JP5863268B2 - 光ファイバケーブル、光ファイバケーブルの分岐方法 - Google Patents

光ファイバケーブル、光ファイバケーブルの分岐方法 Download PDF

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本発明は、分岐作業性に優れる光ファイバケーブルおよび光ファイバケーブルの分岐方法に関するものである。
従来、光ファイバケーブルは、光ファイバ心線が外被で被覆されたものが用いられている。使用時には、このような光ファイバケーブルが分岐され、複数の住居等に配線される。
このような、光ファイバケーブルとしては、例えば、光テープ心線を複数枚設置可能な溝が複数外周に形成されるスロットロッドを用い、スロットロッドの中心にテンションメンバを配置したスロット型の光ファイバケーブルがある(特許文献1)。
また、複数の光ファイバ心線を収納したルースチューブを複数配置し、中心にテンションメンバを配置したルース型の光ファイバケーブルがある(特許文献2)。
特開平8−262294号公報 特開2009−86637号公報
しかしながら、従来の略円断面形状の光ファイバケーブルに対し、内部の光ファイバ心線を分岐させる場合には、外部のシースを除去する必要がある。シースの除去は、ニッパやカッタ等が用いられるが、作業が危険であり、また、内部の心線を傷つける恐れがある。
一方、略円断面形状の光ファイバケーブルのシースを除去する工具として、外周から周方向に所定の深さでシースに刃を入れ、シースを切断するものがある(例えば古河電気工業社製「Fineシースストリッパ」(以下単に「シースストリッパ」と称する))。このようなシースストリッパを光ファイバケーブルの外周にセットし、光ファイバケーブルの外周を周方向に一周させることで、シースに周方向の切り込みを入れることができるものである。したがって、作業が安全である。
しかしながら、特許文献1、2に示すような、中心にテンションメンバを有するケーブルに対して「Fineシースストリッパ」のような冶具を用いると、刃の切れ込み代を知ることが困難である。また、シース断面の一部にテンションメンバなどが配置される場合(セントラルコアケーブル)には、周方向にわたって切り込みを入れることができない。このため、内部から光ファイバ心線を取り出す際には、前述のニッパやカッタ等を用いる必要がある。
本発明は、このような問題に鑑みてなされたもので、分岐作業が容易な光ファイバケーブル等を提供することを目的とする。
前述した目的を達成するために第1の発明は、光ファイバ心線と、前記光ファイバ心線を中心に保護する保護層と、前記保護層に埋設されるテンションメンバと、前記保護層の外周に前記保護層と同心円状に形成されるシースと、を具備し、前記保護層の一部には長手方向に沿って前記保護層を前記保護層の軸に平行な面で切断して形成される如き形状の開口部が形成され、断面において前記テンションメンバの外周部に外接し、前記保護層と同心円である外接円を想定すると、前記開口部以外の部位における前記外接円から前記シースの外周面までの厚みよりも、前記開口部での前記シースの厚みが厚いことを特徴とする光ファイバケーブルである。前記保護層の前記開口部では、前記外接円の内側まで前記シースが設けられてもよい。
前記開口部には、前記開口部を塞ぐように蓋部材が長手方向に沿って設けられ、前記蓋部材は前記光ファイバ心線を導出する複数個の孔が配置されてもよい。
前記保護層の外周には、前記シースを構成する樹脂の融点以下の融点を有する樹脂テープが巻きつけられ、前記樹脂テープと前記シースとが融着して一体化されてもよい。前記保護層は、前記シースを構成する樹脂の融点よりも高い融点の樹脂で構成されてもよい。
前記保護層の前記開口部を除く外面の一部に、断面において凹部が形成されてもよい。
第1の発明によれば、保護層の内部にテンションメンバが埋設されているため、外周から前述のシースストリッパを用いて切断を行っても、テンションメンバの深さまでしかシース外面から周方向の切り込みを入れることができず、保護層内部の光ファイバ心線を傷つけることがない。また、保護層には開口部が形成されているため、保護層の開口部から、容易に内部の光ファイ心線を取り出すことができる。
また、開口部に蓋部材が設けられることで、シースの成形時等に内部の光ファイバ心線が外部に露出することがない。また、シースが保護層の内部に所定以上深く入り込むことがない。
また、保護層の外周に樹脂テープが設けられることで、光ファイバケーブルの製造時に、保護層から光ファイバ心線が飛び出すことがない。また、樹脂テープがシースと融着することで、解体作業性にも優れる。
また、保護層を構成する樹脂の融点がシース融点よりも高ければ、シースの押出被覆の際に、シースと保護層とが融着することがなく、シースの剥離が容易である。
また、保護層の開口部を除く外面の一部(例えば開口部から離れた側)に、断面において凹部が形成されれば、保護層の開口部側にのみ応力が集中することがなく、変形時の応力を分散させることができる。
第2の発明は、第1の発明にかかる光ファイバケーブルを用い、前記光ファイバケーブルの外周側から前記シースの周方向に刃の先端が前記テンションメンバに接触する深さまで切れ込みを入れ、当該切り込み深さと略同一切り込み深さとなるように、前記シースを前記光ファイバの長手方向に沿って切れ込みを入れることで、前記保護層を露出させ、前記開口部から内部の光ファイバ心線を取り出して分岐させることを特徴とする光ファイバケーブルの分岐方法である。
第2の発明によれば、保護層の内部側に刃が入ることがないため、内部の光ファイバ心線が刃で損傷を受けることがなく、容易に分岐を行うことができる。また、内部の光ファイバ心線を開口部より容易に取り出すことができる。
本発明によれば、保護層にテンションメンバ等が埋設される場合であっても分岐作業が容易な光ファイバケーブル等を提供することができる。
光ファイバケーブル1の断面図。 光ファイバケーブル1に刃19を入れた状態を示す図。 (a)は切れ込み13a、13bが設けられた状態を示す図、(b)はシース7を除去した状態を示す図。 (a)は保護層11に孔21を設けて分岐光ファイバ3を取り出した状態を示す図、(b)は保護部材23を設けた状態を示す図。 (a)は光ファイバケーブル1aの断面図、(b)は光ファイバケーブル1bの断面図。 光ファイバケーブル30の断面図。 光ファイバケーブル30のシース7を除去した状態を示す図。 (a)は光ファイバケーブル30aの断面図、(b)は光ファイバケーブル30bの断面図。 光ファイバケーブル30cの断面図。 (a)は保護層11の外周に樹脂テープ27を巻き付けた状態を示す図、(b)は保護層11上にシース7を被覆した状態を示す図、(c)はシースの一部を除去した状態を示す図。 (a)は光ファイバケーブル40aの断面図、(b)は光ファイバケーブル40bの断面図。 光ファイバケーブル50の断面図。 切れ込み13bの部位の他の実施形態を示す図。
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。図1は、光ファイバケーブル1の断面図である。光ファイバケーブル1は、光ファイバ心線3、開口部5、シース7、テンションメンバ9、保護層11等により構成される。
光ファイバケーブル1の断面略中央位置には、複数の光ファイバ心線3が配置される。光ファイバ心線3は、単心ファイバや、単心ファイバをバンドルしたユニット等であってもよく、テープ心線であっても良い。また、後述する保護層内部に単心ファイバやテープ心線等の光ファイバ心線を入れる際に、さらにフィルムやテープ部材(不織布、PET等のテープ状のもの)によって光ファイバ心線全体を縦添え巻きして一体化してもよい。その他に、所定間隔でUV材等により光ファイバ心線3を固定してもよく、また、吸水性の介在や吸水パウダーを混入させてもよく、さらに、テープ部材自体を吸水テープ部材とすることもできる。
なお、光ファイバ心線3の外周には必要に応じて、ポリプロピレンヤーンなどの繊維やUV樹脂等で構成される光ファイバ保持部を設けてもよい。
光ファイバ心線3の外周には保護層11が設けられる。保護層11は例えば高密度ポリエチレン等の樹脂製である。保護層11の内部にはテンションメンバ9が埋設される。テンションメンバ9は、光ファイバケーブル1の張力を受け持つ部位である。テンションメンバ9としては、例えば鋼線、モノフィラメント、アラミド繊維等による繊維補強プラスチック等が使用できる。また、テンションメンバ9は、保護層11およびシース7に対して十分に硬い部材である。
保護層11の一部には開口部5が設けられる。したがって、略円筒形の保護層11は、開口部5を介して内部と外部とが連通する。
保護層11の外周には、シース7が設けられる。シース7としては、例えば、ポリエチレン等の樹脂が使用できる。すなわち、シース7によって、保護層11全体が被覆されるとともに、開口部5が塞がれる。なお、断面において、保護層11(開口部5がないとした場合の円形状)とシース7は、同心円状に形成される。
また、開口部5の部位(断面において保護層11の中心と開口部5の両縁部とを結ぶ線で囲まれる範囲内)におけるシース7の径方向の厚みは、開口部5以外におけるシース7の径方向の厚みよりも厚くなる。なお、シース7の内面形状は、図示した例に限られない。例えば、シース7の内面が完全にフラットでなくてもよく、上記の条件を具備すれば、開口部5近傍でシース7の一部に凹部または凸部が形成されてもよい。
次に、本発明にかかる光ファイバケーブル1を用いた分岐方法について説明する。まず、図2に示すように、光ファイバケーブル1の外周に工具17により切り込みを入れる。工具17は、前述したシースストリッパを用いることができる。すなわち、工具17は、刃19の出代を調整可能であるとともに、所定量の刃の出代を保持したまま、シース7の外周に対して周方向に容易に当該刃の出代に応じた深さの切り込みを入れることができる。
図2は、刃19の出代をBとしてシース7の外周を一周させることで(図中矢印A方向)、シース7に所定深さ(B)の切り込みを入れる例を示す。なお、切り込み深さの設定は、以下のように行う。まず、工具17からわずかに刃19を出して、シース7の外周に切り込みを入れる。全周に対して切り込みが入ったら、刃19をさらに出して再度シース7全周に切り込みを入れる。以上の作業を、刃19の先端がテンションメンバ9に接触するまで繰り返す。
なお、テンションメンバ9の位置を外部より視認可能なように、シース7の表面にマーク部を形成してもよい。この場合、マーク部の位置でテンションメンバ9に刃19の先端が接触するように刃の出代を調整した後、全周に渡って切り込みを入れてもよい。いずれにしても、刃19の先端がテンションメンバ9に接触すると、それ以上深くには刃19が入らない。このため、切り込み深さBは、概ね、テンションメンバ9の配置深さとなる。
刃19の先端がテンションメンバ9に接触すると、それ以上深くには刃19が入らない。このため、切り込み深さBは、概ね、テンションメンバ9の配置深さとなる。したがって、この際に形成される切れ込み13aの最深部が、テンションメンバ外接円15となる。すなわち、光ファイバケーブル1の中心に対して、テンションメンバ9を包括し、テンションメンバ9の最外周部に外接する外接円がテンションメンバ外接円15となる。なお、開口部5の部位においては、テンションメンバ外接円15よりも内側にシース7が設けられる。したがって、刃19で切れ込み13aを形成しても、刃19が内部の光ファイバ心線3と接触することはない。
図3(a)は、前述の方法でシース7の外周に周方向の切り込み13aを入れた後、さらに切れ込み13bを入れた状態を示す図である。切れ込み13aは、例えば、分岐作業を行う範囲の両端に2箇所に設けてもよい。
切れ込み13bは、前述した切れ込み13aを形成する際に用いた工具17をそのまま用いて形成する。すなわち、切れ込み13bの切れ込み深さは、テンションメンバ9の配置深さであり、図2における深さBとほぼ一致する。
光ファイバケーブル1の両側部のそれぞれに切れ込み13bを設けることで、図3(b)に示すように、シース7を切除することができる。ここで、シース7をより簡易に除去するためには、シース7と保護層11とが融着していないことが望ましい。例えば、保護層11を構成する材質として、シース7よりも融点の高いものを選択すればよい。また、保護層11とシース7の間に、剥離用のフィルムを設けてもよい。
なお、切れ込み13a、13bを形成すると、図中下方のシース7は容易に除去することができるが、上方(開口部5側)のシース7の一部(図2のテンションメンバ外接円15よりも内側のシース7)はつながった状態となる。しかし、シース7のつながった部分は、全体からするとわずかであり、容易に破断させることができる。
シース7を除去することで、開口部5が露出する。したがって、開口部5から、内部の光ファイバ心線3を取り出すことができ、光ファイバ心線を分岐させることができる。
なお、シース7を完全に切除しなくても、切れ込み13aを一か所として、シース7を剥離させてもよい。この場合は、上方のシース7の一方の側のみを破断させて、シース7を折り曲げて開口部5を露出させればよい。
図4(a)は、内部の光ファイバ心線3を取り出した状態を示す図である。図4(a)に示すように、例えば、シース7の一部に孔21が設けられる。光ファイバ心線3を取り出し後、孔21が形成されたシース7が、再度保護層11の外部に戻される。この際、光ファイバ心線3は孔21から外部に取り出される。さらに、切れ込み13a、13b、孔21等の防水加工を施すことにより、光ファイバの分岐が完了する。
また、図4(b)に示すように、シース7に代えて、分岐部を保護部材23で被覆してもよい。この場合には、保護部材23の一部から内部の光ファイバ心線3を取り出せるようにスリットや隙間を形成すればよい。
以上説明したように、本実施の形態によれば、内部の光ファイバ心線3を傷つけることなく、容易に光ファイバケーブル1に対して分岐を行うことができる。この際、保護層11にあらかじめ開口部5が設けられているため、シース7を除去した後、保護層11内部から光ファイバ心線を取り出すことが容易である。
また、開口部5においては、テンションメンバ外接円15よりも内側にシース7が形成されるため、工具17を用いて切れ込み13aを形成する際に、刃19が内部の光ファイバ心線3と接触することがない。
次に、他の実施の形態について説明する。なお、以下の実施の形態において、図1に示した光ファイバケーブル1と同様の機能を奏する構成については、図1と同一の符号を付し、重複した説明を省略する。
図5(a)は、光ファイバケーブル1aを示す断面図である。光ファイバケーブル1aは、光ファイバケーブル1に対し、開口部7におけるシース7の内面形状が異なる。この場合でも、開口部5において、テンションメンバ外接円15よりも内側にシース7が設けられれば、シース7の剥離の際(切れ込み13a形成時)にも、内部の光ファイバ心線3が刃と接触することがない。
また、図5(b)は、光ファイバケーブル1bを示す断面図である。光ファイバケーブル1bは、光ファイバケーブル1に対して、開口部5の形状が異なる。光ファイバケーブル1bでは、断面において保護層11の一部が直線的に切除された形状ではなく、上方に向けて直線および拡径するようなテーパ形状で形成される。
このように、本発明では、開口部5の形状はいずれのものでもよい。例えば、開口部が外方に向かうにつれて幅狭となるように(図5(b)とは逆の)テーパ形状を形成してもよく、テーパを設けずに、直線のみで形成してもよい。但し、いずれの開口部形状であっても、開口部において、テンションメンバ外接円15よりも内側にシース7が設けられる必要がある。すなわち、保護層11の内部空間が、テンションメンバ外接円15の外部に露出する部位が形成されなければ良い。
光ファイバケーブル1a、1bも光ファイバケーブル1と同様の効果を得ることができる。なお、断面においてテンションメンバ外接円15よりも内側に形成されるシース7の断面積が小さくなることで、前述した、シース7の分離作業が容易となる。
図6は、光ファイバケーブル30を示す断面図である。光ファイバケーブル1cは、光ファイバケーブル1に対して、蓋部材31が設けられる点で異なる。
蓋部材31は、保護層11の開口部5を塞ぐものである。蓋部材31としては、たとえば不織布やPETなどの樹脂材を縦添えして用いることができる。また、蓋部材31は、保護層11の両側の外周面に渡って形成される必要はなく、開口部5を塞ぐことができれば設置範囲は図示した例に限られない。また、蓋部材31は、シース7の被覆時に、シース7と融着しないもの(例えば融点がシース7よりも高い材質や、相溶性のないもの)を使用することが望ましい。または、蓋部材31の外周に、剥離用のフィルムを設けてもよい。
次に、光ファイバケーブル30を用いた分岐方法について説明する。図7に示すように、前述と同様の方法で、シース7を除去する。シース7を除去することで、蓋部材31が露出する。蓋部材31には、あらかじめ孔33が所定間隔で配置されている。したがって、蓋部材31を一度剥離した後、内部の光ファイバ心線3を取り出し、孔33から外部に導出することができる。その後、図4に示す方法等で、防水処理を施せばよい。なお、蓋部材31を露出後、適宜孔33を形成して内部の光ファイバ心線3を取り出してもよく、また、蓋部材31を切除して光ファイバ心線3を取り出してもよい。
なお、蓋部材の形状は、図6に示す例に限られない。図8(a)は光ファイバケーブル30aを示す図である。図8(a)に示すように、開口部5の内側に嵌り込むような蓋部材31aを用いてもよい。前述の通り、開口部5の形状によらず、シース7がテンションメンバ外接円15の内側に設けられるように、蓋部材の形状を設定すればよい。すなわち、蓋部材31aの底面位置が、テンションメンバ外接円15の内側に配置されるように、蓋部材の形状を設定すればよい。
また、光ファイバ心線3が保持される空間は、必ずしも保護層11と同心円状の空間である必要はない。図8(b)は、光ファイバケーブル30bを示す図である。光ファイバケーブル30bでは、光ファイバ心線3が収容される空間が、保護層11に形成されたスロットであり、テンションメンバ9が当該空間の両側に配置されていない例である。このように、本発明では、保護層11の形状(光ファイバ心線3の収容部の形状)や、テンションメンバ9の配置によらず適用可能である。
以上のように、蓋部材を用いることで、製造時において内部の光ファイバ心線3が外部に露出することがない。また、シース7が所定以上保護層11の内部に入り込むことがない。また、蓋部材にあらかじめ孔33を形成することで、分岐作業も容易である。
図9は、さらに異なる実施形態である光ファイバケーブル30cを示す断面図である。光ファイバケーブル30cは、光ファイバケーブル30bに対して、保護層11の外面形状が異なる。すなわち、光ファイバケーブル30cは、保護層11の外面に保護層凹部35が設けられる。
なお、光ファイバケーブル30cは、光ファイバケーブル30bの保護層11に保護層凹部35を形成した状態を示すが、他の光ファイバケーブルの保護層にも当然適用可能である。保護層凹部35にはシース7が充填される。保護層凹部35は、保護層11の中心から、開口部5の中央および一対の保護層凹部35の中央に伸ばしたそれぞれの直線で、保護層11を略三等分する位置に配置される。
保護層11は、開口部5の部位の強度が弱い。また、保護層凹部35の部位は、保護層11の強度が弱くなる。したがって、光ファイバケーブル30cを屈曲させた際に、応力が開口部5のみに集中せずに、強度的に弱い保護層凹部35近傍に応力を分散させることができる。したがって、保護層11の破損を防止することができる。なお、保護層凹部35の最深部がテンションメンバ外接円15よりも内側に入ると、前述したように、シース7の剥離の際、シース7を引き剥がす必要がある。このため、保護層凹部35はテンションメンバ外接円15よりも外方に位置することが望ましい。
以上のように、保護層凹部35を形成することで、保護層11の開口部5への応力集中を緩和することができる。
また、光ファイバケーブル30を以下のように構成してもよい。図10は、光ファイバケーブル30の製造方法を示す一例である。まず、図10(a)に示すように、あらかじめ複数の光ファイバ心線を保護層11内部に配置する。次いで、保護層11の開口部に蓋部材31を設け、樹脂テープ27で保護層11および蓋部材31の外周を巻き付ける。樹脂テープ27によって、蓋部材31がずれたり、内部の光ファイバ心線が飛び出したりすることがない。なお、蓋部材を用いない場合には、保護層11に直接樹脂テープ27を巻きつければよい。
この状態から、図10(b)に示すように、外周にシース7を押出被覆する。ここで、樹脂テープ27を構成する樹脂の融点は、シース7を構成する樹脂の融点よりも低い。したがって、シース7を押出被覆する際に、樹脂テープ27は溶融してシース7と融着する。なお、保護層11および蓋部材31を構成する樹脂は、シース7を構成する樹脂の融点よりも高い。このため、シース7と保護層11および蓋部材31とは融着することがない。
なお、より確実にシース7と保護層11および蓋部材31との融着を防止するためには、前述したように、保護層11等の外周に剥離部材である樹脂フィルム等を設けてもよい。剥離部材を設けることで、より確実にシース7と保護層11および蓋部材31との融着を防止することができる。なお、保護層11および蓋部材31を構成する樹脂の融点は、シース7を構成する樹脂の融点よりも高いことが望ましいが、本発明はこれに限られない。前述した分岐部の形成を行うことが可能であれば、保護層11および蓋部材31を構成する樹脂の融点と、シース7を構成する樹脂の融点とが略同じものであってもよく、この場合、同じ系統の樹脂材量で構成することもできる。
このようにすることで、図10(c)に示すように、シース7を剥離した際、シース7と保護層11とは剥離が容易であるとともに、樹脂テープ27はシース7と一体化して除去されるため、内部の光ファイバ心線を取り出すことも容易である。
以上、添付図を参照しながら、本発明の実施の形態を説明したが、本発明の技術的範囲は、前述した実施の形態に左右されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
たとえば、断面におけるテンションメンバ等の配置や形状は図示した例に限られず、本発明の課題を解決可能な範囲で、適宜変更することが可能である。
また、前述の実施形態では、光ファイバケーブルの断面外形が円形の場合について示したが、本発明はこれに限られない。例えば、図11(a)に示す光ファイバケーブル40aのように、開口部5に対応するシース7の外周が、平坦部となってもよい。この場合には、開口部以外におけるテンションメンバ外接円15からシース7の外周面までの厚みCよりも、開口部(平坦部)でのシースの厚みDが厚ければよい。このようにすることで、シースに切り込みを入れる際、内部の光ファイバ心線3を傷つけることがない。
また、図11(b)に示す光ファイバケーブル40bのように、開口部5に対応するシース7の外周が、凹部となってもよい。この場合でも、開口部以外におけるテンションメンバ外接円15からシース7の外周面までの厚みCよりも、開口部(凹部)でのシースの厚みDが厚ければ同様の効果を得ることができる。
また、図12に示す光ファイバケーブル50のように、開口部5に対応するシース7の外周が、凸部となってもよい。この場合でも、開口部以外におけるテンションメンバ外接円15からシース7の外周面までの厚みCよりも、開口部(凸部)でのシースの厚みDが厚ければ同様の効果を得ることができる。なお、この場合において、開口部でのシース厚みとは、光ファイバケーブル50の中心から、テンションメンバ外接円15と開口部5両端(保護層11)との交点方向へのそれぞれの延長線で囲まれた範囲におけるシース厚みを指す。
また、前述の実施形態では、切れ込み13bをケーブルの対角位置に形成したが、本発明はこれに限られない。例えば、図13(a)に示すように、切れ込み13bをケーブル断面において角度をもって形成してもよい。また、シース7を完全に切除しなくても、図13(b)に示すように、一箇所のみに切れ込み13bを形成してもよい。この場合には、切れ込み13bが開口部5の反対側に来るようにすることが望ましい。また。図13(c)に示すように、切れ込み13bを形成する部位は、必ずしもテンションメンバ9の位置でなくてもよい。
1、1a、1b、30、30a、30b、30c、40a、40b、50………光ファイバケーブル
3………光ファイバ心線
5………開口部
7………シース
9………テンションメンバ
11………保護層
13a、13b………切れ込み
15………テンションメンバ外接円
17………工具
19………刃
21………孔
23………保護部材
27………樹脂テープ
31、31a………蓋部材
33………孔
35………保護層凹部

Claims (7)

  1. 光ファイバ心線と、
    前記光ファイバ心線を中心に保護する保護層と、
    前記保護層に埋設されるテンションメンバと、
    前記保護層の外周に前記保護層と同心円状に形成されるシースと、
    を具備し、
    前記保護層の一部には長手方向に沿って前記保護層を前記保護層の軸に平行な面で切断して形成される如き形状の開口部が形成され、
    断面において前記テンションメンバの外周部に外接し、前記保護層と同心円である外接円を想定すると、前記開口部以外の部位における前記外接円から前記シースの外周面までの厚みよりも、前記開口部での前記シースの厚みが厚いことを特徴とする光ファイバケーブル。
  2. 前記保護層の前記開口部では、前記外接円の内側まで前記シースが設けられることを特徴とする請求項1記載の光ファイバケーブル。
  3. 前記開口部には、前記開口部を塞ぐように蓋部材が長手方向に沿って設けられ、前記蓋部材は前記光ファイバ心線を導出する複数個の孔が配置されることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の光ファイバケーブル。
  4. 前記保護層の外周には、前記シースを構成する樹脂の融点以下の融点を有する樹脂テープが巻きつけられ、前記樹脂テープと前記シースとが融着して一体化されることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の光ファイバケーブル。
  5. 前記保護層は、前記シースを構成する樹脂の融点よりも高い融点の樹脂で構成されることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の光ファイバケーブル。
  6. 前記保護層の前記開口部を除く外面の一部に、断面において凹部が形成されることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載の光ファイバケーブル。
  7. 請求項1から請求項6のいずれかに記載の光ファイバケーブルを用い、
    前記光ファイバケーブルの外周側から前記シースの周方向に刃の先端が前記テンションメンバに接触する深さまで切れ込みを入れ、当該切り込み深さと略同一切り込み深さとなるように、前記シースを前記光ファイバケーブルの長手方向に沿って切れ込みを入れることで、前記保護層を露出させ、前記開口部から内部の光ファイバ心線を取り出して分岐させることを特徴とする光ファイバケーブルの分岐方法。
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