JP6583130B2 - 車両の制御装置 - Google Patents

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本発明は車両の制御装置に関し、特に、車両に搭載されたエンジンと、エンジンから駆動輪への動力伝達経路中に流体伝動装置と並列に配設されたロックアップクラッチと、を制御するように構成された装置に関するものである。
エンジンと駆動輪との間に流体伝動装置が設けられている車両において、この流体伝動装置と並列にロックアップクラッチを配設する構成が広く採用されている。特許文献1が開示する装置では、減速走行時にロックアップクラッチを開放し且つフューエルカットを実行する構成において、この状態からのアクセルペダルの踏み込みに応答して、ロックアップクラッチの再係合とフューエルカットからの復帰(すなわち、エンジンの再始動)とを実行する。そしてこの場合に、アクセル踏み込みから所定時間はロックアップクラッチをスリップ状態に制御し、その後に完全係合に移行させている。これによって、エンジン始動ショックの駆動輪への伝達を抑制し、車両振動を軽減している。
特開平7−317895号公報
この構成によれば、ロックアップクラッチのスリップによってエンジン始動ショックの駆動軸への伝達が抑制されるため、車両振動を軽減できる。しかしながら、エンジントルクがあまりに大きい場合には、エンジン回転が急上昇してドライバに違和感を与え、また燃費低下につながるおそれがある。また、ロックアップクラッチが完全係合に移行する前に所定時間にわたりスリップ状態とするため、運転のダイレクト感が損なわれる。
他方、アクセル踏み込みと同時にロックアップクラッチを直ちに完全係合することとすると、フューエルカットからの復帰に伴うエンジン始動ショックや、減速から加速(被駆動から駆動)への移行に伴う動力伝達経路のバックラッシュの詰まりによるショックが駆動輪に伝達され、車両振動が増大してしまう。
本発明は以上の事情を背景として為されたものであり、その目的は、減速状態からのアクセル踏み込み時に、運転のダイレクト感の喪失や燃費低下を抑制でき、かつ駆動輪へのショックの伝達をも抑制できる新規な手段を提供することにある。
かかる目的を達成するために、本発明は、
車両に搭載されたエンジンと、当該エンジンから駆動輪への動力伝達経路中に流体伝動装置と並列に配設されたロックアップクラッチと、を制御するように構成された車両の制御装置であって、
車両の減速状態かつアクセルオフの場合にロックアップクラッチを解放状態またはスリップ状態に制御するロックアップクラッチ制御手段と、
車速が所定値以上かつアクセルオフの場合にエンジンへの燃料供給を停止するフューエルカットを実行する減速時フューエルカット手段と、
車両の減速状態からのアクセル踏み込みに応答してフューエルカットから復帰する復帰手段と、
駆動輪におけるトルク変動を打ち消すようにエンジントルクの制振制御を実行する制振手段と、
を備えた車両の制御装置において、
前記フューエルカットからの復帰時に前記エンジンが被駆動状態から駆動状態に反転する際のエンジントルクを抑制するトルク抑制制御を実行するトルク抑制手段と、
車両の減速状態からのアクセル踏み込みに応答して、ロックアップクラッチが係合可能であるかを運転状態に基づいて判定するロックアップ係合可能性判定手段と、
前記トルク抑制制御の終了後には、エンジントルクが制振制御に適した所定値以上であること及び該制振制御が禁止されていないことの制振制御条件を充足して当該制振制御が実行可能かを前記トルク抑制制御の実行中に判定する制振制御実行可能性判定手段と、
を更に備え、
前記ロックアップ係合可能性判定手段によってロックアップクラッチが係合可能であると判定され、且つ、前記制振制御実行可能性判定手段によって制振制御が実行可能であると判定された場合に、前記ロックアップクラッチ制御手段はロックアップクラッチを完全係合させ、かつ前記制振手段は前記トルク抑制制御の終了後に前記制振制御を実行し、
前記ロックアップ係合可能性判定手段によってロックアップクラッチが係合不可能であると判定された場合、又は前記制振制御実行可能性判定手段によって制振制御が実行不可能であると判定された場合に、前記ロックアップクラッチ制御手段はロックアップクラッチをスリップ状態あるいは解放状態に制御し、かつ前記制振手段は前記制振制御を実行せず、
前記ロックアップクラッチ制御手段は、前記制振制御の終了後には前記ロックアップクラッチへの供給油圧を、前記制振制御を実行しない状態において前記ロックアップクラッチの完全係合が可能な第1の圧力とし、前記制振制御の実行中には前記ロックアップクラッチへの供給油圧を前記第1の圧力よりも高い第2の圧力とする
ように構成されていることを特徴とする。
本発明では、車両の減速状態かつアクセルオフの場合に、ロックアップクラッチ制御手段は、ロックアップクラッチを解放状態またはスリップ状態に制御する。減速時フューエルカット手段は、車速が所定値以上かつアクセルオフの場合にエンジンへの燃料供給を停止するフューエルカットを実行する。復帰手段は、車両の減速状態からのアクセル踏み込みに応答してフューエルカットから復帰する。トルク抑制手段は、フューエルカットからの復帰時にトルク抑制制御を実行する。
ロックアップ係合可能性判定手段は、車両の減速状態からのアクセル踏み込みに応答して、ロックアップクラッチが係合可能であるかを運転状態に基づいて判定する。フィードバック実行可能性判定手段は、トルク抑制制御の終了後には制振制御が実行可能かを、トルク抑制制御の実行中に判定する。
そして、ロックアップクラッチが係合可能であると判定され、且つ、制振制御が実行可能であると判定された場合に、ロックアップクラッチ制御手段は、ロックアップクラッチを完全係合させ、かつ制振手段は、前記トルク抑制制御の終了後に前記制振制御を実行する。
このように減速状態からのアクセル踏み込み時に、ロックアップクラッチが係合可能であると判定され、且つ、制振制御が実行可能であると判定された場合に、ロックアップクラッチが完全係合されるので、運転のダイレクト感の喪失や燃費低下が抑制される。また、この際にトルク抑制制御と、これに続く制振制御とが実行されるので、駆動輪へのショックの伝達をも抑制できる。そして、制振制御が実行可能かを、トルク抑制制御の実行中に判定するので、制振制御に迅速に移行することができる。
他方、ロックアップクラッチが係合不可能であると判定された場合、又は、制振制御が実行不可能であると判定された場合に、ロックアップクラッチ制御手段はロックアップクラッチをスリップ状態あるいは解放状態に制御し、かつ制振手段は制振制御を実行しない。すなわち、このように、ロックアップクラッチの係合と制振制御の実行とのうち一方が不可能である場合に、可能である他方のみが実行されることがない。したがって、ロックアップクラッチが係合不可能である場合の制振制御の実行による不完全な制振や共振の発生、及び制振制御の実行が不可能である場合のロックアップクラッチの完全係合によるエンジン始動直後の振動の駆動輪への伝達を回避することができる。
さらに、ロックアップクラッチ制御手段は、制振制御の終了後にはロックアップクラッチへの供給油圧を、制振制御を実行しない状態においてロックアップクラッチの完全係合が可能な第1の圧力とし、制振制御の実行中にはロックアップクラッチへの供給油圧を前記第1の圧力よりも高い第2の圧力とするので、制振制御の実行によって比較的大きなトルクがロックアップクラッチに作用しても、ロックアップクラッチの意図しない滑りと、これに起因する回転数の吹き上がりを抑制することが可能になる。また、制振制御の終了後にはロックアップクラッチへの供給油圧を第1の圧力とするので、これに引き続いてロックアップクラッチを完全解放する際の所要時間を抑制でき、また、不要に高い油圧を供給することに起因する燃費の悪化を抑制できる。
本発明の実施形態に係る車両を概略的に示す機能ブロック図である。 ロックアップクラッチを完全係合/スリップ係合/完全解放するための油圧制御回路の主要部の構成を模式的に表す油圧回路図である。 チップイン動作に応答してエンジンが再始動され、トルク抑制制御及び制振制御が行われる際のアクセルペダル開度、エンジントルク及び車両前後加速度の推移を示すタイミングチャートである。 エンジン回転速度およびスロットル開度と、車両の完全解放領域・完全係合領域およびスリップ係合領域との関係を模式的に表す運転領域マップである。 入力トルク及び油温と、ロックアップクラッチへの供給油圧との関係を模式的に表すロックアップ圧設定マップである。 制振制御の概念を示すためにエンジントルクと駆動軸トルクの推移を示すタイミングチャートである。 チップイン時連携制御のうち、エンジンECUで行われる部分の処理ルーチンを示すフローチャートである。 チップイン時連携制御のうち、ATECUで行われる部分の処理ルーチンを示すフローチャートである。 制振制御の制御ステータスの遷移前後の状態と、ロックアップクラッチの動作との関係を示す対応表である。 制振制御が正常に終了した場合の本実施形態の動作を示すタイミングチャートである。 制振制御が異常終了した場合の本実施形態の動作を示すタイミングチャートである。
本発明を火花点火方式の多気筒内燃機関が搭載された車両に応用した一実施形態について、図1〜図11を参照しながら詳細に説明する。しかしながら、本発明はこのような実施形態のみに限らず、本発明の適用対象となるものに対して要求される特性に応じ、その構成を適宜変更することが可能である。
図1において、本実施形態におけるエンジンEは、燃料であるガソリンを燃料噴射弁11から燃焼室内に直接噴射し、点火プラグ13によって着火させる火花点火方式の多気筒内燃機関である。エンジンEは他の形式でもよく、燃料はアルコール、ガソリンとアルコールとの混合物、あるいは液化天然ガスなど他のものであっても良い。
エンジンEの出力軸には、トルクコンバータ50を介して自動変速機40が接続され、この自動変速機40の出力軸が、差動装置41及び駆動軸42を介して、駆動輪Wに接続されている。自動変速機40は、例えば3つの遊星歯車列と、油圧を用いて係合/解放が制御される6つの摩擦係合要素(クラッチ及びブレーキ)とを具えた自動変速機であるが、他の方式の変速機、例えば変速比を連続的に変更し得るベルト式CVT(Continuously Variable Transmission)を採用することも可能である。
図2に示されるように、本実施形態におけるトルクコンバータ50は、流体伝動装置であって、ポンプインペラ52と、タービンランナ51と、ステーター(不図示)と、これらを収容するトルクコンバータケース54とを具えた一般的なものである。トルクコンバータケース54に一体的に設けられたポンプインペラ52と対向するタービンランナ51は、自動変速機40の入力軸に連結されている。タービンランナ51とトルクコンバータケース54との間には、油圧を利用してポンプインペラ52とタービンランナ51とを一体的に接続し得るロックアップクラッチ56が設けられている。ロックアップクラッチ56は、エンジンEから駆動輪Wへの動力伝達経路中に、トルクコンバータ50と並列に配設されている。ロックアップクラッチ56は湿式多板型であり、そのクラッチピストンの作動チャンバーに自動変速機油を供給することによって作動する。このロックアップクラッチ56の係合/係合解除を行うため、エンジンEの出力軸に連結されたトルクコンバータケース54には、自動変速機油を給排するための2つのポート、すなわち係合解除ポート57および係合ポート58が設けられている。
ロックアップクラッチ56は、油圧制御回路90によって制御される。油圧制御回路90の主要部の構成は、図2に模式的に示されるとおりである。エンジンEには機械式オイルポンプ32が連結され、従って機械式オイルポンプ32はエンジンEの作動と連動して作動する。この機械式オイルポンプ32によって発生し、調圧弁91により調圧されるライン圧は、ロックアップクラッチ56の係合解除ポート57および係合ポート58に供給される。
機械式オイルポンプ32とトルクコンバータ50の係合ポート58および係合解除ポート57と間には、ロックアップクラッチ56の接続状態を切り換えるための電磁切換弁92が配されている。また、この電磁切換弁92と機械式オイルポンプ32との間には、ロックアップクラッチ56の係合解除ポート57に供給される油圧を調整するための電磁比例減圧弁93が配されている。電磁切換弁92は、非通電時にはライン圧をトルクコンバータ50の係合解除ポート57に供給すると共にトルクコンバータ50の係合ポート58を排油側に接続し、トルクコンバータ50を完全解放状態にする。通電時には逆に、ライン圧をトルクコンバータ50の係合ポート58に供給すると共に電磁比例減圧弁93を介してライン圧を係合解除ポート57に供給する。この時、電磁比例減圧弁93の作動を制御することにより、ロックアップクラッチ56を完全係合状態またはスリップ係合状態にすることができる。
ロックアップクラッチ56の完全係合状態は、係合解除ポート57とライン圧がそのまま供給される係合ポート58との差圧が最大となる状態である。また、この明細書におけるスリップ係合状態とは、ロックアップクラッチ56の機械的摩擦力を伴ってトルクコンバータ50のポンプインペラ52とタービンランナ51とが相対回転する状態を意味する。
再び図1において、本実施形態に係る車両は、電子制御装置(Electronic Control Unit)であるエンジンECU15a及びATECU15bを備えている。これらエンジンECU15a及びATECU15bは、いずれもCPU(Central Processing Unit)を中心としたワンチップマイクロプロセッサとして構成されており、処理プログラムを記憶したROMと、一時的にデータを記憶するRAMと、入出力ポートと、両ECU間及び他のECUとの通信を行なう通信ポートとを備える。
燃料噴射弁11から燃焼室内に供給される燃料の量および噴射タイミングは、運転者によるアクセルペダルの踏み込み量を含む車両の運転状態に基づいて、エンジンECU15aにより制御される。アクセルペダルの踏み込み量は、アクセル開度センサ16により検出され出力される。図示しない吸気管には、エアーフローメータ21とスロットル弁22とが組み込まれている。エアーフローメータ21は、吸気通路を流れる吸気流量を検出してこれを出力する。このエアーフローメータ21よりも吸気管の下流側に配されるスロットル弁22は、アクセルペダルの踏み込み量に基づき、スロットルアクチュエーターを介して吸気通路の開度を調整する。なお、本明細書にいう「アクセル踏み込み」は、ペダル式のアクセル(エンジン出力操作装置)における踏み込みのほか、他の方式の操作装置における0でないエンジン出力要求を含む。本実施形態では、アクセルペダルの踏み込み動作と、スロットル弁22の開閉動作とを機械的に切り離し、スロットルアクチュエーターを用いてスロットル弁22の開閉動作を電気的に制御できるようにしている。エンジンEの図示しないクランク軸には、クランク軸の回転位相すなわちクランク角を検出して出力するクランク角センサ28が取り付けられている。駆動輪Wの近傍には車速を検出して出力するための車速センサ29が取り付けられている。
エンジンECU15aは、車両の運転状態に基づき、上述した燃料噴射弁11の作動や点火プラグ13の点火時期ならびにスロットル弁22の開度などを制御する。エンジン回転数及びアクセルペダルの踏み込み量に基づく基本的な運転制御に加えて、エンジンECU15aは、以下の減速時フューエルカット制御、トルク抑制制御、及び制振制御を実行できるように構成されている。
[減速時フューエルカット制御]
エンジンECU15aでは、運転状態に応じて減速時フューエルカット制御が実行される。減速時フューエルカット制御は、車両の減速時(エンジンECU15aが、車速が所定値以上かつアクセルペダルの踏み込み量がほぼ0と判断したとき)であって、エンジン回転数が規定値以上の場合に、燃料噴射弁11への駆動信号を遮断し、燃料噴射を停止する制御である。燃料噴射の停止時には点火プラグ13による点火も停止される。減速時フューエルカット制御は、燃費の向上及び触媒の過熱防止を目的として行われる。減速時フューエルカット制御の終了条件としては、例えば、機関回転数が予め定められた下限値以下であること、及び、アクセル開度センサ16の検出信号(アクセル開度)が0より大きいことが挙げられるが、これらに限られない。したがって、車両の減速状態からのアクセル踏み込み(以下適宜「チップイン動作」という。)に応答して、フューエルカットから復帰、すなわち燃料噴射と点火とが再開されてエンジンEが再始動される。なお、エンジンECU15aのうち減速時フューエルカット制御に係る部分は、本発明における減速時フューエルカット手段を構成し、フューエルカットからの復帰に係る部分は、本発明における復帰手段を構成する。
[トルク抑制制御]
エンジンECU15aでは、フューエルカットからの復帰時に、トルク抑制制御が実行される。このトルク抑制制御は、駆動系が被駆動状態から駆動状態に反転する際における駆動系のバックラッシュに起因する振動を抑制することを目的として行われる。具体的には、図3に示されるように、チップイン動作(t0)に応答してエンジンEが再始動されるが(図3における時刻t0〜t1の区間I=フューエルカット復帰フェーズ)、その際に、再始動に適したスロットル開度のプロファイル(時間的推移)が適用されてスロットル弁22が制御されると共に、この再始動用のスロットル開度に対応するエンジントルク(tq1、ドライバ要求トルク)よりも低いトルク(tq2)に、エンジントルクが抑制される(時刻t1〜t2の区間II=トルク抑制制御フェーズ)。このエンジントルクの抑制は、点火プラグ13の点火時期の遅角量の増大によって行われる。この場合の点火時期の遅角量は、アクセルペダルの踏み込み量、このアクセルペダルの踏み込み量に対応する目標エンジン回転数、及び現在の車速に基づいて所定のマップを参照することによって決定される。このトルク抑制制御によって、ギヤの噛み合いをエンジンの被駆動側(従動側)から駆動側に押し当てる為の押し当てトルク(すなわち、バックラッシュを詰める為のトルク抑制用トルク)が付与され、バックラッシュに起因する振動が抑制される。なお、エンジンECU15aのうちトルク抑制制御に係る部分は、本発明におけるトルク抑制手段を構成する。
[制振制御]
エンジンECU15aでは、エンジン再始動時の駆動輪におけるトルク変動を打ち消すように制振制御が実行される(図3における時刻t2〜t3の区間III=制振制御フェーズ)。この制振制御は、チップイン動作に伴う駆動系の捩り振動を抑制することを目的として行われる。具体的には、チップイン動作に伴って振動する入力軸回転数Neと、振動しにくい出力軸回転数Nwとの偏差を回転変動として算出し、この回転変動を相殺するように、回転変動と同位相のフィードバックトルクを、エンジンのトルク目標値から減算する(換言すれば、回転変動と逆位相のフィードバックトルクを、エンジンのトルク目標値に加算する)ことによって行われる。この制振制御の概念は図6に示されるとおりであり、制振制御を行わない場合のエンジントルクが曲線a1で表され、行った場合のエンジントルクが曲線a2で表される。制振制御を行わない場合の駆動軸トルクが曲線b1で表され、行った場合の駆動軸トルクが曲線b2で表される。入力軸回転数Neはクランク角センサ28によって検出され、出力軸回転数は車速センサ29によって検出される。なお、検出の遅延に基づくフィードバックトルクの位相遅れを補償するために、位相補償としてフィードバックトルクの進角処理を行うことができ、その進角量は固定値としても、あるいはギヤ段をパラメータとして含む所定のマップに基づいて任意の可変値に設定しても良い。
この制振制御には、その制御ステータス(進捗状況)として、後述のとおり「非作動」「待機」「FB」「復帰」「強制復帰」「終了」の各ステータスが設けられており、これら各ステータスを参照可能にするために、エンジンECU15aのメモリには各ステータスに対応するフラグが設けられている。これらのフラグは、エンジンECU15aによってオン及びオフ(セット及びリセット)されATECU15bによって参照される。これらのフラグのいずれもオンされていない場合には、制御ステータスは「非作動」である。制振制御の実行が可能とされる条件は、その制御ステータスが「待機」であることである。なお、エンジンECU15aのうち制振制御に係る部分は、本発明における制振手段を構成する。
電子制御装置であるATECU15bは、エンジン回転速度とスロットル開度とに基づき、適切な変速段が達成されるように、油圧制御回路90を介して自動変速機40の各摩擦係合要素、ならびにロックアップクラッチ56の係合/解放などを制御する。ATECU15b,機械式オイルポンプ32,トルクコンバータ50の係合解除ポート57および係合ポート58,油圧制御回路90の電磁切換弁92や電磁比例減圧弁93などが、本発明におけるロックアップクラッチ制御手段として機能する。
以下、ロックアップクラッチ56が完全係合状態となる車両の運転領域を完全係合領域と記述し、ロックアップクラッチ56がスリップ係合状態となる車両の運転領域をスリップ係合領域と記述する。また、ロックアップクラッチ56が完全解放状態となる車両の運転領域を完全解放領域と記述する。
ロックアップクラッチ56が完全解放状態となる車両の完全解放領域は、以下に列挙するa)〜c)の運転状態の何れかを少なくとも含むが、これらに限定されない。
(a)エンジン回転数およびスロットル開度が、完全係合領域またはスリップ係合領域にない場合
(b)冷却水温または自動変速機油の油温が低すぎる場合
(c)自動変速機油の油温が高すぎる場合。
図4に示されるように、車両の完全係合領域は、基本的にエンジン回転速度が所定以上(例えば1000rpm以上)となる高回転域であるが、これに限定されない。車両のスリップ係合領域は、エンジン回転速度が中回転域であって、かつスロットル開度が所定以下となる領域であるが、これに限定されない。エンジン回転速度の上昇時と下降時とで、各領域の境界を異なるように設定しても良い。このように設定された車両の完全係合領域およびスリップ係合領域は、運転領域マップとしてATECU15bに記憶されており、ATECU15bは、エンジン回転速度およびスロットル開度に基づき運転領域マップを参照し、油圧制御回路90を介してロックアップクラッチ56の完全係合/スリップ係合/完全解放を切り換える。したがって、ロックアップクラッチ56の係合(すなわち、完全係合又はスリップ係合)が可能とされる条件は、その運転状態(エンジン回転速度及びスロットル開度)が完全係合領域又はスリップ係合領域にあることである。
スリップ係合領域において適用されるトルクコンバータ50のポンプインペラ52とタービンランナ51との回転差、すなわちトルクコンバータ50のスリップ量ΔNは、車両の運転状態に応じた適切な値が選択される。このため、トルクコンバータ50のポンプインペラ52側およびタービンランナ51側の回転速度をそれぞれ検出してこれらをATECU15bに出力するトルコン入力軸回転速度センサ35およびトルコン出力軸回転速度センサ36が設けられている。目標スリップ量ΔNrは、エンジン回転速度とスロットル開度とに基づいて設定されたマップとして、ATECU15bにあらかじめ記憶されている。ATECU15bは、係合解除ポート57に供給される圧油の油圧を電磁比例減圧弁93にて調整することにより、トルクコンバータ50のスリップ量ΔNを、当該マップから取得される目標スリップ量ΔNrに近づけるように制御することができる。
ATECU15bは、車両の運転状態に基づき、自動変速機内の摩擦要素(クラッチ及びブレーキ)、及びトルクコンバータ50のロックアップクラッチ56の動作を制御する。エンジン回転数及びアクセルペダルの踏み込み量に基づく基本的な動作制御に加えて、ATECU15bは、以下の減速スリップ制御を実行できるように構成されている。
[減速スリップ制御]
ATECU15bでは、運転状態に応じて減速スリップ制御が実行される。減速スリップ制御は、エンジン回転数およびスロットル開度が、完全係合領域にある場合であっても、車両の被駆動走行状態すなわち減速惰行走行中には、ロックアップクラッチ56をスリップ係合状態に制御するものである。具体的には、この減速スリップ制御は、エンジン回転数及びスロットル開度が完全係合領域またはスリップ係合領域にあること、及び、スロットル開度がほぼ0であることなどを条件として実行される。ATECU15bによって減速スリップ制御が実行中である場合には、所定の減速スリップ制御フラグがオンされる。なお、ATECU15bのうち減速スリップ制御に係る部分は、本発明におけるロックアップクラッチ制御手段を構成する。
さらに、本実施形態では、ロックアップクラッチ56を完全係合状態に制御する場合において、ロックアップクラッチ56に供給される油圧を、制振制御の実行中と、制振制御の終了後とで、異なる値としている。具体的には、制振制御の終了後にはロックアップクラッチ56への供給油圧を、制振制御を実行しない状態においてロックアップクラッチ56の完全係合が可能な定常時ロックアップ圧P1(第1の圧力)とし、制振制御の実行中には、ロックアップクラッチ56への供給油圧を定常時ロックアップ圧P1よりも高い制振制御時ロックアップ圧P2(第2の圧力)とする。そして、定常時ロックアップ圧P1は例えば予め設定した固定値とする一方、制振制御時ロックアップ圧P2は、入力トルクと油温とに応じて異なる値としている。この制振制御時ロックアップ圧P2を算出するために、図5に示されるようなロックアップ圧設定マップがあらかじめ作成され、ATECU15bのROMに記憶されている。図示のとおり、制振制御時ロックアップ圧P2は、入力トルクが大きいほど、また油温が低いほど、大きい値をとるように設定されている。そして、この制振制御時ロックアップ圧P2は、定常時ロックアップ圧P1よりも大きい値とする。このロックアップ圧設定マップは、ATECU15bによって後述のとおり参照される。
さて、本実施形態では、エンジンECU15aとATECU15bとの連携により、車両の減速状態からのアクセル踏み込みに応答して、エンジンEとロックアップクラッチ56との連携した制御が行われる(以下適宜「チップイン時連携制御」という)。このチップイン時連携制御では、ロックアップクラッチ56が係合可能であるか、及びトルク抑制制御の終了後には制振制御が実行可能かを判定すると共に、これらの判定結果に応じて、ロックアップクラッチ56の完全係合と、トルク抑制制御の終了後における制振制御とを実行するか否かが決定される。
図7はこのチップイン時連携制御のうち、エンジンECU15aで行われる部分の処理ルーチンを示す。図7の処理ルーチンは、車両の走行中に所定のサイクルタイムΔtごとに繰り返し実行される。処理が開始されると、エンジンECU15aは、チップインがあったかを判断し(S10)、否定の場合には処理がリターンされる。この判断は、車速センサ29及びアクセル開度センサ16の検出値に基づいて行われ、車速が一定以上であり且つアクセル開度が0でない場合に肯定される。肯定すなわちチップインがあった場合には、エンジンECU15aは、トルク抑制制御を実行すると共に、待機フラグをオフする(S20)。このトルク抑制制御によって、ギヤの噛み合いをエンジンの被駆動側(従動側)から駆動側に押し当てる為の押し当てトルクが付与され、バックラッシュに起因する振動が抑制される。トルク抑制制御が終了するまで処理がループされる(S30)。トルク抑制制御が終了すると、エンジンECU15aは待機フラグをオンする(S40)。
次にエンジンECU15aは、制振制御条件が充足されているかを判断し(S50)、否定の場合には処理がループされる。制振制御条件は、「エンジントルクが制振制御に適した所定値以上であること」及び「制振制御禁止フラグがオフであること」である。エンジントルクは、アクセル踏み込み量、車速、及び点火時期に基づいて所定のマップにより推定することができる。制振制御禁止フラグはATECU15bに設けられており、後述のとおり所定の場合にオンされる。そして、制振制御条件が充足されると、エンジンECU15aは制振制御を開始すると共に、FBフラグをオンする(S60)。この制振制御の実行によって、再始動時のエンジントルクの振動に起因する駆動軸の振動が徐々に抑制される。エンジントルクがドライバ要求トルクと所定範囲内で一致すると(S70)、エンジンECUはフィードバックフラグをオフし、復帰フラグをオンする(S80)。そして、所定の終了条件が充足されたことを条件に(S90)、制振制御が終了され(S100)、復帰フラグがオフされ、かつ終了フラグがオンされる(S110)。なお、この終了の条件は、例えばエンジントルクがドライバ要求トルクに到達したことである。
制振制御の終了(S100)から所定時間が経過したこと(S120)を条件に、終了フラグがオフされ、かつ待機フラグがオンされる(S130)。
本ルーチンの実行中に所定の強制終了条件が成立した場合には、トルク抑制制御や制振制御が終了させられ、強制終了フラグがオンされ、他のフラグが全てオフされる。強制終了条件としては、例えば「エンジンがフェール(故障)していること」「アクセル踏み込み量が0になったこと」が挙げられ、複数ある場合にはいずれか1つが成立していれば強制終了条件が成立とみなされる。強制終了フラグは所定時間にわたりオン状態に維持され、その経過に伴ってオフされて、代わりに終了フラグがオンされる。
図8はチップイン時連携制御のうち、ATECU15bで行われる部分の処理ルーチンを示す。図8の処理ルーチンは、車両の走行中に、上述したエンジンECU15aでの処理と並行して、所定のサイクルタイムΔtごとに繰り返し実行される。処理が開始されると、ATECU15bは、チップインがあったかを判断し(S210)、この判断は、車速センサ29及びアクセル開度センサ16の検出値に基づいて行われる。
ステップS210で肯定、すなわちチップインがあった場合には、ATECU15bは、制振制御が開始したかを判断する(S220)。この判断は、エンジンECU15aにおける制御ステータスのフラグの参照によって行われ、当該チップインにおいて「待機」「FB」「復帰」「強制復帰」「終了」のいずれかのフラグがオンされた履歴がある場合には制振制御が開始されたものとして、以下のステップS220〜280がスキップされる。初期状態では制振制御が開始されていないので、ここでは否定される。
ステップS220で否定、すなわち制振制御が開始されていない場合には、ATECU15bは、ロックアップクラッチ56が完全係合領域にあるかを判断する(S230)。この判断は、上述したロックアップクラッチ56の係合が可能とされる条件に相当し、具体的には、現在のエンジン回転速度及びスロットル開度によって上述した図4の運転領域マップを参照することによって行われる。なお、このステップS230の処理は、本発明におけるロックアップ係合可能性判定手段を構成する。
ステップS230で肯定、すなわち運転状態が完全係合領域にある場合には、ATECU15bは、減速スリップ制御が実行中であるかを判断する(S240)。減速スリップ制御が実行中でない場合には、完全係合に迅速に移行できないからである。ステップS240の判断は、上述の減速スリップ制御フラグを参照することによって行われる。
ステップS240で肯定、すなわち減速スリップ制御が実行中である場合には、ATECU15bは、ロックアップクラッチ56がいわゆるパック詰まりの状態にあるかを判断する(S250)。パック詰まりとは、油圧によって押されたピストンが、各摩擦材間の隙間(クリアランス)が無くなるまで押し付けられた状態、換言すれば、初期係合油圧が供給されている状態をいう。ロックアップクラッチ56がパック詰まりの状態にない場合には、完全係合に迅速に移行できないからである。ステップS250の判断は、油圧制御回路90内の油圧波形に基づくクラッチピストン位置の推定演算によって行われる。
ステップS250で肯定、すなわちパック詰まりの状態にある場合には、ATECU15bは、スリップ量ΔNが許容範囲内かを判断する(S260)。スリップ量ΔNが大きすぎる場合には、完全係合に移行した際の係合ショックが許容範囲外となるからである。ステップS260の判断は、トルコン入力軸回転速度センサ35およびトルコン出力軸回転速度センサ36の検出値の差分に基づいて行われる。
ステップS260で肯定、すなわちスリップ量ΔNが許容範囲内である場合には、ATECU15bは、現在のエンジン回転速度が所定の失火ガード回転数よりも大であるかを判断する(S270)。この判断は、クランク角センサ28の検出値に基づいて行われる。
ステップS270で肯定、すなわち現在のエンジン回転速度が所定の失火ガード回転数よりも大である場合には、ATECU15bは、油温が所定値以上かを判断する(S280)。油温が低い場合には、完全係合に迅速に移行できないからである。この判断は、油温センサ34の検出値に基づいて行われる。
ステップS280で肯定、すなわち油温が所定値以上である場合には、ATECU15bは、制振制御が実行済みかを判断する(S290)。この判断は、エンジンECU15aにおけるFBフラグの参照によって行われ、当該チップインにおいてFBフラグがオンされた履歴がある場合には実行済みとされる。
ステップS290で否定、すなわち当該チップインにおいて制振制御が実行済みでない場合には、ATECU15bは、制振制御の制御ステータスが「待機」であるかを判断する(S300)。この判断は、トルク抑制制御が終了して制振制御を実行可能かをトルク抑制制御の実行中から判定する手段(制振制御実行可能性判定手段)に相当する。この判断は、エンジンECU15aの待機フラグの参照により行われる。制振制御の制御ステータスが「待機」(トルク抑制制御終了後で制振制御を実行可能に待機フラグがオン)である場合には、完全係合油圧の目標値が制振制御時ロックアップ圧P2にセットされる(S310)。ここでの制振制御時ロックアップ圧P2は、図5のロックアップ圧設定マップを、エンジントルク(入力トルク)と油温とによって参照することによって設定される。このため、制振制御時ロックアップ圧P2は、エンジントルクが大きいほど、また油温が低いほど、大きい値をとるように設定される。次に、ATECU15bはロックアップクラッチ56に対して、セットされた目標値の油圧を供給し、これによってロックアップクラッチ56が完全係合されて(S320)処理がリターンされる。したがって、トルク抑制制御の残余の部分と、これに引き続く制振制御とが、ロックアップクラッチ56が完全係合された状態で実行される。
他方、ステップS300で否定、すなわち制振制御の制御ステータスが「待機」でない場合には、次にATECU15bは、制御ステータスが「FB」又は「復帰」であるかを判断する(S330)。この判断も、トルク抑制制御が終了して制振制御を実行可能かをトルク抑制制御の実行中から判定する手段(制振制御実行可能性判定手段)に相当する。
この判断も、エンジンECU15aのフラグの参照により行われる。制振制御の制御ステータスが「FB」又は「復帰」(トルク抑制制御終了後で制振制御を実行可能にFBフラグまたは復帰フラグがオン)である場合には、完全係合油圧の目標値が制振制御時ロックアップ圧P2に設定(S310)されたのち、ロックアップクラッチ56が完全係合されて(S320)処理がリターンされる。したがって、制振制御の残余の部分が、ロックアップクラッチ56が完全係合された状態で実行される。ステップS330で否定、すなわち制御ステータスが「非作動」又は「強制復帰」の場合には、ロックアップクラッチ56がスリップ係合に移行させられて(S360)処理がリターンされる。
ステップS290で肯定、すなわち当該チップインにおいて制振制御が実行済みとなった場合には、ATECU15bは、制振制御が正常開始して正常終了したかを判断する(S340)。この判断は、エンジンECU15aの上記各フラグの参照により行われる。ここで「正常開始」とは、チップイン時に制御ステータスが「待機」であったことであり、「正常終了」とは、制御ステータスが「待機」「FB」「復帰」「終了」をこの順で推移したことである。これに対し、「異常終了」とは、「正常終了」以外の場合、すなわち、「FB」から「強制復帰」に移行した場合と、「復帰」から「強制復帰」に移行した場合である。具体的には、制御ステータスが「FB」あるいは「復帰」であるときに、エンジンフェールがあり、あるいはドライバがアクセルペダルから足を離した場合に「強制復帰」に移行する。ステップS340で肯定(正常開始かつ正常終了)の場合には、完全係合油圧の目標値が定常時ロックアップ圧P1にセットされる(S360)。この定常時ロックアップ圧P1は、制振制御の終了後に適用される値であって、制振制御を実行しない状態においてロックアップクラッチ56の完全係合を維持可能な値に設定されている。定常時ロックアップ圧P1は例えば固定値とするが、図5のロックアップ圧設定マップに類似のマップ(ただし、定常時ロックアップ圧P1を制振制御時ロックアップ圧P2よりも低い値となるようにしたもの)を設けて、エンジントルクと油温とによって参照することによって設定してもよい。次に、ATECU15bはロックアップクラッチ56に対して、セットされた目標値の油圧を供給し、これによってロックアップクラッチ56が引き続き完全係合されて(S320)処理がリターンされる。なお、目標値が制振制御時ロックアップ圧P2から定常時ロックアップ圧P1に変更されることに伴って、係合ショックを抑制するために、ATECU15bは、ロックアップ圧P2から定常時ロックアップ圧P1への移行の際に圧力値が徐変するように(すなわち、圧力値の時間あたり変化量を抑制するように)、油圧制御回路90を制御する。ステップS340で否定の場合には、ロックアップクラッチ56がスリップ係合に移行させられて(S360)処理がリターンされる。
他方、ステップS210,S230〜S280のいずれかで否定の場合には、ロックアップクラッチ56がスリップ係合に移行させられ(S370)、且つ、制振制御が禁止される(S380)。制振制御の禁止はATECU15bの所定の制振制御禁止フラグをオンすることによって行われ、当該フラグはエンジンECU15aによって参照される。
図9は、制御ステータスの遷移前後の状態と、ロックアップクラッチ56の動作との関係を示す対応表である。図9に示されるとおり、「非作動」から「待機」に遷移するとき、「待機」から「FB」に遷移するとき、「FB」から「復帰」に遷移するとき、及び「復帰」から「終了」に遷移するときには、ロックアップクラッチ56は完全係合される。他方、例えば「FB」から「強制復帰」に遷移するとき、及び「復帰」から「強制復帰」に遷移するときには、一定時間のスリップ係合が行われる。なお、図9における「遷移なし」とは、そのような遷移が生じ得ないことを示す。
図10は、制振制御が正常に終了した場合の本実施形態の動作を示すタイミングチャートである。図10において、いま時刻t0においてチップインが生じると、これに応答して、エンジンECU15aの制御によりエンジンEが再始動され(i)、且つトルク抑制制御が実行される(ii)。また、これと同時に、ロックアップクラッチ56が完全係合される(iii)。このとき、ロックアップクラッチ56への供給油圧は目標値を制振制御時ロックアップ圧P2として制御される。トルク抑制制御が終了すると(iv)、制振制御がフィードバック(v)、復帰(vi)、終了(vii)に移行し、その後待機に移行する(t4)。このように制御ステータスが「待機」「FB」「復帰」「終了」をこの順で推移した場合、すなわち制振制御が正常終了した場合(ステップS340で肯定、vii)には、完全係合油圧の目標値が定常時ロックアップ圧P1にセットされ(S360)、ATECU15bはロックアップクラッチ56に対して、セットされた定常時ロックアップ圧P1の油圧を供給する(viii)。したがって、ロックアップクラッチ56への供給油圧はロックアップ圧P2から定常時ロックアップ圧P1へと徐々に低下し、ロックアップクラッチ56は引き続き完全係合される(S320)。このようにして、チップインが生じた時刻t0から、トルク抑制制御及び制振制御を経てその後の加速走行に至るまで、ロックアップクラッチ56は完全係合を続けることになる。
これに対し、時刻t0においてチップインが生じた際に、制御ステータスが「非作動」である場合(c1)には、ステップS300及びS330での否定を経て、ロックアップクラッチ56がスリップ係合に移行させられる(S360、c2)。この場合にはトルク抑制制御は行われない(c3)。
図11は、制振制御が異常終了した場合の本実施形態の動作を示すタイミングチャートである。図11において、いま時刻t0においてチップインが生じると、これに応答して、エンジンECU15aの制御によりエンジンEが再始動され(i)、且つトルク抑制制御が実行される(ii)。また、これと同時に、ロックアップクラッチ56が完全係合される(iii)。このとき、ロックアップクラッチ56への供給油圧は目標値を制振制御時ロックアップ圧P2として制御される。トルク抑制制御が終了すると(iv)、制振制御がフィードバック(v)に移行する。しかし、ここで時刻tpにおいて、エンジンがフェール(故障)した、あるいはアクセル踏み込み量が0になったなどの強制終了条件が成立すると、制振制御が強制復帰に移行(viii)し、強制復帰フラグがオンされる。これに応答して、ロックアップクラッチ56が一定時間のスリップ係合に移行し、その後、当該一定時間が経過すると、完全係合に移行する(時刻tq)。強制復帰の場合に直ちにロックアップクラッチ56の完全解放に移行するのではなく、一定時間のスリップ係合を行うようにしたため、当該一定時間の経過後に完全係合が可能である場合に完全係合に迅速に移行することができる。時刻tqにおける完全係合への移行後には、ロックアップクラッチ56への供給油圧は定常時ロックアップ圧P1とされる。なお、係合ショックを抑制するために、ATECU15bは、時刻tp及びtqでのロックアップクラッチ油圧の移行の際に圧力値が徐変するように(すなわち、圧力値の時間あたり変化量を抑制するように)、油圧制御回路90を制御する。
以上のとおり、本実施形態では、車両の減速状態かつアクセルオフの場合に、ATECU15bは、ロックアップクラッチ56をスリップ状態に制御する。エンジンECU15aは、車速が所定値以上かつアクセルオフの場合にエンジンEへの燃料供給を停止するフューエルカットを実行し、また、車両の減速状態からのアクセル踏み込みに応答してフューエルカットから復帰する。エンジンECU15aは更に、フューエルカットからの復帰時にトルク抑制制御を実行する。
ここでエンジンECU15aは、車両の減速状態からのアクセル踏み込みに応答して、ロックアップクラッチ56が係合可能であるかを運転状態に基づいて判定する(S230)。またエンジンECU15aは、トルク抑制制御の終了後には制振制御が実行可能かを、トルク抑制制御の実行中に判定する(S300)。
そして、ロックアップクラッチ56が係合可能であると判定(S230=Yes)され、且つ、制振制御が実行可能であると判定(S300=Yes)された場合に、ATECU15bは、ロックアップクラッチ56を完全係合させ(S320)、かつエンジンECU15aは、トルク抑制制御(S20)の終了後に制振制御(S60)を実行する。
このように減速状態からのアクセル踏み込み時に、ロックアップクラッチ56が係合可能であると判定(S230=Yes)され、且つ、制振制御が実行可能であると判定(S300=Yes)された場合に、ロックアップクラッチ56が完全係合(S320)されるので、運転のダイレクト感の喪失や燃費低下が抑制される。また、この際にトルク抑制制御(S20)と、これに続く制振制御(S60)とが実行されるので、駆動輪Wへのショックの伝達をも抑制できる。そして、制振制御が実行可能かを、トルク抑制制御の実行中に判定(S300)するので、制振制御に迅速に移行することができる。
他方、ロックアップクラッチ56が係合不可能であると判定(S230=No)された場合、又は、制振制御が実行不可能であると判定(S300=No)された場合に、ATECU15bはロックアップクラッチ56をスリップ状態に制御し、かつエンジンECU15aは制振制御を実行しない。すなわち、このように、ロックアップクラッチ56の係合と制振制御の実行とのうち一方が不可能である場合に、可能である他方のみが実行されることがない。したがって、ロックアップクラッチ56が係合不可能である場合の制振制御の実行による不完全な制振や共振の発生、及び制振制御の実行が不可能である場合のロックアップクラッチ56の完全係合によるエンジン始動直後の振動の駆動輪Wへの伝達を回避することができる。
そして、ATECU15bは、制振制御の終了後にはロックアップクラッチ56への供給油圧を、制振制御を実行しない状態においてロックアップクラッチ56の完全係合が可能な定常時ロックアップ圧P1(第1の圧力)とし、制振制御の実行中にはロックアップクラッチ56への供給油圧を定常時ロックアップ圧P1よりも高い制振制御時ロックアップ圧P2(第2の圧力)とするので、制振制御の実行によって比較的大きなトルクがロックアップクラッチ56に作用しても、ロックアップクラッチ56の意図しない滑りと、これに起因する回転数の吹き上がりを抑制することが可能になる。また、制振制御の終了後にはロックアップクラッチ56への供給油圧を定常時ロックアップ圧P1とするので、これに引き続いてロックアップクラッチ56を完全解放する際の所要時間を抑制でき、また、不要に高い油圧を供給することに起因する燃費の悪化を抑制できる。
さらに、本実施形態では、制振制御時ロックアップ圧P2を、入力トルクと油温とに応じて異なる値とし、入力トルクが大きいほど、また油温が低いほど、大きい値をとるように設定するので、入力トルクと油温とに応じた過不足ない油圧を供給することができ、ロックアップクラッチ56の滑りや、不要に高い油圧を供給することに起因する燃費の悪化を好適に抑制することができる。
なお、本発明はその特許請求の範囲に記載された事項のみから解釈されるべきものであり、上述した実施形態においても、本発明の概念に包含されるあらゆる変更や修正が記載した事項以外に可能である。つまり、上述した実施形態におけるすべての事項は、本発明を限定するためのものではなく、本発明とは直接的に関係のない構成を含め、その用途や目的などに応じて任意に変更し得るものである。
例えば、上記実施形態では車両の減速状態かつアクセルオフの場合に、ATECU15bは、ロックアップクラッチ56をスリップ状態に制御することとしたが、解放状態に制御しても良い。また、ロックアップクラッチ56が係合不可能であると判定(S230=No)された場合、又は、制振制御が実行不可能であると判定(S300=No)された場合に、ATECU15bはロックアップクラッチ56を完全解放状態に制御しても良い。また、上記実施形態ではエンジンECU15aとATECU15bとを別個の電子制御装置として構成したが、両者は単一の電子制御装置で構成しても良い。
E エンジン
W 駆動輪
15 ECU
15a エンジンECU
15b ATECU
16 アクセル開度センサ
31 スロットルセンサ
40 自動変速機
50 トルクコンバータ
56 ロックアップクラッチ
90 油圧制御回路

Claims (1)

  1. 車両に搭載されたエンジンと、当該エンジンから駆動輪への動力伝達経路中に流体伝動装置と並列に配設されたロックアップクラッチと、を制御するように構成された車両の制御装置であって、
    車両の減速状態かつアクセルオフの場合にロックアップクラッチを解放状態またはスリップ状態に制御するロックアップクラッチ制御手段と、
    車速が所定値以上かつアクセルオフの場合にエンジンへの燃料供給を停止するフューエルカットを実行する減速時フューエルカット手段と、
    車両の減速状態からのアクセル踏み込みに応答してフューエルカットから復帰する復帰手段と、
    駆動輪におけるトルク変動を打ち消すようにエンジントルクの制振制御を実行する制振手段と、
    を備えた車両の制御装置において、
    前記フューエルカットからの復帰時に前記エンジンが被駆動状態から駆動状態に反転する際のエンジントルクを抑制するトルク抑制制御を実行するトルク抑制手段と、
    車両の減速状態からのアクセル踏み込みに応答して、ロックアップクラッチが係合可能であるかを運転状態に基づいて判定するロックアップ係合可能性判定手段と、
    前記トルク抑制制御の終了後には、エンジントルクが制振制御に適した所定値以上であること及び該制振制御が禁止されていないことの制振制御条件を充足して当該制振制御が実行可能かを前記トルク抑制制御の実行中に判定する制振制御実行可能性判定手段と、
    を更に備え、
    前記ロックアップ係合可能性判定手段によってロックアップクラッチが係合可能であると判定され、且つ、前記制振制御実行可能性判定手段によって制振制御が実行可能であると判定された場合に、前記ロックアップクラッチ制御手段はロックアップクラッチを完全係合させ、かつ前記制振手段は前記トルク抑制制御の終了後に前記制振制御を実行し、
    前記ロックアップ係合可能性判定手段によってロックアップクラッチが係合不可能であると判定された場合、又は前記制振制御実行可能性判定手段によって制振制御が実行不可能であると判定された場合に、前記ロックアップクラッチ制御手段はロックアップクラッチをスリップ状態あるいは解放状態に制御し、かつ前記制振手段は前記制振制御を実行せず、
    前記ロックアップクラッチ制御手段は、前記制振制御の終了後には前記ロックアップクラッチへの供給油圧を、前記制振制御を実行しない状態において前記ロックアップクラッチの完全係合が可能な第1の圧力とし、前記制振制御の実行中には前記ロックアップクラッチへの供給油圧を前記第1の圧力よりも高い第2の圧力とする
    ように構成されていることを特徴とする車両の制御装置。
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