回、または3〜6ヶ月に1回の投与を伴うものである。抗狂犬病抗体は複数回投与してもよい。それぞれの投与の間隔は、時間単位、日単位、週単位、月単位、または年単位であってよい。投与間隔は、血液レベルの測定によって示される対象における抗体のレベルに従って不定期であってもよい。いくつかの方法では、対象の血清抗体濃度が約75μg/mL〜約125μg/mL、100μg/mL〜約150μg/mL、from約125μg/mL〜約175μg/mL、またはfrom約150μg/mL〜約200μg/mLになるように、用量を調整する。あるいは、抗狂犬病抗体を、より投与頻度が少なくて済む、持続放出性製剤として投与することもできる。用量および頻度は、対象内での抗体の半減期に依存する。投与量および投与頻度は、その治療が予防的かまたは治療的かにも依存する場合がある。予防目的での使用では、比較的低用量を長期間にわたり、比較的低頻度で投与する。治療目的での使用では、疾患の進行が遅くなるもしくは停止するまで、または対象が部分的または完全な疾患症状の回復寛解を示すまで、比較的高用量を比較的高頻度で投与することが求められる場合がある。従って、本特許は予防計画を取り扱う場合もある。
毒性。本明細書に記載の抗狂犬病抗体有効量(例えば、投与量)が、対象に実質的な毒性を引き起こす事なく、治療上の利益をもたらすことが最善である。本明細書に記載の抗狂犬病抗体の毒性は、細胞培養または実験動物を使った標準的な医薬学的手順によって、例えば、LD50(集団の50%によって致死的な用量)またはLD100(集団の100%にとって致死的な用量)を決定することによって、決定することができる。毒性と治療効果との間の用量比が治療係数である。これらの細胞培養アッセイおよび動物実験から得られたデータを、ヒトにとって有毒でない用量範囲の公式化に用いることができる。本明細書に記載の抗狂犬病抗体の投与量は、有効な用量ではあるが、毒性のほとんどないまたは毒性のない用量を含む血中濃度の範囲に入る。用量はこの範囲の中で、用いられる剤形や投与経路により様々に変わり得る。正確な製剤、投与経路および用量は、対象の状態を考慮して個々の医師によって選択され得る。例えば、Fingl et al.,The Pharmacological Basis of Therapeutics,第一章(1975)を参照のこと。
医薬組成物の製剤。本技術の方法に従って、抗狂犬病抗体を投与に適した医薬組成物中に組み込むことができる。医薬組成物は通常、組換え抗体または実質的に精製した天然の抗体および対象への投与に適した形態の薬学的に許容可能な担体を含む。薬学的に許容可能な担体は、部分的には、投与される特定の組成物、ならびに組成物を投与するのに用いられる特定の方法によって決定される。従って、抗体組成物を投与するには、多種多様な医薬組成物の好適な製剤が存在することになる(例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences, Mack Publishing Co.,イーストン、ペンシルバニア、第18版、1990を参照のこと)。医薬組成物は通常、米国食品医薬品局の製造管理及び品質管理の基準(GMP)に完全に従って、無菌的で、実質的に等張であるように処方される。
用語「薬学的に許容可能な」、「生理学的に許容できる」およびその文法上の変化型は、それらが組成物、担体、希釈剤および試薬を指す場合には同じ意味で用いられ、かつ、その材料を投与することが可能であることまたは対象において、組成物の投与を停止させるほどの度合の望ましくない生理学的な効果を生じないことを表す。例えば、「薬学的に許容可能な賦形剤」は、基本的に、医薬組成物の調整において安全で、有毒でなく、および望ましい有用な賦形剤を意味し、獣医学的使用ならびにヒトに対する医薬的な使用に許容可能な賦形剤を含む。そのような賦形剤は、固体、液体、半固体であっても、またはエアロゾル組成物の場合にはガス状であってよい。「薬学的に許容可能な塩およびエステル」は、薬学的に許容可能な塩およびエステルであって、かつ、所望の薬理学的特性を有する塩およびエステルを意味している。そのような塩としては、組成物中に含まれる産生プロトンが無機塩類または有機塩類と反応可能な場合に形成される塩が挙げられる。好適な無機塩類としては、アルカリ金属(例えば、ナトリウムやカリウム)、マグネシウム、カルシウム、およびアルミニウムと共に形成される塩が挙げられる。好適な有機塩類としては、有機塩基、例えばアミン塩と共に形成されるもの、例えば、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トロメタミン、N-メチルグルカミンなどが挙げられる。そのような塩にはまた、無機酸(例えば、塩酸および臭化水素酸)および有機酸(例えば、酢酸、クエン酸、マレイン酸、ならびにアルカン−およびアレーン−スルホン酸、例えばメタンスルホン酸やベンゼンスルホン酸)と共に形成される酸付加塩も含まれる。薬学的に許容可能なエステルとしては、抗狂犬病抗体に含まれるカルボキシ基、スルホニルオキシ基、およびホスホノオキシ基から形成されたエステル、例えば、C1-6アルキルエステルが挙げられる。2つの酸性基が存在する場合には、薬学的に許容可能な塩またはエステルは、モノ酸−モノ塩もしくはエステル、または二塩またはエステルとなる場合がある。同様に、3つ以上の酸性基が存在する場合、これらの基のいくつかまたは全てが塩化またはエステル化される可能性がある。本技術で指す抗狂犬病抗体は、塩化されていないまたはエステル化されていない形態で存在する場合も、あるいは塩化された形態および/またはエステル化された形態で存在する場合もあり、また、そのような抗狂犬病抗体の命名には、元の(塩化されていない、エステル化されていない)化合物とその薬学的に許容可能な塩およびエステルの両方が含まれることが意図される。また、本技術の特定の態様は、1種類を上回る立体異性体の形態で存在する場合があり、そのような抗狂犬病抗体の命名には、単一の立体異性体の全ておよびそのような立体異性体の混合物の全て(ラセミ体であってもなくても)が含まれることが意図される。当業者であれば、特定の薬物および本技術の組成物を投与するのに適切なタイミング、順序および用量を容易に決定できるだろう。
そのような担体または希釈剤の例としては、これらには限定されないが、水、生理食塩水、リンガー液、デキストロース溶液、および5%のヒト血清アルブミンが挙げられる。リポソームおよび非水性の媒体、例えば固定油を使用してもよい。そのような媒体および化合物の薬学的に活性な物質に対する使用は、当該分野において周知である。任意の標準的な媒体または化合物が抗狂犬病抗体と適合しない場合を除き、それらの組成物中での使用が想定される。組成物には、補助的な活性化合物を組み込むこともできる。
本技術の医薬組成物は、目的の投与経路に適合するように製剤化される。本技術の抗狂犬病抗体組成物は、非経口、局所、静脈内、経口、皮下、動脈内、皮内、経皮的、直腸、頭蓋内、鞘内、腹腔内、鼻腔内;または筋内の経路によって、または吸入剤として投与することが可能である。抗狂犬病抗体は必要に応じて、種々のアクチン−または微小線維−関連疾患を含む様々な疾患の治療に少なくとも部分的に有効な他の薬剤と組み合わせて投与してもよい。
非経口、皮内、または皮下使用に用いられる溶液または懸濁液としては、以下の成分を挙げることができる:無菌的な希釈剤、例えば注入用の水、生理食塩水、固定油、ポリエチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコールまたは他の合成溶媒;抗菌性の化合物、例えばベンジルアルコールまたはメチルパラベン;酸化防止剤、例えばアスコルビン酸または亜硫酸水素ナトリウム;キレート化合物、例えばエチレンジアミン四酢酸(EDTA);緩衝剤、例えば酢酸、クエン酸またはリン酸、および浸透圧を調整するための化合物、例えば塩化ナトリウムまたはデキストロース。pHは酸または塩で、例えば塩酸または水酸化ナトリウムで調整することができる。非経口製剤は、アンプル、使い捨てのシリンジまたはガラスもしくはプラスチック製の複数回投与用のバイアルに封入してもよい。
注入に好適な医薬組成物は、無菌的な水溶液(水溶性の場合)または分散媒および無菌的な注入溶液または分散液を即時調製するための無菌的な粉末を含む。静脈内投与用の好適な担体としては、生理食塩水、静菌性の水、Cremophor ELTM(BASF、パーシッパニー、ニュージャージー)またはリン酸緩衝生理食塩水(PBS)が挙げられる。いずれの場合にも、組成物は無菌的でなければならず、かつ、容易に注射針を通過する程度の液性をもっていなければならない。また、製造と管理の条件で安定でなければならず、細菌や真菌などの微生物の汚染作用から保護されていなければならない。担体は、例えば、水、エタノール、多価アルコール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、および液体ポリエチレングリコールなど)、およびその好適な混合物を含む溶媒または分散媒であってよい。適当な液性は、例えば、レシチンなどのコーティングの使用、分散剤の場合には必要とされる粒子サイズの維持、および界面活性剤の使用によって維持され得る。微生物の作用は、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、アスコルビン酸、チメロサールなどの様々な抗菌性および抗真菌性化合物によって予防することができる。多くの場合、等張性化合物、例えば、糖、多価アルコール、例えばマンニトール、ソルビトール、塩化ナトリウムを組成物中に含めることが望まれる。組成物に吸収を遅らせる化合物、例えば、モノステアリン酸アルミニウムやゼラチンを加えることで、注入用組成物を長期間かけて吸収させることができる。
無菌的な注入用溶液は、抗狂犬病抗体を必要量の適切な溶媒に、必要に応じて上記成分の1つまたは複数と組み合わせて組み込み、その後、濾過滅菌することで調製できる。分散剤は通常、抗狂犬病抗体を、基礎となる分散媒と、上記成分から選択される、必要とされる他の成分を含む無菌的な媒体に組み込むことで調製される。無菌的で注入可能な溶液を調製するための無菌的な粉末の場合には、調製方法は、活性成分と、予め濾過滅菌しておいた所望の成分の溶液に由来するその成分とを含む粉末を生じる真空乾燥および凍結乾燥となる。本技術の抗体は、活性成分を持続してまたは拍動性に放出することができるような様式で処方することができる、デポー注入または埋め込み用製剤の形態でも投与することができる。
経口用組成物は通常、不活性な希釈剤または可食担体を含む。それらをゼラチンカプセルに封入するか、または錠剤として打錠することができる。治療目的で経口投与する場合には、抗狂犬病抗体を賦形剤に組み入れ、錠剤、トローチ、またはカプセルの形態で使用することができる。経口用組成物はまた、洗口液として使用するために、液状の担体を使って調製することができる。この場合、液状担体に含まれる化合物は口腔内に使用され、すすがれて、吐き出されるかまたは飲み込まれる。薬学的に適合する結合性の化合物および/または補助材料も、組成物の一部として含めることができる。錠剤、丸薬、カプセル、トローチなどは、以下の成分、または似た性質の化合物のいずれをも含有する場合がある:結合剤、例えば微結晶セルロース、トラガカントゴムまたはゼラチン;賦形剤、例えばデンプンまたは乳糖、崩壊剤、例えばアルギン酸、プリモゲル(Primogel)、またはトウモロコシデンプン;滑沢剤例えばステアリン酸マグネシウムまたはステロート(Sterote);流動促進剤、例えばコロイド状二酸化ケイ素;甘味料、例えばショ糖またはサッカリン;または香料、例えばペパーミント、サリチル酸メチル、またはオレンジ香料。
吸入投与の場合には、抗狂犬病抗体は、好適な噴霧剤、例えばガス、例えば二酸化炭素の入った圧縮容器もしくはディスペンサー、またはネブライザーからのエアロゾルスプレーの形態で送達される。
経粘膜的または経皮的な手段により、全身投与も可能である。経粘膜的または経皮的投与の場合には、浸透する障壁にとって適切な浸透剤が製剤に使用される。そのような浸透剤は概して当該分野において知られており、また、例えば、経粘膜投与には、界面活性剤、胆汁酸、およびフシジン酸誘導体が含まれる。経粘膜的投与は、点鼻薬または座剤の使用を介して達成され得る。経皮的投与の場合には、抗狂犬病抗体は、当該分野で一般的に知られているように、軟膏、膏薬、ゲル、またはクリームとして製剤化される。
抗狂犬病抗体は、座剤(例えば、標準的な座剤の基剤、例えばココアバターおよび他のグリセリド類と共に)または直腸送達用の停留浣腸の形態の医薬組成物として調製することもできる。
一態様では、抗狂犬病抗体を、例えば放出制御型製剤、埋め込み型製剤やマイクロカプセル化された送達系として、抗狂犬病抗体が身体から早く排出されないようにする担体と共に調製する。生分解性の、生体適合性のポリマー、例えばエチレン酢酸ビニル、ポリ酸無水物、ポリグリコール酸、コラーゲン、ポリオルトエステル、およびポリ乳酸を使用することができる。そのような製剤の調製方法は、当業者に明らかである。材料は、Alza CorporationおよびNova Pharmaceuticals,Incから市販されてもいる。リポソーム懸濁液(ウイルス抗原に対するモノクローナル抗体を含む感染した細胞に標的指向化されたリポソームを含む)もまた、薬学的に許容可能な担体として使用することができる。これらは、当業者に知られている方法に従って、例えば米国特許第4,522,811号に記載されている方法に従って準備することができる。
C.キット
本技術は、本技術の抗体またはその機能性変異体を少なくとも1つ含む、狂犬病感染の診断、予防、および/または治療のためのキットを提供する。必要に応じて、上述した本技術のキットの構成要素は、好適な容器中に梱包され、狂犬病の診断、予防、および/または治療に関する表示がなされる。上記構成要素は、単回投与用または複数回投与用の容器、例えば、密閉したアンプル、バイアル、ボトル、シリンジ、および試験管中に、水溶性、好ましくは無菌的な、溶液としたまたは再構成用の凍結乾燥した、好ましくは無菌的な、製剤として保存され得る。このキットは、医薬組成物を希釈して増量するのに好適な希釈剤を保持する第2の容器をさらに含んでいてもよい。好適な希釈剤としては、これらには限定されないが、医薬組成物の薬学上許容可能な賦形剤および生理食塩水が挙げられる。さらにこのキットは、医薬組成物医薬組成物を希釈するための説明書および/または、希釈されるか否かにかかわらず、医薬組成物を投与するための説明書を含み得る。容器は様々な材料、例えばガラスまたはプラスチックから形成されていてもよく、また、無菌的に操作できる出入口を有していても良い(例えば、容器は、皮下注射針で貫通し得る栓を備えた静注用輸液バッグまたはバイアルであってよい)。キットは、薬学上許容可能な緩衝液、例えばリン酸生理緩衝液、リンガー液およびデキストロース溶液の入ったより多くの容器をさらに含んでいてもよい。また、他の緩衝剤、希釈剤、ろ紙、針、シリンジ、1種類以上の好適な宿主用の培地など、市場および利用者の観点から望まれる他の材料をさらに含み得る。キットは必要に応じて、例えば、適応、用法、用量、製造、投与、禁忌および/またはそのような治療、予防または診断的製品に関する注意事項に関する情報を含む、治療、予防または診断的製品のコマーシャル・パッケージに通常含まれている説明を含んでいてもよい。
このキットは、生体試料、例えば、血清、血漿、リンパ、嚢胞液、尿、排泄物、脳脊髄液、腹水または血液などを含むがこれらには限定されない任意の体液、および体組織の生検試料中の免疫反応性の狂犬病糖タンパク質または免疫反応性の狂犬病様糖タンパク質の有無を検出するのに有用である。例えばキットは、生体試料中の狂犬病糖タンパク質または狂犬病様糖タンパク質に結合可能な抗狂犬病抗体を1つ以上(例えば、CGMCC受入番号:4805および4806からなる群より選択される寄託された細胞株によって酸性される抗体と同じ抗原結合特異性を有する抗体またはその抗原−結合断片);試料中に含まれる狂犬病糖タンパク質または狂犬病様糖タンパク質の量を決定するための手段;および試料中の免疫反応性の狂犬病糖タンパク質または免疫反応性の狂犬病様糖タンパク質の量を基準と比較するための手段、を含む可能性がある。1つ以上の抗狂犬病抗体は標識されていてもよい。キットの構成要素(例えば試薬)は、好適な容器中に梱包されていてもよい。キットは、免疫反応性の狂犬病糖タンパク質または狂犬病様糖タンパク質を検出するのにこのキットを使用するための説明書をさらに含む場合がある。
抗体を使用したキットの場合、そのキットは、例えば、1)例えば、固相支持体に結合しており、本技術に相当する狂犬病糖タンパク質に結合する第1の抗体;および、必要に応じて;2)狂犬病糖タンパク質または第1の抗体のどちらかに結合し、かつ、検出可能な標識と結合している第2の別の抗体を含む場合がある。
キットはさらに、例えば、緩衝剤、保存料またはタンパク質安定化剤を含み得る。キットは、検出可能な標識を検出するのに必須の要素、例えば酵素または基質をさらに含む場合がある。キットはまた、検定し、被検試料と比較することが可能な対照試料または一連の対照試料を含む場合がある。キットの構成要素はそれぞれ、個別の容器中に封入されいてもよく、また、様々な容器が全て、単一の包装に、そのキットを用いて行ったアッセイ結果を解釈するための説明書と共に、含まれていても良い。本技術のキットは、キットの容器に貼られた、またはキットの容器中に入った、書面による製品を含んでいてもよい。書面による製品は、キットに含まれている試薬をどのように使用するか、例えば、インビトロまたはインビボで狂犬病ウイルスの糖タンパク質を検出するのに、またはそれを必要とする患者における狂犬病感染の治療または予防に試薬をどのように使用するかを説明するものである。複数の態様では、試薬の使用は本技術の方法に則る可能性がある。
以下の実施例は、本技術の選択した態様をより完全に説明するために提示されるものである。これらの実施例は、添付の請求項によって定義される本技術の範囲を限定するものとは全く解釈されない。
以下の実施例は、本技術の抗狂犬病抗体の例の調製、特徴解析、および使用を説明するものである。実施例1では、マウスモノクローナル抗体の調製について説明する。実施例2〜7では、狂犬病ウイルスの糖タンパク質に対する例示的な抗体の特異性、この抗体が狂犬病ウイルスを中和する能力、狂犬病ウイルスの糖タンパク質への結合に関する抗体間の競合、抗体が狂犬病ワクチンの免疫原性に及ぼす作用の度合、および抗体の組み合わせが狂犬病ウイルスを中和する能力について説明する。実施例8〜15では、2種類の例示的な抗体のキメラ抗体およびヒト化抗体の産生について、およびそれらの結合特異性、狂犬病ウイルスを中和する能力、ならびに狂犬病ウイルス感染の曝露後予防での使用について説明する。
実施例1−マウス狂犬病ウイルス中和抗体の調製および特徴解析
マウス狂犬病ウイルス中和抗体は、ハイブリドーマを培養することで得ることができる。ハイブリドーマは、マウスを狂犬病糖タンパク質で免疫し、その後、このマウス由来の脾臓細胞またはリンパ節を、マウス骨髄腫細胞を融合させることで得ることができる。抗狂犬病抗体の調製手順は、上述した工程を参照しながら以下に詳細に記載する。この本発明の抗体の調製方法は、調製方法の一例を示すことを意図するものであり、それに限定されるものではない。他の既知の手順に従っても良い。
本技術は、狂犬病ウイルスを中和することができる抗体を誘導するための免疫原として、狂犬病ウイルス糖タンパク質(GenBank受託番号ABY1950)を用いる。調製した免疫原をアジュバント、例えば完全または不完全なフロイントアジュバントと混合し、マウスに投与する。実験動物を免疫するために好適な投与経路としては、皮下、腹腔内、静脈内、皮内、および筋内注入があり、皮下および腹腔内注入が好ましい。免疫化は場合により、単回投与、または適切な間隔で複数回反復投与することで実施される。免疫した動物における抗体産生は、抗原特異的抗体の血清レベルによって決定される。抗体の力価が高ければ、その動物を抗体産生細胞を調製するための供給源として利用することができる。一般的に、抗体産生細胞は、免疫原を最後に注入してから3〜5日後に回収することができる。
動物の任意の好適な部分から得られたリンパ球および血漿細胞が、抗体を産生するための前駆細胞である。リンパ球または血漿細胞の供給源になるものには、脾臓、リンパ節、末梢血、またはそれらの適切な組み合わせがあり、脾臓細胞が最も一般的な供給源である。最後の追加免疫の後、抗体産生細胞が含まれるリンパ組織から、単一のリンパ球懸濁液を調製する。融合技術には、脾臓細胞と骨髄腫細胞の比がおよそ5:1〜10:1になるように、血清を含まない培地(例えばRPMI1640)またはリン酸緩衝生理食塩水(これ以降「PBS」とする)で脾臓細胞および骨髄腫細胞を洗浄することと、その後遠心分離することが含まれる。上清を廃棄し、沈殿した細胞を十分にほぐした後、50%(w/v)のポリエチレングリコール(分子量1,000〜4,000)を含有する血清を含まない培地1mlを一滴ずつ、混合しながら加える。その後、10mlの血清を含まない培地をゆっくりと加え、次いで遠心分離する。上清を再び捨て、沈殿した細胞を、ヒポキサンチン、アミノプテリンおよびチミジンの溶液をお含有する適量のHAT培地(これ以降「HAT」とする)に懸濁する。
P3X63Ag8U.l(P3−U1)、P3/NSI/l−Ag4−l(NS−l)。SP2/0−Agl4(SP−2)、P3X63Ag8.653およびP3X63Ag8(X63)などの、ATCCから入手可能な確立したマウス細胞株由来の細胞も融合に用いる骨髄腫細胞の供給源として役立つ。選択した細胞株を順次適切な培地、例えば8−アザグアニン培地に移行する。8−アザグアニン培地は、イスコフ改変ダルベッコ培地(これ以降「IMDM」とする)またはダルベッコ改変イーグル培地(これ以降「DMEM」とする)を含む。RPMI−1640培地には、グルタミン、2−メルカプトエタノール、ゲンタマイシン、ウシ胎仔血清(これ以降「FCS」とする)、および8−アザグアニンが添加されている。
融合させた後、融合しなかった骨髄腫細胞および骨髄腫−骨髄腫融合体はいずれも、HAT培地中では生存できない。一方、互いが抗体産生細胞である融合体と、抗体産生細胞と骨髄腫細胞のハイブリドーマは生存でき、さらに、前者の寿命は限られている。従って、HAT培地中でインキュベートし続けることで、所望のハイブリドーマだけが選択される。得られたハイブリドーマはコロニーを形成し、それを次にアミノプテリンを含まないHAT培地(HT培地)に移す。その後、培地上清の一定分量を除いて、例えばELISAで抗体力価を決定する。その後、特異的抗体を産生することを示したハイブリドーマを、クローニング用に別のプレートに移す。
本技術の抗体の基礎であるマウス−マウスハイブリドーマRV 3D11E31A9およびRV 7G11A32G11を2011年5月12日、CGMCCに寄託した。受入番号はそれぞれ、CGMCC 4805および4806である。
安定な抗体産生ハイブリドーマが得られた後、選択したハイブリドーマを培養して展開することができる。大規模培養から得られた上清をその後回収し、好適な方法、例えばアフィニティクロマトグラフィーおよびゲル濾過によって精製する。ハイブリドーマを同系マウス、例えばBALB/cマウスまたはnu/nuマウスの腹膜内で生育させ、抗狂犬病モノクローナル抗体を含有する腹水を大量に得ることもできる。
実施例2−マウス狂犬病ウイルス中和抗体の結合活性
この実施例では、5つの狂犬病ウイルス中和抗体(RVNA)の狂犬病ウイルスRV糖タンパク質に対する結合活性について試験した。実施例1〜6で使用したマウスRVNAおよび他の生体材料を表3に示す。これらの試験では、実験動物として、6〜8週齢で体重が20〜30グラムのメスのBALB/cマウス(SPFグレード)と、2〜3ヶ月例で体重が100グラムのシリアンハムスター(SPFグレード)を用いた。
間接的化学発光酵素免疫アッセイ(CLEIA)で決定した5種類のRVNAの、RV糖タンパク質に対する結合曲線を図1に示す。糖タンパク質をPBSで1:500に希釈し、次いでマイクロプレートをコーティングした。RVNAの5種類のクローンはそれぞれ、10000、2000、400、80、16、3.2および0.64ng/mLに希釈した。酵素結合二次抗体としては、ヤギ抗マウスIgG2a−HRPおよびヤギ抗マウスIgG2b−HRPを用いた。相対発光強度(RLU)で化学発光シグナルを示す。
これらの結果は、本技術の抗狂犬病抗体が狂犬病ウイルスの糖タンパク質に特異的に結合し、試料中の狂犬病ウイルスの糖タンパク質を検出するための方法、またはそれを必要とする対象における狂犬病感染を治療もしくは予防する方法、およびそれを必要とする対象に狂犬病感染対する曝露後予防を提供する方法など、そのような特異的な結合に関する方法において有用であることを示している。
実施例3−マウスRVNAの中和効力およびエピトープの特徴解析
5種類のRVNAのインビトロでの中和効力と、RVNAによって認識・中和されるエピトープを本明細書に記載したように決定した。CVS−11ウイルスを調製するために、単層の神経芽細胞腫細胞に負荷ウイルス標準品−11(CVS−11)または他のウイルスを、0.3の感染多重度(MOI)で15分間、37℃/0.5%CO2で感染させた。その後、ウイルス接種材料を除去し、細胞に新しい培地を加え、40時間、37℃/0.5%CO2の条件でインキュベートを続けた。培養上清を回収し、使用するまで−80℃で保存した。
中和に関する標準的な迅速蛍光フォーカス抑制試験(RFFIT)を、Smith et al.が既に記載しているように行った(Meslin F−X, Kaplan MM, Koprowski H,編、Laboratory techniques in rabies.第四版中の「A rapid fluorescent focus inhibition test(RFFIT)for determining rabies virus−neutralizing antibody」世界保健機構:ジュネーブ、スイス1996;181−192)。各RVNAの中和効力を決定するために、それらの50%中和力価を、標準品(標準GB)の50%中和力価(21.4IU/mLと定義されている)と比較した。CVS−11狂犬病ウイルスを用いて行ったRFFIT試験の結果を表4に示す。
3D11E3、3H10D3、5A1C10、6F11C1および7G11A3によって認識される糖タンパク質エピトープの特徴を同定するために、ウェスタン解析およびCLEIAを行った。ウェスタンブロットでは、還元した糖タンパク質および還元していない糖タンパク質をSDS−PAGE電気泳動で分離し、5種類のRVNAで探査した(図2)。それぞれのRVNAにつき、1μg/mLの抗体を使用した。二次抗体としては、1:2000に希釈したヤギ抗マウスIg(H+L)−HRPを用いた。非還元条件では、狂犬病ウイルスの糖タンパク質が5種類全てのRVNAによって認識される可能性があることが分かった。しかしながら、還元した糖タンパク質を認識したのは3D11E3、3H10D3および5A1C10だけであった。この結果により、3D11E3、3H10D3または5A1C10によって認識されるエピトープが線状エピトープで、6F11C1または7G11A3によって認識されるエピトープが立体エピトープであることが確認された。
5種類のRVNAは、それぞれ異なる緩衝剤で処理した狂犬病ウイルスの糖タンパク質(RVGP)に結合する。糖タンパク質をそれぞれ、炭酸緩衝液(CB)、0.1%のドデシル硫酸ナトリウムを含む炭酸緩衝液(CB+0.1%(wt/vol)SDS)、および0.1%のドデシル硫酸ナトリウムと0.1%のβ−メルカプトエタノールを含む炭酸緩衝液(CB+0.1%(wt/vol)SDS+β−ME)に溶解し、その後、マイクロプレートをコーティングした。5種類のRVNAは、10000、2000、400、80、16、3.2および0.64ng/mLに希釈し、その後、RVGPと反応させた。酵素結合型の二次抗体としては、1:2000に希釈したヤギ抗マウスIgG2a−HRPおよびヤギ抗マウスIgG2b−HRPを使用した。化学発光シグナル(RLU)を図3A〜Eに示す。この結果は、6F11C1または7G11A3が認識したエピトープの方が、3D11E3、3H10D3または5A1C10が認識したエピトープよりもSDSに対して感受性が高いことを示している。従って、この2つの方法から得られた結果は互いに、3D11E3、3H10D3および5A1C10が線状エピトープを認識し、6F11C1および7G11A3が立体的エピトープを認識するという点で一致している。
これらの結果は、本技術の抗狂犬病抗体は狂犬病ウイルスの感染力を中和し、またこれらが、それを必要とする対象における狂犬病感染を治療または予防する方法、およびそれを必要とする対象に狂犬病ウイルスに対する曝露後予防を提供する方法などの、狂犬病ウイルスの中和に関連する方法において有用であることを示している。
実施例4−狂犬病ウイルスパネルに対する中和の幅
中和の幅について解析するために、5種類のRVNA(3D11E3、3H10D3、5A1C10、6F11C1および7G11A3)が、代表的な10種類の狂犬病ウイルス(RV)のパネルをカバーする範囲をマウス中和試験(MNT)で決定した(Hasse et al.,13(2)J.Biol.Stand.123−28(1985)を参照のこと)。結果を図4I〜Jに示し、また、表5にまとめた。全てのRVNAが、大部分のRVに対する中和保護をもたらした。実験群の対象のうち、わずかな部分が死滅したが、この死別は対照群よりも少なくとも2日間遅れて起こった(図4)。全体としてこの結果は、5種類のRVNAの全てが、RVパネル全体を中和する能力を有している可能性があることを示している。
これらの結果は、本技術の抗狂犬病抗体が、狂犬病ウイルスの感染力を中和し、かつ、それを必要とする対象において狂犬病感染を治療または予防する方法、およびそれを必要とする対象に狂犬病ウイルスの曝露後予防を提供する方法などの狂犬病ウイルスの中和に関連する方法において有用であることを示している。
実施例5−抗狂犬病中和抗体間での競合
抗体3D11E3、3H10D3、5A1C10、6F11C1および7G11A3が狂犬病ウイルス糖タンパク質への結合に関して互いに競合するか否かを調べるために、CLEIAにより、一連の競合実験を行った(図5A〜O)。簡単に説明すると、96ウェルのマクロプレートをPBSで1:500に希釈した狂犬病ウイルスの糖タンパク質でコーティングした。50μLの希釈した抗狂犬病抗体と50μLの抗狂犬病mAb−HRPを各ウェルに加え、37℃で1時間インキュベートした。インキュベートした後、洗浄液でこのプレートを洗浄し、50μLの化学発光基混合質液を加えた。プレートを暗室に3分おき、その後、化学発光の強度を測定した。
抗狂犬病mAbが入っておらず抗狂犬病mAb−HRP結合体のみを入れたウェルのRLUをB0と、抗狂犬病mAbと抗狂犬病mAb−HRP結合体の両方が入ったその他のウェルのRLUをBと定義した。B0をBで除算することによって結合率を得た。非特異的な抗体は5種類のHRP標識RVNAの結合を阻害しなかったため(図5C、F、I、L、O)、陰性対照となった。結合率が低ければ低いほど、RVNAがHRP標識RVNAと競合する度合が大きかった。結果は、7G11A3は3D11A3−HRP(図5A、B、C)、3H10D3−HRP(図5D、E、F)、5A1C10−HRP(図5G、H、I)または6F11C1−HRP(図5J、K、L)の糖タンパク質への結合に実質的に影響を及ぼさないことを示した。7G11A3−HRPのRVGPへの結合に関しては、3H10D3または3D11E3の競合は、その他3種類のRVNAと比べると弱かった(図5M、N、O)。全体として、3D11E3、3H10D3、および7G11A3との間の競合は、その他のペアの競合と比較して弱かった。この結果に基づいて、3D11E3、3H10D3、および7G11A3をこれ以降の実験用に選択した。
実施例6−ワクチンを接種しておらず、3D11E3、3H10D3、7G11A3、またはヒト狂犬病ウイルス免疫グロブリンで処理したシリアンハムスターにおけるワクチン免疫原性
曝露後予防(PEP)の過程では、RVNAとワクチンを同時に投与すると、保護に必要とされる、閾値レベルの中和抗体を誘導するというワクチンの能力が低下する可能性がある。そのため、mAbによる処理が免疫化をどの程度干渉するかを評価することが重要である。RVNAがワクチンの効力に及ぼす影響を決定するために、RV非存在下でのインビボ動物試験を行った(図6)。PEPとして、BALB/cマウスに50μg用量のRVNAに加えてワクチンを、または20IU/kgのヒト狂犬病免疫グロブリン(HRIG)に加えてワクチンを投与した。対照のマウスには、ワクチンのみを投与した。各実験群につき、6匹のマウスを使用した。1、3、7、14および28日目に、眼窩より採血した。各群につき試料のペアをたくわえ、各条件について3つの血清レプリカを得た。RVNAの力価を、処理の1、3、7、14、および28日後に測定した。結果を図6にまとめる。
50μg用量のRVNAの投与を受けたマウスでは、1日目と3日目に、RVNAの血清力価が高まった(図6A〜C)。20IU/kgのHRIGと同時にワクチンの投与を受けた対象よりも力価は低かったが、それでもなお、WHOの要求する>0.5IU/mLの範囲内であった(図6D)。ワクチンのみを投与した対象では力価は検出されなかった(図6E)。50μg用量の7G11A3(図6A)または50μg用量の3D11E3(図6B)の投与を受けたマウスのRVNA力価は、7〜28日目の期間では依然として高く、かつ、ワクチンのみを投与した対象の力価よりも高いかそれらと同等であった(図6E)。しかしながら、50μg用量の3H10D3の投与を受けたマウスにおけるRVNA力価は、7日目から28日目にかけて劇的に低下した(図6C)。この結果は、7G11A3と3D11E3はワクチンによる中和抗体産生の誘導能力を干渉しないが、3H10D3はワクチンの効力を低下させることを示した。
これらの結果は、本技術の抗狂犬病抗体が、狂犬病ワクチンの免疫原性を低下させることなく、狂犬病ウイルスの感染力を中和することを示している。つまりこれらは、それを必要とする対象における狂犬病感染を治療または予防する方法、およびそれを必要とする対象に狂犬病感染に対する曝露後予防を提供する方法など、狂犬病ワクチンの投与を伴う狂犬病ウイルスの中和に関わる方法において有用である。
実施例7−インビボにおける抗狂犬病mAb混合物の中和能力のポリクローナルHRIGとの比較
3D11E3/7G11A3混合物のインビボにおける中和能力を評価するために、シリアンハムスターを使って試験した。−1日目に、ハムスター(各群あたりn=10)に狂犬病RV(BD06)を感染させた。0日目の動物に、狂犬病ワクチン(Rabipur(登録商標)、Chiron Behring GmbH&Co.、リーダーバッハ、ドイツ)、ヒト二倍体細胞由来ワクチン(HDCV;Imovax(登録商標)、Sanofi Pasteur、スウィフトウォーター、ペンシルバニア、米国)を接種し、その24時間または72時間後に、3D11E3と7G11A3(0.5mg/kg)を等量含む3D11E3/7G11A3混合物または20IU/kgのヒト狂犬病免疫グロブリン(Shuanglin Pharmaceutical)を、ウイルスを接種した箇所(つまり右の腓腹筋)に処理した。3、7、14、および28日目に、左の腓腹筋にワクチンを追加投与した。対照群は、ワクチンのみの投与を受けたかまたは未処理とした。ハムスターを毎日観察し、狂犬病感染の臨床徴候が現れたら安楽死させた。狂犬病の臨床徴候としては、嗜眠、発熱、嘔吐、および食欲不振が挙げられる。このような徴候は数日以内に、脳の機能不全、脳神経障害、運動失調、脱力感、運動麻痺、痙攣、呼吸困難、嚥下困難、唾液の過剰分泌、異常行動、攻撃性、および/または自傷行為へと進行する。結果を図7にまとめた。
未処理の陰性対照群の生存率は10%であった。このことは、ウイルス感染が有効であったことを示している。24時間後、ワクチンと3D11E3/7G11A3混合物とを投与された対象が示した生存率は90%(9/10)で、ワクチンとHRIGとの投与を受けた対象の生存率は80%(8/10)であった。対照的に、72時間後には、ワクチンと3D11E3/7G11A3混合物およびHRIGの投与を受けた対象の生存率はそれぞれ、50%(5/10)および20%(2/10)に低下した。
これらの結果は、本技術の抗狂犬病抗体の組み合わせが狂犬病ウイルスの感染力を中和すること、またこれらが、それを必要とする対象における狂犬病感染を治療または予防する方法およびそれを必要とする対象に狂犬病感染に対する曝露後予防を提供する方法などの狂犬病ウイルスの中和に関連する方法において有用であることを示している。
実施例8−キメラ3D11E3−1A9抗体およびヒト化3D11E3−1A9抗体の生成
この実施例では、上記実施例2〜7に記載した3D11E3−1A9抗体のキメラ形態およびヒト化形態の調製について説明する。
マウス1A9可変領域遺伝子のクローニングおよび配列決定。マウスCT.RV 3D11E3 1A9(本実施例では「1A9」とする)ハイブリドーマ細胞を、12%ウシ胎仔血清(FBS;HyClone、ローガン、ユタ)を含むハイブリドーマ−SFM(Invitrogen、カールスバッド、カリフォルニア)培地中、37℃、7.5%のCO2インキュベーター内で生育させた。トータルRNAをおよそ107個のハイブリドーマ細胞から、TRIzol試薬(Invitrogen)を用い、提供者による手順に従って抽出した。5’−RACE用のOligo dT付加cDNAをSMARTer RACE cDNA Amplification Kit(Clontech、マウンテンビュー、カリフォルニア)を使い、提供者による手順に従って合成した。1A9の重鎖可変領域および軽鎖可変領域のcDNAをPhusion DNAポリメラーゼ(New England Biolabs、ビバリー、マサチューセッツ)を使ったポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によって増幅した。マウスガンマ−2a鎖およびカッパ鎖の定常領域のそれぞれにアニールする3’プライマーと、SMARTer RACE cDNA Amplification Kitに添付の5’−RACEプライマー(Universal Primer A MixまたはNested Universal Primer A)を使用した。重鎖可変領域(VH)のPCR増幅には、2本の3’プライマーを使用した。配列はそれぞれ、5’−GCCAGTGGATAGACCGATGG−3’(配列番号1)および5’−ACAGTCACTGAGCTGC−3’(配列番号2)である。軽鎖可変領域(VL)のPCR増幅には、5’−GATGGATACAGTTGGTGCAGC−3’(配列番号3)という配列の3’プライマーを使用した。増幅したVHおよびVLのcDNAを、配列を決定するためにpCR4Blunt−TOPOベクター(Invitrogen)にクローニングした。DNAの配列決定はTocore(メンロパーク、カリフォルニア)で行った。複数の重鎖クローンと軽鎖クローンについて配列決定を行い、典型的なマウス重鎖および軽鎖可変領域と相同なユニーク配列を同定した。成熟した1A9 VHおよびVLアミノ酸配列中に異常な特徴は認められなかった。
マウス1A9 VH cDNAのヌクレオチド配列(配列番号4)を推定アミノ酸配列(配列番号5)と共に表6に示す。シグナルペプチド配列は斜体で表示した。成熟VHのN末端アミノ酸残基(E)は二重下線で示した。Kabat et al.の定義によるCDR配列(Sequences of Proteins of Immunological Interests第五版,NIH Publication No. 91−3242,米国保健社会福祉省,1991)を下線で示している。
マウス1A9 VL cDNAのヌクレオチド配列(配列番号6)を推定アミノ酸配列(配列番号7)と共に表7に示す。シグナルペプチド配列は斜体で表示した。成熟VLのN末端アミノ酸残基(D)は二重下線で示した。Kabat et al.(1991)の定義によるCDR配列を下線で示す。
キメラ1A9 IgG1/κ抗体の構築。1A9 VHをコードしている遺伝子を、スプライシング供与部位と近傍に適切な制限酵素部位とを含むエクソンとしてPCRによって生成した。PCRでは、1A9 VHのcDNAを鋳型として、5’−GCAACTAGTACCACCATGGGAGGGATCTGGATC−3’(配列番号8)(SpeIsiteisunderlined)の5’プライマーと、5’−GGGAAGCTTGTTTTAAGGACTCACCTGAGGAGACTGTGAGAGTGGTGCC−3’(配列番号9)(HindIII部位を下線で示す)の3’プライマーを用いた。設計したCh1A9 VH遺伝子(SpeIおよびHindIII部位(下線)が隣接している)のヌクレオチド配列(配列番号10)を、推定アミノ酸配列(配列番号11)と共に表8に示す。シグナルペプチド配列は斜体で表示した。成熟VHのN末端アミノ酸残基(E)を二重下線で示す。Kabat et al.(1991)の定義によるCDR配列を下線で示す。イントロン配列は斜体で示している。
同様に、Ch1A9 VLをコードしている遺伝子を、スプライシング供与シグナルと、近傍に適切な酵素部位とを含むエクソンとしてPCRで生成した。PCRではCh1A9 VLのcDNAを鋳型として、5’−GCTGCTAGCACCACCATGGAGTCACAGACTCAG−3’(配列番号12)(NheI部位を下線で示す)を5’プライマーに、5’−GGGGAATTCGCAAAAGTCTACTTACGTTTTATTTCCAACTTTGTCCCCGA−3’(配列番号13)(EcoRI部位を下線で示す)を3’プライマーに使用した。
設計したCh1A9 VL遺伝子(NheIおよびEcoRI部位(下線)が隣接している)のヌクレオチド配列(配列番号14)を推定アミノ酸配列(配列番号15)と共に表9に示す。シグナルペプチド配列は斜体で表示した。成熟VLのN末端アミノ酸残基(D)は二重下線で示した。Kabat et al.(1991)の定義によるCDR配列を下線で示す。イントロン配列は斜体で示している。
Ch1A9のVHおよびVLエクソンのスプライシング供与シグナルはそれぞれ、マウス生殖系列のJH2およびJκ4配列由来のものだった。PCRで増幅した断片を、NucleoSpin Extraction II Kit(Macherey−Nagel、ベスレヘム、ペンシルバニア)でゲル精製し、pCR4Blunt−TOPOベクターに配列を確認するためのクローニングした。正しいV断片をSpeIとHindIII(VHの場合)、またはNheIとEcoRI(VLの場合)で制限消化し、ゲル精製して、キメラCh1A9 IgG1/κ抗体を産生するためのヒトガンマ−1およびカッパ定常領域を保有する哺乳類の発現ベクターにクローニングした。得られた発現ベクター、pCh1A9の模式図を図8に示す。
ヒト化1A9 VHおよびVL遺伝子の設計。1A9 VHおよびVL由来のCDR配列と、CDR構造を維持するのに重要なフレームワークのアミノ酸残基を、相当する選択したヒトフレームワーク配列に接いだ。GenBankのデータベース中で、1A9 VHフレームワークに相同なヒトVH配列を検索し、ヒトDA980102 cDNA(DA980102 VH)(GenBank受入番号;Kimura et al.,Genome Res.16:55−65、2006)によってコードされているVH配列をヒト化のアクセプターとして選択した。1A9 VHのCDR配列をまず、DA980102 VHの対応する位置に移した。
1A9 VLフレームワーク配列を使った相同性検索に基づき、CB958542 cDNA(CB958542 VL)(GenBank受入番号;NIH−MGC EST Sequencing Project、1999)によってコードされているヒトVκ領域をヒト化のアクセプターとして選択した。1A9 VLのCDR配列をまず、CB958542 VLの対応する位置に移した。次に、フレームワークの46番目の位置で、マウス1A9 VL由来のアミノ酸残基を、対応するヒト残基に置換した。マウス1A9 VLの46番目の位置にあるAlaは、CDR構造の形成によって重要なフレームワーク中の部位に位置しているが、1A9可変領域の詳細な解析により、Hu1A9 VL1の46番目の位置にあるアミノ酸残基は、ヒトの対応する残基、CB958542 VLのValと置換しても、抗原−結合親和性が失われないことが分かった。ヒト化1A9抗体の免疫原性をさらに低下させるために、Hu1A9 VL1の46番目の位置のAlaをValで置換した第2のヒト化VL(Hu1A9 VL2)を設計した。
ヒト化1A9 VHおよびVL遺伝子の構築。Hu1A9 VHをコードしている遺伝子を、シグナルペプチド、スプライシング供与シグナル、および、その後哺乳類の発現ベクターにクローニングするのに適切な制限酵素部位とを含むエクソンとして設計した。Hu1A9 VHエクソンのスプライシング供与シグナルはヒト生殖系列JH1配列由来のものとした。SIG−Predシグナルペプチド予測ソフトウェアによると、マウス1A9 VH遺伝子によってコードされているシグナルペプチドは正確な開裂には最適ではないと予測されたため、Hu1A9 VHではヒトDA980102 VH遺伝子のシグナルペプチド配列を使用した。
Hu1A9 VL1およびVL2をコードしている遺伝子をそれぞれ、シグナルペプチド、スプライシング供与シグナル、および、その後哺乳類の発現ベクターにクローニングするのに適切な制限酵素部位とを含むエクソンとして設計した。このエクソンのスプライシング供与シグナルはヒト生殖系列Jκ2配列由来のものとした。ヒト化Hu1A9 VL1およびVL2エクソンそれぞれに含まれるシグナルペプチド配列は。対応するマウス1A9 VL配列のものとした。
GenScript USA(Piscataway、NJ)を使って、Hu1A9 VHおよびVL遺伝子を構築した。SpeIとHindIII(VHの場合)またはNheIとEcoRI(VLの場合)で制限消化した後、Hu1A9のVHおよびVL遺伝子をヒトIgG1/κ形態で産生させるための哺乳類の発現ベクターの対応する部位にサブクローニングした。得られた発現ベクターのpHu1A9−1は、Hu1A9 VHとVL1領域を含むヒト化抗体(Hu1A9−1)を発現する。同様に、pHu1A9−2はHu1A9 VHとVL2を含むヒト化抗体(Hu1A9−2)を発現する。
SpeIおよびHindIII部位(下線部)に挟まれた、Hu1A9 VH遺伝子のヌクレオチド配列(配列番号16)を、推定アミノ酸配列(配列番号17)と共に表10に示す。シグナルペプチド配列は斜体で表示した。成熟VHのN末端アミノ酸残基(Q)を二重下線で示した。Kabat et al.(1991)の定義によるCDR配列を下線で示す。イントロンの配列は斜体で示す。
NheIおよびEcoRI部位(下線部)に挟まれた、Hu1A9 VL1遺伝子のヌクレオチド配列(配列番号18)を、推定アミノ酸配列(配列番号19)と共に表11に示す。シグナルペプチド配列は斜体で表示した。成熟VLのN末端アミノ酸残基(D)は二重下線で示した。Kabat et al.(1991)の定義によるCDR配列を下線で示す。イントロンの配列は斜体で示す。
NheIおよびEcoRI部位(下線部)に挟まれた、Hu1A9 VL2遺伝子のヌクレオチド配列(配列番号20)を、推定アミノ酸配列(配列番号21)と共に表12に示す。シグナルペプチド配列は斜体で表示した。成熟VLのN末端アミノ酸残基(D)は二重下線で示した。Kabat et al.(1991)の定義によるCDR配列を下線で示す。イントロンの配列は斜体で示す。
キメラ1A9 IgG1/κ抗体およびヒト化1A9 IgG1/κ抗体を産生する安定なNS0形質転換体の生成。Ch1A9を安定に産生する細胞株を得るために、Hu1A9−1抗体およびHu1A9−2抗体、発現ベクターpCh1A9、pHu1A9−1およびpHu1A9−2、をそれぞれ、マウス骨髄腫細胞株NS0(European Collection of Animal Cell Cultures、ソールズベリー、ウィルトシャー、英国)の染色体に導入した。NS0細胞を、10%のFBSを含有するDME培地中、37℃、7.5%のCO2インキュベーター内で生育させた。NS0への安定な遺伝子導入は、Bebbington et al.によって記載されているようにエレクトロポレーション法によって行った(Bio/Technology 10:169−175、1992)。遺伝子を導入する前に、各発現ベクターをFspIで直線化した。およそ107個の細胞に20μgの直線化したプラスミドを導入し、10%のFBS含有DME培地に懸濁し、複数の96ウェルプレートに入れて静置した。48時間後、選抜培地(DME培地、10%FBS、HT培地添加剤(Sigma、セントルイス、ミズーリ)、0.25mg/mlのキサンチンおよび1μg/mlのミコフェノール酸含有)を加えた。選抜を開始しておよそ10日後、培養上清を使って抗体産生に関する試験を行った。
サンドイッチELISAにより、Ch1A9、Hu1A9−1およびHu1A9−2抗体の発現を測定した。典型的な実験ではまず、PBSで1/2,000に希釈したヤギ抗ヒトIgG Fcγ鎖特異的ポリクローナル抗体(Sigma)を1ウェル当たり100μl使い、ELISAプレートを一晩、4℃でコーティングした。その後洗浄用緩衝液(0.05%のTween 20含有PBS)で洗浄し、ブロッキング用緩衝液(2%の脱脂粉乳と0.05%のTween 20含有PBS)を1ウェル当たり300μl加えて室温で0.5時間ブロッキングした。洗浄用緩衝液で洗浄した後、ELISA用緩衝液(1%の脱脂粉乳および0.025%のTween 20含有PBS)で適切に希釈した試料をELISAプレートの1ウェルにつき100μl加えた。適切なヒト化IgG1/κ抗体を標準物質として使用した。ELISAプレートを室温で1時間インキュベートし、洗浄用緩衝液で洗浄した後、1/2,000に希釈したHRP結合ヤギ抗ヒトカッパ鎖ポリクローナル抗体(サザンバイオテック)を1ウェル当たり100μl使い、結合した抗体を検出した。室温で0.5時間インキュベートし、洗浄用緩衝液で洗浄した後、ABTS基質(bioWORLD、ダブリン、オハイオ)を1ウェル当たり100μl加えて呈色させた。1ウェル当たり100μlの2%シュウ酸を加えて呈色反応を停止した。405nmで吸光度を測定した。高レベルでCh1A9、Hu1A9−1およびHu1A9−2抗体を産生している安定なNS0形質転換体(それぞれ、NS0−Ch1A9 1C11、NS0−Hu1A9−1 3F9、およびNS0−Hu1A9−2 3C9)を、血清を含まない培地、ハイブリドーマ−SFM中での生育に馴化させた。
NS0−Ch1A9 1C11、NS0−Hu1A9−1 3F9、およびNS0−Hu1A9−2 3C9で産生された重鎖および軽鎖の確実性をcDNA配列決定によって確認した。得られた、Ch1A9重鎖、Ch1A9軽鎖、Hu1A9−1重鎖、Hu1A9−1軽鎖、Hu1A9−2重鎖、およびHu1A9−2軽鎖のそれぞれをコードする領域のヌクレオチド配列は、pCh1A9、pHu1A9−1またはpHu1A9−2ベクター中の相当する配列と完全に一致した(表13)。
実施例9−Ch1A9、Hu1A9−1およびHu1A9−2抗体の特徴解析
NS0−Ch1A9 1C11、NS0−Hu1A9−1 3F9、およびNS0−Hu1A9−2 3C9細胞をハイブリドーマ−SFMに入れ、回転培養して約106/mlの密度になるまで生育させた。SFM4MAb培地(HyClone)に溶解したUltrafiltered Soy Hydrolysate(Irvine Scientific、サンタアナ、カリフォルニア)を60mg/ml、1/10量として加え、細胞の生存率が50%未満になるまでさらに生育させた。遠心分離し、濾過した後、培養上清をプロテインAセファロースカラム(HiTrap MABSelect SuRe、GE Healthcare、ピスカタウェイ、ニュージャージー)に負荷した。PBSでカラムを洗浄し、その後、0.1Mのグリシン−HCl(pH3.0)で抗体を溶出した。1MのTris−HCl(pH8)で中和した後、溶出した抗体の緩衝液を透析によってPBSに変えた。280nmの吸光度を測定することによって抗体濃度を決定した(1mg/ml=1.4OD)。収量は、Ch1A9が8.2mg(1000mlの培養上清から)、Hu1A9−1が7.7mg(500mlから)およびHu1A9−2が10.8mg(500mlから)であった。
精製したCh1A9、Hu1A9−1およびHu1A9−2を、標準的な手順によって行ったSDS−PAGEで特徴付けた。還元条件で行った解析から、3種類の抗体がそれぞれ、分子量が約50kDaの重鎖と分子量が約25kDaの軽鎖から構成されていることが分かった(図9)。各抗体の純度は95%を上回っているようであった。
Ch1A9、Hu1A9−1およびHu1A9−2抗体の抗原結合をELISAによって調べた。典型的な実験ではまず、0.2M重炭酸ナトリウム緩衝液(pH9.4)で1/500に溶解した不活性化狂犬病ウイルスワクチン(Rabipur(登録商標)、Chiron Behring GmbH&Co.、リーダーバッハ、ドイツ)を1ウェル当たり100μl加えてELISAプレートを4℃で一晩コーティングした。その後、洗浄用緩衝液で洗浄し、ブロッキング用緩衝液を1ウェル当たり300μl加えて室温で0.5時間ブロッキングした。洗浄用緩衝液で洗浄した後、ELISA緩衝液で適切に希釈した試料をELISAプレートの1ウェルにつき100μl加えた。ELISAプレートを室温で1時間インキュベートし、洗浄用緩衝液で洗浄した後、1ウェル当たり100μlの、1/2、000に希釈したHRP結合ヤギ抗ヒトIgG、Fcγ鎖特異的ポリクローナル抗体(Jackson ImmunoResearch、ウェストグローブ、PA、USA)を使って結合した抗体を検出した。室温で0.5時間インキュベートし、洗浄用緩衝液で洗浄した後、1ウェル当たり100μlのABTS基質を加えて呈色させた。1ウェル当たり100μlの2%シュウ酸を加えて呈色反応を停止させた。405nmの吸光度を測定した。GraphPad Prism(GraphPad Software、サンディエゴ、カリフォルニア)を使って算出したEC50値は、Ch1A9が0.052μg/ml、Hu1A9−1が0.025μg/ml、およびHu1A9−2が0.016μg/mlであった(図10)。この結果は、Hu1A9−1とHu1A9−2の両方がキメラ1A9抗体の抗原結合親和性を保持していることを示している。
これらの結果は、本技術の抗狂犬病抗体が狂犬病ウイルスの糖タンパク質に特異的に結合すること、およびそれらが、試料中の狂犬病ウイルスの糖タンパク質を検出する方法、またはそれを必要とする対象における狂犬病感染の治療もしくは予防、およびそれを必要とする対象に狂犬病感染に対する曝露後予防を提供する方法などの、そのような特異的な結合に関係のある方法において有用であることを示している。
実施例10−ヒト化2G11抗体の生成
この実施例では、上記実施例1〜6に記載した7G11A3 2G11抗体のキメラ形態およびヒト化形態の調製について説明する。
マウス2G11可変領域遺伝子のクローニングおよび配列決定。マウスCT.RV 7G11A3 2G11(本実施例では2G11と呼ぶ)ハイブリドーマ細胞を、12%ウシ胎仔血清(FBS;HyClone、ローガン、ユタ)を含むハイブリドーマ−SFM(Invitrogen、カールスバッド、カリフォルニア)中、37℃の7.5%CO2インキュベーター内で生育させた。およそ107個のハイブリドーマ細胞から、TRIzol試薬(Invitrogen)を使い、供給業者の手順に従ってトータルRNAを抽出した。5’−RACE用にOligo dTを付加したcDNAを、SMARTer RACE cDNA Amplification Kit(Clontech、マウンテンビュー、CA)を使い、供給業者の手順に従って合成した。2G11の重鎖および軽鎖可変領域のcDNAを、Phusion DNAポリメラーゼ(New England Biolabs、ビバリー、マサチューセッツ)を使ったポリメラーゼ連鎖反応(PCR)で増幅した。プライマーとしては、マウスガンマ−2aおよびカッパ鎖定常領域のそれぞれにアニールする3’プライマーと、SMARTer RACE cDNA Amplification Kitに付属の5’−RACEプライマー(Universal Primer A MixまたはNested Universal Primer A)を使用した。重鎖可変領域(VH)のPCR増幅に使った3’プライマーの配列は配列番号1の通りであり、軽鎖可変領域(VL)のPCR増幅に使った3’プライマーの配列は配列番号3の通りである。配列を決定するために、増幅したVHおよびVL cDNAをpCR4Blunt−TOPOベクター(Invitrogen)にクローニングした。DNA配列決定はTocore(メンロパーク、カリフォルニア)で行った。複数の重鎖クローンと軽鎖クローンの配列を決め、典型的否マウス重鎖および軽鎖可変領域に相同なユニーク配列を同定した。
マウス2G11 VH cDNAのヌクレオチド配列(配列番号32)を、推定アミノ酸配列(配列番号33)と共に表14に示す。シグナルペプチド配列は斜体で表示した。成熟VHのN末端アミノ酸残基(E)を二重下線で示す。Kabat et al.の定義によるCDR配列は下線で示している(Sequences of Proteins of Immunological Interests第五版,NIH Publication No. 91−3242,米国保健社会福祉省,1991)。
マウス2G11 VL cDNAのヌクレオチド配列(配列番号34)を推定アミノ酸配列(配列番号35)と共に表15に示す。アミノ酸残基は1文字コードで示している。シグナルペプチド配列は斜体で表示した。成熟VLのN末端アミノ酸残基(D)は二重下線で示した。Kabat et al.(1991)の定義によるCDR配列を下線で示す。
キメラ2G11 IgG1/κ抗体の構築。2G11 VHをコードしている遺伝子を、スプライシング供与シグナルと、近傍に適切な酵素部位とを含むエクソンとして、PCRで生成した。PCRでは、2G11 VH cDNAを鋳型とし、5’−GCAACTAGTACCACCATGAACTTTGTGCTCAGC−3’(配列番号37)を5’プライマーとして、および5’−GGGAAGCTTGAGAGGCCATTCTTACCTGAGGAGACGGTGACTGAGGT−3’(配列番号37)を3’プライマーとして使用した。SpeI部位とHindIII部位(下線部)で挟んで設計した2G11 VH遺伝子のヌクレオチド配列(配列番号38)を、推定アミノ酸配列(配列番号39)と共に表16に示す。シグナルペプチド配列は斜体で表示した。成熟VHのN末端アミノ酸残基(E)を二重下線で示す。Kabat et al.(1991)の定義によるCDR配列を下線で示す。イントロン配列は斜体で示している。
同様に、2G11 VLをコードしている遺伝子を、スプライシング供与シグナルと、近傍に適切な酵素部位とを含むエクソンとしてPCRで生成した。NheI部位とEcoRI部位(下線部)で挟んで設計した2G11 VL遺伝子ヌクレオチド配列(配列番号40)を、推定アミノ酸配列(配列番号41)と共に表17に示す。シグナルペプチド配列は斜体で表示した。成熟VLのN末端アミノ酸残基(D)は二重下線で示した。Kabat et al.(1991)の定義によるCDR配列を下線で示す。イントロン配列は斜体で示している。
2G11のVHとVLのスプライシング供与シグナルは、マウス生殖系列JH2およびJκ4配列のそれぞれに由来するものであった。PCRで増幅した断片をNucleoSpin Extraction II Kit(Macherey−Nagel、ベスレヘム、ペンシルバニア)を使ってゲル精製し、配列確認用にpCR4Blunt−TOPOベクターにクローニングした。正しいV断片をSpeIとHindIII(VHの場合)またはNheIとEcoRI(VLの場合)で制限消化し、ゲル精製して、キメラ2G11(Ch2G11)IgG1/κ抗体を産生するためのヒトガンマ1およびカッパ定常領域を保有する哺乳類の発現ベクターにクローニングした。得られた発現ベクターのpCh2G11の模式図を図13に示す。
ヒト化2G11 VHおよびVL遺伝子の設計。2G11 VHおよびVL由来のCDR配列とCDR構造を維持するのに重要なフレームワークのアミノ酸残基とを、相当する選択したヒトフレームワーク配列に接いだ。GenBankのデータベース中で、2G11 VHフレームワークに相同なヒトVH配列を検索し、ヒトU96282 cDNA(U96282 VH)(GenBank受入番号;RassentiおよびKipps、J。Exp。Med。185:1435−1445、1997)によってコードされているVH配列をヒト化のアクセプターとして選択した。2G11 VHのCDR配列をまず、U96282 VHの対応する位置に移した。CDR構造を維持するのに必要とされると予測された数のヒトフレームワークのアミノ酸残基を置換した。
マウス2G11可変領域の三次元モデルから、VHの19番目の位置にあるアミノ酸残基はCDRから離れた位置に局在し、CDR構造の形成には影響を及ぼさないと考えられていたが、この位置に典型的なリシンまたはアルギニン残基ではなく、一般的ではないイソロイシン残基が存在すると、抗体の機能および/または生化学的な特徴に影響を及ぼす可能性がある。そのため第2のヒト化VHは、Hu2G11 VH1の19番目のアルギニン残基がイソロイシン残基に置換されるように設計した。
2G11 VLフレームワーク配列を利用した相同性検索に基づき、X72466 cDNA(X72466 VL)(GenBank受入番号;Klein et al.,Eur.J.Immunol.23:3248−3262、1993)によってコードされているヒトVκ領域をヒト化のアクセプターとして選択した。2G11 VLのCDR配列をまず、X72466 VLの対応する位置に移した。CDR構造を維持するのに必要とされると予測された数のヒトフレームワークのアミノ酸残基を置換した。
ヒト化2G11 VHおよびVL遺伝子の構築。Hu2G11 VH1およびVH2のそれぞれをコードしている遺伝子を、シグナルペプチド、スプライシング供与シグナル、および、その後行う哺乳類発現ベクターへのクローニング用に、SpeI部位とHindIII部位を近傍に含むエクソンとして設計した。Hu2G11 VH1およびVH2エクソンでは、ヒト生殖系列JH3配列由来のスプライシング供与シグナルを用いた。SIG−Predシグナルペプチド予測ソフトウェアから、マウス2G11 VH遺伝子によってコードされているシグナルペプチドは正確な開裂には最適ではないと予測されたため、Hu2G11 VH1およびVH2Sでは、ヒトU96282 VH遺伝子のシグナルペプチド配列を使用した。
Hu2G11 VLをコードしている遺伝子を、シグナルペプチド、スプライシング供与シグナル、および、その後哺乳類の発現ベクターにクローニングためのNheI部位とEcoRI部位を含むエクソンとして設計した。スプライシング供与シグナルにはヒト生殖系列Jκ4配列由来のものを使用した。SIG−Predシグナルペプチド予測ソフトウェアから、マウス2G11 VL遺伝子によってコードされているシグナルペプチドは正確な開裂には最適ではないと予測されたため、Hu2G11 VLでは、ヒトX72466 VL遺伝子のシグナルペプチド配列を使用した。
GenScript USA(ピスカタウェイ、ニュージャージー)で、Hu2G11 VH1、VH2およびVL遺伝子を構築した。SpeIとHindIII(VHの場合)またはNheIとEcoRI(VLの場合)で制限消化した後、Hu2G11 VH1、VH2およびVL遺伝子を、抗体をヒトIgG1/κ形態で産生するための哺乳類発現ベクターの対応する部位にサブクローニングした。得られた発現ベクターであるpHu2G11−1は、Hu2G11のVH1とVLを含むヒト化抗体(Hu2G11−1)を発現する。同様に、pHu2G11−2はHu2G11のVH2とVLを含むヒト化抗体(Hu2G11−2)を発現する。
SpeI部位とHindIII部位(下線部)に挟まれたHu2G11 VH2(VHR19Iとも呼ばれる)遺伝子のヌクレオチド配列(配列番号42)を、推定アミノ酸配列(配列番号43)と共に表18に示す。シグナルペプチド配列は斜体で表示した。成熟VHのN末端アミノ酸残基(E)を二重下線で示す。Kabat et al.(1991)の定義によるCDR配列を下線で示す。四角で囲ったアミノ酸は、Hu2G11のVH1とVH2とで異なるアミノ酸の位置を示している。イントロンの配列は斜体で示す。
NheI部位とEcoRI部位(下線部)で挟まれたHu2G11 VL遺伝子のヌクレオチド配列(配列番号44)を、推定アミノ酸配列(配列番号45)と共に表19に示す。シグナルペプチド配列は斜体で表示した。成熟VLのN末端アミノ酸残基(D)は二重下線で示した。Kabat et al.(1991)の定義によるCDR配列を下線で示す。イントロンの配列は斜体で示す。
キメラ2G11 IgG1/κ抗体およびヒト化2G11 IgG1/κ抗体を産生する安定なNS0軽視転換体の生成。Ch2G11、Hu2G11−1およびHu2G11−2抗体を安定に産生する細胞株を得るために、発現ベクターpCh2G11、pHu2G11−1およびpHu2G11−2をそれぞれ、マウス骨髄腫細胞株NS0(European Collection of Animal Cell Cultures、ソールズベリー、ウィルトシャー、英国)の染色体に導入した。NS0細胞を、10%のFBSを含有するDME培地中、37℃、7.5%のCO2インキュベーター内で生育させた。NS0への安定な遺伝子導入は、Bebbington et al.によって記載されているようにエレクトロポレーション法によって行った(Bio/Technology 10:169−175、1992)。遺伝子を導入する前に、各発現ベクターをFspIで直線化した。およそ107個の細胞に20μgの直線化したプラスミドを導入し、10%のFBS含有DME培地に懸濁し、複数の96ウェルプレートに入れて静置した。48時間後、選抜培地(DME培地、10%FBS、HT培地添加剤(Sigma、セントルイス、ミズーリ)、0.25mg/mlキサンチンおよび1μg/mlミコフェノール酸含有)を加えた。選抜を開始しておよそ10日後、培養上清を使って抗体産生に関する試験を行った。
サンドイッチELISAにより、Ch2G11、Hu2G11−1およびHu2G11−2抗体の発現を測定した。典型的な実験ではまず、PBSで1/2,000に希釈したヤギ抗ヒトIgG Fcγ鎖特異的ポリクローナル抗体(Sigma)を1ウェル当たり100μl使い、ELISAプレートを一晩、4℃でコーティングした。その後洗浄用緩衝液(0.05%のTween 20含有PBS)で洗浄し、ブロッキング用緩衝液(2%の脱脂粉乳と0.05%のTween 20含有PBS)を1ウェル当たり300μl加えて室温で0.5時間ブロッキングした。洗浄用緩衝液で洗浄した後、ELISA用緩衝液(1%の脱脂粉乳および0.025%のTween 20含有PBS)で適切に希釈した試料をELISAプレートの1ウェルにつき100μl加えた。適切なヒト化IgG1/κ抗体を標準物質として使用した。ELISAプレートを室温で1時間インキュベートし、洗浄用緩衝液で洗浄した後、1/2,000に希釈したHRP結合ヤギ抗ヒトカッパ鎖ポリクローナル抗体(サザンバイオテック、バーミンガム、アラバマ、米国)を1ウェル当たり100μl使って結合した抗体を検出した。室温で0.5時間インキュベートし、洗浄用緩衝液で洗浄した後、1ウェル当たり100μlのABTS基質(bioWORLD、ダブリン、オハイオ)を加えて呈色させた。1ウェル当たり100μlの2%シュウ酸を加えて呈色反応を停止した。405nmで吸光度を測定した。高レベルでCh2G11、Hu2G11−1およびHu2G11−2抗体を産生している安定なNS0形質転換体(それぞれ、NS0−Ch2G11 1E7、NS0−Hu2G11−1 1E5、およびNS0−Hu2G11−2 1A7)を、血清を含まない培地、ハイブリドーマ−SFM中での生育に馴化させた。
NS0−Ch2G11 1E7、NS0−Hu2G11−1 1E5、およびNS0−Hu2G11−2 1A7で産生された重鎖および軽鎖の確実性をcDNA配列決定によって確認した。得られた、Ch2G11重鎖、Ch2G11軽鎖、Hu2G11−1重鎖、Hu2G11−1軽鎖、Hu2G11−2重鎖、およびHu2G11−2軽鎖それぞれのコード領域のヌクレオチド配列を表24〜28に示す。これらの配列は、pCh2G11、pHu2G11−1またはpHu2G11−2ベクターに含まれる相当する配列と完全に一致した。
実施例11−Ch2G11、Hu2G11−1およびHu2G11−2抗体の精製
NS0−Ch2G11 1E7、NS0−Hu2G11−1 1E5、およびNS0−Hu2G11−2 1A7細胞をハイブリドーマ−SFMに入れ、回転培養して約106/mlの密度になるまで生育させた。SFM4MAb培地(HyClone)に溶解したUltrafiltered Soy Hydrolysate(Irvine Scientific、サンタアナ、カリフォルニア)を60mg/ml、1/10量として加え、細胞の生存率が50%未満になるまでさらに生育させた。遠心分離し、濾過した後、培養上清をプロテインAセファロースカラム(HiTrap MABSelect SuRe、GE Healthcare、ピスカタウェイ、ニュージャージー)に負荷した。PBSでカラムを洗浄し、その後、0.1Mのグリシン−HCl(pH3.0)で抗体を溶出した。1MのTris−HCl(pH8)で中和した後、溶出した抗体の緩衝液を透析によってPBSに変えた。280nmの吸光度を測定することによって抗体濃度を決定した(1mg/ml=1.4OD)。収量は、Ch2G11が2.8mg(500mlの培養上清から)、Hu2G11−1が3.4mg(500mlから)およびHu2G11−2が1.1mg(500mlから)であった。
精製したCh2G11、Hu2G11−1およびHu2G11−2抗体を標準的な手順によって行ったSDS−PAGEで特徴付けた。還元条件で行った解析から、3種類の抗体がそれぞれ、分子量が約50kDaの重鎖と分子量が約25kDaの軽鎖から構成されていることが分かった(図12)。各抗体の純度は90%を上回っているようであった。
実施例12−Ch2G11、Hu2G11−1およびHu2G11−2抗体の特徴解析
Ch2G11、Hu2G11−1およびHu2G11−2抗体の抗原結合を競合結合ELISAによって調べた。0.2M重炭酸ナトリウム緩衝液(pH9.4)で1/200に溶解した不活性化狂犬病ウイルスワクチン(Rabipur(登録商標)、Chiron Behring GmbH&Co.、リーダーバッハ、ドイツ)を1ウェル当たり100μl加え、ELISAプレートを4℃で一晩コーティングし、洗浄用緩衝液(PBS)で洗浄し、その後、ブロッキング用緩衝液(3%BSA−PBS)を1ウェル当たり300μl加えて室温で0.5時間ブロッキングした。洗浄用緩衝液で洗浄した後、ELISA緩衝液に溶解した、マウス7G11A3 1H5抗体(0.2μg/ml;Asia Visionから入手)と競合抗体(Ch2G11、Hu2G11−1またはHu2G11−2;最終濃度100μg/mlから開始して、連続して3倍に希釈)の混合物を1ウェル当たり100μl加えた。実験は2つ組みで行った。ELISAプレートを室温で1時間インキュベートし、洗浄用緩衝液で洗浄した後、1ウェル当たり100μlの、1/2,000に希釈したHRP結合ヤギ抗ヒトIgG、Fcγ鎖特異的、ヒトIgG吸収ポリクローナル抗体(Jackson ImmunoResearch、ウェストグローブ、ペンシルバニア)を使って結合した抗体を検出した。室温で0.5時間インキュベートし、洗浄用緩衝液で洗浄した後、1ウェル当たり100μlのABTS基質を加えて呈色させ、1ウェル当たり100μlの2%シュウ酸を加えて呈色反応を停止させた。405nmの吸光度を測定した。GraphPad Prism(GraphPad Software、サンディエゴ、カリフォルニア)を使って算出したIC50値は、Ch2G11が0.11μg/ml、Hu2G11−1が0.20μg、およびHu2G11−2が0.23μg/mlであった(図13)。この結果は、Hu2G11−1とHu2G11−2の両方がマウス2G11抗体の抗原結合親和性を保持していることを示している。
Ch2G11、Hu2G11−1およびHu2G11−2の抗原結合を、以下のようにELISAによっても調べた。PBSに溶解した1または2.5μg/mlのCh2G11、Hu2G11−1またはHu2G11−2で、ELISAプレートを4℃で一晩かけてコーティングし、上述したようにブロッキングした。洗浄用緩衝液で洗浄した後、ELISA緩衝液で1/50、1/100または1/200に希釈したRabipur(登録商標)を1ウェル当たり100μl加えて室温で1時間インキュベートした。洗浄用緩衝液で洗浄した後、各試験抗体によって捕捉されたRabipur(登録商標)を、Asia Visionから入手し、1/1,000に希釈したHRP結合マウスモノクローナル抗体3D10を1ウェル当たり100μl加えることで検出した。室温で0.5時間インキュベートし、洗浄用緩衝液で洗浄した後、上述したように呈色反応を行った。405nmの吸光度を測定した。Hu2G11−2、Ch2G11およびHu2G11−1の順番でシグナルが高く(図14)、このことは、Hu2G11−1よりもHu2G11−2の方が抗原に強く結合し得ることを示唆している。
これらの結果は、本技術の抗狂犬病抗体が狂犬病ウイルスの糖タンパク質に特異的に結合すること、およびそれらが、試料中の狂犬病ウイルスの糖タンパク質を検出する方法、またはそれを必要とする対象における狂犬病感染の治療もしくは予防、およびそれを必要とする対象に狂犬病感染に対する曝露後予防を提供する方法などの、そのような特異的な結合に関係のある方法において有用であることを示している。
実施例13−ヒト化RVNAの結合活性
この実施例では、ヒト化RVNAのRV糖タンパク質に対する結合活性について試験した。この実験で用いたヒト化RVNAと他の生体材料を表21に示す。これらの試験では、実験動物として、6〜8週齢で体重が20〜30グラムのメスのBALB/cマウス(SPFグレード)と、2〜3ヶ月例で体重が100グラムのシリアンハムスター(SPFグレード)を用いた。
ヒト化型およびキメラ型RVNA 2G11のRV糖タンパク質に対する結合をCLEIAで決定した(図15)。2G11のキメラ型およびヒト化型をそれぞれ、補足抗体(図15A〜C)および検出(図15D〜F)抗体として使用した。RVGPを1:50、1:100、1:200、1:400、1:800および1:1600に希釈し、マイクロプレートに加えた。マウスRV 3D10−HRPおよびマウス抗ヒトIgG−HRPを酵素結合型として使用した。RLU(相対発光強度)で化学発光シグナルを表している。この結果は、RVGPに対しての結合活性に関しては、キメラ型Ch2G11の方がヒト化型よりも良かったことを示している。
ヒト化型、キメラ型およびマウスRVNA 1A9のRVGPに対する結合をCLEIAで決定した(図16)。キメラ型およびヒト化型1A9をそれぞれ、補足抗体(図16A〜E)および検出抗体(図16F〜J)として使用した。RVGPを1:50、1:100、1:200、1:400、1:800および1:1600に希釈し、次いでマイクロプレートに加えた。マウスRV 3D10−HRPおよびマウス抗ヒトIgG−HRPを酵素結合型として使用した。RLU(相対発光強度)で化学発光シグナルを表している。この結果は、ヒト化型よりもキメラ型Ch1A9の結合活性の方が優れていたことを示している。
これらの結果は、本技術の抗狂犬病抗体が狂犬病ウイルスの糖タンパク質に特異的に結合し、およびそれらが、試料中の狂犬病ウイルスの糖タンパク質を検出するための方法、またはそれを必要とする対象における狂犬病感染を治療もしくは予防する方法、およびそれを必要とする対象に狂犬病感染対する曝露後予防を提供する方法など、そのような特異的な結合に関する方法において有用であることを示している。
実施例14−ヒト化RVNAのインビトロでの中和効力
RVNAのインビトロでの中和効力を、迅速蛍光フォーカス抑制試験(RFFIT)とCVS−11狂犬病ウイルスを使った蛍光抗体ウイルス中和試験(FAVN)で測定した。結果を表22に示す。この2つの方法から得られた結果は、ヒト化2G11のインビトロでの中和効力レベルはマウス抗体のものより低いこと、および、全4種類の1A9抗体のうち、キメラ2G11とヒト化Hu1A9−1のインビトロにおける中和活性が最も高かったという点で一致した。
ヒト化7G11A32G11またはヒト化3D11E31A9の中和活性をマウスRVNAおよびキメラRVNAと比較するためにマウス中和試験(MNT)を行った。100LD50/0.03mlのCVS−11狂犬病ウイルスを、等量のRVNAを用い、37℃で1時間中和し、その後BALB/Cマウス(各群あたりn=8)の脳に注入した。対照群のマウスには中和していないウイルスを注入した。マウスの様子を毎日観察し、マウスに狂犬病感染の臨床徴候が現れた場合には安楽死させ、BALB/Cマウスの生存率を調べた(図17)。対照群のマウスはいずれも9日以内に死亡した。このことは、この実験が有効であったことを示している。RVNAの濃度が0.02mg/mLよりも高かった場合には、マウスRVNAを投与した群とヒト化抗体を投与した群では生存率(%)に差は認められなかった。しかしながら、用量を0.004mg/mLに下げた場合には、マウス2G11の中和能力の方が、キメラRVNAやヒト化抗体よりも優れていた。ヒト化7G11A32G11の投与量を増加させると中和能力の向上に役立つようである。加えて、0.004mg/mLヒト化Hu1A9−1またはマウスm−A19で処理したマウスの生存率はそれぞれ、100%(8/8)および50%(4/8)に達した。
これらの結果は、本技術の抗狂犬病抗体が狂犬病ウイルスの感染力の中和し、それを必要とする対象における狂犬病感染を治療または予防する方法、およびそれを必要とする対象に狂犬病ウイルスに対する曝露後予防を提供する方法などの狂犬病ウイルスの中和に関係のある方法において有用であることを示している。
実施例15−2種類のヒト化RVNAの曝露後予防能力
ヒト化2G11およびヒト化1A9の曝露後予防能力を評価するために、シリアンハムスター試験を実施し、ヒト化RVNAとマウスRVNAおよびキメラRVNAを比較した。−1日目に、ハムスター(各群あたりn=5)に狂犬病RV(BD06)を感染させた。その16時間後、動物に、マウス、キメラまたはヒト化2G11または1A9(1mg/kg)を等量、ウイルスを接種した場所(つまり右の腓腹筋)に投与することで処理した。対照群の動物には処理を行わなかった。ハムスターの様子を毎日観察し、狂犬病感染の臨床徴候が現れた場合には安楽死させ、シリアンハムスターの生存率を調べた(図18)。未処理の動物はいずれも9日以内に死亡した。このことは、この実験が有効であったことを示している。2G11については、マウスRVNAを投与した群とおよびヒト化RVNAを投与した群の生存率(%)に差は認められなかった。しかしながら、ヒト化1A9−1またはマウス1A9で処理したハムスターの生存率はそれぞれ、100%(5/5)および60%(3/5)に達した。
これらの結果は、本技術の抗狂犬病抗体は狂犬病感染に対する曝露後を提供し、またこれらが、それを必要とする対象における狂犬病感染を治療または予防する方法およびそれを必要とする対象に狂犬病ウイルスに対する曝露後予防を提供する方法などの、そのような予防に関連のある方法において有用であることを示している。
実施例16−Hu2G11−1/Hu1A9−2混合物またはHRIGで処理した動物におけるワクチンの免疫原性
曝露後予防(PEP)の過程では、RVNAとワクチンを同時に投与すると、保護に必要とされる、閾値レベルの中和抗体を誘導するというワクチンの能力が低下する可能性がある。そのため、Hu2G11−1/Hu1A9−2混合物による処理がワクチンの効果をどの程度干渉するかを評価することが重要である。ワクチンの効力に及ぼすHu2G11−1/Hu1A9−2混合物の影響を決定するために、RV非存在条件におけるインビボでの動物実験を行った(図19)。PEPに関しては、BALB/cマウスに3種類の用量のHu2G11−1/Hu1A9−2混合物とワクチン、または20IU/kgのHRIGとワクチンを投与した。Hu2G11−1/Hu1A9−2混合物の3種類の用量はそれぞれ、5000IU/kg、1000IU/kgまたは200IU/kgとした。ワクチンのみを投与したマウスを対照とした。各実験群につき8匹のマウスを使用した。また、PBSだけを投与した6匹のマウスを陰性対照とした。1、2、4、8、16および32日目に、マウスの眼窩から採血した。各実験群の8匹のマウスの血清を4つの血清としてまとめ、RVNAの血清力価を決定した。1、2および4日目のRVNAの血清力価は、Hu2G11−1/Hu1A9−2混合物の投与を受け他マウスで高く、20IU/kgHRIGの投与を受けたマウスでは低く(2つの血清しかWHOの基準、0.5IU/mLを満たさなかった)、そしてワクチンのみを接種したマウスではRVNAは検出できなかった。マウスでのRVNA力価は、8〜32日目でもHu2G11−1/Hu1A9−2混合物の投与を受けた動物では高いレベルに維持され、HRIGの投与を受けたマウスにおけるRVNA力価よりも高いかまたは同等であった。この結果から、Hu2G11−1/Hu1A9−2混合物は、ワクチンによる中和抗体の誘導を干渉しないことが示された。加えて、Hu2G11−1/Hu1A9−2混合物の投与を受けたマウスにおけるRVNA力価は、8〜32日の間では、明白な用量依存的な効果を示した。つまり、投与されたHu2G11−1/Hu1A9−2混合物の用量が高ければ高い程、マウスにおいて誘導されたRVNA力価が高かった。
これらの結果は、本技術の抗狂犬病抗体は狂犬病感染に対する曝露後を提供し、またこれらが、それを必要とする対象における狂犬病感染を治療または予防する方法およびそれを必要とする対象に狂犬病ウイルスに対する曝露後予防を提供する方法などの、そのような予防に関連のある方法において有用であることを示している。
実施例17−ポリクローナルHRIGと比較した、Hu2G11−1/Hu1A9−2混合物のインビボにおける中和能力
Hu2G11−1/Hu1A9−2混合物のインビボにおける中和能力を評価するために、シリアンハムスターを使った試験を行った。ハムスターに(各群あたりn=10)狂犬病RV(BD06)を感染させた。0日目に、動物に狂犬病ワクチン(Rabipur、Chiron Behring)を接種し、次いで24時間後、ウイルスを接種した部位(つまり右の腓腹筋)に1000、500、200IU/kgのHu2G11−1/Hu1A9−2混合物または20IU/kgヒト狂犬病免疫グロブリン(Shuanglin医薬)を処理した。3、7、14、および28日目に、左の腓腹筋にワクチンを追加接種した。対照群の動物はワクチンのみを投与するか、あるいは未処理とした。ハムスターの様子を毎日観察し、狂犬病感染の臨床徴候が現れた場合には安楽死させ、シリアンハムスターの生存率を調べた(図20)。陰性対照の生存率は20%であった。このことは、この実験が有効であったことを示している。24時間遅れて、ワクチンとHu2G11−1/Hu1A9−2混合物を投与したハムスターの生存率を100%(10/10)と決定した。ワクチンとHRIGを処理したハムスターの生存率は90%(9/10)であった。この結果は、Hu2G11−1/Hu1A9−2混合物のインビボにおける中和効力が非常に強いことを示している。
これらの結果は、本技術の抗狂犬病抗体が狂犬病ウイルスの感染力を中和し、またこれらが、それを必要とする対象における狂犬病感染を治療または予防する方法およびそれを必要とする対象に狂犬病感染に対する曝露後予防を提供する方法などの、狂犬病ウイルスの中和に関連する方法において有用であることを示している。
実施例18−2種類のヒト化RVNAのヒト対象における曝露後予防能力
この実施例では、狂犬病ウイルスに曝されたヒト対象におけるヒト化2G11とヒト化1A9の曝露後予防能力について論証する。狂犬病ウイルスに曝露された、または曝露された可能性のあるヒトに、16時間後、ウイルスが侵入した部位(つまり動物によって咬まれた部位)から、キメラまたはヒト化2G11もしくは1A9(1mg/kg)を投与する。治療を受けた対象の生存率は100%であり、未治療の対象が示すよりも低い頻度で狂犬病の臨床症状を示すか、あるいは狂犬病の臨床症状は全く示さないこと、また、未治療の対象よりも狂犬病の曝露からの回復がより早く、より完全になるだろうことが予測される。
これらの結果は、本技術の抗狂犬病抗体がヒトにおいて狂犬病感染に対する曝露後予防を提供し、またこれらが、それを必要とする対象における狂犬病感染を治療または予防する方法およびそれを必要とする対象に狂犬病ウイルスに対する曝露後予防を提供する方法などの、そのような予防に関係のある方法において有用であることを示している。
実施例19−ポリクローナルHRIGと比較した、Hu2G11−1/Hu1A9−2混合物のインビボでの中和能力
この実施例では、狂犬病ウイルスに曝されたヒト対象におけるHu2G11−1/Hu1A9−2混合物のインビボにおける中和能力を論証する。狂犬病ウイルスに曝露された、または曝露された可能性のあるヒトに、24時間後、ウイルスが侵入した部位(つまり動物によって咬まれた部位)から、1000、500、200IU/kgのHu2G11−1/Hu1A9−2混合物を投与する。治療を受けた対象の生存率は100%であり、未治療の対象が示すよりも低い頻度で狂犬病の臨床症状を示すか、あるいは狂犬病の臨床症状は全く示さないこと、また、未治療の対象よりも狂犬病の曝露からの回復がより早く、より完全になるだろうことが予測される。
これらの結果は、本技術の抗狂犬病抗体が狂犬病ウイルスの感染力を中和し、またこれらが、それを必要とする対象における狂犬病感染を治療または予防する方法およびそれを必要とする対象に狂犬病感染に対する曝露後予防を提供する方法などの、狂犬病ウイルスの中和に関連する方法において有用であることを示している。
均等物
本出願書類に記載されている特定の態様は本技術の個々の側面の一つの例に過ぎず、本技術は本出願書類に記載されている特定の態様には限定されない。当業者には明らかなように、その精神と範囲から逸脱することなく、本発明の数多くの修飾形態や変更形態を作り出すことができる。ここまでの説明から、本明細書に列挙した方法および装置に加えて機能的に均等な方法および装置が当業者には明かである。そのような修飾形態および変更形態は添付の請求項の範囲内である。本技術は、添付の請求項が該当する均等物の完全な範囲を含めて、添付の請求項によってのみ限定される。本技術は特定の方法、試薬、化合物組成または生体系には限定されず、当然のことながら、これらは多様であり得る。また、本明細書で使用した用語は特定の態様を説明する目的のためだけに使用されており、限定することを意図していないと理解される。他の態様は以下の特許請求の範囲に示されている。
本明細書で引用した全ての引用文献は、あたかも個々の出版物、特許、または特許出願それぞれの全体が全ての目的のために具体的にかつ個別に参照により組み込まれるのと同様に、その全体が全ての目的のために、引用することにより本明細書に組み込まれる。
本発明の好ましい態様は、下記の通りである。
〔1〕狂犬病ウイルスの糖タンパク質に結合する単離抗体であって、
a.前記抗体が、DYIML(配列番号56)、DIYPYYGSTSYNLKFKG(配列番号57)、QGGDGNYVLFDY(配列番号58)、GFAMS(配列番号59)、TISSGGTYTYSPDSVMG(配列番号60)、およびRLRRNYYSMDY(配列番号61)からなる群より選択される重鎖CDRのアミノ酸配列を1つ以上含み;および
b.前記抗体が、KASQNVGTTVA(配列番号62)、SASYRYS(配列番号63)、QQYNSYPFT(配列番号64)、KSTKSLLNSDGFTYLD(配列番号65)、LVSNRFS(配列番号66)、およびFQSNYLPFT(配列番号67)からなる群より選択される軽鎖CDRのアミノ酸配列を1つ以上含む、
狂犬病ウイルスの糖タンパク質に結合する単離抗体。
〔2〕前記抗体がDYIML(配列番号56)、DIYPYYGSTSYNLKFKG(配列番号57)、およびQGGDGNYVLFDY(配列番号58)の重鎖CDR配列を含み、かつ、KASQNVGTTVA(配列番号62)、SASYRYS(配列番号63)、およびQQYNSYPFT(配列番号64)の軽鎖CDR配列を含む、前記〔1〕に記載の単離抗体。
〔3〕前記抗体がGFAMS(配列番号59)、TISSGGTYTYSPDSVMG(配列番号60)、およびRLRRNYYSMDY(配列番号61)の重鎖CDR配列を含み、かつ、KSTKSLLNSDGFTYLD(配列番号65)、LVSNRFS(配列番号66)、およびFQSNYLPFT(配列番号67)の軽鎖CDR配列を含む、前記〔1〕に記載の単離抗体。
〔4〕狂犬病ウイルスの糖タンパク質に結合する単離抗体であって、前記抗体がCGMCC受託番号4805および4806からなる群より選択されるハイブリドーマ細胞株によって産生される抗体と同じ抗原結合特異性を有する、単離抗体。
〔5〕前記抗体が狂犬病ウイルスの前記感染力を低減させることが可能で、かつ、狂犬病ワクチンの免疫原性を干渉しない、前記〔1〕〜〔4〕のいずれか1項に記載の単離抗体。
〔6〕前記抗体が、モノクローナル抗体、マウス抗体、キメラ抗体、およびヒト化抗体からなる群より選択される、前記〔1〕〜〔5〕のいずれか1項に記載の単離抗体。
〔7〕前記〔1〕〜〔6〕のいずれか1項に記載の抗体を1つ以上と、薬学上許容可能な担体とを含む医薬組成物。
〔8〕第1の抗体がDYIML(配列番号56)、DIYPYYGSTSYNLKFKG(配列番号57)、およびQGGDGNYVLFDY(配列番号58) の重鎖CDR配列を含み、かつ、KASQNVGTTVA(配列番号62)、SASYRYS(配列番号63)、およびQQYNSYPFT(配列番号64)の軽鎖CDR配列を含み;並びに第2の抗体がGFAMS(配列番号59)、TISSGGTYTYSPDSVMG(配列番号60)、およびRLRRNYYSMDY(配列番号61)の重鎖CDR配列を含み、かつ、KSTKSLLNSDGFTYLD(配列番号65)、LVSNRFS(配列番号66)、およびFQSNYLPFT(配列番号67)の軽鎖CDR配列を含む、抗体混合物を含む前記〔7〕に記載の医薬組成物。
〔9〕それを必要とする対象における狂犬病感染を治療するための薬物の製造における、前記〔1〕〜〔6〕のいずれか1項に記載の抗体の使用。
〔10〕前記抗体が狂犬病ウイルスの前記感染力を低減するが、狂犬病ワクチンの免疫原性を干渉しない、前記〔9〕に記載の使用。
〔11〕それを必要とする対象における狂犬病感染の治療方法であって、有効量の前記〔1〕〜〔6〕のいずれか1項に記載の抗体の1つ以上を前記対象に投与することを含む治療方法。
〔12〕前記抗体が、モノクローナル抗体、マウス抗体、キメラ抗体、およびヒト化抗体からなる群より選択される、前記〔11〕に記載の方法。
〔13〕前記抗体を、狂犬病ワクチンの前に、狂犬病ワクチンの後に、または狂犬病ワクチンと同時に前記対象に投与する、前記〔11〕に記載の方法。
〔14〕前記抗体を、抗狂犬病免疫グロブリンの前に、抗狂犬病免疫グロブリンの後に、または抗狂犬病免疫グロブリンと同時に前記対象に投与する、前記〔11〕に記載の方法。
〔15〕狂犬病ウイルスの糖タンパク質に結合する1つ以上の抗体と、前記抗体の使用説明書とを含む、それを必要とする対象における狂犬病感染を治療するためのキットであって:
前記抗体が、DYIML(配列番号56)、DIYPYYGSTSYNLKFKG(配列番号57)、QGGDGNYVLFDY(配列番号58)、GFAMS(配列番号59)、TISSGGTYTYSPDSVMG(配列番号60)、およびRLRRNYYSMDY(配列番号61)からなる群より選択される重鎖CDRアミノ酸配列を1つ以上含み;かつ、
前記抗体が、KASQNVGTTVA(配列番号62)、SASYRYS(配列番号63)、QQYNSYPFT(配列番号64)、KSTKSLLNSDGFTYLD(配列番号65)、LVSNRFS(配列番号66)、およびFQSNYLPFT(配列番号67)からなる群より選択される軽鎖CDRアミノ酸配列を1つ以上含む、
それを必要とする対象における狂犬病感染を治療するためのキット。
〔16〕狂犬病ウイルスの糖タンパク質に結合する抗体と前記抗体の使用説明書とを含む、試料中の狂犬病ウイルスを検出するためのキットであって:
前記抗体が、DYIML(配列番号56)、DIYPYYGSTSYNLKFKG(配列番号57)、QGGDGNYVLFDY(配列番号58)、GFAMS(配列番号59)、TISSGGTYTYSPDSVMG(配列番号60)、およびRLRRNYYSMDY(配列番号61)からなる群より選択される重鎖CDRアミノ酸配列を1つ以上含み;かつ、
前記抗体が、KASQNVGTTVA(配列番号62)、SASYRYS(配列番号63)、QQYNSYPFT(配列番号64)、KSTKSLLNSDGFTYLD(配列番号65)、LVSNRFS(配列番号66)、およびFQSNYLPFT(配列番号67)からなる群より選択される軽鎖CDRアミノ酸配列を1つ以上含む、
試料中の狂犬病ウイルスを検出するためのキット。
〔17〕前記抗体が1つ以上の検出可能な標識に結合している、前記〔16〕に記載のキット。
〔18〕前記狂犬病ウイルスの糖タンパク質抗体に特異的に結合する二次抗体をさらに含む、前記〔16〕に記載のキット。
〔19〕前記〔1〕〜〔6〕のいずれか1項に記載の抗体をコードしている単離核酸。
〔20〕前記〔19〕に記載の単離核酸を含む宿主細胞。

Claims (7)

  1. 狂犬病ウイルスの糖タンパク質に結合する単離抗体であって、
    a.前記抗体が、DYIML(配列番号56)、DIYPYYGSTSYNLKFKG(配列番号57)及びQGGDGNYVLFDY(配列番号58)の重鎖CDRアミノ酸配列を含み、且つ、KASQNVGTTVA(配列番号62)、SASYRYS(配列番号63)及びQQYNSYPFT(配列番号64)の軽鎖CDR配列を含む、又は
    b.前記抗体が、GFAMS(配列番号59)、TISSGGTYTYSPDSVMG(配列番号60)及びRLRRNYYSMDY(配列番号61)の重鎖CDRアミノ酸配列を含み、且つ、KSTKSLLNSDGFTYLD(配列番号65)、LVSNRFS(配列番号66)及びFQSNYLPFT(配列番号67)の軽鎖CDR配列を含む、
    狂犬病ウイルスの糖タンパク質に結合する単離抗体。
  2. 前記抗体が、モノクローナル抗体、マウス抗体、キメラ抗体、およびヒト化抗体からなる群より選択される、請求項に記載の単離抗体。
  3. 請求項1又は2に記載の抗体を1つ以上と、薬学上許容可能な担体とを含む医薬組成物。
  4. 第1の抗体がDYIML(配列番号56)、DIYPYYGSTSYNLKFKG(配列番号57)、およびQGGDGNYVLFDY(配列番号58) の重鎖CDR配列を含み、かつ、KASQNVGTTVA(配列番号62)、SASYRYS(配列番号63)、およびQQYNSYPFT(配列番号64)の軽鎖CDR配列を含み;並びに第2の抗体がGFAMS(配列番号59)、TISSGGTYTYSPDSVMG(配列番号60)、およびRLRRNYYSMDY(配列番号61)の重鎖CDR配列を含み、かつ、KSTKSLLNSDGFTYLD(配列番号65)、LVSNRFS(配列番号66)、およびFQSNYLPFT(配列番号67)の軽鎖CDR配列を含む、抗体混合物を含む請求項に記載の医薬組成物。
  5. それを必要とする対象における狂犬病感染を治療するための薬物の製造における、請求項1又は2に記載の抗体の使用。
  6. 狂犬病ウイルスの糖タンパク質に結合する1つ以上の抗体と、前記抗体の使用説明書とを含む、それを必要とする対象における狂犬病感染を治療する又は試料中の狂犬病ウイルスを検出するためのキットであって:
    前記抗体が、DYIML(配列番号56)、DIYPYYGSTSYNLKFKG(配列番号57)及びQGGDGNYVLFDY(配列番号58)の重鎖CDRアミノ酸配列を含み、且つ、KASQNVGTTVA(配列番号62)、SASYRYS(配列番号63)及びQQYNSYPFT(配列番号64)の軽鎖CDR配列を含む、又は
    前記抗体が、GFAMS(配列番号59)、TISSGGTYTYSPDSVMG(配列番号60)及びRLRRNYYSMDY(配列番号61)の重鎖CDRアミノ酸配列を含み、且つ、KSTKSLLNSDGFTYLD(配列番号65)、LVSNRFS(配列番号66)及びFQSNYLPFT(配列番号67)の軽鎖CDR配列を含む、
    キット。
  7. 請求項1又は2に記載の抗体をコードしている単離核酸。
JP2015512986A 2012-05-24 2012-05-24 狂犬病感染の予防および治療に関する組成物および方法 Active JP5868549B2 (ja)

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
PCT/CN2012/076012 WO2013174003A1 (en) 2012-05-24 2012-05-24 Compositions and methods related to prevention and treatment of rabies infection

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2015525206A JP2015525206A (ja) 2015-09-03
JP5868549B2 true JP5868549B2 (ja) 2016-02-24

Family

ID=49623026

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2015512986A Active JP5868549B2 (ja) 2012-05-24 2012-05-24 狂犬病感染の予防および治療に関する組成物および方法

Country Status (12)

Country Link
US (1) US9290564B2 (ja)
EP (2) EP3508497A1 (ja)
JP (1) JP5868549B2 (ja)
KR (1) KR101937733B1 (ja)
CN (1) CN104603149B (ja)
BR (1) BR112014029274B1 (ja)
HK (1) HK1210187A1 (ja)
IN (1) IN2014KN02831A (ja)
MX (1) MX369626B (ja)
PH (1) PH12014502628B1 (ja)
SG (1) SG11201408330XA (ja)
WO (1) WO2013174003A1 (ja)

Families Citing this family (11)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US9290564B2 (en) * 2012-05-24 2016-03-22 Mountgate Group Limited Compositions and methods related to the prevention and treatment of rabies infection
CN104193823B (zh) * 2014-08-22 2019-06-11 兰州生物制品研究所有限责任公司 一种抗狂犬病病毒特异性人源抗体及应用
CN107580604A (zh) * 2014-09-03 2018-01-12 伊缪诺金公司 包含细胞结合剂和细胞毒性剂的缀合物
BR122020023406B1 (pt) * 2014-11-18 2023-10-31 Institut Pasteur Anticorpos que neutralizam de modo potente vírus da raiva e outros lissavírus, moléculas de ácido nucleico, vetor, célula isolada, composição farmacêutica, usos dos mesmos, e kit de partes
US10450367B2 (en) 2015-08-13 2019-10-22 University Of Massachusetts Human antibodies against rabies and uses thereof
IL262892B2 (en) * 2016-05-18 2024-04-01 Boehringer Ingelheim Int Anti-PD-1 and anti-LAG3 antibodies for cancer treatment
KR101990795B1 (ko) * 2017-12-07 2019-06-19 대한민국 광견병바이러스 특이 항체 및 이를 이용한 광견병바이러스 검출방법
CN109970852B (zh) * 2019-04-01 2020-10-13 浙江大学 分泌抗狂犬病毒m蛋白单克隆抗体的杂交瘤细胞株及应用
CN111171145B (zh) * 2020-01-21 2021-11-05 兰州生物制品研究所有限责任公司 一种抗狂犬病病毒单克隆抗体、制备方法及用途
CN111888470A (zh) * 2020-08-12 2020-11-06 赵静 具有中和狂犬病病毒效能的冲洗液及其活性检测方法
WO2023215746A2 (en) * 2022-05-02 2023-11-09 Javelin Oncology, Inc. Anti-alppl2 antibodies and chimeric antigen receptors, and compositions and methods of use

Family Cites Families (81)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
NL154600B (nl) 1971-02-10 1977-09-15 Organon Nv Werkwijze voor het aantonen en bepalen van specifiek bindende eiwitten en hun corresponderende bindbare stoffen.
NL154598B (nl) 1970-11-10 1977-09-15 Organon Nv Werkwijze voor het aantonen en bepalen van laagmoleculire verbindingen en van eiwitten die deze verbindingen specifiek kunnen binden, alsmede testverpakking.
NL154599B (nl) 1970-12-28 1977-09-15 Organon Nv Werkwijze voor het aantonen en bepalen van specifiek bindende eiwitten en hun corresponderende bindbare stoffen, alsmede testverpakking.
US3817837A (en) 1971-05-14 1974-06-18 Syva Corp Enzyme amplification assay
US3901654A (en) 1971-06-21 1975-08-26 Biological Developments Receptor assays of biologically active compounds employing biologically specific receptors
US3853987A (en) 1971-09-01 1974-12-10 W Dreyer Immunological reagent and radioimmuno assay
US3867517A (en) 1971-12-21 1975-02-18 Abbott Lab Direct radioimmunoassay for antigens and their antibodies
NL171930C (nl) 1972-05-11 1983-06-01 Akzo Nv Werkwijze voor het aantonen en bepalen van haptenen, alsmede testverpakkingen.
US3850578A (en) 1973-03-12 1974-11-26 H Mcconnell Process for assaying for biologically active molecules
US3935074A (en) 1973-12-17 1976-01-27 Syva Company Antibody steric hindrance immunoassay with two antibodies
US3939350A (en) 1974-04-29 1976-02-17 Board Of Trustees Of The Leland Stanford Junior University Fluorescent immunoassay employing total reflection for activation
US3996345A (en) 1974-08-12 1976-12-07 Syva Company Fluorescence quenching with immunological pairs in immunoassays
US4034074A (en) 1974-09-19 1977-07-05 The Board Of Trustees Of Leland Stanford Junior University Universal reagent 2-site immunoradiometric assay using labelled anti (IgG)
US3984533A (en) 1975-11-13 1976-10-05 General Electric Company Electrophoretic method of detecting antigen-antibody reaction
US4098876A (en) 1976-10-26 1978-07-04 Corning Glass Works Reverse sandwich immunoassay
US4275149A (en) 1978-11-24 1981-06-23 Syva Company Macromolecular environment control in specific receptor assays
US4277437A (en) 1978-04-05 1981-07-07 Syva Company Kit for carrying out chemically induced fluorescence immunoassay
US4391904A (en) 1979-12-26 1983-07-05 Syva Company Test strip kits in immunoassays and compositions therein
US4366241A (en) 1980-08-07 1982-12-28 Syva Company Concentrating zone method in heterogeneous immunoassays
US4474893A (en) 1981-07-01 1984-10-02 The University of Texas System Cancer Center Recombinant monoclonal antibodies
US4714681A (en) 1981-07-01 1987-12-22 The Board Of Reagents, The University Of Texas System Cancer Center Quadroma cells and trioma cells and methods for the production of same
US4522811A (en) 1982-07-08 1985-06-11 Syntex (U.S.A.) Inc. Serial injection of muramyldipeptides and liposomes enhances the anti-infective activity of muramyldipeptides
GB8308235D0 (en) 1983-03-25 1983-05-05 Celltech Ltd Polypeptides
US4816567A (en) 1983-04-08 1989-03-28 Genentech, Inc. Recombinant immunoglobin preparations
US5028530A (en) 1985-01-28 1991-07-02 Xoma Corporation AraB promoters and method of producing polypeptides, including cecropins, by microbiological techniques
US6492107B1 (en) 1986-11-20 2002-12-10 Stuart Kauffman Process for obtaining DNA, RNA, peptides, polypeptides, or protein, by recombinant DNA technique
DE3546807C2 (ja) 1985-03-30 1991-03-28 Marc Genf/Geneve Ch Ballivet
EP0232262A4 (en) 1985-08-15 1989-09-19 Stauffer Chemical Co MICROORGANISM PRODUCING TRYPTOPHANE.
US5225539A (en) 1986-03-27 1993-07-06 Medical Research Council Recombinant altered antibodies and methods of making altered antibodies
DE3751873T2 (de) 1986-04-09 1997-02-13 Genzyme Corp Genetisch transformierte Tiere, die ein gewünschtes Protein in Milch absondern
US4946778A (en) 1987-09-21 1990-08-07 Genex Corporation Single polypeptide chain binding molecules
EP0832981A1 (en) 1987-02-17 1998-04-01 Pharming B.V. DNA sequences to target proteins to the mammary gland for efficient secretion
US5258498A (en) 1987-05-21 1993-11-02 Creative Biomolecules, Inc. Polypeptide linkers for production of biosynthetic proteins
US4873316A (en) 1987-06-23 1989-10-10 Biogen, Inc. Isolation of exogenous recombinant proteins from the milk of transgenic mammals
DE68921982T4 (de) 1988-06-14 1996-04-25 Cetus Oncology Corp Kupplungsmittel und sterisch gehinderte, mit disulfid gebundene konjugate daraus.
US4925648A (en) 1988-07-29 1990-05-15 Immunomedics, Inc. Detection and treatment of infectious and inflammatory lesions
US5601819A (en) 1988-08-11 1997-02-11 The General Hospital Corporation Bispecific antibodies for selective immune regulation and for selective immune cell binding
US5223409A (en) 1988-09-02 1993-06-29 Protein Engineering Corp. Directed evolution of novel binding proteins
EP0368684B2 (en) 1988-11-11 2004-09-29 Medical Research Council Cloning immunoglobulin variable domain sequences.
IL162181A (en) 1988-12-28 2006-04-10 Pdl Biopharma Inc A method of producing humanized immunoglubulin, and polynucleotides encoding the same
US5530101A (en) 1988-12-28 1996-06-25 Protein Design Labs, Inc. Humanized immunoglobulins
ZA902949B (en) 1989-05-05 1992-02-26 Res Dev Foundation A novel antibody delivery system for biological response modifiers
US6291158B1 (en) 1989-05-16 2001-09-18 Scripps Research Institute Method for tapping the immunological repertoire
US6291160B1 (en) 1989-05-16 2001-09-18 Scripps Research Institute Method for producing polymers having a preselected activity
US6291159B1 (en) 1989-05-16 2001-09-18 Scripps Research Institute Method for producing polymers having a preselected activity
US6680192B1 (en) 1989-05-16 2004-01-20 Scripps Research Institute Method for producing polymers having a preselected activity
US6291161B1 (en) 1989-05-16 2001-09-18 Scripps Research Institute Method for tapping the immunological repertiore
EP0739904A1 (en) 1989-06-29 1996-10-30 Medarex, Inc. Bispecific reagents for aids therapy
US5633076A (en) 1989-12-01 1997-05-27 Pharming Bv Method of producing a transgenic bovine or transgenic bovine embryo
US5314995A (en) 1990-01-22 1994-05-24 Oncogen Therapeutic interleukin-2-antibody based fusion proteins
JP3319594B2 (ja) 1990-03-20 2002-09-03 ザ・トラスティーズ・オブ・コランビア・ユニバーシティー・イン・ザ・シティー・オブ・ニューヨーク 定常領域の代わりに受容体結合性リガンドを有するキメラ抗体
DE59109032D1 (de) 1990-06-28 1998-09-03 Hoechst Ag Fusionsproteine mit immunglobulinanteilen, ihre Herstellung und Verwendung
US5304389A (en) 1991-06-18 1994-04-19 Mitsubishi Kasei Corporation Non-hygroscopic icing composition
GB9015198D0 (en) 1990-07-10 1990-08-29 Brien Caroline J O Binding substance
CA2109602C (en) 1990-07-10 2002-10-01 Gregory P. Winter Methods for producing members of specific binding pairs
AU667460B2 (en) 1990-10-05 1996-03-28 Medarex, Inc. Targeted immunostimulation with bispecific reagents
DE69128253T2 (de) 1990-10-29 1998-06-18 Chiron Corp Bispezifische antikörper, verfahren zu ihrer herstellung und deren verwendungen
ATE218889T1 (de) 1990-11-09 2002-06-15 Stephen D Gillies Cytokine immunokonjugate
US6106835A (en) 1991-04-19 2000-08-22 Tanox, Inc. Modified binding molecules specific for T or B lymphocytes and their use as in vivo immune modulators
US5573920A (en) 1991-04-26 1996-11-12 Surface Active Limited Antibodies, and methods for their use
US6225447B1 (en) 1991-05-15 2001-05-01 Cambridge Antibody Technology Ltd. Methods for producing members of specific binding pairs
US6492160B1 (en) 1991-05-15 2002-12-10 Cambridge Antibody Technology Limited Methods for producing members of specific binding pairs
DE69230142T2 (de) 1991-05-15 2000-03-09 Cambridge Antibody Tech Verfahren zur herstellung von spezifischen bindungspaargliedern
CA2110799A1 (en) 1991-06-14 1992-12-23 Arnold H. Horwitz Microbially-produced antibody fragments and their conjugates
US7018809B1 (en) 1991-09-19 2006-03-28 Genentech, Inc. Expression of functional antibody fragments
WO1993006213A1 (en) 1991-09-23 1993-04-01 Medical Research Council Production of chimeric antibodies - a combinatorial approach
DE69233408T2 (de) 1991-12-02 2005-09-22 Cambridge Antibody Technology Ltd., Melbourn Herstellung von Antikörpern auf Phagenoberflächen ausgehend von Antikörpersegmentbibliotheken.
WO1993011236A1 (en) 1991-12-02 1993-06-10 Medical Research Council Production of anti-self antibodies from antibody segment repertoires and displayed on phage
ES2193143T3 (es) 1992-03-05 2003-11-01 Univ Texas Uso de inmunoconjugados para la diagnosis y/o terapia de tumores vascularizaos.
CA2115811A1 (en) 1993-02-17 1994-08-18 Claus Krebber A method for in vivo selection of ligand-binding proteins
US5827690A (en) 1993-12-20 1998-10-27 Genzyme Transgenics Corporatiion Transgenic production of antibodies in milk
WO1996013583A2 (en) 1994-10-20 1996-05-09 Morphosys Gesellschaft Für Proteinoptimierung Mbh Targeted hetero-association of recombinant proteins to multi-functional complexes
DK1144607T5 (da) 1999-07-20 2009-10-05 Morphosys Ag Fremgangsmåde til præsentation af (poly)peptider/proteiner på bakteriofage partikler via disulfidbindinger
US7094571B2 (en) 2000-10-27 2006-08-22 The Board Of Regents Of The University Of Texas System Combinatorial protein library screening by periplasmic expression
US7083945B1 (en) 2000-10-27 2006-08-01 The Board Of Regents Of The University Of Texas System Isolation of binding proteins with high affinity to ligands
KR100857943B1 (ko) 2000-11-30 2008-09-09 메다렉스, 인코포레이티드 인간 항체의 제조를 위한 형질전환 트랜스염색체 설치류
WO2011080765A2 (en) * 2010-01-04 2011-07-07 Indian Immunologicals Limited Recombinant human bivalent diabody against rabies virus and uses thereof
CN101812130B (zh) * 2010-05-06 2012-07-04 中国疾病预防控制中心病毒病预防控制所 人源抗狂犬病毒糖蛋白中和性抗体(RVFab5)
CN101812131B (zh) * 2010-05-06 2012-07-04 中国疾病预防控制中心病毒病预防控制所 人源抗狂犬病毒糖蛋白中和性抗体(RVFab8)
CN101812132B (zh) * 2010-05-06 2012-07-04 中国疾病预防控制中心病毒病预防控制所 人源抗狂犬病毒糖蛋白中和性抗体(RVFab3)
US9290564B2 (en) * 2012-05-24 2016-03-22 Mountgate Group Limited Compositions and methods related to the prevention and treatment of rabies infection

Also Published As

Publication number Publication date
EP2855521A4 (en) 2016-03-02
MX2014014412A (es) 2015-07-21
KR101937733B1 (ko) 2019-01-11
SG11201408330XA (en) 2015-01-29
IN2014KN02831A (ja) 2015-05-08
CN104603149A (zh) 2015-05-06
WO2013174003A1 (en) 2013-11-28
PH12014502628A1 (en) 2015-01-26
EP2855521A1 (en) 2015-04-08
JP2015525206A (ja) 2015-09-03
PH12014502628B1 (en) 2015-01-26
EP3508497A1 (en) 2019-07-10
BR112014029274A2 (pt) 2018-04-24
US9290564B2 (en) 2016-03-22
CN104603149B (zh) 2017-06-30
KR20150016590A (ko) 2015-02-12
US20150110781A1 (en) 2015-04-23
MX369626B (es) 2019-11-13
BR112014029274B1 (pt) 2022-02-15
HK1210187A1 (en) 2016-04-15

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5868549B2 (ja) 狂犬病感染の予防および治療に関する組成物および方法
JP7317272B2 (ja) Tigit抗体、その抗原結合断片及びその医療用途 本願は、2019年9月29日に出願された出願番号cn201710908565.3に基づいたものであり、その優先権を主張する。その開示は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
JP7142618B2 (ja) イヌ化抗体
JP6603269B2 (ja) Fel d1に対するヒト抗体およびその使用方法
US20230287093A1 (en) Methods and compositions for the generation and use of humanized conformation-specific phosphorylated tau antibodies
AU2014244411B2 (en) Human antibodies to respiratory syncytial virus F protein and methods of use thereof
JP6797111B2 (ja) イヌpd−l1と結合するpd−l1抗体
DK2297202T3 (en) ANTI-IL-6 / IL-6R ANTIBODIES AND PROCEDURES FOR USE THEREOF
US7897730B2 (en) TRAIL receptor-binding agents and uses of the same
JP2019047807A (ja) Pdgf受容体ベータ結合ポリペプチド
WO2019091449A1 (zh) Cd96抗体、其抗原结合片段及医药用途
CN115697491A (zh) Sars-cov-2抗体及其选择和使用方法
CN114685652B (zh) 针对SARS-CoV-2和SARS-CoV的全人广谱交叉中和抗体及其应用
MX2010009885A (es) Composiciones y métodos para la terapia y diagnóstico de citomegalovirus.
KR20210152472A (ko) Cd22 항체 및 이를 사용하는 방법
CN115087673A (zh) 结合il4r的抗体及其用途
CN116368153A (zh) Zip12抗体
CN114685653B (zh) 抗新冠病毒受体结合区域表位中和抗体及其应用
US20240067706A1 (en) Fully human broad-spectrum neutralizing antibody 76e1 against coronavirus, and use thereof
US20240043568A1 (en) Development of new tumor engager therapeutic drug and use thereof
CN115925918A (zh) 特异性识别c5a的抗体及其应用
CN117843781A (zh) Cd138抗体及其应用

Legal Events

Date Code Title Description
A975 Report on accelerated examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971005

Effective date: 20150617

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20150629

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20150929

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20151026

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20151207

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20160105

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5868549

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313113

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250