上記のような構造では、上側基板に形成した導体パターンは、基板上に導体性ペーストを塗布することで形成するか、あるいは、表面にマスキングを施した基板を導体塗料液中に浸漬させることで形成されている。この場合、形成された導体パターンは、形成時の材料の温度や雰囲気などの各種条件によって僅かではあるがその厚み寸法が異なる場合がある。そのため、基板上の導体パターンの厚み寸法は、製品ごとに完全に同一の寸法にはならない。
ところが、特許文献1のような構造では、導体パターンが形成された上側基板と電極部が形成された下側基板との間隔は、上側基板と下側基板との間に介在するスペーサ部材の厚み寸法によって一義的に決まっている。そのため、上記のように導体パターンの厚み寸法が製品ごとに異なっていると、製品間の導体パターンと電極部との離間寸法にバラつきが生じてしまう。
この場合でも、上側基板と下側基板の間隔を大きな寸法にできる場合、すなわち、タッチ検出のための押下部材のストロークが大きな構造体であれば、導体パターンの厚み寸法が当該ストロークよりも大幅に小さな寸法となることで、タッチ検出装置ごとのタッチ検出精度のバラつきは、さほど大きくならずに済む。
ところが、小型化されたスイッチなどでは、スイッチの非操作時における導体パターンと電極部との離間寸法が非常に小さな寸法に設定されている。この場合、導体パターンの厚み寸法が僅かでも異なっていると、同じ強さのタッチ操作に対する出力値(検出値)に大きな差が生じてしまうことになる。すなわち、タッチ検出のためのストロークが小さいタッチ検出装置では、タッチ検出の感度を多数の製品間で一定となるように揃えることが困難であった。
本発明は上述の点に鑑みてなされたものであり、その目的は、簡単な構造及び製造工程で、印刷配線基板上に形成した接点パターンの厚み寸法が異なる複数の製品間でタッチ検出の感度を揃えることができるタッチ検出装置を提供することにある。
上記課題を解決するための本発明は、印刷配線基板(30)と、印刷配線基板(30)の表面(30a)に形成されたタッチ検出用の固定接点パターン(PT1)と、印刷配線基板(30)の表面(30a)側に設置された操作用部材(20)と、操作用部材(20)に形成された可動接点パターン(PT2)とを備え、操作用部材(20)は、印刷配線基板(30)上に固定的に設置される基部(23)と、固定接点パターン(PT1)に対して所定の離間寸法(Da)を隔てて対向するように形成された上記の可動接点パターン(PT2)を有する可動部(21)と、基部(23)に対して可動部(21)を相対移動可能に連結してなる可撓性を有する連結部(25)とからなり、可動部(21)の移動に伴い可動接点パターン(PT2)が固定接点パターン(PT1)に接触することでタッチ検出が行われるタッチ検出装置(40)であって、印刷配線基板(30)上の固定接点パターン(PT1)の外側(周囲の一部又は全部)には、該固定接点パターン(PT1)と同一工程で形成されて該固定接点パターン(PT1)と同一の厚み寸法(Dp)を有するスペーサ用パターン(PT3)が設けられており、操作用部材(20)の基部(23)は、スペーサ用パターン(PT3)を介して印刷配線基板(30)上に設置されていることを特徴とする。
本発明にかかるタッチ検出装置によれば、印刷配線基板上に形成した固定接点パターンの厚み寸法が、前述したような製造工程上の事情によって製品ごとに異なっていても、固定接点パターンと可動接点パターンとの間の離間寸法を同一の寸法に揃えることが可能となる。すなわち、仮に上記のスペーサ用パターンを設けていない場合には、印刷配線基板とそれに対向する可動部との離間寸法は、操作用部材の各部の寸法形状などによって一義的に決まる。また、スペーサ用パターンを設けていても、当該スペーサ用パターンが固定接点パターンとは別工程で形成したものである場合には、印刷配線基板と可動部との離間寸法は、操作用部材の各部の寸法によって一義的に決まる寸法に対して、さらに固定接点パターンの厚み寸法とは無関係であるスペーサ用パターンの厚み寸法分を含めた寸法となる。そのため、上記のように固定接点パターンの厚み寸法が製造工程上の事情によって製品ごとに異なっていると、必然的にそれら製品間の固定接点パターンと可動接点パターンとの離間寸法にバラつきが生じてしまう。これにより、タッチ検出の感度を多数の製品間で一定となるように揃えることが困難になってしまう。
これに対して、本発明にかかるタッチ検出装置では、操作用部材の基部は、固定接点パターンと同一工程で形成されて該固定接点パターンと同一の厚み寸法を有するスペーサ用パターンを介して印刷配線基板上に設置されている。したがって、固定接点パターンと同一の厚み寸法を有するスペーサ用パターンによって、印刷配線基板の表面に対する基部の位置が規定される。これにより、固定接点パターンの厚み寸法が製品ごとに異なっていても、それら製品間の固定接点パターンと可動接点パターンとの間の離間寸法を略一定の寸法に揃えることが可能となる。したがって、タッチ検出装置のタッチ検出の感度が多数の製品間で一定となるようにでき、製品の歩留まりを向上させることが可能となる。
また、上記のタッチ検出装置では、印刷配線基板(30)上の固定接点パターン(PT1)と操作用部材(20)の可動部(21)及び可動接点パターン(PT2)との組からなるタッチ検出部(41)が複数並べて設けられていてよい。その場合、印刷配線基板(30)上の固定接点パターン(PT1)は、タッチ検出部(41)の数と同数を設けるようにする一方で、印刷配線基板(30)上のスペーサ用パターン(PT3)は、その一部が隣接する複数のタッチ検出部(41)で共用されるように設けることが望ましい。
この構成によれば、複数のタッチ検出部を設けていても、スペーサ用パターンの設置面積を小さく抑えることが可能となる。したがって、複数のタッチ検出部を設けた装置の小型化を図ることが可能となる。
また、上記のタッチ検出装置では、スペーサ用パターン(PT3)は、固定接点パターン(PT1)を囲む多角形状の枠線に沿って間欠的に形成されており、かつ、固定接点パターン(PT1)の中心を通る多角形の対角線(L1)上の2点(X,Y)を少なくとも含んで形成されているとよい。またこの場合、スペーサ用パターン(PT3)は、対角線(L1)上の2点(X,Y)のうち少なくとも1点(X)から枠線に沿って他の対角線(L2)上の1点(Z)に向かって延伸しているとよい。
あるいは、スペーサ用パターン(PT3)は、固定接点パターン(PT1)の外周を囲む位置において複数の角部を有する多角形状に沿って形成されており、該複数の角部の少なくともいずれかに対応する位置は、スペーサ用パターン(PT3)が形成されていない間欠部になっていてよい。
これらの構成によれば、スペーサ用パターンを間欠的に形成していることで、固定接点パターンやその内側などに配置したLED素子などの部品からスペーサ用パターンの外部へ導出させる配線パターンを印刷配線基板上に形成していても、当該配線パターンをスペーサ用パターンの間欠箇所を通して配設することができるので、スペーサ用パターンが上記の配線パターンと干渉せずに済む。
また、スペーサ用パターンが固定接点パターンPT1の中心を通る多角形の対角線上の2点を少なくとも含んで形成されていること、及び対角線上の2点のうち少なくとも1点から他の対角線上の1点に向かって延伸していることで、スペーサ用パターンを間欠的に形成していても、該スペーサ用パターンによって操作用部材の基部を印刷配線基板に対して安定的に載置(固定)することが可能となる。
なお、上記の括弧内の符号は、後述する実施形態の対応する構成要素の符号を本発明の一例として示したものである。
本発明にかかるタッチ検出装置によれば、印刷配線基板上に形成した固定接点パターンの厚み寸法が製品ごとに異なっていても、それら製品ごとのタッチ検出の感度にバラつきが生じることを防止でき、製品の歩留まりを向上させることができる。
以下、添付図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。図1は、本発明の一実施形態にかかるタッチ検出装置40を備えた楽曲データ入力装置1の外観構成を示す斜視図である。また、図2は、楽曲データ入力装置1の構成部品を示す分解斜視図である。なお、図2では、楽曲データ入力装置1の構成部品の一部分のみを図示していると共に、各部品同士を固定するための固定構造などの図示も省略していることで、全体を簡略化した状態で図示している。図1及び図2に示す楽曲データ入力装置1は、上ケース11及び下ケース15からなる外装ケース10と、外装ケース10の内部に設置した操作用部材20及び印刷配線基板(以下、「基板」と記す。)30からなるタッチ検出装置40と、金属性の補強板50とを備えて構成されている。以下、各構成部品について詳細に説明する。
外装ケース10を構成する上ケース11及び下ケース15は、合成樹脂材などで形成された周囲壁(外縁)を有する略長方形の平板状部材である。下ケース15の外縁15aは上方に折曲形成されており、上ケース11(枠体12)の外縁12aは下方に折曲形成されている。上ケース11と下ケース15を上下に重ね合わせ、それらの外縁12a,15a同士を接合して一体化するようになっており、その内部に楽曲データ入力装置1の構成部品である操作用部材20、基板30、補強板50を収容するようになっている。
また、図1に示すように、下ケース15の下面側にはスタンド17が取り付けられている。スタンド17は、下ケース15の下面に対して支点(図示せず)を中心に回動可能に取り付けられている。同図に示すように、スタンド17を回動させて下ケース15の下面に対して起こした状態とすることで、スタンド17で下ケース15を斜めに支持し、楽曲データ入力装置1を傾斜させた状態で設置することができる。
また、図2に示すように、下ケース15の内面には、基板30上の後述する固定接点パターンPT1に対応する位置に、略円柱状の小突起15bが複数形成されている。小突起15bは、操作用部材20が有するパッド部21を介して指で押圧操作又は打撃操作される基板30上の固定接点パターンPT1をその下面側から支持するもので、パッド部21の打撃による基板30の変形を防止する機能、及びタッチ出力の検出精度低下を防止するための機能を有している。
上ケース11は、その外縁12aが下ケース15の外縁15aと重なる枠体(第1上ケース)12と、枠体12に設けた開口部12e内に設置される略平板状のパネル板(第2上ケース)13との2部品で構成されている。パネル板13は、その外形が枠体12の外形よりも一回り小さい長方形状で、枠体12の開口部12eに嵌め込んで取り付けるようになっている。また、パネル板13には、操作用部材20に設けた後述する各パッド部21のパッド面21aを露出させるための複数の透孔(開口部)13fが形成されている。
操作用部材20は、合成樹脂ラバー、シリコン樹脂など合成樹脂製の凹凸を有する可撓性板状部材(弾性部材)で、基板30上の各固定接点パターンPT1の外側を囲む位置に設置される基部23と、複数の固定接点パターンPT1それぞれに対応する複数の突起状のパッド部(可動部)21と、基部23に対してパッド部21を相対移動可能に連結してなる連結部25(図3参照)とを備えている。各パッド部21は、各固定接点パターンPT1に対応する寸法及び形状の突起からなり、その突起上面が指などで操作するパッド面(操作面)21aになっている。なお、操作用部材20の構成については、下記のタッチ検出装置40の説明で詳述する。
基板30は、下ケース15内に収容可能な略長方形状の外形を有する平板状の硬質基板である。基板30上には、タッチ検出装置40の各タッチ検出部41用の固定接点パターンPT1が形成されている。固定接点パターンPT1は、基板30上に複数が所定間隔でマトリクス状に整列配置されている。基板30上の各固定接点パターンPT1の中心部には、LED素子35が実装されている。各LED素子35は、緑色のLED素子35aと赤色のLED素子35bの2個が接近して並べて設置されている。これにより、後述するタッチ検出部41で検出したタッチ操作の強さに応じて、緑色のLED素子35aのみ発光、緑色のLED素子35aと赤色のLED素子35bの両方を発光、赤色のLED素子35bのみを発光の三段階に発光状態を切り替えることができる。なお、緑色のLED素子35aと赤色のLED素子35bの両方を発光させたときは黄色の発色となる。なお、緑色のLED素子35bの発光が黄色味を帯びている場合は橙色の発色となる。また、基板30上の各固定接点パターンPT1の外側を囲む位置には、格子状のスペーサ用パターンPT3が形成されている。なお、基板30の構成についても、下記のタッチ検出装置40の説明で詳述する。
補強板50は、下ケース15内で基板30の下面側に設置されている。この補強板50は、下ケース15内に収容可能な略長方形状の外形を有する金属製の平板状部材である。補強板50の長手方向の両端辺50a,50aは、上方に折り曲げられた補強部になっている。また、補強板50における基板30上の固定接点パターンPT1及び下ケース15の突起15bに対応する位置には、突起15bを挿通させて基板30の各固定接点パターンPT1の裏面側に当接させるための透孔53が形成されている。透孔53は、概略T字状の外形を有している。
タッチ検出装置40は、基板30と、基板30の上面(表面)30aに形成された固定接点パターンPT1と、基板30の上面30a側に設置された操作用部材20と、操作用部材20に形成された可動接点パターンPT2などを備えて構成されている。なお、本実施形態の楽音データ入力装置1には、図1に示すように、タッチ検出装置40の各タッチ検出部41の他に、操作スイッチ45やロータリーエンコーダ47など他の操作子も設けられているが、これらは、本発明とは直接関連しないので、ここではそれらの説明を省略する。
図3は、タッチ検出装置40が備えるタッチ検出部41の詳細構成を示す図で、(a)は、タッチ検出部41の側断面図((b)のA−A矢視に対応する断面図、(b)は、タッチ検出部41における基板30の上面30aを示す平面図である。また、図4は、操作用部材20のパッド部21をその下面21b側から見た斜視図である。以下、タッチ検出装置40の構成について詳細に説明する。
図3(a)に示すように、操作用部材20は、基板30上に固定的に設置される基部23と、基板30の各固定接点パターンPT1の上方に対向して配置されるパッド部21と、基部23に対してパッド部21を相対移動可能に連結してなる可撓性を有する連結部(スカート部)25とからなる。基部23は、図2に示すように、略長方形状の外形を有する操作用部材20及び基板30の縦横辺に沿って伸びる格子状に形成されており、その下面23bが後述するスペーサ用パターンPT3を介して基板30上に載置(固定)されるようになっている。なお、基板30上に載置された操作用部材20の基部23は、基板30と上ケース11(パネル板13)とに挟持された状態で固定されるようになっている。また、パッド部21は、格子状の基部23の間(格子間の略正方形状の隙間)に収まる略立方体状の突起状で、その上面に設けたパッド面21aが基部23の上面23aよりも上方に突出した状態で設置されている。
また、図4に示すように、パッド部21の下面21bは、基板30に設けた固定接点パターンPT1に対応する円形に近似した形状の平面状になっている。そして当該下面21bには、基板30の固定接点パターンPT1に接触させるための可動接点パターンPT2が形成されている。可動接点パターンPT2は、導電性を有する接点パターンからなる。この可動接点パターンPT2は、パッド部21の下面21bに当該可動接点パターンPT2の材料である導体塗料の塗布などによって形成したものである。また、パッド部21の下面21bの中央には、基板30上のLED素子35を配置するための凹部21cが形成されている。凹部21cは、LED素子35の高さ寸法よりも大きな高さ寸法を有する略円形のドーム型の窪みからなる。また、図3(a)に示すように、パッド部21の下面21b及び該下面21bに形成した可動接点パターンPT2の表面は、パッド部21の外周縁から中央の凹部21cに向かってその高さ位置が次第に高くなるように略円錐形状に若干傾斜した状態になっている。また、基板30上のLED素子35の発光がパッド部21を透過してパッド面21a側に導かれるように、操作用部材20は、透光性を有する半透明の材料で構成されている。なお、パッド部21における凹部21cとパッド面21aとの間の位置に透光性が確保されてさえいれば、パッド面21aの他の部分には表示用の塗装などが施されていてもよい。
操作用部材20の連結部25は、パッド部21の下端近傍の外周とそれに対向する基部23の側面とを連結している薄板状の部分である。この薄板状の連結部25は伸縮変形が可能であって、この連結部25の伸縮変形によって、基部23に対するパッド部21の相対的な上下動が許容されるようになっている。
基板30の上面30aに設けた固定接点パターンPT1は、抵抗性カーボンパターン又は低抵抗導電パターンなどからなる。固定接点パターンPT1は、LED素子35を配置した中心部Mが接点パターンの無いスペースになっており、該中心部Mの両側それぞれから互いに逆巻きの渦巻状に延伸する第1接点パターンPT1−1と第2接点パターンPT1−2の2本の渦巻状接点パターンを備えて構成されている。第1接点パターンPT1−1と第2接点パターンPT1−2は、互いが逆向きに巻かれた渦巻状であって、中心部Mから径方向に沿って交互に位置するように所定間隔で並べて配置されている。
上記の固定接点パターンPT1は、基板30の上面30aに導体性ペーストからなる塗料を塗布することで形成するか、あるいは、基板30の上面30aにおける固定接点パターンPT1を形成する部分以外の部分にマスキングを施した状態で、該基板30を導体塗料の液中に浸漬させることで、該基板30の上面30aに導体塗料を付着させて形成されている。
また、基板30の上面30aに設けたスペーサ用パターンPT3は、固定接点パターンPT1と同一工程で形成されたものであって、各固定接点パターンPT1の外側を囲む複数の直線からなる格子状に形成されている。スペーサ用パターンPT3は、操作用部材20の格子状の基部23に対応する形状及び配置になっている。このスペーサ用パターンPT3は、各固定接点パターンPT1の外側において、各固定接点パターンPT1を囲む完全な矩形状の枠線ではなく、その一部が不規則に省かれた間欠的な状態で形成されている。したがって、図3(b)に示すものでは、固定接点パターンPT1の外側を囲む上下左右の四辺に対して、右側辺に対応する位置に設けたパターンPT3−1,PT3−2と、下辺に対応する位置に設けたパターンPT3−3,PT3−4と、下辺から左下の角部を経由して左側辺までに対応する位置に設けたパターンPT3−5と、左側辺の一部に対応する位置に設けたパターンPT3−6と、上辺の一部に対応する位置に設けたパターンPT3−7とが有り、その他の部分は省かれた状態になっている。
基板30の上面30aにおける固定接点パターンPT1の周囲には、図示は省略するが、固定接点パターンPT1を他の回路に接続するための引出用パターン(引出配線)が配設されている。そのため、スペーサ用パターンPT3は、引出用パターンを避けた位置に形成する必要がある。したがって、スペーサ用パターンPT3は、上記のように矩形状の枠線に対して不規則に省かれて間欠的な状態で形成されている。
また、図3(b)に示すように、本実施形態のスペーサ用パターンPT3に含まれるパターンPT3−5,PT3−7は、固定接点パターンPT1の中心を通る対角線L1上の2点X,Yを含むように形成されている。さらに、パターンPT3−5の一部は、対角線L1上の2点X,Yのうちの1点Xから枠線に沿って他の対角線L2上の1点Zに向かって延伸している。
また、同図に示すように、スペーサ用パターンPT3は、固定接点パターンPT1の外周を囲む位置において、四角(四個の角部)を有する四角形状(多角形状)に沿って形成されている。そして、四角のうち一の角部(図3(b)に示す右下の角部)に対応する位置は、スペーサ用パターンPT3が形成されていない間欠部になっている。この間欠部に上記の引出用パターンが配設されている。
なお、図3(b)に示すスペーサ用パターンPT3の形状及び配置構成は一例であり、スペーサ用パターンPT3の具体的な形状及び配置は、図3(b)に示す形状及び配置以外のものであってもよい。
ここで、上記構成のタッチ検出装置40の動作について簡単に説明する。タッチ検出装置40では、非動作位置(初期位置)にあるパッド部21のパッド面21aが指などで押圧又は打撃操作されると、連結部25の撓み変形によってパッド部21が下降する。それにより、パッド部21の下面21bに設けた可動接点パターンPT2が基板30の固定接点パターンPT1に接触し、固定接点パターンPT1の第1接点パターンPT1−1と第2接点パターンPT1−2とが導通する。ここで、既述のように、パッド部21の下面21bが中央の凹部21cに向かってその高さ位置が次第に高くなるように若干傾斜した状態になっていることで、パッド面21aに対する押圧操作又は打撃操作の強さに応じたパッド部21の高さ位置の変化に伴い、可動接点パターンPT2がその外径側から内径側へ順次に固定接点パターンPT1に接触するようになっている。すなわち、押圧操作又は打撃操作の強さに応じて可動接点パターンPT2が固定接点パターンPT1に接触する領域の大きさが変化することによって、押圧操作又は打撃操作の強さを検出するようになっている。さらに、当該検出したパッド面21aに対する押圧操作又は打撃操作の強さに応じて、図示しない回路構成あるいはプログラム処理によって、点灯させるLED素子35(35a,35b)の数を変化させるようにする。これにより、パッド面21aの発光色を変更し得る。
図5は、操作用部材20のパッド部21及び基部23の下面21b,23bと基板30の上面30aとを示す部分拡大図である。同図に示すように、操作用部材20の基部23は、その下面23bがスペーサ用パターンPT3を介して基板30の上面30aに載置されているので、パッド部21の下面21bに設けた可動接点パターンPT2は、基板30の上面30aに設けた固定接点パターンPT1に対して所定の離間寸法Da以上を隔てた状態で対向している。すなわち、パッド部21の初期位置(非動作位置)では、可動接点パターンPT2の最外周(外周縁)Sの位置で、可動接点パターンPT2が固定接点パターンPT1に対して離間寸法Daを隔てて対向しており、その位置から可動接点パターンPT2の中心に近付くにつれて、可動接点パターンPT2の固定接点パターンPT1に対する離間寸法が次第に増加する構造になっている。しかしながら、便宜上ここでは、固定接点パターンPT1と可動接点パターンPT2との間の離間寸法は、離間寸法Daを用いて説明する。
スペーサ用パターンPT3は、固定接点パターンPT1を塗布する際に同一工程で基板30の上面30aに塗布される。また、固定接点パターンPT1が導体塗料の液中に基板30を浸漬させて付着される場合は、スペーサ用パターンPT3は、固定接点パターンPT1を付着させるために基板30を導体塗料の液中に浸漬させた際に、同一工程で基板30の上面30aに付着される。これにより、スペーサ用パターンPT3の厚み寸法Dpは、固定接点パターンPT1と同一の厚み寸法となる。
このように、基板30上の固定接点パターンPT1の外側に該固定接点パターンPT1と同一の厚み寸法Dpを有するスペーサ用パターンPT3が設けられており、操作用部材20の基部23は、このスペーサ用パターンPT3を介して基板30の上面30aに載置(固定)されている。このような構成を採用したことで、基板30上に形成した固定接点パターンPT1の厚み寸法Dpが製品ごとに異なっていても、固定接点パターンPT1と可動接点パターンPT2との間の離間寸法Daを略同一の寸法に揃えることが可能となる。
この点を詳細に説明すると、固定接点パターンPT1は、既述のように基板30の上面30aに導体塗料を塗布することで形成するか、あるいは、基板30を導体塗料の液中に浸漬させることで、該基板30の上面30aに導体塗料を付着させて形成したものである。そのため、固定接点パターンPT1の厚み寸法Dpは各工程で必ずしも一定にはならず、形成時の温度や湿度などの各種条件によって製品ごと(製品のロットごと)に若干ではあるが異なる寸法となるのが通常である。
そのため、仮に上記のスペーサ用パターンPT3が無ければ、基板30の上面30aとパッド部21の下面21bに設けた可動接点パターンPT2との離間寸法Dbは、基部23、連結部25、パッド部21など操作用部材20の各部の寸法形状によって一義的に決まってしまう。また、スペーサ用パターンPT3を設けていても、該スペーサ用パターンPT3が固定接点パターンPT1とは別工程で形成したものである場合には、上記の離間寸法Dbは、上記の操作用部材20の各部の寸法によって一義的に決まった値に対して、さらに固定接点パターンPT1の厚み寸法とは無関係であるスペーサ用パターンPT3の厚み寸法分を含めた寸法となる。そのため、上記のように、固定接点パターンPT1の厚み寸法Dpが製品ごとに異なっていると、必然的にそれら製品間の固定接点パターンPT1と可動接点パターンPT2との間の離間寸法Daが一定に揃わずバラつきが生じてしまう。これにより、タッチ検出装置40のタッチ検出の感度を複数の製品間で一定となるように揃えることが困難となってしまう。
これに対して、本実施形態のタッチ検出装置40では、基板30上の固定接点パターンPT1の外側に該固定接点パターンPT1と同一工程で形成されて該固定接点パターンPT1と同一の厚み寸法Dpを有するスペーサ用パターンPT3が設けられており、操作用部材20の基部23は、当該スペーサ用パターンPT3を介して基板30の上面30aに設置されている。したがって、固定接点パターンPT1と同一の厚み寸法Dpを有するスペーサ用パターンPT3によって、基板30の上面30aに対する基部23の下面23bの位置が規定される。すなわち、操作用部材20の基部23及びパッド部21が基板30の上面30aに対して固定接点パターンPT1の厚み寸法Dp分だけオフセットされた位置に設置されている。これにより、固定接点パターンPT1の厚み寸法Dpが製品ごとに異なっていても、それら製品間の固定接点パターンPT1と可動接点パターンPT2との間の離間寸法Daを略一定の寸法に揃えることが可能となる。したがって、タッチ検出装置40のタッチ検出の感度を多数の製品間で一定となるように揃えることができる。
また、本実施形態のタッチ検出装置40では、図2に示すように、基板30上に設けた固定接点パターンPT1と操作用部材20のパッド部21及び可動接点パターンPT2との組からなるタッチ検出部41は、複数が並べて設けられている。そして、固定接点パターンPT1とパッド部21及び可動接点パターンPT2とは、複数のタッチ検出部41それぞれに対応するようにタッチ検出部41の数と同数が設けられているのに対して、スペーサ用パターンPT3及び操作用部材20の基部23は、隣接するタッチ検出部41の間に位置するものが両側のタッチ検出部41で共用されるようになっている。すなわち、スペーサ用パターンPT3は、各タッチ検出部41の固定接点パターンPT1に対して間引かれた状態で形成されている。
本実施形態では、上記のようにスペーサ用パターンPT3を間引き形成していることで、多数のタッチ検出部41を設けていてもスペーサ用パターンPT3の設置面積を小さく抑えることが可能となる。したがって、多数のタッチ検出部41を設けた楽音データ入力装置1の小型化を図ることが可能となる。
また、本実施形態では、スペーサ用パターンPT3を各固定接点パターンPT1を囲む格子状に対して間欠的に形成していることで、固定接点パターンPT1からスペーサ用パターンPT3の外部へ導出させる配線パターンを基板30上に形成していても、当該配線パターンをスペーサ用パターンPT3の間欠箇所を通して配設することができるので、スペーサ用パターンPT3が配線パターンと干渉せずに済む。
さらに、本実施形態のスペーサ用パターンPT3は、固定接点パターンPT1の中心を通る対角線L1上の2点X,Yを少なくとも含んで形成されており。さらに、対角線L1上の2点X,Yのうちの1点Xから枠線に沿って他の対角線L2上の1点Zに向かって延伸している。これにより、スペーサ用パターンPT3を上記のように間欠的に形成していても、該スペーサ用パターンPT3によって操作用部材20の基部23を基板30の上面30aに安定的に載置(固定)することを可能にしている。
以上本発明の実施形態を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲、及び明細書と図面に記載された技術的思想の範囲内において種々の変形が可能である。例えば、上記実施形態では、基板30の上面30aに形成した固定接点パターンPT1を渦巻状に形成した場合を示したが、固定接点パターンPT1は、これ以外にも図示は省略するが、例えば、互いが所定間隔で平行に形成された複数の直線状の接点パターンからなるバーコード状に形成することも可能である。その場合は、固定接点パターンPT1に対向する可動接点パターンPT2は、上記複数の接点パターンの配列方向に沿って傾斜する傾斜面状にするとよい。
また、スペーサ用パターンPT3の形状は、操作用部材20が備える基部23の形状に対応したものであれば、上記実施形態に示す間欠的な格子状には限らず、他の形状であってもよい。例えば、基部23が正方形の格子型ではなく、他の多角形状に形成されている場合には、スペーサ用パターンPT3もそれに合わせた多角形状の枠線に沿って間欠的に形成することができる。この場合のスペーサ用パターンPT3は、固定接点パターンPT1の中心を通る当該多角形の対角線上の2点を少なくとも含んで形成されているようにすると良い。さらにいえば、基部23が直線状の格子型ではなく、曲線状など他の形状になっている場合は、スペーサ用パターンPT3は、基部23の形状に合わせた曲線状に形成することが可能である。