JP5853437B2 - びびり振動検出方法 - Google Patents
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Description
また、振動の大きさと一定時間内における振動の変化の度合いに基づきびびり振動の有無を判定する従来技術2(例えば、特許文献2参照)がある。
従来技術2では振動の大きさと一定時間内における振動の変化の度合いに基づきびびり振動を検出しているが、びびり振動が発生していない場合にも、加工条件や、工具の切味の変化により振動の大きさは変化するのでびびり振動の検出ができない恐れがある。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、びびり振動の検出を確実にできるびびり振動検出方法を提供することを目的とする。
工作機械の振動を測定し時間領域の振動のフーリエ解析を行い周波数領域の周波数における位相とパワースペクトルを算出する第1工程と、
前記第1工程から所定時間後に、振動を測定し時間領域の振動のフーリエ解析を行い、周波数領域の周波数における位相とパワースペクトルを算出する第2工程と、
前記第1工程における所定周波数の振動と前記第2工程における前記所定周波数の振動の位相差を演算し、前記位相差が所定値以下であり、かつ、前記第1工程における前記所定周波数の振動のパワースペクトルより、前記第2工程における前記所定周波数の振動のパワースペクトルが大きいときに、びびり振動が発生したと判定する第3工程と、を備えることである。
図1に示すように、工作機械1はベッド6上に、運動可能に支持された主軸3と、固定された工作物4を備えている。主軸3は工具2を回転保持しており、主軸3の回転、送りなどの運動制御はNC装置7により制御される。工具2と工作物4を相対運動させて所望の加工を行う。主軸3には振動を検出する振動センサ5を備え、振動センサ5の出力はびびり振動検出装置8に出力される。びびり振動検出装置8の内部には、フーリエ解析を行うFFT演算装置81、びびり振動の発生の有無を判定するびびり判定装置82を備えている。びびり判定装置82の機能的構成として位相差を演算する位相差演算部821とパワースペクトル比演算部822を備えている。
はじめに、加工中に発生する振動の形態について図2に基づき説明する。
加工中には各種の周波数の振動が同時に発生しているが、同一周波数の振動でもその発生原因により継続して振動する場合と、断続的にランダムに発生する場合がある。図2中aは振動W1が継続する振動であり、図2中bは振動W2、W3、W4が断続的に発生している振動である。継続する振動はその原因が継続しているので継続し、断続する振動はその原因が断続するので断続し、振動振幅もばらつく。継続する振動には、工具2のアンバランスに基づく振動、転がり軸受を用いた主軸3の場合は軸受の玉数に基づく振動、工具2の刃数と工具回転速度で決まる切れ刃の作用周期に基づく振動、再生型びびり振動などがある。断続する振動としては、工作物4の硬度変化、冷却液の供給変動、切屑排出の変動、外部からの外乱振動などがある。
びびり振動は、継続する振動のなかから、工作機械1の可動部が運動中でかつ加工をしていない時にも発生している振動を、除いた振動である可能性が高い。
図2において、継続する振動W1の場合は、振動測定開始時の振動の位相が分かれば、時間t1後の位相は振動周期を用いて推定可能である。この推定した位相と、時間t1後に実測した位相は同じになる。しかし、断続する振動では振動W2とW4は互いに独立し関連はないため、振動W2の位相から推定した時間t1後の位相は、時間t1後に実測した位相W4の位相とは異なる可能性が高い。この特性を利用して継続する振動か否かの判定を行う。
加工時に振動測定センサ5により振動W0を測定する(S1)。FFT演算装置81において、フーリエ解析により所望のn個の周波数毎の位相とパワースペクトルを演算する(S2)。n個の周波数に対応する位相をΦ01〜Φ0nとし、パワースペクトルをP01〜Ponとしてびびり判定装置82に記録する(S3)。振動W0の測定開始時から所定の待機時間t1だけ待機する(S4)。振動測定センサ5により振動W1を測定する(S5)。FFT演算装置81において、フーリエ解析によりn個の周波数毎の位相とパワースペクトルを演算する(S6)。n個の周波数に対応する位相をΦ11〜Φ1nとし、パワースペクトルをP11〜P1nとしてびびり判定装置82に記録する(S7)。カウンタCの値を1とする(S8)。位相差演算部821において、周波数Cの振動の位相差が許容値KΦより大きいか否か(|Φ0C−Φ1C|≧KΦ?)を判定する。|Φ0C−Φ1C|≧KΦであれば周波数Cのびびり振動は発生していないと判定しS12へ移動し、そうでなければS10へ移動する(S9)。パワースペクトル比演算部822において、周波数Cの振動のパワースペクトル比が許容値KPより大きいか否か(P1C/P0C≧KP?)を判定する。P1C/P0C≧KPであればS11へ移動し、そうでなければ周波数Cのびびり振動は発生していないと判定しS12へ移動する(S10)。びびり判定装置82からNC装置6へ「周波数Cのびびり振動が発生している」と出力する(S11)。カウンタCに1を加算する(S12)。n個の周波数の判定が終わったか判定する。C=n+1なら終了、そうでないならS9へ移動する(S13)。
これに対して、本発明のびびり振動検出方法では、びびり振動の発生する可能性のある全周波数の振動について、継続する振動で、時間とともにパワースペクトルが増大する周波数の振動のみをびびり振動と判定できる。このため、ノイズに妨げられることなく振動が小さな段階のびびり振動を漏れなく検出することが可能で、びびり振動の周波数も特定できる。よって、本発明のびびり振動検出方法を利用することで、早期に適正なびびり振動防止対策を実施することができる。
振動の測定を工具を回転させる主軸に設置した振動センサにより測定したが、工作物側に振動センサを設置してもよい。また、振動センサに代えてマイクロホンなどの音センサを用いて振動に起因する音波を測定しても良い、この場合は測定場所の制約が少なくなり、容易にびびり振動検出方法を実施できる。
判定周波数の最小値を1Hzとし、1Hz間隔とした事例で説明したが、所望の周波数範囲と所望の間隔で判定すればよく、20〜2000Hz程度の範囲で、5Hz程度の間隔で判定してもよい。
また、モータ回転などに起因する継続する振動の周波数は、びびり振動と判定しないようにあらかじめ除いておいてもよい。
Claims (2)
- 工作機械により工具を用いて工作物を加工するときに発生するびびり振動の発生を検知するびびり振動検出方法であって、
工作機械の振動を測定し時間領域の振動のフーリエ解析を行い周波数領域の周波数における位相とパワースペクトルを算出する第1工程と、
前記第1工程から所定時間後に、振動を測定し時間領域の振動のフーリエ解析を行い、周波数領域の周波数における位相とパワースペクトルを算出する第2工程と、
前記第1工程における所定周波数の振動と前記第2工程における前記所定周波数の振動の位相差を演算し、前記位相差が所定値以下であり、かつ、前記第1工程における前記所定周波数の振動のパワースペクトルより、前記第2工程における前記所定周波数の振動のパワースペクトルが大きいときに、びびり振動が発生したと判定する第3工程と、を備えるびびり振動検出方法。 - 前記第3工程の位相差の演算が、前記第1工程の前記所定周波数の振動の位相周期を前記所定時間だけ時間軸方向へ延伸した振動波形の位相と、前記第2工程における位相との位相差を演算する請求項1に記載のびびり振動検出方法。
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