以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。図1乃至図5は、本実施の形態に係る貨幣処理システムを示す図である。このうち、図1は、本実施の形態における貨幣処理システムの構成の概略を示す概略構成図である。また、図2は、図1に示す貨幣処理システムにおける硬貨釣銭機、紙幣釣銭機およびPOSレジスタの外観を示す斜視図であり、図3は、図1等に示す貨幣処理システムの制御ブロック図である。また、図4は、図1等に示す貨幣処理システムにおいて実行される、通常モード、省電力モードおよび電源オフモードを説明するための図であり、図5は、通常モードと省電力モードとの間の切換動作を示すフローチャートである。
まず、本実施の形態の貨幣処理システム1の全体構成について図1および図2を用いて説明する。図1および図2に示すように、貨幣処理システム1は、硬貨釣銭機100と、紙幣釣銭機200と、POSレジスタ300とを備えている。硬貨釣銭機100および紙幣釣銭機200は、それぞれ硬貨や紙幣の入出金処理を行うようになっている。また、図2に示すように、硬貨釣銭機100および紙幣釣銭機200は左右方向に並べて配置される。そして、POSレジスタ300は、硬貨釣銭機100および紙幣釣銭機200の上面に載置される。以下、硬貨釣銭機100および紙幣釣銭機200をまとめて貨幣釣銭機ともいう。
また、図1に示すように、POSレジスタ300は店舗サーバ400に通信接続されている。そして、POSレジスタ300から店舗サーバ400に売上金情報等が送信されるようになっている。また、各種設定情報が、店舗サーバ400からPOSレジスタ300(複数台でも可)に配信されるようになっている。
図1に示すように、硬貨釣銭機100は、上位制御部120および硬貨釣銭機制御部130を有しており、これらの上位制御部120および硬貨釣銭機制御部130は通信接続されている。また、紙幣釣銭機200は、紙幣釣銭機制御部230を有しており、この紙幣釣銭機制御部230は硬貨釣銭機100の上位制御部120に通信接続されている。また、また、POSレジスタ300もPOS制御部330を有しており、硬貨釣銭機100の上位制御部120はPOSレジスタ300のPOS制御部330に通信接続されている。
以下、硬貨釣銭機100、紙幣釣銭機200およびPOSレジスタ300について図1および図2を用いて詳述する。
まず、硬貨釣銭機100の構成について具体的に説明する。図1および図2に示すように、硬貨釣銭機100は、前部上面にタッチパネル等の操作表示部112が設けられた筐体110を備えている。筐体110の前部には硬貨受入部114および硬貨払出部116が設けられている。
硬貨受入部114は、投入された硬貨を検知すると駆動され、受け入れた硬貨を1層1列状態で1枚ずつ機体内に取り込むようになっている。図1に示すように、この硬貨受入部114には、当該硬貨受入部114により機体内に取り込まれた硬貨を搬送する入金搬送部103が接続されている。
図1に示すように、入金搬送部103の途中には、硬貨の識別を行う硬貨識別部101と、分岐部104とがそれぞれ設けられている。分岐部104は、硬貨識別部101による硬貨の識別結果に基づいて、リジェクト硬貨等の、硬貨払出部116から払い出されるべき硬貨を出金搬送部108へ案内(搬送)するようになっている。
一方、正常硬貨等の機体内に収納されるべき硬貨は入金搬送部103により硬貨収納部106へ搬送されるようになっている。硬貨収納部106は硬貨を金種別に収納するようになっている。具体的には、例えば入金搬送部103の上流側から高額順に硬貨が収納される。
出金搬送部108は、硬貨収納部106から繰り出された硬貨を硬貨払出部116へ搬送するようになっている。また、出金搬送部108は、分岐部104から案内されたリジェクト硬貨等を硬貨払出部116へ搬送するようになっている。
次に、紙幣釣銭機200の構成について具体的に説明する。図1および図2に示すように、紙幣釣銭機200は、筐体210と、この筐体210内の略中央部に設けられた環状の周回搬送部203aとを備えている。また、紙幣受入部214、3つの紙幣収納部206、紙幣払出部216、出金リジェクト部204、および紙幣回収カセット207が、周回搬送部203aから外周を取り囲むように配置されている。
また、紙幣釣銭機200の筐体210の内部には、紙幣受入部214、各紙幣収納部206、紙幣払出部216、出金リジェクト部204、および紙幣回収カセット207と、周回搬送部203aとの間をそれぞれ接続する複数の接続搬送部203bが形成されている。また、周回搬送部203aには紙幣識別部201が設けられており、この紙幣識別部201は、当該紙幣識別部201を通過する紙幣の識別を行うようになっている。
また、周回搬送部203aと各接続搬送部203bとの間で紙幣の搬送経路を切り換える経路切換部(図示せず)が、周回搬送部203aに沿って配置されている。
図1および図2に示すように、筐体210の前面には、紙幣受入部214の紙幣受入口214aと、紙幣払出部216の紙幣取出口216aとがそれぞれ設けられている。また、紙幣回収カセット207は筐体210に対して着脱可能に取り付けられ、錠機構が設けられている。
紙幣受入部214は、投入された紙幣を検知すると駆動され、紙幣受入口214aに挿入された入金紙幣を一括で取り込んで、周回搬送部203a側へ1枚ずつ繰り出すようになっている。各紙幣収納部206は、紙幣識別部201の識別結果に基づいて紙幣を金種別に収納する。紙幣払出部216は、各紙幣収納部206から周回搬送部203aに繰り出された紙幣を紙幣取出口216aより機外へ放出するようになっている。
出金リジェクト部204は、紙幣収納部206から繰り出された紙幣のうち、斜行等の搬送異常により紙幣識別部201で識別することができない紙幣を出金リジェクト紙幣として収納する。また、紙幣受入部214から機体内に取り込まれた紙幣のうち、汚損等により紙幣識別部201で識別することができない紙幣は入金リジェクト紙幣として紙幣払出部216に返却されるようになっている。
次に、POSレジスタ300の構成について具体的に説明する。POSレジスタ300は、商品の購入情報を登録するとともに、硬貨釣銭機100や紙幣釣銭機200に対して硬貨や紙幣の入出金処理を行わせるようになっている。
POSレジスタ300のPOS制御部330は、図1に示すように、硬貨釣銭機100の上位制御部120に通信接続されているとともに、店舗サーバ400にも通信接続されている。そして、このPOS制御部330は、硬貨釣銭機100の上位制御部120を介して当該硬貨釣銭機100の硬貨釣銭機制御部130や紙幣釣銭機200の紙幣釣銭機制御部230に指令を送ることにより硬貨釣銭機100や紙幣釣銭機200に対して硬貨や紙幣の入出金処理を行わせるようになっている。また、POS制御部330は、硬貨釣銭機100の硬貨釣銭機制御部130や紙幣釣銭機200の紙幣釣銭機制御部230から、上位制御部120を介して、硬貨釣銭機100や紙幣釣銭機200における硬貨や紙幣の処理状況に係る情報を受け取るようになっている。
操作部304は、操作者が操作することができるようになっており、POS制御部330に対して様々な指令を与えることができるようになっている。また、表示部302は、硬貨釣銭機100や紙幣釣銭機200における硬貨や紙幣の処理状況や、硬貨釣銭機100や紙幣釣銭機200の内部に収納された硬貨や紙幣の在高を表示するようになっている。また、POSレジスタ300には追加の表示部302aが設けられており、様々な情報を表示部302に表示させる代わりに、あるいは表示部302における表示に加えて、追加の表示部302aにおいて表示が行われるようになっていてもよい。また、POSレジスタ300にはカードリーダ336および印字部338が設けられている(図3参照、図1および図2では図示せず)。カードリーダ336は、操作者のIDカードを読み取ることにより操作者のIDや権限等に関する情報を取得するようになっている。また、印字部338は例えばプリンタから構成され、硬貨釣銭機100や紙幣釣銭機200に収納された硬貨や紙幣の在高等の様々な情報を印字するようになっている。
図3に、上述のような構成からなる貨幣処理システム1の制御ブロック図を示す。図3に示すように、硬貨釣銭機100の上位制御部120には、硬貨釣銭機100のインターフェース132、操作表示部112および記憶部134が接続されている。この上位制御部120は、インターフェース132により、紙幣釣銭機200の紙幣釣銭機制御部230やPOSレジスタ300のPOS制御部330に対して信号の送受信を行うようになっている。また、操作者により操作表示部112に入力された指令が当該操作表示部112から上位制御部120に送られるとともに、上位制御部120は操作表示部112に指令を送ることにより当該操作表示部112に様々な情報を表示させるようになっている。より詳細には、操作表示部112には、硬貨釣銭機100や紙幣釣銭機200における硬貨や紙幣の処理状況や、硬貨釣銭機100や紙幣釣銭機200の内部に収納された硬貨や紙幣の在高を表示するようになっている。また、記憶部134には、硬貨釣銭機100や紙幣釣銭機200における硬貨や紙幣の処理状況や、硬貨釣銭機100や紙幣釣銭機200の内部に収納された硬貨や紙幣の在高等の様々な情報が記憶されるようになっている。
硬貨釣銭機100の硬貨釣銭機制御部130には、硬貨受入部114、入金搬送部103、硬貨識別部101、分岐部104、硬貨収納部106、出金搬送部108、硬貨払出部116等がそれぞれ接続されており、硬貨識別部101から硬貨釣銭機制御部130に硬貨の識別結果が送られるとともに、硬貨釣銭機制御部130から硬貨受入部114、入金搬送部103、分岐部104、硬貨収納部106、出金搬送部108、硬貨払出部116等の各々に対して様々な指令が送られるようになっている。
紙幣釣銭機200の紙幣釣銭機制御部230には、インターフェース232、紙幣受入部214、周回搬送部203a、接続搬送部203b、紙幣識別部201、紙幣収納部206、出金リジェクト部204、紙幣払出部216等がそれぞれ接続されており、紙幣識別部201から紙幣釣銭機制御部230に紙幣の識別結果が送られるとともに、紙幣釣銭機制御部230から紙幣受入部214、周回搬送部203a、接続搬送部203b、紙幣収納部206、出金リジェクト部204、紙幣払出部216等の各々に対して様々な指令が送られるようになっている。また、紙幣釣銭機200の紙幣釣銭機制御部230は、インターフェース232により、硬貨釣銭機100の上位制御部120に対して信号の送受信を行うようになっている。
また、POSレジスタ300のPOS制御部330には、表示部302、操作部304、記憶部334、インターフェース332、カードリーダ336、印字部338等がそれぞれ接続されており、操作者により操作部304に入力された指令が当該操作部304からPOS制御部330に送られたり、カードリーダ336により読み取られた操作者のIDカードに係る情報がPOS制御部330に送られたりするようになっている。また、POS制御部330は表示部302に指令を送ることにより当該表示部302に様々な情報を表示させるようになっている。なお、POS制御部330は、表示部302に様々な情報を表示させる代わりに、あるいは表示部302における表示に加えて、追加の表示部302aにおいて表示を行わせるようになっていてもよい。また、POS制御部330は印字部338に指令を送ることにより当該印字部338により様々な情報を印字させるようになっている。また、POSレジスタ300のPOS制御部330は、インターフェース332により、硬貨釣銭機100の上位制御部120や店舗サーバ400に対して信号の送受信を行うようになっている。また、記憶部334には、硬貨釣銭機100や紙幣釣銭機200から送信された、硬貨釣銭機100や紙幣釣銭機200における硬貨や紙幣の処理状況や、硬貨釣銭機100や紙幣釣銭機200の内部に収納された硬貨や紙幣の在高等の様々な情報が記憶されるようになっている。
次に、このような構成からなる貨幣処理システム1の動作について説明する。なお、以下に示す貨幣処理システム1の動作は、硬貨釣銭機100の硬貨釣銭機制御部130や紙幣釣銭機200の紙幣釣銭機制御部230が硬貨釣銭機100や紙幣釣銭機200の各構成要素をそれぞれ制御することにより行われる。
まず、硬貨釣銭機100に硬貨を入金する場合の動作について以下に説明する。硬貨釣銭機100の硬貨受入部114に硬貨が受け入れられると、硬貨受入部114は、受け入れた硬貨を1層1列状態で1枚ずつ機体内に取り込み、取り込まれた硬貨は入金搬送部103により搬送される。そして、入金搬送部103により搬送される硬貨は硬貨識別部101により硬貨の識別が行われる。硬貨識別部101による硬貨の識別結果に基づいて、リジェクト硬貨等の、硬貨払出部116から払い出されるべき硬貨であると識別された硬貨は、分岐部104により出金搬送部108へ案内(搬送)され、出金搬送部108により硬貨払出部116に搬送される。一方、硬貨識別部101による硬貨の識別結果に基づいて、正常硬貨等の機体内に収納されるべき硬貨であると識別された硬貨は、入金搬送部103により硬貨収納部106へ搬送され、当該硬貨収納部106に金種別に収納される。
また、硬貨釣銭機100から釣銭としての硬貨を出金する場合には、操作者は操作表示部112により出金されるべき硬貨の金種別の枚数や合計金額等を入力する。あるいは、POSレジスタ300のPOS制御部330から出金指令が上位制御部120を介して硬貨釣銭機制御部130に送られることにより、硬貨釣銭機100から釣銭としての硬貨が出金されるようになる。硬貨釣銭機制御部130に対して出金指令が与えられると、硬貨収納部106に収納されている硬貨が当該硬貨収納部106から繰り出され、繰り出された硬貨は出金搬送部108により硬貨払出部116へ搬送される。このようにして、操作者は、硬貨払出部116から硬貨を取り出すことができるようになる。
次に、紙幣釣銭機200に紙幣を入金する場合の動作について以下に説明する。紙幣受入部214の紙幣受入口214aに紙幣が挿入されると、紙幣受入部214は、紙幣受入口214aに挿入された入金紙幣を一括で取り込んで、周回搬送部203a側へ1枚ずつ繰り出す。そして、周回搬送部203a側へ繰り出された紙幣は当該周回搬送部203aにより搬送され、この際に紙幣識別部201により紙幣の識別が行われる。紙幣識別部201により正常な紙幣であると識別された紙幣は、各紙幣収納部206に金種別に収納される。一方、紙幣受入部214から取り込まれた紙幣のうち、汚損や搬送異常等により紙幣識別部201で識別することができない紙幣は入金リジェクト紙幣として紙幣払出部216に返却される。
また、当該紙幣釣銭機200から釣銭としての紙幣を出金する場合には、操作者は操作表示部112により出金されるべき紙幣の金種別の枚数や合計金額等を入力する。あるいは、POSレジスタ300のPOS制御部330から出金指令が上位制御部120を介して紙幣釣銭機制御部230に送られることにより、紙幣釣銭機200から釣銭としての紙幣が出金されるようになる。紙幣釣銭機制御部230に対して出金指令が与えられると、紙幣収納部206に収納されている紙幣が当該紙幣収納部206から繰り出され、繰り出された紙幣は紙幣識別部201により識別された後、周回搬送部203aにより紙幣払出部216に送られる。そして、紙幣払出部216は、紙幣収納部206から送られた紙幣を紙幣取出口216aより筐体210外へ放出する。このようにして、操作者は、紙幣釣銭機200から出金された紙幣を得ることができるようになる。なお、紙幣収納部206から繰り出された紙幣のうち、斜行等の搬送異常により紙幣識別部201で識別することができない紙幣は、出金リジェクト紙幣として出金リジェクト部204に収納される。
本実施の形態では、貨幣処理システム1は、通常モード、省電力モードおよび電源オフモードからなる3つの処理モードが切換可能となっている。これらの3つの処理モードについて図4を用いて説明する。
貨幣処理システム1において通常モードが実行されているときには、硬貨釣銭機100や紙幣釣銭機200が上述した硬貨や紙幣の入出金処理を行うようになっている。このような通常モードが実行されているときには、図4(a)に示すように、POSレジスタ300のPOS制御部330と、硬貨釣銭機100の上位制御部120とが通信可能となる。また、通常モードが実行されているときには、硬貨釣銭機100の硬貨釣銭機制御部130や紙幣釣銭機200の紙幣釣銭機制御部230が起動した状態となり、上位制御部120と、硬貨釣銭機制御部130や紙幣釣銭機制御部230とが通信可能となる。
貨幣処理システム1において省電力モードが実行されているときには、図4(b)に示すように、POSレジスタ300のPOS制御部330と、硬貨釣銭機100の上位制御部120とが通信可能となる。しかしながら、省電力モードが実行されているときには、硬貨釣銭機100の硬貨釣銭機制御部130や紙幣釣銭機200の紙幣釣銭機制御部230が停止した状態となり、硬貨釣銭機100や紙幣釣銭機200は硬貨や紙幣の入出金処理を行うことができないようになる。また、この際に、上位制御部120は、硬貨釣銭機100や紙幣釣銭機200においてユニット開となったか否かを検出するために、硬貨釣銭機制御部130や紙幣釣銭機制御部230を監視するようになる。ここで、「硬貨釣銭機100や紙幣釣銭機200においてユニット開とする」とは、硬貨釣銭機100の筐体110から、各硬貨収納部106を含む内部ユニットを手前側に引き出したり、紙幣釣銭機200の筐体210から紙幣回収カセット207を手前側に引き出したりするような処理のことをいう。
貨幣処理システム1において電源オフモードが実行されているときには、図4(c)に示すように、POSレジスタ300のPOS制御部330と、硬貨釣銭機100の上位制御部120との間の通信が遮断される。また、電源オフモードが実行されているときには、省電力モードが実行されているときと同様に、硬貨釣銭機100の硬貨釣銭機制御部130や紙幣釣銭機200の紙幣釣銭機制御部230が停止した状態となり、硬貨釣銭機100や紙幣釣銭機200は硬貨や紙幣の入出金処理を行うことができないようになる。また、この際に、上位制御部120は、硬貨釣銭機100や紙幣釣銭機200においてユニット開となったか否かを検出するために、硬貨釣銭機制御部130や紙幣釣銭機制御部230を監視するようになる。
図4(a)に示すような通常モードと図4(b)に示すような省電力モードとを比較すると、省電力モードでは、硬貨釣銭機100の硬貨釣銭機制御部130や紙幣釣銭機200の紙幣釣銭機制御部230が停止することにより、硬貨釣銭機100や紙幣釣銭機200が停止するようになるので、その分の消費電力が削減されるようになる。このため、省電力モードでは、実質的に電源オフモードと同程度の消費電力となる。
また、省電力モードが実行されているときに、POSレジスタ300のPOS制御部330から見た場合には、このPOS制御部330と上位制御部120とは通信可能の状態となるので、POS制御部330から見て硬貨釣銭機100や紙幣釣銭機200は通常モードにおける待機中の状態と同様の状態となり、これらの硬貨釣銭機100や紙幣釣銭機200における在高等の情報は上位制御部120とPOS制御部330との間で送受信を行うことができるようになる。
また、貨幣処理システム1が通常モードまたは省電力モードとなっているときに、硬貨釣銭機100や紙幣釣銭機200に設けられた電源ボタン(図示せず)をオフとすることにより、図4(c)に示すような電源オフモードに移行するようになっている。この場合には、硬貨釣銭機100の硬貨釣銭機制御部130や紙幣釣銭機200の紙幣釣銭機制御部230が停止することにより、硬貨釣銭機100や紙幣釣銭機200が停止するようになる。一方、貨幣処理システム1が電源オフモードとなっているときに、硬貨釣銭機100や紙幣釣銭機200に設けられた電源ボタンをオンとすることにより、図4(a)に示すような通常モードに移行するようになっている。
次に、通常モードと省電力モードとの間の切換動作について図5のフローチャートを用いて説明する。図5に示すように、通常モードが実行されているときに、貨幣釣銭機が待機中の状態となり予め設定された所定の時間(例えば、15分)動作しなかったときには(STEP1)、省電力モードに移行する。この際に、硬貨釣銭機100の硬貨釣銭機制御部130や紙幣釣銭機200の紙幣釣銭機制御部230が停止することにより、硬貨釣銭機100や紙幣釣銭機200が停止するようになる(STEP2)。
省電力モードが実行されているときに、硬貨釣銭機100や紙幣釣銭機200においてユニット開となった場合(STEP3の「YES」)、動作系の指示(コマンド)がPOSレジスタ300のPOS制御部330から上位制御部120に送られた場合(STEP4の「YES」)、あるいは操作表示部112で何らかのボタン操作が行われた場合(STEP5の「YES」)には、通常モードに移行する。この際に、硬貨釣銭機100の硬貨釣銭機制御部130や紙幣釣銭機200の紙幣釣銭機制御部230が起動することにより、硬貨釣銭機100や紙幣釣銭機200が起動するようになる(STEP6)。
なお、STEP4における「動作系の指示」とは、硬貨釣銭機100や紙幣釣銭機200を動作させる指示のことをいい、具体的には、例えば、指定された金額の硬貨や紙幣を出金する処理、各金種について指定された枚数の硬貨や紙幣を出金する処理、硬貨釣銭機100や紙幣釣銭機200から硬貨や紙幣を回収する処理、預かり金の計数開始処理、硬貨釣銭機100や紙幣釣銭機200へ硬貨や紙幣を補充する処理等に関する指示のことをいう。なお、POSレジスタ300のPOS制御部330から上位制御部120に指示が送られた場合でも、このような指示が硬貨釣銭機100や紙幣釣銭機200の動作を伴わないようなものである場合には省電力モードが維持されるようになる。具体的にはPOSレジスタ300のPOS制御部330から上位制御部120に送られた指示が例えばデータ上での精査処理、記憶部134に記憶された情報のクリアや読み取り、データ上での締め処理等である場合には、省電力モードが維持されるようになる。
また、省電力モードが実行されているときに、硬貨釣銭機100や紙幣釣銭機200に硬貨や紙幣が投入されたときに、省電力モードから通常モードに復帰するようになっていてもよい。
本実施の形態による貨幣処理システム1では、省電力モードから通常モードに移行する際にかかる時間は、電源オフモードから通常モードに移行する際にかかる時間よりも十分短くなった。具体的には、電源オフモードから通常モードに移行する際にかかる時間は例えば4.5秒であったのに対し、省電力モードから通常モードに移行する際にかかる時間は例えば0.4秒であった。理由としては、省電力モードが実行されているときでも、POS制御部330と上位制御部120とは通信可能となっているので、これらのPOS制御部330と上位制御部120との間の通信状態を変更する必要がないからである。また、省電力モードから通常モードに移行する際に、硬貨受入部114、紙幣受入部214、紙幣払出部216および各搬送機構等について、メカ的なイニシャル処理を行わないことも、省電力モードから通常モードに移行する際にかかる時間の短縮に寄与している。言い換えると、電源オフモードから通常モードに移行する際には、これらの硬貨受入部114、紙幣受入部214、紙幣払出部216および各搬送機構等の各部位の状態がわからないため、メカ的なイニシャル処理を行って状態を確認した上で通常モードに入るため、電源オフモードから通常モードに移行する際にかかる時間が長くなってしまう。このように、省電力モードが実行されているときには、電源オフモードが実行されているときと比較して、通常モードへの復帰を迅速に行うことができる。硬貨釣銭機100および紙幣釣銭機200の両方が省電力モードにある状態で、一方の釣銭機について、通常モードへの復帰条件(動力系の指示を受ける、貨幣が投入される等)が成立した場合、当該釣銭機だけでなく、他方の釣銭機も通常モードに復帰するように制御される。
本実施の形態による貨幣処理システム1では、図2に示すように、硬貨釣銭機100における硬貨受入部114の手前側の位置には、その頂点が当該硬貨受入部114を向くような三角形のLEDランプ150が設けられている。また、硬貨釣銭機100における硬貨払出部116の上方の位置には、その頂点が当該硬貨払出部116を向くような三角形のLEDランプ152が設けられている。また、紙幣釣銭機200における紙幣受入部214の紙幣受入口214aの下面の位置には、その頂点が当該紙幣受入口214aを向くような三角形のLEDランプ250が設けられている。また、紙幣釣銭機200における紙幣払出部216の紙幣取出口216aの上方の位置には、その頂点が当該紙幣取出口216aを向くような三角形のLEDランプ252が設けられている。
これらのLEDランプ150、152、250、252について、通常モードにおいて硬貨や紙幣の入金処理や出金処理をそれぞれ正常に行うことができるような状態であるときには、対応するLEDランプが青色に点灯するようになっている。より詳細には、通常モードにおいて硬貨や紙幣の入金処理を行う際に、LEDランプ150、250が点灯するようになっている。一方、通常モードにおいて硬貨や紙幣の出金処理を行う際に、LEDランプ152、252が点灯するようになっている。一方、これらのLEDランプ150、152、250、252について、硬貨釣銭機100や紙幣釣銭機200において何らかのトラブルが発生した場合には、対応するLEDランプが赤色に点灯するようになっている。例えば、紙幣釣銭機200に対して紙幣の入金処理を行う際に、紙幣受入部214に紙幣等が既に存在していた場合には、LEDランプ250が赤色に点灯するようになっている。また、紙幣払出部216に紙幣が払い出されたのにもかかわらず、操作者が紙幣払出部216の紙幣取出口216aから紙幣を所定の時間取り出さなかった場合には、LEDランプ252が赤色に点灯するようになっている。また、入金リジェクト硬貨や入金リジェクト紙幣が硬貨払出部116や紙幣払出部216に返却されたときには、LEDランプ250、252が赤色に点灯するようになっている。
上述したように、必要時に点灯して、操作者に対して操作を促す方向を表現するようなLEDランプ150、152、250、252が設けられていることにより、操作者は入金処理を行う際にどこに硬貨や紙幣を投入すればいいか、あるいは出金処理を行う際にどこから硬貨や紙幣を取り出せばいいかをすぐに分かるようになる。また、硬貨釣銭機100や紙幣釣銭機200において何らかのトラブルが発生した場合には、通常の入出金処理とは異なる色でLEDランプ150、152、250、252が点灯(点滅でもよい)することにより、操作者はトラブルの発生をすぐに認識することができるようになる。
また、本実施の形態による貨幣処理システム1では、操作表示部112は、硬貨釣銭機100のみに設けられ、紙幣釣銭機200には設けられていない。そして、操作表示部112を操作することによって、上位制御部120から硬貨釣銭機制御部130および紙幣釣銭機制御部230の各々に指令が送られることにより、硬貨釣銭機100および紙幣釣銭機200の両方を動作させることができるようになる。また、前述したように、操作表示部112には、硬貨釣銭機100および紙幣釣銭機200の両方に関する情報が表示されるようになる。このように、操作者は操作表示部112の1箇所で硬貨釣銭機100および紙幣釣銭機200の両方を動作させることができ、また、硬貨釣銭機100および紙幣釣銭機200の両方に関する情報が操作表示部112の1箇所で表示されるので、操作者が硬貨釣銭機100および紙幣釣銭機200という2台連結された釣銭機を操作するにあたり迷うことがなくなり、操作性が向上するとともに各釣銭機に操作表示部を設ける場合と比較してコストを低減することができる。とりわけ、硬貨釣銭機100および紙幣釣銭機200をPOSレジスタ300の下方に設置した状態では、これらの硬貨釣銭機100および紙幣釣銭機200の大部分はPOSレジスタ300により隠れてしまい、外部から操作者がアクセス(操作や視認)できる範囲が限定されてしまうことから、硬貨釣銭機100の前方上部のみに操作表示部112を設けるという構成は非常に有効となる。また、紙幣釣銭機200における前方上部には、ペンや印鑑等の小物を置くことができる凹部254が形成されている。
以上のように本実施の形態の貨幣釣銭機および貨幣処理システム1によれば、硬貨釣銭機制御部130や紙幣釣銭機制御部230が停止されるとともにPOSレジスタ300のPOS制御部330と上位制御部120とが通信可能となる省電力モード(図4(b)参照)と、硬貨釣銭機制御部130や紙幣釣銭機制御部230が停止されるとともにPOSレジスタ300のPOS制御部330と上位制御部120との間の通信が遮断される電源オフモード(図4(c)参照)とからなる2つの処理モードが切換可能となっている。このため、省電力モードを実行することにより、消費電力の低減を電源オフモードと同程度に行うことができるとともに、貨幣釣銭機が貨幣の入出金処理を行う通常モードへの復帰を迅速に行うことができる。より詳細には、省電力モードから通常モードに移行する際にかかる時間は、電源オフモードから通常モードに移行する際にかかる時間よりも十分短いため、貨幣釣銭機を使用しないときには電源オフモードではなく省電力モードとしておくことにより、貨幣釣銭機を使用する必要が生じたときに迅速に通常モードへ復帰させることができるようになる。
本実施の形態の貨幣釣銭機および貨幣処理システム1においては、省電力モードが実行されているときに、POSレジスタ300のPOS制御部330から、貨幣釣銭機を動作させる指示が上位制御部120に送信されたときに(図5のフローチャートにおけるSTEP4の「YES」)、省電力モードから通常モードに復帰するようになっている。なお、省電力モードが実行されているときに、POSレジスタ300のPOS制御部330から、貨幣釣銭機の動作を伴わない指示が上位制御部120に送信されたときには、省電力モードは維持されるようになっている。
また、本実施の形態の貨幣釣銭機および貨幣処理システム1においては、省電力モードが実行されているときに、貨幣釣銭機が操作者によって操作されたときに、省電力モードから通常モードに復帰するようになっている。例えば、図5のフローチャートにおけるSTEP3の「YES」に示すように、硬貨釣銭機100の筐体110から、各硬貨収納部106を含む内部ユニットを手前側に引き出したり、紙幣釣銭機200の筐体210から紙幣回収カセット207を手前側に引き出したりすることにより、硬貨釣銭機100や紙幣釣銭機200においてユニット開となった場合には、省電力モードから通常モードに復帰するようになっている。
また、本実施の形態の貨幣釣銭機および貨幣処理システム1においては、前述したように、省電力モードが実行されているときに、貨幣釣銭機に硬貨や紙幣が投入されたときに、省電力モードから通常モードに復帰するようになっていてもよい。
また、本実施の形態の貨幣釣銭機および貨幣処理システム1においては、通常モードが実行されているときに、貨幣釣銭機が予め設定された所定の時間動作しなかったときに、通常モードから省電力モードに切り換えられるようになっている(図5のフローチャートにおけるSTEP1の「YES」)。
なお、本実施の形態による貨幣釣銭機やこの貨幣釣銭機が設けられた貨幣処理システム1は、上記の態様に限定されるものではなく、様々の変更を加えることができる。
例えば、硬貨釣銭機100ではなく紙幣釣銭機200が上位制御部120を備えており、この紙幣釣銭機200が親機として機能し、硬貨釣銭機100が子機として紙幣釣銭機200に接続されるようになっていてもよい。また、硬貨釣銭機100および紙幣釣銭機200のそれぞれが上位制御部120を備えており、これらの硬貨釣銭機100および紙幣釣銭機200が並列的にPOSレジスタ300に接続されるようになっていてもよい。また、硬貨釣銭機100および紙幣釣銭機200が一体的に構成される釣銭機がPOSレジスタ300に接続されるようになっていてもよい。また、硬貨釣銭機100あるいは紙幣釣銭機200の一方のみがPOSレジスタ300に接続され、当該POSレジスタ300により運用され、他方の釣銭機はPOSレジスタ300および一方の釣銭機から独立して運用されるようになっていてもよい。
また、通常モードから省電力モードに切り換えられるような条件は、上述したものに限定されることはない。例えば、操作者が操作表示部112における特定のボタンを押下したり、複数のボタンを同時に押下したりすることにより通常モードから省電力モードに切り換えられるようになっていてもよい。
また、省電力モードから通常モードに復帰するような条件は、上述したものに限定されることはない。例えば、店舗での営業開始時等の特定の時刻に省電力モードから通常モードに自動的に復帰するようになっていてもよい。