本発明に基づいた各実施の形態について、以下、図面を参照しながら説明する。各実施の形態の説明において、個数、量などに言及する場合、特に記載がある場合を除き、本発明の範囲は必ずしもその個数、量などに限定されない。各実施の形態の説明において、同一の部品、相当部品に対しては、同一の参照番号を付し、重複する説明は繰り返さない場合がある。特に制限が無い限り、各実施の形態に示す構成を適宜組み合わせて用いることは、当初から予定されていることである。
[実施の形態1]
図1を参照して、本実施の形態における湿式画像形成装置100について説明する。図1は、湿式画像形成装置100の全体構成を模式的に示す図である。湿式画像形成装置100は、記録用紙50(記録媒体)上に画像を形成する。詳細は後述されるが、本実施の形態における記録用紙50は、中間転写体30および転写ローラー35の間を、所定の搬送方向AR50に沿って搬送される。
湿式画像形成装置100は、現像ユニット10、感光体ユニット20、中間転写体30、キャリア液量調整手段33、制御装置40(制御手段)、濃度センサー43(濃度検出手段)、および、定着ユニット53を備える。
(現像ユニット10)
現像ユニット10は、現像槽11、現像液12、供給ローラー13、受け渡しローラー14、現像ローラー15、帯電器16、除電器17、および、現像バイアス印加装置18を含む。現像液12は、現像槽11内に貯留される。現像液12は、キャリア液である絶縁性液体と、静電潜像を現像するトナーと、トナーをキャリア液中に分散させる分散剤とを含む。現像槽11に接続された供給装置(図示せず)により、現像槽11内には現像液12が適宜供給される。
現像液12は、たとえば次のように作製される。まず、ポリエステル樹脂を100部と銅フタロシアニン15部とを、ヘンシェルミキサー(登録商標)を用いて十分に混合する。得られた混合物を、ロールの加熱温度が100℃に設定された同方向回転二軸押出し機を用いて溶融および混練する。
溶融および混練された混合物を冷却および粉砕して、粉砕トナーを得る。その後、IP2028(出光興産株式会社製)を75部と、粉砕トナーを25部と、分散剤としてV216(ISP社製)を0.8部とを混合する。サンドミルを用いてこれらを1時間混合させることにより、現像液12が得られる。この場合の現像液12の粒径は、2.0μmである。この粒径の値は、レーザー回折式粒度分布測定装置SALD−2200(株式会社島津製作所社製)によって測定された値である。
現像槽11内の現像液12に接触するように、供給ローラー13が設けられる。供給ローラー13が回転することによって、現像液12は供給ローラー13の表面に汲み上げられる。現像液12は、供給ローラー13の表面上に担持されるとともに、供給ローラー13の回転によって、供給ローラー13と受け渡しローラー14とが相互に対向している部分に向かって搬送される。
供給ローラー13上の現像液12は、ドクターブレード13Tによって余剰の分量が掻き落とされた状態で、供給ローラー13から受け渡しローラー14に受け渡される。現像液12は、受け渡しローラー14の表面上に担持される。その後、現像液12は、受け渡しローラー14が回転することによって、受け渡しローラー14と現像ローラー15とが相互に対向している部分に向かって搬送される。
受け渡しローラー14の表面上の現像液12は、受け渡しローラー14から現像ローラー15に受け渡される。供給ローラー13および受け渡しローラー14を経ることによって、現像ローラー15の表面上には、現像ローラー15の長手方向において膜厚が均一になるように調整された現像液12が形成される。現像液12は、現像ローラー15の回転によって現像位置24に向かって搬送される。現像位置24は、現像ローラー15と後述する感光体21とが互いに接触している部分である。
現像液12が現像位置24に向かって搬送される際、薄層を形成した現像液12中のトナー粒子は、帯電器16によって適切な帯電量(たとえば電圧+3kV〜+5kV)に帯電される。帯電されたトナー粒子を含む現像液12は、現像ローラー15の回転によって現像位置24に向かってさらに搬送される。
現像ローラー15は、次述する感光体ユニット20の感光体21に対して一定の押し込み量を持って配置される。現像ローラー15には、現像バイアス印加装置18によって所定の現像バイアスが印加される。詳細は次述されるが、現像バイアスの印加によって、現像ローラー15の現像液12は、感光体21上に形成された静電潜像を顕像化(可視化)する。
(感光体ユニット20)
感光体ユニット20は、感光体21、帯電器22、露光装置23、転写前チャージャー25、除電器27、およびクリーニングブレード28を含む。上記のとおり、現像ローラー15に接触するように、ドラム状の感光体21が設けられる。感光体21としては、たとえばアモルファスシリコン製の感光体が用いられる。感光体21は、矢印AR21方向に回転する。感光体21の回転速度は、たとえば400mm/sである。
感光体21の周辺には、感光体21の回転方向(矢印AR21方向)に沿って、帯電器22、露光装置23、現像ローラー15(現像位置24)、転写前チャージャー25、中間転写体30(転写部26)、除電器27、および、クリーニングブレード28が順に配置される。
感光体21の表面は、帯電器22によって所定の表面電位(たとえば−700V)に一様に帯電される。感光体21の表面には、露光装置23からレーザーが照射される。露光装置23からのレーザーは、湿式画像形成装置100に内蔵されるデジタル画像処理部(図示せず)からの画像信号に応じて変調されている。感光体21の表面はレーザーによって露光される。感光体21の表面には、画像信号に対応する静電潜像が形成される。
詳細は後述されるが、本実施の形態における露光装置23は、通常の画像情報に基づいて露光量、露光範囲、および露光のタイミング等が制御されることに加えて、パッチ画像を形成するために必要な露光量、露光範囲、および露光のタイミング等の各値によっても制御される。露光装置23がこのように制御されることによって、感光体21の表面には、パッチ画像(詳細は後述する)に対応する静電潜像が形成される。
上述のとおり、現像ローラー15には、現像バイアス印加装置18によって所定の現像バイアス(たとえば−450V)が印加される。現像ローラー15と感光体21との間に形成された現像電位差によって、現像ローラー15と感光体21との間には電界が形成される。
感光体21上の現像位置24にまで静電潜像が搬送された際、現像ローラー15に担持される現像液12中のトナー粒子は、現像バイアス印加装置18によって形成された電界の作用により、現像ローラー15の表面から感光体21の表面に静電移動する。この際、トナー粒子だけでなく、キャリア液も感光体21の表面に付着する。感光体21の表面に形成されていた静電潜像は、トナー像(または後述するパッチ画像)として顕像化(可視化)される。
現像ローラー15から感光体21に転移せずに現像ローラー15上に残留した現像液12は、除電器17によって除電(たとえば電圧−3kV〜−5kV)された後、クリーニングブレード15Tによって現像ローラー15の表面から掻き取られた後、回収される。回収された現像剤は、トナー濃度調整手段に搬送された後、トナー濃度が適切に調整された状態で、現像槽11内に搬送される。
感光体21は、表面に形成されたトナー像を担持しつつ、トナー像を転写部26に向かって移動させる。転写部26は、感光体21と次述する中間転写体30とが互いに接触している部分である。転写部26に向かって搬送される感光体21上のトナー像は、転写前チャージャー25により所定の帯電量(たとえば電圧+3kV〜+5kV)に帯電される。トナー像は、表面電位を整えられた後、感光体21の回転によって転写部26に向かってさらに搬送される。
(中間転写体30)
中間転写体30は、感光体21に対向するように配置される。中間転写体30は、矢印AR30方向に回転する。中間転写体30の周辺には、中間転写体30の回転方向(矢印AR30方向)に沿って、感光体21、キャリア液量調整手段33、転写ローラー35(転写部36)、およびクリーニングブレード38が順に配置される。
感光体21と中間転写体30との間に、転写部26(1次転写部)が形成される。中間転写体30には、転写バイアス印加装置34により所定の転写バイアス(たとえば+600V)が印加される。感光体21と中間転写体30との間に形成された電位差によって、感光体21と中間転写体30との間には電界が形成される。
感光体21の回転によって転写部26に搬送されたトナー像は、転写バイアス印加装置34によって形成された電界の作用により、感光体21の表面から中間転写体30の表面に1次転写される。1次転写されずに感光体21の表面上に残留したトナーは、除電器27により除電された後、クリーニングブレード28によって感光体21の表面から感光体21の表面上の汚れ等とともに掻き取られ、回収される。
中間転写体30は、表面に転写(形成)されたトナー像(または後述するパッチ画像)を担持しつつ、トナー像を転写部36(2次転写部)に向かって移動させる。転写部36は、中間転写体30と後述する転写ローラー35とが互いに接触している部分である。
詳細は後述されるが、感光体21上に形成されたパッチ画像も、通常のトナー像と同様に、転写バイアス印加装置34によって形成された電界の作用により、感光体21の表面から中間転写体30の表面に転写される。当該転写によって、中間転写体30の表面にはパッチ画像が形成される。本実施の形態における像形成手段は、トナー像(およびパッチ画像)を中間転写体30(像担持体)上に形成するものとして、現像ユニット10、感光体ユニット20、および転写バイアス印加装置34を含んでいる。
(キャリア液量調整手段33)
キャリア液量調整手段33は、中間転写体30上に形成されたトナー像(およびパッチ画像)に対向するように配置される。キャリア液量調整手段33は、中間転写体30の回転方向(矢印AR30方向)において、転写部26よりも下流であって転写部36よりも上流に位置する。本実施の形態におけるキャリア液量調整手段33は、プリウェット装置31およびスクイズ装置32を含む。
プリウェット装置31は、中間転写体30に対向配置されたローラー31Rを有する。プリウェット装置31は、後述する制御装置40によって制御されることにより、中間転写体30上のトナー像(パッチ画像)にキャリア液31P(プリウェット液)を供給する。中間転写体30上のトナー像に含まれるキャリア液が不足している場合、制御装置40によってプリウェット装置31が駆動される。
ローラー31Rを通してキャリア液31Pが中間転写体30上のトナー像に供給されることにより、中間転写体30上のトナー像に含まれるキャリア液の量を増加させることができる。ローラー31Rの回転数を上げることによって、中間転写体30上のトナー像に供給されるキャリア液31Pの量を増加させることができる。ローラー31Rの回転数を下げることによって、中間転写体30上のトナー像に供給されるキャリア液31Pの量を減少させることができる。
スクイズ装置32は、中間転写体30に対向配置されたローラー32Rを有する。スクイズ装置32は、後述する制御装置40によって制御されることにより、中間転写体30上のトナー像(パッチ画像)から吸収したキャリア液をブレード32Qによって回収する。中間転写体30上のトナー像に含まれるキャリア液が多すぎる場合、制御装置40によってスクイズ装置32が駆動される。
ローラー32Rを通してキャリア液が中間転写体30上のトナー像から回収されることにより、中間転写体30上のトナー像に含まれるキャリア液の量を減少させることができる。ローラー32Rの回転数を上げることによって、中間転写体30上のトナー像から回収されるキャリア液の量を増加させることができる。ローラー32Rの回転数を下げることによって、中間転写体30上のトナー像から回収されるキャリア液の量を減少させることができる。
転写部26において感光体21の表面から中間転写体30の表面にトナー像が1次転写された後、中間転写体30は、表面に転写されたトナー像を担持しつつ、そのトナー像をキャリア液量調整手段33に対向する位置に向かって移動させる。詳細は後述されるが、このトナー像は、制御装置40に制御されたキャリア液量調整手段33によって、キャリア液の量が最適な値に設定される。トナー像は、キャリア液の量が最適な値に設定された後、中間転写体30の回転によって転写部36に向かってさらに搬送される。
矢印AR30方向に回転する中間転写体30および矢印AR35方向に回転する転写ローラー35によって、記録用紙50は、搬送方向AR50に沿って転写部36を通過する。転写ローラー35には、転写バイアス印加装置37(転写手段)によって所定の転写バイアス(たとえば+1200V)が印加される。中間転写体30と転写ローラー35との間に形成された電位差によって、中間転写体30と記録用紙50との間には電界が形成される。
中間転写体30の回転によって転写部36に搬送されたトナー像は、転写バイアス印加装置37によって形成された電界の作用により、中間転写体30の表面から記録用紙50の表面に2次転写される。当該転写によって、記録用紙50の表面にはトナー像に対応する画像が形成される。2次転写されずに中間転写体30の表面上に残留したトナーは、クリーニングブレード38によって中間転写体30の表面上の汚れ等とともに掻き取られ、回収される。トナー像が2次転写された記録用紙50は、定着ユニット53に送られる。
詳細は後述されるが、中間転写体30上に形成されたパッチ画像も、通常のトナー像と同様に、転写バイアス印加装置37によって形成された電界の作用により、中間転写体30の表面から記録用紙50の表面に転写される。当該転写によって、記録用紙50の表面にはパッチ画像に対応する画像が形成される。
(定着ユニット53)
定着ユニット53は、定着ローラー51,52を含む。記録用紙50に転写されたトナー像の中のトナー粒子は、定着ローラー51,52によって加熱および加圧される。記録用紙50に転写されたトナー像(パッチ画像)は、これらの加熱および加圧によって、記録用紙50の表面に定着される。その後、記録用紙50は排紙装置(図示せず)を通して外部に排出される。
(制御装置40・濃度センサー43)
本実施の形態における湿式画像形成装置100においては、制御装置40に接続された濃度センサー43が、記録用紙50の記録面に対向するように配置される。濃度センサー43は、記録用紙50の搬送方向(矢印AR方向)において、転写部36よりも下流であって定着ユニット53よりも上流に位置する。本実施の形態における濃度センサー43は、発光部41および受光部42を含む。濃度センサー43は、記録用紙50の記録面上に転写されたパッチ画像としてのトナー像の画像濃度を検出する。
記録用紙50の記録面上に転写されたパッチ画像としてのトナー像に向かって、発光部41から所定の検出光が照射される。トナー像に反射した検出光の反射光は、受光部42によって受光される。受光部42によって受光された反射光の強度に応じて、濃度センサー43は、記録用紙50の記録面上に転写されたパッチ画像としてのトナー像のトナー濃度に基づく検出信号を、制御装置40に送出する。
濃度センサー43としては、たとえばX−rite社製のSpectroEye(登録商標)を用いるとよい。この場合、検出条件としては、偏光フィルターが用いられるとともに、紙白を基準として、標準光源はD50に設定し、観察視野は2°に設定し、濃度基準はDINに設定するとよい。
濃度センサー43としては、上述のように反射光検出方式を採用するものの他にも、散乱光を検出する散乱光検出方式を採用するものが用いられてもよく、中間転写体30を透過した光を検出する透過光検出方式を採用するものが用いられてもよい。
詳細は後述されるが、濃度センサー43から出力された検出信号の値(記録用紙50の記録面上に転写されたパッチ画像としてのトナー像のトナー濃度)に基づいて、制御装置40は、キャリア液量調整手段33を制御する。当該制御によって、デジタル画像処理部からの画像信号に応じた画像を形成する通常の画像形成が行なわれる際には、中間転写体30上のトナー像に含まれるキャリア液の量は、記録用紙50上に転写されたトナー像の画像濃度が所望の値以上となるように最適な値に設定されることが可能となる。
(粒状ムラの発生要因)
ここで、図2および図3を参照して、中間転写体30上のトナー像に含まれるキャリア液11Cの量とトナー粒子11Tの凝集との関係について説明する。図2に示すように、中間転写体30の回転によって、中間転写体30上のトナー像は転写部36(転写ニップ部)に搬送される。
このトナー像に含まれるキャリア液11Cの量が所定の値以上である場合、転写ニップ部の上流側における中間転写体30と記録用紙50(図示せず)との間には、キャリア液11Cによって良好な液ブリッジ11Eが形成される。
中間転写体30上のトナー像に含まれるトナー粒子11Tは、トナー像中のキャリア液11Cによって良好な液ブリッジ11Eが形成された後に、記録用紙50上に向かって移動を開始する。換言すると、図2中のP1の位置で液ブリッジ11Eが形成された後に、図2中のP2の位置でトナー粒子11Tが電界の作用によって移動を開始する。したがって、トナー像に含まれるキャリア液11Cの量が所定の値以上である場合、トナー粒子が一部の領域に凝集することは無く、粒状ムラは発生しにくい。
図3を参照して、一方で、トナー像に含まれるキャリア液11Cの量が所定の値よりも少ない場合、十分な液ブリッジ11Eは形成されない。中間転写体30上のトナー像に含まれるトナー粒子11Tは、トナー像中のキャリア液11Cによって適切な液ブリッジ11Eが形成される前に、記録用紙50上に向かって移動を開始してしまう。
具体的には、図3中のP3の位置で液ブリッジ11Eが形成される前に、図3中のP2の位置でトナー粒子11Tが電界の作用によって移動を開始する。したがって、トナー像に含まれるキャリア液11Cの量が所定の値よりも少ない場合、トナー粒子が一部の領域に凝集し、粒状ムラが発生する。記録用紙50上に形成された画像中のベタ部の均一性が損なわれ、高品質の画像を形成することは困難となる。
図4は、中間転写体30上に形成されたトナー像に含まれるキャリア液の量(横軸)と、記録用紙50上に転写されたパッチ画像の画像濃度(縦軸)との関係を示す図である。図4に示す場合においては、トナー量を1.8g/m2に設定し、転写バイアス印加装置37によって転写ローラー35に印加される転写バイアスのバイアス値を400Vに設定している。この条件の下で中間転写体30上に形成されたトナー像に含まれるキャリア液の量を順次変化させたときの、記録用紙50上に転写されたパッチ画像の画像濃度の変化が、図4に示されている。
図4に示すように、中間転写体30上のトナー像に含まれるキャリア液の量が一定の値よりも少ない場合(C1〜C3)、記録用紙50上に転写されたパッチ画像の画像濃度は、所定の値Tよりも低くなる。一方で、中間転写体30上のトナー像に含まれるキャリア液の量が一定の値以上の場合(C4〜C6)、記録用紙50上に転写されたパッチ画像の画像濃度は、所定の値T以上になる。
すなわち、転写部36(転写ニップ部)に搬送されるトナー像に含まれるキャリア液の量を適切な量に調整することによって、トナー凝集(粒状ムラ)の発生による画像濃度の低下を抑制することが可能であることがわかる。
(キャリア液量設定処理ST100)
図1および図5を参照して、本実施の形態における湿式画像形成装置100においては、記録用紙50上に通常の画像が形成された際に、粒状ムラが発生したりこれに起因する画像濃度の低下が発生したりすることを抑制するために、キャリア液量設定処理ST100(図5参照)が実行される。制御装置40がキャリア液量調整手段33を制御することによって、キャリア液量設定処理ST100においては、転写部36(転写ニップ部)に搬送されるトナー像に含まれるキャリア液の量が適切な量に調整される。
キャリア液量設定処理ST100は、たとえば、湿式画像形成装置100の電源が投入された直後、湿式画像形成装置100によって所定の枚数の画像が形成された後、およびまたは、湿式画像形成装置100によって画像が形成されてから所定の時間が経過した後に実施される。
キャリア液量設定処理ST100が実施されるタイミングは、湿式画像形成装置100内のたとえば主制御部(図示せず)に接続されたメモリー(図示せず)内に記憶される。所定の条件が満足されたことを主制御部が判断し、主制御部は、湿式画像形成装置100を構成する各機器に対してキャリア液量設定処理ST100を実施するための信号を送出する。
図1および図5を参照して、キャリア液量設定処理ST100が実施される際、まず、露光装置23に接続された制御部(図示せず)が、感光体21上に複数のパッチ画像を形成するために必要な露光量、露光範囲、および露光のタイミング等に関する情報を、この制御に接続されたメモリー(図示せず)から読み出す。当該情報に基づいて制御部によって制御された露光装置23は、感光体21上に、複数のパッチ画像に対応する複数の静電潜像を順次形成する。
複数の静電潜像は、現像位置24に搬送される。現像バイアス印加装置18により形成された電界の作用によって、複数の静電潜像は、現像位置24において顕像化される。感光体21の表面には、現像位置24よりも下流側であって転写部26(1次転写部)よりも上流側の部分において、複数のパッチ画像が形成される。感光体21上に形成された複数のパッチ画像は、感光体21の回転によって転写部26に向かって順次移動する。
転写バイアス印加装置34によって形成された電界の作用によって、感光体21上の複数のパッチ画像は、中間転写体30上に順次転写される。中間転写体30の表面には、転写部26(1次転写部)よりも下流側であって転写部36(2次転写部)よりも上流側の部分において、複数のパッチ画像が形成される(シーケンスST1)。
中間転写体30上に形成された(転写された)複数のパッチ画像は、中間転写体30の回転によってキャリア液量調整手段33と中間転写体30とが相互に対向する部分に向かって移動する。複数のパッチ画像がキャリア液量調整手段33と対向する部分を順次通過する際、キャリア液量調整手段33は、所定の条件(たとえば、湿式画像形成装置の使用環境、または、湿式画像形成装置の使用状態など)に基づいて、複数のパッチ画像中のキャリア液量(初期値)を設定する(シーケンスST2)。
複数のうちの最初のパッチ画像がキャリア液量調整手段33と対向する部分を通過した後、キャリア液量調整手段33は、それ以降にキャリア液量調整手段33と対向する部分を通過するパッチ画像中のキャリア液量が順次増加するように、キャリア液の量を連続的にまたは離散的に調整するとよい。
中間転写体30上に形成された複数のパッチ画像の各々は、転写バイアス印加装置37によって形成された電界の作用によって、記録用紙50上に順次転写される。中間転写体30上に形成された複数のパッチ画像の各々は、キャリア液量調整手段33によってキャリア液の量が変化される毎に順次転写される。
濃度センサー43は、濃度センサー43の検出範囲を通過する記録用紙50上のパッチ画像としてのトナー像の濃度を検出する。濃度センサー43は、記録用紙50の記録面上に転写されたパッチ画像としてのトナー像のトナー濃度に基づく検出信号を、制御装置40に送出する(シーケンスST3)。
制御装置40は、濃度センサー43から出力された検出信号の値(記録用紙50の記録面上に転写されたパッチ画像としてのトナー像のトナー濃度)が予め求めて記憶してある所定の値以上か否かを判断する(シーケンスST4)。トナー濃度が所定の値以上の場合、キャリア液量設定処理ST100を終了する(シーケンスST5)。
一方、トナー濃度が所定の値未満の場合、制御装置40は、キャリア液量調整手段33を制御する(シーケンスST6)。具体的には、複数のパッチ画像がキャリア液量調整手段33と対向する部分を順次通過する際、キャリア液量調整手段33は、濃度センサー43から出力された検出信号の値(記録用紙50の記録面上に転写されたパッチ画像としてのトナー像のトナー濃度)に基づいて、複数のパッチ画像中のキャリア液量を変更する。
制御装置40によってプリウェット装置31が駆動されると、キャリア液31Pが中間転写体30上のトナー像に供給され、そのトナー像(パッチ画像)中のキャリア液の量が増加する。制御装置40によってスクイズ装置32が駆動されると、中間転写体30上のトナー像(パッチ画像)からキャリア液が回収され、そのトナー像中のキャリア液の量が減少する。このように、プリウェット装置31およびスクイズ装置32の動作制御により、中間転写体30上のトナー像(パッチ画像)に含まれるキャリア液の量が変更される。
中間転写体30上に形成された複数のパッチ画像の各々は、転写バイアス印加装置37によって形成された電界の作用によって、記録用紙50上に順次転写される。中間転写体30上に形成された複数のパッチ画像の各々は、キャリア液量調整手段33によってキャリア液の量が変化される毎に順次転写される。
濃度センサー43は、濃度センサー43の検出範囲を通過する記録用紙50上のパッチ画像としてのトナー像の濃度を検出する。濃度センサー43は、記録用紙50の記録面上に転写されたパッチ画像としてのトナー像のトナー濃度に基づく検出信号を、制御装置40に送出する(シーケンスST7)。
制御装置40は、濃度センサー43から出力された検出信号の値(記録用紙50の記録面上に転写されたパッチ画像としてのトナー像のトナー濃度)が予め求めて記憶してある所定の値以上か否かを判断する(シーケンスST8)。トナー濃度が所定の値以上の場合、その検出した値が記録用紙50上に転写されたパッチ画像の画像濃度が所定の値以上となるときのキャリア液の量として算出され、キャリア液量設定処理ST100は終了する(シーケンスST9)。濃度センサー43によって検出されたこの値が、通常の画像形成時に用いられるべき中間転写体30上のトナー像中のキャリア液の量として設定される。
トナー濃度が所定の値未満の場合、トナー濃度が所定の値以上となるまで、シーケンスST6〜ST8が繰り返される。
(作用・効果)
本実施の形態における湿式画像形成装置100においては、キャリア液量設定処理ST100が実行されることにより、制御装置40がキャリア液量調整手段33を制御する。転写部36(転写ニップ突入部)においてトナー粒子が電界により移動する前に、現像液12の液ブリッジが良好に形成されるように、通常の画像形成時に用いられるべきトナー像中のキャリア液の量が最適な値に設定される。
湿式画像形成装置100は、通常の画像形成時において、記録用紙50上に転写されるトナー像に粒状ムラが発生することを抑制することができるだけでなく、トナー像の画像濃度を所望の値以上とすることができる。したがって湿式画像形成装置100によれば、高画質な画像を記録用紙50上に形成することができる。
本実施の形態においては、像形成手段によって複数のパッチ画像が形成され、キャリア液量調整手段33を経て記録用紙50の記録面上に転写された複数のパッチ画像の各々の画像濃度が濃度センサー43によって検出され、検出された各々の値が予め記憶してある所定の値以上であるか否かが制御装置40によって判断される。
これに対して、像形成手段によって形成されるパッチ画像としては、1つの連続したパッチ画像が形成されてもよい。パッチ画像が一連の長い画像として形成される場合、このパッチ画像は、キャリア液量調整手段33を経ることによって、長手方向の部分部分毎(領域毎)において異なるキャリア液量を含むこととなる。長手方向の部分部分毎において異なるキャリア液量を含むこととなったパッチ画像が記録用紙50の記録面上に転写され、その部分部分毎における画像濃度が濃度センサー43によって検出される。検出された値は、予め記憶してある所定の値以上であるか否かが制御装置40によって判断される。パッチ画像の画像濃度が所定の値以上となるときのキャリア液の量が算出され、算出されたこの値が、通常の画像形成時に用いられるべき中間転写体30上のトナー像中のキャリア液の量として設定される。当該構成によっても、転写部36(転写ニップ突入部)においてトナー粒子が電界により移動する前に、現像液12の液ブリッジが良好に形成されるように、通常の画像形成時に用いられるべきトナー像中のキャリア液の量が最適な値に設定されることができ、高画質な画像を記録用紙50上に形成することが可能となる。
[実施の形態2]
図6を参照して、本実施の形態における湿式画像形成装置101について説明する。上述の実施の形態1における湿式画像形成装置100においては、中間転写体30が用いられる。中間転写体30は、必要に応じて設けられるとよい。
図6に示す湿式画像形成装置101のように、中間転写体30が用いられない場合、感光体21の周辺には、感光体21の回転方向(矢印AR21方向)に沿って、帯電器22、露光装置23、現像ローラー15(現像位置24)、キャリア液量調整手段33(プリウェット装置31およびスクイズ装置32)、転写前チャージャー25、転写ローラー35(転写部36)、除電器27、およびクリーニングブレード28が順に配置される。
湿式画像形成装置101においては、感光体21上に形成されていたパッチ画像に対応する静電潜像に、現像ユニット10(現像ローラー15)からトナー粒子が供給される。感光体21上に形成されていたパッチ画像に対応する静電潜像は、パッチ画像として顕像化され、現像ユニット10の表面には複数のパッチ画像が形成される。
本実施の形態における像形成手段は、トナー像(およびパッチ画像)を感光体21(像担持体)上に形成するものとして、現像ユニット10を含んでいる。転写バイアス印加装置37(転写手段)によって、感光体21と記録用紙50との間に転写バイアスが印加され、感光体21上のトナー像は記録用紙50上に転写される。
湿式画像形成装置101においても、制御装置40に接続された濃度センサー43が、記録用紙50の記録面に対向するように配置される。濃度センサー43は、記録用紙50の搬送方向(矢印AR方向)において、転写部36よりも下流であって定着ユニット53よりも上流に配置され、記録用紙50の記録面上に転写されたパッチ画像としてのトナー像の画像濃度を検出する。
濃度センサー43から出力された検出信号の値(記録用紙50の記録面上に転写されたパッチ画像としてのトナー像のトナー濃度)に基づいて、制御装置40は、キャリア液量調整手段33を制御する。当該制御によって、デジタル画像処理部からの画像信号に応じた画像を形成する通常の画像形成が行なわれる際には、感光体21上のトナー像に含まれるキャリア液の量は、記録用紙50上に転写されたトナー像の画像濃度が所望の値以上となるように最適な値に設定される。
(作用・効果)
本実施の形態における湿式画像形成装置101においても、上述の実施の形態1と同様に、キャリア液量設定処理ST100(図5参照)が実行されることにより、制御装置40がキャリア液量調整手段33を制御する。転写部36(転写ニップ突入部)においてトナー粒子が電界により移動する前に、現像液12の液ブリッジが良好に形成されるように、通常の画像形成時に用いられるべきトナー像中のキャリア液の量が最適な値に設定される。
湿式画像形成装置101も、通常の画像形成時において、記録用紙50上に転写されるトナー像に粒状ムラが発生することを抑制することができるだけでなく、トナー像の画像濃度を所望の値以上とすることができる。したがって湿式画像形成装置101によっても、高画質な画像を記録用紙50上に形成することができる。
本実施の形態においても、像形成手段によって形成されるパッチ画像としては、1つの連続したパッチ画像が形成されてもよい。当該構成によっても、転写部36(転写ニップ突入部)においてトナー粒子が電界により移動する前に、現像液12の液ブリッジが良好に形成されるように、通常の画像形成時に用いられるべきトナー像中のキャリア液の量が最適な値に設定されることができ、高画質な画像を記録用紙50上に形成することが可能となる。
[実施の形態3]
図7を参照して、本実施の形態における湿式画像形成装置102について説明する。湿式画像形成装置102は、上述の実施の形態1における湿式画像形成装置100の構成に加えて、濃度センサー46をさらに備える。濃度センサー46は、本発明における第1濃度検出手段に相当し、濃度センサー43は、本発明における第2濃度検出手段に相当する。
図7に示すように、濃度センサー46も、制御装置40に接続される。濃度センサー46は、中間転写体30の表面に対向するように配置されるとともに、中間転写体30の回転方向(矢印AR30方向)において、キャリア液量調整手段33よりも下流であって転写部36よりも上流の位置に配置される。本実施の形態における濃度センサー46は、発光部44および受光部45を含む。濃度センサー46は、中間転写体30上に形成され、記録用紙50に転写される前のパッチ画像としてのトナー像の画像濃度を検出する。
中間転写体30上に形成されたパッチ画像としてのトナー像に向かって、発光部44から所定の検出光が照射される。トナー像に反射した検出光の反射光は、受光部45によって受光される。受光部45によって受光された反射光の強度に応じて、濃度センサー46は、中間転写体30上に形成されたパッチ画像としてのトナー像のトナー濃度に基づく検出信号を、制御装置40に送出する。
濃度センサー46としては、濃度センサー43と同様に、たとえばX−rite社製のSpectroEye(登録商標)を用いるとよい。この場合、検出条件としては、偏光フィルターが用いられるとともに、紙白を基準として、標準光源はD50に設定し、観察視野は2°に設定し、濃度基準はDINに設定するとよい。
濃度センサー46としては、上述のように反射光検出方式を採用するものの他にも、散乱光を検出する散乱光検出方式を採用するものが用いられてもよく、中間転写体30を透過した光を検出する透過光検出方式を採用するものが用いられてもよい。
濃度センサー46から出力された検出信号の値(記録用紙50に転写される前のパッチ画像としてのトナー像の画像濃度)に基づいて、制御装置40は、キャリア液量調整手段33を制御する。本実施の形態における制御装置40は、濃度センサー46が検出したパッチ画像の画像濃度の値と、濃度センサー43が検出した記録用紙50上のパッチ画像(濃度センサー46が検出したパッチ画像に対応するパッチ画像)の画像濃度の値とに基づいて、これらの値の差が所定の値以下となるときのキャリア液の量を算出する。
当該制御によっても、デジタル画像処理部からの画像信号に応じた画像を形成する通常の画像形成が行なわれる際には、中間転写体30上のトナー像に含まれるキャリア液の量は、記録用紙50上に転写されたトナー像の画像濃度が所望の値以上となるように最適な値に設定されることが可能となる。上述の実施の形態2のように、中間転写体30が用いられない場合も同様である。これらについては、像形成手段によって形成されるパッチ画像が1つの連続したものである場合も同様である。
[実施の形態3の変形例]
図8に示す湿式画像形成装置103のように、濃度センサー46は、感光体21の表面に対向するように配置されるとともに、感光体21の回転方向(矢印AR21方向)において、現像位置24よりも下流であって転写部26よりも上流の位置に配置されてもよい。濃度センサー46は、感光体21上に形成され、中間転写体30に転写される前のパッチ画像としてのトナー像の画像濃度を検出する。
濃度センサー46は、感光体21上に形成されたパッチ画像としてのトナー像のトナー濃度に基づく検出信号を、制御装置40に送出する。濃度センサー46から出力された検出信号の値(中間転写体30に転写される前のパッチ画像としてのトナー像の画像濃度)に基づいて、制御装置40は、キャリア液量調整手段33を制御する。
制御装置40は、濃度センサー46が検出したパッチ画像の画像濃度の値と、濃度センサー43が検出した記録用紙50上のパッチ画像(濃度センサー46が検出したパッチ画像に対応するパッチ画像)の画像濃度の値とに基づいて、これらの値の差が所定の値以下となるときのキャリア液の量を算出する。
当該制御によっても、デジタル画像処理部からの画像信号に応じた画像を形成する通常の画像形成が行なわれる際には、中間転写体30上のトナー像に含まれるキャリア液の量は、記録用紙50上に転写されたトナー像の画像濃度が所望の値以上となるように最適な値に設定されることが可能となる。
[実施の形態4]
図9に示すキャリア液量設定処理ST200のように、上述のキャリア液量設定処理ST100(図5参照)と同様にパッチ画像を形成した後(シーケンスST1の後)、記録用紙50(記録媒体)の種類に応じてキャリア液量調整手段33をさらに制御してもよい(シーケンスST2A)。
記録用紙50上に2次転写によって形成されたトナー像中にキャリア液が過剰に残っていると、定着性不良などの問題が生じる場合がある。たとえば、コート紙のような表面が平滑な紙の場合、表面を覆うために必要なトナーの量は少なくてもよい。これに対して、上質紙のように表面が粗い紙の場合、表面を覆うためにより多くのトナーが必要となる。
仮に、コート紙の設定トナー量で上質紙に印字すると、トナーは紙の表面の全てを覆うことが出来ず、紙の表面が部分的に露出し不均一な画像となる。これに対して、上質紙の設定トナー量でコート紙上に印字すると、トナーが多すぎることになり、濃度が高くなることや文字や線が太るといった問題が生じる。
したがって、キャリア液量設定処理ST200においては、記録用紙50の種類(紙種)をも考慮して、2次転写時のトナー像中のキャリア液量が調整される。現像液12量としては、たとえば、コート紙の場合では5g/m2程度がよく、上質紙の場合では7g/m2程度がよい。転写ニップ部に搬送される現像液12の量が多いほど、液ブリッジは上流側で形成されるため、現像液12の量が多い場合には、トナー像中のキャリア液の量をより少ない量にしても、トナー凝集を抑制することができる。
キャリア液量設定処理ST200のように、記録用紙50(記録媒体)の種類に応じてキャリア液量調整手段33をさらに制御することによって、安定した定着性の確保と、トナー凝集による濃度低下の抑制との両立が可能となる。紙種に応じてキャリア液量を自動で制御する場合について説明したが、これにユーザーによる調整を付加してもよい。これらについては、像形成手段によって形成されるパッチ画像が1つの連続したものである場合も同様である。
[実施の形態5]
記録用紙50上に画像を形成する通常の画像形成が行なわれる際には、制御装置40が算出した結果に応じて、キャリア液量調整手段33および2次転写バイアスを印加する転写バイアス印加装置37(転写手段)の双方が制御されてもよい。この場合、転写バイアス印加装置37は、2次転写バイアスのバイアス値を調整可能に構成されるとともに、制御装置40によって制御可能に構成される。
図10は、キャリア液量調整手段33によって調整された中間転写体30上のトナー像中のキャリア液量と、転写バイアス印加装置37(図1等参照)によって転写ローラー35に印加される2次転写バイアスとの関係を示す図である。図10においては、記録用紙50上に転写されたトナー像の濃度を検出し、そのトナー像の濃度と目標とする所望の濃度との差が0.2以下の場合には『○(丸形状)』をプロットし、そのトナー像の濃度と目標とする所望の濃度との差が0.2よりも大きい場合には『△(三角形状)』をプロットしている。
図10に示すように、転写前のトナー像中のキャリア液量が一定の場合であっても、2次転写バイアスを下げていくことで画像の均一性が向上し、トナー凝集による画像濃度の低下を抑制できることが分かる。また、2次転写バイアスが一定の場合であっても、転写前のトナー像中のキャリア液量を増やしていくと、画像の均一性が向上することが分かる。これらの結果から、キャリア液量調整手段33および2次転写バイアスを印加する転写バイアス印加装置37(転写手段)の双方が制御されることによって、トナー凝集が抑制された、さらに均一な画像を得ることが可能となることがわかる。
図11に示すキャリア液量設定処理ST300のように、具体的には、複数のパッチ画像が形成される(シーケンスST1)。その後、所定の条件(たとえば、湿式画像形成装置の使用環境、または、湿式画像形成装置の使用状態など)に基づいて、複数のパッチ画像中のキャリア液量(初期値)を設定する(シーケンスST2)。その後、所定の条件(たとえば、湿式画像形成装置の使用環境、または、湿式画像形成装置の使用状態など)に基づいて、2次転写バイアス(初期値)を設定する(シーケンスST2B)。
中間転写体30上に形成された複数のパッチ画像の各々は、転写バイアス印加装置37によって形成された電界の作用によって、記録用紙50上に順次転写される。中間転写体30上に形成された複数のパッチ画像の各々は、キャリア液量調整手段33によってキャリア液の量が変化されるとともに、転写バイアス印加装置37によって2次転写バイアスのバイアス値が変化される毎に順次転写される。
濃度センサー43は、濃度センサー43の検出範囲を通過する記録用紙50上のパッチ画像としてのトナー像の濃度を検出する。濃度センサー43は、記録用紙50の記録面上に転写されたパッチ画像としてのトナー像のトナー濃度に基づく検出信号を、制御装置40に送出する(シーケンスST3)。
制御装置40は、濃度センサー43から出力された検出信号の値(記録用紙50の記録面上に転写されたパッチ画像としてのトナー像のトナー濃度)が予め求めて記憶してある所定の値以上か否かを判断する(シーケンスST4)。トナー濃度が所定の値未満の場合、制御装置40は、キャリア液量調整手段33を制御するとともに(シーケンスST6)、転写バイアス印加装置37を制御する(シーケンスST6A)。
これにより、中間転写体30上のトナー像(パッチ画像)に含まれるキャリア液の量が最適な値に変更されるとともに、2次転写バイアスのバイアス値も最適な値に変更される。トナー濃度が所定の値以上の場合、その検出した値が記録用紙50上に転写されたパッチ画像の画像濃度が所定の値以上となるときのキャリア液の量および2次転写バイアスのバイアス値として算出され、キャリア液量設定処理ST300は終了する(シーケンスST9)。濃度センサー43によって検出されたこれらの値が、通常の画像形成時に用いられるべき中間転写体30上のトナー像中のキャリア液の量および2次転写バイアスのバイアス値として設定される。トナー濃度が所定の値未満の場合、トナー濃度が所定の値以上となるまで、シーケンスST6〜ST8が繰り返される。
(作用・効果)
キャリア液量設定処理ST300が実行されることにより、制御装置40がキャリア液量調整手段33および転写バイアス印加装置37の双方を制御する。転写部36(転写ニップ突入部)においてトナー粒子が電界により移動する前に、現像液12の液ブリッジが良好に形成されるように、通常の画像形成時に用いられるべきトナー像中のキャリア液の量および2次転写バイアスのバイアス値が最適な値に設定される。
通常の画像形成時において、記録用紙50上に転写されるトナー像に粒状ムラが発生することを抑制することができるだけでなく、トナー像の画像濃度を所望の値以上とすることができる。したがって、本実施の形態における湿式画像形成装置によれば、より高画質な画像を記録用紙50上に形成することができる。
また、キャリア液量設定処理ST300においては、キャリア液量および2次転写バイアスの双方を変化させつつ、最適なキャリア液量および2次転写バイアスを決定しているが、制御方法としては、2次転写バイアスのバイアス値を仮の値で固定して画像濃度を検出し、その画像濃度が所定の値以下である場合には、キャリア液量調整条件を変更して、所定の画像濃度が得られるまでキャリア液量調整条件を変更および決定し、その後さらにバイアス条件の変更で微調整を行なうという方法でもよいし、キャリア液量を仮の値で固定して画像濃度を検出し、その画像濃度が所定の値以下である場合には、2次転写バイアスのバイアス値を変更して、所定の画像濃度が得られるまで2次転写バイアスのバイアス値を変更および決定し、その後さらにキャリア液調整条件の変更で微調整を行なうという方法でもよい。これらについては、像形成手段によって形成されるパッチ画像が1つの連続したものである場合も同様である。
以上、本発明に基づいた各実施の形態について説明したが、今回開示された各実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではない。本発明の技術的範囲は特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。