JP5861068B2 - 画像形成装置 - Google Patents
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Description
本発明は、電子写真方式の画像形成装置に関する。
電子写真方式の画像形成装置では、作像時に数種類の化学物質が画像形成装置から放出されることが知られている。放出される化学物質のうち代表的なものとしては、例えば感光体ドラムの帯電時に発生するオゾン、現像又は定着時に発生するトナー粉塵が挙げられる。従来から、このような発生した化学物質を画像形成装置外に放出させないために、例えばフィルタを設けるなどの対策がなされてきた。
例えば、特許文献1の電子機器における揮発性化学物質捕集装置は、定着ユニットの上部に設けられた排気ダクト内に、電界発生捕集部材から雰囲気中に電界を発生させ、この電界の作用によって雰囲気中に含まれる揮発性有機化合物(VOC:Volatile Organic Compounds)を電界発生捕集部材の表面に引き寄せて捕集する。
また、特許文献2の画像形成装置は、定着装置の近傍に、定着装置内の加熱ローラから発生した微粒子を取り込むための取込口を持つダクトが設けられる。ダクトの拡張部内には、取込口から出口へ向かう空気の流れを発生させる排気ファンが設けられ、排気ファンの上流側には第1のフィルタ部材が設けられる。第1のフィルタ部材は、定着装置を構成するゴム層から発生した超微粒子(例えばシロキサン)を捕捉する。また、第1のフィルタ部材と拡張部との間の隙間を塞ぐシャッターが設けられ、画像形成装置の制御部は、所定のイニシャルバースト条件に応じて、シャッターが第1のフィルタ部を塞ぐ状態と、シャッターが第1のフィルタ部を塞がない状態とを切り替える。
更に、特許文献3の複合画像形成装置における臭気除去装置は、筐体底部に、筐体内部に気体を導くための複数の気体通路部が形成される。各気体通路部は、筐体底部の内径よりも筐体内部の上部側の内径が小さい筒状体であり、筒状体の内径面にオゾン分解触媒を含むオゾン分解フィルタが配置される。筐体内の底部には廃液吸収材が配置され、筐体内の上部蓋体には脱臭用吸着材が配置され、筐体側面には廃液吸収材と脱臭用吸着材との間を通過する気体の排気口が設けられる。
ところで、最近、世界的な環境保護意識の高まりに伴い、電子写真方式の画像形成装置から、オゾン等とは異なる微粒子(例えば100nm以下の粒径をもつ超微粒子(UFP:Ultrafine Particle))が発生することが問題視されるようになってきた。
ところが、超微粒子を捕捉する構造として、例えば特許文献1に示す電子機器のように、揮発性有機化合物を電界発生捕集部材の表面に引き寄せて捕集する揮発性化学物質捕集装置を増設すれば、構造が複雑になるという課題が生じる。
また、例えば特許文献2に示す画像形成装置のように、排気ファンの上流側に、微粒子を捕捉可能な第1のフィルタ部材を設け、排気を第1のフィルタ部材に透過させる構造とすれば、第1のフィルタ部材が空気搬送時の抵抗を増大させ、排気効率が低下し筐体内部の温度が上昇する。このため、排気ファンの出力を増大しなければならず、騒音の発生、ランニングコストの増大が懸念されるという課題が生じる。
更に、例えば特許文献3に示す複合画像形成装置のように、専用の臭気除去装置を複数(例えば特許文献では2つ)増設すれば、構造が複雑になるとともに、装置のコストアップも避けられないという課題がある。
また、例えば特許文献2に示す画像形成装置のように、排気ファンの上流側に、微粒子を捕捉可能な第1のフィルタ部材を設け、排気を第1のフィルタ部材に透過させる構造とすれば、第1のフィルタ部材が空気搬送時の抵抗を増大させ、排気効率が低下し筐体内部の温度が上昇する。このため、排気ファンの出力を増大しなければならず、騒音の発生、ランニングコストの増大が懸念されるという課題が生じる。
更に、例えば特許文献3に示す複合画像形成装置のように、専用の臭気除去装置を複数(例えば特許文献では2つ)増設すれば、構造が複雑になるとともに、装置のコストアップも避けられないという課題がある。
本発明は、上記した従来の課題を解決するために、簡素な構造で、超微粒子の排出量を低減し、排気ファンの出力の増大を抑制する画像形成装置を提供することを目的とする。
本発明は、未定着トナー画像が担持された用紙を加熱及び加圧し、前記未定着トナー画像を前記用紙に定着する加熱ローラ及び加圧ローラを含む定着器と、前記加熱ローラの軸線と平行な方向に向かって長尺に形成されるとともに、前記加熱ローラの軸線と平行に前記定着器の近傍に配置され、長手方向一端側に設けられる排気ファンによって排気されるダクトと、前記ダクトの前記定着器側の第1側壁に開口され、前記定着器と前記ダクトとを連通させる排気口と、前記ダクトの長手方向に沿う天井面に、前記天井面を覆うように取り付けられる面状のフィルタと、を備え、前記排気口は、前記加熱ローラ及び加圧ローラの接点位置より上方であり、前記天井面は、前記第1側壁に接続して設けられ、かつ前記排気口を挟んで前記接点位置の反対側において前記排気口から離反するに従って低くなる下り傾斜で形成される、画像形成装置である。
上述した構成では、ダクトが、加熱ローラの軸線に沿って定着器の近傍に配置されるので、画像形成装置内に無駄なスペースが生じない。その結果、画像形成装置の構成自体が簡素且つコンパクトとなる。また、フィルタの交換も容易となり、画像形成装置のメンテナンス性も向上させることができる。
また、フィルタは、ダクトの長手方向に沿って長尺に構成されるので、排気との接触時間が長くなり、超微粒子の捕捉確率が向上し、超微粒子の画像形成装置外への排出量を低減することができる。
また、ダクト天井面は、排気口から離反するに従って低くなる下り傾斜で形成され、第2側壁との挟角が鈍角となる。これにより、ダクトは、ダクト天井面が水平面や上り傾斜で形成される場合に比べ、長手方向に直交する断面積を小さくできる。その結果、ダクトは、設置に必要なスペースが小さくなり、装置全体のコンパクト化に寄与することができる。
上述した構成では、ダクトが、加熱ローラの軸線に沿って定着器の近傍に配置されるので、画像形成装置内に無駄なスペースが生じない。その結果、画像形成装置の構成自体が簡素且つコンパクトとなる。また、フィルタの交換も容易となり、画像形成装置のメンテナンス性も向上させることができる。
また、フィルタは、ダクトの長手方向に沿って長尺に構成されるので、収容室排気との接触時間が長くなり、超微粒子の捕捉確率が向上し、超微粒子の画像形成装置外への排出量を低減することができる。
また、ダクト天井面は、排気口から離反するに従って低くなる下り傾斜で形成され、第2側壁との挟角が鈍角となっている。これにより、ダクトは、ダクト天井面が水平面や上り傾斜で形成される場合に比べ、長手方向に直交する断面積を小さくできる。その結果、ダクトは、設置に必要なスペースを小さくなり、装置全体のコンパクト化に寄与することができる。
ダクトが、定着器収容室の壁部の一部を兼用するので、画像形成装置を簡易に製造することが可能となる。また、ダクトが、加圧ローラに沿って定着器収容室に隣接して配置されるので、画像形成装置内に無駄なスペースが生じない。その結果、画像形成装置の構成自体が簡素且つコンパクトとなる。また、フィルタの交換も容易となり、画像形成装置のメンテナンス性も向上することができる。
また、本発明は、未定着トナー画像が担持された用紙を加熱及び加圧し、前記未定着トナー画像を前記用紙に定着する加熱ローラ及び加圧ローラを含む定着器と、前記加熱ローラの軸線と平行な方向に向かって長尺に形成されるとともに、前記加熱ローラの軸線と平行に前記定着器の近傍に配置され、長手方向一端側に設けられる排気ファンによって排気されるダクトと、前記ダクトの前記定着器側の第1側壁に開口され、前記定着器と前記ダクトとを連通させる排気口と、前記ダクトの長手方向に沿う天井面に、前記天井面に平行となって前記天井面を覆うように取り付けられる面状のフィルタと、を備え、前記排気口は、前記加熱ローラ及び加圧ローラの接点位置より上方であり、前記天井面は、前記第1側壁に接続して設けられ、かつ前記排気口を挟んで前記接点位置の反対側において前記排気口から離反するに従って低くなる下り傾斜で形成される、画像形成装置である。
上述した構成では、ダクトが、加熱ローラの軸線に沿って定着器の近傍に配置されるので、画像形成装置内に無駄なスペースが生じない。その結果、画像形成装置の構成自体が簡素且つコンパクトとなる。また、フィルタの交換も容易となり、画像形成装置のメンテナンス性も向上させることができる。
上述した構成では、ダクトが、加熱ローラの軸線に沿って定着器の近傍に配置されるので、画像形成装置内に無駄なスペースが生じない。その結果、画像形成装置の構成自体が簡素且つコンパクトとなる。また、フィルタの交換も容易となり、画像形成装置のメンテナンス性も向上させることができる。
また、フィルタは、ダクトの長手方向に沿って長尺に構成されるので、排気との接触時間が長くなり、超微粒子の捕捉確率が向上し、超微粒子の画像形成装置外への排出量を低減することができる。
また、ダクト天井面は、排気口から離反するに従って低くなる下り傾斜で形成され、第2側壁との挟角が鈍角となっている。これにより、ダクトは、ダクト天井面が水平面や上り傾斜で形成される場合に比べ、長手方向に直交する断面積を小さくできる。その結果、ダクトは、設置に必要なスペースが小さくなり、装置全体のコンパクト化に寄与することができる。
また、フィルタは、ダクトの内壁面であるダクト天井面に、平行となって取り付けられる。このダクト天井面は、上述したように排気口から離反するに従って低くなる下り傾斜で形成されている。その結果、フィルタが下り傾斜によって配置されることで、用紙の定着時に発生した水蒸気と、上昇気流によって浮力の生じた超微粒子(UFP)とを含む排気を、フィルタに効果的に接触させることが可能となる。即ち、下り傾斜のフィルタは、上昇流となった排気口からの排気をより垂直方向に近い角度で接触させ易くすることができる。例えば、排気ファンが停止した直後の排気は、排気口からダクトの天井面に向かう上昇流となって低流速で移動した後に滞留するので、超微粒子(UFP)が効率的に捕捉可能となる。
上述した構成では、ダクトが、加熱ローラの軸線に沿って定着器の近傍に配置されるので、画像形成装置内に無駄なスペースが生じない。その結果、画像形成装置の構成自体が簡素且つコンパクトとなる。また、フィルタの交換も容易となり、画像形成装置のメンテナンス性も向上させることができる。
また、フィルタは、ダクトの長手方向に沿って長尺に構成されるので、収容室排気との接触時間が長くなり、超微粒子の捕捉確率が向上し、超微粒子の画像形成装置外への排出量を低減することができる。
また、ダクト天井面は、排気口から離反するに従って低くなる下り傾斜で形成され、第2側壁との挟角が鈍角となる。これにより、ダクトは、ダクト天井面が水平面や上り傾斜で形成される場合に比べ、長手方向に直交する断面積を小さくできる。その結果、ダクトは、設置に必要なスペースが小さくなり、装置全体のコンパクト化に寄与することができる。
また、フィルタは、ダクトの内壁面であるダクト天井面に、平行となって取り付けられる。このダクト天井面は、上述したように排気口から離反するに従って低くなる下り傾斜で形成されている。その結果、フィルタが下り傾斜によって配置されることで、用紙の定着時に発生した水蒸気と、上昇気流によって浮力の生じた超微粒子(UFP)とを含む収容室排気を、フィルタに効果的に接触させることが可能となる。即ち、下り傾斜のフィルタは、上昇流となった排気口からの収容室排気をより垂直方向に近い角度で接触させ易くすることができる。例えば、排気ファンが停止した直後の収容室排気は、排気口からダクトの天井面に向かう上昇流となって低流速で移動した後に滞留するので、超微粒子(UFP)が効率的に捕捉可能となる。
ダクトが、定着器収容室の壁部の一部を兼用するので、画像形成装置を簡易に製造することが可能となる。また、ダクトが、加圧ローラに沿って定着器収容室に隣接して配置されるので、画像形成装置内に無駄なスペースが生じない。その結果、画像形成装置の構成自体が簡素且つコンパクトとなる。また、フィルタの交換も容易となり、画像形成装置のメンテナンス性も向上することができる。
更に、本発明は、前記フィルタの表面は、凹凸面である、画像形成装置である。
上述した構成では、また、ダクトには、溝部と突条部とが交互に配置された凹凸面を有するフィルタが設置される。そのため、搬送される排気は、溝部と突条部とに繰り返し衝突して渦が発生する。これにより、フィルタは、超微粒子を、フィルタ自身の微小空隙に捕捉する確率を向上させることができる。
更に、本発明は、前記フィルタの表面は、溝部と突条部とが前記ダクトの長手方向に向かって交互に配置された凹凸面である、画像形成装置である。
上述した構成では、溝部と突条部が直交して延在するので、排気が溝部と突条部とに衝突しやすくなる。排気は、乱流が生じやすくなり、フィルタの近傍で多くの渦が発生する。これにより、フィルタは、フィルタ自身の微小空隙に超微粒子を捕捉する確率が更に向上する。
更に、本発明は、前記フィルタの表面は、前記ダクトの長手方向に対して斜めな方向に向かって溝部と突条部とが交互に配置された凹凸面である、画像形成装置である。
上述した構成では、溝部と突条部とが、ダクトの長手方向に対して斜め方向に延在する。「ダクトの長手方向に対して斜め」とは、2つの傾斜方向が考えられる。1つは、天井面に位置する溝部と突条部のダクト長手方向一端側(排気ファン側)の傾斜端が、第1側壁から離反する傾斜方向(以下、「離反傾斜方向」いう)である。もう一つは、これとは逆に、天井面に位置する溝部と突条部の排気ファン側の傾斜端が、第1側壁に接近する傾斜方向(以下、「接近傾斜方向」という)である。
また、ダクトの空気搬送空間を排気ファンに向かって流れる排気は、最初は、第1側壁の排気口からダクトの長手方向に直交する方向でダクトに流入する。つまり、排気は、流れの方向が排気口から徐々に曲がって直角方向に方向転換する。厳密には、相互に干渉し合う複雑な三次元の流線となる。
排気口から流入した直後の排気は、溝部と突条部が離反傾斜方向の場合、溝部と突条部の延在方向に沿って逆らうことなく下流側へ流れやすくなる。従って、離反傾斜方向の溝部と突条部は、排気を延在方向の全長に渡って接触させやすくなる。その結果、離反傾斜方向の溝部と突条部は、排気が接触する時間が長くなる。
一方、排気口から流入した直後の排気は、溝部と突条部が接近傾斜方向の場合、突条部の延在方向に対して略直交する方向から接触させ易くなる。即ち、排気は、突条部に衝突することで乱流が生じやすくなり、フィルタの近傍で多くの渦が発生する。その結果、接近傾斜方向の溝部と突条部は、フィルタ自身の微小空隙に超微粒子を捕捉する確率が向上する。
なお、これら接近傾斜方向と離反傾斜方向のいずれかが、超微粒子をより多く捕捉できるかは、排気ファンの出口側における超微粒子の排出量を測定することで確認可能となる。確認を行った結果、離反傾斜方向に比べ、接近傾斜方向の溝部と突条部の方が、超微粒子の捕捉率の高いことが知見されている。
また、ダクトの空気搬送空間を排気ファンに向かって流れる排気は、最初は、第1側壁の排気口からダクトの長手方向に直交する方向でダクトに流入する。つまり、排気は、流れの方向が排気口から徐々に曲がって直角方向に方向転換する。厳密には、相互に干渉し合う複雑な三次元の流線となる。
排気口から流入した直後の排気は、溝部と突条部が離反傾斜方向の場合、溝部と突条部の延在方向に沿って逆らうことなく下流側へ流れやすくなる。従って、離反傾斜方向の溝部と突条部は、排気を延在方向の全長に渡って接触させやすくなる。その結果、離反傾斜方向の溝部と突条部は、排気が接触する時間が長くなる。
一方、排気口から流入した直後の排気は、溝部と突条部が接近傾斜方向の場合、突条部の延在方向に対して略直交する方向から接触させ易くなる。即ち、排気は、突条部に衝突することで乱流が生じやすくなり、フィルタの近傍で多くの渦が発生する。その結果、接近傾斜方向の溝部と突条部は、フィルタ自身の微小空隙に超微粒子を捕捉する確率が向上する。
なお、これら接近傾斜方向と離反傾斜方向のいずれかが、超微粒子をより多く捕捉できるかは、排気ファンの出口側における超微粒子の排出量を測定することで確認可能となる。確認を行った結果、離反傾斜方向に比べ、接近傾斜方向の溝部と突条部の方が、超微粒子の捕捉率の高いことが知見されている。
更に、本発明は、前記フィルタの表面は、溝部と突条部とが前記ダクトの短手方向に向かって交互に配置された凹凸面である、画像形成装置である。
上述した構成では、第1側壁の排気口からダクトの空気搬送空間に流入した排気は、水蒸気を伴う上昇気流によって天井面に接近する方向に向かって流れる。特に、天井面に接近する方向の流れは、排気ファンが停止した直後で顕著となる。天井面に接近した排気は、天井面に取り付けられているフィルタの表面に当たる。この際、フィルタの表面には、溝部と突条部が第1側壁と平行に延在している。このため、フィルタは、排気口から流入した直後の排気が突条部に広い面積でよく接触させ易くすることができる。排気は、突条部に衝突することで乱流が生じやすくなり、フィルタの近傍で多くの渦が発生する。その結果、フィルタは、フィルタ自身の微小空隙に超微粒子を捕捉する確率が向上する。
なお、溝部と突条部がダクトの長手方向に平行して延在する場合、ダクトの長手方向一端側に向かう流れとなった排気は、溝部と突条部に沿って流れる。これにより、空気搬送時の抵抗の増大を抑制できる。その結果、排気ファンの出力の増大や、騒音(ダクト内空気通過音)を抑制することができる。
なお、溝部と突条部がダクトの長手方向に平行して延在する場合、ダクトの長手方向一端側に向かう流れとなった排気は、溝部と突条部に沿って流れる。これにより、空気搬送時の抵抗の増大を抑制できる。その結果、排気ファンの出力の増大や、騒音(ダクト内空気通過音)を抑制することができる。
更に、本発明は、前記第1側壁の長手方向に複数の前記排気口が形成される、画像形成装置である。
上述した構成では、排気口が複数となり、それぞれの排気口の間隔及び面積が適宜に設定されることで、排気口が一つである場合に比べ、ダクトの空気搬送空間へ流入する収容室排気のダクト長手方向における流入量のばらつきが抑制可能となる。
更に、本発明は、前記排気ファンの排気開口面に、前記定着器からの排気物を通過させる透過型フィルタが取り付けられる、画像形成装置である。
上述した構成では、ダクトの空気搬送空間を通過することで、定着器からの排気物を含む排気は、超微粒子が減少した状態で、排気ファンの排気開口面から排気される。この際、排気は、透過型フィルタを通過することで、残存する超微粒子が更に捕捉される。透過型フィルタは、ダクトの断面全体にわたって設けられることで、補助的に超微粒子を捕捉することができる。
本発明によれば、簡素な構造で、超微粒子の排出量を低減し、排気ファンの出力の増大を抑制することができる。
以下、本発明に係る画像形成装置の実施形態(以下、「本実施形態」という)について、図面を参照して説明する。以下の本実施形態では、本発明に係る画像形成装置の一例として、電子写真方式の複合機を例示して説明する。但し、本発明に係る画像形成装置は、複合機に限定されず、例えば複写機やプリンタでも良い。
図1は、本実施形態の複合機11の縦断面図である。図2は、図1に示す複合機11の第1側壁57を定着器収容室51側から見た斜視図である。図3は、図2を加熱ローラ41の長手方向略中央位置で切り欠いた斜視図である。図4は、図3をダクト53側の下方より見上げた斜視図である。図5は、ダクト天井面71の図示を省略した状態で第1側壁57の排気口63を上方より見た斜視図である。図6は、ダクト53の長手方向に溝部77と突条部79とが直交して延在するフィルタ65の斜視図である。図7は、ダクト53の長手方向に溝部77Aと突条部79Aとが斜め方向に延在するフィルタ65Aの斜視図である。図8は、ダクト53の長手方向に溝部77Bと突条部79Bとが平行に延在するフィルタ65Bの斜視図である。図9は、透過型フィルタ85の斜視図である。
本実施形態の複合機11は、例えばスキャナ、コピー、プリンタなどの機能を備え、外部装置(例えばPC(Personal Computer(不図示))から入力された印刷ジョブデータに基づいて、用紙(例えば記録材又は記録用紙)上に単色又は多色の画像を形成(定着)させて排紙する。
図1に示す複合機11は、本体ケーシング31内に、感光体ドラム13と、帯電器15と、現像ローラ17と、転写ローラ19と、露光装置21と、定着器23と、給紙カセット(不図示)と、用紙搬送ローラ25と、排紙ローラ27と、排紙トレイ29とを少なくとも含む構成である。
図1に示す複合機11の本体ケーシング31内の略中央には、例えば1組の可視画像形成ユニット(プロセスユニット)33が配置されている。なお、説明を簡単にするために、図1に示す複合機11は、例えばブラックの画像を形成するための1組の可視画像形成ユニット33が配置されるとして説明するが、更に、他の色(イエロー、マゼンダ、シアン)毎に同様な構成の可視画像形成ユニットが配置されても良い。
可視画像形成ユニット33には、複合機11に入力された印刷ジョブデータに応じた静電潜像の担持体としての役割を有する感光体ドラム13が設けられ、感光体ドラム13の周囲には、帯電器15と、現像ローラ17と、転写ローラ19と、クリーニングユニット35とが配置される。
帯電器15は、感光体ドラム13の表面を所定の電位(例えばマイナスの電位)に均一に帯電させる。帯電器15は、例えば感光体ドラム13への帯電時にオゾンを極力発生させることなく、感光体ドラム13の表面を一様に帯電可能な帯電ローラ方式のものが好ましい。但し、帯電器15は、帯電ローラ方式のものに限定されず、例えば接触型のブラシ又は非接触のチャージャ型のものを用いても良い。
現像ローラ17は、後述する露光装置21によって感光体ドラム13に形成された静電潜像を、現像ローラ17に供給されたトナーを用いて顕像化する。これにより、印刷ジョブデータに応じたトナー画像が得られる。本実施形態では、例えば現像ローラ17にはブラックのトナーが供給される。なお、複合機11には、イエロー、マゼンタ、シアンの各色に応じた可視画像形成ユニット33と同様の構成を有する可視画像形成ユニットの各現像ローラに各色のトナーが供給されても良い。
転写ローラ19は、感光体ドラム13に対向するように配置され、感光体ドラム13の表面上に形成されたトナー画像を、用紙搬送路45に従って搬送されてきた用紙37上に転写する。以下、転写ローラ19によって用紙37上に転写されたトナー画像を、「未定着トナー画像」という。
クリーニングユニット35は、転写ローラ19における転写工程後に、感光体ドラム13の表面上に残留しているトナーを除去して回収する。
露光装置21は、レーザースキャニングユニット39(LSU:Laser Scanning Unit)を含む。レーザースキャニングユニット39は、レーザ光源と、レーザ光源から照射されたレーザ光を走査するポリゴンミラーと、ポリゴンミラーによって走査されたレーザ光を感光体ドラム13に導くレンズ及び反射ミラーとを含む構成である。レーザースキャニングユニット39は、入力された印刷ジョブデータに応じてポリゴンミラーからの光により感光体ドラム13の表面を露光し、印刷ジョブデータに応じた静電潜像を感光体ドラム13上に形成する。
定着器23は、用紙37に対して垂直に延在する加熱ローラ41及び加圧ローラ43を含む構成である。加熱ローラ41は、加熱源としてのヒータによって所定の目標温度(例えば180〜200℃の範囲内の定着温度)に加熱される。加圧ローラ43は、図示しないばねによって加熱ローラ41へ向かって付勢されている。定着器23は、加圧ローラ43及び加熱ローラ41において、トナー画像が転写された用紙37を加熱及び加圧することで、未定着トナー画像を用紙37上に定着する。
また、本体ケーシング31内には、給紙カセット(不図示)から排紙トレイ29までの間に、用紙搬送路45が形成される。用紙搬送路45は、用紙搬送ローラ25から、感光体ドラム13と転写ローラ19との間を経て、定着器23を通過して排紙ローラ27に至る搬送路により構成される(図1中の矢印A参照)。用紙搬送路45は、排紙ローラ27の直前で排紙路47となる。なお、排紙路47には、例えば両面印刷の場合に用紙37を再び転写ローラ19の位置へ送り込むためのスイッチバック搬送路(不図示)が設けられている。
更に、本体ケーシング31内には、複合機11の全体の動作を統括的に制御するための制御部(不図示)が設けられる。制御部は、プロセッサ(例えばCPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)又はDSP(Digital Signal Processor))を用いて構成される。制御部は、複合機11の各部、即ち、感光体ドラム13、帯電器15、現像ローラ17、転写ローラ19、露光装置21、定着器23、用紙搬送ローラ25、排紙ローラ27の各動作を制御する。なお、制御部は、後述する排気ファン49(図2参照)の動作も制御する。
上述した構成を備える複合機11では、複合機11の制御部により、画像形成プロセスは以下のようにして行われる。
画像形成時には、先ず、用紙搬送ローラ25によって、用紙37が給紙カセット(不図示)から用紙搬送路45へ1枚ずつ送り出される。
帯電器15が感光体ドラム13の表面を一様に帯電した後、露光装置21が、外部装置から入力された印刷ジョブデータに応じて、レーザ光によって、感光体ドラム13の表面の帯電領域を露光する。これにより、感光体ドラム13の表面上に、印刷ジョブデータに応じた静電潜像が形成される。続いて、現像ローラ17は、感光体ドラム13の表面上に形成された静電潜像を、現像ローラ17によって供給されたトナーを用いて顕像化する。これにより、印刷ジョブデータに応じたトナー画像が得られる。
更に、転写ローラ19は、感光体ドラム13の表面上に形成されたトナー画像を、用紙搬送ローラ25によって給紙カセット(不図示)から給紙されて搬送されてきた用紙37上に転写する。これにより、印刷ジョブデータに応じた未定着トナー画像が用紙37上に転写される。用紙37上に転写された未定着トナー画像は、定着器23に搬送される。定着器23は、加熱ローラ41及び加圧ローラ43において、未定着トナー画像を十分に加熱及び加圧して用紙37上に定着させる。これにより、印刷ジョブデータに応じた画像が用紙37上に形成され、用紙37は、排紙ローラ27によって排紙トレイ29へ排出される。
ここで、本実施形態の複合機11では、定着器23の周囲には、定着器23を収容するための定着器収容室51が設けられる。定着器収容室51は、定着器収容室51の内方、即ち定着器23において発生した超微粒子(UFP)が定着器収容室51の外部に漏洩しない程度の気密性を有したキャビティとして形成される。
より具体的には、定着器収容室51は、本体ケーシング31に固定される複数の板金材及び成形樹脂板などを接続して形成される。なお、定着器収容室51は、後述する排気ファン49の吸引によって負圧となるため、キャビティ外部に通じる用紙搬送路45程度の小さな隙間の存在は許容される。また、定着器収容室51は、これらの隙間から外気が流入することで真空とはならない。なお、定着器収容室51には、専用の給気口が設けられても良い。
また、定着器収容室51には、ダクト53が隣接して設けられる。ダクト53は、加熱ローラ41の軸線59(図2参照)に沿う方向の長尺に形成され、加熱ローラ41の軸線59に沿って定着器23の近傍に配置される。より具体的には、ダクト53は、定着器収容室51における壁部55の一部を第1側壁57として、加熱ローラ41の軸線59(図2参照)に沿う方向の長尺に形成される。ダクト53の長手方向一端側には排気ファン49(図2参照)が設けられ、排気ファン49はダクト53の空気搬送空間61(図1参照)に内在する空気を含む排気物を本体ケーシング31の外方へ排気する。
ダクト53の定着器23側の第1側壁57、即ち、定着器収容室51の壁部55の第1側壁57には、排気口63(図2参照)が開口される。排気口63は、定着器23とダクト53とを連通させる。より具体的には、排気口63は、定着器23を覆うように設けられた定着器収容室51とダクト53とを連通させる。本実施形態では、図2に示すように、複数(図2では2つ)の排気口63が、第1側壁57の長手方向に形成される。各排気口63の間隔及び開口面積は、定着器収容室51の長手方向において、後述する収容室排気87がばらつきなく排気されるように調整された後に設定される。
ダクト53の内壁面には、面状のフィルタ65が、内壁面に平行となって着脱自在に取り付けられる。フィルタ65は、図6に示すように、フィルタ本体67が枠体69の内方に保持される。フィルタ65は、ダクト53の内方に設けられる係止構造及びレールなどの保持部(不図示)に対して枠体69が保持又は保持解除されることで、ダクト53に対して着脱自在となる。
ダクト53には、内壁面がダクト53の長手方向に沿う矩形状のダクト天井面71が形成される。フィルタ65は、ダクト天井面71に取り付けられ、具体的には、ダクト天井面71を覆う矩形状に設置されることが好ましい。なお、フィルタ65は、結果としてダクト天井面71の殆どを覆う面積を有するものであれば、単一ではなく、複数に分割されたものであっても良い。
また、フィルタ65は、ダクト天井面71の他に、第1側壁57、第2側壁73、底壁75に、これら全て又はその一部を覆うように設置されても良い。但し、第1側壁57に、フィルタ65を設ける場合には、排気口63を塞がぬように排気口63以外の部分に設けられる。
ダクト天井面71は、排気口63から離反するに従って低くなる下り傾斜で形成される。ダクト天井面71を挟んで第1側壁57と反対側の第2側壁73は、ダクト天井面71との挟角が鈍角となる。
図6に示すように、フィルタ65の表面は、ダクト53の長手方向に直交して延在する平行な溝部77と突条部79とがダクト天井面71の長手方向(図6の矢印B方向)に交互に配置される凹凸面81を有するように形成される。フィルタ65は、凹凸面81を有することで、表面積が増大する。
なお、凹凸面81を構成する溝部77と突条部79とは、種々の形状としても良い。例えば、図示を省略するが、溝部77をV溝とし、突条部79を逆V字状の山形とすることができる。また、図示を省略するが、溝部77と突条部79とは、V溝の谷底部と逆V字状の山形の頂部とを曲線とした正弦波状の所謂波形の形状を構成しても良い。更に、図示を省略するが、溝部77と突条部79は、平らな溝底部を有する凹溝と、平らな頂部を有する凸形状の突条部79であっても良い。
フィルタ65は、凹凸面81の溝部77と突条部79を異なるパターンで配列することができる。例えば、図7に示すように、フィルタ65Aの表面は、ダクト53の長手方向に対して斜め方向に延在する溝部77Aと突条部79Aとが、ダクト天井面71の長手方向に対して交互に配置された凹凸面81Aであっても良い。枠体69Aは、斜め方向に延在する溝部77Aと突条部79Aの延在方向両端で、枠体69Aを構成する一対の部材が相互に平行となってフィルタ本体67Aを挟んで接着された構成である。
また、図8に示すように、フィルタ65Bの表面は、ダクト53の長手方向に平行して延在する溝部77Bと突条部79Bとがダクト天井面71の短手方向に交互に配置された凹凸面81Bであっても良い。枠体69Bは、平行に並ぶ溝部77Bと突条部79Bの並び方向両端で、枠体69Bを構成する一対の部材が相互に平行となってフィルタ本体67Bを挟んで接着された構成である。
また、本実施形態では、図5及び図7に示す透過型フィルタ85が、排気ファン49の排気開口面83(図2参照)を覆うように取り付けられている。図7に示すように、透過型フィルタ85の表面も、平行な溝部77と突条部79とが交互に配置される凹凸面81を有するように形成される。透過型フィルタ85は、凹凸面81を有することで、表面積が増大する。透過型フィルタ85は、排気口63を介して流入してくる収容室排気87(後述参照)を通過させる。なお、フィルタ65と同様に、透過型フィルタ85も、排気開口面83に着脱自在に取り付けられる。
次に、上述した構成を有する複合機11の作用を説明する。
複合機11では、外部装置から入力された印刷ジョブデータに応じた未定着トナー画像が用紙37上に転写されて定着器23へ搬送される。定着器23では、用紙37が加熱ローラ41及び加圧ローラ43によって挟まれる。用紙37に担持された未定着トナー画像は、加熱ローラ41における加熱及び加圧ローラ43における加圧により、用紙37に融着した画像となって定着する。
複合機11では、外部装置から入力された印刷ジョブデータに応じた未定着トナー画像が用紙37上に転写されて定着器23へ搬送される。定着器23では、用紙37が加熱ローラ41及び加圧ローラ43によって挟まれる。用紙37に担持された未定着トナー画像は、加熱ローラ41における加熱及び加圧ローラ43における加圧により、用紙37に融着した画像となって定着する。
この際、定着器23では、未定着トナー画像を構成するトナーは、ごく微量が用紙37に含まれる水分の蒸発に伴って、水蒸気と共に未定着トナー画像から分離することが知られている。一般に、トナーは、顔料、ワックス及び外添剤を用いて構成される。外添剤は、主な効果として静電気との反応効率を向上し、例えばシリカなどの微粒子をトナー表面に付着させて用いている。近年、特に水蒸気とともに分離する外添剤が、複合機11内において超微粒子(UFP)を増大させる要因の一つと考えられるとする報告がある。
本実施形態では、用紙37の定着時に生じた水蒸気とともに、トナー表面から分離した外添剤が、定着器収容室51の上部へ、自然対流及び排気ファン49による吸引力により移動する空気とともに運ばれる。定着器収容室51の上部には、壁部55の一部である第1側壁57がある。第1側壁57は、定着器収容室51に隣接して設けられているダクト53との隔壁となっている。ダクト53は、加熱ローラ41の軸線59に沿う方向の長尺に形成される。つまり、ダクト53が、定着器23と隔壁とを隔てて平行に隣接して配置されることで、複合機11のコンパクト化が実現されている。隔壁である第1側壁57には排気口63が形成され、排気口63は、定着器収容室51の内方、即ち、定着器23の暴露空間とダクト53の内方(空気搬送空間61)とを連通させている。
ダクト53は、長手方向一端側に設けられる排気ファン49によって、空気搬送空間61の空気が長手方向一端側に向かって流れる。これにより、負圧となったダクト53の空気搬送空間61には、排気口63を介して定着器収容室51の内方の空気が吸引されて流入する。用紙37の定着時に発生した水蒸気とともに、トナー表面から分離した外添剤(超微粒子:UFP)は、他の揮発性有機化合物(VOC)及び埃とともに、殆どが吸引空気(以下、「収容室排気」という)に含まれてダクト53の空気搬送空間61に流入する。
図2及び図3に示す収容室排気87は、ダクト53の長手方向一端側へ移送される際、ダクト53の内壁面に平行に取り付けられた面状のフィルタ65の表面に接触する。フィルタ65と収容室排気87との接触によって、収容室排気87に含まれる超微粒子(UFP)がフィルタ65に捕捉されることが確認されている。具体的には、ダクト53内にフィルタ65が設けられた場合と、フィルタ65が設けられない場合とにおいて、排気ファン49の出口側における超微粒子の排出量を測定することで確認可能となる。超微粒子が、収容室排気87と平行に配置されるフィルタ65に捕捉される作用としては、収容室排気87がフィルタ65の表面の近傍で乱流となって結果的に渦が発生するので、フィルタ65の表面に引っ掛かる、即ち、捕捉されることなどが考えられる。
フィルタ65は、基材として植物繊維、鉱物繊維、合成繊維、織物、不織布、フェルト、編物、樹脂発泡体又は多孔質フィルムなどを用いることができる。何れの基材が用いられる場合であっても、フィルタ65の表面は、多数の微小空隙、即ち、繊維間隙及び孔が構成される。
ダクト53の空気搬送空間61を流れる収容室排気87は、フィルタ65から遠く離れたところでは、一様な流れとなって速度勾配(速度変化)がない。一方、フィルタ65の表面上では滑りがないので、フィルタ65の表面近傍には摩擦力の影響により流速が連続的に変化して一様な流れに繋がる領域が形成される。つまり、フィルタ65の表面は速度勾配の大きな薄い層(境界層)で覆われる。この境界層と、上述した乱流による渦とによって搬送エネルギーが小さくなった超微粒子は、フィルタ表面の微小空隙に引っ掛かることで捕捉されると考えられる。なお、境界層は、捕捉されて堆積した超微粒子(UFP)によって変化する。なお、超微粒子(UFP)と微小空隙のサイズとの相関、収容室排気87の流速には最適値が存在すると思われる。
このように、本実施形態では、ダクト53が、加熱ローラ41の軸線59に沿って定着器23の近傍に配置されるので、複合機11内に無駄なスペースが生じない。その結果、複合機11の構成自体が簡素且つコンパクトとなる。
より具体的には、本実施形態では、ダクト53が、定着器収容室51の壁部55の一部を兼用するので、複合機11を簡易に製造することが可能となる。また、ダクト53が、加熱ローラ41に沿って(平行となって)定着器収容室51に隔壁のみを隔てて隣接して配置されるので、複合機11内に無駄なスペースが生じない。その結果、複合機11の構成自体が簡素且つコンパクトとなる。また、フィルタ65の交換も容易とすることができ、複合機11のメンテナンス性も向上することができる。
また、フィルタ65は、ダクト53の長手方向に沿って長尺に構成されるので、収容室排気87との接触時間が長くなり、超微粒子(UFP)の捕捉確率が向上し、超微粒子(UFP)の複合機11外への排出量を低減することができる。更に、フィルタ65は、ダクト53の空気搬送空間61を横断せず、空気搬送空間61内において収容室排気87の搬送方向と平行に設置されている。これにより、フィルタ65は、従来の透過型のフィルタと異なり、空気搬送時の抵抗の増大を抑制でき、言い換えれば、排気ファンの出力の増大を抑制することができる。
また、複合機11では、フィルタ65がダクト天井面71に設置されることで、用紙37の定着時に発生する水蒸気と、上昇気流によって浮力の生じた超微粒子(UFP)とを含む収容室排気87を、フィルタ65に効果的に接触させることが可能となる。特に、排気ファン49が停止した直後の収容室排気87は、ダクト天井面71の近傍に低流速で移動した後に滞留するので、超微粒子(UFP)が効率的に捕捉可能となる。
また、ダクト天井面71は、排気口63から離反するに従って低くなる下り傾斜で形成され、第2側壁73との挟角が鈍角となっている。これにより、ダクト53は、ダクト天井面71が水平面や上り傾斜で形成される場合に比べ、長手方向に直交する断面積を小さくできる。その結果、ダクト53は、設置に必要なスペースが小さくなり、装置全体のコンパクト化に寄与することができる。
また、フィルタ65は、ダクト53の内壁面であるダクト天井面71に、平行となって取り付けられる。このダクト天井面71は、上記のように排気口63から離反するに従って低くなる下り傾斜で形成されている。その結果、フィルタ65が下り傾斜によって配置されることで、用紙37の定着時に発生した水蒸気と、上昇気流によって浮力の生じた超微粒子(UFP)とを含む収容室排気を、フィルタ65に効果的に接触させることが可能となる。即ち、下り傾斜のフィルタ65は、上昇流となった排気口63からの収容室排気をより垂直方向に近い角度で接触させ易くすることができる。特に、排気ファン49が停止した直後の収容室排気87は、排気口63からダクト53の天井面に向かう上昇流となって低流速で移動した後に滞留するので、超微粒子(UFP)が効率的に捕捉可能となる。
また、複合機11では、収容室排気87の搬送方向に、溝部77と突条部79とが交互に配置された凹凸面81を有するフィルタ65が設置される。搬送される収容室排気87は、溝部77と突条部79とに繰り返し衝突して渦が発生する。これにより、フィルタ65は、超微粒子(UFP)を、フィルタ65自身の微小空隙に捕捉する確率を向上することができる。
また、複合機11では、排気口63が複数となり、それぞれの排気口63の間隔及び面積が適宜に設定される。これにより、排気口63が一つである場合に比べ、ダクト53の空気搬送空間61へ流入する収容室排気87のダクト53の長手方向における流入量のばらつきが抑制可能となる。
更に、複合機11では、ダクト53の空気搬送空間61を通過することで、定着器23からの排気物を含む収容室排気87は、超微粒子(UFP)が減少した状態で、排気ファン49の排気開口面83から排気される。この際、定着器23からの排気物を含む収容室排気87は、透過型フィルタ85を通過することで、残存する超微粒子が更に捕捉される。透過型フィルタ85は、ダクト53の断面全体にわたって設けられることで、補助的に超微粒子を捕捉することができる。なお、ダクト53内のフィルタ65と透過型フィルタ85とは、フィルタ能力を適宜調整して設置することができる。例えば、ダクト53内のフィルタ65は交換時間を長くし、透過型フィルタ85は交換時間を短く設定したものとすることができる。
ここで、仮にダクト53内にフィルタ65を備えない従来構成を考えると、超微粒子(UFP)の低減は、透過型フィルタ85のみに依存することとなる。この場合、超微粒子(UFP)の捕捉性能を向上させるため、透過型フィルタ85を厚くすれば、より大きな出力の排気ファン49が必要となるので、騒音も増大してしまう。
一方、ダクト53にフィルタ65を備える本実施形態の複合機11では、透過型フィルタ85は、補助的な性能を備えるものであれば良い。従って、本実施形態の複合機11は、透過型フィルタ85を取り付けても空気抵抗を増大せず、排気ファン49の出力の増大を抑制することができる。
また、フィルタ65Aでは、ダクト53の長手方向に対して溝部77Aと突条部79Aとが、斜め方向に延在する。「ダクト53の長手方向に対して斜め」とは、2つの傾斜方向が考えられる。1つは、ダクト天井面71に位置する溝部77Aと突条部79Aのダクト長手方向一端側(排気ファン49側)の傾斜端が、第1側壁57から離反する傾斜方向(離反傾斜方向)である。もう一つは、これとは逆に、ダクト天井面71に位置する溝部77Aと突条部79Aの排気ファン49側の傾斜端が、第1側壁57に接近する傾斜方向(接近傾斜方向)である。
また、ダクト53の空気搬送空間61を排気ファン49に向かって流れる収容室排気87は、最初は、第1側壁57の排気口63からダクト53の長手方向に直交する方向でダクト53に流入する。つまり、収容室排気87は、流れの方向が排気口63から徐々に曲がって直角方向に方向転換する。厳密には、相互に干渉し合う複雑な三次元の流線となる。
また、ダクト53の空気搬送空間61を排気ファン49に向かって流れる収容室排気87は、最初は、第1側壁57の排気口63からダクト53の長手方向に直交する方向でダクト53に流入する。つまり、収容室排気87は、流れの方向が排気口63から徐々に曲がって直角方向に方向転換する。厳密には、相互に干渉し合う複雑な三次元の流線となる。
排気口63から流入した直後の収容室排気87は、溝部77Aと突条部79Aが「離反傾斜方向」の場合、溝部77Aと突条部79Aの延在方向に沿って逆らうことなく下流側へ流れやすくなる。従って、離反傾斜方向の溝部77Aと突条部79Aは、収容室排気87を延在方向の全長に渡って接触させやすくする。その結果、離反傾斜方向の溝部77Aと突条部79Aは、収容室排気87が接触する時間が長くなる。
一方、排気口63から流入した直後の収容室排気87は、溝部77Aと突条部79Aが「接近傾斜方向」の場合、突条部79Aの延在方向に対して略直交する方向から当たりやすくなる。即ち、収容室排気87は、突条部79Aに衝突することで乱流が生じやすくなり、フィルタ65の近傍で多くの渦が発生する。その結果、接近傾斜方向の溝部77Aと突条部79Aは、フィルタ65自身の微小空隙に超微粒子を捕捉する確率が向上する。
一方、排気口63から流入した直後の収容室排気87は、溝部77Aと突条部79Aが「接近傾斜方向」の場合、突条部79Aの延在方向に対して略直交する方向から当たりやすくなる。即ち、収容室排気87は、突条部79Aに衝突することで乱流が生じやすくなり、フィルタ65の近傍で多くの渦が発生する。その結果、接近傾斜方向の溝部77Aと突条部79Aは、フィルタ65自身の微小空隙に超微粒子を捕捉する確率が向上する。
なお、接近傾斜方向と離反傾斜方向のいずれが、超微粒子をより多く捕捉できるかは、排気ファン49の出口側における超微粒子の排出量を測定することで確認可能となる。確認を行った結果、離反傾斜方向に比べ、接近傾斜方向の溝部77Aと突条部79Aの方が、超微粒子の捕捉率の高いことが知見されている。
また、フィルタ65Bでは、ダクト53の長手方向に対して溝部77Bと突条部79Bとが平行に延在する。第1側壁57の排気口63からダクト53の空気搬送空間61に流入した収容室排気87は、水蒸気を伴う上昇気流によってダクト天井面71に接近する方向に向かって流れる。例えば、ダクト天井面71に接近する方向の流れは、排気ファン49が停止した直後で顕著となる。ダクト天井面71に接近した収容室排気87は、ダクト天井面71に取り付けられているフィルタ65Bの表面に当たる。この際、フィルタ65Bの表面には、溝部77Bと突条部79Bが第1側壁57と平行に延在している。このため、フィルタ65Bは、排気口63から流入した直後の収容室排気87が突条部79Bに広い面積でよく当たるようになる。収容室排気87は、突条部79Bに衝突することで乱流が生じやすくなり、フィルタ65Bの近傍で多くの渦が発生する。その結果、フィルタ65Bは、フィルタ65B自身の微小空隙に超微粒子を捕捉する確率が向上する。
なお、溝部77Bと突条部79Bがダクト53の長手方向に平行して延在する場合、ダクト53の長手方向一端側に向かう流れとなった収容室排気87は、溝部77Bと突条部79Bに沿って流れる。これにより、空気搬送時の抵抗の増大を抑制できる。その結果、排気ファン49の出力の増大や、騒音(ダクト53内の空気通過音)を抑制することができる。
以上、図面を参照しながら各種の実施形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
本発明は、簡素な構造で、超微粒子の排出量を低減し、排気ファンの出力の増大を抑制する画像形成装置として有用である。
11 複合機
23 定着器
37 用紙
41 加熱ローラ
43 加圧ローラ
49 排気ファン
51 定着器収容室
53 ダクト
55 壁部
57 第1側壁
59 軸線
63 排気口
65、65A、65B フィルタ
71 ダクト天井面
73 第2側壁
77、77A、77B 溝部
79、79A、79B 突条部
81、81A、81B 凹凸面
83 排気開口面
85 透過型フィルタ
23 定着器
37 用紙
41 加熱ローラ
43 加圧ローラ
49 排気ファン
51 定着器収容室
53 ダクト
55 壁部
57 第1側壁
59 軸線
63 排気口
65、65A、65B フィルタ
71 ダクト天井面
73 第2側壁
77、77A、77B 溝部
79、79A、79B 突条部
81、81A、81B 凹凸面
83 排気開口面
85 透過型フィルタ
Claims (8)
- 未定着トナー画像が担持された用紙を加熱及び加圧し、前記未定着トナー画像を前記用紙に定着する加熱ローラ及び加圧ローラを含む定着器と、
前記加熱ローラの軸線と平行な方向に向かって長尺に形成されるとともに、前記加熱ローラの軸線と平行に前記定着器の近傍に配置され、長手方向一端側に設けられる排気ファンによって排気されるダクトと、
前記ダクトの前記定着器側の第1側壁に開口され、前記定着器と前記ダクトとを連通させる排気口と、
前記ダクトの長手方向に沿う天井面に、前記天井面を覆うように取り付けられる面状のフィルタと、を備え、
前記排気口は、前記加熱ローラ及び加圧ローラの接点位置より上方であり、
前記天井面は、前記第1側壁に接続して設けられ、かつ前記排気口を挟んで前記接点位置の反対側において前記排気口から離反するに従って低くなる下り傾斜で形成される、
画像形成装置。 - 未定着トナー画像が担持された用紙を加熱及び加圧し、前記未定着トナー画像を前記用紙に定着する加熱ローラ及び加圧ローラを含む定着器と、
前記加熱ローラの軸線と平行な方向に向かって長尺に形成されるとともに、前記加熱ローラの軸線と平行に前記定着器の近傍に配置され、長手方向一端側に設けられる排気ファンによって排気されるダクトと、
前記ダクトの前記定着器側の第1側壁に開口され、前記定着器と前記ダクトとを連通させる排気口と、
前記ダクトの長手方向に沿う天井面に、前記天井面に平行となって前記天井面を覆うように取り付けられる面状のフィルタと、を備え、
前記排気口は、前記加熱ローラ及び加圧ローラの接点位置より上方であり、
前記天井面は、前記第1側壁に接続して設けられ、かつ前記排気口を挟んで前記接点位置の反対側において前記排気口から離反するに従って低くなる下り傾斜で形成される、
画像形成装置。 - 請求項1又は2に記載の画像形成装置であって、
前記フィルタの表面は、凹凸面である、
画像形成装置。 - 請求項1又は2に記載の画像形成装置であって、
前記フィルタの表面は、溝部と突条部とが前記ダクトの長手方向に向かって交互に配置された凹凸面である、
画像形成装置。 - 請求項1又は2に記載の画像形成装置であって、
前記フィルタの表面は、前記ダクトの長手方向に対して斜めな方向に向かって溝部と突条部とが交互に配置された凹凸面である、
画像形成装置。 - 請求項1又は2に記載の画像形成装置であって、
前記フィルタの表面は、溝部と突条部とが前記ダクトの短手方向に向かって交互に配置された凹凸面である、
画像形成装置。 - 請求項1、2、3、4、5又は6に記載の画像形成装置であって、
前記第1側壁の長手方向に複数の前記排気口が形成される、
画像形成装置。 - 請求項1、2、3、4、5、6又は7に記載の画像形成装置であって、
前記排気ファンの排気開口面に、前記定着器からの排気物を通過させる透過型フィルタが取り付けられる、
画像形成装置。
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