JP5857908B2 - 端子対およびその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、雄型コネクタ端子と雌型コネクタ端子よりなる端子対及びその製造方法に関するものである。
電気部品等を接続する雄型コネクタ端子と雌型コネクタ端子の組よりなる端子対において、両者が接触する接点部の接触荷重−接触抵抗特性は、コネクタ端子の電気的特性として極めて重要である。端子材料の選定や形状の設計に当たり、接点部における接触抵抗をできる限り低減することが望まれるとともに、接触荷重の変動に対して、接触抵抗の値が安定していることが望まれる。これにより、電気的特性が安定し、高い接続信頼性を有するコネクタ端子対を得ることができる。
例えば、特許文献1においては、第一の端子と第二の端子との接点部に、互いに異なる少なくとも2方向から加わる力の合力を荷重として作用するような構造を有する電気コネクタにおいて、接点部の接触面積と接触抵抗の関係を実験的に求め、接触面積をそれ以上増加させても接触抵抗が実質的に変化しなくなる接触面積が採用されている。また、特許文献2においては、ボルト状の電気接続部品にナットで締め付けて接続する形式の接続端子において、接触荷重を与える締結トルクと接触抵抗との関係を実験的に調べて、それ以上締結トルクを増大させても接触抵抗が実質的に減少しない安定領域を求め、その安定領域内に締結トルクの値があるように設定される。
特開2004−127829号公報 特開2002−5141号公報
上記のように接触荷重−接触抵抗特性の実験結果から安定領域の接触荷重を求める場合、接触荷重に対して接触抵抗がほとんど変化しない領域を識別することになるが、接触荷重に対して接触抵抗が急激に変化する領域からほとんど変化しない領域への切り替わりは、ある接触荷重範囲にわたって、なだらかに漸次的に起こる。よって、安定領域に切り替わる接触荷重を一意に定めることは困難である。つまり、安定領域で端子対を使用するために必要な最低限の接触荷重を、上記の方法で過不足なく高精度に見積もることは困難である。
ところで、コネクタ端子対を小型化、軽量化また単純形状化することを考えると、なるべく小さな接触荷重の印加で、接点部における接触抵抗値として、十分に小さくかつ安定した値が得られることが望ましい。従来一般の自動車の電気部品等を接続するコネクタ端子の最表面には、スズめっき層が形成されることが多い。しかし、接触抵抗と接触荷重の関係は、最表面を被覆する金属の抵抗率など、接点部を形成している材料の特性によって決まるものであり、接触荷重をなるべく小さくするという観点からは、最表面に露出される金属層を形成する金属種として、スズが最適のものであるとは限らない。
本発明が解決しようとする課題は、雄型コネクタ端子と雌型コネクタ端子とからなる端子対において、スズ層が端子接点部の最表面に形成されている場合に必要な接触荷重よりも小さい必要最低限の荷重を印加した状態で、小さい値に安定した接触荷重を有し、それによって高い接続信頼性を備える端子対を提供すること、及びそのような端子対を高精度かつ簡便に製造することができる端子対の製造方法を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明にかかる端子対は、相互に電気的に接触する接点部の最表面にインジウム層をそれぞれ有する雄型コネクタ端子と雌型コネクタ端子とからなり、接点部に印加される荷重が、前記接点部において測定した接触荷重−接触抵抗特性を両対数表示したグラフにおいて求められる、下凸構造の変曲点よりも低荷重側の測定点に対する第一の近似直線の外挿線と、前記下凸構造の変曲点よりも高荷重側の測定点に対する前記第一の近似直線よりも傾きの絶対値が小さい第二の近似直線の外挿線との交点の接触荷重以上であることを要旨とする。
ここで、接触荷重の常用対数値を横軸とし、接触抵抗の常用対数値を縦軸とした前記接触荷重−接触抵抗特性を両対数表示したグラフにおいて、前記第一の近似直線の傾きが−1であり、前記第二の近似直線の傾きが−0.5である場合が好適である。
また、前記交点における接触荷重が0.7Nであるとよい。
一方、上記課題を解決するために、本発明にかかる端子対の製造方法は、相互に電気的に接触する接点部の最表面にインジウム層をそれぞれ有する雄型コネクタ端子と雌型コネクタ端子とからなる端子対の製造方法において、前記接点部に印加される接触荷重を、前記接点部における接触荷重−接触抵抗特性を両対数表示したグラフにおいて求められる、下凸構造の変曲点よりも低荷重側の測定点に対する第一の近似直線の外挿線と、前記下凸構造の変曲点よりも高荷重側の測定点に対する前記第一の近似直線よりも傾きの絶対値が小さい第二の近似直線の外挿線との交点の接触荷重以上とすることを要旨とする。
ここで、接触荷重の常用対数値を横軸とし、接触抵抗の常用対数値を縦軸とした前記接触荷重−接触抵抗特性を両対数表示したグラフにおいて、前記第一の近似直線の傾きが−1であり、前記第二の近似直線の傾きが−0.5であるとよい。
上記本発明の端子対において、接触荷重−接触抵抗特性の両対数表示における下凸構造の変曲点よりも高荷重側の、傾きの絶対値が小さい第二の近似直線に近似される領域が、それ以上に接触荷重を増加させても接触抵抗がほとんど変化しない安定領域となる。安定領域の内外では、接触荷重に対する接触抵抗の依存性が異なるが、上記本発明の端子対においては、接触荷重−接触抵抗特性を両対数表示して、その2つの傾きが異なる近似直線の交点の接触荷重を安定領域の下限の接触荷重とみなしている。そしてそれ以上の接触荷重が端子対に付与されているため、端子対が上記安定領域において使用されることになり、接点部において小さい値に安定した接触抵抗が得られ、高い接続信頼性が達成される。また、接触荷重−接触抵抗特性を線形表示して安定領域を見積もる場合よりも、接触抵抗が安定領域にあるための最低限の接触荷重が正確に見極められる。
そして、雄型コネクタ端子と雌型コネクタ端子それぞれの接点部の最表面にインジウム層が形成されていることにより、最表面にスズ層が形成されている場合よりも、接触抵抗がこの安定領域に存在するための下限の接触荷重が低減されている。
さらに、接触荷重−接触抵抗特性の測定結果を両対数した時の変曲点の接触荷重をもって、接触抵抗が安定領域にあるための最低限の接触荷重とすることも可能ではあるが、変曲点が明確に両対数表示の曲線上に現れない場合や、測定点のばらつきが大きい場合にも、上記のように、第一の近似直線と第二の近似直線を利用し、それらの外挿線の交点から安定領域を見積もるため、両対数表示の曲線上に変曲点が明確に認識されない場合にも、安定した小さい接触抵抗を与える接触荷重を有する端子対を得ることができる。
ここで、第一の近似直線の傾きが−1であり、第二の近似直線の傾きが−0.5であると、それぞれ、被膜抵抗による接触抵抗成分と集中抵抗による接触抵抗成分の理論式に合致した傾きとなる。よって、被膜抵抗の寄与と集中抵抗の寄与を分離して、集中抵抗が支配的である領域を安定領域として、その領域の接触荷重を有する端子対を得ることができる。集中抵抗は、接触荷重に対して大きさがほとんど変化せず、さらに、端子対の最表面の金属種が同じならば、使用の条件や端子母材の種類にもほとんど依存しないという性質を有するので、安定して小さい接触抵抗を有する端子対が高確度に得られる。
また、この被膜抵抗が支配的である領域と集中抵抗とが支配的である領域の境界の荷重は、端子接点部の最表面にインジウム層が形成されている場合に、0.7Nとなるが、この値は最表面にスズ層が形成されている場合の値である2.7Nに比較して、大きく低減されている。つまり、接点部の最表面にインジウム層が形成されており、0.7N以上の接点部に接触荷重が印加されていれば、端子母材の素材や端子対の構造の詳細によらず、スズ層が最表面に形成されている場合よりも小さな接触荷重で、接触抵抗が小さい値に安定した端子対を得ることができる。
一方、上記本発明にかかる端子対の製造方法によると、上記のような、インジウム層が接点部最表面に形成され、接触抵抗が小さい値に安定した高信頼性を有する端子対を、高精度に、かつ簡便に製造することができる。
端子対の接点部における接触荷重−接触抵抗特性を示すグラフであり、(a)は線形表示したもの、(b)は両対数表示したものである。 インジウムめっき試料片及びスズめっき試料片について、接触荷重−接触抵抗特性を両常用対数表示したグラフである。
以下に、本発明の実施形態について、図面を用いて詳細に説明する。
本発明にかかる端子対は、導電部材によって形成された雄型コネクタ端子と雌型コネクタ端子よりなる。雄型コネクタ端子と雌型コネクタ端子は、それぞれ接点部を有し、それら接点部において相互に接触することによって、電気的接続が形成される。
雄型コネクタ端子と雌型コネクタ端子それぞれの、少なくとも接点部を含む領域の最表面には、インジウム層が形成されている。インジウム層の厚さは特に指定されないが、0.5〜3μmの範囲にあることが好ましい。インジウム層をこの範囲よりも薄くすると、接点部における接触抵抗の低減の効果が十分に発揮されず、逆にこの範囲よりも厚くしても、厚さに比例した接触抵抗低減の効果が得られるわけではなく、コストの面で不利だからである。また、インジウム層を形成する方法も特に指定されるものではないが、簡便性等の観点から、電解めっき法によって形成することが好適である。
雄型コネクタ端子及び雌型コネクタ端子は、それぞれどのような母材を使用して形成されてもよい。コネクタ端子の母材として汎用される銅又は銅合金を母材とする場合を例示することができる。この場合、インジウム層と母材表面との間に、ニッケルよりなる中間層が形成されていると、母材からインジウム層への銅原子の拡散をよく抑制することができる。ニッケル層の厚さは、2μm以下であるとよい。2μm以下の厚さで、十分に母材からインジウム層への銅原子の拡散を阻止することができ、これ以上厚くしても、コスト面で不利だからである。
雄型コネクタ端子の接点部と雌型コネクタ端子の接点部が接触した時、それらの間の接触面と垂直な方向に接触荷重が印加される。この接触荷重によって、両接点部間の電気的接触が安定に保持される。接触荷重を印加する手段は特に限定されないが、例えば、筒型の形状を有する雌型コネクタ端子に雄型コネクタ端子が挿入される形式の端子対において、雄型コネクタ端子を挟圧保持するための弾性を有する接触片を雌型コネクタ端子内に備え、その弾性によって接点部に接触荷重を印加することができる。
接点部の接触抵抗は、端子対の電気的特性を支配する重要なパラメータであるが、接触抵抗は、印加される接触荷重に大きく依存する。よって、十分に小さく、安定した接触抵抗が達成されるような接触荷重を備えるように、端子対を製造する必要がある。
そこで、本発明においては、接点部の接触荷重−接触抵抗特性を計測し、その結果に基づいて、小さい値で安定した接触抵抗を与えるような接触荷重を端子対に付与する。ここで、接触荷重−接触抵抗特性は、実際に端子対を製造して計測しても、例えば端子対を模したエンボス形状の接点と金属平板との間の接点部のように、接点部のモデルを使用して計測してもどちらでもよい。
平板状部材に接触させたエンボス状部材の接点部に印加する接触荷重を増加させながら接触抵抗を測定し、接触荷重を横軸に、接触抵抗を縦軸に、それぞれ線形にとってプロットすると、図1(a)に示したように、接触荷重の増加に従って、接触抵抗が単調減少する。ここで、比較的接触荷重が小さい領域においては、荷重の増加に伴って、接触抵抗値が急激に減少するが、比較的接触荷重が大きい領域においては、接触荷重を増加させても、接触抵抗がほとんど変化しない状態となっている。この高荷重側の接触抵抗がほとんど変化しない領域は、安定領域と称される。このような接触荷重−接触抵抗特性の挙動の起源は、以下のように説明される。なお、図1に示す接触荷重−接触抵抗特性は、最表面が酸化されたスズ層を有する試料片について測定したものであり、特徴的な構造がグラフ曲線上によく現れているため説明に使用するが、後述するように、表面の金属種によらず、またその酸化状態によらず同じ現象が観測されるため、最表面にインジウム層が形成されている場合にも、以下の議論はそのまま当てはまる。
導体間の接触抵抗の主な発生要因は、被膜抵抗と集中抵抗に分けられる。被膜抵抗とは、導体表面に形成された酸化被膜等の絶縁性被膜の存在により発生する接触抵抗である。接触荷重を大きくすると、絶縁被膜の物理的な破壊により、被膜抵抗が小さくなる。一方、集中抵抗とは、導体表面の微視的な凹凸に由来し、巨視的な(見かけの)接触面積のうち、微小面積に形成される真実接触の箇所のみを経由して電流が流れることによるものである。接触荷重を大きくすると、巨視的な接触面の中で真実接触を形成する面積の総和が増加するので、集中抵抗が減少する。ただし、接触荷重の印加によって微視的な凹凸形状に変化が生じるようなことはほとんどないので、接触荷重に対する集中抵抗値の依存性は、被膜抵抗の依存性よりも小さい。
上記のような集中抵抗及び被膜抵抗の接触荷重に対する依存性は、特許文献2に示されるように、既にモデルを用いて定式化されている。それによると、平らな接触面を有する2つの導体を接触させた場合に、集中抵抗と被膜抵抗の総和である接触抵抗Rkは、下記の式(1)によって記述される。
Figure 0005857908
ここで、Fは接触荷重、Sは見かけの接触面積、Kは表面粗度、Hは硬度、ρは金属抵抗率、ρは被膜抵抗率、dは絶縁被膜の厚さである。
式(1)において、右辺第1項が集中抵抗の寄与を表し、第2項が被膜抵抗の寄与を表す。式(1)から分かるように、集中抵抗は接触荷重Fに対して−1/2乗の依存性を示すのに対し、被膜抵抗は荷重Fに対して−1乗の依存性を示す。つまり、接触荷重Fが小さい領域では、全接触抵抗に占める被膜抵抗の寄与が大きくなるのに対し、接触荷重Fが大きい領域では、全接触荷重に占める集中抵抗の寄与が大きくなる。
図1(a)において、低荷重側の接触抵抗が急激に減少している領域においては、被膜抵抗の寄与が支配的であり、高荷重側の接触抵抗がほとんど変化しない領域(安定領域)においては、集中抵抗の寄与が支配的であると考えられる。
端子対の接点部における接触抵抗は、できる限り低減されることが望ましいのに加え、接触荷重の変動に対してできる限り安定していることが望ましい。接触荷重がわずかに変動しただけで接触抵抗が大きく変動すると、安定な電気的特性が保証されず、好ましくない。そこで、低荷重側の被膜抵抗が支配的な領域ではなく、高荷重側の集中抵抗が支配的な安定領域に接触荷重が存在するように、端子対を製造する必要がある。ここで、接触荷重を大きくしすぎると、端子挿入力が大きくなりすぎるなどの現象が発生し、好ましくないので、安定領域の低荷重側の境界、つまり、被膜抵抗が支配的な領域と集中抵抗が支配的な領域の境界を、正確に見極める必要がある。
しかしながら、接触抵抗が被膜抵抗と集中抵抗の総和である以上、両者の寄与を完全に分離することは単純には行えない。実際に、図1(a)においては、確からしいと考えられる安定領域の境界を便宜的に点線で示してはいるが、低荷重側の接触抵抗が急激に低下する領域と、高荷重側の接触抵抗がほとんど変化しない領域は緩やかに接合され、この点線で表示した位置に被膜抵抗が支配的な領域と集中抵抗が支配的な領域の境界が存在するかどうかを断定することはできない。つまり、表示した位置よりも低荷重側又は高荷重側にその境界が存在する可能性がある。
集中抵抗と被膜抵抗では、接触荷重に依存する次数がそれぞれ−1/2次及び−1次と異なることに着目し、両者の寄与の分離を図るため、接触荷重−接触抵抗特性を両対数表示したものが図1(b)である。両対数表示においては、依存関係の次数が曲線の傾きとして現れる。図1(b)を見ると、破線で表示した位置に明確な下凸構造の変曲点が現れ、その低荷重側と高荷重側で、曲線の傾きが大きく変化しており、接触荷重に対する依存の次数が異なる2つの接触抵抗成分が変曲点の両側にそれぞれ存在していることが分かる。
なお、本明細書において、「変曲点」と表記した場合に、数学的に厳密な意味での変曲点ではなく、曲線の傾きが大きく変化し、曲線が屈曲する位置を示すものとする。換言すると、曲線の傾きの変化量が最大となる位置を意味するものとする。
図中に、下凸構造の変曲点よりも低荷重側についての近似直線を細い実線で示し、高荷重側についての近似直線を破線で示す。接触荷重、接触抵抗とも常用対数で表示した場合に、低荷重側の近似直線の傾きは−1となり、高荷重側の近似直線の傾きは−0.5となっている。つまり、変曲点よりも低荷重側の領域においては、被膜抵抗の寄与が支配的であり、集中抵抗の寄与はほぼ無視できる。一方、変曲点よりも高荷重側の領域においては、集中抵抗の寄与が支配的であり、被膜抵抗の寄与はほぼ無視できる。
このように、接触荷重−接触抵抗特性の両対数表示において、変曲点が明確に確認できる場合には、その変曲点の位置を安定領域の境界点とすればよい。しかし、式(1)中の各パラメータの大小関係等の要因によって被膜抵抗の寄与と集中抵抗の寄与の分離が明確でない場合や、測定データのばらつきが大きい場合などには、変曲点の位置を明確に決定するのが困難である。
そこで、変曲点が存在すると考えられる領域よりも低荷重側の近似直線の外挿線と、それよりも高荷重側の近似直線の外挿線が交差する点をもって、安定領域の低荷重側の境界と定め、これより高荷重側の領域の接触荷重を有するように端子対を製造すればよい。この交点における接触荷重は、図1(b)に示したように、変曲点における接触荷重と概ね一致し、少なくとも被膜抵抗が支配的である領域の接触荷重よりも確実に大きな接触荷重となっている。つまり、この変曲点における接触荷重よりも大きな接触荷重が端子接点部に印加されるようにしておけば、端子対は被膜抵抗の寄与がほとんどない安定領域で使用されることになり、小さい値に安定した接触抵抗が得られる。
ここで、変曲点よりも低荷重側及び高荷重側の近似直線の傾きは、上記のように理想的にはそれぞれ−1及び−1/2となるはずである。しかし、測定誤差の影響や式(1)の導出に使用されている近似モデルからの逸脱の影響などによって、実際の測定結果において、それらの傾きが−1及び−1/2からある程度外れる場合もある。このような場合にも、変曲点よりも低荷重側の比較的傾きの絶対値が大きい近似直線と、高荷重側の比較的傾きの絶対値が小さい近似直線の外挿線の交点をもって、安定領域の境界と定め、それよりも高い接触荷重を端子対の接点部に付与すれば、接触抵抗の接触荷重に対する依存性の次数の絶対値が小さく、小さい値に安定した接触抵抗を有する端子対を得ることができる。
上記のようにして端子対に付与すべき接触荷重が決定されれば、公知の製造方法により、その接触荷重を実現できる端子対の具体的な形状や寸法を適宜決定すればよい。例えば、弾性を有する接触片を使用して接点部に接触荷重を印加する形式の端子対においては、その接触片の板厚や板幅を上げることで弾性が上昇し、大きな接触荷重が印加されるようになる。あるいは、1支点のばね構造よりも2支点のばね構造を使用すれば、大きな接触荷重を印加することができる。
上記のように、被膜抵抗と集中抵抗の接触荷重に対する依存性の差を原理として、接触荷重−接触抵抗特性の両対数表示における下凸変曲点の位置、またはその低荷重側及び高荷重側における近似直線の外挿線の交点の位置が、安定領域の境界点と定められるという性質は、特定の金属種における特定の物性を利用したものではない。よって、金のように表面酸化被膜が形成されない金属を除いては、いかなる導電部材よりなる端子対に対しても当てはまる。
また、端子対を高温で使用した場合などに、接点部の最表面が酸化されると、被膜抵抗が上昇してしまう。そして、酸化膜が厚いほど、被膜抵抗値は大きくなる。しかし、酸化膜の破壊が完了して被膜抵抗の寄与がほとんど消失する時の接触荷重の値は、酸化膜の厚さに依存しない。つまり、酸化膜の状態によらず、上記の両対数表示における変曲点又は2つの近似直線の交点における接触荷重の値はほぼ一定であり、上記の議論が成り立つ。さらに、変曲点及び2つの近似直線の交点の位置は、母材の種類や、めっき等で最表面の金属層を形成する方法にもほとんど依存しない。よって、ある条件で形成した端子対に対して、安定領域の境界の接触荷重を決定することができれば、最表面に露出する金属種が同じである限り、その知見を母材の種類や最表層の形成方法を異ならせた素材よりなる端子対にも適用できる。
最表面にインジウム層を有する端子対の場合、その安定領域の境界は0.7N近傍に存在する。よって、最表面にスズめっき層を有する端子対において、接触荷重を0.7N以上、または確実を期すため0.8N以上とすれば、小さい値に安定した接触抵抗を達成することができる。
最表面にスズ層を有する場合の、上記のように2つの近似直線の外挿線の交点から求められる安定領域の境界は、2.7N近傍に存在する。つまり、インジウム層を最表面に有する場合に、スズ層を最表面に有する場合に比べて、1/3以下の接触荷重で、安定領域での電気的接続を達成することができる。これにより、端子の接続信頼性を維持しつつ、一般的なスズめっき端子に比較して、接触荷重を小さくすることができるので、端子対の小型化や、低挿入力化が可能となる。また、別の観点に立つと、同じ接触荷重を与えた場合に、接点部の最表面にインジウム層が形成されている場合に、スズ層が形成されている場合よりもより安定した電気的接触が実現される。
最表面にインジウム層を有する場合に、スズ層を有する場合よりも安定領域の境界が低荷重となる理由の1つは、インジウムがスズよりも小さい抵抗率を有することにあると考えられる。
以下、実施例を用いて本発明を詳細に説明する。
[実施例]
清浄な銅基板の表面に、厚さ1μmのニッケルめっき層を電解めっきによって形成した。この表面に、厚さ1μmのインジウムめっき層を電解めっきによって形成した。
[比較例]
清浄な銅基板の表面に、厚さ1μmのスズめっき層を作成し、比較例にかかる試料片とした。
[試験方法]
(接触抵抗の測定)
実施例及び比較例にかかる試験片について、接触抵抗を四端子法によって測定した。電極となる試験片の形状は、一般的なコネクタ端子対のモデルとなるように、一方を20mm四方の平板とし、一方を10mm四方の平板に半径1mmのエンボスを形成したものとした。平板部材を水平に保持し、鉛直方向からエンボスの頂部を接触させ、鉛直方向から接触荷重を印加した。この際、0〜40Nの荷重を増加させる方向に印加した。また、接触抵抗測定における開放電圧は20mV、通電電流は10mAとした。
(変曲点の評価)
上記で得られた実施例及び比較例にかかる試験片の接触荷重−接触抵抗特性の測定結果を、横軸を接触荷重の常用対数、縦軸を接触抵抗の常用対数としてプロットした。各プロット曲線について、下凸構造の変曲点の両側に近似直線を作成し、その交点における接触荷重を見積もった。
[試験結果及び考察]
図2に実施例にかかるインジウムめっき試料片と、比較例にかかるスズめっき試料片の接触荷重−接触抵抗特性を両対数表示したグラフを示す。同時に、これらの変曲点の両側の近似直線を細線で示す。
インジウムめっき試料片、スズめっき試料片いずれの場合も、変曲点よりも低荷重側の近似直線の傾きが約−1となり、高荷重側の近似直線の傾きが約−0.5となっている。2つの近似直線の交点における接触荷重の値は、インジウムめっき試料片の場合で0.72N、スズめっき試料片の場合で2.7Nとなっている。つまり、インジウムめっき試料片においては、スズめっき試料片の場合よりも変曲点における接触荷重が1/3以下となっている。
以上より、インジウムめっきが最表面に形成された端子接点部においては、接触荷重を0.72N以上とすれば、端子を安定領域で使用することができ、小さい値に安定した接触抵抗値を得られることを示している。また、この安定領域で端子を使用するための荷重の最低値が、スズめっきが最表面に形成されている場合の1/3以下の小さな値に低減されている。
以上、本発明の実施の形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。

Claims (5)

  1. 銅または銅合金を母材としてなり、相互に電気的に接触する接点部の最表面に厚さ0.5〜3μmのインジウム層をそれぞれ有し、前記母材と前記インジウム層の間にニッケルよりなる中間層をそれぞれ有する雄型コネクタ端子と雌型コネクタ端子とからなり、接点部に印加される荷重が、前記接点部において測定した接触荷重−接触抵抗特性を両対数表示したグラフにおいて求められる、下凸構造の変曲点よりも低荷重側の測定点に対する第一の近似直線の外挿線と、前記下凸構造の変曲点よりも高荷重側の測定点に対する前記第一の近似直線よりも傾きの絶対値が小さい第二の近似直線の外挿線との交点の接触荷重以上であることを特徴とする端子対。
  2. 接触荷重の常用対数値を横軸とし、接触抵抗の常用対数値を縦軸とした前記接触荷重−接触抵抗特性を両対数表示したグラフにおいて、前記第一の近似直線の傾きが−1であり、前記第二の近似直線の傾きが−0.5であることを特徴とする請求項1に記載の端子対。
  3. 前記交点における接触荷重が0.7Nであることを特徴とする請求項1又は2に記載の端子対。
  4. 銅または銅合金を母材としてなり、相互に電気的に接触する接点部の最表面に厚さ0.5〜3μmのインジウム層をそれぞれ有し、前記母材と前記インジウム層の間にニッケルよりなる中間層をそれぞれ有する雄型コネクタ端子と雌型コネクタ端子とからなる端子対の製造方法において、前記接点部に印加される接触荷重を、前記接点部における接触荷重−接触抵抗特性を両対数表示したグラフにおいて求められる、下凸構造の変曲点よりも低荷重側の測定点に対する第一の近似直線の外挿線と、前記下凸構造の変曲点よりも高荷重側の測定点に対する前記第一の近似直線よりも傾きの絶対値が小さい第二の近似直線の外挿線との交点の接触荷重以上とすることを特徴とする端子対の製造方法。
  5. 接触荷重の常用対数値を横軸とし、接触抵抗の常用対数値を縦軸とした前記接触荷重−接触抵抗特性を両対数表示したグラフにおいて、前記第一の近似直線の傾きが−1であり、前記第二の近似直線の傾きが−0.5であることを特徴とする請求項4に記載の端子対の製造方法。
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