JP5855248B2 - 工作機械 - Google Patents

Description

本発明は、工作機械に関し、特に、ＮＣ（数値制御）によってワークを加工するとき、切りくずや加工液の飛散を防止するスプラッシュガードを備えた工作機械に関する。

従来から工作機械において加工中に切りくずや加工液が飛散することを防止するために、工作機械を包囲するスプラッシュガードが用いられている。スプラッシュガードは、一般的に工作機械の主軸先端部に装着される工具および該工具によって加工されるワークにアクセスするために、スプラッシュガードの正面パネルや側面パネルにドアが設けられている。例えば、特許文献１には、円弧状に形成された複数の扉を備えた工作機械用カバーが開示されている。

特開平１１−１１４７６７号公報

特許文献１の工作機械用カバーでは、複数の扉は円弧運動によって開閉するようになっているが、正面側のドアのみを開閉することはできない。従って、加工空間の正面部分にアクセスするためには、複数のドアの全てを開かざるを得ず、そのためには、どのようなインターロックを設計しても、主軸の回転を停止し、かつ、加工液の供給を停止して、加工プロセスを完全に停止しなければならない問題がある。

本発明は、こうした従来技術の問題を解決することを技術課題としており、直線状又は円弧状に形成された複数のドアを備えたスプラッシュガードにおいて、段取り室側ドア（正面側のドア）のみ或いは加工室側ドア（側面側のドア）のみを開閉できるようにした工作機械を提供することを目的とする。

本発明は、また、両面イケールを用いた加工中の段取や、主軸への工具の手操作による交換が安全かつ効率良くできるようにした使い勝手の良いコンパクトなスプラッシュガードを備えた工作機械を提供することを目的としている。

上述の目的を達成するために、本発明によれば、
ワークを加工する空間を包囲し、切りくずや加工液の飛散を防止するスプラッシュガードを備えた工作機械において、
前記スプラッシュガードの段取り室側に設けられ、水平方向に開閉動作する段取り室側ドアと、
前記スプラッシュガードの加工室側に設けられた加工室側ドアであって、該加工室側ドアは、前記段取り室側ドアとは独立して水平方向に開閉動作し、かつ、前記段取り室側ドア及び加工室側ドアは、両者が閉じた状態で部分的に互いに重なり合うように配置されている加工室側ドアと、
前記段取り室側ドアのみ開閉するパターン、前記加工室側ドアのみ開閉するパターン及び前記段取り室側ドアと前記加工室側ドアの双方を同時に開くパターンのいずれかの開閉パターンに応じて前記段取り室側ドアと前記加工室側ドアの開閉を選択的に許可するドアロックスイッチと、
を具備する工作機械が提供される。
更に、本発明によれば、
ワークを加工する空間を包囲し、切りくずや加工液の飛散を防止するスプラッシュガードを備えた工作機械において、
前記スプラッシュガードの正面側に設けられ、円弧運動によって水平方向に開閉動作する正面ドアと、
前記スプラッシュガードの側面側に設けられ、前記正面ドアと同心の円弧運動をし、前記正面ドアと独立して水平方向に開閉動作する側面ドアであって、前記正面ドア及び側面ドアは、両者が閉じた状態で部分的に互いに重なり合うように配置されている側面ドアと、
前記正面ドアのみ開閉するパターン、前記側面ドアのみ開閉するパターン及び前記正面ドアと前記側面ドアの双方を同時に開くパターンのいずれかの開閉パターンに応じて前記正面ドアと前記側面ドアの開閉を選択的に許可するドアロックスイッチと、
を具備する工作機械が提供される。

本発明によれば、段取り室側ドア（正面側のドア）と、加工室側ドア（側面側のドア）は同じ方向に各々独立して開閉可能となっており、必要に応じて各々選択的に開閉できる。また、開閉パターンに応じて段取り室側ドア（正面側のドア）と加工室側ドア（側面側のドア）の開閉を選択的に許可するドアロックスイッチを設けることによって、工作機械の主軸が停止し加工液の供給が停止している間のみにドアが開放可能となるように設定することができる等の生産効率、安全性を考慮した使い勝手の良いドア開閉パターンを得ることができる。

本発明の一実施形態に係る工作機械の構造を概略的に示す側面図である。 図１の矢視線２−２の方向に見た工作機械の後面図である。 図１の工作機械を包囲するスプラッシュガードと共に示す工作機械の外観を概略的に示す斜視図である。 図３のスプラッシュガードの一部の断面図であり、本発明の実施形態によるスライドドアを示す図である。

以下、添付図面を参照しつつ本発明の一実施形態を説明する。図１は、本発明の一実施形態に係る工作機械の構造を概略的に示す側面図であり、図２は、図１の矢視線２−２の方向に見た工作機械の後面図であり、図３は、スプラッシュガードと共に示す工作機械の外観を概略的に示す斜視図であり、図４は、図３のスプラッシュガードの一部の断面図であり、本発明の実施形態によるスライドドアを示す図である。なお、本明細書では、後述する主軸の先端に装着される工具の先端方向が工作機械の前側とする。

本実施形態では工作機械１０は、一例としてＸＹＺの直交３軸方向の直線移動軸と、１つの回転送り軸であるＢ軸とを有した４軸横形のマシニングセンタである。工作機械１０の左右方向（図１の紙面に垂直方向）をＸ軸、上下方向をＹ軸、前後方向（図１において左右方向）をＺ軸と定義する。Ｂ軸は、Ｙ軸に平行な鉛直軸線を中心とした回転送り軸である。工作機械１０には、４軸横形マシニングセンタに代えて、例えば５軸機や立形マシニングセンタ、フライス盤、放電加工機等が用いられてもよい。

工作機械１０は、工場等の床面に支持される基台としてのベッド１２を備える。ベッド１２は中空角柱状のベッド本体１３と、ベッド本体１３の後面からＺ軸方向に後方に突出する左右一対の側壁１４とを備える。ベッド１２は、支持部材としての高さ調節可能な複数の、本実施形態では３つのレベリングブロックによって支持されている。より詳細には、ベッド１２は、ベッド本体１３の前側中央部に配置された１つの前レベリングブロック１１ａと、一対の側壁１４の各々の後端部に配置された後レベリングブロック１１ｂとによって支持されている。

ベッド本体１３の上面にはテーブル１５が配置される。テーブル１５は、ベッド本体１３内に組込まれるＢ軸サーボモータ１５ａによって、Ｙ軸に平行に延びる回転軸線回りでＢ軸方向に回転送りされる。テーブル１５上には両面イケール１６が固定される。両面イケール１６は、ワークＷを取付けるための互いに背中合わせに配置された取付面１６ａ、１６ｂを有している。

工作機械１０は、ベッド本体１３の後面においてＹ軸に沿って上下方向に直線往復移動する上下移動体２１を具備している。上下移動体２１の上面には、Ｘ軸に沿って左右方向に直線往復移動する左右移動体２３が取付けられている。左右移動体２３にはＺ軸に沿って前後方向に直線往復移動する前後移動体２４が取付けられている。前後移動体２４には、Ｚ軸に平行な回転軸線Ｏを中心として主軸２６を回転可能に支持する主軸頭２５が取付けられている。工具２７が両面イケール１６の一方の取付面に固定されたワークＷに向き合うように主軸２６の先端に着脱可能に装着される。

ベッド本体１３の後面には、Ｙ軸方向（鉛直方向）に延びる左右一対の上下ガイドとしてのＹ軸ガイドレール２８が取付けられており、Ｙ軸ガイドレール２８の外側には、Ｙ軸方向に延設された一対の上下送りねじとしてのＹ軸ボールねじ３５が取付けられている。また、ベッド本体１３の後面にはブラケット３１が設けられている。本実施形態では、ブラケット３１は、側壁１４の内側面から突出するように、側壁１４と一体的に形成されている。ブラケット３１に上下送りモータとしてのＹ軸サーボモータ３０が取付けられる。ブラケット３１には、Ｙ軸方向にブラケット３１の上面から下面に貫通する貫通孔３２が形成されており、Ｙ軸サーボモータ３０は、その出力軸３０ａが貫通穴３２を通して上方に突出するように、ブラケット３１の下面に取付けられる。出力軸３０ａは、カップリング３４を介してＹ軸ボールねじ３５の下端に連結されている。Ｙ軸ボールねじ３５は、後レベリングブロック１１ｂに可能な限り近づけて配置される。

上下移動体２１は、Ｙ軸方向に互いに離間し二叉状に下方に延びる左右一対の脚部２２を具備している。上下移動体２１にはＹ軸ガイドブロック２９が取付けられており、上下移動体２１は、Ｙ軸ガイドブロック２９を介してＹ軸ガイドレール２８に沿って摺動可能にＹ軸ガイドレール２８に支持される。図２から理解されるように、Ｙ軸ガイドブロック２９は、上下移動体２１をベッド本体１３の後面に取付けたときに、Ｙ軸ガイドレール２８が一対の脚部２２に重なるように配置されている。より詳細には、上下移動体２１には、一対のＹ軸ガイドレール２８の各々に対して上下一対のＹ軸ガイドブロック２９が配設されており、各対のＹ軸ガイドブロック２９において、少なくとも一方のガイドブロックは、一対の脚部２２の各々に配置されている。

上下移動体２１には更にＹ軸ボールねじ３５に係合するナット３６が取付けられている。Ｙ軸サーボモータ３０が回転すると、該Ｙ軸サーボモータ３０の回転方向及び回転量に応じて上下移動体２１は上下方向に駆動される。なお、Ｙ軸サーボモータ３０及びＹ軸ボールねじ３５は本発明の上下駆動手段を構成する。Ｙ軸ボールねじ３５は少なくとも左右いずれか１本あればよい。また、上下移動体２１の左右方向の寸法は、ガイドブロック２９が収まる最小限の幅があればよく、ナット３６の部分だけ左右に突出させて、軽量化を図るのが好ましい。

上下移動体２１の上面には、Ｘ軸方向に延びる一対の左右ガイドとしてのＸ軸ガイドレール３７と、該一対のＸ軸ガイドレール３７の間でＸ軸方向に延びる左右送りねじとしてのＸ軸ボールねじ４１とが取付けられている。左右移動体２３にはＸ軸ガイドブロック３８が取付けられており、左右移動体２３は、Ｘ軸ガイドブロック３８を介してＸ軸ガイドレール３７に沿って左右方向に摺動可能にＸ軸ガイドレール３７に支持されている。また、上下移動体２１には左右送りモータとしてのＸ軸サーボモータ３９が取付けられている。Ｘ軸サーボモータ３９の出力軸（図示せず）はカップリング（図示せず）を介してＸ軸ボールねじ４１に連結される。左右移動体２３には更にＸ軸ボールねじ４１に係合するナット４２が取付けられており、Ｘ軸サーボモータ３９が回転すると、該Ｘ軸サーボモータ３９の回転方向及び回転量に応じて左右移動体２３は左右方向に駆動される。なお、Ｘ軸サーボモータ３９及びＸ軸ボールねじ４１は本発明の左右駆動手段を構成する。

左右移動体２３の上面には、Ｚ軸方向に延びる左右一対の前後ガイドとしてのＺ軸ガイドレール４３と、該一対のＺ軸ガイドレール４３の間でＺ軸方向に延びる前後送りねじとしてのＺ軸ボールねじ４６とが取付けられている。前後移動体２４にはＺ軸ガイドブロック４４が取付けられており、前後移動体２４は、Ｚ軸ガイドブロック４４を介してＺ軸ガイドレール４３に沿って前後方向に摺動可能にＺ軸ガイドレール４３に支持されている。また、左右移動体２３には前後送りモータとしてのＺ軸サーボモータ４５が取付けられている。Ｚ軸サーボモータ４５の出力軸（図示せず）はカップリング（図示せず）を介してＺ軸ボールねじ４６に連結される。前後移動体２４には更にＺ軸ボールねじ４６に係合するナット４７が取付けられており、Ｚ軸サーボモータ４５が回転すると、該Ｚ軸サーボモータ４５の回転方向及び回転量に応じて前後移動体２４は前後方向に駆動される。なお、Ｚ軸サーボモータ４５及びＺ軸ボールねじ４６は本発明の前後駆動手段を構成する。

主軸頭２５内にはビルトインタイプのスピンドルモータ（図示せず）が組込まれている。スピンドルモータにより主軸２６及び工具２７は回転軸線Ｏを中心として回転駆動される。左右移動体２３、上下移動体２１及び前後移動体２４のＸＹＺ方向の直線移動によって工具２７がワークＷに対して相対移動する。この相対移動は、工作機械１０に組込まれているＮＣ装置（図示せず）によって制御される。工具２７とワークＷとの相対移動中に回転する工具２７が所定の加工点でワークＷに接触する。こうしてワークＷが所望の形状に加工される。

図１に示すように、ベッド本体１３内には上方に開口した空洞５１が形成される。空洞５１内壁には、テーブル１５の下方に配置されるシュータ５２が形成されており、ベッド本体１３の後面には、切りくず排出口としての開口部１３ａが形成されている。シュータ５２は、ベッド本体１３の前から後方へ開口部１３ａへ向けて低くなる傾斜面及び左右の内壁で下方へ向かう傾斜面から成る。ワークＷの加工に際して発生する切りくず及びワークＷの加工領域に噴射される加工液は、テーブル１５の周囲から空洞５１内に落下し、更に、シュータ５２に沿って開口部１３ａへ向けて移動する。

切りくず及び加工液を機外へ、つまりベッド本体１３の空洞５１の外部に排出するための切りくずダクト５３がベッド本体１３の後面に取付けられる。切りくずダクト５３は、ベッド本体１３の後面から上下移動体２１の脚部２２の間を通過して後方へ延びる。切りくずダクト５３は、一方の端部において、例えば複数のボルトによって、ベッド本体１３の後面に開口部１３ａを包囲するように取付けられる。切りくずダクト５３の他端５３ｂは、切りくず受け５６が連結されるようになっている。切りくず受け５６は、上方に開口した薄いトレイ状の部材であって、底壁がメッシュ（図示せず）になっている。切りくず受け５６の下側には加工液タンク５４が配置される。切りくずダクト５３は、シュータ５２から加工液タンク５４に向かうにつれて床面に近づくように下方に傾斜している。こうして、開口部１３ａから機外へ排出された切りくず及び加工液は、切りくずダクト５３によって切りくず受け５６へ導かれる。切りくず受け５６では、加工液は、切りくず受け５６の底壁のメッシュを通じてろ過された後に加工液タンク５４に落下し、切りくず受け５６の底壁上に切りくずのみが堆積する。切りくず受け５６に堆積した切りくずは、オペレーターによって定期的に収集される。

加工液タンク５４は、切りくずダクト５３によってシュータ５２から導かれた加工液を貯留する。加工液タンク５４にはポンプ５５が取付けられている。ポンプ５５は、加工液タンク５４に貯留された加工液をワークＷの加工領域に向かって供給する。加工液タンク５４内に更にフィルター（図示せず）を設けて、加工領域への供給に先立って、微細な切りくずを更に濾過するようにしてもよい。こうして加工液は再利用される。

工作機械１０は、前述のすべての構成要素を収容する内部空間を形成する例えば箱形のスプラッシュガード６１を備える。スプラッシュガード６１は、工作機械１０の正面下方部分、両側部、頂部及び後面を覆う正面パネル６２、左右側面パネル６３ａ、６３ｂ及び天板パネル６４を備えている。工作機械１０の正面の上方部分、特に両面イケール１６が配置される空間は、第１と第２のスライドドア６５、６６によって覆われている。第１と第２のスライドドア６５、６６には矩形の監視窓６５ａ、６６ａが形成されており、該監視窓６５ａ、６６ａには透明なガラス板が嵌め込まれる。

右側面パネル６３ｂには操作盤６８が組込まれており、該操作盤６８は前述のＮＣ装置に接続されている。操作盤６８には、前述の構成要素の動作状態を表示する表示パネルや種々の入力ボタンが配置される。工作機械１０のオペレータは操作盤６８を介してＮＣ装置に加工プログラムや、種々の加工パラメータを入力することができる。加工プログラムは、工場内ＬＡＮ等の通信ネットワークを介して入力するようにしてもよい。

図４を参照すると、両面イケール１６が配置されるベッド１２の上方空間は、固定されている円弧壁７４、可動式の第１と第２のスライドドア６５、６６及びスライドプレート７１によって囲繞された加工領域となっている。段取り室側ドア（正面ドア）としての第１のスライドドア６５は工作機械１０の正面側に設けられ、中心Ｏ′を中心とした円弧運動によって水平方向に開閉動作する。加工室側ドア（側面ドア）としての第２のスライドドア６６は、第１のスライドドア６５と同じ中心Ｏ′を中心とした円弧運動をし、該第１のスライドドア６５と重なり合って開閉動作する。なお、本実施形態では、第１と第２のスライドドア６５、６６の円弧運動の中心Ｏ′は、主軸頭２５がＸ軸ストローク中心に位置するとき、主軸２７の回転軸線Ｏ上にある。また、第１と第２のスライドドア６５、６６には、それぞれ開閉用の把手６５ｂ、６６ｂが取付けられている。

前記加工領域には、テーブル１５のＢ軸方向の回転中心軸線を含む平面内で主軸２６の回転軸線Ｏに対して概ね垂直に延在する仕切壁７０が配置されている。テーブル１５をＢ軸方向に回転送りすることによって両面イケール１６が図４に示すように主軸２６の中心軸線Ｏに対して略垂直となったときに、前記加工領域は、手前側つまり正面の第１のスライドドア６５、仕切壁７０及び両面イケール１６によって画成される段取り室７２と、奥側つまり円弧壁７４、仕切壁７０、両面イケール１６、スライドプレート７１及び側面側の第２のスライドドア６６によって画成される加工室７３とに分割される。スライドプレート７１は、主軸頭２５の動作に追随して、加工室７３の後面を常に閉塞する。また、第１と第２のスライドドア６５、６６は独立にスライドさせることが可能であって、第１のスライドドア６５を矢印Ａの方向にスライド、開放することによって、オペレーターは段取り室７２にアクセス可能となり、第２のスライドドア６６を矢印Ａの方向にスライド、開放することによって、オペレーターは加工室７３にアクセス可能となる。

工作機械１０は、更に、該工作機械１０の作動状態と関連付けて第１と第２のスライドドア６５、６６の開放を防止するインターロックを備えている。図４を参照すると、第１のスライドドア６５には第１のドアロックスイッチ７５が配設されており、第２のスライドドア６６には第２のドアロックスイッチ７６が配設されている。ドアロックスイッチ７５は、第２のスライドドア６６の開閉に支障のない場所に設けられていることは言うまでもない。第１と第２のドアロックスイッチ７５、７６は、第１と第２のスライドドア６５、６６が閉じているときに、該ドアロックスイッチを横断して電流がインターロック回路（図示せず）へ流れることを許容する接点（図示せず）と、前記インターロック回路がスライドドアの開放を禁止している間、それに従って第１と第２のスライドドア６５、６６の開放を不能とするロック機構（図示せず）とを備えている。インターロック回路は、リミットスイッチやソレノイドを用いたプログラマブルコントローラを用いてもよい。

第１と第２のスライドドア６５、６６は円弧形状を呈し、円弧運動により開閉動作するものに限定されない。例えば、図４において、スライドプレート７１の部分に長辺、第１のスライドドア６５に接する部分にＸ軸と平行な短辺、円弧壁７４の部分及び第２のスライドドア６６の部分にそれぞれ斜辺を有する台形のスプラッシュガードを配設することもできる。この場合、第２のスライドドア６６の部分の斜辺の仕切壁７０より前側に直線状の第１のスライドドア（段取り室側ドア）と、仕切壁７０より後側に直線状の第２のスライドドア（加工室側ドア）を隣接して配置し、各々のスライドドアを工作機械１０の斜め後方へ独立して直線運動により開閉動作する構成にしてもよい。

あるいは、図４において、スライドプレート７１の部分に長辺、第１のスライドドア６５に接する部分にＸ軸と平行な長辺、円弧壁７４及び第２のスライドドア６６に接する部分にそれぞれＺ軸と平行な短辺を有する長方形のスプラッシュガードを配設することもできる。この場合、第２のスライドドア６６に接する部分の短辺の仕切壁７０より前側に直線状の第１のスライドドア（段取り室側ドア）と、仕切壁７０より後側に直線状の第２のスライドドア（加工室側ドア）を隣接して配置し、各々のスライドドアを工作機械１０の後方へ独立して直線運動により開閉動作する構成にしてもよい。

以下、本実施形態とインターロックの一例を説明する。
（１）第１のスライドドア６５のみを開く場合
Ｂ軸が０°又は１８０°の位置にあるとき、すなわち両面イケール１６が図４に示すように、主軸２６の回転軸線Oに対して９０°の位置にあるとき、インターロックは第１のドアロックスイッチ７５のロック機構をアンロックする。これによって、第１のスライドドア６５が開放可能となる。一方、第１のスライドドア６５が開いている間、インターロックはＢ軸の回転を禁止し、Ｂ軸の０°又は１８０°の位置を維持する。これによって、オペレーターは、工作機械１０の主軸２６が回転しワークＷの加工中であっても、安全に第１のスライドドア６５を開いて段取り室７２にアクセスし、加工済ワークＷを両面イケール１６の取付面（図４では取付面１６ａ）から取外し、未加工ワーク（図示せず）を該取付面に取付け、ワークの交換を行うことができる。第１のスライドドア６５が閉じられ第１のドアロックスイッチ７５の接点が閉じると、インターロックはＢ軸の回転を許容する。

（２）第２のスライドドア６６のみを開く場合
主軸２６、Ｂ軸及び加工液の供給が停止している間、インターロックは第２のドアロックスイッチ７６のロック機構をアンロックし、第２のスライドドア６６が開放可能となる。このとき、Ｂ軸は、その回転位置によらず停止していればアンロックの条件は満される。第２のスライドドア６６が開いている間、インターロックは主軸２６及びＢ軸の回転及び加工液の供給を禁止する。これによって、オペレーターは安全に第２のスライドドア６６を開いて、加工室７３にアクセスし、例えば、手操作によって工具を交換したり、加工室７３を清掃したり、或いは、加工のデバッグ等の作業を行うことが可能となる。第２のスライドドア６６が閉じられ第２のドアロックスイッチ７６の接点が閉じると、インターロックは、先ず、Ｂ軸の回転禁止を解除する。但し、このとき第１のスライドドア６５は閉じている点に注意されたい。次いで、例えばＮＣ装置からの司令によってＢ軸が０°又は１８０°の位置へ移動すると、インターロックは主軸２６の回転及び加工液の供給禁止を解除し、これらが作動することを許容する。

（３）第１と第２のスライドドア６５、６６の双方を同時に開く場合
上記条件（１）及び（２）を同時に満足する場合、つまり主軸２６、Ｂ軸及び加工液の供給が停止しており、かつ、Ｂ軸が０°又は１８０°の位置に割り出されている間、インターロックは第２のドアロックスイッチ７６のロック機構をアンロックするのと同時に第１のドアロックスイッチ７５のロック機構をもアンロックする。これによって、第２のスライドドア６６に加えて第１のスライドドア６５も同時に開放可能となる。第１と第２のスライドドア６５、６６が同時に開いている間、インターロックは主軸２６及びＢ軸の回転及び加工液の供給を禁止する。第１と第２のスライドドア６５、６６の機構上、第１と第２のスライドドア６５、６６が同時に開いている状態から第１のスライドドア６５のみを閉じることはできないが、第２のスライドドア６６のみを閉じることは可能である。第２のスライドドア６６が閉じられ、第１のスライドドア６５が開いている状態では、インターロックは主軸２６の回転及び加工液の供給禁止を解除し、これらが作動することを許容する。但し、第１のスライドドア６５が開かれている間は、インターロックはＢ軸の回転を禁止する。

既述したように、本実施形態による工作機械１０のスプラッシュガード６１では、正面側の第１のスライドドア６５と、側面側の第２のスライドドア６６は同心の円弧運動によって各々独立して開閉可能となっており、必要に応じて各々選択的に開閉できる。また、Ｂ軸方向に回転可能なテーブル１５上に取付けられた両面イケール１６及び該両面イケール１６の周囲に配設された仕切壁７０によって、スプラッシュガード６１内の加工空間が段取り室７２と、加工室７３とに区画されている。これによって、両面イケール１６の一方の取付面１６ｂに取付けられたワークＷを加工中に他方の取付面１６ａのワークの段取りが可能となっている。

第１と第２のドアロックスイッチ７５、７６を備えたインターロックによって、加工中であっても正面側の第１のスライドドア６５のみを開閉してワークＷの段取りが可能であり、側面側の第２のスライドドア６６のみを開閉して工具２７を手操作によって交換可能であり、更に第１と第２のスライドドア６５、６６を同時に開くことによって全開状態となる。このように、本実施形態によれば、オペレーターの安全を確保しつつ必要に応じて第１と第２のスライドドア６５、６６の一方または双方を開閉可能となっている。

更に、Ｙ軸サーボモータ３０及びＹ軸ボールねじ３５はベッド本体１３の後面に配置され、Ｙ軸サーボモータ３０はＹ軸ボールねじ３５の下端に連結される。本実施形態では、Ｙ軸ガイドレール２８、Ｙ軸サーボモータ３０及びＹ軸ボールねじ３５は主軸頭２５よりも下方に配置される。特に、Ｙ軸ガイドレール２８は下端が床面近傍まで延びるように配置され、Ｙ軸サーボモータ３０は床面に隣接して配置される。その結果、これまで以上に低い位置に工作機械１０の重心を設定することができる。そして、上下移動体２１を切りくずダクト５３をかわすように二叉形状にし、脚部２２にガイドブロック２９を設けて、上下方向に長いスパンで上下移動体２１を上下案内支持させることも寄与して、これまで以上に高い安定性を有する工作機械１０を実現することができる。これまで以上に高い安定性を有する工作機械１０を実現することができる。こうして工作機械１０における加工の精度を向上させることができる。加えて、工作機械１０の上端にはＹ軸サーボモータ３０が配置されなくて済むことから、工作機械１０の全高を小さくすることができる。

なお、一対のＹ軸ガイドレール２８をベッド本体１３の後面ではなく、ベッド本体１３の後面より後方に突出したベッド左右の側壁１４をもたないベッド１２の側面後方に上下方向に延設し、上下移動体２１をベッド本体１３の側面側で上下方向に移動する形態に構成してもよい。

１０ 工作機械
１２ ベッド
１４ 側壁
１５ テーブル
１６ 両面イケール
１６ａ 取付面
１６ｂ 取付面
２１ 上下移動体
２２ 脚部
２３ 左右移動体
２４ 前後移動体
２５ 主軸頭
２６ 主軸
２７ 工具
２８ Ｙ軸ガイドレール
３７ Ｘ軸ガイドレール
４３ Ｚ軸ガイドレール
６１ スプラッシュガード
６２ 正面パネル
６３ａ 左側面パネル
６３ｂ 右側面パネル
６４ 天板パネル
６５ 第１のスライドドア
６６ 第２のスライドドア
７０ 仕切壁
７１ スライドプレート
７２ 段取り室
７３ 加工室
７４ 円弧壁
７５ 第１のドアロックスイッチ
７６ 第２のドアロックスイッチ

Claims (7)

1. ワークを加工する空間を包囲し、切りくずや加工液の飛散を防止するスプラッシュガードを備えた工作機械において、
   前記スプラッシュガードの段取り室側に設けられ、水平方向に開閉動作する段取り室側ドアと、
   前記スプラッシュガードの加工室側に設けられた加工室側ドアであって、該加工室側ドアは、前記段取り室側ドアとは独立して水平方向に開閉動作し、かつ、前記段取り室側ドア及び加工室側ドアは、両者が閉じた状態で部分的に互いに重なり合うように配置されている加工室側ドアと、
   前記段取り室側ドアのみ開閉するパターン、前記加工室側ドアのみ開閉するパターン及び前記段取り室側ドアと前記加工室側ドアの双方を同時に開くパターンのいずれかの開閉パターンに応じて前記段取り室側ドアと前記加工室側ドアの開閉を選択的に許可するドアロックスイッチと、
   を具備することを特徴とした工作機械。
2. ワークを加工する空間を包囲し、切りくずや加工液の飛散を防止するスプラッシュガードを備えた工作機械において、
   前記スプラッシュガードの正面側に設けられ、円弧運動によって水平方向に開閉動作する正面ドアと、
   前記スプラッシュガードの側面側に設けられ、前記正面ドアと同心の円弧運動をし、前記正面ドアと独立して水平方向に開閉動作する側面ドアであって、前記正面ドア及び側面ドアは、両者が閉じた状態で部分的に互いに重なり合うように配置されている側面ドアと、
   前記正面ドアのみ開閉するパターン、前記側面ドアのみ開閉するパターン及び前記正面ドアと前記側面ドアの双方を同時に開くパターンのいずれかの開閉パターンに応じて前記正面ドアと前記側面ドアの開閉を選択的に許可するドアロックスイッチと、
   を具備することを特徴とした工作機械。
3. 前記工作機械は、鉛直軸線周りに回転送りされるテーブルと、該テーブルに取付けられた両面イケールとを具備しており、
   前記スプラッシュガードは、前記両面イケールの両方のワーク取付け面が、それぞれ正面側と奥側を向いている回転位置にあるとき、該イケールと略面一となるように設けられた仕切り壁を更に具備しており、
   前記仕切り壁によって前記工作機械の加工領域が、段取り室と、加工室とに分割され、
   前記正面ドアを開くことによって前記段取り室にアクセス可能となり、前記側面ドアを開くことによって前記加工室にアクセス可能となるようにした請求項２に記載の工作機械。
4. 前記ドアロックスイッチは、前記正面ドアに取付けられた第１のドアロックスイッチと、前記側面ドアに取付けられた第２のドアロックスイッチとを具備し、
   該第１と第２のドアロックスイッチは前記正面ドア及び／又は前記側面ドアが開いているときは前記工作機械の主軸及びテーブルの回転と加工液の供給を禁止するインターロック回路と、前記工作機械の主軸又はテーブルが回転したり加工液が供給されているときは前記正面ドア及び前記側面ドアの開放を不能とするロック機構とを備えている請求項３に記載の工作機械。
5. 前記インターロック回路は、前記両面イケールの両方の取付け面がそれぞれ正面側と奥側を向いている回転位置にあるとき、前記第１のドアロックスイッチのロック機構をアンロックして、前記正面ドアを開放可能とし、前記正面ドアが閉じられ前記第１のドアロックスイッチの接点が閉じると、前記インターロック回路は前記テーブルの回転送りを許容する請求項４に記載の工作機械。
6. 前記インターロック回路は、前記工作機械の主軸及びテーブルの回転が停止し、かつ、加工液の供給が停止している間、第２のドアロックスイッチのロック機構をアンロックして、前記側面ドアが開放可能とし、前記側面ドアが開いている間、前記インターロック回路は前記主軸及びテーブルの回転及び加工液の供給を禁止し、
   前記側面ドアが再び閉じられ前記第２のドアロックスイッチの接点が閉じると、前記インターロック回路は前記テーブルの回転禁止を解除し、前記主軸の回転及び加工液の供給禁止を解除する請求項４又は５に記載の工作機械。
7. 前記インターロック回路は、前記工作機械の主軸及びテーブルの回転が停止し、かつ、加工液の供給が停止している間、第２のドアロックスイッチのロック機構をアンロックと同時に第１のドアロックスイッチのロック機構もアンロックし、側面ドアに加えて正面ドアも同時に開放可能とし、前記側面ドアと正面ドアの双方が開いている間、前記インターロック回路は前記主軸及びテーブルの回転及び加工液の供給を禁止し、
   前記側面ドアが閉じられ、前記正面ドアが開いている状態では、前記両面イケールの両方のワーク取付け面がそれぞれ正面側と奥側を向いている回転位置へ移動すると、前記インターロック回路は前記主軸の回転及び加工液の供給禁止を解除する請求項４又は５に記載の工作機械。

Images