JP5862525B2 - 内燃機関の出力制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は、自動変速機が接続される内燃機関の出力制御装置に関する。
車両等に搭載される自動変速機では、油圧式ピストンの作動を通じてクラッチやブレーキなどの締結要素が締結状態にされたり解放状態にされたりすることにより、変速段の切替が行われる。
ここで、ピストンを作動させるピストン油圧室が機関出力軸の回転に伴って回転すると、ピストン油圧室内には遠心油圧が発生する。この遠心油圧は、締結要素が締結状態となる方向にピストンを作動させる力となるため、例えば締結要素の状態を締結状態から解放状態に変更するときの妨げになる。
そこで、特許文献1に記載の装置では、自動変速機の状態が駆動ポジションから非駆動ポジションに変更されたことを検出したときには、つまり締結要素(クラッチ)の状態が締結状態から解放状態に変更されるときには、所定の制限時間(しきい値(1))が経過するまで、アクセルペダルの操作量に対してスロットルバルブの開度を制限する開度制限を行うようにしている。この開度制限を行うと、アクセルペダルの操作による機関回転速度の上昇が抑えられるため、遠心油圧を小さくすることができ、これにより締結要素に対する遠心油圧の影響を抑えることができる。
ただし、こうした開度制限を行うと、アクセルペダルを操作したときの機関回転速度の上昇が抑えられてしまうため、アクセル操作により機関回転速度が上昇するときの操作感が悪化してしまう。そこで、同文献1に記載の装置では、アクセルペダルが操作されたことを検出したときに、直ちに開度制限を行うのではなく、アクセルペダルが操作されてから所定の遅延時間(しきい値(2))が経過した後に開度制限を行うようにしている。このようにして開度制限の実行を遅延させることにより、アクセルペダルが操作された時点から開度制限が開始されるまでの間の期間内では、アクセルペダルの操作量に対応して機関回転速度は上昇するようになる。そのため、上記遅延時間内においてアクセルペダルを操作する場合には、上述した操作感の悪化が抑えられる。
特開2005−42601号公報
ところで、上記文献1に記載の装置では、アクセルペダルが操作されてから開度制限が開始するまでの遅延時間を一定時間としている。そのため、アクセルペダルが操作されてから締結要素に対して遠心油圧が影響するまでの時間について余裕がある状態のときでも、遅延時間の到達に従って開度制限が実行されてしまうおそれがある。つまり予め設定された遅延時間が経過すると、たとえ開度制限の開始タイミングを遅らせることが可能な状態であっても、一律に開度制限が開始されてしまう。
このように遅延時間を一定時間にしてしまうと、場合によっては、上記操作感の悪化を抑えることができる期間が、本来設定可能な期間よりも短くなるおそれがある。
この発明は、こうした実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、開度制限の開始タイミングを遅らせる遅延時間を適切に可変設定することにより、内燃機関の操作感を更に向上させることのできる内燃機関の出力制御装置を提供することにある。
以下、上記目的を達成するための手段及びその作用効果について記載する。
請求項1に記載の発明は、自動変速機が接続される内燃機関に適用されて、前記自動変速機に設けられた締結要素の状態を締結状態から解放状態に変更する解放要求が行われた後に機関出力を操作する出力操作部材が操作されたときには、吸気通路に設けられたスロットルバルブの開度が前記出力操作部材の操作量に対応した開度よりも小さくなるように制限する開度制限を前記出力操作部材が操作されてから所定の遅延時間が経過した後に実行する内燃機関の出力制御装置であって、前記出力操作部材の操作時における機関回転速度が、予め設定された第1回転速度よりも高く且つ前記第1回転速度よりも高い速度に予め設定された第2回転速度未満であるときには、機関回転速度が高いときほど前記遅延時間が短くなるように前記出力操作部材が操作されてからの機関回転速度の変化に追従させて前記遅延時間を可変設定し、前記出力操作部材の操作時における機関回転速度が、前記第2回転速度以上であるときには、前記遅延時間を「0」に設定することをその要旨とする。
同構成によれば、締結要素の状態を締結状態から解放状態に変更する解放要求が行われた後にアクセルペダル等の出力操作部材が操作されたときには、スロットルバルブの開度が出力操作部材の操作量に対応した開度よりも小さくなるように制限する開度制限が実行される。この開度制限により、締結要素に対する遠心油圧の影響が抑えられる。
ここで、こうした開度制限を行うと、出力操作部材を操作したときの機関回転速度の上昇が抑えられてしまうため、出力操作部材の操作により機関回転速度が上昇するときの操作感が悪化してしまう。そこで同構成では、上記開度制限を、出力操作部材が操作されてから所定の遅延時間が経過した後に実行するようにしている。そのため、その遅延時間内においては、出力操作部材の操作量に対応して機関回転速度は上昇するようになり、上述した操作感の悪化が抑えられる。
ところで、上記遠心油圧は、機関回転速度が高いときほど高くなる。従って、出力操作部材が操作されてから締結要素が遠心油圧の影響を受けるまでの時間は、機関回転速度が高いときほど短くなる。そこで、同構成では、開度制限の開始タイミングを遅延させる遅延時間を、機関回転速度が高いときほど短い時間となるように可変設定している。そのため、機関回転速度が高く、締結要素に対して遠心油圧が早期に影響するときほど、開度制限の開始タイミングは早くなり、これにより締結要素に対する遠心油圧の影響が適切に抑えられる。
逆に、機関回転速度が低く、締結要素に対して遠心油圧が影響するまでの時間に余裕があるときほど、開度制限の開始タイミングは遅くなる。従って、出力操作部材の操作量に対応して機関回転速度を上昇させることのできる期間は、締結要素に対して遠心油圧が影響するまでの時間に余裕があるときほど長くなる。そのため、内燃機関の操作感は、遅延時間を一定時間とする場合に比較して更に向上するようになる。
以上のように、同構成によれば、開度制限の開始タイミングを遅らせる遅延時間が適切に可変設定されるようになるため、内燃機関の操作感を更に向上させることができるようになる。
また、前記遅延時間は、前記出力操作部材が操作されてからの機関回転速度の変化に追従して可変設定されるようにしている
同構成によれば、出力操作部材の操作により機関出力が増大して機関回転速度が上昇していくときには、その機関回転速度の上昇に伴って遅延時間は短くなっていく。従って、スロットルバルブの開度制限を開始するタイミングは、機関回転速度が高くなるほど早い時期になり、これにより機関回転速度の過度な高回転化を好適に抑えることができるようになる。そのため、例えば開度制限を実行したときの機関回転速度のオーバーシュートを極力抑えることも可能になる。
また、逆に、出力操作部材の操作により機関出力が低下して機関回転速度が低下していくときには、その機関回転速度の低下に伴って遅延時間は長くなっていく。従って、開度制限を開始するタイミングは、機関回転速度が低いときほど遅くなる。そのため、機関回転速度が低い状態から吹き上がっていくときには、出力操作部材の操作量に対応して機関回転速度が上昇する期間(つまり開度制限の非実行期間であって遅延時間に相当する)が長くなるため、機関回転速度の吹き上がり感が良好な状態になる。
このように出力操作部材が操作されてからの機関回転速度の変化に追従して遅延時間が随時更新されるため、機関回転速度について過度な高回転化の抑制と吹き上がり感の確保とを両立することができるようになる。
なお、同構成における上記解放要求としては、例えば自動変速機を操作するシフトレバーの操作位置が、ニュートラル位置やパーキング位置に変更されたときに出力される信号などを挙げることができる。
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の内燃機関の出力制御装置において、前記遅延時間は、前記出力操作部材の状態が非操作状態から操作状態になったときの機関回転速度に基づいて設定されることをその要旨とする。
同構成によれば、出力操作部材の状態が非操作状態から操作状態になった時点での機関回転速度に基づいて遅延時間が設定される。従って、機関回転速度の変化に対応して遅延時間を随時更新する場合と比較して、遅延時間の設定処理を簡易化することができる。
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか1項に記載の内燃機関の出力制御装置において、前記解放要求が行われた後の機関回転速度が予め定められた燃料カット速度を超えるときには燃料噴射を中止するとともに、前記燃料カット速度は、前記遅延時間が「0」に設定される機関回転速度よりも高い回転速度に設定されていることをその要旨とする。
同構成では、機関回転速度が燃料カット速度を超えると、燃料噴射が中止されるため、機関回転速度が燃料カット速度以上に高くなることはなく、これにより遠心油圧の増大を確実に抑えることができる。ここで、燃料噴射を中止する、いわゆる燃料カットを実行すると機関回転速度は低下していくのであるが、燃料カット直前の機関回転速度の上昇速度が高いときには、燃料カット直後から直ちに機関回転速度が低下しないことがある。これは機関回転速度の上昇速度が高いときには、ピストンやクランクシャフト等の慣性が大きくなっているため、燃料噴射を中止しても機関回転速度は直ちに低下せず、ある程度の応答遅れ期間が経過した後に機関回転速度は低下し始めるためである。従って、その応答遅れ期間内においては、機関回転速度が燃料カット速度を超えてしまう。つまり燃料カットの実行直後は、一時的ではあるものの、機関回転速度が燃料カット速度を超えてオーバーシュートしまう。
そこで同構成では、燃料カット速度は、上述した遅延時間が「0」に設定される機関回転速度よりも高い回転速度に設定している。従って、出力操作部材が操作されて機関回転速度が上昇していき、遅延時間が「0」に設定される機関回転速度に達すると、スロットルバルブの開度制限が開始されることにより、機関回転速度の上昇速度は低下する。そして、上昇速度が低下した状態で機関回転速度が燃料カット速度に達すると、燃料カットが実行される。ここで、燃料カット直前においては、開度制限の実行により機関回転速度の上昇速度が低下しているため、この上昇速度の低下に合わせて、燃料カット速度に対する機関回転速度の超過量(オーバーシュート量)も少なくなり、これにより上記応答遅れ期間(オーバーシュート期間)も短くなる。なお、開度制限の実行による機関回転速度の上昇速度の低下についてその低下度合が大きいときほど上記オーバーシュート量は少なくなる。そのため、燃料カット直前の機関回転速度の上昇速度が十分に低下している場合には、オーバーシュート量が非常に少なくなり、実質的には、燃料カットの実行直後から速やかに機関回転速度が低下する状態になる場合もある。
このように同構成によれば、燃料噴射を中止してからの機関回転速度のオーバーシュート(オーバーシュート量やオーバーシュート期間)を極力抑えることができるようになる。
本発明にかかる内燃機関の出力制御装置を具体化した一実施形態について、これが適用される車両の構成を示す模式図。 遠心油圧キャンセル機構の断面構造を示す模式図。 同実施形態における開度制限処理の手順を示すフローチャート。 機関回転速度と遅延時間との対応関係を示すグラフ。 機関回転速度の変化に追従した遅延時間の設定態様を示すタイミングチャート。 同実施形態におけるスロットル開度の変化を示すタイミングチャート。 同実施形態の変形例における機関回転速度と遅延時間との対応関係を示すグラフ。
以下、本発明にかかる内燃機関の出力制御装置を具体化した一実施形態について、図1〜図6を併せ参照して説明する。
図1に示すように、車両100には、動力源としてのエンジン10が搭載されており、その吸気通路11には、吸入空気量を調量するスロットルバルブ12が設けられている。エンジン10では、吸入空気量に応じた燃料が燃料噴射弁から噴射されることにより、機関出力が調整される。
エンジン10のクランクシャフトは、流体継手であるトルクコンバータ20の入力軸に接続されており、トルクコンバータ20の出力軸は、複数の変速段を有する自動変速機30の入力軸に接続されている。自動変速機30の出力軸40は、デファレンシャルギヤ50に接続されている。デファレンシャルギヤ50の出力軸は、車両の駆動輪60に接続されている。
車両の車室内には、自動変速機の変速態様を選択するシフトレバー装置70が設けられている。このシフトレバー装置70には、例えば「P(パーキングポジション)」、「R(リバースポジション)」、「N(ニュートラルポジション)」、「D(ドライブポジション)」等の各シフト位置が設けられている。そしてシフトレバー装置70からは、レバー操作位置がどのシフト位置にされているのか示すシフト位置信号が出力される。
車両100の状態は、各種センサ等によって検出される。例えば、クランク角センサ300によって機関回転速度NEが検出され、吸入空気量センサ310によって吸入空気量GAが検出され、スロットル開度センサ320によってスロットルバルブ12の開度であるスロットル開度TAが検出される。また、水温センサ330によってエンジン10の冷却水温THWが検出され、車速センサ340によって車両の車速SPが検出される。そして、エンジン10の出力を操作する出力操作部材としてのアクセルペダルについてその操作量であるアクセル操作量ACCPが、アクセルセンサ350によって検出される。
上述した各種センサ等の信号は、機関用制御装置200に入力される。機関用制御装置200は、各種信号に基づき、スロットルバルブ12の開度制御、エンジン10の燃料噴射制御、あるいは点火時期制御といった各種のエンジン出力制御を行う。また、上述したシフト位置信号などの変速に関する各種信号は変速用制御装置400に入力される。変速用制御装置400は、各種信号に基づいて自動変速機30の変速制御を行う。そして、機関用制御装置200と変速用制御装置400とは相互通信を行い、これによりエンジン10と自動変速機30との協調制御が行われる。
上記自動変速機30には、遠心油圧キャンセル機構が設けられている。この遠心油圧キャンセル機構は周知の機構であるため、以下では概要のみを説明する。
図2に示すように、自動変速機30では、油圧式のピストン31の作動を通じてクラッチ32などの締結要素が締結状態にされたり、解放状態にされたりすることにより、変速段の切替が行われる。例えば、シフト位置がドライブポジションのときには、そのときの車両走行状態に応じた変速段に対応するクラッチ32が締結状態にされることにより、車両走行状態に応じた変速段が設定され、これにより自動変速機30は、クランクシャフトから駆動輪60への駆動力伝達が行われる駆動状態になる。また、シフト位置がニュートラルポジションのときやパーキングポジションのときには、クラッチ32が開放状態にされることにより、自動変速機30は、クランクシャフトから駆動輪60への駆動力伝達が切断される非駆動状態になる。
ここで、クラッチ32が締結状態となる方向にピストン31を作動させるピストン油圧室31Aが、クランクシャフトの回転に伴って回転すると、ピストン油圧室31A内には遠心油圧PPが発生する。この遠心油圧PPは、クラッチ32が締結状態となる方向にピストン31を作動させる力となるため、クラッチ32の状態を締結状態から解放状態に変更するときの妨げになる。そのため、例えば自動変速機30を非駆動状態にしようとしているにもかかわらず一時的に駆動状態が維持されたり、シフトショックが発生したりするおそれがある。
そこで、こうした遠心油圧の影響を抑える遠心油圧キャンセル機構として、自動変速機30には、ピストン31を挟んでピストン油圧室31Aに対向する側に、作動油が供給される油圧室であってピストン油圧室31Aとともに回転するキャンセル油圧室31Bが設けられている。
そして、シフト位置がドライブポジションであって、クラッチ32を締結状態にするときには、ピストン油圧室31Aに作動油が供給されるとともに、キャンセル油圧室31Bからは作動油が排出される。これによりクラッチ32は、ピストン31に押圧されて締結状態にされる。一方、シフト位置がニュートラルポジションやパーキングポジションにされることにより、クラッチ32を開放状態にするときには、ピストン油圧室31Aから作動油が排出されるとともに、キャンセル油圧室31Bには作動油が供給される。これによりピストン31には、リターンスプリング33の付勢力及びキャンセル油圧室31Bからの油圧が作用してクラッチ32から離れる方向に移動し、クラッチ32は解放状態にされる。
ここで、ピストン油圧室31Aが回転すると、ピストン油圧室31A内には上述した遠心油圧PPが発生する。しかし、ピストン油圧室31Aが回転するとキャンセル油圧室31Bも同時に回転するため、キャンセル油圧室31B内にも遠心油圧CPが発生し、このキャンセル油圧室31Bに発生する遠心油圧CPによって、ピストン油圧室31Aに発生する遠心油圧PPは相殺される。このようにキャンセル油圧室31Bからなる遠心油圧キャンセル機構を備えることにより、クラッチ32に対する遠心油圧の影響が抑えられる。
ところで、クラッチ32の状態が締結状態から解放状態に移行するときには、キャンセル油圧室31Bに作動油が供給されるのであるが、キャンセル油圧室31Bが作動油で満たされるまでの間は、ピストン油圧室31Aで生じる遠心油圧PPを、キャンセル油圧室31Bで生じる遠心油圧CPで十分に相殺することができない。
そこで、本実施形態では、キャンセル油圧室31Bが作動油で満たされるまで、スロットルバルブ12の開度がアクセルペダルの操作量に対応した開度よりも小さくなるように制限する開度制限処理を行うことにより、機関回転速度の上昇を抑え、これによりピストン油圧室31Aで発生する遠心油圧PPの増大を抑えるようにしている。また、その開度制限処理では、アクセルペダルが操作されてから所定の遅延時間DLが経過した後にスロットルバルブ12の開度制限を開始することにより、遅延時間DL内においては、アクセルペダルの操作量に対応して機関回転速度を上昇させることができるようにしている。
図3に、上記開度制限処理の手順を示す。なお、この処理は、機関用制御装置200によって所定周期毎に繰り返し実行される。
本処理が開始されるとまず、シフト位置が、ニュートラルポジション(Nポジション)に変更されたか否かが判定される(S100)。このステップS100での判定処理は、機関用制御装置200が、シフトレバー装置70のレバー操作位置を変速用制御装置400から取得することにより行われる。そして、ニュートラルポジションに変更されていないときには(S100:NO)、スロットルバルブの開度制限が禁止される(S170)。このステップS170では、開度制限がすでに実行されている場合には、同開度制限の実行が禁止される。また、開度制限がまだ実行されていない場合には、開度制限の実行を禁止する状態が維持される。そして、本処理は一旦終了される。
一方、ニュートラルポジションに変更されたときには(S100:YES)、ニュートラルポジション用の燃料カット速度FCNが設定される(S110)。この燃料カット速度FCNは、燃料噴射を中止する、いわゆる燃料カットを行うために機関回転速度を判定する値であり、機関回転速度NEが燃料カット速度FCNを超えると、燃料カットが実行される。そしてここで設定される燃料カット速度FCNは、エンジン10の保護(オーバレブ防止)のために設定される燃料カット速度とは異なり、遠心油圧の増大によるクラッチ32への悪影響を抑えるために設定されており、エンジン10を保護するための燃料カット速度よりも低い回転速度が設定される。
次に、アクセルペダルが非操作状態であるか否かがアクセル操作量ACCPに基づいて判定される(S120)。このステップS120では、アクセル操作量ACCPと「0」よりも若干大きい値に設定された判定値とが比較される。そして、アクセル操作量ACCPが判定値よりも小さいときにはアクセルペダルが非操作状態であると判定される一方、アクセル操作量ACCPが判定値以上に大きいときにはアクセルペダルが操作状態であると判定される。
そして、アクセルペダルが非操作状態であるときには(S120:YES)、上述したステップS170の処理が行われることにより、スロットルバルブ12の開度制限が禁止され、本処理は一旦終了される。
一方、アクセルペダルが操作状態であるときには(S120:NO)、機関回転速度NEの変化に追従した遅延時間DLの可変設定処理が実行される(S130)。この遅延時間DLは、上述したように、アクセルペダルが操作されてからスロットルバルブ12の開度制限が開始されるまでの時間を遅延させる時間であり、機関回転速度NEに基づいて設定される。ちなみに、この遅延時間DLとしては、スロットルバルブ12の開度をアクセル操作量ACCPに対応した開度にすることで機関回転速度が大きく上昇しても、上述した遠心油圧の悪影響を許容できる程度に抑えることができる時間を設定することが望ましい。
図4に示すように、上記遅延時間DLは、アクセルペダルの操作時における機関回転速度NEが高いときほど短くなるように可変設定される。より詳細には、機関回転速度NEが、「0」からアイドル回転速度近傍の第1回転速度NE1までの間の速度のときには、一定の最大遅延時間DLMに設定される。そして機関回転速度NEが、第1回転速度NE1から同第1回転速度NE1よりも高い第2回転速度NE2までの間の速度のときには、機関回転速度NEが高いときほど遅延時間DLは短くなるように、そのときどきの機関回転速度NEに対応して可変設定される。そして、機関回転速度NEが第2回転速度NE2以上になると、遅延時間DLは「0」に設定される。また、上述した燃料カット速度FCNは、第2回転速度NE2よりも高い回転速度に設定されている。
この機関回転速度NEに基づいた遅延時間DLの可変設定処理は、機関回転速度NEの変化に追従して行われる。つまり、アクセルペダルが操作されてからの機関回転速度NEの変化に追従するように遅延時間DLは随時更新される。この機関回転速度NEの変化に追従した遅延時間DLの可変設定について、その一例を図5に示す。
この図5に示すように、アクセルペダルが操作されると(アクセル操作:ON)、機関回転速度NEが増大していく。この機関回転速度の増大過程において、機関回転速度NEが第1回転速度NE1に達するまでは、遅延時間DLとして一定の最大遅延時間DLMが設定される。そして、機関回転速度NEが第1回転速度NE1に達してから第2回転速度NE2に達するまでの間では、機関回転速度NEの増大に伴って遅延時間DLは短くなっていく。そして、機関回転速度NEが第2回転速度NE2に達すると、それ以降は遅延時間DLが「0」に設定される。
こうして遅延時間DLが設定されると、次のステップS140では、アクセルペダルが操作されてからの経過時間が遅延時間DLを超えたか否かが判定される。そして、アクセルペダルが操作されてからの経過時間が遅延時間DLを超えていない場合には(S140)、その経過時間が遅延時間DLを超えるまで、上記ステップS130の処理が繰り返し実行される。従って、アクセルペダルが操作されてからの経過時間が遅延時間DLを超えていない場合には、機関回転速度NEの変化に追従して遅延時間DLも随時更新される。
一方、アクセルペダルが操作されてからの経過時間が遅延時間DLを超えた場合には(S140:YES)、ニュートラルポジションに変更されてからの経過時間TNが判定値TN1を超えているか否かが判定される(S150)。この判定値TN1としては、ニュートラルポジションに変更されてから上記遠心油圧の悪影響が無くなるまでの時間が設定されており、本実施形態においては、ニュートラルポジションに変更されてからキャンセル油圧室31Bが作動油で十分に満たされるまでに要する時間が設定されている。
そして、その経過時間TNが判定値TN1を超えていないときには(S150:NO)、スロットルバルブ12の開度制限が実行されて(S160)、本処理は一旦終了される。ステップS160において、開度制限が実行されると、スロットルバルブ12の開度は、予め設定された制限開度TALを超えないように制限される。つまりアクセル操作量ACCPに対応したスロットルバルブ12の開度が、制限開度TALよりも大きい場合には、実際のスロットルバルブ12の開度は、制限開度TALに設定される。なお、制限開度TALとしては、上述した遠心油圧の悪影響を抑えることができる最大限の機関回転速度に対応するスロットルバルブ12の開度を設定することが望ましい。
ステップS150にて、ニュートラルポジションに変更されてからの経過時間TNが判定値TN1を超えていると判定される場合には(S150:YES)、開度制限を実行する必要が無いため、上述したステップS170の処理が行われてスロットルバルブ12の開度制限は禁止され、本処理は一旦終了される。
次に、図6を参照しつつ、上記開度制限処理の作用を説明する。
図6に示すように、時刻t1において、シフト位置がニュートラルポジションに変更され(Nポジション:「OFF」→「ON」)、その後、時刻t2においてアクセルペダルが操作されると(アクセル操作:「OFF」→「ON」)、アクセルペダルが操作されてから遅延時間DLが経過まで(時刻t2〜時刻t3)、スロットルバルブ12の開度を制限する処理の開始が遅延される。
そして、遅延時間DLが経過すると(時刻t3)、スロットルバルブ12の開度制限が開始されて、スロットルバルブ12の開度(スロットル開度TA)は、制限開度TALに制限される。
そして、ニュートラルポジションに変更されてからの経過時間TNが判定値TN1に達すると(時刻t4)、スロットルバルブ12の開度制限は禁止されることにより、同開度制限は非実行となり、スロットルバルブ12の開度(スロットル開度TA)は、アクセル操作量ACCPに対応した開度に戻される。なお、スロットルバルブ12の開度をアクセル操作量ACCPに対応した開度に戻すときには、スロットルバルブ12の急変を抑えるために、スロットルバルブ12の開度を徐々にアクセル操作量ACCPに対応した開度に戻していくことが望ましい。
このように、時刻t1において、シフト位置がニュートラルポジションに変更されることにより、クラッチ32の状態を締結状態から解放状態に変更する解放要求が行われる。そして、その解放要求が行われた後にアクセルペダルが操作されたときには(時刻t2)、遅延時間DLが経過した後に、スロットルバルブ12の開度をアクセル操作量ACCPに対応した開度よりも小さくなるように制限する開度制限が実行される(時刻t3〜時刻t4)。この開度制限により、クラッチ32に対する遠心油圧の影響が抑えられる。
ここで、こうした開度制限を行うと、アクセルペダルを操作したときの機関回転速度の上昇が抑えられてしまうため、アクセルペダルの操作により機関回転速度が上昇するときの操作感が悪化してしまう。この点、本実施形態では、スロットルバルブ12の開度制限は、アクセルペダルが操作されてから遅延時間DLが経過した後に実行される。そのため、その遅延時間DL内においては(時刻t2〜時刻t3)、アクセル操作量ACCPに対応して機関回転速度は上昇するようになり、上述した操作感の悪化が抑えられる。
また、上述した遠心油圧は、機関回転速度が高いときほど高くなる。従って、アクセルペダルが操作されてからクラッチ32が遠心油圧の影響を受けるまでの時間は、機関回転速度が高いときほど短くなる。そこで、本実施形態では、先の図4や図5に示したように、開度制限の開始タイミングを遅延させる遅延時間DLを、機関回転速度NEが高いときほど短い時間となるように可変設定している。そのため、機関回転速度NEが高く、クラッチ32に対して遠心油圧が早期に影響するときほど、開度制限の開始タイミングは早くなり、これによりクラッチ32に対する遠心油圧の影響が適切に抑えられる。
逆に、機関回転速度が低く、クラッチ32に対して遠心油圧が影響するまでの時間に余裕があるときほど、遅延時間DLは長い時間に設定されるため、開度制限の開始タイミングは遅くなる。従って、アクセル操作量ACCPに対応して機関回転速度を上昇させることのできる期間は、クラッチ32に対して遠心油圧が影響するまでの時間に余裕があるときほど長くなる。そのため、エンジン10の操作感は、遅延時間DLを一定時間とする場合に比較して更に向上するようになる。このように開度制限の開始タイミングを遅らせる遅延時間DLが適切に可変設定されるようになるため、エンジン10の操作感が更に向上するようになる。
また、先の図5に例示したように、遅延時間DLは、アクセルペダルが操作されてからの機関回転速度NEの変化に追従して可変設定される。そのため、アクセルペダルの操作により機関出力が増大して機関回転速度NEが上昇していくときには、機関回転速度NEの上昇に伴って遅延時間DLは短くなっていく。従って、スロットルバルブ12の開度制限を開始するタイミングは、機関回転速度NEが高くなるほど早い時期になり、これにより機関回転速度NEの過度な高回転化が好適に抑えられるようになる。そのため、例えば開度制限を実行したときの機関回転速度のオーバーシュートを極力抑えることも可能になる。
また、逆に、アクセルペダルが戻されて機関出力が低下し、機関回転速度NEが低下していくときには、機関回転速度NEの低下に伴って遅延時間DLは長くなっていく。従って、開度制限を開始するタイミングは、機関回転速度NEが低いときほど遅くなる。そのため、機関回転速度NEが低い状態から吹き上がっていくときには、アクセル操作量ACCPに対応して機関回転速度NEが上昇する期間(つまり開度制限の非実行期間であって遅延時間DLに相当する)が長くなるため、機関回転速度NEの吹き上がり感が良好な状態になる。
このようにアクセルペダルが操作されてからの機関回転速度NEの変化に追従して遅延時間DLは随時更新されるため、機関回転速度について過度な高回転化が抑制されるとともに吹き上がり感も良好に確保される。
また、図3に示した開度制限処理では、ステップS100にて、シフト位置がニュートラルポジションに変更されたと判定されることにより、クラッチ32の状態を締結状態から解放状態に変更する解放要求が行われたと判定されるときには、ステップS110にて、ニュートラルポジション用の燃料カット速度FCNが設定される。従って、クラッチ32の解放要求が行われた後、機関回転速度NEが燃料カット速度FCNを超えると燃料カットが実行される。これにより機関回転速度NEが燃料カット速度FCN以上に高くなることはなく、遠心油圧の増大を確実に抑えることができる。
ここで、燃料カットを実行すると機関回転速度は低下していくのであるが、燃料カット直前の機関回転速度の上昇速度が高いときには、燃料カット直後から直ちに機関回転速度は低下しないことがある。これは機関回転速度の上昇速度が高いときには、ピストンやクランクシャフト等の慣性が大きくなっているため、燃料噴射を中止しても機関回転速度は直ちに低下せず、ある程度の応答遅れ期間が経過した後に機関回転速度は低下し始めるためである。従って、その応答遅れ期間内においては、機関回転速度NEが燃料カット速度FCNを超えてしまう。つまり燃料カットの実行直後は、一時的ではあるものの、機関回転速度NEが燃料カット速度FCNを超えてオーバーシュートしまう。
そこで本実施形態では、先の図4に示したように、燃料カット速度FCNを、遅延時間DLが「0」に設定される第2回転速度NE2よりも高い回転速度に設定している。従って、アクセルペダルが操作されて機関回転速度が上昇していき、遅延時間DLが「0」に設定される機関回転速度に達すると、スロットルバルブ12の開度制限が開始されることにより、機関回転速度の上昇速度は低下する。そして、上昇速度が低下した状態で機関回転速度が燃料カット速度FCNに達すると、燃料カットが実行される。ここで、燃料カット直前においては、開度制限の実行により機関回転速度の上昇速度が低下しているため、この上昇速度の低下に合わせて、燃料カット速度FCNに対する機関回転速度の超過量(オーバーシュート量)も少なくなり、これにより上述した応答遅れ期間(オーバーシュート期間)も短くなる。なお、開度制限の実行による機関回転速度の上昇速度の低下についてその低下度合が大きいときほど、上記オーバーシュート量は少なくなる。そのため、燃料カット直前の機関回転速度の上昇速度が十分に低下している場合には、オーバーシュート量が非常に少なくなり、実質的には、燃料カットの実行直後から速やかに機関回転速度が低下する状態になる場合もある。このように燃料カット速度FCNは、遅延時間DLが「0」に設定される第2回転速度NE2よりも高い回転速度に設定されているため、燃料噴射を中止してからの機関回転速度のオーバーシュート(オーバーシュート量やオーバーシュート期間)が極力抑えられる。
ちなみに、上記特許文献1の段落[0065]に記載されているように、アクセルペダルが操作されることにより機関回転速度が所定の判定速度に達した場合には、直ちにスロットルバルブ12の開度制限を行うようにしても、遠心油圧の悪影響を抑えることはできる。ただし、判定速度として比較的高い回転速度を設定すると、エンジンの吹け上がりは良好になるものの、開度制限実行後のエンジンの応答遅れにより、機関回転速度が適切な回転速度よりもオーバーシュートしてしまうおそれがある。逆に、判定速度として比較的低い回転速度を設定すると、開度制限実行後にエンジンの応答遅れが生じたとしても、機関回転速度が適切な回転速度よりもオーバーシュートすることは抑えられる。しかし、この場合には、判定速度が比較的低い速度に設定されているため、エンジンを十分に吹け上がらせることができない。つまり、機関回転速度のオーバーシュート抑制と吹け上がり感の確保とを両立させることが可能な判定速度を設定することは困難である。この点、本実施形態における開度制限処理によれば、上述したように、機関回転速度のオーバーシュート抑制と吹け上がり感の確保とを両立させることが可能である。
以上説明したように、本実施形態によれば、次の効果を得ることができる。
(1)自動変速機30に設けられたクラッチ32の状態を締結状態から解放状態に変更する解放要求が行われ(ニュートラルポジションへの変更が行われ)、その後にアクセルペダルが操作されたときには、アクセルが操作されてから遅延時間DLが経過した後に、スロットルバルブ12の開度を制限する開度制限を実行するようにしている。そして、アクセルペダルの操作時における機関回転速度NEが高いときほど遅延時間DLが短くなるようにしている。従って、開度制限の開始タイミングを遅らせる遅延時間DLが適切に可変設定されるようになり、エンジン10の操作感を更に向上させることができるようになる。
(2)アクセルペダルが操作されてからの機関回転速度NEの変化に追従させながら遅延時間DLを可変設定している。従って、機関回転速度について過度な高回転化の抑制と吹き上がり感の確保とを両立することができるようになる。
(3)燃料噴射を中止する燃料カット速度FCNについて、遅延時間DLが「0」に設定される第2回転速度NE2よりも高い回転速度に設定している。そのため、燃料噴射を中止してからの機関回転速度のオーバーシュートを極力抑えることができるようになる。
なお、上記実施形態は以下のように変更して実施することもできる。
・遅延時間DL内において、機関回転速度NEの変化に追従させながら同遅延時間DL自体を随時更新するようにした。この他、参考例として、アクセルペダルの状態が非操作状態から操作状態になったときの機関回転速度NEに基づき、遅延時間DLを設定するようにしてもよい。なお、この参考例でも、先の図4に示した機関回転速度NEと遅延時間DLとの対応関係は利用できる。そしてこの参考例の場合でも、アクセルペダルの操作時における機関回転速度NEが高いときほど遅延時間DLは短くされるため、開度制限の開始タイミングを遅らせる遅延時間DLが適切に可変設定されるようになり、エンジン10の操作感を更に向上させることができるようになる。また、アクセルペダルの状態が非操作状態から操作状態になった時点での機関回転速度NEに基づき、遅延時間DLが設定されるため、上記実施形態のように機関回転速度NEの変化に追従させて遅延時間DLを随時更新する場合と比較して、遅延時間DLの設定処理を簡易化することができる。ただしこの参考例の場合には、上述した実施形態と比較して、次のような不都合が生じるおそれがある。
すなわち遅延時間DL内において、アクセルペダルの操作及び非操作が比較的短い周期で繰り返される場合には、アクセルペダルの操作に対する機関回転速度の変化には応答遅れが生じる。特に、アクセルペダルを非操作状態したときの機関回転速度の低下速度は、アクセルペダルを操作状態したときの機関回転速度の上昇速度よりも遅い。そのため、アクセルペダルの操作及び非操作が比較的短い周期で繰り返される場合には、機関回転速度は徐々に増大していく可能性がある。ここで、アクセルペダルの状態が非操作状態から操作状態になった時点での機関回転速度NEに基づいて遅延時間DLを設定する場合には、その設定された遅延時間DLが経過までスロットルバルブ12の開度制限が実行されないため、遅延時間DL内において機関回転速度NEが大きく上昇してしまう可能性がある。この点、上述した実施形態では、遅延時間DL内において、機関回転速度NEの変化に追従させて同遅延時間DL自体を随時更新するようにしている。そのため、遅延時間DL内において機関回転速度NEが上昇していくと、遅延時間DLは最終的には「0」に設定されて速やかに開度制限が開始される。従って、遅延時間DL内において、アクセルペダルの操作及び非操作が比較的短い周期で繰り返される場合でも、機関回転速度NEが大きく上昇してしまうことを抑えることができる。
・シフト位置がニュートラルポジションに変更されたときに、クラッチ32の状態を締結状態から解放状態に変更する解放要求が行われたと判定し、先の図3に示した一連の処理を行うようにした。この他、シフト位置がリバースポジションに変更されたときにも、同解放要求が行われたと判定し、先の図3に示した一連の処理に準じた処理を行うようにしてもよい。要は、自動変速機30が駆動状態から非駆動状態になるようにシフト位置が変更された場合に、同解放要求が行われたと判定し、先の図3に示した一連の処理に準じた処理を行うようにしてもよい。
・上記実施形態では、先の図4に示したように、機関回転速度NEが「0」から第1回転速度NE1の間の速度である場合には、遅延時間DLを一定の最大遅延時間DLMに維持するようにした。この他、図7において一点鎖線にて示すように、遅延時間DLを最大遅延時間DLMに維持する領域を省略し、機関回転速度NEが「0」から第2回転速度NE2までの間の速度のときには、機関回転速度NEが高いときほど遅延時間DLは短くなるように同遅延時間DLを可変設定してもよい。
・図3のステップS110の処理を省略する、つまり燃料カット速度FCNの設定処理を省略してもよい。この場合でも、上記(1)及び(2)の効果を得ることができる。
・遠心油圧の影響を抑えるための機構として、キャンセル油圧室31Bを備えるようにしたが、この他の機構を備える自動変速機であっても本発明は同様に適用することができる。例えばチェックボールを利用してピストン油圧室の作動油を排出することにより、ピストン油圧室内での遠心油圧の発生を抑える機構を備えた自動変速機でも、ピストン油圧室の作動油がチェックボールを介して十分に排出されるまでは、遠心油圧を十分に抑えることができない。従って、こうした自動変速機が接続されるエンジン10の出力制御装置において、上記開度制限処理を実行するようにしても、上記実施形態と同様な作用効果を得ることができる。
また、遠心油圧の影響を抑える機構を備えていない自動変速機の場合には、ピストン油圧室31Aからの作動油の排出が完了するまで、同ピストン油圧室31Aには遠心油圧が発生するため、そうした作動油の排出が完了するまでは、遠心油圧の発生を十分に抑えることができない。従って、こうした自動変速機が接続されるエンジン10の出力制御装置において、上記開度制限処理を実行するようにしても、上記実施形態と同様な作用効果を得ることができる。
・自動変速機30に設けられた締結要素としてクラッチ32を例に挙げたが、こうした締結要素としては、クラッチの他にブレーキもある。ここで一般的には、ブレーキを作動させる油圧室は回転しないため、上記遠心油圧は発生しない。しかし、ブレーキを作動させる油圧室が、機関回転速度の上昇に合わせて回転する場合には、そうしたブレーキを対象にして上述した開度制限処理を実施することにより、上記実施形態や変形例に準じた作用効果を得ることができる。
・上記実施形態では、機関出力を操作する出力操作部材が足で操作するアクセルペダルであったが、この他の部材でもよい。例えば、手で操作するアクセルレバーや、音声を使って機関出力を操作する部材(マイクや音声処理装置)でもよい。
10…エンジン、11…吸気通路、12…スロットルバルブ、20…トルクコンバータ、30…自動変速機、31…ピストン、31A…ピストン油圧室、31B…キャンセル油圧室、32…クラッチ、33…リターンスプリング、40…出力軸、50…デファレンシャルギヤ、60…駆動輪、70…シフトレバー装置、100…車両、200…機関用制御装置、300…クランク角センサ、310…吸入空気量センサ、320…スロットル開度センサ、330…水温センサ、340…車速センサ、350…アクセルセンサ、400…変速用制御装置。

Claims (2)

  1. 自動変速機が接続される内燃機関に適用されて、前記自動変速機に設けられた締結要素の状態を締結状態から解放状態に変更する解放要求が行われた後に機関出力を操作する出力操作部材が操作されたときには、吸気通路に設けられたスロットルバルブの開度が前記出力操作部材の操作量に対応した開度よりも小さくなるように制限する開度制限を前記出力操作部材が操作されてから所定の遅延時間が経過した後に実行する内燃機関の出力制御装置であって、
    前記出力操作部材の操作時における機関回転速度が、予め設定された第1回転速度よりも高く且つ前記第1回転速度よりも高い速度に予め設定された第2回転速度未満であるときには、機関回転速度が高いときほど前記遅延時間が短くなるように前記出力操作部材が操作されてからの機関回転速度の変化に追従させて前記遅延時間を可変設定し、
    前記出力操作部材の操作時における機関回転速度が、前記第2回転速度以上であるときには、前記遅延時間を「0」に設定する
    ことを特徴とする内燃機関の出力制御装置。
  2. 前記解放要求が行われた後の機関回転速度が予め定められた燃料カット速度を超えるときには燃料噴射を中止するとともに、前記燃料カット速度は、前記遅延時間が「0」に設定される機関回転速度よりも高い回転速度に設定されている
    請求項1に記載の内燃機関の出力制御装置。
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